(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】有機材料用蒸発源、及び有機材料蒸着装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
C23C14/24 A
(21)【出願番号】P 2024003767
(22)【出願日】2024-01-15
【審査請求日】2024-01-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514208932
【氏名又は名称】株式会社テクノブレイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100178331
【氏名又は名称】津田 宏二
(72)【発明者】
【氏名】根岸 敏夫
【審査官】安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-325424(JP,A)
【文献】特開2012-126958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0084958(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0794343(KR,B1)
【文献】特開2006-225759(JP,A)
【文献】特開2012-251213(JP,A)
【文献】特開2017-025355(JP,A)
【文献】特開2005-050747(JP,A)
【文献】特開2009-087869(JP,A)
【文献】特開2009-084674(JP,A)
【文献】特開2009-084663(JP,A)
【文献】特開2009-084665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空槽内に配置され、種類が異なる有機材料を収容し当該有機材料を第1加熱手段により加熱し蒸発させる複数の蒸発部と、
前記真空槽内に配置され、容器の形状をなし、前記容器を区画し形成され前記複数の蒸発部で蒸発した有機材料を混合する混合領域、前記容器を区画しかつ前記混合領域と区画されて形成され、前記容器に形成された貫通孔を介して前記混合領域と繋がり前記混合領域で混合した蒸気が前記貫通孔を介して流入し当該蒸気を滞留させる滞留領域、前記滞留領域に面して形成され当該滞留領域で滞留させた蒸気を前記真空槽内に放出する複数の放出口を有する放出部と、を有し、
前記複数の放出口は、当該放出口から放出される有機材料の蒸気の量が、所定の基準位置を基準として二次元的位置に関して末広がり状に増加するように前記放出部の一部領域に形成されることで末広がり状に形成されている有機材料用蒸発源。
【請求項2】
前記放出部は、前記容器を区画し前記混合領域及び前記滞留領域と区画されて形成され、前記容器に形成された接続用孔を介して前記混合領域と繋がり前記複数の蒸発部で蒸発した有機材料が個別に流入する各区画室を有し、前記接続用孔を介して各区画室から各有機材料の蒸気が前記混合領域に流入する請求項1に記載の有機材料用蒸発源。
【請求項3】
前記放出部を加熱する第2加熱手段と、前記複数の蒸発部と前記放出部との間に位置された配管であり前記複数の蒸発部で蒸発した有機材料を前記放出部に送る接続部と、をさらに有し、前記接続部は、当該接続部を加熱する第3加熱手段を有し、
前記第1加熱手段は、各蒸発部での有機材料の蒸発速度を基に温度制御され、
前記第2及び第3加熱手段は、前記放出部内及び前記接続部内で有機材料の蒸気が結露しないように温度制御される請求項1又は2に記載の有機材料用蒸発源。
【請求項4】
前記複数の蒸発部と前記真空槽とを連通させて前記複数の蒸発部で蒸発した蒸気を当該複数の蒸発部から前記真空槽に排出可能にする排出手段をさらに有する請求項1に記載の有機材料用蒸発源。
【請求項5】
前記放出口の内径と高さの比が5以上かつ20以下である請求項1に記載の有機材料用蒸発源。
【請求項6】
前記複数の蒸発部の数は、2以上4以下である請求項1記載の有機材料用蒸発源。
【請求項7】
前記請求項
1に記載の有機材料用蒸発源を有し、前記有機材料用蒸発源から放出された有機材料を用いて、C-MOS半導体が形成されているSiウエハ基板に有機EL素子、又はイメージセンサー素子を形成する有機材料蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料用蒸発源、及び有機材料蒸着装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板に対して均一な膜厚分布の成膜が可能な有機材料用蒸発源、及び有機材料蒸着装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この有機材料用蒸発源では、ホスト材料を蒸発させるためのホスト蒸発源と、ドーパント材料を蒸発させるためのドーパント蒸発源とを有している。ここで、ホスト蒸発源及びドーパント蒸発源は、基板の回転中心軸を基準として末広がり形状(扇形状)に形成されており、対向する基板の投影面積内に納まるように、基板の回転中心軸の周方向にそれぞれ配置されている。
【0004】
そして、ホスト蒸発源及びドーパント蒸発源には、有機材料の蒸気を通過させるための蒸発口(放出口、吐出口)が複数形成されている。ホスト蒸発源及びドーパント蒸発源において、複数の蒸発口は、基板の回転中心軸を中心とした複数の同心円上に位置するように形成されている。
【0005】
ホスト蒸発源及びドーパント蒸発源にこのように複数の蒸発口が形成されていることで、蒸発口から放出される有機材料の蒸気の量が、基板の回転中心軸を基準として二次元的位置に関して末広がり状に増加する。これにより、基板に対して均一な膜厚分布の成膜が可能になっている。
【0006】
また、この有機材料用蒸発源は、ホスト蒸発源及びドーパント蒸発源を基板に対向して配置し当該基板に対する成膜が可能になっていることで、従来の有機材料用蒸発源のように蒸発源が基板に対してオフセンター配置になっていないため、有機材料の使用効率が高くなっている。
【0007】
さらに、ホスト蒸発源及びドーパント蒸発源からの有機材料の蒸気を基板に対してほぼ垂直に進入させることが可能になるため、デバイスの画素内の有機材料の充填率を高めることができるとともに、デバイスの画素の微細化が可能になる。
【0008】
例えば、AR(Augmented Reality、拡張現実)やVR(Virtual Reality、拡張現実)で使用されるユーザの装着デバイスで要求される2000~3000dpiの画素も実現可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の有機材料用蒸発源のホスト蒸発源及びドーパント蒸発源では、有期材料に含まれる水分も加熱され蒸発するが、その水蒸気がホスト蒸発源及びドーパント蒸発源の内圧を高くしてしまう。そのようになると、蒸発口での蒸気の流動が粘性流の流動になってしまい、蒸発口からの蒸気の放出方向は、様々な方向成分をもつようになる。その結果、ホスト蒸発源及びドーパント蒸発源からの有機材料の蒸気を、基板に対して垂直に進入させることが困難になってしまう。
【0011】
本発明の目的は、有機材料の蒸気の量を基板の回転中心軸を基準として末広がり状に増加させる技術において、蒸発源からの有機材料の蒸気を、基板に対して垂直に進入させることを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、真空槽内に配置され、種類が異なる有機材料を収容し当該有機材料を第1加熱手段により加熱し蒸発させる複数の蒸発部と、
前記真空槽内に配置され、容器の形状をなし、前記容器を区画し形成され前記複数の蒸発部で蒸発した有機材料を混合する混合領域、前記容器を区画しかつ前記混合領域と区画されて形成され、前記容器に形成された貫通孔を介して前記混合領域と繋がり前記混合領域で混合した蒸気が前記貫通孔を介して流入し当該蒸気を滞留させる滞留領域、前記滞留領域に面して形成され当該滞留領域で滞留させた蒸気を前記真空槽内に放出する複数の放出口を有する放出部と、を有し、前記複数の放出口は、当該放出口から放出される有機材料の蒸気の量が、所定の基準位置を基準として二次元的位置に関して末広がり状に増加するように前記放出部の一部領域に形成されることで末広がり状に形成されている有機材料用蒸発源である。
本発明の第2の態様では、前記放出部は、前記容器を区画し前記混合領域及び前記滞留領域と区画されて形成され、前記容器に形成された接続用孔を介して前記混合領域と繋がり前記複数の蒸発部で蒸発した有機材料が個別に流入する各区画室を有し、前記接続用孔を介して各区画室から各有機材料の蒸気が前記混合領域に流入することが好ましい。
【0013】
本発明の第3の態様では、前記放出部を加熱する第2加熱手段と、前記複数の蒸発部と前記放出部との間に位置された配管であり前記複数の蒸発部で蒸発した有機材料を前記放出部に送る接続部と、をさらに有し、前記接続部は、当該接続部を加熱する第3加熱手段を有し、前記第1加熱手段は、各蒸発部での有機材料の蒸発速度を基に温度制御され、前記第2及び第3加熱手段は、前記放出部内及び前記接続部内で有機材料の蒸気が結露しないように温度制御されることが好ましい。
【0014】
本発明の第4の態様では、前記複数の蒸発部と前記真空槽とを連通させて前記複数の蒸発部で蒸発した蒸気を当該複数の蒸発部から前記真空槽に排出可能にする排出手段をさらに有することが好ましい。
【0015】
本発明の第5の態様では、前記放出口の内径と高さの比が5以上かつ20以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の第6の態様では、前記複数の蒸発部の数は、2以上4以下であることが好ましい。
【0017】
前記課題を解決するために、本発明の第7の態様は、有機材料用蒸発源を有し、前記有機材料用蒸発源から放出された有機材料を用いて、C-MOS半導体が形成されているSiウエハ基板に有機EL素子、又はイメージセンサー素子を形成する有機材料蒸着装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の前記第1,2,7の態様によれば、有機材料用蒸発源、又は有機材料蒸着装置は、放出部において混合領域と滞留領域とを容器で区画することで当該混合領域と当該滞留領域とで内圧を分離することが可能になり、滞留領域内の蒸気の流動を分子流領域の流動にできる。有機材料用蒸発源は、滞留領域内の蒸気の流動を分子流領域の流動にできることで、放出口内の蒸気の流動も分子流領域の流動にでき、有機材料用蒸発源から放出される有機材料の蒸気を、真空槽内に配置されている基板に対して垂直に進入させることができる。
【0019】
本発明の前記第3の態様によれば、有機材料用蒸発源は、放出部内及び接続部内の温度を制御できるため、放出部内及び接続部内の有機材料の蒸気の流動を制御できる。また、有機材料用蒸発源は、第1乃至第3加熱手段を個別に備えてそれらを個別に制御することで、蒸発部での有機材料の蒸発速度を所望の速度の制御できる。
【0020】
本発明の前記第4の態様によれば、有機材料用蒸発源は、各蒸発部で蒸発した水蒸気を真空槽に排出することで、放出口から水蒸気を放出してしまうことを防止できる。これにより、有機材料用蒸発源は、成膜に水分が含まれてしまい有機材料が加水分解されてしまい、デバイスが劣化してしまうようなことを防止できる。
【0021】
さらに、本発明の前記第4の態様によれば、有機材料用蒸発源は、各蒸発部で蒸発した水蒸気を真空槽に排出する際に、各蒸発部内と真空槽とが連通状態になるため、各蒸発部の内圧も真空槽と同等な真空度にすることができる。これにより、接続部内や放出部内を流れる有機材料の蒸気が接続部内や放出部内で急激に減圧されて膨張してしまうようなことを防止でき、接続部内や放出部内での有機材料の蒸気の流動を適切に制御できる。
【0022】
本発明の前記第5の態様によれば、有機材料用蒸発源は、放出口から放出される有機材料の蒸気を基板に対して垂直に進入させることができる。
【0023】
本発明の前記第6の態様によれば、有機材料用蒸発源は、いわゆる1ホスト1ドーパント又は1ホスト2ドーパント、1ホスト3ドーパントの蒸発源を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、有機材料蒸着装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、放出板における複数の放出口の形成例を示す図である。
【
図3】
図3は、蒸発源の温度A、放出板の温度B,及び接続部の温度Cの変化、並びに有機材料の蒸発速度Dの変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、有機材料蒸着装置を挙げている。
【0026】
(構成)
図1は、有機材料蒸着装置1の構成の一例を示す図である。
【0027】
図1に示すように、有機材料蒸着装置1は、蒸発部10、及び蒸着部200を有している。蒸発部10、及び蒸着部200は、真空槽2内に配置されている。真空槽2内で、下部に蒸発部10が配置され、上部に蒸着部200が配置されている。真空槽2は、真空槽2の外部に設けられた図示しない真空排気装置によって10
-5(Pa)の真空度まで減圧可能とされている。
【0028】
蒸発部10は、ホスト蒸発源20、ドーパント蒸発源30、第1及び第2接続部40,50、放出部(吐出部)60を有している。蒸発部10では、ホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30、第1及び第2接続部40,50、並びに放出部60の順番で上方向に配置されている。
【0029】
ホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30は、横方向で隣接して配置されている。ホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30の上方に放出部60が配置されていて、ホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30は、第1及び第2接続部40,50によって放出部60と接続されている。
【0030】
ホスト蒸発源20は、有機系のホスト材料(蒸発材料)500を蒸発させるための蒸発源である。ホスト蒸発源20は、グラファイトからなる円筒形状の第1蒸発用容器(ルツボ)21を、上端が開口されている第1収容部22内に収容している。第1蒸発用容器21内にホスト材料500が充填されている。第1収容部22の周囲には、第1収容部22内に収容されている第1蒸発用容器21を加熱するためのコイル23が巻き付けられている。コイル23は、真空槽2の外部に設けられた図示しない電源から調整可能な電圧が印加される。これにより、第1蒸発用容器21は、コイル23への印加電圧が調整されて、ホスト材料500の蒸発に適した温度に調整される。
【0031】
また、第1収容部22の底部は、当該底部から放熱されないように断熱部材24によって断熱されている。さらに、第1収容部22の底部には、第1収容部22を上下動するための第1上下動機構25が設けられている。
【0032】
ドーパント蒸発源30は、有機系のドーパント材料(蒸発材料)600を蒸発させるための蒸発源である。ドーパント蒸発源30の基本構成は、ホスト蒸発源20と同様である。すなわち、ドーパント蒸発源30は、グラファイトからなる円筒形状の第2蒸発用容器(ルツボ)31を、上端が開口されている第2収容部32内に収容している。第2蒸発用容器31内にドーパント材料600が充填されている。ただ、第2収容部32及び第2蒸発用容器31は、第1収容部22及び第1蒸発用容器21よりも小径で小型のものである。第2収容部32の周囲には、第2収容部32内に収容されている第2蒸発用容器31を加熱するためのコイル33が巻き付けられている。コイル33は、真空槽2の外部に設けられた図示しない電源から調整可能な電圧が印加される。これにより、第2蒸発用容器31は、コイル33への印加電圧が調整されて、ドーパント材料600の蒸発に適した温度に調整される。
【0033】
また、第2収容部32の底部は、当該底部から放熱されないように断熱部材34によって断熱されている。さらに、第2収容部32の底部には、当該第2蒸発用容器31を上下動するための第2上下動機構35が設けられている。
【0034】
第1接続部40は、ホスト蒸発源20と放出部60とを接続する配管からなる。ホスト蒸発源20で蒸発したホスト材料が、第1接続部40によって、放出部60に送られる。
【0035】
ホスト蒸発源20の第1収容部22は、第1上下動機構25によって上下動されて第1接続部40に対して接離可能とされている。第1収容部22の上端部22aと第1接続部40の下端部40aとが接触した状態で、第1収容部22内及び第1蒸発用容器21内と第1接続部40内とが外部(真空槽2)に対して遮断された状態に保たれる。一方、第1接続部40の上端部40bは、放出部60に対して常時接続されている。
【0036】
第1接続部40は、円管部41と、当該円管部41の外周に沿って巻きつけられた加熱用のコイル42と、当該円管部41及び当該コイル42を収容する円管形状の保温部43とを有している。円管部41は、例えば、SUS又はアルミで構成されている。コイル42は、真空槽2の外部に設けられた図示しない電源から調整可能な電圧が印加される。これにより、第1接続部40は、コイル42への印加電圧が調整されて、温度が調整される。
【0037】
また、第2接続部50は、ドーパント蒸発源30と放出部60とを接続する配管からなる。ドーパント蒸発源30で蒸発したドーパント材料が、第2接続部50によって、放出部60に送られる。
【0038】
ドーパント蒸発源30の第2収容部32は、第2上下動機構35によって上下動されて第2接続部50に対して接離可能とされている。第2収容部32の上端部32aと第2接続部50の下端部50aとが接触した状態で、第2収容部32内及び第2蒸発用容器31内と第2接続部50内とが外部(真空槽2)に対して遮断された状態に保たれる。一方、第2接続部50の上端部50bは、放出部60に対して常時接続されている。
【0039】
第2接続部50は、第1接続部40と同様に、円管部51と、当該円管部51の外周に沿って巻きつけられた加熱用のコイル52と、当該円管部51及び当該コイル52を収容する円管形状の保温部53とを有している。円管部51は、例えば、SUS又はアルミで構成されている。コイル52は、真空槽2の外部に設けられた図示しない電源から電圧が印加される。これにより、第2接続部50は、コイル52への印加電圧が調整されて、温度が調整される。
【0040】
放出部60は、本体部70、放出板(吐出板)80、第1及び第2分散板90,100を有している。
【0041】
本体部70は、円盤形状をなした略容器形状をなしている。本体部70は、例えば、SUS又はアルミで構成されている。本体部70には、内周面の上下方向に円形の第1乃至第3溝部71,72,73が形成されて、底部70aを有する有底形状になっている。本体部70は、当該本体部70の外周に沿って巻きつけられた加熱用のコイル74と、当該本体部70及び当該コイル74を収容する保温材からなる保温部75とを有している。
【0042】
第1溝部71は、本体部70の上端に形成されている。第2溝部72は、第1溝部71よりも小さい直径で第1溝部71と同心円とされて当該第1溝部71の下に形成されている。第3溝部73は、第2溝部72よりも小さい直径で第1及び第2溝部72と同心円とされて当該第2溝部72の下に形成されている。
【0043】
放出板80は、平板の円盤形状をなしており、本体部70の第1溝部71を閉塞するように、本体部70の上端に取り付けられている。放出板80の直径は、蒸着部200に取り付けられる基板700の直径と同程度である。放出板80は、例えば、SUS又はアルミで構成されている。放出板80には、当該放出板80の厚さ方向に貫通する複数の放出口81が形成されている。
【0044】
図2は、放出板80における複数の放出口81の形成例を示す図である。
【0045】
図2に示すように、複数の放出口81は、放出板80の中心軸又は放出板80が対向する基板700の中心軸を中心とする直径が異なる複数の同心円80aに沿って配置されつつ、当該放出板80の径方向に向かって末広がり状になるように配置されている。これにより、複数の放出口81の数は、放出板80の外周側に近くなるほど多くなる。このように、放出板80の外周側に近くなるほど放出口81の数を多くすることで、蒸着部200において回転操作される基板700に対して、当該基板700の径方向でも均一の厚さに有機材料を蒸着させることを可能にしている。
【0046】
ここで、放出口81の直径は、例えば、1~3(mm)程度であるが、この値に限定されないことは言うまでもない。この放出口81は、オリフィスであり、所定のアスペクト比になるように設計されている。例えば、有機材料の種類等に応じて、アスペクト比で1~20、好ましくは、5~20になるように、放出口81の直径及び長さ(高さ、厚さ)が設計されている。なお、放出口81の長さが長すぎると、蒸発した有機材料が放出口81内でつまり易くなり、放出口81内での蒸発した有機材料の流れを分子流として保てなくなり、放出口81の長さが短すぎると、放出口81内での蒸発した有機材料の流れを分子流に保てるが、放出口81から吐出される蒸発した有機材料の入射角が大きくなってしまう。
【0047】
第1分散板90は、平板の円盤形状をなしており、本体部70の第2溝部72を閉塞するように、第1溝部71の下端に取り付けられている。第1分散板90は、例えば、SUS又はアルミで構成されている。放出板80と第1分散板90によって第1溝部71において閉塞された空部は、滞留室(滞留領域)76を形成している。第1分散板90には、中心に、厚さ方向に貫通する貫通孔91が形成されている。貫通孔91の直径は、例えば、5~10(mm)である。
【0048】
第2分散板100は、第1分散板90と同様、平板の円盤形状をなしている。第2分散板100は、第3溝部73を閉塞するように、第2溝部72の下端に設置されている。第2分散板100は、例えば、SUS又はアルミで構成されている。第1分散板90と第2分散板100によって第2溝部72において閉塞された空部は、混合室(混合領域)77を形成している。第2分散板100には、厚さ方向に貫通する第1及び第2貫通孔101,102が形成されている。第1貫通孔101は、第1接続部40の円管部41の中心軸に一致するように第2分散板100に形成されている。また、第2貫通孔102は、第2接続部50の円管部51の中心軸に一致するように第2分散板100に形成されている。第1及び第2貫通孔101,102の直径は、例えば、5~10(mm)である。
【0049】
本体部70の底部70aには、当該底部70aを貫通する第1及び第2接続用孔78,79が形成されている。第1接続用孔78と第2接続用孔79とは、底部70aにおいて周方向で180°離れた位置に形成されている。すなわち、第1接続用孔78と第2接続用孔79とは、本体部70の中心軸を介して対向する位置に形成されている。そして、第1接続用孔78は、例えば、放出板80に形成されている放出口81の直下に位置するように本体部70の底部70aに形成されている。第1接続用孔78に第1接続部40が接続され、第2接続用孔79に第2接続部50が接続されている。
【0050】
また、本体部70の底部70aと第2分散板100との間には、第2分散板100の直径方向に延びる仕切り部110が設けられている。仕切り部110は、本体部70の底部70aと第2分散板100とで形成される閉塞された空部を、第1接続用孔78が形成されている側と第2接続用孔79が形成されている側とを区画している。以下、第1接続用孔78が形成されている側の区画室を、第1区画室111といい、第2接続用孔79が形成されている側の区画室を、第2区画室112という。
【0051】
また、放出部60には、第1及び第2蒸発速度測定用センサ121、122が取り付けられている。第1蒸発速度測定用センサ121は、放出板80、第1及び第2分散板90,100を貫通して外部から挿入されており、その測定部が第1区画室111内に臨んでいる。第1蒸発速度測定用センサ121は、ホスト蒸発源20で蒸発したホスト材料の蒸発速度を測定する。また、第2蒸発速度測定用センサ122も、放出板80、第1及び第2分散板90,100を貫通して外部から挿入されており、その測定部が第2区画室112内に臨んでいる。第2蒸発速度測定用センサ122は、ドーパント蒸発源30で蒸発したドーパント材料の蒸発速度を測定する。なお、第1蒸発速度測定用センサ121は、放出口81を避けて放出部60に設けられている。
【0052】
また、放出部60は、本体部70の上面から側面にかけて周囲を断熱部材120で覆われており、さらに、断熱部材120の外周が、冷却部130で覆われている。断熱部材120及び冷却部130は、放出板80に形成されている放出口81に対応する部分が開口されている。断熱部材120は、主に、加熱されている放出部60の温度を維持し、冷却部130は、主に、加熱されている放出部60の熱が蒸着部200に伝わらないようにする。この冷却部130により、基板700の温度が所定の温度に保たれる。
【0053】
本体部70の上部には、シャッタ140が設けられている。シャッタ140は、板形状をなし、断熱部材120及び冷却部130の開口部の上方に位置されており、蒸着部200に対して放出部60の放出口81を開閉する。シャッタ140は、図示しないシャッタ開閉操作機構によって所定のタイミングで回動操作されて放出口81を開閉する。このシャッタ140の開閉操作によって、基板700に蒸着される膜厚を制御でき、さらに、不用意に放出部60の熱が蒸着部200に伝わるのを防止できる。
【0054】
蒸着部200は、基板700及びマスク220を操作するための回転操作機構210及び図示しないアライメント機構を有している。回転操作機構210は、基板700を回転させるための機構からなる。回転操作機構210は、円盤形状の基板ホルダ211を有しており、基板ホルダ211を回転させて基板ホルダ211に取り付けられた基板700を回転操作する。ここで、基板ホルダ211の回転中心、すなわち、基板700の回転中心は、放出板80の中心軸と一致している。ここで、基板700は、例えば、C-MOS半導体が形成されているSiウエハ基板である。
【0055】
また、アライメント機構は、基板700と当該基板700の下方に配置されるマスク220との位置関係を調整するための機構からなる。マスク220は、アライメント機構の図示しないマスクホルダに保持されており、マスクホルダが操作されて、位置決めがなされる。
【0056】
この蒸着部200の横方向に近傍に、膜厚センサ230が配置されている。膜厚センサ230は、基板700に蒸着された蒸着層(成膜)の厚さを推定するためのセンサである。
【0057】
(動作、作用等)
有機材料蒸着装置1における動作、及びその作用等の一例について説明する。
【0058】
先ず、有機材料蒸着装置1は、第1及び第2上下動機構25,35が駆動されて、ホスト蒸発源20(第1収容部22)の上端部と第1接続部40の下端部との間に所定の隙間が形成され、ドーパント蒸発源30(第2収容部32)の上端部と第2接続部50の下端部との間に所定の隙間が形成される。なお、この時点では、シャッタ140は閉じられた状態である。
【0059】
続いて、有機材料蒸着装置1は、図示しない真空排気装置が駆動されて、真空槽2内の圧力が10-5(Pa)の真空圧力に調整される。
【0060】
続いて、有機材料蒸着装置1は、放出部60、並びに第1及び第2接続部40,50のコイル74,42,52に電圧が印加されて、放出部60、並びに第1及び第2接続部40,50が所定の温度まで加熱される。ここで、所定の温度は、ホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30における温度が、ホスト蒸発源20のホスト材料、及びドーパント蒸発源30のドーパント材料は蒸発しないが、ホスト材料やドーパント材料に含まれている水分が蒸発する温度である。この所定の温度を所定の時間維持する。すなわち、有機材料蒸着装置1は、ホスト蒸発源20、及びドーパント蒸発源30で直接加熱することなく、放出部60、並びに第1及び第2接続部40,50の加熱後の温度だけで、ホスト材料やドーパント材料を加熱し、それらに含まれている水分だけを蒸発させる。これにより、ホスト蒸発源20、及びドーパント蒸発源30のホスト材料やドーパント材料に含まれている水分が蒸発し、水蒸気として、上述の隙間から真空槽2内に放出される。この際、真空槽2内の圧力が10-5(Pa)の真空圧力に維持されていることが確認される。
【0061】
ここで、
図3は、蒸発源の温度A、放出板80の温度B,及び接続部の温度Cの変化、並びに有機材料の蒸発速度Dの変化の一例を示す図である。左側の縦軸は、温度を示し、右側の縦軸は、蒸発速度を示す。横軸は、時間経過を示す。ここで、蒸発源は、ホスト蒸発源20、及びドーパント蒸発源30の何れかで良いが、例えば、ホスト蒸発源20とする。この場合、接続部は、第1接続部40になり、有機材料の蒸発速度は、第1区画室111で第1蒸発速度測定用センサによって測定されるホスト材料の蒸発速度である。
【0062】
図3に示すように、放出部60及び接続部が加熱されて、放出板80及び接続管の温度B,Cが高くなると、それにつられて蒸発源の温度Aも高くなるのがわかる。これにより、蒸発源の有機材料に含まれている水分が蒸発する。
【0063】
このようにして放出部60、並びに第1及び第2接続部40,50を加熱しホスト蒸発源20、及びドーパント蒸発源30のホスト材料やドーパント材料から水分を蒸発させた後、有機材料蒸着装置1は、第1及び第2上下動機構25,35が駆動される。これにより、ホスト蒸発源20(第1収容部22)の上端部と第1接続部40の下端部とが隙間がなくなるように接続され、ドーパント蒸発源30(第2収容部32)の上端部と第2接続部50の下端部とが隙間がなくなるように接続される。これにより、第1収容部22内及び第1蒸発用容器21内と第1接続部40内とが外部(真空槽2)に対して遮断され、第2収容部32内及び第2蒸発用容器31内と第2接続部50内も外部(真空槽2)に対して遮断される。
【0064】
続いて、有機材料蒸着装置1は、ホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30のコイル23,33に電圧が印加されて、ホスト材料及びドーパント材料が蒸発するそれぞれの所定の温度まで加熱される。なお、この時点で放出部60、並びに第1及び第2接続部40,50の加熱によって、ホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30も既に温度上昇しているため、有機材料蒸着装置1は、常温から加熱する場合よりも電力を抑えて、ホスト材料及びドーパント材料を加熱し蒸発させることができる。
【0065】
図3に示すように、時刻a(例えば、150(min))付近で蒸発源(温度A)の加熱が開始されると、有機材料の蒸発も始まる(有機材料の蒸発速度Dが上昇し始める)のがわかる。
【0066】
以上のような温度制御により、ホスト蒸発源20及びドーパント材料で蒸発したホスト材料及びドーパント材料が、第1及び第2接続部40,50を介して放出部60に送られる。放出部60では、ホスト蒸発源20で蒸発したホスト材料が、第1区画室111を経て、混合室77に流れ込む。また、ドーパント蒸発源30で蒸発したドーパント材料が、第2区画室112を経て、混合室77に流れ込む。混合室77で、ホスト材料の蒸気とドーパント材料の蒸気とが混合されて、混合された蒸気が、放出部60の滞留室76に流れ込む。滞留室76で、混合室77に流れ込んだ混合蒸気が滞留する。
【0067】
ここで、有機材料蒸着装置1は、放出部60、並びに第1及び第2接続部40,50が加熱されて、放出部60、並びに第1及び第2接続部40,50の温度がホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30の蒸発温度よりも高い温度になっている。これにより、放出部60内、並びに第1及び第2接続部40,50内でホスト材料及びドーパント材料の蒸気が結露してしまうのを防止できる。
【0068】
このとき、有機材料蒸着装置1は、第1及び第2区画室112それぞれに設置されている第1及び第2蒸発速度測定用センサ121,122によって、ホスト材料及びドーパント材料の蒸発速度を測定する。有機材料蒸着装置1は、蒸発速度が所定の蒸発速度になっているとき、基板ホルダ211を所定の回転速度で回転させる。このとき、有機材料蒸着装置1は、第1及び第2区画室112それぞれに設置されている第1及び第2蒸発速度測定用センサ121,122によって、蒸発速度が所定の蒸発速度に維持されるように、コイル23,33によるホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30の加熱温度が制御される。その後、有機材料蒸着装置1は、シャッタ140が開かれる。これにより、放出板80の放出口81からの混合蒸気が、蒸着部200に放出されて、蒸着部200で基板700に蒸着されて成膜される。
【0069】
その後、有機材料蒸着装置1は、膜厚センサ230の測定によって基板700上の成膜厚さが所定の膜厚になったとされたとき、シャッタ140が閉じられて、基板700への蒸着を完了する。これにより、基板700に各種の素子が形成される。素子は、例えば、ARやVR等でも使用可能な有機EL素子やイメージセンサー素子である。
【0070】
(効果等)
(1)有機材料蒸着装置1は、放出部60が混合室77と滞留室76とで区画されることで当該混合室77と滞留室76とでその内圧を分離することが可能になり、滞留室76内の蒸気の流動を分子流領域の流動にできる。有機材料蒸着装置1は、滞留室76内の蒸気の流動を分子流領域の流動にできることで、放出口81内の蒸気の流動も分子流領域の流動にでき、各蒸発源20,30で蒸発させた有機材料の蒸気を、真空槽2内に配置されている基板700に対して垂直に進入させることができる。
【0071】
(2)有機材料蒸着装置1は、放出口81から放出される有機材料の蒸気の量が、所定の基準位置を基準として二次元的位置に関して末広がり状に増加するように放出部60において放出口81が形成されているので、基板700に対して均一な膜厚分布の成膜が可能になる。
【0072】
(3)有機材料蒸着装置1は、コイル74,42,52によって放出部60内及び第1及び第2接続部40,50内の温度を制御できるため、放出部60内及び第1及び第2接続部40,50内の有機材料の蒸気の流動を制御できる。また、有機材料蒸着装置1は、ホスト蒸発源20、ドーパント蒸発源30、第1及び第2接続部40,50、並びに放出部60が各コイル23,33,42,52,74をそれぞれ備えて、各部20,30,40,50,60が個別に温度制御されることで、ホスト蒸発源20、ドーパント蒸発源30での有機材料の蒸発速度を所望の速度に制御できる。
【0073】
(4)有機材料蒸着装置1は、第1及び第2接続部40,50によって放出部60とホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30との間に一定の距離を確保できるため、放出部60の熱によって、その上流に位置するホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30までも不用意に加熱されてしまうことを防止できる。さらに、有機材料蒸着装置1は、第1及び第2接続部40,50の存在によって、一方の蒸発源からの有機材料の蒸気が他方の蒸発源に放出部60を迂回して流れ込んでしまうことを抑制でき、一方の蒸発源からの有機材料の蒸気によって他方の蒸発源が不用意に加熱されてしまうことを防止できる。この結果、有機材料蒸着装置1は、ホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30の温度を所望の温度の管理できる。
【0074】
(5)有機材料蒸着装置1は、第1及び第2上下動機構25,35の動作によって、ホスト蒸発源20、及びドーパント蒸発源30で蒸発した水蒸気を真空槽2に排出することで、放出口81から水蒸気を放出してしまうことを防止できる。これにより、有機材料蒸着装置1は、成膜に水分が含まれてしまい有機材料が加水分解されてしまい、デバイスが劣化してしまうようなことを防止できる。
【0075】
(6)有機材料蒸着装置1は、ホスト蒸発源20、及びドーパント蒸発源30で蒸発した水蒸気を真空槽2に排出する際に、ホスト蒸発源20、及びドーパント蒸発源30の各収容部21,31内と真空槽2とが連通状態になるため、各収容部22,32の内圧も真空槽2と同等な真空度にすることができる。これにより、第1及び第2接続部40,50内や放出部60内を流れる有機材料の蒸気が第1及び第2接続部40,50内や放出部60内で急激に減圧されて膨張してしまうようなことを防止でき、第1及び第2接続部40,50内や放出部60内での有機材料の蒸気の流動を適切に制御できる。
【0076】
(7)有機材料蒸着装置1は、放出口の内径と高さの比が5以上かつ20以下であることで、放出口81から放出される有機材料の蒸気を基板700に対して垂直に進入させることができる。
【0077】
なお、前記の実施形態では、蒸発部10は、例えば、有機材料用蒸発源を構成している。また、コイル23,33は、例えば、第1加熱手段を構成している。また、コイル74は、例えば、第2加熱手段を構成している。また、コイル42,52は、例えば、第3加熱手段を構成している。また、第1及び第2上下動機構25,35は、例えば、排出手段を構成している。
【0078】
(変形例等)
前記の実施形態の他の例として、有機材料蒸着装置1は、第1及び第2接続部40,50を有さず、ホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30と放出部60とが直結される構成とされることもできる。
【0079】
また、前記の実施形態の他の例として、有機材料蒸着装置1は、第1及び第2接続部40,50、並びに放出部60がコイルを有しない構成とされることもできる。
【0080】
また、前記の実施形態の他の例として、有機材料蒸着装置1は、第1及び第2上下動機構25,35以外の機構、構成によって、ホスト蒸発源20及びドーパント蒸発源30の水蒸気を真空槽2内に排出することもできる。
【0081】
また、前記の実施形態の他の例として、有機材料蒸着装置1は、蒸発部の数を、2つの他に3つ、又は4つにすることもできる。これにより、有機材料蒸着装置1は、いわゆる1ホスト1ドーパント又は1ホスト2ドーパント、1ホスト3ドーパントの蒸発源を実現できる。
【0082】
また、前記の実施形態の他の例として、第1及び第2蒸発速度測定用センサ121,122は、有機材料の蒸発速度が測定できるものであれば、他の構成とされることもできる。
【0083】
また、前記の実施形態では、真空槽内に配置され、種類が異なる有機材料を収容し当該有機材料を第1加熱手段により加熱し蒸発させる複数の蒸発部と、前記真空槽内に配置され、容器の形状をなし、前記容器を区画し形成され前記複数の蒸発部で蒸発した有機材料を混合する混合領域、前記容器を区画し形成され前記混合領域で混合した蒸気を滞留させる滞留領域、前記滞留領域に面して形成され当該滞留領域で滞留させた蒸気を前記真空槽内に放出する複数の放出口を有する放出部と、を有し、前記放出口は、当該放出口から放出される有機材料の蒸気の量が、所定の基準位置を基準として二次元的位置に関して末広がり状に増加するように前記放出部において形成されている有機材料用蒸発源を実現している。
【0084】
また、前記の実施形態では、有機材料用蒸発源から放出された有機材料を用いて、C-MOS半導体が形成されているSiウエハ基板に有機EL素子、又はイメージセンサー素子を形成する有機材料蒸着装置を実現している。
【0085】
また、本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0086】
1 有機材料蒸着装置、2 真空槽、10 蒸発部、20 ホスト蒸発源、23,33,42,52,74 コイル、25,35 上下動機構、30 ドーパント蒸発源、40,50 接続部、60 放出部、76 滞留室、77 混合室、80 放出板、81 放出口
【要約】 (修正有)
【課題】有機材料の蒸気の量を基板の回転中心軸を基準として末広がり状に増加させる技術において、蒸発源からの有機材料の蒸気を、基板に対して垂直に進入させることを可能にする。
【解決手段】有機材料蒸着装置1は、真空槽内に配置され、種類が異なる有機材料を収容し当該有機材料を加熱用のコイル23,33により加熱し蒸発させる複数の蒸発部20,30と、真空槽内に配置され、容器の形状をなし、容器を区画し形成され複数の蒸発部で蒸発した有機材料を混合する混合室77、容器を区画し形成され混合室で混合した蒸気を滞留させる滞留室76、滞留室に面して形成され当該滞留室で滞留させた蒸気を真空槽内に放出する複数の放出口81を有する放出部60と、を有し、放出口は、当該放出口から放出される有機材料の蒸気の量が、所定の基準位置を基準として二次元的位置に関して末広がり状に増加するように放出部80において形成されている。
【選択図】
図1