(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240809BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240809BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240809BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240809BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240809BHJP
H01L 21/82 20060101ALI20240809BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240809BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L21/88 S
H01L21/90 B
H01L21/90 D
H01L21/82 W
H01L27/04 D
H01L29/78 301W
H01L29/78 301K
(21)【出願番号】P 2020055267
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 直人
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 覚
【審査官】西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/018280(WO,A1)
【文献】特開2013-149830(JP,A)
【文献】特開2011-129780(JP,A)
【文献】特開2011-134893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 21/82
H01L 21/336
H01L 23/522
H01L 27/04
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に、トランジスタがそれぞれ形成されており、互いに離間されている複数のトランジスタ形成領域と、前記トランジスタ形成領域に挟まれている間隙領域と、を有する半導体装置であって、
前記トランジスタ形成領域において、前記トランジスタの上方にそれぞれ配置され、共通のソース配線及びドレイン配線が設けられている複数の金属配線層と、
前記複数の金属配線層の層間を絶縁させ、前記トランジスタ形成領域及び前記間隙領域に配置されている複数の層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜を貫通して埋設され、前記複数の金属配線層と電気的に接続されている複数の第1のプラグ群と、
前記
トランジスタ形成領域の間の前記間隙領域において、前記ソース配線及び前記ドレイン配線と同様の配置パターンで形成されている領域間金属配線と、
前記金属配線層の最上層よりも下層の前記層間絶縁膜のうち前記間隙領域に埋設されており、前記第1のプラグ群と同様の配置パターンで形成されている第2のプラグ群と、を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板を平面視した場合に、前記トランジスタ形成領域が凹部を有し、前記間隙領域が前記凹部の内部であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のプラグ群において互いに隣接するプラグの最短ピッチは、前記第2のプラグ群において互いに隣接するプラグの最短ピッチ
と同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1のプラグ群及び前記第2のプラグ群は、タングステンで形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属配線層を第1の金属配線層とすると、
前記第2のプラグ群の下層に第2の金属配線層が更に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ソース配線及び前記ドレイン配線は、くし状の配線がかみ合わされるように配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記間隙領域において、前記半導体基板上に感熱素子が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記感熱素子が前記領域間金属配線及び前記第2のプラグ群と電気的に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記感熱素子の検出温度が所定の温度以上になると、前記トランジスタをオフにするサーマルシャットダウン回路を更に有することを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パワーMOSトランジスタなどの半導体パワー素子の動作時の異常な接合温度上昇による破壊をさけるために、半導体パワー素子の近傍に配置した感熱素子で検出した温度に応じて、半導体パワー素子を制御して熱破壊しないように保護する技術がある。
【0003】
具体的には、その導通状態の際に電流が流れることで高熱を発する半導体パワー素子が形成された半導体チップにおいて、該半導体チップの半導体パワー素子の形成領域の間の領域に、半導体パワー素子の発熱状況を検出する感熱素子を配置する半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの側面では、半導体素子形成領域の間に配置された金属配線におけるストレスマイグレーションの発生を抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態では、半導体装置は、
半導体基板上に、半導体素子がそれぞれ形成されており、互いに離間されている複数の半導体素子形成領域と、前記半導体素子形成領域に挟まれている間隙領域と、を有する半導体装置であって、
前記半導体素子形成領域において、前記半導体素子の上方にそれぞれ配置され、前記半導体素子と電気的に接続されている複数の金属配線層と、
前記複数の金属配線層の層間を絶縁させ、前記半導体素子形成領域及び前記間隙領域に配置されている複数の層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜を貫通して埋設され、前記複数の金属配線層と電気的に接続されている複数の第1のプラグ群と、
前記半導体素子形成領域の間の前記間隙領域に架設されている領域間金属配線と、
前記金属配線層の最上層よりも下層の前記層間絶縁膜のうち前記間隙領域に埋設されている第2のプラグ群と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、半導体素子形成領域の間に配置された金属配線におけるストレスマイグレーションの発生を抑制することができる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
【
図2】
図2は、
図1で示したトランジスタの上面概略図である。
【
図3】
図3は、
図2で示したトランジスタ形成領域の拡大透過図である。
【
図4】
図4は、
図3で示したA-A線における断面を示す概略図である。
【
図5】
図5は、
図1で示したトランジスタ形成領域及び間隙領域の拡大透過図である。
【
図6】
図6は、比較として示すトランジスタ形成領域及び間隙領域の拡大透過図である。
【
図7】
図7は、
図1で示したトランジスタ形成領域及び間隙領域の断面を示す概略図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【
図14】
図14は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【
図15】
図15は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【
図16】
図16は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【
図17】
図17は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態に係る半導体装置におけるトランジスタ形成領域及び間隙領域の拡大透過図である。
【
図19】
図19は、第3の実施形態に係るトランジスタの上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、半導体基板上に、半導体素子がそれぞれ形成されており、互いに離間されている複数の半導体素子形成領域と、半導体素子形成領域に挟まれている間隙領域と、を有する半導体装置であって、半導体素子形成領域において、半導体素子の上方にそれぞれ配置され、半導体素子と電気的に接続されている複数の金属配線層と、複数の金属配線層の層間を絶縁させ、半導体素子形成領域及び間隙領域に配置されている複数の層間絶縁膜と、層間絶縁膜を貫通して埋設され、複数の金属配線層と電気的に接続されている複数の第1のプラグ群と、半導体素子形成領域の間の間隙領域に架設されている領域間金属配線と、金属配線層の最上層よりも下層の層間絶縁膜のうち間隙領域に埋設されている第2のプラグ群と、を備える。
あるいは、半導体素子形成領域の平面視形状としては凹部を有し、この凹部の内部が間隙領域であるものであってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、以下の知見に基づくものである。
【0011】
特許文献1に記載されているような半導体装置では、最下層に形成されたパワーMOSトランジスタのソース及びドレインに対し電気的導通をそれぞれ確保するために、その上方に多層配線が形成される。また、パワーMOSトランジスタを熱破壊させないように、パワーMOSトランジスタからの熱を検出する感熱素子は、その熱を正確に検出するために、トランジスタ形成領域に挟まれた間隙領域の最下層に設けられる。このとき、レイアウトの狭小化のため、感熱素子の上方にソース及びドレインの金属配線を最上層で引き回すと、この金属配線にストレスマイグレーションによるボイドが局所的に発生し、配線の許容電流が低下して所望の電流量を流せなくなる場合がある。これは、トランジスタ形成領域では多層配線を形成するプラグや金属配線において熱応力が発生することから、トランジスタ形成領域に挟まれている間隙領域に大きな熱応力が集中するためと考えられる。したがって、このような構造では、高温放置試験や温度サイクル試験において不具合が発生する場合がある。
【0012】
そこで、本発明の一実施形態に係る半導体装置では、間隙領域の層間絶縁膜に複数のダミープラグとして第2のプラグ群が埋設されている。
これにより、本発明の一実施形態に係る半導体装置の間隙領域には、その両側の半導体素子形成領域と同様にプラグ群が埋設されているため、間隙領域の構造が半導体素子形成領域の構造に近くなることや、プラグ群のアンカー効果により、間隙領域の金属配線に半導体素子形成領域からの熱応力が集中しにくくなると考えられる。このため、間隙領域においては、半導体素子形成領域の間を電気的に接続する領域間金属配線でのストレスマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0013】
なお、上記の一実施形態では、間隙領域にダミープラグ群である第2のプラグ群が埋設されているとしたが、これに限ることなく、間隙領域の構造を半導体素子形成領域の構造に近くするという観点から、間隙領域に金属配線を形成するようにしてもよく、第2のプラグ群及び金属配線の両方を形成するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、半導体素子がそれぞれ形成されており、互いに離間されている複数の半導体素子形成領域と、半導体素子形成領域に挟まれている間隙領域と、を有する半導体装置の製造方法であって、半導体素子形成領域に半導体素子をそれぞれ形成する工程と、半導体素子の上方に積層され、半導体素子と電気的に接続させる金属配線層と、半導体素子形成領域及び間隙領域に積層され、金属配線層の間を電気的に絶縁させる層間絶縁膜と、層間絶縁膜を貫通して埋設され、金属配線層と電気的に接続させる第1のプラグ群と、をこの順で積層及び埋設を繰り返して形成する工程と、金属配線層、層間絶縁膜及び第1のプラグ群を繰り返して形成するとともに、間隙領域において、金属配線層の最上層よりも下層の層間絶縁膜に第2のプラグ群を埋設し、半導体素子形成領域の間に領域間金属配線を架設する工程と、を含む。
これにより、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法で、本発明の一実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0015】
次に、本発明の半導体装置の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施形態において例示される各構成要素の寸法、材質、形状、当該各構成要素の相対配置などは、本発明が適用される装置の構成、各種条件等により適宜変更されてもよい。
【0016】
各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
また、図面において、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する。X方向と、当該X方向の反対の方向(-X方向)とを含む方向を「X軸方向」といい、Y方向(上方向)と、当該Y方向の反対の方向(-Y方向、下方向)とを含む方向を「Y軸方向」といい、Z方向と、当該Z方向の反対の方向(-Z方向)とを含む方向を「Z軸方向」(高さ方向、厚さ方向)ということがある。
さらに、X軸方向及びY軸方向を含む平面を「XY面」といい、X軸方向及びZ軸方向を含む平面を「XZ面」といい、Y軸方向及びZ軸方向を含む平面を「YZ面」ということがある。
【0017】
(第1の実施形態)
(半導体装置)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
図1に示すように、半導体装置100に形成されている回路は、トランジスタ110と、入力端子120と、出力端子130と、抵抗分圧回路140と、コンパレータ150と、基準電圧回路160と、サーマルシャットダウン回路170と、を有する。この半導体装置100は、入力された電圧を降圧して一定の電圧を出力する。
【0018】
半導体素子としてのトランジスタ110は、パワーMOSトランジスタであり、ドライバと称されることがある。このトランジスタ110は、ソースSに入力端子120が接続され、ドレインDに出力端子130及び抵抗分圧回路140が接続されている。また、トランジスタ110のゲートGには、コンパレータ150、サーマルシャットダウン回路170がそれぞれ接続されている。
【0019】
抵抗分圧回路140は、出力端子130と接地端子との間に接続されている。
コンパレータ150は、非反転入力端子に抵抗分圧回路140により分圧された分圧電圧が入力され、反転入力端子に基準電圧回路160の基準電圧が入力されている。
【0020】
半導体装置100は、出力端子130の出力電圧に基づく分圧電圧と基準電圧回路160の基準電圧とが入力されるコンパレータ150の出力する電圧に基づいてトランジスタ110のゲートGを制御する。これにより、半導体装置100は、入力端子120に印加される入力電圧Vinよりも低い一定の出力電圧Voutを出力端子130に出力することができる。
【0021】
サーマルシャットダウン回路170は、トランジスタ110を熱破壊させないようにするため、トランジスタ110近傍に配置された感熱素子171の検出温度が所定の値以上になるとトランジスタ110のゲートをオフにする。
なお、感熱素子171としては、例えば、ダイオードなどが挙げられる。
【0022】
図2は、
図1で示したトランジスタの上面概略図である。
図2では、半導体基板上に形成された半導体装置100を上面から見た際のトランジスタ110の近傍を示す。
【0023】
図2に示すように、半導体装置100の上面には、トランジスタ110のソース配線S3及びドレイン配線D3が形成されており、X軸方向に平行に配置されているくし状の配線がかみ合わされるように配置されている。かみ合わされている領域は、半導体基板上にトランジスタ110がそれぞれ形成されている2つのトランジスタ形成領域111,112と、その間のトランジスタが形成されていない間隙領域113と、に分けられている。
【0024】
この間隙領域113の半導体基板上には、
図1で示したサーマルシャットダウン回路170の感熱素子171が設けられている。
なお、感熱素子171は、
図2では図示されていない。
【0025】
また、間隙領域113におけるソース配線S3及びドレイン配線D3のくし状の配線の一部であって、トランジスタ形成領域111,112を電気的に接続する配線を、便宜上、領域間金属配線114と称する。
【0026】
なお、本実施形態では、くし状の配線のうち、くし部の根元から先端まで同じ太さとしたが、これに限ることなく、先端に向かうにつれて細くなるようにしてもよい。また、くし部の本数についても、目的に応じて適宜選択することができる。
【0027】
トランジスタ形成領域111,112及び間隙領域113には、その下の金属配線層に電気的に接続する複数のプラグ111P,112P,113Pが形成されている。
以下では、トランジスタ形成領域111,112に形成されている複数のプラグを配線プラグ群111P,112P(第1のプラグ群)と称し、間隙領域113に形成されている複数のプラグをダミープラグ群113P(第2のプラグ群)と称する。
【0028】
なお、本実施形態では、各プラグ群が、Y軸方向に隣接して4つに配列されている小プラグ群がソース配線S3及びドレイン配線D3に互い違いに配置されているが、これに限ることはない。例えば、くし部の太さに合わせて、小プラグ群の配列を2列に3つずつなどとしてもよい。
【0029】
図3は、
図2で示したトランジスタ形成領域の拡大透過図である。
図3では、トランジスタ形成領域111を拡大して示し、金属配線の最上層に該当する金属配線層M3のみならず、その下の金属配線層M2も示す。
【0030】
図3に示すように、金属配線層M3には、ソース配線S3a及びドレイン配線D3aがX軸方向に平行に配置されている。また、その下の金属配線層M2には、ソース配線S2a,S2b,S2c及びドレイン配線D2a,D2b,D2cがY軸方向に平行に配置されている。ソース配線S3aはソース配線S2a,S2b,S2cと、ドレイン配線D3aはドレイン配線D2a,D2b,D2cと、それぞれ配線プラグ群111Pで電気的に接続されている。
【0031】
なお、本実施形態では、ソース配線S3a及びドレイン配線D3aと、ソース配線S2a,S2b,S2c及びドレイン配線D2a,D2b,D2cとを直交するように配置したが、これに限ることはない。
【0032】
図4は、
図3で示したA-A線における断面を示す概略図である。
図4では、ソース配線S3a上の半導体装置100の断面を示す。
【0033】
図4に示すように、半導体ウエハW上にトランジスタ110が形成されており、その上に層間絶縁膜L1,L2,L3,L4及びパッシベーション膜Pが積層されている。また、金属配線層M1,M2,M3は、層間絶縁膜L1,L2,L3の上面にそれぞれ積層されており、配線プラグ群111Pによりトランジスタ110と電気的に接続されている。言い換えると、金属配線層M1,M2,M3の層間は、層間絶縁膜L1,L2,L3により電気的に絶縁されているとともに、配線プラグ群111Pにより電気的に接続されている。また、配線プラグ群111Pは、層間絶縁膜L1,L2,L3を貫通して埋設され、金属配線層M1,M2,M3を電気的に接続する。
また、金属配線層及び配線プラグの組合せにおける上面及び下面には、反射防止膜及びバリアメタル膜としてTi/TiN膜が形成されている。
【0034】
トランジスタ110は、ソース領域、ドレイン領域及びゲート電極の組合せが複数形成されている構造を有する。
例えば、ソース領域S0aは、金属配線S1a,S2a及び配線プラグ群111Pを介して、金属配線層の最上層M3に設けられているソース配線S3aに電気的に接続されている。また、図示されていないが、ドレイン領域D0aは、ドレイン配線D1a,D2a及び配線プラグ群111Pを介して、金属配線層M3に設けられているドレイン配線D3aに電気的に接続されている。
【0035】
図5は、
図1で示したトランジスタ形成領域及び間隙領域の拡大透過図である。
図5では、トランジスタ形成領域111,112及び間隙領域113を拡大して示し、金属配線の最上層である金属配線層M3のみならず、その下の金属配線層M2も示す。
【0036】
図5に示すように、トランジスタ形成領域111,112において、金属配線層M3にはソース配線S3a,S3b及びドレイン配線D3a,D3bが形成されている。また、金属配線層M2には、ソース配線S2a~S2h及びドレイン配線D2a~D2hが形成されている。さらに、金属配線層M2と金属配線層M3との間には、電気的な接続をするための配線プラグ群111P,112Pが配置されている。
【0037】
一方、間隙領域113においては、金属配線層M3には領域間金属配線114が形成されている。また、金属配線層M2には、ソース配線及びドレイン配線の代わりにダミー配線DMが形成されている。さらに、金属配線層M2と金属配線層M3との間には、配線プラグ群111P,112Pの代わりにダミープラグ群113Pが配置されている。
【0038】
ダミー配線DMは、トランジスタ形成領域111,112における金属配線層M2(D2a,S2a,・・・,S2h)と同様の形状、構造、大きさ、材質及び配置パターンで形成されている。また、ダミープラグ群113Pは、配線プラグ群111P,112Pと同様の形状、構造、大きさ、材質及び配置パターンで形成されている。
【0039】
本来ならば、間隙領域113にはトランジスタが形成されていないことから、間隙領域113においては金属配線層M2のダミー配線DM及びダミープラグ群113Pは不要であるため、例えば、
図6に示すような構造にすることができる。
しかしながら、
図6に示すような構造では、
図6中矢印で示すように、配線プラグ群111P,112Pからの応力が間隙領域113に集中してしまい、領域間金属配線114にストレスマイグレーションが発生しやすくなるという問題がある。
そこで、
図5に示すように、間隙領域113においてダミー配線DM及びダミープラグ群113Pを設けることにより、間隙領域113の構造がトランジスタ形成領域111,112の構造に近くなるため、トランジスタ形成領域111,112からの応力が間隙領域113に集中しないようにすることができる。また、ダミープラグ群113Pのアンカー効果により、間隙領域113の金属配線にトランジスタ形成領域111,112からの熱応力が集中しにくくなる。
このため、本実施形態の半導体装置100は、間隙領域113の領域間金属配線114において、ボイドやヒロックなどとして顕在化するストレスマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0040】
また、配線プラグ群111P,112Pにおいて互いに隣接するプラグの最短ピッチは、ダミープラグ群113Pにおいて互いに隣接するプラグの最短ピッチと略同じである。
これにより、間隙領域113の両側の配線プラグ群111P,112Pの密度と、間隙領域113のダミープラグ群113Pの密度が近い値になるため、間隙領域113における両側の配線プラグ群111P,112Pからの応力の均衡をとりやすくなる。
【0041】
さらに、配線プラグ群111P,112P及びダミープラグ群113Pは、タングステンで形成されている。
これにより、層間絶縁膜L3に対しタングステンの収縮によりアンカー効果が得られやすくなるため、両側の配線プラグ群111P,112Pからの応力の均衡をとりやすくなる。
【0042】
そして、ダミープラグ群113Pの下層に金属配線層M2が配置されていることにより、エッチングが容易になりダミープラグ群113Pを製造しやすくすることができる。また、間隙領域113におけるプラグ群による応力の緩和のみならず、金属配線層による応力の緩和も行うことができる。
なお、トランジスタ形成領域111,112における金属配線層M1,M2,M3を第1の金属配線層と称し、間隙領域113における金属配線層M2、すなわちダミープラグ群113Pの下層に配置されている金属配線層M2を第2の金属配線層と称することがある。
【0043】
図7は、
図1で示したトランジスタ形成領域及び間隙領域の断面を示す概略図である。
図7に示すように、間隙領域113において、半導体ウエハW上に感熱素子171が形成されている。
これにより、半導体装置100は、隣接するトランジスタ形成領域111,112に形成されているトランジスタの動作時の異常な接合温度上昇による破壊をさけるために、感熱素子171で検出した温度に応じて、トランジスタを制御して熱破壊しないように保護することができる。
なお、感熱素子171の配線は、金属配線層M1のY軸方向に引き回して電気的な接続がなされている。
【0044】
(半導体装置の製造方法)
次に、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
第1の実施形態に係る半導体装置100の製造方法は、素子形成工程と、配線工程と、を含む。
【0045】
<素子形成工程>
素子形成工程では、半導体ウエハW上において、離間する2つのトランジスタ形成領域111,112にトランジスタ110をそれぞれ形成する。本実施形態では、トランジスタ110に加えて感熱素子171も半導体ウエハW上に形成する。
【0046】
具体的には、
図8に示すように、2つのトランジスタ形成領域111,112における複数のトランジスタ110は、P型基板領域1と、N型ウェル領域2と、ゲート酸化膜3と、ゲート電極4と、ソース・ドレイン領域5と、を構造的に組み合わせて形成される。
これらのトランジスタ110を形成するには、P型基板領域1の表面の一部にN型ウェル領域2を形成し、このウェル領域2の上にゲート酸化膜3を形成する。次に、ゲート酸化膜3の上に形成したポリシリコン膜に高濃度の不純物を注入してゲート電極4を形成する。次に、ゲート酸化膜3の下のチャネル領域を挟み込む位置に、高濃度のP型のソース・ドレイン領域5をN型ウェル領域2の表面に形成する。
また、感熱素子171を形成するために、N型のウェル領域2、高濃度のP型領域6、高濃度のN型領域7を形成する。
なお、これらは必要な部分にフォトマスク処理を行うフォトリソグラフィにより形成する。
【0047】
<配線工程>
配線工程では、トランジスタ110の上方に積層され、トランジスタ110と電気的に接続させる金属配線層M1,M2,M3と、トランジスタ形成領域111,112及び間隙領域113に積層され、金属配線層M1,M2,M3の間を電気的に絶縁させる層間絶縁膜L1,L2,L3,L4と、層間絶縁膜L1,L2,L3を貫通して埋設され、金属配線層M1,M2,M3を電気的に接続させる配線プラグ群111P,112Pと、をこの順で積層及び埋設を繰り返して形成する。
また、配線工程では、金属配線層、層間絶縁膜及び配線プラグ群を繰り返して形成するとともに、間隙領域113において、金属配線層M1,M2,M3の最上層M3よりも下層の層間絶縁膜L1,L2,L3にダミープラグ群113Pを埋設し、トランジスタ形成領域111,112の間に領域間金属配線114を架設する。
【0048】
具体的には、まずBPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜である層間絶縁膜L1を半導体ウエハW全域に形成する。そして、層間絶縁膜L1の上面の所定位置に、フォトリソグラフィによる選択的なエッチングでビアホールVを設けた後(
図9参照)、Ti/TiN膜であるバリアメタル膜BMをウエハ全域に形成する(
図10参照)。
【0049】
次に、バリアメタル膜BMの上にタングステンBLを堆積させた後(
図11参照)、層間絶縁膜L1の上面にバリアメタル膜BMを残すように平坦化することで、ビアホールV内にタングステンのプラグを形成する(
図12参照)。
【0050】
次に、平坦化された面、即ちバリアメタル膜BM及びプラグの上面にAl-Cuの金属配線層M1を形成した後、Ti/TiN膜である反射防止膜ARをウエハ全域に形成する(
図13参照)。
【0051】
そして、トランジスタ形成領域111,112及び間隙領域113においてはトランジスタ110及び感熱素子171を配線する金属配線としての形状に、反射防止膜AR、金属配線層M1及びバリアメタル膜BMをフォトリソグラフィで選択的にエッチングして除去する(
図14参照)。
【0052】
次に、
図15に示すように、ウエハ全域にBPSG膜である層間絶縁膜L2を形成した後、トランジスタ形成領域111,112のみに層間絶縁膜L2の上面の所定位置にビアホールを設け、上述のようにビアホールにタングステンのプラグを形成する処理を行い、ウエハ全域にバリアメタル膜、金属配線層M2、反射防止膜ARを形成し、金属配線の形状にエッチングする。
【0053】
次に、
図16に示すように、ウエハ全域にBPSG膜である層間絶縁膜L3を形成した後、層間絶縁膜L3の上面の所定位置にビアホールを設け、ウエハ全域にバリアメタル膜、金属配線層M3、反射防止膜ARをウエハ全域に形成し、金属配線の形状にエッチングする。
なお、金属配線層M3は、比較的大きな電流を流せるようにするため、厚く形成されている。
【0054】
最後に、
図17に示すように、ウエハ全域にBPSG膜である層間絶縁膜L4を形成した後、シリコン窒化膜であるパッシベーション膜Pをウエハ全域に形成する。
このように、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により第1の実施形態に係る半導体装置100を製造することができる
【0055】
このように、第1の実施形態に係る半導体装置100は、半導体ウエハW上に、トランジスタ110がそれぞれ形成されており、互いに離間されているトランジスタ形成領域111,112と、トランジスタ形成領域111,112に挟まれている間隙領域113と、を有する。この半導体装置100は、トランジスタ形成領域111,112において、トランジスタ110の上方にそれぞれ配置され、トランジスタ110と電気的に接続されている複数の金属配線層M1,M2,M3と、複数の金属配線層M1,M2,M3の層間を絶縁させ、トランジスタ形成領域111,112及び間隙領域113に配置されている複数の層間絶縁膜L1,L2,L3,L4と、層間絶縁膜L1,L2,L3を貫通して埋設され、複数の金属配線層M1,M2,M3と電気的に接続されている複数の配線プラグ群111P,112Pと、トランジスタ形成領域111,112の間の間隙領域113に架設されている領域間金属配線114と、金属配線層の最上層M3よりも下層の層間絶縁膜L1,L2,L3のうち間隙領域113に埋設されているダミープラグ群113Pと、を備える。
【0056】
これにより、半導体装置100は、間隙領域113の構造がトランジスタ形成領域111,112の構造に近くなるため、トランジスタ形成領域111,112からの応力が間隙領域113に集中しないようにすることができる。また、ダミープラグ群113Pのアンカー効果により、間隙領域113の金属配線にトランジスタ形成領域111,112からの熱応力が集中しにくくなる。
したがって、半導体装置100は、2つのトランジスタ形成領域111,112の間に配置された領域間金属配線114におけるストレスマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、トランジスタ形成領域を2つとしたが、これに限ることなく、3つ以上としてもよい。
また、本実施形態においては、2つのトランジスタ形成領域の間の間隙領域に感熱素子を配置したが、これに限ることなく、別の素子でもよく、あるいは配置しなくてもよい。
【0058】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態において間隙領域113のダミー配線DMの形状を変化させた以外は、第1の実施形態と同様である。
具体的には、
図18に示すように、第2の実施形態におけるダミー配線DM2の形状は、ダミープラグ群113P近傍のみに存在し、Y軸方向に延伸させない形状である。
このように、間隙領域113に対するトランジスタ形成領域111,112からの応力の緩和ができれば、ダミー配線の形状のほか、ダミー配線の構造、大きさ及び材質、並びにプラグの形状、構造、大きさ及び材質については適宜選択することができる。
【0059】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、
図19に示すように、第1の実施形態において2つの離間するトランジスタ形成領域111,112を、凹部を有するトランジスタ形成領域115とし、これに伴い凹部の内部を間隙領域116とした以外は、第1の実施形態と同様である。
このように、トランジスタ形成領域が複数ではなく、例えば、平面視におけるトランジスタ形成領域が凹部を有するような形状で、間隙領域が形成されるものであれば、第1の実施形態に係る半導体装置100と同様の効果を得ることができる。
【0060】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る半導体装置は、半導体基板上に、半導体素子がそれぞれ形成されており、互いに離間されている複数の半導体素子形成領域と、半導体素子形成領域に挟まれている間隙領域と、を有する。この半導体装置は、半導体素子形成領域において、半導体素子の上方にそれぞれ配置され、半導体素子と電気的に接続されている複数の金属配線層と、複数の金属配線層の層間を絶縁させ、半導体素子形成領域及び間隙領域に配置されている複数の層間絶縁膜と、層間絶縁膜を貫通して埋設され、複数の金属配線層と電気的に接続されている複数の第1のプラグ群と、半導体素子形成領域の間の間隙領域に架設されている領域間金属配線と、金属配線層の最上層よりも下層の層間絶縁膜のうち間隙領域に埋設されている第2のプラグ群と、を備える。
これにより、本発明の一実施形態に係る半導体装置は、半導体素子形成領域の間に配置された金属配線におけるストレスマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0061】
なお、各実施形態においては、自己発熱により顕著に発生しやすいストレスマイグレーションを抑制し得る観点から、半導体素子をトランジスタとしたが、これに限ることなく、例えば、抵抗、容量、ヒューズなどとしてもよい。
また、各実施形態においては、金属配線層を3層とし層間絶縁膜を4層としたが、これに限ることはなく、金属配線層及び層間絶縁膜が複数であればよい。
さらに、各実施形態においては、領域間金属配線を金属配線層の最上層としたが、これに限ることはない。
そして、各実施形態においては、トランジスタを1つとしたが、これに限ることなく、並列に複数設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
100 半導体装置
110 トランジスタ
111,112,115 トランジスタ形成領域
111P,112P,115P 配線プラグ群(第1のプラグ群)
113,116 間隙領域
113P ダミープラグ群(第2のプラグ群)
114 領域間金属配線
170 サーマルシャットダウン回路
171 感熱素子
D2a~D2h,D3a,D3b ドレイン配線
DM,DM2 ダミー配線
L1,L2,L3,L4 層間絶縁膜
M1,M2,M3 金属配線層
P パッシベーション膜
S2a~S2h,S3a,S3b ソース配線
V ビアホール
W 半導体ウエハ(半導体基板)