(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】収容物検出装置及び収容物検出方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/12 20060101AFI20240809BHJP
G01F 23/284 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G03G21/12
G01F23/284
(21)【出願番号】P 2020101054
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 健太郎
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146574(JP,A)
【文献】特開2010-281885(JP,A)
【文献】実開昭62-140325(JP,U)
【文献】特開平08-062887(JP,A)
【文献】特開2011-048147(JP,A)
【文献】特開2009-230086(JP,A)
【文献】特開昭62-156685(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0356787(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0390997(US,A1)
【文献】米国特許第04761674(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0107425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/12
G01F 23/284
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを用いて電子写真方式により画像を形成する画像形成装置において、
回収された廃トナーを収容する収容部内の廃トナーを検出する
収容物検出装置として、
電波を発射して反射波を検出するレーダセンサと、
前記レーダセンサから発射された電波を反射する反射部と、
前記収容部で反射した前記電波の反射波と、前記収容部内の
廃トナーで反射した前記電波の反射波と、前記収容部を通過して前記反射部で反射した前記電波の反射波とに基づいて、前記収容部内の前記
廃トナーの収容量を検出する検出対象物収容量検出部と、
を備え、
前記レーダセンサは、前記収容部と対向して配置され、
前記反射部は、前記レーダセンサと対向する前記収容部内の内壁に収容部の反射率よりも高い反射率の金属を蒸着して設けられたことを特徴とする収容物検出装置。
【請求項2】
前記検出対象物収容量検出部は、
前記収容部を通過して前記
廃トナーで反射した反射波に基づく反射率と、
前記収容部を通過して前記反射部で反射した反射波に基づく反射率と、
に基づいて、前記収容部内の前記
廃トナーの収容量を検出することを特徴とする請求項1に記載の収容物検出装置。
【請求項3】
前記レーダセンサは、複数個配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の収容物検出装置。
【請求項4】
前記
廃トナーは、前記収容部の反射率よりも高い反射率の誘電体の添加物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の収容物検出装置。
【請求項5】
トナーを用いて電子写真方式により画像を形成する画像形成装置において、
回収された廃トナーを収容する収容部内の廃トナーを検出する収容物検出方法として、
収容部と対向した配置されたレーダセンサから電波を発射するステップと、
前記レーダセンサと対向する前記収容部内の内壁に収容部の反射率よりも高い反射率の金属を蒸着して反射部を形成するステップと、
前記収容部で反射した前記電波の反射波を検出するステップと、
前記収容部内の
廃トナーで反射した前記電波の反射波を検出するステップと、
前記収容部を通過して反射部で反射した前記電波の反射波を検出するステップと、
前記収容部で反射した反射波と、前記収容部内の
廃トナーで反射した反射波と、前記収容部を通過して反射部で反射した反射波とに基づいて、前記収容部内の前記
廃トナーの収容量を検出するステップと、
を備えることを特徴とする収容物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容物検出装置等に係り、特に、収容部内の収容物をレーダセンサにより検出する収容物検出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ及びファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置では、画像形成部において発生する印刷後の残留トナーを除去して、廃トナーとして廃トナー回収容器に回収するようにしたものが知られている。
【0003】
従来技術として、例えば、画像形成装置において、トナーが収容されるトナーボックス(コンテナ)内のトナー面の高さを測定して、トナー残量を検知するようにしたものが開示されている(特許文献1を参照。)。
【0004】
特許文献1では、トナー面の高さを測定する場合、トナーボックス内の真上に設けられた超音波センサからの発信と反射波により測定するようにされている。
【0005】
また、他の従来技術として、タンク内の灯油の残量を検出するために、タンク外の側面から超音波センサによりタンク内の灯油の液面を検出するようにしたものが開示されている(特許文献2を参照。)
【0006】
特許文献2では、超音波センサの送信部と受信部とを、タンク外の側面に対向するように配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-6457号公報
【文献】実開昭64-30418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常、廃トナー回収容器は、廃トナーを回収後は廃棄されてしまう。
特許文献1の技術では、トナーボックス内に超音波センサを設けてトナーボックス内のトナー残量を検出するようにしているため、この技術を廃トナー回収容器に利用した場合には、廃トナー回収容器毎に使い捨ての超音波センサと電源及び配線用コネクタ等が必要になるという問題が生じる。
【0009】
また、特許文献2の技術に基づき、超音波センサにより廃トナー回収容器の外側より廃トナーを検知するためには、正確に検知するために、超音波センサを廃トナー回収容器の側面に密着させる必要がある。
【0010】
このため、交換式の廃トナー回収容を使用する場合は、廃トナー回収容器を交換するたびに超音波センサを密着させる作業が必要となるため、交換作業が煩雑となったり、密着状態が不十分に場合には、正確に検知されずに誤検知となる虞があるという問題が生じる。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、検出センサ等を使い捨てにすることなく、簡単な構成で、誤検知することなく容器内の収容物を検知できる収容物検出装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る収容物検出装置は、電波を発射して反射波を検出するレーダセンサと、前記レーダセンサから発射された電波を反射する反射部と、前記レーダセンサから発射された電波の、検出対象物を収容する収容部で反射した反射波と、前記収容部を通過して前記検出対象物で反射した反射波と、前記収容部を通過して前記反射部で反射した反射波とに基づいて、前記収容部内の前記検出対象物の収容量を検出する検出対象物収容量検出部と、を備えることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、トナーを用いて電子写真方式により画像を形成する画像形成装置において、回収された廃トナーを収容する収容部内の廃トナーを検出する廃トナー検出装置として、電波を発射して反射波を検出するレーダセンサと、前記レーダセンサから発射された電波を反射する反射部と、検出対象物(例えば、廃トナー)を収容する収容部(例えば、廃トナー回収容器)で反射した前記電波の反射波と、前記収容部を通過して前記検出対象物で反射した前記電波の反射波と、前記収容部を通過して前記反射部で反射した前記電波の反射波とに基づいて、前記収容部内の前記検出対象物の収容量を検出する検出対象物収容量検出部(例えば、廃トナー検出部)と、を備える検出対象物収容量検出装置を用いることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明に係る収容物検出方法は、レーダセンサから電波を発射するステップと、検出対象物を収容する収容部で反射した前記電波の反射波を検出するステップと、前記収容部内の検出対象物で反射した前記電波の反射波を検出するステップと、前記収容部を通過して反射部で反射した前記電波の反射波を検出するステップと、前記収容部で反射した反射波と、前記収容部内の検出対象物で反射した反射波と、前記収容部を通過して反射部で反射した反射波とに基づいて、前記収容部内の前記検出対象物の収容量を検出するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る収容物検出装置等によれば、レーダセンサを用いて収容部内の検出対象物を検出するようにしたので、レーダセンサにより収容部に触れることなく収容部内の検出対象物を検出することができるので、検出センサ等を使い捨てにすることなく、簡単な構成で、誤検知することなく収容部内の検出対象物を正確に検出できる収容物検出装置等を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る廃トナー検出装置を備える画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【
図3】廃トナー検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】廃トナー検出装置の概略構成を示す説明図である。
【
図5】廃トナー検出部の廃トナーの検出例を示す説明図である。
【
図6】廃トナー検出装置による廃トナー検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係る廃トナー検出装置の概略構成の一例を示す説明図である。
【
図8】第3実施形態に係る廃トナー検出装置の概略構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は発明を実施する形態の一例であって、本発明の第1実施形態に係る廃トナー検出装置を備える画像形成装置の構成を示すブロック図、
図2は画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【0018】
第1実施形態は、
図1に示すように、トナーを用いて電子写真方式により画像を形成する画像形成装置10において、回収された廃トナーを収容する廃トナー回収容器(収容部)170内の廃トナー(検出対象物)を検出する廃トナー検出装置(収容物検出装置)180を備えることを特徴としている。
【0019】
廃トナー検出装置180は、レーダセンサ183を用いて廃トナー回収容器170内の回収された廃トナーを検出することを特徴としている。
【0020】
(画像形成装置の全体構成)
まず、第1実施形態に係る画像形成装置10の基本的な構成について説明する。
画像形成装置10は、
図2に示すように、装置本体10aの上部に画像読取装置110を備えて原稿の画像を読取り、電子写真方式により画像を出力する情報処理装置である。
【0021】
画像形成装置10は、
図1に示すように、主に、制御部100と、画像読取装置110と、画像処理部120と、画像形成部130と、操作部140と、表示部150と、記憶部160とを備えて構成されている。
【0022】
制御部100は、画像形成装置10の全体を制御するための機能部である。
そして、制御部100は、各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えば1又は複数の演算装置(例えば、CPU(Central Processing Unit))等により構成されている。
【0023】
画像読取装置110は、主に、自動原稿搬送部111、画像読取部112と、原稿台113とを備えている。
【0024】
自動原稿搬送部111は、複数の原稿を自動的に搬送する機能部である。
【0025】
画像読取部112は、原稿から画像形成装置10に入力される画像データを読み取るための機能部である。
【0026】
画像処理部120は、画像データに各種画像処理を施す機能部である。そして、画像処理が施された画像データに基づき出力画像を形成する。
【0027】
画像形成部130は、画像データに基づく出力データを記録媒体(例えば記録用紙)に形成するための機能部である。例えば、
図2に示すように、給紙カセット81から記録用紙を給紙し、画像形成部130において記録用紙の表面に画像が形成された後に排紙トレイ91に排紙される。
【0028】
操作部140は、ユーザによる操作指示を受け付けるための機能部であり、各種キースイッチや、接触による入力を検出する装置等により構成されている。ユーザは、操作部140を介して、使用する機能や出力条件を入力する。また、表示部150は、ユーザに各種情報を表示するための機能部であり、例えばLCD(Liquid crystal display)等により構成されている。
【0029】
なお、画像形成装置10は、操作部140と、表示部150とが一体に形成されているタッチパネルを備えてもよい。この場合において、タッチパネルの入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。
【0030】
記憶部160は、画像形成装置10の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部160は、例えば、半導体メモリであるSSD(Solid State Drive)や、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
【0031】
(装置本体の各部構成)
次に、画像形成装置10の装置本体10aの構成について、図面を参照して説明する。
装置本体10aは、
図2に示すように、主に、露光ユニット1、現像部2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、転写部6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有して構成されている。
【0032】
装置本体10aの上部に設けられた画像読取部112の上側には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿台113が設けられ、その原稿台113の上側には自動原稿搬送部111が取り付けられている。
【0033】
自動原稿搬送部111は、原稿台113の上に自動で原稿を搬送する。
また、自動原稿搬送部111は、矢印M方向に回動自在に構成され、原稿台113の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0034】
画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像部2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0035】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。
【0036】
露光ユニット1は、外部から入力した画像データまたは原稿から読み取って得られた画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3を露光することにより、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム3の表面に形成する画像書込み装置である。
【0037】
現像部2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像をブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーにより顕像化するものである。
【0038】
ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーは、それぞれのトナーが収容されるトナーカートリッジ500(BK),500(C),500(M),500(Y)から現像部2に供給される。
【0039】
トナーカートリッジ500(BK),500(C),500(M),500(Y)は、装置本体10aの画像形成部130の上方に収納されている。
【0040】
感光体ドラム3は、円筒状を呈し、露光ユニット1の上方に配設され、その表面がクリーナユニット4によりクリーニングされ、クリーニングされた表面が帯電器5により均一に帯電される。
【0041】
クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナー(以下、「残留トナー」と称する。)を除去・回収する。
【0042】
感光体ドラム3の上方に配置されている転写部6は、無端状の中間転写ベルト(無端ベルト)61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、Y,M,C,BKの各色に対応して4本設けられている。
【0043】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動するように構成されている。
【0044】
各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化されたトナー像は中間転写ベルト61上に積層される。積層された画像情報としてのトナー像は、中間転写ベルト61とともに搬送されて、搬送される用紙と中間転写ベルト61との接触位置(2次転写位置,所定位置)に移動し、この接触位置に配置されている転写ローラ9によって用紙上に転写される。
【0045】
中間転写ベルト61に付着したトナー、もしくは転写ローラ9によって用紙上に転写が行われずに中間転写ベルト61に残ったトナー(残留トナー)は、次工程で形成されるトナー像に対してトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように構成されている。
【0046】
中間転写ベルトクリーニングユニット65およびクリーナユニット4により除去された残留トナーは、装置本体10aの正面のカバー(図示省略)の内側に設けられた廃トナー回収容器170に回収される。
【0047】
給紙カセット81は、画像形成に使用する用紙を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体10aの露光ユニット1の下側に設けられている。
装置本体10aの上方には、印刷済みの用紙をフェイスダウンで集積するための排紙トレイ91が設けられている。
【0048】
また、装置本体10aには、給紙カセット81の用紙を転写ローラ9や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81から排紙トレイ91に到る用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a、複数の搬送ローラ12a~12d、レジストローラ13、転写ローラ9、定着ユニット7等が配されている。
【0049】
搬送ローラ12a~12dは、用紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って設けられている。尚、搬送ローラ12bは、用紙を排紙トレイ91に排出する排紙ローラとして機能するため、排紙ローラと称する。
【0050】
ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0051】
レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されている用紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と用紙の先端を合わせるタイミングで用紙を転写ローラ9に搬送する機能を有している。
【0052】
定着ユニット7は、定着ローラ70として1対のヒートローラ71と加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、用紙を挟んで回転搬送するようになっている。
【0053】
ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、対向して配置されて、ヒートローラ71と加圧ローラ72との圧接箇所には、定着ニップ部が形成されている。
【0054】
ヒートローラ71は、加圧ローラ72とともにトナーを用紙に熱圧着することにより、用紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、用紙に対して熱定着させる。
また、ヒートローラ71には、ヒートローラ71を外部から定着するための外部定着ベルト73が設けられている。
【0055】
(廃トナー検出装置の構成)
次に、第1実施形態に係る廃トナー検出装置180の特徴的な構成について説明する。
図3は第1実施形態に係る廃トナー検出装置の構成を示すブロック図、
図4は廃トナー検出装置の概略構成を示す説明図である。
【0056】
廃トナー検出装置180は、
図3に示すように、主に、制御部181と、レーダセンサ183と、反射部185と、廃トナー検出部(検出対象物収容量検出部)187と、記憶部189とを備えて構成される。
【0057】
制御部181は、レーダセンサ183による廃トナー回収容器170内の廃トナー171の検出を制御する。
【0058】
レーダセンサ183は、電波(レーダ波)を発射して反射波を検出する。
第1実施形態では、レーダセンサ183は、レーダセンサとしてパルスコヒーレントレーダセンサ(以下、「PCRセンサ」と称する。)を用いる。
【0059】
PCRセンサは、発生したパルスが物体に反射して受信アンテナに戻ってきたエネルギーを検知する。そのエネルギー量は物体の反射率に依存する。反射率は信号を伝搬する2つの触媒の間の相対的な誘電率の差に依存する関係にある。その誘電率の差を利用して材質の判別を行う。
【0060】
この判別は、パルス周波数によって物体の表面の背後にある誘電率の変化を伴う各境界を反射する、物体を検出する反射波により判別される。例えば、プラスチック製のハウジングを通して物体の検知が可能なことを意味する。
【0061】
また、PCRセンサは、周囲の光、音、色に敏感ではなく、高いロバスト性を有する。したがって、PCRセンサによる物体の判別は安定したものとなる。
【0062】
第1実施形態では、レーダセンサ183は、
図4に示すように、廃トナー回収容器170を介して反射部185と対向して配置されている。レーダセンサ183には、パルスコヒーレントレーダを用いている。このパルスコヒーレントレーダは、材質識別や異なる材質間の識別が可能な機能を有し、材質固有の誘電率の変化を伴う境界の反射の違いを利用している。レーダセンサ183と廃トナー回収容器170と反射部185とは、それぞれ別体で配置される。
図5は、廃トナー検出部187のレーダセンサ183の検出信号のイメージ例を示す。太線が廃トナーが少ない場合から三角付線の廃トナーが多い場合に信号強度の山形が変化するので、それに基づいて廃トナー量を検出できる。信号強度曲線において、山の頂点の位置よりも、高さ、面積で帰ってくる信号の強度をイメージしている。
【0063】
廃トナー回収容器170は、廃トナー171の反射率よりも低い反射率の材料で形成されている。
【0064】
反射部185は、レーダセンサ183から発射された電波を反射する。
第1実施形態では、反射部185は、金属製の材料で形成されている。
反射部185の反射率は、廃トナー回収容器170の反射率よりも高く設定されている。
【0065】
記憶部189には、廃トナー回収容器170の廃トナー量と受信レーダ強度(強さ、面積の合計)との関係が記憶されている。
【0066】
廃トナー検出部187は、レーダセンサ183の受信レーダ強度と記憶部189に記憶された関係に基づき、廃トナー回収容器170内の廃トナー171の収容量を判定する。
【0067】
具体的には、第1実施形態では、廃トナー検出部187は、レーダセンサ183の検出強度と記憶部189に記憶された廃トナー量と受信レーダ強度との関係に基づいて、廃トナー回収容器170内の廃トナー171の収容量を判定する。
廃トナー検出部187は、
図5に例を示すようにレーダセンサで検出した反射強度(反射率)に基づいて次のようにして廃トナーを検出することができる。
廃トナーが高い反射率の物体で、廃トナー回収容器が高い反射率の物体であるとすると廃トナーと廃トナー回収容器の区別がつきにくいと予想される。
そのため、廃トナー回収容器を低い反射率の材料で構成することにより、廃トナーの反射率の差が明確になり検出精度を向上させることができる。
【0068】
(廃トナーの検出処理について)
次に、第1実施形態に係る廃トナー検出装置180による廃トナー回収容器170内の廃トナー171の検出処理についてフローチャートに沿って説明する。
図6は第1実施形態に係る廃トナー検出装置による廃トナー検出処理の一例を示すフローチャートである。
【0069】
画像形成装置10において、
図6に示すように、廃トナー回収容器170内の廃トナー検出が開始されると、まず、レーダセンサ183から廃トナー回収容器170に向けて電波が発射される(ステップS101)。
【0070】
そして、レーダセンサ183により反射波を受信する(ステップS103)。
そして、受信した反射波に基づいて、廃トナー回収容器170内に回収された廃トナー171を検出したか否かが判定される(ステップS105)。
【0071】
ステップS105において、廃トナー回収容器170内に回収された廃トナー171を検出したと判定された場合は、廃トナー検出部187において廃トナー171の収容量が検出される(ステップS107)。そして、廃トナー回収容器170が満杯であるか否かが判定される(ステップS109)。
【0072】
そして、ステップS109において、廃トナー回収容器170が満杯であると判定された場合は、廃トナー回収容器170を交換することを通知する(ステップS111)。
【0073】
なお、ステップS109において、廃トナー回収容器170が満杯ではないと判定された場合は、ステップS107に戻り、引き続き廃トナー171の収容量が検出される。
【0074】
このようにして、画像形成装置10において、廃トナー検出装置180により廃トナー回収容器170内の廃トナー171の収容量を検出することができる。
【0075】
以上のように構成したので、第1実施形態によれば、画像形成装置10において、レーダセンサ183と、反射部185と、廃トナー検出部187とを備える廃トナー検出装置180を設け、廃トナー回収容器170と別体に配置したレーダセンサ183により廃トナー回収容器170内の廃トナー171を検出するようにしたので、廃トナー回収容器170に触れることなく内部に回収された廃トナー171を検出することができ、検出センサ等を使い捨てにすることなく、簡単な構成で、誤検知することなく廃トナー回収容器170内に回収された廃トナー171の収容量を正確に検出することができる。
【0076】
なお、第1実施形態では、単に残留トナーを廃トナーとして廃トナー回収容器170に回収して、回収された廃トナー171をレーダセンサ183により検出するようにしているが、例えば、回収された廃トナー171に、廃トナー回収容器170の反射率よりも高い反射率の誘電体の添加物を含むようにしてもよい。
【0077】
このように構成することで、レーダセンサ183により廃トナー171とともに前記添加物を検出することで、より正確に廃トナー171の収容量を検出することができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図7は第2実施形態に係る廃トナー検出装置の概略構成の一例を示す説明図である。
なお、第2実施形態に係る廃トナー検出装置は、第1実施形態の廃トナー検出装置と同様の構成については、同一の符号を付することで説明を省略する。
【0079】
第2実施形態は、
図7に示すように、画像形成装置を構成する廃トナー検出装置280において、第1レーダセンサ283a及び第2レーダセンサ283bの2個のレーダセンサを用いて廃トナー回収容器170内の廃トナー171を検出することを特徴とするものである。
【0080】
第1レーダセンサ283a及び第2レーダセンサ283bは、廃トナー回収容器170を介して反射部185と対向して配置されている。第1レーダセンサ283aと、第2レーダセンサ283bと、廃トナー回収容器170と、反射部185とは、それぞれ別体で配置される。
【0081】
第1レーダセンサ283aは、廃トナー回収容器170の下半分側と対向する位置に配置されている。そして、第1レーダセンサ283aは、主に廃トナー回収容器170の下半分の容器内部を検出する。
【0082】
第2レーダセンサ283bは、廃トナー回収容器170の上半分側と対向する位置に配置されている。そして、第2レーダセンサ283bは、主に廃トナー回収容器170の上半分の容器内部を検出する。
【0083】
以上のように、第2実施形態によれば、第1レーダセンサ283a及び第2レーダセンサ283bの2個のレーダセンサを用いて廃トナー回収容器170内の廃トナー171を検出するようにしたことで、第1レーダセンサ283aにより、廃トナー回収容器170に回収した廃トナー171が容器内の半分程度まで収容した状態を検出することができ、第2レーダセンサ283bにより、廃トナー回収容器170に回収した廃トナー171が容器内の半分以上収容した状態を検出することができる。
【0084】
このように、2つのレーダセンサにより廃トナー回収容器170に回収された廃トナー171の収容量を検出できるので、廃トナー回収容器170の廃トナー171の収容状態を正確に検出することができる。
【0085】
なお、第2実施形態では、レーダセンサを上下に2箇所に配置しているが、レーダセンサの個数や設置場所はこれに限定されるものではない。例えば、廃トナー回収容器が横方向に長い形状の場合には、横方向に複数個のレーダセンサを配置するようにしてもよい。
【0086】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図8は第3実施形態に係る廃トナー検出装置の概略構成の一例を示す説明図である。
なお、第3実施形態に係る廃トナー検出装置は、第1実施形態の廃トナー検出装置と同様の構成については、同一の符号を付することで説明を省略する。
【0087】
第3実施形態は、
図8に示すように、画像形成装置を構成する廃トナー検出装置380において、レーダセンサ183からの電波を反射する反射部385を、廃トナー回収容器370内のレーダセンサ183と対向する内壁370aに設けることを特徴とするものである。
【0088】
反射部385は、金属製の材料で形成され、内壁370aに沿って設けられている。
反射部385の反射率は、廃トナー回収容器170の反射率よりも高くなるように形成されている。
【0089】
以上のように構成することで、第3実施形態によれば、反射部385を廃トナー回収容器370の内壁370aに設けたことで、画像形成装置本体内部に別途反射部を設ける必要がないので、構成部品を増加させることなく省スペースな装置構成を実現できる。
【0090】
なお、第3実施形態では、金属製の反射部385を廃トナー回収容器170内の内壁370aに設けているが、反射部385の構成はこれに限定されるものではない。
例えば、反射部385として、廃トナー回収容器170内の内壁370aに廃トナー回収容器170の反射率よりも高い金属を蒸着するようにしてもよい。
【0091】
以上のように、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10 画像形成装置
100 制御部
170,370 廃トナー回収容器(収容部)
171 廃トナー
180,280,380 廃トナー検出装置(収容物検出装置)
181 制御部
183 レーダセンサ
185,385 反射部
187 廃トナー検出部(検出対象物収容量検出部)
189 記憶部
370a 内壁
1701 廃トナー回収容器反射率
1711 廃トナー反射率
1851 反射部反射率