(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】荷重センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 1/14 20060101AFI20240809BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G01L1/14 J
G01L5/00 101Z
(21)【出願番号】P 2022558856
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2021026935
(87)【国際公開番号】W WO2022091496
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2020180299
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】森浦 祐太
(72)【発明者】
【氏名】浦上 進
(72)【発明者】
【氏名】松本 玄
(72)【発明者】
【氏名】松村 洋大
(72)【発明者】
【氏名】古屋 博之
(72)【発明者】
【氏名】石本 仁
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/096901(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/079995(WO,A1)
【文献】特開2016-90319(JP,A)
【文献】特開2015-190796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0062245(US,A1)
【文献】国際公開第2017/057598(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/166635(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/14,5/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向かい合うように配置された第1基材および第2基材と、
前記第1基材の対向面に配置された導電弾性体と、
前記第2基材と前記導電弾性体との間に配置された導電性の線材と、
前記導電弾性体と前記線材との間に配置された誘電体と、を備え、
荷重の変化に伴う前記導電弾性体と前記線材との間の静電容量の変化が直線に近づくように、荷重の増加に伴い前記誘電体の接触が進む接面方向に前記誘電体の誘電率が変化している、
ことを特徴とする荷重センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の荷重センサにおいて、
前記誘電体の材料を、前記接面方向に相違させることにより、前記誘電体の誘電率が前記接面方向に変化している、
ことを特徴とする荷重センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の荷重センサにおいて、
前記誘電体を構成する誘電体層の積層数を前記接面方向に変化させることにより、前記誘電体の誘電率が前記接面方向に変化している、
ことを特徴とする荷重センサ。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の荷重センサにおいて、
前記誘電体の誘電率は、荷重付与前の初期状態において前記導電弾性体と前記線材とに挟まれる第1の位置付近よりも、前記第1の位置から前記接面方向に離れた第2の位置付近の方が高く設定されている、
ことを特徴とする荷重センサ。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の荷重センサにおいて、
前記誘電体は、前記接面方向に厚みが変化している、
ことを特徴とする荷重センサ。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の荷重センサにおいて、
前記誘電体は、前記線材の表面を被覆するように設置されている、
ことを特徴とする荷重センサ。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の荷重センサにおいて、
前記第2基材の対向面にさらに他の導電弾性体が配置され、
前記誘電体は、前記他の導電弾性体と前記線材との間にも配置され、
荷重の変化に伴う前記導電弾性体および前記他の導電弾性体と前記線材との間の静電容量の変化が直線に近づくように、荷重の増加に伴い前記誘電体の接触が進む接面方向に前記誘電体の誘電率が変化している、
ことを特徴とする荷重センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から付与される荷重を静電容量の変化に基づいて検出する荷重センサに関する。
【背景技術】
【0002】
荷重センサは、産業機器、ロボットおよび車両などの分野において、幅広く利用されている。近年、コンピュータによる制御技術の発展および意匠性の向上とともに、人型のロボットおよび自動車の内装品等のような自由曲面を多彩に使用した電子機器の開発が進んでいる。それに合わせて、各自由曲面に高性能な荷重センサを装着することが求められている。
【0003】
以下の特許文献1には、シート状の導電性ゴムからなる第1の導電部材と、第1の導電部材と基材とに挟まれた線状の第2の導電部材と、第2の導電部材を被覆するように形成された誘電体と、を備えた感圧素子が記載されている。この構成では、荷重の増加に伴い、第1の導電部材と誘電体との間の接触面積が増加し、これに伴い、第1の導電部材と第2の導電部材との間の静電容量が増加する。したがって、第1の導電部材と第2の導電部材との間の静電容量の値を検出することにより、感圧素子に付与された荷重を検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記構成では、第2の導電部材が線状であるため、荷重の増加に応じて接触面積がリニアに増加せず、荷重と静電容量との関係は、曲線状の波形によって規定される。このため、静電容量の値から荷重を求める際に、この波形を加味する必要があり、荷重の検出処理が煩雑化するという問題が生じる。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、荷重センサに付与された荷重をより簡易に検出することが可能な荷重センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様は、荷重センサに関する。本態様に係る荷重センサは、互いに向かい合うように配置された第1基材および第2基材と、前記第1基材の対向面に配置された導電弾性体と、前記第2基材と前記導電弾性体との間に配置された導電性の線材と、前記導電弾性体と前記線材との間に配置された誘電体と、を備える。荷重の変化に伴う前記導電弾性体と前記線材との間の静電容量の変化が直線に近づくように、荷重の増加に伴い前記誘電体の接触が進む接面方向に前記誘電体の誘電率が変化している。
【0008】
本態様に係る荷重センサによれば、荷重の変化に伴う導電弾性体と線材との間の静電容量の変化が直線に近づけられる。このため、導電弾性体と線材との間の静電容量の値を測定し、測定した静電容量の値に、比例関係に基づく簡易な処理を適用することにより、荷重センサに付与された荷重を適正に検出できる。よって、荷重センサに付与された荷重をより簡易に検出することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のとおり、本発明によれば、荷重センサに付与された荷重をより簡易に検出することが可能な荷重センサを提供できる。
【0010】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)は、実施形態1に係る、下側の基材および下側の基材の対向面に設置された導電弾性体を模式的に示す斜視図である。
図1(b)は、実施形態1に係る、基材に導体線が設置された状態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、実施形態1に係る、上側の基材および上側の基材の対向面に設置された導電弾性体を模式的に示す斜視図である。
図2(b)は、実施形態1に係る、組み立てが完了した荷重センサを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、実施形態1に係る、X軸負方向に見た場合の導体線の周辺を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る、Z軸負方向に見た場合の荷重センサの内部を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5(a)は、実施形態1に係る、荷重が付与される前の初期状態における誘電体と導電弾性体との関係を模式的に示す図である。
図5(b)は、実施形態1に係る、荷重が付与された状態における誘電体と導電弾性体との関係を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、検証において誘電体を周方向に区分する方法を説明する図である。
【
図7】
図7(a)は、実施形態の検証において、各区画に適用される材料と、各区画における接触角ごとの接触の有無とを示す表である。
図7(b)は、実施形態の検証において、接触角が最上欄の各角度になったときの静電容量の増分と、トータルの静電容量とをシミュレーションにより求めた算出値を示す表である。
【
図8】
図8(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に対する検証結果を示すグラフである。
【
図9】
図9(a)は、比較例の検証において、各区画に適用される材料と、各区画における接触角ごとの接触の有無とを示す表である。
図9(b)は、比較例の検証において、接触角が最上欄の各角度になったときの静電容量の増分と、トータルの静電容量とをシミュレーションにより求めた算出値を示す表である。
【
図10】
図10(a)、(b)は、それぞれ、比較例に対する検証結果を示すグラフである。
【
図11】
図11(a)は、実施形態2に係る、荷重が付与される前の初期状態における誘電体と導電弾性体との関係を模式的に示す図、
図11(b)は、実施形態2に係る、荷重が付与された状態における誘電体と導電弾性体との関係を模式的に示す図である。
【
図12】
図12(a)は、実施形態3に係る、荷重が付与される前の初期状態における誘電体と線材との関係を模式的に示す図、
図12(b)は、実施形態3に係る、荷重が付与された状態における誘電体と線材との関係を模式的に示す図である。
【0012】
ただし、図面はもっぱら説明のためのものであって、この発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る荷重センサは、付与された荷重に応じて処理を行う管理システムや電子機器の荷重センサに適用可能である。
【0014】
管理システムとしては、たとえば、在庫管理システム、ドライバーモニタリングシステム、コーチング管理システム、セキュリティー管理システム、介護・育児管理システムなどが挙げられる。
【0015】
在庫管理システムでは、たとえば、在庫棚に設けられた荷重センサにより、積載された在庫の荷重が検出され、在庫棚に存在する商品の種類と商品の数とが検出される。これにより、店舗、工場、倉庫などにおいて、効率よく在庫を管理できるとともに省人化を実現できる。また、冷蔵庫内に設けられた荷重センサにより、冷蔵庫内の食品の荷重が検出され、冷蔵庫内の食品の種類と食品の数や量とが検出される。これにより、冷蔵庫内の食品を用いた献立を自動的に提案できる。
【0016】
ドライバーモニタリングシステムでは、たとえば、操舵装置に設けられた荷重センサにより、ドライバーの操舵装置に対する荷重分布(たとえば、把持力、把持位置、踏力)がモニタリングされる。また、車載シートに設けられた荷重センサにより、着座状態におけるドライバーの車載シートに対する荷重分布(たとえば、重心位置)がモニタリングされる。これにより、ドライバーの運転状態(眠気や心理状態など)をフィードバックすることができる。
【0017】
コーチング管理システムでは、たとえば、シューズの底に設けられた荷重センサにより、足裏の荷重分布がモニタリングされる。これにより、適正な歩行状態や走行状態へ矯正または誘導することができる。
【0018】
セキュリティー管理システムでは、たとえば、床に設けられた荷重センサにより、人が通過する際に、荷重分布が検出され、体重、歩幅、通過速度および靴底パターンなどが検出される。これにより、これらの検出情報をデータと照合することにより、通過した人物を特定することが可能となる。
【0019】
介護・育児管理システムでは、たとえば、寝具や便座に設けられた荷重センサにより、人体の寝具および便座に対する荷重分布がモニタリングされる。これにより、寝具や便座の位置において、人がどのような行動を取ろうとしているかを推定し、転倒や転落を防止することができる。
【0020】
電子機器としては、たとえば、車載機器(カーナビゲーション・システム、音響機器など)、家電機器(電気ポット、IHクッキングヒーターなど)、スマートフォン、電子ペーパー、電子ブックリーダー、PCキーボード、ゲームコントローラー、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホン、タッチパネル、電子ペン、ペンライト、光る衣服、楽器などが挙げられる。電子機器では、ユーザからの入力を受け付ける入力部に荷重センサが設けられる。
【0021】
以下の実施形態における荷重センサは、上記のような管理システムや電子機器の荷重センサにおいて典型的に設けられる静電容量型荷重センサである。このような荷重センサは、「静電容量型感圧センサ素子」、「容量性圧力検出センサ素子」、「感圧スイッチ素子」などと称される場合もある。また、以下の実施形態における荷重センサは、検出回路に接続され、荷重センサおよび検出回路により、荷重検出装置が構成される。以下の実施形態は、本発明の一実施形態あって、本発明は、以下の実施形態に何ら制限されるものではない。
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸方向は、荷重センサ1の高さ方向である。
【0023】
<実施形態1>
図1(a)~
図4を参照して、荷重センサ1の構成について説明する。
【0024】
図1(a)は、基材11と、基材11の対向面11a(Z軸正側の面)に設置された3つの導電弾性体12とを模式的に示す斜視図である。
【0025】
基材11は、弾性を有する絶縁性の部材であり、X-Y平面に平行な平板形状を有する。基材11は、非導電性の樹脂材料または非導電性のゴム材料から構成される。基材11に用いられる樹脂材料は、たとえば、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂(たとえば、ポリジメチルポリシロキサン(PDMS)など)、アクリル系樹脂、ロタキサン系樹脂、およびウレタン系樹脂等からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂材料である。基材11に用いられるゴム材料は、たとえば、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、および天然ゴム等からなる群から選択される少なくとも1種のゴム材料である。
【0026】
導電弾性体12は、基材11の対向面11a(Z軸正側の面)に形成される。
図1(a)では、基材11の対向面11aに、3つの導電弾性体12が形成されている。導電弾性体12は、弾性を有する導電性の部材である。各導電弾性体12は、Y軸方向に長い帯状の形状を有しており、X軸方向に所定の間隔をあけて並んで形成されている。各導電弾性体12のY軸負側の端部に、導電弾性体12と電気的に接続されたケーブル12aが設置される。
【0027】
導電弾性体12は、基材11の対向面11aに対して、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、およびグラビアオフセット印刷などの印刷工法により形成される。これらの印刷工法によれば、基材11の対向面11aに0.001mm~0.5mm程度の厚みで導電弾性体12を形成することが可能となる。ただし、導電弾性体12の形成方法は、印刷工法に限られるものではない。
【0028】
導電弾性体12は、樹脂材料とその中に分散した導電性フィラー、またはゴム材料とその中に分散した導電性フィラーから構成される。
【0029】
導電弾性体12に用いられる樹脂材料は、上述した基材11に用いられる樹脂材料と同様、たとえば、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂(ポリジメチルポリシロキサン(たとえば、PDMS)など)、アクリル系樹脂、ロタキサン系樹脂、およびウレタン系樹脂等からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂材料である。導電弾性体12に用いられるゴム材料は、上述した基材11に用いられるゴム材料と同様、たとえば、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、および天然ゴム等からなる群から選択される少なくとも1種のゴム材料である。
【0030】
導電弾性体12に用いられる導電性フィラーは、たとえば、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、C(カーボン)、ZnO(酸化亜鉛)、In2O3(酸化インジウム(III))、およびSnO2(酸化スズ(IV))等の金属材料や、PEDOT:PSS(すなわち、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)からなる複合物)等の導電性高分子材料や、金属コート有機物繊維、金属線(繊維状態)等の導電性繊維からなる群から選択される少なくとも1種の材料である。
【0031】
図1(b)は、基材11に3組の一対の導体線13が設置された状態を模式的に示す斜視図である。
【0032】
一対の導体線13は、X軸方向に延びた1本の導体線を折り曲げることにより形成され、折り曲げ位置からX軸負方向に向かって延びた2本の導体線13aを含む。一対の導体線13を構成する2本の導体線13aは、所定の間隔をあけて並んで配置される。一対の導体線13は、
図1(a)に示した3つの導電弾性体12の上面に重ねて配置される。ここでは、3組の一対の導体線13が3つの導電弾性体12の上面に重ねて配置されている。
【0033】
3組の一対の導体線13は、導電弾性体12に交差するように配置され、導電弾性体12の長手方向(Y軸方向)に沿って、所定の間隔をあけて並んで配置されている。一対の導体線13は、3つの導電弾性体12に跨がるよう、X軸方向に延びて配置される。導体線13aは、線状の導電部材と、当該導電部材の表面に形成された誘電体とからなる。導体線13aの構成については、追って
図3(a)、(b)を参照して説明する。
【0034】
図1(b)のように3組の一対の導体線13が配置された後、各一対の導体線13は、一対の導体線13の延びる方向(X軸方向)に移動可能に、糸14で基材11に設置される。
図1(b)に示す例では、12個の糸14が、導電弾性体12と一対の導体線13とが重なる位置以外の位置において、一対の導体線13を基材11に接続している。糸14は、化学繊維、天然繊維、またはそれらの混合繊維などにより構成される。
【0035】
図2(a)は、基材11の上側に重ねて配置される基材21と、基材21の対向面21a(Z軸負側の面)に設置された3つの導電弾性体22とを模式的に示す斜視図である。
【0036】
基材21は、基材11と同じ大きさおよび形状を有し、基材11と同じ材料により構成される。導電弾性体22は、基材21の対向面21a(Z軸負側の面)において、導電弾性体12に対向する位置に形成され、X軸方向に所定の間隔をあけて並んで形成されている。導電弾性体22は、導電弾性体12と同じ大きさおよび形状を有し、導電弾性体12と同じ材料により構成される。導電弾性体22は、導電弾性体12と同様、所定の印刷工法により基材21のZ軸負側の面に形成される。導電弾性体22の形成方法も、印刷工法に限られるものではない。各導電弾性体22のY軸負側の端部に、導電弾性体22と電気的に接続されたケーブル22aが設置される。
【0037】
図2(b)は、
図1(b)の構造体に
図2(a)の構造体が設置された状態を模式的に示す斜視図である。
【0038】
図1(b)に示した構造体の上方(Z軸正側)から、
図2(a)に示した構造体が配置される。このとき、基材11と基材21は、対向面11aと対向面21aとが互いに向かい合うように配置され、導電弾性体12と導電弾性体22とが重なるように配置される。そして、基材21の外周四辺が基材11の外周四辺に対して、シリコーンゴム系接着剤や糸などで接続されることにより、基材11と基材21とが固定される。これにより、3組の一対の導体線13は、3つの導電弾性体12と3つの導電弾性体22とによって挟まれる。こうして、
図2(b)に示すように、荷重センサ1が完成する。
【0039】
図3(a)、(b)は、X軸負方向に見た場合の導体線13aの周辺を模式的に示す断面図である。
図3(a)は、荷重が加えられていない状態を示し、
図3(b)は、荷重が加えられている状態を示している。
【0040】
図3(a)、(b)に示すように、導体線13aは、線材31と、線材31に形成された誘電体32と、により構成される。
【0041】
線材31は、たとえば、導電性の金属材料により構成される。この他、線材31は、ガラスからなる芯線およびその表面に形成された導電層により構成されてもよく、樹脂からなる芯線およびその表面に形成された導電層などにより構成されてもよい。実施形態1では、線材31は、アルミニウムにより構成される。誘電体32は、電気絶縁性を有し、たとえば、樹脂材料、セラミック材料、金属酸化物材料などにより構成される。
【0042】
他にも、線材31としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)などの弁作用金属や、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)などが用いられる。また、線材31の直径は、たとえば、10μm以上1500μm以下でもよく、50μm以上800μm以下でもよい。このような線材31の構成は、線材強度と抵抗の観点から好ましい。誘電体32の厚みは、5nm以上100μm以下が好ましく、センサ感度等の設計により適宜選択することができる。
【0043】
図3(a)に示すように、荷重が加えられていない場合、導電弾性体12と導体線13aとの間にかかる力、および、導電弾性体22と導体線13aとの間にかかる力は、ほぼゼロである。この状態から、
図3(b)に示すように、基材11の下面に対して上方向に荷重が加えられ、基材21の上面に対して下方向に荷重が加えられると、導体線13aによって導電弾性体12、22が変形する。
【0044】
図3(b)に示すように、荷重が加えられると、導体線13aは、導電弾性体12、22に包まれるように導電弾性体12、22に近付けられ、導体線13aと導電弾性体12、22との間の接触面積が増加する。これにより、線材31と導電弾性体12との間の静電容量および線材31と導電弾性体22との間の静電容量が変化する。そして、導体線13aの領域の静電容量が検出されることにより、この領域にかかる荷重が算出される。
【0045】
図4は、Z軸負方向に見た場合の荷重センサ1の内部を模式的に示す平面図である。
図4では、便宜上、糸14の図示が省略されている。
【0046】
荷重センサ1の計測領域Rには、X軸方向およびY軸方向に並ぶ9個のセンサ部が設定されている。具体的には、計測領域RをX軸方向に3分割しY軸方向に3分割した9個の領域が、9個のセンサ部に割り当てられる。各センサ部の境界は、当該センサ部と隣り合うセンサ部の境界と接している。9個のセンサ部は、導電弾性体12、22と一対の導体線13とが交わる9個の位置に対応しており、これら9個の位置に、荷重に応じて静電容量が変化する9個のセンサ部A11、A12、A13、A21、A22、A23、A31、A32、A33が形成される。
【0047】
各センサ部は、導電弾性体12、22と一対の導体線13を含み、一対の導体線13は、静電容量の一方の極(たとえば陽極)を構成し、導電弾性体12、22は、静電容量の他方の極(たとえば陰極)を構成する。すなわち、一対の導体線13内の線材31(
図3(a)、(b)参照)は、荷重センサ1(静電容量型荷重センサ)の一方の電極を構成し、導電弾性体12、22は、荷重センサ1(静電容量型荷重センサ)の他方の電極を構成し、一対の導体線13内の誘電体32(
図3(a)、(b)参照)は、荷重センサ1(静電容量型荷重センサ)において静電容量を規定する誘電体に対応する。
【0048】
各センサ部に対してZ軸方向に荷重が加わると、荷重により一対の導体線13(2つの導体線13a)が導電弾性体12、22に包み込まれる。これにより、一対の導体線13と導電弾性体12、22との間の接触面積が変化し、当該一対の導体線13と当該導電弾性体12、22との間の静電容量が変化する。
【0049】
一対の導体線13のX軸負側の端部、ケーブル12aのY軸負側の端部、およびケーブル22aのY軸負側の端部は、荷重センサ1に対して設置される検出回路に接続される。
【0050】
図4では、3組の導電弾性体12、22から引き出されたケーブル12a、22aはラインL11、L12、L13として示され、3組の一対の導体線13内の線材31はラインL21、L22、L23として示されている。ラインL11に接続された導電弾性体12、22が、ラインL21、L22、L23と交わる位置が、それぞれ、センサ部A11、A12、A13であり、ラインL12に接続された導電弾性体12、22が、ラインL21、L22、L23と交わる位置が、それぞれ、センサ部A21、A22、A23であり、ラインL13に接続された導電弾性体12、22が、ラインL21、L22、L23と交わる位置が、それぞれ、センサ部A31、A32、A33である。
【0051】
センサ部A11に対して荷重が加えられると、センサ部A11において一対の導体線13と導電弾性体12、22との接触面積が増加する。したがって、ラインL11とラインL21との間の静電容量を検出することにより、センサ部A11において加えられた荷重を算出することができる。同様に、他のセンサ部においても、当該他のセンサ部において交わる2つのライン間の静電容量を検出することにより、当該他のセンサ部において加えられた荷重を算出することができる。
【0052】
ところで、本実施形態の構成では、
図3(a)、(b)に示すように、線材31の周囲を被覆するように誘電体32が形成されているため、誘電体32と導電弾性体12、22との間の接触面積は、荷重の増加に応じてリニアに増加せず、その結果、荷重と静電容量との関係は、曲線状の波形によって規定される。このため、静電容量の値から荷重を求める際に、この波形を加味する必要があり、荷重の検出処理が煩雑化するという問題が生じる。
【0053】
そこで、本実施形態では、荷重センサ1に付与された荷重をより簡易に検出するための構成が設けられている。具体的には、荷重の変化に伴う導電弾性体12と線材31との間の静電容量の変化が直線に近づくように、荷重の増加に伴い誘電体32の接触が進む接面方向に誘電体32の誘電率が変化している。
【0054】
図5(a)は、荷重が付与される前の初期状態における誘電体32と導電弾性体22との関係を模式的に示す図、
図5(b)は、荷重が付与された状態における誘電体32と導電弾性体22との関係を模式的に示す図である。便宜上、
図5(a)、(b)には、導電弾性体22側の構成のみが示され、導電弾性体12側の図示が省略されているが、導電弾性体12側においても、荷重の変化に応じて、導電弾性体22側と同様の事象が生じる。
【0055】
図5(a)において、D1は、荷重の増加に伴い誘電体32の接触が進む接面方向を示している。
図5(a)に示すように、誘電体32は、周方向に複数の領域R1に区分される。誘電体32の各領域R1は、互いに誘電率が異なる材料で構成され、各領域R1を構成する材料は、誘電率が9および3.4、または誘電率の差が約3倍ある異なる材料で構成され得る。その代表例として、アルミナ(酸化アルミニウム)と、ポリイミド(樹脂)が選択される。アルミナの誘電率は、ポリイミドの誘電率に比べて、顕著に高い。各領域R1を構成する材料は、アルミナとポリイミドに限らず、他の材料であってもよい。また、
図5(a)では、領域R1の周方向の幅が均一に図示されているが、領域R1の周方向の幅は、不均一、すなわち、様々な幅が混在していてもよい。
【0056】
図5(a)の初期状態では、誘電体32の各領域R1のうち、線材31と導電弾性体22とが最も接近する位置(最もZ軸正側の位置)の領域R1のみが導電弾性体22に接触する。その後、荷重センサ1に荷重が付与されると、
図5(b)に示すように、導電弾性体22が変形しつつ、接面方向D1に、誘電体32と導電弾性体22との接触が進む。これにより、誘電体32の複数の領域R1が順番に導電弾性体22に接触する。
図5(b)のθ11は、誘電体32と導電弾性体22との間の周方向の接触範囲を周方向の角度(以下、「接触角」という)で規定するものである。接触角θ11は、荷重の増加に伴い増加する。
【0057】
ここで、各領域R1の誘電率は、荷重付与前の初期状態において導電弾性体22と線材31とに挟まれる第1の位置P1付近の領域R1よりも、第1の位置P1から接面方向D1に離れた第2の位置P2付近の領域R1の方が高く設定される。第2の位置P2は、たとえば、荷重付与時に誘電体32が導電弾性体22に接触し得る範囲の上限位置(当該範囲において第1の位置P1から最も離れた位置)とされる。
【0058】
図5(a)に示すように、線材31の断面が円形である場合、荷重が小さい範囲では、荷重の増加に伴い、誘電体32と導電弾性体22との接触面積が急激に大きくなる。これに対し、荷重が大きい範囲では、荷重の増加に伴い、接触面積が緩やかに大きくなる。このため、誘電体32の誘電率が全周に亘って一様である場合、荷重が小さい範囲では、荷重の変化に伴う静電容量の変化が急激となり、荷重が大きい範囲では、荷重の変化に伴う静電容量の変化が緩やかとなる。
【0059】
これに対し、上記のように、荷重付与前の初期状態において導電弾性体22と線材31とに挟まれる第1の位置P1付近の領域R1よりも、第1の位置P1から接面方向D1に離れた第2の位置P2付近の領域R1の方が高く設定されると、荷重が小さい範囲では、誘電体32の誘電率が低いため静電容量の変化を抑制でき、荷重が大きい範囲では、誘電体32の誘電率が高いため静電容量の変化を高めることができる。これにより、接触面積の変化による静電容量の変化と誘電率による静電容量の変化を相補的に均衡させることができ、結果、荷重と静電容量との関係をリニアな関係に近づけることができる。
【0060】
<検証>
発明者らは、各領域R1の誘電率を変化させた場合の荷重と静電容量との関係をシミュレーションにより検証した。この検証では、
図6のように誘電体32を中心角θ2方向に10°ずつ36個に区画し、各区画に、アルミナとポリイミドの何れかの誘電材料を適用した。
図6において、誘電体32の周囲に付されている番号は、各区画の番号を示している。ここでは、最もZ軸正側の区画の番号が1に設定され、中心角θ2の方向に各区画の番号が増加している。検証において、ポリイミドが適用される区画における誘電体32の膜厚は6.5μmに設定し、アルミナが適用される区画における誘電体32の膜厚は3μmに設定した。また、線材31の直径は、0.326mmに設定した。
【0061】
誘電体32の静電容量は、誘電率に比例し、膜厚に反比例する。よって、アルミナが適用される区画における誘電体32の膜厚を、ポリイミドが適用される区画における誘電体32の膜厚に比べて小さく設定することにより、これら2つの区画間における静電容量の差が、材料差のみの場合に比べて、さらに大きくなる。
【0062】
この条件のもと、実施形態と比較例とで各区画に適用する誘電体の材料を相違させて、荷重と静電容量との関係をシミュレーションにより検証した。実施形態では、初期状態において導電弾性体22と接触する番号1の区画に比べて、当該番号1の区画から接面方向D1に離れる区画の誘電率を大きくなるように、各区画にアルミナまたはポリイミドを適用した。他方、比較例では、実施形態とは逆に、番号1の区画に比べて、当該番号1の区画から接面方向D1に離れる区画の誘電率を小さくなるように、各区画にアルミナまたはポリイミドを適用した。
【0063】
本検証では、接面方向D1に隣り合う他の区画の材料が同じである区画が接面方向D1に連続する範囲が、
図5(a)に示した各領域R1に対応する。また、接面方向D1およびこれと反対の方向にそれぞれ隣り合う他の区画の材料が何れも相違する区画は、当該区画単独で領域R1を構成する。
【0064】
図7(a)は、実施形態の検証において、各区画に適用される材料と、各区画における接触角ごとの接触の有無とを示す表である。
【0065】
図7(a)の表において、“NO”は、
図6に示した各区画の番号であり、“中心角”は、各区画の周方向の中心位置に対する中心角θ2である。“材料”に示されるPIはポリイミドを示し、AMはアルミナを示している。たとえば、実施形態の検証では、初期状態において接触する番号1の区画にポリイミドが適用され、荷重付与状態において接触する番号10、28の区画にアルミナが適用されている。
【0066】
また、
図7(a)中の“〇”は、最上欄に記載された各接触角θ11で誘電体
32と導電弾性体22とが接触する場合に、各区画が導電弾性体22に接触することを示し、“×”は、最上欄に記載された各接触角θ11で誘電体
32と導電弾性体22とが接触する場合に、各区画が導電弾性体22に接触しないことを示している。たとえば、
図5(b)に示した接触角θ11が10°である場合、番号1の区画のみが導電弾性体22に接触し、接触角θ11が30°である場合、番号1、2、36の区画が導電弾性体22に接触する。
【0067】
図7(b)は、実施形態の検証において、接触角θ11が最上欄の各角度になったときの静電容量の増分と、トータルの静電容量とをシミュレーションにより求めた算出値を示す表である。
【0068】
たとえば、実施形態の検証では、接触角θ11が10°の場合、
図7(a)のように番号1の区画のみが導電弾性体22に接触する。この場合の誘電体32と導電弾性体22との間の静電容量は、3.8
2×E
-13となる。この状態から荷重が付与され、接触角θ11が30°になると、新たに番号2、36の区画が導電弾性体22に接触する。この場合、新たに接触した番号2、36の区画による静電容量の増分は、7.14×E
-13となり、誘電体32と導電弾性体22との間のトータルの静電容量は、1.10×E
-12となる。
【0069】
なお、
図7(a)、(b)には、36個の区画のうち、上半分(Z軸正側)の区画と上側の導電弾性体22との関係が示されているが、下半分(Z軸
負側)の区画と下側の導電弾性体12との関係も同様に設定される。すなわち、下半分の区画は、番号が1の区画に正対向する番号20の区画を基準に、
図7(a)、(b)と同様の設定が各区画に対して行われる。
【0070】
また、実施形態の検証では、
図2(b)に示したように、2つの導体線13aからなる導体線13が、2つの導電弾性体12、22で挟まれる場合の静電容量の変化がシミュレーションにより算出される。この点は、後述する比較例においても同様である。
【0071】
図8(a)、(b)は、上記検証条件を適用した場合の実施形態における荷重と静電容量との関係を示すグラフである。
図8(b)は、
図8(a)における荷重が0~2.5N/cm
2の範囲を拡大したグラフである。
【0072】
図8(a)、(b)の横軸は荷重であり、縦軸は静電容量である。実施形態の検証結果は、実線で示されている。比較のため、全ての区画にアルミナを膜厚3μmで適用した場合の検証結果が一点鎖線で示されている。また、
図8(b)には、実施形態の検証結果を曲線近似した波形が破線で示されている。
【0073】
図8(b)に示すように、実施形態の構成では、荷重センサ1の検出レンジである0~2N/cm
2の範囲において、荷重と静電容量との関係を示す波形が略直線となっている。よって、実施形態の構成によれば、導電弾性体12、22と導体線13との間の静電容量の値を測定し、測定した静電容量の値に、比例関係に基づく簡易な処理を適用することにより、荷重センサ1に付与された荷重を適正に検出できる。
【0074】
図9(a)は、比較例の検証において、各区画に適用される材料と、各区画における接触角ごとの接触の有無とを示す表である。また、
図9(b)は、比較例の検証において、接触角θ11が最上欄に記載の各角度になったときの静電容量の増分と、トータルの静電容量とをシミュレーションにより求めた算出値を示す表である。
【0075】
図9(a)、(b)の表の構成は、
図7(a)、(b)の表と同様である。ただし、
図9(a)では、各番号の区画に適用される材料が、
図7(a)の場合と相違している。具体的には、比較例では、
図7(a)の実施形態においてアルミナが適用されている区画にポリイミドが適用され、
図7(a)の実施形態においてポリイミドが適用されている区画にアルミナが適用される。したがって、比較例では、荷重が付与される前の初期状態において導電弾性体12、22に接触する番号1、20の区画よりも、当該区画から接面方向D1に所定距離以上離れた区画の誘電率が小さくなっている。その他の条件は、上記実施形態と同様である。
【0076】
図10(a)、(b)は、上記検証条件を適用した場合の比較例における荷重と静電容量との関係を示すグラフである。
図10(b)は、
図10(a)における荷重が0~2.5N/cm
2の範囲を拡大したグラフである。
【0077】
図10(a)、(b)の縦軸および横軸は、
図8(a)、(b)と同様である。
図10(a)、(b)においても
図8(a)、(b)と同様、比較のため、全ての区画にアルミナを膜厚3μmで適用した場合の検証結果が一点鎖線で示されている。比較例の検証結果は、実線で示されている。また、
図10(b)には、比較例の検証結果を曲線近似した波形が破線で示されている。
【0078】
図10(b)に示すように、比較例の構成では、荷重と静電容量との関係を示す波形が、全区画をアルミナで形成した場合の波形よりもさらに大きく膨らんでいる。したがって、比較例の検証結果から、荷重が付与される前の初期状態において導電弾性体12、22に接触する番号1、20の区画よりも、当該区画から接面方向D1に所定距離以上離れた区画の誘電率が小さくなるように各区画の誘電率を設定すると、荷重と静電容量との関係を直線に近づけることができないことが分かる。よって、荷重と静電容量との関係を直線に近づけるためには、各区画の誘電率を適正に設定する必要がある。
【0079】
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏される。
【0080】
図8(b)の検証結果に示したように、荷重の変化に伴う導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化が直線に近づけられる。このため、導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の値を測定し、測定した静電容量の値に、比例関係に基づく簡易な処理を適用することにより、荷重センサ1に付与された荷重を適正に検出できる。よって、荷重センサ1に付与された荷重をより簡易に検出することができる。
【0081】
図5(a)、(b)に示したように、実施形態1の構成では、誘電体32の材料を接面方向D1に相違させることにより、誘電体32の誘電率を接面方向D1に変化させている。この構成によれば、接面方向D1に誘電体32の材料を相違させるといった簡易な方法により、誘電体32の誘電率を、接面方向D1に変化させることができる。
【0082】
図5(a)に示したように、誘電体32の誘電率は、荷重付与前の初期状態において導電弾性体12、22と線材31とに挟まれる第1の位置P1付近よりも、第1の位置P1から接面方向D1に離れた第2の位置P2付近の方が高く設定されている。これにより、上述のように、荷重付与時に、接触面積の変化による静電容量の変化と誘電率による静電容量の変化を均衡させることができ、その結果、荷重と静電容量との関係をリニアな関係に近づけることができる。
【0083】
上記検証において、誘電体32は、接面方向D1に厚みが変化している。具体的には、ポリイミドが適用される領域R1における誘電体32の膜厚は6.5μmに設定され、アルミナが適用される領域R1における誘電体32の膜厚は3μmに設定されている。誘電体32の厚みが減少すると静電容量が増加する。よって、このように、接面方向D1において、誘電率とともに誘電体32の厚みを調整することにより、荷重と静電容量との関係を、より容易にリニアな関係に近づけることができる。
【0084】
図3(a)、(b)に示したように、誘電体32は、線材31の表面を被覆するように設置されている。この構成によれば、線材31の表面を誘電体32で被覆するだけで、導電弾性体12、22と線材31との間に誘電体32を設置できる。
【0085】
図3(a)、(b)に示したように、基材21の対向面21aとともに基材11の対向面11aにも導電弾性体12が配置され、荷重の変化に伴う導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化が直線に近づくように、荷重の増加に伴い誘電体32の接触が進む接面方向D1に誘電体32の誘電率が変化している。このように、基材11、21の両方に導電弾性体12、22を配置することにより、荷重の変化による静電容量の変化を、導電弾性体12、22の何れか一方のみが配置されている場合に比べて大きくでき、荷重の検出精度を高めることができる。さらに、荷重の変化に伴う導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化が直線に近づくように、荷重の増加に伴い誘電体32の接触が進む接面方向D1に誘電体32の誘電率が変化しているため、荷重センサ1に付与された荷重を簡易かつ精度良く検出することができる。
【0086】
なお、上記検証のように、各領域R1にアルミナとポリイミドを選択的に適用することにより、荷重付与時に誘電体32に係る応力を、弾性に富むポリイミド(樹脂)で緩和することができる。これにより、高誘電率の金属酸化膜を誘電体32に用いて荷重に対する静電容量の特性を向上させつつ、荷重付与時の応力によって誘電体32が破損することを防ぐことができる。
【0087】
<実施形態1の変更例>
図7(a)に示した検証条件では、誘電体32の各領域R1に選択的に適用される材料が2種類であったが、誘電体32の各領域R1に選択的に適用される材料が3種類以上であってもよい。誘電率が異なる3種以上の材料を各領域R1に選択的に適用することにより、誘電体32の形成工程が複雑化するものの、荷重付与時の荷重と静電容量との関係をより正確に直線に近づけることができる。
【0088】
また、上記検証では、
図6に示すように、誘電体32が周方向に36に均等に区分されて領域R1が構成されたが、領域R1の数および幅の設定方法は、これに限られるものではない。接面方向D1における領域R1の数および幅は、荷重付与時の荷重と静電容量との関係をより正確に直線に近づけ得るように調整されればよい。たとえば、荷重の変化により接触面積が急激に変化する第1の位置P1付近では、領域R1の幅を狭く設定して誘電率の変化を細かく制御し、荷重の変化により接触面積が緩やかに変化する第2の位置P2付近では、領域R1の幅は広く設定して誘電率の変化を緩やかに制御しもよい。
【0089】
また、上記検証では、材料ごと、すなわち領域R1ごとに、誘電体32の厚みが段階的に変化したが、荷重付与時の荷重と静電容量との関係を直線に近づけ得る限りにおいて、隣り合う領域R1間で厚みがリニアに変化するように、接面方向D1における誘電体32の厚みが調整されてもよい。
【0090】
また、上記実施形態1では、接面方向D1において誘電体32を複数の領域R1に区分し、各領域R1の材料を相違させることにより、隣り合う領域R1間で段階的に誘電率を変化させたが、接面方向D1においてリニアに誘電率が変化するように誘電体32が構成されてもよい。
【0091】
<実施形態2>
上記実施形態1では、領域R1に適用される誘電体32の材料を相違させることにより、誘電体32の誘電率を接面方向D1に変化させた。これに対し、実施形態2では、誘電体32を構成する誘電体層の積層数を接面方向D1に変化させることにより、誘電体32の誘電率を接面方向D1に変化させる。
【0092】
図11(a)は、実施形態2に係る、荷重が付与される前の初期状態における誘電体32と導電弾性体22との関係を模式的に示す図、
図11(b)は、実施形態2に係る、荷重が付与された状態における誘電体32と導電弾性体22との関係を模式的に示す図である。便宜上、
図11(a)、(b)には、導電弾性体22側の構成のみが示され、導電弾性体12側の図示が省略されているが、導電弾性体12側においても、荷重の変化に応じて、導電弾性体22側と同様の事象が生じる。
【0093】
図11(a)の構成では、誘電体32が、第1の誘電体層32aと第2の誘電体層32bとから構成される。線材31の表面を全周に亘って被覆するように、第1の誘電体層32aが一定の膜厚で形成される。第1の誘電体層32aの表面を周方向に部分的に被覆するように第2の誘電体層32bが一定の膜厚で積層される。第2の誘電体層32bの誘電率は、第1の誘電体層32aの誘電率よりも低く設定される。これにより、第2の誘電体層32bが形成された領域は、第2の誘電体層32bが形成されていない領域に比べて、誘電率が低下する。
【0094】
第1の誘電体層32aは、たとえば、金属酸化物により形成され、第2の誘電体層32bは、たとえば、樹脂により形成される。たとえば、第1の誘電体層32aは、アルミナにより形成され、第2の誘電体層32bは、ポリイミドにより形成される。
【0095】
第2の誘電体層32bが形成される領域は、荷重の変化に伴う導電弾性体22と線材31との間の静電容量の変化が直線に近づくように調整される。荷重付与前の初期状態において導電弾性体22と線材31とに挟まれる第1の位置P1付近の誘電率よりも、第1の位置P1から接面方向D1に離れた第2の位置P2付近の誘電率が高くなるように、第2の誘電体層32bの形成領域が調整される。
【0096】
陽極酸化処理(アルマイト処理)は、硫酸、しゅう酸、リン酸、ほう酸等の無機酸溶液、あるいは有機酸溶液を用い、0℃~80℃の条件下で、適切な電圧(1~500V)を印加することで実施される。また、誘電体32の表面における算術平均粗さRaは、たとえば、0.01μm以上100μm以下でもよく、0.05μm以上50μm以下でもよい。このような場合、誘電体32は、導電弾性体12、22と適度な界面密着性を有することができる。算術平均粗さRaは、線材31の長手方向に垂直な3箇所の断面において、境界面の軌跡の平均線を求め、JIS B0601-1994に準拠して、当該平均線を基準とするRaを測定し、3つの測定値の平均値として求めればよい。
【0097】
誘電体32(たとえば、第1誘電体層32a)がアルミニウムの酸化物の場合、主成分のアルミニウム以外に、S、P、Nを0.1~10atm%含有することがある。このような場合、誘電体32自体の応力緩和性が向上し、外的圧力・衝撃などによる割れなどを抑制できる。また、誘電体32は、アモルファスであれば、同様の効果が得られるため好ましい。
【0098】
図11(a)の初期状態では、線材31と導電弾性体22とが最も接近する位置(最もZ軸正側の位置:第1の位置P1)付近において、第2の誘電体層32bが導電弾性体22に接触する。その後、荷重センサ1に荷重が付与されると、
図11(b)に示すように、導電弾性体22が変形しつつ、接面方向D1に、誘電体32と導電弾性体22との接触が進む。これにより、荷重が所定荷重以上の範囲では、第1の誘電体層32aが導電弾性体22に接触し、第2の誘電体層32bが導電弾性体22に接触する場合に比べて、誘電体32の誘電率が増加する。
【0099】
<実施形態2の効果>
上記のように、実施形態2によれば、誘電体32を構成する誘電体層の積層数を接面方向D1に変化させることにより、誘電体32の誘電率を接面方向D1に変化させることができる。したがって、接面方向D1における誘電体層の積層数を調整することにより、荷重付与時における導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化を直線に近づけることができる。これにより、上記実施形態1と同様、導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の値を測定し、測定した静電容量の値に、比例関係に基づく簡易な処理を適用することにより、荷重センサ1に付与された荷重を適正に検出でき、荷重センサ1に付与された荷重をより簡易に検出することができる。
【0100】
また、実施形態2の構成によれば、誘電体層の積層数を調整するといった簡易な方法により、誘電体32の誘電率を接面方向D1に変化させることができる。
【0101】
また、
図11(a)、(b)の構成によれば、第2の誘電体層32bが形成された領域は、第2の誘電体層32bが形成されていない領域に比べて、誘電体32の厚みが大きくなっている。このため、第2の誘電体層32bが形成された領域の静電容量を、第2の誘電体層32bの誘電率の差異とともに、誘電体32の厚みによって、効果的に低下させることができる。よって、第2の誘電体層32bが形成された領域の静電容量を、より簡易に調整できる。
【0102】
<実施形態2の変更例>
なお、
図11(a)、(b)の構成では、第1の誘電体層32aの厚みが一定に設定され、また、第2の誘電体層32bの厚みが一定に設定された。しかしながら、これらの厚みは、必ずしも一定でなくてもよく、荷重付与時における導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化をより正確に直線に近づけるために、これらの厚みを接面方向D1に変化させてもよい。
【0103】
また、
図11(a)、(b)の構成では、第2の誘電体層32bが形成される領域における誘電体32の厚みが、第2の誘電体層32bが形成されない領域における誘電体32の厚みよりも大きく設定されたが、荷重付与時における導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化を直線に近づけ得る限りにおいて、第2の誘電体層32bが形成される領域の誘電体32の厚みと、第2の誘電体層32bが形成されない領域の誘電体32の厚みとが同じであってもよい。この場合、第2の誘電体層32bが形成される領域の第1の誘電体層32aの厚みは、他の領域における第1の誘電体層32aの厚みより小さく設定される。
【0104】
また、
図11(a)、(b)の構成では、第1の誘電体層32aの上半分の範囲と下半分の範囲に、それぞれ1つずつ第2の誘電体層32bが配置されたが、荷重付与時における導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化を直線に近づけ得る限りにおいて、第1の誘電体層32aの上半分の範囲と下半分の範囲に、それぞれ複数ずつ第2の誘電体層32bが配置されてもよい。
【0105】
また、
図11(a)、(b)の構成では、互いに誘電率が異なる誘電体層の最大積層数が2であったが、互いに誘電率が異なる誘電体層の最大積層数が3以上であってもよい。この場合も、荷重付与時における導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化をより正確に直線に近づくように、接面方向D1の各位置における誘電体層の組み合わせおよび積層数が調整されればよい。
【0106】
また、
図11(a)、(b)の構成では、第1の誘電体層32aは、単一の材料により構成されたが、上記実施形態1と同様、第1の誘電体層32aを接面方向D1に複数の領域に区分し、各区分に適用される材料を相違させてもよい。この場合も、荷重付与時における導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化をより正確に直線に近づけ得るように、第1の誘電体層32aの各領域に適用される材料が調整されればよい。同様に、第2の誘電体層32bを接面方向D1に複数の領域に区分し、各区分に適用される材料を相違させてもよい。
【0107】
また、上記実施形態2では、誘電率が高い誘電体層上に誘電率が低い誘電体層を積層する構成であったが、荷重付与時における導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化を直線に近づけ得る限りにおいて、誘電率が低い誘電体層上に誘電率が高い誘電体層を積層する構成であってもよい。
【0108】
<実施形態3>
上記実施形態1、2では、線材31の表面に誘電体32が配置されたが、導電弾性体12、22の表面に誘電体が形成されてもよい。
【0109】
図12(a)は、実施形態3に係る、荷重が付与される前の初期状態における誘電体15、23と線材31との関係を模式的に示す図、
図12(b)は、実施形態3に係る、荷重が付与された状態における誘電体15、23と線材31との関係を模式的に示す図である。
【0110】
図12(a)、(b)に示すように、実施形態3では、導電弾性体12、22の表面にそれぞれ誘電体15、23が形成されている。
【0111】
図12(a)において、D2は、荷重の増加に伴い誘電体15、23の接触が進む接面方向を示している。
図12(a)に示すように、誘電体15、23は、周方向に複数の領域R2に区分される。誘電体15、23の各領域R2は、互いに誘電率が異なる材料で構成される。各領域R2を構成する材料は、たとえば、アルミナ(酸化アルミニウム)とポリイミド(樹脂)から選択される。アルミナの誘電率は、ポリイミドの誘電率に比べて、顕著に高い。各領域R2を構成する材料は、アルミナとポリイミドに限らず、他の材料であってもよい。
【0112】
図12(a)では、領域R2の接面方向D2の幅が均一に図示されているが、領域R2の接面方向D2の幅は、不均一、すなわち、様々な幅が混在していてもよい。また、上記実施形態1と同様、高誘電率の材料(たとえば、アルミナ)が適用される領域R2の厚みは、低誘電率の材料(たとえば、ポリイミド)が適用される領域R2の厚みより小さく設定されてよい。
【0113】
図12(a)の初期状態では、誘電体15、23の各領域R2のうち、線材31と導電弾性体12、22とが最も接近する位置(
最もZ軸負側の位置および最もZ軸正側の位置)の領域R
2のみが線材31に接触する。その後、荷重センサ1に荷重が付与されると、
図12(b)に示すように、導電弾性体12、22が変形しつつ、接面方向D2に、誘電体15、23と線材31との接触が進む。これにより、誘電体15、23の複数の領域R2が順番に線材31に接触する。
図12(b)のθ
12は、接触角である。接触角θ12は、荷重の増加に伴い増加する。
【0114】
ここで、各領域R2の誘電率は、荷重付与前の初期状態において導電弾性体12、22と線材31とに挟まれる第1の位置P1付近の領域R2よりも、第1の位置P1から接面方向D2に離れた第2の位置P2付近の領域R2の方が高く設定される。上記と同様、第2の位置P2は、たとえば、荷重付与時に誘電体15、23が線材31に接触し得る範囲の上限位置(当該範囲において第1の位置P1から最も離れた位置)である。これにより、上記実施形態1と同様、荷重付与時において、接触面積の変化による静電容量の変化と誘電率による静電容量の変化を均衡させることができ、結果、荷重と静電容量との関係をリニアな関係に近づけることができる。
【0115】
<実施形態3の効果>
実施形態3の構成によれば、各領域R2に適用される材料を相違させて、各領域R2の誘電率を調整することにより、荷重付与時における導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化を直線に近づけることができる。これにより、上記実施形態1と同様、導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の値を測定し、測定した静電容量の値に、比例関係に基づく簡易な処理を適用することにより、荷重センサ1に付与された荷重を適正に検出でき、荷重センサ1に付与された荷重をより簡易に検出することができる。
【0116】
また、上記実施形態1と同様、各領域R2における誘電体15、23の厚みを適宜調整することにより、荷重付与時における導電弾性体12、22と線材31との間の静電容量の変化をより確実に直線に近づけることができる。
【0117】
<実施形態3の変更例>
上記実施形態1と同様、誘電体15、23の各領域R2に選択的に適用される材料は、2種類に限らず、3種類以上であってもよい。また、接面方向D2における領域R2の数および幅は、荷重付与時の荷重と静電容量との関係をより正確に直線に近づけ得るように調整されればよい。また、荷重付与時の荷重と静電容量との関係を直線に近づけ得る限りにおいて、隣り合う領域R2間で厚みがリニアに変化するように、接面方向D2における誘電体15、23の厚みが調整されてもよい。さらに、接面方向D2においてリニアに誘電率が変化するように誘電体15、23が構成されてもよい。
【0118】
また、上記実施形態2と同様、誘電体15、23が複数の誘電体層を積層した構成であってもよい。この場合、誘電体層の積層数および積層範囲は、荷重付与時の荷重と静電容量との関係を直線に近づけ得るように調整されればよい。
【0119】
<その他の変更例>
上記実施形態1~3では、線材31の断面形状が円形であったが、線材31の断面形状は円形に限られるものではなく、楕円や疑似円形等の他の形状であってもよい。また、線材31は、複数の線材が撚られた撚線によって構成されてもよい。
【0120】
また、上記実施形態1~3では、
図2(b)に示したように、荷重センサ1は、3組の一対の導体線13を備えたが、少なくとも1組の一対の導体線13を備えればよい。たとえば、荷重センサ1が備える一対の導体線13は、1組でもよい。
【0121】
また、上記実施形態1~3では、
図2(b)に示したように、荷重センサ1は、上下に対向する3組の導電弾性体12、22を備えたが、少なくとも1組の導電弾性体12、22の組を備えればよい。たとえば、荷重センサ1に備える導電弾性体12、22の組は、1組でもよい。
【0122】
また、上記実施形態1~3において、基材21側の導電弾性体22は省略されてもよい。この場合、一対の導体線13は、基材11側の導電弾性体12と基材21の対向面21aとによって挟まれ、荷重に応じて一対の導体線13が導電弾性体12にめり込むことにより、各センサ部における静電容量が変化する。また、基材21側の導電弾性体22が省略される場合、基材21に代えて、シート状の基材が設置されてもよい。
【0123】
また、上記実施形態1~3では、一対の導体線13は、Y軸方向に並ぶ2つの導体線13aがX軸方向の端部で繋がった形状とされたが、一対の導体線13に代えて、1本の導体線が配置されてもよく、3本以上の導体線が配置されてもよい。また、一対の導体線13の形状は、平面視において、直線形状でなくてもよく、波形状であってもよい。
【0124】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 荷重センサ
11、21 基材(第1基材、第2基材)
11a、21a 対向面
12、22 導電弾性体
15、23、32 誘電体
31 線材
32a 第1の誘電体層
32b 第2の誘電体層
P1 第1の位置
P2 第2の位置