IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-撮像装置 図1
  • 特許-撮像装置 図2
  • 特許-撮像装置 図3
  • 特許-撮像装置 図4
  • 特許-撮像装置 図5
  • 特許-撮像装置 図6
  • 特許-撮像装置 図7
  • 特許-撮像装置 図8
  • 特許-撮像装置 図9
  • 特許-撮像装置 図10
  • 特許-撮像装置 図11
  • 特許-撮像装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
H01L27/146 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020140191
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2021044542
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】62/896,503
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好弘
(72)【発明者】
【氏名】柴田 聡
(72)【発明者】
【氏名】境田 良太
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029399(JP,A)
【文献】特開2014-007316(JP,A)
【文献】国際公開第2013/190759(WO,A1)
【文献】特開2017-130626(JP,A)
【文献】特開2014-060199(JP,A)
【文献】特開2006-086232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、光電変換層、前記光電変換層で生成された電荷を収集する画素電極、および、前記画素電極に電気的に接続された第1不純物領域を有する複数の画素を含む撮像領域と、
前記撮像領域の外側に位置し、前記複数の画素を駆動する回路が設けられている周辺領域と、
前記撮像領域と前記周辺領域との間に位置する第1導電型の第2不純物領域、および、前記第2不純物領域に接続された複数の第1コンタクトプラグを有する遮断領域と
を備え
前記遮断領域は、
前記周辺領域と前記第2不純物領域との間に位置する第2導電型の第3不純物領域と、
前記第3不純物領域に設けられた複数の第2コンタクトプラグと
を含み、
前記第1不純物領域、前記第2不純物領域および前記第3不純物領域を有する半導体基板をさらに備え、
前記半導体基板は、前記半導体基板の内部において前記第1不純物領域よりも深い位置にある第2導電型の不純物層をさらに有し、
前記第3不純物領域は、前記不純物層と電気的に接続されており、
各画素は、前記第1不純物領域に電気的に接続された第3コンタクトプラグをその一部に含む導電部を有し、
前記導電部は、第1シリサイド層を含み、
前記画素電極は、前記導電部を介して前記第1不純物領域に電気的に接続され、
前記導電部は、前記第1シリサイド層と前記第1不純物領域との間に位置する第1カーボン含有層を含む、
撮像装置。
【請求項2】
それぞれが、光電変換層、前記光電変換層で生成された電荷を収集する画素電極、および、前記画素電極に電気的に接続された第1不純物領域を有する複数の画素を含む撮像領域と、
前記撮像領域の外側に位置し、前記複数の画素を駆動する回路が設けられている周辺領域と、
前記撮像領域と前記周辺領域との間に位置する第1導電型の第2不純物領域、および、前記第2不純物領域に接続された複数の第1コンタクトプラグを有する遮断領域と
を備え、
前記遮断領域は、
前記周辺領域と前記第2不純物領域との間に位置する第2導電型の第3不純物領域と、
前記第3不純物領域に設けられた複数の第2コンタクトプラグと
を含み
前記第1不純物領域、前記第2不純物領域および前記第3不純物領域を有する半導体基板をさらに備え、
前記半導体基板は、前記半導体基板の内部において前記第1不純物領域よりも深い位置にある第2導電型の不純物層をさらに有し、
前記第3不純物領域は、前記不純物層と電気的に接続されており、
各画素は、前記第1不純物領域に電気的に接続された第3コンタクトプラグをその一部に含む導電部を有し、
前記導電部は、第1シリサイド層を含み、
前記画素電極は、前記導電部を介して前記第1不純物領域に電気的に接続され、
前記半導体基板は、前記第1不純物領域と前記第コンタクトプラグとの間に位置する第カーボン含有層を有する、
像装置。
【請求項3】
前記第3不純物領域は、平面視において前記撮像領域を環状に取り囲んでいる、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記遮断領域は、
前記周辺領域と前記第3不純物領域との間に位置する第1導電型の第4不純物領域と、
前記第4不純物領域に設けられた複数の第コンタクトプラグと
を含む、請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記半導体基板は、前記不純物層を貫通する第1導電型の複数の第5不純物領域をさらに有する、請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数の第5不純物領域は、前記複数の第1コンタクトプラグの下方に位置する1以上の不純物領域であって、一端が前記第2不純物領域に接続された1以上の不純物領域を含む、請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記遮断領域は、前記複数の第1コンタクトプラグと前記第2不純物領域との間に位置する第カーボン含有層を有する、請求項からのいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記遮断領域は、平面視において前記撮像領域と前記複数の第1コンタクトプラグとの間に位置する素子分離を含む、請求項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第カーボン含有層の、前記半導体基板の深さ方向に関するカーボン濃度のピークは、前記素子分離の下端よりも浅い位置にある、請求項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記遮断領域は、前記複数の第1コンタクトプラグと前記第カーボン含有層との間に位置する第シリサイド層を有する、請求項からのいずれかに記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第シリサイド層は、ニッケルを含有する、請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第2不純物領域は、平面視において前記撮像領域を環状に取り囲んでいる、請求項1から11のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第1導電型は、P型である、請求項1から12のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項14】
光電変換層、前記光電変換層で生成された電荷を収集する画素電極、および、前記画素電極に電気的に接続された不純物領域を有する画素を備え、
前記画素は、前記不純物領域に電気的に接続されたコンタクトプラグをその一部に含む導電部を有し、
前記導電部は、シリサイド層を含み、
前記画素電極は、前記導電部を介して前記不純物領域に電気的に接続され、
前記導電部は、前記シリサイド層と前記不純物領域との間に位置するカーボン含有層を含む、
撮像装置。
【請求項15】
光電変換層、前記光電変換層で生成された電荷を収集する画素電極、および、前記画素電極に電気的に接続された不純物領域を有する画素と、
前記不純物領域を有する半導体基板と、
を備え、
前記画素は、前記不純物領域に電気的に接続されたコンタクトプラグをその一部に含む導電部を有し、
前記導電部は、シリサイド層を含み、
前記半導体基板は、前記不純物領域と前記コンタクトプラグとの間に位置するカーボン含有層を有する、
撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSイメージセンサに代表される半導体撮像素子が広く用いられている。半導体撮像素子は、複数の画素が形成された半導体基板を含む。半導体撮像素子の半導体基板は、例えば下記の特許文献1、2に記載されているように、一般に、複数の画素のアレイを含む撮像領域と、撮像領域の外側に位置する周辺領域とを有する。周辺領域には、画素を駆動するための回路が形成される。
【0003】
半導体撮像素子の各画素は、光電変換により得られる信号電荷を一時的に保持するための電荷蓄積領域を有する。この電荷蓄積領域は、半導体基板に形成された不純物領域をその一部に含む。画素に蓄積された信号電荷は、ソースフォロアなどの読出し回路により、蓄積された電荷量に応じたアナログ信号の形で外部に読み出される。したがって、画像を表現する信号電荷とは異なる電荷が電荷蓄積領域に流入すると、SN比が低下し、得られる画像に劣化が生じる。電荷蓄積領域へのこのような意図しない電荷の流入は、暗電流とも表現される。
【0004】
暗電流の原因の1つとして、アナログ動作する画素を含む撮像領域と、デジタル信号に基づいて動作する回路を含む周辺領域との間における電荷の移動が知られている。下記の特許文献1、2は、p型基板にn型のサイドウォール構造を形成した構成を開示している。n型のサイドウォール構造は、画素のアレイを取り囲み、画素のアレイと、周辺領域に形成された回路とを電気的に分離する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-029399号公報
【文献】米国特許出願公開第2007/0029590号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
撮像装置の分野では、ノイズ低減の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の限定的ではないある例示的な実施形態によれば、以下が提供される。
【0008】
それぞれが、光電変換層、前記光電変換層で生成された電荷を収集する画素電極、および、前記画素電極に電気的に接続された第1不純物領域を有する複数の画素を含む撮像領域と、前記撮像領域の外側に位置し、前記複数の画素を駆動する回路が設けられている周辺領域と、前記撮像領域と前記周辺領域との間に位置する第1導電型の第2不純物領域、および、前記第2不純物領域に接続された複数の第1コンタクトプラグを有する遮断領域とを備える撮像装置。
【0009】
包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システムまたは方法で実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、装置、モジュール、システムおよび方法の任意の組み合わせによって実現されてもよい。開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【発明の効果】
【0010】
本開示の実施形態によれば、暗電流などに起因するSN比の低下が抑制された撮像装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示のある実施形態による撮像装置の例示的な構成を模式的に示す図である。
図2図1に示す撮像装置100Aの例示的な回路構成を模式的に示す図である。
図3】撮像領域R1および周辺領域R2と、これらの間に位置する遮断領域200Aとを示す模式的な断面図である。
図4】遮断領域200Aを半導体基板130の法線方向から見たときの外観の一例を示す模式的な平面図であり、p型領域64bの配置の例を説明するための図である。
図5】遮断領域200Aを半導体基板130の法線方向から見たときの外観の他の一例を示す模式的な平面図であり、p型領域64bの配置の例を説明するための図である。
図6】遮断領域の形状の他の例を示す模式的な平面図である。
図7】本開示の他のある実施形態による撮像装置の例示的な構成を模式的に示す図である。
図8図7に示す撮像装置100Cに関する模式的な断面図である。
図9】本開示のさらに他のある実施形態による撮像装置に関する模式的な断面図である。
図10】本開示の実施形態による撮像装置の変形例を示す模式的な断面図である。
図11】本開示の実施形態による撮像装置の他の変形例を示す模式的な断面図である。
図12】本開示の実施形態による撮像装置のさらに他の変形例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一態様の概要は、以下のとおりである。
【0013】
[項目1]
それぞれが、光電変換層、光電変換層で生成された電荷を収集する画素電極、および、画素電極に電気的に接続された第1不純物領域を有する複数の画素を含む撮像領域と、
撮像領域の外側に位置し、複数の画素を駆動する回路が設けられている周辺領域と、
撮像領域と周辺領域との間に位置する第1導電型の第2不純物領域、および、第2不純物領域に接続された複数の第1コンタクトプラグを有する遮断領域と
を備える撮像装置。
【0014】
項目1の構成によれば、複数の画素を含む撮像領域と撮像領域の外側の周辺領域との間に、第2不純物領域および第2不純物領域に接続された複数の第1コンタクトプラグを有する遮断領域を配置しているので、例えば、第1不純物領域の形成された半導体基板の内部に生じた余分な電荷を遮断領域を介して排出することが可能である。したがって、信号電荷を一時的に保持する画素中の第1不純物領域と、周辺回路との間の静電的なカップリングを抑制でき、デジタルクロックを供給する信号線などをノイズ源とする暗電流を有利に抑制することができる。
【0015】
[項目2]
遮断領域は、
周辺領域と第2不純物領域との間に位置する第2導電型の第3不純物領域と、
第3不純物領域に設けられた複数の第2コンタクトプラグと
を含む、項目1に記載の撮像装置。
【0016】
[項目3]
第3不純物領域は、平面視において撮像領域を環状に取り囲んでいる、項目2に記載の撮像装置。
【0017】
[項目4]
遮断領域は、
周辺領域と第3不純物領域との間に位置する第1導電型の第4不純物領域と、
第4不純物領域に設けられた複数の第3コンタクトプラグと
を含む、項目2または3に記載の撮像装置。
【0018】
項目4の構成によれば、撮像領域に形成された回路と周辺回路との間の半導体基板を介した電気的な結合をより効果的に抑制可能である。
【0019】
[項目5]
第1不純物領域、第2不純物領域および第3不純物領域を有する半導体基板をさらに備え、
半導体基板は、半導体基板の内部において第1不純物領域よりも深い位置にある第2導電型の不純物層をさらに有し、
第3不純物領域は、半導体基板の表面に垂直な断面においてそれぞれが表面から不純物層に達する2つの部分を含む、項目2から4のいずれかに記載の撮像装置。
【0020】
項目5の構成によれば、複数の第2コンタクトプラグをウェルコンタクトとして機能させることができ、複数の第2コンタクトプラグを介して第2導電型の不純物層の電位を制御できる。また、画素の電荷蓄積領域として機能する複数の第1不純物領域への余計な電荷の移動をより効果的に抑制できる。
【0021】
[項目6]
半導体基板は、不純物層を貫通する第1導電型の複数の第5不純物領域をさらに有する、項目5に記載の撮像装置。
【0022】
項目6の構成によれば、不純物層によって隔てられた構造の間を第5不純物領域を介して電気的に接続することが可能になる。
【0023】
[項目7]
複数の第5不純物領域は、複数の第1コンタクトプラグの下方に位置する1以上の不純物領域であって、一端が第2不純物領域に接続された1以上の不純物領域を含む、項目6に記載の撮像装置。
【0024】
項目7の構成によれば、遮断領域の第2不純物領域と、半導体基板中の複数の第5不純物領域を含む電気的経路を利用して、複数の第1不純物領域の形成されたウェルの電位を制御することが可能になる。
【0025】
[項目8]
遮断領域は、複数の第1コンタクトプラグと第2不純物領域との間に位置する第1カーボン含有層を有する、項目5から7のいずれかに記載の撮像装置。
【0026】
項目8の構成によれば、特にニッケルに対するカーボンによるゲッタリングを利用して、遮断領域中のシリサイド層から撮像領域へのニッケルの拡散を抑制することが可能である。
【0027】
[項目9]
遮断領域は、平面視において撮像領域と複数の第1コンタクトプラグとの間に位置する素子分離を含む、項目8に記載の撮像装置。
【0028】
[項目10]
第1カーボン含有層の、半導体基板の深さ方向に関するカーボン濃度のピークは、素子分離の下端よりも浅い位置にある、項目9に記載の撮像装置。
【0029】
項目10の構成によれば、遮断領域中に配置したシリサイド層からニッケルが拡散される範囲を最小限に留め得る。
【0030】
[項目11]
遮断領域は、複数の第1コンタクトプラグと第1カーボン含有層との間に位置する第1シリサイド層を有する、項目8から10のいずれかに記載の撮像装置。
【0031】
項目11の構成によれば、複数の第1コンタクトプラグと第2不純物領域との間のコンタクト抵抗が低減される。
【0032】
[項目12]
第1シリサイド層は、ニッケルを含有する、項目11に記載の撮像装置。
【0033】
項目12の構成によれば、より低い抵抗率を示すシリサイドを形成できる。
【0034】
[項目13]
各画素は、第1不純物領域に電気的に接続された第5コンタクトプラグをその一部に含む導電部を有し、
導電部は、第2シリサイド層を含み、
画素電極は、導電部を介して第1不純物領域に電気的に接続される、項目5から12のいずれかに記載の撮像装置。
【0035】
[項目14]
導電部は、第2シリサイド層と第1不純物領域との間に位置する第2カーボン含有層を含む、項目13に記載の撮像装置。
【0036】
項目14の構成によれば、第5コンタクトプラグがシリサイドを含む場合であっても、第5コンタクトプラグを介した第1不純物領域へのニッケルなどの拡散を第2カーボン含有層によって抑制することが可能になる。
【0037】
[項目15]
半導体基板は、第1不純物領域と第5コンタクトプラグとの間に位置する第3カーボン含有層を有する、項目13または14に記載の撮像装置。
【0038】
項目15の構成によれば、第5コンタクトプラグがシリサイドを含む場合であっても、第5コンタクトプラグを介した第1不純物領域へのニッケルなどの拡散を第3カーボン含有層によって抑制することが可能になる。
【0039】
[項目16]
第2不純物領域は、平面視において撮像領域を環状に取り囲んでいる、項目1から15のいずれかに記載の撮像装置。
【0040】
項目16の構成によれば、画素の電荷蓄積領域と周辺領域に形成された回路との間における電荷の移動をより効果的に抑制し得る。
【0041】
[項目17]
第1導電型は、P型である、項目1から16のいずれかに記載の撮像装置。
【0042】
項目17の構成によれば、遮断領域の第2不純物領域において、多くの金属に対してゲッタリング効果を発揮させることが可能になるので、画素の電荷蓄積領域への金属不純物の拡散を抑制して、金属不純物の拡散に起因する画質の劣化を抑制する効果が期待できる。
【0043】
[項目18]
複数の画素を有する撮像装置であって、
複数の不純物領域が設けられた半導体基板と、
半導体基板に支持された光電変換層と、
半導体基板と光電変換層との間に位置する複数の画素電極と
を備え、
各画素は、
光電変換層の一部と、
複数の画素電極のうちの1つと、
複数の不純物領域のうちの1つと、
複数の不純物領域のうちの1つに電気的に接続されたコンタクトプラグと
を有し、
半導体基板は、不純物領域とコンタクトプラグとの間に位置するカーボン含有層を有する、撮像装置。
【0044】
項目18の構成によれば、コンタクトプラグがシリサイドを含む場合であっても、コンタクトプラグを介した不純物領域へのニッケルなどの拡散をカーボン含有層によって抑制することが可能になる。
【0045】
[項目19]
各画素の画素電極は、コンタクトプラグを介して不純物領域に電気的に接続されている、項目18に記載の撮像装置。
【0046】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0047】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素については共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。撮像装置の各種の要素に関し、図面に表れた寸法および外観などは、実際の撮像装置における寸法および外観と異なり得る。すなわち、添付の各図は、あくまでも本開示の理解のための模式図であり、実際の撮像装置に対する縮尺などが必ずしも厳密に反映されたものではない。
【0048】
(撮像装置の実施形態)
図1は、本開示のある実施形態による撮像装置の例示的な構成を模式的に示す。図1に示す撮像装置100Aは、例えば複数の行および列に配列された複数の画素110を有する。図1に例示する構成において、画素110は、m行n列に配列され、概ね矩形状の撮像領域R1を形成している。ここで、m、nは、独立して1以上の整数を表す。
【0049】
後述するように、本開示の実施形態では、これらの画素110のそれぞれは、半導体基板130に支持された光電変換構造と、半導体基板130に形成され、光電変換構造に電気的に接続された読出し回路とを有する。すなわち、以下では、いわゆる「積層型」と呼ばれる撮像装置を例にとって本開示の実施形態を説明する。後に図面を参照して詳しく説明するように、複数の画素110のそれぞれは、半導体基板130に設けられた不純物領域であって、光電変換構造によって生成された信号電荷を一時的に保持する電荷蓄積領域の一部として機能する不純物領域を含む。
【0050】
撮像装置100Aは、さらに、複数の画素110を駆動する周辺回路120Aを有する。図1に示す例において、周辺回路120Aは、垂直走査回路122と、水平信号読出し回路124と、電圧供給回路126と、制御回路128とを含む。本開示の実施形態では、これらの回路の一部または全部が、各画素の読出し回路と同様に半導体基板130に形成される。図1に模式的に示すように、周辺回路120Aは、半導体基板130のうち、複数の画素110を含む撮像領域R1の外側に位置する周辺領域R2に位置する。
【0051】
撮像装置100Aは、さらに、撮像領域R1と周辺領域R2との間に設けられた遮断領域200Aを有する。図1に模式的に示すように、遮断領域200Aは、半導体基板130に形成された不純物領域131と、不純物領域131上に設けられた複数のコンタクトプラグ211とを含む。不純物領域131は、典型的には、p型の拡散領域である。
【0052】
複数のコンタクトプラグ211は、不純物領域131上に設けられることにより、半導体基板130の不純物領域131に電気的に接続されている。後述するように、複数のコンタクトプラグ211は、図1において不図示の電源が接続されることにより、不純物領域131に所定の電圧を供給可能に構成されている。すなわち、撮像装置100Aの動作時、不純物領域131は、コンタクトプラグ211を介して所定の電圧が印加された状態にある。
【0053】
また、遮断領域200Aは、素子分離220を有する。素子分離220は、例えばSTI(shallow trench isolation)プロセスによって半導体基板130に形成された構造である。素子分離220は、半導体基板130のうち、少なくとも、複数の画素110のうち撮像領域R1の最外周に位置する画素と、デジタルクロックに基づいて動作する垂直走査回路122などのデジタル回路との間に位置する部分を有する。ここでは、素子分離220は、撮像領域R1の最外周に位置する画素110と垂直走査回路122との間、および、撮像領域R1の最外周に位置する画素110と水平信号読出し回路124との間に位置している。後述するように、素子分離220は、上面視において撮像領域R1を取り囲むように半導体基板130に設けられ得る。
【0054】
デジタルクロックに基づいて動作する回路を含む周辺回路を、光電変換により得られる信号電荷を一時的に保持する不純物領域の設けられた半導体基板に形成した構成では、デジタルクロックに基づいて動作する回路は、入力のパルスの立ち上がりおよび立ち下がりごとにノイズを発生させるノイズ源となり得る。より具体的には、CMOSロジック回路に代表されるデジタル回路にデジタルクロックを供給する信号線の電位は、デジタルクロックによって変動する。デジタルクロックに起因する信号線の電位の変動は、基板電位を変動させ、その結果、半導体基板の内部のウェルに余計な電荷を生じさせる要因となり得る。信号電荷を保持する画素中の不純物領域に、基板電位の変動に起因する余計な電荷が流入すると、SN比が低下し、得られる画像に劣化が生じてしまう。
【0055】
これに対し、図1に示す撮像装置100Aでは、複数のコンタクトプラグ211が設けられることによりグラウンドなどの電源に接続可能に構成された不純物領域131を含む遮断領域200Aを、複数の画素110を含む撮像領域R1とデジタル回路との間に配置している。撮像装置100Aの動作時、遮断領域200Aの不純物領域131の電位は、複数のコンタクトプラグ211に所定の電圧源を接続することにより固定可能である。例えば複数のコンタクトプラグ211を介して遮断領域200Aの不純物領域131の電位を接地とすることが可能である。このとき、遮断領域200Aは、半導体基板130の内部に生じた余分な電荷を排出する低インピーダンスの経路として機能する。すなわち、信号電荷を保持する画素中の不純物領域と、周辺回路120Aとの間の静電的なカップリングを抑制でき、デジタルクロックを供給する信号線をノイズ源とする暗電流を有利に抑制することが可能である。
【0056】
ここで、周辺回路120Aを構成する各回路の詳細を説明する。垂直走査回路122は、複数のアドレス信号線34との接続を有する。これらアドレス信号線34は、複数の画素110の各行に対応して設けられている。各アドレス信号線34は、対応する行に属する1以上の画素に接続されている。垂直走査回路122は、アドレス信号線34への行選択信号の印加により、画素110からの、後述する垂直信号線35への信号の読出しのタイミングを制御する。垂直走査回路122は、行走査回路とも呼ばれる。なお、垂直走査回路122に接続される信号線は、アドレス信号線34に限定されない。垂直走査回路122には、複数の画素110の行ごとに複数の種類の信号線が接続され得る。
【0057】
図1に模式的に示すように、撮像装置100Aは、複数の垂直信号線35も有する。垂直信号線35は、複数の画素110の列ごとに設けられる。各垂直信号線35は、対応する列に属する1以上の画素に接続されている。これらの垂直信号線35は、水平信号読出し回路124に接続されている。水平信号読出し回路124は、画素110から読み出された信号を図1において不図示の出力線に順次に出力する。水平信号読出し回路124は、列走査回路とも呼ばれる。
【0058】
制御回路128は、撮像装置100Aの例えば外部から与えられる指令データ、クロックなどを受け取って撮像装置100A全体を制御する。制御回路128は、典型的には、タイミングジェネレータを有し、垂直走査回路122、水平信号読出し回路124および後述の電圧供給回路126などに駆動信号を供給する。図1中、制御回路128から延びる矢印は、制御回路128からの出力信号の流れを模式的に表現している。制御回路128は、例えば1以上のプロセッサを含むマイクロコントローラによって実現され得る。制御回路128の機能は、汎用の処理回路とソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよいし、このような処理に特化したハードウェアによって実現されてもよい。
【0059】
本開示の実施形態において、周辺回路120Aは、撮像領域R1中の各画素110に電気的に接続された電圧供給回路126を含む。電圧供給回路126は、電圧線38を介して画素110に所定の電圧を供給する。電圧供給回路126は、特定の電源回路に限定されず、バッテリーなどの電源から供給された電圧を所定の電圧に変換する回路であってもよいし、所定の電圧を生成する回路であってもよい。電圧供給回路126は、上述の垂直走査回路122の一部であってもよい。図1において模式的に示すように、周辺回路120Aを構成するこれらの回路は、撮像領域R1の外側の周辺領域R2に配置される。
【0060】
なお、画素110の数および配置は、図示する例に限定されない。例えば、撮像装置100Aに含まれる画素110の数は、1つであってもよい。この例では、各画素110の中心が正方格子の格子点上に位置しているが、例えば、各画素110の中心が、三角格子、六角格子などの格子点上に位置するように複数の画素110を配置してもよい。例えば画素110を1次元に配列してもよく、この場合、撮像装置100Aをラインセンサとして利用し得る。
【0061】
図2は、図1に示す撮像装置100Aの例示的な回路構成を模式的に示す。図2では、図面が過度に複雑となることを避けるために、複数の画素110のうち、2行2列に配列された4つの画素110を取り出して示している。これら画素110の各々は、半導体基板130に支持された光電変換構造10と、光電変換構造10に電気的に接続された読出し回路20とを含む。後に図面を参照して詳しく説明するように、光電変換構造10は、半導体基板130の上方に配置された光電変換層を含む。
【0062】
各画素110の光電変換構造10は、電圧供給回路126に接続された電圧線38との接続を有することにより、撮像装置100Aの動作時に電圧線38を介して所定の電圧を印加可能に構成されている。例えば、光電変換によって生成された正および負の電荷のうち、正の電荷を信号電荷として利用する場合であれば、撮像装置100Aの動作時に電圧線38に例えば10V程度の正電圧が印加され得る。以下では、信号電荷として正孔を利用する場合を例示する。
【0063】
図2に例示する構成において、読出し回路20は、信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26を含む。信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26は、典型的には、半導体基板130に形成された電界効果トランジスタである。以下では、特に断りの無い限り、トランジスタとしてNチャンネルMOSFETを用いた例を説明する。
【0064】
図2において模式的に示すように、信号検出トランジスタ22のゲートは、光電変換構造10に電気的に接続されている。動作時に、電圧線38を介して電圧供給回路126から各画素110の光電変換構造10に所定の電圧を印加することにより、信号電荷として例えば正孔を電荷蓄積ノードFDに蓄積することができる。ここで、電荷蓄積ノードFDは、信号検出トランジスタ22のゲートを光電変換構造10に接続するノードである。電荷蓄積ノードFDは、光電変換構造10によって生成された電荷を一時的に保持する機能を有する。後に図面を参照して説明するように、電荷蓄積ノードFDは、半導体基板130に形成された不純物領域をその一部に含む。
【0065】
図2に示すように、各画素110の信号検出トランジスタ22のドレインは、電源配線32に接続される。電源配線32は、撮像装置100Aの動作時に信号検出トランジスタ22に例えば3.3V程度の電源電圧VDDを供給する。他方、信号検出トランジスタ22のソースは、アドレストランジスタ24を介して垂直信号線35に接続される。信号検出トランジスタ22は、ドレインに電源電圧VDDの供給を受けることにより、電荷蓄積ノードFDに蓄積された信号電荷の量に応じた信号電圧を出力する。
【0066】
信号検出トランジスタ22と垂直信号線35との間に接続されたアドレストランジスタ24のゲートには、アドレス信号線34が接続される。垂直走査回路122は、アドレス信号線34への行選択信号の印加により、アドレストランジスタ24のオンおよびオフを制御する。すなわち、垂直走査回路122は、行選択信号の制御により、選択した画素110の信号検出トランジスタ22の出力を、対応する垂直信号線35に読み出すことができる。なお、アドレストランジスタ24の配置は、図2に示す例に限定されず、信号検出トランジスタ22のドレインと電源配線32との間であってもよい。
【0067】
垂直信号線35の各々には、負荷回路45およびカラム信号処理回路47が接続される。負荷回路45は、信号検出トランジスタ22とともにソースフォロア回路を形成する。カラム信号処理回路47は、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換などを行う。カラム信号処理回路47は、行信号蓄積回路とも呼ばれる。水平信号読出し回路124は、複数のカラム信号処理回路47から水平共通信号線49に信号を順次読み出す。カラム信号処理回路47は、水平信号読出し回路124の一部であり得る。負荷回路45およびカラム信号処理回路47は、上述の周辺回路120Aの一部であり得る。
【0068】
この例では、読出し回路20は、信号検出トランジスタ22およびアドレストランジスタ24に加えてリセットトランジスタ26を含んでいる。リセットトランジスタ26のドレインおよびソースの一方は、電荷蓄積ノードFDに接続され、ドレインおよびソースの他方は、リセット電圧線39に接続される。リセット電圧線39は、図2において不図示のリセット電圧供給回路との接続を有することにより、撮像装置100Aの動作時に各画素110のリセットトランジスタ26に所定のリセット電圧Vrefを供給可能とされている。リセット電圧Vrefとしては、例えば0Vまたは0V付近の電圧が選ばれる。上述の電圧供給回路126と同様に、リセット電圧供給回路は、所定のリセット電圧Vrefをリセット電圧線39に印加可能であればよく、その具体的な構成は、特定の電源回路に限定されない。リセット電圧供給回路は、垂直走査回路122の一部であってもよい。電圧供給回路126およびリセット電圧供給回路は、独立した別個の回路であってもよいし、単一の電圧供給回路の形で撮像装置100Aに配置されてもよい。リセット電圧供給回路も、上述の周辺回路120Aの一部であり得る。
【0069】
リセットトランジスタ26のゲートには、リセット信号線36が接続される。リセット信号線36は、アドレス信号線34と同様に複数の画素110の行ごとに設けられ、ここでは、垂直走査回路122に接続されている。上述したように、垂直走査回路122は、アドレス信号線34に行選択信号を印加することによって、信号の読出しの対象となる画素110を行単位で選択することができる。同様に、垂直走査回路122は、リセット信号線36を介してリセットトランジスタ26のゲートにリセット信号を印加することにより、選択された行のリセットトランジスタ26をオンとすることができる。リセットトランジスタ26がオンとされることにより、電荷蓄積ノードFDの電位がリセットされる。
【0070】
(画素および遮断領域)
図3は、撮像領域R1および周辺領域R2と、遮断領域200Aとを含む断面を模式的に示す。ここでは、複数の画素110を代表して遮断領域200Aの近くに位置する2つの画素の断面が示されている。
【0071】
まず、撮像領域R1に注目する。撮像領域R1には、光電変換層12が設けられる。光電変換層12は、半導体基板130によって支持される。光電変換層12上には、透光性の対向電極13が配置される。図3に示すように、光電変換層12および対向電極13のそれぞれは、典型的には、複数の画素110にわたって半導体基板130の上方に連続して設けられる。
【0072】
画素110は、撮像領域R1を構成する単位構造であり、光電変換層12の一部および対向電極13の一部と、画素電極11とを有する光電変換構造10を含む。光電変換構造10の画素電極11は、光電変換層12と半導体基板130との間に位置し、アルミニウム、銅などの金属、金属窒化物、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンなどから形成される。図3に模式的に示すように、各画素110の画素電極11は、画素ごとに空間的に分離されることにより、隣接する他の画素の画素電極11から電気的に分離されている。
【0073】
光電変換構造10の光電変換層12は、有機材料、または、アモルファスシリコンなどの無機材料から形成される。光電変換層12は、対向電極13を介して入射した光を受けて、光電変換により正および負の電荷を生成する。すなわち、光電変換構造10は、光を電荷に変換する機能を有する。光電変換層12は、有機材料から構成される層と無機材料から構成される層とを含んでいてもよい。
【0074】
光電変換構造10の対向電極13は、ITOなどの透明導電性材料から形成される電極である。なお、本明細書における「透光性」の用語は、光電変換層12が吸収可能な波長の光の少なくとも一部を透過することを意味し、可視光の波長範囲全体にわたって光を透過することは必須ではない。図3において図示が省略されているが、対向電極13は、上述の電圧線38との接続を有する。撮像装置100Aの動作時、電圧線38の電位を制御して対向電極13の電位を画素電極11の電位よりも例えば高くすることにより、光電変換で生成された正および負の電荷のうち正の電荷を画素電極11によって選択的に収集することができる。複数の画素110にわたって連続した単一の層の形で対向電極13を形成することにより、電圧線38を介して複数の画素110の対向電極13に一括して所定の電位を印加することが可能である。
【0075】
複数の画素110のそれぞれは、さらに、半導体基板130の一部を含む。図3に模式的に示すように、半導体基板130は、その表面近くに、第1不純物領域としての複数の不純物領域60nを有する。不純物領域60nは、上述の読出し回路20に含まれるリセットトランジスタ26のドレイン領域およびソース領域の一方として機能する。また、半導体基板130は、リセットトランジスタ26のドレイン領域およびソース領域の他方である不純物領域61nも有している。図3に模式的に示すように、不純物領域61nは、ポリシリコンプラグなどを介して、上述のリセット電圧線39に接続される。ここでは、不純物領域60nおよび不純物領域61nは、n型の導電型を有する。これら複数の不純物領域60n、61nは、典型的には、n型の拡散領域である。
【0076】
このことから理解されるように、半導体基板130には、複数の画素110に対応して複数の読出し回路20が形成される。各画素の読出し回路20は、半導体基板130に設けられた素子分離221によって他の画素の読出し回路20から電気的に分離される。
【0077】
図3に示すように、光電変換構造10と半導体基板130との間には、半導体基板130を覆う層間絶縁層90が位置する。層間絶縁層90は、一般に、複数層の絶縁層と、複数層の配線とを含む。層間絶縁層90中に配置された複数層の配線層は、アドレス信号線34およびリセット信号線36などをその一部に有する配線層、垂直信号線35、電源配線32およびリセット電圧線39などをその一部に有する配線層などを含み得る。層間絶縁層90中の絶縁層の数および配線層の数は、この例に限定されず、任意に設定可能である。
【0078】
層間絶縁層90の内部には、半導体基板130に形成された読出し回路20に光電変換構造10の画素電極11を電気的に接続する導電構造89が設けられる。図3に模式的に示すように、導電構造89は、層間絶縁層90中に配置された配線およびビアを含む。これらの配線およびビアは、典型的には、銅もしくはタングステンなどの金属、または、金属窒化物もしくは金属酸化物などの金属化合物から形成される。導電構造89は、上述の不純物領域60nに接続されたコンタクトプラグも含む。不純物領域60nに接続されたコンタクトプラグは、典型的には、ポリシリコンプラグであり、導電性を高めるためにリンなどの不純物がドープされている。なお、図3では図示が省略されているが、導電構造89は、信号検出トランジスタ22のゲート電極との間にも電気的接続を有する。
【0079】
半導体基板130に注目する。半導体基板130は、支持基板140と、支持基板140上に形成された1以上の半導体層とを含む。図3に示す例では、半導体基板130は、支持基板140上に設けられたn型の不純物層62を有する。以下では、支持基板140として、p型シリコン基板を例示する。支持基板140は、不純物層62と比較して低い電気抵抗率を有し得る。なお、半導体基板130は、SOI(silicon-on-insulator)基板、または、エピタキシャル成長などにより表面に半導体層が設けられた基板などであってもよい。
【0080】
図3に例示する構成においてまず撮像領域R1に注目する。半導体基板130は、支持基板140上のn型半導体層62anと、n型半導体層62an上のp型半導体層63pとを有する。支持基板140とp型半導体層63pとの間に位置するn型半導体層62anは、上述の不純物層62の一部である。撮像装置100Aの動作時、不純物層62の電位は、図3において不図示のウェルコンタクトを介して制御される。撮像領域R1に位置するn型半導体層62anをその一部に含む不純物層62を半導体基板130の内部に設けることにより、信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域への支持基板140または周辺回路からの少数キャリアの流入を抑制できる。
【0081】
図3に例示する構成において、半導体基板130は、p型半導体層63p上に位置するp型半導体層66pと、p型半導体層66p中に形成されたp型不純物領域65pとをさらに有している。この例では、導電構造89との接続を有する上述の不純物領域60nは、p型不純物領域65p中に設けられている。不純物領域60nと、pウェルとしてのp型不純物領域65pとの間のpn接合によって形成される接合容量は、画素電極11によって収集される信号電荷の少なくとも一部を蓄積する容量として機能する。すなわち、不純物領域60nは、信号電荷を一時的に保持する電荷蓄積領域の少なくとも一部を構成する。他方、不純物領域61nは、p型半導体層66p中に設けられている。ここでは、p型不純物領域65pにおける不純物濃度は、p型半導体層66pにおける不純物濃度よりも低い。
【0082】
また、半導体基板130は、不純物層62を貫通するようにして半導体基板130中に設けられた複数のp型領域64を有する。p型領域64は、比較的に高い不純物濃度を有する。半導体基板130の内部にp型領域64を設けることにより、不純物層62を介して隔てられた導電型の共通する2つの領域を電気的に接続することが可能になる。
【0083】
ここでは、複数のp型領域64は、半導体基板130の法線方向から見たときに撮像領域R1中に位置する複数のp型領域64aと、遮断領域200Aの複数のコンタクトプラグ211の下方に位置する1以上のp型領域64bとを含む。p型領域64aは、n型半導体層62anを貫通するようにしてp型半導体層63pと支持基板140との間に形成され、p型半導体層63pと支持基板140とを電気的に接続する機能を有する。他方、p型領域64bは、その一端が遮断領域200Aの不純物領域131に達することにより不純物領域131に電気的に接続され、不純物領域131と支持基板140とを電気的に接続している。
【0084】
したがって、ここでは、p型領域64b、支持基板140およびp型領域64aを介して遮断領域200Aの不純物領域131からp型半導体層63pに至る電気的な経路が半導体基板130中に形成される。上述したように、遮断領域200Aの不純物領域131には複数のコンタクトプラグ211が接続されており、これらコンタクトプラグ211は、グラウンドなどの不図示の電源に接続可能に構成されている。例えば複数のコンタクトプラグ211を介して遮断領域200Aの不純物領域131の電位を接地とすることが可能である。遮断領域200Aの複数のコンタクトプラグ211に適当な電源を接続することにより、不純物領域131、p型領域64b、支持基板140およびp型領域64aを含む電気的経路を利用して、p型半導体層63pを介してp型不純物領域65pおよびp型半導体層66pの電位を制御することができる。
【0085】
なお、図3に示す例では、不純物領域131のうち半導体基板130の表面付近に位置する部分に、相対的に不純物濃度が高くされた不純物領域131aが形成されている。コンタクトプラグ211は、典型的には、金属から形成される。不純物領域131のうち不純物濃度が相対的に高い不純物領域131aを設け、不純物領域131aに複数のコンタクトプラグ211を接続することにより、複数のコンタクトプラグ211と不純物領域131との間のコンタクト抵抗低減の効果が得られる。
【0086】
さらに、この例では、複数のコンタクトプラグ211と不純物領域131との間にシリサイド層131sを形成している。不純物領域131aのうち半導体基板130の表面近傍にシリサイド層131sを設けて複数のコンタクトプラグ211を接続することにより、コンタクト抵抗をより低減することができる。
【0087】
次に、半導体基板130の周辺領域R2に注目する。上述したように、周辺領域R2には、複数の画素110を駆動するための回路および複数の画素110から読み出された信号を処理するための回路が形成されている。周辺領域R2は、例えば、マルチプレクサなどのロジック回路を構成する複数のトランジスタ25および27を含む。図3に模式的に示すように、ここでは、不純物層62の他の一部であるn型半導体層62bnが支持基板140上に形成されており、n型半導体層62bn上にウェルとしてのn型不純物領域81nとp型不純物領域82pとが形成されている。トランジスタ25のドレイン領域およびソース領域は、p型不純物領域82p中に位置し、トランジスタ27のドレイン領域およびソース領域は、n型不純物領域81n中に位置する。なお、n型半導体層62bnは、支持基板140の一部が介在することにより、撮像領域R1の全周にわたってn型半導体層62anからは分離されている。n型半導体層62bnには、不図示の電源が接続されることにより所定の電圧が供給される。
【0088】
図3に例示する構成では、周辺領域R2に位置するトランジスタ25および27などの周辺トランジスタのドレイン領域上およびソース領域上にもシリサイド層srを形成している。図示するように、周辺トランジスタのドレイン領域およびソース領域には、コンタクトプラグcpが接続される。周辺トランジスタにシリサイド層srを形成してコンタクトプラグcpを接続することにより、コンタクト抵抗低減の効果が得られる。さらにここでは、周辺トランジスタのゲート電極上にもシリサイド層sgを形成している。シリサイド層sgの形成により、ゲート電極に接続される不図示のコンタクトプラグまたは配線とゲート電極との間のコンタクト抵抗を低減できる。このように、シリサイド層を設ける場所は、遮断領域200Aに限られない。
【0089】
図4および図5は、半導体基板130の法線方向から見たときの遮断領域200Aの例示的な外観を模式的に示す。これらの例では、半導体基板130に帯状に形成された不純物領域131に沿って複数のコンタクトプラグ211を3列に配置している。
【0090】
図3から理解されるように、p型領域64bは、半導体基板130において遮断領域200Aの複数のコンタクトプラグ211の下方に位置する。図4に示す例では、p型領域64bは、遮断領域200Aの不純物領域131に沿って半導体基板130の内部に帯状に形成されている。もちろん、p型領域64bの形状および配置は、この例に限定されず、図5に例示するように、半導体基板130の内部において複数のコンタクトプラグ211の下方の複数箇所に設けられてもよい。なお、不純物領域131は、半導体基板130の内部において、撮像領域R1と周辺領域R2との間に位置する素子分離220の下方まで延びていてもよい。
【0091】
再び図3を参照する。図3に示す例では、遮断領域200Aは、周辺領域R2との境界付近に位置するn型不純物領域83nをさらに含む。n型不純物領域83nは、不純物層62のうちn型半導体層62bn上に位置し、n型半導体層62bnとの間に電気的接続を有する。n型不純物領域83nにコンタクトプラグが設けられてもよい。n型不純物領域83nに接続されたコンタクトプラグに適当な電源を接続することにより、n型不純物領域83nおよびn型半導体層62bnの電位を制御することが可能になる。
【0092】
支持基板140の上方に位置する不純物層および不純物領域のそれぞれは、典型的には、支持基板140上にエピタキシャル成長で得た半導体層への不純物のイオン注入によって形成される。なお、p型領域64のうち撮像領域R1に位置するp型領域64aは、平面視において画素中の素子分離に重ならない位置に形成され得る。
【0093】
本実施形態において、撮像領域R1と周辺領域R2との間には、遮断領域200Aが形成されている。上述したように、遮断領域200Aは、撮像領域R1と周辺領域R2との間に位置する素子分離220と、複数のコンタクトプラグ211が配置された不純物領域131とを含んでいる。遮断領域200Aが少なくとも不純物領域131を含むことにより、不純物領域131中のドーパントを利用して、いわゆるゲッタリング効果を発揮させ得る。例えば、光電変換層を支持する半導体基板のうち画素の配置された領域に金属不純物が拡散すると、画質の低下が生じることが知られている。不純物領域131中のドーパントをゲッタリングセンターとして機能させることにより、電荷蓄積領域への金属不純物の拡散を抑制して、金属不純物の拡散に起因する画質の低下を回避し得る。
【0094】
シリコン基板に対するp型ドーパントの例は、ホウ素であり、n型ドーパントの例は、リン、ヒ素、アンチモンである。これらのうち、p型ドーパントは、殆どの金属に対してゲッタリング効果を発揮し得ることが知られており、したがって不純物領域131のドーパントとして好適である。本開示の典型的な実施形態では、遮断領域200Aの不純物領域131の導電型としてp型が選ばれる。例えばp型の不純物がドープされた不純物領域131を含む遮断領域200Aを撮像領域R1と周辺領域R2との間に配置することにより、撮像領域R1への金属不純物の拡散を効果的に抑制し得る。すなわち、画素110の電荷蓄積領域への金属不純物の拡散を抑制して、金属不純物の拡散に起因する画質の劣化を抑制することができる。不純物領域131のドーパントにp型の不純物を選択することによるゲッタリング効果の発揮は、周辺回路のコンタクトなどにシリサイド層を形成した場合に特に有効である。
【0095】
図6は、遮断領域の形状の他の例を示す。図1に示す撮像装置100Aと比較して、図6に示す撮像装置100Bは、遮断領域200Aに代えて、矩形状に撮像領域R1を取り囲む遮断領域200Bを有する。上述の遮断領域200Aと比較して、遮断領域200Bの不純物領域131は、平面視において撮像領域R1を環状に切れ目なく取り囲んでいる。図6に模式的に示すように、この例においてもやはり不純物領域131に複数のコンタクトプラグ211が接続される。なお、この例では、遮断領域200Bの素子分離220も不純物領域131の内側において撮像領域R1を環状に切れ目なく取り囲んでいる。このような構成においては、素子分離220により、撮像領域R1と、周辺領域R2との境界が画定されるといってよい。
【0096】
ここでは、周辺領域R2に設けられた周辺回路120Bは、垂直走査回路122、水平信号読出し回路124、電圧供給回路126および制御回路128に加えて、第2の垂直走査回路129と、第2の水平信号読出し回路127とを含んでいる。垂直走査回路129は、撮像領域R1を間に挟んで垂直走査回路122と反対側に配置されている。図示するように、垂直走査回路129にも、複数の画素110の各行に対応して設けられたアドレス信号線34が接続されている。同様に、水平信号読出し回路127は、撮像領域R1を間に挟んで水平信号読出し回路124と反対側に配置され、複数の画素110の各列に対応して設けられた垂直信号線35が接続される。
【0097】
例えば、垂直走査回路122は、撮像領域R1の左半分の画素の行選択動作を担い、垂直走査回路129は、撮像領域R1の右半分の画素の行選択動作を担う。また、水平信号読出し回路124は、撮像領域R1の下半分の画素から読み出された信号の処理を担い、水平信号読出し回路127は、撮像領域R1の上半分の画素から読み出された信号の処理を担う。このように、撮像領域R1を区画して複数の垂直走査回路および水平信号読出し回路によって信号の読出しを実行することにより、フレームレートの短縮などの動作の高速化を図ることができる。
【0098】
図6に例示する構成において、垂直走査回路122、129、および、水平信号読出し回路124、127は、撮像領域R1の矩形状の四辺に沿って配置されている。換言すれば、この例では、垂直走査回路122と画素110の集合との間、垂直走査回路129と画素110の集合との間、水平信号読出し回路124と画素110の集合との間、および、水平信号読出し回路127と画素110の集合との間のいずれにも遮断領域200Bが介在している。
【0099】
複数の画素110のアレイを含む撮像領域R1を平面視において取り囲む形状で遮断領域200Bを半導体基板130に形成することにより、画素の電荷蓄積領域と周辺領域R2に形成された回路との間における電荷の移動をより効果的に抑制し得る。なお、図6に示す例のように、周辺回路を構成する回路群が例えば矩形状の撮像領域R1を取り囲むように配置されている場合において、遮断領域が平面視において撮像領域R1を環状に切れ目なく取り囲むことは、本開示の実施形態において必須ではない。例えば、遮断領域が、それぞれが素子分離220および不純物領域131を含み、全体として撮像領域R1を取り囲むように配置された複数の部分を含んでいてもよい。このような構成においても、平面視において撮像領域R1を環状に切れ目なく取り囲むように遮断領域を設けた場合と同様の効果を期待できる。
【0100】
図7は、本開示の他のある実施形態による撮像装置の例示的な構成を模式的に示す。図7に示す撮像装置100Cは、図1に示す撮像装置100Aと比較して、遮断領域200Aに代えて遮断領域200Cを有する。図6を参照しながら説明した遮断領域200Bと同様に、遮断領域200Cも撮像領域R1を取り囲むように半導体基板130形成されている。ただし、図7に模式的に示すように、遮断領域200Cは、不純物領域131の外側に位置する不純物領域132をさらに有している。この例では、不純物領域132は、平面視において撮像領域R1を環状に切れ目なく取り囲んでいる。
【0101】
不純物領域132は、不純物領域131と周辺領域R2との間に位置し、かつ、不純物領域131とは異なる導電型を有する。また、不純物領域131と同様、不純物領域132には、複数のコンタクトプラグ212が接続される。複数のコンタクトプラグ212は、不図示の電源に接続されることにより、撮像装置100Cの動作時、所定の電圧の供給を受ける。すなわち、撮像装置100Cの動作時、不純物領域132の電位は、一定の電位に保たれる。
【0102】
図8は、撮像領域R1および周辺領域R2と、遮断領域200Cとを含む断面を模式的に示す。なお、図面が過度に複雑となることを避けるために、図8では半導体基板130の上方の光電変換構造10および層間絶縁層90の図示を省略している。以降の他の図面においても、光電変換構造10および層間絶縁層90などの図示を省略することがある。
【0103】
図8に模式的に示すように、遮断領域200Cの例えばn型の不純物領域132は、半導体基板130の内部において例えばp型の不純物領域131よりも周辺領域R2の近くに位置する。図8に例示する構成において、不純物領域132は、相対的に不純物濃度の高くされた不純物領域132aを含んでいる。複数のコンタクトプラグ212は、この不純物領域132aに接続されることにより、コンタクト抵抗の低減が図られている。この例では、不純物領域132aのうち半導体基板130の表面近傍にシリサイド層132sが設けられており、コンタクト抵抗のさらなる低減が図られている。
【0104】
不純物領域132は、ここでは、電荷蓄積領域の少なくとも一部を構成する不純物領域60nの下方に位置するn型半導体層62anに達している。このような構成によれば、不純物領域132とn型半導体層62anとを電気的に接続し得る。したがって、複数のコンタクトプラグ212に電圧を供給することにより、不純物領域132を介してn型半導体層62anの電位を制御することが可能である。すなわち、複数のコンタクトプラグ212をウェルコンタクトとして機能させ得る。なお、不純物領域132が平面視において切れ目なく環状に撮像領域R1を取り囲むような形状を有する場合、n型半導体層62anを貫通するp型領域64bは、図5に示す例のように、平面視において島状に半導体基板130の内部に形成される。
【0105】
ここで、図8に表された断面は、図7に示す撮像領域R1の例えば右端付近を切断したときの構造に対応する。図7に例示する構成において、撮像領域R1の左端付近は、図8に示す構造を左右を反転させたものと概ね同様の断面構造を有する。すなわち、ここでは、遮断領域200Cの不純物領域132は、半導体基板130の表面に垂直な断面において、それぞれが半導体基板130の表面からn型半導体層62anにまで延びる2つの部分を有するといえる。この例のように、半導体基板130の表面からn型半導体層62anに達する不純物領域132と、画素中の不純物領域60nよりも深い位置にあるn型半導体層62anとによって複数の画素110の不純物領域60nを半導体基板130の内部において取り囲んでもよい。このような構成によれば、電荷蓄積領域として機能する不純物領域60nへの余計な電荷の移動をより効果的に抑制できる。
【0106】
図9は、本開示のさらに他のある実施形態による撮像装置に関する断面を模式的に示す。図7および図8を参照しながら説明した撮像装置100Cと比較して、図9に示す撮像装置100Dは、遮断領域200Cに代えて、遮断領域200Dを有する。
【0107】
図9に示すように、遮断領域200Dは、内部にシリサイド層131sの設けられた不純物領域131aを含む不純物領域131と、内部にシリサイド層132sの設けられた不純物領域132aを含む不純物領域132に加えて、内部にシリサイド層133sの設けられた不純物領域133aを含む第1導電型の不純物領域133を有する。不純物領域133aの不純物濃度は、不純物領域133よりも高い。シリサイド層133sは、半導体基板130の表面近傍に位置し、複数のコンタクトプラグ213が接続されている。
【0108】
複数のコンタクトプラグ211と同様に、複数のコンタクトプラグ213には所定の電圧を供給する電源が接続される。複数のコンタクトプラグ213を介して所定の電圧の供給を受けることにより、撮像装置100Dの動作時、不純物領域133の電位は、一定の電位に制御される。この例では、p型領域64は、一端が不純物領域133に達するように半導体基板130の内部に形成されたp型領域64cを含んでいる。図示するように、p型領域64cの他端は、支持基板140に達している。したがって、複数のコンタクトプラグ213に印加する電圧の制御により、p型領域64c、支持基板140および撮像領域R1に位置する複数のp型領域64aによって形成される電気的経路を介して、撮像領域R1に位置する複数の不純物領域60nの周囲に位置するウェルの電位を制御することができる。なお、この例では、図8などに示す例と比較して、不純物領域131の下方に位置するp型領域64bの形成が省略されているが、p型領域64cに代えて、あるいは、p型領域64cに加えて、p型領域64bを半導体基板130中に配置してもよい。
【0109】
図9に示すように、遮断領域200Dのうち不純物領域133は、第2導電型の不純物領域132と、周辺領域R2との間に位置する。不純物領域133は、平面視において、図8に示す不純物領域132と同様に、例えば撮像領域R1を切れ目なく環状に取り囲むような形状を有する。第2導電型の不純物領域132の外側かつ周辺領域R2の内側にさらに第1導電型の不純物領域133を配置することにより、撮像領域R1に形成された読出し回路20と、周辺回路120との間の半導体基板130を介した電気的な結合をより効果的に抑制可能である。
【0110】
図10は、本開示の実施形態による撮像装置の変形例を示す。図10に示す撮像装置100Eは、遮断領域200Eを有する。図8に示す遮断領域200Cと同様に、遮断領域200Eは、第1導電型の不純物領域131および不純物領域131の外側に位置する第2導電型の不純物領域132を含んでいる。図9に例示する構成と比較して、第1導電型の不純物領域133を有しない構成の方が、撮像領域R1の形成されたチップの面積縮小の観点からは有利であり、この例のように第1導電型の不純物領域133を省略した構成を採用してもよい。
【0111】
この例では、遮断領域200Eは、複数のコンタクトプラグ211と不純物領域131との間に位置するカーボン含有層141を含んでいる。なお、この例では、複数のコンタクトプラグ212の下方にもカーボン含有層142が形成されている。カーボン含有層142は、複数のコンタクトプラグ212と不純物領域132との間に位置する。カーボン含有層141およびカーボン含有層142は、それぞれ、シリサイド層131sおよびシリサイド層132sの形成前に、イオン注入法などによって半導体基板130に形成することができる。
【0112】
良く知られているように、シリサイド層は、典型的には、チタン、コバルト、ニッケル、白金、タングステンなどの金属と、シリコンとが反応した化合物から構成された層である。近年、より低い抵抗率を示すシリサイドを形成するための金属としてニッケルが多く採用されている。しかしながら、半導体プロセス中の各種の熱処理工程および成膜工程における加熱により、シリサイド中の金属が半導体基板に拡散することが知られている。特に、シリサイド中のニッケルは、熱処理を伴う工程において半導体基板中に容易に拡散する。半導体基板に拡散したニッケルが撮像領域に到達すると、結晶欠陥が誘発される結果、シリコンバンドギャップ内に欠陥準位を生じる。シリコンバンドギャップ内の欠陥準位は、欠陥準位を介したリークの原因となる。すなわち、暗電流によってSN比が低下し、画質低下を引き起こす。
【0113】
上述したように、不純物領域中のp型ドーパントは、殆どの金属に対してゲッタリング効果を発揮する。したがって、不純物領域131の形成のためのドーパントとしてp型のドーパントを選択し、撮像領域R1を取り囲むように不純物領域131を半導体基板130に形成することにより、遮断領域200E中に配置されたシリサイド層131s、132sおよび/または周辺領域R2に配置されたシリサイド層srからの撮像領域R1への金属不純物の拡散を抑制することができる。しかしながら、本発明者の検討によると、ドーパントによるゲッタリング効果は、ニッケルイオンなどの重金属のイオンに対して十分でないことがある。
【0114】
これに対し、図10に例示する構成では、シリサイド層131s、132sの下方にカーボン含有層141、142を形成している。換言すれば、図10に示す例において、シリサイド層131sは、複数のコンタクトプラグ211とカーボン含有層141との間に位置している。同様に、シリサイド層132sは、複数のコンタクトプラグ212とカーボン含有層142との間に位置している。遮断領域に形成されたシリサイド層の下方にカーボン含有層を配置することにより、ニッケルイオンに対するカーボンによるゲッタリングを利用して、遮断領域中のシリサイド層からの撮像領域R1へのニッケルの拡散を抑制することが可能である。また、周辺領域R2に形成されたシリサイド層からの撮像領域R1へのニッケルの拡散を抑制する効果も得られ、ニッケルイオンの拡散に起因する画質の劣化を効果的に回避し得る。
【0115】
さらに、本発明者は、シリサイド層から拡散したニッケルがカーボン含有層とその周囲の不純物領域との境界付近に偏析する傾向があることを見出した。図10に例示する構成において、遮断領域200Eの素子分離220は、平面視において撮像領域R1と複数のコンタクトプラグ211の接続された不純物領域131との間に位置する部分を含む。さらに、この例では、カーボン含有層141およびカーボン含有層142は、少なくとも、素子分離220のうち撮像領域R1と複数のコンタクトプラグ211との間に位置する部分よりも深い位置には形成されていない。すなわち、本開示の典型的な実施形態において、例えばカーボン含有層141の、半導体基板130の深さ方向に関するカーボン濃度のピークは、素子分離220の下端よりも浅い位置にある。半導体基板130の法線方向に関して、カーボン濃度のピークを遮断領域の素子分離220の下端よりも浅い位置とすることにより、遮断領域中に配置したシリサイド層からニッケルが拡散される範囲を最小限に留め得る。
【0116】
図11は、本開示の実施形態による撮像装置の他の変形例を示す。図11に例示する構成において、撮像領域R1に配置された各画素は、不純物領域60nに接続されたコンタクトプラグ80をその一部に含む導電部88を有する。導電部88は、上述の導電構造89の一部である。したがって、光電変換構造10の画素電極11は、導電部88を介して不純物領域60nに電気的に接続される。ここでは、導電部88は、コンタクトプラグ80と、コンタクトプラグ80の他端側に接続されたコンタクトパッド部83とを含んでいる。上述したように、コンタクトプラグ80は、ポリシリコンから形成されたプラグであり、コンタクトパッド部83も、典型的にはポリシリコンから形成される。
【0117】
図11に例示する構成において、導電部88のコンタクトパッド部83は、少なくともその一部にシリサイド層を含む。コンタクトパッド部83の上面側に接続されるプラグは、典型的には、銅などの金属から形成される。例えばコンタクトパッド部83の上面にシリサイド層を設けておくことにより、コンタクトパッド部83の上面側に接続されるプラグとコンタクトパッド部83との間の接続抵抗を低減することができる。なお、この例では、不純物領域61nに接続された導電部のコンタクトパッド部にもシリサイド層が形成されている。
【0118】
さらに、図11に例示する構成では、半導体基板130のうちコンタクトプラグ80が接続される表面近傍にカーボン含有層53が形成されている。この例のように、コンタクトプラグ80と不純物領域60nとの間にカーボン含有層53を介在させることにより、導電部88がその一部にシリサイドを含む場合であっても、コンタクトプラグ80を介した不純物領域60nへのニッケルなどの拡散をカーボン含有層53によって抑制し得る。ここでは、半導体基板130のうち不純物領域61nの上方にも同様にカーボン含有層55が配置されており、したがって、不純物領域61nへのニッケルなどの拡散も抑制される結果、不純物領域61nへのニッケルの拡散に起因する画質の低下も抑制できる。
【0119】
カーボン含有層53およびカーボン含有層55は、上述のカーボン含有層141などと同様に、イオン注入法によって形成可能である。あるいは、半導体基板130の表面を覆う絶縁層にコンタクトホールを設けるためのプラズマエッチングの工程において、エッチングガスとしてカーボンを含むガスを用いることにより、コンタクトホールの形成と並行してこれらのカーボン含有層を形成してもよい。この場合、カーボン含有層中のカーボンの濃度は、イオン注入法によって形成されたカーボン含有層と比較して低い値を示し得る。
【0120】
なお、半導体基板130の表面付近に限定されず、導電部88内に形成されたシリサイド層と、半導体基板130に形成された例えば不純物領域60nとの間にカーボン含有層を配置することにより、同様のニッケルの拡散防止の効果を得ることができる。図12は、本開示の実施形態による撮像装置のさらに他の変形例を示す。図12に示す例では、例えば上面側にシリサイド層が設けられたコンタクトパッド部83の下面側に、カーボン含有層56が形成されている。
【0121】
このような構成によっても、コンタクトパッド部83に形成されたシリサイド層からのニッケルなどの拡散を、シリサイド層の下方に位置するカーボン含有層56によって抑制することができる。したがって、例えば不純物領域60nへのニッケルの拡散を抑制することができ、画質の劣化を防止し得る。カーボン含有層56は、例えばイオン注入法により、導電部88のうちシリサイド層と半導体基板130との間の位置に形成することができる。例えば、コンタクトプラグ80の内部にカーボン含有層が形成されてもよい。
【0122】
以上に説明したように、本開示の実施形態によれば、暗電流に起因するSN比の低下が抑制された撮像装置が提供される。なお、半導体基板130中の不純物領域の導電型は、上述の各例に示した配置に限定されず、n型とp型とを互いに入れ替えた構成も可能である。また、上述の信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24、リセットトランジスタ26などの各トランジスタは、NチャンネルMOSFETであってもよいし、PチャンネルMOSFETであってもよい。これらのトランジスタの全てがNチャンネルMOSFETまたはPチャンネルMOSFETのいずれかに統一されている必要もない。画素中トランジスタの各々をNチャンネルMOSFETとし、信号電荷として電子を用いる場合には、これらのトランジスタの各々におけるソースおよびドレインの配置を互いに入れ替えればよい。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本開示の実施形態によれば、暗電流による影響を抑制して高画質の撮影が可能な撮像装置が提供される。本開示の撮像装置は、例えばイメージセンサ、デジタルカメラなどに有用である。本開示の撮像装置は、医療用カメラ、ロボット用カメラ、セキュリティカメラ、車両に搭載されて使用されるカメラなどに用いることができる。
【符号の説明】
【0124】
10 光電変換構造
11 画素電極
12 光電変換層
13 対向電極
20 読出し回路
25、27 トランジスタ
26 リセットトランジスタ
34 アドレス信号線
35 垂直信号線
53、55、56 カーボン含有層
60n、61n 不純物領域
62 不純物層
62an、62bn n型半導体層
63p p型半導体層
64、64a~64c p型領域
65p p型不純物領域
66p p型半導体層
80 コンタクトプラグ
83 コンタクトパッド部
88 導電部
89 導電構造
100A~100E 撮像装置
110 画素
120、120A、120B 周辺回路
122、129 垂直走査回路
124、127 水平信号読出し回路
130 半導体基板
131、131a 不純物領域
131s、132s、133s シリサイド層
132、132a 不純物領域
133、133a 不純物領域
140 支持基板
141、142 カーボン含有層
200A~200E 遮断領域
211~213 コンタクトプラグ
220、221 素子分離
R1 撮像領域
R2 周辺領域
sg、sr シリサイド層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12