(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】光学部品及び照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/02 20060101AFI20240809BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240809BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20240809BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240809BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21V5/04 250
F21V5/04 650
F21V5/04 600
F21V5/04 300
G02B3/08
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020191931
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹村 博行
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110119(JP,A)
【文献】特開昭60-207202(JP,A)
【文献】特開2009-205872(JP,A)
【文献】特表2016-510130(JP,A)
【文献】国際公開第2014/020475(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/00
F21V 5/04
G02B 3/06
G02B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成された本体と、
前記本体の表面であって、光源から放射される光が入射する入射面に設けられた複数の第1突部と、
前記本体の表面であって、前記入射面と対向する出射面に設けられた複数の第2突部と、
を備え、
前記複数の第1突部はそれぞれ、前記入射面に平行な第1方向を長手方向とする長尺状に形成され、
前記複数の第1突部は、前記入射面に平行かつ前記第1方向と交差する第2方向に沿って並ぶように前記入射面に設けられ、
前記複数の第2突部はそれぞれ、前記出射面の法線方向から見て同心円上に並ぶように前記出射面に設けられ、
前記複数の第1突部のうち、
前記第2方向に沿って隣り合う2つ以上の前記第1突部は、前記入射面における前記光源の投影範囲と重な
り、かつ、前記投影範囲と重ならない1つ以上の前記第1突部に比べて、前記入射面からの高さ寸法が高
く、
前記第2方向において、前記投影範囲と重なる前記2つ以上の第1突部の幅寸法の合計は、前記投影範囲の前記第2方向における幅寸法よりも大きい、
光学部品。
【請求項2】
前記複数の第1突部はそれぞれ、円柱レンズである、
請求項1記載の光学部品。
【請求項3】
前記複数の第2突部は、フレネルレンズである、
請求項1又は2記載の光学部品。
【請求項4】
前記複数の第2突部のうち、前記同心円の中心に位置する前記第2突部は、前記同心円の中心に位置しない複数の前記第2突部に比べて、前記出射面からの高さ寸法が低い、
請求項1-3のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項5】
請求項1-4のいずれかの光学部品と、
前記光学部品の前記入射面に光を入射させる前記光源と、
前記光学部品及び前記光源を収容する器具本体と、
を備える、
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学部品及び照明器具に関し、より詳細には、照明光の配光を制御する光学部品、及び当該光学部品を備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載の照明器具用レンズ板及び照明器具を例示する。特許文献1記載の照明器具用レンズ板(以下、レンズと略す。)は、円板状に形成されており、その厚さ方向に対向する一方の表面を光入射面とし、他方の表面を光出射面としている。レンズの光出射面は、平滑な平面状に形成されている。一方、レンズの光入射面には、多数の凹レンズ単位で構成されたレンズ領域が全面に形成されている。複数の凹レンズ単位は、光入射面の入射光を拡散させる凹面状に形成されている。
【0003】
特許文献1記載の照明器具はスポットライトであって、上方から斜め下方に向けて壁面に光を照射するように構成されている。そして、特許文献1記載の照明器具は、前記レンズを用いることにより、壁面の明るさ(照度)の均一化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1記載のレンズ(光学部品)では、レンズの中央部とレンズの周辺部の光量の差を更に低減することが困難であった。
【0006】
本開示の目的は、光の均斉度の向上を図ることができる光学部品及び照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る光学部品は、板状に形成された本体と、前記本体の表面であって、光源から放射される光が入射する入射面に設けられた複数の第1突部と、前記本体の表面であって、前記入射面と対向する出射面に設けられた複数の第2突部とを備える。前記複数の第1突部はそれぞれ、前記入射面に平行な第1方向を長手方向とする長尺状に形成されている。前記複数の第1突部は、前記入射面に平行かつ前記第1方向と交差する第2方向に沿って並ぶように前記入射面に設けられている。前記複数の第2突部はそれぞれ、前記出射面の法線方向から見て同心円上に並ぶように前記出射面に設けられている。前記複数の第1突部のうち、前記第2方向に沿って隣り合う2つ以上の前記第1突部は、前記入射面における前記光源の投影範囲と重なり、かつ、前記投影範囲と重ならない1つ以上の前記第1突部に比べて、前記入射面からの高さ寸法が高い。前記第2方向において、前記投影範囲と重なる前記2つ以上の第1突部の幅寸法の合計は、前記投影範囲の前記第2方向における幅寸法よりも大きい。
【0008】
本開示の一態様に係る照明器具は、前記光学部品と、前記光学部品の前記入射面に光を入射させる前記光源と、前記光学部品及び前記光源を収容する器具本体とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の光学部品及び照明器具は、光の均斉度の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る照明器具の斜め下方から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の照明器具の斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の照明器具の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の照明器具における灯体の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態に係る光学部品の斜め上方から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の光学部品の斜め下方から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の照明器具における光源ユニットの要部の断面図である。
【
図9】
図9Aは、同上の光学部品を用いた照明器具の配光特性を示す図である。
図9Bは、比較例の光学部品を用いた照明器具の配光特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る光学部品及び照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)実施形態に係る照明器具の概要
(1-1)実施形態に係る光学部品の概要
本開示の実施形態に係る光学部品5は、板状に形成された本体50と、複数の第1突部51と、複数の第2突部52とを備える。複数の第1突部51は、本体50の表面であって、光源(LED30)から放射される光が入射する入射面に設けられる。複数の第2突部52は、本体50の表面であって、入射面と対向する出射面に設けられる。複数の第1突部51はそれぞれ、入射面に平行な第1方向D1を長手方向とする長尺状に形成される。複数の第1突部51は、入射面に平行かつ第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って並ぶように入射面に設けられる。複数の第2突部52はそれぞれ、出射面の法線方向から見て同心円上に並ぶように出射面に設けられる。複数の第1突部51のうち、入射面におけるLED30の投影範囲S1と重なる1つ以上の第1突部51Aは、投影範囲S1と重ならない1つ以上の第1突部51に比べて、入射面からの高さ寸法が高い。
【0013】
実施形態に係る光学部品5は、入射面に入射する光のうち、光源(LED30)の投影範囲S1と重なる1つ以上の第1突部51Aに入射する光を、本体50の外側に向けて集光するので、光の均斉度の向上を図ることができる。
【0014】
(1-2)実施形態に係る照明器具の概要
本開示の実施形態に係る照明器具A1は、実施形態に係る光学部品5と、光学部品5の入射面に光を入射させる光源(LED30)と、光学部品5及びLED30を収容する器具本体1とを備える。
【0015】
実施形態に係る照明器具A1は、実施形態に係る光学部品5を備えることにより、光(照明光)の均斉度の向上を図ることができる。
【0016】
(2)実施形態に係る照明器具の詳細
実施形態に係る照明器具A1(以下、照明器具A1と略す。)は、例えば、商業施設、病院、介護施設、宿泊施設などの屋内の天井に埋め込むように配設されるダウンライトである。照明器具A1は、
図1-
図4に示すように、器具本体1、灯体2、実施形態に係る光学部品5(以下、光学部品5と略す。)、シール部材6、保持部材7及び3つの取付具8などを備える。
【0017】
(2-1)器具本体
器具本体1は、有底円筒形状の円筒部10と、円筒部10の下端の全周に渡って円筒部10の下端から外向きに突出する円環状の枠部11とを有している。円筒部10と枠部11は、例えば、金属製の板材が絞り加工されることで一体に形成されている。ただし、円筒部10と枠部11は、別体に形成された後、溶接などの適宜の方法で一体に結合されても構わない。
【0018】
円筒部10の底には円形の開口部14が設けられている(
図4参照)。また、円筒部10の底の上面における周縁に、3つの突台部15が設けられている(
図2参照)。各突台部15は、弧状に形成されている。また、3つの突台部15は、円筒部10の底の周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0019】
円筒部10の周面(側面)には、3つの取付部12が設けられている(
図2参照)。各取付部12は、一対の差込片120とロック溝121を有する。一対の差込片120は、円筒部10の軸方向(上下方向)から見て鉤形(L字形)に形成されている。また、一対の差込片120は、円筒部10の周方向に沿って間隔を空けて向かい合っている。なお、一対の差込片120は、円筒部10の一部を切り起こして形成されている(
図2参照)。
【0020】
各取付部12のロック溝121は、円筒部10の周面における、一対の差込片120の間に設けられている(
図2参照)。ロック溝121は、円筒部10の一部が円筒部10の内部に向かって切り起こされることで長方形状に形成されている(
図2参照)。
【0021】
(2-2)灯体
灯体2は、光源ユニット3と支持ブロック4を有する。灯体2は、器具本体1内に収容される(
図3及び
図4参照)。
【0022】
(2-2-1)光源ユニット
光源ユニット3は、LED30、光学部品5、ホルダ32、レンズカバー33、ユニット本体34を備える(
図3-
図5参照)。LED30は、COB(Chip on Board)型の照明用白色LEDである。なお、LED30の発光面(照明光が放射される面)は、円形に形成されている。
【0023】
光学部品5は、円板状の本体50と、本体50の第1表面(上面)に形成された複数の第1突部51と、本体50の第2表面(下面)に形成された複数の第2突部52とを有する(
図4参照)。なお、光学部品5の詳細については後述する。
【0024】
ホルダ32は、LED30と光学部品5を保持する。ホルダ32は、円筒形状の周壁320と、周壁320の内周面から上向きに突出する円錐台状の底壁321と、底壁321の中央から円錐台状に突出する取付台322と、配線部323とを有する(
図4及び
図5参照)。なお、周壁320、底壁321、取付台322及び配線部323は、例えば、ポリブチレンテレフタレートなどの合成樹脂材料の成形体として一体に形成されている。LED30は、取付台322の上面に開口する窓3220を塞ぐようにホルダ32に支持される。光学部品5は、周壁320の下端の開口を塞ぐようにホルダ32に支持される。配線部323は、電源ケーブルC1の3本の電線(プラス極の電線、マイナス極の電線及び接地線)を保持している。なお、これら3本の電線は、ホルダ32内においてLED30と電気的に接続される。
【0025】
ユニット本体34は、金属材料によって有底円筒形状に形成されている。ユニット本体34の内部に、ホルダ32の一部(底壁321及び取付台322)とLED30が収容される。ユニット本体34の底面(上面)の中央に、ユニット本体34の内部に向かって突出する台部340が設けられている。台部340は、ホルダ32に保持されたLED30の背面と接触する。つまり、LED30が発する熱は、台部340からユニット本体34全体に伝導されて放熱される。また、ユニット本体34の底面の端部に、ホルダ32の配線部323の一部が挿通される挿通穴341が設けられている(
図5参照)。なお、ユニット本体34とホルダ32は、ねじ止めによって結合される。
【0026】
レンズカバー33は、光源ユニット3の外郭を構成している。レンズカバー33は、主部330、縁部331、リブ332、反射部333及び一対のボス334を有している。なお、主部330、縁部331、リブ332、反射部333及び一対のボス334は、合成樹脂材料の成形体として一体に形成されている。
【0027】
主部330は、球殻から、球殻の中心を含む第1の平面と第1の平面に平行な第2の平面に挟まれた部分を切り取った形状に形成されている。つまり、主部330の外周面は球面となる。縁部331は、円環の一部と円錐台を組み合わせた形状に形成されて主部330の下端とつながっている。反射部333は、円錐台状に形成され、縁部331の下端から上向きかつ縁部331の内側に向かって突出している。リブ332は、軸に対して傾斜した平面で円筒を切り取った形状に形成され、主部330の上端から上向きに突出している。一対のボス334は、それぞれ円筒状に形成され、縁部331の内周面に沿って上向きに伸びるように主部330と一体に形成されている。なお、一対のボス334は、反射部333を挟んで対向する位置に配置されている。
【0028】
(2-2-2)支持ブロック
支持ブロック4は、固定部材40、第1可動部材41、第2可動部材42及び4つの軸部43を有している(
図5参照)。
【0029】
固定部材40は、長方形状の固定片400と、固定片400の長手方向の両端から固定片400の厚み方向(上方向)に立ち上がる一対の支持片401とを有している。一対の支持片401には、めねじ402が1つずつ設けられている。固定片400と一対の支持片401は、長方形状の1枚の金属板が曲げ加工されることによって、U字状に一体に形成されている。
【0030】
固定部材40は、2本の取付ねじ404によって固定片400がユニット本体34の上面にねじ止めされることでユニット本体34に固定される。また、固定片400の長手方向の両端にそれぞれねじ挿通穴403が設けられている。そして、これら2つのねじ挿通穴403に、タッピングねじからなる固定ねじ44が1本ずつ挿通される。これら2本の固定ねじ44は、ユニット本体34の底面に設けられた穴(図示せず)を通して、レンズカバー33の2つのボス334に1本ずつねじ込まれる。つまり、固定部材40は、レンズカバー33にも固定される。
【0031】
第1可動部材41は、第1主片410と、一対の第1脚片411と、一対の第2脚片412とを有している。第1主片410は、長方形の平板状に形成されている。一対の第1脚片411はそれぞれ長方形の平板状に形成され、第1主片410の長手方向の両端から第1主片410の厚み方向(下方向)に立ち下がっている。一対の第2脚片412は、長方形の平板状に形成され、第1主片410の短手方向の両端から第1主片410の厚み方向(下方向)に立ち下がっている。第1主片410と一対の第1脚片411と一対の第2脚片412は、長方形状の1枚の金属板が曲げ加工されることによって一体に形成されている。
【0032】
第1主片410の長手方向の中央において、第1主片410の短手方向の両端に、長方形状の挿通溝414が1つずつ設けられている。各第1脚片411には、円形の第1軸穴413が設けられている。各第2脚片412には、円形の第2軸穴415が設けられている。
【0033】
第1可動部材41は、2つの軸部43によって、固定部材40に対して揺動可能に取り付けられる。各軸部43は、段付ねじ430と、平座金431と、波形座金432で構成されている。第1可動部材41の一対の第1脚片411は、それぞれ固定部材40の一対の支持片401の外側に配置される。そして、軸部43の段付ねじ430は、波形座金432と平座金431を介して第1脚片411の第1軸穴413に挿通され、支持片401のめねじ402にねじ込まれる。ここで、段付ねじ430の円筒部4300が第1軸穴413と嵌合することにより、段付ねじ430の円筒部4300を軸として第1可動部材41が固定部材40に対して揺動可能に取り付けられる。
【0034】
第2可動部材42は、長方形の平板状に形成された第2主片420と、長方形の平板状に形成され、第2主片420の短手方向の両端から第2主片420の厚み方向(下方向)に立ち下がる一対の第3脚片421を有している。第2主片420と一対の第3脚片421は、長方形状の1枚の金属板が曲げ加工されることによって一体に形成されている。第2主片420の長手方向の一端に円形のねじ挿通穴423が設けられている。各第3脚片421の下端にめねじ422が1つずつ設けられている。
【0035】
第2可動部材42は、2つの軸部43によって、第1可動部材41に対して揺動可能に取り付けられる。第2可動部材42の一対の第3脚片421は、それぞれ第1可動部材41の第1主片410に設けられた一対の挿通溝414に1つずつ挿通され、第1可動部材41の一対の第2脚片412の内側に配置される。そして、軸部43の段付ねじ430は、波形座金432と平座金431を介して第2脚片412の第2軸穴415に挿通され、第3脚片421のめねじ422にねじ込まれる。ここで、段付ねじ430の円筒部4300が第2軸穴415と嵌合することにより、段付ねじ430の円筒部4300を軸として第2可動部材42が第1可動部材41に対して揺動可能に取り付けられる。
【0036】
(2-3)保持部材
保持部材7は、器具本体1に対して支持ブロック4(灯体2)を回転可能に保持する。保持部材7は、
図3及び
図4に示すように、保持板70と、3つの押さえ部71と、固定ねじ72とを有する。
【0037】
保持板70は、金属製の板材によって円板状に形成されている。保持板70の中心には、長方形状の挿通穴701が設けられている。また、保持板70の周縁部であって、挿通穴701の長手方向に沿って挿通穴701と隣り合う位置にめねじ700が設けられている。さらに、保持板70の挿通穴701の短手方向に沿って挿通穴701と隣り合う位置に、円形のケーブル挿通穴702が設けられている。
【0038】
保持板70の挿通穴701には、保持板70の下から第2可動部材42の第2主片420が挿通される。そして、保持板70の上に配置された第2主片420のねじ挿通穴423に固定ねじ72が挿通され、固定ねじ72が保持板70のめねじ402にねじ込まれる。その結果、保持板70と支持ブロック4がねじ止めによって結合される(
図2及び
図4参照)。
【0039】
また、保持板70は、3つの押さえ部71に押さえられて、器具本体1の円筒部10の上面に取り付けられる。3つの押さえ部71はそれぞれ、段付ねじ710と平座金711で構成されている。段付ねじ710は、平座金711を介して、円筒部10の上面における突台部15の近傍に設けられているねじ穴にねじ込まれる。ただし、円筒部10の上面と平座金711の下面の間には、突台部15の高さ分の隙間が生じる。そして、円筒部10の上面と平座金711の下面の間の隙間に、保持板70の周縁部分が挟み込まれることによって、保持板70が器具本体1の円筒部10の上面に回転可能に取り付けられる(
図2-
図4参照)。
【0040】
ここで、円筒部10の上面において、段付ねじ710のための3つのねじ穴と同心円上に、半球状の3つの位置決め突起16が等間隔に設けられている。これら3つの位置決め突起16により、保持板70の中心と円筒部10の上面の中心との位置ずれを抑制することができる(
図2-
図4参照)。なお、保持板70のケーブル挿通穴702には、電源ケーブルC1が挿通される。電源ケーブルC1の一端は、光源ユニット3の配線部323と電気的に接続される。また、電源ケーブルC1の他端は、図示しない電源ユニットと電気的に接続される。
【0041】
(2-4)取付具
取付具8は、
図2に示すように、ばね片80、取付片81、抜け止め片82、ロック爪83及び一対の補強部84を有している。ばね片80、取付片81、抜け止め片82、ロック爪83及び一対の補強部84は、例えば、ステンレス鋼のようにばねの材料に適した金属によって一体に形成されている。なお、3つの取付具8は、すべて同一の形状及び同一の寸法で形成されている。
【0042】
ばね片80は、長尺の帯状に形成されている。取付片81は、長方形状に形成されている。抜け止め片82は、取付片81よりも幅の狭い長方形状に形成され、取付片81及びばね片80とそれぞれつながっている。ただし、ばね片80とつながった抜け止め片82の下端はU字状に湾曲している。ロック爪83は、取付片81の一部が切り抜かれることによって鉤形に形成されている。一対の補強部84はそれぞれ、取付片81及び抜け止め片82の一部が絞り加工されることによって長尺のバスタブ状に形成されている。これら一対の補強部84により、取付片81と抜け止め片82の厚み方向に沿った変形が抑制される。
【0043】
(2-5)シール部材
シール部材6は、第1接触部61、第2接触部62、6つの突部63、6つの引掛爪64、非接触部65及びつば部66を有している(
図4参照)。第1接触部61、第2接触部62、6つの突部63、6つの引掛爪64、非接触部65及びつば部66は、例えば、シリコーン樹脂などの柔軟性を有する合成樹脂材料によって一体に形成されている。
【0044】
第1接触部61は、円筒形状に形成されている。つば部66は、円環形状に形成されて第1接触部61の下端から外向きに突出している。非接触部65は、円錐台形状に形成されて第1接触部61の上端とつながって第1接触部61の上端から上向きに突出している。第2接触部62は、円環状に形成され、非接触部65の上端から内向きに突出している。
【0045】
6つの突部63はそれぞれ、4角柱状に形成されている。各突部63は、3角柱状の引掛爪64を1つずつ有している。6つの突部63はそれぞれ、第1接触部61の外周面から第1接触部61の厚み方向に沿って外向きに突出している。ただし、6つの突部63は、2つを1組として第1接触部61の周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0046】
1組の突部63は、取付具8の取付片81の幅寸法よりも狭く、かつ、抜け止め片82の幅寸法よりも広い間隔を空けて、第1接触部61の周方向に沿って隣り合うように配置されている。また、1組の突部63において、それぞれの突部63が有する引掛爪64は、それぞれの突部63が第1接触部61の周方向に沿って対向する面(以下、対向面と呼ぶ場合がある。)と反対の面から外向きに突出している。
【0047】
(2-6)器具本体に対するシール部材と取付具の取り付け
シール部材6は、器具本体1の円筒部10に挿入される。このときシール部材6の3組の突部63はそれぞれ、円筒部10の下部に設けられている3組の挿通穴13のそれぞれに1つずつ挿入される。そして、各組の突部63の引掛爪64が、各組の挿通穴13の外側の縁に引っ掛かる。その結果、シール部材6は、6つの引掛爪64が器具本体1の円筒部10における6つの挿通穴13の縁に引っ掛けられることにより、器具本体1(の円筒部10)に取り付けられる。なお、シール部材6が器具本体1に取り付けられた状態においては、シール部材6の第2接触部62の開口に灯体2の一部(レンズカバー33)が挿通される(
図4参照)。
【0048】
3つの取付具8は、シール部材6が取り付けられた器具本体1の3つの取付部12に1つずつ取り付けられる。取付具8の抜け止め片82は、円筒部10の外周面に沿って上から下に向かって取付部12の一対の差込片120の間を通して1組の突部63の間に差し込まれる。そして、取付具8の取付片81が取付部12の一対の差込片120と円筒部10の外周面の間の空間に挿入され、一対の差込片120によって取付片81が支持される。さらに、取付具8のロック爪83が取付部12のロック溝121に挿入されると、取付片81の上方向への移動が禁止され、器具本体1の取付部12に取付具8が取り付けられる。
【0049】
(3)光学部品の詳細
次に、
図6-
図8を参照して光学部品5を詳細に説明する。
【0050】
光学部品5は、本体50、複数の第1突部51、複数の第2突部52の他に、周壁53及び複数(図示例では3つ)の固定部54を備えている。なお、本体50、複数の第1突部51、複数の第2突部52、周壁53及び複数の固定部54は、例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂の成形体として一体に形成されている。ただし、光学部品5は、石英ガラスなどの無機ガラスで形成されても構わない。
【0051】
周壁53は、円板状の本体50の周縁から上向きに起立するように円環状に形成されている。3つの固定部54はそれぞれ、鉤形に形成されて周壁53の外周面から突出している。これらの固定部54は、ホルダ32に設けられている3つの引掛部324(
図5参照)にそれぞれ1つずつ引っ掛けられる。つまり、光学部品5は、3つの固定部54が3つの引掛部324に引っ掛けられることによってホルダ32に固定される(
図4及び
図5参照)。
【0052】
複数(図示例では11個)の第1突部51はそれぞれ、入射面(本体50の上面)に平行な第1方向D1(
図6参照)を長手方向とする長尺の半円柱状に形成される。すなわち、各第1突部51は、LED30と対向する面に半円筒面状の屈折面を有する円柱レンズ(シリンドリカルレンズとも呼ばれる。)に相当する。そして、複数の第1突部51は、本体50の第1表面において、各々の軸方向(長手方向)が平行となるように1列に並べられている。なお、複数の第1突部51のそれぞれの屈折面の幅W1は、製造上で生じる公差を含めて実質的に等しい(
図6参照)。
【0053】
ここで、複数の第1突部51は、屈折面の曲率が異なる2種類の円柱レンズで構成されている。ただし、以下の説明において、11個の第1突部51のうち、屈折面の曲率が相対的に大きい3個の第1突部51を第1突部51Aと表記し、屈折面の曲率が相対的に小さい8個の第1突部51を第1突部51Bと表記する場合がある(
図6参照)。なお、3個の第1突部51Aの屈折面の曲率は互いに等しく、8個の第1突部51Bの屈折面の曲率は互いに等しい。
【0054】
屈折面の曲率が大きい3個の第1突部51Aは、本体50の第1表面の中央に配置されている。屈折面の曲率が小さい8個の第1突部51Bは、第2方向D2に沿って、3個の第1突部51Aの両側に4個ずつ配置されている(
図6参照)。
【0055】
ここで、3個の第1突部51Aは、光学部品5の入射面におけるLED30(の発光面)の投影範囲S1と少なくとも一部が重なっている(
図6参照)。さらに、3個の第1突部51Aは、屈折面の曲率が小さい第1突部51Bに比べて、本体50の第1表面からの高さ寸法が高くなっている(
図6及び
図8参照)。言い換えると、複数の第1突部51のうち、投影範囲S1と重なる1つ以上の第1突部51Aは、投影範囲S1と重ならない1つ以上の第1突部51Bに比べて、第1表面からの高さ寸法が高くなっている。なお、第2方向D2において、投影範囲S1と重なる3個の第1突部51Aの幅寸法の合計は、投影範囲S1の第2方向D2における幅寸法(直径)よりも大きい(
図6参照)。ただし、2種類の第1突部51A、51Bの各々の個数及び配置は、上記個数及び配置に限定されない。
【0056】
しかして、3個の第1突部51Aの焦点距離は、8個の第1突部51Bの距離よりも短くなる。そのため、3個の第1突部51Aに入射する光は、8個の第1突部51Bに入射する光に比べて、本体50の中央から離れる向きに集光される。ゆえに、光学部品5は、11個の第1突部51の高さ寸法が等しい(焦点距離が等しい)場合に比べて、本体50の中央部の光束を相対的に減らし、本体50の中央部の周囲の光束を相対的に増やすことができる。
【0057】
複数(図示例では6個)の第2突部52は、同心円上に並ぶように本体50の第2表面に設けられてフレネルレンズを構成している。したがって、光学部品5は、出射面(本体50の第2表面)に1つの凸レンズを設ける場合に比べて小型化(特に第2表面から高さ寸法の低減)を図ることができる。
【0058】
以下の説明において、本体50の中心に近い位置に配置されている第2突部52から順番に、第2突部52A、52B、52C、52D、52E、52Fと表記する場合がある(
図7参照)。
【0059】
これら6個の第2突部52のうち、第2突部52Aを除く5個の第2突部52B、52C、52D、52E、52Fはそれぞれ、第1屈折面55Aと第2屈折面55Bを有している。第1屈折面55Aは、球面の一部を形成する円環状に形成されている。第2屈折面55Bは、円筒面状に形成され、内側に隣り合った第2突部52の第1屈折面55Aに対向している(
図7及び
図8参照)。なお、第2突部52Aの中央には、円筒状の凹所520(いわゆる、ゲート痕)が存在している(
図7及び
図8参照)。ただし、この凹所520は、第2突部52Aに必須の構造ではない。
【0060】
ここで、本体50の第2表面の中央に位置する第2突部52Aは、その他の5個の第2突部52B、52C、52D、52E、52Fに比べて、第2表面からの高さ寸法が低くなっている(
図7及び
図8参照)。ゆえに、第2突部52Aの屈折面から出射する光の一部は、第2突部52Bの第2屈折面55Bで反射して周辺に進行する。したがって、光学部品5は、2個の第2突部52A、52Bの高さ寸法が等しい場合に比べて、本体50の第2表面の中央から出射する光束を相対的に減らし、本体50の周辺に向かって出射する光束を相対的に増やすことができる。
【0061】
さらに、第2突部52Aの第1屈折面55A(凹所520の表面を含む。)、第2突部52Bの第1屈折面55A及び第2屈折面55B、第2突部52Cの第2屈折面55Bに、微細な凹凸加工(いわゆるシボ加工)が施されている。つまり、これらのシボ加工が施された屈折面(第1屈折面55A及び第2屈折面55B)に入射する光は、屈折される際に拡散される。ただし、すべての第2突部52の表面(第1屈折面55A及び第2屈折面55B)にシボ加工が施されてもよいし、シボ加工が施されなくてもよい。
【0062】
上述のように構成された光学部品5において、複数の第1突部51はそれぞれ、入射する光を第2方向D2に集光し、第1方向D1にはほとんど集光しない。また、複数の第2突部52はフレネルレンズを構成しているので、複数の第1突部51で集光された後、本体50を通過した光は、複数の第2突部52から出射する際に屈折し、第1方向D1及び第2方向D2の各方向に集光される。したがって、光学部品5は、LED30の円形の発光面(光が放射される面)から放射される光の配光特性を、第1方向D1を長軸方向とする、おおよそ長円形の配光特性とすることができる。
【0063】
(4)照明器具の配光特性
次に、光学部品5を用いた照明器具A1の配光特性について説明する。なお、以下の説明において、照明器具A1は病室の天井に設置され、病室に置かれた入院患者用のベッド90を照明する用途に用いられる(
図9参照)。
【0064】
図9Aにおける一点破線は、照明器具A1の配光特性(等光度曲線)を示し、
図9Bにおける一点破線は、比較例の照明器具の配光特性(等光度曲線)を示している。比較例の照明器具は、照明器具A1の光学部品5と異なる光学部品を使用している。比較例の照明器具における光学部品(以下、比較例の光学部品という。)は、光学部品5に対して、複数の第1突部の第1表面からの高さ寸法がすべて等しい点と、中央の第2突部52Aが、隣接する第2突部52Bと一体に形成され、すべての第2突部52の第2表面からの高さ寸法が等しい点が異なっている。
【0065】
比較例の照明器具の配光特性は、
図9Bに示すように、ベッド90に横たわる人M1の胴体から脚にかけての範囲において等光度曲線の間隔が密になっている。つまり、比較例の照明器具で照明された場合、人M1の身体の中心が最も明るく、身体の中心から離れるに従って急激に照度が低下する。
【0066】
一方、照明器具A1の配光特性は、
図9Aに示すように、比較例の照明器具の配光特性に比べると、ベッド90に横たわる人M1の胴体から脚にかけての範囲において等光度曲線の間隔が疎(まばら)になっている。つまり、照明器具A1で照明された場合、人M1の身体の中心と腕、手、脚、足などの身体の端部の照度差が小さくなり、光の均斉度の向上が図られている。
【0067】
しかして、照明器具A1がベッド90に横たわる人M1の身体をより均一に照明すれば、医師及び看護師が人M1(患者)の容態を確認し、様々な処置を施す際の作業性の向上を図ることができる。
【0068】
(6)まとめ
本開示の第1の態様に係る光学部品(5)は、板状に形成された本体(50)と、複数の第1突部(51)と、複数の第2突部(52)とを備える。複数の第1突部(51)は、本体(50)の表面であって、光源(LED30)から放射される光が入射する入射面に設けられる。複数の第2突部(52)は、本体(50)の表面であって、入射面と対向する出射面に設けられる。複数の第1突部(51)はそれぞれ、入射面に平行な第1方向(D1)を長手方向とする長尺状に形成される。複数の第1突部(51)は、入射面に平行かつ第1方向(D1)と交差する第2方向(D2)に沿って並ぶように入射面に設けられる。複数の第2突部(52)はそれぞれ、出射面の法線方向から見て同心円上に並ぶように出射面に設けられる。複数の第1突部(51)のうち、入射面における光源の投影範囲(S1)と重なる1つ以上の第1突部(51A)は、投影範囲(S1)と重ならない1つ以上の第1突部(51B)に比べて、入射面からの高さ寸法が高い。
【0069】
第1の態様に係る光学部品(5)は、入射面に入射する光のうち、光源の投影範囲(S1)と重なる1つ以上の第1突部(51A)に入射する光を、本体(50)の外側に向けて集光するので、光の均斉度の向上を図ることができる。
【0070】
本開示の第2の態様に係る光学部品(5)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る光学部品(5)において、複数の第1突部(51)はそれぞれ、円柱レンズであることが好ましい。
【0071】
第2の態様に係る光学部品(5)は、複数の第1突部(51)のそれぞれを円柱レンズとすることにより、円柱レンズの軸方向にはほとんど光を集光せずに、軸方向と交差する方向に光を集光することができる。その結果、第2の態様に係る光学部品(5)は、光の均斉度の更なる向上を図ることができる。
【0072】
本開示の第3の態様に係る光学部品(5)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る光学部品(5)において、複数の第2突部(52)は、フレネルレンズであることが好ましい。
【0073】
第3の態様に係る光学部品(5)は、出射面に1つの凸レンズを設ける場合に比べて、小型化(特に第2表面から高さ寸法の低減)を図ることができる。
【0074】
本開示の第4の態様に係る光学部品(5)は、第1-第3のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る光学部品(5)において、複数の第2突部のうち、同心円の中心に位置する第2突部(52A)は、同心円の中心に位置しない複数の第2突部(52B、52C、52D、52E、52F)に比べて、出射面からの高さ寸法が低いことが好ましい。
【0075】
第4の態様に係る光学部品(5)は、第2突部(52A)から出射する光の一部を、隣の第2突部(52B)の側面(第2屈折面55B)に反射させることにより、本体(50)の第2表面の中央から出射する光束を相対的に減らすことができる。その結果、第4の態様に係る光学部品(5)は、本体(50)の周辺に向かって出射する光束を相対的に増やすことによって、光の均斉度の更なる向上を図ることができる。
【0076】
本開示の第5の態様に係る光学部品(5)は、第1-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る光学部品(5)において、複数の第1突部(51)のうち、第2方向(D2)に沿って隣り合う2つ以上の第1突部(51A)が投影範囲(S1)と重なることが好ましい。第2方向(D2)において、投影範囲(S1)と重なる2つ以上の第1突部(51A)の幅寸法の合計は、投影範囲(S1)の第2方向における幅寸法よりも大きいことが好ましい。
【0077】
第5の態様に係る光学部品(5)は、光源から放射される光の大部分を2つ以上の第1突部(51A)に入射させることにより、光の均斉度の更なる向上を図ることができる。
【0078】
本開示の第6の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第5のいずれかの態様に係る光学部品(5)と、光学部品(5)の入射面に光を入射させる光源(LED30)と、光学部品(5)及び光源を収容する器具本体(1)とを備える。
【0079】
第6の態様に係る照明器具(A1)は、光学部品(5)によって光源から出射する光を制御することにより、光の均斉度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0080】
A1 照明器具
1 器具本体
5 光学部品
30 LED(光源)
50 本体
51;51A;51B 第1突部
52;52A;52B;52C;52D;52E;52F 第2突部
D1 第1方向
D2 第2方向
S1 投影範囲