(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20240809BHJP
B65D 51/22 20060101ALI20240809BHJP
B65D 43/08 20060101ALI20240809BHJP
B65D 47/36 20060101ALI20240809BHJP
B65D 41/46 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B65D47/08 110
B65D51/22 110
B65D43/08 210
B65D47/36 310
B65D41/46
(21)【出願番号】P 2020113371
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-01-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】早川 茂
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-002225(JP,A)
【文献】特開2010-285202(JP,A)
【文献】特開2017-007729(JP,A)
【文献】特開2020-070063(JP,A)
【文献】特開2013-107673(JP,A)
【文献】特開2004-352305(JP,A)
【文献】米国特許第06484909(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
B65D 51/22
B65D 43/08
B65D 47/36
B65D 41/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、
前記キャップ本体にヒンジ回りに回動可能に連結され、前記注出口を開閉可能に覆う有頂筒状の蓋体と、
前記注出口の開口縁部に破断可能な弱化部を介して連結されて当該注出口を閉塞する閉塞体と、
前記蓋体に設けられ、前記蓋体と前記閉塞体とを一体に連結する抜栓体と、を備え、
前記閉塞体に、開蓋状態における前記蓋体の把持時の滑りを抑制する第1滑り止め部が設けられ、
前記蓋体を一旦開封した後は、前記閉塞体は、前記蓋体に装着されて、前記蓋体の下端開口側を覆う状態とな
り、前記蓋体の下端開口部に位置している、ヒンジキャップ。
【請求項2】
前記第1滑り止め部は、前記閉塞体の下面に形成された凹凸部を有する、請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
前記第1滑り止め部は、前記閉塞体の一部を折曲可能とする折曲部を有する、請求項1または請求項2に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
前記蓋体の外面に、前記蓋体の把持時の滑りを抑制する第2滑り止め部が設けられた、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
前記キャップ本体は、前記口部に嵌合する装着筒部と、前記装着筒部の外周から一定の間隙を隔てて連設された外周筒部と、を有し、
前記外周筒部は、上下方向に延びる分離部を境として、一端側に形成された分離端部と、他端側に前記装着筒部が連結された連結部と、を有し、
前記装着筒部と前記外周筒部との間に、前記分離端部から少なくとも前記ヒンジの範囲にわたって形成される横リブと、前記横リブの終端部から周方向に破断可能に形成される弱化片と、を有する、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
蓋体を開いた後にプルリングを引き上げる操作を行うことなく、蓋体を開く操作のみによって開封可能なヒンジキャップが、従来から知られている。例えば下記の特許文献1には、キャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連結された蓋体と、キャップ本体の頂板部に設けられた注出筒と、注出口の周縁の薄肉部を介して連結され、注出口を閉塞するシール板と、蓋体の天板部に設けられた薄肉部引き裂き用の引き裂き具と、を備えるヒンジキャップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のヒンジキャップが装着された容器を廃棄する際に、容器本体とヒンジキャップとを分別する場合がある。この場合、使用者は、例えば開蓋状態において蓋体を把持し、蓋体を回転させる、蓋体を引き上げる等の操作を行うことによって、ヒンジキャップを容器本体から取り外している。ところが、特許文献1のヒンジキャップの場合、注出口を閉塞していたシール板が開封後には蓋体側に移行して、蓋体の下端開口を覆う状態となる。そのため、蓋体を把持しようとした際に指を引っ掛けにくく、指が滑りやすいという問題があった。したがって、注出口の閉塞部材が蓋体に移行した状態であっても、蓋体を把持しやすい構成を有するヒンジキャップの提供が望まれている。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであり、蓋体の回動操作に伴って開封可能なヒンジキャップにおいて、開蓋状態で蓋体を把持しやすくすることで分別時の操作性を向上することができるヒンジキャップを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様のヒンジキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジ回りに回動可能に連結され、前記注出口を開閉可能に覆う有頂筒状の蓋体と、前記注出口の開口縁部に破断可能な弱化部を介して連結されて当該注出口を閉塞する閉塞体と、前記蓋体に設けられ、前記蓋体と前記閉塞体とを一体に連結する抜栓体と、を備え、前記閉塞体に、開蓋状態における前記蓋体の把持時の滑りを抑制する第1滑り止め部が設けられ、前記蓋体を一旦開封した後は、前記閉塞体は、前記蓋体に装着されて、前記蓋体の下端開口側を覆う状態となり、前記蓋体の下端開口部に位置している。
【0007】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいては、開封操作、すなわちキャップ本体に対して蓋体を回動させる操作に伴って、抜栓体を介して蓋体に連結された閉塞体が上方に引き上げられる際に弱化部が破断され、閉塞体が蓋体に移行するとともに注出口が開放される。したがって、蓋体を一旦開封した後は、閉塞体は、蓋体に装着されて、蓋体の下端開口側を覆う状態となる。ここで、閉塞体は、開蓋状態における蓋体の把持時の滑りを抑制する第1滑り止め部を有しているため、蓋体を把持する際の指の滑りが抑制される。これにより、蓋体を把持しやすくなり、ヒンジキャップの分別時の操作性を向上することができる。
【0008】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいて、前記第1滑り止め部は、前記閉塞体の下面に形成された凹凸部を有していてもよい。
【0009】
この構成によれば、蓋体の下端開口側に露出する閉塞体の下面に凹凸部が形成されているため、指が凹凸部に引っ掛かることで蓋体の把持時の滑りを抑制することができる。
【0010】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいて、前記第1滑り止め部は、前記閉塞体の一部を折曲可能とする折曲部を有していてもよい。
【0011】
この構成によれば、蓋体の下端開口側に装着される閉塞体の一部を折曲部の個所で折り曲げることができるため、閉塞体の折り曲げ個所に指を引っ掛けることで蓋体の把持時の滑りを抑制することができる。
【0012】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいて、前記蓋体の外面に、前記蓋体の把持時の滑りを抑制する第2滑り止め部が設けられていてもよい。
【0013】
この構成によれば、蓋体を把持する際に指または手が接触する蓋体の外面に第2滑り止め部が設けられているため、第1滑り止め部の効果に加えて、蓋体の把持時の滑りをより確実に抑制することができる。
【0014】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいて、前記キャップ本体は、前記口部に嵌合する装着筒部と、前記装着筒部の外周から一定の間隙を隔てて連設された外周筒部と、を有し、前記外周筒部は、上下方向に延びる分離部を境として、一端側に形成された分離端部と、他端側に前記装着筒部が連結された連結部と、を有し、前記装着筒部と前記外周筒部との間に、前記分離端部から少なくとも前記ヒンジ部の範囲にわたって形成される横リブと、前記横リブの終端部から周方向に破断可能に形成される弱化片と、を有していてもよい。
【0015】
この構成によれば、分離端部から連結部に向かって横リブおよび弱化片を周方向に破断することができるため、蓋体を周方向に回転させる操作を行うことによって、ヒンジキャップを容器本体から容易に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一つの態様によれば、蓋体の回動操作に伴って開封可能なヒンジキャップにおいて、開蓋状態において蓋体を把持しやすく、分別時の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態のヒンジキャップを示す図であって、閉蓋状態におけるヒンジキャップの縦断面図である。
【
図2】同、閉蓋状態におけるヒンジキャップの側面図である。
【
図3】同、開蓋状態におけるヒンジキャップの平面図である。
【
図4】同、開蓋状態におけるヒンジキャップの縦断面図である。
【
図5】第2実施形態のヒンジキャップを示す図であって、閉蓋状態におけるヒンジキャップの縦断面図である。
【
図6】開蓋状態におけるヒンジキャップの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態のヒンジキャップについて、
図1~
図4に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のヒンジキャップ1は、有頂円筒状をなしており、例えば液状の内容物を収容する有底円筒状の容器本体2の口部3に装着されている。なお、図示の例では、容器本体2の口部3およびヒンジキャップ1は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸をキャップ軸Oとし、キャップ軸Oに沿ってヒンジキャップ1側を上側、容器本体2側を下側とし、キャップ軸O方向から見て、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向、キャップ軸Oに交差する方向を径方向と称する。また、径方向のうち、後述するヒンジ12側を後側と称し、その反対側を前側と称し、径方向のうち前後方向に交差する方向を左右方向と称する。
【0019】
ヒンジキャップ1は、容器本体2の口部3に装着され、内容物を注出する注出口11Aが形成された有頂円筒状のキャップ本体11と、キャップ本体11にヒンジ12回りに回動可能に連結され、注出口11Aを開閉自在に覆う有頂円筒状の蓋体13と、注出口11Aの開口縁部に弱化部14を介して連結されて注出口11Aを閉塞する閉塞体15と、蓋体13に装着された抜栓体16と、を備えている。キャップ本体11および蓋体13は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。
【0020】
キャップ本体11は、
図1および
図3に示すように、前後方向に長い長円状の注出口11Aが形成された平面視で円状の天板部21と、天板部21の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の装着筒部22と、装着筒部22の外周を囲む外周筒部26と、装着筒部22と連設され、天板部21から上方に向けて延在する円筒状の取付筒部23と、取付筒部23よりも径方向内側において天板部21から下方に向けて延在する円筒状の嵌合筒部24と、嵌合筒部24と連設され、天板部21から上方に向けて延在する円筒状の注出筒部25と、を有する。
【0021】
天板部21、装着筒部22、外周筒部26、取付筒部23、嵌合筒部24、および注出筒部25は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。また、キャップ本体11、蓋体13および閉塞体15は、例えばLLDPEやLDPEのような低密度ポリエチレンで一体に形成されている。なお、キャップ本体11、蓋体13および閉塞体15は、他の樹脂材料などから形成されていてもよい。
【0022】
天板部21に形成されている注出口11Aは、
図3に示すように、前方に向けて凸となる卵形状をなす前方部11Bと、前方部11Bの後端部から後方に向けて延在する尾部11Cと、を有する。尾部11Cの左右方向の幅は、前方部11Bの左右方向の幅よりも狭くなっている。
【0023】
図1に示すように、装着筒部22は、口部3の径方向外側に配設されている。装着筒部22の下端部の内周面には、口部3の外周面に形成されて径方向外側に向けて突出する第1装着突部3Aに対して下方から係止し、径方向内側に向けて突出する第2装着突部22Aが形成されている。
【0024】
外周筒部26は、装着筒部22の外周から一定の間隙を隔てて連設されている。
図2および
図3に示すように、外周筒部26の外周上端に形成されたヒンジ12の左右いずれかの近傍には、外周筒部26の外周面から平面視で略V字状に切り込まれ、上下方向に延在する分離部18が設けられている。外周筒部26は、分離部18を境として、ヒンジ12側である一端側に分離端部18Aが上下方向に延在する端面として形成され、分離端部18Aには、内周側に突出片20が装着筒部22の外周面に当接または近接するように形成されている。また、外周筒部26は、分離部18を境として、ヒンジ12と反対側である他端側18Bに、装着筒部22と一体に連結される終端連結部27が設けられている。
【0025】
装着筒部22の外周と外周筒部26の内周との間には、分離端部18Aの近傍を始点とし、少なくともヒンジ12に対向する範囲、本実施形態では、キャップ軸Oを中心とした約70°の範囲にわたって横リブ17が形成されている。また、横リブ17の終端部から周方向に間隔をおいて破断可能な複数の弱化片19が形成されている。これら横リブ17と複数の弱化片19とにより、分別時にキャップ本体11を引き裂く際に用いられる周方向引き裂きラインが構成されている。
【0026】
なお、横リブ17は、少なくともヒンジ12の形成領域に形成される必要があるが、周方向にさらに延長して設けられていてもよい。本実施形態では、横リブ17は、水平に連続して形成されているが、間隔をおいて複数形成されていてもよく、水平に限らず斜めに傾斜して形成されていてもよい。また、本実施形態では、弱化片19は、周方向に間隔をおいて複数形成されているが、周方向に連続して形成されていてもよい。さらに、横リブ17と弱化片19とは、連続して形成されていてもよい。
【0027】
また、
図1に示すように、弱化片19は、装着筒部22の下端に形成されているが、下端以外の位置に形成されていてもよい。横リブ17は、装着筒部22の外周面と外周筒部26の内周面との間における上下方向の中間部に形成されることが好ましいが、中間部以外の位置に形成されていてもよい。また、ヒンジ12の形成領域における装着筒部22と外周筒部26との間の略中央に横リブ17を設けた場合、ヒンジキャップ1の分別時に横リブ17を破断しやすいとともに、ヒンジ12の開閉方向の強度を維持することができる。さらに、ヒンジキャップ1の成形時に装着筒部22から外周筒部26およびヒンジ12を経て蓋体13への樹脂の流れが良好になり、ヒンジキャップ1の成形性を向上させることができる。
【0028】
取付筒部23の上端部の外周面には、径方向外側に向けて突出する第1取付突部23Aが形成されている。
【0029】
嵌合筒部24は、装着筒部22とともに口部3の上端部を径方向で挟み込む。なお、嵌合筒部24の下端は、装着筒部22の下端よりも上方に位置している。
【0030】
注出筒部25は、上方に向かうに従って径方向外側に向かうように傾斜している。注出筒部25の前端部は、注出筒部25の後端部よりも上方に位置している。そのため、注出筒部25の上端縁は、前側から後側に向かうに従って漸次下側に向かうように傾斜している。なお、注出筒部25の後端の上端縁は、取付筒部23の上端縁よりも上方に位置している。
【0031】
蓋体13は、平面視で円状の頂壁部31と、頂壁部31の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の周筒部32と、周筒部32よりも径方向内側において頂壁部31から下方に向けて延在する円筒状の内筒部33と、を有する。頂壁部31、周筒部32、および内筒部33は、キャップ軸Oと同軸に形成されている。
【0032】
頂壁部31のうち、キャップ軸Oよりも前側の部分には、頂壁部31を上下方向に貫通する平面視で円状の挿入孔31Aが形成されている。挿入孔31Aには、後述する抜栓体16が挿入される。以下、挿入孔31Aの中心軸を抜栓軸O’と称し、抜栓軸O’回りに周回する方向を抜栓周方向と称し、抜栓軸O’に交差する方向を抜栓径方向と称する。
【0033】
頂壁部31は、挿入孔31Aの開口縁部から下方に向けて延在する円筒状の上筒部34と、上筒部34の下端部から抜栓径方向内側に向けて突出する平面視で円環状の支持部35と、支持部35の内周縁から下方に向けて延在する円筒状の囲繞筒部36と、を有する。上筒部34、支持部35、および囲繞筒部36は、抜栓軸O’と同軸に形成されている。上筒部34の前端部は、周筒部32の前端部に連なっている。囲繞筒部36は、後述する外筒部53を外側から囲んでおり、平面視で前方に向けて開口したC字状をなしている。これにより、囲繞筒部36が内筒部33の前端部と干渉することが回避される。
【0034】
周筒部32の下端部の内周面には、径方向外側に向けて突出し、取付筒部23の第1取付突部23Aに対して下方から係止する第2取付突部32Aが形成されている。また、周筒部32の下端部のうち、前端部には、前方に向けて突出するツマミ部32Bが形成されている。周筒部32の後端部の下端部は、ヒンジ12を介して外周筒部26の上端に連結されている。これにより、周筒部32の前端部が他の部分と比較して径方向に弾性変形しやすくなり、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる際に、周筒部32の前端部において第2取付突部32Aと第1取付突部23Aとの係止状態を解除させやすくしている。
【0035】
内筒部33は、注出筒部25よりも径方向内側に配設されており、内筒部33の下端部は、注出筒部25の内周面に当接している。また、内筒部33の前端部は、注出筒部25の後端部よりも上方に位置している。そのため、内筒部33の下端縁は、前側から後側に向かうに従って漸次下側に向かうように傾斜している。なお、内筒部33のうち、前端部は、支持部35の前端部に連なっている。
【0036】
閉塞体15は、注出口11Aと同様に平面視で前後方向に長い長円状をなす閉塞板部41と、閉塞板部41の前端部から上方に向けて突出する円筒状の支柱部42と、を有する。支柱部42は、抜栓軸O’と同軸に形成されている。
【0037】
閉塞体15には、開蓋状態において蓋体13を把持する際の滑りを抑制する第1滑り止め部45が設けられている。本実施形態の場合、第1滑り止め部45は、
図1および
図3に示すように、閉塞板部41の下面に、左右方向に延在し、前後方向に間隔をおいて形成された複数の凸条46(凹凸部)から構成されている。なお、凸条46は、前後方向に延在させてもよいし、左右方向および前後方向から傾いた斜め方向に延在させてもよいし、格子状に形成してもよい。本実施形態の場合、第1滑り止め部45として、7本の凸条46が設けられているが、凸条46の本数は特に限定されない。また、凸条46の幅や長さは、特に限定されず、途切れた状態で複数に分割されていてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、第1滑り止め部45は、複数の凸条46から構成されているが、必ずしも一方向に延在する凸条46で構成されていなくてもよく、閉塞板部41の下面に形成された単数または複数の突起であってもよい。また、第1滑り止め部45は、閉塞板部41の下面に形成された単数または複数の溝部であってもよいし、単数または複数の凹部であってもよい。いずれの構成であっても、使用者の指等が閉塞板部41の下面に触れた際の滑りを抑制できるものであればよい。
【0039】
また、蓋体13には、開蓋状態において蓋体13を把持する際の滑りを抑制する第2滑り止め部47が設けられている。本実施形態の場合、第2滑り止め部47は、
図2に示すように、周筒部32の外周面に、上下方向に延在し、周方向に間隔をおいて形成された複数の凸条48から構成されている。本実施形態では、第2滑り止め部47として、7本の凸条48が設けられているが、凸条の本数は特に限定されない。また、凸条48の幅や長さは、特に限定されず、上下方向で途切れた状態で複数に分割されていてもよい。
図3に示すように、7本の凸条48からなる第2滑り止め部47は、キャップ軸Oを挟んで左右対称位置に2組設けられている。
【0040】
なお、本実施形態では、第2滑り止め部47は、複数の凸条48から構成されているが、必ずしも一方向に延在する凸条48で構成されていなくてもよく、蓋体13の外面に形成された単数または複数の凸部であってもよい。また、第2滑り止め部47は、蓋体13に形成された単数または複数の溝部であってもよいし、単数または複数の凹部であってもよい。また、第2滑り止め部47は、周筒部32の外周面に限らず、例えば頂壁部の上面に設けられていてもよい。
【0041】
閉塞板部41の周縁部下面には、下方に向けて突出する環状のシール片44が形成されている。シール片44は、閉塞板部41の全周にわたって形成されているとともに、下方に向かうに従って径方向の外側に向けて延びるように形成されている。すなわち、シール片44は、径方向の外側に向けて斜め下向きに突出するように形成されている。シール片44は、開封後、蓋体13をヒンジ12回りに閉操作した際に、注出口11Aの開口縁部に対して上方から接触するとともに、上端部を基点として上下反転するように弾性変形することで注出口11Aの開口縁部をシールすることが可能とされている。
【0042】
閉塞板部41のうち、支柱部42が形成されている部分には、閉塞板部41を上下方向に貫通して支柱部42の頂部に向けて窪む凹部41Aが形成されている。支柱部42の上端部には、上方に向けて延在する円筒状の外筒部53と、外筒部53の内側において上方に向けて延在する円柱状の軸部54と、が形成されている。外筒部53および軸部54は、抜栓軸O’と同軸に形成されている。
【0043】
外筒部53の内周面には、抜栓径方向外側に向けて凹む閉塞体係止凹部53Aが上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。閉塞体係止凹部53Aは、上端縁から下方に向かうに従って漸次抜栓径方向外側に向かうように傾斜する第1傾斜面と、第1傾斜面の下端に連なり、下方に向かうに従って漸次抜栓径方向内側に向かうように傾斜する第2傾斜面と、を有する。ここで、抜栓軸O’と第1傾斜面とのなす角度は、抜栓軸O’と第2傾斜面とのなす角度よりも大きい。外筒部53の上端縁は、支持部35の上面と略同一面となっている。外筒部53のうち、前端部を除く部分は、囲繞筒部36によって抜栓径方向外側から囲まれている。
【0044】
軸部54の上端部は、軸部54の下端部よりも小径に形成されている。また、軸部54の上端は、外筒部53の上側の閉塞体係止凹部53Aよりも上方、かつ、外筒部53の上端よりも下方に位置している。
【0045】
抜栓体16は、平面視で円状のヘッド部51と、ヘッド部51の中央部から下方に向けて延在する円筒状の脚筒部52と、を有する。ヘッド部51および脚筒部52は、抜栓軸O’と同軸に形成されている。抜栓体16は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)など、キャップ本体11、蓋体13および閉塞体15よりも硬質の材料で形成されていてもよいが、抜栓体16の構成材料は、特に限定されず、他の樹脂材料であってもよい。
【0046】
ヘッド部51は、支持部35の上方に支持部35から離間して配置されており、ヘッド部51の上面は、頂壁部31の上面と略同一面に位置している。すなわち、ヘッド部51の下面と支持部35の上面とは接触しておらず、ヘッド部51と支持部35との間には、間隙が設けられている。
【0047】
脚筒部52は、閉塞体15の外筒部53と軸部54との間に嵌装されており、外筒部53と軸部54とによって抜栓径方向で挟み込まれている。脚筒部52の外周面には、抜栓径方向外側に向けて突出し、閉塞体係止凹部53Aと個別に係止される閉塞体係止突部52Aが上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。閉塞体係止突部52Aは、閉塞体係止凹部53Aに対して下方から係止する。
【0048】
閉塞体係止突部52Aは、閉塞体係止凹部53Aと同様に、上端縁から下方に向かうに従って漸次抜栓径方向外側に向かうように傾斜する第1傾斜面と、第1傾斜面の下端に連なり、下方に向かうに従って漸次抜栓径方向内側に向かうように傾斜する第2傾斜面と、を有する。ここで、抜栓軸O’と第1傾斜面とのなす角度は、抜栓軸O’と第2傾斜面とのなす角度よりも大きい。また、脚筒部52の上端部の内径は、脚筒部52の下端部の内径よりも小径とされている。
【0049】
また、抜栓体16の脚筒部52と、閉塞体15の外筒部53および軸部54と、の間の抜け強度は、弱化部14の破断強度よりも大きい。これにより、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させたときに、弱化部14が破断する前に抜栓体16の脚筒部52が閉塞体15の外筒部53と軸部54との間から抜け出てしまうことが抑制される。
【0050】
抜栓体16は、蓋体13をキャップ本体11に装着させた状態で挿入孔31Aに挿入されて打栓機(図示略)などを用いて脚筒部52を外筒部53と軸部54との間に打ち込むことにより、蓋体13に装着される。また、ヒンジキャップ1は、打栓機(図示略)などを用いて容器本体2の口部3に装着される。
【0051】
以下、上記構成のヒンジキャップ1の使用方法および作用について説明する。
製品輸送時や製品流通時等の未開封時においては、
図1に示すように、注出口11Aの開口縁部に弱化部14を介して連結された閉塞体15が注出口11Aを閉塞した状態となっている。これにより、容器本体2の内部と外部との間を高い密閉性で密封することができ、外部への内容物の漏出を適切に防止することができるとともに、外部から容器本体2内に外気、水分等が侵入することを抑制することができる。
【0052】
容器を開封する際には、まず、蓋体13のツマミ部32Bを引き上げ、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる。このとき、抜栓体16のヘッド部51と蓋体13の支持部35との間には隙間が設けられているため、ヘッド部51と支持部35とが当接するまでの間は、抜栓体16が移動することなく、蓋体13のみが上方に向けて移動する。このとき、蓋体13の頂壁部31の上面は、ヘッド部51の上面よりも上昇した位置に移動する。すなわち、抜栓体16は、蓋体13に対しては下方に移動した状態となる。
【0053】
その後、ヘッド部51と支持部35とが当接する位置まで蓋体13が上方移動した時点から、蓋体13に対する抜栓体16の下方への移動が支持部35によって規制される。これにより、抜栓体16は、蓋体13に伴ってキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動する。また、閉塞体15の外筒部53の閉塞体係止凹部53Aに対して抜栓体16の脚筒部52の閉塞体係止突部52Aが下方から係止しているため、抜栓体16のヒンジ12回りの回動に伴って、閉塞体15にも上方に向かう力が作用する。
【0054】
この上方に向かう力によって弱化部14が破断され、閉塞体15がキャップ本体11の嵌合筒部24から分離し、注出口11Aが開放される。このとき、弱化部14は、前端部から後端部に向けて順に破断される。ここで、閉塞体15とキャップ本体11の嵌合筒部24とを連結する弱化部14の破断強度が、抜栓体16の脚筒部52と閉塞体15の外筒部53および軸部54との間の抜け強度よりも小さいため、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させた際に、弱化部14が破断する前に抜栓体16の脚筒部52が閉塞体15の外筒部53と軸部54との間から抜け出ることが回避される。
【0055】
ここで、キャップ本体11の嵌合筒部24から分離した閉塞体15は、抜栓体16によって蓋体13に保持される。換言すると、閉塞体15は、抜栓体16を介して、キャップ本体11から蓋体13に移行する。
【0056】
その後、容器本体2を傾けるなどして、容器本体2内の内容物を注出口11Aから適宜注出する。そして、内容物を注出した後、蓋体13をヒンジ12回りに回動させて注出口11Aを閉じることによって、蓋体13に移行した閉塞体15によって注出口11Aを再度閉塞することができる。さらに、このとき、閉塞体15のシール片44を上下反転させるように弾性変形させることができ、シール片44を利用して注出口11Aの開口縁部をシールしながら蓋体13を閉じることができる。このようにして、容器本体2内を適切に密閉した状態で容器本体2の保管等を行うことができるとともに、蓋体13の頂壁部31内筒部33、および閉塞体15等で囲まれた空間内に内容物が侵入することが抑えられ、汚れを防止することができる。
【0057】
上述したように、ヒンジキャップが装着された容器を廃棄する際に、容器本体とヒンジキャップとを分別したい場合がある。この場合、使用者は、例えば開蓋状態において蓋体を把持し、蓋体を回転させる、蓋体を引き上げる等の操作を行うことにより、ヒンジキャップを容器本体から取り外す。このとき、閉塞体を蓋体に移行させないタイプのヒンジキャップであれば、例えば蓋体の内側に設けられた筒部等の個所に指を引っ掛けるなどして、蓋体を確実に把持することができる。これに対して、閉塞体を蓋体に移行させるタイプのヒンジキャップの場合、蓋体の内側に設けられた筒部等が閉塞体の平板部によって覆われる状態となる。そのため、蓋体を把持しようとした際に指が滑りやすく、確実に把持することが難しいという課題があった。
【0058】
この課題に対して、本実施形態のヒンジキャップ1においては、閉塞体15を構成する閉塞板部41の下面に複数の凸条46からなる第1滑り止め部45が設けられているため、
図4に示すように、開蓋状態においては、蓋体13の開口を覆う閉塞板部41の表面に複数の凸条46が露出した状態となる。したがって、例えば使用者の指が閉塞板部41の下面に触れた際に複数の凸条46に引っ掛かることで指の滑りが抑制される。これにより、蓋体13を確実に把持しやすくなる結果、ヒンジキャップ1の分別時の操作性を向上することができる。
【0059】
さらに本実施形態の場合、蓋体13を構成する周筒部32の外周面に、複数の凸条48からなる第2滑り止め部47が設けられているため、例えば使用者の指先が閉塞板部41の下面に触れ、指の他の部分が周筒部32の外周面に触れた際に、第1滑り止め部45と第2滑り止め部47の双方の作用によって、指の滑りがさらに抑制され、蓋体13を安定して把持しやすくなる。
【0060】
また、本実施形態の場合、使用時に閉塞板部41の下面に内容物が付着した場合であっても、閉塞板部41の下面に複数の凸条46が設けられているため、複数の凸条46の間に内容物が保持されやすい。そのため、開蓋状態のときに閉塞板部41に付着した内容物が垂れにくい、という副次的な効果も得られる。
【0061】
本実施形態において、ヒンジキャップ1を分別する際に、具体的には、蓋体13を把持してキャップ本体11の径方向に引っ張ると、キャップ本体11の外周筒部26は、分離端部18Aの突出片20が装着筒部22の外周面に連結されていないため、分離端部18Aから容易に外方に変形する。この外周筒部26の変形に伴って、横リブ17は、分離部18側から破断を開始する。さらに、横リブ17の破断が終了した後、蓋体13をキャップ本体11の径方向にさらに引っ張ると、外周筒部26は装着筒部22に対して間欠的に配設された複数の弱化片19を破断しつつ引き離され、その後、分離部18の他端側の終端連結部27を介して装着筒部22を引っ張り変形させることによって、容器本体2との嵌合を解除する。このように、横リブ17と複数の弱化片19とによって周方向引き裂きラインが形成され、蓋体13を周方向引き裂きラインに沿って回転させるだけでヒンジキャップ1を取り外すことができるため、分別時の操作性を高めることができる。
【0062】
また、本実施形態の場合、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させたときに、抜栓体16、特に脚筒部52の変形が抑制されており、抜栓体16の閉塞体係止突部52Aと閉塞体15の閉塞体係止凹部53Aとの係止状態が解除されにくい。そのため、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる動作によって注出口11Aをより確実に開放させることができ、開封時の操作性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態の場合、抜栓体16の脚筒部52が外筒部53と軸部54とによって挟み込まれており、脚筒部52の抜栓径方向での弾性変形が抑制されているため、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる際に抜栓体16が閉塞体15から抜け出すことをより確実に防止できる。さらに、抜栓体16のヘッド部51が蓋体13の支持部35によって下方から支持されているため、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる際に蓋体13を引き上げる力をヘッド部51に円滑に伝達させることができる。これにより、弱化部14をより確実に破断させることができる。
【0064】
また、本実施形態の場合、開封操作に伴って抜栓体16が挿入孔31A内を蓋体13に対して下方に移動するため、使用者は、抜栓体16の上面が蓋体13の上面に対して下がった位置にあることを見れば、開封操作が既に行われたヒンジキャップ1であることを容易に判断することができる。
【0065】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、
図5および
図6を用いて説明する。
第2実施形態のヒンジキャップの基本構成は第1実施形態と同様であり、第1滑り止め部の構成が第1実施形態と異なっている。そのため、本実施形態では、基本構成の説明は省略する。
図5は、本実施形態のヒンジキャップ5を示す図であって、閉蓋状態におけるヒンジキャップ5の縦断面図である。
図6は、開蓋状態におけるヒンジキャップ5の縦断面図である。
図5および
図6において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0066】
図5に示すように、本実施形態のヒンジキャップ5において、閉塞体65は、閉塞板部66と、閉塞板部66の前端部から上方に向けて突出する円筒状の支柱部42と、を有する。
【0067】
閉塞体65には、開蓋状態において蓋体13を把持した際の滑りを抑制する第1滑り止め部67が設けられている。本実施形態の場合、第1滑り止め部67として、閉塞板部66の下面に、左右方向に延在する断面逆V字状の切り込みが形成され、閉塞板部66の一部を折曲可能とする折曲部68が形成されている。本実施形態において、折曲部68は、他の部分よりも薄肉に形成された薄肉部で構成されている。ただし、折曲部68は、必ずしも薄肉部に限ることはなく、例えば貫通孔が形成されることで容易に折曲が可能とされた構成を採用することもできる。
【0068】
折曲部68は、支柱部42の後端側の端部と弱化部14との間の長さの略半分の位置に形成されている。ただし、折曲部68の形成位置は、特に限定されない。また、薄肉部の厚さは特に限定されないが、薄肉部は、通常の使用時には閉塞板部66の一部が自重等で折れ曲がることはなく、平坦な状態を維持できるとともに、分別時には閉塞板部66に力を加えることにより閉塞板部66の一部を折り曲げられる程度の強度(厚さ)を有することが望ましい。
ヒンジキャップ5のその他の構成は、第1実施形態のヒンジキャップ1と同様である。
【0069】
本実施形態のヒンジキャップ5においては、
図6に示すように、分別時には、閉塞板部66のうち、折曲部68を境として、破断された弱化部14が設けられた側の一部を折り曲げて変形させる。このように、閉塞板部66自体が変形するとともに、蓋体13の内側の内筒部33が十分に露出することにより、指が引っ掛かりやすい個所が形成される。これにより、指の滑りが抑制され、蓋体13を把持しやすくなる結果、ヒンジキャップ5の分別時の操作性を向上することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば上記の第1実施形態では、閉塞板部41の下面に形成された複数の凸条46からなる第1滑り止め部45が設けられ、第2実施形態では、閉塞板部66の一部を折曲可能とする折曲部68からなる第1滑り止め部67が設けられていたが、閉塞体は、上記の2種類の滑り止め部を兼ね備えていてもよい。また、第2滑り止め部47は、滑り止め効果をより高める観点から設けられることが好ましいが、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、抜栓体16と蓋体13とが別体として形成され、抜栓体16が蓋体13の挿入孔31Aに装着された構成例を挙げたが、抜栓体は、閉塞体を蓋体に連結する機能を有していればよく、上記の構成に代えて、蓋体と一体に形成されていてもよい。また、抜栓体と蓋体とが別体として形成された場合、上記実施形態では、閉蓋状態では抜栓体16と蓋体13の支持部35とが接触しておらず、蓋体13をヒンジ12周りに少し回動させた後で抜栓体16と支持部35とが接触し、抜栓体16の下方移動が規制される構成であったが、この構成に代えて、閉蓋状態から抜栓体と支持部とが接触し、抜栓体の下方移動が規制されている構成であってもよい。また、蓋体13に必ずしも挿入孔31Aが設けられていなくてもよい。また、閉蓋時に蓋体側の係合部と閉塞体側の係合部とが係合し、開蓋時に閉塞体側が破断され、蓋体側に移行する構成であれば、どのような形態であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、キャップ本体11の装着筒部22と外周筒部26とを連結する横リブ17と、周方向に間欠的に形成された複数の弱化片19と、で周方向引き裂きラインを形成し、蓋体13を周方向に回転させることでヒンジキャップ1,5を容器本体2から取り外し可能な構成例を挙げたが、この種の周方向引き裂きラインに加えて、例えばキャップ本体に縦方向の切り込み部を形成し、この切り込み部からなる縦方向引き裂きラインと、周方向引き裂きラインとを組合せ、各方向の引き裂きを行ってヒンジキャップを容器本体から取り外し可能としてもよい。または、キャップ本体11の装着筒部22と外周筒部26との間に、ヒンジ12と反対側に破断不能な連結片と、破断可能な弱化部と、を設け、蓋体13を上方に引き上げることによって弱化部を破断させ、連結片が連結された状態でヒンジキャップを容器本体から取り外し可能としてもよい。
【0073】
また、注出口11Aの形状は、前後方向に長い長円状に限らず、正円状や多角形状など、他の形状であってもよい。キャップ本体11は、有頂筒状をなしており、容器本体2の口部3を径方向外側から囲む装着筒部22を有しているが、容器本体2の口部3に装着されれば、有頂筒状に限られず、板状など、他の形状を有してもよい。また、支柱部42は、キャップ軸Oから前方にずらした位置に形成されているが、キャップ軸Oと同軸に形成するなど、他の位置に形成されてもよい。ただし、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させたときに弱化部14が前端部から順に破断されるため、支柱部42は、キャップ軸Oから前方にずらした位置に形成されることが好ましい。
【0074】
また、ヒンジキャップを構成する各構成要素の数、形状、配置、構成材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限定されることなく、適宜変更が可能である。また、ヒンジキャップや容器本体の形状は、円筒状に限らず、楕円状や多角形筒状など、他の形状を有していてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1,5 ヒンジキャップ
2 容器本体
3 口部
11 キャップ本体
11A 注出口
12 ヒンジ
13 蓋体
14 弱化部
15,65 閉塞体
16 抜栓体
17 横リブ
18 分離部
18A 分離端部
19 弱化片
27 終端連結部
22 装着筒部
26 外周筒部
45,67 第1滑り止め部
46 凸条(凹凸部)
47 第2滑り止め部
68 折曲部