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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】洗浄料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20240809BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240809BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240809BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/36
A61Q19/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020108444
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2022006292
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】小田 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156726(JP,A)
【文献】特開2017-186256(JP,A)
【文献】特開2019-156727(JP,A)
【文献】特開2019-019077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0120803(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/37
A61K 8/34
A61K 8/36
A61Q 19/10
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)~(C)を含有する皮膚洗浄料。
(A)炭素数10~22の高級脂肪酸及びその塩
(B)デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10
(C)グリセリン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄料として、種々の商品が開発されており、特に高級脂肪酸塩を基剤とするものは、洗浄力に優れ、さっぱりとした感触があるため、洗顔料や全身洗浄料等に用いられている。しかし、泡質が粗く、その強力な洗浄力により、皮膚に必要な皮脂等まで落としてしまい、洗浄後に肌がかさつき、つっぱりやきしみを感じるといった問題が生じている。
【0003】
洗浄後の肌のかさつきや、つっぱり感の改善のために、ジグリセリンのポリオキシプロピレン付加物と併用した例(特許文献1)、植物エキスと併用した例(特許文献2)があるが、いずれも効果が不十分で問題を解決するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-116135号公報
【文献】特開平10-88193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高級脂肪酸塩を基剤とするにもかかわらず、保湿感を有するとともに泡質の良好な洗浄料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
下記(A)及び(B)を含有する洗浄料
(A)高級脂肪酸及びその塩
(B)デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10
を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗浄料は、保湿感を有し、泡質が良好であるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本発明の洗浄料は、使用する部位により、洗髪料、洗顔料、ボディ洗浄料等の用途に用いることができる。
【0010】
本発明で用いられる高級脂肪酸及びその塩は化学式
RCOOM
(式中Rは炭素数8~22のアルキル基又はアルケニル基、Mはアルカリ金属、塩基性アミノ酸類、アルカノールアミン類を示す。)で示され、市販の石鹸素地を用いても、製造時ケン化反応により調製して用いることもできる。ここで、高級脂肪酸塩を構成する脂肪酸は、炭素数10~22の直鎖飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及び分岐鎖脂肪酸から選ばれた1種又は2種以上が好ましく用いられる。
【0011】
直鎖飽和脂肪酸としては、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、エイコサン酸(アラキン酸)、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸(ベヘン酸)が使用できるが、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸が特に好ましい。不飽和脂肪酸としては、2-デセン酸、4-デセン酸、9-デセン酸(カプロレイン酸)、9-ウンデセン酸(9-ウンデシレン酸)、10-ウンデセン酸(10-ウンデシレン酸)、2-ドデセン酸(2-ラウロレイン酸)、3-ドデセン酸、4-ドデセン酸、5-ドデセン酸(5-ラウロレイン酸)、11-ドデセン酸(11-ラウロレイン酸)、2-トリデセン酸、cis-9-トリデセン酸、12-トリデセン酸、4-テトラデセン酸(ツズ酸)、5-テトラデセン酸(5-ミリストレイン酸)、9-テトラデセン酸(9-ミリストレイン酸)、6-ペンタデセン酸、cis-9-ペンタデセン酸、14-ペンタデセン酸、2-ヘキサデセン酸(2-パルミトレイン酸)、trans-3-ヘキサデセン酸、cis-7-ヘキサデセン酸(7-パルミトレイン酸)、cis-9-ヘキサデセン酸(cis-9-パルミトレイン酸、ゾーマリン酸)、trans-9-ヘキサデセン酸(trans-9-パルミトレイン酸)、2-ヘプタデセン酸、cis-7-ヘプタデセン酸、cis-8-ヘプタデセン酸、cis-9-ヘプタデセン酸、trans-2-オクタデセン酸、cis-2-オクタデセン酸、trans-3-オクタデセン酸、cis-3-オクタデセン酸、trans-4-オクタデセン酸、cis-6-オクタデセン酸(ペトロセリン酸)、trans-6-オクタデセン酸(ペトロセエライジン酸)、cis-7-オクタデセン酸、trans-7-オクタデセン酸、cis-8-オクタデセン酸、trans-8-オクタデセン酸、cis-9-オクタデセン酸(オレイン酸)、trans-9-オクタデセン酸(エライジン酸)、cis-11-オクタデセン酸、trans-11-オクタデセン酸(バセニン酸)、cis-9-ノナデセン酸、cis-11-エイコセン酸(ゴンドイン酸)、trans-11-エイコセン酸(trans-ゴンドイン酸)、cis-13-ドコセン酸(エルカ酸)、trans-13-ドコセン酸(ブラシン酸)等の直鎖モノエン酸、cis-9,cis-12-オクタデカジエン酸(リノール酸)、trans10-9,trans-12-オクタデカジエン酸、cis-9,trans-11,trans-13-オクタデカトリエン酸、trans-9,trans-11,trans-13オクタデカトリエン酸、cis-9,cis-12,cis15-オクタデカトリエン酸(リノレン酸)、trans-9,trans-12,trans-15-オクタデカトリエン酸、trans-10,trans-12,trans-14-オクタデカトリエン酸、9,11,13,15-オクタデカテトラエン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエン酸(アラキドン酸)、4,8,12,15,19-ドコサペンタエン酸等のジ、トリ、テトラ及びペンタエン酸等が使用でき、分岐脂肪酸としては、ネオデカン酸、ネオトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等が使用できる。また、これらの混合物である、牛脂脂肪酸、ラノリン脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等を用いてもよい。これらの中でも特に、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0012】
本発明における脂肪酸若しくはその混合物と塩を形成させる塩基としては特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基類、L-アルギニン等の塩基性アミノ酸類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン類が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特に、カリウム塩を用いることが好ましい。
【0013】
高級脂肪酸及びその塩は洗浄料全量に対して1~95質量%、さらに3~95質量%配合することが好ましい。
【0014】
本発明に用いられるデカイソステアリン酸ポリグリセリル-10は、炭素数18の飽和脂肪酸であるイソステアリン酸と12個の水酸基をもつポリグリセリン-10のデカエステルである。通常、洗浄料に用いられるものであれば、特に限定されない。
【0015】
本発明に用いられるデカイソステアリン酸ポリグリセリル-10は、市販品を用いてもよく、Sフェイス IS-1009P(阪本薬品工業社製)、サンオイル DDI(太陽化学社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明に用いられるデカイソステアリン酸ポリグリセリル-10は、洗浄料全量に対して、0.001~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%、さらに好ましくは0.5~3質量%である。
【0017】
剤型としては、液状、ペースト状、固形を問わない。
【0018】
洗浄料は固形のものをそのまま又は泡吐出容器、エアゾール容器、ポンプ容器、チューブ容器、ボトル容器、ジャー容器等の容器に充填して用いる。
【0019】
本発明の洗浄料には、上述の必須成分の他に、本発明の効果を損ねない範囲で、更にその他の成分を配合することができる。かかる成分としては、上記以外のアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール等のポリオール類、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等の高分子化合物、スクワラン、流動パラフィン、シリコーン油、ラノリン誘導体、脂肪酸、高級アルコール、ポリエーテル変性シリコーン等の過脂肪剤、パール化剤、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤等を配合することができる。
【実施例
【0020】
本発明の洗浄料の使用感について、以下の通り評価を行った。
【0021】
[使用感評価]
専門パネラー3名により、使用テストを行い、洗浄料の泡質、保湿感について官能評価を行った。
【0022】
[評価方法]
本発明の実施例及び比較例を手で泡立て、泡質の評価を行った。その後、泡を手全体に広げ、ぬるま湯で洗い流し、保湿感の評価を行った。評価結果は下記の基準を用いて合議により判定した。
【0023】
[評価基準]泡質
○:良い
△:少し悪い
×:悪い
【0024】
[評価基準]保湿感
○:感じる
△:あまり感じない
×:感じない
【0025】
【表1】
【0026】
表1に示した通り、本発明の実施例では泡質及び保湿感の両方において良好な結果が得られた。それに対し、比較例1~3では泡質及び保湿感の両方において良好な結果が得られたものはなかった。