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特許7535795内部に導管を有するクロス・ラミネーティッド・ティンバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】内部に導管を有するクロス・ラミネーティッド・ティンバー
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/26 20060101AFI20240809BHJP
   E04C 2/12 20060101ALI20240809BHJP
   E04C 2/26 20060101ALI20240809BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B32B3/26
E04C2/12 E
E04C2/12 Z
E04C2/26 P
B27M3/00 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021540147
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 US2020012217
(87)【国際公開番号】W WO2020146210
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】16/243,711
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521428550
【氏名又は名称】フォー サイデッド ソリューションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Four Sided Solutions LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】クーン,タイラー ヴァレンタイン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー,マイケル ライアン
【審査官】川井 美佳
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108162519(CN,A)
【文献】特開平08-184126(JP,A)
【文献】特開2019-173275(JP,A)
【文献】特開2019-018418(JP,A)
【文献】特開2004-276296(JP,A)
【文献】特開2016-204958(JP,A)
【文献】特開2018-145631(JP,A)
【文献】実開昭57-192250(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0101649(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02636809(EP,A1)
【文献】国際公開第2014/016752(WO,A1)
【文献】特開2018-197474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B27M 3/00
E04C 2/12
E04C 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロス・ラミネーティッド・パネルであって、
第1の方向に配向された第1のボードを含む第1の層;
前記第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に配向された第2のボードを含む第2の層;
前記第1の方向に配向された第3のボードを含む第3の層であって、前記第2の層が前記第1の層と前記第3の層との間に配置される、第3の層;
前記第1の層と前記第2の層との間に位置する第1の接着剤;
前記第2の層と前記第3の層との間に位置する第2の接着剤;および
導管を形成する中空部材であって、前記第1の層、前記第2の層、または前記第3の層の少なくとも1つに含まれる、中空部材
を備え
前記中空部材が、
第1の端部;
第2の端部;および
前記第1の端部または前記第2の端部に配置された継手
を含み、
前記継手が、前記中空部材に隣接して前記クロス・ラミネーティッド・パネルに取り付けられ、前記中空部材の前記第1の端部または前記第2の端部の上に設置され、前記継手は、ダクト継手、配管継手、または電気継手を含む
ことを特徴とする、クロス・ラミネーティッド・パネル。
【請求項2】
前記中空部材が、前記ボードと同様の外形寸法を含むことを特徴とする、請求項1に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【請求項3】
前記中空部材が、前記第1の方向に配向された第1の中空部材を含み、前記第2の方向に配向された第2の中空部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【請求項4】
前記クロス・ラミネーティッド・パネルが1つまたは複数の追加の層をさらに含み、該1つまたは複数の追加の層が少なくとも1つの追加の中空部材を含みうることを特徴とする、請求項1に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【請求項5】
前記中空部材が、前記中空部材の内側部分内に、空気、配管、電気配線、または光ファイバケーブルのうちの少なくとも1つを受け入れるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【請求項6】
第1の方向に配向された第1のボードを含む第1の層;
前記第1の方向と異なる第2の方向に配向された第2のボードを含む第2の層;および
前記第1の層または前記第2の層の少なくとも1つに含まれる少なくとも1つの中空部材
を備え、
前記第2の方向が前記第1の方向に対して実質的に垂直であり、
前記少なくとも1つの中空部材は前記それぞれの層の前記ボードと実質的に同じ外形寸法を有し、
前記少なくとも1つの中空部材は前記第1の層または前記第2の層の少なくとも1つに導管を形成し、
前記少なくとも1つの中空部材へのアクセスポイントを提供するために前記第1の層に穴が配置される
ことを特徴とする、装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの中空部材が、前記第1の方向に配向された第1の中空部材および前記第2の方向に配向された第2の中空部材を含むことを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の中空部材が前記第2の中空部材と少なくとも部分的に重なる位置で前記第1の層に穴が配置されることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の層と前記第2の層との間に配置された中間層をさらに含むことを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、クロス・ラミネーティッド・パネルであり、
前記第1の方向に配向された第3のボードを含む第3の層であって、前記第2の層が前記第1の層と前記第3の層との間に配置される、第3の層
を備え、
前記第1の層と前記第2の層との間に第1の接着剤が位置し、
前記第2の層と前記第3の層との間に第2の接着剤が位置する
ことを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、1つまたは複数の追加の層をさらに含み、該1つまたは複数の追加の層が少なくとも1つの追加の中空部材を含みうることを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの中空部材が、
第1の端部;
第2の端部;および
前記第1の端部または前記第2の端部に配置された継手
を含むことを特徴とする、請求項6~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記継手が、前記少なくとも1つの中空部材に隣接して前記装置に取り付けられ、前記少なくとも1つの中空部材のうちの1つの前記第1の端部または前記第2の端部の上に設置され、前記継手は、ダクト継手、配管継手、または電気継手を含むことを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、ここに参照することによって全内容が援用される、2019年1月9日出願の「Cross-Laminated Timber Having a Conduit Therein」と題された米国特許出願第16/243,711号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
マス・ティンバー(mass timber)は、構造性能、美観、および革新の機会のために、人気と関心が高まっている。マス・ティンバーは、強く、持続可能で、比較的コスト効率が高い。クロス・ラミネーティッド・ティンバー(cross-laminated timber)(CLT)は、建設業界で注目を集めているマス・ティンバーの一種である。CLTは、幅広の表面上に重ねて接着した複数の層のランバーボード(lumber board)から作製される無垢材のパネルである。本明細書では、特に、建築のためのCLTの使用性を向上させる改良および技術的進歩が説明される。
【発明の概要】
【0003】
先に説明したように、クロス・ラミネーティッド・ティンバー(CLT)パネルは、CLTパネルが提供する強度、持続可能性、およびコスト効率のために、様々な異なる用途に実装され得る。CLTパネルは多様であり、垂直および横方向の負荷抵抗システムを含む建物全体を構築するために実装されてもよい、および/または、CLTパネルは、壁、床、または屋根などの特定の建築部位に使用されてもよい。本開示は、内部に導管を有するクロス・ラミネーティッド・ティンバーパネルに関する。より詳細には、本開示は、ケーブル配線、空気、配管などのための導管を提供しうるCLTパネルの一部として含まれる中空部材を含むCLTパネルを説明する。CLTは、他の建築代替物に比べて多くの利点を提供する。例えば、CLTパネルは、離れた場所で製造することができ、CLTパネルは、構造的な完全性を向上しながら、より低いグレードの木材(より高いグレードの木材よりも安価でありうる)を利用することができる。
【0004】
しかしながら、伝統的な軽木材フレーム(LWF)構造は、壁の中を横方向に電気ケーブルやダクトを通すためにより容易な手段を提供する。これは、CLTパネルが無垢材で構成されている事実に起因する。したがって、配線チャネルはしばしば、CLTパネルに穴を開け、CLTパネルの表面に切り込みを入れ、または外部に露出した導管が利用される。しかしながら、これは現場での追加費用および労力を必要とする。さらに、CLTパネルの外層に横方向の切り込みを入れると、パネルの強度および曲げ耐性が著しく低減されうる。他の解決策としては、製造時にCLTパネルの1つまたは複数の部材を取り除き、その結果、導管としての空隙を残すことが含まれてもよい。しかしながら、これも、油圧式または機械式のクランプおよびプレスを実施する現代の製造方法には問題がある。
【0005】
実施例では、CLTパネルは、横方向に積層され、幅広の面で互いに接着された複数のボードの層を含んでもよい。例えば、CLTパネルの第1の層は、それぞれが第1の方向に向けられた複数のボードを含んでもよい。つまり、各ボードの長さは、第1の方向に伸長しうる。CLTパネルは、第1の層に隣接する第2の層を含んでもよい。第2の層もまた、それぞれが第2の方向に向けられたボードを含んでもよい。これらの実施例では、第2の方向は第1の方向と異なっていてもよく、実施例では、第2の方向は第1の方向に対して実質的に垂直であってもよい。CLTパネルはさらなる層を含んでもよく、各追加層は、第1の方向と第2の方向との間で方向を交互に変えてもよい。他の実施例では、1つまたは複数の層が、互いに同じ方向に配置されてもよく、方向を交互に変えなくてもよい。本明細書では、ボードはその幅広の面で互いに接着されると説明されているが、ボードは、追加的にまたは代替的に、それぞれのボードの狭い面および/またはより端面側で接着されていてもよいことが理解されるべきである。
【0006】
さらに、CLTパネルは、CLTパネルの各層間に塗布され得る接着剤を含んでもよい。前述のように、ボードは、それらの幅広の面で互いに接着されてもよい。CLTパネルはまた、少なくとも1つの層中に1つまたは複数の中空部材を含んでいてもよい。実施例では、中空部材は、CLTパネルの少なくとも1つの層のボードの代わりになってもよい。中空部材は、ケーブル、配線、空気、配管などが通過する導管を提供してもよい。
【0007】
詳細な説明は、添付の図を参照して示される。図において、参照番号の左端の数字は、その参照番号が最初に現れる図を特定する。異なる図に同じ参照番号を使用することは、類似または同一の項目または特徴を示す。さらに、図面は、個々の図における個々の構成要素の相対的なサイズのおおよその描写を提供していると考えられる。しかしながら、図面は縮尺通りではなく、個々の構成要素の相対的なサイズは、個々の図の中でも、異なる図の間でも、描かれているものとは異なる可能性がある。特に、いくつかの図は、構成要素を特定のサイズまたは形状として描いているが、他の図は、明確にするために構成要素をより大きい縮尺または異なる形状で描いている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的なクロス・ラミネーティッド・ティンバーパネルの透視図
図2A】例示的なクロス・ラミネーティッド・ティンバーパネルの正面図
図2B図2Aの線A-Aに沿って取ったクロス・ラミネーティッド・ティンバーパネルの断面図
図2C図2Bのクロス・ラミネーティッド・ティンバーパネルの断面図の詳細図(円Dで示される)
図2D図2Aの線B-Bに沿って取ったクロス・ラミネーティッド・ティンバーパネルの断面図
図2E図2Cのクロス・ラミネーティッド・ティンバーパネルの断面図の詳細図(円Cで示される)
図3】クロス・ラミネーティッド・ティンバーパネルの製造工程の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
これらの例および他の実施例の追加の詳細は、図面を参照して以下に説明される。
【0010】
図1は、ある実施形態によるクロス・ラミネーティッド・ティンバー(CLT)パネル100の透視図を示す。前述したように、CLTパネル100は、横方向に積層され、幅広の面で互いに接着されたボード104の複数の層102を含んでもよい。例えば、図1に描かれたCLTパネル100は、5つの層102を含み、各層(102(1)、102(2)、...102(n))は、複数のボード104を含む。図1では、CLTパネル100が5つの層を有するものとして描かれているが、CLTパネル100は、任意の数の層102を含んでもよいことを理解されたい。例えば、CLTパネルは、2、3、4、5、7、9などの層を含んでいてもよい。追加的におよび/または代替的に、複数の層102の各層(102(1)、102(2)、...102(n))は、任意の数のボード104を含んでもよい。図1に示すように、単一の層に含まれる複数のボード104は、全て同じ方向に配向される。例えば、第1の層102(1)は、各ボード(104(1)、104(2)、...104(n))の長さが第1の方向(すなわちY方向)に伸長するように配向された第1のボードを含んでいてもよい。実施例では、複数のボード104は、任意の種類の木質材料を含んでもよい。本説明では、パネルをCLTパネルと称するが、実施例では、複数のボード104は、ポリマー、金属、複合材などを含んでもよいことを理解されたい。
【0011】
先に説明したように、CLTパネル100は、複数のボード104(または「第2のボード」)の第2の層102(2)を含んでもよい。図1に示すように、第2の層102(2)は、第1の層102(1)にすぐに隣接していてもよい。実施例では、第2の層102(2)は、第2のボードの各ボードの長さが第2の方向に伸長するように配向された第2のボードを含んでいてもよい。そのような実施例では、第2の方向は、第1の方向と異なっていてもよい。図1に示す例では、第2の層102(2)は、第1の方向に配向された第1の層102(1)中の第1のボードに対して実質的に垂直な第2の方向に配向された第2のボードを含んでもよい。実施例において、「実質的に垂直」という用語は、第1の方向が第2の方向に対して90度の角度であること、第1の方向が第2の方向に対して約85度~約95度の角度であること、または第1の方向が第2の方向に対して約80度~約100度の角度であることを含みうる。さらに、実施例では、CLTパネルは、互いに対して任意の角度で配向した層を含むことができる。追加的におよび/または代替的に、CLTパネル100は、同じまたは同様の方向に配向した複数のボードを有する隣接層を含んでもよい。図1に示すように、CLTパネル100は、各隣接層が第1の方向と第2の方向との間を交互に変えるように配向した複数の層を含んでいてもよい。実施例では、2つ以上の層が、各隣接層が方向を交互に変えずに、同じ方向を向くように配向されてもよい。
【0012】
実施例では、CLTパネル100は、CLTパネル100の層102間の複数のボード104に塗布され得る接着剤(図示せず)を含んでもよい。このような接着剤は、特に、フェノール型(例えばフェノールレゾルシナルホルムアルデヒド(PRF))、エマルジョンポリマーイソシアネート(EPI)、および/または一液形ポリウレタン(PUR)の少なくとも1つを含んでもよい。前述したように、接着剤は、複数のボード104の幅広の面に塗布されてもよい。例えば、複数のボードのうちの単一のボードは、厚さ、幅、および長さを含んでもよく、接着剤は、ボードの全幅に塗布されてもよい。いくつかの実施例では、厚さは、ボードの狭い面であってもよいが、他の実施例では、厚さは、ボードの幅と等しくてもよい。
【0013】
さらに、実施例では、CLTパネル100は、層102の少なくとも1つに含まれる1つまたは複数の中空部材106(本明細書では「スペーサボード」とも称される)を含んでもよい。図1に示すように、CLTパネル100は、複数の層102中に配置された複数の中空部材106を含んでもよい。実施例では、1つまたは複数の中空部材106は、1つまたは複数の中空部材106が配置された層102のそれぞれにおいて、導管としてのサイズ決めおよび/または構成されてもよい。例えば、1つまたは複数の中空部材106は、ケーブル、配線、空気、配管などが通過する導管を提供してもよい。実施例では、1つまたは複数の中空部材106は、パイプ、ダクトなどの必要性を排除しうる。例えば、1つまたは複数の中空部材106は、流体および/または気体が通過する導管を提供してもよい。さらに、1つまたは複数の中空部材106は、外部の導管/ダクトをCLTパネル100の外側に取り付ける必要性を排除および/または低減しうる。さらに、1つまたは複数の中空部材106を層102の少なくとも1つに配置することにより、電気導管、配管パイプ、および/または機械的なケースを受け入れるためにパネルの経路を定めるおよび/または穴を開ける必要性を低減および/または排除することができ、したがって、現場および/または製造後の労力を低減することができる。実施例では、1つまたは複数の中空部材106は、外部および/または内部に、断熱性、耐火性、抗菌化合物などを提供するコーティングおよび/または材料を含んでもよい。
【0014】
実施例では、1つまたは複数の中空部材106は、複数のボード104と実質的に同様の外形寸法を有していてもよい。すなわち、1つまたは複数の中空部材106は、複数のボード104と実質的に同様の長さ、幅、および/または高さを含んでいてもよい。そのような実施例では、1つまたは複数の中空部材106は、いかなる外部突出物もないように構成されてもよい。追加的におよび/または代替的に、1つまたは複数の中空部材106は、複数のボード104に対してより大きいまたはより小さい外形寸法を含んでいてもよい。実施例では、1つまたは複数の中空部材106は、様々の内部寸法を含んでもよい。しかしながら、実施例では、1つまたは複数の中空部材106は、互いに実質的に同様の内部寸法を含んでもよい。例えば、1つまたは複数の中空部材106は、特定の材料、ケーブル、流体などを収容するために、特定の内部寸法で構成されてもよい。実施例では、1つまたは複数の中空部材106は、電気導管として構築される際に第1の外形寸法および/または第1の内側寸法を有してもよく、1つまたは複数の中空部材は、空気ダクトとして構築される際に第2の外形寸法および/または第2の内側寸法を有してもよい。実施例では、中空部材は、壁厚を有していてもよい、および/または、装置の製造中のクランプ力および/またはプレス力に耐えるのに十分な材料で作製されてもよい。壁厚は、例えば、約0.1センチメートル~約2センチメートルであってもよい。1つまたは複数の中空部材106は、金属、プラスチック、または炭素繊維、またはそれらの任意のハイブリッド材料で構成されてもよい。実施例では、中空部材は、CLTパネルの製造中のクランプおよびプレスの結果として受ける力に抵抗するのに十分な剛性および/または強度で構築されてもよい。このような実施例では、中空部材の強度特性は、特定の製造プロセスに少なくとも部分的に基づいて設計されてもよい。追加的におよび/または代替的に、1つまたは複数の中空部材106は、木材と実質的に同様の弾性特性、木材と実質的に同様の強度特性、および/または木材と実質的に同様の機械的特性のうち少なくとも1つを有する任意の材料で構成されてもよい。実施例では、1つまたは複数の中空部材106は、1つまたは複数の中空部材106の特定の用途のために、特定の材料で構成されてもよい。例えば、1つまたは複数の中空部材は、電気導管として構成される場合には第1の材料(例えば、ポリマー)で構成されてもよい、および/または、1つまたは複数の中空部材は、空気ダクトとして構成される場合には第2の材料(例えば、金属)で構成されてもよい。追加的におよび/または代替的に、1つまたは複数の中空部材106は、いずれかおよび/またはすべての用途において、同じおよび/または同様の材料で構成されてもよい。
【0015】
1つまたは複数の中空部材106は、層102の少なくとも1つに亘って実質的に等距離に配置されてもよい。これは、既定の間隔と考えられる。例えば、中空部材106は、層102(n)の各3番目のボードの後に配置されてもよい。このような実施例では、中空部材間の既定の間隔(または等距離)は、CLTパネルを含む構造を更新またはリフォームする請負業者にとって有益である。スタッドの間隔と同様に、請負業者は、CLTパネル中の1つの層および/または複数の層に亘って中空部材が既知の間隔で配置されているという事実に頼ることができるであろう。しかしながら、1つまたは複数の中空部材106は、CLTパネル100の所望の設計に従って配置されてもよい。例えば、CLTパネルは、特定の建物の設計に基づいて中空部材を含むように設計されてもよい。別の実施例では、CLTパネルは、互いに隣接して配置された2つの中空部材を含んでもよい。さらに、CLTパネルは、CLTパネルに亘ってランダムに配置された中空部材を含んでもよい。さらに、CLTパネルは、1つの中空部材が別の中空部材と交差するおよび/または重なる穴またはアクセスポイント108を含んでもよい。例えば、図1に示すように、第1の層102(1)は、第3の層102(3)に配置された第1の中空部材106(1)が第2の層102(2)に配置された第2の中空部材106(2)と重なる位置に配置されたアクセスポイント108を含む。このような穴108によって、請負業者は、CLTパネル100中の1つまたは複数の層深さにありうる1つまたは複数の中空部材106にアクセスしうる。これによってまた、請負業者は、X方向からY方向に経路を変更しうる。追加的におよび/または代替的に、CLTパネル100は、下にある中空部材106へのアクセスを可能にするために、層内の任意の場所に位置するアクセスポイントを含んでもよい。
【0016】
実施例では、CLTパネル100は、通気ポート(複数可)110を含んでもよい。通気ポート110は、空気を内部に通過させるための空気レジスタまたはグリルとして機能してもよい。実施例では、アクセスポイント108および通気ポート110は、CLTパネル100の製造プロセスの一部として含まれてもよい、または、アクセスポイント108および通気ポート110は、製造後にCLTパネル100中に機械加工されてもよい。追加的におよび/または代替的に、CLTパネル100は、CLTパネルに配置された1つまたは複数の窓、ドアなどを含んでもよく、これらもまた、CLTパネル100の製造プロセスの一部として含まれてもよい、または、製造後にCLTパネル100中に機械加工されてもよい。
【0017】
さらに、1つまたは複数の中空部材106は、それに取り付けられた1つまたは複数の継手112を含んでもよい。例えば、1つまたは複数の中空部材106の所定の中空部材は、第1の端部、第2の端部、および第1の端部または第2の端部の少なくとも一方に取り付けられた継手112を含んでもよい。実施例では、中空部材は、電気継手112(1)またはダクト継手112(2)を含んでもよい。電気継手112(1)は、中空部材106に、または代替的に中空部材106に隣接するCLT材料(例えば、CLTパネルのボード)に取り付けられて、ケーブル、ワイヤなどの1つまたは複数を内部に配線してもよい。ダクト継手112(2)は、中空部材106に、または中空部材106に隣接するCLT材料に取り付けられて、内部に空気を通過させてもよい。接続を密封するために、界面をガスケットで覆ってもよい。追加的におよび/または代替的に、1つまたは複数の中空部材106は、機械的なケースのための他のタイプの継手を含んでもよい。実施例では、電気継手は、ダクト継手とは異なる材料で構成されてもよい。例えば、電気継手はポリマーで構成されてもよく、ダクト継手は金属で構成されてもよい。追加的におよび/または代替的に、電気継手は、ダクト継手と同じおよび/または同様の材料で構成されてもよい。本明細書に記載されるような継手112は、複数の近接する中空部材106にまたがっていてもよいことを理解すべきである。
【0018】
さらに、実施例では、CLTパネル100は、中間層(図示せず)を含んでもよい。中間層は、一種のバリア、構造的支持体、断熱材などとして機能してもよい。例えば、中間層は、遮音材、石膏ボード、難燃剤、防虫剤、断熱材などの少なくとも1つを含んでもよい。実施例では、中間層を層102に接着するために、中間層に接着剤を塗布してもよい。追加的におよび/または代替的に、CLTパネルは、CLTパネルの外層に取り付けられた1つまたは複数の外側層を含んでもよい。実施例において、中空部材は、本明細書の他の箇所に記載されている中空部材の配置と同じまたは同様の態様で中間層に含まれてもよい。
【0019】
図2Aは、CLTパネル100の正面図を示している。図2Aに描かれているのは、断面線A-AおよびB-Bである。実施例では、図2AのCLTパネル100は、CLTパネル100の底部がY軸の下部に配置され、CLTパネル100の上部がY軸の上部に配置されるように配向されてもよい。そのような実施例では、CLTパネル100の底部は、構造物および/または別のCLTパネルの床に接続されてもよく、上部は、構造物および/または別のCLTパネルの天井に接続されてもよい。実施例では、CLTパネル100は、X方向で他のCLTパネルに接続されてもよい。追加的におよび/または代替的に、CLTパネル100は、他のマス・ティンバー構造(例えば、接着積層材、ネイル・ラミネーティド・ティンバーなど)、金属構造、木構造などに接続されてもよい。CLTパネル100は、任意の固定手段またはシステムを介して、他の構造物および/またはパネルに接続されてもよい。例として、CLTパネル100は、接着されたロッド(glued-in rods)、エポキシ化シアコネクタ、機械的留め具(例えば、釘、ねじ、グルラムリベット、ダボ、ボルトなど)、ベアリング型の留め具(例えば、スプリットリング、シアプレートなど)の少なくとも1つを介して、他の構造物および/またはパネルに固定されてもよい。実施例では、CLTパネル100は、CLTパネルが使用されうる領域での設計仕様に適合する任意の留め具を介して、他の構造物および/またはパネルに固定されてもよい。例えば、留め具は、National Design Specification(NDS)for Wood Constructionに記載された承認済み留め具に基づいて選択されてもよい。
【0020】
実施例では、CLTパネル100は、Y方向に延びる幅およびX方向に延びる長さを含んでもよい。CLTパネルの幅は、最大で約8フィート(訳2.44m)以上の幅であってもよく、最大で約40フィート(12.20m)以上の長さであってもよい。いくつかの実施例では、CLTパネル100は、構造物中の配置に応じて、上記で与えられた寸法よりも大きいおよび/または小さい任意の特定の寸法に構築されてもよい。
【0021】
図2Bは、線A-Aに沿って取った図2AのCLTパネルの断面図を描いている。図2Bは、図2Aに示されるような第1のアクセスポイント108(1)を描写している。第1のアクセスポイント108(1)は、第1のアクセスポイント108(1)内に配置された電気ボックス202を含んでもよい。これは、図2Cでより詳細に描かれている。第1のアクセスポイント108(1)は、第1の中空部材106(1)が第2の中空部材106(2)と重なる場所に配置されてもよい。図2Bはまた、CLTパネルの第1の層に配置された第2のアクセスポイント108(2)を描写している。図2Bは、CLTパネル全体に配置され得る追加の中空部材を描写している。実施例において、CLTパネルの各層は、厚さを含んでもよい。例えば、CLTパネルの単一の層は、約1~3/8インチ(約2.54cm~約0.95cm)の厚さであってもよい。しかしながら、実施例では、CLTパネルの単一の層は、約5/8インチ~約2インチ(約1.59cm~約5.08cm)厚の厚さを含んでもよい。CLTパネルは、いくつかの実施例では、約5/8インチ(約1.59cm)未満および/または約2インチ(約5.08cm)超の厚さを有する層を含んでもよい。さらに、CLTパネルは、最大で約20インチ(50.8cm)厚の総厚さを含んでもよい。前述のように、CLTパネルは、反対方向に配向した隣接層を含んでもよい、および/または、同じ方向に配向した隣接層を含んでもよい。例えば、CLTパネルは、3プライ3層、5プライ5層、6プライ6層、9プライ9層、5プライ3層、7プライ5層、8プライ5層、9プライ7層、および/または任意の他の構成のうちの少なくとも1つの構成を含んでもよい。
【0022】
前述したように、図2Cは、第1のアクセスポイント108(1)内に配置された電気ボックス202を描いている。電気ボックス202は、1つまたは複数の電気部品を収容してもよい。例えば、CLTパネルに含まれる電気ボックスは、コンセント、電気パネル、電気器具などの少なくとも1つを収容してもよい。実施例では、電気ボックス202は、CLTパネルの外側の層に配置されてもよく、CLTパネルが設置されると電気ボックス202へのアクセスが提供される。
【0023】
図2Dは、線B-Bに沿って取った図2AのCLTパネルの断面図を示す。図2Dは、図2Aに示すようなベント部分110を示す。実施例では、ベント部分110は、特定の設計目的のために構成されてもよい。例えば、ベント部分110は、グリルを受けるためにCLTパネルに構築されてもよい。しかしながら、他の実施例では、ベント部110は、グリル自体として機能するように設計されてもよい。さらに、実施例では、ベント部分は、任意の特定のサイズおよび/または形状に構築されてもよい。実施例では、ベント部分110(またはアクセスポイント、ポート、穴など)は、製造プロセス中および/または製造プロセス後に形成されてもよい。前述のように、CLTパネルの各層は、約1~3/8インチ(約2.54cm~約0.95cm)の厚さであってもよい。しかしながら、実施例では、CLTパネルの単一の層は、約5/8インチ~約2インチ(約1.59cm~約5.08cm)厚の厚さを含んでもよい。さらに、CLTパネルは、最大で約20インチ(50.8cm)厚の総厚さを含んでもよい。
【0024】
図2Eは、中空部材にアクセスするためにCLTパネルの複数の層を介して形成されるアクセスポイントの別の実施例を描いている。実施例では、CLTパネルに配置されたアクセスポイントは、特定の設計目的のために構築されてもよい。これらのアクセスポイントは、形状および/またはサイズが異なっていてもよい。例えば、中空部材から照明器具への電気配線を通すために、照明器具を取り付けるための比較的小さなアクセスポイントがCLTパネルに配置されてもよい。しかしながら、別の実施例では、テレビやその他の大きい特徴を取り付けるために、比較的大きなアクセスポイントがCLTパネルに配置されてもよい。実施例では、アクセスポイント、ベント部分などは、CLTパネルの製造中または製造後に、コンピュータ数値制御(CNC)マシンによってCLTパネル中に製造されてもよい。追加的におよび/または代替的に、アクセスポイント、ベント部分などは、任意の他の手段(例えば、人間のユーザによる穴あけ、機械加工および/または人間による鋸引きなど)によって、CLTパネル中に製造されてもよい。
【0025】
図3は、クロス・ラミネーティッド・ティンバー(CLT)パネルを製造するプロセス300の一例を示す。説明を容易にするために、プロセス300は、本明細書に記載のプロセス300を完了するように構成された機械によって少なくとも部分的に実行されるものとして説明される。この図では、このプロセスを実行/制御する機械を説明しているが、実施例では、プロセスの工程のいずれか1つおよび/またはすべてが、少なくとも1人の人間のユーザによって完了されてもよい。
【0026】
例示の製造プロセス300(および本明細書に記載されている各プロセス)は、論理フローグラフとして図示されており、その各動作は、ハードウェア、ソフトウェア、人間のユーザ、またはそれらの組合せによって実施可能な一連の動作を表している。ソフトウェアの場合、動作は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると記載された動作を実行する、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータ実行可能な命令を表す。概して、コンピュータ実行可能な命令には、特定の機能を実行するまたは特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれる。
【0027】
コンピュータ可読媒体は、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよく、この記憶媒体には、ハードドライブ、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM(登録商標)、DVD(登録商標)リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気または光カード、ソリッドステートメモリデバイス、または電子命令を記憶するのに適した他のタイプの記憶媒体が含まれる。さらに、実施例では、コンピュータ可読媒体は、一過性のコンピュータ可読信号を(圧縮または非圧縮形式で)含んでいてもよい。コンピュータ可読信号の例には、キャリアを使用して変調されるか否かにかかわらず、コンピュータプログラムをホストまたは実行するコンピュータシステムがアクセスするように構成され得る信号(インターネットまたは他のネットワークを介してダウンロードされた信号を含む)が含まれるが、これに限定されない。最後に、動作を説明する順序は、制限するものとして解釈されることを意図するものではなく、説明された動作の任意の数を任意の順序でおよび/または並列に組み合わせて、プロセスを実施することができる。
【0028】
302において、装置は、クロス・ラミネーティッド・ティンバー(CLT)パネルデザインをロード(または決定)してもよい。例えば、装置は、CLTパネル設計図データをロードしてもよい。設計図(またはデザイン)は、他にも情報はあるが、CLTパネルおよびその中の個々の層の寸法、CLTパネルに含まれる中空部材の位置および寸法、他の特徴(例えば、アクセスポイント、電気ボックス、窓など)の位置および寸法、CLTパネルの特定の部分(例えば、各層の個々のボード、中空部材、電気ボックスなど)に使用される材料の種類に関する情報を含んでもよい。
【0029】
304において、装置は、CLTパネル設計データに少なくとも部分的に基づいて、CLTパネル内に1つまたは複数の中空部材を配置する1つの場所または複数の場所を決定してもよい。プロセスの工程304中、装置は、CLTパネルの各層において1つまたは複数の中空部材を配置する場所を決定してもよい。前述したように、これは、層および/またはCLTパネル全体に中空部材を互いに等距離に配置するかどうか、層および/またはCLTパネル全体に中空部材をランダムに配置するかどうか、などを決定する工程を含んでもよい。さらに、304において、装置はまた、CLTパネルに含まれ得る各中空部材に使用する材料の種類を決定することもできる。このような決定は、CLTパネルにおける各中空部材の意図された使用に少なくとも部分的に基づいてもよい。例えば、第1の中空部材がCLTパネル内の空気ダクトとして使用される場合、装置は金属製の中空部材を選択してもよく、一方、第2の中空部材が電気導管として使用される場合、装置はポリマー製の中空部材を選択してもよい。しかしながら、実施例では、装置は、他の材料(例えば、ポリマー、有機材料、複合材料、金属など)で構成された中空部材を選択してもよい。追加的におよび/または代替的に、装置は、CLTパネル全体で使用するために、同じおよび/または同様の材料を含む中空部材を選択してもよい。
【0030】
306において、装置は、CLTパネル設計データに少なくとも部分的に基づいて、CLTパネル全体に配置するための追加の特徴の1つの位置または複数の位置を決定してもよい。そのような追加の特徴は、アクセスポイント、電気ボックス用の凹部、電気ボックス、穴、通気口、グリル、カバーおよびグリル用の凹部、ドア、窓などのうちの少なくとも1つを含んでもよい(ただし、これらに限定されない)。実施例では、CLTパネルに含まれる特徴の少なくとも一部は、CLTパネルが製造された後に、圧延、切断、穴あけなどを行ってもよい。そのような実施例では、これらの処理は、仕上げステップ(本明細書において以下でさらに説明する)中に含まれてもよい。
【0031】
308において、装置は、ボードの層(1つまたは複数の中空部材を含む)を提供しうる。実施例では、装置は、完全な層が提供されるまで、ボードおよび/または中空部材を個別に選択して提供してもよい。しかしながら、実施例では、装置が完全な層を待機位置からレイアップ位置に移すように、製造プロセス300の前に完全な層をレイアップしてもよい。そのような実施例では、人間のユーザは、完全な層を構築するために、複数のボードおよび/または中空部材をレイアウトしてもよい。いずれの実施例においても、1つまたは複数の中空部材は、ステップ304からの決定された位置に従ってレイアウトされてもよい。実施例では、複数のボードおよび/または中空部材は、ステップ308で提供される前に下塗り(prime)されてもよい。そのような下塗りは、サンディング、洗浄、フィンガージョイント、乾燥、欠陥の除去などを含んでもよいが、これらに限定されない。実施例では、CLTパネルは、典型的な中空壁軽量フレーム構造と比較して、より低グレードの木材で構築されてもよい。例えば、CLTパネルは、典型的な2x4、2x6などと比較して、等級が低いおよび/または寸法が異なる木材で構成されていてもよい。CLTパネルの増加した強度および冗長性によって、構造をより低い等級および/またはより小さい寸法の木材のものとすることが可能となり、これにより、構造物を構築するための全体的なコストを低減しうる。
【0032】
310において、装置は、設計データに少なくとも部分的に基づいて、追加の層を加えるかどうかを決定してもよい。
【0033】
310において、CLTパネルに追加の層を加えるべきであると決定された場合、312において、装置は、前の層に接着剤を塗布してもよい。前述したように、接着剤は、前の層に含まれるボードおよび/または中空部材の幅広の面に塗布されてもよい。そのような接着剤は、特に、フェノール型(例えば、フェノール-レゾルシノールホルムアルデヒド(PRF))、エマルジョンポリマーイソシアネート(EPI)、および/または一液形ポリウレタン(PUR)の少なくとも1つを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0034】
312で接着剤を塗布した後、プロセスは、CLTパネル全体が完成するまで、工程308および310を繰り返してもよい。装置は、必要に応じて工程308~312を何度も繰り返してもよい。前述のように、CLTパネルは、2つ以上の層で構成されてもよい。実施例では、CLTパネルは、奇数の層(すなわち、3層、5層、7層など)で構成されてもよい。しかしながら、実施例では、CLTパネルは、任意の数の層で構成されていてもよい。そのような層は、追加のボードおよび/または中空部材を含んでもよい。追加的におよび/または代替的に、追加の層は、図1に関して上述した中間層を含んでもよい。
【0035】
工程310において、CLTパネルに追加の層を加える必要がないと判断された場合、装置は、工程314でCLTパネルを仕上げてもよい。仕上げ工程314は、切断、サンディング、押圧、クランプ、穴あけ、圧延、鋸引き、検査、テストなどの少なくとも1つを含んでもよい。製造プロセス工程302~312に含まれない可能性のある特徴が追加されうるのは、工程314である。
【0036】
様々な実施例および実施形態が本明細書に個別に記載されているが、実施例および実施形態が、組み合わされ、再配置され、かつ修正されて、本開示の範囲内で他のバリエーションに到達しうる。
【0037】
実施形態は、構造的特徴および/または方法論的行為に特有の言葉で説明されてきたが、本開示は、必ずしも説明された特定の特徴または行為に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、特定の特徴および行為は、請求された主題を実施するための例示的な形態として本明細書に開示されている。本明細書の各請求項は、個別の実施形態を構成しており、異なる請求項および/または異なる実施形態を組み合わせた実施形態は、本開示の範囲内であり、本開示を検討した後に当業者に明らかになるであろう。
【0038】
本開示の実施形態は、以下の項を考慮して説明することができる。
【0039】
1.以下を備えるクロス・ラミネーティッド・パネル:第1の方向に配向された第1のボードを含む第1の層;第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に配向された第2のボードを含む第2の層;第1の方向に配向された第3のボードを含む第3の層であって、第2の層が第1の層と第3の層との間に配置される、第3の層;第1の層と第2の層との間に位置する第1の接着剤;第2の層と第3の層との間に位置する第2の接着剤;および、導管を形成する中空部材であって、第1の層、第2の層、または第3の層の少なくとも1つに含まれる、中空部材。
【0040】
2.前記中空部材が、前記ボードと同様の外形寸法を含むことを特徴とする、条項1に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0041】
3.前記中空部材が、第1の方向に配向された第1の中空部材を含み、第2の方向に配向された第2の中空部材をさらに含むことを特徴とする、条項1または2に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0042】
4.前記クロス・ラミネーティッド・パネルが1つまたは複数の追加の層をさらに含み、前記1つまたは複数の追加の層が少なくとも1つの追加の中空部材を含みうることを特徴とする、条項1、2または3に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0043】
5.前記第1の中空部材が前記第2の中空部材と少なくとも部分的に重なる位置で前記第1の層に配置された穴をさらに含むことを特徴とする、条項4に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0044】
6.前記中空部材が、前記中空部材の内側部分内に、空気、配管、電気配線、または光ファイバケーブルのうちの少なくとも1つを受け入れるように構成されていることを特徴とする、条項1、2、3、4、または5に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0045】
7.前記中空部材が、第1の端部;第2の端部;および、前記第1の端部または前記第2の端部に配置された継手を含むことを特徴とする、条項1、2、3、4、5、または6に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0046】
8.前記継手が、前記中空部材に隣接して前記クロス・ラミネーティッド・パネルに取り付けられ、前記中空部材の前記第1の端部または第2の端部の上に設置され、前記継手は、ダクト継手、配管継手、または電気継手を含むことを特徴とする、条項7に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0047】
9.前記第1の層、第2の層、または第3の層のうちの少なくとも1つを通して実質的に等距離に配置された追加の中空部材をさらに含むことを特徴とする、条項1、2、3、4、5、6、7、または8に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0048】
10.前記中空部材が、木材と実質的に同様の弾性特性、木材と実質的に同様の強度特性、または木材と実質的に同様の機械的特性の少なくとも1つを有する材料で構成されることを特徴とする、条項1、2、3、4、5、6、7、8、または9に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0049】
11.以下を備える装置:第1の方向に配向された第1のボードを含む第1の層;第1の方向と異なる第2の方向に配向された第2のボードを含む第2の層;および、前記第1の層または第2の層の少なくとも1つに含まれる中空部材であって、前記ボードと実質的に同じ外形寸法を有し、前記第1の層または第2の層の少なくとも1つに導管を形成する、中空部材。
【0050】
12.前記第2の方向が前記第1の方向に対して実質的に垂直であることを特徴とする、条項11に記載の装置。
【0051】
13.前記第1の層と第2の層との間に配置された中間層をさらに含むことを特徴とする、条項11または12に記載の装置。
【0052】
14.前記中間層が、防音材、石膏ボード、難燃剤、防虫剤、または断熱材のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、条項13に記載の装置。
【0053】
15.前記中空部材が、前記装置の製造中にクランプ力およびプレス力に耐えるのに十分な壁厚を有することを特徴とする、条項11、12、13、または14に記載の装置。
【0054】
16.以下を備えるクロス・ラミネーティッド・パネル:各ボードの長さが第1の方向に伸長する第1のボードを含む第1の層;各ボードの長さが第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に伸長する第2のボードを含む第2の層;各ボードの長さが第1の方向に伸長する第3のボードを含む第3の層;および、第1の層、第2の層、または第3の層の1つまたは複数に含まれる、少なくとも1つのスペーサボード。
【0055】
17.前記少なくとも1つのスペーサボードが、前記ボードの個々のものと実質的に同様の外形寸法を有することを特徴とする、条項16に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0056】
18.前記スペーサボードが、少なくとも部分的に中空であり、前記第1の層、第2の層、または第3の層のうちの少なくとも1つに導管を形成することを特徴とする、条項16または17に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0057】
19.前記各層の間に配置され、前記ボードの幅広の面に塗布された接着剤をさらに含むことを特徴とする、条項16、17、または18に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【0058】
20.前記ボードが、木材、炭素繊維、プラスチック、または金属のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、条項16、17、18、または19に記載のクロス・ラミネーティッド・パネル。
【符号の説明】
【0059】
100 CTLパネル
102 層
104 ボード
106 中空部材
108 アクセスポイント
110 通気ポート
112 ダクト継手
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3