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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】中空多角柱状構造体
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
B65D6/18 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020015742
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021123357
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501469803
【氏名又は名称】テイジン・アラミド・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】Teijin Aramid B.V.
【住所又は居所原語表記】Tivolilaan 50, 6824 BW Arnhem, the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】定延 葉子
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-079957(JP,A)
【文献】特開2019-214915(JP,A)
【文献】特開2019-214916(JP,A)
【文献】特開2004-075160(JP,A)
【文献】実開昭51-040631(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0165030(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2159902(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1996188(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/18
E04C 2/20
E04C 2/40
G09B 27/00
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合同な四角形Vn,1,1n,1,2n,2,2n,2,1(n=1,2)を底面として構成され、ヒンジで接合された折れ線の周りの面の回転で、面の変形なしに折り畳むことのできる中空の四角柱状構造体であって、底面とともに折り畳まれる側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1(i=1,2)を「壁側面」、それ自体が折り畳まれることなく底面の変形に付随して移動する側面V1,1,j1,2,j2,2,j2,1,j(j=1,2)を「蓋側面」とするとき、次の3つの構成を具備することを特徴とする中空四角柱状構造体。

構成1:底面を構成する頂点Vn,i,jに対し該底面内の内角の等角二等分線を頂点Vn,i,jから引き底面内にその終点Qn,i,j,0を設ける。Qn,i,j,0から、最近接する壁側面と底面の境界の稜線Vn,i,1n,i,2上におろした垂線の足を点Qn,i,j,1とし、線分Qn,i,j,0n,i,j,1上に点Qn,i,j,0に近いほうから2点Qn,i,j,2、Qn,i,j,3を取る。線分Vn,i,jn,i,j,0、Q1,i,j,12,i,j,1を谷折り線、線分Qn,i,j,0n,i,j,2、Vn,i,jn,i,j,1を山折り線、Vn,i,jn,i,j,2とVn,i,jn,i,j,3に関しては何れか一方を山折り線とし他方を谷折りとし、かつQn,i,j,2n,i,j,1にスリット(線状の切断)を設ける(n=1,2;i=1,2;j=1,2)。
構成2:底面Vn,1,1n,1,2n,2,2n,2,1と隣接する壁側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1の稜線と折り畳み軸線AXnとの交点をPn,iとする(n=1,2;i=1,2)。該底面内において線分Pn,1n,2の両側に等しい距離t0で二本の平行線分を設け、頂点Vn,i,jにもっとも近接する該平行線分の終点をZn,i,jとし、終点Zn,i,jは点Qn,i,j,0に一致させる(n=1,2;i=1,2,j=1,2)。さらに線分Qn,i,1,0n,i,2,0と線分Pn,1n,2の交点をSn,i,0とし、交点Sn,i,0から最近接する壁側面と底面の境界の稜線Vn,i,1n,i,2上におろした垂線の足を点Sn,i,1とする(n=1,2;i=1,2)。このとき底面内において線分Sn,i,0n,i,1、Zn,1,jn,2,jを谷折り線とし、線分Qn,i,1,kn,i,2,kにスリットを設け(n=1,2;i=1,2;k=0,1)、かつ線分S1,i,12,i,1を山折り線とする(i=1,2;j=1,2)
構成3:壁側面と蓋側面の境界の稜線V1,i,j2,i,jに対し該壁側面内にt1の距離で平行線を設け、その線上に2点を取り、頂点V1,i,j、V2,i,jに近接する点をそれぞれR1,i.j、R2,i,jとする。ここで線分R1,i.j2,i.jを谷折り線、線分V1,i,j1,i.j、V2,i,j2,i.jにスリットを設ける。(i=1,2;j=1,2)
【請求項2】
底面が四角形より辺の数が多い任意の多角形である中空多角柱状構造体に対して、底面に垂直な分割面でこれを切断面に相当する蓋側面が欠けた中空四角柱状構造体に分割し、分割されたそれぞれの中空四角柱状構造体を、請求項1に記載の四角柱状構造体とし、分割面の周囲の辺が山折り線として接合されていることを特徴とする折り畳むことができる中空多角柱状構造体。
【請求項3】
全ての折れ線及び稜線及びスリットで面を一旦切断し、ヒンジをそれぞれの折線に対応する谷折り部に設置して切断された面を接合することを特徴とする請求項2に記載の中空四角柱状構造体及び中空多角柱状構造体。
【請求項4】
折れ線を有限の幅t′を持つ可撓性材料で置き換え面を接合することを特徴とする請求項3に記載の中空四角柱状構造体及び中空多角柱状構造体。
ここで、可撓性材料の幅t′は、それで接合される2つの面の厚さをそれぞれT′1、T′2とするとき、以下の条件を満たす。
T′1+T′2<t′
【請求項5】
可撓性材料が、FRPヒンジであることを特徴とする請求項4に記載の中空四角柱状構造体及び中空多角柱状構造体。
ここでFRPヒンジは、繊維強化樹脂複合材料からなる板材に、線状に連続してマトリックス樹脂を含まない領域を形成し、そのままもしくはマトリックス樹脂のかわりに可撓性のある樹脂を含浸して剛直な繊維強化複合材料を結合するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳むことのできる中空状の多角柱状構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に直方体様の袋や収納容器を全体または部分的に折り畳むことは広く行われており、収納時など容器として使用していないときには、折り畳むことにより収納性を上げること、またその状態で移送することで、容器に内容物がない状態での輸送の効率化を図ることなどに有用に用いられている。折り畳みの方法は、閉じた箱を折り畳む場合は、図22に示すような展開図を持つ構造を稜線V1,i,j2,i,j(i=1,2;j=1,2)、V2,1,j2,2,j(j=1,2)で接合し稜線とすることで箱構造(直方体)を構成し、図中の実線を山折り線、点線を谷折り線として各稜線および折線を軸として面(壁)を回転させることで、完全に折り畳むことが行われている。
【0003】
但し、これは紙やファブリックなど面の変形が可能な材料で構成された場合に限られ、各面が剛体とみなされる場合や実質的に曲げることが容易でない場合には、面の回転に伴い、稜線Vn,i,1n,i,2(n=1,2;i=1,2)に過大な応力が発生し、稜線を破壊することなく折り畳むことができない。
【0004】
この現象は、「鞴の理論(Bellows Theorem)」として知られている。鞴の理論は、例えば非特許文献1に記載されているように、「一般に多面体は面の剛性を保ったまま体積を変えることができない」というものである。これは、直方体をはじめとする四角柱構造からなる六面体は圧縮方向に平行な4本の稜線を完全に切断しない限り全く折り畳むことができないことを意味する。
【0005】
また仮に六面体の圧縮方向に平行な4本の稜線を完全に切断する以外の方法で鞴の理論を回避したとしても、有限の厚さをもつ剛性の高い面材料を用いるとき、折り畳みにともなう軸周りでの面の回転が面の厚さのために相互に干渉し、全く折り畳みができないか、折り畳みが不完全にしか行うことができない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】R. Connelly, I. Sabitov, and A. Walz. The bellows conjecture. Contributions to Algebra and Geometry, 38(1):1-10, 1997.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
剛性の高い材料で中空の立方体、直方体ないし多角柱状構造を構成し、それを折り畳むことは多くの工業的用途を有する。例えば輸送用のコンテナの場合、コンテナ内に荷物を収納して運搬する場合は構造的剛性を保持し、空のコンテナを折り畳んで体積を減らして移送することで搬送を効率化できる。また、臨時の簡易建築物として用いる構造体を、折り畳んで輸送し、また非使用時にも折り畳んで収納効率を上げることができる。しかしながら、剛性の高い材料を面に用いた直方体ないし多角柱構造を折り畳む方法は一般には知られていないため、それを可能とする技術が求められている。
【0008】
本発明は、各稜線及び各折れ線周りの面の回転によって面を変形することなく折り畳むことのできる中空多角柱状構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、合同な四角形Vn,1,1n,1,2n,2,2n,2,1(n=1,2)を底面として構成され、ヒンジで接合された折れ線の周りの面の回転で、面の変形なしに折り畳むことのできる中空の四角柱状構造体であって、底面とともに折り畳まれる側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1(i=1,2)を「壁側面」、それ自体が折り畳まれることなく底面の変形に付随して移動する側面V1,1,j1,2,j2,2,j2,1,j(j=1,2)を「蓋側面」とするとき、
構成1:底面と壁側面の境界領域における折り畳み構成。
構成2:底面及び壁側面の中央部の折り畳み線に沿った折り畳みによる面の干渉を解消する構成。
構成3:蓋側面と壁側面の境界領域における折り畳みによる面の干渉を解消する構成の3つの構成を具備する中空四角柱状構造体が提供される。
但し、本明細書では、下付き文字は、(1,1,1)を基準点として、そこから3次元方向の何れの方向に離れているかで決定する。
【0010】
構成1は、底面を構成する頂点Vn,i,jに対し該底面内の内角の等角二等分線を頂点Vn,i,jから引き底面内にその終点Qn,i,j,0を設け、終点Qn,i,j,0から、最近接する壁側面と底面の境界の稜線Vn,i,1n,i,2上におろした垂線の足を点Qn,i,j,1とし、線分Qn,i,j,0n,i,j,1上に点Qn,i,j,0に近いほうから2点Qn,i,j,2、Qn,i,j,3を取り、線分Vn,i,jn,i,j,0、Q1,i,j,12,i,j,1を谷折り線、線分Qn,i,j,0n,i,j,2、Vn,i,jn,i,j,1を山折り線、線分Vn,i,jn,i,j,2と線分Vn,i,jn,i,j,3に関しては何れか一方を山折り線とし他方を谷折りとし、かつ線分Qn,i,j,2n,i,j,1にスリット(線状の切断)を設ける(n=1,2;i=1,2;j=1,2)ことができる。
但し、壁側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1を欠く場合は、頂点V1,i,1、V1,i,2、V2,i,2、V2,i,1に関して、本構成は設ける必要がない(i=1,2)。
【0011】
構成2は、底面Vn,1,1n,1,2n,2,2n,2,1と隣接する壁側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1の稜線と折り畳み軸線AXnとの交点をPn,iとし(n=1,2;i=1,2)、該底面内において線分Pn,1n,2の両側に等しい距離t0で二本の平行線分を設け、頂点Vn,i,jにもっとも近接する該平行線分の終点をZn,i,jとし、終点Zn,i,jは点Qn,i,j,0に一致させ(n=1,2;i=1,2,j=1,2)、線分Qn,i,1,0n,i,2,0と線分Pn,1n,2の交点をSn,i,0とし、交点Sn,i,0から最近接する壁側面と底面の境界の稜線Vn,i,1n,i,2上におろした垂線の足を点Sn,i,1とし(n=1,2;i=1,2)、底面内において線分Sn,i,0n,i,1、Zn,1,jn,2,jを谷折り線とし、線分Qn,i,1,kn,i,2,kにスリットを設け(n=1,2;i=1,2;k=0,1)、かつ線分S1,i,12,i,1を山折り線とする(i=1,2;j=1,2)ことができる。
【0012】
但し、壁側面壁側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1の何れか一方または双方が欠けていて構成Iが設けられなかった場合はZn,i,jは該平行線と稜線Vn,i,1n,i,2の交点とすることができる。
【0013】
構成3は、壁側面と蓋側面の境界の稜線V1,i,j2,i,jに対し該壁側面内に距離t1だけ離間させて平行線を設け、その線上に2点を取り、頂点V1,i,j、V2,i,jに近接する点をそれぞれR1,i.j、R2,i,jとする。ここで線分R1,i.j2,i.jを谷折り線、線分V1,i,j1,i.j、V2,i,j2,i.jにスリットを設ける(i=1,2;j=1,2)ようにすることができる。
【0014】
但し、底面Vn,1,1n,1,2n,2,2n,2,1の何れか一方、または、双方が欠けていて構成Iが設けられなかった場合は、点Rn,i,jは該平行線と稜線Vn,i,jn,i,j,1の交点とし、線分Vn,i,jn,i,jにはスリットを設けない(n=1,2;i=1,2;j=1,2)とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の中空多角柱状構造体は、各稜線及び各折れ線周りの面の回転によって面を変形することなく折り畳むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による中空多角柱状構造体の一例を示す展開図である。
図2】構成Iを説明するための略図である。
図3】構成IIを説明するための略図である。
図4】構成IIを説明するための略図である。
図5】構成IIIを説明するための略図である。
図6】五角形の底面を2つの四角形に分ける例を説明するための略図である。
図7】八角形の底面を2つの四角形に分ける例を説明するための略図である。
図8】本発明の中空四角柱状構造体の一例を示す展開図である。
図9図8の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図10図8の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図11図8の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図12図8の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図13図8の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図14図8の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図15】本発明の中空五角柱構造体の一例を示す展開図である。
図16図15の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図17図15の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図18図15の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図19図15の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図20図15の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図21図15の中空四角柱状構造体の圧縮過程を示す斜視図である。
図22】本発明を適用する中空角柱構造体の一例を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の中空多角状柱構造体は、各稜線及び各折れ線周りの面の回転によって面を変形することなく折り畳むことが可能である。
【0018】
本発明を適用する中空四角柱状構造体10は、一例として図1において展開図で示すように、四角柱状の中空構造体であり、その一方の底面の形状が一般的な四角形であり、かつ、対向する底面の形状は合同となっている。より詳細には、合同な四角形V1,1,11,2,11,2,21,1,2と四角形V2,1,12,2,12,2,22,1,2とを平行に対面する底面として有する四角柱の前記2つの底面に沿って延在する第1と第2の端壁12、14と、前記該2つの底面の間で底面に対して垂直に延びる4つの側面に沿って延在する第1~第4の側壁16~22を具備した中空の構造体である。第1と第2の端壁12、14および第1~第4の側壁16~22は、平板より成る部材であるが、表面に凹凸やテクスチャを有していてもよい。
【0019】
また、第1と第2の端壁12、14を形成する底面内の各頂点Vn,i,j周りの内角2αi,j(i=1,2;j=1,2)は、α1,1+α1,2+α2,1+α2,2=180°、かつ、0°<αi,j<90°(i=1,2;j=1,2)の拘束条件の範囲で自由に設定でき、非等角四角形であってもよい。更に、本発明の四角柱状構造体は必要に応じて一部の面を欠いた開口をもつものであってもよい。
【0020】
本発明の中空四角柱状構造体10の第1と第2の端壁12、14を構成する辺のうち対向する一対の辺Vn,1,1n,2,1、Vn,1,2n,2,2(n=1,2)の各々を延長したときの交点をOnとする。本発明では、辺Vn,1,1n,2,1、Vn,1,2n,2,2(n=1,2)の延長線がO点でなす角を二等分する直線を「折り畳み軸線AXn」と称する。本発明は、折り畳み軸線AXnに沿って第1と第2の端壁12、14を折り畳み、それに伴って第1と第2の端壁12、14に接続する2つの側壁18、22を折り畳む方法である。
【0021】
一対の辺Vn,1,1n,2,1、Vn,1,2n,2,2(n=1,2)が平行な場合、二辺から等距離の二辺と平行な直線が折り畳み軸線となる。本明細書では、第1と第2の端壁12、14とともに折り畳まれる側壁18、22「壁側面」、それ自体が折り畳まれることなく端壁の変形に付随して移動する側壁16、20「蓋側面」と称する。なお、以下の説明では、第1と第2の端壁12、14を形成する面を底面と称する。
【0022】
本発明では上記の折り畳みを実現するために次の3つの構成を導入する。構成I:底面と壁側面の境界領域における折り畳み構成。構成II:蓋側面と壁側面の境界領域における折り畳みによる面の干渉を解消する構成。構成III:底面及び壁側面の中央部の折り畳み線に沿った折り畳みによる面の干渉を解消する構成。
【0023】
構成Iは付加的に特定の折れ線を導入することで「鞴の理論」から要請される底面と壁面の稜線付近におけるスリットの長さを減縮させる構成である。構成II、IIIは有限の厚さを持つ剛体面からなる四角柱を折り畳むとき、板の厚さのために板間での位置的干渉による折り畳み変形の阻害を、付加的に特定の折線と特定の限定的な長さのスリットを導入し、かつ、ヒンジシフト法を用いて解消を行うものである。ヒンジシフト法は折線ですべての面を一旦切断し、ヒンジをそれぞれの折線に対応する谷折り部に設置して接合するもので、ヒンジの位置は谷折り部と山折り部で板の厚さだけオフセットされる。
【0024】
また、更なる方法として、折れ線の両側の面間を有限の距離を持ってヒンジで接合する方法であって、ヒンジシフト法と全く同様の付加的な折れ線とスリットを導入することによって厚さの影響を回避することができる。これを以下、等方ヒンジ法と呼ぶ。
【0025】
四角柱状構造体が完全に閉構造、すなわち全ての面に壁が設けられているとき、全ての底面と壁側面の境界領域に構成Iは設ける必要がある。壁側面を欠いた開口面のある中空四角柱状構造体ではその開口面と底面の境界に構成Iを設ける必要はない。何れかの底面が欠けていない場合を除き、両底面における構成Iの形状は合同かつ方向が一致する必要がある。構成IIは構成Iが設けられる場合とそうで無い場合において構成が変わる。蓋側面が欠けている場合は、該蓋側面の各辺が折れ線とはならないことを除き構成I~IIIに変更はない。
【0026】
以下それぞれの構成について更に説明する。
以下、図1に示す合同な四角形の底面Vn,1,1n,1,2n,2,2n,2,1(n=1,2)を二つの壁側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1(i=1,2)及び二つの蓋側面V1,1,j1,2,j2,2,j2,1,j(j=1,2)で連結した四角柱状構造体を考える。稜線Vn,1,jn,2,j(n=1,2;j=1,2)、V1,i,j2,i,j(i=1,2;j=1,2)に相当する折れ線をここでは山折り線と定義する。すなわち、四面体状構造体の外側に凸な折れ線を山折り線とする。該中空四角柱状構造体はそれを構成する六面のうち一面あるいは二面を欠いていてもよい。各底面内で2頂点Vn,i,1、Vn,i,2の周りの内角二等分線の交点をCn,iとするとき、交点Cn,1、Cn,2を結ぶ直線が折り畳み軸線AXnに一致する(n=1,2;i=1,2)。
【0027】
構成I
図2を参照すると、底面を構成する頂点Vn,i,jに対し該底面内の内角2αi,jの等角二等分線を頂点Vn,i,jから引き、底面内にその終点Qn,i,j,0を設ける。終点Qn,i,j,0から、最近接する壁側面と底面の境界の稜線Vn,i,1n,i,2上におろした垂線の足を点Qn,i,j,1とし、線分Qn,i,j,0n,i,j,1上に点Qn,i,j,0に近いほうから2点Qn,i,j,2、Qn,i,j,3を取る。線分Vn,i,jn,i,j,0、Q1,i,j,12,i,j,1を谷折り線、線分Qn,i,j,0n,i,j,2、Vn,i,jn,i,j,1を山折り線、線分Vn,i,jn,i,j,2と線分Vn,i,jn,i,j,3に関しては、何れか一方を山折り線とし他方を谷折り線とし、かつ線分Qn,i,j,2n,i,j,1にスリット(線状の切断)を設ける(n=1,2;i=1,2;j=1,2)。
【0028】
壁側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1を欠く場合は、頂点V1,i,1、V1,i,2、V2,i,2、V2,i,1に関して、上記の構成Iは設ける必要がない。(i=1,2)
【0029】
構成II
図3において、底面Vn,1,1n,1,2n,2,2n,2,1と、隣接する壁側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1の稜線と折り畳み軸線AXnとの交点をPn,iとする(n=1,2;i=1,2)。該底面内において線分Pn,1n,2の両側に等しい距離t0で二本の平行線分を設け、頂点Vn,i,jに近接する該平行線分の終点をZn,i,j図4)とし、終点Zn,i,jは点Qn,i,j,0に一致させる(n=1,2;i=1,2,j=1,2)。
【0030】
さらに線分Qn,i,1,0n,i,2,0と線分Pn,1n,2の交点をSn,i,0とし、交点Sn,i,0から最近接する壁側面と底面の境界の稜線Vn,i,1n,i,2上におろした垂線の足を点Sn,i,1とする(n=1,2;i=1,2)。このとき底面内において線分Sn,i,0n,i,1、Zn,1,jn,2,jを谷折り線とし、線分Qn,i,1,kn,i,2,kにスリットを設け(n=1,2;i=1,2;k=0,1)、かつ線分S1,i,12,i,1を山折り線とする(i=1,2;j=1,2)。壁側面壁側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1の何れか一方または双方が欠けていて構成Iが設けられなかった場合は終点Zn,i,jは該平行線と稜線Vn,i,1n,i,2の交点とする。
【0031】
構成III
図5において、壁側面と蓋側面の境界の稜線V1,i,j2,i,jに対し該壁壁面内にt1の距離で平行線を設け、その線上に2点を取り、頂点V1,i,j、V2,i,jに近接する点をそれぞれR1,i.j、R2,i,jとする。ここで線分R1,i.j2,i.jを谷折り線、線分V1,i,j1,i.j、V2,i,j2,i.jにスリットを設ける。(i=1,2;j=1,2)。底面Vn,1,1n,1,2n,2,2n,2,1の何れか一方または双方が欠けていて構成Iが設けられなかった場合は点Rn,i,jは該平行線と稜線Vn,i,jn,i,j,1の交点とし、線分Vn,i,jn,i,jにはスリットを設けない(n=1,2;i=1,2;j=1,2)。
【0032】
本発明の四面体状構造体の底面Vn,1,1n,1,2n,2,2n,2,1の厚さをTn,b(n=1,2)、壁側面V1,i,11,i,22,i,22,i,1の厚さをTi,w(i=1,2)であるとき、本発明の距離t0、t1は以下の条件を同時に満たすことが必要である。
【数1】
【数2】
【0033】
ここで任意の点A、Bの間の距離をL(A,B)で表し、U1=L(P1,1,0,P1,1,1)、U2=L(P1,2,0,P1,2,1)と定義する。上記式において、下限値以下の距離t0、t1では面の厚さの干渉により折り畳みが不完全にしか実現できないか、あるいは全く折り畳むことができない。また上限値を超えると四角柱構造体として幾何学的な成立限界で構造の安定性がなくなる。
【0034】
四角柱状構造体の厚さが限りなく薄く、厚さの影響が実質的にない場合にはt0=0かつt1=0となり、上記の構成IIIは設けることなく、構成IIでは底面内において線分Pn,1n,2の両側に二本の平行線分を設けることなく構成Iが設けられた場合にはQn,i,1,kとQn,i,2とSn,i,kは一致し(n=1,2;i=1,2;k=0,1)、かつ点Qn,i,1,k、Qn,i,2,kは一致する(n=1,2;i=1,2:k=2,3)。また構成Iが設けられない場合は、終点Zn,i,1、Zn,i,2は交点Pn,iに一致する(n=1,2;i=1,2)。
【0035】
また本発明の点Rn,i,j(n=1,2;i=1,2;j=1,2)を決定するに際し、以下の条件を満たすことが好ましい。
n,i,j,1n,i,j3-n,i,j>∠Qn,i,j,1n,i,jn,i,j≧αi,j(n=1,2;i=1,2;j=1,2)
【0036】
上記式において、下限はそれ以下の角度では面の厚さの干渉により折り畳みが不完全にしか実現できないか、あるいは全く折り畳むことができない。また上限値を超えると四角柱構造体として幾何学的な成立限界で構造の安定性がなくなる。
【0037】
本発明の折れ線Qn,i,j,0n,i,j,k(n=1,2;i=1,2;j=1,2;k=2,3)の長さの比であるg(以下、線分比)に関し、次の両条件を満たすことが好ましい。
0<gn,i,j,3<0.83
n,i,j,3<gn,i,j,3<0.95
ここでgn,i,j,i=L(Qn,i,j,0,Qn,i,j,k)/L(Qn,i,j,0,Qn,i,j,1)(n=1,2;j=1,2;k=2,3)である。
【0038】
上記式において上限値は、それを超えると「鞴の原理」からくる幾何学的拘束条件を回避できず、折り畳が不完全にしか実現しないか、あるいは全く折り畳むことができない。。より好ましい線分比gn,i,j,3、gn,i,j,3(n=1,2;i=1,2;j=1,2)の範囲は、以下の式で示される。
0.5<gn,i,j,3<0.83、かつ、gn,i,j,3<gn,i,j,3<0.93
【0039】
線分比gn,k,2(n=1,2;k=1,2,3,4)は0.5以上であることが、切断量(スリットの長さ)を減らすことができるため更に好ましい。
【0040】
本発明では四角柱を完全に折り畳んだとき、各面の厚さが同じ場合には、実質的に完全に折り畳んだ状態で、面の厚さの8倍の厚さにまで圧縮することが可能で、構造のコンパクト化に資する効果は極めて高い。また稜線のスリット極小化することが可能で、折り畳まない状態での四角柱としての構造の完全性を大きく損なうことがない。
【0041】
本発明は底面(対向する2つの端壁)の形状が四角形の物に限らず、底面が任意の多角形である多角柱に対して、これを複数の四角柱に分割し、分割された個々の四角柱状構造体に対して同様の操作をすることによって全体を実質的に完全に折り畳むことができる。図6、7にそのような底面の分割の例を示す。
【0042】
図6は、底面(対向する2つの端壁)が五角形の場合を示している。図6において、五角形の底面50を形成する壁は、破線BLで示す分割線によって2つの四角形52、54に分けられ、それぞれ矢印D1、D2の方向に圧縮される。
【0043】
図7は、底面(対向する2つの端壁)が八角形の場合を示している。図7において、八角形の底面60を形成する壁は、破線BL1、BL2によって3つの四角形62、64、66に分けられ、それぞれ矢印D1、D2、D3の方向に圧縮される。
【0044】
分割線BL;BL1、BL2は互いに交差することも、複数の分割線が頂点を共有することもないように設けられる。分割線BL;BL1、BL2の起点は必ずしも頂点である必要はなく、稜線上の任意の点に設定することができる。対向する底面(端壁)は全く同等の分割線BL;BL1、BL2のパターンを有すことが必要で、対応する両底面の分割線を含む平面で多角柱を切断することで、切断面に相当する蓋側面が欠けた、中空四角柱状構造体に分割することができる。該中空四角柱状構造体に対して、上述した構成I~IIIを適用し、分割線BL;BL1、BL2を山折り線として接合することで、折り畳むことができる多角柱状構造体となる。
【0045】
本発明では、ヒンジシフト法により、上記の全ての稜線、折線及びスリットに沿って面を切り離し、該各折線部の谷川の表面でヒンジにより面を接合することによって四角柱状構造体を構成する。この場合全く折り畳まない状態では、各面は隙間なく完全に接触することができる。
【0046】
本発明には等方ヒンジ法も用いることができる。等方ヒンジ法では折れ線を有限の幅を持つ可撓性材料で接合する方法である。このとき等方性ヒンジの幅t′は、そのヒンジで接合される2つの壁(面)の厚さをそれぞれT′1、T′2とするとき以下の条件を満たすことが必要である。
T′1+T′2<t′
【0047】
ヒンジの幅t′が、この下限値以下になるとき、等方性ヒンジでそれが接合する2つの面を完全に折り曲げることができなくなる。
より好ましいヒンジの幅t′の範囲は以下の式で示すことができる。
(T′1+T′2)×1.5<t′<(T′1+T′2)×100
【0048】
等方性ヒンジと面の接合位置は、それで接合される2つの壁(面)の間であっても、谷折り側あるいは山折り側の面の表面であってもよい。
ヒンジシフト法と等方性ヒンジ法は同一の構造体で混合して使用してもよい。
【0049】
本発明に用いる多角柱状構造物を構成する壁(面)の材料としては、特に限定するものではないが、鉄、アルミニウムのような金属材料、プラスチック、セラミックス、紙、無機多孔材料、有機多孔材料、繊維強化複合材料、繊維強化複合材料と多孔材料からなるサンドイッチ材などを用いることができる。特に可搬性や可動性を利用する場合、繊維強化複合材料、繊維強化複合材料と多孔材料からなるサンドイッチ材を用いることが、構造剛性・強度と軽量性を併せ持つことから好ましい。
【0050】
本発明に用いるヒンジとしては一般の金属蝶番や樹脂ヒンジを機械的あるいは接着で締結したもの、可撓性壁(面)材を取り付けたものを用いることができる。可撓性の壁(面)の材料としては大変形が可能な紙材料、織物や編み物のような繊維材料、ゴム、弾性樹脂、紙材料や繊維材料と弾性樹脂を複合したものなどを用いることができる。特に壁(面)の材料として繊維強化樹脂複合材料を用いる場合は、FRPヒンジを用いた等方ヒンジ法を適用することが好ましい。
【0051】
FRPヒンジは、繊維強化樹脂複合材料からなる板材に、直線状に連続してマトリックス樹脂が実質的に存在しない領域を形成し、そのままもしくはマトリックス樹脂のかわりに柔軟な樹脂を含浸してヒンジとするものである。連続繊維で強化された複合材料を板材としてFRPヒンジを形成した場合、板材とヒンジ部で繊維が連続するため、高い強度と耐久性が期待でき、またヒンジ部は折れ線の全体に対して連続する。
【0052】
FRPヒンジに用いる樹脂としては耐久性や封止性からシリコンゴム、オレフイン系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマーなどの弾性樹脂を複合したものがより好ましい。弾性樹脂として変形性の高いものを用いた場合上記の構成で要求されるスリットをヒンジで置き換えられる場合があり、水密性・気密性の高い構造体とすることができる。
【0053】
本発明で得られる、多角柱状構造体の各面は必ずしも完全に閉じた構造である必要はなく、任意に面内の一部に開口を設けることができる。
また本発明の多角柱状構造体は単独で使用するのみならず、複数のものを篏合などの方法で連結して用いることもできる。
【0054】
本発明の折り畳み構造体では任意の厚さの板材が適用できることから、力学的特性の優れたものが提供できる。また実質的に完全に折り畳める事で、コンパクトとなり、輸送や保管に対し効率が高いものとなる。これらの特性から、本発明は、移動式の簡易住宅、イベント用の仮設店舗、ポータブルなトイレといった臨時の建築物、航空コンテナ、一般輸送用コンテナ、などに有効に応用することができる。
【0055】
図8は、本発明の中空四角柱状構造体の一例を示す展開図であり、図9図14は、斜視図で示す該中空四角柱状構造体70の圧縮過程である。図8図14において、中空四角柱状構造体70は、対向する合同な四角形の底面の一方を形成する端壁72と、壁側面を形成する側壁74、76と、蓋側面を形成する側壁78、80を有し、端壁72が折り畳み軸AXを谷折り線として折り畳まれる。本例では、端壁72に対向する端壁は備えておらず、他方の底面は開口している。
【0056】
図15は、本発明の中空五角柱構造体の一例を示す展開図であり、図16図21は、斜視図で示す該中空五角柱構造体の圧縮過程である。図15図21において、中空四角柱状構造体100は、対向する合同な四角形の底面の一方を形成する端壁102と、壁側面を形成する側壁104、106と、蓋側面を形成する側壁108、110とを有している。本例では、端壁102に対向する端壁は備えておらず、他方の底面は開口している。
【0057】
端壁102は、分割線BLによって端壁部分112、114に分けられる。側壁104は、端壁部分112に接続された側壁部分116と、端壁部分114に接続された側壁部分118とを有している。側壁106は、端壁部分112に接続された側壁部分120と、端壁部分114に接続された側壁部分122とを有している。端壁102は、折り畳み軸AX1、AX2を谷折り線として折り畳まれる。
【0058】
以下の手順で折り畳むことのできる直方体の展開図を作成した。
長さが300mmの稜線Vn,i,1n,i,2(n=1,2;i=1,2)、長さが1000mmの稜線Vn,1,jn,2,j(n=1,2;j=1,2)及び長さ300mmの稜線V1,i,j2,i,j(i=1,2;j=1,2)からなる直方体の展開図を作成した。
【0059】
該直方体の展開図に対して、底面Vn,1,1n,1,2n,2,2n,2,1に対し2頂点Vn,i,1、Vn,i,2から引いた内角の二等分線の交点をCn,i、交点Cn,iから稜線Vn,i,1、Vn,i,2に下した垂線の足をSn,i,1(n=1,2;i=1,2)とした。さらに線分Cn,1n,2の両側に9mmの距離で平行線を設け、該平行線と線分Vn,i,jn,iとの交点をQn,i,j,0、交点Qn,i,j,0から稜線Vn,i,1n,i,2に下した垂線の足をQn,i,j,1とし、線分Qn,i,j,0n,i,j,1上に、線分比gn,i,j,3が0.60となるように、また線分比gn,i,j,3が0.83となるように2点Qn,i,j,2、Qn,i,j,3(n=1,2;i=1,2;j=1,2)をとった。また線分Qn,i,1,0n,i,2,0と、交点Cn,iと垂線の足Sn,i,1とを結ぶ直線との交点をSn,i,0(n=1,2;i=1,2)とした。
【0060】
稜線V1,i,j2,i,jに対してそれを含む壁側面内に8mmの距離で設けた平行線上に異なる2点をとり、頂点V1,i,jに近接する点をR1,i,j、頂点V2,i,jに近接する点をR2,i,j(i=1,2;j=1,2)とした。このとき角度∠Qn,i,j,1n,i,jn,i,j(n=1,2;i=1,2;j=1,2)は45°とした。
【0061】
線分Vn,i,jn,i,j,k、Qn,i,j,0n,i,j,2、R1,i,j2,i,j、Sn,i,0n,i,1(n=1,2;i=1,2;j=1,2;k=1,3)を山折り線とし、線分Vn,i,jn,i,j,k、Q1,i,j,12,i,j,1、S1,i,12,i,1、Qn,1,j,0n,2,j,0(n=1,2;i=1,2;j=1,2;k=0,2)を谷折り線とし、線分Qn,i,j,2n,i,j,1、Vn,i,jn,i,j(n=1,2;i=1,2:j=1,2)をスリットとした。
【0062】
以上の展開図に従い、厚さ3mmの発泡スチロールボードを、全ての稜線および折れ線で面を切断して壁(面)要素とし、切断された各壁(面)要素を各折線の谷折り側のボード表面を可撓性プラスチックテープでつなぎ合わせることで直方体状の中空構造体を作った。また稜線Vn,1,jn,2,j(n=1,2;j=1,2)、V1,i,j2,i,j(i=1,2;j=1,2)は山折りとして同様に接合した。このときスリットに相当する箇所は接合を行わなかった。
【0063】
得られた直方体状の中空構造体は完全に折り畳むことができ、高さ25mmまで圧縮することができた。またこの完全に圧縮した状態から直方体形状間の繰り返し形状変化が可能であった。
【0064】
稜線Vn,1,1n,1,2、Vn,1,2n,2,2,、Vn,2,1n,2,2、Vn,1,1n,2,1(n=1,2)の長さが、300mm、700mm、424mm、1000mmであり、稜線V1,i,j2,i,jの長さを300mmとし、内角2α1,1,、2α1,2、2α2,1、2α2,2を90°、90°、45°、135°とし、角度∠Qn,2,1,1n,2,1n,2,1(n=1,2)を22.5°、角度∠Qn,2,2,1n,2,2n,2,2(n=1,2)を70°とすることを除き実施例1とまったく同様の方法で、底面が台形上の四角柱状中空構造体を作成した。得られた直方体状の中空構造体は完全に折り畳むことができ、高さ25mmまで圧縮することができた。またこの完全に圧縮した状態から、直方体形状の間で繰り返し形状変化が可能であった。
【0065】
蓋側面V1,1,21,2,22,2,22,1,2を欠いていることを除き、実施例1と全く同様の方法で、一面が開口した中空四角柱状構造体を作成し、また蓋側面V1,1,11,2,12,2,12,1,1を欠いていることを除き、実施例2と全く同様の方法で、一面が開口した中空四角柱状構造体を作成し、中空四角柱状構造体の稜線V1,21,3、V1,32,3、V2,32,2、V2,21,2を、それぞれ中空四角柱状構造体の稜線V1,11,4、V1,42,4、V2,42,1、V2,11,1のそれぞれと、中空構造体の外側が山折りとなるように、内側で可撓性プラスチックテープにより接合することで、五角柱状中空構造体を作成した。
【0066】
得られた直方体状の中空構造体は完全に折り畳むことができ、高さ50mmまで圧縮することができた。またこの完全に圧縮した状態から、直方体形状に繰り返し形状変化が可能であった。
【0067】
また、本発明は、以下の特徴を以て実施してもよい。
[特徴1]
合同な四角形V1,11,21,31,4と四角形V2,12,22,32,4を対向する底面として構成される四角柱において、
底面Vn,1n,2n,3n,4の面内において2つの頂点Vn,2j-1、Vn,2jから引いた内角の二等分線の交点をPn,j,0と定義し(n=1,2;j=1,2)、
交点Pn,j,0から線分Vn,2j-1n,2jに下した垂線の足をPn,j,1と定義し(n=1,2;j=1,2)、
2つの点Pn,1,0、Pn,2,0を通る直線と線分Vn,2j-1n,2jの交点をZn,j,0と定義し(n=1,2;j=1,2)、
線分Pn,j,0n,j,1上に異なる2つの点をとり、そのうち点Pn,j,1に近いものをPn,j,2と定義し、遠いものをPn,j,3と定義したとき(n=1,2;j=1,2)、以下の全ての条件を満たすことを特徴とする、面を変形させることなく各稜線及び各折線周りの回転によって折りたたむことのできる四角柱状構造体。
(1)線分Vn,jn,5-j(n=1,2;j=1,2)を山折りの折線とする。
(2)線分Vn,2j-1n,2j、Pn,j,0n,j,1を山折りの折線とし、線分Vn,kn,j,0を谷折りの折線とし、線分Vn,kn,j,2と線分Vn,kn,j,3のいずれか一方を山折りの折線、他方を谷折りの折線とし、点Pn,j,1から線分Pn,j,0n,j,1の全部あるいは一部に(スリット)を設ける(n=1,2;j=1,2;k=2j-1,2j)。
(3)Pn,1,0n,2,0(n=1,2)を谷折りの折線とする。
(4)V1,k2,k(k=j,5-j;j=1,2)を山折りの折線とする。
(5)P1,j,12,j,1(j=1,2)を谷折りの折線とする。
[特徴2]
対面する2つの側面V1,11,42,42,1、V1,21,32,32,2の一方または双方を欠いた四角柱状構造体であり、特徴1に記載の条件(1)及び(4)のjの範囲がそれぞれj=2あるいはj=1に限られ、または両面を欠く場合は条件(1)及び(4)を欠くことを除き、特徴1と全く同様にして得られる、折り畳むことのできる開口のある四角柱状構造体。
[特徴3]
対面する底面V1,11,21,31,4、V2,12,22,32,4の一方を欠いた四角柱状構造体であり、特徴1の条件(1)~(3)のnの範囲がそれぞれn=2またはn=1に限られることを除き、特徴1と全く同様にして得られる、折り畳むことのできる開口のある四角柱状構造体。
[特徴4]
側面V1,11,22,22,1と側面V1,31,42,42,3の一方を欠いた四角柱状構造体であり、特徴1の条件(3)の折線Pn,1,0n,2,0の代わりに折線Pn,5-k,0n,k,0(n=1,2;j=1,2;k=2j-1,2j)を設け、これと特徴1の条件(1)~(5)のjの範囲がそれぞれj=2またはj=1に限られことを除き特徴1と全く同様にして得られる、折り畳むことのできる開口のある四角柱状構造体。
[特徴5]
線分Pn,j,0n,j,iの長さをL(Pn,j,0n,j,i)とするとき、以下の式が同時に満たされることを特徴とする特徴1~4の何れか1項に記載の四面体状構造体。
0<fn,j,2<0.83,fn,j,2<fn,j,3<0.92(n=1,2;j=1,2)
ここでfn,j,i=L(Pn,j,0n,j,i)/L(Pn,j,0n,j,1)である。(n=1,2;i=2,3;j=1,2)
[特徴6]
線分Pn,j,0n,j,1,(n=1,2;j=1,2)に対して切断(スリット)を設けるに際して線分Pn,j,2n,j,1(n=1,2;j=1,2)の部分のみ切断を設けることを特徴とする特徴1~5の何れか1項に記載の四角柱状構造体。
[特徴7]
合同な四角形V1,11,21,31,4と四角形V2,12,22,32,4を底面として構成される有限の厚さの面から構成される四角柱において、
底面Vn,1n,2n,3n,4内で2つの頂点Vn,2j-1、Vn,2jから引いた内角の二等分線の交点をPn,j,0と定義し(n=1,2;j=1,2)、
点Pn,j,0から線分Vn,2j-1n,2jに下した垂線の足をPn,j,1と定義し(n=1,2;j=1,2)、
2つの点Pn,1,0、Pn,2,0を通る直線と線分Vn,2j-1n,2jの交点をZn,j,0と定義し(n=1,2;j=1,2)、
線分Zn,1,0n,2,0の両側にt0の距離で平行線を設け、該平行線と線分Vn,kn,1,0との交点をQn,k,0、該平行線と線分Vn,kn,j,0との交点をZn,j,kと定義し(n=1,2;j=1,2;k=1,2,3,4)、
点Qn,k,0から線分Vn,kn,j,1に下した垂線の足をQn,k,1と定義し(n=1,2;j=1,2;k=2j-1,2j)、
線分Qn,k,0n,k,1上に2つの点をとり、Qn,k,0に近接する点をQn,k,2、Qn,k,1に近接する点をQn,k,3と定義し(n=1,2;j=1,2;k=2j-1,2j)、
線分Qn,2j-1,0n,2j,0と線分Pn,j,0n,j,1との交点をSn,jと定義し(n=1,2;j=0,1)、
線分V1,k2,kに対して、それを含む側面内にt1の距離で設けた平行線と線分V1,k1,k,1及び線分V2,k2,k,1の交点をそれぞれY1,k及びY2,kと定義し(k=1,2,3,4)、
線分Y1,k2,k上に異なる2つの点をとり、Y1,kに近接する点をR1,k、Y2,kに近接する点をF,kと定義し(k=1,2,3,4)、
底面の頂点V1,k及びV2,kの周りの内角が2αk(k=1,2,3,4)、底面Vn,1n,2n,3n,4の厚みがTb,n(n=1,2)、側面V1,2j-11,2j2,2j2,2j-1の厚みがTl,j(j=1,2)であるとき、該四角柱構造体に関して以下のすべての条件を満たすことを特徴とする、面の変形なしに稜線および折線の周りの回転によって折り畳むことのできる四角柱状構造体。
(1)線分Vn,jn,5-jを山折りの折線とする。(n=1,2;j=1,2)
(2)線分Vn,kn,k,1、Qn,k,0n,k,1、Sn,jn,j,1を山折りの折線、線分Vn,kn,k,0を谷折りの折線、線分Vn,kn,k,2と線分Vn,kn,k,3のいずれかを谷折りの折線、他方を山折りの折線とし、線分Qn,2j-1,in,2j,iに切断、点Qn,k,1から線分Qn,k,0n,k,1の一部または全部にスリットを設ける(n=1,2;i=0,1;j=1,2;k=2j-1,2j)。
(3)線分Qn,j,0n,5-j,0(n=1,2;j=1,2)を谷折りの折線とする。
(4)線分R1,k2,kを山折りの折線とし、Vn,kn,kにスリットを設ける(n=1,2;j=1,2;k=2j-1,2j)。
(5)線分V1,k2,kを山折りの折線とする(j=1,2;k=j,5-j)。
(6)P1,j,12,j,1を山折りの折線とし、線分Q1,k,12,k,1を谷折りの折線とする(j=1,2;k=j,5-j)。
(7)t0及びt1が以下の条件を同時に満たす。
2×max{Tln;(n=1,2)}+max{Tbn;(n=1,2)}<t0<min{Un,kcosαj/sinα3-j;(n=1,2;k=1,2;j=1,2)}
max{Tbn,;(n=1,2)}<t1<min{L(Vn,kn,k,1);(n=1,2;k=1,2,3,4)}
ここでUn,k=L(Pn,k,0n,k,1)(n=1,2;k=1,2)とする。
[特徴8]
側面V1,11,42,42,1と側面V1,21,32,32,2、の一方または双方を欠いた四角柱状構造体であり、特徴7の条件(1)及び(4)のjの範囲がそれぞれj=2あるいはj=1に限られ、または両面を欠く場合は条件(1)及び(4)を欠くことを除き特徴7と全く同様にして得られる、折り畳むことのできる開口のある四角柱状構造体。
[特徴9]
底面V1,11,21,31,4と底面V2,12,22,32,4の一方欠いた四角柱状構造体であり、特徴7の条件(1)~(4)および(7)のnの範囲がそれぞれn=2あるいはn=1に限られることを除き、特徴7と全く同様にして得られる、折り畳むことのできる開口のある四角柱状構造体。
[特徴10]
側面V1,11,22,22,1と側面V1,31,42,42,3の一方を欠いた四角柱状構造体であり、特徴7の条件(3)の折線Qn,j,0n,5-j,0の代わりに折線Qn,5-k,0n,k,0(n=1,2;j=1,2;k=2j-1,2j)を設け、これと特徴7条件(1)~(2)及び(4)~(6)のjの範囲がそれぞれj=2あるいはj=1に限られことを除き特徴7と全く同様にして得られる、折り畳むことのできる開口のある四角柱状構造体。
[特徴11]
点R1,k、及び点R2,kを決定するに際し、以下の条件を満たすことを特徴とする特徴7~10の何れか1項に記載の四角柱状構造体。
n,k,1n,kR3-n,k>∠Qn,k,1n,kn,k≧αk(n=1,2;k=1,2,3,4)。
[特徴12]
線分Qn,k,0n,k,iの長さに関し、次の条件を同時に満たすことを特徴とする特徴7~11の何れか1項に記載の四角柱状構造体。
0<gn,k,2<0.83,gn,k,2<gn,k,3<0.92
ここでgn,k,i=L(Qn,k,0n,k,i)/L(Qn,k,0n,k,1)である。(n=1,2;k=1,2,3,4;i=2,3)
[特徴13]
線分Qn,k,1n,k,0(k=1,2,3,4)の一部または全部にスリットを設けるに際して、Qn,k,1n,k,2(k=1,2,3,4)の部分のみにスリットを設けることを特徴とする特徴7~12の何れか1項に記載の四角柱構造体。
[特徴14]
全ての稜線、スリットおよび折線に沿って面を切り離し、ヒンジを各折線の谷折り側の面材の表面に設置し面を接合することを特徴とする特徴7~13の何れか1項に記載の折り畳むことのできる四角柱状構造体。
[特徴15]
折線の両側の面間を有限の距離を持ってヒンジで接合することを特徴とする特徴7~13の何れか1項に記載の四角柱状構造体。
[特徴16]
任意の多角形を底面に持つ多角形構造体を底面に垂直な面で切断することで複数の開口を持つ四角柱に分離し、それぞれの分離された開口を持つ四角柱を特徴2~6に記載された、開口を持つ四角柱から選択し、該開口のある四角柱を多角形構造体の切断線に沿ってヒンジにより接合し山折りの折線とすることで構成することを特徴とする、面の変形なしに稜線および折線の周りの回転によって折り畳むことのできる多角柱状構造体。
[特徴17]
任意の多角形を底面に持つ多角形構造体を底面に垂直な面で切断することで複数の開口を持つ四角柱に分離し、それぞれの分離された開口を持つ四角柱を特徴8~15に記載された、開口を持つ四角柱から選択し、該開口のある四角柱を多角形構造体の切断線に沿ってヒンジにより接合し山折りの折線とすることで構成することを特徴とする、面の変形なしに稜線および折線の周りの回転によって折り畳むことのできる多角柱状構造体。
【符号の説明】
【0068】
10 中空四角柱状構造体
12 第1の端壁
14 第2の端壁
16 第1の側壁
18 第2の側壁
20 第3の側壁
22 第4の側壁
50 底面
52 四角形
54 四角形
60 底面
62 四角形
64 四角形
66 四角形
70 中空四角柱状構造体
72 端壁
74 側壁
76 側壁
78 側壁
80 側壁
100 中空四角柱状構造体
102 端壁
104 端壁部分
106 端壁部分
108 側壁
110 側壁
112 端壁部分
114 端壁部分
116 側壁部分
118 側壁部分
120 側壁部分
122 側壁部分
図1
図2
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