(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】除菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20240809BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20240809BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20240809BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20240809BHJP
F24F 1/0087 20190101ALI20240809BHJP
F24F 3/14 20060101ALI20240809BHJP
F24F 3/16 20210101ALI20240809BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A61L9/00 Z
A61L9/16 F
A61L9/01 E
F24F1/0007 361C
F24F1/0087
F24F3/14
F24F3/16
F24F6/00 B
F24F6/00 D
(21)【出願番号】P 2020112880
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000108890
【氏名又は名称】株式会社ダイキンアプライドシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 一也
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 優貴奈
(72)【発明者】
【氏名】伊能 利郎
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-188214(JP,A)
【文献】特開2007-312988(JP,A)
【文献】特開2004-317032(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0079651(US,A1)
【文献】Giuseppe Pezzotti, etc.,Rapid Inactivation of SARS-CoV-2 by Silicon Nitride, Copper, and Aluminum Nitride,bioRxiv,2020年06月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
F24F 8/00 - 8/99
F24F 6/00 - 6/18
F24F 3/00 - 3/167
F24F 1/0007
B01D 53/26
A01N 25/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を除菌する除菌装置であって、
空気を吸い込む吸込口(11)、および前記空気を吹き出す吹出口(12)を有する空気通路(13)と、
前記空気通路(13)に配置され、前記空気から水を分離する分離部(21)と、
前記空気通路(13)に配置され、前記分離部(21)を通過した空気を除菌する除菌部(40)と、
給水部(30)とを備え、
前記除菌部(40)は、水が付着することによって除菌機能を発揮する除菌組成物を含み、
前記給水部(30)は、前記分離部(21)から分離された水
を、噴霧により前記除菌部(40)に給水する噴霧器(31)を有し、
前記噴霧器(31)は、前記除菌部(40)の前記空気通路(13)における空気流れの上流側に配置されることを特徴とする除菌装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記分離部(21)は、前記空気を露点温度以下にまで冷却可能な冷却部(21)であることを特徴とする除菌装置。
【請求項3】
請求項2において、
第1熱交換器(21)および第2熱交換器(22)を含み、前記第1熱交換器(21)を蒸発器とし、前記第2熱交換器(22)を放熱器とする冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)をさらに備え、
前記第1熱交換器(21)および前記第2熱交換器(22)は、前記空気通路(13)に配置され、
前記第2熱交換器(22)は、前記第1熱交換器(21)の空気流れの下流側に配置され、
前記第1熱交換器(21)は、前記冷却部(21)である
ことを特徴とする除菌装置。
【請求項4】
空気を除菌する除菌装置であって、
空気を吸い込む吸込口(11)、および前記空気を吹き出す吹出口(12)を有する空気通路(13)と、
前記空気通路(13)に配置され、前記空気から水を分離する分離部(21)と、
前記空気通路(13)に配置され、前記分離部(21)を通過した空気を除菌する除菌部(40)と、
給水部(30)と、
第1熱交換器(21)および第2熱交換器(22)を含み、前記第1熱交換器(21)を蒸発器とし、前記第2熱交換器(22)を放熱器とする冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備え、
前記除菌部(40)は、水が付着することによって除菌機能を発揮する除菌組成物を含み、
前記給水部(30)は、前記分離部(21)から分離された水を前記除菌部(40)に給水し、
前記分離部(21)は、前記空気を露点温度以下にまで冷却可能な冷却部(21)であり、
前記第1熱交換器(21)および前記第2熱交換器(22)は、前記空気通路(13)に配置され、
前記第2熱交換器(22)は、前記第1熱交換器(21)の空気流れの下流側に配置され、
前記第1熱交換器(21)は、前記冷却部(21)である
ことを特徴とする除菌装置。
【請求項5】
請求項
4において、
前記給水部(30)は、噴霧により前記除菌部(40)に給水する噴霧器(31)を有することを特徴とする除菌装置。
【請求項6】
請求項
5において、
前記噴霧器(31)は、前記除菌部(40)の前記空気通路(13)における空気流れの上流側に配置されることを特徴とする除菌装置。
【請求項7】
請求項
1~3及び6のいずれか1つにおいて、
前記噴霧器(31)は、
前記除菌部(40)に対向するように配置され、
前記空気通路(13)における空気流れの上流側から下流側に向かって噴霧する
ことを特徴とする除菌装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1つにおいて、
前記除菌部(40)は、前記除菌組成物からなる多孔質部材を有することを特徴とする除菌装置。
【請求項9】
請求項1~
7のいずれか1つにおいて、
前記除菌部(40)は、前記除菌組成物が担持されたフィルタ材料を有することを特徴とする除菌装置。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1つにおいて、
前記給水部(30)は、前記除菌組成物を有することを特徴とする除菌装置。
【請求項11】
空気を除菌する除菌装置であって、
空気を吸い込む吸込口(11)、および前記空気を吹き出す吹出口(12)を有する空気通路(13)と、
前記空気通路(13)に配置され、前記空気から水を分離する分離部(21)と、
前記空気通路(13)に配置され、前記分離部(21)を通過した空気を除菌する除菌部(40)と、
給水部(30)とを備え、
前記除菌部(40)は、水が付着することによって除菌機能を発揮する除菌組成物を含み、
前記給水部(30)は、前記分離部(21)から分離された水を前記除菌部(40)に給水し、かつ、前記除菌組成物を有することを特徴とする除菌装置。
【請求項12】
請求項
10または11において、
前記給水部(30)は、前記分離部(21)によって空気から分離された水を受けるトレーを有し、
前記トレー(32)は、前記除菌組成物を有することを特徴とする除菌装置。
【請求項13】
請求項
10~12のいずれか1つにおいて、
前記給水部(30)は、前記分離部(21)によって空気から分離された水を貯留するタンク(33)を有し、
前記タンク(33)は、前記除菌組成物を有することを特徴とする除菌装置。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか1つにおいて、
前記分離部(21)は、前記除菌組成物を有することを特徴とする除菌装置。
【請求項15】
空気を除菌する除菌装置であって、
空気を吸い込む吸込口(11)、および前記空気を吹き出す吹出口(12)を有する空気通路(13)と、
前記空気通路(13)に配置され、前記空気から水を分離する分離部(21)と、
前記空気通路(13)に配置され、前記分離部(21)を通過した空気を除菌する除菌部(40)と、
給水部(30)とを備え、
前記除菌部(40)は、水が付着することによって除菌機能を発揮する除菌組成物を含み、
前記給水部(30)は、前記分離部(21)から分離された水を前記除菌部(40)に給水し、
前記分離部(21)は、前記除菌組成物を有することを特徴とする除菌装置。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか1つにおいて、
前記除菌組成物は、窒化ケイ素であることを特徴とする除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象空間の空気を除菌する除菌装置がある。例えば、特許文献1に開示の加湿器では、装置内部に供給される水に電圧を印加することにより次亜塩素酸を含む電解水が生成される。この電解水により空気が除菌される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、給水により対象空間の空気を除菌する装置では、装置の外部からの給水が必要である。しかし、このような除菌装置において、装置の外部から給水することなく除菌できる構成について検討はされてこなかった。
【0005】
本開示の目的は、外部から給水することなく対象空間を除菌する除菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、空気を除菌する除菌装置であって、
空気を吸い込む吸込口(11)、および前記空気を吹き出す吹出口(12)を有する空気通路(13)と、
前記空気通路(13)に配置され、前記空気から水を分離する分離部(21)と、
前記空気通路(13)に配置され、前記分離部(21)を通過した空気を除菌する除菌部(40)と、
給水部(30)とを備え、
前記除菌部(40)は、水が付着することによって除菌機能を発揮する除菌組成物を含み、
前記給水部(30)は、前記分離部(21)から分離された水を前記除菌部(40)に給水する。
【0007】
第1の態様では、分離部(21)によって空気から水が分離される。該水は給水部(30)により除菌部(40)に給水される。除菌部(40)は、水が除菌組成物に付着することによって除菌効果を発揮する。このことにより、分離部(21)を通過した空気は、除菌部(40)を通過するときに除菌される。その結果、外部から給水せずに空気を除菌できる。加えて、除菌剤を外部から補給する手間を省くことができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、
前記分離部(21)は、前記空気を露点温度以下にまで冷却可能な冷却部(21)である。
【0009】
第2の態様では、冷却部(21)において空気が露点温度以下まで冷却されることにより、該空気から水を分離できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第2の態様において、
第1熱交換器(21)および第2熱交換器(22)を含み、前記第1熱交換器(21)を蒸発器とし、前記第2熱交換器(22)を放熱器とする冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)をさらに備え、
前記第1熱交換器(21)および前記第2熱交換器(22)は、前記空気通路(13)に配置され、
前記第2熱交換器(22)は、前記第1熱交換器(21)の空気流れの下流側に配置され、
前記第1熱交換器(21)は、前記冷却部(21)である。
【0011】
第3の態様では、第1熱交換器(21)により冷却された空気は、第2熱交換器(22)により加熱される。
【0012】
本開示の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、
前記給水部(30)は、噴霧により前記除菌部(40)に給水する噴霧器(31)を有する。
【0013】
第4の態様では、除菌部(40)は噴霧器(31)に噴霧されることで給水される。
【0014】
本開示の第5の態様は、第4の態様において、
前記噴霧器(31)は、前記除菌部(40)の前記空気通路(13)における空気流れの上流側に配置される。
【0015】
第5の態様では、分離部(21)を通過した空気は、除菌部(40)に達する前に噴霧器(31)を通過する。噴霧器(31)を通過する空気に含まれる塵埃、菌、ウイルスなどの微粒子は噴霧器(31)から噴霧された水分に捕捉される。空気中の微粒子を含んだ水分が除菌部(40)に付着することにより、分離部(21)を通過した空気を除菌できる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第5の態様において、
前記噴霧器(31)は、
前記除菌部(40)に対向するように配置され、
前記空気通路(13)における空気流れの上流側から下流側に向かって噴霧する。
【0017】
第6の態様では、噴霧器(31)は、該噴霧器(31)に対向する除菌部(40)に向かって噴霧する。噴霧器(31)は、空気流れの上流から下流に向かって噴霧するため、噴霧により生じた霧状の水分は、空気流れに乗って除菌部(40)に達することができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、
前記除菌部(40)は、前記除菌組成物からなる多孔質部材を有する。
【0019】
第7の態様では、給水部(30)から供給された水は、多孔質部材の各穴の内部に保持される。このため、水は比較的長く多孔質部材に留まることから、多孔質部材を通過する空気に比較的長く晒される。その結果、除菌部(40)に付着した水は気化しやすくなる。
【0020】
加えて、多孔質部材に付着した水が空気通路(13)の底面に滴り落ちることを抑制できる。そのため、分離部から回収した水を効率よく除菌に使用できると共に、空気通路(13)内に菌が発生することを抑制できる。
【0021】
本開示の第8の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、
前記除菌部(40)は、前記除菌組成物が担持されたフィルタ材料を有する。
【0022】
第8の態様では、給水部(30)から供給された水は、フィルタ材料に保持される。該水は、フィルタ材料に担持された除菌組成物により除菌される。
【0023】
本開示の第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、
前記給水部(30)は、前記除菌組成物を有する。
【0024】
第9の態様では、給水部(30)に接する水が除菌されると共に、給水部(30)に菌が発生することを抑制できる。
【0025】
本開示の第10の態様は、第9の態様において、
前記給水部(30)は、前記分離部(21)によって空気から分離された水を受けるトレー(32)を有し、
前記トレー(32)は、前記除菌組成物を有する。
【0026】
第10の態様では、トレー(32)に回収される水を除菌できる。加えて、トレー(32)の水を受ける面に菌が発生することを抑制できる。
【0027】
本開示の第11の態様は、第9または第10の態様において、
前記給水部(30)は、前記分離部(21)によって空気から分離された水を貯留するタンク(33)を有し、
前記タンク(33)は、前記除菌組成物を有する。
【0028】
第11の態様では、タンク(33)に回収される水を除菌できる。加えて、タンク(33)内に菌が発生することを抑制できる。
【0029】
本開示の第12の態様は、第1~第11の態様のいずれか1つにおいて、
前記分離部(21)は、前記除菌組成物を有する。
【0030】
第12の態様では、分離部(21)で空気から分離され分離部(21)に付着した水を除菌できる。加えて、分離部(21)に菌が発生することを抑制できる。
【0031】
本開示の第13の態様は、第1~第12の態様のいずれか1つにおいて、
前記除菌組成物は、窒化ケイ素である。
【0032】
第13の態様では、水が窒化ケイ素に付着すると、該水に除菌成分が生成される。そのため、また、除菌装置運転中に除菌剤が枯渇することにより空気を除菌できなくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、実施形態に係る除菌装置と対象空間とを模式的に示した図である。
【
図2】
図2は、除菌装置の構成を模式的に示した図である。
【
図3】
図3は、第1熱交換器および第2熱交換器が接続される冷媒回路を示した図である。
【
図4】
図4は、運転中の除菌装置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
図1及び
図4に示される太線の矢印は空気の流れを示す。
【0035】
《実施形態》
〈除菌装置全体の構成〉
図1に示すように、除菌装置(1)は、対象空間(S)の空気を吸込み、吸込んだ空気を再び対象空間(S)に吹き出す。除菌装置(1)は、吸込んだ空気を除菌する。このように、対象空間(S)の空気は除菌される。対象空間(S)は、例えば、製薬工場の製造室や試験室などのクリーン度の高い室内である。
【0036】
図2に示すように、除菌装置(1)は、ケーシング(10)、ファン(50)、第1熱交換器(21)、第2熱交換器(22)、除菌部(40)、および給水部(30)を有する。除菌装置(1)は、冷媒回路(20)を有する。
【0037】
ケーシング(10)は、対象空間(S)の、例えば天井裏に配置される。ケーシング(10)は、横長の筒部材である。ケーシング(10)の一端には吸込口(11)が形成される。ケーシング(10)の他端には吹出口(12)が形成される。ケーシング(10)の内部には、吸込口(11)と吹出口(12)とを連通する空気通路(13)が形成される。空気通路(13)には、その上流側から下流側に向かって順に、第1熱交換器(21)、第2熱交換器(22)、噴霧器(31)、およびファン(50)が配置される。
【0038】
ケーシング(10)には、第1ダクト(61)および第2ダクト(62)が接続される。第1ダクト(61)は、吸込口(11)と対象空間(S)とを連通する。第2ダクト(62)は、吹出口(12)と対象空間(S)とを連通する。対象空間(S)の空気は第1ダクト(61)を介して吸込口(11)に流入する。この空気は、空気通路(13)を通過し、吹出口(12)から第2ダクト(62)を介して対象空間(S)に流出する。
【0039】
ファン(50)は、空気通路(13)の吹出口(12)寄りに配置される。ファン(50)が運転されることにより、空気通路(13)では吸込口(11)から吹出口(12)に向かって空気流れが生じる。
【0040】
第1熱交換器(21)および第2熱交換器(22)は、空気通路(13)内に配置される。第1熱交換器(21)は、吸込口(11)寄りに配置される。第2熱交換器(22)は、第1熱交換器(21)よりも空気流れの下流側に配置される。第1熱交換器(21)および第2熱交換器(22)は、冷媒回路(20)に接続される。
【0041】
第1熱交換器(21)は、分離部(21)に対応する。第1熱交換器(21)は、空気から水を分離する。厳密に、第1熱交換器(21)は、空気を露点温度以下まで冷却可能な冷却部(21)である。より厳密に、第1熱交換器(21)は、蒸発器として機能する。第2熱交換器(22)は、放熱器として機能する。
【0042】
第1熱交換器(21)および第2熱交換器(22)は、フィンアンドチューブ式である。第1熱交換器(21)および第2熱交換器(22)は、それぞれ互いに平行に配置される複数のフィンと、該フィンをその板厚方向に貫通する伝熱管とを有する。各フィンは、縦長の長方形状に形成され、その幅方向が空気流れに沿うように空気通路(13)に配置される。各フィンの間には、空気が通過可能な複数の通風路が形成される。第1熱交換器(21)のフィンには、後述する除菌組成物である窒化ケイ素がコーティングされている。
【0043】
図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(23)、第1熱交換器(21)、第2熱交換器(22)、膨張弁(24)、及びこれらを接続する冷媒配管を含む。冷媒回路(20)は、それに充填される冷媒を有する。冷媒回路(20)は、第1熱交換器(21)を蒸発器とし、第2熱交換器(22)を放熱器とする冷凍サイクルを行う。
【0044】
具体的に、冷媒回路(20)は、吐出管(25)と吸入管(26)とを有する。吐出管(25)の一端は圧縮機(23)の吐出部に接続する。吐出管(25)の他端は、第2熱交換器(22)のガス端に接続する。吸入管(26)の一端は、圧縮機(23)の吸入部に接続する。吸入管(26)の他端は、第1熱交換器(21)のガス端に接続する。膨張弁(24)は、第1熱交換器(21)の液端と第2熱交換器(22)の液端とを接続する冷媒配管(27)の途中に接続される。圧縮機(23)は、低圧の冷媒を吸い込んで圧縮する。圧縮機(23)は、圧縮した冷媒を高圧の冷媒として吐出する。膨張弁(24)は、その開度が調節可能な電子膨張弁である。
【0045】
〈除菌部〉
図2に示すように、除菌部(40)は、空気通路(13)内に配置される。除菌部(40)は、付着した水分を気化する気化器(40)である。気化器(40)は、水分が付着することによって除菌機能を発揮する除菌組成物を含む。除菌組成物は、窒化ケイ素を含む。窒化ケイ素は、水と反応することにより、アンモニアが生成される。このアンモニア水は除菌性を有する。気化器(40)は、窒化ケイ素からなる多孔質部材を有する。
【0046】
具体的に、気化器(40)は、板状に形成される。気化器(40)は、板面である第1面(40a)が空気流れに対して直交、または直交よりやや傾斜するように配置される。言い換えると、気化器(40)の厚さ方向が空気流れの方向に対応する。気化器(40)の周縁部が、空気通路(13)の内周面に亘るように配置される。この構成により、空気通路(13)を流れる空気のほぼ全量は、気化器(40)を通過する。
【0047】
〈給水部〉
給水部(30)は、ドレンパン(32)、タンク(33)、噴霧器(31)、ポンプ(34)、およびこれらを接続する複数の配水管(35,35,…35)を有する。
【0048】
ドレンパン(32)は、トレー(32)に対応する。ドレンパン(32)は、第1熱交換器(21)によって空気から分離された水を受ける。ドレンパン(32)は、ケーシング(10)内に配置される。ドレンパン(32)は、第1熱交換器(21)の下側に配置される。ドレンパン(32)は、第1熱交換器(21)の下面を覆う。ドレンパン(32)は、除菌組成物である窒化ケイ素を有する。具体的に、ドレンパン(32)の水を受ける面には、窒化ケイ素がコーティングされている。
【0049】
タンク(33)は、第1熱交換器(21)によって空気から分離された水を貯留する。厳密に、タンク(33)は、配水管(35)を介してドレンパン(32)と連通する。タンク(33)は、ドレンパン(32)が受けた水を貯留する。タンク(33)は、ケーシング(10)の外部に配置される。タンクは、除菌組成物である窒化ケイ素を有する。具体的に、タンク(33)の内面(水が触れる面)には、除菌組成物である窒化ケイ素がコーティングされている。
【0050】
ポンプ(34)は、タンク(33)と噴霧器(31)とを接続する配水管(35)の途中に接続される。ポンプ(34)は、ケーシング(10)の外部に配置される。ポンプ(34)は、タンク(33)内に貯留される水を噴霧器(31)へ送る。ポンプ(34)は、図示しないコントローラによって制御される。このように、タンク(33)から噴霧器(31)へ送られる水の量が調節される。
【0051】
噴霧器(31)は、ケーシング(10)に配置される。噴霧器(31)は、気化器(40)の空気通路(13)における空気流れの上流側に配置される。噴霧器(31)は、気化器(40)に給水する。厳密には、噴霧器(31)は、気化器(40)に水分を付着させる。噴霧器(31)は、気化器(40)の第1面(40a)に対向するように配置される。噴霧器(31)は、空気通路(13)における空気流れの上流側から下流側に向かって噴霧する。
【0052】
具体的に、噴霧器(31)は複数のノズル(31a,31a,…,31a)を有する。各ノズル(31a)の噴霧孔は、気化器(40)に向かっている。各ノズル(31a)から水が噴霧されることによって、気化器(40)に給水される。例えば、
図2に示すようにケーシング(10)の側方から見て、複数のノズル(31a,31a,…,31a)は、空気通路(13)の上下方向に配列される。複数のノズル(31a,31a,…,31a)は第1面(40a)に沿って配列される。このように、複数のノズル(31a,31a,…,31a)は、気化器(40)の第1面(40a)全面に噴霧するように配置される。
【0053】
-運転動作-
次に除菌装置(1)の運転動作について説明する。
【0054】
図4に示すように、除菌装置(1)が運転すると、ファン(50)が回転し、冷媒回路(20)では冷凍サイクルが開始される。冷凍サイクルが開始されると、圧縮機(23)の回転により冷媒が圧縮される。圧縮された冷媒は吐出管(25)に吐出され、第2熱交換器(22)において凝縮されて空気中に放熱する。第2熱交換器(22)から流出した冷媒は、膨張弁(24)により減圧される。減圧された冷媒は、第1熱交換器(21)において熱交換されることにより蒸発する。
【0055】
ファン(50)の回転により、対象空間(S)の空気は吸込口(11)に流入する。吸込口(11)に流入した空気は、第1熱交換器(21)により冷却される。空気が露点温度以下にまで低下すると、この空気から水が分離されて、第1熱交換器(21)のフィンには水が付着する。このように、第1熱交換器(21)を通過した空気は、冷却され、相対湿度が低下する。
【0056】
第1熱交換器(21)のフィンに付着した水は、フィンにコーティングされた窒化ケイ素により除菌される。この水は、フィンを伝って下方へ流れ、ドレンパン(32)に収集される。水と接するドレンパン(32)の面には、窒化ケイ素がコーティングされているため、ドレンパン(32)に収集された水は除菌される。
【0057】
ドレンパン(32)内の水は、配水管(35)を経由してタンク(33)内に貯留される。タンク(33)内面には、窒化ケイ素がコーティングされているため、タンク(33)内の水も除菌される。
【0058】
タンク(33)内に貯留された水は、ポンプ(34)によって汲み上げられ、噴霧器(31)に送られる。噴霧器(31)は、気化器(40)に向かって水を噴霧する。噴霧器(31)の各ノズル(31a)から噴霧された微細な水は、気化器(40)の第1面(40a)に付着する。複数のノズル(31a,31a,…,31a)により、第1面(40a)の広範囲にわたって水分が付着する。第1面(40a)に付着した水分は気化器(40)の細孔の中に保持される。噴霧器(31)は、連続的にまたは断続的に水を噴霧する。
【0059】
第1熱交換器(21)で冷却された空気は、第2熱交換器(22)を通過する。この空気は第2熱交換器(22)により加熱される。加熱された空気は、噴霧器(31)を通過する。この空気は、噴霧器(31)から噴霧された水分の一部が気化することにより加湿される。加えて、この空気に含まれる塵埃、細菌、ウイルスなどの微粒子は、噴霧器から噴霧された微細な水に捕捉される。
【0060】
微粒子を捕捉した水分は、気化器(40)に付着する。気化器(40)の除菌組成物である窒化ケイ素と水とが反応して、気化器(40)に付着した水分にはアンモニアが生成される。細菌やウイルスを含んだ水分は、アンモニアにより除菌される。気化器(40)を通過する空気は、気化器(40)において気化した水分によってさらに加湿される。このように、第1熱交換器(21)により水と分離された空気は、噴霧器(31)および気化器(40)により加湿される。このことによって、該空気の相対湿度は上昇する。
【0061】
除菌された空気は、吹出口(12)から第2ダクト(62)を流出する。第2ダクト(62)を通過した空気は対象空間(S)へ吹き出される。
【0062】
-実施形態の効果-
除菌装置(1)は、空気から水を分離する第1熱交換器(21)(分離部)と、第1熱交換器(21)を通過した空気を除菌する気化器(40)(除菌部)と、給水部(30)とを備える。気化器(40)は、水分が付着することによって除菌機能を発揮する除菌組成物を含む。給水部(30)は、第1熱交換器(21)から分離された水を気化器(40)に給水する。このため、第1熱交換器(21)で空気から分離した水を気化器(40)に供給するため、外部から給水することなく、空気を除菌できる。
【0063】
除菌装置(1)は、外部からの給水することなく空気を除菌できるため、除菌装置(1)に外部からの給水管を接続する必要がない。給水管が不要になると、除菌装置(1)の設置の自由度が向上する。したがって、除菌装置(1)を天井裏の空間などに配置できる。
【0064】
気化器(40)では、空気から分離した水が除菌組成物に付着することにより、除菌効果が発揮される。そのため、除菌のための電力の供給、及び除菌剤の供給も不要となる。
【0065】
気化器(40)では、除菌装置(1)の停止時において除菌組成物の除菌機能が継続して発揮される。このため、除菌装置(1)の停止時において気化器(40)で菌が繁殖することを抑制できる。
【0066】
第1熱交換器(21)(分離部)は、空気を露点温度以下にまで冷却可能な冷却部(21)である。このため、第1熱交換器(21)を通過する空気は、露点温度以下にまで冷却されることにより、空気から水を分離できる。
【0067】
第1熱交換器(21)および第2熱交換器(22)を含み、第1熱交換器(21)を蒸発器とし、第2熱交換器(22)を放熱器とする冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)をさらに備える。第1熱交換器(21)および第2熱交換器(22)は、空気通路(13)に配置される。第2熱交換器(22)は、第1熱交換器(21)の空気流れの下流側に配置される。第1熱交換器(21)は、冷却部(21)である。第1熱交換器(21)で冷却された空気は、第2熱交換器(22)で加熱される。このことにより、吸込口(11)の空気の温度と、吹出口(12)の空気の温度との差を抑えることができる。その結果、除菌装置(1)が運転することに起因する対象空間(S)の空気の温度変化を抑えることができる。
【0068】
給水部(30)は、噴霧により除菌部(40)に給水する噴霧器(31)を有する。噴霧器(31)から噴霧された水分は、霧状となって気化器(40)に付着する。そのため、気化器(40)における水の残留時間が短くなる。したがって、気化器(40)に水分が残存することに起因して菌が発生することを抑制できる。
【0069】
噴霧器(31)は、気化器(40)(除菌部)の空気通路(13)における空気流れの上流側に配置される。噴霧器(31)から噴霧された水は、噴霧器(31)を通過した空気中に含まれる塵埃、菌、ウイルスなどを捕捉して、気化器(40)に付着する。気化器(40)では、除菌組成物が水と反応して除菌機能が発揮されるため、気化器(40)に付着した水分を除菌できる。
【0070】
加えて、噴霧器(31)は、複数のノズル(31a,31a,…,31a)を有するため、比較的広範囲に噴霧できる。そのため、空気通路(13)を通過する空気に含まれる菌やウイルスの捕捉効果を高めることができる。その結果、対象空間(S)の空気の除菌効果を向上できる。
【0071】
加えて、空気通路(13)内に噴霧された水分の一部は気化するため、噴霧器(31)を通過する空気の相対湿度が上昇する。第1熱交換器(21)において相対湿度が低下しても、その後相対湿度が上昇するため、吸込口(11)の空気の湿度と、吹出口(12)の空気の湿度との差を抑えることができる。その結果、除菌装置(1)が運転することに起因する対象空間(S)の空気の湿度変化を抑えることができる。
【0072】
噴霧器(31)は、除菌部(40)に対向するように配置される。噴霧器(31)は、空気通路(13)における空気流れの上流側から下流側に向かって噴霧する。このことにより、噴霧器(31)から噴霧された水は、空気流れの上流から下流に向かって流れるため、この空気流れに乗って、確実に気化器(40)に達することができる。水分が付着した気化器(40)は除菌機能を発揮するため、気化器(40)を通過する空気を確実に除菌できる。
【0073】
加えて、噴霧器(31)は複数のノズル(31a,31a,…,31a)を有するため、空気通路(13)を通過する空気全体に細霧を万遍なく行き渡らせることができる。このことにより、空気通路(13)内の空気中の菌やウイルスの捕捉効果をより高めることができると共に、対象空間(S)の空気の除菌効果を向上できる。
【0074】
気化器(40)(除菌部)は、除菌組成物からなる多孔質部材を有する。そのため、噴霧器(31)から噴霧された水分は、気化器(40)の多孔質部材の各穴の中で保持される。水分は比較的長く多孔質部材に留まることから、多孔質部材を通過する空気に比較的長く晒される。その結果、除菌部(40)に付着した水分は気化しやすくなる。
【0075】
加えて、多孔質部材に付着した水分が空気通路(13)の底面に滴り落ちることを抑制できる。そのため、第1熱交換器(21)で分離した水を効率よく除菌に使用できると共に、空気通路(13)内に菌が発生することを抑制できる。
【0076】
給水部(30)は、除菌組成物を有する。具体的に、給水部(30)における水と接する面には、除菌組成物がコーティングされる。このことにより、給水部(30)に接する水が除菌されると共に、給水部(30)に菌が発生することを抑制できる。さらに、除菌装置(1)の運転停止後に、給水部(30)に水が付着したままであっても、菌の発生を抑えることができる。
【0077】
給水部(30)は、第1熱交換器(21)(分離部)によって空気から分離された水を受けるドレンパン(32)(トレー)を有し、ドレンパン(32)は、除菌組成物を有する。このため、ドレンパン(32)に回収される水を除菌できる。加えて、ドレンパン(32)の水を受ける面に菌が発生することを抑制できる。
【0078】
給水部(30)は、第1熱交換器(21)(分離部)によって空気から分離された水を貯留するタンク(33)を有し、タンク(33)は、除菌組成物を有する。このため、タンク(33)に回収される水を除菌できる。加えて、タンク(33)の内面に菌が発生することを抑制できる。
【0079】
第1熱交換器(21)(分離部)は、除菌組成物を有する。具体的に、第1熱交換器(21)のフィンの両面に除菌組成物がコーティングされる。第1熱交換器(21)において空気が冷却されると、フィンの除菌組成物上に水が付着する。このため、第1熱交換器(21)に付着した水を除菌できる。加えて、第1熱交換器(21)のフィンに菌が繁殖することを抑制できる。
【0080】
加えて、第1熱交換器(21)、ドレンパン(32)、およびタンク(33)に除菌組成物を有することによって、第1熱交換器(21)で発生した水を、第1熱交換器(21)、ドレンパン(32)、およびタンク(33)の3段階で除菌できる。
【0081】
除菌組成物は、窒化ケイ素である。このため、窒化ケイ素に付着した水中に除菌成分であるアンモニアが発生する。また、除菌装置運転中に除菌剤が枯渇することにより対象空間(S)の空気を除菌できなくなることを抑制できる。
【0082】
《変形例1》
実施形態の除菌装置(1)の変形例1について説明する。変形例1に係る除菌装置(1)は、上記実施形態の除菌装置(1)と除菌部(40)において異なる。
【0083】
具体的に、変形例1の除菌装置(1)の除菌部(40)は、フィルタ材料を有する。フィルタ材料には、除菌組成物である窒化ケイ素が担持されている。フィルタ材料は、噴霧器(31)から噴霧されることにより給水される。フィルタ材料に付着した水分は、フィルタ材料に担持された窒化ケイ素と反応する。このことにより、フィルタに付着した水分が除菌される。フィルタ材料は、空気を通過させることができ、かつ、噴霧器(31)からの水分を保持できる素材であればよい。フィルタ材料は、例えば不織布であってもよい。
【0084】
《その他の実施形態》
上述した実施形態、および変形例においては、以下のような構成としてもよい。
【0085】
除菌装置(1)は、室外の空気を除菌し対象空間(S)に供給してもよい。厳密に、除菌装置(1)の吸込口(11)は室外に連通する。室外の空気は、除菌処理装置(1)の吸込口(11)に流入し、除菌された後、吹出口(12)から対象空間(S)に吹き出される。
【0086】
上記除菌装置(1)と、空気を調和する空気調和装置とで同一の対象空間(S)の空気を処理する空調システムを構成してもよい。この構成では、除菌装置(1)は、主として空気を除菌する機能を果たす。空気調和装置は、空気の温度及び湿度の少なくとも一方を調節する機能を果たす。
【0087】
除菌装置(1)は、上述のように、吸込空気の温度及び湿度と、吹出空気の温度及び湿度が大きく変わらない。このため、除菌装置(1)の運転に伴い空気調和装置の顕熱及び潜熱の負荷が変化してしまうことを抑制できる。
【0088】
除菌装置(1)は、空気通路(13)に流入する空気の温度および湿度の少なくとも一方を調節してよい。具体的に、除菌装置(1)の第1熱交換器(21)の蒸発温度、第2熱交換器(22)の凝縮温度などを制御することによって、空気通路(13)内の空気の温度を調節する。また、除菌装置(1)の第1熱交換器(21)の蒸発温度、噴霧器(31)からの水の噴霧量を制御することによって、空気通路(13)内の空気の湿度を調節する。この構成により、除菌装置(1)は、対象空間(S)の空気の温度および湿度の少なくとも一方を調節すると共に、対象空間(S)の空気を除菌できる。
【0089】
空気通路(13)には、フィルタが配置されていてもよい。フィルタは、例えば、第1熱交換器(21)の上流側に配置される。好ましくは、フィルタは吸込口(11)付近に配置される。この場合、ペットの毛やほこりなど比較的大きなものを捕捉するフィルタが配置されてもよいし、花粉やダニなどの比較的小さなものを捕捉するフィルタが配置されてもよいし、その両フィルタが配置されてもよい。花粉やダニなどの比較的小さなものを捕捉するフィルタは、例えばHEPAフィルタである。また、フィルタは、例えば、気化器(40)の下流側に配置される。好ましくは、フィルタは、気化器(40)とファン(50)との間に配置される。この場合に配置されるフィルタは、気化器(40)を通過した後に空気中に残った強い汚れやにおいを除去するフィルタである。このフィルタは、例えば吸着フィルタやケミカルフィルタなどである。
【0090】
冷却部(21)は、空気を露点温度以下まで冷却する機能を有していればよく、例えばペルチェ素子で構成されていてもよい。
【0091】
除菌装置(1)は、電気ヒータを有していてもよい。電気ヒータにより、空気を加熱してもよい。
【0092】
噴霧器(31)は、空気通路(13)の上部に配置され、ノズル(31a)は下方に向かって噴霧してもよい。また、複数のノズル(31a)は、空気通路(13)の内周面の周方向に配置されてもよい。
【0093】
給水部(30)は、噴霧器(31)の代わりに滴下式の給水器を有してもよい。給水器は、気化器(40)の上部に配置される。給水器は、滴下により気化器(40)に給水する。給水された気化器(40)は、除菌機能を発揮する。具体的に、気化器(40)に空気が通過する際に、該空気に含まれる細菌等が気化器(40)に付着した水に捕捉され、除菌される。また、気化器(40)において水が気化することにより気化器(40)を通過する空気は加湿される。
【0094】
噴霧器(31)は、除菌部(40)の空気流れの下流側に配置されていてもよい。このとき、ノズル(31a)は、気化器(40)の第1面(40a)の反対面に対して噴霧する。
【0095】
除菌装置(1)のタンク(33)には水位制御装置を有していてもよい。水位制御装置は、タンク(33)内の貯水量を一定に維持する。例えば、水位制御装置は、タンク(33)内の貯水量が一定値より低いことを検知すると、冷媒回路(20)が制御されて第1熱交換器(21)の蒸発温度が低下する。蒸発温度が低下すると、第1熱交換器(21)に付着する水の量が増大するため、タンク(33)の貯水量が増大する。一方、水位制御装置は、タンク(33)内の貯水量が一定値より高いことを検知すると、冷媒回路(20)が制御されて第1熱交換器(21)の蒸発温度が上昇する。蒸発温度が上昇すると、第1熱交換器(21)に付着する水の発生が抑えられる。このことにより、タンク(33)の貯水量が減少する。このように、タンク(33)内の貯水量を一定に維持することで、必要なときに噴霧器(31)に給水でき空気を除菌できる。
【0096】
除菌組成物は、水分が付着することによって除菌機能を発揮する組成物であればよく、例えば銀であってもよい。
【0097】
対象空間(S)は、製薬工場、印刷工場、大型ショッピングセンター、病院、その他の公共施設(駅、港、学校)などの室内であってもよい。また、対象空間(S)は、冷凍倉庫などの庫内でもよいし、電車や自動車などの車内および船の船内などであってもよい。
【0098】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上説明したように、本開示は、除菌装置について有用である。
【符号の説明】
【0100】
1 除湿装置
11 吸込口
12 吹出口
13 空気通路
20 冷媒回路
21 分離部
21 冷却部
21 第1熱交換器
22 第2熱交換器
30 給水部
31 噴霧器
32 トレー
33 タンク
40 除菌部