IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーピー化成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-包装用容器 図1
  • 特許-包装用容器 図2
  • 特許-包装用容器 図3
  • 特許-包装用容器 図4
  • 特許-包装用容器 図5
  • 特許-包装用容器 図6
  • 特許-包装用容器 図7
  • 特許-包装用容器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/10 20060101AFI20240809BHJP
   B65D 1/34 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B65D43/10
B65D1/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020153615
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047698
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】込山 和馬
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/039907(WO,A1)
【文献】特開2005-162302(JP,A)
【文献】特開2002-068241(JP,A)
【文献】特開2019-189335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/10
B65D 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と蓋体とを備え、シート成形によって形成される包装用容器であって、
前記容器本体及び前記蓋体が平面視矩形状に形成され、
前記容器本体は、底面部と、前記底面部から上方に延びる本体周壁部と、前記本体周壁部から外側へ延びる本体フランジ部と、前記本体フランジ部よりも周縁側において下方に延びる本体スカート部と、前記本体スカート部に設けられた本体係合部と、を有し、
前記蓋体は、天面部と、前記天面部から下方に延びる蓋体周壁部と、前記蓋体周壁部から外側に延びて前記本体フランジ部に重ね合わされる蓋体フランジ部と、前記蓋体フランジ部よりも周縁側において下方に延びて前記本体スカート部を外方から覆う蓋体スカート部と、前記蓋体スカート部に設けられて前記本体係合部に係合する蓋体係合部と、前記蓋体フランジ部よりも外側に突出する突出片からなる摘み部と、を有し、
矩形状の前記容器本体及び前記蓋体の四隅の全てに、隅切り状に形成された隅切り部が設けられ、
四隅の前記隅切り部のうちの少なくとも1つに、前記摘み部が設けられ、
前記摘み部が、前記蓋体スカート部の下端部から上方に延びる上方延出部と、前記蓋体フランジ部よりも低い位置で前記上方延出部の上端部から外方に延びる摘み本体部と、前記摘み本体部の中央部において上方に隆起する隆起部と、を有し、
前記本体スカート部が、前記摘み部が設けられている位置の前記隅切り部を挟んだ両側に、前記本体フランジ部と前記蓋体フランジ部とが離間する向きの撓み変形を促進させる撓み変形促進部を有する包装用容器。
【請求項2】
前記撓み変形促進部が、前記本体スカート部をその下端部から切り欠いて形成された切欠部で構成され、
前記蓋体スカート部が、閉蓋状態で前記切欠部を外方から覆う突出部を有する請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記突出部が、前記本体スカート部に形成された前記切欠部に対応し、かつ、当該切欠部よりもひとまわり大きい形状を有するように形成されている請求項2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記切欠部が、R形状の切欠底を有する請求項2又は3に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば弁当や惣菜等の食品を包装するために、包装用容器が用いられている。このような包装用容器は、多くの場合、シート成形によって形成される。このようなシート成形の包装用容器の一例が、特開2010-184742号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1の包装用容器(蓋付容器5)は、容器本体(容器本体1)の本体スカート部(外側周壁15)に設けられた本体係合部(凹溝24)と、蓋体(蓋体3)の蓋体スカート部(外嵌合部15)に設けられた蓋体係合部(凸溝32)とが係合して、閉蓋状態が適切に維持される。また、開蓋操作時には、蓋体に設けられた摘み部(舌片37)を摘んで本体係合部と蓋体係合部との係合を解除して、容器本体から蓋体を取り外すことができる。
【0003】
しかし、閉蓋状態時に摘み部に対して例えば下方から何らかの外力が加わると、意図せず容器本体から蓋体が外れてしまうおそれがある。一方、意図しない蓋体の外れを生じにくくするべく嵌合力が大きくなるように本体係合部及び蓋体係合部を形成すると、通常の開蓋操作時にも蓋体を取り外しにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-184742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
必要時に容易に開蓋でき、かつ、意図しない外力が加わった際にも蓋体が外れにくい包装用容器の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装用容器は、
容器本体と蓋体とを備え、シート成形によって形成される包装用容器であって、
前記容器本体及び前記蓋体が平面視矩形状に形成され、
前記容器本体は、底面部と、前記底面部から上方に延びる本体周壁部と、前記本体周壁部から外側へ延びる本体フランジ部と、前記本体フランジ部よりも周縁側において下方に延びる本体スカート部と、前記本体スカート部に設けられた本体係合部と、を有し、
前記蓋体は、天面部と、前記天面部から下方に延びる蓋体周壁部と、前記蓋体周壁部から外側に延びて前記本体フランジ部に重ね合わされる蓋体フランジ部と、前記蓋体フランジ部よりも周縁側において下方に延びて前記本体スカート部を外方から覆う蓋体スカート部と、前記蓋体スカート部に設けられて前記本体係合部に係合する蓋体係合部と、前記蓋体フランジ部よりも外側に突出する突出片からなる摘み部と、を有し、
矩形状の前記容器本体及び前記蓋体の四隅の全てに、隅切り状に形成された隅切り部が設けられ、
四隅の前記隅切り部のうちの少なくとも1つに、前記摘み部が設けられ、
前記摘み部が、前記蓋体スカート部の下端部から上方に延びる上方延出部と、前記蓋体フランジ部よりも低い位置で前記上方延出部の上端部から外方に延びる摘み本体部と、を有する。
【0007】
この構成によれば、容器本体の本体スカート部に設けられた本体係合部と、蓋体の蓋体スカート部に設けられた蓋体係合部とが係合することで、閉蓋状態が適切に維持される。摘み部はフランジ部よりも外側に突出しているが、蓋体スカート部に上方延出部を介して摘み本体部が連結されているので、閉蓋状態で意図しない外力が摘み本体部に加わっても、上方延出部の部分が容易に撓んでその外力を逃がすことができる。開蓋操作時には、摘み本体部を摘んで本体係合部と蓋体係合部との係合を解除することで、容器本体から蓋体を問題なく取り外すことができる。その際、蓋体スカート部の下端部と上端部との間で蓋体に対して力を作用させやすい状態で摘み本体部を操作し、また、矩形状の容器本体及び蓋体の四隅のうち摘み部が設けられている隅部を起点として、蓋体を容易に取り外すことができる。以上より、必要時に容易に開蓋でき、かつ、意図しない外力が加わった際にも蓋体が外れにくい包装用容器を実現することができる。
【0008】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0009】
一態様として、
前記本体スカート部及び前記蓋体スカート部の少なくとも一方が、前記摘み部が設けられている位置の前記隅切り部を挟んだ両側に、前記本体フランジ部と前記蓋体フランジ部とが離間する向きの撓み変形を促進させる撓み変形促進部を有することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、摘み本体部を摘んで開蓋操作する際に、撓み変形促進部の存在により、本体フランジ部と蓋体フランジ部とが離間する向きの容器本体及び蓋体の少なくとも一方の撓み変形を容易に生じさせることができる。これにより、本体係合部と蓋体係合部との係合を容易に解除することができ、蓋体をより一層容易に取り外すことができる。
【0011】
一態様として、
前記撓み変形促進部が、前記本体スカート部又は前記蓋体スカート部をそれらの下端部から切り欠いて形成された切欠部で構成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、本体スカート部又は蓋体スカート部を部分的に切り欠くだけで、簡単に、本体スカート部及び蓋体スカート部の少なくとも一方に撓み変形促進部を設けることができる。
【0013】
一態様として、
前記切欠部が、R形状の切欠底を有することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、容器本体及び蓋体の少なくとも一方が撓み変形する際にも、撓み変形促進部を構成する切欠底の部分に応力が集中しにくい。よって、本体スカート部や蓋体スカート部に亀裂が生じにくくすることができる。
【0015】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】包装用容器の分解斜視図
図2】包装用容器の分解正面図
図3】包装用容器の分解側面図
図4】容器本体の平面図
図5】蓋体の平面図
図6図4及び図5におけるVI-VI断面図
図7】開蓋操作の一例を示す斜視図
図8】開蓋操作時の容器本体及び蓋体の変形状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
包装用容器の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、寿司や惣菜等の食品を被収容物としてその内部に収容する包装用容器(食品包装用容器)1を例として説明する。
【0018】
なお、以下では、包装用容器1の内側に向かう方向(外縁側から中央側に向かう方向)を「内方」と言い、包装用容器1の外側に向かう方向(中央側から外縁側に向かう方向)を「外方」と言う。
【0019】
図1図3に示すように、包装用容器1は、容器本体3と蓋体5とを備えている。包装用容器1は、シート成形によって形成されている。包装用容器1を構成する容器本体3及び蓋体5が、それぞれ、シート成形によって形成されている。本実施形態では、容器本体3及び蓋体5は、熱可塑性樹脂非発泡シートの熱成形によって形成される。熱可塑性樹脂非発泡シートは、熱可塑性樹脂を主体とする熱可塑性樹脂非発泡層を備えている。熱可塑性樹脂非発泡層を構成する熱可塑性樹脂は、特に限定されない。例えばポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、及びアクリル樹脂等の一般的な熱可塑性樹脂を適宜使用することができる。これらは、それぞれ、単独重合体、他の単量体との共重合体、他の樹脂との混合物、又はそれらの組み合わせであって良い。
【0020】
なお、容器本体3は、熱可塑性樹脂発泡シート、又は、熱可塑性樹脂発泡シートと熱可塑性樹脂非発泡シートとの積層シートの熱成形によって形成されても良い。また、容器本体3は、有色に形成されても良いし、無色に形成されても良い。蓋体5は、無色に形成されることが好ましい。
【0021】
図4及び図5に示すように、本実施形態の包装用容器1は、平面視矩形状に形成されている。すなわち、包装用容器1を構成する容器本体3及び蓋体5は、平面視矩形状に形成されている。「平面視矩形状」とは、平面視における外形形状が、矩形であること又は全体としておよそ矩形であることを意味する。従って、容器本体3及び蓋体5は、平面視における外形形状が全体としておよそ矩形である限り、四辺のうちの少なくとも1つが屈曲ないし湾曲して形成されても良い。また、四隅のうちの少なくとも1つが隅切り状に形成されても良い。
【0022】
本実施形態では、包装用容器1(容器本体3及び蓋体5)は、一対の長辺部Lと一対の短辺部Sとを有する平面視長方形状に形成されている。また、長方形状の容器本体3及び蓋体5の四隅の全てに、隅切り状に形成された隅切り部Cが設けられている。
【0023】
図1図4に示すように、容器本体3は、底面部31と、本体周壁部32と、本体フランジ部33と、本体スカート部34と、本体係合部35とを有している。
【0024】
底面部31は、容器本体3の底部を構成している。底面部31は、被収容物たる食品が載置される載置部となる。また、底面部31の四隅には、下方に窪む凹溝部31Aが形成されている。このような凹溝部31Aが形成されていることに対応して、底面部31の四隅にはそれぞれ脚部31Bが形成されている。脚部31Bは、容器本体3を陳列台やテーブル等に置く際に、容器本体3を支える部位となる。また、脚部31Bは、複数の包装用容器1が上下に積み上げられるとき、下側の包装用容器1の蓋体5の天面部51に形成された隅凹部51Aに係止されて位置保持される。
【0025】
本体周壁部32は、底面部31から上方に延びるように形成されている。本体周壁部32は、上方に向かうに従って外方に傾斜するように形成されている。本体周壁部32は、底面部31の周囲を取り囲むように環状に形成されている。本体周壁部32は、底面部31と共に、被収容物を収容するための収容部を形成している。本実施形態では、本体周壁部32に、上下方向に沿って延びる複数の周壁リブ部32Aが周方向に並んで形成されている。
【0026】
本体フランジ部33は、本体周壁部32から外側に延びている。本体フランジ部33は、本体周壁部32の上端部から外側に水平に延びている。本体フランジ部33は、一対の長辺部L及び一対の短辺部Sに設けられる計4つの本体辺フランジ部33Aと、隅切り部Cにおいて隣り合う本体辺フランジ部33Aどうしの間に設けられる計4つの本体隅切りフランジ部33Bとを有する。本体フランジ部33には、閉蓋状態で蓋体5の蓋体フランジ部53が重ね合わされる。
【0027】
本体スカート部34は、本体フランジ部33よりも周縁側において下方に延びている。具体的には、本体スカート部34は、本体フランジ部33の外側端部から下方に延びている。本体スカート部34は、容器本体3の全周に亘って形成されている。本体スカート部34は、外方に向かうに従ってやや下方に傾斜した後、垂下するように形成されている。本体スカート部34は、閉蓋状態で蓋体5の蓋体スカート部54によって外方から覆われる。
【0028】
本体スカート部34における垂下する部分(垂下壁部)に、本体係合部35が設けられている。本実施形態では、内方に窪む凹溝部として本体係合部35が形成されている。本体係合部35を構成する凹溝部は、容器本体3の全周に亘って連続して形成されている。本体係合部35には、閉蓋状態で蓋体5の蓋体スカート部54に形成された蓋体係合部55が係合する。
【0029】
図1図3及び図5に示すように、蓋体5は、天面部51と、蓋体周壁部52と、蓋体フランジ部53と、蓋体スカート部54と、蓋体係合部55と、摘み部56とを有している。
【0030】
天面部51は、蓋体5の天井部を構成している。天面部51は、平坦面に形成されている。また、天面部51の四隅には、下方に窪む隅凹部51Aが形成されている。隅凹部51Aは、平面視L字状に形成されている。隅凹部51Aには、複数の包装用容器1が上下に積み上げられるとき、上側の包装用容器1の容器本体3の底面部31に形成された脚部31Bが係止される。
【0031】
蓋体周壁部52は、天面部51から下方に延びるように形成されている。蓋体周壁部52は、下方に向かうに従って外方に傾斜するように形成されている。蓋体周壁部52は、天面部51の周囲を取り囲むように環状に形成されている。蓋体周壁部52は、一対の長辺部L及び一対の短辺部Sに設けられる計4つの蓋体辺周壁部52Aと、隅切り部Cにおいて隣り合う蓋体辺周壁部52Aどうしの間に設けられる計4つの蓋体隅切り周壁部52Bとを有する。本実施形態では、4つの蓋体隅切り周壁部52Bのうち、対角に位置する2つの蓋体隅切り周壁部52Bに、内方に凹面状に窪む凹設部52Cが設けられている(図5を参照)。
【0032】
蓋体フランジ部53は、蓋体周壁部52から外側に延びている。蓋体フランジ部53は、蓋体周壁部52の下端部から水平に外側に延びている。蓋体フランジ部53は、一対の長辺部L及び一対の短辺部Sに設けられる計4つの蓋体辺フランジ部53Aと、隅切り部Cにおいて隣り合う蓋体辺フランジ部53Aどうしの間に設けられる計4つの蓋体隅切りフランジ部53Bとを有する。蓋体フランジ部53は、閉蓋状態で容器本体3の本体フランジ部33に重ね合わされる。蓋体辺フランジ部53Aが本体辺フランジ部33Aに重ね合わされ、蓋体隅切りフランジ部53Bが本体隅切りフランジ部33Bに重ね合わされる。
【0033】
上述したように、本実施形態では、4つの蓋体隅切り周壁部52Bのうち、対角に位置する2つの蓋体隅切り周壁部52Bに、内方に凹面状に窪む凹設部52Cが設けられている。これにより、凹設部52Cが設けられている位置の隅切り部Cにおける蓋体周壁部52と蓋体フランジ部53との境界線は、内方に凸の円弧状をなしている。これにより、当該位置における蓋体フランジ部53は、他の部位に比べて幅広に形成された幅広部53Cとなっている。本実施形態では、この幅広部53Cに、複数の微細突起53Dが形成されている(図5を参照)。
【0034】
蓋体スカート部54は、蓋体フランジ部53よりも周縁側において下方に延びている。具体的には、蓋体スカート部54は、蓋体フランジ部53の外側端部から下方に延びている。蓋体スカート部54は、蓋体5の全周に亘って形成されている。蓋体スカート部54は、外方に向かうに従ってやや下方に傾斜した後、垂下するように形成されている。蓋体スカート部54は、閉蓋状態で容器本体3の本体スカート部34を外方から覆う。
【0035】
蓋体スカート部54における垂下する部分(垂下壁部)に、蓋体係合部55が設けられている。本実施形態では、内方に突出する直線状の線状突起として蓋体係合部55が形成されている。蓋体係合部55を構成する線状突起は、周方向に断続的に形成されている。具体的には、蓋体係合部55を構成する線状突起は、一対の長辺部Lにあってはその両端部及び中央部に独立して形成され、一対の短辺部Sにあってはその両端部だけに独立して形成され、隅切り部Cにあってはその略全域に形成されている。蓋体係合部55は、容器本体3の本体スカート部34に形成された本体係合部35に係合する。
【0036】
図6に示すように、本体係合部35を構成する凹溝部及び蓋体係合部55を構成する線状突起は、それぞれ、下方に向かうに従って内方に傾斜する傾斜面を有している。本体係合部35に蓋体係合部55が外側から進入し、本体係合部35の当該傾斜面と蓋体係合部55の当該傾斜面とが係合可能となっていることで、蓋体5が容器本体3から外れにくくなっている。このため、例えば包装用容器1の搬送中等に意図しない外力が加わったとしても、閉蓋状態を適切に維持しやすい。
【0037】
摘み部56は、蓋体フランジ部53よりも外側に突出する突出片で構成されている。摘み部56は、隅切り部Cに設けられている。摘み部56は、四隅の隅切り部Cのうちの少なくとも1つに設けられている。本実施形態では、四隅の隅切り部Cのうち対角に位置する2つの隅切り部Cに、摘み部56が設けられている。より具体的には、四隅の隅切り部Cのうち、対角に位置しており幅広部53Cが設けられている2つの隅切り部Cに、摘み部56が設けられている。
【0038】
図6及び図7に示すように、摘み部56は、上方延出部56Aと摘み本体部56Bとを有する。上方延出部56Aは、蓋体スカート部54の下端部から上方に延びている。上方延出部56Aは、上方に向かうに従って外方に傾斜するように形成されている。摘み本体部56Bは、上方延出部56Aの上端部から外方に延びている。摘み本体部56Bは、平面状に形成されて水平姿勢で外方に延びている。また、摘み本体部56Bは、蓋体フランジ部53よりも低い位置に配置されている。言い換えれば、摘み本体部56Bは、蓋体スカート部54の上端部よりも低い位置に配置されている。本実施形態では、摘み本体部56Bは、蓋体係合部55と同程度の高さ位置に配置されている。
【0039】
また、摘み部56は、隆起部56Cをさらに有している。隆起部56Cは、平面状の摘み本体部56Bの中央部において、上方に隆起するように形成されている。本実施形態では、隆起部56Cも、蓋体フランジ部53(及び蓋体スカート部54の上端部)よりも低い位置に配置されている。すなわち、摘み部56が、蓋体スカート部54の下端部から上方に延びる上方延出部56Aと当該上方延出部56Aから外方に延びる摘み本体部56Bとを有して構成されているとともに、摘み本体部56Bから上方に隆起する隆起部56Cを含む摘み部56の全体が、蓋体スカート部54の下端部と上端部との間に配置されている。なお、摘み部56は蓋体5だけに設けられており、容器本体3にはこれに対応する部位は設けられていない。
【0040】
図1図3に示すように、本実施形態では、本体スカート部34は、少なくとも蓋体5において摘み部56が設けられている位置の隅切り部Cを挟んだ両側に、本体フランジ部33と蓋体フランジ部53とが離間する向きの撓み変形を促進させる撓み変形促進部37を有している。本実施形態では、蓋体5において摘み部56が設けられていない位置も含め、全ての隅切り部Cの両側に、撓み変形促進部37が設けられている。容器本体3は、蓋体5に対して下側に位置しているので、本体スカート部34に設けられた撓み変形促進部37は、本体フランジ部33及び本体スカート部34が下方に撓むのを促進させる役割を果たす。
【0041】
本実施形態の撓み変形促進部37は、本体スカート部34をその下端部から切り欠いて形成された切欠部38で構成されている。図6に示すように、撓み変形促進部37を構成する切欠部38は、一対の切欠辺38Aと、切欠底38Bとを有する。一対の切欠辺38Aは、周方向に向かい合う辺部であり、これらは両者間の間隔が下端部側に比べて上端部側でやや狭くなるように傾斜して配置されている。切欠底38Bは、一対の切欠辺38Aの上端部どうしを接続している。本実施形態では、切欠底38Bは上向きに凸のR形状に形成されている。切欠部38は、切欠底38Bの部分を支点として一対の切欠辺38Aの下端部どうしが近接するような本体スカート部34の変形を許容し、これにより、上述したように本体フランジ部33及び本体スカート部34が下方に撓むのを促進させる役割を果たす。このとき、切欠底38BはR形状に形成されているので、本体スカート部34が撓み変形する際にも、その変形の支点となる切欠底38Bの特定部分に応力が集中しにくい。よって、本体スカート部34に亀裂を生じにくくすることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、図1図3に示すように、蓋体スカート部54における本体スカート部34の切欠部38に対応する位置には、僅かに外方に突出する突出部58が設けられている。突出部58は、切欠部38に対応する形状を有して、当該切欠部38よりもひとまわり大きく形成されている。蓋体スカート部54の突出部58は、閉蓋状態で本体スカート部34の切欠部38を外方から覆う。これにより、本体フランジ部33及び本体スカート部34の撓み促進のために本体スカート部34に切欠部38を設けつつ、閉蓋状態での意匠性の低下を回避している。
【0043】
容器本体3から蓋体5を取り外すには、例えば図7に示すように、2本の指F(例えば親指と人差し指)で摘み部56を上下から摘みつつ、上側の指F(例えば親指)の指先を蓋体フランジ部53の幅広部53Cに乗せる。このとき、幅広部53Cの部分における蓋体周壁部52と蓋体フランジ部53との境界線が内方に凸の円弧状をなしているので、指先の形状がフィットしやすく、指先を幅広部53Cに乗せやすい。また、幅広部53Cには複数の微細突起53Dが形成されているので、幅広部53Cに指先を乗せた状態で、その滑り止めを図ることができる。
【0044】
この状態で、図8の上段に示すように、幅広部53Cに乗せた指Fの指先を支点として、2本の指Fで摘んだ摘み部56を斜め上方に引き上げる。このとき、摘み部56の摘み本体部56Bには隆起部56Cが形成され、下面側には逆にくぼみが形成されているので、このくぼみに下側の指Fを引っかけて、摘み部56を容易に引き上げることができる。この引き上げ操作により、本体フランジ部33と蓋体フランジ部53とが密着した状態を維持したまま、蓋体スカート部54が断面ヘアピン状に変形するとともに摘み部56を構成する上方延出部56Aと摘み本体部56Bとが略同一平面状に変形する。また、容器本体3は、摘み部56の両側に位置する2つの撓み変形促進部37(切欠部38)どうしの間の部分が、下方に傾くように撓み変形する。そして、蓋体係合部55を構成する線状突起が、本体係合部35を構成する凹溝部から上方に離脱する。
【0045】
一旦、蓋体係合部55が本体係合部35から離脱すると、図8の下段に示すように、蓋体係合部55が本体スカート部34における傾斜する部分(傾斜壁部)に上方から係止して、仮に指Fを離しても蓋体係合部55と本体係合部35とが再係合しない。その後、指Fで摘み本体部56B及び隆起部56Cを摘んでさらに引き上げれば、他の蓋体係合部55も本体係合部35から順次離脱して、最終的に容器本体3から蓋体5を取り外すことができる。このようにして、開蓋操作を容易に行うことができる。
【0046】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、四隅の隅切り部Cのうち対角に位置する2つの隅切り部Cに摘み部56が設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば四隅の隅切り部Cのうちの1つだけに摘み部56が設けられても良い。或いは、四隅の隅切り部Cの全部に摘み部56が設けられても良い。
【0047】
(2)上記の実施形態では、摘み部56が上方延出部56Aと摘み本体部56Bと隆起部56Cとを有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、摘み部56が上方延出部56Aと摘み本体部56Bだけを有して構成されても良い。
【0048】
(3)上記の実施形態では、撓み変形促進部37が本体スカート部34だけに設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、撓み変形促進部が蓋体スカート部54だけに設けられても良い。この場合、蓋体スカート部54に設けられる撓み変形促進部は、蓋体フランジ部53及び蓋体スカート部54が上方に撓むのを促進させる役割を果たす。或いは、撓み変形促進部が、本体スカート部34及び蓋体スカート部54の両方に設けられても良い。
【0049】
(4)上記の実施形態では、撓み変形促進部37が切欠部38で構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、撓み変形促進部37が例えば本体スカート部34の下端部から延びる切れ込み等で構成されても良い。或いは、撓み変形促進部37が設けられなくても良い。
【0050】
(5)上記の実施形態では、蓋体フランジ部53の幅広部53Cに、複数の微細突起53Dが形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、幅広部53Cには必ずしも微細突起53Dが形成されていなくても良い。
【0051】
(6)上記の実施形態では、蓋体フランジ部53が、摘み部56が設けられている隅切り部Cの位置に幅広部53Cを有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、摘み部56が設けられている位置も含めて幅広部53Cが設けられずに、蓋体フランジ部53が全周に亘って一定幅を有するように構成されても良い。
【0052】
(7)上記の実施形態では、本体係合部35(凹溝部)が容器本体3の全周に亘って連続して形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本体係合部35(凹溝部)が容器本体3の周方向に断続的に形成されても良い。この場合、本体係合部35(凹溝部)と蓋体係合部55(線状突起)とは、互いに係合可能なように、対応する位置に形成される。なお、蓋体係合部55(線状突起)の形成位置は、上記の実施形態のものに限定されず、必要とされる嵌合力や開蓋のしやすさ等を考慮して適宜設定されて良い。また、本体係合部35は必ずしも本体スカート部34に形成された凹溝部で構成されなくても良く、例えば本体スカート部34の下縁で構成されても良い。
【0053】
(8)上記の実施形態では、包装用容器1(容器本体3及び蓋体5)が、平面視において長方形状に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、包装用容器1が、例えば正方形状や平行四辺形状、台形状等のその他の矩形状に形成されても良い。
【0054】
(9)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 包装用容器
3 容器本体
5 蓋体
31 底面部
32 本体周壁部
33 本体フランジ部
34 本体スカート部
35 本体係合部
37 撓み変形促進部
38 切欠部
38B 切欠底
51 天面部
52 蓋体周壁部
52C 凹設部
53 蓋体フランジ部
53C 幅広部
53D 微細突起
54 蓋体スカート部
55 蓋体係合部
56 摘み部
56A 上方延出部
56B 摘み本体部
56C 隆起部
C 隅切り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8