(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび実装ヘッドならびに部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
H05K13/08 B
(21)【出願番号】P 2021558188
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2020035244
(87)【国際公開番号】W WO2021100304
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2019207607
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘之
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-131100(JP,A)
【文献】特開2017-157766(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155657(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持するように構成された保持部材と、
前記保持部材を第一高さから第二高さに移動可能な昇降装置と、前記保持部材を保持した状態で回転する回転体とを備える実装ヘッドと、
前記保持部材に保持された前記部品の電気的特性を計測する特性計測装置と、を備え、
前記特性計測装置は、前記保持部材に保持された前記部品と電気的に接続するように構成された計測ユニットを含み、
前記計測ユニットは、前記実装ヘッドに設けられ
、
前記昇降装置は、前記保持部材が前記計測ユニットに対向するように位置付けられた状態で、前記保持部材が前記回転体を中心に回転するときの前記第一高さから、前記第一高さより前記計測ユニットに近い前記第二高さに前記保持部材を移動する、
部品実装システム。
【請求項2】
前記特性計測装置は、前記実装ヘッドの移動中に前記保持部材に保持された前記部品の電気的特性を計測する、
請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記保持部材は前記
回転体に保持された複数の保持部材のひとつであり、
前記複数の保持部材のそれぞれは、
前記回転体の回転に伴って前記計測ユニットに対して相対的に移動可能である、
請求項1または2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記計測ユニットと電気的に接続可能な計測位置と、前記保持部材により前記部品を保持可能な保持位置とは、前記
回転体の回転に伴って前記保持部材が移動する周回軌道上の異なる位置に設けられている、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記保持位置にある前記保持部材を昇降する保持位置昇降装置
と、前記計測位置にある前記保持部材を昇降する
前記昇降装置としての計測位置昇降装置
と、をさらに備え
る、
請求項
4に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記特性計測装置は、前記計測ユニットと電気的に接続された前記部品の電気的特性を計測する特性計測部をさらに含み、
前記特性計測部は、前記実装ヘッドに設けられた、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記実装ヘッドに設けられ、前記保持部材に保持された前記部品の有無を
前記部品の状態として検出する検出装置をさらに備え
る、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の部品実装システム。
【請求項8】
前記検出装置は、前記特性計測装置により前記部品の前記電気的特性を計測する前に、前記部品の前記有無を検出する、
請求項
7に記載の部品実装システム。
【請求項9】
前記検出装置により得られた前記部品の有無に関する情報に基づいて、前記保持部材に保持された前記部品の前記電気的特性を前記計測ユニットにより計測するか否かを判定する計測可否判定装置をさらに備え
る、
請求項
7または
8に記載の部品実装システム。
【請求項10】
前記検出装置は、前記保持部材に保持された前記部品の姿勢をさらに検出し、
前記計測可否判定装置は、前記検出装置により得られた前記部品の前記姿勢に関する情報に基づいて、前記保持部材に保持された部品の電気的特性を前記計測ユニットにより計測するか否かをさらに判定する、
請求項
9に記載の部品実装システム。
【請求項11】
前記実装ヘッドに設けられ、前記保持部材に保持された前記部品の姿勢を検出する第2の検出装置をさらに備え、
前記計測可否判定装置は、前記第2の検出装置により得られた前記部品の前記姿勢に関する情報に基づいて、前記保持部材に保持された部品の電気的特性を前記計測ユニットにより計測するか否かをさらに判定する、
請求項
9に記載の部品実装システム。
【請求項12】
前記実装ヘッドに設けられ、前記保持部材に保持された前記部品の姿勢を
部品の状態として検出する検出装置をさらに備え
る、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の部品実装システム。
【請求項13】
前記検出装置は、前記特性計測装置により前記部品の前記電気的特性を計測する前に、前記部品の前記姿勢を検出する、
請求項
12に記載の部品実装システム。
【請求項14】
前記検出装置により得られた前記部品の前記姿勢に関する情報に基づいて、前記保持部材に保持された部品の電気的特性を前記計測ユニットにより計測するか否かを判定する計測可否判定装置をさらに備えた、
請求項
12または
13に記載の部品実装システム。
【請求項15】
前記検出装置により前記部品の前記状態を検出する検出位置は、前記
回転体の回転に伴って前記保持部材が移動する周回軌道上において、前記保持部材により前記部品を保持可能な保持位置と、前記計測ユニットと電気的に接続可能な計測位置との間に設けられ、
前
記保持部材
が移動する方向に沿って、前記保持位置、前記検出位置、前記計測位置の順に配置されている、
請求項
7から
14のいずれか一項に記載の部品実装システム。
【請求項16】
前記計測ユニットを回転するように構成された回転機構をさらに備え
る、
請求項1から
15のいずれか一項に記載の部品実装システム。
【請求項17】
部品を保持するように構成された保持部材と、
前記保持部材を第一高さから第二高さに移動可能な昇降装置と、
前記保持部材を保持した状態で回転する回転体と、
前記保持部材に保持された前記部品と電気的に接続するように構成された計測ユニットと、を備え
、
前記昇降装置は、前記保持部材が前記計測ユニットに対向するように位置づけられた状態で、前記保持部材が前記回転体を中心に回転するときの前記第一高さから、前記第一高さより前記計測ユニットに近い前記第二高さに前記保持部材を移動する、
実装ヘッド。
【請求項18】
部品実装システムにおける部品実装方法であって、
前記部品実装システムは
、
部品を保持するように構成された保持部材と、
前記保持部材を第一高さから第二高さに移動可能な昇降装置と、前記保持部材を保持した状態で回転する回転体と、を備える実装ヘッドと、
前記保持部材に保持された前記部品の電気的特性を計測する特性計測装置と、を備え、
前記特性計測装置は、前記保持部材に保持された前記部品と電気的に接続するように構成された計測ユニットを含み、
前記計測ユニットは、前記実装ヘッドに設けられ、
前記部品実装方法は、
前記保持部材に前記部品を保持させるステップと、
前記回転体の回転によって、前記第一高さに位置した状態の前記保持部材を移動し、前記保持部材が前記計測ユニットに対向するように位置づけするステップと、
前記昇降装置によって、前記保持部材を前記第一高さから前記第二高さに移動し、前記保持部材に保持された前記部品を前記計測ユニットに接続させるステップと、を備え
る、
部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板に部品を実装する部品実装システム、および基板に部品を実装する実装ヘッド、ならびに部品実装システムにおける部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、基板に電子部品(以下、部品と称す)を実装する。従来、部品の誤実装防止やトレーサビリティ管理等を目的として、基板に部品を実装する前に部品の電気的特性を計測する機能を有する部品実装装置が知られている。電気的特性とは、例えば、インダクタンス、静電容量、抵抗である(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の部品実装装置は、部品を供給する部品供給部と部品が実装される基板との間であって、実装ヘッドが移動する移送エリア内に特性計測装置を有している。そして、実装ヘッドが部品供給部からピックアップした部品を特性計測装置が計測し、計測結果が所定の範囲外の部品は実装対象から除外される。このようにして部品の誤実装が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の部品実装システムは、実装ヘッドと、特性計測装置とを有する。実装ヘッドは、部品を保持するように構成された保持部材と、保持部材を第一高さから第二高さに移動可能な昇降装置と、保持部材を保持した状態で回転する回転体とを備える。特性計測装置は、保持部材に保持された部品の電気的特性を計測する。特性計測装置は、保持部材に保持された部品と電気的に接続するように構成された計測ユニットを含み、計測ユニットは、実装ヘッドに設けられ、昇降装置は、保持部材が計測ユニットに対向するように位置付けられた状態で、保持部材が回転体を中心に回転するときの第一高さから、第一高さより計測ユニットに近い第二高さに保持部材を移動する。
【0005】
本開示の実装ヘッドは、部品を保持するように構成された保持部材と、保持部材を第一高さから第二高さに移動可能な昇降装置と、保持部材を保持した状態で回転する回転体と、保持部材に保持された部品と電気的に接続するように構成された計測ユニットとを有する。昇降装置は、保持部材が計測ユニットに対向するように位置づけられた状態で、保持部材が回転体を中心に回転するときの第一高さから、第一高さより計測ユニットに近い第2高さに保持部材を移動する。
【0006】
本開示の部品実装方法は、上述の部品実装システムにおける部品実装方法である。この部品実装方法では、保持部材に部品を保持させ、回転体の回転によって、第一高さに位置した状態の保持部材を移動し、保持部材が計測ユニットに対向するように位置づけ、昇降装置によって、保持部材を第一高さから第二高さに移動し、保持部材に保持された部品を計測ユニットに接続させる。
【0007】
本開示によれば、部品実装作業の効率を低下させることなく部品の電気的特性を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態に係る部品実装システムである部品実装装置の斜視図
【
図2】
図1に示す部品実装装置が有する実装ヘッドの構成図
【
図4】
図2に示す実装ヘッドを反対側の側面から見た図
【
図5】
図2に示す実装ヘッドの構成を説明する模式図
【
図6A】
図2に示す実装ヘッドに設けられ、特性計測装置に含まれる計測ユニットの斜視図
【
図7A】本開示の実施の形態に係る実装ヘッドにより部品の電気的特性を計測する様子を示す図
【
図7B】
図7Aに続き、実装ヘッドにより部品の電気的特性を計測する様子を示す図
【
図8】本開示の実施の形態に係る部品実装装置の制御系の構成を示す機能ブロック図
【
図9】本開示の実施の形態に係る部品実装装置における部品実装方法のフローチャート
【
図10】本開示の実施の形態に係る部品実装装置における部品実装方法の工程説明図
【
図11】本開示の実施の形態に係る他の実装ヘッドの斜視図
【
図12】
図11に示す実装ヘッドによる部品の電気的特性の計測工程を説明する上面図
【
図13】
図11に示す実装ヘッドによる部品の電気的特性の計測工程を説明する側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施の形態の説明に先立ち、本開示の着想に至った経緯を簡単に説明する。特許文献1を含む従来技術では、部品の電気的特性を計測するには、実装ヘッドを移送エリア内にある特性計測装置の上方まで移動させて一定時間停止させる必要がある。そのため、部品実装作業の作業効率が低い。
【0010】
本開示は、部品実装作業の効率を低下させることなく部品の電気的特性を計測することができる部品実装システムおよび実装ヘッドならびに部品実装システムにおける部品実装方法を提供する。
【0011】
以下に図面を参照しながら、本開示の実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、水平面内で互いに直交する2軸のうち、基板搬送方向に平行な軸(
図2における紙面に垂直な軸)をX軸、基板搬送方向に直交する軸(
図2における左から右へ延びる軸)をY軸とする。また水平面と直交する軸(
図2における下から上へ延びる軸)をZ軸とする。Z軸は、部品実装装置が水平面上に設置された場合に下から上へ延びる軸である。
【0012】
まず
図1を参照して、部品実装システムである部品実装装置1の構造を説明する。部品実装装置1は、部品を基板に実装する。基台1aの中央部には、X軸に沿って延びた一対のコンベアを有する搬送機構2が配置されている。搬送機構2は部品実装対象の基板3を上流の装置から受け取って、以下に説明する部品実装機構による実装作業位置に位置決め保持する。
【0013】
搬送機構2の両側方には、部品供給部4が配置されている。部品供給部4は、フィーダテーブル4aと、フィーダテーブル4a上に並設された複数のテープフィーダ5とを有している。テープフィーダ5はそれぞれ、基板3に実装される部品を収納したキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品を実装ヘッド8による取り出し位置に供給する。また、基台1aの上面または一方のフィーダテーブル4aには、部品廃棄部Tが設置されている。
図1では、一例として、手前(Y軸マイナス側)のフィーダテーブル4aに、部品廃棄部Tが設置されている。部品廃棄部Tには、テープフィーダ5から実装ヘッド8により取り出されたが、電気的特性が不良などの理由で基板3には実装されない部品が廃棄される。
【0014】
次に、部品実装機構について説明する。X軸における基台1aの端部には、リニア駆動機構を有したY軸テーブル6がY軸に沿って延びるように配置されている。Y軸テーブル6にはリニア駆動機構を有したビーム7がY軸に沿って移動自在に装着されている。ビーム7は、X軸に沿って延びるように配置されている。ビーム7にはプレート部材9がX軸に沿って移動自在に装着されており、プレート部材9には実装ヘッド8が保持フレーム10を介して装着されている。
【0015】
実装ヘッド8は、基板3に実装される部品を部品供給部4からピックアップして保持する。Y軸テーブル6、ビーム7が駆動されることにより、実装ヘッド8は、X軸、Y軸に沿って水平移動し、保持する部品を搬送機構2により位置決めされた基板3に搭載する。すなわち、実装ヘッド8は、部品実装機構を構成する。Y軸テーブル6、ビーム7は、実装ヘッド8を水平面内で移動させる移動機構11を構成する。
【0016】
次に、
図2~
図5を参照して、実装ヘッド8の構成を説明する。実装ヘッド8は、ロータリー型ヘッドである。
図2は、実装ヘッド8の側面図である。
図3は、実装ヘッド8の部分断面図である。
図4は、実装ヘッド8を
図2とは反対側の側面から見た図である。
図5は、実装ヘッド8を下方から見た模式図である。
図2に示すように、実装ヘッド8の側面と上面は、保持フレーム10と、保持フレーム10に固定されるカバー8aとによって覆われている。保持フレーム10の下部には、ロータ保持部12が水平に延出して設けられている。
図3に示すように、ロータ保持部12には、ロータである円柱形の回転体13がベアリング12aを介して、Z軸に沿った回転軸CLを軸心として回転自在に保持されている。
図2に示すように、回転体13の上面には、回転軸CLを軸心とする回転体従動ギア14が設けられている。
【0017】
ロータ保持部12の上方には、インデックス駆動モータ(以下、第1モータ)15が配置されている。第1モータ15の回転軸には、回転体従動ギア14とかみ合うインデックス駆動ギア15aが装着されている。回転体従動ギア14は、矢印aで示すように、第1モータ15の駆動によってインデックス駆動ギア15aを介してインデックス回転する。これにより、回転体13も回転体従動ギア14とともにインデックス回転する。すなわち、回転体13は間欠回転する。
【0018】
図3に示すように、回転軸CLを中心とする円周上の位置には、回転体13を上下に貫通する複数(ここでは12個)の貫通孔16が設けられている。貫通孔16にはそれぞれ、円柱状のシャフト17が回転体13に対して上下動可能に挿入されている。
【0019】
貫通孔16のそれぞれにおける、回転体13とシャフト17との間の空隙部16aの上下に離れた2箇所には、シャフト17を上下にガイドする軸受け18が配置されている。シャフト17のそれぞれの下方にはノズルホルダ19が設けられ、ノズルホルダ19には吸着ノズル20が着脱可能に装着されている。すなわち、実装ヘッド8は、複数(ここでは12個)の吸着ノズル20を有する。シャフト17の上端部には、略L字状の取り付け具21aが装着されている。取り付け具21aには、カムフォロア21が水平に延びる回転軸を軸心として、外側に向けて取り付けられている。
【0020】
図2に示すように、保持フレーム10の上部からは、円筒カム23を固定するカム保持部22が水平に延びている。円筒カム23の外周面には溝23aが設けられている。溝23aは、保持フレーム10の反対側では高く、保持フレーム10に近づくにつれて緩やかに低くなるように設けられている。シャフト17のそれぞれに取り付けられたカムフォロア21は、溝23aに沿って移動できるように円筒カム23に装着されている。
【0021】
シャフト17のそれぞれには、回転体13の上方に設けられたバネなどの弾性体24によって上方に引き上げる力が印加されている。回転体13がインデックス回転すると、シャフト17に取り付けられたカムフォロア21は、円筒カム23の溝23aに沿って上下に移動する。シャフト17は、回転体13のインデックス回転に倣って水平に周回移動しながら、カムフォロア21の上下動につれて、上下運動する。円筒カム23は、溝23aが最も低くなる箇所で一部が切除されており、その切除箇所では溝23aは途切れている。
【0022】
保持フレーム10と円筒カム23との間には、保持昇降機構25が配置されている。保持昇降機構25は、ねじ軸25aと、保持昇降モータ(以下、第2モータ)25bと、ナット25cとを含む。ねじ軸25aは、Z軸に沿って延びている。第2モータ25bは、ねじ軸25aを回転させる。ナット25cは、ねじ軸25aに螺合している。ナット25cには、円筒カム23の切除箇所に沿って昇降移動可能なカムフォロア保持具(以下、保持具)25dが設けられている。保持具25dは、第2モータ25bの駆動によってナット25cとともに昇降する。保持具25dは、切除箇所で途切れた溝23aを補完する形状を有している。したがって、溝23aに沿って移動するカムフォロア21は、保持具25dにスムーズに乗り移ることができる。
【0023】
溝23aに沿って移動してきたカムフォロア21は切除箇所で溝23aから外れ、溝23aと同じ高さ位置で待機する保持具25dに乗り移って保持される。この状態で第2モータ25bが駆動されると、シャフト17および吸着ノズル20は、矢印bで示すように、カムフォロア21とともに回転体13に対して下に移動した後、上に移動する。なお、保持昇降機構25は上記の構造に限定されることなく、シャフト17を上下運動させるものであればリニアモータを使用した構造でもエアシリンダを使用した構造でもよい。
【0024】
このように、保持具25dがカムフォロア21を保持するシャフト17の位置は、シャフト17が下に移動した後、上に移動するステーションS1となっている。
図5に示すように、回転体13がインデックス回転(ここでは30度ずつ回転)して停止する12箇所の位置を、ステーションS1から順に時計回りでステーションSn(n=1,2,・・・,12)と称する。
【0025】
すなわち、回転体13に挿入されたシャフト17の下部に装着される12個の吸着ノズル20は、矢印eで示すように、回転体13がインデックス回転する毎に、ステーションSnから隣のステーションSn+1に移動して、ステーションS12の次はステーションS1に戻ってくる。このように、回転体13がインデックス回転すると、12個のシャフト17および吸着ノズル20は回転軸CLを中心に公転する。以下、回転体13の回転に伴ってシャフト17および吸着ノズル20が通過する軌道を「周回軌道」と称する。
【0026】
図3に示すように、回転体13の上面には、回転軸CLを中心とする取り付け穴13aが設けられている。円柱部材26は、円筒カム23を上下に貫いている。円柱部材26の先端部26aは、取り付け穴13aにベアリング26bを介して嵌入されている。そのため円柱部材26は、回転体13に対して回転可能に配置されている。
【0027】
円柱部材26の上端部付近には、回転軸CLを軸心とするθ回転従動ギア27が設けられている。円筒カム23の上方には、θ回転モータ(以下、第3モータ)28が配置されている。第3モータ28には、θ回転駆動ギア28aが装着されている。θ回転駆動ギア28aは、θ回転従動ギア27とかみ合っている。θ回転従動ギア27は、第3モータ28の駆動によってθ回転駆動ギア28aを介してZ軸周りに回転する。これにより、円柱部材26は、矢印cで示すように、θ回転従動ギア27とともにZ軸周りに回転する。
【0028】
円柱部材26における回転体13と円筒カム23との間には、シャフト17の昇降ストロークに対応させて上下に長く伸びたノズル駆動ギア29が固着されている。シャフト17のそれぞれには、ノズル駆動ギア29とかみ合う位置にノズル回転ギア30が固着されている。第3モータ28が回転すると、上述のように円柱部材26がZ軸周りに回転する。この回転によって、ノズル駆動ギア29もZ軸周りに回転する。シャフト17のそれぞれは、ノズル駆動ギア29が回転すると、矢印dで示すように、ノズル回転ギア30を介して一斉にZ軸周りに回転する。なお、シャフト17をZ軸周りに回転させる機構は、θ回転従動ギア27と、θ回転駆動ギア28aと、ノズル駆動ギア29とを有する構成に限定されることはない。例えば、ノズル回転ギア30のそれぞれに、独立してZ軸周りに回転するノズル駆動ギアが設けられ、シャフト17のそれぞれを独立にZ軸周りに回転させる構成でもよい。
【0029】
次に
図3を参照して、実装ヘッド8の空気流路について説明する。シャフト17のそれぞれの内部には、シャフト内孔17aが設けられている。シャフト内孔17aの下端部は、吸着ノズル20に通じている。シャフト内孔17aは、ノズルホルダ19に設けられた通気孔19aを介して吸着ノズル20に設けられたノズル流路20bに連通している。ノズル流路20bは、吸着ノズル20の先端20aに開口している。シャフト内孔17aの上方には、上下の2つの軸受け18に挟まれた位置においてシャフト17の外周面に開口して空隙部16aと連通する開口部17bが設けられている。開口部17bは、シャフト17が上下動しても上下の2つの軸受け18に挟まれた空隙部16aの範囲内に位置する。
【0030】
回転体13の上部中央には、前述のように、取り付け穴13aが設けられている。回転体13の内部には、取り付け穴13aの底面に開口した共通流路13bが、回転軸CLに沿う縦方向に設けられている。共通流路13bは、取り付け穴13aに嵌入する円柱部材26の内部に設けられた円柱部材内孔26cに連通している。円柱部材内孔26cは、円柱部材26の上端部に接続された管31を介して負圧発生源32に通じている。共通流路13bは、貫通孔16のそれぞれに対応して設けられたバルブ33を介して空隙部16aと連通している。
【0031】
負圧発生源32を作動させた状態でバルブ33を開けると、バルブ33が接続された空隙部16aを介して吸着ノズル20の先端20aまで負圧となる。この状態で、吸着ノズル20は先端20aに部品Pを吸着して保持することができる。吸着ノズル20が
図2に示す部品Pを保持した状態でバルブ33を閉じると、負圧発生源32までの経路が閉じられて吸着ノズル20から部品Pが離脱する。
【0032】
このように、シャフト17、ノズルホルダ19、吸着ノズル20は、実装ヘッド8に設けられ、部品Pを保持可能な保持部材Hである。回転体13は、複数の保持部材Hを周方向に保持している。実装ヘッド8において、複数の保持部材Hは、回転体13の回転に伴い周回軌道上を周回する。すなわち、実装ヘッド8は、複数の保持部材Hを周回軌道に沿って回転可能に保持する回転体13を含む。また、保持部材Hの周回軌道上において、ステーションS1は、保持部材Hにより部品Pを保持可能な保持位置である。そして、保持昇降機構25は、実装ヘッド8に設けられており、保持位置(ステーションS1)にある保持部材Hを昇降する保持位置昇降装置として機能する。
【0033】
図2に示すように、ロータ保持部12には、2次元レーザセンサなどのセンサ34が設けられている。センサ34は、インデックス回転してステーションS3に停止している吸着ノズル20の先端20aを含むその周囲を側面から検出する。すなわち、センサ34は、ステーションS3に停止している吸着ノズル20の先端20aの部品Pの有無を検出する。また、センサ34が検出した部品Pの厚さを所定の厚さと比較することで、吸着した部品Pの姿勢を判定することができる。すなわち、センサ34が検出した部品Pの厚さが所定より厚い場合は、吸着ノズル20が吸着した部品Pが傾いていたり、縦向きであったりして、姿勢が不良である吸着ミスが発生したと判定される。なお、センサ34は、これに限らず、部品Pの有無を検出するものであればカメラなどを使用した構造でもよい。
【0034】
図4に示すように、ロータ保持部12には、部品認識部35が設けられている。部品認識部35は、カメラ35aを含む。カメラ35aは、インデックス回転してステーションS7に停止している吸着ノズル20に保持された部品Pを下方から撮像する。部品認識部35は、ステーションS7の下方およびカメラ35aの下方にそれぞれ配置されたミラー35bを含み、ステーションS7に停止している吸着ノズル20に保持された部品Pからの光がミラー35bによってカメラ35aに導かれる。
【0035】
カメラ35aによって撮影された部品Pの画像を認識処理することにより、部品Pの有無や吸着位置ずれなどの姿勢が認識される。部品Pを基板3に実装する際は、部品認識部35による部品Pの撮影結果を加味し、実装ヘッド8におけるシャフト17の回転位置や、部品実装機構によるX軸、Y軸における実装位置が補正される。
【0036】
ステーションS10の上方には、計測昇降機構36が配置されている。計測昇降機構36は、ステーションS1の保持昇降機構25と同様に、ステーションS10に停止しているシャフト17およびシャフト17に装着された吸着ノズル20を下に移動させた後、上に移動させる。円筒カム23は、ステーションS10の位置で溝23aから下側が切除されている。
【0037】
計測昇降機構36は、Z軸に沿って延びたねじ軸36aと、ねじ軸36aを回転駆動する計測昇降モータ(以下、第4モータ)36bと、ねじ軸36aに螺合するナット(図示省略)を含んでいる。ねじ軸36aに螺合するナットには、円筒カム23の切除箇所に沿って昇降移動可能なカムフォロア保持具(以下、保持具)36cが設けられている。溝23aに沿って移動してきたカムフォロア21はこの位置で保持具36cに乗り移って保持される。この状態で第4モータ36bが駆動されると、シャフト17および吸着ノズル20は、矢印fで示すように、カムフォロア21とともに下に移動した後、上に移動する。
【0038】
ステーションS10に停止する吸着ノズル20の下方には、部品Pの端子と電気的に接続することができる電極を有する計測ユニット37cが設置されている。計測ユニット37cは、回転機構37bの上部に設置されている。回転機構37bは、ロータ保持部12から下方に延出するアーム部材37aの下端に設けられている。
図6Aは、計測ユニット37cの斜視図、
図6Bは、計測ユニット37cの分解斜視図である。
図6Bに示す計測ユニット37cが有する電極38は、
図4に示す実装ヘッド8に設置された特性計測部(以下、計測部)37dと図示省略するケーブルなどを介して電気的に接続されている。
【0039】
回転機構37bは、計測ユニット37c(電極38)をZ軸周りに回転可能なモータなどを有している。回転機構37bは、部品Pの電気的特性を計測する際に、吸着ノズル20をZ軸周りに回転させることなく吸着ノズル20が保持する部品Pと電極38のZ軸周りの位置ずれを調整する。なお、上記においては実装ヘッド8に回転機構37bが設けられているが、実装ヘッド8に回転機構37bを設けず、例えば、部品Pの電気的特性を計測する際に、吸着ノズル20をZ軸周りに回転させてもよい。
【0040】
ここで
図6A、
図6Bを参照して、計測ユニット37cの構成について説明する。計測ユニット37cは、上部カバー40と、異方性導電シート41と、計測用基板42とを有している。異方性導電シート41の機能については後で述べる。
図7A、
図7Bに示すように、部品Pは端子Ptを有する。
図6Bに示すように、計測用基板42の上面には、部品Pの端子Ptと電気的に接続される複数(ここでは2つ)の電極38が設けられている。上部カバー40は、複数の電極38の上面を覆うように異方性導電シート41を載置した状態で、上方から計測用基板42の上方に装着されている。上部カバー40の複数の電極38に対応する位置には、上下に貫通する計測開口40aが設けられている。
【0041】
次に
図7A、
図7Bを参照しながら、計測ユニット37cを使用した部品Pの電気的特性の計測方法および異方性導電シート41の機能について説明する。
図7Aは、部品Pを保持した吸着ノズル20がステーションS10に停止した状態を示している。この状態で、部品Pは上部カバー40に形成された計測開口40aの上方に位置している。
図7Bに示すように、部品Pの電気的特性を計測する際、
図8を参照して後述する制御装置50は、計測昇降機構36の第4モータ36bを駆動させる。そして、矢印gで示すように、吸着ノズル20を下降させて、部品Pを異方性導電シート41の上面に当接させる。この状態で、部品Pは、2つの端子Ptが異方性導電シート41を挟んで2つの電極38にそれぞれ対向する位置にある。
【0042】
異方性導電シート41は、圧力が加わると圧力方向の導電率が高くなり圧力方向以外の導電率は低い状態が保持される特性を有している。異方性導電シート41に圧力が加わっていない状態(例えば、
図7Aの状態)では、異方性導電シート41の導電率は全方向で低い。
図7Bに示すように、吸着ノズル20を下降させて部品Pを異方性導電シート41に押し込むと、異方性導電シート41には電極38に向かう圧力が加わる。
【0043】
この圧力により、異方性導電シート41において、対向する端子Ptと電極38との間に挟まれた部分の抵抗Rが小さくなり(導電率が高くなり)、部品Pの端子Ptが電極38と電気的に接続された状態となる。この状態で、計測部37dによって部品Pの電気的特性が計測される。なお、この状態でも、異方性導電シート41の電極38間の部分は高抵抗(導電率が低い)のままであり、部品Pの電気的特性の計測に影響しない。このように、部品Pと電極38の間に異方性導電シート41を挿入することで、部品Pの形状にばらつきがあっても部品Pの端子Ptと電極38を電気的に安定して接続することができ、電気的特性の計測結果のばらつきを低減することができる。
【0044】
なお、上記で説明した計測ユニット37cでは、異方性導電シート41を介して部品Pの端子Ptと電極38とが電気的に接続されるが、計測ユニット37cはこの構成に限定されることはない。例えば、計測ユニット37cは、部品Pの端子Ptを直接に電極38に接触(接続)させる構造を有してもよい。また、電極38を上端が尖ったピンで構成し、部品Pの端子Ptをこのピンと接触(接続)させてもよい。また、計測ユニット37cは、部品の端子と接触させずに電気的に接続される構成を有してもよい。
【0045】
このように、ステーションS10は保持部材Hの周回軌道上にあり、保持部材Hに保持された部品Pの電気的特性を計測可能な計測位置である。ステーションS10は、保持部材Hの周回軌道上の保持位置(ステーションS1)とは異なる位置に設けられている。すなわち、実装ヘッド8は、複数の保持部材Hを周方向に保持する回転体13と、回転体13を回転可能な第1モータ15とを有する。複数の保持部材Hは、回転体13の回転に伴い保持位置、計測位置に対して相対的に移動可能である。すなわち、保持部材Hのそれぞれは、計測ユニット37cに対して相対的に移動可能である。また、計測昇降機構36は、実装ヘッド8に設けられており、計測位置(ステーションS10)にある保持部材Hを昇降する計測位置昇降装置として機能する。
【0046】
次に
図8を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1は、制御装置50を有している。制御装置50には、搬送機構2、テープフィーダ5、実装ヘッド8、移動機構11、タッチパネル51などが接続されている。タッチパネル51は、各種情報を表示する表示部を有する。またタッチパネル51は、表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う入力部を有する。なお、タッチパネル51に代えて、キーボードなどの入力装置と、ディスプレイなどの表示装置とを設けてもよい。制御装置50は、実装動作処理部(以下、処理部)52、実装可否判定部(以下、第1判定部)53、装置記憶部(以下、第1記憶部)54を有している。第1記憶部54は記憶装置であり、実装データ(以下、第1データ)54a、計測結果データ(以下、第2データ)54bなどを記憶する。
【0047】
第1データ54aには、基板3に実装される部品Pの種類、部品Pの電気的特性の規格値、実装位置の座標、実装角度など、実装基板の製造に必要な情報が含まれている。実装ヘッド8は、移動機構11によって水平面内で移動可能である。実装ヘッド8は、第1モータ15、第2モータ25b、第3モータ28、第4モータ36b、バルブ33、センサ34、カメラ35a、回転機構37b、計測部37dを含む。実装ヘッド8はさらに、部品有無判断部(以下、判断部)55、部品姿勢判定部(以下、第2判定部)56、計測可否判定部(以下、第3判定部)57、ヘッド記憶部(以下、第2記憶部)58を含む。第2記憶部58は記憶装置であり、計測可否データ(以下、第3データ)58aなどを記憶する。
【0048】
計測部37dは、
図6Bに示す計測ユニット37cの電極38と電気的に接続されている。計測位置であるステーションS10に停止した保持部材Hに保持された部品Pが下降すると、計測ユニット37cの電極38と電気的に接続される。このとき、計測部37dは、部品Pの抵抗、静電容量、インダクタンスなどの電気的特性を計測する。計測部37dは、例えばLCRメータを含む。
【0049】
すなわち、計測部37d、計測ユニット37c、回転機構37bは、実装ヘッド8に設けられている。これらは、
図4に示すように、計測位置(ステーションS10)に停止している保持部材Hに保持された部品Pの電気的特性を計測する特性計測装置37を構成する。なお、上記においては、計測部37dは実装ヘッド8に設けられていたがこれに限らず、計測ユニット37cとネットワークで接続された状態で部品実装装置1の内もしくは外に設けられていてもよい。
【0050】
特性計測装置37は、部品Pと電気的に接続可能な計測ユニット37cを計測位置に有し、保持部材Hに保持された部品Pの電気的特性を計測する。計測ユニット37cが実装ヘッド8に設けられていることで、特性計測装置37は、実装ヘッド8の移動中に、保持部材Hに保持された部品Pの電気的特性を計測できる。計測部37dと計測ユニット37cとが実装ヘッド8に配置されていれば、計測部37dと計測ユニット37cとを接続するケーブルの長さが短くなり、ケーブルの抵抗などから生じる計測誤差を小さくすることができる。
【0051】
図8に示すように、センサ34は、実装ヘッド8に設けられており、ステーションS3に停止している保持部材Hに保持された部品Pの有無などを含む部品Pの状態を検出する検出装置として機能する。また、部品認識部35のカメラ35aは、実装ヘッド8に設けられており、ステーションS7に停止している保持部材Hに保持された部品Pの姿勢などを含む部品Pの状態を検出する検出装置として機能する。
【0052】
なお、部品Pの有無を検出する検出装置と、部品Pの姿勢を検出する検出装置は、別々の検出装置として実装ヘッドに設けられる構造に限定されることなく、部品Pの有無と姿勢を検出する一つの検出装置として実装ヘッドに設けられてもよい。その場合、検出装置は、例えば、部品Pの有無を検出するセンサ34と、部品Pの姿勢を検出するカメラ35aを有していてもよいし、部品Pの有無、姿勢を検出可能なカメラ35aのみを有していてもよい。
【0053】
ステーションS3とステーションS7は、保持部材Hの周回軌道上において、検出装置により部品Pの状態を検出する検出位置である。ステーションS3、ステーションS7は、ステーションS1とステーションS10との間に設けられている。すなわち、検出位置は、保持部材Hの周回軌道上の保持位置と計測位置との間に設けられている。このように、保持部材Hの周回軌道上には、保持部材Hの進行方向に沿って、保持位置、検出位置、計測位置がこの順に配置されている。
【0054】
すなわち、検出装置は、計測ユニット37cにより部品Pの電気的特性を計測する前に、部品Pの状態を検出する。なお、上記において、ステーションS3において部品Pの有無を検出し、ステーションS7において部品Pの有無や位置ずれなどの姿勢を検出している。しかしながら、これに限らず、同じステーションで部品Pの有無、姿勢などを含む部品Pの状態を検出してもよい。すなわち、検出位置は一つのステーションであってもよい。
【0055】
判断部55は、判断装置として機能する。判断部55は、センサ34またはカメラ35aにより得られた検出結果に基づき、保持部材Hに保持された部品Pの有無を判断する。すなわち、判断装置は、検出装置により得られた検出結果に基づき、保持部材Hに保持された部品Pの有無を判断する。第2判定部56は、判定装置として機能する。第2判定部56は、検出装置により得られた検出結果に基づき、保持部材Hに保持された部品Pの吸着ミスの有無を判定する。すなわち、判定装置は、検出装置により得られた検出結果に基づき、保持部材Hに保持された部品Pの姿勢が良好か否かを判定する。
【0056】
第3判定部57は、計測可否判定装置として機能する。第3判定部57は、判断部55により得られた部品Pの有無の情報に基づいて、計測部37d、計測ユニット37c、回転機構37bにより保持部材Hに保持された部品Pの電気的特性を計測させるか否かを判定する。すなわち、計測可否判定装置は、判断装置により得られた部品Pの有無の情報に基づいて、特性計測装置37により保持部材Hに保持された部品Pの電気的特性を計測させるか否かを判定する。または、第3判定部57は、第2判定部56により得られた部品姿勢の情報に基づいて、特性計測装置37により保持部材Hに保持された部品Pの電気的特性を計測させるか否かを判定する。すなわち、計測可否判定装置は、判定装置により得られた部品姿勢の情報に基づいて、特性計測装置37により保持部材Hに保持された部品Pの電気的特性を計測させるか否かを判定する。あるいは、計測可否判定装置としての第3判定部57は、この両方の機能を有していてもよい。
【0057】
具体的には、保持部材Hが部品Pを保持していないか、あるいは保持部材Hが保持する部品Pの姿勢が不良の場合、第3判定部57は、特性計測装置37に部品Pの電気的特性を計測させないと判定する。すなわち、保持部材Hが部品Pを保持していない場合は、電気的特性を計測する必要がない。また、保持部材Hが保持する部品Pの姿勢が不良の場合は、電気的特性が正しく計測できない可能性が高い。また、姿勢不良の部品Pを計測ユニット37cに下降させる過程で部品Pが保持部材Hから離脱する可能がある。そのため、第3判定部57は、特性計測装置37に部品Pの電気的特性を計測させない。
【0058】
第3判定部57によって判定された計測可否に関する情報は、その保持部材Hまたは保持部材Hが保持している部品Pを特定する情報と関連付けて、第3データ58aとして第2記憶部58に記憶される。処理部52は、インデックス回転して計測位置(ステーションS10)に停止した保持部材Hの第3データ58aを参照する。そして、計測可能な場合は特性計測装置37により部品Pの電気的特性を計測させ、計測不可な場合は保持部材H(吸着ノズル20)を下降させない。
【0059】
計測部37dによる計測結果は、制御装置50に転送され、電気的特性が計測された部品Pを特定する情報と関連付けて、第2データ54bとして第1記憶部54に記憶される。その際、電気的特性が計測されなかった部品Pの情報も含めて第2データ54bに記憶される。記憶された第2データ54bは、実装基板のトレーサビリティ管理などに使用される。なお、判断部55、第2判定部56、第3判定部57は、実装ヘッド8ではなく、制御装置50に設けられていてもよい。その場合、センサ34の検出結果、カメラ35aが撮影したデータは、制御装置50に送信される。制御装置50は、部品Pの電気的特性の計測可否を判定し、第1記憶部54が第3データ58aを記憶する。
【0060】
第1判定部53は、第2データ54bに含まれる特性計測装置37により計測された部品Pの電気的特性と、第1データ54aに含まれる部品Pの電気的特性の規格値とに基づいて、実装ヘッド8に保持されている部品Pを基板3に実装するか否かを判定する。具体的には、第1判定部53は、計測された電気的特性が規格値内の場合は部品Pを基板3に実装可能と判定し、規格値外の場合は実装不可と判定する。
【0061】
処理部52は、回転体13を30度ずつインデックス回転させながら、ステーションS1に停止した保持部材Hに部品保持処理を実行する。また処理部52は、ステーションS3あるいはステーションS7に停止した保持部材Hに計測可否判定処理を実行する。また処理部52は、ステーションS10に停止した保持部材Hに特性計測処理を実行する。すなわち、処理部52は、回転体13を30度ずつインデックス回転させながら、保持位置に停止した保持部材Hには部品保持処理を実行し、検出位置に停止した保持部材Hには計測可否判定処理を実行し、計測位置に停止した保持部材Hには特性計測処理を実行する。また、処理部52は、部品Pを保持した保持部材Hが周回軌道を周回してステーションS1(保持位置)に戻って停止すると、部品搭載処理を実行する。
【0062】
すなわち、回転体13が30度ずつインデックス回転する度に、保持位置であるステーションS1、検出位置であるステーションS3、S7、計測位置であるステーションS10で同時に所定の処理が実行される。処理部52は、テープフィーダ5、実装ヘッド8、移動機構11を制御して、テープフィーダ5から実装ヘッド8の吸着ノズル20で部品Pを保持して取り出し、実装ヘッド8が保持した部品Pを基板3に搭載させる。また、処理部52は、実装ヘッド8、移動機構11を制御して、部品搭載処理後に、基板3に実装しなかった部品Pを部品廃棄部Tに廃棄する部品廃棄処理を実行させる。
【0063】
このように、処理部52は、部品保持処理、特性計測処理、部品搭載処理、特性計測処理、部品廃棄処理の一連のターンを繰り返して、所定の部品Pを基板3に実装する。次に、処理部52の部品保持処理、計測可否判定処理、特性計測処理、部品搭載処理の詳細を順番に説明する。
【0064】
処理部52は、部品保持処理として、部品吸着動作を実行する。すなわち処理部52は、保持部材Hに部品Pを吸着させる。具体的には、処理部52は、ステーションS1(保持位置)がテープフィーダ5の取り出し位置となるように実装ヘッド8を移動させる。次いで処理部52は、第2モータ25bを作動させて保持部材Hを下降させる。そして、吸着ノズル20の先端20aが部品Pの上面に当接すると、処理部52は、バルブ33を開けて保持部材Hに部品Pを吸着させる。その後、処理部52は、保持部材Hを元の高さまで上昇させる。
【0065】
処理部52は、計測可否判定処理として、保持部材Hに保持された部品Pの電気的特性を計測させるか否かを判定する。具体的には、処理部52は、保持部材Hがインデックス回転し、ステーションS3(検出位置)に停止すると、検出装置としてのセンサ34により吸着ノズル20の先端20aを検査させる。次いで処理部52は、判断装置としての判断部55により部品Pの有無を判断させる。また処理部52は、判定装置としての第2判定部56により、保持された部品Pの姿勢を判定させて、計測可否判定装置としての第3判定部57により部品Pの計測が可能か否かを判定させる。
【0066】
あるいは、処理部52は、計測可否判定処理として、保持部材Hがインデックス回転し、ステーションS7(検出位置)に停止すると、カメラ35a(検出装置)により保持部材Hが保持した部品Pを撮影させる。次いで処理部52は、判断部55により部品Pの有無を判断させる。また処理部52は、第2判定部56により保持された部品Pの姿勢を判定させて、第3判定部57により部品Pの計測が可能か否かを判定させる。
【0067】
処理部52は、特性計測処理として、計測可能と判定された部品Pの電気的特性を特性計測装置37によって計測させる。具体的には、処理部52は、計測が可能と判定された部品Pを保持する保持部材Hがインデックス回転してステーションS10(計測位置)に停止すると、第4モータ36bを作動させて保持部材Hを下降させる。これにより、部品Pが計測ユニット37cの電極38に向けて下降する。処理部52は、部品Pの端子Ptが電極38と電気的に接続されると、計測部37dにより部品Pの電気的特性を計測させる。その後、処理部52は、保持部材Hを元の高まで上昇させる。
【0068】
処理部52は、部品搭載処理として、保持部材Hに保持されている部品Pを基板3に実装させる部品搭載動作を実行する。具体的には、処理部52は、ステーションS1(保持位置)が基板3の実装位置の上方の位置となるように実装ヘッド8を移動させる。次いで処理部52は、第2モータ25bを作動させて保持部材Hを下降させ、吸着ノズル20の先端20aが保持する部品Pが基板3に当接すると、バルブ33を閉じて部品Pを基板3に搭載させる。あるいは、部品Pが基板3に当接する直前に、バルブ33を閉じて部品Pを基板3に搭載させる。その後、処理部52は、保持部材Hを元の高さまで上昇させる。
【0069】
なお、制御装置50における第1記憶部54、実装ヘッド8における第2記憶部58は、書き換え可能なRAMやフラッシュメモリ、ハードディスク等で構成されている。なお、これらの2つを一体に構成してもよい。制御装置50における処理部52、第1判定部53、実装ヘッド8における判断部55、第2判定部56、第3判定部57は、CPU(中央演算処理装置)またはLSI(大規模集積回路)で構成されている。あるいは専用回路で構成されていてもよく、汎用のハードウェアを、一過性または非一過性の記憶装置から読みだしたソフトウェアで制御して実現してもよい。またこれらの2つ以上を一体に構成してもよい。
【0070】
次に
図5、
図9、
図10を参照しながら部品実装装置1における部品実装方法のうち、実装ヘッド8がテープフィーダ5から部品Pを取り出して基板3に実装する1ターン分の工程について説明する。
図5に示すように、ステーションS1に位置する吸着ノズル20を吸着ノズル20(1)として、以下反時計回りに吸着ノズル20(2)から吸着ノズル20(12)と定義する。
【0071】
図9は、実装ヘッド8が有する複数の吸着ノズル20のうちの一の吸着ノズル20(例えば、吸着ノズル20(1))が1ターン分の工程における部品実装のフローを示している。
図10は、回転体13がインデックス回転する毎の保持位置であるステーションS1、検出位置であるステーションS3、ステーションS7、計測位置であるステーションS10のそれぞれにおける処理の状態を示している。
図5に示す状態を
図10におけるロータインデックスI0と定義する。なお便宜上、
図10では吸着ノズル20(1)をN1と表示し、吸着ノズル20(2)~(12)をそれぞれN2~N12と表示する。
【0072】
図3、
図9に示すように、実装ヘッド8において吸着ノズル20(1)が保持位置であるステーションS1に停止してテープフィーダ5の上方に位置している状態で、処理部52は吸着ノズル20(1)(保持部材H)に部品吸着処理を実行させる。すなわち処理部52は、吸着ノズル20(1)に、テープフィーダ5が供給する部品Pを吸着させる(
図9のST1)。次いで処理部52は、回転体13を30度インデックス回転させる。これで
図10に示すロータインデックスI1の状態となり、吸着ノズル20(1)がステーションS2に移動し、吸着ノズル20(2)がステーションS1に移動する。
【0073】
次いで処理部52は、吸着ノズル20(2)に部品吸着処理を実行させて部品Pを吸着させる。以下同様に、処理部52は回転体13をインデックス回転させて(ロータインデックスI2~I11)、吸着ノズル20(N3~N12)がステーションS1に停止すると、部品吸着処理を実行させて、順次、部品Pを吸着させる。
【0074】
処理部52が回転体13をインデックス回転させて吸着ノズル20(1)が検出位置であるステーションS3に停止すると、
図10のロータインデックスI2に示すように、吸着ノズル20(1)をセンサ34で検査させる(
図9のST2)。以下同様に、処理部52は回転体13をインデックス回転させて(ロータインデックスI3~I13)、吸着ノズル20(N2~N12)がステーションS3に停止すると、センサ34で吸着ノズル20(2)~(12)を順次、検査させる。
【0075】
センサ34による検出結果が得られると、判断部55は吸着ノズル20(1)が部品Pを保持しているか否かを判断する。また、第2判定部56は保持された部品Pの姿勢の良否を判断し、第3判定部57は、判断部55による判断結果に基づき、部品Pが保持される吸着ノズル20(1)(先端20aの近傍箇所)をカメラ35aで撮影させるか否かを判断する(
図9のST3)。これらの判断処理は、ステーションS3において検査された吸着ノズル20がステーションS7に停止するまでの間に実行される。なお、第2判定部56による姿勢判定は省略してもよい。
【0076】
処理部52が回転体13をさらにインデックス回転させると、吸着ノズル20(1)がステーションS7に停止する(ロータインデックスI6)。このとき、第3判定部57により吸着ノズル20(1)をカメラ35aで撮像させると判断していた場合(
図9のST3においてYes)、処理部52は、吸着ノズル20(1)をカメラ35aで撮像させる(
図9のST4)。以下同様に、処理部52は回転体13をインデックス回転させて(ロータインデックスI7~I17)、カメラ35aで撮影させると判断していた吸着ノズル20(N2~N12)がステーションS7に停止すると、カメラ35aで吸着ノズル20(2)~(12)を順次、撮影させる。
【0077】
図10のロータインデックスI4においては、吸着ノズル20(3)が撮影不可(部品無しまたは極端に保持姿勢が悪い)と判定され(
図9のST3においてNo)、「×」と表示されている。そのため、ロータインデックスI8においては、カメラ35aによる吸着ノズル20(3)の撮影がスキップされて「-」と表示されている。すなわち、吸着ノズル20(3)の電気的特性の計測(
図9のST6)は、スキップされている。
【0078】
判断部55は、検出装置であるカメラ35aにより撮影された画像を得ると、吸着ノズル20が部品Pを保持しているか否かを判断する。また第2判定部56は、上記画像に基づき保持された部品Pの姿勢の良否を判断し、第3判定部57は特性計測装置37に保持された部品Pの電気的特性を計測させるか否かを判定する(
図9のST5)。これらの判断処理は、ステーションS7において検査された吸着ノズル20がステーションS10に停止するまでの間に実行される。
【0079】
図10のロータインデックスI9では、処理部52が回転体13をインデックス回転させて吸着ノズル20(1)がステーションS10に停止する。カメラ35aによる撮影の結果、第3判定部57が部品Pの電気的特性を計測させると判定していた場合(
図9のST5においてYes)、処理部52は、吸着ノズル20(1)に保持された部品Pの電気的特性を特性計測装置37に計測させる(
図9のST6)。その際、処理部52は、カメラ35aで認識された部品Pの姿勢に基づいて、回転機構37bを可動させてZ軸周りの部品Pの位置ずれを補正させる。
【0080】
以下同様に、処理部52は、回転体13をインデックス回転させ、ロータインデックスI10~I20において、吸着ノズル20(N2~N12)がそれぞれステーションS10に停止すると、順次、特性計測装置37に電気的特性を計測させる。計測結果は制御装置50に送信されて第2データ54bとして第1記憶部54に記憶される。
【0081】
図10のロータインデックスI10において吸着ノズル20(5)は撮像結果が不良で計測不可(姿勢不良)と判定され、「×」と表示されている(
図9のST5においてNo)。そのため、ロータインデックスI16において吸着ノズル20(5)の電気的特性の計測がスキップされ、「-」と表示されている。すなわち、吸着ノズル20(3)と同様、吸着ノズル20(5)の電気的特性の計測(
図9のST6)も、スキップされている。
【0082】
全ての吸着ノズル20(N1~N12)で部品吸着処理が完了すると、
図10に示すロータインデックスI0からロータインデックスI11までが終了する。この後、実装ヘッド8は基板3の上方に移動する。吸着された部品Pの電気的特性が計測されると(
図9のST6)、第1判定部53は、部品Pの電気的特性の良否に基づき、吸着ノズル20に保持されている部品Pを基板3に実装するか否かを判定する(
図9のST7)。
【0083】
すなわち、処理部52は、
図10のロータインデックスI12に示すように、回転体13をインデックス回転させて部品Pを保持している吸着ノズル20(1)をステーションS1に停止させる。まず、
図10のロータインデックスI9に示すように、吸着ノズル20(1)に保持された部品Pの電気的特性が良好で部品Pを実装させると、第1判定部53が判断していた場合(
図9のST7においてYes)について説明する。この場合、処理部52は、部品搭載処理を実行させて吸着ノズル20(1)が保持する部品Pを基板3上の所定の実装位置に搭載させる(
図9のST8)。以下同様に、処理部52は、
図10のロータインデックスI13~I23に示すように、回転体13をインデックス回転させる。そして、吸着ノズル20(N2~N12)のうち、第1判定部53により部品Pを実装させると判断していた吸着ノズル20がステーションS1に停止すると、保持された部品Pを順次、基板3に搭載させる。
【0084】
一方、
図10のロータインデックスI16に示すように、第1判定部53は、吸着ノズル20(8)に保持された部品Pの電気的特性が不良と判定している(
図9のST7においてNo)。この場合、部品搭載処理(ST8)がスキップされる。このように、部品Pを保持していないと判定された吸着ノズル20(3)の場合(
図9のST3においてNo)、部品Pの保持姿勢が不良と判定された吸着ノズル20(5)の場合(ST5においてNo)と同様に、ST7においてNoの場合も部品搭載処理(ST8)がスキップされる。
【0085】
図10のロータインデックスI12~I23に示すように、全ての吸着ノズル20(N1~N12)で部品搭載処理が完了し、ロータインデックスI23が終了すると、実装ヘッド8は部品廃棄部Tの上方に移動する。そして、処理部52は、基板3に実装しなかった部品Pを部品廃棄部Tに廃棄する部品廃棄処理を実行させる(
図9のST9)。
図10の例では、部品搭載処理(ST8)がスキップされた吸着ノズル20(5)、吸着ノズル20(8)が保持していた部品Pが部品廃棄処理において、廃棄される。吸着ノズル20(3)が部品Pを保持している場合も同様である。部品Pが廃棄されると、実装ヘッド8は部品供給部4の上方に移動する。これにより、1ターン分の部品実装工程が終了する。
【0086】
なお、処理部52は、基板3に実装しなかった部品Pがない場合には部品廃棄処理を実行しない。すなわち、ロータインデックスI23が終了すると、実装ヘッド8は部品廃棄部Tには移動せず、部品供給部4の上方に移動する。これにより、1ターン分の部品実装工程が終了する。
【0087】
上記説明したように、部品実装装置1は、実装ヘッド8と、保持部材Hと、特性計測装置37とを有する。保持部材Hは、実装ヘッド8に設けられ、部品Pを保持するように構成されている。特性計測装置37は、保持部材Hに保持された部品Pの電気的特性を計測する。特性計測装置37は、保持部材Hに保持された部品Pと電気的に接続するように構成された計測ユニット37cを含み、計測ユニット37cは、実装ヘッド8に設けられている。実装ヘッド8は、水平面内に移動可能である。保持部材Hは、シャフト17と、ノズルホルダ19と、吸着ノズル20とを含む。特性計測装置37は、計測部37dと、回転機構37bとをさらに含む。これにより、部品Pの保持と、基板3への部品Pの実装と、部品Pの電気的特性測定とを並行して実行することができ、部品実装作業の効率を低下させることなく部品Pの電気的特性を計測することができる。
【0088】
なお上記の説明では、センサ34により部品Pが吸着ノズル20に保持されているか否かを判断部55で判断した後、カメラ35aが撮影した画像に基づき、第2判定部56が部品Pの姿勢を判定している。しかしながら、センサ34により部品Pの有無を判断するとともに部品Pの姿勢も判定してもよい。その場合、カメラ35aは不要であり、
図9のST4は省略される。同様に、カメラ35aが撮影した画像に基づき、部品Pの有無を判断するとともに部品Pの姿勢も判定してもよい。その場合、センサ34は不要であり、
図9のST2に代えてST4が実行される。
【0089】
また、テープフィーダ5が供給するテープの構造によっては、吸着ノズル20に保持された際に部品Pの姿勢がある程度定まる場合がある。このような場合、第2判定部56による部品Pの姿勢判定は不要である。したがって、
図9のST4、ST5は省略され、センサ34とカメラ35aの一方は不要である。
【0090】
次に
図11~
図13を参照して、実装ヘッドの他の例である多連型ヘッド(以下、ヘッド)60について説明する。
図11に示すように、ヘッド60は、垂直面内に広がる保持フレーム61を有している。保持フレーム61を、
図1に示すプレート部材9に装着することにより、ヘッド60が部品実装装置1に装着される。以下、ヘッド60において保持フレーム61が設けられた側を後側、保持フレーム61と反対側を前側と称する。
【0091】
ヘッド60は、保持フレーム61の前に並設された複数(ここでは、横に6個、前後に2列の合計12個)のノズルユニット62を有している。ノズルユニット62はそれぞれ、ノズル昇降駆動部(以下、駆動部)62aと、駆動部62aから下方に延出されたシャフト部材63とを含む。シャフト部材63の下端部にはノズルホルダ64が結合されている。ノズルホルダ64には、部品Pを吸着保持する吸着ノズル65が着脱可能に装着されている。
【0092】
駆動部62aは、シャフト部材63を昇降させるノズル昇降機構(図示せず)を有している。ノズル昇降機構を駆動することによりシャフト部材63は上下に駆動され、これにより複数のノズルホルダ64にそれぞれ装着された複数の吸着ノズル65は個別に昇降する。ノズルユニット62の側方には、θ軸モータ66が駆動軸66Sを下向きにして配置されている。駆動軸66Sには駆動プーリ66aが結合されている。また、シャフト部材63のそれぞれには、従動プーリ66bが装着されている。そして、駆動プーリ66aと従動プーリ66bに亘って、ベルト66cが装着されている。そのため、θ軸モータ66を駆動することにより、複数のシャフト部材63は、ノズルホルダ64に装着された吸着ノズル65とともに同時にZ軸周りに回転する。これにより吸着ノズル65に保持された部品PのZ軸周りの位置合わせが行われる。
【0093】
ヘッド60は、上述のロータリー型ヘッドである実装ヘッド8と同様に、吸着ノズル65に保持された部品Pの電気的特性を計測する特性計測装置67を有している。特性計測装置67は、ヘッド60の下部に配置された計測ユニット配列部(以下、配列部)68およびユニット移動部(以下、移動部)69、ならびにヘッド60の内部に配置された特性計測部(以下、計測部)70を有している。
【0094】
図12の(a)部に示すように、配列部68の上面には、6個の計測開口68aが設けられている。計測開口68aは、6個の吸着ノズル65が横に並ぶ軸(
図11のX軸)と平行に、吸着ノズル65と同じ間隔で配置されている。
図13に示すように、計測開口68aのそれぞれの底には計測ユニット71が設置されている。計測ユニット71は、その上部に、部品Pの端子Ptと電気的に接続することができる電極72を有している。すなわち、計測開口68aは電極72まで貫通し、電極72は計測開口68aを介して露出している。計測ユニット71のそれぞれの下には回転機構71aが配置されている。すなわち、配列部68には、6つの回転機構71aが吸着ノズル65と同じ間隔で配置されている。
【0095】
図11に示すように、移動部69は、配列部68を前後に移動させる。計測部70は、
図4に示す実装ヘッド8が有する計測部37dと同様の機能を有しており、ケーブル、セレクタスイッチなど(図示せず)を介して、
図12、
図13に示す計測ユニット71が有する電極72と電気的に接続されている。
【0096】
図13に示す回転機構71aは、計測ユニット71(電極72)をZ軸周りに回転可能なモータなどを有している。回転機構71aは、部品Pの電気的特性を計測する際に、吸着ノズル65をZ軸周りに回転させることなく複数の吸着ノズル65が保持する部品Pと電極72のZ軸周りの位置ずれを独立に調整する。なお、ノズルユニット62がそれぞれシャフト部材63をZ軸周りに回転可能な場合は、回転機構71aを省略してもよい。また、この例では電極72の上面に異方性導電シート41が配置されていないが、
図6に示す計測ユニット37cと同様に、計測ユニット71の電極72の上面に異方性導電シート41を配置してもよい。
【0097】
次に
図12、
図13を参照して、ヘッド60における部品Pの電気的特性の計測について説明する。
図12の(a)部、
図13の(a)部に示すように、下降する吸着ノズル65と干渉しない後方の退避位置K0に配列部68が位置する状態で、吸着ノズル65がそれぞれ、テープフィーダ5から部品Pを取り出す。次いでヘッド60は、
図1に示す部品実装装置1の基台1aの上面またはフィーダテーブル4aに配置された部品認識カメラ(図示せず)の上に移動する。そして、この部品認識カメラが、吸着ノズル65のそれぞれが保持している部品Pを下方から撮影する。撮影された画像から、部品Pの有無、保持姿勢などが認識される。
【0098】
次いでヘッド60が基板3の実装位置の上方に移動する間に、ヘッド60が保持する部品Pの電気的特性が計測される。部品Pの電気的特性を計測する際、まず、
図11に示す移動部69が、
図12の(b)部の矢印h1、
図13の(b)部の矢印i1で示すように、配列部68を後列の吸着ノズル65の下方に移動させる。これにより、後列の吸着ノズル65がそれぞれ計測ユニット71の計測開口68aの上方に配置される。その後、部品認識カメラで認識された部品Pの保持姿勢に基づいて、回転機構71aがそれぞれ駆動されて部品PのそれぞれのZ軸周りの位置ずれが補正される。
【0099】
次いで後列の駆動部62aのノズル昇降機構が駆動されて、
図13の(b)部の矢印i2で示すように、後列の吸着ノズル65が下降され、部品Pが電極72と電気的に接続される。この状態で計測部70は、部品Pのそれぞれの電気的特性を計測する。このように、後列の吸着ノズル65が計測開口68aの上方にある位置が後列計測位置K1(計測位置)である。また、後列の駆動部62aのノズル昇降機構は、後列計測位置K1にある保持部材Jを昇降する計測位置昇降装置として機能する。
【0100】
次いで後列の吸着ノズル65を元の高さまで上昇させた後に、
図12の(c)部の矢印h2、
図13の(c)部の矢印i3で示すように、配列部68が、前列の吸着ノズル65の下方に移動する。次いで
図13の(c)部の矢印i4で示すように、前列の吸着ノズル65が下降して、部品Pが電極72と電気的に接続される。この状態で、計測部70が部品Pのそれぞれの電気的特性を計測する。このように、前列の吸着ノズル65が計測開口68aの上方にある位置が前列計測位置K2(計測位置)である。また、前列の駆動部62aのノズル昇降機構は、前列計測位置K2にある保持部材Jを昇降する計測位置昇降装置として機能する。
【0101】
その後、前列の吸着ノズル65が元の高さまで上昇し、配列部68が退避位置K0まで移動し、ヘッド60における一連の部品Pの電気的特性の計測が終了する。その後、電気的特性が規格値内である部品Pが基板3の所定の実装位置に搭載される。なお、部品Pが保持されていない場合、あるいは部品Pの保持姿勢が悪い場合は、電気的特性の計測がスキップされて基板3に搭載されない。基板3に搭載されなかった部品Pは、部品廃棄部Tに廃棄される。なおこのような一連の動作は、図示しない制御装置による制御により実行される。
【0102】
このように、ヘッド60が有するシャフト部材63、ノズルホルダ64、吸着ノズル65は、部品Pを保持可能な保持部材Jを構成する。また、移動部69、計測部70、配列部68が有する計測ユニット71および回転機構71aは、保持部材Jに保持された部品Pの電気的特性を計測する特性計測装置67を構成する。ヘッド60において、計測ユニット71は保持部材Jに対して前後に移動する。すなわち、複数の保持部材Jは、特性計測装置67の計測ユニット71に対して相対的に移動可能である。
【0103】
ヘッド60は、部品認識カメラが部品Pを撮影した後、ヘッド60が基板3の上方に移動する間に部品Pの電気的特性を計測する。これにより、部品実装作業の効率を低下させることなく部品Pの電気的特性を計測することができる。なお、上記においては、計測部70はヘッド60に設けられていたがこれに限らず、計測ユニット71とネットワークで接続された状態で部品実装装置1の内もしくは外に設けられていてもよい。
【0104】
なお、上記の実施の形態では、部品実装システムを構成する要素は全て部品実装装置1内に設けられている例を説明したが、部品実装システムは、これに限定されない。例えば、部品実装システムを構成する各要素の一部が部品実装装置1とは異なる装置として構成され、全体として部品実装システムを構成してもよい。
【0105】
また上記の実施の形態の説明では、複数の吸着ノズルを有する実装ヘッドを例に説明したが、吸着ノズルを1つだけ有する実装ヘッドに計測ユニットを設けてもよい。この場合でも、実装ヘッドの移動中に、保持された部品の電気的特性を計測することができるなどにより。部品実装作業の効率を低下させることなく部品の電気的特性を計測することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示の部品実装システムおよび実装ヘッドならびに部品実装システムにおける部品実装方法によれば、部品実装作業の効率を低下させることなく部品の電気的特性を計測することができる。そのため、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0107】
1 部品実装装置
1a 基台
2 搬送機構
3 基板
4 部品供給部
4a フィーダテーブル
5 テープフィーダ
6 Y軸テーブル
7 ビーム
8 実装ヘッド
8a カバー
9 プレート部材
10 保持フレーム
11 移動機構
12 ロータ保持部
12a ベアリング
13 回転体
13a 取り付け穴
13b 共通流路
14 回転体従動ギア
15 インデックス駆動モータ(第1モータ)
15a インデックス駆動ギア
16 貫通孔
16a 空隙部
17 シャフト
17a シャフト内孔
17b 開口部
18 軸受け
19 ノズルホルダ
19a 通気孔
20,65 吸着ノズル
20a 先端
20b ノズル流路
21 カムフォロア
21a 取り付け具
22 カム保持部
23 円筒カム
23a 溝
24 弾性体
25 保持昇降機構
25a,36a ねじ軸
25b 保持昇降モータ(第2モータ)
25c ナット
25d,36c カムフォロア保持具(保持具)
26 円柱部材
26a 先端部
26b ベアリング
26c 円柱部材内孔
27 θ回転従動ギア
28 θ回転モータ(第3モータ)
28a θ回転駆動ギア
29 ノズル駆動ギア
30 ノズル回転ギア
31 管
32 負圧発生源
33 バルブ
34 センサ
35a カメラ
35b ミラー
36 計測昇降機構
36b 計測昇降モータ(第4モータ)
37,67 特性計測装置
37a アーム部材
37b,71a 回転機構
37c,71 計測ユニット
37d,70 特性計測部(計測部)
38,72 電極
40 上部カバー
40a,68a 計測開口
41 異方性導電シート
42 計測用基板
50 制御装置
51 タッチパネル
52 処理部
53 第1判定部
54 第1記憶部
54a 第1データ
54b 第2データ
55 判断部
56 第2判定部
57 第3判定部
58 第2記憶部
58a 第3データ
60 多連型ヘッド(ヘッド)
61 保持フレーム
62 ノズルユニット
62a ノズル昇降駆動部(駆動部)
63 シャフト部材
64 ノズルホルダ
66 θ軸モータ
66a 駆動プーリ
66b 従動プーリ
66c ベルト
66S 駆動軸
68 計測ユニット配列部(配列部)
69 ユニット移動部(移動部)
H,J 保持部材
P 部品
T 部品廃棄部