(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】アミノコンブレタスタチン誘導体及びその応用
(51)【国際特許分類】
C07C 237/04 20060101AFI20240809BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240809BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240809BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240809BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240809BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240809BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240809BHJP
A61K 47/12 20060101ALN20240809BHJP
A61K 47/36 20060101ALN20240809BHJP
A61K 47/38 20060101ALN20240809BHJP
A61K 47/26 20060101ALN20240809BHJP
【FI】
C07C237/04 A CSP
A61K31/167
A61P9/00
A61P9/10
A61P35/00
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/12
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/26
(21)【出願番号】P 2023522350
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 CN2021128275
(87)【国際公開番号】W WO2022100487
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202011271276.5
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523129402
【氏名又は名称】義烏市華耀医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】王 建平
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-301831(JP,A)
【文献】特表2009-520774(JP,A)
【文献】特表2010-502656(JP,A)
【文献】特表2009-539779(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110467598(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその
立体異性体であって、前記一般式(I)の構造式は、
【化1】
であり、
そのうち、R
1は、C1-C3アルキル基又はC1-C3ハロアルキル基から選択され、
R
2、R
3は、それぞれ独立的にC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、又はC1-C6アルコール基から選択される、
一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその
立体異性体。
【請求項2】
前記R
1は、メチル基、エチル基、ジフルオロメチル基、又はトリフルオロエチル基から選択され、
前記R
2、R
3は、それぞれ独立的にメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、プロペニル基、プロピニル基から選択され
る、
ことを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその
立体異性体。
【請求項3】
前記R
2
=R
3
である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその立体異性体。
【請求項4】
前記R
2
、R
3
は、同時にメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、プロペニル基又はプロピニル基から選択される1つである、
ことを特徴とする、請求項2に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその立体異性体。
【請求項5】
前記化合物は、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、又は(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-エチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-トリフルオロエトキシフェニル)
エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-トリフルオロエトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレ
ンである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその
立体異性体。
【請求項6】
前記薬学的に許容される塩は、1つ又はそれ以上の塩基性塩形成基と酸によって形成される塩であり、前記酸は有機酸及び/又は無機酸である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその
立体異性体。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか1項に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその
立体異性体により調製されて得られた薬物又は医薬組成物。
【請求項8】
前記薬物又は医薬組成物は、局所、経腸又は非経口投与剤形である、
ことを特徴とする、請求項
7に記載の薬物又は医薬組成物。
【請求項9】
一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその
立体異性体より調製されて得られた薬物又は医薬組成物は、錠剤又はカプセル剤である、
ことを特徴とする、請求項
8に記載の薬物又は医薬組成物。
【請求項10】
異常な新生血管による疾患を治療するための薬物の調製に
用いることができる、請求項1~
6の何れか1項に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその
立体異性
体。
【請求項11】
チューブリン凝集阻害剤の調製に
用いることができる、請求項1~
6の何れか1項に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその
立体異性
体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物化合物の合成と調製分野に属し、特に抗がん薬物化合物の合成、調製に関し、より具体的にはアミノコンブレタスタチン誘導体及びその合成方法並びに応用に関する。
【背景技術】
【0002】
Combretastatinsシリーズの化合物は、最初に南アフリカのCombretumcaffrum樹幹から抽出・分離されたものであり、当該シリーズの化合物は、シス1,2-スチルベン構造を持つ。そのうち、CombretastatinA-4、即ちCA-4(シス-1-(3,4,5-トリメトキシ)フェニル-2-(3’-ヒドロキシ-4’-メトキシ)フェニルエチレン)は、最も強力な微小管重合の阻害作用を有する。1997年、日本味の素株式会社(AjinomotoCo.)のT.Hatanakaらによって、CA-4の3’位のヒドロキシ基をアミノ基に変換すると、その抗がん活性が大幅に向上することが発見されている。しかし、Combretastatinsシリーズの化合物の水溶性は非常に低く、特にCA-4の3’位がアミノ基に変換されると、その水溶性は更に低下する。日本味の素株式会社は、アミノ基CA-4をアミノ酸で修飾することで、その水溶性を向上させ、がん患者向けの注射剤にする。しかし、研究によると、アミノ基CA-4をアミノ酸で修飾すると、その分子の毒性が大幅に増加し、人体の耐性が低下するため、臨床使用に適していない。
【0003】
従って、アミノコンブレタスタチン構造式を更に改善することで、様々な製剤の水溶性要件、特に経口製剤薬物剤形の水溶性要件を満たす前提の下で、分子毒性を低減し、耐性を向上させ、薬物の治療効果を確保することは、当業者、特にコンブレタスタチンの研究分野の当業者にとって、注目される重要な問題及び解決されるべき技術問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術問題は、如何にアミノコンブレタスタチンの水溶性を改善すると同時に、臨床的に許容される好適な薬物毒性及び耐性を確保するかである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の技術問題を解決するために、本発明は、一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体を提供しており、上記一般式(I)の構造式は、
【化1】
であり、
そのうち、R
1は、C1-C3アルキル基又はC1-C3ハロアルキル基から選択され、
R
2、R
3は、それぞれ独立的にC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、又はC1-C6アルコール基から選択される。
【0006】
更に好ましくは、上記R1は、メチル基、エチル基、ジフルオロメチル基、又はトリフルオロエチル基から選択される。
【0007】
1つの好ましい技術的解決手段において、上記R2、R3は、それぞれ独立的にメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、プロペニル基、プロピニル基から選択される。
【0008】
1つの好ましい技術的解決手段において、上記R2、R3は何れも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、プロペニル基又はプロピニル基である。
【0009】
更に好ましくは、本発明は、上記化合物が好ましくは(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、又は(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-エチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-トリフルオロエトキシフェニル)、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-トリフルオロエトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(2,2-ジフルオロエチルアミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(2,2-ジメトキシエチルアミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンであることを更に開示する。
【0010】
本発明で言及される薬学的に許容される塩は、1つ又はそれ以上の塩基性塩形成基と酸によって形成される塩である。上記酸は、有機酸であってもよく、無機酸であってもよい。そのうち、より好ましい方法は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸トリフルオロ酢酸、エタノール酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、アミノ酸、安息香酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、マンデルケイ皮酸、ナイアシン酸、イソニコチン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸のうちの1つ又は複数と塩を形成する。更なる好ましい技術的解決手段は、上記薬学的に許容される塩は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩又は酒石酸塩である。
【0011】
説明すべきことは、本発明で言及される溶媒和物には、有機溶媒和物及び無機溶媒和物が含まれる。本発明は、一般式(I)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩の溶媒和物、水和物及び非溶媒和物又は非水和物などの様々な物理的形態を含む。
【0012】
異性体には、混合物形態又は純粋な形態の異性体があり、本発明で言及される異性体には、混合物形態の立体異性体及び純粋な形態の立体異性体の両方が含まれ、即ち、考えられる全ての立体異性体及びその混合物が含まれる。更に好ましくは、ここでの異性体は、特定の活性を有する光学異性体を指し、一般的にはラセミ体の形態を有する分離可能な光学異性体である。
【0013】
同時に、本発明において、一般式(I)で示される化合物の合成方法を更に開示しており、反応式は以下の通りである:
【化2】
【0014】
本発明に記載の合成方法は、化合物のブロモ化により、トリフェニルホスフィンと反応させた後にVIを得て、更にウィッティヒ反応によりシス化合物Vを得る。更にジブロモジオクチルビピリジン及び金属サマリウム粉末を還元剤として化合物Vのニトロ基をアミノ基に還元し、アミノコンブレタスタチンA-4を得る。次に、アミノコンブレタスタチンA-4を原料として、DMTMMの触媒作用下で2-ブロモプロピオン酸に結合し、化合物IIIを得る。化合物IIIをアミン類化合物と高温下で反応させて化合物IIを得る。
【0015】
更に好ましくは、上記化合物IIは更に酸と塩を形成し、薬学的に許容される塩生成物を形成する。
【0016】
更に好ましくは、光学異性体分離も含み、化合物IIの光学異性体は、物理的方法により分割され、又は塩形成ステップにおいて分割される。具体的な物理的方法は、ジアステレオマー誘導体の分別結晶化、分離又はキラルクロマトグラフィーカラムによる分離など、従来技術における光学異性体分割方法を参照することができる。塩形成ステップにおける分割は、光学活性を有する酸を使用して塩を形成し、次に結晶化の方法により、ラセミ体から個別の光学異性体を得るなど、従来の塩形成分割方法を参照することができる。
【0017】
本発明は、一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、及びその水和物又はその薬学的に許容される塩の水和物、及びその溶媒和物又はその薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体により調製されて得られた薬物又は医薬組成物を更に提供する。
【0018】
好ましくは、上記薬物又は医薬組成物は、局所、経腸又は非経口投与剤形である。
【0019】
製剤形態に調製される場合、無機又は有機であってもよく、固体であってもよく、又は液体であってもよい。例えば、経口投与に使用する場合、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤などの従来の固体製剤に調製されてもよく、経口溶液剤、経口懸濁剤、シロップ剤などの一般的な液体製剤に調製されてもよい。また、例えば、非経口投与の形態又は注射剤の形態で適用される場合、等張水溶液又はエマルションが好ましく、例えば、活性成分及び1つの担体からなる凍結乾燥組成物の場合、このような溶液は使用直前に調製してもよい。これらの医薬組成物は、無菌のもの、又は賦形剤を含むもの、又は溶媒を加えて浸透圧を調整する塩であってもよい。
【0020】
好ましくは、本発明は、一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、及びその水和物又はその薬学的に許容される塩の水和物、及びその溶媒和物又はその薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体により調製されて得られた錠剤又はカプセル剤を開示する。
【0021】
錠剤又はカプセル剤を調製する場合、このような錠剤又はカプセル剤には、活性成分及び希釈剤(ラクトース、グルコース、スクロース、マンニトール糖、ソルビトール、セルロース、グリセロールなど)、潤滑剤(タルク、ステアリン酸塩など)、ポリエチレングリコールが含まれる。錠剤には、接着剤、澱粉、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが含まれ、必要に応じて崩壊剤(澱粉、寒天、アルギン酸及びその塩など)、発泡性混合物又は吸着剤、染料、香味料、甘味料が更に含まれてもよい。
【0022】
更に、本発明において、異常な新生血管による疾患を治療するための薬物の調製における、一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、及びその水和物又はその薬学的に許容される塩の水和物、及びその溶媒和物又はその薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体の応用を更に開示する。
【0023】
現在、確認されている異常な新生血管による疾患には、肺がん、小細胞肺がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がん、骨がん、食道がん、乳がん、腎臓がん、胆管がん、前立腺がん、精巣がん、結腸がん、膀胱がん、子宮頸がん、気管支がん、黒色腫、腺がん、汗腺がん、乳頭がん、乳頭状腺がん、扁平上皮がん、基底細胞がん、嚢胞性腺がん、グリア細胞がん、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経芽細胞管腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫瘍、血管芽細胞腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経線維腫、線維肉腫、線維芽細胞腫、線維腫、粘液肉腫、粘液嚢胞腫瘍、脂肪腫、脂肪腺腫、軟骨肉腫、軟骨がん、軟骨筋腫、脊索腫、絨毛腺腫、絨毛血管腫、脈絡上皮腫、絨毛芽細胞腫、骨肉腫、骨芽細胞腫、破骨細胞腫、骨軟骨線維腫、骨軟骨肉腫、大腿嚢胞腫瘍、骨歯牙腫、骨線維腫、骨線維肉腫、血管腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管腫、リンパ腫、内皮腫、滑膜腫、滑膜肉腫、中皮腫、結合組織腫瘍、ユーイング腫瘍、平滑筋腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性白血病、多血症、多発性骨髄腫を含む様々な腫瘍、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、乾癬、エリテマトーデス、カポジ肉腫、特異性反応性角膜炎、流行性角結膜炎、血管新生緑内障、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原虫感染症、分岐細菌感染症、多発性動脈炎、サルコイド、強膜炎、潮紅、口と目の乾燥、関節炎症候群、全身性エリテマトーデス、エイズ症候群、梅毒などが含まれる。
【0024】
同時に、本発明は、チューブリン凝集阻害剤の調製における、一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、及びその水和物又はその薬学的に許容される塩の水和物、及びその溶媒和物又はその薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体の応用を更に開示する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の例示的な実施形態を詳しく説明する。これらの実施形態は説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0026】
以下は、本明細書で使用される用語の定義である。
【0027】
特に明記しない限り、本特許で提供される基又は用語についての最初の定義は、単独で使用されるか別の基の一部として使用されるかに関わらず、明細書全体に記載される基又は用語に適用される。
【0028】
「アルキル基」という用語は、1個~20個の炭素原子、好ましくは1個~6個の炭素原子、特にメチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基及びイソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、イソブチル基及びtert-ブチル基)などを有する直鎖又は分岐鎖の非置換の炭化水素基を指す。
【0029】
「アルケニル基」という用語は、ビニル基、プロペニル基、1,3-ブタジエン、シスブテン、トランスブテンなど、1つ又は複数の炭素-炭素二重結合を有するオレフィンを指す。
【0030】
「アルキニル基」という用語は、エチニル基、プロピニル基など、1つ又は複数の炭素-炭素三重結合を有するアルキンを指す。
【0031】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0032】
ヒドロキシ基という用語は、基-OHを指す。
【0033】
カルボキシ基という用語は、基-COOHを指す。
【0034】
アミノ基という用語は、基-NH2を指す。
【0035】
ニトロ基という用語は、基-NO2を指す。
【0036】
アルコキシ基という用語は、基-OR4を指し、そのうち、R4はアルキル基を指す。
【0037】
カルバモイル基という用語は、基R5C(=O)NH2を指し、そのうち、R5はアルキル基を指す。
【0038】
シアノ基という用語は、基-CNを指す。
【0039】
アミド基という用語は、基-C(=O)NH-を指す。
【0040】
アルコキシカルボニル基という用語は、基-C(=O)OR6を指し、そのうち、R6はアルキル基を指す。
【0041】
アシルオキシ基という用語は、基-OC(=O)R7を指し、そのうち、R7はアルキル基を指す。
【0042】
メルカプト基という用語は、基-SHを指す。
【0043】
「置換された」は、後述の基が幾つかの一般的な基(水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボキシ基、アミド基など)によって置換可能であることを意味する。
【0044】
「選択可能的に」は、後述の事象又は状況が発生する可能性があること、又は発生しないことを意味し、説明されているものには、上記事象又は状況が発生する例及び発生しない例が含まれている。
【0045】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」には、全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれている。薬学的な活性物質に対するこのような媒体や薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性成分と不適合でない限り、治療組成物における応用が予期できる。補充した活性成分も組成物に組み込むことができる。
【0046】
実施例1
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンの合成
【化3】
【0047】
ステップ1:臭化トリメトキシベンジルトリフェニルホスフィンの合成
3,4,5-トリメトキシベンジルアルコール320gを2Lのトルエンに溶解し、撹拌溶解後に-5℃~0℃に降温し、定圧滴下ロートで100mLの臭化リンを滴下し、反応温度を-5℃~0℃に保持した。滴下完了後、低温で2h反応させ続け、更に室温に戻し、一晩反応させた。
精製水1.4Lを加えて反応をクエンチし、30min撹拌し、静置して分液した。上層有機相を取って飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH値が7.5~8になるまで洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥してろ過し、トリメトキシベンジルブロマイドのトルエン溶液を得た。
この溶液にトリフェニルホスフィン0.56kgを加え、48h以上撹拌し、固体が析出し、ろ過して粗生成物を得た。更に無水エタノールで再結晶させた。
【0048】
ステップ2:(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-エトキシフェニル)エチレンの合成
反応釜において、アルゴンガスを通じて保護し、臭化トリメトキシフェニルメチレントリフェニルホスフィン15gを300mLの無水THFに溶解し、-15℃程度に冷却し、1.6mol/Lのn-ブチルリチウムシクロヘキサン溶液22mLを滴下し、1h反応させた。次に5.7gの3-ニトロ-4-エトキシベンズアルデヒドのTHF溶液24mLを反応液に徐々に滴下した。反応温度を室温に徐々に昇温し、一晩撹拌し、TLCプレートで追跡した。反応終了後に反応を-5℃に降温し、飽和食塩水を加えて反応をクエンチした。分液し、有機層を濃縮・乾燥し、シリカゲルカラム(n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にかけて分離して6.5gの淡黄色結晶、即ち(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ニトロ-4-エトキシフェニル)エチレンを得て、収率は50%~60%であった。
乾燥した1Lの四口フラスコにアルゴンガスを通じて保護し、700mLの無水イソプロパノールを加えた後、ジブロモジオクチルビピリジン10g及び金属サマリウム粉末24gを慎重に加え、最後に(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ニトロ-4-エトキシフェニル)エチレン10gを加え、撹拌しながら加熱して還流し、反応終了までTLCプレートで反応を追跡した。反応終了後、吸引ろ過してろ液を濃縮し、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)にかけた。収率は30%~40%であった。
【0049】
ステップ3:(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ブロモプロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンの合成
10gの(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-エトキシフェニル)エチレンを無水エタノールに溶解し、20gのDMTMMを加え、透明になるまで溶解した後、更に5.58gのブロモプロピオン酸を加えた。室温で反応させ、TLCプレートで追跡した。反応終了後に迅速に低温で濃縮・乾燥し、酢酸エチルを加えて溶解し、水で洗浄した。洗浄後に有機相を合わせ、濃縮・乾燥後に酢酸エチル:石油エーテル=1:4で再結晶させ、白色又は類黄色固体を得て、収率は60%~70%であった。
【0050】
ステップ4:(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンの合成
2gの(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ブロモプロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを秤量して10mLのエタノールに溶解し、0.53gのジプロピルアミン及び2mLのトリエチルアミンを加え、60℃に昇温して撹拌しながら反応させた。TLCプレートで追跡した。反応終了後、濃縮・乾燥し、酢酸エチル:石油エーテル=1:6で常圧下でシリカゲルカラムにかけた。濃縮・乾燥後に1.65gの白色結晶、即ち(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを得て、収率は80%程度であった。
MS(m/Z)=484.30。1HNMR(ppm)δ:7.08(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);4.18(q,2H,-CH2);3.86(s,3H,4-OCH3);3.70(s,6H,3,5-OCH3);2.74(t,2H,-CH2));2.36(dt,4H,-NCH2-);2.33(t,2H,-COCH2);1.43(m,4H,-CH2-);1.33(t,3H,-CH3);0.96(t,6H,-CH3)。
【0051】
実施例2
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン塩酸塩の調製
1gの(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを10mLのメタノールに溶解し、0.2mLの塩酸を加え、35℃に加熱して1h撹拌した。冷却後に濃縮・乾燥し、10mLの水を加えて10min撹拌した後に一晩静置した。吸引ろ過し、得られた白色のろ過ケーキを凍結乾燥した後、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン塩酸塩を得た。
【0052】
実施例3
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレンの調製
【化4】
【0053】
ステップ1:臭化トリメトキシベンジルトリフェニルホスフィンの合成
3,4,5-トリメトキシベンジルアルコール320gを2Lのトルエンに溶解し、撹拌溶解後に-5℃~0℃に降温し、定圧滴下ロートで100mLの臭化リンを滴下し、反応温度を-5℃~0℃に保持した。滴下完了後、低温で2h反応させ続け、更に室温に戻し、一晩反応させた。
精製水1.4Lを加えて反応をクエンチし、30min撹拌し、静置して分液した。上層有機相を取って飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH値が7.5~8になるまで洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥してろ過し、トリメトキシベンジルブロマイドのトルエン溶液を得た。
この溶液にトリフェニルホスフィン0.56kgを加え、48h以上撹拌し、固体が析出し、ろ過して粗生成物を得た。更に無水エタノールで再結晶させた。
【0054】
ステップ2:(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-メトキシフェニル)エチレンの合成
反応釜において、アルゴンガスを通じて保護し、臭化トリメトキシフェニルメチレントリフェニルホスフィン15gを300mLの無水THFに溶解し、-15℃程度に冷却し、1.6mol/Lのn-ブチルリチウムシクロヘキサン溶液22mLを滴下し、1h反応させた。次に5.5gの3-ニトロ-4-メトキシベンズアルデヒドのTHF溶液24mLを反応液に徐々に滴下した。一晩撹拌し、反応温度を室温に徐々に昇温し、TLCプレートで追跡した。翌日、反応を-5℃に降温し、飽和食塩水を加えて反応をクエンチした。分液し、有機層を濃縮・乾燥し、シリカゲルカラム(n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にかけて分離して6.0gの淡黄色結晶、即ち(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ニトロ-4-メトキシフェニル)エチレンを得て、収率は50%~60%であった。
乾燥した1Lの四口フラスコにアルゴンガスを通じて保護し、700mLの無水イソプロパノールを加えた後、ジブロモジオクチルビピリジン10g及び金属サマリウム粉末24gを慎重に加え、最後に(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ニトロ-4-メトキシフェニル)エチレン10gを加え、撹拌しながら加熱して還流し、反応終了までTLCドットプレートで反応を追跡した。反応終了後、吸引ろ過してろ液を濃縮し、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)にかけた。収率は30%~40%であった。
【0055】
ステップ3:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレンを合成した。MS(m/Z)=470.28。1HNMR(ppm)δ:7.08(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);3.86(s,3H,4-OCH3);3.73(s,3H,-OCH3);3.70(s,6H,3,5-OCH3);2.74(t,2H,-CH2);2.36(dt,4H,-NCH2-);2.33(t,2H,-COCH2);1.43(m,4H,-CH2-);0.96(t,6H,-CH3)。
【0056】
実施例4
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-エチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンの調製
【化5】
【0057】
ステップ1:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ブロモプロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0058】
ステップ2:(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-エチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンの合成
2gの(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ブロモプロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを秤量して10mLのエタノールに溶解し、0.56gのジエチルアミン及び2mLのトリエチルアミンを加え、60℃に昇温して撹拌しながら反応させた。TLCプレートで追跡した。反応終了後、濃縮・乾燥し、酢酸エチル:石油エーテル=1:6で常圧下でシリカゲルカラムにかけた。濃縮・乾燥後に1.65gの白色結晶、即ち(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-エチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを得て、収率は80%程度であった。
MS(m/Z)=456.26。1HNMR(ppm)δ:7.08(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);4.18(q,2H,-CH2);3.86(s,3H,4-OCH3);3.70(s,6H,3,5-OCH3);3.68(t,2H,-CH2N=);3.01(dt,4H,-NCH2-);2.55(t,2H,-COCH2);1.33(t,3H,-CH3);1.15(t,6H,-CH3)。
【0059】
実施例5
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンの調製
【化6】
【0060】
ステップ1:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ブロモプロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0061】
ステップ2:(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンの合成
2gの(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ブロモプロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを秤量して10mLのエタノールに溶解し、0.56gのジブチルアミン及び2mLのトリエチルアミンを加え、60℃に昇温して撹拌しながら反応させた。TLCプレートで追跡した。反応終了後、濃縮・乾燥し、酢酸エチル:石油エーテル=1:6で常圧下でシリカゲルカラムにかけた。濃縮・乾燥後に1.65gの白色結晶、即ち(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを得て、収率は80%程度であった。
MS(m/Z)=512.33。1HNMR(ppm)δ:7.08(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);4.18(q,2H,-CH2);3.86(s,3H,4-OCH3);3.70(s,6H,3,5-OCH3);2.74(t,2H,-CH2);2.36(dt,4H,-NCH2-);2.33(t,2H,-COCH2);1.40(m,4H,-CH2-);1.35(m,4H,-CH2-);1.33(t,3H,-CH3);0.96(t,6H,-CH3)。
【0062】
実施例6
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレンの調製
【化7】
【0063】
ステップ1:実施例3に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-ブロモプロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0064】
ステップ2:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレンを合成した。MS(m/Z)=498.31。1HNMR(ppm)δ:7.08(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);3.86(s,3H,4-OCH3);3.73(s,3H,-OCH3);3.70(s,6H,3,5-OCH3);2.74(t,2H,-CH2);2.36(dt,4H,-NCH2-);2.33(t,2H,-COCH2);1.40(m,4H,-CH2-);1.33(m,4H,-CH2-);0.96(t,6H,-CH3)。
【0065】
実施例7
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-トリフルオロエトキシフェニル)エチレンの調製
【化8】
【0066】
ステップ1:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-トリフルオロエトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0067】
ステップ2:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-トリフルオロエトキシフェニル)エチレンを合成した。MS(m/Z)=538.27。1HNMR(ppm)δ:7.08(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);4.46(d,2H,-OCH2CF3);3.86(s,9H,3,4,5-OCH3);2.74(t,2H,-CH2);2.36(dt,4H,-NCH2-);2.33(t,2H,-COCH2);1.40(m,4H,-CH2-);0.96(t,6H,-CH3)。
【0068】
実施例8
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレンの調製
【化9】
【0069】
ステップ1:実施例3に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0070】
ステップ2:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレンを合成した。MS(m/Z)=506.26。1HNMR(ppm)δ:7.36(d,1H,-CHF2);7.08(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);3.73(s,9H,3,4,5-OCH3);2.74(t,2H,-CH2);2.36(dt,4H,-NCH2-);2.33(t,2H,-COCH2);1.43(m,4H,-CH2-);0.96(t,6H,-CH3)。
【0071】
実施例9
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-トリフルオロエトキシフェニル)エチレンの調製
【化10】
【0072】
ステップ1:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-トリフルオロエトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0073】
ステップ2:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-トリフルオロエトキシフェニル)エチレンを合成した。MS(m/Z)=566.30。1HNMR(ppm)δ:7.08(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);4.46(d,2H,-OCH2CF3);3.86(s,9H,3,4,5-OCH3);2.74(t,2H,-CH2);2.36(dt,4H,-NCH2-);2.33(t,2H,-COCH2);1.40(m,4H,-CH2-);1.33(m,4H,-CH2-);0.96(t,6H,-CH3)。
【0074】
実施例10
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレンの調製
【化11】
【0075】
ステップ1:実施例3に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0076】
ステップ2:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレンを合成した。MS(m/Z)=534.29。1HNMR(ppm)δ:7.36(d,1H,-CHF2);7.08(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);3.73(s,9H,3,4,5-OCH3);2.74(t,2H,-CH2);2.36(dt,4H,-NCH2-);2.33(t,2H,-COCH2);1.39(m,4H,-CH2-);1.33(m,4H,-CH2-);0.96(t,6H,-CH3)。
【0077】
実施例11
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンの調製
【化12】
【0078】
ステップ1:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-エトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0079】
ステップ2:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを合成した。MS(m/Z)=488.25。1HNMR(ppm)δ:7.68(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);3.98(-OCH2-);3.86(s,3H,4-OCH3);3.70(s,6H,3,5-OCH3);3.63(q,4H,-CH2OH);2.74(q,2H,-CH2N-);2.55(dt,4H,-NCH2-);2.33(q,2H,-COCH2-);1.33(q,3H,-CH3)。
【0080】
実施例12
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレンの調製
【化13】
【0081】
ステップ1:実施例3に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-メトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0082】
ステップ2:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレンを合成した。MS(m/Z)=474.24。1HNMR(ppm)δ:7.68(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);3.86(s,3H,4-OCH3);3.70(s,9H,3,3’,5-OCH3);3.63(q,4H,-CH2OH);2.74(q,2H,-CH2N-);2.55(dt,4H,-NCH2-);2.33(q,2H,-COCH2-)。
【0083】
実施例13
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(2,2-ジフルオロエチルアミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンの調製
【化14】
【0084】
ステップ1:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-エトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0085】
ステップ2:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(2,2-ジフルオロエチルアミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを合成した。MS(m/Z)=464.21。1HNMR(ppm)δ:7.68(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);5.39(t,1H,-CHF2);3.98(q,2H,-OCH2);3.86(s,3H,4-OCH3);3.70(s,6H,3,5-OCH3);2.93(m,2H,-CH2-);2.91(t,2H,-NCH2-);2.35(t,2H,-COCH2);1.33(t,3H,-CH3)。
【0086】
実施例14
(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(2,2-ジメトキシエチルアミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンの調製
【化15】
【0087】
ステップ1:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-エトキシフェニル)エチレンを合成した。
【0088】
ステップ2:実施例1に示される方法に従って、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(2,2-ジメトキシエチルアミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンを合成した。MS(m/Z)=488.25。1HNMR(ppm)δ:7.68(d,1H,2’-H);6.92(d,1H,6’-H);6.76(d,1H,5’-H);6.62(s,2H,2,6’-H);6.49(d,1H,J=12.2Hz,1a-H);6.43(d,1H,J=12.2Hz,1a’-H);4.43(t,1H,-CH-);3.98(q,2H,-OCH2-);3.86(s,3H,4-OCH3);3.70(s,6H,3,5-OCH3);3.24(s,6H,-OCH3);2.93(t,2H,-NCH2-);2.85(t,2H,-CH2-);2.35(t,2H,-COCH2);1.33(t,3H,-CH3)。
【0089】
実施例15 薬物製剤の配合
本発明は、新生血管の異常増殖に関連する疾患の幾つかの薬物の組み合わせの配合を提供し、その薬物の組み合わせは、主に錠剤、カプセル剤などの経口製剤を含む。以下の「活性化合物」は、本発明に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、及びその水和物又はその薬学的に許容される塩の水和物、及びその溶媒和物又はその薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体である。
【表1】
【表2】
【表3】
【0090】
実施例16 動物急性毒性試験
体重23±2gクリーングレード、雄のICRマウスを選択した。投与経路は、臨床計画の経口経路と一致する胃内(ig)投与を採用した。
体重に応じて、マウスを無作為に8群に分けた:それぞれブランク対照群、実施例1群、実施例5群、実施例11群、実施例12群、実施例13群、実施例14群及び対照物群であり、そのうち対照物群はアミノコンブレタスタチンセリンアミド塩酸塩を対照物(以下、対照物と称する)として使用した。
【0091】
実施例群で使用される薬物の調製:実施例2で開示された塩酸塩の方法に従って、実施例1、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6、実施例7、実施例8、実施例9、実施例10、実施例11、実施例12、実施例13、実施例14で得られた化合物を塩酸塩生成物に調製した。
【0092】
対照物の調製:アミノエトキシコンブレタスタチン(即ち、本特許の実施例1のステップ2で得られた生成物)を原料として、以下の方法で調製した。
(1)アミノエトキシコンブレタスタチン、Fmoc-セリン、DCC及びHOBtをDMFに溶解した。撹拌しながら、反応混合物を室温で5時間反応させ、TLCで追跡した。反応完了後、冷却し、酢酸エチルを加えて希釈し、均一に混合した。ろ過し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。次に、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより分離されて白色泡状物質を得た。
(2)上記で得られた(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-(3-アミノ-4-エトキシフェニル)-エチレン-Fmoc-セリンアミドを取ってメタノールとジクロロメタンの混合溶媒に溶解した。撹拌しながら、2Nの水酸化ナトリウム溶液を加え、室温で24時間反応させ、TLCで追跡した。反応完了後、冷却し、飽和塩化ナトリウム溶液を加え、均一に混合した。ジクロロメタンで3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。次に、常圧下でカラムクロマトグラフィーにより分離されて無色泡状物質を得た。
【0093】
予備実験:上記マウス48匹を採取し、実験の12h前に断水せずに断食させ、体重に応じて無作為に群分けし、各群10匹であった。各薬物群は、0.25mL/10gのマウス体重に応じて1回胃内投与され、水対照群には等体積の蒸留水を胃内投与した。LD100値(100%死亡量)、LD0(0死亡量)及び対応する用量群間隔r値を調べ、LD50測定を行った。
【0094】
正式な実験:上記マウス160匹を採取し、体重に応じて無作為に8群に分け、各群20匹であった。実験の12h前に断水せずに断食させ、各投与群は、0.3mL/10gのマウス体重に応じて1回胃内投与され、12h後に死亡が認められかなったため、2回目の投与を行い、対照群には等体積の水を胃内投与した。1日以内の各群の投与量を計算し、対照群には等体積の水を胃内投与し、急性毒性実験反応を行って、マウスの毎日の体重を14d以内に観察して記録した。計算により、各薬物の経口LD
50の計算結果は表1に示される。
【表4】
【0095】
結果により、本発明に示される化合物はアミノコンブレタスタチンのアミノ側鎖が改善された後、マウスのLD50が5倍~6倍向上したことが示され、本発明に示される化合物は急性毒性を顕著に低減することができ、臨床使用の安全性が大幅に向上したことが示された。
【0096】
実施例17 ヌードマウス移植腫瘍の治療効果実験
BALB/cA-nudeヌードマウスは、6週齢~7週齢、雌、上海斯莱克実験動物有限責任公司から購入された。ヌードマウスの皮下に、ヒト肝臓がんBel-7402細胞、結腸がんHT-29細胞、胃がんSGC-7901細胞及び非小細胞肺がんA549細胞をそれぞれ接種し、腫瘍が100mm
3~250mm
3に増殖した後、動物を無作為に群分けした(d0)。週に2回~3回で腫瘍体積を測定し、マウスの体重を量り、データを記録した。腫瘍体積(V)の計算式は、次の通りである。
V=1/2×a×b
2
T/C(%)=(T-T
0)/(C-C
0)×100
そのうち、a、bはそれぞれ長さと幅を表し、T、Cは実験終了時の腫瘍体積であり、T0、C0は実験開始時の腫瘍体積であった。
被験サンプルを全て、50%のPEG400蒸留水で必要な濃度に希釈した。投与方法は1日1回投与、50mg/kgのマウスに胃内投与し、対照物には50mg/kgのマウスに連続21日投与した。実施例2で開示された方法に従って、実施例1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、対照物で得られた化合物をそれぞれ調製し、対応する化合物の塩酸塩を形成して投与薬物として使用され、ヒト肝臓がんBel-7402、結腸がんHT-29細胞、胃がんSGC-7901細胞及び非小細胞肺がんA549細胞のヌードマウス移植腫瘍に対する治療効果を考察し、対照物(調製方法は実施例16と同じ)と比較した。結果は表2に示される。
【表5】
【0097】
結論:本発明に示される化合物は、胃内投与の条件下でヒト肝臓がんBel-7402、結腸がんHT-29細胞、胃がんSGC-7901細胞及び非小細胞肺がんA549細胞のヌードマウス移植腫瘍の増殖を顕著に阻害することができ、且つその阻害率は対照物よりも顕著に向上した。
【0098】
上記の記述は、本発明の具体的な実施形態である。当業者にとっては、本発明の原理から逸脱することなく、更に幾つかの改良や修飾を行うことができ、これらの改良や修飾も本発明の保護範囲と見なされるべきであると指摘すべきである。
【0099】
(付記)
(付記1)
一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体であって、前記一般式(I)の構造式は、
【化16】
であり、
そのうち、R
1は、C1-C3アルキル基又はC1-C3ハロアルキル基から選択され、
R
2、R
3は、それぞれ独立的にC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、又はC1-C6アルコール基から選択される、
一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体。
【0100】
(付記2)
前記R1は、メチル基、エチル基、ジフルオロメチル基、又はトリフルオロエチル基から選択され、
前記R2、R3は、それぞれ独立的にメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、プロペニル基、プロピニル基から選択され、特に好ましくは、前記R2=R3であり、更に好ましくは、R2、R3は、同時にメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、プロペニル基又はプロピニル基から選択される1つである、
ことを特徴とする、付記1に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体。
【0101】
(付記3)
前記化合物は、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、又は(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-エチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-トリフルオロエトキシフェニル)、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-プロピル)アミノ)プロピオンアミド)-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-トリフルオロエトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-n-ブチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-ジフルオロメトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロピオンアミド)-4-メトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(2,2-ジフルオロエチルアミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレン、(Z)-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2-((3-(2,2-ジメトキシエチルアミノ)プロピオンアミド)-4-エトキシフェニル)エチレンである、
ことを特徴とする、付記1に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体。
【0102】
(付記4)
前記薬学的に許容される塩は、1つ又はそれ以上の塩基性塩形成基と酸によって形成される塩であり、前記酸は有機酸及び/又は無機酸である、
ことを特徴とする、付記1に記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体。
【0103】
(付記5)
付記1~4の何れか1つに記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体により調製されて得られた薬物又は医薬組成物。
【0104】
(付記6)
前記薬物又は医薬組成物は、局所、経腸又は非経口投与剤形である、
ことを特徴とする、付記5に記載の薬物又は医薬組成物。
【0105】
(付記7)
一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体より調製されて得られた薬物又は医薬組成物は、錠剤又はカプセル剤である、
ことを特徴とする、付記6に記載の薬物又は医薬組成物。
【0106】
(付記8)
異常な新生血管による疾患を治療するための薬物の調製における、付記1~4の何れか1つに記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体の応用。
【0107】
(付記9)
チューブリン凝集阻害剤の調製における、付記1~4の何れか1つに記載の一般式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、その薬学的に許容される塩の水和物、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、及びその異性体の応用。