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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】電動弁及びアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
F16K31/04 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023531434
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2022014010
(87)【国際公開番号】W WO2023276342
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2021106941
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 貴之
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 秀
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111750127(CN,A)
【文献】特開2012-197849(JP,A)
【文献】特開2020-169728(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0068583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体を駆動する出力軸と、
前記弁体を収容する弁室を含む弁本体部と、
ステータとロータとを含むモータと、
前記ロータの回転数を減速して前記出力軸に伝達する減速機構と、を有し、
前記減速機構は、直列に接続され、少なくとも1つの不思議遊星歯車減速機構を含む複数の遊星歯車減速機構を有し、前記ステータが外装固定されるキャンの内部に配設され、
少なくとも2つの前記遊星歯車減速機構において、遊星歯車にそれぞれ噛合する少なくとも2つの固定リング歯車は、軸線方向に離間しており、薄肉筒状体を介して前記弁本体部に連結されている、
ことを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記ロータは、前記ロータに最も近い前記遊星歯車減速機構の太陽歯車と一体的に回転する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記ロータは、前記ロータに最も近い前記遊星歯車減速機構の遊星歯車を回転可能に支持するキャリアと一体的に回転する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項4】
前記出力軸に最も近い前記遊星歯車減速機構のキャリアに、前記出力軸が接合されている、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項5】
前記出力軸に最も近い前記遊星歯車減速機構の出力歯車部材に、前記出力軸が接合されている、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項6】
前記出力軸と前記弁体との間に、回転移動を直線移動に変換する変換機構が配置されている、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項7】
弁体を駆動する出力軸と、
ステータとロータとを含むモータと、
前記ロータの回転数を減速して前記出力軸に伝達する減速機構と、を有し、
前記減速機構は、直列に接続され、少なくとも1つの不思議遊星歯車減速機構を含む複数の遊星歯車減速機構を有し、前記ステータが外装固定されるキャンの内部に配設され、
少なくとも2つの前記遊星歯車減速機構において、遊星歯車にそれぞれ噛合する少なくとも2つの固定リング歯車は、軸線方向に離間しており、薄肉筒状体を介して前記弁体を収容する弁室を含む弁本体部に連結されている、
ことを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁及びアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動弁は、例えば流体の配管系統の途中に組み付けられて、流体の流路の開閉や流量制御を行うために使用されている(例えば、特許文献1参照)。このような電動弁においては、遊星歯車減速機構を用いて、弁本体に装着されたステッピングモータの回転数を減速して弁体に伝達することで、精度良い流量制御と閉弁時の密封性を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-197849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の電動弁においては、その構造上、オリフィスを通過する前後の流体の流れ方向が互いに交差するため、流れに抵抗が生じて、円滑な流れが阻害されるという問題がある。これに対して、例えばボール弁は、孔の空いた球形の弁体が、弁本体内で弁棒を軸に回転して流路を開閉するものであり、流路を一直線に形成できるため全開時には流体抵抗が小さいという利点がある。
【0005】
そこで、電動弁にボール弁を組み込むことが検討されている。しかしながら、一般的なボール弁は、流体漏れを防ぐために、球形の弁体と弁本体との間に比較的シール径の大きなシール部材が配置されており、弁体を回転駆動する際に、弁体とシール部材との間で大きな摺動抵抗が生じるため、これを超えるトルクで弁体を回転させなくてはならないという問題がある。
【0006】
従来用いていた遊星歯車減速機構の一タイプである、いわゆる不思議遊星歯車減速機構においては、例えば減速比が40程度の高い減速比が得られるが、それでもボール弁を駆動するには減速比が不十分であるおそれがある。これに対し、遊星歯車減速機構のギヤの歯数を増大させれば、減速比を増大させることができるが、それにより遊星歯車減速機構の外径が拡大し、電動弁の大型化を招くという問題がある。また、遊星歯車減速機構の減速比をさらに高めたいという要請は、ボール弁の使用の有無にかかわらず存在する。もちろん、昇降する弁体を有する電動弁においても減速比をさらに増大して流量の精密制御向上や閉弁時の密封性向上に対する要望もある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、コンパクトでありながら、高い減速比で弁体を駆動できる電動弁及びアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電動弁は、
弁体を駆動する出力軸と、
前記弁体を収容する弁室を含む弁本体部と、
ステータとロータとを含むモータと、
前記ロータの回転数を減速して前記出力軸に伝達する減速機構と、を有し、
前記減速機構は、直列に接続され、少なくとも1つの不思議遊星歯車減速機構を含む複数の遊星歯車減速機構を有し、前記ステータが外装固定されるキャンの内部に配設され、
少なくとも2つの前記遊星歯車減速機構において、遊星歯車にそれぞれ噛合する少なくとも2つの固定リング歯車は、軸線方向に離間しており、薄肉筒状体を介して前記弁本体部に連結されている、ことを特徴とする。
【0009】
本発明のアクチュエータは、
弁体を駆動する出力軸と、
ステータとロータとを含むモータと、
前記ロータの回転数を減速して前記出力軸に伝達する減速機構と、を有し、
前記減速機構は、直列に接続され、少なくとも1つの不思議遊星歯車減速機構を含む複数の遊星歯車減速機構を有し、前記ステータが外装固定されるキャンの内部に配設され、
少なくとも2つの前記遊星歯車減速機構において、遊星歯車にそれぞれ噛合する少なくとも2つの固定リング歯車は、軸線方向に離間しており、薄肉筒状体を介して前記弁体を収容する弁室を含む弁本体部に連結されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンパクトでありながら、高い減速比で弁体を駆動できる電動弁及びアクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動弁の開弁状態を示す縦断面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る電動弁の減速機構を分解して示す斜視図である。
図3図3は、本発明の第2の実施形態に係る電動弁の開弁状態を示す縦断面図である。
図4図4は、第2の実施形態に係る電動弁の減速機構を分解して示す斜視図である。
図5図5は、本発明の第3の実施形態に係る電動弁の開弁状態を示す縦断面図である。
図6図6は、第3の実施形態に係る電動弁の減速機構を分解して示す斜視図である。
図7図7は、本発明の第4の実施形態に係る電動弁の開弁状態を示す縦断面図である。
図8図8は、第4の実施形態に係る電動弁の減速機構を分解して示す斜視図である。
図9図9は、本発明の第5の実施形態に係る電動弁の開弁状態を示す縦断面図である。
図10図10は、第5の実施形態に係る電動弁の減速機構を分解して示す斜視図である。
図11図11は、本発明の第6の実施形態に係る電動弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る電動弁及びアクチュエータの実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書では、ロータ側を上方として説明し、弁体側を下方として説明する。ここで、不思議遊星歯車減速機構は、遊星歯車減速機構の一タイプであるとする。また、本明細書において、ロータに最も近い第1段減速部(または遊星歯車減速機構)に、ロータから最初に回転数が入力され、出力軸に最も近い最終段減速部(または遊星歯車減速機構)に連結された出力軸から、回転数が出力されるものとする。さらに、減速部(または遊星歯車減速機構)が「直列に接続される」とは、第N段減速部から出力される回転数が、第(N+1)段減速部に入力されることをいう。
本実施形態のアクチュエータとは、弁体を駆動する出力軸と、ステータとロータとを含むモータと、前記ロータの回転数を減速して前記出力軸に伝達する減速機構と、を有し、前記減速機構が、直列に接続され、少なくとも1つの不思議遊星歯車減速機構を含む複数の遊星歯車減速機構を有するものをいう。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動弁1の開弁状態を示す縦断面図である。図2は、第1の実施形態に係る電動弁1の減速機構6を分解して示す斜視図である。本実施形態の電動弁1は、例えば冷凍サイクルにおいて冷媒流量を調整するために用いられる。電動弁1の軸線をLとする。
【0014】
電動弁1は、主として、弁本体部2と、環状部材31を介して弁本体部2に固着されたキャン3と、弁本体部2の内部空間に配置された弁体4と、弁体4を駆動する回転を発生するステッピングモータ5と、キャン3の内部に配設されステッピングモータ5の回転数を減速して、出力軸7を介して弁体4に伝達する減速機構6とを備えている。
【0015】
弁本体部2は、例えば切削や鍛造もしくは鋳造等により作製された中空の金属製(本実施形態では真鍮製)であって、内部に弁室VCが画成される。弁本体部2には、弁室VCに向かって、軸線Lに沿って上方から延在する縦開口21が形成されている。また、弁室VCを挟んで、軸線Lに直交する軸線を持つ横開口22と雌ねじ孔23が、弁室VCに連通して形成されている。横開口22と雌ねじ孔23の軸線をOとする。
【0016】
横開口22には、第1配管T1が嵌合し、ロウ付けなどにより固定されている。また、雌ねじ孔23には、第2配管T2をロウ付けなどにより固定した継手24の雄ねじ24aが螺合している。継手24は、弁本体部2に結合されることで、弁本体部2の一部となる。
【0017】
弁室VC内に、球形の弁体4が、軸線L回りに回転可能に配置されている。弁体4は、軸線Lに直交する軸線を持つ円筒状の流路開口41と、弁体4の上方に形成された上方開口42とを有する。流路開口41と上方開口42とは、小穴43を介して連通している。このため、流路開口41内を通過する冷媒は、小穴43、及び出力軸7と上方開口42との隙間を介して、キャン3内部へと進入可能である。弁体4の外径は、雌ねじ孔23の内径より小さい。
【0018】
弁本体部2の縦開口21内には、出力軸7が相対回転可能に嵌合しており、出力軸7の下端から突出する縮径部71は、弁体4の上方開口42に相対回転不能に嵌合しており、出力軸7は弁体4と一体的に回転する。なお、上方開口42及び縮径部71の軸線Lに直交する断面形状を、対応する非円形状としてもよい。
【0019】
弁室VCの内壁には、横開口22の内方端近傍に、軸線Oを中心軸として環状のシール部材25が配置されている。また、継手24の弁室VCに対向する壁には、軸線Oを中心軸として環状のシール部材26が配置されている。好ましくは共通する形状を有するシール部材25,26の内周面は、球形状の一部であり、弁体4の外周面に密着して、弁体4との間を密封可能となっている。なお、シール部材25,26の内径は、流路開口41の外径より大きいため、弁体4の回転位置に関わらず、シール部材25,26と弁体4との間は密封される。
【0020】
ステッピングモータ5は、ヨーク51、ボビン52、コイル53、樹脂モールドカバー54等からなるステータ55と、キャン3の内部にキャン3に対して回転自在に配置され、ロータ支持部材56がその上部内側に固着されたロータ57と、を有している。ステータ55は、キャン3の外側に嵌合固定されている。
【0021】
減速機構6は、同軸に配置され直列に接続された、第1段減速部61と、第2段減速部62と、第3段減速部63とを有する。第1段減速部61は、ロータ57の内周側において、ロータ支持部材56に一体に形成された太陽歯車611と、弁本体部2の上部に固着された薄肉筒状体64を介して固定された固定リング歯車612の上部と、太陽歯車611と固定リング歯車612との間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車613と、遊星歯車613を回転自在に支持するキャリア614とを有し、これらにより第1遊星歯車減速機構を構成する。図2には便宜上ロータ57も含めているが、少なくともロータ57のうち太陽歯車611が減速機構6(第1段減速部61)の構成要素である。なお、図4、6、8、10も同様である。
【0022】
第2段減速部62は、第1段減速部61のキャリア614から軸線Lに沿って下方に延在する軸に一体に形成された太陽歯車621と、固定リング歯車612の中間部と、太陽歯車621と固定リング歯車612との間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車623と、遊星歯車623を回転自在に支持するキャリア624とを有し、これらにより第2遊星歯車減速機構を構成する。
【0023】
第3段減速部63は、第2段減速部62のキャリア624から軸線Lに沿って下方に延在する軸に一体に形成された太陽歯車631と、固定リング歯車612の下部と、太陽歯車631と固定リング歯車612との間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車633と、遊星歯車633を回転自在に支持するキャリア634と、遊星歯車633に歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材635とを有し、これらにより不思議遊星歯車減速機構(第3遊星歯車減速機構)を構成する。固定リング歯車612の歯数は、出力歯車部材635の歯数とは異なるように設定されている。
【0024】
本実施形態では、第1段減速部61と、第2段減速部62と、第3段減速部63とは、固定リング歯車612を共通としており、このため減速機構6のコンパクト化を図れる。なお、他の実施形態も同様であるが、最終段の遊星歯車減速機構に用いる遊星歯車(本実施形態では遊星歯車633)は、金属製であると好ましい。
【0025】
出力軸7の上端は、出力歯車部材635の底壁に形成された中央開口に、圧入により嵌合され、両者は一体的に回転可能となっている。出力軸7の上端中央に形成された孔72に、軸部材8の下端が圧入により嵌合している。軸部材8の上端は、キャン3の内径と略同一の外径を有し、ロータ支持部材56の上側でキャン3に内接して配置される支持部材81の中心孔に挿通されている。軸部材8は、ロータ支持部材56と、キャリア614と、キャリア624を貫通し、これらを相対回転可能に保持する。ロータ57自体は、支持部材81等によってキャン3の内部で上下動しないように保持されており、キャン3に外嵌固定されたステータ55との位置関係が常に一定に維持されている。
【0026】
(電動弁の動作)
弁体4の流路開口41の軸線が、軸線Oに対して直交するように、弁本体部2に対して弁体4を軸線L回りに回転させた(流路開口41が図1の紙面垂直方向を向く)状態では、シール部材25,26の外側に流路開口41が位置することとなり、第1配管T1および第2配管T2が弁室VC内で遮断される。このため、第1配管T1と第2配管T2との間で、冷媒の移動は行われない。この状態にある弁体4は、流路を遮断する遮断位置にある。
【0027】
かかる状態から、ステッピングモータ5のロータ57を回転駆動させると、ロータ57の回転数がロータ支持部材56を介して第1段減速部61の太陽歯車611に伝達され、第1の減速比で減速された回転数がキャリア614から出力される。
【0028】
さらに、キャリア614の受けた回転数が、第2段減速部62の太陽歯車621に伝達され、第2の減速比で減速された回転数がキャリア624から出力される。
【0029】
さらに、キャリア624の受けた回転数が、第3段減速部63の太陽歯車631に伝達され、第3の減速比で減速された回転数が出力歯車部材635から出力される。出力歯車部材635の回転数は、出力軸7に伝達され、これにより弁体4が軸線L回りに回転する。
【0030】
弁体4が90度回転すると、シール部材25,26の内側に流路開口41が位置することとなり、第1配管T1と第2配管T2とは弁室VCを介して開放される。かかる状態を維持することで、第1配管T1と第2配管T2との間で、冷媒の移動が行われる。流路開口41は、第1配管T1と第2配管T2に対してストレートにつながるため、冷媒の移動はスムーズに行われる。この状態にある弁体4は、流路を開放する開放位置にある。
【0031】
さらに、ステッピングモータ5のロータ57を回転駆動させると、シール部材25,26の外側に流路開口41が位置することとなり、第1配管T1および第2配管T2が弁室VC内で遮断されるため、第1配管T1と第2配管T2との間で、冷媒の移動は行われなくなる。
【0032】
本実施形態では、3つの遊星歯車減速機構を直列に接続した減速機構6を設けているため、第1の減速比と、第2の減速比と、第3の減速比とを掛け合わせてなる、高い減速比を実現できる。特に、遊星歯車減速機構のうち少なくとも一つを不思議遊星歯車減速機構とすることで、例えば減速比を100以上とすることができる。このため、ステッピングモータ5が発生する回転トルクが小さくても、弁体4とシール部材25,26との間に生じる大きな摺動抵抗に打ち勝って、弁体4を回転させることができる。
【0033】
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態に係る電動弁1Aの開弁状態を示す縦断面図である。図4は、第2の実施形態に係る電動弁1Aの減速機構6Aを分解して示す斜視図である。本実施形態において、弁本体部2、キャン3、弁体4、およびステッピングモータ5は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0034】
本実施形態においては、弁本体部2の上部に薄肉筒状体64Aを介して連結される固定リング歯車612A,622Aが、離間して同軸に固定され、固定リング歯車612A,622Aの間に、第1段減速部61Aの出力歯車部材615Aが配置されている。固定リング歯車612A,622Aは、同一外径及び同一歯数を有するが、異なる外径や異なる歯数を有していてもよい。
【0035】
減速機構6Aは、同軸に配置され直列に接続された、第1段減速部61Aと、第2段減速部62Aと、第3段減速部63Aとを有する。第1段減速部61Aは、ロータ57の内周側において、ロータ支持部材56Aに一体に形成された太陽歯車611Aと、固定リング歯車612Aと、太陽歯車611Aと固定リング歯車612Aとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車613Aと、遊星歯車613Aを回転自在に支持するキャリア614Aと、遊星歯車613Aに歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材615Aとを有し、これらにより不思議遊星歯車減速機構(第1遊星歯車減速機構)を構成する。固定リング歯車612Aの歯数は、出力歯車部材615Aの歯数とは異なるように設定されている。
【0036】
第2段減速部62Aは、第1段減速部61Aの出力歯車部材615Aから軸線Lに沿って下方に延在する軸に一体に形成された太陽歯車621Aと、固定リング歯車622Aの上部と、太陽歯車621Aと固定リング歯車622Aとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車623Aと、遊星歯車623Aを回転自在に支持するキャリア624Aとを有し、これらにより第2遊星歯車減速機構を構成する。
【0037】
第3段減速部63Aは、キャリア624Aから軸線Lに沿って下方に延在する軸に一体に形成された太陽歯車631Aと、固定リング歯車622Aの下部と、太陽歯車631Aと固定リング歯車622Aとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車633Aと、遊星歯車633Aを回転自在に支持するキャリア634Aとを有し、これらにより第3遊星歯車減速機構を構成する。出力軸7の上端は、キャリア634Aの底壁中央に形成された開口に嵌合し、両者は一体的に回転する。
【0038】
(電動弁の動作)
閉弁状態から、ステッピングモータ5のロータ57を回転駆動させると、ロータ57の回転数がロータ支持部材56Aを介して第1段減速部61Aの太陽歯車611Aに伝達され、第1の減速比で減速された回転数が出力歯車部材615Aから出力される。
【0039】
さらに、出力歯車部材615Aの受けた回転数が、第2段減速部62Aの太陽歯車621Aに伝達され、第2の減速比で減速された回転数がキャリア624Aから出力される。
【0040】
さらに、キャリア624Aの受けた回転数が、第3段減速部63Aの太陽歯車631Aに伝達され、第3の減速比で減速された回転数がキャリア634Aから出力される。キャリア634Aの回転数は、出力軸7に伝達され、これにより弁体4が軸線L回りに回転して開弁状態となる。
【0041】
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態に係る電動弁1Bの開弁状態を示す縦断面図である。図6は、第3の実施形態に係る電動弁1Bの減速機構6Bを分解して示す斜視図である。本実施形態において、弁本体部2、キャン3、弁体4、およびステッピングモータ5は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0042】
本実施形態においては、弁本体部2の上部に薄肉筒状体64Bを介して連結される固定リング歯車612B,622Bが、離間して同軸に固定され、固定リング歯車612B,622Bの間に、第1段減速部61Bの出力歯車部材615Bが配置されている。固定リング歯車612B,622Bは、同一外径及び同一歯数を有するが、異なる外径や異なる歯数を有していてもよい。
【0043】
また、ロータ支持部材56Bは、軸線Lに対して平行に複数の軸561Bを備え、軸561Bの周囲に、第1段減速部61Bの遊星歯車613Bが回転可能に支持されている。すなわち、ロータ支持部材56Bが、第1段減速部61Bにおけるキャリアとして機能する。
【0044】
減速機構6Bは、同軸に配置され直列に接続された、第1段減速部61Bと、第2段減速部62Bと、第3段減速部63Bとを有する。第1段減速部61Bは、軸部材8に対して回転可能に支持された太陽歯車611Bと、固定リング歯車612Bと、太陽歯車611Bと固定リング歯車612Bとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車613Bと、遊星歯車613Bを回転自在に支持するロータ支持部材56Bと、遊星歯車613Bに歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材615Bとを有し、これらにより不思議遊星歯車減速機構(第1遊星歯車減速機構)を構成する。固定リング歯車612Bの歯数は、出力歯車部材615Bの歯数とは異なるように設定されている。
【0045】
第2段減速部62Bは、第1段減速部61Bの出力歯車部材615Bから軸線Lに沿って下方に延在する軸に一体に形成された太陽歯車621Bと、固定リング歯車622Bの上部と、太陽歯車621Bと固定リング歯車622Bとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車623Bと、遊星歯車623Bを回転自在に支持するキャリア624Bとを有し、これらにより第2遊星歯車減速機構を構成する。
【0046】
第3段減速部63Bは、キャリア624Bから軸線Lに沿って下方に延在する軸に一体に形成された太陽歯車631Bと、固定リング歯車622Bの下部と、太陽歯車631Bと固定リング歯車622Bとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車633Bと、遊星歯車633Bを回転自在に支持するキャリア634Bとを有し、これらにより第3遊星歯車減速機構を構成する。出力軸7の上端は、キャリア634Bの底壁中央に形成された開口に嵌合し、両者は一体的に回転する。
【0047】
(電動弁の動作)
閉弁状態から、ステッピングモータ5のロータ57を回転駆動させると、ロータ57の回転数がロータ支持部材56Bに伝達され、キャリアであるロータ支持部材56Bが回転することで、遊星歯車613Bが太陽歯車611Bの周囲を公転し、それにより第1の減速比で減速された回転数が出力歯車部材615Bから出力される。
【0048】
さらに、出力歯車部材615Bの受けた回転数が、第2段減速部62Bの太陽歯車621Bに伝達され、第2の減速比で減速された回転数がキャリア624Bから出力される。
【0049】
さらに、キャリア624Bの受けた回転数が、第3段減速部63Bの太陽歯車631Bに伝達され、第3の減速比で減速された回転数がキャリア634Bから出力される。キャリア634Bの回転数は、出力軸7に伝達され、これにより弁体4が軸線L回りに回転して開弁状態となる。
【0050】
[第4の実施形態]
図7は、本発明の第4の実施形態に係る電動弁1Cの開弁状態を示す縦断面図である。図8は、第4の実施形態に係る電動弁1Cの減速機構6Cを分解して示す斜視図である。本実施形態において、弁本体部2、キャン3、弁体4、およびステッピングモータ5は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0051】
本実施形態においては、弁本体部2の上部に薄肉筒状体64Cを介して連結される固定リング歯車612C,622Cが、離間して同軸に固定され、固定リング歯車612C,622Cの間に、第1段減速部61Cの出力歯車部材615Cが配置されている。固定リング歯車612C,622Cは、同一外径及び同一歯数を有するが、異なる外径や異なる歯数を有していてもよい。
【0052】
また、出力歯車部材615Cは、軸線Lに対して平行に複数の軸616Cを備え、軸616Cの周囲に、第2段減速部62Cの遊星歯車623Cが回転可能に支持されている。すなわち、出力歯車部材615Cが、第2段減速部62Cにおけるキャリアの機能を有する。
【0053】
減速機構6Cは、同軸に配置され直列に接続された、第1段減速部61Cと、第2段減速部62Cとを有する。第1段減速部61Cは、ロータ57の内周側において、ロータ支持部材56Cに一体に形成された太陽歯車611Cと、固定リング歯車612Cと、太陽歯車611Cと固定リング歯車612Cとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車613Cと、遊星歯車613Cを回転自在に支持するキャリア614Cと、遊星歯車613Cに歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材615Cとを有し、これらにより不思議遊星歯車減速機構(第1遊星歯車減速機構)を構成する。固定リング歯車612Cの歯数は、出力歯車部材615Cの歯数とは異なるように設定されている。
【0054】
第2段減速部62Cは、軸部材8に対して回転可能に支持された太陽歯車621Cと、固定リング歯車622Cと、太陽歯車621Cと固定リング歯車622Cとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車623Cと、遊星歯車623Cを回転自在に支持する出力歯車部材615Cと、遊星歯車623Cに歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材625Cとを有し、これらにより不思議遊星歯車減速機構(第2遊星歯車減速機構)を構成する。固定リング歯車622Cの歯数は、出力歯車部材625Cの歯数とは異なるように設定されている。出力軸7の上端は、出力歯車部材625Cの底壁中央に形成された開口に嵌合し、両者は一体的に回転する。
【0055】
(電動弁の動作)
閉弁状態から、ステッピングモータ5のロータ57を回転駆動させると、ロータ57の回転数がロータ支持部材56Cを介して第1段減速部61Cの太陽歯車611Cに伝達され、第1の減速比で減速された回転数が出力歯車部材615Cから出力される。
【0056】
キャリアである出力歯車部材615Cが回転することで、遊星歯車623Cが太陽歯車621Cの周囲を公転し、それにより第2の減速比で減速された回転数が出力歯車部材625Cから出力される。出力歯車部材625Cの回転数は、出力軸7に伝達され、これにより弁体4が軸線L回りに回転して開弁状態となる。
【0057】
[第5の実施形態]
図9は、本発明の第5の実施形態に係る電動弁1Dの開弁状態を示す縦断面図である。図10は、第5の実施形態に係る電動弁1Dの減速機構6Dを分解して示す斜視図である。本実施形態において、弁本体部2、キャン3、弁体4、およびステッピングモータ5は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0058】
本実施形態においては、弁本体部2の上部に薄肉筒状体64Dを介して連結される固定リング歯車612D,622Dが、離間して同軸に固定され、固定リング歯車612D,622Dの間に、第1段減速部61Dの出力歯車部材615Dが配置されている。固定リング歯車612D,622Dは、同一外径及び同一歯数を有するが、異なる外径や異なる歯数を有していてもよい。
【0059】
また、ロータ支持部材56Dは、軸線Lに対して平行に複数の軸561Dを備え、軸561Dの周囲に、第1段減速部61Dの遊星歯車613Dが回転可能に支持されている。すなわち、ロータ支持部材56Dが、第1段減速部61Dにおけるキャリアの機能を有する。
【0060】
減速機構6Dは、同軸に配置され直列に接続された、第1段減速部61Dと、第2段減速部62Dとを有する。第1段減速部61Dは、軸部材8に対して回転可能に支持された太陽歯車611Dと、固定リング歯車612Dと、太陽歯車611Dと固定リング歯車612Dとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車613Dと、遊星歯車613Dを回転自在に支持するロータ支持部材56Dと、遊星歯車613Dに歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材615Dとを有し、これらにより不思議遊星歯車減速機構(第1遊星歯車減速機構)を構成する。固定リング歯車612Dの歯数は、出力歯車部材615Dの歯数とは異なるように設定されている。
【0061】
第2段減速部62Dは、第1段減速部61Dの出力歯車部材615Dから軸線Lに沿って下方に延在する軸に一体に形成された太陽歯車621Dと、固定リング歯車622Dと、太陽歯車621Dと固定リング歯車622Dとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車623Dと、遊星歯車623Dを回転自在に支持するキャリア624Dと、遊星歯車623Dに歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材625Dとを有し、これらにより不思議遊星歯車減速機構(第2遊星歯車減速機構)を構成する。固定リング歯車622Dの歯数は、出力歯車部材625Dの歯数とは異なるように設定されている。出力軸7の上端は、出力歯車部材625Dの底壁中央に形成された開口に嵌合し、両者は一体的に回転する。
【0062】
(電動弁の動作)
閉弁状態から、ステッピングモータ5のロータ57を回転駆動させると、ロータ57の回転数がロータ支持部材56Dに伝達され、キャリアであるロータ支持部材56Dが回転することで、遊星歯車613Dが太陽歯車611Dの周囲を公転し、それにより第1の減速比で減速された回転数が出力歯車部材615Dから出力される。
【0063】
さらに、出力歯車部材615Dの受けた回転数が、第2段減速部62Dの太陽歯車621Dに伝達され、第2の減速比で減速された回転数が出力歯車部材625Dから出力される。出力歯車部材625Dの回転数は、出力軸7に伝達され、これにより弁体4が軸線L回りに回転して開弁状態となる。
【0064】
[第6の実施形態]
図11は、本発明の第6の実施形態に係る電動弁1Eの閉弁状態を示す縦断面図である。本実施形態において、キャン3およびステッピングモータ5は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。電動弁1Eの軸線をLとする。
【0065】
本実施形態の電動弁1Eは、弁室VCの内部に形成された弁座15Eを有する弁本体部10Eと、ベースプレート31Eを介して弁本体部10Eに固着された有頂円筒形状のキャン3と、キャン3の外部に装備されるステータ55及びキャン3の内部に装備されるロータ57からなるステッピングモータ5と、ロータ57の回転数を減速して伝達する減速機構6Eと、前記弁座15Eに接離して流体の通過量を制御する弁体4Eと、減速機構6Eの出力ギヤの回転運動(回転移動)をねじ送り機構27Eを介して直線運動(直線移動)に変換して弁体4Eを駆動するねじ駆動部材22Eと、から構成される。
【0066】
弁本体部10Eには、弁室VCに連通する弁口16Eが形成されるとともに、その弁口16E側に第1配管T1がロウ付け等により接続され、弁室VCの側面に形成された開口に連通するように第2配管T2がロウ付け等により接続されている。第2配管T2の軸線をOとする。軸線Oは、軸線Lと直交する。
【0067】
また、弁本体部10Eの弁室VCの上部には、中央下端側に雌ねじ部13Eaが形成されたねじ軸受部材13Eが嵌挿され、圧入等により弁本体部10Eに固定されている。
【0068】
減速機構6Eは、同軸に配置され直列に接続された、第1段減速部61Eと、第2段減速部62Eとを有する。第1段減速部61Eは、ロータ57の内周側において、ロータ支持部材56Eに一体に形成された太陽歯車611Eと、弁本体部10Eの上部に固着された薄肉筒状体64Eを介して固定された固定リング歯車612Eの上部と、太陽歯車611Eと固定リング歯車612Eとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車613Eと、遊星歯車613Eを回転自在に支持するキャリア614Eとを有し、これらにより第1遊星歯車減速機構を構成する。
【0069】
第2段減速部62Eは、軸部材8に対して回転可能に支持された太陽歯車621Eと、固定リング歯車612Eの下部と、太陽歯車621Eと固定リング歯車612Eとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車623Eと、遊星歯車623Eを回転自在に支持するキャリア624Eと、遊星歯車623Eに歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材625Eとを有し、これらにより不思議遊星歯車減速機構(第2遊星歯車減速機構)を構成する。固定リング歯車612Eの歯数は、出力歯車部材625Eの歯数とは異なるように設定されている。
【0070】
軸部材8は、ロータ支持部材56E及び太陽歯車621Eを貫通して、これらを回転可能に保持しており、その軸部材8の上端は、キャン3の頂部内側に配置された支持部材81により支持されている。
【0071】
出力歯車部材625Eの底部中央には、ねじ駆動部材(出力軸)22Eの上部に形成された段付き円筒形状の出力軸部29Eの上部が圧入され、この出力軸部29Eの上部開口には、軸部材8の下端が圧入により嵌合している。
【0072】
ねじ軸受部材13Eの雌ねじ部13Eaには、ねじ駆動部材22Eの下部に形成された雄ねじ部22Eaが螺合されている。出力歯車部材625E(すなわち、ロータ57)の回転運動は、雄ねじ部22Eaと雌ねじ部13Eaとからなるねじ送り機構(変換機構)27Eにより、軸線Lに沿って直線運動に変換される。
【0073】
出力歯車部材625Eは、ねじ駆動部材22Eに一体に連結され、出力歯車部材625E(ロータ57)が回転すれば、出力歯車部材625Eとねじ駆動部材22Eは一体となって回転するとともに、弁本体部10Eに対して軸線Lに沿って直線運動する。出力歯車部材625Eの昇降に応じて、出力歯車部材625Eの底面上に載置されたキャリア624E及び遊星歯車623Eも昇降する。
【0074】
ねじ駆動部材22Eの直線運動は、ボール23Eとボール受座24Eとからなるボール状継手25Eを介して軸状の弁体4Eに伝達され、弁体4Eは、弁本体部10Eの内部に固定された段付き円筒形状のばねケース19Eにより案内されて、軸線L方向に移動する。ばねケース19Eと弁体4Eとの間には、圧縮コイルばね26Eが縮装されており、弁体4Eを常時開弁方向に付勢している。
【0075】
ステータ55の励磁によりロータ57が一方向に回転すれば、ねじ駆動部材22Eが下降することにより弁体4Eは弁座15Eに着座して閉弁状態となる。この状態にある弁体4は、流路を遮断する遮断位置にある。一方、ロータ57が他方向に回転すれば、ねじ駆動部材22Eが上昇することにより弁体4Eは弁座15Eから離間して開弁し、第1配管T1と第2配管T2との間で、弁室VCを介して冷媒が流れる。この状態にある弁体4Eは、流路を開放する開放位置にある。
【0076】
本実施形態では、2つの遊星歯車減速機構を直列に連結した減速機構6Eを設けているため、第1の減速比と、第2の減速比とを掛け合わせてなる、高い減速比を実現できるため、閉弁状態における弁体4Eと弁座15Eとの面圧を高めて、密封状態を向上させることができる。なお、減速機構6Eの代わりに、第1の実施形態~第5の実施形態で用いた減速機構を用いてもよい。
【0077】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の実施形態の任意の構成要素の変形が可能である。また、上述の実施形態において任意の構成要素の追加または省略が可能である。少なくとも1つの不思議遊星歯車減速機構を含む、複数の遊星歯車減速機構を直列に配置して、回転数を伝達可能に連結する限り、遊星歯車減速機構の数は問わない。
【符号の説明】
【0078】
1、1A、1B、1C、1D、1E 電動弁
2、10E 弁本体部
3 キャン
4、4E 弁体
5 ステッピングモータ
6、6A、6B、6C、6D、6E 減速機構
7 出力軸
8 軸部材
VC 弁室
T1 第1配管
T2 第2配管

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11