IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社OPTIの特許一覧

<>
  • 特許-椅子の背凭れ 図1
  • 特許-椅子の背凭れ 図2
  • 特許-椅子の背凭れ 図3
  • 特許-椅子の背凭れ 図4
  • 特許-椅子の背凭れ 図5
  • 特許-椅子の背凭れ 図6
  • 特許-椅子の背凭れ 図7
  • 特許-椅子の背凭れ 図8
  • 特許-椅子の背凭れ 図9
  • 特許-椅子の背凭れ 図10
  • 特許-椅子の背凭れ 図11
  • 特許-椅子の背凭れ 図12
  • 特許-椅子の背凭れ 図13
  • 特許-椅子の背凭れ 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】椅子の背凭れ
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20240809BHJP
   A47C 7/48 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A61F5/01 K
A47C7/48
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018051067
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019162227
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-02-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1)博覧会に出品 〔博覧会名〕健康博覧会/FOOD PRODUCE JAPAN2018 〔開催日〕平成30年1月31日~2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】308038831
【氏名又は名称】有限会社OPTI
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(72)【発明者】
【氏名】神田 文啓
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】鎌田 哲生
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-153624(JP,A)
【文献】特開2009-219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F5/00-6/24
A47C7/00-7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の骨盤の左右方向の最大幅の部位より後側のみの左右の腸骨に該当する部位にそれぞれに当接可能な背凭れを備える椅子の背凭れであって、前記背凭れは左右方向で右背凭れ部と左背凭れ部を備え、
前記右背凭れ部と前記左背凭れ部はそれぞれ、剛性を有する材質からなる略板状の押圧背凭れ部材と、前記押圧背凭れ部材の左右方向で略中央寄りを支持する支柱とを有し、
剛性を有する材質の前記押圧背凭れ部材は垂直方向に設けられた固定軸である前記支柱を旋回中心として回転自在に、前記支柱に支持されており、
平面視で、前記右背凭れ部と左背凭れ部のそれぞれの左右方向での内側が骨盤の仙骨周辺に該当する部位により後方向に押圧され回転したときに、前記回転により、前記右背凭れ部と左背凭れ部のそれぞれの左右方向での外側が骨盤の寛骨の後部外側に該当する部位を仙骨側に向けて押圧をかける方向に回転することを特徴とする椅子の背凭れ。
【請求項2】
前記それぞれの押圧背凭れ部材の形態を、平面視で、左右方向で前記支柱と接する中央部は着座者と当接しないための隙間を形成するように凹部形状にし、左右方向で両端部は着座者の仙骨に該当する部位と寛骨の部分である腸骨の後方外側に該当する部位に当接可能とする凸部形状にしたことを特徴とする請求項1に記載の椅子の背凭れ。
【請求項3】
前記右背凭れ部と左背凭れ部とが左右に分離されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子の背凭れ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨盤を形成する腸骨と仙骨の間にある仙腸関節の歪みの矯正を行う椅子の背凭れに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、例えば妊婦がお産をするときに仙腸関節の靱帯が弛緩し仙骨と腸骨との間が広がるが、その後に仙骨と腸骨との位置関係が元に戻らず仙腸関節間の隙間が広がって仙腸関節がずれてしまう症状が生じることがある。この仙腸関節のずれによって腰痛などの症状が生じることが知られている。
【0003】
特許文献1には、座部と、背もたれ部と、着座者の骨盤の歪みを矯正するために前記骨盤の部分を左右から押圧する左右一対の押圧部とを備えるとともに、それらの相互の位置関係を固定して椅子本体を構成し、その椅子本体を脚体に対して前後方向向へ角度調整可能に支持したことを特徴とする骨盤矯正椅子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明は、座部の左右のサイドに設けた、骨盤を左右から押圧する一対の押圧部の幅が一定であるため、着座者により骨盤の大きさが小さい人には十分な押圧がかからず、骨盤の大きい人には椅子にはまりにくいという問題があった。
【0006】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、骨盤の大きさにかかわらず、靱帯が弛緩して広がりずれた左右の仙腸関節の隙間を狭くし正常な位置に矯正できる椅子の背凭れを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の椅子の背凭れは、着座者の骨盤の左右方向の最大幅の部位より後側のみの左右の腸骨に該当する部位にそれぞれに当接可能な背凭れを備える椅子の背凭れであって、前記背凭れは左右方向で右背凭れ部と左背凭れ部を備え、前記右背凭れ部と前記左背凭れ部はそれぞれ、剛性を有する材質からなる略板状の押圧背凭れ部材と、前記押圧背凭れ部材の左右方向で略中央寄りを支持する支柱とを有し、剛性を有する材質の前記押圧背凭れ部材は垂直方向に設けられた固定軸である前記支柱を旋回中心として回転自在に、前記支柱に支持されており、平面視で、前記右背凭れ部と左背凭れ部のそれぞれの左右方向での内側が骨盤の仙骨周辺に該当する部位により後方向に押圧され回転したときに、前記回転により、前記右背凭れ部と左背凭れ部のそれぞれの左右方向での外側が骨盤の寛骨の後部外側に該当する部位を仙骨側に向けて押圧をかける方向に回転することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の椅子の背凭れは、請求項1において、記それぞれの押圧背凭れ部材の形態を、平面視で、左右方向で前記支柱と接する中央部は着座者と当接しないための隙間を形成するように凹部形状にし、左右方向で両端部は着座者の仙骨に該当する部位と寛骨の部分である腸骨の後方外側に該当する部位に当接可能とする凸部形状にしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の椅子の背凭れは、請求項1又は2において、前記右背凭れ部と左背凭れ部とが左右に分離されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1又は2に記載の椅子の背凭れは、着座者が着座すると、着座者の骨盤の仙骨周辺の右側が右背凭れ部の内側を、仙骨周辺の左側が左背凭れ部の内側をそれぞれ後方向に押圧をかけることにより、前記右背凭れ部の外側及び前記左背凭れ部の外側がそれぞれ着座者の骨盤の寛骨を後側の外側からから中央に向けて押圧をかけることにより、着座者の左右の寛骨を構成する腸骨をそれぞれ中央寄りに仙骨側に移動させることができ、骨盤の大きさにかかわらず左右の仙腸関節を密着させることができる。
【0011】
前記右背凭れ部と左背凭れ部のそれぞれの左右方向の中央部に着座者とは離隔する部位を有するので、前記右背凭れ部と左背凭れ部のそれぞれの両端部の一方が着座者に当接すると他方が着座者に押圧を加えるときに強い押圧を加えることができる。また、前記他方の部位という狭い範囲で押圧を加えるので強い押圧により寛骨の部分を構成する腸骨を仙骨方向に近づけることができる。
【0012】
請求項3に記載の椅子の背凭れは、右背凭れ部と左背凭れ部とが左右に分離されているので、右背凭れ部と左背凭れ部とを連結させた形態に比較してより強い押圧をかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の背凭れを備えた椅子の例を示す概要正面図である。
図2】本発明の背凭れを備えた椅子の例を示す概要右側面図である。
図3】本発明の背凭れを備えた椅子の背凭れを前傾斜させた状態を示す概要右側面図である。
図4】平面視で背凭れの形態を示す図であり、(a)が図1におけるA―A断面図で、(b)が図1におけるB-B断面図で、(c)が図1におけるC-C断面図である。
図5】平面視における骨盤の概要図である。
図6】正面視における骨盤の概要図である。
図7】平面視で着座者が座った瞬間の骨盤と背凭れとの位置関係を示す説明図である。
図8】平面視で着座者が深く座って背もたれに寄り掛かったときの骨盤と背凭れとの位置関係を示す説明図である。
図9】左背凭れ部と右背凭れ部とが連結部材で一体化された形態の説明図で、(a)が左背凭れ部と右背凭れ部の平面図で、(b)が椅子の概要正面図である。
図10】左背凭れ部と右背凭れ部の材質が捩じれ変形をする樹脂の場合の説明図で、(a)が左背凭れ部と右背凭れ部の平面図で、(b)が椅子の概要正面図である。
図11】左背凭れ部と右背凭れ部の事例の平面図で、(a)がW字型の説明図で、(b)がコ字状型の説明図である。
図12】支柱が座面部に固定されて立設されている形態の説明図で、(a)が正面視の説明図で、(b)が右側面視の説明図である。
図13】左背凭れ部と右背凭れ部にカバーが覆われた状態の説明図で、(a)が左背凭れ部と右背凭れ部を一つのカバーで覆った事例の説明図で、(b)が左背凭れ部と右背凭れ部をそれぞれ別個に覆った事例の説明図である。
図14】着座者に、左右の背凭れ部と左右の支柱が当接する形態を示す平面視の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の椅子の背凭れで使用する椅子2は、座椅子や、脚部を備える椅子、ソファ、乗り物用椅子等の背凭れ1と座面部3を備えた椅子が該当する。また、本発明の背凭れ1は、図1図2に示すように、右背凭れ部4と左背凭れ部5を有し、右背凭れ部4には押圧背凭れ部材8と前記押圧背凭れ部材8を支える支柱20が含まれ、左背凭れ部5には押圧背凭れ部材9と前記押圧背凭れ部材9を支える支柱21が含まれ、前記支柱20、21は座面部3から立設されている。
【0015】
骨盤10を構成する骨は、図5又は図6に示すように、骨盤10の上部中央に仙骨11が左右にあり、その外側に腸骨15がそれぞれ左右にあり、坐骨14と腸骨15等が一体化したものが寛骨12であり、仙骨11と寛骨12等の全体が骨盤10である。そして、仙骨11と腸骨15との境が仙腸関節13である。仙腸関節13の左右方向の間隔が拡がると仙腸関節でずれが生じ腰痛を発症しやすくなる。本発明の椅子の背凭れ1は、左右の寛骨12の部分である腸骨15の外側から内側にある仙骨11の方向に押圧を加えて前記寛骨12を仙骨11側に移動させて仙腸関節13の隙を左右のバランスよく狭くし密着させていくことができる。
【0016】
本発明の椅子の背凭れ1は、図1図7図8図10に示すように、着座者の骨盤10に該当する部位に当接可能な背凭れを備える椅子の背凭れ1であって、前記背凭れ1は左右方向で右背凭れ部4と左背凭れ部5を備え、平面視で、前記右背凭れ部4と左背凭れ部5のそれぞれの左右方向での内側が骨盤10の仙骨11周辺に該当する部位により後方向に押圧され回転又は捩れたときに、前記回転又は捩じれにより、前記右背凭れ部4と左背凭れ部5のそれぞれの左右方向での外側が骨盤10の寛骨12の後部外側に該当する部位を仙骨11側に向けて押圧をかける方向に回転又は捩れる。
【0017】
前記右背凭れ部4と左背凭れ部5は、ともに左右方向の略中央部に支柱20、21を設けており、着座者と当接する部位が、図14に示すように、前記右背凭れ部4と左背凭れ部5のそれぞれの左右方向での両端の部位、及び、支柱20、21が設けられた中央部に当接する形態であっても、図8に示すように、支柱20、21が設けられた中央部は隙間50を設けて離隔するようにして前記右背凭れ部4と左背凭れ部5のそれぞれの左右方向での両端の部位が当接する形態であってもよい。前記支柱20、21が設けられた中央部に隙間50を設けて離隔するようにした形態の方が、着座者の押圧が分散せず集中するので仙骨11側の内側の部位が着座者の押圧をより強く受けることができ、その反動により腸骨15の後方外側の方に該当する外側の部位が着座者により強い押圧を加えることができる。
【0018】
次に、前記支柱20、21が設けられた中央部は隙間50を設けて離隔するようにした形態について説明する。前記右背凭れ部4と左背凭れ部5はいずれもそれぞれ着座者が接する押圧背凭れ部材8、9と前記押圧背凭れ部材8、9を支える支柱20、21を備え、前記それぞれの押圧背凭れ部材8、9の形態を、図4図9(a)、図10(a)、図11に示すように、平面視で、左右方向で前記支柱20、21と接する中央部は着座者と当接しないための隙間50を形成するように凹部形状にし、左右方向で両端部は着座者の仙骨11に該当する部位と寛骨12の部分である腸骨15の後方外側に該当する部位に当接可能とする凸部形状にしている。
【0019】
本発明の椅子の背凭れ1は、右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と、左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9と、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8を支える支柱20と、前記左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9を支える支柱21とを備えている。前記支柱体20、21は図1に示すように座面部3の後端部から立設し、図1図4に示すように前記押圧背凭れ部材8や押圧背凭れ部材9の左右方向で略中央寄りに位置する。
【0020】
前記支柱20、21と前記座面部3との連結形態は、図12に示すように、前記座面部3に固定し前記背凭れ1を常時立設させた形態、又は、図1図3に示すように、前記座面部3と前記支柱20、21との間に左右方向の軸とその軸を挿入する筒状体とを組み合わせた回転部22を設けて、前記支柱20、21を前記軸又は筒状体に固定させて前記背凭れ1を約90°回転可能にする形態がある。
【0021】
前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9とは、図9に示すように左右を連結させた一体的な形態や、図1に示すように分離された形態がある。前記一体的な形態及び分離された形態とも、図7図8に示すように、着座者の骨盤10に該当する部位が前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9のそれぞれの仙骨11側に該当する端部に対して後方向に押圧P1R、P1Lをかけると、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9のそれぞれの仙骨11側に該当する端部が後方向に移動し回転又は捩れる。前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9とを連結する連結部材40は押圧P1R、P1Lの大きさにより伸縮可能な弾性体が好ましい。前記右背凭れ部4と左背凭れ部5を図13に示すように布製や革製のカバー30で覆う形態もある。カバー30は支柱20、21も含めて覆うようにしてもよい。前記カバー30で覆うと、右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8や左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9がカバー30で隠れるので外観上は通常の椅子と略同じになる。
【0022】
前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の材質は、樹脂、木、金属、非金属などの剛性を有する材質、あるいは、捩じれ変形をする樹脂であればよい。また、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の大きさは、正面視で、それぞれの高さ方向の範囲は寛骨12の腸骨15部分及び仙骨11部分の上端近傍から下端近傍までの範囲に該当し、それぞれの左右方向の範囲は右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8は右側の寛骨12の外側端近傍から右側の仙骨11の内側端近傍までの範囲であり、左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9は左側の寛骨12の外側端近傍から左側の仙骨11の内側端近傍までの範囲である。そして、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の形態は、正面視では略四角形又は楕円形を形成している。そして前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9は略板状である。
【0023】
前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9と支柱20、21との連結形態は、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9が剛性を有する材質の場合は、図1図4(c)、図7図8に示すように、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9は支柱20、21に対して左右方向に回転自在に連結され、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9が捩じれ変形をする樹脂の場合は前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9は支柱20、21に固定、あるいは、図10(a)に示すように同じ材質で支柱と一体的に成形する。
【0024】
そして、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9を、図1図4(b)、(c)に示すように、支柱20、21に対して左右方向に回転自在に連結した形態の場合には、図1図2に示すように、支柱20,21に対して前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の上下方向の位置を固定化させるために、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の下端に当接する下規制部材7及び、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の上端に当接する上規制部材6を設けている。下規制部材7は支柱20、21に固定し、上規制部材6は図4(a)に示すように支柱20、21の上端部の螺刻部に螺合させて上方を規制している。前記上規制部材6は螺設しているので取り外し自在にできるので、前記右背凭れ部4又は左背凭れ部5を入り替え容易である。
【0025】
そして、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の平面視は、図4図9(a)、図10(a)、図11に示すように、着座者の仙骨11の左右方向の略真ん中で、左右方向で対称的な形態を形成し、基本的形状は、平面視で、左右方向で中央部は着座者と当接しないための隙間50を形成するようにし、左右方向で内側がそれぞれ骨盤10を構成する仙骨11周辺に該当する部位により後方向に押圧P1R、P1Lされたときに、それぞれの前記中央部は着座者と離隔状態を維持して、左右方向でそれぞれの外側が骨盤10を構成する寛骨12の部分である腸骨15の後部外側に該当する部位を仙骨11側に向けて押圧P2R、P2Lする形態である。
【0026】
前記平面視の形態としては、図4に示すように平面視で左右方向の略中心を旋回中心としたW字型の折れ曲げ箇所を円弧状にした形態、図11(a)に示すように平面視で左右方向の略中心を旋回中心としたW字型の形態、図11(b)に示すように平面視で左右方向の略中心を旋回中心としたコ字状やU字状(図示なし)の形態がある。いずれも前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の左右方向の中央部を着座者とは離隔状態を維持したまま、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の左右方向の両端部を着座者側に押圧P2R、P2L可能とする形態である。
【0027】
次に、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の材質が剛性を有し、前記右背凭れ部4と左背凭れ部5が分離状態であり、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9がともに支柱20、21とは左右方向に回転自在に設けられた場合について説明する。この場合の前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の平面視の形状はW字型の折れ曲げ箇所を円弧状にした形態、平面視で左右方向の略中心を旋回中心としたW字型の形態、平面視で左右方向の略中心を旋回中心としたコ字状やU字状の形態のいずれでもよい。
【0028】
この形態の場合、図8に示すように、左右に分離された右背凭れ部4又は左背凭れ部5は、平面視で骨盤10側の面である右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9が、着座者の着座によってそれぞれの仙骨11側が最初に後方向に押圧P1R、P1Lが加わり、この押圧P1R、P1Lによって右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8は支柱20を回転中心として矢印a方向の左回転し寛骨12の部分である腸骨15側に該当する部位が腸骨15の外側から仙骨11方向に向けて押圧P2Rを加え、左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9は支柱21を回転中心として矢印b方向の右回転し寛骨12の部分である腸骨15側に該当する部位が腸骨15の外側から仙骨11方向に向けて押圧P2Lを加える。これにより、右側の腸骨15が矢印c方向である仙骨11方向に動き、左側の腸骨15が矢印d方向である仙骨11方向に動き、仙骨11と寛骨12との、言い換えれば仙骨11と腸骨15との境に存する仙腸関節13の隙を狭めることができ、仙腸関節13のずれによって生ずる腰痛などの症状を抑制させることができる。
【0029】
次に、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の材質が剛性を有し、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9が弾性体の連結部材40で連結された連結状態であり、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9がともに支柱20、21とは左右方向に回転可能に設けられた場合について説明する。この場合の前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の平面視の形状はW字型の折れ曲げ箇所を円弧状にした形態、平面視で左右方向の略中心を旋回中心としたW字型の形態、平面視で左右方向の略中心を旋回中心としたコ字状やU字状の形態のいずれでもよく、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9とは弾性体からなる連結部材40で連結されている。
【0030】
この形態の場合、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9は、平面視で骨盤10側の面である右側の押圧背凭れ部材8又は左側の押圧背凭れ部材9が、着座者の着座によってそれぞれの仙骨11側が最初に後方向に押圧P1R、P1Lが加わり、この押圧P1R、P1Lによって前記連結部材40が伸び、右背凭れ部4は左回転し寛骨12の部分である腸骨15側に該当する部位が腸骨15の外側から仙骨11方向に向けて押圧P2Rを加え、左背凭れ部5は右回転し寛骨12の部分である腸骨15側に該当する部位が腸骨15の外側から仙骨11方向に向けて押圧P2Lを加える。これにより、仙骨11と寛骨12との境に存する仙腸関節13の隙を狭めることができ、仙腸関節のずれによって生ずる腰痛などの症状を抑制させることができる。
【0031】
次に、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の材質が捩じれ変形をする樹脂であり、前記右背凭れ部4と左背凭れ部5が分離状態であり、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9右がともに支柱20、21とは支柱20,21に固定、あるいは、同じ材質で支柱20,21と一体的に成形した場合について説明する。この場合の前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9の平面視の形状はW字型の折れ曲げ箇所を円弧状にした形態、平面視で左右方向の略中心を旋回中心としたW字型の形態、平面視で左右方向の略中心を旋回中心としたコ字状やU字状の形態のいずれでもよい。
【0032】
この形態の場合、前記右背凭れ部4又は左背凭れ部5は、平面視で骨盤10側の面である右側の押圧背凭れ部材8又は左側の押圧背凭れ部材9が、着座者の着座によってそれぞれの仙骨11側が最初に後方向に押圧P1R、P1Lが加わり、この押圧P1R、P1Lによって右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8は左回転方向に捩じれ寛骨12の部分である腸骨15側に該当する部位が腸骨15の外側から仙骨11方向に向けて押圧P2Rを加え、左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9は右回転方向に捩じれ寛骨12の部分である腸骨15側に該当する部位が腸骨15の外側から仙骨11方向に向けて押圧P2Lを加える。これにより、仙骨11と寛骨12との境に存する仙腸関節13の隙を狭めることができ、仙腸関節のずれによって生ずる腰痛などの症状を抑制させることができる。
【0033】
次に、図1図3に示す実施例1を説明する。前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8と左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9は、略板状であり、左右方向の略中央部で座面部3から立設された支柱20、21に左右方向に回転自在に取り付けられ、平面視で前記支柱20、21を回転中心としたW字型の折れ曲げ箇所を円弧状にした形態をしている。前記支柱20、21と、前記右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9とは、図4(c)に示すように前記押圧背凭れ部材8、9で前記支柱20、21を囲繞した部位と、図4(b)に示すように前記押圧背凭れ部材8、9で前記支柱20、21を囲繞しない部位を設けているが、すべての部位を図4(c)に示すように前記押圧背凭れ部材8、9で前記支柱20、21を囲繞してもよい。
【0034】
前記略W字側の仙骨11側に該当する一方の折れ部が仙骨11により押圧P1R、P1Lを加えられ後方向に移動し、これにより右背凭れ部4の押圧背凭れ部材8又は左背凭れ部5の押圧背凭れ部材9がそれぞれ支柱20、21を回転中心として回転し、他方の折れ部が寛骨12の外側であって後方向から寛骨12の部分である腸骨15を仙骨12側に押圧P2R、P2Lを加えて移動させる。これにより、仙骨11と、寛骨12の部分である腸骨15との境に存する仙腸関節13の隙を狭めることができ、仙腸関節13のずれによって生ずる腰痛などの症状を抑制させることができる。
【0035】
さらに、図2図3に示すように、前記支柱20、21を立設させた部位に回転部22を設け、前記右背凭れ部4又は左背凭れ部5を座面部3側に略直角に曲げる構成としている。前記回転部22を設けた場合は、支柱20、21の立設時の倒れ防止として回転部22の回転軸を挿入した筒状体に回転規制部材23を設けることにより前記右背凭れ部4又は左背凭れ部5の立設を可能としている。折り畳みができるので持ち運びや収納がしやすくなるという効果がある。
【符号の説明】
【0036】
1 背凭れ
2 椅子
3 座面部
4 右背凭れ部
5 左背凭れ部
6 上規制部材
7 下規制部材
8 押圧背凭れ部材
9 押圧背凭れ部材
10 骨盤
11 仙骨
12 寛骨
13 仙腸関節
14 坐骨
15 腸骨
20 支柱
21 支柱
22 回転部
23 回転規制部材
30 カバー
40 連結部材
50 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14