(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】バッテリーケース
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20240809BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240809BHJP
【FI】
H01M50/271 B
H01M50/271 S
H01M50/204 101
(21)【出願番号】P 2020076471
(22)【出願日】2020-04-23
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 吉則
(72)【発明者】
【氏名】福岡 博文
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-186970(JP,A)
【文献】中国実用新案第213459984(CN,U)
【文献】実開昭59-118263(JP,U)
【文献】特開2010-284984(JP,A)
【文献】特開2012-151076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁部にロア側フランジ部が形成され、バッテリーモジュールが載置される
金属製のロアケースと、
外周縁部にアッパ側フランジ部が形成され、前記バッテリーモジュールを覆う
金属製のアッパカバーと、
前記ロア側フランジ部と前記アッパ側フランジ部との間に配置されるガスケットとを備え、
前記ロア側フランジ部と前記アッパ側フランジ部は、外周側へ水平に張り出した部位を有し、
前記ロア側フランジ部と前記アッパ側フランジ部のうち少なくとも一方の前記フランジ部に、
前記外周側へ水平に張り出した部位の外周縁から、内周側へ片持ち状に延出した爪部が一体に形成され、
前記ロア側フランジ部と前記アッパ側フランジ部のうち他方の前記フランジ部における前記外周側へ水平に張り出した部位が、前記一方のフランジ部における前記外周側へ水平に張り出した部位と、前記爪部との間で上下方向に挟み付けられているバッテリーケース。
【請求項2】
前記ロア側フランジ部と前記アッパ側フランジ部のうち少なくとも一方の前記フランジ部
は、外周側へ水平に張り出した第1の部位と、前記第1の部位から上方又は下方へ延出した第2の部位と、前記第2の部位から外周側へ水平に張り出した第3の部位とを有し、
前記第1の部位と前記第2の部位と前記第3の部位とによって段差状の屈曲部が形成されている請求項1記載のバッテリーケース。
【請求項3】
前記ロア側フランジ部に、前記ガスケットを水平方向に位置決めする位置決め部が形成されている請求項1又は請求項2記載のバッテリーケース。
【請求項4】
前記ロア側フランジ部は、前記ロアケースを構成するロア側周壁部から外周側へ水平に張り出した載置部と、前記載置部の外周縁から上方へ立ち上がった立上り部と、前記立上り部の上端縁から外周側へ水平に張り出した被挟圧部とを有し、
前記位置決め部は、
前記載置部と前記立上り部と前記被挟圧部とによって段差状に屈曲した形状をなしている請求項3に記載のバッテリーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリーを収容するためのバッテリーケースが開示されている。このバッテリーケースは、バッテリーを載せるためのバッテリートレイと、バッテリーを覆うバッテリーカバーとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリートレイの周縁部にはフランジ部が形成され、バッテリーカバーの周縁部には、カバー側フランジ部が形成されている。バッテリートレイとバッテリーカバーは、フランジ部とカバー側フランジ部に貫通させたボルトに、ナットをねじ込んで締め付けることによって固定されている。バッテリートレイのフランジ部とバッテリーカバーのカバー側フランジ部との間にガスケットを挟み込むと、バッテリーケース内を防水することができる。この場合、防水機能の信頼性を確保するためには、ボルトとナットによる締結箇所の数を多くする必要があるため、部品点数が多くなるという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバッテリーケースは、
外周縁部にロア側フランジ部が形成され、バッテリーモジュールが載置されるロアケースと、
外周縁部にアッパ側フランジ部が形成され、前記バッテリーモジュールを覆うアッパカバーと、
前記ロア側フランジ部と前記アッパ側フランジ部との間に配置されるガスケットとを備え、
前記ロア側フランジ部と前記アッパ側フランジ部のうち少なくとも一方の前記フランジ部に、爪部が一体に形成され、
前記一方のフランジ部と前記爪部との間で、他方の前記フランジ部が挟み付けられている。
【発明の効果】
【0007】
一方のフランジ部と爪部との間で他方のフランジ部を挟み付けることによって、ロア側フランジ部とアッパ側フランジ部との隙間がガスケットによって液密状にシールされる。爪部は、一方のフランジ部に一体に形成されているので、ボルトやナット等の締結部材を用いる場合に比べると、部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】ロアケースに組み付ける前の状態のアッパカバーの斜視図
【
図3】ロアケースにバッテリーモジュールとガスケットを取り付けた状態をあらわす斜視図
【
図4】アッパ側フランジ部とロア側フランジ部の組付け状態をあらわす部分拡大断面図
【
図5】実施例2にアッパ側フランジ部とロア側フランジ部の組付け状態をあらわす部分拡大断面図
【
図6】実施例3のアッパ側フランジ部とロア側フランジ部の組付け状態をあらわす部分拡大断面図
【
図7】実施例4のアッパ側フランジ部とロア側フランジ部の組付け状態をあらわす部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、前記ロア側フランジ部と前記アッパ側フランジ部のうち少なくとも一方の前記フランジ部に、段差状の屈曲部が形成されていてもよい。この構成によれば、段差状の屈曲部によってフランジ部の断面二次モーメントが大きくなるので、フランジ部の曲げ剛性が向上する。
【0010】
本発明は、前記ロア側フランジ部に、前記ガスケットを水平方向に位置決めする位置決め部が形成されていてもよい。この構成によれば、ガスケットをロア側フランジ部に載置したときに位置決めできるので、ガスケットをロア側フランジ部とアッパ側フランジ部との間に確実に取り付けることができる。
【0011】
本発明は、前記位置決め部は、前記ロア側フランジ部を段差状に屈曲させた形状であってもよい。この構成によれば、ロア側フランジ部が段差状に屈曲した形状となることによって、ロア側フランジ部の断面二次モーメントが大きくなるので、ロア側フランジ部の曲げ剛性が向上する。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1~
図4を参照して説明する。尚、以下の説明において、上下の方向については、
図1~4にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。
【0013】
本実施例1のバッテリーケースAは、その内部にバッテリーモジュールMを収容することによりバッテリーパックPを構成するものである。バッテリーケースAは、平面視形状が略方形をなす略水平な皿状をなす金属製のロアケース10と、ロアケース10に対しその上面を覆うように組み付けられた金属製のアッパカバー20と、ガスケット29を備えている。ロアケース10の内部空間は、上面が全領域に亘って上方へ開放された形態の浅い収容空間S(
図4参照)となっている。
【0014】
ロアケース10は、平面視が長方形をなす水平な底壁部11と、ロア側周壁部12と、ロア側フランジ部13とを有する単一部品である。ロア側周壁部12は、底壁部11の外周縁から全周に亘って上方へ立ち上がった形態である。ロア側フランジ部13は、ロア側周壁部12の上端縁から全周に亘って外周側へ張り出している。
図4に示すように、ロア側フランジ部13は、載置部14と、立上り部15と、被挟圧部16とを有する。
【0015】
載置部14は、ロア側周壁部12の上端縁に直接連なっていて、全周に亘って外周側へ水平に張り出した形態である。立上り部15は、載置部14の外周縁から全周に亘って斜め上方外周側へ立ち上がっている。被挟圧部16は、立上り部15の上端縁から全周に亘って外周側へ水平に張りだした形態である。載置部14と立上り部15と被挟圧部16は、段差状のロア側屈曲部17を構成するとともに、位置決め部18を構成している。
【0016】
アッパカバー20は、平面視が長方形をなす水平な上壁部21と、アッパ側周壁部22と、アッパ側フランジ部23とを有する単一部品である。アッパ側周壁部22は、上壁部21の外周縁から全周に亘って下方へ延出した形態である。アッパ側フランジ部23は、アッパ側周壁部22の下端縁から全周に亘って外周側へ張り出した形態である。アッパ側フランジ部23は、押圧部24と、下向き突出部25と、挟圧部26と、複数の爪部27とを有する。押圧部24は、アッパ側周壁部22の下端縁に直接連なり、全周に亘って外周側へ水平に張り出した形態である。下向き突出部25は、押圧部24の外周縁から全周に亘って下方へ突出した形態である。挟圧部26は、下向き突出部25の下端縁から全周に亘って外周側へ水平に張り出した形態である。押圧部24と下向き突出部25と挟圧部26は、段差状のアッパ側屈曲部28を構成する。
【0017】
複数の爪部27は、挟圧部26の外周縁のうち周方向に間隔を空けた複数の部位から、片持ち状に突出している。アッパカバー20とロアケース10を組み付ける前の状態では、複数の爪部27は、挟圧部26の外周縁から下向きに突出した状態となっている。各爪部27は、内周側へ曲げ加工することができるようになっている。
【0018】
次に、ロアケース10とアッパカバー20とガスケット29の組付け手順を説明する。まず、ロアケース10のロア側フランジ部13の載置部14にガスケット29を取り付ける。載置部14に載せたガスケット29は、全周に亘って立上り部15によって包囲されているので、水平方向へ位置ずれする虞はない。ガスケット29をロア側フランジ部13にセットした後、バッテリーモジュールMを、底壁部11に載置し、ボルトとナット等の締結部材(図示省略)によってロアケース10に固定する。
【0019】
この後、アッパカバー20を、バッテリーモジュールMの上に被せ、アッパ側フランジ部23をロア側フランジ部13の上に重ねる。このとき、アッパカバー20の押圧部24をガスケット29の上面に載せるようにする。ここで、ガスケット29が弾性変形していない自由状態におけるガスケット29の高さ寸法は、載置部14と被挟圧部16との高低差と、押圧部24と挟圧部26との高低差を併せた寸法よりも大きく設定されている。押圧部24を自由状態のガスケット29に載せた状態では、被挟圧部16の上面と挟圧部26の下面との間に隙間が生じる。
【0020】
この後、挟圧部26が被挟圧部16の上面に面接触するまでアッパカバー20を押し下げ、ガスケット29を載置部14と押圧部24との間で潰すように弾性変形させる。そして、この状態を保ったまま、下向きの爪部27を、内側へ曲げ加工して塑性変形させ、被挟圧部16の下面に密着させる。被挟圧部16が、周方向に間隔を空けた複数箇所において、爪部27と挟圧部26との間で上下方向に挟み付けられることにより、ロアケース10とアッパカバー20が合体状態に固着される。ロア側フランジ部13の上面とアッパ側フランジ部23の下面との間は、上下に弾性変形したガスケット29によって全周に亘って液密状にシールされる。以上により、収容空間S内にバッテリーモジュールMを収容した状態で、バッテリーケースAが製造される。
【0021】
本実施例1のバッテリーケースAは、ロアケース10と、アッパカバー20と、ガスケット29とを備えている。ロアケース10の外周縁部にはロア側フランジ部13が形成されている。ロアケース10の底壁部11には、バッテリーモジュールMが載置される。アッパカバー20の外周縁部にはアッパ側フランジ部23が形成されている。アッパカバー20は、バッテリーモジュールMを覆うようにしてロアケース10に組み付けられる。ガスケット29は、ロア側フランジ部13とアッパ側フランジ部23との間で弾性変形した状態で配置され、収容空間S内の防水を図る。
【0022】
アッパ側フランジ部23には、複数の爪部27が一体に形成されている。アッパ側フランジ部23と複数の爪部27との間で、ロア側フランジ部13が挟み付けられている。この挟み付けによって、ロア側フランジ部13とアッパ側フランジ部23との隙間がガスケット29によって液密状にシールされる。爪部27は、アッパカバー20とは別体の部品ではなく、アッパカバー20に一体に形成されている。したがって、ボルトやナット等の締結部材を用いる場合に比べると、本実施例1のバッテリーケースAは、部品点数を削減できる。
【0023】
ロア側フランジ部13には、段差状のロア側屈曲部17が形成されている。ロア側屈曲部17を形成したことにより、ロア側フランジ部13の断面二次モーメントが高くなっているので、ロア側フランジ部13の曲げ剛性が高められている。アッパ側フランジ部23にも、段差状のアッパ側屈曲部28が形成されている。アッパ側屈曲部28を形成したことにより、アッパ側フランジ部23の断面二次モーメントが高くなっているので、アッパ側フランジ部23の曲げ剛性が高められている。
【0024】
ロア側フランジ部13には、ガスケット29を水平方向に位置決めする位置決め部18が形成されているので、ガスケット29を、ロア側フランジ部13に載置したときに位置決めすることができる。これにより、ガスケット29をロア側フランジ部13とアッパ側フランジ部23との間に確実に取り付けることができる。位置決め部18は、ロア側フランジ部13を段差状に屈曲させた形状であり、ロア側屈曲部17としての機能を兼ね備えている。換言すると、ロア側屈曲部17は、位置決め部18としての機能を兼ね備えている。
【0025】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2を
図5を参照して説明する。本実施例2のバッテリーケースBは、アッパカバー30のアッパ側フランジ部33を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0026】
アッパ側フランジ部33は、アッパ側周壁部32の下端縁から全周に亘って外周側へ張り出した形態である。アッパ側フランジ部33は、フランジ本体部34と、複数の爪部37とを有する。フランジ本体部34は、全領域に亘って段差がなく平坦かつ水平な板状をなす。フランジ本体部34のうち内周側の領域は、アッパ側周壁部32の下端縁に直接連なり、押圧部35として機能する。フランジ本体部34のうち押圧部35よりも外周側の領域は、挟圧部36として機能する。
【0027】
複数の爪部37は、挟圧部36の外周縁のうち周方向に間隔を空けた複数の部位から、片持ち状に突出している。アッパカバー30とロアケース10を組み付ける前の状態では、複数の爪部37は、挟圧部36の外周縁から下向きに突出した状態となっている。各爪部37は、内周側へ曲げ加工することができるようになっている。
【0028】
ロアケース10とアッパカバー30とガスケット29を組み付けた状態では、挟圧部36が被挟圧部16の上面に面当たり状態で当接し、載置部14に載せたガスケット29が、載置部14と押圧部35との間で上下に潰されるように弾性変形し、爪部37が、曲げ加工により塑性変形して被挟圧部16の下面に密着する。被挟圧部16が、爪部37と挟圧部36との間で上下方向に挟み付けられることにより、ロアケース10とアッパカバー30が合体状態に固着される。ロア側フランジ部13の上面とアッパ側フランジ部33の下面との間は、上下に弾性変形したガスケット29によって全周に亘って液密状にシールされる。
【0029】
<実施例3>
次に、本発明を具体化した実施例3を
図6を参照して説明する。本実施例3のバッテリーケースCは、ロアケース40のロア側フランジ部43とアッパカバー50のアッパ側フランジ部53を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0030】
ロア側フランジ部43は、ロア側周壁部42の上端縁から全周に亘って外周側へ張り出している。ロア側フランジ部43は、受圧部44と、支持部45と、載置部46と、被挟圧部47とを有する。受圧部44は、ロア側周壁部42の上端縁に直接連なっていて、全周に亘って外周側へ水平に張り出した形態である。支持部45は、受圧部44の外周縁から全周に亘って下向きに突出した形態である。載置部46は、支持部45の下端縁から全周に亘って外周側へ水平に張り出した形態である。被挟圧部47は、載置部46の外周縁から全周に亘って上方へ壁状に立ち上がった形態である。受圧部44と支持部45と載置部46と被挟圧部47は、段差状のロア側屈曲部48を構成するとともに、溝状の位置決め部49を構成している。
【0031】
アッパ側フランジ部53は、アッパ側周壁部52の下端縁から全周に亘って外周側へ張り出した形態である。アッパ側フランジ部53は、フランジ本体部54と、複数の爪部57とを有する。フランジ本体部54は、全領域に亘って段差がなく平坦かつ水平な板状をなす。フランジ本体部54のうち外周側の領域は、押圧部55として機能する。フランジ本体部54のうち挟圧部よりも内周側の領域は、アッパ側周壁部52の下端縁に直接連なる当接部56として機能する。
【0032】
複数の爪部57は、押圧部55のうち周方向に間隔を空けた複数の部位から、片持ち状に突出している。アッパカバー50とロアケース40を組み付ける前の状態では、複数の爪部57は、押圧部55の外周縁から下向きに突出した状態となっている。各爪部57は、内周側へ曲げ加工することができるようになっている。
【0033】
ロアケース40とアッパカバー50とガスケット29を組み付けた状態では、当接部56が受圧部44の上面に当接し、押圧部55の外周縁部が被挟圧部47の上端面に当接し、載置部46に載せたガスケット29が、載置部46と押圧部55との間で上下に潰されるように弾性変形する。爪部57は、曲げ加工により塑性変形して載置部46の下面に密着する。被挟圧部47が、爪部57と押圧部55の外周縁部との間で上下方向に挟み付けられることにより、ロアケース40とアッパカバー50が合体状態に固着される。ロア側フランジ部43の上面とアッパ側フランジ部53の下面との間は、上下に弾性変形したガスケット29によって全周に亘って液密状にシールされる。
【0034】
<実施例4>
次に、本発明を具体化した実施例4を
図7を参照して説明する。本実施例4のバッテリーケースDは、アッパカバー60のアッパ側フランジ部63を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0035】
アッパ側フランジ部63は、アッパ側周壁部62の下端縁から全周に亘って外周側へ張り出した形態である。アッパ側フランジ部63は、押圧部64と、上向き突出部65と、挟圧部66と、複数の爪部67とを有する。押圧部64は、アッパ側周壁部62の下端縁に直接連なり、全周に亘って外周側へ水平に張り出した形態である。上向き突出部65は、押圧部64の外周縁から全周に亘って斜め上方外周側へ突出した形態である。挟圧部66は、上向き突出部65の上端縁から全周に亘って外周側へ水平に張り出した形態である。押圧部64と上向き突出部65と挟圧部66は、段差状のアッパ側屈曲部68を構成する。
【0036】
ロアケース10とアッパカバー60とガスケット29を組み付けた状態では、挟圧部66が被挟圧部16の上面に面当たり状態で当接し、載置部14に載せたガスケット29が、載置部14と押圧部64との間で上下に潰されるように弾性変形し、爪部67が、曲げ加工により塑性変形して被挟圧部16の下面に密着する。被挟圧部16が、爪部67と挟圧部66との間で上下方向に挟み付けられることにより、ロアケース10とアッパカバー60が合体状態に固着される。ロア側フランジ部13の上面とアッパ側フランジ部63の下面との間は、上下に弾性変形したガスケット29によって全周に亘って液密状にシールされる。
【0037】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施例1~4では、爪部がアッパ側フランジ部のみに形成されているが、爪部は、ロア側フランジ部のみに形成してもよく、アッパ側フランジ部とロア側フランジ部の両方に形成してもよい。
【0038】
上記実施例1~4では、ロア側フランジ部に屈曲部を形成したが、ロア側フランジ部は屈曲部を有しない形状であってもよい。
上記実施例1~4では、位置決め部がロア側フランジ部を段差状に屈曲させて形成されているが、位置決め部は、ロア側フランジ部とは別体のリブを、ロア側フランジ部に固着したものであってもよい。
【0039】
上記実施例1~4では、ロア側フランジ部に位置決め部を形成したが、ロア側フランジ部は位置決め部を有しない形態であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
A,B,C,D…バッテリーケース
M…バッテリーモジュール
10,40…ロアケース
13,43…ロア側フランジ部
17,48…ロア側屈曲部(屈曲部)
18,49…位置決め部
20,30,50,60…アッパカバー
23,33,53,63…アッパ側フランジ部
27,37,57,67…爪部
28,68…アッパ側屈曲部(屈曲部)