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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】センサ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
G06F3/01 514
G06F3/01 570
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019187633
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2020064629
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】1816785.8
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519168491
【氏名又は名称】タンギ0 リミッテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チア - ハン リン
(72)【発明者】
【氏名】イラン ジョアン エドアルド オリバレス コレア
(72)【発明者】
【氏名】リウチェン グオ
(72)【発明者】
【氏名】ミン コン
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0067545(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0036428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0031503(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0264357(US,A1)
【文献】国際公開第2017/150127(WO,A1)
【文献】特表2018-524721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の指/手の位置を判定するためのセンサ装置であって、
1つ以上成形されたタッチ感知電極部分を備えるハンドル部分であって、前記操作者の指/手が前記1つ以上成形されたタッチ感知電極部分に、はその近くにあることに応答して、各成形されたタッチ感知電極部分が電気信号を提供するように構成されている、ハンドル部分と、
前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々に機械的に接触し、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々から前記電気信号を受信するように構成された1つ以上の電気コネクタを備える測定モジュールであって受信された記電気信号に基づき、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分のうちの少なくともつに対する前記操作者の指/手の位置を判定するように構成された測定モジュールと
を備え、
前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々が、熱成形可能な非金属導電性材料から成形されている、装置。
【請求項2】
1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々が、1つ以上の電極の少なくとも一部分を形成し、且つ/又は前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々が、操作者の手指によるタッチを感知するような寸法であり、任意選択で又は好ましくは、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々が、実質的に指の幅の寸法を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハンドル部分が、少なくとも前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々上にはそれを覆うように提供された第1の非導電性材料を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハンドル部分がコアを備え、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々が、前記コア内に又はその上に形成され、前記第1の非導電性材料が、前記コア上に又はそれを覆うようにさらに提供され、任意選択で、前記コアが、第2の非導電性材料から形成され又はそれを含み、前記第1の非導電性材料が、前記第2の非導電性材料と同じ又は異なる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々が、前記第1の非導電性材料の内側表面内に又はその上に画成される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の非導電性材料が、手及び/又は指の把持部を提供するように構成され、任意選択で又は好ましくは、三次元にプロファイルされた外側表面を有する、請求項3から5までのいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々が、前記第1の非導電性材料の前記外側表面に一致するように構成された、たとえば三次元プロファイルで形成された感知表面を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の非導電性材料が、熱成形可能材料から形成され、若しくはそれを含み、任意選択で又は好ましくは、成形工程によって形成される、請求項3から7までのいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記第2の非導電性材料が、熱成形可能材料から形成され、若しくはそれを含み、任意選択で又は好ましくは、成形工程によって形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の非導電性材料が、実質的に硬く、曲げやすく、且つ/又は変形可能である、請求項3からまでのいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記第2の非導電性材料が、実質的に硬く、曲げやすく、且つ/又は変形可能である、請求項4又は9に記載の装置。
【請求項12】
前記測定モジュール記1以上の電気コネクタの各々が、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々の接触部分を変形させる若しくはそれに貫通するように構成された実質的に硬い嵌合部分を備え、
任意選択で又は好ましくは、前記嵌合部分が、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々の前記接触部分に向かって付勢される、請求項1から11までのいずれかに記載の装置。
【請求項13】
(i)前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分が、前記ハンドル部分の周りに空間的に分配された複数の成形されたタッチ感知電極部分を備え、各成形されたタッチ感知電極部分が、手指の異なる部分による、又は異なる手指によるタッチのような、操作者によるタッチに応答して電気信号を提供するように構成され、並びに/或いは
(ii)前記電気信号が、それぞれの成形されたタッチ感知電極部分と、前記操作者の指/手との間の静電容量の変化に応答して提供され、並びに/或いは
(iii)前記ハンドル部分に連結され若しくは連結可能な、前記ハンドル部分を前記操作者の指/手に装着するように構成された手装着部分をさらに備え、並びに/或いは
(iv)前記測定モジュールに制御信号を提供して、左手モードと右手モードの間で前記測定モジュールを切り替えるように構成された切替え機構をさらに備え、
任意選択で又は好ましくは、前記測定モジュールが、前記左手モード時には、前記電気信号及び前記制御信号に基づき左手の指の位置を判定し、前記右手モード時には、前記電気信号及び前記制御信号に基づき、右手の指の位置を判定するように構成され、
任意選択で又は好ましくは、前記切替え機構が、前記ハンドル部分上の若しくはその中のスイッチ、ボタン、又はセンサであり、並びに/或いは
前記切替え機構が、前記ハンドル部分に前記手装着部分を連結すると作動される、請求項1から1までのいずれかに記載の装置。
【請求項14】
センサ装置を製造する方法であって、
熱成形可能な非金属導電性材料から成形された1つ以上成形されたタッチ感知電極部分を備えるハンドル部分を形成するステップと、
前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々に機械的に接触し、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々から電気信号を受信するように構成された1つ以上の電気コネクタを備え、前記電気信号に基づき、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分のうちの少なくとも1つに対する操作者の指/手の位置を判定する測定モジュールを提供するステップと、
前記ハンドル部分内に前記測定モジュールを装着するステップであって、前記装着するステップが、前記測定モジュールを前記ハンドル部分内の接触位置に位置付けるステップを含み、この位置において、前記1つ以上の電気コネクタが、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々に機械的に接触する、ステップ
を含む、方法。
【請求項15】
前記ハンドル部分を形成する前記ステップが、
前記1つ以上成形されたタッチ感知電極部分を形成するステップと、
少なくとも前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々上に又はそれを覆うように、第1の非導電性材料を提供するステップと
を含み、任意選択で、前記第1の非導電性材料が、手及び/又は指の把持部を提供するように構成され、任意選択で又は好ましくは、三次元にプロファイルされた外側表面を有し、任意選択で、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々が、前記第1の非導電性材料の前記外側表面に一致するように構成され、たとえば三次元プロファイルで形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ハンドル部分を形成する前記ステップが、コアを形成するステップと、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々を前記コア内に又はその上に形成するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記コアが、前記第1の非導電性材料とは異なる第2の非導電性材料から形成され、又はそれを含み、
任意選択で又は好ましくは、前記第1の非導電性材料が、前記コアの外側表面上に又はそれを覆うようにさらに提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記コアが、前記第1の非導電性材料から形成され、又はそれを含み、前記1つ以上の成形されたタッチ感知電極部分の各々が、前記第1の非導電性材料の内側表面内に又はその上に形成され、
任意選択で又は好ましくは、前記コアが、前記第1の非導電性材料と一体に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
記第1の非導電性材料が、熱成形可能材料から形成され、若しくはそれを含み、任意選択で又は好ましくは、成形工程によって形成される、請求項1から1までのいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記第2の非導電性材料が、熱成形可能材料から形成され、若しくはそれを含み、任意選択で又は好ましくは、成形工程によって形成される、請求項17に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、操作者の指/手の位置を判定するためのセンサ装置に関し、詳細には、手持ち式の又は手に装着可能なセンサ装置に関するが、これに限らない。また本発明は、センサ装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手持ち式のリモート・コントローラは、スイッチ、ボタン、及びジョイスティックの機械的な動きを介して、人の手及び/又は指の動きを入力/コマンドの信号に変えてきた。これらのコマンドは、ユーザからコンピュータのプロセッサに送達され、最終的には、TVチャンネルを変える、又はスピーカの音量を調整するなど、視覚及び/又は音響の出力を提供する装置に送達される。複雑さ及び没入感がますます高くなったデジタル技術及びソフトウェア環境(たとえば、仮想現実環境)により、微妙な差異のある人の手及び指の動き(たとえばジェスチャ)を理解して、人と機械の自然で直感的な対話を実現することができる進化した感知及び制御の技術の需要がどんどん高まってきた。これにより、ボタン、スクロール、及びジョイスティックなど、従来のコントローラの類型から離れる傾向が生じてきた。
【0003】
家電コントローラ装置に現在一般的に使用されている技術は、静電容量式タッチ感知である。静電容量結合の原理に基づき、静電容量式センサは、導電性の物体(たとえば人の指)の接触(タッチ)、ロケーション、被覆領域、及び/又は変位を反映する信号変化を生成する。一般的に使用される静電容量式タッチ・センサは、感知電極のネットワーク又は格子を形成する薄型基板上のプリント金属材料を備える。プリント電極のパターンは、装置及び外部絶縁材料の構成の様々な要件を満たすようにカスタマイズすることができる(たとえば、特許文献1を参照)。しかし、忠実度の高いジェスチャ式コントローラが必要になったことにより、従来の静電容量式感知の製造方法に課題がもたらされている。たとえば、静電容量式センサは、保護を提供し、静電容量を生じさせ、雑音を制限するために、センサ電極と人の指との間に非導電性の絶縁層を必要とする。従来、絶縁層は多くの場合、硬く厚さが均一であることが必要とされる。これは、3D\9三次元)プロファイルで構築されたあらゆるタッチ感知表面には、下の基板及びプリント電極がその3Dプロファイルに一致することが必要なことを意味する。可撓性プリント回路は、基板の一部分を曲げて外部絶縁層の裏側に付着することによって、この要件を満たすことができる。しかし、可撓性基板材料(たとえばPETプラスチック)の性質に起因して、こうした曲げは一方向だけに限定される。真空形成されるプリント電子機器(たとえば、特許文献2)などの技術は、形成の前又は後にプリント金属電極が上に付けられる3Dにプロファイルされた基板を形成することができるが、使用される電極材料の可撓性が限られることから、そうした真空形成基板は、3Dプロファイルの深さによって制限される。
【0004】
単なる制御の用途とは別に、人の手及び指の動きを判定することができるコントローラ技術は、手話通訳、及びミラーセラピーなどの医療分野での用途があり得る。
【0005】
従来、ミラーセラピーは鏡を使用して錯覚を生じさせ、現状では運動問題に冒されている身体部分がもはや冒されていないと、脳を騙して信じさせる。しかし、没入感のない仮想現実におけるミラーセラピーの可能性を示す有望な研究が存在している(非特許文献1)。したがって、指の動きを仮想環境に投影することができるコントローラは、ミラーセラピーをより一層没入感の高い、インタラクティブなものにすることができよう。療養中に運動が困難な人も装置を着用することができ、患者の運動能力及び握る能力に関するさらに有用なデータを集めることができよう。
【0006】
現在のところ、手話を使用しない人たちへの手話通訳には、カメラ及びコンピュータ・システムが必要である。カメラは、「手話者」のジェスチャ及び動きを理解するためにその人に向けられなくてはならず、手/腕の動きの範囲がカメラの視野に限定される。ジェスチャを感知する手持ち式コントローラは、「手話者」にとって自由なジェスチャ及び動きを可能にし、検出及び通訳を可能にするためのカメラに基づく装置の必要性を完全になくすことができよう。
【0007】
言及した問題及び市場のニーズに伴い、特許文献3及び特許文献4は、着用可能なグローブの形の手に装着するコントローラを示しており、そのコントローラは、グローブの変形に基づき、手及び指の動きを入力信号に変換する。これらのコントローラは、力センサ及び曲げセンサを使用して手及び指の有限運動を検出することにより、高レベルのジェスチャ式制御機能を提供することができる。
【0008】
上に述べたコントローラには多数の課題及び限界が存在する。これらのコントローラは、従来型の手持ち式コントローラ(たとえば特許文献5を参照)に比べて付加的な感知機能を提供するが、製造にコストがかかり、重い。大量生産のコストは、使用する材料/構成要素、組み立てる部品数、及び生産の複雑さに大きく影響される。知られているコントローラは、硬いプラスチック・ハウジング、及び相対的にコストのかかる金属/半導体の材料から作られた多数の従来型の典型的な重い電子構成要素(たとえば、静電容量センサ、トラック、回路板など)を使用する。したがって、構成要素のコストが高く、製造工程は、特に可撓性のプリント電子機器の使用に伴って、組立てが多くなることがある。それぞれの可動部分が、個々に射出成形されたプラスチック部品を必要とするので、制御機能の調整によっても重さが加えられる。さらに、グローブのコントローラとユーザの手がうまく嵌まることが、その感知機能には極めて重要であり、したがって、嵌まり具合によっては性能が最適にならないことがある。重い/硬い従来型の電子構成要素が各センサグローブに埋め込まれた状態では、手の大きさ及び割合のすべての種類向けにグローブを大量生産するのは非現実的である。このタイプのコントローラは、タイピング、他の物体をつかむ、又は持つといった日々の活動を、ユーザが完了するときには扱いにくいこともある。
【0009】
前述のことを考慮し、本発明の態様及び実施例が考案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第8077154号明細書
【文献】米国特許第9801273号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0102775号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0077976号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0282873号明細書
【非特許文献】
【0011】
【文献】Non-immersive Virtual Reality Mirror Visual Feedback Therapy and Its Application for the Treatment of Complex Regional Pain Syndrome: An Open-Label Pilot Study, 2010
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、操作者の指及び/又は手の位置を判定するためのセンサ装置が提供される。装置はハンドル部分を備えてもよい。ハンドル部分は、前記手の1つ又は複数の指によって把持されるように前記操作者の手に装着可能、又はその手に保持可能であってもよい。ハンドル部分は、1つ又は複数のタッチ感知電極部分を備えてもよい。該又は各タッチ感知電極部分は、操作者の指/手が1つ又は複数のタッチ感知電極部分に若しくはその近くにあることに応答して、電気信号を提供するように構成されてもよい。装置はさらに、測定モジュールを備えてもよい。測定モジュールは、ハンドル部分内に受入れ可能又は装着可能であってもよい。測定モジュールは、タッチ感知電極部分から該又は各電気信号を受信し、該又は各電気信号に基づき、タッチ感知電極部分のうちの1つ又は複数に対する操作者の指/手の位置を判定するように構成されてもよい。該又は各タッチ感知電極部分は、非金属導電性材料から形成されてもよく、又はそれを含んでもよい。
【0013】
ここで、また全体を通して使用される非金属導電性材料という用語は、金属(たとえば、金、銀、若しくは銅)ではない材料を意味する。
【0014】
該又は各タッチ感知電極部分は、熱成形可能材料から形成されてもよく、又はそれを含んでもよく、且つ/又は成形工程によって形成されてもよい。タッチ感知電極部分は、実質的に硬く、曲げやすく、且つ/又は変形可能であってもよい。タッチ感知電極部分に好適な材料は、導電性アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、又は導電性ポリウレタン(PU)、導電性エチレン・ビニル・アセテート(EVA)などの導電性プラスチックを含んでもよいが、これらに限定されない。こうした材料は、射出成形/加熱プレス工程、又は熱成形工程を経てもよい。
【0015】
成形可能な非金属導電性材料をタッチ感知電極部分に使用することは、金属電極を使用する従来の感知技術に勝る多数の利点を有する。材料コスト及び重量が、(金、銀、又はアルミニウムなどの)従来の金属電極材料よりも非常に低い。センサ装置の製造/組立てが簡単になり、関連する製造/組立てコストが低減される。さらに、タッチ感知電極部分は、成形工程の性質に起因して、ほぼあらゆる任意の大きさ、形、又は三次元(3D)の形状に形成及び/若しくは成形することができる。これは、多数の実用的で機能的な利点を有する。
・タッチ感知電極部分は、外形の複雑さに関係なく、ハンドル部分の外形に一致することができる。これにより、電極の配置、配線の複雑さをもたらし、摩耗及び裂け、並びに組立てコストを増大させることがある可撓性プリント回路が必要なくなる。
・タッチ感知電極部分は、3D体積を有し、より広い領域をカバーして、静電容量の変化に対する感応性をはるかに高め、典型的にはより小さい金属電極の同等物に比べてより大きい信号変化を生成するのを可能にする。
・該又は各タッチ感知電極部分の大きさ及び形状は、適応するように、たとえば最小信号値と最大信号値の間でなめらかな電気信号の変化を生成するように、選択することができる。これにより、タッチ感知電極部分が、指/手の動きのより広い範囲を感知できるようになる。
・全体的に、タッチ感知電極部分、電極の配置、及びセンサ装置自体の設計の自由が大きく増加する。
【0016】
さらに、たとえば機械学習ソフトウェア方法により、大きい3Dタッチ感知電極部分は、指/親指/手の区分の距離の(「垂直方向の」)近接だけでなく、位置、すなわち「水平方向の指位置、及び分配の測定も可能にすることができ、複雑で現実的なジェスチャの検出が実現される。
【0017】
該又は各タッチ感知電極部分は、1つ又は複数の電極の少なくとも一部分を形成してもよい。たとえば、各タッチ感知電極部分は、別々のタッチ感知電極であってもよく若しくはそれを形成してもよく、又は2つ以上のタッチ感知電極部分が、物理的且つ/又は電気的に接続されて、(たとえば非金属導電性材料の単一片から)単一の電極が形成されてもよい。装置は、1つ又は複数の別々のタッチ感知電極を備えてもよい。
【0018】
各タッチ感知電極又は電極部分は、1つ又は複数の感知点において測定モジュールに連結されてもよい。各感知点は、操作者の指/手がそれぞれの感知点に又はその近くにあることに応答して、別々の電気信号を測定モジュールに提供してもよい。
【0019】
装置は、ハンドル部分の周りに空間的に分配された複数のタッチ感知電極部分を備えてもよい。各タッチ感知電極部分は、手指の異なる部分による、又は異なる手指(若しくは指部分)によるタッチなど、操作者によるタッチに応答して電気信号を提供するように構成されてもよい。電極部分は、予測される手指位置に対応するパターン若しくはセットで分配されてもよい。手指/指の部分は、手指/指の基節骨、中節骨、又は末節骨であってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0020】
該又は各タッチ感知電極若しくは電極部分は、静電容量式タッチ・センサとして構成されてもよい。該又は各電気信号は、それぞれのタッチ感知電極部分と、操作者の指/手との間の静電容量の変化に応答して提供されてもよい。したがって、タッチ及び/若しくは動きの位置又は近接は、指の接触/タッチの面積と圧力との両方を示すハンドル部分上の「ヒート・マップ」として判定することができ、その「ヒート・マップ」として表されてもよい。
【0021】
測定モジュールは、該又は各タッチ感知電極部分に(たとえば感知点において)機械的に接触するように構成された1つ又は複数の電気コネクタを備えてもよい。機械的接触という用語は、電気コネクタとタッチ感知電極部分との間で、非永久的な、すなわちはんだ接合若しくは他の形のワイヤ・ボンディングではない電気接続を提供するように物理的に接触していることを意味する。
【0022】
有利には、測定モジュールは、タッチ感知電極部分(たとえば装置の組立て中)に直接接続可能であり、ワイヤ、プリント導電性トレース、又ははんだ付けが必要なくなる。
【0023】
該又は各コネクタは、該又は各タッチ感知電極部分の接触部分を(たとえば感知点において)変形させる若しくは貫通するように構成された実質的に硬い嵌合部分であってもよく、又はそれを備えてもよい。嵌合部分は、タッチ感知電極部分との確実な機械的接続を可能にする1つ又は複数の金属突出部、ピン、城郭状パッド、クリップ・ピン、若しくは任意の他の形の金属コネクタであってもよく、又はそれを備えてもよい。
【0024】
任意選択で又は好ましくは、嵌合部分は、該又は各タッチ感知電極部分の接触部分に向かって付勢されてもよく、又はその逆であってもよい。たとえば、嵌合部分は、ばね式であってもよい。さらに又は或いは、タッチ感知電極部分の非金属導電性材料は実質的に弾性があってもよく、嵌合部分によって変形(たとえば圧縮又は屈曲)されたことに応答して、嵌合部分にかかる反作用力を加えてもよい。
【0025】
該又は各タッチ感知電極部分は、操作者の手指(たとえば指又は親指)によるタッチを感知するような寸法であってもよい。任意選択で又は好ましくは、該又は各タッチ感知電極は、実質的に指の幅の寸法を有してもよい。タッチ感知電極の寸法は、幅又は長さであってもよい。幅又は長さは、典型的な指の幅に実質的に等しくてもよく、又は典型的な指の幅より実質的に小さくても又は実質的に大きくてもよい。たとえば、タッチ感知電極部分の幅又は長さは、5mm~15mmの範囲にあってもよい。各タッチ感知電極部分は、同じ幅及び/若しくは長さ、又は異なる長さ及び/若しくは幅を有してもよい。
【0026】
ハンドル部分は、少なくとも各タッチ感知電極部分上に若しくはそれを覆うように提供された第1の非導電性材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。第1の非導電性材料は、ハンドル部分の外側表面の少なくとも一部分を形成してもよい。
【0027】
ハンドル部分はコアを備えてもよい。該又は各タッチ感知電極部分は、コア内に又はその上に形成されてもよい。タッチ感知電極部分は、少なくとも部分的にコアに埋め込まれてもよい。第1の非導電性材料は、コア上に又はコアを覆うようにさらに提供されてもよい。コアは、第2の非導電性材料から形成されてもよく、又はそれを含んでもよい。第1の非導電性材料は、第2の非導電性材料と同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0028】
コアは、実質的に中空、又は少なくとも部分的に中空であってもよく、測定モジュールは、コア内に装着可能又は受入れ可能であってもよい。該又は各タッチ感知電極部分の接触部分は、コアの壁の開口部を覆うように、その中に、且つ/又はそれを通って延在するように形成されて、測定モジュールの1つ若しくは複数のコネクタによる接触を可能にしてもよい。電気コネクタは、測定モジュールをハンドル部分に装着すると、タッチ感知電極部分の接触部分に機械的に接触するように構成されてもよい。
【0029】
第1の非導電性材料は、手及び/又は指の把持部を提供するように構成されてもよい。任意選択で又は好ましくは、第1の非導電性材料は、三次元にプロファイルされた外側表面を有してもよい。たとえば外側表面は、凹凸のある表面であってもよく又はそれを備えてもよい。たとえば外側表面は、1つ又複数の隆起、波形、及び/又は輪郭などを備えてもよい。第1の非導電性材料は、操作者がタッチする装置の外皮として構成されてもよい。外皮は、コア若しくはタッチ感知電極部分の上に、又はそれらを覆うように提供されてもよい。外皮は、ハンドル部分の外側表面であってもよい。
【0030】
第1の非導電性材料及び/又は第2の非導電性材料は、熱成形可能材料から形成されてもよく、又はそれを含んでもよい。任意選択で又は好ましくは、第1及び/又は第2の非導電性材料は、成形工程によって形成される。該又は各タッチ感知電極部分は、オーバーモールド工程などの成形工程によって、コア内に又はその上に形成されてもよい。
【0031】
第1の非導電性材料及び/又は第2の非導電性材料に好適な材料は、非導電性ポリウレタン(PU)、ABS、ポリカーボネート(PC)、熱可塑性エラストマ、及びシリコン・ゴムなどの非導電性プラスチックを含むが、これらに限定されない。
【0032】
第1の非導電性材料及び/又は第2の非導電性材料は、実質的に硬く、曲げやすく、且つ/又は変形可能であってもよい。一実施例では、コアは、センサ電極部分、第1の非導電性材料、及び/又はハンドル部分の全体的な形/構造を支持するために実質的に硬い。
【0033】
或いは又はさらに、コアは、第1の非導電性材料と一体であってもよい。該又は各タッチ感知電極部分は、第1の非導電性材料の内側表面内に若しくはその上に形成又は画成されてもよい。タッチ感知電極部分は、第1の非導電性材料の内側表面に少なくとも部分的に埋め込まれてもよい。この場合、別個のコアが必要ないように、第1の非導電性材料は実質的に硬く、センサ電極部分、及び/又はハンドル部分の全体的な形/構造を支持してもよい。該又は各タッチ感知電極部分は、オーバーモールド工程などの成形工程によって、第1の非導電性材料の内側表面内に若しくはその上に形成又は画成されてもよい。
【0034】
該又は各感知電極部分は、第1の非導電性材料の外側表面に一致するように構成された、たとえば三次元プロファイルで形成された感知表面を有してもよい。このように、該又は各感知電極部分の感知表面と、第1の非導電性材料の外側表面との分離は、実質的に均一であってもよい。或いは又はさらに、該又は各感知電極部分の感知表面は、第1の非導電性材料の内側表面に一致してもよい。或いは、該又は各感知電極部分の感知表面は、第1の非導電性材料の外側表面に一致しなくてもよい。
【0035】
装置は、測定モジュールに制御信号を提供して、左手モードと右手モードの間で測定モジュールを切り替えるように構成された切替え機構をさらに備えてもよい。切替え機構は、ハンドル部分上に又はその中に配設されてもよい。切替え機構は、スイッチ、ボタン、又はセンサであってもよい。
【0036】
測定モジュールは、左手モード時には、該又は各電気信号及び制御信号に基づき、左手の指の位置を判定するように構成されてもよい。測定モジュールは、右手モード時には、該又は各電気信号及び制御信号に基づき、右手の指の位置を判定するように構成されてもよい。
【0037】
装置は任意選択で、手装着部分をさらに備えてもよい。手装着部分は、ハンドル部分に連結されてもよく若しくは連結可能であってもよく、ハンドル部分を前記操作者の手又は指に装着するように構成されてもよい。
【0038】
手装着部分は、ハンドル部分を左手に装着するように構成された左手装着部分であってもよく、又はハンドル部分を右手に装着するように構成された右手装着部分であってもよい。両方の装着部分は、同じハンドル部分に嵌まるように構成されてもよい。
【0039】
切替え機構は、手動で作動されてもよい。或いは切替え機構は、ハンドル部分に手装着部分を連結することによって作動されてもよい。切替え機構は、手装着部分とハンドル部分との結合部内に組み込まれてもよく、又はその一部であってもよい。
【0040】
また測定モジュールは、たとえばユーザの手の動き追跡及び加速を支持するのに必要な他の電子機器を備えてもよい。加速度センサ技術は、ハンドル部分内に装着された測定モジュールの上に実装されてもよい。こうした追跡技術は、たとえば装着部分上に又は装着部分内に含まれた能動的センサによって実装することができる。能動的センサの追跡技術の例は、装置内の光センサを使用して、遠隔のレーザ・エミッタによって放射される光を検出するレーザ追跡、装置上のマーカ及び遠隔カメラを使用してそれらの位置を追跡すること、並びに装置上のエミッタ/レシーバ及び遠隔のレシーバ/エミッタを使用して、エミッタとレシーバの相対位置を追跡する電磁追跡を含む。また装置は、機械学習を用いたカメラを通した物体追跡など、受動的な追跡システムを使用してもよい。
【0041】
本発明の第2の態様によれば、センサ装置を製造する方法が提供される。この方法は、非金属導電性材料から形成された1つ又は複数のタッチ感知電極部分を備えるハンドル部分を形成するステップを含んでもよい。この方法はさらに、該又は各タッチ感知電極部分から電気信号を受信するように構成された測定モジュールを提供するステップと、ハンドル部分内に測定モジュールを装着するステップとを含んでもよい。
【0042】
有利には、測定モジュールは、タッチ感知電極部分に直接接続可能であり、ワイヤ、プリント導電性トレース、又ははんだ付けを必要なくする。さらに、成形された構成要素、及び機械的な相互接続を使用することによって、装置の製造及び組立てが非常に簡単になる。相対的に廉価で、成形可能な非金属材料とともに、このことは、従来の材料及び感知技術に基づく(たとえば、金属電極、ワイヤ、及び/又は可撓性回路を使用する)センサ装置より、装置を製造するコストも実質的に低減することを意味する。成形可能な材料を使用してタッチ感知電極部分が形成されるので、装置は、従来のセンサ技術及び金属の電極材料を使用した装置に比べて実質的に軽量である。
【0043】
タッチ感知電極部分は、成形工程の性質に起因して、ほぼあらゆる任意の大きさ、形、又は三次元(3D)形状に形成及び/若しくは成形することができる。タッチ感知電極部分の3Dプロファイルは、成形工具セットの設計により完全にカスタマイズ可能であり、このことは、タッチ感知電極部分が指及び手に人間工学的に嵌まるように最適化されることが可能であり、測定モジュールに容易に接続される又は接続可能な構造を有することができることを意味する。またこれは、全体的な装置の重量及び空間を軽減する。
【0044】
ハンドル部分を形成するステップは、1つ又は複数のタッチ感知電極部分を形成するステップを含んでもよい。
【0045】
ハンドル部分を形成するステップはさらに、少なくとも該又は各タッチ感知電極部分上に若しくはそれを覆うように、第1の非導電性材料を形成及び/又は提供するステップを含んでもよい。
【0046】
第1の非導電性材料は、手及び/又は指の把持部を提供するように形作られ且つ/又は構成されてもよい。任意選択で又は好ましくは、第1の非導電性材料は、三次元にプロファイルされた外側表面を有してもよい。たとえば外側表面は、凹凸のある表面であってもよく又はそれを備えてもよい。たとえば外側表面は、1つ若しくは複数の隆起、波形、又は輪郭などを備えてもよい。
【0047】
該又は各感知電極部分は、第1の非導電性材料の外側表面に一致するように形作られた且つ/又は構成された、たとえば三次元プロファイルで形成された感知表面で形成されてもよい。或いは又はさらに、該又は各感知電極部分の感知表面は、第1の非導電性材料の内側表面に一致してもよい。或いは、該又は各感知電極部分の感知表面は、第1の非導電性材料の外側表面に一致しなくてもよい。
【0048】
ハンドル部分を形成するステップはさらに、コアを形成するステップと、該又は各タッチ感知電極部分をコア内に又はその上に形成するステップとを含んでもよい。タッチ感知電極部分は、少なくとも部分的にコアに埋め込まれてもよい。コアを形成するステップは、1つ若しくは複数の部分、又はシェル、又はハウジング部分にコアを形成するステップと、パーツを互いに接合するステップとを含んでもよい。コアは、実質的に中空、又は少なくとも部分的に中空であってもよく、測定モジュールは、コア内に装着可能であってもよい。
【0049】
ハンドル部分を形成するステップはさらに、コアの外側表面上に若しくはそれを覆うように第1の非導電性材料をさらに提供及び/又は形成するステップを含んでもよい。たとえば、第1の非導電性材料は、コア上に又はそれを覆うように形成され若しくは提供されてもよく、該又は各タッチ感知電極部分は、コア内/コア上に形成されてもよい。
【0050】
コアは、第2の非導電性材料から形成されてもよく、又はそれを含んでもよい。第1の非導電性材料は、第2の非導電性材料と同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0051】
或いは、第1の非導電性材料は、コアであってもよく又はそれを含んでもよく、該又は各タッチ感知電極部分は、第1の非導電性材料の内側表面内に又はその上に形成されてもよい。言い換えれば、コアは、第1の非導電性材料と一体に形成されてもよい。
【0052】
タッチ感知電極部分、第1の非導電性材料、及び/又は第2の非導電性材料は、熱成形可能材料から形成されてもよく、又はそれを含んでもよい。タッチ感知電極部分、第1の非導電性材料、及び/又は第2の非導電性材料は、成形工程によって形成されてもよい。
【0053】
タッチ感知電極部分、第1の非導電性材料、及び/又は第2の非導電性材料は、オーバーモールド工程によって形成されてもよい。或いは、タッチ感知電極部分、第1の非導電性材料、及び/又は第2の非導電性材料は、別々に形成又は成形され、互いに組み付けられてもよい。
【0054】
ハンドル部分内に測定モジュールを装着するステップは、ハンドル部分内の接触位置に測定モジュールを位置付け、その部分において、測定モジュールの1つ又は複数の電気コネクタがタッチ感知電極部分に機械的に接触するステップを含んでもよい。
【0055】
測定モジュールを位置付けるステップは、ハンドル部分若しくは中空のコアに測定モジュールを動かし又は挿入して、1つ又は複数のコネクタが複数の指感知電極に接触する接触位置に測定モジュールを固定するステップを含んでもよい。
【0056】
或いは、コアが2つ以上のパーツで形成される場合には、測定モジュールを位置付けるステップは、測定モジュールの周りでコアのパーツを接合して、たとえば1つ又は複数のコネクタが複数の指感知電極に接触する接触位置に測定モジュールを固定するステップを含んでもよい。
【0057】
成形工程は、射出成形、熱成形、加熱プレス、及び/又はオーバーモールド工程であってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0058】
タッチ感知電極部分は、実質的に硬く、曲げやすく、且つ/又は変形可能であってもよい。タッチ感知電極部分に好適な材料は、導電性アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、又は導電性ポリウレタン(PU)、導電性エチレン・ビニル・アセテート(EVA)などの導電性プラスチックを含んでもよいが、これらに限定されない。こうした材料は、射出成形/加熱プレス工程、又は熱成形工程を経てもよい。
【0059】
第1の非導電性材料及び/又は第2の非導電性材料に好適な材料は、非導電性ポリウレタン(PU)、ABS、ポリカーボネート(PC)、熱可塑性エラストマ、及びシリコン・ゴムなどの非導電性プラスチックを含むが、これらに限定されない。
【0060】
第1の非導電性材料及び/又は第2の非導電性材料は、実質的に硬く、曲げやすく、且つ/又は変形可能であってもよい。一実施例では、コアは、タッチ・センサ電極部分、第1の非導電性材料、及び/又はハンドル部分の全体的な形/構造を支持するために実質的に硬い。
【0061】
第1の非導電性材料は、センサ装置の外皮又は層であってもよい。或いは、別個の外皮が、第1の非導電性材料及び/若しくはコアの上に形成並びに/又は提供されてもよい。
【0062】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様のセンサ装置を製造する方法が提供される。第3の態様の方法は、第2の態様のステップのいずれか又はすべてを含んでもよい。
【0063】
この方法は、非金属導電性材料から形成された1つ又は複数のタッチ感知電極部分を備えるハンドル部分を形成するステップを含んでもよい。各タッチ感知電極部分は、操作者の指/手が1つ又は複数のタッチ感知電極部分に、若しくはその近くにあることに応答して、電気信号を提供するように構成されてもよい。この方法はさらに、タッチ感知電極部分から該又は各電気信号を受信し、該又は各電気信号に基づき、タッチ感知電極部分のうちの1つ又は複数に対する操作者の指/手の位置を判定するように構成された測定モジュールを提供するステップを備えてもよい。この方法はさらに、ハンドル部分内に測定モジュールを装着するステップを備えてもよい。
【0064】
ハンドル部分を形成するステップはさらに、中空のコアを形成するステップと、複数の指感知電極をコア内に又はその上に形成するステップとを含んでもよい。コアは、非導電性の、且つ任意選択で熱成形可能な材料から形成されてもよく、又はそれを含んでもよい。コアは単一片のパーツであってもよい。或いは、中空のコアを形成するステップは、第1のシェル部分を形成するステップと、第2のシェル部分を形成するステップを備えてもよい。この方法は、第1及び第2のシェル部分内に又はその上に、タッチ感知電極部分のうちの1つ又は複数を形成するステップを含んでもよい。方法はさらに、第1及び第2のシェル部分を互いに接合してコア内に空洞を形成するステップを含んでもよい。
【0065】
タッチ感知電極部分及び/又は中空のコアを形成するステップは、成形工程を使用して成形するステップを含んでもよい。
【0066】
この方法はさらに、タッチ感知電極部分上に若しくはそれを覆うように、且つ任意選択で若しくは好ましくは、コアの外側表面の少なくとも一部分に、第1の非導電性材料を形成及び/又は提供するステップを含んでもよい。
【0067】
第1の非導電性材料は、センサ装置の外皮又は層であってもよい。或いは、別個の外皮が、第1の非導電性材料及び/若しくはコアの上に形成並びに/又は提供されてもよい。
【0068】
本発明の態様及び実施例は、指及び/又は手の位置、及び/又はジェスチャを検出するように構成された、人間工学的で、軽量で、廉価な、たとえば手持ち式コントローラ装置、並びに同装置の製造方法を提供することによって、既存のコントローラの言及した限界に勝る利点、及びそれに対する解決策を提供する。装置は、ミラーセラピー、手話検出、及びビデオ・ゲームなどの多数の用途で使用するのに好適である。
【0069】
本発明の別々の態様及び実施例の文脈で説明した特徴は、一緒に、且つ/又は交換可能に使用されてもよい。たとえば、第1、第2、及び/又は第3の態様の特徴若しくは実施例は、全体的に又は部分的に一緒に使用されてもよく、且つ/又は交換可能であってもよい。方法ステップは、異なる順序で実施されてもよい。センサ装置に関連して説明する特徴は、方法に関して定義可能な対応する特徴を有してもよく、これらの実施例が具体的に想定される。同様に、簡潔にするために単一の実施例の文脈で特徴を説明する場合は、これらの特徴は別々に、又は任意の適切な下位の組合せで提供されてもよい。
【0070】
本発明が十分に理解され得るように、ここで図面を参照しながら、単なる例として実施例について検討する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明の実施例による、左手に装着されたセンサ装置を示す図である。
図2】装着クリップが取り外された図1の装置を示す図である。
図3図1の装置用の左手及び右手の装着クリップを示す図である。
図4図1図3の装置の感知電極の例示的な配置を示す図である。
図5】本発明の実施例による図1図4の装置を組み立てる方法のステップを示す図である。
図6】装置の動作を示す図である。
図7】本発明による、さらなる例示的なセンサ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図面は概略的なものであり、原寸に比例しない場合があることに留意すべきである。これら図面の部分の相対的な寸法及び割合は、図面をわかりやすく、都合のよいものにするために、大きさを誇張したり小さくしたりして示してあることがある。同じ参照符号は、修正された且つ/又は異なる実施例において対応する若しくは同様の特徴を指すために全体的に使用される。
【0073】
図1a及び図1bは、操作者の指550及び/若しくは手500の位置又は格好を判定するためのセンサ装置100の実施例を示す。装置100は、手に装着可能な、又は手持ち式の装置である。図示するように、装置100は、指550/手500の位置を判定するための電子構成要素を備えるハンドル部分120と、ユーザ500の手に、又は手に接触するようにハンドル部分120を装着させるための、ハンドル部分120に連結可能な手装着部分110とを備える。
【0074】
装着部分110は、半開のクリップ構造の形状で示される。装着部分110は、結合部112aにおいてハンドル部分120に取付け可能な一方の端部と、(ハンドル部分120に接続するとき)ハンドル部分120から丸みを帯びて手500又は指550の後に向かって延在し、ハンドル部分120を手500又は指550の内側に接触するように保持又は維持する別の端部とを含む。しかし、装着部分110は他の形状を取ってもよいことが理解されよう。たとえば代替的に、装着部分110は、手500若しくは指550の周り全体に延在する閉ループ又は開口部を形成するように、2つの点においてハンドル部分120に結合されてもよい。
【0075】
装着部分110の機能は、ユーザがハンドル部分120を物理的に握る/保持する必要なく、手500又は指550の内側に接触した動作位置にハンドル部分120を保持又は維持することである。これは、手500及び/又は指550が開いた格好/位置にある状態で、操作者の手500に装着された装置100を示す図1a及び図1bに示される。図1a及び図1bに示すように、動作位置は、指550の第1の指関節と第2の指関節との間(中手指節(MCP)関節と近位指節間(PIP)関節との間)、すなわち基節骨に、装置100が装着される場所であることが好ましい。
【0076】
手に装着可能な機能は、いくつかの利点を有する:(i)開位置(図1及び図1bに示されるように)と閉位置(すなわち、ハンドル部分を完全に握る(図示せず))の間でハンドル部分120に対するユーザの指550の位置の全範囲を、装置100が感知できるようになる、(ii)指550を動かす間に、ハンドル部分120を動作位置に維持しやすくなる、及び(iii)ユーザは、完全に自由に動いて、自らの指500を使って他の物体を保持し、且つ/又は持ち上げることができ、タイピングなどの簡単な動作/タスクを完了することもできる。
【0077】
装着部分110は、ハンドル部分120を支持するためのコア構造部114を備える。コア構造部114は、実質的に丈夫で可撓性のある材料(たとえば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS))から形成される。任意選択で、装着部分110は、図1aに示すように、パッド付き又はクッション付きの部分116をさらに備えてもよい。パッド付き部分116は、使用に際しユーザの手500又は指550の背面と、コア構造部114との間のあらゆる過剰な空間を埋めるように、実質的に変形可能であり、そのように配置される。これにより、装置100は、異なる厚さの指に嵌まることが可能になる。パッド付き部分116はさらに、ユーザの手500又は指550に向かってハンドル部分120を付勢するように、実質的に弾性を有していてもよい。たとえばパッド付き部分116は、発泡体(形状記憶発泡体、又は任意の他の高密度発泡体など)、軟質ゴム(たとえば、ネオプレン)、軟質プラスチック(たとえば、熱可塑性エラストマ)、又はエチレン・ビニル・アセテート(EVA)、シリコン・ゴムから形成されてもよく、又はそれらを含んでもよい。パッド付き部分116はさらに、合成皮革などのファブリック材料でラミネート及び/又は被覆されてもよい。
【0078】
装着部分110は、図2に示すように、結合部112aにおいてハンドル部分120に取付け可能/取外し可能である。結合部112aは、ハンドル部分120に位置する対応する結合部112bと係合しても又はかみ合ってもよい(図3を参照)。これにより、異なる大きさ及び/又は形状の装着部分110を、異なる厚さの指550をもつユーザに合うように、又は図3に示し、以下でさらに検討するように左手若しくは右手のいずれにも合うように、交換可能に使用することができるようになる。
【0079】
ハンドル部分120は、好ましくは手500の4本すべての指550が、ハンドル部分の側部124の長さに沿って収容され、ハンドル部分の側部124の実質的な部分の周りを覆うことができるような大きさであり且つ/又は寸法である長さ及び幅を有する全体的に細長い本体である。図示する例では、ハンドル部分120は実質的に円筒形であるが、他の形状を取ってもよい。たとえば、代替的にハンドル部分120は、断面が実質的に正方形又は三角形であってもよく、且つ/又は、たとえば閉位置にあるときの手500及び/又は指550の形に一致するように、人間工学的に形作られてもよい(図示せず)。ハンドル部分120の直径又は幅は、実質的に2~4cmの範囲とすることができる。ハンドル部分120の長さは、実質的に6~16cmの範囲とすることができる。
【0080】
ハンドル部分120は、図2に示すように非導電性の外皮126を備える。外皮126は、ユーザの指550、親指、又は手500が触れる境界層である。外皮126の非導電性材料は、実質的に軟質又は硬質であってもよい。
【0081】
ハンドル部分120はさらに、複数のタッチ感知電極又は電極部分130a~130d、140a~140c、150を備える(図4を参照)。タッチ感知電極/部分130a~130d、140a~140c、150は、導電性プラスチック(たとえば、導電性アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、導電性エチレン・ビニル・アセテート(EVA)、又は導電性ポリウレタン(PU))などの非金属導電性材料から形成され、又はそれらを含む。タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150は、外皮128の下に位置付けられ、操作者の指550、親指560、又は手500など、近くの導電性物体に容量的に結合する。それぞれの感知電極/電極部分130a~130d、140a~140c、150と、それぞれのタッチ感知電極130a~130d、140c~140d、150の上の外皮126に近い、又はこれに接触しているユーザの指、親指560、又は手500の一部分との間で、静電容量が変化したことに応答して、各タッチ感知電極/電極部分130a~130d、140a~140c、150は、1つ又は複数の電気信号を提供するように構成される。
【0082】
外皮126は、指550、親指560、又は手500と、タッチ感知電極/電極部分130a~130d、140c~140d、150との間で、静電容量を生じさせるための非導電性スペーサ層を提供する。外皮126は、タッチ感知電極130a~130d、140c~140d、150上に又はそれらを覆うように形成及び/又は提供されてもよい。タッチ感知電極/電極部分130a~130d、140c~140d、150は、少なくとも部分的に外皮126内に埋め込まれ又は形成されてもよい。或いは又はさらに、タッチ感知電極/電極部分130a~130d、140c~140d、150と、外皮126との間に、非導電性材料の別個の層が設けられてもよい。
【0083】
例示的な電極の配置を、図4a及び図4bに示す。異なるタッチ感知電極は、異なる機能を提供してもよい。タッチ感知電極/電極部分130a~130dは、1つ若しくは複数の指550がそれぞれの感知電極130a~130d上の外皮126の近くにある又はこれに接触するのを感知するように、構成及び/又は配置される。指感知電極130a~130dはハンドル部分120の周りに空間的に分配され、それにより各指感知電極130a~130dが、それら自体とユーザの指550の異なる部分との間の静電容量に応答するようになる。指感知電極130a~130dはさらに、グループ又はセットでハンドル部分120の周りに配置されて、指感知電極130a~130dの各セットが異なる指550に対して提供される。図4aの例では、電極130aは人差し指に対する指感知電極の第1のセットを形成してもよく、電極130bは中指に対する指感知電極の第2のセットを形成してもよく、電極130cは第3指に対する指感知電極の第3のセットを形成してもよく、電極130dは第4指に対する指感知電極の第4のセットを形成してもよい。指感知電極130a~130dの4つのセットが示してあるが、装置100の用途に応じて、装着100は1つ、2つ、3つ、又は4つのセットを備えてもよいことが理解されよう。さらに、図4aの実施例の各セットは4つの電極を有するが、他の実施例では、各セットはより少数の又はより多数の電極を有してもよい。
【0084】
タッチ感知電極/電極部分140a~140cは、操作者の親指560がそれぞれの親指感知電極140a~140c上の外皮126の近くにある又はこれに接触しているのを感知するように、構成及び配置される。親指感知電極140a~140cは、図1a、図1b、及び図2に示すように、ハンドル部分120の端部122に位置付けられる親指トラック・パッド122aの一部分を含む。
【0085】
装置100はさらに、制御入力部、電源ボタン、発光装置、音発生装置など、ハンドル部分120の周りに配設される入力要素170及び/又は出力要素172を備えてもよい。入力要素170は、操作者の指550、親指560、又は手500がそれぞれのタッチ感知電極150上の外皮126の近くにある又はこれに接触しているのを感知するためのタッチ感知電極150(図4aを参照)を備えてもよい。出力要素172、たとえば発光装置は、操作者が入力要素170にタッチすることによって提供される電気信号に応答して、作動してもよい。
【0086】
装置100はさらに、タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150から該又は各電気信号を受信するように構成された測定モジュール300を備える。測定モジュール300は、1つ又は複数のタッチ感知電極130a~130d、140a~140cに対する操作者の指550、親指560、又は手500の位置を、受信した該又は各電気信号に基づいて判定するように構成される(図6を参照しながら以下でさらに検討する)。測定モジュール300は、電極から受信した電気信号を処理し、指550の位置を判定するためのマイクロコントローラ・ユニットを備える。測定モジュール300はさらに、遠隔のコンピューティング装置と通信するためのワイヤレス通信ユニット(たとえば、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)low energy、又はWiFi)、及び測定モジュール300に電力供給するための電力管理ユニットを含む追加のハードウェアを備えてもよい。たとえば、電力管理ユニットはバッテリに接続可能であってもよく、又は電力管理ユニットは再充電可能なバッテリを備えてもよい。測定モジュール300はさらに、慣性計測装置(IMU)を備えてもよい。IMUは、加速度計、ジャイロスコープ、及び/又は磁力計を備えてもよい(たとえば、IMUは9自由度を有してもよい)。
【0087】
各タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150は、測定モジュール300によって個々に対応可能である。測定モジュール300は、タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150に機械的(且つ電気的)に接触するように構成された1つ又は複数の電気コネクタ310(すなわち、はんだ付け又は他の形態の接着剤を必要とない電気接続部)を備える。測定モジュール300は、コネクタ310がタッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150に機械的に接続する、ハンドル部分120内の固定位置に装着可能である。言い換えれば、測定モジュール300は、(たとえば装置100の組立て中に)ハンドル部分120に単に「差し込まれる」ように構成される。さらに測定モジュール300は、必要に応じてハンドル部分120から取り外されても、又は引き抜かれてもよい。このように直接接続される構成によって、製造及び組立て又は装置100が非常に簡単になり、これについては図5を参照しながらさらに詳細に検討する。
【0088】
ハンドル部分120はさらに、タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150、外皮126、及び/又はハンドル部分120の全体的な形/構造を支持するための実質的に硬い中空のコア200を備えてもよい。タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150は、少なくとも部分的にコア200内に若しくはコア200上に埋め込まれ又は形成され、外皮126は、タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150及びコア200を覆うように形成され又は提供されてもよい。コア200は、たとえばタッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150の短絡を回避するために、非導電性材料から形成され、又はそれを含む。コア200は、装着部分110をハンドル部分120に連結するために使用される結合部112bを備えてもよい。
【0089】
装置100の製造を簡単にするために、コア200は、たとえば組立て中に互いに接合される2つ以上のシェル部分210a、210bから形成されてもよい(図5a~図5cを参照しながらさらに検討する)。各シェル部分210a、210bは、シェル部分210a、210bを互いに固定するための1つ又は複数のかみ合い部材212を備えてもよい。各シェル部分のかみ合い部材212は、2つのシェル部分が互いに合わされたときに、互いに重なる又は他のやり方で嵌まるように構成されてもよい。たとえば、かみ合い部材212は、1つ若しくは複数の雄及び雌のタイプのコネクタ、突出部、凹部、並びに/又はクリップであってもよく、又はそれらを備えてもよい。
【0090】
代替的な実施例では、外皮126は、境界層としての役割を果たし、タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150と、ハンドル部分120の全体的な形状/構造との両方を支持する実質的に硬い非導電性材料であってもよく、又はそれを備えてもよい(すなわち、外皮はコア200であってもよい)。
【0091】
測定モジュール300は、コアの空洞内で固定位置に装着可能である。したがって、コネクタ310は、コア200の空洞側から直接タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150に接触する。これを容易にするために、各タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150は、コア200の壁207にある開口部205を覆うように、その中に、且つ/又はそれを貫通して延在するように形成され、それによりそれぞれの電極130a、130b、130c、130dの少なくとも接触部分131が露出し、コネクタ310によって空洞側からアクセスできるようになる(図5aを参照)。たとえば接触部分131は、図5cに示すように、開口部205を貫通して空洞内に延在してもよい。或いは、接触部分131は、開口部205を覆うように延在するタッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150の内側表面であってもよく若しくはそれを含んでもよく、又は接触部分131は、少なくとも部分的に開口部205内に延在してもよい。後者のこれら2つの例では、各コネクタ310は、少なくとも部分的に開口部205内に延在して、それぞれのタッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150に接触してもよい。
【0092】
該又は各コネクタ310は、測定モジュール300が固定部分に装着されたときに、接触部分131に押し当てられる実質的に硬い嵌合部分を備える。嵌合部分はさらに、露出した接触部分131を少なくとも部分的に変形させ、又はそれを貫通して、それと電気接触するように構成されてもよい。嵌合部分は、電極との確実な機械的接続を可能にする1つ若しくは複数の金属突出部、ピン、城郭状パッド、クリップ・ピン、又は他の任意の形状の金属コネクタであってもよく若しくはそれを含んでもよい(図5b及び図5cを参照)。測定モジュール300が固定位置にあるとき、嵌合部分は、電極の接触部分131に向かって付勢されてもよく、且つ/又はその逆であってもよい。たとえばピン又は突出部は、ばね式であってもよい。さらに又は或いは、接触部分310の非金属導電性材料は実質的に弾性があってもよく、嵌合部分によって変形(たとえば圧縮又は屈曲)されたことに応答して、嵌合部分に対して反作用力を加えてもよい。
【0093】
タッチ感知電極130a~130d、140c~140d、150、外皮126、及び/又はコア200は、熱成形可能な材料から形成された、又はそれを含む成形構成要素である。これにより、タッチ感知電極130a~130d、140c~140d、150、外皮126、及び/又はコア200を、射出成形、加熱プレス、又は任意の他の熱成形工程などの成形工程によって形成することができるようになる。タッチ感知電極130a~130d、140c~140d、150、外皮126、及び/又はコア200は、別々に成形され、次いで、互いに後組立てすることができる。或いは、コア200、及びタッチ感知電極130a~130d、140c~140d、150(及び任意選択で外皮126)は、オーバモード工程によって形成されてもよい(すなわち、同じ工具セットを使用して成形されてもよい)。
【0094】
外皮126とコア200に使用される材料は、同じであっても又は異なっていてもよい。実施例では、外皮126は実質的に軟質であり、非導電性のシリコン・ゴム、EVA、又はポリウレタン(PU)から形成される。また皮は、ファブリック又は合成皮革などの外部コーティング若しくは層を備えてもよい。ケーシング200に好適な材料は、PU、ABSプラスチック、又はポリカーボネート(PC)などの非導電性プラスチックを含むが、これらに限定されない。
【0095】
タッチ感知電極130a~130d、140c~140d、150は、事前定義された3D電極形状、間隔、及び配置を有するように、上述した熱成形工程で、1つの型を使用して同時に形成される。
【0096】
図4及び図5の実施例では、各タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150は、別々に成型された電気的に絶縁された電極であり、別々のコネクタ310に接続可能である。代替的な実施例(図示せず)では、たとえば指感知セット130a~130d、又は親指トラックパッド・セット140a~140cの2つ以上のタッチ感知電極は、物理的且つ/又は電気的に互いに接続されてもよい。この場合、接続された各電極130a~130d、140a~140cは、異なる電気信号を提供するように接触部分131において別々のコネクタ310に同様に接続可能な電極部分(たとえば、非金属導電性材料の単一片の一部分)であってもよい。接続された電極部分130a~130d、140a~140cは、非金属導電性材料の単一片として熱成形されてもよく、それにより1セットの型工具しか必要としない。接続された電極部分130a~130d、140a~140cは、たとえば組立ての必要な部品数を減らすことによって、センサ装置100を単に製造するでもよい。
【0097】
外皮126は、たとえば把持力を増大させるために、凹凸のある、又はプロファイルされた外側表面を伴って形成されてもよい(図1a及び図1bを参照)。さらに外皮126は、図2に示すように、装着部分110に面するハンドル部分120の背面側に、1つ又は複数の隆起した若しくは小山状構造部128を伴って形成されてもよい。小山状構造部128は、存在する場所で、ハンドル部分120の長さに沿った所定の位置で、且つ/又は所定の間隔で、ハンドル部分120に指550を位置付けるように構成される。たとえば小山状構造部126は、人差し指と中指を位置付け、それらを隔てるように配置されてもよい。図示するように、追加の小山状構造部128を使用して、中指と第3指、及び/又は第3指と第4指が位置付けられ、それらが隔てられてもよい。
【0098】
タッチ感知電極(又は電極部分)130a~130d、140a~140c、150は、成形工程の性質により、ほぼあらゆる任意の大きさ、形、又は三次元(3D)形状に形成若しくは成形することができる。たとえばタッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150は、複雑さに関係なく、ハンドル部分120、コア200、及び/又は外皮126の内側/外側の表面の外形に一致することができる。これにより、電極の形、配置、及び装置100自体の設計の自由が大きく増加する。
【0099】
タッチ感知電極部分は、3D体積を有し、より広い領域をカバーして、静電容量のわずかな変化に対する感応性をより高くし、典型的にはより小さい金属電極の同等物に比べてより大きい信号変化を生成するのを可能にする。
【0100】
たとえば、単純化された平行平板キャパシタのモデルでは、タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150と、それらのタッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150に近い/それらを覆う指550の一部分との間の静電容量Cは、指部分の接触面積A(すなわち、外皮126に接触している指550の表面積)と、電極の感知面積Aとの重なりに正比例し、CαA/(d*(A+A))によれば、電極と指との分離d(たとえばスペーサ層の厚さ)に反比例する。指の幅に比べて電極が相対的に小さいセンサ装置(従来の金属電極を使用するものなど)については、典型的には、AはAよりはるかに小さく、結果的に生じる静電容量、及び所与の分離dについて生成される電気信号は、成形電極130a~130d、140a~140c、150など、指550の幅に相当するさらに大きい電極を使用して生成されたものより小さくなる。従来技術の手法は、スペーサ層(すなわち外皮)の厚さdを薄くすることによって、小さいAを補償するものである。しかしこの手法では、スペーサ層材料の形状及び誘電特性、並びにセンサ装置自体の構築に技術的な制約が課される。有利には、成形非金属タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150は、典型的な(最大の)指接触面積Aに相当し、又はさらにそれより大きくすることが可能であり、従来のセンサ装置に比べて外皮126の技術的要件(たとえば厚さ及び形状)を緩和し、それにより装置の製造及び組立てを簡単にする(以下でさらに検討する)。
【0101】
さらに、各成形非金属タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150によって提供される電気信号、及びその反応性は、その大きさ及び形状によって適応させることができる。たとえば、最小信号値と最大信号値との間の信号変化の関数形式は、実質的になめらかで緩やかになるように適応させることができる。これにより、タッチ感知電極部分が、指/手の動きのより広い範囲を感知/分解できるようになる。
【0102】
たとえば、指550の位置が、開位置と閉位置の間で(すなわち、ユーザがハンドル部分120を把持する/把持しないときに)変化するにつれて、指の接触面積Aは、操作者により外皮126に加えられる圧力に応じて変化する。アクティブな感知面積Aが指の幅に比べて相対的に小さい従来の金属電極を使用するセンサ装置では、重複面積及び対応する電気信号は、指550が動いてスペーサ層に接触する点で最小から最大に急激に変化し、又はその逆も同様になる(指接触面積Aが即座に/急に感知面積Aいっぱいに広がるからである)。それとは対照的に、成形非金属タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150は、指550の幅に相当し又はそれより大きくなることが可能なので、指550が開位置と閉位置との間で動くときの最小電気信号から最大電気信号への推移は、相対的になめらかで、抑制されたものになることが可能である。これにより、装置100は、より広範囲の指位置及び/又は動きを判定することが可能になる(図6を参照しながら以下でさらに詳細に検討する)。
【0103】
図6は、装置100の動作を示す。使用に際し、装置100は、図1a及び図1bに示すように動作位置で操作者の手500に装着される。装置100の電極の配置により、各指500は確実に1つ又は複数の電気信号と互いに関連付けられることが可能であり、各電気信号は、指550の異なる部分にマッピングされる。言い換えれば、各指感知電極130a~130dは、指500の特定の部分に関連付けられた電気信号を提供する。好ましくは、図6aに示すように、別々の指感知電極130a~130dが、指550の基節骨1及び中節骨2の位置と相互に関連付けられるように、装置100は動作位置で手500に装着される。指節骨1、2は指550の腹を含み、典型的にはこれが、閉位置にあるときに外皮126に接触する。したがって、指感知電極130a~130dの各セットは、基節骨1の近接を検出するように配置された少なくとも1つの第1の電極と、中節骨2の近接を検出するように配置された少なくとも1つの第2の電極とを備えてもよい。各指感知電極130a~130dは、末節骨3の近接を検出するように配置された第3の電極を備えてもよいが、以下で検討するように、これは指550の位置を判定するのに必須ではない。
【0104】
操作者の指550、親指560、又は手500が動いて外皮126の表面に近づく、触れる、又はそれを横切って動くとき、電気信号は、1つ若しくは複数のタッチ感知電極(又は電極部分)130a~130d、140a~140c、150によって生成され、ほぼリアルタイムで測定モジュール300によって受信される。測定モジュール300は、タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150に接続された各コネクタ310を順番に(すなわち、1つずつ)走査して、各電気信号を別々に測定するように構成されてもよい。測定モジュール300は、マルチプレクサの機能を備えてもよい。走査周波数は、あらゆる測定ラグを最小に抑えるために、指550、親指560、又は手500の典型的な移動速度よりも十分に高くてもよく、それにより操作者は、測定/検出がリアルタイムであると認識する。たとえば、走査速度は100~200Hzの範囲であってもよい。走査速度は、用途に応じてより遅くても、又はより早くてもよい。こうして、1度に1つの感知点(すなわち、接触部分131)のみが、測定モジュール300にアクティブに接続される。たとえば、1つの感知点からの電気信号が測定されている間、他の(非アクティブな)感知点は、測定モジュール300から接続解除されてもよい。これは、測定モジュール300又はソフトウェアによって制御される1つ又は複数のスイッチング回路によって実現されてもよい。このスイッチング回路は、測定モジュール300の内側にあってもよく(たとえばマイクロコントローラ・ユニットの一部)、又は測定モジュール300に接続された外部の中間ユニットにあり、ソフトウェアによって制御されてもよい。或いは、測定モジュール300は、各コネクタ310において受信した電気信号を同時に読み取る/測定するように構成されてもよい。
【0105】
有利には、コネクタ310を1つずつ走査することによって、コネクタ310の任意の所与の対の間で(たとえば接続された2つ以上の電極部分を通して)短絡回路が確実に形成されなくなる。したがって、この操作方法によって、タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150を接続すること、したがって1つの型を使用して成形することが可能になる。この場合、タッチ感知電極130a、130b、130c、130dは、同じ成形工程中に同じ非金属導電性材料から作られる薄い接続構造部を介して接続され、それによりすぐ近くにある2つの電極間の抵抗値は十分に高く、それにより特定のコネクタ310が受信する電気信号は、そのコネクタが接続されている電極部分に主に影響される。これにより、この測定方法によって、単一の電極を用いて複数本の指の感知が可能になる。
【0106】
同様に、図4及び図5の各タッチ感知電極又は電極部分130a~130d、140a~140c、150は、単一のコネクタ310に接続されるものとして示されるが、他の例では、各タッチ感知電極又は電極部分130a~130d、140a~140c、150は、異なる感知点/接触部分131で2つ以上のコネクタ310に接続されて、各感知点/接触部分131が、それぞれの電極/電極部分の戦略的な点から測定モジュール300に別々の電気信号を提供してもよい。
【0107】
各指感知電極(又は電極部分)130a~130dは、最大値と最小値の間で電気信号を提供して、指550/手500がどのくらい開いているか又は閉じているかを表す。最小値は、図1aに示すように指550が完全に平らに開いており、それによりそれぞれの指感知電極(又は電極部分)130a~130dを覆う外皮126に指節骨1、2、3が接触しないときに提供されてもよい。最大値は、指550が閉じており、又はハンドル部分120の周りに丸まって/その周りを覆っており、それによりそれぞれの指感知電極(又は電極部分)130a~130dを覆う外皮126に指節骨1、2、3が接触するときに提供されてもよい。先に検討したように、成形指感知電極(又は電極部分)130a~130dは、感知領域Aの少なくとも1つの寸法が指550の幅に相当するような形状及び/又は大きさであってもよく、最小弁から最大弁への変化を大きく且つ/又はなめらかにする。したがって、各指感知電極(又は電極部分)130a~130dは、それぞれの電極上の外皮126にそれぞれの指部分が接触している間に、様々な中間信号値を提供することができ、各中間値は、指550の異なる位置又は格好を表す。
【0108】
図1a及び図1bに示すように、動作位置は、指550の第1と第2の指関節の間(MCP関節とPIP関節との間)、すなわち基節骨に、装置10が装着される場所であることが好ましい。したがって基節骨1は、典型的には、開位置と閉位置の間の全移動範囲にわたって、第1の電極の上の外皮126に接触し、対応する高い/非ゼロの値の信号を提供する。この第1の電極の信号は、電極セット内のそれぞれの他の信号と比較されて、指位置測定の頑健性を向上させ、ミスタッチを回避するために使用されてもよい。たとえば、第1の電極は、指関節に近い基節骨にマッピングされるので、間違った指でアクティブ化させることは困難である。次いで、第1の電極からの信号の弁/レベルを、本当のタッチとミスタッチを区別するための差分タイプの測定において、第2の電極、及び第3の電極などのためのフィルタとして使用することができる。
【0109】
この技法を使用して、装置100は指550の横方向の回転(広がり)を判定することができる。これは、指550と装置100の自然な位置合わせ(左側)、及び判定され得る指の横方向移動(右側)を示す図6bに示してある。図6b(右側)に示す例では、第3指のセット130cのうちの第2の電極が、そのセットの第1の電極がトリガされることなく、トリガされており(又は、第3指のセット130cのうちの第2の電極が、第1の電極よりもはるかに高い値を有しており)、第2指(中指)の横方向の移動により、第3指の第2の電極がアクティブ化されたことを示している。上述したように、指感知電極(又は電極部分)130a~130dは、十分に大きい感知面積を有するように形成されており、それにより操作者の指550が電極の位置に完全に位置合わせされていない場合でも、タッチ及び/又は移動を示す明確な信号変化がなお提供され、それにより指位置を判定することができる。電気信号は、指550の接触/タッチの面積と圧力の両方を示す「ヒート・マップ」を、ハンドル部分120上に形成することとして解釈することができる。この信号の「ヒート・マップ」をジェスチャ/指の位置に変換するために、機械学習方法が使用されてもよい。
【0110】
指の横方向の移動を検出することに加えて、1つのセットの電極の対からの信号を使用することによって、基節骨1、中節骨2、及び末節骨3の位置及び/又は格好を別々に推定することができるようになる。第1の電極は、第1の指関節(MCP関節)の回転にマッピングされ、それにより基節骨1の位置が判定される。第2の指関節(PIP関節)と第3の指関節(DIP関節)の回転はリンクしており、たとえば典型的には、第2の指関節を曲げずに第3の指関節を曲げることはできないが、第3の指関節を曲げずに第2の指関節を曲げることはできる(たとえば図6cを参照)。したがって、1つのセット内の第1~第3の電極から受信した信号から、第1の指関節の回転、及び基節骨1の位置/格好を推論する又は導き出し、次いで第2及び第3の指関節の回転を外挿することが可能である。次いで、中節骨2が外皮126に接触していないときに、中節骨2の(したがって同じく末節骨3の)格好又は位置を推定することができる(たとえば図6cの左部分を参照)。
【0111】
測定モジュール300によって判定された指又は手の位置は、ワイヤレス通信ユニットを介してコンピューティング装置に送信されて、たとえば手500若しくは指550が表示及び/又は動画化されてもよく、且つ/或いは、指の位置に基づき、コンピューティング装置の1つ又は複数の機能が制御されてもよい。
【0112】
指550/手500の位置を判定するための代替的な手法は、完全な開位置及び閉位置を表す2つの位置において(可能な動きの2つの極値において)、装置100をキャリブレーションすることを含む。中間位置も同様にキャリブレーションされてもよい。これは、各指位置について信号値のセットを記憶することを含んでもよい。使用に際し、測定信号値を記憶された値と比較して、指位置を導き出すことができる。次いで中間位置(すなわち、キャリブレーションされた位置付けられたの間)を、キャリブレーション点同士間での補間によって導き出すことができる。
【0113】
補間を導くために使用されるキャリブレーション値は、0~1の範囲の重み付け係数をかけた、上述した2点の差分感知(ミスタッチのためのフィルタリング)の組合せから計算することができる。多数のアルゴリズムが考えられることが理解されるが、代表的なアルゴリズムは、
f≧s→(fα+βs)
f≦s→(fα)
として数学的に明示することができ、ここでf及びsは、第1及び第2の電極についてのキャリブレーションされた値であり、α及びβは、それぞれf及びsについての、合わせると1になる重み付け係数である。指位置を直接符号化するのではなく、この形の補間を支持することは、装置100と、動画化のためにこれを使用するコンピュータ・プログラムとの間に、インターフェースを確立することができることを意味する。
【0114】
上記の両方の方法では、典型的な装置100が遭遇するかもしれない様々な異なる手の大きさ及び条件を補償するために、測定モジュール300は、「閉」と「開」の手の位置に対応する各電極(上を参照)の信号値を、可能な動きの範囲の極値において推定し、次いで、測定された信号値の変化に応答してこれらの値の推定を調節することにより、装置100を「自動的にキャリブレーションする」ように構成されてもよい。
【0115】
また機械学習方法を使用して、装置100の感知頑健性及びカスタム化を向上させてもよく、それにより時間の経過に伴って、装置100を個々のユーザにとってよりよいものにすることができる。こうした方法は、信号値のデータ・セットを位置及びジェスチャの推定に変換する。機械学習モデルは、ラベル付けされた入力及び予想される位置の出力を有するデータ・セットについて訓練され(教師あり学習)、位置を推定することができるモデルが提供される。次いで、これらの予測位置が取り込まれて、これらと予想されるジェスチャ出力とを使用して第2のモデルが訓練され(この場合も教師あり学習)、ジェスチャを分類することができるモデルが生成される。この2段階の工程は、ハードウェアからジェスチャ認識を分離し、それを産業用途向けに一層実用的なものにする。
【0116】
有利には、装置100は、装着部分110を左利き又は右利き用の装着部分110に交換し(図3を参照)、同じハンドル部分120を使用することによって、左手又は右手500のいずれにも使用することができる。この目的のために、ハンドル部分120の電極配置は実質的に左右対称である。測定モジュール300は、左手モードと右手モードを切り替えて、コネクタ310で受信される電気信号が、指550又は手500の位置にどのようにマッピングされるかを再構成するように構成されてもよい。電極の配置、及び操作者がどちらの手を使用しているかに応じて、いくつかの指感知電極又は電極部分130a~130dは、手500のひらの下に位置付けられてもよい。こうした電極はアクティブのまま維持され、たとえば測定モジュール300によって判定された左手又は右手の特徴的なヒート・マップから、握力、及び/又は操作者がどちらの手を使用しているかを判定するために使用されてもよい。
【0117】
或いは又はさらに、ハンドル部分120は、測定モジュール300に制御信号を提供して左手モードと右手モードとの間で測定モジュール300を切り替えるように構成された切替え機構(図示せず)をさらに備えてもよい。この場合測定モジュール300は、上述したように、左手モード時には、該又は各電気信号及び制御信号に基づき左手の指の位置を判定し、右手モード時には、該又は各電気信号及び制御信号に基づき、右手の指の位置を判定するように構成される。
【0118】
切替え機構は、さらなる入力部170のうちの1つであってもよく、又はそれを備えてもよい。切替え機構は、ハンドル部分120上に若しくはハンドル部分120内に配設されたスイッチ、ボタン、及び/若しくはセンサであってもよく、又はそれを備えてもよい。切替え機構は、操作者によって手動で作動されてもよく、又はハンドル部分120に装着部分110を連結することによって作動されてもよい。たとえば、切替え機構は、結合部112b内に組み込まれてもよく、又はその一部であってもよい。
【0119】
熱成形可能な非金属材料を使用することによって、装置100について製造及び組立ての唯一の解決策が提供される。特に、測定モジュール300は、ハンドル部分120内にそれを装着することにより電極130a、130b、130c、130dに直接(機械的に)接続されて、さらなる配線又ははんだ付けを全く使用することなく、完全な装置100を形成することができる。
【0120】
本発明による装置100を製造する全体的な方法は、2つのステップを含む。ステップ1では、ハンドル部分120が少なくとも部分的に形成され且つ/又は組み立てられる。このステップは、タッチ感知電極130a~130d、140a~140c、150、又は、電極部分130a~130d、140a~140c、150を有する1つ若しくは複数の単一の感知電極を、非金属導電性材料から成形するステップと、各電極又は電極部分130a~130d、140a~140c、150を装着/支持するためのコア200として、成形非導電性材料を提供するステップとを含む。
【0121】
ステップ2では、電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150に接続されように、測定モジュール300がハンドル部分120内に提供され、装着される。測定モジュール300は、概ね2つの異なるやり方で装着することができる。一実施例では、測定モジュール300を装着するステップは、測定モジュール300を、組立て済みのハンドル部分120(図示せず)の中に動かす又は挿入するステップを含む。別の実施例では、ハンドル部分120が装着モジュール300の周りに組み付けられる(図5を参照しながら以下でさらに詳細に説明する)。
【0122】
電極(若しくはその部分)130a~130d、140a~140c、150上に又はそれを覆うようにコア200が提供されない場所には、各電極(若しくはその部分)130a~130d、140a~140c、150を覆うように又はその上に、外皮としてさらなるさらなる非導電性の成形材料が(測定モジュール300の装着前若しくは装着後に)提供される。これは、外皮が独立して成形される付加的なオーバーモールド・ステップ又は組立てステップとすることができる。これらのステップの順序は入れ替え可能である。
【0123】
装置100を製造する例示的な方法を、図5a~図5dに示し、これらの図ではハンドル部分120が装着モジュール300の周りに組み付けられる。ステップS1(図5aを参照)では、中空のコア200の2つのシェル部分210a、210bが、実質的に硬い非導電性材料から成形される。次いで電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150が、コア200の各シェル部分210a、210b上に若しくはそれを覆うように、非金属導電性材料から成形される(これはオーバーモールド工程であってもよい)。ステップS2(図5bを参照)では、複数のコネクタ310を備える測定ユニット300が提供され、電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150の接触部分131に接触するように、コア200の空洞内に装着される。これは、2つのシェル部分210a、210bを、測定モジュール300の周りに、全体的に矢印によって示す方向に接合する又は組み付けることによって実現される。図示するように2つのシェル部分210a、210bを組み付けることにより、各シェル部分210a、210bのかみ合い部材212を互いに係合させ、シェル部分210a、210bが互いに係止されてもよい。シェル部分210a、210bが測定モジュール300の周りに接合/組み付けされると、コネクタ310は、図5cに示すように電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150の接触部分131に係合し、機械的に接触する。測定モジュール300は、このステップ中に(たとえば、測定モジュール300の一方の端部にあるタブ315によって)定位置に保持されてもよい。
【0124】
各シェル部分210a、210bは、任意選択で1つ若しくは複数の(凹部、チャネル、又は支柱などの)案内構造部を備えて、シェル部分210a、210bが接合されるときに測定モジュール300を補正の固定位置内に案内してもよい。これにより、コネクタ310が確実に各電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150に正しく接触するのを補助することができる。
【0125】
ステップS3(図5dを参照)では、非導電性の順応性のある材料から外皮126が成形され、コア200/電極の組立体上に若しくはそれを覆うように提供されて、装置100が完成する。これは、さらなるオーバーモールド・ステップを含んでもよい。或いは、これは、コア200/電極の組立体を覆うように成形済み外皮126を滑らせる、又は嵌めるステップを含んでもよい。
【0126】
或いは、測定モジュール300を、コア200/電極の組立体の中に入れて装着することができる(図示せず)。たとえば、ステップS1は、(電極(若しくはその部分)130a~130d、140a~140c、150を、各シェル部分210a、210b上に若しくはそれを覆うように成形する前又は後に)2つのシェル部分210a、210bを接合し又は組み付けて、ケーシング200/電極の組立体を形成するステップをさらに含んでもよく、ステップS2は、コア200によって形成された空洞内に測定モジュール300を移動させ又は挿入して、電極130a、130b、130c、130dの接触部分131に接触させるステップを含んでもよい。この場合、コア200は、シェル部分210a、210bから形成されなくてもよく、ステップS1はその代わりに、単一の中空コア200を成形するステップを含んでもよい。
【0127】
両方の方法において、電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150、コア200、及び/又は外皮126は、射出成形されてもよい。さらに、オーバーモールド工程を使用する代わりに、電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150、並びにコア200(及びシェル部分210a、210b)は、別々に成形され、(たとえば、測定モジュール300の装着前に)互いに組み付けられてもよい。
【0128】
任意選択で、外皮126が実質的に硬い場所では、電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150を定位置に支持し保持する目的を外皮が果たすことができるので、別個のコア200は必要とされないことがある。この場合には、ステップS1は、外皮126を成形し、外皮126の内側表面に電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150を成形するステップ(或いは、電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150を成形し、電極130a、130b、130c、130d上に又はそれを覆うように外皮126を成形するステップ)を含んで、外皮126/電極の組立体を形成してもよい。外皮126は、コア200と同様に2つのシェル部分から形成されてもよい。
【0129】
成形可能な材料を使用して、タッチ感知電極(又はその部分)130a~130d、140a~140c、150、コア200、及び/又は外皮126が形成されるので、装置100は、従来のセンサ技術及び金属の電極材料を使用した装置に比べて実質的に軽い。一実施例では、装置100は200g以下、又は150g以下の総重量を有してもよい。
【0130】
さらに、成形構成要素、及び機械的な相互接続を使用することによって、装置100の製造及び組立てが非常に簡単になる。相対的に廉価な材料とともに、これは、装置100を製造するコストも、従来の材料及び感知技術に基づく(たとえば、金属電極、ワイヤ、及び/又は可撓性回路を使用する)センサ装置より、大幅に少なくなることを意味する。
【0131】
手に装着可能なセンサ装置を製造するこの方法は、センサ埋込み式のスタイラス(図7aを参照)、センサ埋込み式のスマート剃刀(図7bを参照)、スマート歯ブラシ(図示せず)、又はセンサ埋込み式の自動車のドア取っ手(図示せず)など、手持ち式の同様の方式の他の製品にも適用することができる。これらの製品は従来、指/親指、又は手の位置検出機能を有していないが、追加的な感知機能を有して、直感的なジェスチャ制御、力閾値監視、消費者データ収集などのタスクを完了することから、恩恵を受けることができる。開示する本発明により、空間、重量、及び彫刻のような3Dプロファイルに制限のあるこれらの装置に、指/手の位置感知を組み込むことが可能になる。
【0132】
本開示を読むことから、他の変形形態及び修正形態が当業者には明らかになろう。こうした変形形態及び修正形態は、当技術分野においてすでに知られている等価の他の特徴を含んでもよく、これらの特徴は、本明細書ですでに説明した特徴の代わりに、又はそれに加えて、使用されてもよい。
【0133】
添付の特許請求の範囲は、特徴の特定の組合せを対象にしているが、本発明の開示の範囲は、本明細書で明示的又は暗示的に開示した任意の新規の特徴、又はそうした特徴の任意の新規の組合せ、又はそれらの任意の一般化も、任意の請求項においてここに特許請求されるものと同じ発明に関係するかどうかに関わらず、或いは、同じ技術的問題のいずれか又はすべてを本発明と同様に軽減するかどうかに関わらず、含むことが理解されるべきである。
【0134】
別々の実施例の文脈で説明した特徴は、組み合わされて単一の実施例で提供されてもよい。反対に、簡潔にするために単一の実施例の文脈で説明した様々な特徴は、別々に、又は任意の適切な下位の組合せで提供されてもよい。
【0135】
完全を期すために、「備える(comprising)」という用語は他の要素又はステップを排除せず、「a」又は「an」という用語は複数を排除せず、特許請求の範囲の任意の参照符号は、特許請求の範囲に記載の範囲を限定するものとはみなされないことも述べておく。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7