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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】レーザ加工方法およびレーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20240809BHJP
   B23K 26/067 20060101ALI20240809BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240809BHJP
   H01M 50/528 20210101ALI20240809BHJP
【FI】
B23K26/21 G
B23K26/067
H01M10/04 W
H01M50/528
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020134093
(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公開番号】P2022030243
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】船見 浩司
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174059(JP,A)
【文献】特開昭58-074294(JP,A)
【文献】国際公開第2015/193986(WO,A1)
【文献】特開2019-061949(JP,A)
【文献】特開平07-060473(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044265(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/21
B23K 26/067
H01M 10/04
H01M 50/528
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせ方向の一端側に配置される第1板状部材と、他端側に配置される第2板状部材とを含む複数の板状部材を重ね合わせ、
レーザビームを第1分岐レーザビームと第2分岐レーザビームとの組を複数含む複数の分岐レーザビームに分岐し、
それぞれの前記分岐レーザビームを並進させた状態で、前記第1板状部材に照射し、
前記第1分岐レーザビームおよび前記第2分岐レーザビームが並ぶ方向に対して交差する方向に、前記第1分岐レーザビームおよび前記第2分岐レーザビームを前記第1板状部材に対して相対移動させて、前記第1板状部材の表面に沿ったライン状の溶融部を形成し、
前記第2板状部材において、前記第1分岐レーザビームにより形成される前記溶融部と、前記第2分岐レーザビームにより形成される前記溶融部とが繋がり、かつ、前記溶融部が前記第2板状部材を貫通していない状態で、重ね合わせたそれぞれの前記板状部材をライン状の前記溶融部により接合し、
前記第1板状部材において、一の前記組における前記分岐レーザビームと、隣接する他の一の前記組における前記分岐レーザビームとの間隔は、前記第1分岐レーザビームと前記第2分岐レーザビームとの間隔よりも大きい、レーザ加工方法。
【請求項2】
前記分岐レーザビームにより形成される前記溶融部が、前記第1板状部材の表面における中心位置に対して、互いに点対称または線対称となるように、前記分岐レーザビームを照射する、請求項1に記載のレーザ加工方法。
【請求項3】
前記第2板状部材が前記レーザビームの吸収を抑制する銅系材料である、請求項1または2に記載のレーザ加工方法。
【請求項4】
レーザビームを照射するレーザ発振器と、
前記レーザビームの出力を制御するレーザ発振制御部と、
前記レーザビームを複数の分岐レーザビームに分岐するレーザ分岐光学系と、
前記分岐レーザビームを互いに並進させた状態で、重ね合わせ方向の一端側に配置される第1板状部材と他端側に配置される第2板状部材とを含む照射対象である重ね合わせ板状部材の前記第1板状部材に照射するレーザ加工光学系と、
前記レーザビームに対して前記重ね合わせ板状部材を相対移動させるステージと、
前記ステージの動作を制御するステージ制御部と、
前記ステージ制御部と前記レーザ発振制御部とを同期制御する全体制御部と、を備え、
前記全体制御部は、前記分岐レーザビームを照射しながら前記分岐レーザビームが並ぶ方向に対して交差する方向に相対移動させ、前記第1板状部材に沿ったライン状の溶融部を形成し、一の前記分岐レーザビームによって形成される前記溶融部と他の一の前記分岐レーザビームによって形成される前記溶融部とが前記第2板状部材において繋がり、かつ、前記溶融部が前記第2板状部材を貫通していないように、前記ステージの動作と前記分岐レーザビームの照射を制御し、
前記レーザ分岐光学系は、前記レーザビームを、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームの組を複数含む複数の前記分岐レーザビームに分岐し、
前記レーザ加工光学系は、それぞれの前記分岐レーザビームを並進させた状態で、前記第1板状部材に照射し、
前記第1板状部材において、一の前記組における前記分岐レーザビームと、隣接する他の一の前記組における前記分岐レーザビームとの間隔は、前記第1分岐レーザビームと前記第2分岐レーザビームとの間隔よりも大きい、レーザ加工装置。
【請求項5】
前記レーザ分岐光学系は、前記レーザビームを複数の前記分岐レーザビームに分岐する回折光学素子(DOE)を備える、請求項4に記載のレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工方法およびレーザ加工装置および密閉型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ加工方法として様々なものが知られている。例えば、複数の板状部材を互いに溶接するレーザ加工方法として、1点で溶接するスポット溶接や、直線状または曲線状に連続溶接するライン溶接等の重ね合わせレーザ溶接が知られている。
【0003】
そして、これらのレーザ溶接は、例えば、密閉型電池の製造に用いられている。最近の密閉型電池の製造において、電池外装缶の外側からレーザビームを照射して、電池外装缶と電池の電極から導出される集電タブとに、レーザ照射によって溶融部を形成しレーザ溶接する(例えば、特許文献1および2参照)。このように製造された密閉型電池は、電動工具、電動自転車、電動バイク等に用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1では、電池外装缶と集電タブとをスポット溶接によって接合する。図17(a)で特許文献1に記載された従来のレーザ加工方法の断面図を示す。図17(b)は、溶融部13近傍を拡大した詳細断面図であり、わかりやすいように上下を反転させている。図17(a)に示すように、電池外装缶5の底部の内面に集電タブ12を重ね合わせた状態で、電池外装缶5の底部の外側からレーザビーム21を照射し、溶融部13を形成する。よって、電池外装缶5と集電タブ12とをスポット溶接によって接合する。図17(b)に示すように、電池外装缶5の板厚に比べて、溶融部13の図面上における左右方向の幅が大きい。そのため、溶融部13に投入されるレーザビーム21のエネルギが大きくなり、溶融部13の図面上における上下方向の深さがレーザビーム21の出力の影響を受けやすい。レーザビーム21の出力が高い場合においては、溶融部13が容易に集電タブ12を貫通してしまう。溶融部13が集電タブ12を貫通すると、電池外装缶5の内部にスパッタが混入し、電池短絡不良が発生することがある。
【0005】
また、例えば、特許文献2では、特許文献1のようなスパッタ混入を防止するため、向上した集光性を有するファイバレーザを用いて、集光スポット径を電池外装缶5の板厚以下に絞る。図18(a)に示すように、細長い溶融部13を形成することにより、集電タブ12の貫通を防止できる。しかし、集電タブ12と電池外装缶5との境界における溶融部13の幅である接合幅が狭くなるため、集電タブ12と電池外装缶5との接合強度が低下する。そこで、図18(b)に示すように、電池外装缶5と集電タブ12とを3本線でライン溶接することで接合強度を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4547855号公報
【文献】特許第6512474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、従来のレーザ溶接を用いて製造された密閉型電池および密閉型電池ユニット(複数の密閉型電池からなる電池パック)を落下させた場合、その電池は正常状態(例えば、電池を使用した装置が正常の機能を実現できる状態)を満たさない。各種落下試験において、電池を所定の条件下で落下させると、電池外装缶と集電タブとが外れてしまう。このような外れが生じないためには、従来のレーザ溶接における電池外装缶と集電タブとの接合強度に比べて接合強度を向上させることが望ましい。例えば、接合強度を従来の約1.5倍に向上させるとよい。
【0008】
従って、本開示の目的は、上記従来の課題を解決することにあって、2枚以上の板状部材の重ね合わせレーザ溶接において、照射面から最も離れた板状部材を貫通させずに、レーザ照射によって形成される溶融部における接合強度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の一の態様のレーザ加工方法は以下のように構成する。重ね合わせ方向の一端側に配置される第1板状部材と、他端側に配置される第2板状部材とを含む複数の板状部材を重ね合わせる。続いて、レーザビームを第1分岐レーザビームと第2分岐レーザビームとに分岐する。続いて、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームを並進させた状態で、第1板状部材に照射する。続いて、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームが並ぶ方向に対して交差する方向に、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームを第1板状部材に対して相対移動させて、第1板状部材の表面に沿ったライン状の溶融部を形成する。第2板状部材において、第1分岐レーザビームにより形成される溶融部と、第2分岐レーザビームにより形成される溶融部とが繋がり、かつ、溶融部が第2板状部材を貫通していない。よって、重ね合わせたそれぞれの板状部材をライン状の溶融部により接合する。
【0010】
本開示の一の態様のレーザ加工装置は、レーザ発振器と、レーザ発振制御部と、レーザ分岐光学系と、レーザ加工光学系と、ステージと、ステージ制御部と、全体制御部とを備える。レーザ発振器はレーザビームを照射する。レーザ発振制御部はレーザビームの出力を制御する。レーザ分岐光学系はレーザビームを複数の分岐レーザビームに分岐する。レーザ加工光学系は、分岐レーザビームを互いに並進させた状態で、重ね合わせ方向の一端側に配置される第1板状部材と他端側に配置される第2板状部材とを含む照射対象である重ね合わせ板状部材の第1板状部材に照射する。ステージはレーザビームに対して重ね合わせ板状部材を相対移動させる。ステージ制御部はステージの動作を制御する。全体制御部は、ステージ制御部とレーザ発振制御部とを同期制御する。よって、全体制御部は、ステージの動作と分岐レーザビームの照射を制御する。その結果、分岐レーザビームを照射しながら、分岐レーザビームが並ぶ方向に対して交差する方向に相対移動させ、第1板状部材に沿ったライン状の溶融部を形成し、一の分岐レーザビームによって形成される溶融部と他の一の分岐レーザビームによって形成される溶融部とが第2板状部材においてが繋がり、かつ、溶融部が第2板状部材を貫通していない。
【0011】
本開示の一の態様の密閉型電池は、電池外装缶と、電池外装缶の底面部の内面に重ね合わせ、電池外装缶と溶融部で接合される集電タブと、を有する。電池外装缶における溶融部の外周部分に、集電タブが進入している。
【0012】
本開示の一の態様の密閉型電池は、電池外装缶と、電池外装缶の底面部の内面に重ね合わせ、電池外装缶と溶融部で接合される集電タブと、を有する。電池外装缶における溶融部の中央部分よりも、中央部分を囲む外周部分において、集電タブが電池外装缶に向かって高く進入している。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係るレーザ加工方法およびレーザ加工装置によれば、2枚以上の板状部材の重ね合わせレーザ溶接において、照射面から最も離れた板状部材を貫通させずに、レーザ照射によって形成される溶融部における接合強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来の3本線でのライン溶接の説明図
図2】従来の3本線でのライン溶接でのレーザ出力と接合強度との相関図
図3】4本線でのライン溶接の外観写真
図4】4本線でのライン溶接でのレーザ出力と接合強度との相関図
図5】実施の形態にかかる密閉型電池の構成を模式的断面図
図6】実施の形態にかかるレーザ溶接装置の模式的断面図
図7】実施の形態にかかるレーザ溶接装置のレーザ加工光学系の模式的断面図
図8】分岐レーザビームの集光スポットの模式図
図9】比較例1にかかる1本の分岐レーザビームによるレーザ溶接後の溶融断面図
図10】実施の形態にかかる2本の分岐レーザビームによるレーザ溶接後の溶融断面図
図11A】実施の形態にかかる2本の分岐レーザビームによるレーザ溶接過程における照射開始直後の断面図
図11B】実施の形態にかかる2本の分岐レーザビームによるレーザ溶接過程におけるキーホール形成時の断面図
図11C】実施の形態にかかる2本の分岐レーザビームによるレーザ溶接過程における溶融部先端の集電タブ到達時の断面図
図11D】実施の形態にかかる2本の分岐レーザビームによるレーザ溶接過程におけるキーホール消滅時の断面図
図12】比較例2にかかる非同時2本の分岐レーザビームによるレーザ溶接過程の断面図
図13】分岐レーザビームによるレーザ溶接後の溶融断面図
図14】実施の形態にかかる4本の分岐レーザビームによるレーザ溶接過程の説明図
図15】実施例における4本の分岐レーザビームによるレーザ出力と接合強度との相関図
図16】実施の形態にかかるレーザ加工方法に適した集電タブの断面図
図17】特許文献1に記載された従来のレーザ加工方法を示す図
図18】特許文献2に記載された従来のレーザ加工方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本開示に至った経緯)
密閉型電池の製造方法における従来のライン溶接(特許文献2参照)を用いた場合、溶接後における電池外装缶と集電タブとの接合強度は目標値(電池外装缶と集電タブとの接合外れが生じない接合強度の値)を満たさない。
【0016】
図1には、従来の3本線でのライン溶接の説明図を示す。図1(a)に示すように、従来の方法として、3本線によるライン溶接を行う。その結果、電池外装缶5の表面に沿って、3本のライン状の溶融部13を形成する。
【0017】
図1(b)の断面図に示すように、溶融部13は、電池外装缶5を貫通し集電タブ12に到達している。また、集電タブ12は3層のクラッド材(ニッケル/銅/ニッケル)となっている。
【0018】
図2には、従来の3本線でのライン溶接時のレーザ出力に対する接合強度との相関関係のグラフを示す。横軸はレーザ出力(W)を示し、縦軸は電池外装缶5と集電タブ12との接合強度を示す。図2には、説明のために、現在求められている接合強度の値である現行値と、接合強度をさらに向上させた目標とする値である目標値とを示す。また、図2には、集電タブ貫通領域を示す。集電タブ貫通領域は、そのレーザ出力を用いた照射によって形成される溶融部13が、集電タブ12を貫通するレーザ出力の範囲である。レーザ出力を増加させると接合強度も増加するが、過度にレーザ出力を増加させるとレーザ出力が集電タブ貫通領域に到達する。この場合、溶融部13は集電タブ12を貫通し、電池外装缶5の内部に、溶融された集電タブ12で形成されたスパッタが混入し、短絡不良の原因となる。よって、レーザ出力を増加させた状態でも、接合強度の目標値を実現できない。
【0019】
図3には、3本線でのライン溶接の改善策として検討した、4本線でのライン溶接の外観写真を示す。電池外装缶5の表面に沿って、4本のライン状の溶融部13を形成する。
【0020】
また、図4には、4本線でのライン溶接時のレーザ出力に対する接合強度との相関関係のグラフを示す。横軸はレーザ出力(W)を示し、縦軸は電池外装缶5と集電タブ12との接合強度を示す。図4に示すように、ライン状の溶融部13を4本線に増加させても、最大接合強度は5%程度しか増加せず、接合強度の目標値を実現できない。
【0021】
一方、同時に5本線のライン溶接を行うためには、さらに高いレーザ出力を実現できるレーザ装置が必要になる。よって、従来のレーザ加工方法の応用では、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度の目標値を実現することは困難である。そこで、本発明者らは、前記の課題を解決できるレーザ加工方法として、本開示のレーザ加工方法を検討した。
【0022】
本開示の一の態様のレーザ加工方法は、次の工程を含む。重ね合わせ方向の一端側に配置される第1板状部材と、他端側に配置される第2板状部材とを含む複数の板状部材を重ね合わせる。続いて、レーザビームを第1分岐レーザビームと第2分岐レーザビームとに分岐する。続いて、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームを並進させた状態で、第1板状部材に照射する。続いて、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームが並ぶ方向に対して交差する方向に、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームを第1板状部材に対して相対移動させて、第1板状部材の表面に沿ったライン状の溶融部を形成する。第2板状部材において、第1分岐レーザビームにより形成される溶融部と、第2分岐レーザビームにより形成される溶融部とが繋がり、かつ、溶融部が第2板状部材を貫通していない。よって、重ね合わせたそれぞれの板状部材をライン状の溶融部により接合する。
【0023】
また、分岐されたレーザビームの集光スポット間隔が、分岐された1本のレーザビームによって形成される溶融部における接合幅以上であり溶融幅以下であってもよい。
【0024】
また、レーザビームを、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームの組を複数含む複数の分岐レーザビームに分岐してもよい。それぞれの分岐レーザビームを並進させた状態で、第1板状部材に照射してもよい。第1板状部材において、一の組における分岐レーザビームと、隣接する他の一の組における分岐レーザビームとの間隔は、第1分岐レーザビームと第2分岐レーザビームとの間隔よりも大きくてもよい。
【0025】
また、分岐されたレーザビームの隣り合う集光スポットの間隔が、一方が、分岐された1本のレーザビームによって形成される溶融部における接合幅以上であり溶融幅以下である。他方が、分岐された1本のレーザビームによって形成される溶融部における溶融幅以上であってもよい。
【0026】
また、分岐レーザビームにより形成される溶融部が、第1板状部材の表面における中心位置に対して、互いに点対称または線対称となるように、分岐レーザビームを照射してもよい。
【0027】
また、第2板状部材がレーザビームの吸収を抑制する銅系材料であってもよい。
【0028】
本開示の一の態様のレーザ加工装置は、レーザ発振器と、レーザ発振制御部と、レーザ分岐光学系と、レーザ加工光学系と、ステージと、ステージ制御部と、全体制御部とを備える。レーザ発振器はレーザビームを照射する。レーザ発振制御部はレーザビームの出力を制御する。レーザ分岐光学系はレーザビームを複数の分岐レーザビームに分岐する。レーザ加工光学系は、分岐レーザビームを互いに並進させた状態で、重ね合わせ方向の一端側に配置される第1板状部材と他端側に配置される第2板状部材とを含む照射対象である重ね合わせ板状部材の第1板状部材に照射する。ステージはレーザビームに対して重ね合わせ板状部材を相対移動させる。ステージ制御部はステージの動作を制御する。全体制御部は、ステージ制御部とレーザ発振制御部とを同期制御する。よって、全体制御部は、ステージの動作と分岐レーザビームの照射を制御する。その結果、分岐レーザビームを照射しながら、分岐レーザビームが並ぶ方向に対して交差する方向に相対移動させ、第1板状部材に沿ったライン状の溶融部を形成し、一の分岐レーザビームによって形成される溶融部と他の一の分岐レーザビームによって形成される溶融部とが第2板状部材においてが繋がり、かつ、溶融部が第2板状部材を貫通していない。
【0029】
また、レーザ分岐光学系は、レーザビームを複数の分岐レーザビームに分岐する回折光学素子(DOE)を備えてもよい。
【0030】
本開示の一の態様の密閉型電池は、電池外装缶と、電池外装缶の底面部の内面に重ね合わせ、電池外装缶と溶融部で接合される集電タブと、を有する。電池外装缶における溶融部の外周部分に、集電タブが進入している。
【0031】
本開示の一の態様の密閉型電池は、電池外装缶と、電池外装缶の底面部の内面に重ね合わせ、電池外装缶と溶融部で接合される集電タブと、を有する。電池外装缶における溶融部の中央部分よりも、中央部分を囲む外周部分において、集電タブが電池外装缶に向かって高く進入している。
【0032】
以下に、実施の形態に係る密閉型電池の製造方法におけるレーザ加工方法およびレーザ加工装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
なお、本実施の形態に係るレーザ加工方法は、以下の実施の形態に係る密閉型電池に限定されるものではない。つまり、以下では、レーザ加工方法およびレーザ加工装置の一実施例として、密閉型電池の製造方法で説明する。また、本開示の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。さらに、他の実施の形態との組合せも可能である。
【0034】
(実施の形態に係る密閉型電池)
まず、実施の形態に係る密閉型電池100について詳細に説明する。
【0035】
図5には、実施の形態に係る密閉型電池100の構成の模式断面図を示す。密閉型電池100は、電池外装缶5と、ガスケット6と、封口板10と、絶縁板7と、絶縁板8と、巻取体4と、正極板1と、負極板2と、セパレータ3と、正極集電タブ11と、負極集電タブ12と、を備える。電池外装缶5は開口部を備える。開口部は封口板10により封口される。開口部と封口板10との間にはガスケット6が配置され、ガスケット6が圧縮されることで封口板10が開口部に固定される。電池外装缶5内には、複数の巻取体4と、絶縁板7と、絶縁板8と、電解液とが収容される。巻取体4は、電池外装缶5内において、絶縁板7および絶縁板8で挟み込まれている。巻取体4は、正極板1と負極板2とセパレータ3とを備え、正極板1と負極板2とがセパレータ3によって巻き取られている。巻取体4のいずれか一方の極板(例えば、正極板1)から正極集電タブ11が導出される。また、他方の極板(例えば、負極板2)から負極集電タブ12が導出される。正極集電タブ11と封口板10とに溶融部9が設けられている。溶融部9によって、正極集電タブ11と封口板10とが接合される。負極集電タブ12と電池外装缶5とに溶融部13が設けられている。溶融部13によって、負極集電タブ12と電池外装缶5とが接合される。
【0036】
密閉型電池100の製造方法におけるレーザ溶接について、以下で説明する。
【0037】
まず、正極板1および負極板2がセパレータ3によって捲回又は積層され、巻取体4を形成する。続いて、巻取体4のそれぞれの極板1、2に、それぞれの集電タブ11、12の一端を接続する。続いて、巻取体4を電池外装缶5内に収容する。続いて、集電タブ12の他端を電池外装缶5の内面底面部に重ね合わせる。続いて、図5に示していないが、レーザビームを複数の分岐レーザビームに分岐する。続いて、電池外装缶5の板厚より小さい集光スポット径で、分岐レーザビームを電池外装缶5の外側底面の概略中央に照射しながら、分岐レーザビームを電池外装缶5に対して走査させる。その結果、電池外装缶5にライン状の溶融部13を形成し、電池外装缶5とその内部にある集電タブ12とをレーザ溶接によって接合できる。一方、集電タブ11の他端を封口板10に重ね合わせ、電池外装缶5と同様に封口板10を照射する。その結果、封口板10にライン状の溶融部9を形成し、封口板10と集電タブ11とをレーザ溶接によって接合できる。
【0038】
(実施の形態に係るレーザ加工装置)
続いて、実施の形態に係るレーザ加工装置の例としてレーザ溶接装置200について詳細に説明する。
【0039】
図6に、実施の形態に係るレーザ溶接装置200を示す。図6中のX、Y方向は、それぞれ電池外装缶5の底面沿いの方向であって、互いに直交する方向であり、Z方向は、電池外装缶5と集電タブ12を重ね合わせる方向であり、X方向およびY方向と直交する方向である。
【0040】
図6に示すように、レーザ溶接装置200は、レーザ発振器14と、レーザ発振制御部15と、レーザ分岐光学系17と、レーザ加工光学系16と、ステージ18と、ステージ制御部19、全体制御部20と、を備えて構成される。
【0041】
レーザ発振器14はレーザビーム21を照射する。レーザ発振器14は、例えばファイバーレーザ発振器である。レーザ発振器14は、例えばレーザ出力1kW、レーザ波長1070nmのレーザを発振する。なお、レーザ発振器14は、このような仕様に限定されない。
【0042】
レーザ発振制御部15は、レーザ発振器14から照射されたレーザビーム21の照射(ON/OFF)、および、レーザビーム21の出力を制御する。出力制御を行うことにより、電池外装缶5と集電タブ12とを溶融させるために必要な出力のレーザビーム21を照射することができる。例えば、レーザ発振制御部15の出力制御によって、電池外装缶5と集電タブ12とを溶融させ、かつ、形成された溶融部13が集電タブ12を貫通しないように照射することができる。
【0043】
レーザ分岐光学系17に、レーザ発振器14から照射されたレーザビーム21が入射し、その光学系によりレーザビーム21を2本以上の分岐レーザビームに分岐する。図6には、レーザ分岐光学系17によって、レーザビーム21を2本の分岐レーザビーム21a、21bに分岐した場合を示す。分岐レーザビーム21a、21bはY方向に並ぶ。レーザ分岐光学系17において、回折光学素子(DOE)を用いてレーザビーム21を分岐してもよい。また、例えば、DOE(回折光学素子)の分岐パターン設計を行うことにより、任意の位置に、任意の強度でレーザビーム21を分岐させることができる。レーザ分岐光学系17は、レーザ加工光学系16内に内蔵されている。
【0044】
レーザ加工光学系16に、レーザ発振器14から照射されたレーザビーム21が、光ファイバを通じて、入射する。レーザ加工光学系16内に内蔵されたレーザ分岐光学系17によって、レーザビーム21は分岐レーザビーム21a、21bに分岐される。レーザ加工光学系16は、分岐レーザビーム21a、21bを集光し、分岐レーザビーム21a、21bを並進させた状態で電池外装缶5に照射する。図6において、分岐レーザビーム21a、21bはY方向に並び、Z方向に照射される。また、分岐レーザビーム21a、21bによって電池外装缶5の底面に形成される集光スポット22a、22bもY方向に並ぶ。例えば、レーザ加工光学系16により、分岐レーザビーム21a、21bの集光スポットを電池外装缶5の板厚(Z方向における断面の厚み)以下に集光することができる。また、例えば、レーザ加工光学系16は、電池外装缶5の外側底面の概略中央のほぼ中心位置に、分岐レーザビーム21a、21bを照射できる。また、レーザ分岐光学系17によりレーザビーム21を3本以上の分岐レーザビームに分岐する場合において、レーザ加工光学系16は、それぞれの分岐レーザビームの集光スポットがY方向の同一直線上にあるように照射できる。
【0045】
ステージ18は、照射対象物を搭載し移動させる。図6に示すように、ステージ18は、例えば、電池外装缶5と集電タブ12とを搭載し、電池外装缶5と集電タブ12とをX方向に移動させる。
【0046】
ステージ制御部19は、ステージ18の動作を制御する。ステージ制御部19によって、例えば、ステージ18の移動距離と、移動速度と、移動開始のタイミングとを制御できる。
【0047】
全体制御部20は、ステージ制御部19とレーザ発振制御部15とを同期制御し、よって、ステージ18の動作と分岐レーザビーム21a、21bの出力を制御する。分岐レーザビーム21a、21bを照射しながら、ステージ18により電池外装缶5と集電タブ12とをレーザ加工光学系16に対して、分岐レーザビーム21a、21bが並ぶ方向に対して交差する方向として直交する方向に移動させることができる。分岐レーザビーム21a、21bが並ぶ方向とは、電池外装缶5の底面に形成する集光スポット22a、22bを結ぶ直線上の方向を意味する。図6に示すように、本実施の形態では、分岐レーザビーム21a、21bはY方向に並び、ステージ18により密閉型電池100をX方向に移動させる。その結果、分岐レーザビーム21a、21bは電池外装缶5に沿ったX方向のライン状の溶融部13を形成し、溶融部13が集電タブ12において互いに繋がり、かつ、溶融部13が集電タブ12を貫通していない。ライン状の溶融部13によって電池外装缶5と集電タブ12とが接合される。
【0048】
なお、以上の説明において、レーザ溶接装置200の照射対象物が、密閉型電池100の電池外装缶5および集電タブ12である場合について説明しているが、照射対象物はこれに限定されない。例えば、複数の板状部材を重ね合わせて照射対象物としてもよい。なお、板状部材の形状としては、全体として平面であるものに限定されない。部材の厚み方向と直交する面方向において広がる部材であって、照射対象の領域においてそれぞれの部材を互いに重ね合わせることができる部材であればよい。例えば、筒の円盤状の端面に板状部材を重ねて配置し、筒と板状部材を照射対象物としてもよい。なお、1つの板状部材は、例えば、クラッド材や積層材料のように複数の層を有してもよい。
【0049】
なお、以上の説明において、レーザ分岐光学系17によって、レーザビーム21を2本の分岐レーザビーム21a、21bに分岐しているが、この場合に限られない。レーザビーム21を2本以上、例えば、4本の分岐レーザビームに分岐してもよい。
【0050】
なお、レーザ溶接装置200における移動要素をステージ18に限らず、例えば、静止したステージ18に対してレーザ加工光学系16を移動させてもよい。また、例えば、ステージ18およびレーザ加工光学系16の両方を互いに対して相対的に移動させてもよい。また、移動は1軸方向の移動には限られず、例えば、XY平面内の移動であってもよい。
【0051】
なお、以上の説明において、分岐レーザビーム21a、21bが並ぶ方向と、電池外装缶5および集電タブ12を移動させる方向とが直交しているが、この場合に限られない。分岐レーザビーム21a、21bが並ぶ方向に対して交差する方向に、分岐レーザビーム21a、21bを電池外装缶5および集電タブ12に対して相対的に移動させればよい。例えば、分岐レーザビーム21a、21bが並ぶ方向であるY方向に対して90°以外の角度を有する方向に電池外装缶5などを移動させてもよい。
【0052】
(実施の形態に係るレーザ加工方法)
続いて、実施の形態に係るレーザ加工方法について詳細に説明する。
【0053】
本実施の形態に係るレーザ加工方法は、次の工程を含む。重ね合わせ方向の一端側に配置される第1板状部材と、他端側に配置される第2板状部材とを含む複数の板状部材を重ね合わせる。続いて、レーザビームを第1分岐レーザビームと第2分岐レーザビームとに分岐する。続いて、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームを並進させた状態で、第1板状部材に照射する。続いて、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームが並ぶ方向に対して交差する方向に、第1分岐レーザビームおよび第2分岐レーザビームを第1板状部材に対して相対移動させて、第1板状部材の表面に沿ったライン状の溶融部を形成する。第2板状部材において、第1分岐レーザビームにより形成される溶融部と、第2分岐レーザビームにより形成される溶融部とが繋がり、かつ、溶融部が第2板状部材を貫通していない。よって、重ね合わせたそれぞれの板状部材をライン状の溶融部により接合する。
【0054】
本実施の形態では、電池外装缶5の底部が第1板状部材に対応し、集電タブ12が第2板状部材に対応している。また、レーザ溶接装置200によってレーザ加工方法を行う。また、レーザ分岐光学系17によってレーザビーム21を分岐し、レーザ加工光学系16によって電池外装缶5に照射し、全体制御部20によってレーザビーム21に対して電池外装缶5と集電タブ12を移動させる。以下で本実施の形態について説明する。
【0055】
(レーザビームの分岐)
まず、レーザビームの分岐について図7および図8を参照しながら詳細に説明する。図7には、実施の形態にかかるレーザ溶接装置200のレーザ加工光学系16の模式的断面図を示す。図8には、分岐レーザビーム21a~21dの集光スポットの模式図を示す。
【0056】
図7には、レーザ溶接装置200におけるレーザ加工光学系16の近傍の詳細図を示す。図7においては、レーザビーム21は、レーザ加工光学系16に入射され、レーザ分岐光学系17によって4本の分岐レーザビーム21a~21dに分岐される。分岐レーザビーム21a~21dがY方向に並んだ状態で、Z方向に電池外装缶5に照射する。
【0057】
図8には、分岐レーザビーム21a~21dの集光スポット22a~22dを示す。分岐レーザビーム21a~21dは、レーザ加工光学系16によって、集光スポット径φ20μmの4点の集光スポット22a~22dにそれぞれ集光される。集光スポット22a~22dはY方向の同一直線上にある。各集光スポット22a~22dのレーザビーム強度は等しい。本実施の形態において、集光スポット22a~22dが並ぶY方向に対して直交するX方向に、分岐レーザビーム21a~21dに対して電池外装缶5と集電タブ12を移動させる。
【0058】
図8に示すように、集光スポット22aと集光スポット22bとの間のスポットピッチをP1とし、集光スポット22bと集光スポット22cとの間のスポットピッチをP2とし、集光スポット22cと集光スポット22dとの間のスポットピッチをP3とする。スポットピッチP1とスポットピッチP3とは等しい。一方、スポットピッチP1およびスポットピッチP3は、スポットピッチP2より小さい。本実施の形態では、P1とP3が100μmであり、P2が800μmであり、全幅(P1+P2+P3)が1mmである。
【0059】
狭いスポットピッチP1で隣り合う分岐レーザビーム21aおよび分岐レーザビーム21bは、分岐レーザビームの1つの組を形成する。同様に、狭いスポットピッチP3で隣り合う分岐レーザビーム21cおよび分岐レーザビーム21dは、分岐レーザビームの他の1つの組を形成する。すなわち、4本の分岐レーザビームは、2つの組(21aと21bとの組、21cと21dとの組)を形成する。また、一方の組と他方の組との間隔であるスポットピッチP2は、一方の組における分岐レーザビーム間のスポットピッチ(例えば、スポットピッチP1またはP3)より大きくなるように設定されている。なお、一方の組と他方の組との間隔とは、一方の組の分岐レーザビームと他方の組の分岐レーザビームとの間の最小の距離である。
【0060】
以下で、一方の組の分岐レーザビーム21a、21bについて詳細に説明する。また、以下の説明では、一方の組の分岐レーザビームを、第1分岐レーザビーム21aおよび第2分岐レーザビーム21bと称する場合がある。なお、一方の組の分岐レーザビーム21a、21bに関する説明は、他方の組の分岐レーザビーム21c、21dにも適用できる。
【0061】
(2本の分岐レーザビームによるレーザ溶接)
レーザビーム21をスポットピッチP1で分岐させて、第1分岐レーザビーム21aおよび第2分岐レーザビーム21bの組を用いて同時にレーザ溶接を行う。図9および図10を参照しながら、レーザ溶接を行う方法について詳細に説明する。図9(a)には、比較例1として、1本のレーザビーム51によるレーザ溶接後の溶融断面図を示す。図9(b)には、図9(a)の実際の断面図の写真を示す。図10(a)には、本実施の形態における2本の分岐レーザビーム21a、21bによるレーザ溶接後の溶融断面図を示す。図10(b)には、図10(a)の実際の断面図の写真を示す。
【0062】
図9(a)および図9(b)に示す比較例1においては、電池外装缶5の板厚が300μm、集電タブ12の板厚が100μmである。レーザビーム51は、集光スポット52において、集光スポット径φ20μmに集光される。電池外装缶5の図面上の上面をレーザビーム51の照射面として、レーザビーム51をZ方向に照射する。キーホールレーザ溶接により、電池外装缶5と集電タブ12とが溶融され、電池外装缶5と集電タブ12とに溶融部43が形成される。溶融部43には、Z方向の負の方向に向かった溶融流れ53が発生しており、溶融された電池外装缶5および溶融された集電タブ12が混ざり合う。適切なレーザ条件では、溶融部43が集電タブ12を貫通することなくレーザ溶接できる。電池外装缶5の照射面における溶融部43の幅(以降、溶融幅)は120μmである。また、集電タブ12と集電タブ12に隣接する電池外装缶5との境界における溶融部43の幅(以降、接合幅)は50μmである。
【0063】
図10(a)に示す実施の形態においては、比較例1と同様に、電池外装缶5の板厚が300μm、集電タブ12の板厚が100μmである。一方、レーザビーム21は、Y方向に並ぶ第1分岐レーザビーム21aと第2分岐レーザビーム21bに分岐され、それぞれの集光スポット22aおよび集光スポット22bにおいて、集光スポット径φ20μmに集光される。集光スポット径φ20μmは、電池外装缶5の板厚300μmより小さい。また、この集光スポット22aと集光スポット22bとのスポットピッチP1は100μmである。
【0064】
2本の分岐レーザビーム21a、21bをY方向に並べた状態で電池外装缶5に対してZ方向に照射することで、電池外装缶5と集電タブ12とが溶融される。集電タブ12と集電タブ12と電池外装缶5との境界において繋がった溶融部13が形成される。分岐レーザビーム21a、21bの同時照射によって、溶融部13の温度は、図9の溶融部43の温度より高くなる。また、溶融部13の溶融体積は、図9の溶融部43の溶融体積より大きくなる。溶融体積とは、溶融部13または溶融部43の体積である。溶融部13には、Z方向の負の方向、Y方向の正または負の方向および、X方向の正または負の方向に向かって乱れた溶融流れ23が発生する。溶融部13の温度が高く、溶融部13の溶融体積が大きいため、溶融流れ23が図9の溶融部流れ53より大きくなり、溶融流れ23が生じる領域も広くなる。溶融流れ23によって、溶融された電池外装缶5および溶融された集電タブ12が混ざり合う。よって、集電タブ12における溶融部13の接合幅を拡大させる。溶融部13の接合幅は150μmであり、比較例1の接合幅の3倍となる。接合幅が大きくなると、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度が向上する。よって、1本のレーザビーム21より、2本の分岐レーザビーム21a、21bを用いて照射することで接合強度が向上する。
【0065】
一方、比較例1と同様に、溶融部13は集電タブ12を貫通しない。そのため、溶融された集電タブ12で形成されるスパッタが、電池外装缶5の内側の空間に混入することを防止できる。よって、密閉型電池100の短絡不良が抑制することができる。
【0066】
また、図10(b)に示すように、溶融流れ23の結果、集電タブ12の一部が電池外装缶5へ拡散し、集電タブ拡散部24を形成する。
【0067】
集電タブ拡散部24の形成によって、集電タブ12を構成する材料が、溶融部13の外周部分において、集電タブ12から電池外装缶5の領域内に進入している。例えば、集電タブ12はニッケルと銅とニッケルとの3層クラッド材であってもよい。この場合、集電タブ12のニッケルおよび/または銅が、レーザ照射によって溶融され、溶融流れ23によって電池外装缶5の領域内に進入する。その結果、電池外装缶5の領域内にニッケルおよび/または銅を有する集電タブ拡散部24が形成される。集電タブ12を構成する材料が高い電気的導電性を有するため、溶融部13における電池外装缶5の導電性が向上する。よって、密閉型電池100において、集電タブ12から電池外装缶5への電流の流れが良くなる。
【0068】
また、集電タブ拡散部24の形成によって、集電タブ12を構成する材料が、集電タブ12から電池外装缶5の領域内に進入している場合において、溶融部13の中央部分よりも、溶融部13の外周部分において、より多くの集電タブ12を構成する材料が進入している。その結果、集電タブ拡散部24が、溶融部13の中央部分と比較して、溶融部13の外周部分において、Z方向の反対方向においてより大きな高さまで到達している。このような構成によれば、密閉型電池100において、集電タブ12から電池外装缶5への電流の流れがさらに良くなる。
【0069】
次に、図11A-Dを参照しながらレーザ溶接方法を詳細に説明する。図11A-Dには、スポットピッチP1を有する2本の分岐レーザビーム21a、21bの組によるレーザ溶接過程の断面図を示す。
【0070】
図11Aには、第1分岐レーザビーム21aおよび第2分岐レーザビーム21bの照射開始直後の溶融断面図を示す。第1分岐レーザビーム21aおよび第2分岐レーザビーム21bは、狭いスポットピッチP1で並進した状態で照射される。第1分岐レーザビーム21aおよび第2分岐レーザビーム21bの集光スポット径はφ20μmと小さいため、溶融部13a、13bの内部にキーホール25a、25bと呼ばれる細長い穴が開く。第1分岐レーザビーム21aおよび第2分岐レーザビーム21bはこの穴の中を伝搬して、溶融部13a、13bが細長くZ方向に向かって成長する。
【0071】
図11Bには、さらにキーホール25a、25bがZ方向に成長した状態における溶融断面図を示す。溶融部13aと溶融部13bとの間には、溶融熱が蓄積し溶融効率が向上する。このため、溶融部13aは溶融部13b側へと、溶融部13bは溶融部13a側へと広がり、電池外装缶5の図面上の上面付近において溶融部13aと溶融部13bとが繋がる。「繋がる」とは、分岐レーザビーム21aによって形成される溶融部13aと、分岐レーザビーム21bによって形成される溶融部13bとが連続しており、その間に境界がないことを意味する。
【0072】
図11Cには、溶融部13a、13bの先端がそれぞれ集電タブ12に達した状態における溶融断面図を示す。溶融部13a、13bの先端において、Z方向の負の方向におよび、Y方向の正または負の方向に乱れた溶融流れ23が発生し、溶融された電池外装缶5および溶融された集電タブ12が混ざり合う。よって、溶融部13aと溶融部13bとが繋がる。
【0073】
図11Dでは、キーホール25a、25bが浅くなった状態における溶融断面図を示す。レーザ照射が終了し、キーホール25a、25bは浅くなり消滅する。また、レーザ照射の終了によって、電池外装缶5の図面上の上面が冷却され、溶融部13a、13bにおける温度勾配が大きくなる。よって、Z方向の負の方向の溶融流れ23が強くなるため、より電池外装缶5と集電タブ12とが混ざり合い、集電タブ12における溶融部13a、13bの接合幅を拡大させることができる。よって、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度が向上させることができる。
【0074】
続いて、実施の形態の比較例2として、同時ではなく順番にレーザビームを照射して溶融部を形成する場合について、レーザ溶接過程の断面図を示す図12を参照しながら詳細に説明する。
【0075】
図12(a)には、1本目のレーザビーム21a(第1分岐レーザビームと関係付けるために同じ参照符号である21aとする)の照射後の溶融断面を示す。レーザビーム21aを単独で電池外装缶5に対して照射し、電池外装缶5と集電タブ12とに溶融部13aを形成する。
【0076】
続いて、図12(b)に示すように、1本目のレーザビーム21aからY方向に100μmずらした集光スポット22b位置に、2本目のレーザビーム21b(第2分岐レーザビームと関係付けるために同じ参照符号である21bとする)を電池外装缶5に対して照射する。レーザビーム21bが照射される際に溶融部13aはすでに固化している。そのため、レーザビーム21bによる溶融部13bは、1本目のレーザビーム21aで形成された溶融部13aと独立して形成される。
【0077】
図12(c)に示すように、それぞれの溶融部13a、13bは繋がらず、2本に分かれた溶融部13a、13bが形成される。接合幅50μmで2ヶ所が溶接されているため、合計の接合幅は100μmとなる。よって、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度は向上しない。よって、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度を向上させるためには、レーザビーム21a、21bを同時に照射するとよい。
【0078】
また、図12(d)に示す溶融断面のように、レーザビーム21a、21bによって形成されたそれぞれの溶融部13a、13bは繋がらず、2本に分かれた溶融部13a、13bが形成される。
【0079】
上述のように、スポットピッチP1で分岐させた2本の分岐レーザビーム21a、21bを同時に照射するとよい。そこで、スポットピッチP1について、図13を参照しながら詳細に説明する。図13には、分岐レーザビームによるレーザ溶接後の溶融断面図を示す。
【0080】
図13(a)には、1本のレーザビーム21により形成される溶融部13の単独接合幅JW(Joining Width)および溶単独融幅MW(Melting Width)を示す。溶融部13の単独接合幅JWとは、レーザ走査方向と直交する方向において、集電タブ12と集電タブ12に隣接する電池外装缶5との境界における溶融部13の幅である。溶融部13の単独溶融幅MWとは、レーザ走査方向と直交する方向において、照射面である電池外装缶5の図面上の上面における溶融部13の幅である。図13(a)において、単独接合幅JWは50μm、単独溶融幅MWは120μmである。
【0081】
1本のレーザビーム21より、2本の分岐レーザビーム21a、21bを用いて照射することで、溶融部13による接合幅および電池外装缶5と集電タブ12との接合強度を向上させることができる。例えば、図13(b)に示すように、単独接合幅JW以下のスポットピッチP1(例えば、30μm)では、分岐レーザビーム21a、21bによって繋がった溶融部13が形成される。溶融部13による接合幅は80μmとなる。
【0082】
また、例えば、図13(c)に示すように、単独溶融幅MW以上のスポットピッチP1(例えば、150μm)では、溶融部13が繋がらずに、分離したままの2本の溶融部13a、13bを形成する。また、溶融部13a、13bの接合幅はそれぞれ50μmであるため、合計接合幅は100μmとなる。
【0083】
そこで、スポットピッチP1を、単独接合幅JW以上、単独溶融幅MW以下、とすることで、溶融部13は繋がり、溶融幅13による接合幅及び電池外装缶5と集電タブ12との接合強度をさらに向上させることができる。例えば、図10(a)に示すように、溶融部13による接合幅は150μmとなる。
【0084】
(4本の分岐レーザビームによるレーザ溶接)
次に、4本の分岐レーザビーム21a~21dのレーザ溶接について詳細に説明する。前述の図8で示したように、分岐レーザビーム21a~21dを並進させた状態で照射する。図14には、4本の分岐レーザビームによるレーザ溶接過程の説明図を示す。
【0085】
図14(a)には、この4本ビームによる溶融断面モデルを示す。4本の分岐レーザビーム21a~21dが、狭いスポットピッチを有する2つの組となっており、この狭いスポットピッチよりも2つの組の間隔が大きい。よって、互いから離れた位置において2つの繋がった溶融部13が得られ、電池外装缶5と集電タブ12とが2ヶ所でレーザ溶接されている。そのため、接合強度を増加させることができる。
【0086】
図14(b)には電池外装缶5の底面から見た外観溶融モデルを示す。電池外装缶5の表面における中心位置に対して、点対称、若しくは、線対称の位置で溶接を行うことで、かつ、その2ヶ所を離すことで、接合トルク強度も増加させることができる。
【0087】
図14(c)には実際の溶融断面写真、図14(d)には実際の外観写真を示す。上述のモデルで推定している通りになっているのがわかる。つまり、本実施の形態に係るレーザ加工方法によれば、1つの分岐レーザビームの組によって繋がった溶融部13形成され、かつ、集電タブ12を貫通することなく、集電タブ12と電池外装缶5との境界における接合幅を広げることができる。
【0088】
上記の説明のように、狭いスポットピッチP1、P3および広いスポットピッチP2を有する4本の分岐レーザビーム21a~21dを照射すればよい。また、スポットピッチP1、P3を、1本のレーザビーム21により形成される溶融部13の単独接合幅JW以上、同条件で形成される単独溶融幅MW以下、としてもよい。この場合、繋がった溶融部13が形成され、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度を向上させることができる。加えて、スポットピッチP2を、単独溶融幅MW以下、としてもよい。よって、図14(a)に示すように、互いから離れた位置において、2つの繋がった溶融部13が得られ、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度をさらに向上させることができる。
【0089】
(実施例)
実施の形態に係るレーザ加工方法を用いて溶接した密閉型電池100に対して接合強度評価を行った。図15にレーザ出力に対する接合強度との相関関係のグラフを示す。横軸はレーザ出力(W)を示し、縦軸は電池外装缶5と集電タブ12との接合強度を示す。図15より、集電タブ12を貫通させることなく、接合強度の目標値を実現することができ、本実施の形態に係るレーザ加工方法の有効性を確認することができた。また、実際に、本実施の形態に係るレーザ加工方法を用いて密閉型電池100を作成し、密閉型電池100単体、および、密閉型電池ユニットで、所定の落下試験を行った結果、溶接された部分で外れることなく正常状態が維持され、本実施の形態に係るレーザ加工方法の有効性が確認できた。
【0090】
(集電タブの材質)
本実施の形態に係るレーザ加工方法に適した集電タブ12の材質について説明する。ニッケル製の集電タブ12が通常用いられており、レーザビーム21に対して吸収性が良く、容易に溶融される。しかし、本実施の形態に係るレーザ加工方法において、溶融部13が向上した吸収性を有する集電タブ12を貫通しないように照射することは困難である。そのため、集電タブ12の材質としては、レーザビーム21の吸収が抑制される材料、例えば、銅系のような材料を使用するとよい。
【0091】
例えば、図16に示すような集電タブ12を使用するとよい。図16(a)の集電タブが銅製である。また、図16(b)の集電タブはニッケルと銅との2層クラッド材であり、図16(c)の集電タブはニッケルと銅とニッケルの3層クラッド材である。いずれにしても、集電タブ12の銅部分でレーザが止められ、貫通を防止することができる。
【0092】
なお、以上のレーザ加工方法の説明において、レーザビームの照射対象物が、密閉型電池100における電池外装缶5(第1板状部材の一例)および集電タブ12(第2板状部材の一例)である場合を例としているが、これに限定されない。例えば、3枚以上の板状部材を重ね合わせて照射対象物としてもよい。なお、板状部材の形状としては、全体として平面であるものに限定されない。部材の厚み方向と直交する面方向において広がる部材であって、照射対象の領域においてそれぞれの部材を互いに重ね合わせることができる部材であればよい。例えば、筒の円盤状の端面に板状部材を重ねて配置し、筒と板状部材を照射対象物としてもよい。なお、第1板状部材と第2板状部材の間に他の板状部材が配置されてもよい。なお、1つの板状部材は、例えば、クラッド材や積層材料のように複数の層を有してもよい。なお、1つの板状部材は、例えば、クラッド材や積層材料のように複数の層を有してもよい。
【0093】
(効果)
実施の形態に係るレーザ加工方法によれば、分岐レーザビーム21a、21bは並進した状態で照射される。また、分岐レーザビーム21a、21bが並ぶに対して交差する方向に、分岐レーザビーム21a、21bに対して電池外装缶5を移動させる。その結果、電池外装缶5の表面に沿ったライン状の溶融部13a、13bを形成する。したがって、レーザ溶接により溶融部13を形成し、電池外装缶5と集電タブ12との接合を実現できる。
【0094】
また、2本の分岐レーザビームによって形成される溶融部13a、13bが、集電タブ12において繋がっている。集電タブ12において繋がった溶融部13a、13bを形成することで、1本のレーザビーム21を用いて照射した場合よりも、溶融体積が大きくなり、大きな溶融流れ23が形成される。溶融流れ23により、溶融された電池外装缶5および集電タブ12が混ざり合って、集電タブ12と集電タブ12に隣接する電池外装缶5との境界における溶融部13の接合幅が拡大させることができる。よって、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度を向上させることができる。
【0095】
また、分岐レーザビーム21a、21bの照射により、それぞれ集電タブ12を貫通しない溶融部13a、13bを形成する。よって、電池外装缶5内へのスパッタ混入を防止できる。
【0096】
第1分岐レーザビーム21aと第2分岐レーザビーム21bとのスポットピッチP1が、単独接合幅JW以上かつ単独溶融幅MW以下となるように照射を行うとよい。よって、2本の分岐レーザビーム21a、21bで形成される溶融部13a、13bが集電タブ12において繋がり、集電タブ12における接合幅がさらに拡大し、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度をさらに向上させることができる。
【0097】
レーザビーム21を、分岐レーザビーム21a、21bの組を含む複数の分岐レーザビームに分岐してもよい。それぞれの組の間隔は、第1分岐レーザビーム21aと第2分岐レーザビーム21bとのスポットピッチP1より大きくなってもよい。例えば、スポットピッチP2のように、それぞれの組によって形成されるライン状の溶融部13が繋がらないような間隔を取ってもよい。よって、ライン状の溶融部13が複数形成され、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度を向上させることができる。
【0098】
スポットピッチP1が単独接合幅JW以上かつ単独溶融幅MW以下となり、スポットピッチP2が単独溶融幅MW以上であってもよい。例えば、2本の分岐レーザビーム21a、21bによって集電タブ12において繋がった溶融部13を形成し、また別の離れた位置でも、分岐レーザビーム21cと21dによって同様に集電タブ12において繋がった溶融部13を形成することができる。互いから離れた位置において、2つの繋がった溶融部13が得られる。よって、集電タブ12における接合幅の合計がさらに拡大し、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度をさらに向上させることができる。
【0099】
電池外装缶5の表面における中心位置に対して、照射によって形成される複数の溶融部13が互いに点対称または線対称となるように、分岐レーザビーム21a~21dを照射してもよい。また、それぞれの溶融部13を離してもよい。よって、接合トルク強度を向上させることができる。
【0100】
集電タブ12の材料がレーザビーム21の吸収を抑制する銅系材料であってもよい。集電タブ12はレーザビーム21のエネルギを吸収せず、溶融を抑制でき、溶融部13が集電タブ12を貫通しない。よって、電池外装缶5内へのスパッタ混入を防止することができる。
【0101】
実施の形態に係るレーザ溶接装置200によれば、全体制御部20によって、ステージ18の動作と分岐レーザビーム21a~21dの照射の制御できる。具体的には、分岐レーザビーム21a~21dを照射しながら、分岐レーザビーム21a~21dが並ぶ方向に対して交差する方向に、密閉型電池100を移動させることができる。その結果、電池外装缶5に沿ったライン状の溶融部13を形成し、溶融部13が集電タブ12において繋がり、かつ、溶融部13が集電タブ12を貫通していない。よって、集電タブ12における接合幅が拡大し、電池外装缶5と集電タブ12との接合強度を向上させること、および、電池外装缶5内へのスパッタ混入を防止することができる。
【0102】
また、レーザ分岐光学系17において、回折光学素子(DOE)を用いてレーザビーム21を分岐してもよい。このような構成によれば、分岐パターン設計を行うことができ、任意の位置に、任意の強度でレーザビーム21を分岐させることができる。
【0103】
実施の形態に係る密閉型電池100によれば、集電タブ拡散部24の形成によって、集電タブ12を構成する材料が、溶融部13の外周部分において、集電タブ12から電池外装缶5の領域内に進入している。集電タブ12を構成する材料が高い導電性を有するため、溶融部13における電池外装缶5の導電性が向上する。このような構成によれば、集電タブ12から電池外装缶5への電流の流れが良くなる。
【0104】
また、溶融部13の中央部分よりも、溶融部13の外周部分において、集電タブ12を構成する材料が、集電タブ12から電池外装缶5の領域内により高く進入している。このような構成によれば、集電タブ12から電池外装缶5への電流の流れがさらに良くなる。
【0105】
なお、本実施例では、密閉型電池の事例で説明したが、2枚以上の板状材料の重ね合わせレーザ溶接に置いて、溶接により形成される溶融部が未貫通な溶接で、更なる接合強度を向上させる時に、有効な手段となる。
【0106】
なお、巻取体4は、正極板及び負極板はセパレータを介して捲回されたものに限らず、積層されたものでも良い。
【0107】
なお、上記様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示が適用できる密閉型電池は、その種類に特に制限はなく、リチウムイオン二次電池の他、ニッケル水素電池、又は、ニッカド電池などにも適用することができる。また、円筒型二次電池に限らず、角形二次電池、又は、一次電池にも適用し得る。
【符号の説明】
【0109】
100 密閉型電池
200 レーザ溶接装置
1 正極板
2 負極板
3 セパレータ
4 巻取体
5 電池外装缶
6 ガスケット
7 上部絶縁板
8 下部絶縁板
9 溶融部
10 封口板
11 正極集電タブ
12 負極集電タブ
13、13a―b 溶融部
14 レーザ発振器
15 レーザ発振制御部
16 レーザ加工光学系
17 レーザ分岐光学系
18 ステージ
19 ステージ制御部
20 全体制御部
21 レーザビーム
21a―d 分岐レーサビーム
22、22a―d 集光スポット
23 溶融流れ
24 集電タブ拡散部
25a―b キーホール
43 溶融部
51 レーザビーム
52 集光スポット
53 溶融流れ
図1
図2
図3
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