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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】カバー、カバー装置、及び、穴あけ装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 1/14 20060101AFI20240809BHJP
   B23B 51/04 20060101ALI20240809BHJP
   B23B 45/14 20060101ALI20240809BHJP
   B23B 49/00 20060101ALI20240809BHJP
   B23B 47/34 20060101ALI20240809BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20240809BHJP
   B28D 7/02 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B28D1/14
B23B51/04 T
B23B45/14
B23B49/00 A
B23B47/34 Z
B23Q11/08 F
B28D7/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020086339
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021178501
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 直人
(72)【発明者】
【氏名】田中 尚武
(72)【発明者】
【氏名】眞弓 宗久
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0065242(US,A1)
【文献】登録実用新案第3120050(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/14
B23B 51/04
B23B 45/14
B23B 49/00
B23B 47/34
B23Q 11/08
B28D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴あけ工具用のカバーであって、
前記穴あけ工具は、電動工具に取り付けられ、
施工面に穴を形成するための1以上の切削具と、
前記1以上の切削具を保持し、前記電動工具に取り付けられて前記電動工具からの動力を前記1以上の切削具に伝達する本体部と、
を備え、
前記カバーは、
前記本体部に取り付けられるベースと、
第1開口及び第2開口を有し、前記第1開口の第1周縁部を前記施工面に向けて前記第2開口の第2周縁部で前記ベースに取り付けられて、前記1以上の切削具を囲うカバー本体を含むボディと、
前記ボディに設けられ、前記施工面における穴の形成予定位置への前記1以上の切削具の位置合わせのための目印部と、
を備え
前記ボディは、
前記カバー本体の第1周縁部を覆い、前記カバー本体よりも弾性率が低い緩衝部を更に備え、
前記目印部は、前記カバー本体と前記緩衝部とに跨る、
カバー。
【請求項2】
前記目印部は、前記カバー本体に連続一体に形成された第1部位と、前記緩衝部に連続一体に形成された第2部位と、で構成される、
請求項1のカバー。
【請求項3】
前記緩衝部は、第1嵌合部を有し、
前記カバー本体は、第2嵌合部を有し、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とは、前記カバー本体の第1周縁部の周方向において互いに当接する、
請求項1又は2のカバー。
【請求項4】
穴あけ工具用のカバーであって、
前記穴あけ工具は、電動工具に取り付けられ、
施工面に穴を形成するための1以上の切削具と、
前記1以上の切削具を保持し、前記電動工具に取り付けられて前記電動工具からの動力を前記1以上の切削具に伝達する本体部と、
を備え、
前記カバーは、
前記本体部に取り付けられるベースと、
第1開口及び第2開口を有し、前記第1開口の第1周縁部を前記施工面に向けて前記第2開口の第2周縁部で前記ベースに取り付けられて、前記1以上の切削具を囲うカバー本体を含むボディと、
前記ボディに設けられ、前記施工面における穴の形成予定位置への前記1以上の切削具の位置合わせのための目印部と、
を備え、
前記ボディは、透明部を含み、
前記目印部は、前記透明部に形成されて前記透明部に入射した光を出射させる光出射部を含む、
カバー。
【請求項5】
前記光出射部は、前記透明部に形成された溝を含む、
請求項4のカバー。
【請求項6】
前記目印部は、前記ボディの外側面にある、
請求項1~5のいずれか一つのカバー。
【請求項7】
前記目印部は、少なくとも前記カバー本体の第1開口側の端部にある、
請求項1~6のいずれか一つのカバー。
【請求項8】
前記カバー本体は、筒状である、
請求項1~7のいずれか一つのカバー。
【請求項9】
前記目印部は、前記第1開口から前記第2開口に向かう方向に沿って延びる直線状である、
請求項1~8のいずれか一つのカバー。
【請求項10】
前記目印部は、最も幅が狭い部位で幅が0.5mm~3mmの範囲である、
請求項9のカバー。
【請求項11】
前記カバーは、複数の前記目印部を備える、
請求項1~10のいずれか一つのカバー。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一つのカバーと、
前記本体部と、
を備える、
カバー装置。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一つのカバーと、
前記穴あけ工具と、
を備える、
穴あけ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カバー、カバー装置、及び、穴あけ装置に関する。より詳細には、本開示は、施工面に穴をあけるための穴あけ工具用のカバー、当該カバーを備えるカバー装置、及び当該カバーを備える穴あけ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、建築物に設置されるコンセント等の設置用孔を明ける場合に使用する切削装置(穴あけ装置)を開示する。特許文献1の切削装置は、穴あけ工具を備える。穴あけ工具は、機構部ケース内に回転機構部が収容され、この機構部ケースは本体ハウジング内に収容される。本体ハウジングは、手で掴み得る円筒形のグリップと、回転機構部の回転軸と、切削刃(切削具)及びセンタードリルから成る刃部と、刃部の外周を囲むカバーとで主体が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-225930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、カバーによって、刃部が視認しにくく、施工面の穴の形成予定位置への切削刃(切削具)の位置合わせが行いにくい。
【0005】
課題は、施工面の穴の形成予定位置への切削具の位置合わせの作業の容易化が図れる、カバー、カバー装置、及び穴あけ装置、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るカバーは、穴あけ工具用のカバーである。前記穴あけ工具は、電動工具に取り付けられる。前記穴あけ工具は、施工面に穴を形成するための1以上の切削具と、前記1以上の切削具を保持し、前記電動工具に取り付けられて前記電動工具からの動力を前記1以上の切削具に伝達する本体部と、を備える。前記カバーは、ベースと、ボディと、目印部と、を備える。前記ベースは、前記本体部に取り付けられる。前記ボディは、カバー本体を含む。前記カバー本体は、第1開口及び第2開口を有する。前記前記カバー本体は、前記第1開口の第1周縁部を前記施工面に向けて前記第2開口の第2周縁部で前記ベースに取り付けられて、前記1以上の切削具を囲う。前記目印部は、前記ボディに設けられ、前記施工面における穴の形成予定位置への前記1以上の切削具の位置合わせのためのものである。前記ボディは、緩衝部を更に備える。前記緩衝部は、前記カバー本体の第1周縁部を覆い、前記カバー本体よりも弾性率が低い。前記目印部は、前記カバー本体と前記緩衝部とに跨る。
本開示の他の一態様に係るカバーは、穴あけ工具用のカバーである。前記穴あけ工具は、電動工具に取り付けられる。前記穴あけ工具は、施工面に穴を形成するための1以上の切削具と、前記1以上の切削具を保持し、前記電動工具に取り付けられて前記電動工具からの動力を前記1以上の切削具に伝達する本体部と、を備える。前記カバーは、ベースと、ボディと、目印部と、を備える。前記ベースは、前記本体部に取り付けられる。前記ボディは、カバー本体を含む。前記カバー本体は、第1開口及び第2開口を有する。前記前記カバー本体は、前記第1開口の第1周縁部を前記施工面に向けて前記第2開口の第2周縁部で前記ベースに取り付けられて、前記1以上の切削具を囲う。前記目印部は、前記ボディに設けられ、前記施工面における穴の形成予定位置への前記1以上の切削具の位置合わせのためのものである。前記ボディは、透明部を含む。前記目印部は、前記透明部に形成されて前記透明部に入射した光を出射させる光出射部を含む。
【0007】
本開示の一態様に係るカバー装置は、前記カバーと、前記本体部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る穴あけ装置は、前記カバーと、前記穴あけ工具と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の態様によれば、施工面への穴あけ時の粉塵の飛散を低減できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る穴あけ装置の概略説明図である。
図2図2は、同上の穴あけ装置の斜視図である。
図3図3は、同上の穴あけ装置の断面図である。
図4図4は、同上の穴あけ装置のカバーの上方分解斜視図である。
図5図5は、同上のカバーの下方分解斜視図である。
図6図6は、同上のカバーのシールドの下方斜視図である。
図7図7は、同上の穴あけ装置の一部を省略した平面図である。
図8図8は、同上の穴あけ装置の組み立て方法の説明図である。
図9図9は、同上の穴あけ装置の組み立て方法の説明図である。
図10図10は、変形例のカバーの要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、場合によって図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、各要素の寸法比率は図面に図示された比率に限られるものではない。
【0012】
(1)実施形態
(1-1)概要
図1は、本実施形態の穴あけ装置10を示す。穴あけ装置10は、施工面800に穴をあけるために用いられる。本実施形態の穴あけ装置10は、電動工具900とともに用いられる。つまり、穴あけ装置10は、電動工具900から動力におって、施工面800に穴をあける。施工面800にあけた穴は、装置の設置等に利用される。装置としては、照明装置、空調装置、配線装置、センサ装置、警報装置、監視装置が挙げられる。施工面800は、装置の設置の対象となる面である。図1において、施工面800は、天井面である。施工面800は、天井面に限らず、壁面、床面等の建物の面であってよいし、建物以外の構造体や物体の面であってもよい。
【0013】
図1に示すように、穴あけ装置10は、穴あけ工具20と、穴あけ工具20用のカバー30と、を備える。
【0014】
穴あけ工具20は、図2に示すように、1以上(本実施形態では2つ)の切削具40と、本体部50と、を備える。1以上の切削具40は、施工面800に穴を形成するためのものである。本体部50は、1以上の切削具40を保持し、電動工具900に取り付けられて電動工具900からの動力を1以上の切削具40に伝達する。
【0015】
カバー30は、図3に示すように、カバー本体31と、シールド32と、を備える。カバー本体31は、第1開口31a及び第2開口31bを有する。カバー本体31は、第1開口31aの第1周縁部311を施工面800に向けて第2開口31bの第2周縁部312で本体部50に取り付けられて、1以上の切削具40を囲う。シールド32は、カバー本体31の第1周縁部311の少なくとも一部からカバー本体31の内側に突出するエラストマ製の突出部322を有する。
【0016】
施工面800への穴あけの際には、切削具40の施工面800の切削に伴い粉塵が発生する。粉塵は、カバー本体31の内部から第1開口31aを通じて外部へ飛散しようとする。ここで、カバー30は、突出部322を有する。突出部322は、カバー本体31の第1周縁部311の少なくとも一部からカバー本体31の内側に突出する。そのため、突出部322が、粉塵にあたることで、粉塵をカバー本体31の内部にとどめておくことが可能となる。したがって、カバー30によれば、施工面800への穴あけ時の粉塵の飛散を低減できる。更に、突出部322がエラストマ製であるから、施工面800に突出部322を密に接触させることが可能となる。よって、施工面800への穴あけ時の粉塵の飛散を更に低減できる。
【0017】
また、カバー30は、図3に示すように、本体部50に取り付けられて、1以上の切削具40を囲う。カバー30は、図9に示すように、カバー30の一部(ボディ30a)を、本体部50に保持された1以上の切削具40と干渉せずに、本体部50に取り外し可能に取り付け可能とする着脱構造を有する。
【0018】
施工面800への穴あけの際には、1以上の切削具40の交換作業が必要になる場合がある。カバー30は、着脱構造によって、カバー30の一部(ボディ30a)を、本体部50に保持された1以上の切削具40と干渉せずに、本体部50から取り外し可能である。そのため、1以上の切削具40の交換作業の際に、カバー30を本体部50から完全に取り外さなくても、カバー30の一部を本体部50から取り外せばよい。したがって、カバー30によれば、1以上の切削具40の交換作業の容易化が図れる。
【0019】
また、カバー30は、図9に示すように、ボディ30aと、目印部34と、を備える。ボディ30aは、カバー本体31を含む。カバー本体31は、第1開口31a及び第2開口31bを有する。カバー本体31は、第1開口31aの第1周縁部311を施工面800に向けて第2開口31bの第2周縁部312で本体部50に取り付けられて、1以上の切削具40を囲う。目印部34は、施工面800における穴の形成予定位置への1以上の切削具40の位置合わせのためのものである。
【0020】
施工面800への穴あけの際には、施工面800における穴の形成予定位置への1以上の切削具40の位置合わせの作業が必要になる場合がある。カバー30は、目印部34を有しており、目印部34を利用して、1以上の切削具40の形成予定位置への位置合わせが可能となる。したがって、カバー30によれば、施工面800の穴の形成予定位置への切削具40の位置合わせの作業の容易化が図れる。
【0021】
(1-2)詳細
以下、本実施形態に係る穴あけ装置10について図面を参照して詳しく説明する。
【0022】
穴あけ装置10は、施工面800に穴を形成するための装置である。図1に示すように、穴あけ装置10は、電動工具900に取り付けられ、電動工具900からの動力によって、施工面800に穴を形成する。電動工具900は、本実施形態では、ドリルドライバである。電動工具900は、インパクトドライバその他の工具であり得る。
【0023】
穴あけ装置10は、図1に示すように、穴あけ工具20と、カバー30と、を備える。
【0024】
穴あけ工具20は、図2に示すように、1以上(本実施形態では2つ)の切削具40と、ドリル41と、本体部50と、を備える。
【0025】
切削具40は、施工面800に穴を形成するために用いられる。切削具40は、カッタである。
【0026】
ドリル41は、施工面800に穴を形成する際に、施工面800から切削具40によって分離される部位を保持するために用いられる。
【0027】
本体部50は、切削具40を保持し、電動工具900に取り付けられて電動工具900からの動力を切削具40に伝達する。本体部50は、図3に示すように、主軸51と、保持部52と、基部53と、を備える。
【0028】
主軸51は、電動工具900からの動力を切削具40に伝達するための軸である。本実施形態では電動工具900からの動力によって、主軸51はその軸の周りに回転する。主軸51は、第1端(図3の下端)及び第2端(図3の上端)を有する。主軸51は、第1端に、取付部51aを有する。取付部51aは、電動工具900に取り付け可能な形状である。
【0029】
保持部52は、2つの切削具40を取り外し可能に保持する。これによって、切削具40の交換作業の容易化が図れる。保持部52は、ドリル41を取り外し可能に保持する。保持部52は、図2に示すように、カバー30で囲われる空間にある。
【0030】
保持部52は、図2に示すように、主軸521と、2つのアーム522と、ハンドル523と、を備える。
【0031】
主軸521は、主軸51の第2端(図3の上端)に取り付けられる。主軸521は、主軸51とともに回転する。また、主軸521は、主軸51とは反対側でドリル41を保持する。
【0032】
2つのアーム522は、2つの切削具40をそれぞれ保持する。各アーム522は、長さを有する。切削具40は取り外し可能にアーム522の長さ方向の一端に取り付けられる。本実施形態では、切削具40はアーム522にねじ止めされる。2つのアーム522は、図7に示すように、主軸521の両側に、また、2つのアーム522は、主軸521の軸に対して回転対称となるように配置されている。したがって、穴あけ工具20によれば、2つの切削具40によって、正円の穴を施工面800にあけることが可能となる。本実施形態では、2つのアーム522は、所定方向に沿って移動可能に取り付けられる。所定方向は、主軸521の軸(主軸521の回転軸)に直交する方向(図7では左右方向)である。2つのアーム522は、図7における、実線の位置と、破線の位置との間で、所定方向に沿って移動可能である。2つのアーム522を所定方向に沿って移動させることで、2つの切削具40間の距離を調整することが可能である。
【0033】
ハンドル523は、2つのアーム522の位置を固定するための部材である。ハンドル523を締め付けることで、2つのアーム522の主軸521に対する移動が禁止される。ハンドル523を緩めることで、2つのアーム522の主軸521に対する移動が可能となる。したがって、ハンドル523を緩めて2つのアーム522を移動させ、ハンドル523を締め付けることで、2つのアーム522で保持された2つの切削具40の位置を調整することができる。したがって、保持部52は、1以上の切削具40の位置を調整する調整部としての役割を有する。図1図3に示すように、調整部(保持部52)は、カバー30で囲われる空間にある。この構成によれば、1以上の切削具40の調整作業の容易化が図れる。
【0034】
基部53は、主軸521をその軸周りに回転可能に保持する。基部53は、図3及び図8に示すように、本体部54と、外殻部55と、を備える。
【0035】
本体部54は、筒部541と、フランジ部542と、複数(本実施形態では3つ)の結合部543と、を備える。筒部541は、主軸521をその軸周りに回転可能に保持する。筒部541の中心軸と主軸521の軸とは一致している。フランジ部542は、筒部541の一端から外方に突出する。フランジ部542は、外形が円形状である。結合部543は、フランジ部542から保持部52とは反対側に突出し、先端にねじ穴を有する。
【0036】
外殻部55は、筒部551と、フランジ部552とを備える。筒部551は、本体部54の筒部541を囲う筒状である。フランジ部552は、筒部551の一端から外方に突出する。フランジ部552は、外形が円形状である。フランジ部552は、複数の結合部543にそれぞれ対応する複数の結合穴552aを有する。
【0037】
外殻部55を本体部54に取り付けるにあたっては、筒部551の内側に本体部54の筒部541を挿入し、フランジ部552を本体部54のフランジ部542に対向させる。そして、ねじS11を結合穴522aを通して本体部54の結合部543のねじ穴に挿入する。これによって本体部54に外殻部55が固定される。なお、本体部54のフランジ部542と外殻部55のフランジ部552との間には、後述するカバー30のベース33が配置される。
【0038】
カバー30は、穴あけ工具20用のカバーである。特に、カバー30は、施工面800への穴あけ時の粉塵の飛散の低減を目的として穴あけ工具20に取り付けられる。カバー30は、図4及び図5に示すように、カバー本体31と、シールド32と、ベース33と、複数(本実施形態では4つ)の目印部34と、を備える。カバー30において、カバー本体31とシールド32とは、ボディ30aを構成する。また、カバー30と穴あけ工具20の本体部50とは、カバー装置60を構成する(図1参照)。
【0039】
カバー本体31は、図4及び図5に示すように、筒状である。特に、カバー本体31は、円筒状である。カバー本体31は、直径(半径)がカバー本体31の高さによらずほぼ一定である。そのため、カバー本体31がドーム状である場合に比べれば、カバー本体31の小型化が図れる。
【0040】
カバー本体31は、図4及び図5に示すように、第1開口31a及び第2開口31bを有する。第1開口31a及び第2開口31bは、カバー本体31の軸方向の両側の開口である。カバー本体31において、第2開口31bは、図7に示すように、切削具40及び保持部52をまとめて通す大きさである。そのため、穴あけ工具20の切削具40及び保持部52は、第2開口31bを通してカバー本体31内に挿入可能である。第1開口31aは、第2開口31b以上の大きさである。この構成によれば、1以上の切削具40の交換作業の容易化が図れる。
【0041】
カバー本体31は、第1開口31aの周縁部である第1周縁部311と、第2開口31bの周縁部である第2周縁部312とを有する。第1周縁部311及び第2周縁部312は、円環状である。第1周縁部311に、一対の嵌合部(第2嵌合部)311aを有する。第2嵌合部311aは、シールド32のカバー本体31に対する位置ずれの低減に利用される。一対の第2嵌合部311aは、カバー本体31の中心軸に対して点対称となる位置にある。第2嵌合部311aは、第1周縁部311に形成された切り欠きであり、凹部である。
【0042】
カバー本体31は、その外側面の第1開口31a側の端部に、取付溝313を有する。取付溝313は、カバー本体31の外側面を、カバー本体31の軸の周りに一周する。取付溝313は、シールド32のカバー本体31への取り付けに利用される。
【0043】
カバー本体31は、その内側面の第2開口31b側の端部に、複数の結合部314を有する。複数の結合部314は、カバー本体31とベース33との結合に利用される。複数の結合部314は、本実施形態ではめねじを構成する。複数の結合部314は、カバー30の一部(ボディ30a)を、本体部50に保持された切削具40と干渉せずに、本体部50に取り外し可能に取り付け可能とする着脱構造の一部となる。
【0044】
カバー本体31は、複数の突起315を有する。複数の突起323の各々は、第1開口31aから第2開口31bに向かう方向(カバー本体31の軸方向)に沿って延びる直線状である。各突起315は、目印部34を構成する。複数の突起315は、カバー本体31の外側面にある。特に、複数の突起315は、カバー本体31の第1開口31a側の端部にある。
【0045】
カバー本体31は、第1開口31aの第1周縁部311を施工面800に向けて第2開口31bの第2周縁部312で本体部50に取り付けられて、切削具40を囲う。
【0046】
カバー本体31は、透明である。カバー本体31は、透明な樹脂材料により形成される。そのため、カバー本体31を通して切削具40の視認が可能となるから、施工面800への穴あけの作業性の向上が図れる。また、カバー本体31を通して切削具40の視認が可能となるから、1以上の切削具40の交換作業の容易化が図れる。
【0047】
シールド32は、図4及び図5に示すように、枠状である。特に、シールド32は、円形の枠状である。シールド32は、開口32aを有する。本実施形態では、カバー本体31とシールド32とは、別体である。シールド32は、カバー本体31に取り外し可能に取り付けられる。そのため、シールド32の交換が容易になる。
【0048】
シールド32は、図4及び図5に示すように、緩衝部321と、突出部322と、複数の突起323と、を有する。
【0049】
緩衝部321は、カバー本体31の第1周縁部311を覆う。緩衝部321は、カバー本体31の第1開口31aを露出させる。緩衝部321は、枠状である。特に、緩衝部321は、円形の枠状である。この緩衝部321によれば、施工面800への穴あけ時のカバー30との接触による施工面800の損傷の可能性を低減できる。
【0050】
緩衝部321は、カバー本体31側の面(図5の下面)に、溝321aを有する。溝321aは、図5及び図6に示すように、緩衝部321の全周に亘る環状の溝である。溝321aは、カバー本体31の第1周縁部311が取り外し可能に嵌る形状である。このように、シールド32(緩衝部321)は、カバー本体31の第1周縁部311が取り外し可能に嵌る溝321aを有する。この構成によれば、シールド32(緩衝部321)の交換が容易になる。本実施形態では、カバー本体31の第1周縁部311を緩衝部321の溝321aに嵌める際には、図3に示すように緩衝部321の一部がカバー本体31の取付溝313に嵌る。これによって、緩衝部321のカバー本体31からの抜け止めが図られる。
【0051】
緩衝部321は、一対の嵌合部(第1嵌合部)321bを有する。第1嵌合部321bは、シールド32のカバー本体31に対する位置ずれの低減に利用される。一対の第1嵌合部321bは、緩衝部321の中心軸に対して点対称となる位置にある。一対の第1嵌合部321bの各々は、溝321aの底面から突出する突起である。一対の第1嵌合部321bは、第1周縁部311にある一対の第2嵌合部311aと嵌合する形状である。緩衝部321の溝321aにカバー本体31の第1周縁部311を嵌める際に、一対の第1嵌合部321bと一対の第2嵌合部311aとがそれぞれ嵌合する(図3参照)。これによって、第1嵌合部321bと第2嵌合部311aとは、カバー本体31の第1周縁部311の周方向において互いに当接する。この構成によれば、シールド32のカバー本体31からの位置ずれを低減できる。緩衝部321は、少なくとも緩衝部321において第1周縁部311と施工面800との間に位置する部位(被覆部位)で、突出部322よりも厚い。そのため、緩衝部321は、突出部322よりも、衝撃吸収性能が高い。なお、本実施形態では、被覆部位は、施工面800に穴を形成する際に、第1周縁部311における一対の第2嵌合部311aを除く部分と、施工面800との間に位置することになる部位である。換言すれば、被覆部位は、緩衝部321において、第1周縁部311に対向する面(溝321aの底面)と、施工面800に対向する面との間の部位である。
【0052】
突出部322は、図4及び図5に示すように、カバー本体31の第1周縁部311の全体からカバー本体31の内側に突出する。本実施形態では、突出部322は、カバー本体31の第1周縁部311から直接的に突出せず、緩衝部321から突出することで、間接的に第1周縁部311からカバー本体31の内側に突出する。突出部322で囲まれた空間が、シールド32の開口32aとなる。この突出部322によれば、施工面800への穴あけ時の粉塵の飛散を低減できる。
【0053】
突出部322は、図3図5に示すように、外側面322a及び内側面322bを有する。外側面322a及び内側面322bは、突出部322の厚み方向の両面である。外側面322aは、突出部322において、第2開口31bとは反対側を向いた面(図3及び図4における上面)である。図3に示すように、外側面322aは、カバー本体31の内側に向かうほど第2開口31bから離れるように傾斜する。この構成によれば、施工面800に突出部322を密に接触させることが可能となるから、施工面800への穴あけ時の粉塵の飛散を更に低減できる。内側面322bは、突出部322において、第2開口31b側を向いた面(図3及び図5における下面)である。図3に示すように、内側面322bは、カバー本体31の内側に向かうほど第2開口31bから離れるように傾斜する。この構成によれば、突出部322が粉塵に接触しやすくなるから、施工面800への穴あけ時の粉塵の飛散を更に低減できる。
【0054】
突出部322は、緩衝部321と連続一体に形成される。そのため、シールド32の構造を簡素化できる。シールド32は、カバー本体31よりも弾性率が低い。本実施形態では、シールド32は、カバー本体31の材料よりも弾性率が低い材料により形成される。本実施形態では、シールド32は、エラストマにより形成される。つまり、緩衝部321は、エラストマ製である。突出部322は、エラストマ製である。エラストマの例としては、熱硬化性エラストマと、熱可塑性エラストマとが挙げられる。熱硬化性エラストマの例としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、天然ゴムが挙げられる。熱可塑性エラストマの例としては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミドが挙げられる。突出部322は、カバー本体31よりも弾性率が低い。したがって、施工面800に突出部322を密に接触させることが可能となるから、施工面800への穴あけ時の粉塵の飛散を更に低減できる。緩衝部321は、カバー本体31よりも弾性率が低い。したがって、カバー30;30Aとの接触による施工面800の損傷の可能性を更に低減できる。更に、カバー本体31の第1周縁部311を緩衝部321の溝321aに嵌める作業が行いやすくなるから、シールド32(緩衝部321)の交換が容易になる。
【0055】
複数の突起323は、第1開口31aから第2開口31bに向かう方向(カバー本体31の軸方向)に沿って延びる直線状である。各突起323は、目印部34を構成する。複数の突起323は、緩衝部321の外側面にある。特に、複数の突起323は、緩衝部321に連続一体に形成されている。
【0056】
ベース33は、穴あけ工具20の本体部50に取り付けられる部分である。
【0057】
ベース33は、透明である。ベース33は、透明な樹脂材料により形成される。そのため、ベース33を通して切削具40の視認が可能となるから、施工面800への穴あけの作業性の向上が図れる。また、ベース33を通して切削具40の視認が可能となるから、1以上の切削具40の交換作業の容易化が図れる。
【0058】
ベース33は、図4及び図5に示すように、底部330と、周壁部331と、を有する。底部330は、枠状である。特に、底部330は、円形の枠状である。底部330は、中央に開口330aを有する。また、底部330は、複数(本実施形態では、3つ)の貫通孔330bを有する。各貫通孔330bは、結合穴522aからのねじS11を結合部543のねじ穴に挿入可能とする(図8参照)。周壁部331は、底部330の外周からカバー本体31側に突出する。周壁部331は、筒状である。特に、周壁部331は、円筒状である。周壁部331は、その外側面に、複数の結合部332を有する。複数の結合部332は、カバー本体31とベース33との結合に利用される。複数の結合部332は、本実施形態では、おねじを構成する。ベース33の周壁部331を、カバー本体31の第2開口31bにねじ入れることで、複数の結合部(おねじ)332と複数の結合部(めねじ)314とがかみ合い、ベース33とカバー本体31との結合が達成される。この結合はねじの原理を利用しており、ベース33とカバー本体31とは取り外し可能である。上述したように、カバー本体31において、第2開口31bは、切削具40及び保持部52をまとめて通す大きさである。そのため、ベース33とカバー本体31とは、カバー30の一部(カバー本体31及びシールド32を含むボディ30a)を、本体部50に保持された切削具40及び本体部50が取り付けられた電動工具900と干渉せずに、取り外し可能に取り付け可能である。
【0059】
カバー30では、カバー本体31の複数の結合部314とベース33の複数の結合部332とが、着脱構造を構成する。着脱構造は、カバー30の一部(カバー本体31及びシールド32を含むボディ30a)を、本体部50に保持された切削具40と干渉せずに、本体部50に取り外し可能に取り付け可能とする構造である。この着脱構造によれば、1以上の切削具40の交換作業の容易化が図れる。着脱構造は、カバー30の一部(カバー本体31及びシールド32を含むボディ30a)を、本体部50が取り付けられた電動工具900と干渉せずに、本体部50に取り外し可能に取り付け可能とする。したがって、1以上の切削具40の交換作業の更なる容易化が図れる。
【0060】
カバー30の一部は、第1開口31a及び第2開口31bを有する部位を含む。本実施形態では、当該部位は、カバー本体31である。当該部位(カバー本体31)は、第1開口31aの第1周縁部311を施工面800に向けて第2開口31bの第2周縁部312で本体部50に取り外し可能に取り付けられて1以上の切削具40を囲う。第2開口31bは、1以上の切削具40及び保持部52をまとめて通す大きさである。この構成によれば、1以上の切削具40の交換作業の容易化が図れる。カバー30は、第1部位と、第2部位と、備える。第1部位は、本体部50に取り付けられる部位である。第2部位は、本体部50に保持された1以上の切削具40と干渉せずに、第1部位に取り外し可能に取り付けられる部位である。本実施形態では、第1部位は、ベース33であり、第2部位は、カバー本体31(又はカバー本体31及びシールド32を含むボディ30a)である。この構成によれば、1以上の切削具40の交換作業の容易化が図れる。
【0061】
目印部34は、施工面800における穴の形成予定位置への切削具40の位置合わせのためのものである。この目印部34によれば、施工面800の穴の形成予定位置への切削具40の位置合わせの作業の容易化が図れる。本実施形態では、カバー30は、複数(4つ)の目印部34を備える。そのため、切削具40の位置合わせの作業の更なる容易化が図れる。特に、4つの目印部34は、ボディ30aの周方向に等間隔で設けられている。
【0062】
目印部34は、ボディ30aの外側面にある。ボディ30aは、カバー本体31とシールド32(特に緩衝部321)とで構成される。この目印部34によれば、目印部34の視認性の向上が図れる。目印部34は、少なくともカバー本体31の第1開口31a側の端部にある。この目印部34によれば、目印部34を施工面800に近付けることができるから、切削具40の位置合わせの作業の更なる容易化が図れる。
【0063】
本実施形態では、図2に示すように、目印部34は、カバー本体31と緩衝部321とに跨る。この目印部34によれば、施工面800への穴あけ時のカバー30;30Aとの接触による施工面800の損傷の可能性を低減しながらも、切削具40の位置合わせの作業の更なる容易化が図れる。
【0064】
より詳細には、目印部34は、図2に示すように、カバー本体31の突起315と、シールド32の突起323とで構成される。より詳細には、目印部34は、第1開口31aから第2開口31bに向かう方向(カバー本体31の軸方向)において並ぶ突起315,323とで構成される。したがって、目印部34は、第1開口31aから第2開口31bに向かう方向に沿って延びる直線状である。ここで、目印部34は、最も幅が狭い部位で幅が0.5mm~3mmの範囲である。なお、目印部34は、最も幅が狭い部位で幅が2mm以下、1.5mm以下、1mm以下であってもよい。また、目印部34は、最も幅が狭い部位で幅が0.5mm~3mmの範囲外であってもよい。この構成によれば、切削具40の位置合わせの作業の更なる容易化が図れる。このように、各目印部34は、カバー本体31に連続一体に形成された第1部位(突起315)と、緩衝部321に連続一体に形成された第2部位(突起323)と、で構成される。この目印部34によれば、目印部34の視認性の向上が図れる。上述したように、カバー30では、カバー本体31とシールド32(緩衝部321)との位置ずれが低減されているから、目印部34の突起315,323同士がずれることも低減される。
【0065】
(1-3)組み立て
次に、本実施形態の穴あけ装置10の組み立て方法、特に、カバー30を、穴あけ工具20に取り付ける方法について図8及び図9を参照して簡単に説明する。
【0066】
カバー30を、穴あけ工具20に取り付けるにあたっては、カバー本体31をベース33から取り外す。なお、カバー本体31には予めシールド32が取り付けられていてよい。この場合には、カバー本体31はボディ30aと読み替えることができる。
【0067】
まず、ベース33を穴あけ工具20に取り付ける。ベース33を穴あけ工具20に取り付けるにあたっては、穴あけ工具20の基部53の本体部54から外殻部55を取り外す。次に、図8に示すように、ベース33を本体部54と外殻部55との間に配置する。より詳細には、ベース33の底部330の開口330aに、本体部54の筒部541を挿入する。次に、外殻部55の筒部551に本体部54の筒部541を挿入し、外殻部55のフランジ部552と本体部54のフランジ部542との間に、ベース33の底部330を配置する。そして、ねじS11を結合穴522a及び貫通孔330bを通して本体部54の結合部543のねじ穴に挿入する。これによって本体部54に外殻部55が固定されるとともに、本体部54のフランジ部542と外殻部55のフランジ部552との間には、カバー30のベース33が配置される。
【0068】
次に、カバー本体31をベース33に取り付ける。このとき、穴あけ工具20の切削具40及び保持部52は、第2開口31bを通してカバー本体31内に挿入する。その後、ベース33の周壁部331を、カバー本体31の第2開口31bにねじ入れることで、複数の結合部(おねじ)332と複数の結合部(めねじ)314とがかみ合い、カバー本体31がベース33に取り付けられる。
【0069】
このようにして、図1に示すような穴あけ装置10が組み立てられる。
【0070】
(1-4)交換
次に、本実施形態の穴あけ装置10の切削具40の交換方法について図9を参照して簡単に説明する。切削具40の交換の際には、カバー本体31をベース33に対して回転させて、複数の結合部(おねじ)332と複数の結合部(めねじ)314との結合を解除することで、カバー本体31をベース33から取り外す。そして、切削具40を本体部50の保持部52から取り外して、新しい切削具40を保持部52に取り付ければよい。この後には、穴あけ工具20の切削具40及び保持部52は、第2開口31bを通してカバー本体31内に挿入し、ベース33の周壁部331を、カバー本体31の第2開口31bにねじ入れることで、カバー本体31がベース33に取り付けられる。したがって、カバー30のベース33を、穴あけ工具20から取り外さなくてもよい。
【0071】
(2)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0072】
図10は、一変形例のカバー30Aを示す。カバー30Aは、カバー30とは異なる目印部34Aを有する。
【0073】
目印部34Aは、目印部34と同様に、施工面800における穴の形成予定位置への切削具40の位置合わせのためのものである。より詳細には、目印部34Aは、図10に示すように、カバー本体31Aの溝315Aと、シールド32Aの溝323Aとで構成される。より詳細には、目印部34Aは、第1開口31aから第2開口31bに向かう方向(カバー本体31Aの軸方向)において並ぶ溝315A,323Aとで構成される。したがって、目印部34Aは、第1開口31aから第2開口31bに向かう方向に沿って延びる直線状である。ここで、目印部34Aは、最も幅が狭い部位で幅が0.5mm~3mmの範囲である。この構成によれば、切削具40の位置合わせの作業の更なる容易化が図れる。このように、各目印部34Aは、カバー本体31Aに連続一体に形成された第1部位(溝315A)と、緩衝部321に連続一体に形成された第2部位(溝323A)と、で構成される。この目印部34によれば、目印部34の視認性の向上が図れる。
【0074】
カバー30Aにおいて、カバー本体31Aも、カバー本体31と同様に透明である。カバー本体31Aは、カバー30において透明な部位(透明部)である。電動工具900は、作業補助のための光源を備える場合がある。電動工具900が光源を備える場合、光源からの光は、カバー本体31Aの第2周縁部312近傍からカバー本体31A内に入射し、カバー本体31A内を伝播する。目印部34Aの溝315Aは、カバー本体31A(透明部)に形成されて、カバー本体31A(透明部)に入射した光を出射させる光出射部として機能する。つまり、電動工具900の光源からの光によって、目印部34Aの光出射部(溝315A)が光って見えるから、目印部34Aをカバー本体31Aよりも目立たせることができる。この目印部34Aによれば、目印部34Aの視認性の向上が図れる。特に、光出射部は、透明部31Aに形成された溝315Aを含むから、簡単な構成で目印部34Aの視認性の向上が図れる。
【0075】
以下に、その他の変形例について列挙する。
【0076】
一変形例では、穴あけ工具20は、必ずしも、上記実施形態の構成に限定されない。穴あけ工具20では、切削具40の数は特に限定されず、2ではなく、1又は3以上であってもよい。切削具40の形状もカッタに限定されず、ホルソーであってもよい。ドリル41は必須ではない。穴あけ工具20は、切削具40の位置を調整する調整部を備えていなくてもよい。穴あけ工具20は、正円の穴をあける工具に限定されず、楕円その他所望の形状の穴をあけることが可能な工具であってよい。
【0077】
一変形例では、カバー30において、カバー本体31及びベース33は、必ずしも透明でなくてもよい。カバー本体31、シールド32、及びベース33は、平面視において、必ずしも、円形状でなくてもよく、楕円形状、多角形状であってもよい。シールド32も透明であってもよい。
【0078】
一変形例では、シールド32は、必ずしも、カバー本体31に取り外し可能に取り付けられなくてもよく、カバー本体31に連続一体に形成されてもよいし、取り外し不可能に取り付けられてもよい。
【0079】
一変形例では、シールド32は、必ずしもカバー本体31よりも弾性率が低くなくてもよい。突出部322は、緩衝部321と連続一体に形成されていなくてもよい。シールド32は、緩衝部321を有していなくてもよい。シールド32は、突出部322のみから構成されていてもよい。この場合、シールド32と突出部322とは同一である。突出部322は、カバー本体31の第1周縁部311から直接的に突出することになる。
【0080】
一変形例では、突出部322は、必ずしもカバー本体31の第1周縁部311の全体からカバー本体31の内側に突出する必要はない。突出部322は、カバー本体31の第1周縁部311の少なくとも一部からカバー本体31の内側に突出していてよい。突出部322は、カバー本体31の第1周縁部311の少なくとも半分からカバー本体31の内側に突出しているとよい。カバー30は、複数の突出部322を備えてもよい。複数の突出部322は、第1周縁部311の少なくとも半分を占めるとよい。第1周縁部311の少なくとも一部に突出部322があれば、施工面800への穴あけ時の粉塵の飛散の低減の効果が期待できる。突出部322の外側面322a及び内側面322bは、カバー本体31の内側に向かうほど第2開口31bから離れるように傾斜していなくてもよい。
【0081】
一変形例では、着脱構造は、必ずしも、カバー本体31の複数の結合部314とベース33の複数の結合部332とで構成されている必要はない。上記実施形態では、着脱構造は、ねじを利用しているが、スナップフィット構造、バヨネット構造等の物理的な結合構造、又は、磁石を利用した磁気的な結合構造を利用したものであってもよい。
【0082】
一変形例では、目印部34の数は特に限定されず、4未満でも4超過であってもよい。複数の目印部34は、ボディ30aの周方向に等間隔で設けられていなくてもよい。目印部34は、突起や溝等の立体的な形状ではなく、ボディ30aへの印刷やシールの貼付によって設けられてもよい。目印部34は、必ずしも、カバー本体31と緩衝部321とに跨る必要はなく、カバー本体31と緩衝部321との一方にだけあってもよい。目印部34は、カバー本体31の第1開口31a側の端部になくてもよい。目印部34は、必ずしも、第1開口31aから第2開口31bに向かう方向に沿って延びる直線状である必要はなく、第1開口31aから第2開口31bに向かう方向に交差する方向沿って延びる直線状であってもよい。目印部34は、幅が均一であってもよいし、長さ方向に沿って幅が変化してよい。目印部34は、三角形や矢印等の種々の形状を取り得る。
【0083】
一変形例では、カバー30は、突出部322を備えていなくてもよい。カバー30は、着脱構造を備えていなくてもよい。
【0084】
(3)態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0085】
第1の態様は、穴あけ工具(20)用のカバー(30;30A)である。前記穴あけ工具(20)は、施工面(800)に穴を形成するための1以上の切削具(40)と、前記1以上の切削具(40)を保持し、電動工具(900)に取り付けられて前記電動工具(900)からの動力を前記1以上の切削具(40)に伝達する本体部(50)と、を備える。前記カバー(30;30A)は、ボディ(30a)と、目印部(34;34A)と、を備える。前記ボディ(30a)は、カバー本体(31;31A)を含む。前記カバー本体(31;31A)は、第1開口(31a)及び第2開口(31b)を有する。前記前記カバー本体(31;31A)は、前記第1開口(31a)の第1周縁部(311)を前記施工面(800)に向けて前記第2開口(31b)の第2周縁部(312)で前記本体部(50)に取り付けられて、前記1以上の切削具(40)を囲う。前記目印部(34;34A)は、前記施工面(800)における穴の形成予定位置への前記1以上の切削具(40)の位置合わせのためのものである。この態様によれば、施工面(800)の穴の形成予定位置への切削具(40)の位置合わせの作業の容易化が図れる。
【0086】
第2の態様は、第1の態様に基づくカバー(30;30A)である。第2の態様では、前記目印部(34;34A)は、前記ボディ(30a)の外側面にある。この態様によれば、目印部(34;34A)の視認性の向上が図れる。
【0087】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づくカバー(30;30A)である。第3の態様では、前記目印部(34;34A)は、少なくとも前記カバー本体(31;31A)の第1開口(31a)側の端部にある。この態様によれば、目印部(34;34A)を施工面(800)に近付けることができるから、切削具(40)の位置合わせの作業の更なる容易化が図れる。
【0088】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つに基づくカバー(30;30A)である。第4の態様では、前記ボディ(30a)は、前記カバー本体(31;31A)の第1周縁部(311)を覆う緩衝部(321)を更に備える。前記目印部(34;34A)は、前記カバー本体(31;31A)と前記緩衝部(321)とに跨る。この態様によれば、施工面(800)への穴あけ時のカバー(30;30A)との接触による施工面(800)の損傷の可能性を低減しながらも、切削具(40)の位置合わせの作業の更なる容易化が図れる。
【0089】
第5の態様は、第4の態様に基づくカバー(30;30A)である。第5の態様では、前記緩衝部(321)は、前記カバー本体(31;31A)よりも弾性率が低い。この態様によれば、カバー(30;30A)との接触による施工面(800)の損傷の可能性を更に低減できる。
【0090】
第6の態様は、第4又は第5の態様に基づくカバー(30;30A)である。第6の態様では、前記目印部(34;34A)は、前記カバー本体(31;31A)に連続一体に形成された第1部位(315;315A)と、前記緩衝部(321)に連続一体に形成された第2部位(323;323A)と、で構成される。この態様によれば、目印部(34;34A)の視認性の向上が図れる。
【0091】
第7の態様は、第5又は第6の態様に基づくカバー(30;30A)である。第7の態様では、前記緩衝部(321)は、第1嵌合部(321b)を有する。前記カバー本体(31;31A)は、第2嵌合部(311a)を有する。前記第1嵌合部(321b)と前記第2嵌合部(311a)とは、前記カバー本体(31;31A)の第1周縁部(311)の周方向において互いに当接する。この態様によれば、緩衝部(321)のカバー本体(31;31A)からの位置ずれを低減できる。
【0092】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つに基づくカバー(30A)である。第8の態様では、前記ボディ(30a)は、透明部(31A)を含む。前記目印部(34A)は、前記透明部(31A)に形成されて前記透明部(31A)に入射した光を出射させる光出射部(315A)を含む。この態様によれば、目印部(34A)の視認性の向上が図れる。
【0093】
第9の態様は、第8の態様に基づくカバー(30A)である。第9の態様では、前記光出射部(315A)は、前記透明部(31A)に形成された溝を含む。この態様によれば、簡単な構成で目印部(34A)の視認性の向上が図れる。
【0094】
第10の態様は、第1~第9の態様のいずれか一つに基づくカバー(30;30A)である。第10の態様では、前記カバー本体(31;31A)は、筒状である。この態様によれば、カバー本体(31;31A)の小型化が図れる。
【0095】
第11の態様は、第1~第10の態様のいずれか一つに基づくカバー(30;30A)である。第11の態様では、前記目印部(34;34A)は、前記第1開口(31a)から前記第2開口(31b)に向かう方向に沿って延びる直線状である。この態様によれば、切削具(40)の位置合わせの作業の更なる容易化が図れる。
【0096】
第12の態様は、第11の態様に基づくカバー(30;30A)である。第12の態様では、前記目印部(34;34A)は、最も幅が狭い部位で幅が0.5mm~3mmの範囲である。この態様によれば、切削具(40)の位置合わせの作業の更なる容易化が図れる。
【0097】
第13の態様は、第1~第12の態様のいずれか一つに基づくカバー(30;30A)である。第13の態様では、前記カバー(30;30A)は、複数の前記目印部(34;34A)を備える。この態様によれば、切削具(40)の位置合わせの作業の更なる容易化が図れる。
【0098】
第14の態様は、カバー装置(60)であって、第1~第13の態様のいずれか一つに基づくカバー(30;30A)と、前記本体部(50)と、を備える。この態様によれば、施工面(800)の穴の形成予定位置への切削具(40)の位置合わせの作業の容易化が図れる。
【0099】
第15の態様は、穴あけ装置(10)であって、第1~第13の態様のいずれか一つのカバー(30;30A)と、前記穴あけ工具(20)と、を備える。この態様によれば、施工面(800)の穴の形成予定位置への切削具(40)の位置合わせの作業の容易化が図れる。
【符号の説明】
【0100】
10 穴あけ装置
20 穴あけ工具
30,30A カバー
30a ボディ
31,31A カバー本体(透明部)
31a 第1開口
31b 第2開口
311 第1周縁部
311a 第2嵌合部
312 第2周縁部
315 突起(第1部位)
315A 溝(第1部位、光出射部)
321 緩衝部
321b 第1嵌合部
323 突起(第2部位)
323 溝(第2部位)
34,34A 目印部
40 切削具
50 本体部
60 カバー装置
800 施工面
900 電動工具
図1
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図10