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特許7535808リチウム硫黄二次電池用正極材料と、それを用いたリチウム硫黄二次電池、およびリチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法
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  • 特許-リチウム硫黄二次電池用正極材料と、それを用いたリチウム硫黄二次電池、およびリチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法 図1
  • 特許-リチウム硫黄二次電池用正極材料と、それを用いたリチウム硫黄二次電池、およびリチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】リチウム硫黄二次電池用正極材料と、それを用いたリチウム硫黄二次電池、およびリチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20240809BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240809BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240809BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240809BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20240809BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/38 Z
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/0569
H01M4/36 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022515366
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2021015144
(87)【国際公開番号】W WO2021210525
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2020072385
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業先端的低炭素化技術開発(ALCA)特別重点技術領域「次世代蓄電池」、「正極不溶型リチウム硫黄電池」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石川 正司
(72)【発明者】
【氏名】松井 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】殿納屋 剛
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101764258(CN,A)
【文献】特開2015-176849(JP,A)
【文献】特開2017-157473(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0078821(KR,A)
【文献】特開2013-219152(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103490027(CN,A)
【文献】特開2003-197196(JP,A)
【文献】○松井 由紀子, 殿納屋 剛, 石川 正司,[1H09] Li-S電池における硫黄利用率向上のためのミクロ多孔性活性炭-硫黄複合正極構成の検討,電池討論会講演要旨集 第61回
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-62
H01M 10/05-0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭を含有し、
前記(a)の粒径(D50)が1.7μm以上6.0μm以下であり、前記(b)の粒径(D50)が前記(a)よりも小さく、かつ1.7μm以上6.0μm以下である、リチウム硫黄二次電池用正極材料。
【請求項2】
前記複合活性炭が、前記複合活性炭の重量に対して、前記(a)を50重量%以上98重量%以下含有し、前記(b)を2重量%以上50重量%以下含有する、請求項1に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
【請求項3】
前記複合活性炭が、前記複合活性炭の重量に対して、前記(a)を60重量%以上80重量%以下含有し、前記(b)を10重量%以上30重量%以下含有する、請求項1または2に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
【請求項4】
リチウム硫黄二次電池用正極材料の重量に対して、
前記複合活性炭を90重量%以上95重量%以下含有し、
その他の成分を5重量%以上10重量%以下含有する、請求項1からのいずれか1項に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
【請求項5】
前記(a)が、前記(a)の重量に対して60重量%以上の硫黄を担持する、請求項1からのいずれか1項に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
【請求項6】
前記(a)硫黄を担持した活性炭および前記(b)硫黄を担持していない活性炭は同種の活性炭である、請求項1からのいずれか1項に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
【請求項7】
前記(a)硫黄を担持した活性炭および前記(b)硫黄を担持していない活性炭の比表面積は、1500m-1以上、2900m-1以下である請求項1からのいずれか1項に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
【請求項8】
さらに、導電助剤および水系バインダを含有する、請求項1からのいずれか1項に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料を備えた、リチウム硫黄二次電池。
【請求項10】
リチウムを含有する電解質と、カーボネート類、エーテル類、硫黄化合物、ハロゲン化炭化水素類、リン酸エステル系化合物、スルホラン系炭化水素類、およびイオン性液体からなる群より選択される1以上の溶媒と、を含有する電解液を備える、請求項に記載のリチウム硫黄二次電池。
【請求項11】
活性炭と硫黄とを混合して、得られた混合物を加熱することにより、(a)硫黄を担持した活性炭を得る工程と、
前記(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、導電助剤と、水系バインダとを混合し、(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭を含有するリチウム硫黄二次電池用正極材料を得る工程(ただし、上記混合は有機溶媒を混合する場合を除く)と、を備えるリチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法(ただし、前記複合活性炭は、前記(b)が前記(a)の外周面にコーティングされた複合活性炭を含まず、前記(a)と前記(b)とが混合された状態である)。
【請求項12】
(a)硫黄を担持した活性炭と、(b’)前記(a)よりも担持している硫黄の割合が少ない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭を含有し、前記(a)が、前記(a)の重量に対して60重量%以上の硫黄を担持し、前記(b’)が、前記(b’)の重量に対して0重量%超10重量%以下の硫黄を担持している、リチウム硫黄二次電池用正極材料。
【請求項13】
活性炭と硫黄とを混合して、得られた混合物を加熱することにより、(a)硫黄を担持した活性炭を得る工程と、
前記(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、導電助剤と、水系バインダとを混合する工程と、を備え、
前記(a)の粒径(D50)が1.7μm以上6.0μm以下であり、前記(b)の粒径(D50)が前記(a)よりも小さく、かつ1.7μm以上6.0μm以下である、リチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法。
【請求項14】
(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭と、前記複合活性炭とは別の材料からなる導電助剤と、を含有し、
前記(a)の粒径(D50)が1.7μm以上6.0μm以下であり、前記(b)の粒径(D50)が前記(a)よりも小さく、かつ1.7μm以上6.0μm以下である、リチウム硫黄二次電池用正極材料。
【請求項15】
活性炭と硫黄とを混合して、得られた混合物を加熱することにより、(a)硫黄を担持した活性炭を得る工程と、
前記(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、前記(b)硫黄を担持していない活性炭とは別の材料からなる導電助剤と、水系バインダとを混合し、(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭を含有するリチウム硫黄二次電池用正極材料を得る工程と、を備えるリチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法(ただし、前記複合活性炭は、前記(b)が前記(a)の外周面にコーティングされた複合活性炭を含まず、前記(a)と前記(b)とが混合された状態である)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウム硫黄二次電池用正極材料と、それを用いたリチウム硫黄二次電池、およびリチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パソコン、デジタルカメラ等に用いる二次電池として、現在、リチウムイオン電池が広く用いられているが、エネルギー密度の更なる向上、コストの低減等が求められている。
【0003】
そこで注目されているのがリチウム硫黄二次電池である。リチウム硫黄二次電池は、正極活物質として硫黄、負極活物質としてリチウム金属を使用し、リチウムイオン(Li)が正極と負極との間を移動することによって充放電を行う二次電池である。リチウム硫黄二次電池では、放電時に負極からLiイオンが溶出し、正極で硫黄と反応して、LiSを生成するとともに、外部回路へ電流が流れる。
【0004】
硫黄原子は、重量あたりの酸化還元反応に関する電子数が多く、従来のリチウムイオン電池に比して、理論上、5倍以上の高いエネルギー密度を有することが見込まれている。また、硫黄は安価で確保も容易であるため、材料のコストを削減することも可能である。このため、リチウム硫黄二次電池は、次世代型の二次電池として盛んに研究が行われている。
【0005】
例えば、特許文献1には、正極が第1の正極層および第2の正極層を備え、第1の正極層が、ポリマーでコートされた硫黄粒子と、硫黄粒子と、炭素とを含み、第2の正極層が、炭素を含み、硫黄を含まないリチウム硫黄電池が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、3次元で相互に繋がっていて、整列された気孔からなる階層型気孔構造を有する炭素凝集体;及び前記炭素凝集体の外部表面及び内部のうち、少なくとも一部に導入された硫黄;を含む炭素-硫黄複合体が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、炭素及び硫黄を含む材料であって、前記炭素が、ナノ多孔性を有する多孔質マトリックス状であり、前記ナノ多孔性内に利用可能な自由体積があるように、前記硫黄が、前記炭素のマトリックスの前記ナノ多孔性内の一部に吸着された材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-113142号公報(2018年7月19日公開)
【文献】特表2019-513673号公報(2019年5月30日公表)
【文献】特開2013-118191号公報(2013年6月13日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
リチウム硫黄二次電池は、高いエネルギー密度を有する一方で、放電時に正極で生成する多硫化物イオンが電解液に溶出するという問題がある。具体的には、溶出した多硫化物イオンは電解液中のリチウムイオンと反応して硫化物(例えば、LiS等のポリスルフィド)を生成し、硫黄の1.8倍の体積となる。このため、リチウム硫黄二次電池の充放電を繰り返すと、体積変化が伴うことにより、正極に破砕や割れが生じ、放電容量の低下につながることが問題となっていた。
【0010】
特許文献1には、正極集電体に近い第1の正極層がポリマーでコートされた硫黄粒子を含むことによって放電時の硫黄の溶出量を抑え、かつ電解液層に近い第2の正極層が硫黄を含まないことによって第2の正極層近傍における硫化リチウムの析出を抑える結果、電解液層と正極との界面における硫化リチウムの析出量を減らし、その代わりに正極内部まで硫化リチウムを析出させることができることが記載されている。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の正極は、第1の正極層と第2の正極層とを備えることを必須とし、第1の正極層と第2の正極層とに機能を分担させているため、わざわざ2つの正極層を作製しなければならない。よって、特許文献1に記載の発明は、簡便な構成によって硫黄の溶出を防ぐという観点では改善の余地があると言える。
【0012】
特許文献2には、階層型気孔構造を有する炭素凝集体の外部表面および内部のうち、少なくとも一部に硫黄を導入した炭素-硫黄複合体によって、硫黄が電解質に流出されることを減少することができると記載されている(特許文献2の〔0018〕)。
【0013】
しかし、前記炭素-硫黄複合体は、鋳型粒子と円柱型炭素材との混合分散液を噴霧乾燥して得られた鋳型粒子-炭素複合体を熱処理することによって得た炭素凝集体に硫黄を含浸させることによって製造される。このように、特許文献2に開示の炭素-硫黄複合体は、複雑な工程を経て取得する必要がある。
【0014】
また、特許文献3には、ナノ多孔性を有する炭素材をマトリックスとし、硫黄をナノ多孔性内に吸着させることにより、サイクル寿命等を改善し得ることが記載されている。しかし、硫黄の電解液への溶出については言及されていない。
【0015】
本発明の一態様は、簡便な方法によって得ることができ、かつ、従来技術とは全く異なる構成によって、導電性を保持し、多硫化物イオンの電解液への溶出を抑制することができるリチウム硫黄二次電池用正極材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の課題を解決するために、本発明者は、(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭を正極材料として使用することにより、正極における硫黄の担持量を高く保持し、かつ、放電容量等の電池特性を優れたものとすることができることを見出した。
【0017】
すなわち、本発明には以下の構成が含まれる。
<1>
(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭を含有する、リチウム硫黄二次電池用正極材料。
<2>
前記複合活性炭が、前記複合活性炭の重量に対して、前記(a)を50重量%以上98重量%以下含有し、前記(b)を2重量%以上50重量%以下含有する、<1>に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
<3>
前記複合活性炭が、前記複合活性炭の重量に対して、前記(a)を60重量%以上80重量%以下含有し、前記(b)を10重量%以上30重量%以下含有する、<2>に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
<4>
リチウム硫黄二次電池用正極材料の重量に対して、
前記複合活性炭を90重量%以上95重量%以下含有し、
その他の成分を5重量%以上10重量%以下含有する、<1>から<3>のいずれかに記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
<5>
前記(a)が、前記(a)の重量に対して60重量%以上の硫黄を担持する、<1>から<4>のいずれか1項に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
<6>
前記(a)硫黄を担持した活性炭および前記(b)硫黄を担持していない活性炭は同種の活性炭である、<1>から<5>のいずれかに記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
<7>
前記(a)硫黄を担持した活性炭および前記(b)硫黄を担持していない活性炭の比表面積は、1500m-1以上、2900m-1以下である<1>から<6>のいずれかに記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
<8>
さらに、導電助剤および水系バインダを含有する、<1>から<7>のいずれか1項に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
<9>
<1>から<8>のいずれかに記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料を備えた、リチウム硫黄二次電池。
<10>
リチウムを含有する電解質と、カーボネート類、エーテル類、硫黄化合物、ハロゲン化炭化水素類、リン酸エステル系化合物、スルホラン系炭化水素類、およびイオン性液体からなる群より選択される1以上の溶媒と、を含有する電解液を備える、<9>に記載のリチウム硫黄二次電池。
<11>
活性炭と硫黄とを混合して、得られた混合物を加熱することにより、(a)硫黄を担持した活性炭を得る工程と、
前記(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、導電助剤と、水系バインダとを混合する工程と、を備えるリチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法。
<12>
(a)硫黄を担持した活性炭と、(b’)前記(a)よりも担持している硫黄の割合が少ない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭を含有する、リチウム硫黄二次電池用正極材料。
<13>
前記(a)が、前記(a)の重量に対して60重量%以上の硫黄を担持し、前記(b’)が、前記(b’)の重量に対して0重量%超10重量%以下の硫黄を担持している<12>に記載のリチウム硫黄二次電池用正極材料。
<14>
(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭と、前記複合活性炭とは別の材料からなる導電助剤と、を含有する、リチウム硫黄二次電池用正極材料。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、正極における硫黄の担持量が高く保持され、かつ、放電容量等の電池特性に優れたリチウム硫黄二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例および比較例の、交流インピーダンスの測定結果を示す図である。
図2】実施例および比較例の、2サイクル目のサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示す図である。
図3】実施例および比較例における充放電試験の結果を示す図である。
図4図3に示した充放電試験の結果の一部分の拡大図である。
図5】実施例および比較例におけるサイクル特性試験の結果を示す図である。
図6】実施例および比較例におけるポリスルフィド吸着試験の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能である。例えば、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意図する。
【0021】
〔1.リチウム硫黄二次電池用正極材料〕
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料は、(a)硫黄を担持した活性炭(以下、「(a)」と略記する場合がある)と、(b)硫黄を担持していない活性炭(以下、「(b)」と略記する場合がある)と、が混合されてなる複合活性炭を含有する。
【0022】
前記(a)硫黄を担持した活性炭は、活性炭が有する細孔に硫黄が担持されてなる活性炭である。前記細孔への硫黄の担持は、例えば、活性炭と硫黄とを乳鉢等を用いて混合した後、得られた混合物をマッフル炉内等で加熱することによって行うことができる。硫黄としては、市販の硫黄華等を用いることができる。
【0023】
つまり、「硫黄を担持した活性炭」とは、溶融させた硫黄を活性炭の細孔内に拡散させることによって、当該硫黄を前記細孔内に吸着させた活性炭のことである。なお、前記吸着は物理吸着であってもよく、化学吸着であってもよい。
【0024】
後述するように、前記(a)硫黄を担持した活性炭は、前記(a)の重量に対して60重量%以上の硫黄を担持することが好ましい。前記(a)が担持する硫黄の重量を所望の値にするための方法としては、例えば、前記(a)の重量に対する硫黄の重量の割合を、所望の値よりも1~4重量%多くなるようにして、活性炭と硫黄とを乳鉢等を用いて混合し、得られた混合物をマッフル炉内に投入して、後述する実施例1に示す条件で処理する方法を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、硫黄の形態は特に限定されない。例えば、α硫黄(斜方硫黄)、β硫黄(単斜硫黄)、γ硫黄(単斜硫黄)、ゴム状硫黄、およびプラスチック硫黄からなる群より選択される1以上の硫黄を用いることができる。
【0026】
硫黄を担持させる活性炭は特に限定されないが、比表面積および細孔の体積が大きく、硫黄を多く担持する上で好適な構造を備えているため、樹脂、化石資源材料等を炭化後、水酸化カリウム等のアルカリによって賦活することによって得られた活性炭等を好ましく用いることができる。
【0027】
前記(a)および(b)の比表面積は、硫黄を多く担持する観点から、1500m-1~2900m-1であることが好ましく、2200m-1~2900m-1であることがより好ましい。
【0028】
なお、比表面積は、BET法によって測定した値である。比表面積の測定は、例えば、Quantachrome社のAUTOSORB iQを用いて行うことができる。
【0029】
また、前記(a)および(b)の細孔の体積は、硫黄を多く担持する観点から、0.6cc・g-1~1.2cc・g-1であることが好ましく、0.9cc・g-1~1.2cc・g-1であることがより好ましい。
【0030】
なお、細孔の体積は、例えば、Quantachrome社のAUTOSORB iQを用いて測定することができる。
【0031】
前記(a)の粒径は、累積頻度%径の観点から、D50が1.7μm以上6.0μm以下であることが好ましい。前記(b)の粒径は、累積頻度%径の観点から、D50が前記(a)よりも小さく、かつ1.7μm以上6.0μm以下であることが好ましく、1.7μm以上3.1μm以下であることがより好ましい。これは、(b)の粒径が小さい方が表面積が大きくなり、より多くのポリスルフィドを吸着できるからであると考えられる。なお、後述する(b’)の粒径についても、好ましい範囲は前記(b)と同様である。
【0032】
累積頻度%径は、散乱式粒子径分布測定装置(LASER SCATTERING PARTICLE SIZE DISTRIBUTION ANALYZER LA-950(HORIBA社製))を用いた湿式バッチ式測定法によって測定することができる。
【0033】
なお、湿式バッチ式測定法は、以下の方法で行うことができる。
【0034】
(i)前記(a)および/または前記(b)と、分散媒(カルボキシルメチルセルロース、界面活性剤等)とを混合し、前記(a)および/または前記(b)を分散した分散液を調製する。
【0035】
(ii)次いで、特殊なコーティング加工を施したガラス製のセルに純水を満たし、その中に前記分散液を数滴滴下し、試料を作製する。さらに、前記試料を、スターラーを用いて攪拌し、前記分散液をセル内に分散させる。
【0036】
(iii)前記分散液を分散させた後、前記試料に半導体レーザー光を照射して試料の透過率を測定し、前記透過率から前記(a)および/または前記(b)の粒径を算出する。
【0037】
累積頻度%径の測定法としては、フロー式、乾式法等もあるが、湿式バッチ式測定法は、測定に用いる前記(a)および(b)が少量で済み、かつ、測定後に生じる汚水量が少量であるため、測定を簡便に行うことができる。
【0038】
前記(b)硫黄を担持していない活性炭は、細孔に硫黄が担持されていない活性炭である。硫黄自体は絶縁体であるため、導電性を担保する目的で、前記(a)は活性炭に硫黄を担持している。しかし、リチウム硫黄二次電池には、充放電によって正極の膨張・収縮が生じ得る。その際、前記(a)における硫黄の担持量が多いほど、正極材料の膨張・収縮は大きくなる。
【0039】
そのため、正極材料として前記(a)のみを用いた場合、前記膨張・収縮によって、担持した硫黄がポリスルフィドとして電解液中に溶出してしまう場合がある。このようなことが生じると、リチウム硫黄二次電池の放電容量低下等の問題が生じる。
【0040】
本発明者は、正極材料の膨張・収縮を防ぐことを目的として、前記(a)と前記(b)とを混合することによって得られた複合活性炭を正極材料として用いることを試みた。すると、驚くべきことにリチウム硫黄二次電池のサイクル特性が著しく向上することが明らかとなった。そこで、電界放射型オージェ電子分光分析装置(AES PHI社製)を用い、オージェ電子分光分析法により、充放電後のリチウム硫黄二次電池用正極材料の断面を測定した結果、前記(b)の箇所からも硫黄が検出された。この結果により、前記(b)が、前記(a)から溶出したポリスルフィドを吸着していることが明らかとなった。
【0041】
このように、本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料は、(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭を含有することにより、リチウム硫黄二次電池の充放電によって前記(a)から電解液へのポリスルフィドの溶出が生じた場合でも、前記(b)によって当該ポリスルフィドを吸着することができる。
【0042】
その結果、前記(a)に担持させた硫黄を無駄にすることなく、前記(a)へ担持させた硫黄の量に見合う特性を得ることができる。それゆえ、優れた特性を有するリチウム硫黄二次電池を提供することができる。
【0043】
「硫黄を担持していない活性炭」とは、活性炭が有する細孔に硫黄が担持されていない活性炭である。よって、前記(b)は、前記(a)のように、活性炭と硫黄とを複合化させる工程を経る必要はない。前記(b)としては、例えば市販の活性炭をそのまま用いることができる。
【0044】
前記(b)は、硫黄を担持させる前の前記(a)に用いた活性炭と同種の活性炭であってもよいし、異種の活性炭であってもよいが、前記(a)から溶出したポリスルフィドを吸着させる観点からは、同種の活性炭であることが好ましい。例えば、前記(b)として、前述した樹脂、化石資源材料等を炭化後、アルカリ賦活することによって得られた活性炭を好ましく用いることができる。
【0045】
前記「複合活性炭」とは、硫黄を担持した活性炭と、硫黄を担持していない活性炭との混合物であることを意味する。前記(a)と前記(b)との混合は、前記(a)と前記(b)とが均質に混合されるように行う。前記(a)と前記(b)とを均質に混合する方法としては、例えば、乳鉢等を用いて前記(a)、前記(b)、および後述するその他の成分(導電助剤、水系バインダ等)とを混合し、得られた混合物を、更に自転・公転ミキサーを用いて撹拌する方法を挙げることができる。
【0046】
前記(a)は、前記(a)の重量に対して60重量%以上の硫黄を担持することが好ましい。つまり、硫黄を担持した活性炭を構成する硫黄の重量と活性炭の重量との合計に対する硫黄の重量の割合が60重量%以上であることが好ましい。
【0047】
当該構成によれば、硫黄の担持量が多いため、正極材料への硫黄含有量の増加という近年の要望に沿ったリチウム硫黄電池を提供することができる。さらに、前記(a)と前記(b)とが混合されてなる複合活性炭を含有するため、ポリスルフィドの溶出を防ぎ、多く担持された硫黄の特性を十分に発揮させ得るリチウム硫黄電池を提供することができる。
【0048】
前記割合は70重量%以上であることがより好ましく、高い方がより好ましいが、上限値は、活性炭の担持能力等に鑑みると、60~66重量%程度である。なお、硫黄の担持量は、実施例1に後述する方法によって確認することができる。
【0049】
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料において、前記(a)の細孔は、メソ孔でもよく、ミクロ孔でもよい。
【0050】
細孔がミクロ孔であるとは、細孔の直径が2nm以上であることを言う。細孔がミクロ孔であることは、Quantachrome社のAUTOSORB iQを用い、BET法によって比表面積を測定し、急冷固相密度関数法(QSDFT)によって細孔分布および細孔の体積を測定することによって、確認することができる。
【0051】
比表面積、細孔分布、および細孔の体積の測定は、200℃で3時間真空脱気した試料について、液体窒素の温度にて、窒素の吸着等温線を測定することによって行うことができる。
【0052】
なお、後述する細孔がメソ孔であることも、同様の方法によって確認することができる。
【0053】
細孔がミクロ孔である場合、細孔内に電解液が侵入しにくいため、細孔に侵入した電解液へのポリスルフィドの溶出が少ない。そのため、任意の電解液を用いても高い放電容量を得ることができる。
【0054】
さらにミクロ孔を発達させた活性炭は、多くの硫黄を担持させやすくする観点から、前述した樹脂、化石資源材料等の原料を炭化した後、アルカリで賦活することによって得られた活性炭等であることが好ましい。
【0055】
細孔がメソ孔であるとは、細孔の直径が2nm超50nm以下であることを言う。細孔がメソ孔である活性炭は、孔径が大きいため、細孔がミクロ孔である活性炭よりも硫黄を担持させやすい。一方、細孔の大きさゆえに、電解液は、細孔がミクロ孔である活性炭よりも細孔内に侵入しやすくなる。
【0056】
それゆえ、細孔がメソ孔である活性炭は、細孔がミクロ孔である活性炭よりも、電解液へのポリスルフィドの溶出が起こり易いと言える。
【0057】
前述したように、細孔がミクロ孔である活性炭を用いる場合は、任意の電解液を用いることができるが、前記(a)の細孔は、メソ孔でもよく、ミクロ孔でもよい。
【0058】
前記リチウム硫黄二次電池用正極材料を正極に用い、例えばフルオロエチレンカーボネートを電解液の溶媒として用いたリチウム硫黄二次電池では、初回放電における電解液の還元分解物によって形成されるSEI被膜が、細孔がメソ孔である活性炭の細孔に形成される。
【0059】
そのため、初回放電を経た後は、前記細孔への電解液の侵入を抑制することができる。このようなSEI被膜の形成を行うために好適な溶媒としては、フルオロエチレンカーボネートの他、ビニレンカーボネート、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド等を挙げることができる。
【0060】
前記(a)が、細孔がメソ孔である活性炭を含有する場合、リチウム硫黄二次電池の初回放電時には、細孔へ侵入した電解液へのポリスルフィドの溶出が起こり得る。しかし、その後は細孔にSEI被膜が形成されるため、ポリスルフィドの更なる溶出を防ぐことができる。
【0061】
まとめると、前記(a)が有する細孔がミクロ孔である場合、ポリスルフィドの溶出が起こりにくいため、任意の電解液を用いることができる。一方で、前記(a)が有する細孔がメソ孔である場合、前記(a)が硫黄を多く担持可能となるため、エネルギー密度が増加する。したがって、前記(a)が有する細孔は、メソ孔でもよく、ミクロ孔でもよい。
【0062】
前記(b)が有する細孔は、前述したように、正極材料の膨張等によって前記(a)から溶出したポリスルフィドを吸着するために用いられる。そのため、前記(b)が有する細孔は、ミクロ孔であることが好ましい。
【0063】
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料において、前記複合活性炭は、前記複合活性炭の重量に対して、前記(a)を50重量%以上98重量%以下含有し、前記(b)を2重量%以上50重量%以下含有することが好ましい。
【0064】
当該構成によれば、前記(a)に担持した硫黄が、正極の膨張等によってポリスルフィドとして溶出した場合であっても、前記(b)によって当該ポリスルフィドを効率よく吸着することができる。その結果、優れたサイクル特性等を示すリチウム硫黄二次電池をより容易に提供することができる。
【0065】
前記(b)によるポリスルフィドの吸着をより効率的に実現する観点から、前記複合活性炭は、前記複合活性炭の重量に対して、前記(a)を60重量%以上90重量%以下含有し、前記(b)を10重量%以上40重量%以下含有することがより好ましい。
【0066】
前記(b)によるポリスルフィドの吸着をさらに効率的に実現する観点から、前記複合活性炭は、前記(a)を60重量%以上80重量%以下含有し、前記(b)を10重量%以上30重量%以下含有することがさらに好ましい。
【0067】
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料は、リチウム硫黄二次電池用正極材料の重量に対して、前記複合活性炭を90重量%以上95重量%以下含有し、その他の成分を5重量%以上10重量%以下含有することが好ましい。
【0068】
当該構成によれば、リチウム硫黄二次電池用正極材料における前記複合活性炭の含有量と、その他の成分の含有量とが適正なバランスとなる。それゆえ、前記(a)に担持した硫黄が、正極の膨張等によってポリスルフィドとして溶出した場合であっても、前記(b)によって当該ポリスルフィドを効率よく吸着することができる。
【0069】
前記その他の成分としては、例えば、導電助剤、水系バインダ等を挙げることができる。導電助剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば使用することができる。通常、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックが使用されるが、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンウイスカー、炭素繊維粉末、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等)粉末、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を使用してもよい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上の混合物として用いることもできる。
【0070】
なお、前記導電助剤は、前記複合活性炭とは別の材料からなることが好ましい。例えば、前記例示した天然黒鉛等の導電性材料は、いずれも、前述した樹脂、化石資源材料等を炭化後、アルカリ賦活することによって得られた活性炭とは別の材料である。
【0071】
水系バインダは、前記複合活性炭と前記導電助剤等を結着させることができるものであれば特に限定されない。例えば、スチレン-ブタジエンラバー(SBR)水分散液、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸塩等を1種または2種以上用いることができる。
【0072】
前記その他の成分は、前記(a)および前記(b)と均質に混合する。当該方法としては、前述したように、例えば、前記その他の成分を、前記(a)および前記(b)と共に乳鉢等に入れて混合し、得られた混合物を、更に自転・公転ミキサーを用いて撹拌する方法を挙げることができる。
【0073】
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用の正極材料は、(a)硫黄を担持した活性炭と、(b’)前記(a)よりも担持している硫黄の割合が少ない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭を含有してもよい。
【0074】
なお、活性炭の条件、硫黄の種類、正極材料中の含有量、およびその他の成分については上述した通りである。また、前記(b’)についても、硫黄の担持量以外は上述した(b)に関する事項を適用することが可能である。
【0075】
前記(a)は上述した通り、前記(a)の重量に対して、60重量%以上の硫黄を担持していることが好ましい。また、前記(b’)は、前記(b’)の重量に対して0重量%超10重量%以下の硫黄を担持していることが好ましく、0重量%超、5重量%以下の硫黄を担持していることがより好ましい。
【0076】
前記複合活性炭が前記(a)と前記(b’)とが混合されてなる場合、硫黄の担持量に差が設けられているため、前記(a)のみを用いる場合とは異なり、前記(a)から溶出したポリスルフィドを、前記(b’)によって吸着させることが可能である。
【0077】
前記(b’)の硫黄の担持量は、前記(a)から溶出したポリスルフィドを効率よく吸着するという観点からは、少ないほど好ましい。0重量%超10重量%以下の硫黄を担持している活性炭(b’)がポリスルフィドを吸着する効率は、前記(b)のように硫黄を担持していない活性炭を用いる場合と比べてやや劣るものの、本願発明の課題を解決することは可能である。
【0078】
しかしながら、前記(b’)を用いるよりも、前記(b)を用いた方がよい特性が得られる。さらに前記(b’)を用いる場合は、硫黄の量を変えた2種類の活性炭を作製しなければならないため、前記(b)を用いる場合よりも製造工程が増える。そのため、(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭とが混合されてなる複合活性炭を含有する方がより好ましい。
【0079】
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料は、(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、が混合されてなる複合活性炭と、前記複合活性炭とは別の材料からなる導電助剤と、を含有してもよい。なお、この場合のその他の条件については、上述したリチウム硫黄二次電池用正極材料と同一である。
【0080】
〔2.リチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法〕
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法は、活性炭と硫黄を混合して、得られた混合物を加熱することにより、(a)硫黄を担持した活性炭を得る工程と、(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭と、導電助剤と、水系バインダとを混合する工程とを備える。前記(a)、前記(b)、導電助剤、水系バインダ、および混合比率等については〔1.リチウム硫黄二次電池用正極材料〕において記載した通りである。
【0081】
前記製造方法において、前記(a)硫黄を担持した活性炭は、例えば、〔1.リチウム硫黄二次電池用正極材料〕において記載した方法によって製造することができる。
【0082】
前記製造方法において、各物質を混合する方法は特に限定されず、メノウ乳鉢等によって混合してもよいし、攪拌により混合してもよく、複数の方法を併用してもよい。
【0083】
前記製造方法において、撹拌を行う方法は特に限定されないが、例えば後述する実施例のように、自転・公転ミキサーを用いて撹拌してもよい。撹拌条件は特に限定されないが、例えば1000~3000rpmであってもよい。また、撹拌時間も特に限定されないが、例えば20~40分であってもよい。
【0084】
〔3.リチウム硫黄二次電池〕
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池は、本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料を備える。当該構成によれば、充放電によって正極材料が膨張・収縮し、前記(a)からポリスルフィドが溶出した場合であっても、前記(b)によって当該ポリスルフィドを吸着することができるため、後述する実施例に示すように、優れたサイクル特性等を示すことができる。
【0085】
正極は、本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料を、集電体に塗布もしくは充填し、乾燥させた後、加圧成形し、さらに真空乾燥する方法によって調製することができる。
【0086】
集電体としては、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体を使用可能である。例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等を挙げることができる。接着性、導電性、耐酸化性等の向上の目的で、表面をカーボン、ニッケル、チタンまたは銀等で処理した集電体を用いてもよい。
【0087】
集電体の形状については、フォイル状、フィルム状、シート状、ネット状等のいずれであってもよい。中でも、より多くの前記リチウム硫黄二次電池用正極材料を充填することができ、大容量化が可能となるため、例えばハニカム状等の三次元構造を有する集電体が好ましい。
【0088】
負極は、活物質としての金属リチウム、前述した導電助剤および水系バインダ等を含有するリチウム硫黄二次電池用負極材料を、例えば前述した正極を得る方法と同様の方法に供することによって得ることができる。
【0089】
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池は、リチウムを含有する電解質と、カーボネート類、エーテル類、硫黄化合物、ハロゲン化炭化水素類、リン酸エステル系化合物、スルホラン系炭化水素類、およびイオン性液体からなる群より選択される1以上の溶媒と、を含有する電解液を備えることが好ましい。
【0090】
前記リチウムを含有する電解質としては、例えば、LiPF、LiBF、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)が挙げられる。中でも、LiPF、LiFSI、LiTFSIであることが好ましく、LiTFSIであることがさらに好ましい。前記リチウムを含有する電解質は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
前記溶媒としてはカーボネート類およびエーテル類からなる群より選択される1以上の溶媒を含むことがより好ましい。
【0092】
前記カーボネート類としては、エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネート類であることが好ましい。
【0093】
前記エーテル類としては、ジオキソラン(DOL)、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;ジメトキシエタン(DME)、トリグライム(G3)、テトラグライム(G4)、1,1,2,2-テトラフルオロ-3-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)-プロパン(HFE)等の鎖状エーテル類であることが好ましい。
【0094】
中でも、前記溶媒としては、前記カーボネート類を含む溶媒であることがさらに好ましい。前述したように、リチウム硫黄二次電池の初回放電時に、細孔がミクロ孔およびメソ孔である活性炭にSEI被膜を形成することができるという観点から、前記カーボネート類を含む溶媒は、FECとHFEとの混合物であることが特に好ましい。
【0095】
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池は、正極、負極、電解液、セパレータ、筐体等を用いて、従来公知の方法によって組み立てることにより、製造することができる。
【0096】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0097】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0098】
<交流インピーダンスの測定>
実施例および比較例にて作製したリチウム硫黄二次電池の交流インピーダンスを、電気化学測定システム S1 1280B(Solartron製)を用いて測定した。具体的には、前記リチウム硫黄二次電池を、電圧範囲1~3Vで10サイクル作動させて充放電し、24時間緩和させた後、振幅幅10mV、周波数範囲500kHz~10mHzの条件で交流インピーダンスを測定した。
【0099】
<サイクリックボルタンメトリーの測定>
実施例および比較例にて作製したリチウム硫黄二次電池のサイクリックボルタンメトリーを、電気化学測定システム S1 1280B (Solartron製)を用いて測定した。具体的には、前記機器を用い、走査速度0.03mV・s-1、電圧範囲1~3Vで前記リチウム硫黄二次電池を2サイクル作動させ、2サイクル目について、サイクリックボルタモグラムを作成した。
【0100】
<充放電試験>
実施例および比較例にて作製したリチウム硫黄二次電池用正極材料を作用極とし、BTS2400W(Nagano社製)を用いて、定電流充放電試験を行った。充電時のモードをC.C.法(「C.C.」はconstant currentの略称である。)とし、放電時のモードをC.C.モードとした。設定電流密度は167.2mA/gとした(電流密度1672mA/gを1Cと定義する。以下、167.2mA/gを0.1Cと示す。)。カットオフ電圧は、下限値を1.0V、上限値を3.0Vとした。試験は25℃の環境にて行った。
【0101】
なお、充電容量および放電容量は、硫黄の重量を基準とし、単位をmA・h(g sulfur)-1と定義した。
【0102】
<サイクル特性試験>
充放電レートを0.1/0.1Cとし、1-100サイクルの充放電を行った。各サイクル目での放電容量が高いほど、優れたリチウム硫黄二次電池とする。
【0103】
なお、初期放電容量維持率およびエネルギー密度を、下記式で求めた。
・初期放電容量維持率(%)=(20サイクル目放電容量/2サイクル目放電容量)×100
・エネルギー密度(W・h/kg)=(放電容量(m・Ah/g)×硫黄の重量(g)×電圧(V)×1000)/(集電体を含む正極の重量(kg)+電解液の重量(kg)+セパレータの重量(kg)+理論上のリチウムの重量(kg))
〔実施例1〕
(硫黄を担持した活性炭の作製)
活性炭0.35gと、硫黄華(Wako pure chemical社製、純度99%超)0.65gとを、メノウ乳鉢を用いて混合し、混合物を得た。前記混合物を耐熱性金属容器に移し、これをマッフル炉に投入して、大気中で加熱処理を行った。
【0104】
前記活性炭の細孔の体積は1.202cc/gであり、比表面積は2863m/gであった。また、前記活性炭の細孔分布は、2nm以下の細孔が93%以上を占め、特に0.8nm付近の細孔が最も発達していることを示す分布であった。これらの測定は、Quantachrome社のAUTOSORB iQを用いて行った。
【0105】
具体的には、前記金属容器を炉内に投入した後、炉内を155℃まで昇温させ、この温度を5時間保持し、硫黄を融解させた。次いで、5℃/minの速度で300℃まで昇温させ、この温度を2時間保持した。その後、炉内を十分に空冷して、炉内から金属容器を取り出し、(a)硫黄を担持した活性炭を得た。
【0106】
前記(a)における硫黄の担持量は、以下の方法により測定した。すなわち、前記(a)をアルミナセルに入れ、島津製作所社製、DTG-60AHを用いて、熱重量分析(TGA)を行った。測定は、測定ガスAr、ガス流量50ml/min、昇温速度5℃/min、および上限温度600℃の条件下で行った。前記硫黄の担持量は、前記(a)全体の重量を基準として、61~63重量%であった。
【0107】
(リチウム硫黄二次電池用正極材料および正極の作製)
前記(a)硫黄を担持した活性炭、(b)硫黄を担持していない活性炭、導電助剤であるアセチレンブラック、および結着剤である水系バインダを、重量比で70:20:5:5となるように測り取った。前記(b)は、前記(a)の作製に用いた活性炭と同じである。
【0108】
測り取った前記材料を、メノウ乳鉢を用いて混合し、得られた混合物を軟膏ケースに移した。次いで、前記混合物を、自転・公転ミキサーを用い、回転数2000rpmで合計25分間攪拌し、リチウム硫黄二次電池用正極材料を得た。
【0109】
次に、前記リチウム硫黄二次電池用正極材料を3Dアルミニウム集電体(住友電工社製)に充填し、ホットプレートを用いて40℃で1時間乾燥させた。乾燥した集電体を、ロールプレス機を用いて圧延した後、2.4cm×2.4cmサイズに挟みを用いてカットし、成形体を得た後、50℃のベルジャーを用いて、さらに12時間乾燥させて、正極を作製した。
【0110】
(リチウム硫黄二次電池の電解液の調製)
リチウム含有電解質として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、LiTFSIと称する)を用いた。また、非水溶媒として、フルオロエチレンカーボネート(以下、FECと称する)と1,1,2,2-テトラフルオロ-3-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)-プロパン(以下、HFEと称する)とを混合した混合溶媒を用いた。
【0111】
電解液の調製方法を、さらに具体的に記載する。FECおよびHFEを、体積比で1:1になるように混合し、混合溶媒とした。次いで、LiTFSIを、1.0mol/LのLiTFSI/FEC:HFEとなるように前記混合溶媒に溶解させ、ビニレンカーボネート(VC)を、90Volume%のLiTFSI/FEC:HFEに対して10Volume%添加し、リチウム硫黄二次電池の電解液とした。
【0112】
(リチウム硫黄二次電池の作製)
セルの形状としては、円筒金属缶型、コイン型、ラミネート型等があるが、本試験ではラミネート型セルを用いた。前述したように作製した正極および電解液、負極としてのリチウム箔、セパレータおよび電解液を用いて、露点-40℃以下の大気雰囲気中において以下の手順でリチウム硫黄電池を作製した。
【0113】
まず、正極、セパレータおよび負極がこの順に積層するように組み立てた積層体を、熱圧着によって袋状に成形したアルミニウム製のラミネートフィルム内に収容した。さらに、前記ラミネートフィルム内に電解液を注入した後、前記ラミネートフィルム内の真空引きを行いながら熱圧着を行い、リチウム硫黄二次電池を作製した。
【0114】
〔実施例2〕
前記(a)、前記(b)、アセチレンブラック、および水系バインダの重量の比を、80:10:5:5に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、リチウム硫黄二次電池用正極材料およびリチウム硫黄二次電池を作製した。
【0115】
〔実施例3〕
前記(a)、前記(b)、アセチレンブラック、および水系バインダの重量の比を、60:30:5:5に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、リチウム硫黄二次電池用正極材料およびリチウム硫黄二次電池を作製した。
【0116】
〔比較例1〕
リチウム硫黄二次電池用正極材料の作製において、前記(b)を用いず、前記(a)、アセチレンブラック、および水系バインダの重量の比を、90:5:5に変更した。この点以外は、実施例1と同様の方法により、リチウム硫黄二次電池用正極材料およびリチウム硫黄二次電池を作製した。
【0117】
〔結果〕
図1に、実施例1および比較例1で作製したリチウム硫黄二次電池の交流インピーダンスを測定した結果を示す。
【0118】
図1より、実施例1は、比較例1に比して、インピーダンスを測定したプロットが描く半円成分が小さいことが分かる。すなわち、比較例1のリチウム硫黄二次電池用正極では、前記(a)の表面上に溶出したポリスルフィドの副反応によって生じた副反応生成物によって、活性炭の粒子間の抵抗が増大したと思われる。
【0119】
一方、(a)硫黄を担持した活性炭と(b)硫黄を担持していない活性炭とが混合されてなる複合活性炭を含有する実施例1のリチウム硫黄二次電池用正極では、前記(a)から溶出したポリスルフィドが副反応を起こす前に、ポリスルフィドのまま前記(b)に吸着されるため、活性炭表面上の不可逆反応が抑制され、低抵抗となったと示唆される。
【0120】
図2は、実施例1および比較例1で作製したリチウム硫黄二次電池における2サイクル目のサイクリックボルタモグラムである。
【0121】
図2より、実施例1は、挿入脱離反応において、比較例1に比して応答電流が全体的に大きく、硫黄利用率が高いことが分かる。よって、リチウム硫黄二次電池用正極材料が、前記(a)と前記(b)とが混合されてなる複合活性炭を含有することにより、リチウム硫黄二次電池用正極材料に担持された硫黄の容量を効率的に利用できることが分かった。
【0122】
さらに、図2において、実施例1と比較例1とでは反応電位が異なっていた。すなわち、実施例1のポリスルフィド反応は、リチウム硫黄二次電池用正極材料が前記複合活性炭を含有することにより、比較例1とは異なるものとなったことが示された。
【0123】
図3に、実施例1~3および比較例1における1サイクル目および100サイクル目の充放電曲線を示す。図4は、図3において丸囲みした部分の拡大図である。
【0124】
図3中の矢印が指すように、実施例1は、比較例1に比して硫黄重量あたりの放電容量が大きかった。すなわち、リチウム硫黄二次電池用正極材料が、前記(a)と前記(b)とが混合されてなる複合活性炭を含有することにより、放電容量が向上することが分かった。
【0125】
また、図4中の矢印が指すように、実施例1~3は、比較例1に比して、0~200mAh(g sulfur)-1における放電容量(すなわち、初期放電容量)が大きかった。さらに、実施例1は、比較例1に比して、初期放電容量が大きかった。すなわち、リチウム硫黄二次電池用正極材料が、前記(a)と前記(b)とが混合されてなる複合活性炭を含有することにより、初期放電容量が向上することが分かった。さらに、前記(b)の含有量の増加に伴い、初期放電容量がより向上することが分かった。
【0126】
図5に、実施例1~3および比較例1における、1~100サイクルのサイクル特性試験の結果を示す。左側の縦軸は放電容量を表し、右側の縦軸はサイクル効率を表す。
【0127】
また、表1に、サイクル特性試験の結果および初期放電容量維持率を示す。表中、「(a):(b)」は、実施例1~3および比較例1で製造したリチウム硫黄二次電池用正極材料における(a)硫黄を担持した活性炭と、(b)硫黄を担持していない活性炭との重量比である。
【0128】
【表1】
図5に示されるように、比較例1では、約20サイクル目までに放電容量が大きく低下した。一方、実施例2では約20サイクル目までの放電容量の低下が比較例1よりも改善されていた。また、実施例2よりも前記(b)の含有量を増加させた実施例1では、前記放電容量の低下が飛躍的に改善されたことが分かる。さらに、実施例1よりも前記(b)の含有量を増加させた実施例3では、実施例1よりも初期放電容量の低下がより一層改善されることが明らかとなった。
【0129】
また、表1に示すように、実施例1は比較例1よりも高い初期放電容量維持率を示し、実施例3は更に高い初期放電容量維持率を示した。
【0130】
表2に、サイクル特性試験の結果から得られた、実施例1~3および比較例1で用いた正極の2サイクル目のエネルギー密度を示す。表中、「(a):(b)」の意味は表1と同じである。
【0131】
【表2】
表2に示すように、実施例1~3は、比較例1に比してエネルギー密度が大きかった。すなわち、リチウム硫黄二次電池用正極材料が、前記(a)と前記(b)とが混合されてなる複合活性炭を含有することにより、正極のエネルギー密度を向上できることが分かった。
【0132】
以上の結果から、本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料は、前記(a)硫黄を担持した活性炭が、前記(a)の重量に対して60重量%以上という高い含有率で硫黄を担持した場合であっても、優れた特性を示すことが明らかとなった。すなわち、前記リチウム硫黄二次電池用正極材料は、高い導電性を示し、電解液へのポリスルフィドの溶出による放電容量の低下を抑制でき、かつ、高いエネルギー密度を達成することができることが示された。
【0133】
前記リチウム硫黄二次電池用正極材料は、実施例に示したように、簡便な工程によって低コストで製造することができ、高い硫黄含有率と高放電容量とを両立したリチウム硫黄二次電池を提供することができる。
【0134】
前記リチウム硫黄二次電池は、高エネルギー密度を示し、安定した充放電特性を発揮することができるため、今後のリチウム硫黄二次電池の実用化に大きく寄与することができると考えられる。
【0135】
〔実施例4、比較例2:ポリスルフィド吸着試験〕
活性炭がポリスルフィドを吸着するか否かを調べるために、ポリスルフィド吸着試験を行った。
【0136】
(方法)
Lin(n=4-8)とジメトキシエタン(DME)とを、重量比が1:200となるように混合することによって調製したLin(n=4-8)/DME液を用いた。当該液2mLに、硫黄を担持していない活性炭1(D50 3.1μm)と、硫黄を担持していない活性炭2(D50 1.7μm)と、比較例として活性炭ではない炭素(アセチレンブラック)とをそれぞれ0.02g添加し、一昼夜放置した。その後、色の変化を目視にて観察した。結果を表3および図6に示す。
【0137】
【表3】
〔結果〕
表3および図6より、活性炭1を添加した液の色は薄くなっているため、Liが活性炭1に吸着していることがわかる。粒径を細かくした活性炭2ではさらに液の色が薄く、ほぼ無色になっているため、活性炭1と比べて、活性炭2の方が、Liの吸着度が高いことがわかった。一方、比較例のアセチレンブラックはLi/DME液のみの場合と同じ、黄色であった。
【0138】
したがって、正極材料として活性炭以外の材料(例えば、通常の導電助剤として使用されるアセチレンブラックなど)を使用した場合には、ポリスルフィド吸着の効果が得られないことがわかった。これは、活性炭の比表面積が750m/g~3300m/g程度であるのに対し、アセチレンブラックの比表面積が40m/g~80m/g程度であることによると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明に係るリチウム硫黄二次電池用正極材料と、それを用いたリチウム硫黄二次電池、およびリチウム硫黄二次電池用正極材料の製造方法は、携帯電話や携帯情報端末(PDA)等の携帯端末機器、ノート型パソコン、ビデオカメラやデジタルカメラ等の小型電子機器、家電機器、電動自転車、電動自動車(電気自動車)、ハイブリッド自動車、電車等の移動用機器(車両)、火力発電、風力発電、水力発電、原子力発電、地熱発電、太陽光発電等の発電用機器、自然エネルギー蓄電システム等の分野において、広範に利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6