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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】表示制御システム
(51)【国際特許分類】
   G01D 7/02 20060101AFI20240809BHJP
   G01D 7/00 20060101ALI20240809BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20240809BHJP
   B60K 23/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G01D7/02
G01D7/00 K
B60K35/00
B60K23/00 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023067648
(22)【出願日】2023-04-18
(62)【分割の表示】P 2020215981の分割
【原出願日】2012-05-16
(65)【公開番号】P2023100686
(43)【公開日】2023-07-19
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】実開平1-64020(JP,U)
【文献】特開2009-75024(JP,A)
【文献】特開2008-254703(JP,A)
【文献】特開2006-10325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00-7/12
B60K 35/00
B60K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行に伴って変化する第1の値および第2の値を所定の表示画像を用いて表示させる機能であって、
前記第1の値の変動を、円を模した画像の形状の変化で表示させ、
前記第2の値の変動を、矢印を模した画像の回転状態で表示させる機能を有し、
前記円を模した画像の形状の変化は、三日月を模した形状とすることを含み、
前記矢印を模した画像を、三日月を模した形状の前記円を模した画像の中に配置させることを含むシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムとしての機能を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行に伴って変化する複数の値を表示させるための制御を行う表示制御システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば特許文献1に記載されるものがあった。この文献に記載される無段変速機の表示装置は、エンジン回転数を指示する長針と、変速比を指示する短針とを文字盤の中心に同軸的に配置してある。そして、車両が停止から加速していくときにエンジン回転数と変速比の値の変化する方向が同じになるように上記の長短指針を回転可動させて、エンジン回転数と変速比をアナログ的に表示したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平5-49451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献の表示装置では、長短指針を同軸的に配置して回転可動する構成であるために、長針と短針が前後したり重なったりすることが生じ、特に長針と短針が重なった場合には、短針が長針の背後に隠れて、短針が示す変速比の視認性が著しく悪化する。
【0005】
また、上記文献の表示装置では、長針が示すエンジン回転数が一定の時に、短針が示す変速比が小さくなる方向へ移行するほど低燃費運転(エコ運転)となり、運転者によって燃費良否の度合いを判定することも可能であるが、上記のように長針と短針が前後したり重なったりすると、その判定を容易に行うことができない。
【0006】
そこで、本発明は、係る問題を解決するためになされたもので、車両の走行に伴って変化する複数の値を表示装置に視認性よく表示することができるとともに、当該走行に関する状態の良否の度合いも容易に把握することが可能な表示制御システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点では、本発明は、車両の走行に伴って変化する複数の値を、運転者が各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能に、車両内から視認可能な表示手段に表示させるための制御を行う表示制御システムであって、当該走行に関する状態の良否の度合いを、前記各々の値の大きさに応じた位置同士の間隔の大きさが示すように表示させる制御を行うことを特徴とする表示制御システムを提供する。
【0008】
上記第1の観点による表示制御システムでは、運転者は、車両の走行に伴って変化する複数の値を、各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能であるとともに、車両の走行に伴って変化する位置同士の間隔の大きさから、車両の走行に関する状態の良否の度合いを、容易に把握することができる。例えば、運転時には車両前方や周囲の状況を常に見て運転をする必要があり、表示装置を凝視することができないが、このような構成によれば、運転者は、表示装置をちら見するだけで、複数の値の大きさを視認できその変化視認できるとともに、走行に関する状態の良否の度合いを、車両の走行に伴って変化する位置同士の間隔の大きさとして容易に把握することができる。
【0009】
また、例えば、車両の走行に伴って変化する異なる所定時間当たりの量で評価される値を評価してその評価を表示する表示制御システムと比べ、このような評価をする構成を必須としないことから低コストで実現することも可能となる。値としては、例えば物理量とするとよい。表示制御システムとしては例えば車載装置とするとよく、例えば車載装置としては、車搭載用の表示装置とするとよい。表示制御システムは、車外にあるサーバ等で構成する場合も含む。また、車両の走行に伴って変化する複数の値は、例えば、センサ等によって取得した値に基づく値とするとよい。
【0010】
センサ等によって取得した値に基づく値としては、例えば、センサの値そのものでもよいし、センサの値に所定の処理をして加工した値としてもよい。この所定の処理をして加工した値としては、例えば、1つのセンサ等の値から求めた値としてもよいし、複数のセンサ等の値から求めた値としてもよい。車両の走行に伴って変化する複数の値は、車両内で取得した値とするとよい。車両内としては、例えば、車両自体が元々備えるセンサ等から取得した値に基づく値としてもよいし、本表示制御システムに付随して車両内に後付されたセンサ等から取得した値に基づく値としてもよい。本表示制御システムに付随して車両内に後付されたセンサ等は、例えば、本表示制御システムの少なくとも一部の構成要素を有する部位とともに1つの筐体内に格納する構成とするとよい。
【0011】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による表示制御システムにおいて、前記車両の走行に伴って変化する複数の値として、運転者にとってリアルタイムな走行に関する状態を示す値であると認識される複数の値を備えることを特徴とする。
【0012】
上記第2の観点による表示制御システムでは、前記運転者にとってリアルタイムな走行に関する状態を示す値であると認識される値は、例えば、運転者の運転操作をリアルタイムに反映していると運転者が認識できる間隔で更新される値とするとよい。運転者の運転操作をリアルタイムに反映していると運転者が認識できる間隔は、通常、その値の種類に応じて異なるものとなる。この値が、例えばアクセル開度であれば、アクセル開度の変化に必要な時間間隔で更新する必要があり、その更新間隔のオーダーは例えば数百ms以下とする。一方、その値が例えばエンジン冷却水の水温であれば例えば数分程度以下とする。
【0013】
第3の観点では、本発明は、前記第1または前記第2の観点による表示制御システムにおいて、前記車両の走行に伴って変化する複数の値として、運転者にとってリアルタイムな走行に関する状態を示す値であると認識される値と、累計的な走行に関する状態を示す値であると認識される値とを備えることを特徴とする。
【0014】
上記第3の観点による表示制御システムでは、運転者は、車両の走行に伴って変化する運転者にとってリアルタイムな走行に関する状態を示す値であると認識される値と、車両の走行に伴って変化する累計的な走行に関する状態を示す値であると認識される値とを、これらの値の変化を視認可能に、これらの値の大きさに応じた位置として視認可能であるとともに、これらの値の位置同士の間隔の大きさから、車両の走行に関する状態の良否の度合いを、容易に把握することができる。すなわち、運転者にとってリアルタイムな走行に関する状態を示す値であると認識される値と、車両の走行に伴って変化する累計的な走行に関する状態を示す値との双方に基づく車両の走行に関する状態の良否の度合いをこれらの値の位置同士の間隔の大きさから容易に把握できる。
【0015】
第4の観点では、本発明は、前記第1から前記第3のいずれかの観点による表示制御システムにおいて、前記車両の走行に伴って変化する複数の値として、異なる所定時間で評価される値を備えることを特徴とする。
【0016】
上記第4の観点による表示制御システムでは、運転者は、車両の走行に伴って変化する異なる所定時間当たりの量で評価される値を、各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能であるとともに、車両の走行に伴って変化する位置同士の間隔の大きさから、車両の走行に関する状態の良否の度合いを、容易に把握することができる。例えば、車両の走行に伴って変化する異なる所定時間当たりの量で評価される値を評価してその評価を表示する表示制御システムでは、評価時間間隔をいずれの値の異なる所定時間とするのかなどどのような評価時間間隔とするかなどの考慮が必要となり、所定時間が一定でなく変動する場合などには処理が複雑となる場合があるが、本表示制御システムではこのような考慮や複雑な処理が不要となる。
【0017】
第5の観点では、本発明は、前記第4の観点による表示制御システムにおいて、前記異なる所定時間で評価される値のうち、相対的に短い時間で評価される値が相対的に長い時間で評価される値との乖離度合いに基づいて相対的に短い時間で評価される値の大きさに応じた位置についての表示態様を変更することを特徴とする表示制御システムを提供する。
【0018】
上記第5の観点による表示制御システムでは、相対的に長い時間で評価される値(例えば平均燃費)に対する相対的に短い時間で評価される値(例えば瞬間燃費)の乖離度合いに基づいて、相対的に短い時間で評価される値を例えば色別で明示することができ、運転者にとってエコ運転の度合いが、より一層容易に把握することができる。
【0019】
第6の観点では、本発明は、前記第4または5の観点による表示制御システムにおいて、前記異なる所定時間で評価される値のうち、相対的に長い時間で評価される値の大きさを相対的に短い時間で評価される値の大きさと対比可能に表示することを特徴とする表示制御システムを提供する。
【0020】
上記第6の観点による表示制御システムでは、相対的に長い時間で評価される値として例えば平均燃費の大きさと、相対的に短い時間で評価される値として瞬間燃費の大きさとを、例えば瞬間燃費の表示中に平均燃費の閾値ラインを表示することにより、対比可能に表示することができる。これにより、運転者にとってエコ運転の度合いが、より一層容易に把握することができる。
【0021】
第7の観点では、本発明は、前記第1から前記第6の観点による表示制御システムにおいて、前記各々の値の大きさに応じた位置としての表示は、前記各々の値の増減方向がそれぞれ異なるような表示であることを特徴とする。
【0022】
上記第7の観点による表示制御システムでは、例えば、前記車両の走行に伴って変化する複数の値として、値が大きくなるほど走行に関する状態の良い値を複数備え、当該各々の値の大きさに応じた位置としての表示は、当該各々の値の増減方向がそれぞれ異なるような表示とするとよい。また、例えば、前記車両の走行に伴って変化する複数の値として、値が大きくなるほど走行に関する状態の悪い値を複数備え、当該各々の値の大きさに応じた位置としての表示は、当該各々の値の増減方向がそれぞれ異なるような表示とするとよい。
【0023】
なお、例えば、前記車両の走行に伴って変化する複数の値として、値が大きくなるほど走行に関する状態の良い値と、値が大きくなるほど走行に関する状態の悪い値とを備え、当該各々の値の大きさに応じた位置としての表示は、当該各々の値の増減方向が一致するような表示とするとよい。すなわち、特に、前記車両の走行に伴って変化する複数の値の大小と良否が同一の対応関係にある値の場合には当該各々の値の大きさに応じた位置としての表示は、当該各々の値の増減方向がそれぞれ異なるような表示とし、前記車両の走行に伴って変化する複数の値の大小と良否が反対の対応関係にある値の場合には当該各々の値の大きさに応じた位置としての表示は、当該各々の値の増減方向が一致するような表示とするとよい。
【0024】
第8の観点では、本発明は、前記第1から前記第7の観点による表示制御システムにおいて、前記各々の値の大きさに応じた位置としての表示は、各々の基準位置からの距離の位置への指示表示とし、当該指示表示は、前記各々の基準位置同士を結んだ直線上の位置への指示表示とし、各々の指示表示の移動範囲は重なり合わないように設定したことを特徴とする。
【0025】
上記第8の観点による表示制御システムでは、各々の値の大きさに応じた位置が直線上に重ならないように表示され、複数の値の大きさの視認性が一段と良好になる。これにより、運転者は、表示装置を凝視することなく、ちら見するだけで、複数の値の大きさを視認することができるとともに、車両の走行に関する状態の良否の度合いを、容易に把握することができる。
【0026】
第9の観点では、本発明は、前記第7の観点による表示制御システムにおいて、前記指示表示を前記直線上に一定間隔で設けた指示部の表示態様の変化で行うことを特徴とする。
【0027】
上記第9の観点による表示制御システムでは、直線上に一定間隔で設けられた指示部の表示態様の変化により、運転者にとって各々の値の大きさの変化の様子が判りやすいものになる。
【0028】
第10の観点では、本発明は、前記第7の観点による表示制御システムにおいて、前記各々の基準位置から前記指示表示の位置までに存在する指示部の表示態様を変化させることを特徴とする。
【0029】
上記第10の観点による表示制御システムでは、運転者にとって、各々の基準位置から指示表示の位置までにおける各々の値の大きさの変化の様子が判りやすいものになる。例えば、表示態様が変化している指示部の数から大きさを容易に把握できる構成とするとよい。
【0030】
第11の観点では、本発明は、前記第10の観点による表示制御システムにおいて、各々の前記指示表示間に存在する指示部の表示態様を同一の表示態様とし、当該同一の表示態様は、前記各々の基準位置から前記指示表示の位置までに存在する指示部の表示態様とは異なる表示態様としたことを特徴とする表示制御システムを提供する。
【0031】
上記第11の観点による表示制御システムでは、それぞれの値の大きさを容易に把握できるとともに「当該走行に関する状態の良否の度合い」を容易に把握することができる。
【0032】
第12の観点では、本発明は、前記第1から前記第11のいずれかの観点による表示制御システムにおいて、前記各々の値の大きさに応じた位置としての表示は、前記各々の値の大きさをそれぞれ異なる表示物の動画の動作で示す形態としたことを特徴とする。
【0033】
上記第12の観点による表示制御システムでは、各々の値の大きさをそれぞれ異なる表示物の動画の動作で示すため、どのような値の大きさを示す表示であるか表示物の動画によって容易に認識できる。
【0034】
第13の観点では、本発明は、前記第1から前記第12のいずれかの観点による表示制御システムにおいて、前記各々の値の大きさに応じた位置は、前記各々の値を所定の関数に入れて求めたことを特徴とする。
【0035】
上記第13の観点による表示制御システムでは、例えば、値そのものに比例する位置(例えば一次関数など)としてもよいし、その他の所定の関数に値を代入して求めた値の示す位置としてもよい。
【0036】
第14の観点では、本発明は、前記第1から前記第13のいずれかの観点による表示制御システムにおいて、車両の走行に伴って変化する複数の値として、運転者の1の運転操作に基づく車両の自動制御によって可変される複数の値であって運転者が当該1の運転操作によっていずれの値が変化しているか認識が困難な複数の値を備えることを特徴とする。
【0037】
上記第14の観点による表示制御システムでは、運転者が1の運転操作をした際に自動制御によって可変される値同士の間隔の大きさから走行に関する状態の良否の度合いを容易に知ることができるとともに、その自動制御によって可変される値の大きさや変化を知ることができる。
【0038】
第15の観点では、本発明は、前記第14の観点による表示制御システムにおいて、前記複数の値として、無段変速機の変速比に関する値と、無段変速機に回転を与えるための構成の制御量に関する値とを備えることを特徴とする。
【0039】
上記第15の観点による表示制御システムでは、特に無段変速機を備える車両においては、例えば、1の運転操作としてアクセルを踏んだ場合におきる速度変化が、無段変速機の状態が変化したことによる速度変化なのか、無段変速機に与えられる回転数が変化したことによる速度変化なのか運転者は認識することが困難であるが、このような構成によればいずれの値の変化であるのかが容易に把握できるとともに、その表示される位置間隔によっての大きさから走行に関する状態の良否の度合いが容易に判る。なお、無段変速機に回転を与えるための構成の制御量に関する値としては、例えばエンジン回転数、燃料流量、インテークマニホールドの値などとするとよい。
【0040】
第16の観点では、本発明は、前記第1から前記第15のいずれかの観点による表示制御システムにおいて、前記当該走行に関する状態の良否の度合いを、前記各々の値の大きさに応じた位置同士の間隔の大きさが示す表示とともに或いは切り替えて、当該各々の値に関連した動きを伴う部位の前記各々の値の大きさに応じたアニメーション表示を行うことを特徴とする。
【0041】
上記第16の観点による表示制御システムでは、運転者は、車両の走行に伴って変化する複数の値を、各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能であるとともに、車両の走行に伴って変化する位置同士の間隔の大きさから、車両の走行に関する状態の良否の度合いを、容易に把握することができるとともに、当該各々の値に関連した動きを伴う部位のアニメーション表示によって各々の値の大きさを把握できる。
【0042】
第17の観点では、本発明は、前記第1から前記第15のいずれかの観点による表示制御システムにおいて、前記当該走行に関する状態の良否の度合いを、前記各々の値の大きさに応じた位置同士の間隔の大きさが示す表示とともに或いは切り替えて、当該各々の値を異なる軸としたグラフに当該各々の値を当該各々の値の変化が視認可能にプロットしたことを特徴とする。
【0043】
上記第17の観点による表示制御システムでは、運転者は、車両の走行に伴って変化する複数の値を、各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能であるとともに、車両の走行に伴って変化する位置同士の間隔の大きさから、車両の走行に関する状態の良否の度合いを、容易に把握することができるとともに、各々の値を異なる軸としたグラフによって、各々の値の変化を把握できる。
【0044】
第18の観点では、本発明は、前記第1から前記第17のいずれかの観点による表示制御システムにおいて、前記走行に関する状態はエコ運転に関する状態であることを特徴とする表示制御システムを提供する。
【0045】
上記第18の観点による表示制御システムでは、運転者は、車両の走行に伴って変化する複数の値を、各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能であるとともに、車両の走行に伴って変化する位置同士の間隔の大きさから、エコ運転に関する状態の良否の度合いを、容易に把握することができる。
【0046】
第19の観点では、本発明は、コンピュータに前記第1から前記第18のいずれかの観点による表示制御システムとしての機能を実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0047】
車両の走行に伴って変化する複数の値を表示装置に視認性よく表示することができるとともに、当該走行に関する状態の良否の度合いも容易に把握することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】実施例1に係る車搭載用の表示装置の車両内設置状態を示す模式図である。
図2】実施例1に係る車搭載用の表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】実施例1に係るバーグラフ表示態様を示す画面表示図である。
図4】実施例1に係る表示装置の表示制御処理を示すフローチャートである。
図5】実施例2に係るバーグラフ表示態様の一例を示す画面表示図である。
図6】実施例2に係る表示装置の表示制御処理を示すフローチャートである。
図7】実施例3に係るバーグラフ表示態様の一例を示す画面表示図である。
図8図7のバーグラフ表示態様の詳細を示す部分拡大図である。
図9】実施例3に係る表示装置の表示制御処理を示すフローチャートである。
図10】実施例4に係るアニメーション表示態様の一例を示す画面表示図である。
図11】実施例4に係る表示装置の表示制御処理を示すフローチャートである。
図12】実施例5に係るニードルメータ表示態様の一例を示す画面表示図である。
図13】実施例6に係るグラフ表示画像の一例を示す画面表示図である。
図14】実施例6に係る表示装置の表示制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、図に示す実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0050】
図1は、本発明の表示制御システムの実施例1に係る車搭載用の表示装置の車両内設置状態を示す模式図である。
図1に示すように、車両内のダッシュボード10には、センターコンソール11が組み込まれており、そのセンターコンソール11の左側には、車両ECUに接続されたコネクタ12が設置されている。また、センターコンソール11の上側には、本実施例の特徴を成す車搭載用の表示装置20が設置されている。そして、コネクタ12には、OBDII(オービーディーツー)アダプタ13が着脱自在に接続され、OBDIIアダプタ13の出力側がケーブル14を介して表示装置20に接続されている。
【0051】
なお、表示装置20は、車両の走行に伴って変化する複数の値を、運転者が各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能に、車両内から視認可能な表示部に表示させるための制御を行う表示制御システムの一態様である。また、本実施例では、車両の走行に伴って変化する複数の値として、無段変速機の変速比に関する値と、無段変速機に回転を与えるための構成の制御量に関する値とを備えるものとする。無段変速機に回転を与えるための構成の制御量に関する値としては、例えばエンジン回転数とする。
【0052】
図2は、実施例1に係る車搭載用の表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
図1に示した表示装置20は、本実施例の表示制御を行う制御部21と、表示駆動回路31と、ドットマトリクス構成から成るLCD等の表示部32とを備えている。
制御部21は、入出力インターフェイス21a、CPU21b、ROM21c、RAM21d、グラフィックチップ21e、及び不揮発性メモリから成るグラフィックメモリ21fを備え、これらのモジュールがシステムバスを経由して接続されている。
入力インターフェイス21aは、車両の走行に伴って変化する複数の値として例えばエンジン回転数や車速の現在値を、OBDIIアダプタ13を介して車両ECUから取得し、システムバス21gへ出力する回路である。図示はしないが、車両ECUには、エンジン回転数センサや車速センサなどの各種センサが接続されており、制御部21の入力インターフェイス21aが、エンジン回転数センサ及び車速センサで検出されたエンジン回転数と車速の現在値をOBDIIアダプタ13を介して取得する。
【0053】
CPU21bは、ROM21cに格納されている制御プログラムを実行し、本実施例の表示装置20の動作全体を制御する。その際に、RAM21dをワークエリアとして使用する。
グラフィックチップ21eは、CPU21bからの表示指令に応じて、順次、表示画像信号を生成してグラフィックメモリ21fに一旦描画しておき、所定の表示タイミング毎に表示駆動回路31へ送る。表示駆動回路31は、グラフィックチップ21eからの表示画像信号に基づいて、表示部32に画像を表示する。具体的には、グラフィックチップ21eは、RGBのカラー信号等に変換した表示画像信号を、表示駆動回路31内のXドライバ及びYドライバへ出力する。そして、表示画像信号が、XドライバとYドライバによって各々の同期信号に同期して表示部32の各画素に送られ、XドライバとYドライバとの交点部分の画素が表示状態となる。さらに、Xドライバ及びYドライバを一定時間で走査することにより、ドットマトリクス構成の表示部32の画面に1枚分の表示画像が表示されるようになっている。
【0054】
次に、表示装置20の表示部32に表示する表示画像の一態様について、図3を参照して説明する。図3は、実施例1に係るバーグラフ表示態様の一例を示す画面表示図である。
図3に例示するバーグラフ態様の表示画像は、エンジン回転数の大きさに応じた位置としての表示(「エンジン回転数用バー表示」と呼ぶ)に対応して、略矩形状の表示領域から成る同一幅(画面横方向のサイズ)の複数の指示部41(図3の例では15個)が横直線上に一定間隔で配置される。同様に、変速比の大きさに応じた位置としての表示(「変速比用バー表示」と呼ぶ)に対応して、各指示部41と同一幅の複数の指示部42(図3の例では15個)が横直線上に上記各指示部41間と同じ一定間隔で配置される。そして、これらエンジン回転数用バー表示と変速比用バー表示とが所定の間隔を空けて対向して横直線上に配置される。この空き間隔は、各バー表示内における指示部41、42の各々の間隔よりも広く設定されている(図3の例では指示部41または42の8個分程度)ほか、各バー表示内の指示部41、42の高さ(画面縦方向のサイズ)よりも広く設定されている。これにより、エンジン回転数用バー表示と変速比用バー表示とが重ならないで横直線上に配置されることになる。
【0055】
また、エンジン回転数用バー表示と変速比用バー表示の各々の名称を示す文字列表示が、それぞれの上部左側に「エンジン回転数」、「変速比」というように配置され、「エンジン回転数」文字列の右隣にはその単位を示す「[rpm]」の文字列表示も配置されている。さらに、エンジン回転数用バー表示のスケールを示す文字列表示として、指示部41の左端の上部に対応する位置には「0」が配置され、右端の上部に対応する位置には「7000」が配置されている。また、変速比用バー表示のスケールを示す文字列表示として、指示部42の右端の上部に対応する位置には最も低い値を示す「L」が配置され、左端の上部に対応する位置には最も高い値を示す「H」が配置されている。
【0056】
エンジン回転数用バー表示は、基準位置(0[rpm])からの距離の位置への指示表示であり、変速比用バー表示は、基準位置(L)からの距離の位置への指示表示である。そして、これら指示表示は、各々の基準位置同士を結んだ直線上の位置への指示表示とし、各々の指示表示の移動範囲は重なり合わないように設定されている。
【0057】
具体的には、図3の画面表示において、エンジン回転数用バー表示の基準位置は指示部41の左端であり、エンジン回転数用バー表示における指示表示の最大伸長位置は指示部41の右端である。すなわち、エンジン回転数用バー表示は、エンジン回転数が増加するに伴い、画面の左端側から右側へ向けて指示部41が順次点灯することで伸長していき、その最大伸長位置が指示部41の右端となる。一方、変速比用バー表示の基準位置は指示部42の右端であり、変速比用バー表示における指示表示の最大伸長位置は指示部42の左端である。すなわち、変速比用バー表示は、変速比が増加するに伴い、画面の右端側から左側へ向けて指示部42が順次点灯することで伸長していき、その最大伸長位置が指示部42の左端となる。
【0058】
このように、エンジン回転数用バー表示と変速比用バー表示は、その値の増減方向がそれぞれ異なるように表示される。すなわち、図3に示すように、エンジン回転数は、表示画面の正面に対して左側から右側へ増加するように0[rpm]から7000[rpm]で表示され、変速比は、右側から左側へ増加するように、低い値を示す「L」から高い値を示す「H」で表示される。
【0059】
上記の指示表示は、上記直線上に一定間隔で設けた指示部41,42の表示態様の変化で行われる。すなわち、各々の基準位置から指示表示の位置までに存在する指示部41,42の表示態様を変化させる。ここで、指示部41,42の表示態様の変化としては、本例では、指示部41,42の点灯/消灯とするが、これに限定されず、異なる輝度表示であっても、色別表示であってもよい。図3の例では、エンジン回転数用バー表示において、複数の指示部41のうち、41aの部分が点灯状態にあり、残りの部分41bが消灯状態である。また、変速比用バー表示において、複数の指示部42のうち、42aの部分が点灯状態にあり、残りの部分42bが消灯状態である。
【0060】
これにより、運転者にとって、各々の基準位置から指示表示の位置までにおける各々の値の大きさの変化の様子が判りやすいものになる。例えば、表示態様が変化している指示部41,42の数から、エンジン回転数及び変速比の各値の大きさを容易に把握することができる。
【0061】
燃費の状態が良くなる方向を示す矢印43,44も、それぞれエンジン回転数用バー表示と変速比用バー表示の上部に配置されている。車両の走行に伴って変化する複数の値としてのエンジン回転数と変速比の値は、大きくなるほど燃費が悪くなり、小さくなるほど燃費が良くなるが、本例では、図3に示すように、各バー表示の現在値が矢印43,44の方向へ移行するほど燃費が良くなるように表示される。したがって、エコ運転の度合いを、図3の例で示すように消灯表示域41bと42bを合わせた間隔の大きさとして容易に把握することができる。また、消灯表示域41bと42bは、消灯状態であるものの、指示部41、42の矩形枠は表示されるので、この矩形枠の数でもエコ運転の度合いが判る。
【0062】
次に、上述したような表示態様を実現するための、本実施例の表示装置20の表示制御処理について、図4を参照して説明する。本例では、複数の値として例えばエンジン回転数と変速比のリアルタイムな変動をバーグラフ形態の表示画像で表すものとする。図4は、実施例1に係る表示装置の表示制御処理の一例を示すフローチャートであり、この表示制御処理は、ROM21cに記憶されている制御プログラムをCPU21bが実行することにより実現される。
【0063】
OBDIIアダプタ13を介して車両ECUからイグニッションスイッチの状態を取得し、イグニッションスイッチがオン状態になると(ステップS11)、CPU21bは、処理を開始してステップS12へ進む。ステップS12では、CPU21bが、OBDIIアダプタ13を介して車両ECUから現在のエンジン回転数と車速の値を取得し、続いてステップS13において、CPU21bは、最終減速比とタイヤの外径を基に、取得したエンジン回転数と車速の値から変速比を算出する。この変速比の算出は次式(1)、(2)により行われる。
【0064】
車軸回転数=車速/タイヤ外径 ・・・(1)
変速比=回転数/(車軸回転数*最終減速比) ・・・(2)
【0065】
算出例を述べると、
時速:60[km/h]、エンジン回転数:2000[rpm]、最終減速比:5.0、タイヤ外径:2.0[m]である場合では、次のように算出される。なお、本例のタイヤ外径は、タイヤ幅:195[mm]、扁平率65[%]、15インチの場合を想定している。
【0066】
分速=60*1000/60=1000[m/min]
車軸回転数/min=1000/2=500
変速比=2000/(5*500)=0.8
【0067】
次のステップS14では、CPU21bが、ステップS12で取得したエンジン回転数と、ステップS13で算出した変速比をコード化する。
具体的には、エンジン回転数については、0[rpm]から7000[rpm]までの範囲が、例えば図3の指示部41の個数に合わせて15区分に均等区分けされ、各区分毎にコードデータが割り振られている。同様に、変速比については、「L」から「H」までの範囲が15区分に均等区分けされ、各区分毎にコードデータが割り振られている。ここで、コードデータとは、各区分を識別するためのデータであり、例えば番号データや、記号データ、数値データ、或いはこれらを組み合わせたデータであってもよい。
【0068】
具体例を述べると、エンジン回転数について、0[rpm]から7000[rpm]までを15区分に均等区分けすると、0[rpm]から466[rpm]までが第1区分、467[rpm]から933[rpm]までが第2区分であり、以降同様に第3区分から第15区分まで均等区分けされることになる。但し、余り分は第15区分目に含めるものとする。そして、例えば、第1区分にはコードデータ「A001」が割り当てられ、第2区分にはコードデータ「A002」が割り当てられ、以降同様に第3区分から第15区分まで昇順にコードデータが割り当てられる。変速比についても、最小値から最大値まで15区分に均等区分けされ、例えば、第1区分にはコードデータ「B001」が割り当てられ、第2区分にはコードデータ「B002」が割り当てられ、以降同様に第3区分から第15区分まで昇順にコードデータが割り当てられる。
【0069】
これら区分けとコードデータとの関係は、データテーブルとして、予めROM21cに記憶されている。CPU21bは、ステップS12で取得した現在のエンジン回転数を上記データテーブルに当て嵌め、対応するコードデータに変換する。同様に、ステップS13で算出した変速比についても、対応するコードデータに変換する。CPU21bは、このようにして得られた、現在値に対応するコードデータをRAM21dに書き込み、ステップS15へ進む。
【0070】
ステップS15では、CPU21bは、ステップS14で得られた現在値に対応するコードデータに基づいて、上述したエンジン回転数用バー表示及び変速比用バー表示に相当するバーグラフ形態の1枚分の表示画像データを生成する。
具体的に説明すると、ROM21cに格納されている制御プログラムには、エンジン回転数用バー表示について、個々のコードデータに対応して、「0」側から何個目の指示部41まで点灯状態にするかなどの制御処理がプログラムされている。具体的には、たとえは現在のエンジン回転数の値が467[rpm]から933[rpm]までの第2区分の範囲にあれば、コードデータ「A002」が指定される。その結果、指示部41が左端の1個目から2個目までが点灯状態となり、残りの3個目から右端の15個目までが消灯状態となる。同様に、変速比用バー表示については、個々のコードデータに対応して、「L」側から何個目の指示部42まで点灯状態にするかなどの制御処理がプログラムされている。具体的には、例えば現在の変速数の値が第5区分の範囲にあれば、コードデータ「B005」が指定される。その結果、指示部42が右端の1個目から5個目までが点灯状態となり、残りの6個目から左端の15個目までが消灯状態となる。
【0071】
このように、CPU21bは、制御プログラムに従って、現在値に対応するコードデータに従って指示部41、42を点灯状態にするとともに、現在値よりも大きい値の指示部41、42を消灯状態にするように点灯制御を行う。この点灯制御は、CPU21bがグラフィックチップ21eに対して表示指令を発することによって行われる。
【0072】
続くステップS16では、グラフィックチップ21eが上記表示指令に基づいてバーグラフ形態の表示画像の表示処理を行う。すなわち、上述したエンジン回転数用バー表示及び変速比用バー表示に相当するバーグラフ形態の1枚分の表示画像データは、一旦グラフィックメモリ21fに描画された後、グラフィックチップ21eの制御により、表示駆動回路31を介して表示部32に表示される。
【0073】
そして、CPU21bは、上記のステップS12からステップS16までの処理を、イグニッションスイッチがオフ状態になるまで繰り返し実行する(ステップS17)。ここで、イグニッションスイッチがオフ状態であるか否かは、OBDIIアダプタ13を介して車両ECUからイグニッションスイッチの状態を取得することで判定する。上記のステップS12からステップS16までの処理は、運転者の運転操作をリアルタイムに反映していると運転者が認識できる所定の時間間隔(例えば200ms程度)で繰り返されて、順次表示が更新される。
【0074】
以上のように本実施例の表示装置20では、車両の走行に伴って変化する複数の値として例えばエンジン回転数と変速比を、運転者が各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能に、車両内から視認可能な表示部32に表示させるための制御を行う。その際に、車両の走行に関する状態の良否の度合いとしてエコ運転の度合いを、各々の値の大きさに応じた位置同士の間隔の大きさ(図3の例では消灯表示域41bと42bを合わせた間隔)が示すように表示させる制御を行う。
【0075】
このような表示制御により、本実施例1の表示制御システムは次のような利点がある。
(1)運転者は、車両の走行に伴って変化する複数の値として例えばエンジン回転数と変速比を、各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能であるとともに、車両の走行に伴って変化する位置同士の間隔の大きさから、車両の走行に関する状態の良否の度合いとしてエコ運転の度合いを、容易に把握することができる。例えば、運転時には車両前方や周囲の状況を常に見て運転をする必要があり、表示部32を凝視することができないが、このような構成によれば、運転者は、表示部32をちら見するだけで、エンジン回転数と変速比の大きさを視認できその変化視認できるとともに、エコ運転の度合いを、図3の例で示すように消灯表示域41bと42bを合わせた間隔の大きさとして容易に把握することができる。
【0076】
(2)エンジン回転数と変速比の大きさに応じた位置が直線上に重ならないように表示されるので、エンジン回転数と変速比の値の大きさの視認性が一段と良好になる。これにより、運転者は、表示部32を凝視することなく、エンジン回転数と変速比の値の大きさを視認することができるとともに、エコ運転の度合いを、容易に把握することができる。
【0077】
(3)無段変速機を備える車両においては、例えば、1の運転操作としてアクセルを踏んだ場合におきる速度変化が、無段変速機の変速状態が変化したことによる速度変化なのか、無段変速機に与えられる回転数が変化したことによる速度変化なのか運転者は認識することが困難であるが、本実施例のような表示構成によれば、いずれの値の変化であるのかが容易に把握できるとともに、その表示される位置間隔によっての大きさから、走行に関する状態の良否の度合いとして例えばエコ運転の度合いが容易に判る。
【0078】
-実施例2-
本実施例は、上記実施例1のバーグラフ表示態様において、エンジン回転数及び変速比に加えて瞬間燃費と平均燃費もバーグラフ表示可能に構成したものである。
図5は、実施例2に係るバーグラフ表示態様の一例を示す画面表示図であり、図3と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施例は、異なる所定時間で評価される値として、瞬間燃費と平均燃費を用いる。車両の走行に伴って変化する複数の値として、瞬間燃費は、運転者にとってリアルタイムな走行に関する状態を示す値であると認識される値であり、平均燃費は、累計的な走行に関する状態を示す値であると認識される値である。
【0079】
図5に例示するバーグラフ形態の表示画像は、図3に示したエンジン回転数用バー表示と変速比用バー表示に加えて、瞬間燃費の大きさに応じた位置としての表示(「瞬間燃費用バー表示」と呼ぶ)と、平均燃費の大きさに応じた位置としての表示(「平均燃費用バー表示」と呼ぶ)を配置している。
【0080】
瞬間燃費用バー表示は、略矩形状の表示領域から成る同一幅(画面縦方向のサイズ)の複数の指示部51(図5の例では15個)が縦直線上に一定間隔で配置される。同様に、平均燃費用バー表示に対応して、各指示部51と同一幅の複数の指示部52(図5の例では15個)が縦直線上に一定間隔で配置される。これら瞬間燃費用バー表示と平均燃費用バー表示とが所定の間隔を空けて対向して縦直線上に配置される。この空き間隔は、各バー表示内における指示部51、52の各々の間隔よりも広く設定されている(図5の例では指示部51または52の8個分程度)ほか、各バー表示内の指示部51、52の高さ(画面横方向のサイズ)よりも広く設定されている。これにより、瞬間燃費用バー表示と平均燃費用バー表示とが重ならないで縦直線上に配置することができる。
【0081】
そして、エンジン回転数用バー表示及び変速比用バー表示と上記空き領域から成る横配列バーグラフと、瞬間燃費用バー表示及び平均燃費用バー表示と上記空き領域から成る縦配列バーグラフとが交差するように配置される。すなわち、上記の横配列バーグラフと縦配列バーグラフの中心軸を直線とすれば、それぞれの直線を等分する位置、つまり上記各空き領域で直角に交わるように配置される。これにより、エンジン回転数用バー表示、変速比用バー表示、瞬間燃費用バー表示、及び平均燃費用バー表示がそれぞれ重ならないで配置されることになる。
【0082】
瞬間燃費用バー表示は、基準位置(0[km/L])からの距離の位置への指示表示であり、平均燃費用バー表示は、基準位置(1[km/L]以下)からの距離の位置への指示表示である。そして、これら指示表示は、各々の基準位置同士を結んだ直線上の位置への指示表示とし、各々の指示表示の移動範囲は重なり合わないように設定されている。
【0083】
具体的には、図5の画面表示において、瞬間燃費用バー表示の基準位置は指示部51の下端であり、瞬間燃費用バー表示における指示表示の最大伸長位置は指示部51の上端である。すなわち、瞬間燃費用バー表示は、瞬間燃費が増加するに伴い、画面の下端側から上側へ向けて指示部51が順次点灯することで伸長していき、その最大伸長位置が指示部51の上端となる。一方、平均燃費用バー表示の基準位置は指示部52の上端であり、平均燃費用バー表示における指示表示の最大伸長位置は指示部52の下端である。すなわち、平均燃費用バー表示は、平均燃費が増加するに伴い、画面の上端側から下側へ向けて指示部52が順次点灯することで伸長していき、その最大伸長位置が指示部52の下端となる。
【0084】
上記の指示表示は、上記直線上に一定間隔で設けた指示部51,52の表示態様の変化で行われる。すなわち、各々の基準位置から指示表示の位置までに存在する指示部51,52の表示態様を変化させる。ここで、指示部51,52の表示態様の変化としては、本例では、指示部51,52の点灯/消灯とするが、これに限定されず、異なる輝度表示であっても、色別表示であってもよい。図5の例では、瞬間燃費用バー表示において、複数の指示部51のうち、51aの部分が点灯状態にあり、残りの部分51bが消灯状態である。また、平均燃費用バー表示において、複数の指示部52のうち、52aの部分が点灯状態にあり、残りの部分52bが消灯状態である。
【0085】
これにより、運転者にとって、各々の基準位置から指示表示の位置までにおける各々の値の大きさの変化の様子が判りやすいものになる。例えば、表示態様が変化している指示部の数から、瞬間燃費及び平均燃費の各値の大きさを容易に把握することができる。
燃費の状態が良くなる方向を示す矢印53,54も、それぞれ瞬間燃費用バー表示と平均燃費用バー表示のサイド側に配置されている。瞬間燃費と平均燃費は、その値が大きくなるほど燃費の良い状態を示しているが、本例では、図5に示すように、バーグラフ表示の現在値が矢印53、54の方向へ移行すれば燃費が良くなるように表示される。また、瞬間燃費と平均燃費の大きさに応じた位置としての表示は、その増減方向がそれぞれ異なるように表示される。すなわち、図5に示すように、瞬間燃費は、表示画面の正面に対して上側から下側へ増加するように「1以下」から「100以上」で表示され、平均燃費は、下側から上側へ増加するように「0」から「50」で表示される。
【0086】
次に、上記の表示態様を実現するための、本実施例の表示装置20の表示制御処理について、図6を参照して説明する。図6は、実施例2に係る表示装置20の表示制御処理を示すフローチャートであり、この表示制御処理は、ROM21cに記憶されている制御プログラムをCPU21bが実行することにより実現される。
【0087】
OBDIIアダプタ13を介して車両ECUからイグニッションスイッチの状態を取得し、イグニッションスイッチがオン状態になると(ステップS21)、CPU21bは、処理を開始してステップS22へ進む。ステップS22では、CPU21bが、OBDIIアダプタ13を介して車両ECUから現在のエンジン回転数と車速の値を取得すると共に、点火周期及び燃料噴射量の各値も取得する。
【0088】
続いてステップS23において、CPU21bは、図4のステップS13と同様の算出方法により、エンジン回転数と車速の値から変速比を算出する。
次のステップS24では、CPU21bは、ステップS22で取得した車速から求めた走行距離とその走行距離の間における燃料噴射量の各値に基づいて、公知の算出方法により例えば、瞬間燃費は、1秒以下の間(例えば0.2秒間)のように、平均燃費に比べ極めて短い時間の間の走行距離とその間の燃料噴射量に基づいて算出するとよい。さらに、得られた瞬間燃費に基づいて、例えばイグニッションスイッチがオン状態になってから現時点までの平均燃費を算出して、ステップS25へ進む。
【0089】
ステップS25では、CPU21bが、ステップS22で取得したエンジン回転数と、ステップS23で算出した変速比と、ステップS24で算出した瞬間燃費及び平均燃費をコード化する。具体的には、図4のステップS14で説明したものと同様の方法によりコード化する。CPU21bは、このようにして得られた、現在値に対応するコードデータをRAM21dに書き込み、ステップS25へ進む。
【0090】
ステップS26では、CPU21bは、ステップS25で得られたコードデータに基づいて、上述したエンジン回転数用バー表示、変速比用バー表示、瞬間燃費用バー表示、及び平均燃費用バー表示に相当するバーグラフ形態の表示画像データを生成する。具体的には、図4のステップS15で説明したものと同様の方法により、1枚分の表示画像データを生成する。
【0091】
続くステップS27では、グラフィックチップ21eがCPU21bからの表示指令に基づいてバーグラフ形態の表示画像の表示処理を行う。すなわち、上述したエンジン回転数用バー表示、変速比用バー表示、瞬間燃費用バー表示及び平均燃費用バー表示に相当するバーグラフ形態の1枚分の表示画像データは、一旦グラフィックメモリ21fに描画された後、グラフィックチップ21eの制御により、表示駆動回路31を介して表示部32に表示される。
【0092】
そして、CPU21bは、上記のステップS22からステップS27までの処理をイグニッションスイッチがオフ状態になるまで繰り返し実行する(ステップS28)。すなわち、上記のステップS22からステップS27までの処理は、運転者の運転操作をリアルタイムに反映していると運転者が認識できる所定の時間間隔で繰り返されて、順次表示が更新される。
【0093】
本実施例2によれば、上記実施例1の利点に加えて次のような利点がある。
運転者は、瞬間燃費と平均燃費とを、これらの値の変化を視認可能に、これらの値の大きさに応じた位置として視認可能であるとともに、これらの値の位置同士の間隔(図5の例では、消灯表示域51bと52bを合わせた間隔)の大きさから、車両の走行に関する状態の良否の度合いとして例えば燃費の良否の度合いを、容易に把握することができる。すなわち、運転者にとってリアルタイムな走行に関する状態を示す値であると認識される瞬間燃費と、車両の走行に伴って変化する累計的な走行に関する状態を示す平均燃費との双方に基づく、燃費の良否の度合いをこれらの値の位置同士の間隔の大きさから容易に把握できる。
【0094】
-実施例3-
本実施例は、上記実施例2のバーグラフ表示態様において、平均燃費に対する瞬間燃費の状態を対比可能に表示するものである。
図7は、実施例3に係るバーグラフ表示態様の一例を示す画面表示図であり、また、図8(a),(b),(c)は、図7のバーグラフ表示態様の詳細を示す部分拡大図である。これら図において図5と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施例では、図5に示したバーグラフ形態の表示画像において、瞬間燃費用バー表示の指示部51に平行して、平均燃費の現在値を示す閾値ライン61を表示するようにしたものである。したがって、この閾値ライン61は、平均燃費の現在値に応じて、上下方向に移動することになる。そして、現在の瞬間燃費が平均燃費に比べて、同じか小さければ(点灯表示域51aの上端が閾値ライン61と一致しているかそれ以下)、瞬間燃費用バー表示の点灯表示域51aを図8(a)に示すように青色で表示する。現在の瞬間燃費が平均燃費よりもやや大きければ(点灯表示域51aの上端が閾値ライン61を例えば指示部2個分まで越える程度)、点灯表示域51aを図8(b)に示すように黄色で表示する。そして、現在の瞬間燃費が平均燃費よりもかなり大きければ(点灯表示域51aの上端が閾値ライン61を例えば指示部3個分以上)、点灯表示域51aを図8(c)に示すように赤色で表示する。
【0095】
次に、上記表示態様を実現するための、本実施例の表示装置20の表示制御処理について、図6及び図9を参照して説明する。図9は、実施例3に係る表示装置20の表示制御処理における瞬間燃費色別表示処理を示すフローチャートであり、この瞬間燃費色別表示処理は、ROM21cに記憶されている制御プログラムをCPU21bが実行することにより実現される。
【0096】
CPU21bは、図6のステップS21からステップS25までの処理と同様の処理を行った後、ステップS26では、ステップS25で得られたコードデータに基づいて、上述したエンジン回転数用バー表示、変速比用バー表示、瞬間燃費用バー表示、及び平均燃費用バー表示に相当するバーグラフ形態の表示画像データを生成する。この生成は、図4のステップS15で説明したものと同様の方法により行う。さらに、瞬間燃費用バー表示の指示部51に平行して表示される、平均燃費の現在値を示す閾値ライン61の表示画像データも生成する。そして、上記瞬間燃費用バー表示の表示画像データの生成においては、閾値ライン61に対応して瞬間燃費を色別に表示するための瞬間燃費色別表示処理が行われる。
【0097】
この瞬間燃費色別表示処理では、例えば図9に示す処理フローに従って行われる。すなわち、まずステップS41において、CPU21bは、現在の瞬間燃費と平均燃費とを比べて、瞬間燃費が平均燃費以下であるか否かを判定する。平均燃費以下であればステップS42へ進んで、瞬間燃費用バー表示の点灯表示域51aを図8(a)に示すように青色で表示して本処理を終了する。瞬間燃費が平均燃費を越えている場合には、ステップS43へ進んで、瞬間燃費が平均燃費を大きく越えているか否かを判定する。大きく越えていなければ、ステップS44へ進んで、点灯表示域51aを図8(b)に示すように黄色で表示して本処理を終了する。大きく越えていれば、ステップS45へ進んで、点灯表示域51aを図8(c)に示すように赤色で表示して本処理を終了する。
【0098】
このような瞬間燃費色別表示処理を含む1枚分の表示画像データ生成処理を終えると、CPU21bは、処理をステップS27へ進める。
ステップS27では、グラフィックチップ21eがCPU21bからの表示指令に基づいてバーグラフ形態の表示画像の表示処理を行う。すなわち、上述したエンジン回転数用バー表示、変速比用バー表示、色別表示の瞬間燃費用バー表示、及び平均燃費用バー表示に相当するバーグラフ形態に、閾値ライン61表示を加えた1枚分の表示画像データは、一旦グラフィックメモリ21fに描画された後、グラフィックチップ21eの制御により、表示駆動回路31を介して表示部32に表示される。
【0099】
そして、CPU21bは、上記のステップS22からステップS27までの処理をイグニッションスイッチがオフ状態になるまで繰り返し実行する(ステップS28)。すなわち、上記のステップS22からステップS27までの処理は、運転者の運転操作をリアルタイムに反映していると運転者が認識できる所定の時間間隔で繰り返されて、順次表示が更新される。
【0100】
本実施例3によれば、上述した実施例2の利点に加えて、相対的に長い時間で評価される値としての平均燃費に対する、相対的に短い時間で評価される値としての瞬間燃費の乖離度合いに基づいて、瞬間燃費を例えば色別で表示することができ、運転者にとってエコ運転の度合いが、より一層容易に把握することができる。
【0101】
-実施例4- 本実施例は、車両の走行に伴って変化する複数の値として、例えば変速比の値の大きさを無段変速機の形状の変化で表示するとともに、複数の値として例えばエンジン回転数、車軸回転数の値の大きさをアニメーション動作で表示したものである。
図10(a),(b)は、実施例4に係るアニメーション表示態様の一例を示す画面表示図である。
図10(a),(b)に例示するアニメーション表示態様の表示画像は、無段変速機の変速比の変動を無段変速機のギア部71の状態変化で模した上面視表示域70を備えている。さらに、この上面視表示域70に対応して、側面視表示域80が並列配置されている。側面視表示域80は、エンジン回転数の値の変動を、エンジン駆動軸72に接合されるギアを示す回転域73の回転の速さで模し、さらに車軸回転数の値の変動を、車軸74に接合されるギアを示す回転域75の回転の速さで模したアニメーション表示域である。
【0102】
そして、上面視表示域70及び側面視表示域80では、変速比の値の変動に伴い、図10(a)に示す、変速比が高い(1速に近い)状態を表す形状から、図10(b)に示す、変速比が低い(1速から遠い)状態を表す形状へと連続的な表示形状の変化、或いは、図10(b)に示す形状から図10(a)に示す形状へと連続的な表示形状の変化が行われる。
本実施例は、上述した実施例3の構成に加えて、アニメーション動作で表示する画面を備えるものである。実施例3の画面(図5図7)と、アニメーション動作で表示する画面(図10)とは、同一の画面上の異なる位置に同時に表示する。
【0103】
次に、上記表示態様を実現するための、本実施例の表示装置20の表示制御処理について、図11を参照して説明する。
図11は、実施例4に係る表示装置20の表示制御処理を示すフローチャートであり、この表示制御処理は、ROM21cに記憶されている制御プログラムをCPU21bが実行することにより実現される。
【0104】
イグニッションスイッチがオン状態になると(ステップS51)、CPU21bは、処理を開始してステップS52へ進む。ステップS52では、CPU21bが、図4のステップS12と同様に、現在のエンジン回転数と車速の値を取得し、続いてステップS53において、CPU21bは、図4のステップS13と同様の方法で、車軸回転数と変速比を算出する。
【0105】
次のステップS54では、CPU21bが、取得したエンジン回転数と、算出した車軸回転数及び変速比をコード化する。具体的には、エンジン回転数については、例えば、0[rpm]から7000[rpm]までの範囲が、図10に示す回転域73の表示に用いられる複数のパターン(後述する)の個数に合わせて区分けされ、各区分毎にコードデータが割り振られている。車軸回転数についても、同様にコードデータが割り振られる。変速比については、低い値「L」から高い値「H」までの範囲が、上面視表示域70の表示に用いられる複数のパターン(後述する)の個数に合わせて区分けされ、各区分毎にコードデータが割り振られている。これらは、データテーブルとして、予めROM21cに記憶されている。
【0106】
CPU21bは、取得した現在のエンジン回転数を上記データテーブルに当て嵌め、対応するコードデータに変換する。同様に、算出した車軸回転数と変速比についても、対応するコードデータに変換する。CPU21bは、このようにして得られた、現在値に対応するコードデータをRAM21dに書き込み、ステップS55へ進む。
ステップS55では、CPU21bは、ステップS54で得られた現在値に対応するコードデータに基づいて、上述した図10で示した表示形態の1枚分の表示画像データを生成する。
【0107】
具体的に説明すると、上面視表示域70及び側面視表示域80では、変速比の値の変動に伴い、例えば図10(a)に示す形状から図10(b)に示す形状へと連続的な表示形状の変化が行われる。この連続的な形状変化に伴って表示される連続的な画像パターンのうち、段階的に複数のパターンを選定して予め保存してある。また、側面視表示域80の回転域73、75では、エンジン回転数及び車軸回転数の値の変動に伴い、扇形対の模様が回転方向へと移動する連続的な表示の変化が行われる。この連続的な表示変化に伴って表示される連続的な画像パターンのうち、段階的に複数のパターンを選定して予め保存してある。
【0108】
そして、ROM21cに格納されている制御プログラムには、上面視表示域70及び側面視表示域80について、変速比の値の変動に応じた個々のコードデータに対応して、複数のパターンのうちの、どのパターンを用いるかなどの制御処理がプログラムされている。回転域73、75のアニメーション表示域については、複数のパターンをコマ送り的に表示するが、エンジン回転数及び車軸回転数の値の変動に応じた個々のコードデータに対応して、複数のパターンのコマ送り量(パターンずらし量)の度合いを制御する処理がプログラムされている。
【0109】
CPU21bは、このような制御プログラムに従って点灯制御を行う。この点灯制御は、CPU21bがグラフィックチップ21eに対して表示指令を発することによって行われる。
続くステップS56では、グラフィックチップ21eが上記表示指令に基づいて、図10に示すような表示画像の表示処理を行う。すなわち、上述した形態の1枚分の表示画像データは、一旦グラフィックメモリ21fに描画された後、グラフィックチップ21eの制御により、表示駆動回路31を介して表示部32に表示される。
【0110】
そして、CPU21bは、上記のステップS52からステップS56までの処理をイグニッションスイッチがオフ状態になるまで繰り返し実行する(ステップS57)。すなわち、上記のステップS52からステップS56までの処理は、運転者の運転操作をリアルタイムに反映していると運転者が認識できる所定の時間間隔で繰り返されて、順次表示が更新され、特に回転域73、75のアニメーション表示域については、エンジン回転数及び車軸回転数の値の変動を回転域73、75の回転の速さで表すことができる。
【0111】
本実施例によれば、運転者は、車両の走行に伴って変化する複数の値として、変速比の値の大きさを判りやすく視認することができるとともに、エンジン回転数と車軸回転数の値の大きさを、当該各々の値に関連した動きを伴う部位のアニメーション表示によって把握することができる。
なお、上記説明では、実施例3の画面(図5図7)と、アニメーション動作で表示する画面(図10)とを、同一の画面上の異なる位置に同時に表示するようにしたが、同時に表示するのではなく、切り替えて表示してもよい。
【0112】
-実施例5-
図12(a),(b)は、実施例5に係るニードルメータ表示態様の一例を示す画面表示図である。
図12(a),(b)に例示するニードルメータ表示態様の表示画像は、無段変速機の変速比の値の変動を円形域81の形状変化で模し、エンジン回転数の値の変動を矢印域82の回転状態で模している。矢印域82は、円形域81の中に配置される。
変速比が高くエンジン回転数が小さい状態では、図12(a)に示すように、円形域81が満月状に点灯表示されるとともに、矢印域82の矢の方向が真上に向けられた形状に点灯表示される。また、変速比が低くエンジン回転数が大きい状態では、図12(b)に示すように、円形域81が大きく欠けて三日月状に点灯表示されるとともに、矢印域82の矢の方向が時計方向へ大きく回転した形状に点灯表示される。
【0113】
そして、円形域81では変速比の値の変動に伴い、また矢印域82ではエンジン回転数の変動に伴い、図12(a)に示す形状から図12(b)に示す形状へと連続的な表示形状が変化、或いは、図12(b)に示す形状から図12(a)に示す形状へと連続的な表示形状の変化が行われる。
本実施例は、上述した実施例3の構成に加えて、ニードルメータ表示態様の画面を備えるものである。実施例3の画面(図5図7)と、ニードルメータ表示態様の画面(図12)とは、同一の画面上の異なる位置に同時に表示する。
【0114】
次に、上記表示態様を実現するための、本実施例の表示装置20の表示制御処理については、実施例4の図11を用いて説明した上面視表示域70及び側面視表示域80の、例えば図10(a)に示す形状から図10(b)に示す形状へと連続的な表示形状の変化に関連した表示制御方法と同様である。すなわち、表示対象が円形域81と矢印域82に変わるだけであり、その他の表示制御は同様である。
【0115】
本実施例によれば、実施例3の利点に加え、運転者は、車両の走行に伴って変化する複数の値として、変速比やエンジン回転数の値の大きさを判りやすく視認することができる。
なお、上記説明では、実施例3の画面(図5図7)と、ニードルメータ表示態様の画面(図12)とを、同一の画面上の異なる位置に同時に表示するようにしたが、同時に表示するのではなく、切り替えて表示してもよい。
【0116】
-実施例6-
本実施例は、複数の値として例えばエンジン回転と車速をグラフ軸とし、変速比の変化を示す車両走行ログ(以下、変速比ログと呼ぶ)のグラフを表示するものである。
図13は、実施例6に係るグラフ表示画像の一例を示す画面表示図である。
図13に示すように、エンジン回転数の大きさが縦軸方向に表示され、車速の大きさが横軸方向に表示される。そして、図中のラインL1とL2は、自動車諸元表より算出したそれぞれ最大・最小の変速比を示している。また、ラインL1の左側の曲線CLは、車両走り出し時のトルクコンバータの滑り(マニュアル車のクラッチの滑りに相当)に対応した変速比の推移を示している。変速比は、トルクコンバータの滑りがなければ、基本的にこのラインL1とL2の内側の範囲(図13のWO)で推移する。なお、図13の例では、タイヤの外径が724mm(225/65 R17)、変速比が2.396~0.428、最終減速比が5.470のケースを表している。
本実施例は、上述した実施例3の構成に加えて、変速比ログのグラフを表示する画面を備えるものである。実施例3の画面(図5図7)と、変速比ログのグラフを表示する画面(図13)とは、同一の画面上の異なる位置に同時に表示する。
【0117】
次に、本実施例の表示装置20の表示制御処理について、図14を参照して説明する。図14は、実施例6に係る表示装置20の表示制御処理を示すフローチャートであり、この表示制御処理は、ROM21cに記憶されている制御プログラムをCPU21bが実行することにより実現される。
図14に示すように、ステップS61からステップS63までの処理は、図4のステップS11からステップS13までの処理と同様である。ステップS64では、算出した変速比を基に、変速比ログを求め、ステップS65では、エンジン回転数、車速、変速比ログの各値を用いて図13に示すようなグラフを表示する。
【0118】
具体的には、グラフィックチップ21eは、図13に示すようなグラフを表示するためのCPU21bの表示指令に従って、変速比ログの推移を残しながらグラフ表示する。そして、上述したグラフ形態の1枚分の表示画像データは、一旦グラフィックメモリ21fに描画された後、グラフィックチップ21eの制御により、表示駆動回路31を介して表示部32に表示される。
【0119】
その後、CPU21bは、上記のステップS62からステップS65までの処理をイグニッションスイッチがオフ状態になるまで繰り返し実行する(ステップS66)。すなわち、上記のステップS62からステップS65までの処理は、運転者の運転操作をリアルタイムに反映していると運転者が認識できる所定の時間間隔で繰り返されて、順次表示が更新される。
【0120】
本実施例5によれば、エンジン回転数と車速の値を異なる軸とした、変速比ログのグラフによって、これら各々の値や変速状態の変化を把握することができる。なお、上記説明では、実施例3の画面(図5図7)と、変速比ログのグラフを表示する画面(図13)とを、同一の画面上の異なる位置に同時に表示するようにしたが、同時に表示するのではなく、切り替えて表示してもよい。
【0121】
-変形例-
本発明は、図示の実施例に限定されず、種々の変形が可能である。その変形例としては例えば次のようなものがある。
【0122】
(1)表示制御システムとして、上記各実施例では車搭載用の表示装置としたが、車外にあるサーバ等で構成する場合も含む。
【0123】
(2)上記各実施例では、エンジン回転数や車速のデータについては、車両ECUに接続されるセンサの値そのものを使用したが、センサの値に所定の処理をして加工した値としてもよい。この所定の処理をして加工した値としては、例えば、1つのセンサ等の値から求めた値としてもよいし、複数のセンサ等の値から求めた値としてもよい。また、本表示制御システムに付随して車両内に後付されたセンサ等から取得した値に基づく値としてもよい。本表示制御システムに付随して車両内に後付されたセンサ等は、例えば、本表示制御システムの少なくとも一部の構成要素を有する部位とともに1つの筐体内に格納する構成とするとよい。
【0124】
(3)上記実施例では、車両の走行に伴って変化する複数の値として、エンジン回転数や、車速、変速比、瞬間燃費、変速比ログを採り上げたが、運転者にとってリアルタイムな走行に関する状態を示す値であると認識される他の値であってもよい。運転者にとってリアルタイムな走行に関する状態を示す値であると認識される値は、例えば、運転者の運転操作をリアルタイムに反映していると運転者が認識できる間隔で更新される値とするとよい。運転者の運転操作をリアルタイムに反映していると運転者が認識できる間隔は、通常、その値の種類に応じて異なるものとなる。この値が、例えばアクセル開度であれば、アクセル開度の変化に必要な時間間隔で更新する必要があり、その更新間隔のオーダーは例えば数百ms以下とする。一方、その値が例えばエンジン冷却水の水温であれば例えば数分程度以下とする。
【0125】
(4)上記実施例1、2、3では、運転者にとってリアルタイムな走行に関する状態を示す値であると認識される値をエンジン回転数や変速比、または瞬間燃費とし、車両の走行に伴って変化する累計的な走行に関する状態を示す値であると認識される値を平均燃費としたが、これらの値は、上記のものに限定されない。
【0126】
(5)上記実施例1、2、3では、エンジン回転数と変速比、或いは瞬間燃費と平均燃費の大きさ(現在値)に応じた位置同士の間隔が広くなるほど、燃費が良いことが判るようにした。これに対して、これら各々の値の大きさに応じた位置同士の間隔が狭くなるほど、燃費が良いことが判るように構成してもよい。具体的には、図3図5及び図7の画面表示において、エンジン回転数は、表示画面の正面に対して右側から左側へ増加するように0[rpm]から7000[rpm]で表示し、変速比は、左側から右側へ増加するように「L」から「H」で表示する。また、瞬間燃費は、表示画面の正面に対して上側から下側へ増加するように「0」から「50以上」で表示し、平均燃費は、下側から上側へ増加するように「1以下」から「100以上」で表示する。
【0127】
(6)上記実施例1、2、3では、バーグラフ表示の現在値が矢印43,44、53,54の方向へ向かえば燃費が良くなるように表示したが、図3図5及び図7の画面表示において、これら矢印の向きを逆方向に変更し、バーグラフ表示の現在値が矢印の方向へ向かえば燃費が悪くなるように表示してもよい。このような表示であれば、各々の値の大きさ(現在値)に応じた位置同士の間隔が狭くなるほど燃費が悪くなることを容易に把握できる。
【0128】
(7)各々の値の大きさに応じた位置としての表示は、各々の値の大きさをそれぞれ異なる表示物の動画の動作で示す形態としてもよい。これにより、各々の値の大きさをそれぞれ異なる表示物の動画の動作で示すため、どのような値の大きさを示す表示であるか表示物の動画によって容易に認識できる。例えば、図3の画面表示において、点灯状態となっているバーの各指示部について、変速比側をギアのマークにし、エンジン回転数側をピストンのマークにする。このようにすれば、ギアのマークの点灯数から変速比の大きさを示すことが容易に把握でき、ピストンのマークの点灯数からエンジン回転数の大きさを示すことが容易に把握でき、両者の間の非点灯の部分の両端の間隔からエコ運転のレベルを容易に把握することができる。
【0129】
(8)各々の値の大きさに応じた位置は、各々の値を所定の関数に入れて求めたものでもよい。例えば、値そのものに比例する位置(例えば一次関数など)としてもよいし、その他の所定の関数に値を代入して求めた値の示す位置としてもよい。
【0130】
(9)車両の走行に伴って変化する複数の値として、運転者の1の運転操作に基づく車両の自動制御によって可変される複数の値であって運転者が当該1の運転操作によっていずれの値が変化しているか認識が困難な複数の値を備えるようにしてもよい。これにより、運転者が1の運転操作をした際に自動制御によって可変される値同士の間隔の大きさから走行に関する状態の良否の度合いを容易に知ることができるとともに、その自動制御によって可変される値の大きさや変化を知ることができる。
【0131】
(10)無段変速機に回転を与えるための構成の制御量に関する値としては、上記各実施例ではエンジン回転数としたが、これに限定されず、燃料流量、インテークマニホールドの値などであってもよい。
【0132】
(11)実施例1のバーグラフ表示とともに或いは切り替えて、実施例4のアニメーション表示を行うようにしてもよい。これにより、運転者は、車両の走行に伴って変化する複数の値としてエンジン回転数と変速比の値を、当該各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能であるとともに、車両の走行に伴って変化する位置同士の間隔の大きさから、車両の走行に関する状態の良否の度合いとして燃費の良否の度合いを、容易に把握することができるとともに、当該各々の値に関連した動きを伴う部位のアニメーション表示によって各々の値の大きさを把握することができる。
【0133】
(12)実施例1のバーグラフ表示とともに或いは切り替えて、実施例6のロググラフ表示を行うようにしてもよい。これにより、運転者は、車両の走行に伴って変化する複数の値として例えばエンジン回転数や変速比の値を、各々の値の変化を視認可能に、各々の値の大きさに応じた位置として視認可能であるとともに、車両の走行に伴って変化する位置同士の間隔の大きさから、車両の走行に関する状態の良否の度合いを、容易に把握することができるとともに、各々の値を異なる軸としたグラフによって、各々の値の変化を把握できる。
【0134】
(13)各々の指示表示間に存在する指示部の表示態様を同一の表示態様とし、当該同一の表示態様は、各々の基準位置から指示表示の位置までに存在する指示部の表示態様とは異なる表示態様としてもよい。例えば、図3の画面表示において、消灯表示域41bと42bを、同じ色(例えば青色)で表示する点灯表示域としてもよい。さらに、その色と異なる色で点灯表示域41a、42aを色別(例えば黄色と赤色)に表示してもよい。これにより、それぞれの値の大きさを容易に把握できるとともに「当該走行に関する状態の良否の度合い」を容易に把握することができる。
【0135】
(14)表示に用いたエンジン回転数と変速比、或いは、瞬間燃費と平均燃費の大きさの履歴あるいは、実際に表示した表示内容の履歴の少なくともいずれか一方のデータをSDカード等の記憶媒体に記録しておき、パソコンや携帯端末等で、この記憶されたデータを各実施例記載の車両から取得したデータと同様にみなして順次再生させて表示させるようにしてもよい。このようにすれば走行後に車両の走行に関する状態の良否の度合いをパソコン等で確認することが容易にできる。
【0136】
(15)表示するデータの組み合わせとしては、例えば次のようなデータのなかから選択したものを用いるとよい。例えば、タッチパネルと表示等により選択する機能を備えるようにしてもよい。データとしては、「速度」「平均速度」「最高速度」「5秒速度」「平均5秒速度」「最高5秒速度」「回転数」「平均回転数」「最高回転数」「エンジン負荷」「平均負荷」「最大負荷」「スロットル開度」「平均スロットル開度」「最大スロットル開度」「点火時期」「燃料レベル」「インマニ圧」「MAF」「INJ」「冷却水温度」「吸気温度」「外気温度」「残燃料」「燃料流量」「消費燃料」「生涯消費燃料」「瞬間燃費」「今回燃費」「生涯燃費」「平均燃費」「平均燃費一般道」「平均燃費高速道」「運転時間」「走行時間」「アイドル時間」「アイドル比率」「走行距離」「生涯走行距離」「0-20km/h加速時間」「0-20km/h平均加速」「0-20km/h最短加速」「0-40km/h加速時間」「0-40km/h平均加速」「0-40km/h最短加速」「0-60km/h加速時間」「0-60km/h平均加速」「0-60km/h最短加速」「0-80km/h加速時間」「0-80km/h平均加速」「0-80km/h最短加速」「0-20km/h走行時間」「20-40km/h走行時間」「40-60km/h走行時間」「60-80km/h走行時間」「80km/h以上走行時間」などとするとよい。
【0137】
(16)例えば図3の表示の構成において、右側の指示部42を「変速比」に代えて「冷却水温度」とし、冷却水温度が低い側を左側、冷却水温度が高い側を右側とすると、走行開始時の冷却水温度が低い状態から走行にともなって冷却水温度が上昇することになる。冷却水温度が低い場合にはエアコン動作等のため、冷却水温度をあげるためにアクセルを踏まなくてもエンジン回転数が上がることがあるが、エンジン回転数と冷却水温度とのそれぞれの基準位置から指示位置までの変位量と両者の指示位置の間隔とにより、この状態にあるかどうかを容易に判定できる。
また、例えば図3の表示の構成において、右側の指示部42を「変速比」に代えてハイブリッド車両における「モータ回転数」とし、モータ回転数が低い側を右側、モータ回転数が高い側を左側とすると、それぞれの基準位置から指示位置までの変位量により、エンジンとモーターの回転数を把握できるとともに、両者の指示位置の間隔とにより、総合的なエネルギーの利用状態を把握することが容易にできる。この間隔が広ければ広いほど、総合的なエネルギーの使用量は低く、この間隔が狭くなればなるほそ総合的なエネルギーの使用量は高いことが一目でわかる。
【0138】
(17)指示部41,42の各々の形状は同一の矩形状としたが、異なる形状としてもよい。特に、指示部41、42のうち中心部に近いものから周辺部に至るに従い徐々に大きな形状とするとよい。例えば上下の高さは同一とし、左右の幅を徐々に大きくするとよい。このようにすれば、少しの悪化で表示上は大きく基準位置から移動することになる。したがって、少しでも悪化させないように運転に気をつけるようになる。また、逆に指示部41、42のうち中心部に近いものから周辺部に至るに従い徐々に小さな形状とするとしてもよい。このようにすれば、少しの悪化ではさほど基準位置からは移動せず、かなり悪化させる運転をした場合に、大きく基準位置から移動することになる。したがって、かなり悪化させるような運転の防止に役立つ。
【符号の説明】
【0139】
20 表示装置
21b CPU
21c ROM
21d RAM
21e グラフィックチップ
21f グラフィックメモリ
31 表示駆動回路
32 表示部

図1
図2
図3
図4
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