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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
A63F5/04 620
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022025155
(22)【出願日】2022-02-21
(65)【公開番号】P2023121680
(43)【公開日】2023-08-31
【審査請求日】2023-07-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 翔也
(72)【発明者】
【氏名】石井 彰
(72)【発明者】
【氏名】田中 寛弥
(72)【発明者】
【氏名】土屋 諒
【審査官】木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-198423(JP,A)
【文献】特開2021-094128(JP,A)
【文献】特開2016-010503(JP,A)
【文献】特開2020-99608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリールと、
複数のストップボタンと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
複数の遊技状態の間での移行に係る制御を行う遊技状態移行制御手段と、
通常区間及び有利区間を制御し、前記有利区間において補助遊技に係る制御を実行可能な補助遊技制御手段と、を備え、
前記内部抽選では、複数種類の当選態様の当否が決定され、
前記複数種類の当選態様には、特定当選態様が含まれ、
前記特定当選態様には、第1配当の小役と、第2配当の小役と、が含まれ、
前記第1配当は、前記第2配当よりも高く、
前記複数の遊技状態は、
通常遊技状態と、
前記通常遊技状態においてボーナスに当選した場合に移行するボーナス成立状態と、
前記ボーナスが入賞し、前記ボーナスが作動した場合に移行するボーナス状態と、を含み、
前記通常遊技状態において前記特定当選態様に当選した場合には、前記複数のストップボタンがいずれの操作態様で操作された場合にも、前記第1配当の小役が入賞せず、
前記ボーナス成立状態において前記特定当選態様に当選した場合には、前記複数のストップボタンが特定操作態様で操作された場合に、前記第1配当の小役が入賞可能であり、
前記特定操作態様には、前記複数のストップボタンのうち特定ストップボタンを最初に操作する操作態様が含まれず、
前記補助遊技制御手段は、前記通常遊技状態において前記有利区間を開始した場合、前記補助遊技に係る制御を実行しない、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
複数のリールと、
複数のストップボタンと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
複数の遊技状態の間での移行に係る制御を行う遊技状態移行制御手段と、
通常区間及び有利区間を制御し、前記有利区間において補助遊技に係る制御を行う補助遊技制御手段と、を備え、
前記内部抽選では、複数種類の当選態様の当否が決定され、
前記複数種類の当選態様には、特定当選態様が含まれ、
前記特定当選態様には、第1配当の小役と、第2配当の小役と、が含まれ、
前記第1配当は、前記第2配当よりも高く、
前記複数の遊技状態は、
通常遊技状態と、
前記通常遊技状態においてボーナスに当選した場合に移行するボーナス成立状態と、
前記ボーナスが入賞し、前記ボーナスが作動した場合に移行するボーナス状態と、を含み、
前記通常遊技状態において前記特定当選態様に当選した場合には、前記複数のストップボタンがいずれの操作態様で操作された場合にも、前記第1配当の小役が入賞せず、
前記ボーナス成立状態において前記特定当選態様に当選した場合には、前記複数のストップボタンが特定操作態様で操作された場合に、前記第1配当の小役が入賞可能であり、
前記特定操作態様には、前記複数のストップボタンのうち特定ストップボタンを最初に操作する操作態様が含まれず、
前記補助遊技制御手段は、
前記補助遊技に係る状態として、第1状態と、第2状態と、を制御可能であり、
前記第2状態は、前記第1状態よりも遊技者にとって有利な状態であり、
前記第2状態は、前記通常遊技状態から前記ボーナス成立状態に移行するまで進行しない、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技価値を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
上述した遊技機においては、遊技状態ごとに異なる規定投入数を設定することで、ボーナスや小役の当選確率を変動させ、遊技価値を獲得しやすくすることができる構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-183133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の遊技機においては、ボーナスが終了した後の遊技状態において、予め設定された図柄組合せが有効ライン上に停止表示された場合に、他の遊技状態とは異なる規定投入数に設定されたリプレイタイム状態を開始するとともに、該リプレイタイム状態においてはボーナスや小役の当選確率が他のボーナス非当選中における遊技状態とは異なるように設定されており、遊技者の関心を惹きつけることができるように構成されている。しかしながら、特許文献1に記載の遊技機においては、遊技価値の獲得しやすさを変更するために、規則上制限が厳しいリプレイの当選態様の変動や、規定投入数の変更といった構成を用いており、設計上の制約が多く遊技機の設計自由度を維持しつつ遊技者の関心を惹きつけることが難しかった。
【0006】
また、近年、遊技機においては、補助遊技を実行可能な期間を、特定の期間(有利区間)に限定する制限を設けることで、過度な遊技価値の払い出しが実行され得ることを防ぐことが求められており、有利区間を有する遊技機において商品性を向上させることが難しくなってしまっている。
【0007】
そこで、本発明は、遊技機の設計自由度を維持しつつ遊技者の関心を惹きつけることができる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のリールと、
複数のストップボタンと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
複数の遊技状態の間での移行に係る制御を行う遊技状態移行制御手段と、
通常区間及び有利区間を制御し、前記有利区間において補助遊技に係る制御を実行可能な補助遊技制御手段と、を備え、
前記内部抽選では、複数種類の当選態様の当否が決定され、
前記複数種類の当選態様には、特定当選態様が含まれ、
前記特定当選態様には、第1配当の小役と、第2配当の小役と、が含まれ、
前記第1配当は、前記第2配当よりも高く、
前記複数の遊技状態は、
通常遊技状態と、
前記通常遊技状態においてボーナスに当選した場合に移行するボーナス成立状態と、
前記ボーナスが入賞し、前記ボーナスが作動した場合に移行するボーナス状態と、を含み、
前記通常遊技状態において前記特定当選態様に当選した場合には、前記複数のストップボタンがいずれの操作態様で操作された場合にも、前記第1配当の小役が入賞せず、
前記ボーナス成立状態において前記特定当選態様に当選した場合には、前記複数のストップボタンが特定操作態様で操作された場合に、前記第1配当の小役が入賞可能であり、
前記特定操作態様には、前記複数のストップボタンのうち特定ストップボタンを最初に操作する操作態様が含まれず、
前記補助遊技制御手段は、前記通常遊技状態において前記有利区間を開始した場合、前記補助遊技に係る制御を実行しない、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技機の設計自由度を維持しつつ遊技者の関心を惹きつけることができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態の遊技機の外観構成を示す正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
図3】本発明の第1の実施形態の遊技機における内部抽選で当選可能な当選エリアと、各当選エリアに含まれる当選役と、通常区間での内部抽選で各当選エリアの当選した場合におけるAT制御手段による有利区間抽選の有無と、を示す図である。
図4】(A)は、本発明の第1の実施形態の遊技機における遊技状態の状態遷移図、(B)は、AT制御手段が制御する通常区間及び有利区間と、有利区間中における演出状態と、に係る遷移図である。
図5】(A)は、本発明の第1の実施形態の遊技機において、非RT状態で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に各打順で入賞可能となる役を示す図、(B)は、ボーナス成立状態で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に各打順で入賞可能となる役を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態の遊技機においてAT制御手段が実行する通常区間と有利区間との各区間に係る制御と、補助遊技に係る制御と、について示すフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態の遊技機におけるAT制御手段が制御する通常区間及び有利区間と、有利区間中における演出状態と、に係る遷移図である。
図8】本発明の第2の実施形態の遊技機においてAT制御手段が実行する補助遊技に係る制御について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第1の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、第1の実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0012】
1.遊技機の構成の概要
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す正面図である。第1の実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0013】
第1の実施形態のスロットマシン1は、筐体BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての左リールR1~右リールR3からなるリールユニット310(図2参照)が収められている。また、筐体内のリールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320(図2参照)が収められている。また、第1の実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
【0014】
図1に示す左リールR1~右リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。
【0015】
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種映像や画像から構成された演出を行うための表示手段としての表示装置330が設けられている。また、表示装置330は、画像を表示する表示領域330aのうち左リールR1~右リールR3と対向する特定領域330bが透過液晶ディスプレイから構成されており、表示装置330を介して左リールR1~右リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能に構成されている。左リールR1~右リールR3の停止状態では、左リールR1~右リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示装置330を通じて観察できるようになっている。
【0016】
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、表示装置330を通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによる有効ラインについて、有効ラインL1が設定されている。第1の実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると左リールR1の上段と、中リールR2の中段と、右リールR3の下段と、によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0017】
そして、遊技結果は、有効ラインL1上(有効ライン上)に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
【0018】
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1、ストップボタンB2、ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
【0019】
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示器から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選役コマンドに対応する表示である報知表示が表示され、報知表示の表示後左リールR1~右リールR3が停止した際に、報知表示が終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。第1の実施形態のスロットマシン1では、当選役コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯する報知表示が実行される。
【0020】
また、主制御表示装置500には、7セグメント表示器のドットであり、後述するAT制御手段200(図2参照)によって有利区間が開始され、小役の入賞が補助されることでメダルの獲得期待値が1以上となっている場合に点灯する区間報知部500Aが設けられている。また、第1の実施形態のスロットマシン1では、音を用いた演出を行うための音響装置340が前面下扉DDに複数設けられている。音響装置340からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0021】
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、左リールR1~右リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている左リールR1~右リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1~ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを精算するための精算ボタンBSも設けられている。
【0022】
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンBSが押下された場合、精算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
【0023】
図2は、第1の実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。第1の実施形態のスロットマシン1は、制御基板としての遊技制御手段10によって制御される。遊技制御手段10は、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更スイッチ250及びリセットスイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて演出装置300、リールユニット310、ホッパーユニット320及び主制御表示装置500等の出力手段の動作を制御する。
【0024】
また、遊技制御手段10は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、演出制御手段180、記憶手段190及びアシストタイム制御手段(AT制御手段)200を含む。遊技制御手段10を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0025】
設定変更手段100は、記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、設定変更スイッチ250がON状態となり設定変更を許可する状態において、電源装置に設けられているリセットスイッチ260から出力される入力信号を受け付けるごとに、設定値を設定1→設定2→・・・→設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させ、スタートレバーSLが操作されスタートスイッチ230から出力されるスタート信号を受信したことに基づいて設定値を確定させる。スロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
【0026】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、遊技状態が後述する非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態に設定され、設定変更前においてAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、初期化されて通常区間が設定されるように構成されている。一方、スロットマシン1においては、遊技制御手段10への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されており、電断前にAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、電断前の状態が維持されるように構成されている。
【0027】
投入受付手段105は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間内において、メダル投入口MI(図1参照)にメダルが投入されてメダル投入スイッチ210が作動した場合には、投入されたメダルを投入状態に設定し、メダルがクレジットされた状態でマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されるベットスイッチ220が作動した場合と、には、規定投入数(3枚)を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定することで、規定投入数に相当するメダルが投入状態に設定されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。
【0028】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、左リールR1~右リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
【0029】
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、第1の実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
【0030】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0031】
抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に記憶されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
【0032】
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
【0033】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
【0034】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。第1の実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に記憶される。
【0035】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230からスタート信号が出力されたことに基づいて、左リールR1~右リールR3の回転駆動を開始し左リールR1~右リールR3の回転態様を制御するリール回転制御を実行する。また、リール制御手段130は、左リールR1~右リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作を検出したストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、停止操作を検出したストップスイッチ240に対応する左リールR1~右リールR3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
【0036】
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって左リールR1~右リールR3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1~ストップボタンB3をそれぞれ押下操作することについて、最初の押下操作を第1停止操作、2番目の押下操作を第2停止操作、3番目の押下操作を第3停止操作とも記載する。
【0037】
第1の実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された時点(ストップスイッチ240が停止操作を検出した時点)から所定の期間としての190msが経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。
【0038】
このため、第1の実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引き込み可能な範囲(引き込み範囲)となっている。
【0039】
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように回転中のリールを停止させる引き込み処理と、抽選フラグが非成立状態に設定された役を入賞させることができないように回転中のリールを停止させる蹴飛ばし処理と、を含むロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、記憶手段190のリール制御データ記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)している。
【0040】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0041】
入賞判定手段140は、左リールR1~右リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、左リールR1~右リールR3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、それぞれ予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお、以下の記載において、役の入賞形態を示す図柄組合せを「入賞図柄組合せ」とも記載する。
【0042】
第1の実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に遊技状態を移行させる処理が行われる。
【0043】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット320に払い出させる制御を行う。
【0044】
ホッパーユニット320は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット320には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0045】
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、第1の実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
【0046】
遊技状態移行制御手段170は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0047】
演出制御手段180は、記憶手段190の演出制御データ記憶手段196に記憶されている演出データに基づいて、例えば、表示装置330を用いて行う画像、映像演出や、音響装置340を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、音響装置340からの音の出力を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。また、演出制御手段180は、各演出状態に基づく演出を演出装置300を構成する各構成に実行させる。
【0048】
AT制御手段200は、特定役の入賞を補助する報知を主制御表示装置500に表示する補助遊技を含む指示機能に係る制御が実行可能となる区間(期間)である有利区間(有利期間)と、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御(指示機能に係る制御)が実行不能な区間(期間)である通常区間(非有利期間、非有利区間)と、の間での移行に係る制御を、AT制御データ記憶手段197に記憶されているデータを用いて実行し、通常区間、有利区間及び補助遊技に係る制御を行う補助遊技制御手段を構成する。
【0049】
AT制御データ記憶手段197には、有利区間内において実行されるAT状態及び非AT状態を含む複数種類の演出状態に関する各種制御において用いられるデータ(所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグ、カウンタ等)が記憶されている。
【0050】
AT制御手段200は、有利区間において所定条件下で演出状態をAT状態(アシストタイム状態)に設定し、7セグメント表示器からなる主制御表示装置500に当選している特定役を入賞可能にするストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様に対応する情報(操作指示情報の一例)を表示することで、特定役の入賞を補助する操作報知を行う。また、スロットマシン1では、AT制御手段200による操作報知が実行される場合に、後述する演出制御手段180によって表示装置330に正解打順に対応する指標を表示するナビ演出を実行する。このように、スロットマシン1では、AT状態において、操作報知とナビ演出との入賞補助によってストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が報知されることで、遊技者にとって有利な補助遊技(AT遊技、報知遊技)が実行される。
【0051】
AT制御手段200は、より詳しくは後述する有利区間を終了する所定の終了条件が成立した際に、有利区間を終了し次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、有利区間内において設定した各種フラグ、数値等、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始し且つ入賞補助が実行されることで、メダルの獲得期待値が1以上となる場合に区間報知部500Aを点灯させる。このため、AT制御手段200は、有利区間を開始している場合であっても、入賞補助が実行されない演出状態である場合には、区間報知部500Aを消灯可能に構成されている。
【0052】
AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技において、1回の遊技が実行されるごとに、1ゲームに相当する値である値「1」を第1有利区間カウンタ197aに記憶される値(記憶値)に加算し、第1有利区間カウンタ197aの記憶値を累積的にインクリメント更新するゲーム数更新処理を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技からメダルの払出数をメダルの投入数で減算した差分の値(差枚数)を第2有利区間カウンタ197bに累積的に記録する差枚数更新処理を実行する。
【0053】
第1の実施形態のAT制御手段200は、有利区間に制御している場合、いずれの遊技状態である場合にも、1回の遊技が実行されるごとに1ゲームに相当する値である値「1」ずつ第1有利区間カウンタ197aの記憶値に累積的に加算(更新)するゲーム数更新処理と、メダルの差枚数に相当する値を第2有利区間カウンタ197bの記憶値に累積的に更新する差枚数更新処理と、を実行する。
【0054】
ここで、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を更新する差枚数更新処理において、当該遊技におけるメダルの払出数が規定投入数未満であることで第2有利区間カウンタ197bの記憶値を減算した際に、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「0」未満となる場合、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を値「0」にセットする。これにより、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最下点となる際の値について、値「0」に固定することができるため、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理において、最下点における具体的な数値に応じて判定の閾値となる値を変動させる必要がなくなり、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理の負荷を軽減させることができる。
【0055】
AT制御手段200は、3000ゲームの遊技が実行された場合、つまり第1有利区間カウンタ197aの記憶値が値「3000」になった場合又は有利区間において最もメダルを消費した時点から2400枚を超えるメダルを遊技者が獲得した場合、つまり第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最も低い値(最下点)であった時点から値「2401」になった場合に、有利区間を終了させる所定の終了条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。
【0056】
AT制御手段200は、所定の初期化処理において、有利区間においてON状態にセットした各フラグや有利区間において設定した値等の有利区間における各種制御処理で用いた情報をすべて初期化する。なお、AT制御手段200は、特定終了条件以外の予め設定されている所定の終了条件(通常終了条件)が成立した場合にも有利区間を終了可能であり、通常終了条件が成立した場合にも所定の初期化処理及び所定の終了処理を実行する。第1の実施形態のAT制御手段200が設定する通常終了条件の詳細については、後述する。
【0057】
2.第1の実施形態における遊技機が備える構成
次に、図3図6を参照して、第1の実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
【0058】
<内部抽選の対象となる当選エリア>
図3は、第1の実施形態のスロットマシン1における内部抽選の対象となる当選エリアと、各当選エリアに対応付けられている当選番号及び当選役と、通常区間での内部抽選で各当選エリアの当選した場合におけるAT制御手段200による有利区間抽選の有無と、を示す図である。
【0059】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、ボーナスとして、第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(以下、レギュラービッグボーナスを「RBB」とも記載)を有している。また、スロットマシン1では、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態として、RBBが成立状態に設定されておらず、かつRBBが作動していない一般中としての非RT状態と、RBBが成立状態に設定された場合に移行され、RBBが作動するまで内部でRBBの成立状態が維持されているボーナス内部中(内部中)としてのボーナス成立状態と、RBBが作動した場合に移行され、RBBが作動しているボーナス作動中(作動中)としてのボーナス状態と、を有している。
【0060】
図3に示すように、第1の実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の対象となる当選エリアとして、当選エリア「全小役」、当選エリア「全1枚役」、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「通常リプレイ2」、当選エリア「レアリプレイ」、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「レア役」、当選エリア「RBB&1枚役」及び当選エリア「RBB」を有しており、当選番号1番~当選番号16番の番号がそれぞれ対応付けらえている。また、スロットマシン1では、内部抽選の結果として不当選(ハズレ)に当選番号0番が対応付けられている。
【0061】
ここで、「打順」とは、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対して押下を実行する順番を意味する。また、以下の記載において、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下されるタイミングを「押下タイミング」とも記載する。
【0062】
第1の実施形態のスロットマシン1において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の3つのストップボタンを押下する順序である打順は、打順1~打順6の6種類の打順から構成されている。打順1は、ストップボタンB1→ストップボタンB2→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される、いわゆる順押しと称される打順である。また、打順2は、ストップボタンB1→ストップボタンB3→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される、いわゆるハサミ打ちと称される打順である。また、打順3は、ストップボタンB2→ストップボタンB1→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される打順である。また、打順4は、ストップボタンB2→ストップボタンB3→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される打順である。また、打順5は、ストップボタンB3→ストップボタンB1→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される打順である。また、打順6は、ストップボタンB3→ストップボタンB2→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される、いわゆる逆押しと称される打順である。
【0063】
内部抽選手段120は、乱数判定処理において、当選番号16番に対応付けられた当選エリアから当選番号0番に対応付けられた不当選(ハズレ)に向かう順番で、各当選エリアの当否を決定していく。
【0064】
第1の実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で当選した場合に入賞可能な小役として、ベルA~ベルD、1枚役A~1枚役C、レア役を有しており、内部抽選で当選可能なリプレイとして、リプレイA~リプレイCを有している。各小役及び各リプレイは、それぞれ図3に示す組合せで各当選エリアに対応付けられている。
【0065】
また、図3に示すように、スロットマシン1では、ボーナスと小役とを含む当選エリアとして、当選エリア「RBB&1枚役」が設定され、ボーナスのみを含み当選エリアとして、当選エリア「RBB」が設定されている。
【0066】
当選エリア「レア役」は、レア役が単独当選する当選エリアであり、小役を含む他の当選エリア(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「RBB&1枚役」)よりも低い当選確率に設定されている。また、レア役の入賞図柄組合せは、左リールR1の図柄が20コマ中5コマの図柄が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングでストップボタンB1が操作された場合に有効ラインL1上に停止表示可能となる図柄から構成されており、中リールR2の図柄と右リールR3の図柄とについて、ストップボタンB2とストップボタンB3との押下タイミングによらず有効ラインL1上に停止表示可能な図柄から構成されている。
【0067】
当選エリア「レアリプレイ」は、リプレイAとリプレイCとが重複当選する当選エリアであり、リプレイを含む他の当選エリア(当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「通常リプレイ2」)よりも低い当選確率に設定されている。スロットマシン1では、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、予め設定されたリプレイCを入賞可能にする操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にリプレイCが入賞し、リプレイCを入賞可能にする操作態様とは異なる操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、リプレイAが入賞する。
【0068】
具体的には、スロットマシン1では、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順3~打順6でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にリプレイCが入賞し、ストップボタンB1が第1停止操作される打順1、打順2でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にリプレイAが入賞する。
【0069】
ここで、第1の実施形態のスロットマシン1では、持越可能フラグが対応付けられる役としては、RBBがあり、小役及びリプレイは、持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でRBBを含む当選エリアに当選すると、当選したRBBの抽選フラグの成立状態を、RBBが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているRBBの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
【0070】
<内部抽選テーブル>
第1の実施形態のスロットマシン1は、内部抽選手段120による内部抽選で用いられる抽選テーブルである内部抽選テーブルとして、非RT状態(一般中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルAと記載)と、ボーナス成立状態(内部中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルBと記載)と、ボーナス状態(作動中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルCと記載)と、を内部抽選テーブル記憶手段192に記憶させている。内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCの各内部抽選テーブルにおいては、抽選の対象となる各当選エリアに抽選値数が対応付けられている。
【0071】
<乱数判定処理>
第1の実施形態の内部抽選手段120は、乱数判定処理において、乱数生成手段110から取得した乱数を、内部抽選テーブル記憶手段192から取得した内部抽選テーブルにおいて各当選エリアに対応付けられている抽選値数で順次減算していき、減算した結果が負の値となった場合に、当該減算した抽選値数に対応する当選エリアに当選したと判定する。また、内部抽選手段120は、内部抽選テーブルに記憶されているすべての抽選値数で減算し終えた時点で減算した結果が正の値である場合、いずれの役にも当選しなかった不当選であると判定する。
【0072】
なお、第1の実施形態の乱数生成手段110は、内部抽選で用いる乱数として、0~65535の計65536個の乱数を生成可能に構成されている。また、内部抽選テーブルAにおいては、当選エリア「RBB」~当選エリア「通常リプレイ1」に対応付けられている抽選値数の総数が65536となっており、内部抽選テーブルBにおいては、当選エリア「RBB&1枚役」~当選エリア「通常リプレイ1」に対応付けられている抽選値数の総数が65536となっているため、非RT状態又はボーナス成立状態における内部抽選においては、いずれかの役に当選し、不当選とならないように構成されている。
【0073】
<ボーナス当選判定処理>
上述した通り、第1の実施形態の内部抽選手段120は、ボーナス成立状態において、当選エリア「RBB&1枚役」に抽選値数が設定されている。このため、内部抽選手段120は、遊技状態がボーナス成立状態である場合における内部抽選において、既にRBBが成立状態に設定されている状態で再度RBBが当選してしまう可能性があることから、新たに当選したRBBを成立状態に設定しないために、乱数判定処理で当否を決定される当選エリアがボーナスを含む当選エリアであるか否かを判定するボーナス当選判定処理を実行するように構成されている。
【0074】
内部抽選手段120は、ボーナス当選判定処理において、乱数判定処理でボーナスを含む当選エリアが当否を決定される対象となると判定した場合、ボーナスを含む当選エリアが当選し、かつ遊技状態がボーナス成立状態である場合に、ボーナスを成立状態に設定する処理をスキップする処理を実行する。このようにして、スロットマシン1は、既にRBBが成立状態に設定されている状態で、新たなRBBが成立状態に設定されてしまうことを防いでいる。
【0075】
<有利区間抽選>
図3に示すように、第1の実施形態のAT制御手段200は、非RT状態及びボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「レア役」、当選エリア「通常リプレイ2」、当選エリア「レアリプレイ」、当選エリア「RBB&1枚役」に当選した場合に、有利区間抽選を実行し、他の当選エリアに当選した場合には、有利区間抽選を実行しないように構成されている。また、AT制御手段200は、約1/1.5と高い確率で「有利区間の開始」に当選する有利区間抽選を実行する。
【0076】
つまり、第1の実施形態のスロットマシン1は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「レア役」、当選エリア「通常リプレイ2」、当選エリア「レアリプレイ」に当選し、有利区間抽選で「有利区間の開始」に当選した場合に、非RT状態である状態で有利区間が開始される構成となっている。
【0077】
<リール制御手段>
本実施形態のスロットマシン1では、いずれの遊技状態である場合にも、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。つまり、リール制御手段130は、ボーナスと小役又はボーナスとリプレイが重複して当選している場合、ボーナスに優先して小役又はリプレイを入賞可能にする停止制御を実行する。
【0078】
また、スロットマシン1では、ボーナスと小役とが重複当選している状態で小役の取りこぼし(非入賞)が発生する場合に、RBBの入賞図柄組合せを含むいずれの役の入賞図柄組合せとも異なる図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示され、取りこぼし(非入賞)となるようにリール停止制御される構成となっている。
【0079】
<小役の配当>
本実施形態において、ベルA~ベルDの配当は、規定投入数(3枚)よりも多い枚数の払出数(8枚)に設定されている。また、レア役の配当は、規定投入数と同じ枚数の払出数(3枚)に設定されている。そして、1枚役A~1枚役Cの配当は、規定投入数よりも少ない枚数の払出数(1枚)に設定されている。
【0080】
<遊技状態移行制御手段>
図4(A)は、本実施形態の遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。
【0081】
図4(A)に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態(初期遊技状態、通常遊技状態)であり、ボーナスが作動及び成立していない非ボーナス状態となっている。非RT状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8978/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルAを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0082】
ボーナス成立状態は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」、当選エリア「RBB&1枚役」のいずれかに当選し、RBBが成立状態に設定された場合に移行する遊技状態である。ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8982/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルBを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0083】
ボーナス状態は、RBBが入賞しRBBが作動することで移行される遊技状態である。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、払い出されたメダルの合計数によって作動しているRBBの終了条件が成立したかを判定し、予め定められた所定の払出数(例えば、100枚)を超えるメダルが払い出された場合に、RBBの作動を終了させることでボーナス状態を終了させて、遊技状態を非ボーナス状態である非RT状態へ移行させる。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルCを用いた内部抽選を実行させる。
【0084】
図3に示すように、内部抽選テーブルCでは、ベルA~ベルD、レア役、1枚役A~1枚役Cのすべての小役に当選する当選エリア「全小役」と、1枚役A~1枚役Cの配当が1枚に設定されたすべての小役に当選する当選エリア「全1枚役」と、に乱数が対応付けられている。
【0085】
図3を用いてボーナス状態について詳細に説明する。本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選テーブルCが選択されるボーナス状態において当選エリア「全小役」又は当選エリア「全1枚役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて小役を含む当選エリアのいずれかに当選する確率よりも高い、つまりボーナス状態において小役に当選する確率が、ボーナス状態以外の遊技状態においていずれかの小役に当選する確率よりも高い確率に設定されている。また、内部抽選テーブルCにおいて、当選エリア「全小役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」のいずれか2つに当選する確率の合算と同じ確率に設定されている。
【0086】
このような構成であることから、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態において、ボーナスの非作動時である非RT状態、ボーナス成立状態である場合よりもすべての小役の当選確率が上昇するとともに、いずれかの小役に当選する確率も同一又は上昇するように構成されている。
【0087】
また、スロットマシン1は、ボーナス状態において、当選エリア「全小役」に当選する確率が、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」のいずれかに当選する確率(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の各当選確率を合算した当選確率)よりも低くなるように構成されている。
【0088】
このように、本実施形態のスロットマシン1は、遊技を開始する際に必要となる遊技価値の投入数よりも多い配当に設定された複数種類の特定役(ベルA~ベルD)が互いに重複せずに他の小役と重複当選する複数種類の第1当選態様(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」)と、複数種類の特定小役が重複して当選する第2当選態様(当選エリア「全小役」)と、を有し、内部抽選手段120が、通常遊技状態(非RT状態)、ボーナス成立状態において、複数種類の第1当選態様が存在するように内部抽選を行うとともに、ボーナス状態において、第2当選態様が存在するように内部抽選を行うように構成されている。また、スロットマシン1において、ボーナス状態における内部抽選で第2当選態様に当選する確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選で複数種類の第1当選態様のいずれかに当選する確率よりも低く、ボーナス状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率以上となるように構成されている。
【0089】
このため、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態について、メダルの獲得率の期待値が100%未満となっている。
【0090】
ここで、ボーナス成立状態においては、より詳しくは後述するが、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時に、打順3~打順6から構成された正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作しないと入賞させることができない構成であることから、ベルA~ベルDのいずれかが入賞する確率は、4種類の打順から正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作できた場合に限定される。一方、後述する入賞補助が実行される補助遊技が実行された場合には、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時に、正解打順が入賞補助によって報知されるため、ベルA~ベルDのいずれかが入賞する確率について、入賞補助が実行されない場合に対して最大で8倍まで高めることができる。
【0091】
このように、本実施形態においては、正解打順で停止操作した場合に入賞する規定投入枚数よりも多くのメダルを払い出す入賞役(特定役)として、ベルA~ベルDの4種類を設定している。そして、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/4に圧縮している。このように構成することで、ボーナス状態以外の遊技状態においてN種類の特定役を互いに重複せずに当選させる態様を設けて内部抽選を行い、ボーナス状態においてN種類の特定役を重複して当選させる態様を設けて内部抽選を行うことによって、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/Nに圧縮することができる。これにより、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値の下限を100%未満にまで引き下げた上で補助遊技に関するメダルの獲得性能を設計することができるため、AT機能を備えたスロットマシン1の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
【0092】
<AT制御手段>
図4(B)は、第1の実施形態のAT制御手段200よって制御される通常区間及び有利区間と、有利区間中に制御される演出状態と、についての詳細を示す状態遷移図である。
【0093】
上述した通り、通常区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御が実行されない期間である。AT制御手段200は、通常区間内における遊技において、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアが図3に示した有利区間抽選の対象となる当選エリアであった場合に、通常区間を終了し有利区間を開始するか否かを決定する抽選である有利区間抽選を実行する。
【0094】
有利区間抽選において、AT制御手段200は、まず、AT制御データ記憶手段197から、複数の乱数のそれぞれに対して「有利区間の開始」、「不当選(ハズレ)」が対応付けられているデータテーブルである有利区間移行抽選テーブルを取得する。そして、AT制御手段200は、乱数生成手段110から乱数を取得し、取得した乱数を有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき、有利区間を開始するか否かを決定する。
【0095】
AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、有利区間抽選における「有利区間の開始」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように有利区間抽選を実行する。
【0096】
有利区間において、AT制御手段200は、遊技状態移行制御手段170によって制御されている遊技状態を参照し、補助遊技に係る制御を実行するか否かを決定するように構成されている。第1の実施形態のAT制御手段200は、遊技状態が非RT状態又はボーナス状態である場合、有利区間が開始された場合であっても補助遊技に係る制御を実行しないように構成されている。一方、AT制御手段200は、遊技状態がボーナス成立状態である場合、有利区間が開始された場合に補助遊技に係る制御を実行可能に構成されている。
【0097】
なお、上述したように、AT制御手段200は、有利区間を開始した場合、遊技状態が非RT状態又はボーナス状態であり補助遊技に係る制御を実行しない場合であっても、1回の遊技が実行されるごとに、1ゲームに相当する値である値「1」を第1有利区間カウンタ197aに記憶される値(記憶値)に加算し、第1有利区間カウンタ197aの記憶値を累積的にインクリメント更新するゲーム数更新処理と、有利区間を開始した遊技からメダルの払出数をメダルの投入数で減算した差分の値(差枚数)を第2有利区間カウンタ197bに累積的に記録する差枚数更新処理と、有利区間に係る制御を実行する。
【0098】
AT制御手段200は、有利区間において、指示機能に係る状態(演出状態、補助遊技に係る状態)として、通常状態と、CZ状態と、AT状態と、を制御可能に構成されている。また、第1の実施形態のスロットマシン1は、全体の遊技における有利区間の滞在比率が、7割以上となりうる構成となっている。
【0099】
通常状態は、他の演出状態に移行していない場合に設定される、複数種類の演出状態の中で通常の状態に相当する演出状態(通常演出状態)である。AT制御手段200は、演出状態が通常状態に移行した場合、通常状態における遊技回数をカウントする通常ゲーム数カウンタ(不図示)に、遊技が実行される都度、通常ゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」を加算するインリメント更新を実行する。AT制御手段200は、通常ゲーム数カウンタの記憶値が値「700」となった場合に、CZ状態への移行条件(CZ移行条件)が成立したと判定し、演出状態を通常状態からCZ状態に移行する。また、AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、において、CZ状態、AT状態への移行を決定するか否かを抽選する状態移行抽選を実行する。
【0100】
AT制御手段200は、状態移行抽選において、「AT状態への移行」、「CZ状態への移行」、「不当選(ハズレ)」のいずれかに決定する抽選を行い、「CZ状態への移行」に当選した場合には、CZ移行条件が成立したと判定し、演出状態を通常状態からCZ状態に移行し、「AT状態への移行」に当選した場合には、AT状態への移行条件(AT移行条件)が成立したと判定し、演出状態を通常状態からAT状態に移行する。
【0101】
CZ状態は、補助遊技に係る制御として、AT状態に演出状態を移行するか否かを決定する制御が実行された場合に、通常状態よりも高い確率でAT状態に移行可能に構成されており、通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。AT制御手段200は、CZ状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のCZゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する値(例えば、10ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、CZゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0102】
AT制御手段200は、CZ状態における毎回の遊技において、AT状態への移行を決定するか否かを抽選するCZ中AT抽選を実行するように構成されている。CZ中AT抽選において「AT状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から10ゲームの遊技が実行された後に、演出状態をCZ状態から当選した演出状態に移行する。
【0103】
AT制御手段200は、CZ中AT抽選で「AT状態への移行」に当選し且つCZ状態が終了するまでの遊技において、CZ状態の終了後に移行するAT状態に移行した場合におけるAT状態について、1セットのAT状態を実行する回数を加算(上乗せ)するか否かを決定するCZ中セット数上乗せ抽選を実行する。
【0104】
一方、AT制御手段200は、CZ中AT抽選で「AT状態への移行」に当選することなくCZ状態において10ゲームの遊技が実行された場合、CZ状態を終了する。AT制御手段200は、AT移行条件が成立していない状態でCZ状態を終了した場合、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。
【0105】
AT制御手段200は、CZ状態において実行する補助遊技に係る抽選(CZ中AT抽選、CZ中セット数上乗せ抽選)について、内部抽選の結果によらず実行するように構成されている。また、AT制御手段200は、CZ状態において実行する補助遊技に係る抽選について、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、には、他の当選エリアに当選した場合よりも「不当選(ハズレ)」となる確率が低下し、遊技者にとって有利な結果(CZ中AT抽選であれば「AT状態への移行」となる確率が高くなるように構成されている。つまり、CZ状態は、当選エリア「レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に限り状態移行抽選が実行される通常状態よりも高い確率でCZ状態の終了後にAT状態に移行可能に構成されている。
【0106】
AT状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選の都度ベルA~ベルDの入賞補助が実行されることで、1回の遊技において獲得できるメダルの枚数と投入するメダルの枚数との差分の平均値である純増枚数が約3.0枚に設定された通常状態及びCZ状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0107】
AT制御手段200は、AT状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のATゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する初期値(20ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。また、AT制御手段200は、AT状態が開始された遊技において、「AT状態の継続」、「不当選(ハズレ)」が抽選の対象に設定されたAT継続抽選を実行する。AT継続抽選において、AT制御手段200は、「AT状態の継続」に当選した場合には、1セットのAT状態の実行に係る情報をAT制御データ記憶手段197にストックする。また、AT制御手段200は、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に、1セットのAT状態を実行する回数を加算(上乗せ)するか否かを決定するAT中セット数上乗せ抽選を実行する。
【0108】
AT制御手段200は、ATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になった場合において、1セット以上のAT状態がストックされている場合には、AT状態の継続を決定するとともに、次セットのAT状態を開始する。一方、AT制御手段200は、ATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になった場合において、1セットのAT状態がストックされていない場合には、AT状態の終了条件(AT終了条件)が成立したことに基づき有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、AT状態の終了とともに有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0109】
3.当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の詳細
図5は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」のストップボタンB1~ストップボタンB3の打順によって入賞可能となる小役が異なる当選エリア(打順当選態様)に当選した場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の打順によって入賞可能となる役について示す図であり、図5(A)は、非RT状態で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の打順によって入賞可能となる役、図5(B)は、ボーナス成立状態で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の打順によって入賞可能となる役について示す図である。
【0110】
図5(A)に示すように、スロットマシン1では、非RT状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の押下順序によらず、規定投入数よりも多い配当(8枚)に設定されたベルA~ベルDが入賞せず、規定投入数よりも少ない配当(1枚)に設定された1枚役A~1枚役Cが入賞可能となるように構成されている。
【0111】
当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」は、遊技状態が非RT状態である場合、ストップボタンB1が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、1/1の確率で1枚の配当に設定された1枚役Aが入賞する。また、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル4」は、遊技状態が非RT状態である場合、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、1/2の確率で1枚の配当に設定された1枚役B又は1枚役Cが入賞する。そして、当選エリア「打順ベル5」~当選エリア「打順ベル8」は、遊技状態が非RT状態である場合、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、1/1の確率で1枚役Aが入賞する。
【0112】
スロットマシン1では、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル4」に当選し、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、リール停止制御として個数優先制御が実行されることで第1停止操作の時点で入賞可能となる小役がそれぞれ1枚の配当に設定された1枚役Bと1枚役Cとに限定され、第2停止操作の時点で入賞可能となる小役が1枚役Bと1枚役Cとのいずれか一方に限定され、第3停止操作において入賞可能となっている小役を入賞可能にする押下タイミング(20コマ中10コマの図柄が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングで且つ1枚役Bと1枚役Cとで重複しないタイミング)でストップボタンが操作された場合に、入賞可能となっている小役が入賞し、第3停止操作において入賞可能となっている小役を入賞できない押下タイミングでストップボタンが操作された場合には、いずれの役の入賞形態とも異なる図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示される取りこぼしとなる。
【0113】
このような構成であるため、スロットマシン1では、遊技状態が非RT状態である場合、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3がいずれの操作態様で操作された場合にも、リール制御手段130によるリール停止制御において個数優先制御が実行され、第1停止操作が実行された時点でベルA~ベルDの入賞図柄組合せを構成する図柄に優先にして1枚役A~1枚役Cの入賞図柄組合せを構成する図柄が有効ラインL1上に停止され、当該遊技において入賞可能となる小役が1枚役A~1枚役Cのいずれかとなる。
【0114】
図5(B)に示すように、スロットマシン1では、ボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に8枚の配当に設定されたベルA~ベルDを入賞可能にする打順(正解打順)が各当選エリアに設定されており、それぞれ打順3~打順6、つまりストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順に設定されている。
【0115】
当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」は、正解打順とは異なる打順(不正解打順)のうち、ストップボタンB1が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、1/1の確率で1枚役Aが入賞する。また、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」は、不正解打順のうち、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、1/1の確率で1枚役Aが入賞する。そして、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル4」は、不正解打順のうち、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、1/2の確率で1枚役B又は1枚役Cが入賞する。
【0116】
このような構成であることから、第1の実施形態のスロットマシン1は、遊技状態がボーナス成立状態であり且つ当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、AT制御手段200によって補助遊技が実行されることでベルA~ベルDを入賞が補助され、ストップボタンB1~ストップボタンB3が正解打順で操作されることでベルA~ベルDが入賞可能となる。
【0117】
4.遊技状態とAT制御手段が実行する制御との詳細
次に、第1の実施形態のAT制御手段200が実行する通常区間と有利区間との各区間に係る制御と、有利区間が開始された場合に実行可能な補助遊技に係る制御と、の詳細について説明する。
【0118】
<AT制御手段が実行する制御>
図6は、第1の実施形態のAT制御手段200が実行する通常区間と有利区間との各区間に係る制御と、補助遊技に係る制御と、について示すフローチャートである。
【0119】
図6に示すように、AT制御手段200は、まず、通常区間か否かを判定する(S1)。この処理において、AT制御手段200は、有利区間が既に開始されているか否かを判定する。
【0120】
ステップS1の処理において、通常区間であると判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、有利区間抽選を行う当選エリアに当選しているか否かを判定する(S2)。この処理において、AT制御手段200は、図3に示した有利区間抽選の対象となる当選エリアに内部抽選で当選したか否かを判定し、有利区間抽選の対象とならない当選エリアに当選したと判定した場合には(NO)、補助遊技に係る制御の実行が禁止された通常区間を維持するため、ステップS3以降の処理を実行することなく通常区間と有利区間との各区間に係る制御を終了する。
【0121】
一方、有利区間抽選の対象となる当選エリアに当選したと判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、有利区間抽選を実行する(S3)。次に、AT制御手段200は、有利区間に移行するか否かを判定する(S4)。この処理において、AT制御手段200は、有利区間抽選において「有利区間の開始」に当選したか否かを判定しており、有利区間に移行しないと判定した場合には(NO)、補助遊技に係る制御の実行が禁止された通常区間を維持するため、ステップS5以降の処理を実行することなく通常区間と有利区間との各区間に係る制御を終了する。
【0122】
ステップS1の処理において、有利区間であると判定した場合(NO)又はステップS4の処理において、有利区間に移行すると判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、遊技状態がボーナス成立状態であるか否かを判定する(S5)。この処理において、AT制御手段200は、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態がボーナス成立状態であるか否かを判定しており、遊技状態がボーナス成立状態ではないと判定した場合には(NO)、今回の遊技において補助遊技に係る制御を実行せずに終了する。
【0123】
一方、遊技状態がボーナス成立状態であると判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、今回の遊技における補助遊技に係る制御を実行する(S6)。この処理において、AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアに対応する補助遊技に係る制御(例えば、当選エリア「レア役」に当選したことに基づく状態移行抽選等)や、演出状態に対応する補助遊技に係る制御(例えば、通常状態において1回の遊技が実行されることに基づく通常ゲーム数カウンタのインクリメント更新)等、今回の遊技において実行可能な補助遊技に係る制御を実行する。
【0124】
<遊技状態に応じた補助遊技に係る制御の詳細>
上述したように、第1の実施形態のAT制御手段200は、遊技状態が非RT状態である場合には、有利区間を開始した場合であっても補助遊技に係る制御を実行せず、遊技状態がボーナス成立状態である場合には、有利区間を開始した場合に補助遊技に係る制御を実行する構成となっている。
【0125】
ここで、第1の実施形態のスロットマシン1では、設定変更手段100による設定変更が実行され、遊技状態移行制御手段170によって遊技状態が初期化された場合に、遊技状態が初期状態としての非RT状態に設定される構成となっている。また、スロットマシン1では、図3に示したように、非RT状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「レア役」、当選エリア「通常リプレイ2」、当選エリア「レアリプレイ」に当選し、有利区間抽選で「有利区間の開始」に当選した場合に、非RT状態である状態で有利区間が開始される構成となっている。
【0126】
また、図5(A)に示したように、スロットマシン1では、非RT状態において当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらず8枚の配当に設定されたベルA~ベルDが入賞せず、1枚の配当に設定された1枚役A~1枚役Cのいずれかが入賞可能となるように構成されることで、非RT状態における出玉率(所定回数の遊技が実行される場合におけるメダルの総投入数に対する総払出数の比率)を抑制している。スロットマシン1では、非RT状態における出玉率を抑制することで、ボーナス成立状態における出玉率を向上させるとともに、ボーナス成立状態においてAT状態が開始された場合における補助遊技に関するメダルの獲得性能を向上させており、AT機能を備えるスロットマシン1の設計自由度を向上させている。
【0127】
このような構成であることから、遊技機では、仮に、非RT状態において有利区間が開始された場合にも補助遊技に係る制御を実行可能に構成された場合、通常状態からAT状態に移行した時点で非RT状態が継続していると、AT状態においてベルA~ベルDの入賞を補助する補助遊技を実行できず、AT状態における純増枚数が低下してしまい、補助遊技に関するメダルの獲得性能の設計自由度も低下してしまう虞がある。
【0128】
しかしながら、第1の実施形態のスロットマシン1では、非RT状態において有利区間が開始された場合に補助遊技に係る制御を実行しないことで、非RT状態においては演出状態が通常状態に維持され、AT状態が開始されることを防いでいる。
【0129】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1では、非RT状態で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に規定投入数よりも高い配当に設定されたベルA~ベルDが入賞しない構成にすることで、非RT状態における出玉率を抑制してボーナス成立状態における出玉率を向上させるとともに、ボーナス成立状態においてAT状態が開始された場合における補助遊技に関するメダルの獲得性能を向上させ、AT機能を備えるスロットマシン1の設計自由度を向上させたうえで、非RT状態において有利区間が開始された場合に補助遊技に係る制御を実行しないことで、出玉率が抑制されベルA~ベルDの入賞補助を実行できない非RT状態においてAT状態が開始されることを防ぎ、AT状態における純増枚数が低下することを防ぐことで、遊技機の設計自由度を維持しつつ、AT状態が開始された場合にはメダルを獲得可能にすることで遊技者の関心を惹きつけることができる。
【0130】
また、上述したように、第1の実施形態のスロットマシン1は、遊技状態が非RT状態からボーナス成立状態に移行した場合、以降の遊技において、小役又はリプレイとボーナスが必ず重複当選するとともに、リール制御手段130によるリール停止制御において、有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。また、スロットマシン1では、ボーナスと小役とが重複当選している状態で小役を取りこぼした場合に、ボーナスの入賞図柄組合せとは異なる図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示されるため、一度遊技状態がボーナス成立状態に移行すれば、設定変更やエラーの発生に伴う遊技状態の初期化が実行されるまで、ボーナス成立状態が維持される構成となっている。
【0131】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、非RT状態において有利区間が開始された場合に補助遊技に係る制御を実行しない構成でありながら、一度非RT状態からボーナス成立状態に移行すれば以降の遊技において非RT状態に移行することがなく、非RT状態において有利区間が開始されることで補助遊技に係る制御が実行されない期間が発生することがなくなるため、補助遊技に係る制御が実行されないことによる影響を抑制し、遊技者の遊技に対する興趣が低下することを防ぐことができる。
【0132】
この、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」が、第1の実施形態における特定当選態様を構成し、8枚の配当に設定されたベルA~ベルDが、第1の実施形態における第1配当の小役を構成し、1枚の配当に設定された1枚役A~1枚役Cが、第1の実施形態における第2配当の小役を構成し、ベルA~ベルDを入賞可能にする正解打順が、第1の実施形態における特定操作態様を構成する。
【0133】
<遊技状態と演出状態とに応じた演出>
上述したように、第1の実施形態のスロットマシン1では、遊技状態がボーナス成立状態である場合、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選し8枚の配当に設定されたベルA~ベルDを入賞可能にするストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様として、打順3~打順6のストップボタンB2又はストップボタンB3を第1停止操作する正解打順が設定されている。
【0134】
スロットマシン1では、演出状態がAT状態に移行し当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、補助遊技を実行して正解打順を報知し、ベルA~ベルDの入賞確率を高める遊技性であることから、通常状態及びCZ状態である状態や通常区間である状態において打順3~打順6で遊技が実行された場合に、ストップボタンB1を第1停止操作することを促す演出として打順推奨演出(例えば、表示装置330に「左打ち推奨」と表示する等)を実行するように構成されている。
【0135】
第1の実施形態のスロットマシン1では、通常状態及びCZ状態である状態や通常区間である状態において、遊技状態がボーナス成立状態である場合に加え、遊技状態が非RT状態である場合にも、打順3~打順6でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に打順推奨演出を実行するように構成されている。
【0136】
この構成により、第1の実施形態のスロットマシン1では、遊技状態が非RT状態である場合には、打順3~打順6を含むいずれの打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にも、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時にベルA~ベルDが入賞しない構成であるものの、通常状態及びCZ状態である状態や通常区間である状態において打順3~打順6でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作され、1枚の配当に設定された小役が入賞した際に打順推奨演出が実行されないことで、遊技状態が非RT状態であり設定変更が実行され遊技状態が初期化されたと遊技者に判別されてしまうことを防ぎ、遊技機に攻略性が生じることを防ぐことができる。
【0137】
5.第1の実施形態のまとめ
以上のように、第1の実施形態のスロットマシン1では、非RT状態で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に規定投入数よりも高い配当に設定されたベルA~ベルDが入賞しない構成にすることで、非RT状態における出玉率を抑制してボーナス成立状態における出玉率を向上させるとともに、ボーナス成立状態においてAT状態が開始された場合における補助遊技に関するメダルの獲得性能を向上させ、AT機能を備えるスロットマシン1の設計自由度を向上させたうえで、非RT状態において有利区間が開始された場合に補助遊技に係る制御を実行しないことで、出玉率が抑制されベルA~ベルDの入賞補助を実行できない非RT状態においてAT状態が開始されることを防ぎ、AT状態における純増枚数が低下することを防ぐことで、遊技機の設計自由度を維持しつつ、AT状態が開始された場合にはメダルを獲得可能にすることで遊技者の関心を惹きつけることができる。
【0138】
[第2の実施形態]
次に、第1の実施形態を一部変更した第2の実施形態のスロットマシン1について説明する。第2の実施形態のスロットマシン1は、非RT状態において有利区間が開始された場合にも、補助遊技に係る制御を実行するように構成されている。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と共通する構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0139】
1.第2の実施形態における遊技機が備える構成
図7図8を参照して、第1の実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
【0140】
<AT制御手段が制御する演出状態>
図7は、第2の実施形態のAT制御手段200よって制御される通常区間及び有利区間と、有利区間中に制御される演出状態と、についての詳細を示す状態遷移図である。
【0141】
有利区間において、AT制御手段200は、補助遊技に係る制御を実行する場合に、遊技状態移行制御手段170によって制御されている遊技状態を参照して制御内容を決定する。AT制御手段200は、遊技状態が非RT状態又はボーナス状態であり且つ演出状態がAT状態である場合、AT状態において実行する補助遊技に係る制御(ATゲーム数カウンタの更新等)を実行しないことで、AT状態を進行させない構成となっている。一方、AT制御手段200は、演出状態が通常状態、CZ状態及び後述する開始時CZ状態である場合、非RT状態、ボーナス成立状態及びボーナス状態のいずれである場合にも、補助遊技に係る制御を実行するように構成されている。
【0142】
なお、上述したように、AT制御手段200は、有利区間を開始した場合、遊技状態が非RT状態、ボーナス成立状態、ボーナス状態のいずれである場合にも、1回の遊技が実行されるごとに、1ゲームに相当する値である値「1」を第1有利区間カウンタ197aに記憶される値(記憶値)に加算し、第1有利区間カウンタ197aの記憶値を累積的にインクリメント更新するゲーム数更新処理と、有利区間を開始した遊技からメダルの払出数をメダルの投入数で減算した差分の値(差枚数)を第2有利区間カウンタ197bに累積的に記録する差枚数更新処理と、有利区間に係る制御を実行する。
【0143】
AT制御手段200は、有利区間において、指示機能に係る状態(演出状態)として、開始時CZ状態と、通常状態と、CZ状態と、AT状態と、を有している。また、第2の実施形態のスロットマシン1は、全体の遊技における有利区間の滞在比率が、7割以上となりうる構成となっている。
【0144】
開始時CZ状態は、通常区間から有利区間に移行された場合に、有利区間への移行に基づき開始される演出状態であり、補助遊技に係る制御として、AT状態に演出状態を移行するか否かを決定する制御が実行された場合に、通常状態よりも高い確率でAT状態に移行可能に構成され、通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0145】
AT制御手段200は、開始時CZ状態の開始時にAT制御データ記憶手段197の開始時CZゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する値(例えば、10ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、開始時CZゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0146】
AT制御手段200は、開始時CZ状態における毎回の遊技において、AT状態への移行を決定するか否かを抽選する開始時CZ中AT抽選を実行するように構成されている。開始時CZ中AT抽選において「AT状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、開始時CZ状態の開始から10ゲームの遊技が実行された後に、演出状態を開始時CZ状態から当選した演出状態に移行する。
【0147】
AT制御手段200は、開始時CZ中AT抽選で「AT状態への移行」に当選し且つ開始時CZ状態が終了するまでの遊技において、開始時CZ状態の終了後に移行するAT状態に移行した場合におけるAT状態について、1セットのAT状態を実行する回数を加算(上乗せ)するか否かを決定する開始時CZ中セット数上乗せ抽選を実行する。
【0148】
一方、AT制御手段200は、開始時CZ中AT抽選で「AT状態への移行」に当選することなく開始時CZ状態において10ゲームの遊技が実行された場合、開始時CZ状態を終了し通常状態に演出状態を移行する。
【0149】
AT制御手段200は、開始時CZ状態において実行する補助遊技に係る抽選(開始時CZ中AT抽選、開始時CZ中セット数上乗せ抽選)について、内部抽選の結果によらず実行するように構成されている。また、AT制御手段200は、開始時CZ状態において実行する補助遊技に係る抽選について、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、には、他の当選エリアに当選した場合よりも「不当選(ハズレ)」となる確率が低下し、遊技者にとって有利な結果(開始時CZ中AT抽選であれば「AT状態への移行」となる確率が高くなるように構成されている。つまり、開始時CZ状態は、当選エリア「レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に限り状態移行抽選が実行される通常状態よりも高い確率で開始時CZ状態の終了後にAT状態に移行可能に構成されている。
【0150】
AT状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選の都度ベルA~ベルDの入賞補助が実行されることで、1回の遊技において獲得できるメダルの枚数と投入するメダルの枚数との差分の平均値である純増枚数が約3.0枚に設定された通常状態及びAT準備状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0151】
第2の実施形態のAT制御手段200は、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態によってAT状態において実行する補助遊技に係る制御の内容を変更するように構成されている。AT制御手段200は、遊技状態がボーナス成立状態である場合、第1の実施形態におけるAT状態での補助遊技に係る制御と略同様に制御となる通常制御を実行する。一方、AT制御手段200は、遊技状態が非RT状態又はボーナス状態である場合、補助遊技に係る制御として通常制御とは異なる特定制御を実行する。
【0152】
AT制御手段200は、特定制御において、AT状態を進行しないようにするためにATゲーム数カウンタの更新をしないように構成されている。また、AT制御手段200は、特定制御として、遊技状態がボーナス成立状態に移行するまでの毎回の遊技において、1セットのAT状態を実行する回数を加算(上乗せ)するか否かを決定する特定セット数上乗せ抽選を実行する。
【0153】
スロットマシン1では、非RT状態で且つAT状態である場合に、ATゲーム数カウンタの更新がなされないことから、演出制御手段180によって表示装置330にAT状態が継続する遊技回数を表示する演出を実行する場合に、表示装置330に表示されている遊技回数についても更新しないように構成されている。
【0154】
<AT制御手段が実行する補助遊技に係る制御>
図8は、第2の実施形態のAT制御手段200が実行する補助遊技に係る制御について示すフローチャートである。
【0155】
図8に示すように、AT制御手段200は、まず、AT状態か否かを判定する(S11)。この処理において、AT制御手段200は、遊技状態を参照して制御内容を変更するAT状態か、AT状態とは異なる演出状態か、を判定する。
【0156】
ステップS11の処理において、AT状態ではない判定した場合には(NO)、AT制御手段200は、演出状態に応じた補助遊技に係る制御を実行し(S12)、補助遊技に係る制御を終了する。この処理において、AT制御手段200は、例えば、演出状態が通常状態である場合、通常ゲーム数カウンタのインクリメント更新や、内部抽選で当選エリア「レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」に当選したことに基づく状態移行抽選を実行する。
【0157】
一方、ステップS11の処理において、AT状態であると判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、遊技状態がボーナス成立状態であるか否かを判定する(S13)。この処理において、AT制御手段200は、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態がボーナス成立状態であるか否かを判定している。
【0158】
ステップS13の処理において、遊技状態がボーナス成立状態であると判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、AT状態において1回の遊技が実行されることから、ATゲーム数カウンタの記憶値を値「1」で減算する(S14)。次に、AT制御手段200は、AT状態での補助遊技に係る制御として通常制御を実行し(S15)、補助遊技に係る制御を終了する。この処理において、AT制御手段200は、ボーナス成立状態においてAT状態での遊技が実行されることから、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時における入賞補助や、当選エリア「レア役」又は当選エリア「レアリプレイ」の当選時におけるAT中セット数上乗せ抽選といった通常制御を実行する。
【0159】
一方、ステップS13の処理において、遊技状態がボーナス成立状態ではないと判定した場合には(NO)、AT制御手段200は、AT状態での補助遊技に係る制御として特定制御を実行し(S16)、補助遊技に係る制御を終了する。この処理において、AT制御手段200は、非RT状態又はボーナス状態においてAT状態での遊技が実行されることから、AT状態を進行させないためにATゲーム数カウンタの更新を行うステップS14の処理を実行せず、特定制御として、1セットのAT状態を実行する回数を加算(上乗せ)するか否かを決定する特定セット数上乗せ抽選を実行する。
【0160】
<遊技状態に応じた補助遊技に係る制御による遊技性の詳細>
上述したように、AT制御手段200は、有利区間について、3000ゲームの遊技が実行された場合、つまり第1有利区間カウンタ197aの記憶値が値「3000」になった場合又は有利区間において最もメダルを消費した時点から2400枚を超えるメダルを遊技者が獲得した場合、つまり第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最も低い値(最下点)であった時点から値「2401」になった場合に、有利区間を終了させる所定の終了条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行するように構成されている。
【0161】
このため、遊技機では、仮に、有利区間が開始された状態で補助遊技に係る制御が実行されない場合、有利区間において補助遊技に係る制御が実行される期間が減少してしまうことで、700ゲームの遊技が実行された場合に終了する通常状態が700ゲーム以上継続してしまい、遊技者の遊技に対する興趣が低下してしまう虞がある。
【0162】
しかしながら、第2の実施形態のスロットマシン1では、有利区間が開始された場合における遊技状態によらず、有利区間においては補助遊技に係る制御を実行することで、有利区間において補助遊技に係る制御が実行される期間が減少してしまうことを防ぐとともに、通常状態の継続する期間が過度に延長されてしまうことを防ぎ、遊技者の遊技に対する興趣が低下してしまうことを防止している。
【0163】
また、第2の実施形態のスロットマシン1は、非RT状態で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に規定投入数よりも高い配当に設定されたベルA~ベルDが入賞しない構成にすることで、非RT状態における出玉率を抑制してボーナス成立状態における出玉率を向上させるとともに、ボーナス成立状態においてAT状態が開始された場合における補助遊技に関するメダルの獲得性能を向上させ、AT機能を備えるスロットマシン1の設計自由度を向上させていることから、非RT状態においてAT状態が開始された場合に、遊技状態がボーナス成立状態に移行するまでAT状態を進行させない構成となっている。
【0164】
このような構成により、第2の実施形態のスロットマシン1は、出玉率が抑制されベルA~ベルDの入賞補助を実行できない非RT状態においてAT状態が進行してしまい、AT状態における純増枚数の低下やAT状態においてメダルを獲得できないことによる遊技者の遊技対する興趣の低下を防ぐことができ、遊技機の設計自由度を維持しつつ、AT状態の進行が開始された場合にはメダルを獲得可能にすることで遊技者の関心を惹きつけることができる。
【0165】
また、第2の実施形態のスロットマシン1は、非RT状態で且つAT状態となった場合に、遊技状態がボーナス成立状態に移行するまで、補助遊技に係る制御として特定制御が実行され、遊技者にとって有利な特典として特定セット数上乗せ抽選が実行されるため、非RT状態において有利区間が開始され、ボーナス成立状態に移行するまでにAT状態を開始できた遊技者に特典を付与することができ、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
【0166】
この、補助遊技に係る状態のうち、通常状態が、第2の実施形態における第1状態を構成し、通常状態よりも遊技者にとって有利なAT状態が、第2の実施形態における第2状態を構成する。
【0167】
2.第2の実施形態のまとめ
以上のように、第2の実施形態のスロットマシン1は、非RT状態で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に規定投入数よりも高い配当に設定されたベルA~ベルDが入賞しない構成にすることで、非RT状態における出玉率を抑制してボーナス成立状態における出玉率を向上させるとともに、ボーナス成立状態においてAT状態が開始された場合における補助遊技に関するメダルの獲得性能を向上させ、AT機能を備えるスロットマシン1の設計自由度を向上させるとともに、非RT状態においてAT状態が開始された場合に、遊技状態がボーナス成立状態に移行するまでAT状態を進行させないことで、出玉率が抑制されベルA~ベルDの入賞補助を実行できない非RT状態においてAT状態が進行してしまい、AT状態における純増枚数の低下やAT状態においてメダルを獲得できないことによる遊技者の遊技対する興趣の低下を防ぐことができ、遊技機の設計自由度を維持しつつ、AT状態の進行が開始された場合にはメダルを獲得可能にすることで遊技者の関心を惹きつけることができる。
【0168】
[他の実施形態]
なお、第1の実施形態において、リール制御手段130は、遊技状態が非RT状態である場合と、ボーナス成立状態である場合と、で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」のリール停止制御を変更し、他の当選エリアの当選時にはリール停止制御を変更しないように構成されているが、これに限定されない。リール制御手段130は、例えば、当選エリア「レアリプレイ」について、遊技状態が非RT状態である場合と、ボーナス成立状態である場合と、で、リール停止制御を変更し、非RT状態である場合には、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらずリプレイAが入賞するリール停止制御を実行するように構成されていてもよい。
【0169】
このように構成されることで、スロットマシン1は、有利区間において当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合には、演出状態に応じて遊技者にとって有利な補助遊技に係る制御が実行される構成であるものの、有利区間で且つ非RT状態である場合には補助遊技に係る制御が実行されない構成であることから、非RT状態においてリプレイCが入賞してしまうことで本来受けることができた利益を獲得できなくなかったと遊技者が感じ、遊技者の遊技に対する興趣が低下してしまうことを防ぐことができる。
【0170】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、非RT状態において当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらず8枚の配当に設定されたベルA~ベルDが入賞しないように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、非RT状態である場合、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時にベルA~ベルDを入賞可能にする正解打順として各当選エリアにそれぞれ1つの打順(例えば、当選エリア「打順ベル1」は、正解打順として打順3が対応付けられ、当選エリア「打順ベル2」は、正解打順として打順4が対応付けられる等)が対応付けられ、ボーナス成立状態である場合、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時にベルA~ベルDを入賞可能にする正解打順として各当選エリアにそれぞれ2つの打順(例えば、当選エリア「打順ベル1」は、正解打順として打順3、打順4が対応付けられ、当選エリア「打順ベル2」は、正解打順として打順3、打順4が対応付けられる等)が対応付けられることで、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」について、ボーナス成立状態である場合の方が、非RT状態である場合よりもベルA~ベルDが入賞しやすいように構成されていてもよい。
【0171】
また、第2の実施形態において、AT制御手段200は、有利区間においてAT状態を開始した状態で、遊技状態が非RT状態である場合にはAT状態を進行しないように構成されているが、これに限定されない。AT制御手段200は、有利区間で且つ遊技状態が非RT状態である場合、AT状態の開始を決定した場合に、遊技状態がボーナス成立状態に移行するまで演出状態をAT状態に移行しないことで、AT状態が非RT状態からボーナス成立状態に移行するまで進行しないように構成されていてもよい。
【0172】
このように構成される場合、AT制御手段200は、有利区間で且つ非RT状態である状態でAT状態への移行を決定した演出状態を維持することで、ボーナス成立状態に移行するまでAT状態への移行を待機するように構成されていてもよい。また、AT制御手段200は、有利区間で且つ非RT状態である状態でAT状態への移行を決定した場合に、ボーナス成立状態に移行するまで継続する特定の演出状態(待機状態)に移行することで、ボーナス成立状態に移行するまでAT状態への移行を待機するように構成されていてもよい。
【0173】
また、第2の実施形態において、AT制御手段200は、AT状態で且つ非RT状態である場合に、特定制御として1セットのAT状態を実行する回数を加算(上乗せ)するか否かを決定する抽選を実行するように構成されているが、これに限定されない。AT制御手段200は、特定制御として、AT状態が継続する遊技回数を加算(上乗せ)するか否かを決定する抽選を実行するように構成されていてもよく、また、1セットのAT状態を実行する回数を加算(上乗せ)する抽選が毎回の遊技において実行される演出状態(上乗せ特化状態)に移行するか否かを決定する抽選を実行するように構成されていてもよく、特定制御において遊技者に付与可能な特典の内容は、第2の実施形態に限定されるものではない。
【0174】
また、AT制御手段200は、特定制御について、少なくともAT状態を進行しない制御を実行するように構成されていればよく、特典を付与する制御を実行しないように構成されていてもよい。
【0175】
また、第2の実施形態において、スロットマシン1は、非RT状態で且つAT状態である場合に、ATゲーム数カウンタを更新しないことでAT状態が進行しないことから、表示装置330に表示するAT状態が継続する遊技回数を示す表示も更新しない構成となっているが、これに限定されない。スロットマシン1は、AT状態が継続する遊技回数について、ATゲーム数カウンタとは別に演出制御データ記憶手段196に演出表示用のカウンタ(ATゲーム数表示カウンタ)を設けることで、非RT状態で且つAT状態である場合であっても、表示装置330に表示するAT状態が継続する遊技回数を示す表示を更新するように構成されていてもよい。
【0176】
このように構成される場合、スロットマシン1では、ATゲーム数カウンタの記憶値が1以上である状態で、ATゲーム数表示カウンタの記憶値が値「0」になる場合も起こりうる。この場合、演出制御手段180は、ATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になるまで、表示装置330に表示する遊技回数を「??」といった、残り遊技回数を遊技者が判別できない表示にする。このように構成されることで、スロットマシン1では、遊技状態が非RT状態からボーナス成立状態に移行したタイミングが遊技者に判別されることを防止することができる。
【0177】
また、第2の実施形態において、AT制御手段200は、AT状態の開始を決定することで演出状態をAT状態に移行するように構成されているが、これに限定されない。AT制御手段200は、AT状態の開始を決定した場合に移行される演出状態としてAT準備状態を有するように構成されていてもよい。また、AT準備状態において、AT制御手段200は、AT状態に移行する契機となる当選エリア(例えば、AT状態において補助遊技が実行される当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」等)に当選するまでAT準備状態を継続する構成であってもよい。
【0178】
このように構成される場合、AT制御手段200は、非RT状態で且つAT状態の開始を決定したことでAT準備状態に移行した場合、遊技状態がボーナス成立状態に移行するまでAT準備状態を継続し、遊技状態がボーナス成立状態に移行したことをAT状態に移行する契機とするように構成されていてもよい。
【0179】
このように構成されることで、スロットマシン1は、非RT状態で且つAT状態の開始を決定した場合に、AT状態が進行しないことで遊技状態が非RT状態であり設定変更が実行され遊技状態が初期化されたと遊技者に判別されてしまうことを防ぐことができ、遊技状態が遷移しないことでAT準備状態が継続しているのか、又はAT準備状態からAT状態に移行する契機となる当選エリアに当選していないことでAT準備状態が継続しているのか、を遊技者には判別できず、遊技機に攻略性が生じることを防ぐことができる。
【0180】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、複数のリールとして左リールR1~右リールR3を有し、複数のストップボタンとして左リールR1~右リールR3に対応するストップボタンB1~ストップボタンB3を有しているが、これに限らず、例えば、4本目のリールと、4本目のリールに対応するストップボタンと、を有していてもよい。
【0181】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMBを有しているが、これに限らず、例えば、マックスベットボタンMBに加え、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンを有するように構成されていてもよい。
【0182】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、遊技価値として、メダルを投入及び払出可能に構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、スロットマシン1の外部に設けられ、遊技者が遊技の用に供することができる遊技価値の総数を電磁的方法によって記録可能な構成を有する遊技価値管理装置(専用ユニット)から出力される投入信号に基づき、遊技価値を投入状態に設定し、遊技価値の払い出しを行う場合に、遊技価値管理装置へ払出信号を出力し、遊技価値管理装置において所定の記録媒体に払出信号に対応する遊技価値を電磁的方法によって記録するように構成されていてもよい。つまり、スロットマシン1は、いわゆるメダルレス遊技機から構成されていてもよい。
【0183】
このように構成される場合、スロットマシン1は、例えば、遊技者によって遊技価値管理装置に投入された金額に対応するクレジット数を表示するクレジット数表示手段を有するように構成される。また、スロットマシン1は、最大で16368枚のメダルに相当する遊技価値をクレジット可能に構成され、16368枚を超える遊技価値がクレジットされた場合、遊技制御手段をエラー状態に設定し、遊技価値管理装置を介して所定の記録媒体に電磁的方法によって記録される方式によって遊技価値が払い出されることで16368枚以下のクレジット数になるまで、遊技不可(遊技価値が投入状態に設定されずスタートレバーSLへの開始操作が有効化されない状態)に構成されていてもよい。
【0184】
また、このように構成される場合において、スロットマシン1は、有利区間において実行可能な遊技回数の上限を設定しない構成であってもよく、有利区間の特定終了条件について、差枚数の上限のみが設定される構成であってもよい。また、このように構成される場合において、スロットマシン1は、区間報知部500Aを有さず、有利区間であるか否かやメダルの獲得期待値が1以上となっているか否かを報知しない構成であってもよい。
【0185】
また、本実施形態において、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を更新する差枚更新処理において、当該遊技におけるメダルの払出数が規定投入数未満であることで第2有利区間カウンタ197bの記憶値を減算した際に、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「0」未満となる場合、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を値「0」にセットするように構成されているが、これに限定されない。AT制御手段200は、差枚更新処理に第2有利区間カウンタ197bの記憶値を減算した際に第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「0」未満となる場合に、第2有利区間カウンタ197bに負の値を記憶するように構成されていてもよい。
【0186】
このように構成された場合、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「2401」以上となるまで有利区間を継続可能に構成される。このため、スロットマシン1では、例えば、メダルを獲得可能な演出状態に移行するまでに第2有利区間カウンタ197bの記憶値が負の値として値「-900」であった場合、メダルを獲得可能な演出状態において、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「0」になるまでの900枚と、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「2401」以上になるまでの2401枚と、の合計3301枚のメダルが獲得可能となる。
【0187】
つまり、スロットマシン1は、有利区間が開始されメダルを獲得可能な演出状態に移行するまでに投入されたメダルと、メダルを獲得可能な演出状態において差枚数が2400枚を超えるまで獲得されたメダルと、を遊技者に払い出すことができ、有利区間において投入されたメダルの枚数によらず2400枚を超えるメダルを遊技者に獲得させることができる構成となる。
【0188】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、各カウンタや記憶手段の記憶値に初期値として値をセットし、毎回の遊技の実行時に1ずつ減算するデクリメント更新や、毎回の遊技の実行時に1ずつ加算するインクリメント更新を実行するように構成されているが、これに限らず、各カウンタや記憶手段の更新方法については乗算や除算等を実行するように構成されていてもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0189】
1 スロットマシン(遊技機)
120 内部抽選手段
170 遊技状態移行制御手段
200 AT制御手段(補助遊技制御手段)
B1 ストップボタン
B2 ストップボタン
B3 ストップボタン
R1 左リール
R2 中リール
R3 右リール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8