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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】コンパクト同軸レーザー装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/081 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
H01S3/081
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020561964
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 IB2019050724
(87)【国際公開番号】W WO2019145930
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】62/623,538
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/627,822
(32)【優先日】2018-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516145747
【氏名又は名称】アイディア マシーン デベロップメント デザイン アンド プロダクション エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】IDEA MACHINE DEVELOPMENT DESIGN & PRODUCTION LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】トゥルゲマン, シュロモ
(72)【発明者】
【氏名】シーファー, エイタン
(72)【発明者】
【氏名】リメス, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィ, ベン シオン
(72)【発明者】
【氏名】ブレステル, モルデチャイ
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-512557(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0114631(US,A1)
【文献】米国特許第03437954(US,A)
【文献】特開2012-238635(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103594909(CN,A)
【文献】特開平04-229676(JP,A)
【文献】米国特許第05022032(US,A)
【文献】米国特許第07046709(US,B2)
【文献】特表2014-513441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0281728(US,A1)
【文献】特開昭56-116680(JP,A)
【文献】特開2004-214424(JP,A)
【文献】実開昭55-016134(JP,U)
【文献】XIN, J. G. et al.,Compact multipass, single transverse mode CO2 laser,Appl. Phys. Lett.,1987年08月17日,Vol.51, No.7,pp.469-471
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一末端、第二末端、及び前記第一末端と前記第二末端との間を通過するボアを備えるハウジングと、
前記ボア中に配置される一対の同軸金属電極と、
前記ハウジングの各末端領域に配置される一対の屈曲鏡と、
前記同軸金属電極間のギャップに配置されるセラミック物質と、を備え、
前記一対の同軸金属電極は、内側電極及び外側電極を備え、
前記一対の同軸金属電極は、それらの間にギャップを有するように構成され、且つ、それらの間にRFフィールドが印加されるように構成され、
前記セラミック物質は、その中に形成された一連のチャネルを有し、前記チャネルが前記一対の屈曲鏡の間にジグザグ経路を発生させ、
ゲイン媒体で満たされると、前記ジグザグ経路及び屈曲鏡は、共にレーザー共振器キャビティを構成する、レーザー共振器キャビティ。
【請求項2】
前記一対の同軸金属電極及び前記セラミック物質は、円周方向に角張った複数のセグメントで構成され、
各セグメントは、前記内側及び外側電極のセクションに挟まれる前記セラミック物質の少なくとも1つの長手セクションを含み、
前記セグメントは、円筒を形成するように互いに隣接して円周方向に配置される、請求項1に記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項3】
前記セグメントは、対応する内表面が円形に湾曲したボアの半径にマッチする半径を有する円の曲率を有する湾曲外表面を備える、請求項2に記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項4】
前記セグメントは、平坦な外表面を備える、請求項2に記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項5】
前記セグメントが前記ハウジングの前記ボアの内表面に対してばねエレメントによって押し付けられるように前記内側電極内に配置される放射状に作用するばねエレメントのセットを更に備える、請求項2~4のいずれかに記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項6】
前記ばねエレメントは、内側電極セグメント長に沿って整列配置される板ばねである、請求項5に記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項7】
前記セグメントが前記ハウジングの前記ボアの内表面を押し付けられるように放射状に外向きの力を発生させるための、前記内側電極内に配置される機械的機構を更に備える、請求項2~4のいずれかに記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項8】
(a)前記外側電極及び前記セラミック物質と(b)前記セラミック物質及び前記外側電極のうちの少なくとも1つの間に配置される軟質金属素材の薄い中間層を更に備える、請求項7に記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項9】
前記軟質金属素材の薄い中間層は、銀箔である、請求項8に記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項10】
前記銀箔は、金コーティングされている、請求項9に記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項11】
前記機械的機構は、複数の傾斜末端を有するスロットを具備する細長いベースエレメントと、圧力エレメントを備え、
前記圧力エレメントは、前記複数の傾斜末端のうちの少なくとも1つに印加される縦力によって、前記圧力エレメントが前記スロットから出るように前記スロット中に配置されている傾斜末端にマッチしている、請求項7~10のいずれかに記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項12】
ねじを更に備え、
前記ねじは、前記ねじの締め付け時の進行方向に前記圧力エレメントの少なくとも1つの前記傾斜末端が存在するように、かつその回転によって、縦力を供給するように配置される、請求項11に記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項13】
前記屈曲鏡は、球面鏡である、請求項1から12のいずれかに記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項14】
前記屈曲鏡は、形状が環状である、請求項1から13のいずれかに記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項15】
前記セラミック物質は、酸化ベリリウム及び酸化アルミニウムからなる群より選択される、請求項1~14のいずれかに記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項16】
前記ゲイン媒体は、前記レーザー共振器キャビティが二酸化炭素レーザーシステムにおいて用いることができる、請求項1~15のいずれかに記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項17】
前記ゲイン媒体は、前記レーザー共振器キャビティが一酸化炭素レーザーシステムにおいて用いることができる、請求項1~16のいずれかに記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項18】
レーザーシステムが、請求項1~17のいずれかに記載のレーザー共振器キャビティを備え、
前記屈曲鏡の各々は、その周辺領域において、前記セラミック物質に形成されるチャネルの末端の反対側に配置される開口部を備え、
前記レーザーシステムは、更に、各開口部に隣接して配置される末端鏡を備え、
前記末端鏡の一方は、完全な反射器であり、
前記末端鏡の他方は、部分反射器である、レーザーシステム。
【請求項19】
前記末端鏡の各々は、その反射面が、前記末端鏡に通じる前記セラミック物質中の前記ジグザグ経路のチャネルと直交するように位置合わせされている、請求項18に記載のレーザーシステム。
【請求項20】
レーザーシステムが、請求項1から19のいずれかに記載のレーザー共振器キャビティを備え、
前記屈曲鏡の一方は、その周辺領域において、前記セラミック物質に形成されるチャネルの末端の反対側に配置される開口部を備え、
前記レーザーシステムは、更に、前記開口部に隣接して配置される一対の末端鏡を備え、
前記末端鏡の一方は、完全な反射器であり、
前記末端鏡の他方は、部分反射器である、レーザーシステム。
【請求項21】
前記末端鏡の各々は、その反射面が、前記開口部の反対側で結合する2つのチャネルのうちの1つと直交するように配向される、請求項20に記載のレーザーシステム。
【請求項22】
前記チャネルに配置されるゲイン媒体を更に備える、請求項1~17のいずれか1項に記載のレーザー共振器キャビティ。
【請求項23】
前記チャネルに配置されるゲイン媒体を更に備える、請求項18~21のいずれか1項に記載のレーザーシステム。
【請求項24】
レーザービームを生成する方法であって、
請求項22に記載のレーザー共振器キャビティの前記一対の同軸金属電極の間にRFフィールドを印加することを含み、それによってレーザービームを生成し、
前記レーザー共振器キャビティが、更に、各開口部に隣接して配置される末端鏡を備え、
前記末端鏡の一方は、完全な反射器であり、かつ前記末端鏡の他方は、部分反射器であり、
これによって、前記レーザー共振器キャビティからレーザービームを抽出することができる、方法。
【請求項25】
レーザービームを生成する方法であって、
請求項23に記載のレーザーシステムの前記一対の同軸金属電極の間にRFフィールドを印加することを含み、それによってレーザービームを生成する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本願は、2018年1月29日に出願された米国仮出願番号62/623,538、及び2018年2月8日に出願された米国仮出願番号62/627,822に基づくパリ条約の優先権を主張する。これらの仮出願の内容は、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、コンパクトな構成を提供するために、特に同軸に配置された電極間のRFにより励起されるガスレーザーキャビティの分野に関連する。
【背景技術】
【0003】
DC軸方向励起レーザーの出力は、80ワット/レーザーキャビティ長mのオーダーであるため、他の技術、例えば、ファストフロー技術やフラットスラブ間拡散冷却が開発され、これらの技術は、両方とも長さ当たりの出力が本来の単純なDC軸方向励起レーザーよりも非常に高い。加えて、拡散冷却を使用するスラブレーザーに関して、レーザーギャップ中のセラミックインサート内のチャネルに対するガスレーザー媒質の閉じ込めも達成可能なレーザー出力を実質的に増加させる。セラミックスラブ素子中のチャネルにより規定されるビーム経路を備えるこのようなRF励起スラブレーザーは、周知であり、例えばV. Seguin外の「CO2 Laser with Beryllium Oxide Waveguides」に関するUS 7,046,709又はR.A. Hart外の「RF Excited Waveguide Laser」に関するUS 6,192,061、A.J DeMaria外の「Folded Tapered-Waveguide CO2 Laser」に関するUS 6,798,816に記載されている。しかしながら、これら先行技術のスラブレーザーのスラブ形状は、スラブの全幅を収容するために十分に広くなければならず、レーザーのサイズを小さくすることが困難である。
【0004】
従って、先行技術のシステム及び方法における少なくともいくつかの不利な点が解消された、よりコンパクトで強力なレーザーキャビティには需要が存在する。
【0005】
本明細書の本セクション及び他のセクションにおいて記載されている各刊行物の開示は、参照によって、それぞれ完全に引用したものとする。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、新規で例示的なレーザーシステムを開示するものであり、これによって、所定の出力に対して、とりわけよりコンパクト且つ高いビーム品質を維持する構成が提供される。本システムは、ある曲率半径を有し且つ距離が離れて搭載される球面鏡により規定され、上記鏡間に多通路ビーム経路の発生を可能にする折り返し型の光共振器キャビティを備え、各ビーム経路は、上記鏡間の軸に対して小角で傾いている。どちらかの鏡に対する入射及び反射ビーム間の折曲げ角及び鏡間の距離は、キャビティの機械的な長さの端部において反射点がそれぞれの鏡の表面上で円を描くように移動して、整数回のジグザグ走行後に経路がその本来の出発点に戻るように計算されている。かかるキャビティジオメトリーの利点は、長い光路を短い物理的構造の中で成し遂げられるということである。これによって、短い機械的構造において良好なモード且つ高出力を成し遂げることができる。光共振器キャビティは、ガス混合物を励起するRFパワーを受け取り、ガスレーザー媒質において反転分布が生じる条件下でプラズマ放電を発生させる2つの円筒状同軸電極間のギャップ内に閉じ込められている。励起した多通路共振器キャビティからレーザービームを抽出するために、主要キャビティ鏡のそれぞれにおいて、そのキャビティの各末端に小開口部が備わり、末端鏡は、これらの開口部の各々を超えた側に位置し、一方の末端鏡は、より高く反射し、他方は、部分的に反射し且つ出力カプラーとして機能する。
【0007】
本開示のキャビティは、例えば、本願と発明者が共通する米国特許第4,847,852号「Ultra Compact RF Excited Gaseous Lasers」に記載の環状キャビティとは、2本の円筒状電極間の環状断面ギャップ中においてチャネル内にだけプラズマ放電を閉じ込めるためにチャネル付きセラミック円筒状素子を用いる点で異なる。セラミックエレメントにおけるチャネルは、予め計算された形状及び寸法を有し、電極間ギャップに取り付けると、鏡の曲率半径及び距離によって別々に規定される複数のジグザグ光学ビーム経路を作り出す。励起したプラズマの量は、先行技術の同軸レーザーと比較して著しく体積が小さいセラミックラインチャネルにより規定されるため、特定の出力を出すのに必要なRF励起出力レベルが減少することで、上述した米国特許番号4,847,852の環状レーザーと比較してビーム品質が向上し、チャネル付きセラミックスリーブを使用していない他の先行技術の多通路同軸レーザーと比較してレーザー効率が上昇する。
【0008】
それらのチャネル付きセラミック挿入物を備える同軸電極対は、複数のセグメントとして有利に構成される。ある実装において、各セグメントは、3枚の層(内側電極層、中間チャネル付きセラミック層及び外側電極層)を備える。セグメントが円周方向に接続されると、それらは、環状セラミック素子を有する完全な円筒状アセンブリを形成し、セラミックエレメント中のチャネルを通じたジグザグのレーザー経路の形としてレーザーチャネルが末端鏡の間に生じる。接続したセグメントは、力が放射状に外側へ向く中央ばねアセンブリを用いてレーザーハウジングのボアの内側表面に押し付けられていてもよい。あるいは、機械的機構を用いて、放射状に外側に向く積極的な機械的駆動力を提供し、接続されたセグメントに力を加えてもよい。かかる放射状に外向きに押し付けられたセグメント構造の使用は、レーザーハウジング内のレーザーキャビティの良好な機械的安定性、レーザーハウジング内の冷却チャネルとの良好な熱接触及び外側電極に対するRF供給のための良好な電気接点を提供する。熱接触は、円筒状電極/セラミックユニットの外表面を平坦にすることによって成し遂げることもできる。そうすると、組み立てられたユニットは、効果的に熱接触することが困難な外側が円形の円筒状形状ではなく、外側が多角形の形状となる。ガスシーリングは、リザーバーガスの量で成し遂げられ、RFパワーにより励起されると、レーザーハウジングにおける冷却液のフローを用いて所望のレーザーガス温度が成し遂げられる。ハウジングは、フランジによって減圧封止され、RFパワーフィードスルー接続を備え、そして、RFマッチング機構を備えることができる。電極アセンブリは、極端な温度での使用及び保管条件に耐えるように設計されている。
【0009】
本開示によるレーザーの構造は、非常にコンパクトで、機械的に強固であるため、その後の位置合わせを行う必要なく鏡をレーザーハウジングに永久的に載置できる。製造中、組み立てられたレーザーハウジングは治具に保持され、鏡はその治具に取り付けられ、光学テーブルを使用してそれらの光学アライメントがチェックされ、接着剤を使用してレーザーハウジングに接着される。
【0010】
上記記載の構造を用いることによって、CW炭酸ガスレーザーにおいて、わずか90×90×120mmの寸法を有するレーザーで60ワットの出力を成し遂げることができると予想される。
【0011】
したがって、本開示に記載されているデバイスの例示的な実装によれば、レーザーシステムが提供され、上記レーザーシステムは、(i)第一末端、第二末端、及び上記第一末端と上記第二末端との間を通過するボアを備えるハウジングと、(ii)上記ボア中に配置される一対の同軸金属電極と、(iii)上記ハウジングの各末端領域に配置される屈曲鏡と、(iv)上記同軸電極間のギャップに配置されるセラミック物質と、を備え、
上記一対の同軸金属電極は、内側電極及び外側電極を備え、
上記電極は、それらの間にギャップを有するように構成され、且つ、それらの間にRFフィールドが印加されるように構成され、
上記セラミック物質は、その中に形成された一連のチャネルを有し、それらが上記鏡間にジグザグ経路を発生させ、
ゲイン媒体で満たされると、上記ジグザグ経路及び屈曲鏡は、共にレーザー共振器キャビティを構成する。
【0012】
かかるレーザーシステムにおいて、一対の同軸金属電極及びセラミック物質は、円周方向に角張った複数のセグメントで構成されていてもよく、各セグメントは、内側及び外側電極のセクションに挟まれるセラミック物質の長手セクションを含み、上記セグメントは、円筒を形成するように互いに円周方向に配置される。そのような場合、上記セグメントは、対応する内表面が円形に湾曲したボアの半径にマッチする半径を有する円の曲率を有する湾曲外表面を備えるか、ボア中に形成された対応する平面との良好な熱接触を確実にするように構成された平坦な外表面を備えていてもよい。
【0013】
レーザーシステムの上記記載の実装のいずれかにおいて、屈曲鏡は、有利に球面鏡であってもよい。加えて、又は、その代わりに、それらは、形状が環状であってもよい。
【0014】
上記レーザーシステムの更なる例示的な実装によれば、屈曲鏡の各々は、その周辺領域において、セラミック物質に形成されたチャネルの末端の反対側に配置される開口部を備えていてもよく、レーザーシステムは、更に、各開口部に隣接して配置される末端鏡を備え、末端鏡の一方は、完全な反射器であり、末端鏡の他方は、部分反射器である。この場合、末端鏡は、それらの反射面が、セラミック物質中に発生するジグザグ経路のチャネルと直交するように位置合わせされなければならない。
【0015】
前述の実装に代わるものとして、屈曲鏡の一方は、その周辺領域において、セラミック物質に形成されるチャネルの末端の反対側に配置される開口部を備えていてもよく、レーザーシステムは、更に、開口部に隣接して配置される一対の末端鏡を備え、末端鏡の一方は、完全な反射器であり、末端鏡の他方は、部分反射器である。この場合、末端鏡の各々は、好ましくは、その反射面が、開口部の反対側で結合する2つのチャネルのうちの1つと直交するように配向される。
【0016】
同軸金属電極及びセラミック物質が角張ったセグメントで構成される上記記載のレーザーシステムのいずれかは、セグメントがハウジングのボアの内表面に対してばねエレメントによって、押し付けられるように内側電極内に配置される放射状に作用するばねエレメントのセットを更に備えていてもよい。これらのばねエレメントは、内側電極セグメント長に沿って整列配置される板ばねであってもよい。
【0017】
上記記載のレーザーシステムの別の実装は、セグメントがハウジングのボアの内表面に対してばねエレメントによって押し付けられるように放射状に外向きの力を発生させるための、内側電極内に配置される機械的機構を備える。かかるレーザーシステムは、外側電極及びセラミック物質とセラミック物質及び外側電極のうちの少なくとも1つの間に配置される軟質金属素材の薄い中間層を更に備えていてもよい。有利に、軟質金属素材の薄い中間層は、銀箔、任意に金コーティングされた銀箔であってもよい。
【0018】
機械的機構は、複数の傾斜末端を有するスロットを具備する細長いベースエレメントと、圧力エレメントを備えていてもよく、圧力エレメントは、複数の傾斜末端のうちの少なくとも1つに印加される縦力によって、圧力エレメントがスロットから出るようにスロット中に配置されている傾斜末端にマッチしている。かかる機構は、ねじを更に備えることができ、ねじは、その回転によって、縦力を供給するように配置される。
【0019】
さらに、上述したレーザーシステムのいずれかにおいて、セラミック物質は、酸化ベリリウム又は酸化アルミニウムであってもよい。
【0020】
加えて、ゲイン媒体は、レーザーシステムが二酸化炭素レーザーシステムとなるものであってもよく、レーザーシステムが一酸化炭素レーザーシステムとなるものであってもよい。
【0021】
本発明は、図面と共に以下の詳細な説明からより完全に理解及び認識されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本開示のコンパクトな同軸レーザーキャビティの1つの例示的な実装の構成部品の模式的な分解等角図を図示している。
図2A図2Aは、内側及び外側電極間のセラミック層におけるチャネルのジグザグ経路の配置を示している模式的な等角図である。
図2B図2Bは、概略的に、図1及び図2Aのキャビティからレーザーパワーを抽出する方法を図示している。
図2C図2Cは、概略的に、図1及び図2Aのキャビティからレーザーパワーを抽出する別の方法を図示している。
図3図3は、セグメント化された電極構造体を使用する例示的なレーザーキャビティハウジング及びその構成部品の構造を示す模式的な分解等角機械製図である。
図4図4A、4B、4C及び4Dは、完全に組み立てられたレーザーキャビティハウジングの様々な機械製図を示している。
図5図5は、ジグザグレーザーチャネルを有するレーザーキャビティのセラミックセグメントを構成する方法を図示している。
図6図6は、本デバイスのキャビティ構造における良好な温度冷却を実施するための他の機械的アセンブリを図示している。
図7図7は、図6に示されるデバイスの加圧機構を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照する。図1は、本開示のコンパクトな同軸レーザーキャビティの1つの例示的な実装の構成部品の模式的な分解等角図を示している。レーザーキャビティは、外側ハウジング11に形成された内側円筒状ボア10内に備わる。外側ハウジング11は、好ましくは導電性金属(例えばアルミニウム)でできており、レーザー放電によって、発生する熱を取り除くための冷却チャネル12が組み込まれている。
【0024】
電極構造体は、内側円筒状ボア10中に含まれる。電極構造体は、同軸円筒状構造体を備え、同軸円筒状構造体は、内側電極13及び同心又は同軸外側電極14と、内側電極13と外側電極14との間に形成されるギャップを本質的に埋めるセラミック物質のスリーブ15を備える。セラミックスリーブ形状の物質は、その中に形成されるジグザグ形状のチャネルを備え、ジグザグセクションの末端は、電極構造体の末端で合流し、その結果、連続したジグザグ経路が円筒状電極構造体の末端の間に生じる。チャネルの末端16の1つのセットが図1に確認できる。セラミック物質の長さに沿ったチャネルの形態は、以下に図2Aにより明確に示している。電極構造体は、円筒として図1に示され、ボア10の内側円形表面の内部にフィットする。レーザーキャビティは、一対の末端鏡17、18をもって完成する。末端鏡17、18は、好都合とするには、安定型共振器を形成するために球面鏡でなければならない。鏡17、18は、完全に円形の鏡として図1で簡単に示しているが、実際には、必要に応じて鏡の配置後にキャビティの中央素子を、図3及び4に示すように、内側電極13の内部に挿入するか、修理のために取り出すことができるように、そして、RF励起電圧を軸方向に電極に供給できるように、環状形状の球面鏡を使用することが有利である。レーザー媒質は、流体形状としてチャネル16中に含まれ、本構成において効果的なレーザー出力がもたらされるように選択される。一般的なかかるレーザー媒質は、炭酸ガスレーザーで使用するための混合ガス(一般的には、二酸化炭素及び窒素とバルクとしてのヘリウムで構成される)とすることができる。レーザーレベルにゲイン媒体を励起するのに必要なRFパワーは、内側電極13と外側電極14との間に印加される。外側電極は、金属ハウジング11との接触のため、一般的には地電位である。鏡の曲率半径及びチャネルの横方向寸法に応じて、レーザーモードは、自由空間モードか、完全に導波モードか、両者の交差モードのいずれかとすることができる。
【0025】
図2Aを参照すると、図2Aは、内側及び外側電極間のセラミック層におけるチャネルのジグザグ経路の配置を示している模式的な等角図を示しており、ジグザグ経路がレーザー共振器の真の光軸を規定している。レーザーゲイン媒体は、チャネル中に含まれ、封止型レーザーのために単一チャージであってもよく、レーザー媒体ガスの補充を必要とするレーザーのためにゆっくり又は周期的に新しくしてもよい。図2Aに示される実施例において、ジグザグチャネル経路間の角度及びセラミックシリンダの軸方向は、円筒状セラミック層長を36回の横移動後、つまりセラミックエレメントの各末端における末端鏡の円周上での18回の衝突後、経路が再び自身に迫るように計算されており、その結果、チャネル中で発生するレーザービーム21は、キャビティを通じて移動を続けることができ、その結果、各横移動でRF励起からの出力が増加する。
【0026】
図2Aに示されるセラミック層20は、図1にて模式的に示すセラミック層の実用的な実装例であり、図2Aに示す通り、その外表面上にチャネルが形成され、外側電極の金属とプラズマの接触が防止されている場合、セラミック層は外側電極の内面に設けることができる。しかしながら、チャネルは、セラミックの内表面の上に、十分均等に形成されていてもよく、その場合、内側電極の金属の外層は、セラミック層によってカバーされている必要がある。第3の選択肢として、チャネルは、円筒状形態の焼結セラミック内に形成されていてもよい。
【0027】
前述のように、表面に形成されたチャネルを有する単一の円筒状セラミックエレメントの使用に関して2つの問題が存在する。第1に、表面に又は表面間のバルク中に形成されたチャネルを有するかかる単一の円筒状セラミックエレメントのコスト高と複雑な製造に実用的な問題点が存在する。第2に、さらに重要なことであるが、セラミック物質のかかる単一の環状断片は、熱応力下で、特に比較的高い出力密度のレーザーキャビティ(例えば炭酸ガスレーザー)において、予想される広い温度範囲を超えると破損する可能性がある。図1をもう一度参照する。セラミックの膨張係数は、それを覆っている(一般的にアルミニウムで構成される)金属ハウジング10の膨張係数よりも実質的に小さいため、円筒状セラミックエレメント15とそれを覆う外側電極14(それ自身はアルミニウム製ハウジング10により冷却される)との間の良好な熱接触を維持することが困難である。別の製造手順は、チャンネル化されたセラミックエレメントを構築するための本開示で提案されている。図2Aを再度参照する。図2Aは、更に、チャネル付きセラミックエレメントの円周方向に角張ったセグメントから円筒状セラミックエレメントを形成する方法を図示するものであり、この方法は、コストも効果も高く、不完全な温度冷却に起因する潜在的な障害に関する問題を解決している。図2Aに見られる通り、チャネル付きセラミックエレメント20は、単一の環状セラミック断片で構成されておらず、微細な切れ目22で示すように、別々の周辺セグメントが長手方向の境界で結合されるように構成されることで、完全なセラミック環が生じている。
【0028】
図1及び2Aに示されるコンパクトなレーザー共振器キャビティは、完全に反射する末端鏡17、18の間のキャビティ中でレーザービームを支持するが、レーザービームをキャビティから抽出する如何なる方法も示していない。図2Bを参照する。図2B図1及び2Aに示される励起した多通路共振器キャビティからレーザービームを抽出する第一の方法を図示している。前述のとおり、図1の光共振器の末端鏡は、屈曲鏡としてだけ機能するものであるが、図2Aにおいては、環状鏡17B及び18Bとして示している。小さな軸外開口部23は、主要キャビティ屈曲鏡17B、18Bの各々に提供されており、末端鏡24及び25は、それぞれ、共振器キャビティと比較してこれらの開口部の各々の外側に位置しており、一方の末端鏡24は、全反射器であり、他方の末端鏡25は、部分的に反射して、レーザービーム26のための出力カプラーとして機能する。ジグザグレーザー経路長をできる限り利用するために、全反射鏡24及び出力カプラー鏡25は、それらの間の光路長が可能な限りチャネル内のゲイン媒体を通ることが重要である。図2Bに示される実装においては、方位角的に直ちに隣接する屈曲鏡衝突点に開口部23を(キャビティ端の反対側に)設置することによって成し遂げられる。開口部23間のジグザグ経路のレッグに直接隣接する経路を下るレーザービームの伝搬は、それらの間を直接通過することができないように防止されており、図2Bに示される例示的な実装に関しては、18個のジグザグのチャネル対のうち残りの35個のクリアゲインチャネルを移動しなければならない。この手段によって、レーザービームは、後部反射器と出力カプラーとの間の完全有効長のキャビティを移動しなければならず、これによって、最大有効共振器長が確実になる。開口部23間の単一のキャビティ長伝搬経路を「ショート」するビームの防止は、環状屈曲鏡の半径に沿った軸周りに、ジグザグ経路の各レッグとキャビティの長手方向軸に平行な線とがなす角度と等しい角度で末端鏡24、25の位置を合わせることによって成し遂げられる。その結果、鏡24、25は、普通に整列配置された鏡(例えば屈曲鏡17B、18B)が発生させるであろうジグザグ経路を発生させるのではなく、それらに入射したビームをビームの入射方向に戻すように反射する。これは、ジグザグ伝搬路の末端レッグ28、29上の網掛けによって、図2Bに模式的に示されている。各ビームの入射及び反映レッグを表しているジグザグ経路の他のレッグ(分岐で示しているもの)のビームと異なり、後部反射器24上のビーム28入射は、その入射経路に沿って戻ることが示されており、出力カプラー25上のビーム29入射もその入射経路に沿って戻って示されることが示されており、それらは、それら自身の間で共通経路を移動する。
【0029】
次に図2Cを参照する。キャビティの出力末端における屈曲鏡17Cにおいて、単一の開口部27だけを使用している光共振器の同じ末端に末端鏡24、25を提供する別の方法を示している。他方の屈曲鏡18Cは完全な状態である。一対の小さな末端鏡が、開口部25の位置の外側に並ぶように位置しており、一方の末端鏡24は、末端全反射器であり他方の25は出力カプラーである。小さな末端鏡は、ジグザグ経路のレッグに正常に戻るようにビーム入射が反映する適切な角度で整列配置されなければならない。この配置は、全てのレッグ(レーザーキャビティを例示するために用いた例では36本のレッグ)がレーザーをゲインさせるために用いられ、これによって、レーザービーム品質及び効率を幾分上昇させられるという有利な点がある。
【0030】
次に図3を参照する。図3は、セグメント化された電極構造体(例えば上述の1つ)を使用する例示的なレーザーハウジング及びそのキャビティ構成部品の構造を示す模式的な分解等角機械製図である。中央ボア10及び水冷通路12を備えるレーザーハウジング11は、図1の円筒状電極及びセラミック系レーザーチャネルがセグメント化された構造(六角形構造30として図3に例として示している)と置き換えられている点を除いて、図1に示されているものと類似しているが、本開示の他の箇所で記述している通り、かかる六角形構造は、キャビティ構造を実施するための一つの方法に過ぎない。セグメント化された電極構造体30の上側において、その構成部品に分離された単一のセグメントが示される。最も奥のエレメント31は、金属内側電極の一部である。放射状に外側に移動すると、チャネル付きセラミックエレメントの一部32が示される。セラミックエレメント32の外側に、更なる金属エレメント33が示されており、これが外側電極の一部である。上記3つのエレメントのすべては、円形の環の一部を形成する。図3に示される例示的なキャビティにおいて、外側電極33は、平坦な外表面を有する。六角形電極構造体30における組み立てられた他のセグメントにも示されているこの平坦な外表面は、低温レーザーキャビティハウジング11のボア10における対応する平坦な内表面にフィットする。2つの平坦表面が接触することによって、2つの曲面との接触による一般的に利用可能であるものよりも良好な熱移動が達成可能であるが、この構造は、外側電極33の外面及びレーザーキャビティハウジングのボア10の内表面上に円形の表面を使用することもできることを理解すべきである。
【0031】
電極/セラミック構造30の外表面が多角形であり、具体的には、例示では六角形であるが、レーザーチャネルがセラミックエレメント内で形成され、ジグザグチャネルを通る連続したレーザー経路は、円形の円筒状エレメント周辺に最も簡単に達成可能であるため、図2Aのセラミックエレメント20自体も円形の円筒状形状であることが最も都合がよい形状であったことを強調しておく。多角形の筒状エレメントを用いることもできるが、ジグザグ経路の頂点は、隣接する多角形の面が出会うことにより規定される点でなければならない。
【0032】
別々のセグメントをレーザーハウジング10内に載置して、完全な円環電極及びチャネル付きセラミックユニットを形成する。しかしながら、レーザーハウジングボア10との積極的な熱的、機械的及び電気的な接触において、個々の電極/セラミックセグメントを維持するために、図3に示すように、放射状に作用する新規のばねエレメント35が使用されている。このばねエレメントは、六角形電極/セラミック構造30のセグメントの各々に放射状に外向きの力を印加することで、レーザーハウジングボア10の内表面と良好に接触するよう各セグメント全体が確実に押し付けられる。これよって、機械的安定性、レーザーチャネル中で発生する熱を水冷ハウジング11に伝導するための良好な熱接触、そして、接地電位に保持された外側電極とハウジング11との間の良好な電気的接触、及びRF放電励起電位が印加された内側電極とばねエレメント35との間の良好な電気的接触が保証される。図3に示される例示的なばねエレメント35において、中央コア36周辺で円周方向に配置される金属板ばね37は、電極/セラミックセグメントに放射状に外向きの力を加えるために用いられる。金属板ばねは、高い耐久性を有して、電極構造体内で予想される高温に耐えられる。しかしながら、予想される温度条件下で長い寿命を有し且つ剛性が維持されることを条件として、耐熱性エラストマー又はコイルばね列のような半径方向外側に向かう任意のばね様エレメントを使用してもよいことを理解すべきである。末端プレート38は、RF励起電圧を印加するための電気接点を備えつつ、六角形電極セラミック構造体30のコア内でばねエレメント35を組み立てるために用いられる。
【0033】
次に図4A~4Dを参照する。図4A~4Dは、本開示に記載されているタイプの完全に組み立てられたレーザーキャビティハウジングの様々な機械製図を示している。図4Aは、完全に組み立てられたレーザーキャビティハウジング41の等角図を示している。図4Bは、組み立てられたレーザーキャビティハウジング41の側面図であり、RF電圧調整エレメント42が示されている。図4Cは、組み立てられたレーザーキャビティハウジング41の端面図であり、リザーバーガスコンパートメント43、板ばね44及びそのレーザーチャネルを有する複合電極/セラミックアセンブリ45を示している。図4Dは、組み立てられたレーザーキャビティハウジング41の長手方向の断面図であり、電圧調整エレメント42、板ばね44及びそのレーザーチャネルを有する複合電極/セラミックアセンブリ45を示している。
【0034】
次に図5を参照する。図5は、ジグザグチャネル全長にわたって両端が生じる単一のチャネル付きエレメントデザインを用いた効果対費用が高く単純な様式でジグザグレーザーチャネルを備えるセラミックセグメントを構成する方法を図示している。エレメント51は、エレメント51の一端から他端まで延在するチャネル52を有する。したがって、一対の隣接するチャネル52、54間の壁53は、幅広末端から狭小末端56に先細りとなっており、逆にチャネルは、エレメント51の一方の末端から他方の末端へ広がっている。エレメント51と同じ構造であるが、エレメント51の鏡像のように、第1のエレメント51の向きを端から端まで180度回転させ、壁53の狭小末端56がエレメント55のチャネルの幅広末端の中心に来るように、チャネルの幅広末端の幅の半分だけ第1のエレメントからオフセットさせて第2のエレメント55を配置することによって、レーザーキャビティ全体の長さの半分だけのセラミックエレメントを使用して、ジグザグチャネル構造を作り出すことができる。セラミックセグメント55に隣接して、セラミックセグメント57及び58が示されている。これは、隣接するセラミックセグメント化されたエレメントの組み合わせによって、レーザーキャビティ経路のためのジグザグチャネルを有する完全な円筒状のセラミックエレメントを作り出すことができる方法を示している。
【0035】
図6を参照する。本デバイスのキャビティ構造を実装するための他の機械的アセンブリを図示している。これは、図3に示すものとは異なり、中央円環電極及びチャネル付きセラミックユニット60全体が従来型の円筒状形態であり、これがハウジング71(図3のハウジング11に対応)内の円筒状ボア70(図3のボア10に対応)にフィットする。なお、中央コアエレメント60はセグメントで形成されているが、円筒状コアアセンブリの外周と円筒状ボアの内面との間に円筒状に嵌合すると、良好な熱接触を行うことができる一方、円筒状の穴は、図3の実装の平坦なセグメントよりも構造的理由から単純な機械的インターフェースを有している。図6において、円筒状に研磨されたレーザーセラミックコアの外径と冷却レーザーハウジング71の内側ボア70との間の確実な接触は、後ほど図7において詳細を示す新規の力機構65、66により達成される。この機構は、図3の実装の金属板ばね37の代わりに使用され、レーザーハウジング71の水冷内部ボア70と各セラミックセグメントとの間の良好な熱接触を確保するために、正の外向きの力を加える。上記機構は、有利にはアルミニウムで構成され、機構65、66の外向きの線力(line force)が過度の変形を引き起こさないように十分に厚いものであり、内側電極セグメント61に外向きの半径方向の力を加える。銀のような軟質材料で作られた別の薄いエレメント64は、その柔らかさによって、そのエレメントがチャネル付きセラミックエレメント62の内面の正確なプロファイルを変形可能にするため、金属応力整合エレメントとして、アルミニウム電極エレメント61の外側に配置できる。チャネル付きセラミックエレメント62の外面とレーザーハウジングの内部ボアとの良好な熱接触は、第2の薄い軟質金属エレメント63により達成される。第2の薄い軟質金属エレメント63も銀製であることが有利であり、内側の冷却ボアの正確なプロファイルに適応し、それによって、良好な熱接触が確保される。このエレメント63は、好ましくは、セラミックチャネル内のレーザー放電プラズマと接触するその内面を金でコーティングすることができる。金は、レーザーが二酸化炭素レーザーである場合、放電により生成された原子状酸素を使用して分解された二酸化炭素を改質するための触媒として知られている。図3の実装において、使用可能なものと同様の方法で、RF電圧が、この実装の力印加機構の部品を介して金属接点によって入力コネクタから内部電極に印加される。
【0036】
図7を参照する。図7は、冷却レーザーハウジング71のボア70との良好な熱接触を提供するために、レーザーセグメントに正の外向きの力を加えるために使用される機構の概略断面図である。上記機構は、概してレーザー放電セグメントよりもわずかに長さが短い細長いベースエレメント65からなる。ベースエレメント65は、その長さの大部分に沿って形成されるスロットを備える。上記スロットは、傾斜端部を備える。台形型圧力エレメント66は、スロットにフィットし、上記圧力エレメントは、ベースエレメント65のスロットの末端の傾斜に合致する傾斜端部を備える。ベースエレメントの少なくとも一端は、スロットの傾斜端部の開口に可動型力印加エレメント70を備え、力印加エレメント70を長手方向71にスロットに向かって移動させると、圧力エレメント66の傾斜端部に力が加えられ、圧力エレメント66がアルミニウム電極エレメント61の背面に外向き72で押し付けられ、それにより、レージングセグメント全体が外側に押され、冷却レーザーハウジング71の内部ボア70との良好な熱接触がなされる。力印加エレメント70の縦方向運動は、調整ねじ74によって、容易に加えることができる。使用時、圧力エレメント66が各レーザーセグメントを押しレーザーハウジングの内側ボアと強固に接触するまで、各力機構の調整ねじ74を締める。細長いベースエレメント65のスロット及び圧力エレメント66は、直線の傾斜端部を備えるものとして図7に示されているが、湾曲端部もまた適切に使用できることを理解されたい。
【0037】
当業者は、本発明が上記で具体的に示され説明されたものに限定されないことを理解している。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴のコンビネーション及びサブコンビネーションの両方だけでなく、先行技術にはないが上記説明を読んだときに当業者が思いつくであろうそれらの変形形態及び修正形態も含まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7