(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】電気機器収納箱の連結構造
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20240809BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240809BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20240809BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H05K7/18 D
H05K5/02 V
F16B5/10 B
F16B5/10 K
G06F1/16 312J
(21)【出願番号】P 2020124658
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-051474(JP,U)
【文献】特開平11-354939(JP,A)
【文献】実開昭48-083615(JP,U)
【文献】特開平10-165605(JP,A)
【文献】特開2014-022392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
H05K 5/02
F16B 5/10
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦フレームが4隅に立設されたフレーム構造を備えた電気機器収納箱を、横方向に複数連結する電気機器収納箱の連結構造であって、
連結する一方の前記電気機器収納箱は、連結面に配置された前後2本の前記縦フレームの双方に、連結相手の前記電気機器収納箱に係止する係止爪を具備する一方、
連結相手の前記電気機器収納箱は、連結面に配置された2本の前記縦フレームの双方に、前記係止爪を係止させる係止孔を具備し
、
前記係止爪は、取り付けられた縦フレームとは電気的に導通状態にあって、前端に向けて上方/下方のうちの一方に屈曲した鉤状を成すと共に、先端は連結面に平行する平坦な先端面を有し、
更に前記先端面の前記鉤状を成した側の近傍には、ネジを挿通する挿通孔が穿設されて成り、
連結相手の前記縦フレームの前記挿通孔に対応する位置には、前記挿通孔に挿通された前記ネジを螺入するネジ孔が設けられ、
前記係止爪を前記係止孔に係止した状態で、前記挿通孔を介して前記ネジ孔にネジが螺入されて成ることを特徴とする電気機器収納箱の連結構造。
【請求項2】
前記係止爪は、前記縦フレームの上部のみに設けられて成ることを特徴とする請求項1記載の電気機器収納箱の連結構造。
【請求項3】
前記係止爪は、所定形状の金属板から成る爪形成部材を折り曲げて形成され、基部が前記縦フレームの電気機器収納箱の内側に溶接されて、前記縦フレームに開口された露出窓から先端が外部へ向けて突出して配置され、
連結相手の縦フレームに形成された前記係止孔は、前記露出窓と対向する位置に、前記露出窓と同一形状で形成されて成ることを特徴とする請求項1又は2記載の電気機器収納箱の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右に並べて配置した電気機器収納箱同士を連結する電気機器収納箱の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ラック、キュービクル等の電気機器収納箱は、複数の箱を列設する場合、隣接する箱同士を連結する場合がある。また、複数の箱を使用して1つの広い収納空間を形成して電気機器収納箱を形成する場合、箱同士が連結される。
この連結は設置現場において行われ、例えば特許文献1のように連結面に連結のための金具が配置され、この金具を介して連結された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、連結のための金具を使用して連結する形態は、連結する電気機器収納箱の双方に金具を取り付け、その金具同士を付き合わせて互いをボルトとナットで一体化する構成であり、その位置合わせが面倒であった。
特に箱が設置される床は均一に平坦であることは珍しく、箱毎の傾斜や高さを補正する微調整が必要であり、これが面倒な作業となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、設置する床面が平坦でなく連結する電気機器収納箱同士で位置ズレが発生する状況でも、連結し易い電気機器収納箱の連結構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、縦フレームが4隅に立設されたフレーム構造を備えた電気機器収納箱を、横方向に複数連結する電気機器収納箱の連結構造であって、連結する一方の電気機器収納箱は、連結面に配置された前後2本の縦フレームの双方に、連結相手の電気機器収納箱に係止する係止爪を具備する一方、連結相手の電気機器収納箱は、連結面に配置された2本の縦フレームの双方に、係止爪を係止させる係止孔を具備し、係止爪は、取り付けられた縦フレームとは電気的に導通状態にあって、前端に向けて上方/下方のうちの一方に屈曲した鉤状を成すと共に、先端は連結面に平行する平坦な先端面を有し、更に先端面の鉤状を成した側の近傍には、ネジを挿通する挿通孔が穿設されて成り、連結相手の縦フレームの挿通孔に対応する位置には、挿通孔に挿通されたネジを螺入するネジ孔が設けられ、係止爪を係止孔に係止した状態で、挿通孔を介してネジ孔にネジが螺入されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、係止爪を係止孔に係止させて連結するため、設置面のレベル出しを行わなければ実施できない従来のボルトを孔に挿通して行う連結に比べて、連結を容易に実施できる。
加えて、係止爪と連結相手の電気機器収納箱の縦フレームとがネジを介して電気的に接続される。よって、連結された縦フレーム同士は電気的にも連結され、電線等を使用して別途接続する必要がない。また、係止爪の係止状態を外れ難くできる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、係止爪は、縦フレームの上部のみに設けられて成ることを特徴とする。
この構成によれば、前後2本の縦フレームの上部同士を係止操作するだけで良く、電気機器収納箱同士を簡易な操作で連結できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、係止爪は、所定形状の金属板から成る爪形成部材を折り曲げて形成され、基部が縦フレームの電気機器収納箱の内側に溶接されて、縦フレームに開口された露出窓から先端が外部へ向けて突出して配置され、連結相手の縦フレームに形成された係止孔は、露出窓と対向する位置に、露出窓と同一形状で形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、露出窓と係止孔とは縦フレームの同一位置に同一形状で形成されるため、係止爪を設けた縦フレームと係止孔を設けた縦フレームとで、作製工程を同一にでき、部材数を増やさなくて済む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、係止爪を係止孔に係止させて連結するため、設置面のレベル出しを行わなければ実施できない従来のボルトを孔に挿通して行う連結に比べて、連結を容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る電気機器収納箱の連結構造一例を示し、連結前の要部を拡大した説明図である。
【
図3】連結前の2つの電気機器収納箱の斜視図であり、フレーム構造を示している。
【
図5】係止爪形成部を後方から見た縦フレームの側面図である。
【
図6】
図5のA-A線断面図を示し、電気機器収納箱同士を連結した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1,2は本発明に係る電気機器収納箱の連結構造一例を示し、
図1は連結前の要部を拡大した説明図、
図2は連結後の要部拡大図である。電気機器収納箱(以下、単に「箱」と称する。)1同士は、
図1,2に示すように、縦フレーム4に形成された係止爪2を係止孔3に挿入されて実施される。
ここでは、4A(4)を連結する一方の箱1の縦フレーム、4B(4)を連結相手の他方の箱の縦フレームとしている。
図1に示すように、一方の縦フレーム4Aにフック状の係止爪2が設けられ、他方の縦フレーム4Bに係止爪2を係止する係止孔3が設けられている。
こうして、
図2に示すように、係止爪2を係止孔3に挿入して、縦フレーム4Bを係止爪2に係止させることで、両者は連結される。
【0013】
図3,4は箱1の全体を前方から見た斜視図であり、
図3は連結前、
図4は連結後の状態を示している。箱1は下部に四角形の底枠10が配置され、底枠10の4隅にそれぞれ縦フレーム4が立設されている。立設された縦フレーム4の上端は、横方向が第1横フレーム11aで連結され、前後方向が第2横フレーム11bで連結され、四角形状に横フレーム11を配置して連結されている。
【0014】
また、側面を形成する前後の縦フレーム4,4の間の中央部には第3横フレーム11cが配置され、側面が補強されている。一方、前面、背面を構成する左右の縦フレーム4,4の間は、中間に補強部材は無く大きく開口されており、扉を取り付け可能としている。
尚、ここでは箱1のフレーム構造のみを示しているが、箱1は周囲が図示しない扉或いは閉塞板で閉塞されて使用される。また、縦フレーム4及び横フレーム11は、金属板を折り曲げて形成した棒状体である。
【0015】
図3,4では、図示左側が係止爪2を備えた箱1(第1の箱1aとする)、右側が係止爪2を挿入する係止孔3を備えた箱1(第2の箱1bとする)である。即ち、正面から見た場合、左側の第1の箱1aが右側の第2の箱1bを係止して両者は連結される。
係止爪2は、第1の箱1aの連結する面に配置された前後2本の縦フレーム4Aの上部にそれぞれ設けられ、連結相手の第2の箱1bの連結する面に配置された前後2本の縦フレーム4Bの上部にそれぞれ係止孔3が設けられている。
【0016】
以下、係止爪2の構造及び連結構造を具体的に説明する。
図1に示すように、係止爪2は所定形状の金属板(爪形成部材)2aをコ字状に折り曲げて形成され、平坦な先端面21を有している。そして、コ字状部が、縦フレーム4Aに開口形成された四角形の露出窓4aから外部に突出されて形成され、先端面21は連結面である箱1の側面に平行な面となっている。
【0017】
また係止爪2は、先端に向けて下面が下り傾斜を成して形成され、下向きのフックを構成している。結果、先端面21の下部は露出窓4aの下端より下方に広く形成されている。この広く形成された先端面21の下部には、連結相手の縦フレーム4Bにネジ5を螺入するためにネジ5を挿通する挿通孔22が穿設されている。
【0018】
図5は係止爪2を後方から見た第1の箱1aの縦フレーム4Aの側面図、
図6は
図5のA-A線断面を示している。但し、
図6は電気機器収納箱1同士を連結した状態の断面図である。
爪形成部材2aは、
図5に示すように係止爪2の基部から左右に開いた溶接面23を有し、露出窓4aの周囲となる縦フレーム4Aの箱内部側で溶接して縦フレーム4に取り付けられている。そして、露出窓4aの下部には、先端面21に形成された挿通孔22の背部となる位置に、ネジ5を先端を挿通するネジ挿通孔6が穿設されている。
【0019】
一方、
図6に示すように、第2の箱1bの縦フレーム4Bには、挿通孔22に挿通されたネジ5を螺入するネジ孔7が設けられている。このネジ孔7は、縦フレーム4Bに係止した係止爪2の背部となる位置、即ち係止孔3の下部に形成されている。
第1の箱1aの縦フレーム4Aに設けられたネジ挿通孔6は、このネジ孔7と重なる位置に形成され、挿通孔22に挿入されたネジ5がネジ孔7にスムーズに螺入でき、更に先端がネジ挿通孔6に入り込むよう形成されている。
結果、
図6に示すように、係止孔3と露出窓4aとは同一部位に同一形状で形成することができる。また、ネジ挿通孔6とネジ孔7も同一部位に形成される。
【0020】
このように、係止爪2を係止孔3に係止させて連結するため、設置面のレベル出しを行わなければ実施できない従来のボルトを孔に挿通して行う連結に比べて、連結を容易に実施できる。
また、前後2本の縦フレーム4の上部を連結操作すれば、電気機器収納箱1同士を連結でき、簡易な操作で連結できる。
加えて、露出窓4aと係止孔3とは、縦フレーム4の同一位置に同一形状で形成されるため、係止爪2を設けた縦フレーム4と係止孔3を設けた縦フレーム4とで、作製工程を同一にでき、部材数を増やさなくて済む。
更に、係止爪2と連結相手の箱1の縦フレーム4とがネジ5で連結されるため、係止爪2を備えた第1の箱1aと第2の箱1bとが電気的に接続される。よって、電線等で別途接続すること無く連結した箱1の接地を実施できる。また、係止爪2の係止状態を外れ難くできる。
【0021】
尚、上記実施形態では、係止爪2を縦フレーム4の上部のみに設けたが、更に下部にも設けても良い。また、2つの箱1を連結する構成を説明したが、箱1の一方の側面に係止爪2を配置し、他方の側面に係止孔3を配置すれば、この構成の箱1を中間に配置することで多数の箱1を連結できる。
更に、係止爪2は下方に屈曲させているが、逆に上方へ屈曲させても良いし、左側に配置した箱1に係止爪2を設け、右側の箱1に係止孔32を設けているが、係止爪2と係止孔3の配置を左右逆にしても良い。
また、係止爪2は縦フレーム4へ溶接して取り付けているが、ネジ止めして取り付けても良い。但し、ネジ止めの場合、ネジの突出部を収容する孔を連結相手の縦フレーム4に設ける等の工夫が必要である。
【符号の説明】
【0022】
1・・電気機器収納箱、2・・係止爪、2a・・爪形成部材、3・・係止孔、4・・縦フレーム、4a・・露出窓、5・・ネジ、6・・ネジ挿通孔、7・・ネジ孔、21・・先端面、22・・挿通孔。