IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人土木研究所の特許一覧

特許7535815音声式散布制御装置、これを備えた凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法
<>
  • 特許-音声式散布制御装置、これを備えた凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法 図1
  • 特許-音声式散布制御装置、これを備えた凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法 図2
  • 特許-音声式散布制御装置、これを備えた凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法 図3
  • 特許-音声式散布制御装置、これを備えた凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法 図4
  • 特許-音声式散布制御装置、これを備えた凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】音声式散布制御装置、これを備えた凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法
(51)【国際特許分類】
   G10L 15/28 20130101AFI20240809BHJP
   E01H 10/00 20060101ALI20240809BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20240809BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20240809BHJP
   G10L 15/00 20130101ALN20240809BHJP
   G10L 15/22 20060101ALN20240809BHJP
【FI】
G10L15/28 500
E01H10/00 A
G06F3/16 630
G10L15/10 200W
G10L15/28 230K
G10L15/00 200Z
G10L15/22 460Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023080457
(22)【出願日】2023-05-15
【審査請求日】2023-05-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 大廣智則、齊田光、村上健志、伊東靖彦が、令和4年10月5日開催の雪氷研究大会(2022・札幌)にて、大廣智則が発明した凍結防止剤散布支援システムについて公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 大廣智則、金子雅之、齊田光が、令和4年11月10日開催の令和4年度国土交通省国土技術研究会にて、大廣智則が発明した凍結防止剤散布支援システムについて公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 大廣智則、齊田光、村上健志、伊東靖彦が、令和5年1月4日発行の寒地土木研究所月報 第839号にて、大廣智則が発明した凍結防止剤散布支援システムについて公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 大廣智則、在田尚宏、齊田光が、令和5年2月14日開催の第66回(令和4年度)北海道開発技術研究発表会にて、大廣智則が発明した凍結防止剤散布支援システムについて公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 大廣智則が、令和4年12月1日開催の土研 新技術セミナーin札幌(2022)にて、大廣智則が発明した凍結防止剤散布支援システムについて公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 大廣智則、齊田光、村上健志、伊東靖彦が、令和4年11月30日開催の第38回寒地技術シンポジウムにて、大廣智則が発明した凍結防止剤散布支援システムについて公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 大廣智則が、令和4年11月29日開催の第45回寒地道路連続セミナーにて、大廣智則が発明した凍結防止剤散布支援システムについて公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 大廣智則が、令和4年8月25日開催の令和4年度 寒地土木研究所 新技術説明会にて、大廣智則が発明した凍結防止剤散布支援システムについて公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 大廣智則が、令和4年12月13日開催の令和4年度 除雪現場の省力化による生産性・安全性の向上に関する取組 プラットフォーム『i-Snow』<第12回>にて、大廣智則が発明した凍結防止剤散布支援システムについて公開。
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】301031392
【氏名又は名称】国立研究開発法人土木研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110004392
【氏名又は名称】弁理士法人佐川国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大廣 智則
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2022-0148701(KR,A)
【文献】特開平01-179198(JP,A)
【文献】特開2023-028466(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0154340(KR,A)
【文献】韓国登録特許第2306108(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第2339578(KR,B1)
【文献】特開2024-038566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0134332(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0161946(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 15/00-15/34
E01H 10/00
G06F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声によって凍結防止剤散布装置を制御する音声式散布制御装置であって、
音声入力手段から入力された音声を認識し、音声の受け付けを開始するための音声受付開始ワードであるか否かを判別する音声受付開始判別部と、
音声入力手段から入力された音声を認識し、前記凍結防止剤散布装置に各種の操作を実行させるための操作コマンドであるか否かを判別する音声認識処理部と、
前記音声受付開始ワードまたは前記操作コマンドと一連で入力された音声が、無視すべき誤認識回避用ワードを含む場合、前記誤認識回避用ワードを無視した音声を前記音声受付開始判別部または前記音声認識処理部に認識させる誤認識回避処理部と、
音声入力を待機する音声待機状態において、前記音声受付開始判別部によって前記音声受付開始ワードであると判別されたとき、音声入力を受け付ける音声受付状態に遷移させるとともに、前記音声受付状態に遷移されたときから、音声入力のない状態または前記操作コマンドが認識されない状態が所定時間継続したとき、前記音声待機状態に遷移させ、前記音声受付状態において、前記音声認識処理部によって前記操作コマンドが認識されたとき、前記操作コマンドを実行する操作実行状態に遷移させる音声認識状態設定部と、
前記操作実行状態において、前記操作コマンドに対応する処理を前記凍結防止剤散布装置に実行させるコマンド処理部と、
を有し、
前記音声認識処理部は、前記操作コマンドの音声入力を認識したとき、前記操作コマンドを示すテキストを含み、前記コマンド処理部に読み込ませるためのテキストファイルを出力し、前記テキストファイルを前記コマンド処理部によって読み込ませることで前記操作コマンドを実行可能にさせる、音声式散布制御装置。
【請求項2】
前記音声待機状態、前記音声受付状態および前記操作実行状態のうち、いずれの状態であるかを表示手段に画面表示する音声認識状態表示部を有している、請求項1に記載の音声式散布制御装置。
【請求項3】
前記凍結防止剤散布装置による凍結防止剤の散布に関する情報に基づいて、高低差が異なる音声および/または間隔が異なる音声を音声出力手段から出力させる散布情報音声出力部を有している、請求項1に記載の音声式散布制御装置。
【請求項4】
前記音声認識処理部は、前記音声入力手段から入力された音声のうち、振幅レベルが所定の閾値以上の音声のみを認識する、請求項1に記載の音声式散布制御装置。
【請求項5】
前記音声認識処理部は、前記音声入力手段から入力された音声のうち、直流成分を除去した音声を認識する、請求項1に記載の音声式散布制御装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれかに記載の音声式散布制御装置と、前記音声式散布制御装置によって制御され凍結防止剤を散布する前記凍結防止剤散布装置とを備えた凍結防止剤散布システム。
【請求項7】
音声によって凍結防止剤散布装置を制御する音声式散布制御プログラムであって、
音声入力手段から入力された音声を認識し、音声の受け付けを開始するための音声受付開始ワードであるか否かを判別する音声受付開始判別部と、
音声入力手段から入力された音声を認識し、前記凍結防止剤散布装置に各種の操作を実行させるための操作コマンドであるか否かを判別する音声認識処理部と、
前記音声受付開始ワードまたは前記操作コマンドと一連で入力された音声が、無視すべき誤認識回避用ワードを含む場合、前記誤認識回避用ワードを無視した音声を前記音声受付開始判別部または前記音声認識処理部に認識させる誤認識回避処理部と、
音声入力を待機する音声待機状態において、前記音声受付開始判別部によって前記音声受付開始ワードであると判別されたとき、音声入力を受け付ける音声受付状態に遷移させるとともに、前記音声受付状態に遷移されたときから、音声入力のない状態または前記操作コマンドが認識されない状態が所定時間継続したとき、前記音声待機状態に遷移させ、前記音声受付状態において、前記音声認識処理部によって前記操作コマンドが認識されたとき、前記操作コマンドを実行する操作実行状態に遷移させる音声認識状態設定部と、
前記操作実行状態において、前記操作コマンドに対応する処理を前記凍結防止剤散布装置に実行させるコマンド処理部としてコンピュータを機能させ
前記音声認識処理部は、前記操作コマンドの音声入力を認識したとき、前記操作コマンドを示すテキストを含み、前記コマンド処理部に読み込ませるためのテキストファイルを出力し、前記テキストファイルを前記コマンド処理部によって読み込ませることで前記操作コマンドを実行可能にさせる、音声式散布制御プログラム。
【請求項8】
音声によって凍結防止剤散布装置を制御する音声式散布制御方法であって、
音声入力手段から入力された音声を認識し、音声の受け付けを開始するための音声受付開始ワードであるか否かを判別する音声受付開始判別ステップと、
音声入力手段から入力された音声を認識し、前記凍結防止剤散布装置に各種の操作を実行させるための操作コマンドであるか否かを判別する音声認識処理ステップと、
前記音声受付開始ワードまたは前記操作コマンドと一連で入力された音声が、無視すべき誤認識回避用ワードを含む場合、前記誤認識回避用ワードを無視した音声を前記音声受付開始判別ステップまたは前記音声認識処理ステップにおいて認識させる誤認識回避処理ステップと、
音声入力を待機する音声待機状態において、前記音声受付開始判別ステップで前記音声受付開始ワードであると判別されたとき、音声入力を受け付ける音声受付状態に遷移させるとともに、前記音声受付状態に遷移されたときから、音声入力のない状態または前記操作コマンドが認識されない状態が所定時間継続したとき、前記音声待機状態に遷移させ、前記音声受付状態において、前記音声認識処理ステップで前記操作コマンドが認識されたとき、前記操作コマンドを実行する操作実行状態に遷移させる音声認識状態設定ステップと、
前記操作実行状態において、前記操作コマンドに対応する処理を前記凍結防止剤散布装置に実行させるコマンド処理ステップと、
を有し、
前記音声認識処理ステップでは、前記操作コマンドの音声入力を認識したとき、前記操作コマンドを示すテキストを含み、前記コマンド処理ステップで読み込ませるためのテキストファイルを出力し、前記テキストファイルを前記コマンド処理ステップで読み込ませることで前記操作コマンドを実行可能にさせる、音声式散布制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声によって凍結防止剤散布装置を制御するための音声式散布制御装置、これを備えた凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、凍結防止剤を自動的に散布するための技術が知られている。例えば、特開2015-090037号公報には、散布区間を設定する散布区間設定部と、路面状態データを取得する路面状態データ取得部と、散布条件データを取得する散布条件データ取得部と、単位区間ごとの散布条件を決定する散布条件決定部と、散布区間に散布する凍結防止剤の総散布量を事前に算出する総散布量事前算出部と、現在位置データを取得する現在位置データ取得部と、現在位置に対応する単位区間を特定する単位区間特定部と、凍結防止剤散布装置に対して、単位区間ごとに前記散布条件を出力する散布条件出力部とを有する凍結防止剤自動散布制御装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-090037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明を含め、従来の凍結防止剤散布技術によれば、事前に設定された箇所や区間においてのみ凍結防止剤が散布されている。このため、路面状況が時々刻々と変化する路面においては、事前に設定した散布箇所以外の箇所にも散布が必要となったり、事前に設定した散布箇所には散布が不要となる場合もあり、路面状況に対応した散布ができていないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、凍結防止剤散布車を運転中の運転手であっても、手動操作を伴うことなく前方を視認しながら安全かつ簡単に散布箇所や散布条件等を設定変更することができる音声式散布制御装置、これを備えた凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る音声式散布制御装置は、凍結防止剤散布車を運転中の運転手であっても、手動操作を伴うことなく前方を視認しながら安全かつ簡単に散布箇所や散布条件等を設定変更するという課題を解決するために、音声によって凍結防止剤散布装置を制御する音声式散布制御装置であって、音声入力手段から入力された音声を認識し、音声の受け付けを開始するための音声受付開始ワードであるか否かを判別する音声受付開始判別部と、音声入力手段から入力された音声を認識し、前記凍結防止剤散布装置に各種の操作を実行させるための操作コマンドであるか否かを判別する音声認識処理部と、前記音声受付開始ワードまたは前記操作コマンドと一連で入力された音声が、無視すべき誤認識回避ワードを含む場合、前記誤認識回避用ワードを無視する誤認識回避処理部と、音声入力を待機する音声待機状態において、前記音声受付開始判別部によって前記音声受付開始ワードであると判別されたとき、音声入力を受け付ける音声受付状態に遷移させるとともに、前記音声受付状態に遷移されたときから、音声入力のない状態または前記操作コマンドが認識されない状態が所定時間継続したとき、前記音声待機状態に遷移させ、前記音声受付状態において、前記音声認識処理部によって前記操作コマンドが認識されたとき、前記操作コマンドを実行する操作実行状態に遷移させる音声認識状態設定部と、前記操作実行状態において、前記操作コマンドに対応する処理を前記凍結防止剤散布装置に実行させるコマンド処理部と、を有する。
【0007】
また、本発明の一態様として、音声式散布制御装置がどのような音声認識状態であるかを瞬時に一目で容易に把握するという課題を解決するために、前記音声待機状態、前記音声受付状態および前記操作実行状態のうち、いずれの状態であるかを表示手段に画面表示する音声認識状態表示部を有していてもよい。
【0008】
さらに、本発明の一態様として、凍結防止剤の散布に関する情報を音声によって容易に把握するという課題を解決するために、前記凍結防止剤散布装置による凍結防止剤の散布に関する情報に基づいて、高低差が異なる音声および/または間隔が異なる音声を音声出力手段から出力させる散布情報音声出力部を有していてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様として、コマンド処理部に相当するプログラムが、音声式散布制御プログラムとは別体に構成されていても機能させるという課題を解決するために、前記音声認識処理部は、前記操作コマンドの音声入力を認識したとき、前記操作コマンドを示すテキストをテキストファイルとして出力してもよい。
【0010】
さらに、本発明の一態様として、音声区間を高精度に検出し誤認識を防止するという課題を解決するために、前記音声認識処理部は、前記音声入力手段から入力された音声のうち、振幅レベルが所定の閾値以上の音声のみを認識してもよい。
【0011】
また、本発明の一態様として、音声に含まれるノイズを除去して認識率を向上するという課題を解決するために、前記音声認識処理部は、前記音声入力手段から入力された音声のうち、直流成分を除去した音声を認識してもよい。
【0012】
本発明に係る凍結防止剤散布システムは、凍結防止剤散布車を運転中の運転手であっても、手動操作を伴うことなく前方を視認しながら安全かつ簡単に散布箇所や散布条件等を設定変更するという課題を解決するために、上述したいずれかの態様の音声式散布制御装置と、前記音声式散布制御装置によって制御され凍結防止剤を散布する前記凍結防止剤散布装置とを備えている。
【0013】
本発明に係る音声式散布制御プログラムは、凍結防止剤散布車を運転中の運転手であっても、手動操作を伴うことなく前方を視認しながら安全かつ簡単に散布箇所や散布条件等を設定変更するという課題を解決するために、音声によって凍結防止剤散布装置を制御する音声式散布制御プログラムであって、音声入力手段から入力された音声を認識し、音声の受け付けを開始するための音声受付開始ワードであるか否かを判別する音声受付開始判別部と、音声入力手段から入力された音声を認識し、前記凍結防止剤散布装置に各種の操作を実行させるための操作コマンドであるか否かを判別する音声認識処理部と、前記音声受付開始ワードまたは前記操作コマンドと一連で入力された音声が、無視すべき誤認識回避ワードを含む場合、前記誤認識回避用ワードを無視する誤認識回避処理部と、音声入力を待機する音声待機状態において、前記音声受付開始判別部によって前記音声受付開始ワードであると判別されたとき、音声入力を受け付ける音声受付状態に遷移させるとともに、前記音声受付状態に遷移されたときから、音声入力のない状態または前記操作コマンドが認識されない状態が所定時間継続したとき、前記音声待機状態に遷移させ、前記音声受付状態において、前記音声認識処理部によって前記操作コマンドが認識されたとき、前記操作コマンドを実行する操作実行状態に遷移させる音声認識状態設定部と、前記操作実行状態において、前記操作コマンドに対応する処理を前記凍結防止剤散布装置に実行させるコマンド処理部としてコンピュータを機能させる。
【0014】
本発明に係る音声式散布制御方法は、凍結防止剤散布車を運転中の運転手であっても、手動操作を伴うことなく前方を視認しながら安全かつ簡単に散布箇所や散布条件等を設定変更するという課題を解決するために、音声によって凍結防止剤散布装置を制御する音声式散布制御方法であって、音声入力手段から入力された音声を認識し、音声の受け付けを開始するための音声受付開始ワードであるか否かを判別する音声受付開始判別ステップと、音声入力手段から入力された音声を認識し、前記凍結防止剤散布装置に各種の操作を実行させるための操作コマンドであるか否かを判別する音声認識処理ステップと、前記音声受付開始ワードまたは前記操作コマンドと一連で入力された音声が、無視すべき誤認識回避用ワードを含む場合、前記誤認識回避用ワードを無視する誤認識回避処理ステップと、音声入力を待機する音声待機状態において、前記音声受付開始判別ステップで前記音声受付開始ワードであると判別されたとき、音声入力を受け付ける音声受付状態に遷移させるとともに、前記音声受付状態に遷移されたときから、音声入力のない状態または前記操作コマンドが認識されない状態が所定時間継続したとき、前記音声待機状態に遷移させ、前記音声受付状態において、前記音声認識処理ステップで前記操作コマンドが認識されたとき、前記操作コマンドを実行する操作実行状態に遷移させる音声認識状態設定ステップと、前記操作実行状態において、前記操作コマンドに対応する処理を前記凍結防止剤散布装置に実行させるコマンド処理ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、凍結防止剤散布車を運転中の運転手であっても、手動操作を伴うことなく前方を視認しながら安全かつ簡単に散布箇所や散布条件等を設定変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る音声式散布制御装置およびこれを備えた凍結防止剤散布システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2】本実施形態の表示手段に表示される操作パネルの一例を示す図である。
図3】本実施形態における操作コマンドリストの一例を示す図である。
図4】本実施形態における誤認識回避用ワードリストの一例を示す図である。
図5】本実施形態の音声式散布制御装置、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法によって実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る音声式散布制御装置、これを備えた凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラムおよび音声式散布制御方法の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0018】
本実施形態の凍結防止剤散布システム10は、音声によって凍結防止剤散布装置11を制御する音声式散布制御装置1と、この音声式散布制御装置1によって制御され凍結防止剤を散布する凍結防止剤散布装置11とから構成されており、図示しない凍結防止剤散布車に搭載されている。
【0019】
また、本実施形態の音声式散布制御装置1は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等のコンピュータによって構成されており、図1に示すように、主として、表示手段2と、音声入力手段3と、音声出力手段4と、記憶手段5と、演算処理手段6とを有している。以下、各構成について説明する。
【0020】
表示手段2は、液晶ディスプレイやタッチパネル等で構成されており、運転手やオペレータに各種の情報を視認させるものである。本実施形態において、表示手段2には、図2に示すように、後述する音声認識状態インジケータや、各種の操作ボタン等を備えた操作パネルが表示されるようになっている。
【0021】
音声入力手段3は、マイク等で構成されており、運転手やオペレータによって発せられた音声を演算処理手段6へ入力するものである。音声出力手段4は、スピーカー等で構成されており、後述するとおり、凍結防止剤の散布に関する散布情報を音声によって運転手やオペレータに報知するものである。
【0022】
記憶手段5は、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段6が演算処理を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。本実施形態において、記憶手段5は、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等で構成されており、図1に示すように、プログラム記憶部51と、自動散布用データ記憶部52と、音声受付開始ワード記憶部53と、音声認識用ワード記憶部54とを有している。
【0023】
プログラム記憶部51には、本実施形態の音声式散布制御プログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段6が音声式散布制御プログラム1aを実行することにより、音声式散布制御装置1としてのコンピュータを後述する各構成部として機能させるようになっている。
【0024】
なお、音声式散布制御プログラム1aの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、CD-ROMやDVD-ROM等のように、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に音声式散布制御プログラム1aを記憶させておき、当該記録媒体から直接読み出して実行してもよい。また、外部サーバ等からクラウドコンピューティング方式やASP(Application Service Provider)方式で音声式散布制御プログラム1aを利用してもよい。
【0025】
自動散布用データ記憶部52は、凍結防止剤散布装置11を自動散布させるために自動散布用データを記憶するものである。本実施形態において、自動散布用データは、地理情報システム等から提供される背景地図上において、任意の箇所または区間ごとに、散布の要否および散布量等が設定されている。なお、箇所や区間の指定は、高速道路や国道等であれば距離標(キロポスト)で指定でき、その他の道路では、緯度・経度および方位によって指定可能である。
【0026】
音声受付開始ワード記憶部53は、音声の受け付けを開始するための音声受付開始ワードを記憶するものである。本実施形態において、音声受付開始ワード記憶部53には、「ヘイサンプ」のように、普段の会話では発しないようなワードのテキストデータが音声受付開始ワードとして登録される。このような音声受付開始ワードを設定することにより、誤って音声の受け付けが開始されてしまうことが防止される。
【0027】
音声認識用ワード記憶部54は、音声を認識するためのワードを記憶するものである。本実施形態において、音声認識用ワード記憶部54には、凍結防止剤散布装置11に各種の操作を実行させるための操作コマンドが登録された操作コマンドリストと、誤認識を回避するために無視すべき誤認識回避ワードが登録された誤認識回避ワードリストとが記憶されている。
【0028】
例えば、操作コマンドとしては、図3に示すように、自動散布を開始するための「自動散布」コマンドが「サンプ」というワードで登録され、散布を停止するための「散布停止」コマンドが「テイシ」というワードで登録され、強制散布を開始するための「強制散布」コマンドが「キョウセイ」というワードで登録され、操作パネルに制御を切り替えるための「操作パネル」コマンドが「パネル」というワードで登録されている。
【0029】
また、本実施形態では、図2に示すように、散布箇所や散布条件が異なる複数の散布パターンが用意されている。このため、各散布パターンに変更するためのワードについても、操作コマンドとして音声認識用ワード記憶部54に記憶されている。
【0030】
さらに、誤認識回避ワードとしては、図4に示すように、「えーっと」、「うーん」、「して」等のように、運転手やオペレータが無意識にあるいは不用意に、音声受付開始ワードや操作コマンドと一連に発してしまい易いワードが予め登録されている。このような誤認識回避ワードについても無視すべき対象として積極的に認識することにより、「えーっと、ヘイサンプ」等のように、音声受付開始ワードと誤認識回避用ワードとからなる一連の音声が、誤って音声受付開始ワードとして認識されない事象が抑制される。また、「テイシして」等のように、操作コマンドと誤認識回避用ワードとからなる一連の音声が、誤って操作コマンドとして認識されない事象が抑制される。
【0031】
なお、本実施形態において、音声受付開始ワード、誤認識回避用ワードおよび操作コマンドは、いずれもテキストデータとして登録されている。このため、各リストの修正が容易であり、必要に応じて各種ワードやコマンドの追加や削除を簡単に行うことができる。
【0032】
演算処理手段6は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、プログラム記憶部51にインストールされた音声式散布制御プログラム1aを実行することにより、図1に示すように、音声認識状態設定部61と、音声認識状態表示部62と、音声受付開始判別部63と、音声認識処理部64と、誤認識回避処理部65と、コマンド処理部66と、散布情報音声出力部67として機能する。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
【0033】
音声認識状態設定部61は、音声式散布制御装置1における音声認識状態を設定するものである。本実施形態において、音声認識状態設定部61は、音声受付開始判別部63や音声認識処理部64によって認識された音声に応じて、音声入力を待機する音声待機状態と、音声入力を受け付ける音声受付状態と、操作コマンドの実行中である操作実行状態のうちのいずれかに設定する。
【0034】
具体的には、音声認識状態設定部61は、上述した音声待機状態において、音声受付開始判別部63によって、入力音声が音声受付開始ワードであると判別されたとき、音声入力を受け付ける音声受付状態に遷移させる。
【0035】
また、音声認識状態設定部61は、音声式散布制御装置1(音声式散布制御プログラム1a)を起動したとき、または上述した音声受付状態に遷移されたときから、音声入力のない状態または操作コマンドが認識されない状態が所定時間(10秒等)継続したとき、音声入力を待機する音声待機状態に遷移させる。
【0036】
さらに、音声認識状態設定部61は、上述した音声受付状態において、音声認識処理部64によって操作コマンドが認識されたとき、操作コマンドを実行する操作実行状態に遷移させる。
【0037】
なお、本実施形態において、音声認識状態設定部61は、音声受付状態において、操作コマンドではない音声が認識されたとき、直ちに音声待機状態へ遷移させることなく、音声受付状態のままとする。これにより、万一、発声した操作コマンドが認識されなかった場合等でも、所定時間内であれば、直ちに言い直しすることができ、使い勝手がよい。
【0038】
音声認識状態表示部62は、現在設定されている音声認識状態が、いずれの状態であるかを表示手段2に画面表示させるものである。本実施形態において、表示手段2には、図2に示すように、音声認識状態を色分けで示す音声認識状態インジケータが表示されている。そして、音声認識状態表示部62は、音声待機状態では、音声認識状態インジケータを赤色に表示し、音声受付状態では、音声認識状態インジケータを青色に表示し、操作実行状態では、音声認識状態インジケータを緑色に表示する。
【0039】
音声受付開始判別部63は、所望のタイミングで音声の受け付けを開始するためのものである。本実施形態において、音声受付開始判別部63は、音声入力手段3から入力された音声を認識し、当該認識した音声が音声受付開始ワード記憶部53に記憶されている音声受付開始ワードと一致するか否かを判別する。そして、音声受付開始ワードであると判別した場合、音声認識状態設定部61に通知するようになっている。
【0040】
音声認識処理部64は、音声入力手段3から入力された音声を認識するものである。本実施形態において、音声認識処理部64は、音声入力手段3から音声が入力されると、前処理として、振幅レベルが所定の閾値以上の音声のみを認識対象として抽出する。これにより、運転手やオペレータが発した音声区間が高精度に検出され誤認識が防止される。
【0041】
また、本実施形態において、音声認識処理部64は、前処理として、音声入力手段3から入力された音声のうち、直流成分を除去する。これにより、入力音声に含まれる環境音等のノイズが除去され認識率が向上する。なお、上述した前処理は、必要に応じて追加される処理であり、本発明において必須の処理ではない。
【0042】
音声認識処理部64は、音声入力手段3から入力された音声が、操作コマンドであるかを認識する。具体的には、音声認識処理部64は、上述した前処理後の音声を認識し、操作コマンドリストに登録されている操作コマンドに一致するか否かを判別する。そして、いずれかの操作コマンドに一致すると判別した場合、その旨を音声認識状態設定部61に通知するとともに、別途、当該操作コマンドをコマンド処理部66へ通知する。
【0043】
誤認識回避処理部65は、音声受付開始ワードや操作コマンドの誤認識を回避するためのものである。本実施形態において、誤認識回避処理部65は、音声受付開始判別部63が音声受付開始ワードを判別する際、および音声認識処理部64が操作コマンドを判別する際、音声受付開始ワードまたは操作コマンドと一連で入力された音声の一部に、無視すべき誤認識回避ワードが含まれているか否かを判別する。そして、いずれかの誤認識回避用ワードが含まれている場合、当該誤認識回避用ワードを無視するようになっている。
【0044】
コマンド処理部66は、操作コマンドに対応する処理を凍結防止剤散布装置11に実行させるものである。本実施形態において、コマンド処理部66は、上述した操作実行状態において、音声認識処理部64によって認識された操作コマンドの実行命令を凍結防止剤散布装置11に出力し、当該操作コマンドに対応する処理を実行させるようになっている。
【0045】
なお、本実施形態では、音声式散布制御プログラム1aによって実行される機能部としてコマンド処理部66も含まれているが、この構成に限定されるものではなく、コマンド処理部66として機能させるプログラムが、音声式散布制御プログラム1aとは別体として構成されていてもよい。この場合、音声認識処理部64は、操作コマンドの音声入力を認識したとき、当該認識した操作コマンドを示すテキストをテキストファイルとして出力する。これにより、別プログラムでは、当該テキストファイルを読み込むだけで、音声入力された操作コマンドを実行可能となる。
【0046】
散布情報音声出力部67は、散布に関する情報を音声で出力させるものである。本実施形態において、散布情報音声出力部67は、凍結防止剤散布装置11による凍結防止剤の散布に関する情報に基づいて、高低差が異なる音声および/または間隔が異なる音声を音声出力手段4から出力させるようになっている。
【0047】
例えば、凍結防止剤散布車が散布区間の起点よりも所定距離手前の地点に到達した場合、断続的なビープ音を出力する。これにより、散布区間が近づいていることが事前に運転手やオペレータに報知されるため、周囲に一般車両等が走行していないことを確認するなど、自動散布作業を実行してもよい状況か否かの判断を促すことが可能となる。また、散布区間までの距離が近づくにつれて、ビープ音の間隔を短くなるように設定するとともに、散布区間内では連続的なビープ音とし、散布区間を越えると消音する。これにより、運転手やオペレータは音声のみで走行中の位置を把握することが可能となる。
【0048】
さらに、例えば、路面状態に関するデータを有している場合は、路面が湿潤状態であれば、「ブ・ブ・ブ・・・」という低いビープ音とし、路面が凍結状態であれば、「ピ・ピ・ピ・・・」という高いビープ音としてもよい。これにより、運転手やオペレータには音声によって路面状態を報知することが可能となる。
【0049】
つぎに、本実施形態の音声式散布制御装置1、これを備えた凍結防止剤散布システム10、音声式散布制御プログラム1aおよび音声式散布制御方法による作用について説明する。
【0050】
本実施形態の音声式散布制御装置1、凍結防止剤散布システム10、音声式散布制御プログラム1aおよび音声式散布制御方法を用いて道路に凍結防止剤を散布する場合、まず、音声式散布制御装置1および音声式散布制御プログラム1aを起動する。そうすると、図5に示すように、音声認識状態設定部61が音声式散布制御プログラム1aを音声待機状態に設定するとともに(ステップS1:音声認識状態設定ステップ)、音声認識状態表示部62が音声認識状態インジケータを赤色とし、音声待機状態であることを画面表示する(ステップS2:音声認識状態表示ステップ)。
【0051】
これにより、運転手やオペレータは、音声受付開始ワード以外の音声は受け付けない状態であることを視覚的に確認できるため、誤認識されるおそれ等を気にせず、会話や発声することが可能となる。
【0052】
つぎに、音声待機状態において、音声入力手段3から音声が入力されると(ステップS3:YES)、誤認識回避処理部65が、入力された音声の一部に誤認識回避用ワードが含まれているか否かを判別する(ステップS4)。その結果、誤認識回避ワードが含まれていれば(ステップS4:YES)、当該誤認識回避用ワードを無視する(ステップS5:誤認識回避処理ステップ)。これにより、運転手やオペレータが音声受付開始ワードの前後に無関係な言葉を発してしまった場合でも、当該言葉は無視すべきものと判定される。したがって、音声受付開始ワードと誤認識回避用ワードとからなる一連の音声であっても、音声受付開始ワードとして認識され易くなり認識率が向上する。
【0053】
一方、入力音声に誤認識回避ワードが含まれていなければ(ステップS4:NO)、当該入力音声がそのまま音声受付開始判別部63によって判別される(ステップS6)。音声受付開始判別部63は、そのままの入力音声または誤認識回避用ワードが無視された音声を認識し、当該認識した音声が音声受付開始ワードであるか否かを判別する(ステップS6:音声受付開始判別ステップ)。そして、音声受付開始ワードでない限り(ステップS6:NO)、音声待機状態を継続し、音声受付開始ワードの場合のみ(ステップS6:YES)、ステップS7へと進む。
【0054】
ステップS7では、音声認識状態設定部61が音声受付状態に遷移させるとともに(ステップS7:音声認識状態設定ステップ)、音声認識状態表示部62が音声認識状態インジケータを青色とし、音声受付状態であることを画面表示する(ステップS8:音声認識状態表示ステップ)。このとき、音声受付開始ワードは、普段の会話では発しないようなワードに設定されているため、誤って音声受付状態に設定された上、誤って操作コマンドとして誤認識されてしまうことが防止される。また、運転手やオペレータは、手動による操作を何ら必要とすることなく音声受付状態に設定でき、その設定も視覚的に確認可能となる。
【0055】
音声受付状態において、音声入力が無い状態で所定時間が経過すると(ステップS9:NO→ステップS10:NO→ステップS9:YES)、音声認識状態設定部61が音声待機状態に遷移させる(ステップS1)。これにより、万一、誤って音声受付状態に遷移してしまった場合であっても、音声を発しなければ自動的に音声待機状態に復帰する。
【0056】
一方、音声受付状態において、所定時間内に音声が入力されると(ステップS9:NO→ステップS10:YES)、誤認識回避処理部65が、入力された音声の一部に誤認識回避用ワードが含まれているか否かを判別する(ステップS11)。その結果、誤認識回避ワードが含まれていれば(ステップS11:YES)、当該誤認識回避用ワードを無視する(ステップS12:誤認識回避処理ステップ)。これにより、運転手やオペレータが操作コマンドの前後に無関係な言葉を発してしまった場合でも、当該言葉は無視すべきものと判定される。したがって、操作コマンドと誤認識回避用ワードとからなる一連の音声であっても、操作コマンドとして認識され易くなり認識率が向上する。
【0057】
なお、本実施形態では、音声認識処理部64が、入力音声に対する前処理として、振幅レベルが所定の閾値以上の音声のみを認識対象として抽出する。これにより、運転手やオペレータが発した音声区間が高精度に検出され誤認識が防止される。また、音声認識処理部64は、入力音声に対する前処理として、直流成分を除去する。これにより、入力音声に含まれる環境音等のノイズが除去され認識率が向上する。
【0058】
一方、入力音声に誤認識回避ワードが含まれていなければ(ステップS11:NO)、当該入力音声がそのまま音声認識処理部64によって判別される(ステップS13)。音声認識処理部64は、そのままの入力音声または誤認識回避用ワードが無視された音声を認識し、当該認識した音声が操作コマンドであるか否かを判別する(ステップS13:音声認識処理ステップ)。
【0059】
その結果、操作コマンドでなければ(ステップS13:NO)、ステップS9へと戻り、所定時間が経過していない限り(ステップS9:NO)、音声受付状態のまま、ステップS10からステップS13の処理を繰り返す。これにより、万一、運転手やオペレータが発声した操作コマンドが認識されなかった場合等でも、所定時間内であれば、直ちに言い直しすることができ、使い勝手がよい。
【0060】
一方、入力された音声が操作コマンドであれば(ステップS13:YES)、音声認識状態設定部61が操作実行状態に遷移させるとともに(ステップS14:音声認識状態設定ステップ)、音声認識状態表示部62が音声認識状態インジケータを緑色とし、操作実行状態であることを画面表示する(ステップS15:音声認識状態表示ステップ)。これにより、運転手やオペレータは、操作コマンドが確実に受け付けられたことを視覚的に確認する。
【0061】
操作実行状態においては、コマンド処理部66が、操作コマンドに対応する処理を凍結防止剤散布装置11に実行させる(ステップS16:コマンド処理ステップ)。これにより、運転手やオペレータは、手動による操作を何ら必要とすることなく、自動散布の開始や停止を指示したり、散布箇所や散布条件等を設定変更することができる。このため、凍結防止剤散布車を運転中の運転手であっても、前方を視認しながら安全かつ簡単に凍結防止剤散布装置11を制御でき、ワンマンでの散布作業も実現可能となる。
【0062】
その後、散布作業が継続する限り(ステップS17:NO)、ステップS1からのステップS16までの処理を繰り返す。その間、散布情報音声出力部67は、凍結防止剤の散布に関する情報に基づいて、高低差が異なる音声や間隔が異なる音声を音声出力手段4から出力する。このため、運転手やオペレータは音声のみで走行中の位置や路面状態等を把握することが可能となる。そして、散布作業の終了に伴って(ステップS17:YES)、本処理が終了する。
【0063】
以上のような本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1.凍結防止剤散布車を運転中の運転手であっても、手動操作を伴うことなく前方を視認しながら安全かつ簡単に散布箇所や散布条件等を設定変更することができる。
2.凍結防止剤の散布作業をワンマン化することができる。
3.自動散布作業に運転手やオペレータの判断を加味することで散布精度を向上することができる。
4.凍結防止剤の散布が不要な路面に対する散布を防止することでコストを低減するとともに、凍結防止剤の散布が必要な路面には確実に散布することで安全性を向上することができる。
5.音声式散布制御装置1がどのような音声認識状態であるかを瞬時に一目で容易に把握することができる。
6.凍結防止剤の散布に関する情報を音声によって容易に把握することができる。
7.コマンド処理部66に相当するプログラムが、音声式散布制御プログラム1aとは別体に構成されていても機能させることができる。
8.音声区間を高精度に検出し誤認識を防止することができる。
9.音声に含まれるノイズを除去して認識率を向上することができる。
10.音声受付開始ワード、誤認識回避用ワードおよび操作コマンドの追加や削除等の修正を簡単に行うことができる。
【0064】
なお、本発明に係る音声式散布制御装置1、これを備えた凍結防止剤散布システム10、音声式散布制御プログラム1aおよび音声式散布制御方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 音声式散布制御装置
1a 音声式散布制御プログラム
2 表示手段
3 音声入力手段
4 音声出力手段
5 記憶手段
6 演算処理手段
10 凍結防止剤散布システム
11 凍結防止剤散布装置
51 プログラム記憶部
52 自動散布用データ記憶部
53 音声受付開始ワード記憶部
54 音声認識用ワード記憶部
61 音声認識状態設定部
62 音声認識状態表示部
63 音声受付開始判別部
64 音声認識処理部
65 誤認識回避処理部
66 コマンド処理部
67 散布情報音声出力部
【要約】
【課題】凍結防止剤散布車を運転中の運転手であっても、手動操作を伴うことなく前方を視認しながら安全かつ簡単に散布箇所や散布条件等を設定変更することができる音声式散布制御装置、凍結防止剤散布システム、音声式散布制御プログラム及び音声式散布制御方法を提供する。
【解決手段】音声で凍結防止剤散布装置11を制御する音声式散布制御装置1であって、入力音声が音声受付開始ワードか否かを判別する音声受付開始判別部63と、入力音声が操作コマンドか否かを判別する音声認識処理部64と、入力音声中の誤認識回避用ワードを無視する誤認識回避処理部65と、音声受付状態、音声待機状態又は操作実行状態に設定する音声認識状態設定部61と、操作コマンドに対応する処理を凍結防止剤散布装置11に実行させるコマンド処理部66とを有する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5