(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】感震遮断復帰方法、感震遮断復帰プログラム、それらを実行可能な制御装置及びガスメータ
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
G01F3/22 B
(21)【出願番号】P 2020141551
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】村中 一郎
(72)【発明者】
【氏名】安井 昌広
(72)【発明者】
【氏名】西浦 克敏
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-226832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01F 15/00-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震動の強度である地震強度を検知する感震部とガス通流路を遮断可能な遮断弁と前記遮断弁の二次側の圧力を検知可能な圧力センサとを有して前記感震部にて検知された前記地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に前記遮断弁を遮断する感震遮断処理を実行可能なガスメータによる感震遮断復帰方法であって、
前記感震遮断処理の実行後に、前記圧力センサにて検出される圧力が二次側圧力の圧力降下を検知可能な圧力降下検知下限閾値以上で、且つ一次側から前記二次側へのガスの流入量が前記二次側の通常の漏洩判定処理としての通常漏洩判定処理での前記二次側へのガスの流入量の半分以下となるよう前記遮断弁を開放する瞬時開放処理と、
当該瞬時開放処理の実行後に、前記圧力センサにより検知される前記二次側の圧力降下程度により前記二次側での漏洩の有無を判定する漏洩判定処理を実行可能
であり、
前記地震動の発生の有無に関わらず一定の時間間隔で前記二次側でのガスの使用状況がガス使用状態かガス非使用状態かを確認するガス使用状況確認処理を実行するものであり、
前記感震遮断処理の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断処理の実行後に前記瞬時開放処理と前記漏洩判定処理とを記載の順に実行し、
前記感震遮断処理の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス非使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断処理の実行後に前記瞬時開放処理を実行することなく前記漏洩判定処理を実行する感震遮断復帰方法。
【請求項2】
前記瞬時開放処理において、前記圧力降下検知下限閾値は0.4kPa以上の圧力である請求項
1に記載の漏洩遮断復帰方法。
【請求項3】
前記瞬時開放処理において、前記圧力降下検知下限閾値は、前記通常漏洩判定処理において前記二次側に張られる通常漏洩判定圧力よりも低い圧力である請求項1
又は2に記載の漏洩遮断復帰方法。
【請求項4】
前記瞬時開放処理では、一次側から前記二次側へのガスの流入量が2.0L以下となるよう前記遮断弁の開放状態が制御される請求項1~
3の何れか一項に記載の漏洩遮断復帰方法。
【請求項5】
前記瞬時開放処理において、前記遮断弁は2.0mm以上3.0mm未満の弁開度で且つ2秒未満開放する請求項1~
4の何れか一項に記載の漏洩遮断復帰方法。
【請求項6】
前記感震部は、地震動を感知してSI値を出力するSIセンサであり、
当該SIセンサにて出力されたSI値が前記第1判定閾値よりも高い第2判定閾値を超える場合、前記瞬時開放処理の実行を禁止する瞬時開放禁止処理を実行する請求項1~
5の何れか一項に記載の漏洩遮断復帰方法。
【請求項7】
地震動の強度である地震強度を検知する感震部と、ガス通流路を遮断可能な遮断弁と、前記遮断弁の二次側の圧力を検知可能な圧力センサとを有して前記感震部にて検知された前記地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に前記遮断弁を遮断する感震遮断部を有する制御装置とを有するガスメータであって、
前記制御装置は、
前記感震遮断部による感震遮断の後に、前記圧力センサにて検出される圧力が二次側圧力の圧力降下を検知可能な圧力降下検知下限閾値以上で、且つ一次側から前記二次側へのガスの流入量が前記二次側の通常の漏洩判定制御としての通常漏洩判定制御での前記二次側へのガスの流入量の半分以下となるよう前記遮断弁を開放する瞬時開放部と、
当該瞬時開放部による前記遮断弁の開放制御後に、前記圧力センサにより検知される前記二次側の圧力降下程度により前記二次側での漏洩の有無を判定する漏洩判定部と
有し、
前記地震動の発生の有無に関わらず一定の時間間隔で前記二次側でのガスの使用状況がガス使用状態かガス非使用状態かを確認するガス使用状況確認処理を実行するものであり、
前記感震遮断部による感震遮断の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断の実行後に前記瞬時開放部による前記遮断弁の開放と前記漏洩判定部による漏洩の有無の判定とを記載の順に実行し、
前記感震遮断の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス非使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断の実行後に前記瞬時開放部による前記遮断弁の開放を実行することなく前記漏洩判定部による漏洩の有無の判定を実行するガスメータ。
【請求項8】
地震動の強度である地震強度を検知する感震部とガス通流路を遮断可能な遮断弁と前記遮断弁の二次側の圧力を検知可能な圧力センサとを有するガスメータにおいて、前記感震部にて検知された前記地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に前記遮断弁を遮断する感震遮断ステップを実行可能な感震遮断復帰プログラムであって、
前記感震遮断ステップの実行後に、前記圧力センサにて検出される圧力が二次側圧力の圧力降下を検知可能な圧力降下検知下限閾値以上で、且つ一次側から前記二次側へのガスの流入量が前記二次側の通常の漏洩判定ステップとしての通常漏洩判定ステップでの前記二次側へのガスの流入量の半分以下となるよう前記遮断弁を開放する瞬時開放ステップと、
当該瞬時開放ステップの実行後に、前記圧力センサにより検知される前記二次側の圧力降下程度により前記二次側での漏洩の有無を判定する漏洩判定ステップを実行可能
であり、
前記地震動の発生の有無に関わらず一定の時間間隔で前記二次側でのガスの使用状況がガス使用状態かガス非使用状態かを確認するガス使用状況確認ステップを実行するものであり、
前記感震遮断ステップの実行前に前記ガス使用状況確認ステップにより前記ガス使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断ステップの実行後に前記瞬時開放ステップと前記漏洩判定ステップとを記載の順に実行し、
前記感震遮断ステップの実行前に前記ガス使用状況確認ステップにより前記ガス非使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断ステップの実行後に前記瞬時開放ステップを実行することなく前記漏洩判定ステップを実行する感震遮断復帰プログラム。
【請求項9】
地震動の強度である地震強度を検知する感震部と、ガス通流路を遮断可能な遮断弁と、前記遮断弁の二次側の圧力を検知可能な圧力センサとを有するガスメータにおいて、前記感震部にて検知された前記地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に前記遮断弁を遮断する感震遮断部を有する制御装置であって、
前記感震遮断部による感震遮断の後に、前記圧力センサにて検出される圧力が二次側圧力の圧力降下を検知可能な圧力降下検知下限閾値以上で、且つ一次側から前記二次側へのガスの流入量が前記二次側の通常の漏洩判定制御としての通常漏洩判定制御での前記二次側へのガスの流入量の半分以下となるよう前記遮断弁を開放する瞬時開放部と、
当該瞬時開放部による前記遮断弁の開放制御後に、前記圧力センサにより検知される前記二次側の圧力降下程度により前記二次側での漏洩の有無を判定する漏洩判定部とを有
し、
前記地震動の発生の有無に関わらず一定の時間間隔で前記二次側でのガスの使用状況がガス使用状態かガス非使用状態かを確認するガス使用状況確認処理を実行するものであり、
前記感震遮断部による感震遮断の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断の実行後に前記瞬時開放部による前記遮断弁の開放と前記漏洩判定部による漏洩の有無の判定とを記載の順に実行し、
前記感震遮断の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス非使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断の実行後に前記瞬時開放部による前記遮断弁の開放を実行することなく前記漏洩判定部による漏洩の有無の判定を実行する制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震動の強度である地震強度を検知する感震部とガス通流路を遮断可能な遮断弁と前記遮断弁の二次側の圧力を検知可能な圧力センサとを有して前記感震部にて検知された前記地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に前記遮断弁を遮断する感震遮断処理を実行可能な感震遮断復帰方法、感震遮断復帰プログラム、それらを実行可能な制御装置及びガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震動を検知してガス管が遮断された後の復帰である感震遮断復帰に関する技術として、特許文献1に開示の技術のように、感震センサにて検知された地震動の強度が軽微である場合には、使用者が復帰操作手順に従って手動でガスメータの復帰操作を行い、地震動の強度が比較的大きい場合には、監視センターからの安全確認信号を受信したときに遮断弁を自動で開放する制御を実行するものが知られている。
一方、特許文献2に開示の技術のように、地震動の強度が比較的大きい場合、感震遮断の後、二次側配管内の圧力により二次側配管の漏洩の有無を確認し、漏洩なしと判定されたときのみガスメータの自動復帰がなされるものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-156259号公報
【文献】特許第6005449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の技術では、地震動の強度が比較的大きい場合、ガスメータが監視センターから安全確認信号を受信したときに遮断弁を自動で開放する制御を実行する点が示されているものの、安全確認をどのように行うのかにつき開示されていない。
一方、特許文献2に開示の技術では、感震遮断後に、二次側配管内の圧力により二次側配管の漏洩の有無を確認する点が示されている。しかしながら、例えば、感震遮断前に遮断弁の二次側にてガス機器の使用があり、感震遮断後にも当該ガス機器の使用が継続されていた場合、当該ガス機器の使用により、二次側配管の圧力が低下する。このため、特許文献2に開示の技術では、二次側配管が地震動により損傷していない場合であっても、自動復帰ができないことになり、従来のガスメータの如く使用者による手動での復帰操作が必要となる。また、ガス事業者にとっても、復帰操作説明のための電話対応や現地出動につながるため、災害復旧全体を遅延させてしまう虞があり、改善の余地があった。
【0005】
上記課題を解決するための本発明の目的は、感震遮断後の復帰処理において、遮断弁の二次側において遮断前にガス機器の使用があった場合であっても、二次側の漏洩の有無を適切に判定することができる感震遮断復帰方法、感震遮断復帰プログラム、それらを実行可能な制御装置及びガスメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための感震遮断復帰方法は、
地震動の強度である地震強度を検知する感震部とガス通流路を遮断可能な遮断弁と前記遮断弁の二次側の圧力を検知可能な圧力センサとを有して前記感震部にて検知された前記地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に前記遮断弁を遮断する感震遮断処理を実行可能なガスメータによる感震遮断復帰方法であって、その特徴構成は、
前記感震遮断処理の実行後に、前記圧力センサにて検出される圧力が二次側圧力の圧力降下を検知可能な圧力降下検知下限閾値以上で、且つ一次側から前記二次側へのガスの流入量が前記二次側の通常の漏洩判定処理としての通常漏洩判定処理での前記二次側へのガスの流入量の半分以下となるよう前記遮断弁を開放する瞬時開放処理と、
当該瞬時開放処理の実行後に、前記圧力センサにより検知される前記二次側の圧力降下程度により前記二次側での漏洩の有無を判定する漏洩判定処理を実行可能であり、
前記地震動の発生の有無に関わらず一定の時間間隔で前記二次側でのガスの使用状況がガス使用状態かガス非使用状態かを確認するガス使用状況確認処理を実行するものであり、
前記感震遮断処理の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断処理の実行後に前記瞬時開放処理と前記漏洩判定処理とを記載の順に実行し、
前記感震遮断処理の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス非使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断処理の実行後に前記瞬時開放処理を実行することなく前記漏洩判定処理を実行する点にある。
【0007】
上記目的を達成するための感震遮断復帰プログラムは、
地震動の強度である地震強度を検知する感震部とガス通流路を遮断可能な遮断弁と前記遮断弁の二次側の圧力を検知可能な圧力センサとを有するガスメータにおいて、前記感震部にて検知された前記地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に前記遮断弁を遮断する感震遮断ステップを実行可能な感震遮断復帰プログラムであって、その特徴構成は、
前記感震遮断ステップの実行後に、前記圧力センサにて検出される圧力が二次側圧力の圧力降下を検知可能な圧力降下検知下限閾値以上で、且つ一次側から前記二次側へのガスの流入量が前記二次側の通常の漏洩判定ステップとしての通常漏洩判定ステップでの前記二次側へのガスの流入量の半分以下となるよう前記遮断弁を開放する瞬時開放ステップと、
当該瞬時開放ステップの実行後に、前記圧力センサにより検知される前記二次側の圧力降下程度により前記二次側での漏洩の有無を判定する漏洩判定ステップを実行可能であり、
前記地震動の発生の有無に関わらず一定の時間間隔で前記二次側でのガスの使用状況がガス使用状態かガス非使用状態かを確認するガス使用状況確認ステップを実行するものであり、
前記感震遮断ステップの実行前に前記ガス使用状況確認ステップにより前記ガス使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断ステップの実行後に前記瞬時開放ステップと前記漏洩判定ステップとを記載の順に実行し、
前記感震遮断ステップの実行前に前記ガス使用状況確認ステップにより前記ガス非使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断ステップの実行後に前記瞬時開放ステップを実行することなく前記漏洩判定ステップを実行する点にある。
【0008】
上記目的を達成するための制御装置は、
地震動の強度である地震強度を検知する感震部と、ガス通流路を遮断可能な遮断弁と、前記遮断弁の二次側の圧力を検知可能な圧力センサとを有するガスメータにおいて、前記感震部にて検知された前記地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に前記遮断弁を遮断する感震遮断部を有する制御装置であって、その特徴構成は、
前記感震遮断部による感震遮断の後に、前記圧力センサにて検出される圧力が二次側圧力の圧力降下を検知可能な圧力降下検知下限閾値以上で、且つ一次側から前記二次側へのガスの流入量が前記二次側の通常の漏洩判定制御としての通常漏洩判定制御での前記二次側へのガスの流入量の半分以下となるよう前記遮断弁を開放する瞬時開放部と、
当該瞬時開放部による前記遮断弁の開放制御後に、前記圧力センサにより検知される前記二次側の圧力降下程度により前記二次側での漏洩の有無を判定する漏洩判定部とを有し、
前記地震動の発生の有無に関わらず一定の時間間隔で前記二次側でのガスの使用状況がガス使用状態かガス非使用状態かを確認するガス使用状況確認処理を実行するものであり、
前記感震遮断部による感震遮断の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断の実行後に前記瞬時開放部による前記遮断弁の開放と前記漏洩判定部による漏洩の有無の判定とを記載の順に実行し、
前記感震遮断の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス非使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断の実行後に前記瞬時開放部による前記遮断弁の開放を実行することなく前記漏洩判定部による漏洩の有無の判定を実行する点にある。
【0009】
上記目的を達成するためのガスメータは、
地震動の強度である地震強度を検知する感震部と、ガス通流路を遮断可能な遮断弁と、前記遮断弁の二次側の圧力を検知可能な圧力センサとを有して前記感震部にて検知された前記地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に前記遮断弁を遮断する感震遮断部を有する制御装置とを有するガスメータであって、その特徴構成は、
前記制御装置が、前記感震遮断部による感震遮断の後に、前記圧力センサにて検出される圧力が二次側圧力の圧力降下を検知可能な圧力降下検知下限閾値以上で、且つ一次側から前記二次側へのガスの流入量が前記二次側の通常の漏洩判定制御としての通常漏洩判定制御での前記二次側へのガスの流入量の半分以下となるよう前記遮断弁を開放する瞬時開放部と、
当該瞬時開放部による前記遮断弁の開放制御後に、前記圧力センサにより検知される前記二次側の圧力降下程度により前記二次側での漏洩の有無を判定する漏洩判定部とを有し、
前記地震動の発生の有無に関わらず一定の時間間隔で前記二次側でのガスの使用状況がガス使用状態かガス非使用状態かを確認するガス使用状況確認処理を実行するものであり、
前記感震遮断部による感震遮断の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断の実行後に前記瞬時開放部による前記遮断弁の開放と前記漏洩判定部による漏洩の有無の判定とを記載の順に実行し、
前記感震遮断の実行前に前記ガス使用状況確認処理により前記ガス非使用状態であることを確認した場合、前記感震遮断の実行後に前記瞬時開放部による前記遮断弁の開放を実行することなく前記漏洩判定部による漏洩の有無の判定を実行する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、まず最初に、感震遮断処理(ステップ)が実行された後に、瞬時開放処理(ステップ)が実行されるから、例えば、地震動の発生時に遮断弁の二次側にてガス機器が使用されていた場合であっても、二次側にてガス配管の破損等があったときの圧力降下を圧力センサにて適切に検知できる圧力降下検知閾値以上の圧力を張ることができる。これにより、漏洩判定処理(ステップ)により、二次側での漏洩の有無を適切に判定でき、例えば、二次側での漏洩がないと判定された場合には、その後に復帰処理を実行することで、使用者の安全性を担保しつつ利便性の向上を図ることができる。
尚、漏洩判定処理(ステップ)が実行されるタイミングでは、ガス機器は立ち消え判定機能により停止状態となっているので、ガス機器からガスが漏洩することはない。
更に、瞬時開放処理(ステップ)では、通常の二次側の漏洩判定処理(ステップ)での一次側から二次側への流入量の半分以下の流入量に抑制するから、仮に地震動にて二次側のガス配管等が破損している場合であっても、当該破損箇所からのガスの漏洩量を十分に小さく抑制できる。
また、上記特徴構成によれば、二次側へのガスの流入量ではなく、圧力降下により漏洩の判定を実施しているので、流入量、即ち、ガスメータを通過する流量を用いて漏洩の判定を実行する場合に比べて、漏洩判定の精度を向上できる。
さらに、上記特徴構成によれば、感震遮断処理の実行前に二次側でのガス機器の使用があった場合にのみ瞬時開放処理を実行し、感震遮断処理の実行前に二次側でのガス機器の使用感震遮断処理の実行前に二次側でのガス機器の使用がなかった場合には瞬時開放処理を実行しないから、感震遮断前に二次側でのガス機器のガス使用がない場合には、感震遮断後の二次側への不要なガス流入を抑制でき、二次側へ流入したガスがガス管の損傷箇所から外部へ漏洩するリスクを低減でき、安全性を向上できる。また、感震遮断前にガス使用がない場合であっても、二次側に感震遮断前から存在するガスにより漏洩判定処理を実行して、適切に漏洩の判定を行うことができる。
以上より、感震遮断後の復帰処理において、遮断弁の二次側において遮断前にガス機器の使用があった場合であっても、二次側の漏洩の有無を適切に判定することができる感震遮断復帰方法、感震遮断復帰プログラム、それらを実行可能な制御装置及びガスメータを実現できる。
【0013】
感震遮断復帰方法の更なる特徴構成は、
前記瞬時開放処理において、前記圧力降下検知下限閾値は0.4kPa以上の圧力である点にある。
【0014】
本発明の発明者らは、一般的にガスメータに用いられる圧力センサの検知精度によれば、圧力降下検知下限閾値を0.4kPa以上とすることで、二次側でのガス管等の破損に伴う圧力降下を良好に判定できることを確認している。
【0015】
感震遮断復帰方法の更なる特徴構成は、
前記瞬時開放処理において、前記圧力降下検知下限閾値は、前記通常漏洩判定処理において前記二次側に張られる通常漏洩判定圧力よりも低い圧力である点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、瞬時開放処理での圧力降下検知下限閾値は、通常判定処理において二次側に張られる通常漏洩判定圧力よりも低い圧力としているから、感震遮断の要因となる地震動により二次側のガス管等に破損が生じていた場合であっても、二次側からのガスの漏れ量を十分に小さいものとできる。
【0017】
感震遮断復帰方法では、前記瞬時開放処理では、一次側から前記二次側へのガスの流入量が2.0L以下となるよう前記遮断弁の開放状態が制御されることが好ましい。
【0018】
これにより、感震遮断の要因となる地震動により二次側のガス管等に破損が生じていた場合であっても、二次側からのガスの漏れ量を十分に小さいものとできる。
【0019】
感震遮断復帰方法の更なる特徴構成は、
前記瞬時開放処理において、前記遮断弁は2.0mm以上3.0mm未満の弁開度で且つ2秒未満開放する点にある。
【0020】
6号の膜式メータや超音波メータ等のガスメータに用いられる遮断弁では、2.0mm以上3.0mm以下の弁開度で且つ2秒未満開放することで、二次側での圧力低下を検知できながらも二次側へのガスの流入量を2.0L以下程度として、漏洩検知精度を担保しつつ判定に伴って二次側から流出する虞のあるガス流量を十分に小さくできる。
【0021】
感震遮断復帰方法の更なる特徴構成は、
前記感震部は、地震動を感知してSI値を出力するSIセンサであり、
当該SIセンサにて出力されたSI値が前記第1判定閾値よりも高い第2判定閾値を超える場合、前記瞬時開放処理の実行を禁止する瞬時開放禁止処理を実行する点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、例えば、地震動による家屋の損傷程度が比較的高くなり、二次側のガス配管等が損傷している可能性が高い場合に対応するSI値に第2判定閾値を設定することで、瞬時開放処理の実行を禁止する漏洩開放禁止処理を実行するから、ガス配管等が損傷している可能性が高い場合に、瞬時開放処理に伴ってガスの漏れが生じるリスクを低減し、安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係るガスメータ、及び当該ガスメータでの感震遮断に関する状態を監視する監視センターの概略構成図である。
【
図2】実施形態に係る感震遮断復帰方法の制御フロー図である。
【
図3】膜式メータの場合の遮断弁の駆動パターン毎の二次側への積算流入量を示すグラフ図である。
【
図4】超音波式メータの場合の遮断弁の駆動パターン毎の二次側への積算流入量を示すグラフ図である。
【
図5】膜式メータの場合の遮断弁の駆動パターン毎の二次側圧力を二次側配管容量毎に示すグラフ図である。
【
図6】超音波式メータの場合の遮断弁の駆動パターン毎の二次側圧力を二次側配管容量毎に示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る感震遮断復帰方法、感震遮断復帰プログラム、それらを実行可能な制御装置及びガスメータ100は、感震遮断後の復帰処理において、遮断弁の二次側において遮断前にガス機器の使用があった場合であっても、二次側の漏洩の有無を適切に判定することができるものに関する。
【0025】
当該ガスメータ100は、
図1に示すように、地震動の強度である地震強度を検知するSIセンサSI(感震部の一例)と、ガス通流路Lを遮断可能な遮断弁30と、当該遮断弁30の二次側の圧力を検知可能な圧力センサS1とを有してSIセンサSIにて検知された地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に遮断弁30を遮断する感震遮断部として働く制御装置Cとを有する。
【0026】
ガスメータ100は、超音波流量計として構成されており、ガス管から住居等のガス供給箇所(図示せず)へ供給されるガスGの流量を計測するものである。
当該ガスメータ100には、
図1の一部断面図に示すように、一次側のガス配管に連通接続されるガス流入口11と、二次側のガス配管に連通接続されるガス流出口12と、当該ガス流入口11とガス流出口12とを接続するガス通流路Lが形成されている。
ガス通流路Lには、整流流路を形成する筒状部材20が配設されると共に、当該筒状部材20の内部には、筒軸心に沿って延びる整流板21が複数設けられている。
詳細な図示は省略するが、当該ガスメータ100には、筒状部材20の内部に形成される整流流路に超音波を伝播させる一対の送受波器SJ1、SJ2とが備えられている。
より詳細には、ガス通流路Lを通流するガスの流れ方向に対して、当該流れ方向に沿った第1方向及び当該第1方向とは逆方向の第2方向に超音波を伝搬させて、第1方向の所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信すると共に第2方向の所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信する一対の送受波器SJ1、SJ2を備えると共に、第1方向で所定伝搬距離を超音波が伝搬する第1伝搬時間と第2方向で所定伝搬距離を超音波が伝搬する第2伝搬時間とを計測し、計測された第1伝搬時間及び第2伝搬時間と所定伝搬距離とからガス通流路を通流するガスのガス流速を導出し、当該ガス流速とガス通流路L(整流流路)の流路断面積とからガス流量を導出する制御装置Cを備える。
【0027】
制御装置Cは、ガスメータ100の内部の中央に形成される中央空間Kに制御基板として実装されており、ソフトウェア群と演算装置や記憶部等のハードウェア群とが協働する状態で設けられている。制御装置Cでは、ガスメータ100において、ガス流量の演算等を行う制御部C1や、制御部C1からの各種信号をガスメータ100の外部の監視センターCSへ無線ネットワーク回線等を介して送信する通信部C2の機能部位が備えられる。
また、図示は省略するが、ガスメータ100には、制御部C1にて演算されたガス流量を外部から視認可能な状態で表示する表示部が設けられている。
【0028】
筒状部材20にて構成される整流流路の上流側には、ガスメータ100の上流側のガス圧が著しく低下したときに安全上の観点からガス通流路Lを遮断する遮断弁30が設けられており、当該遮断弁30は、弁体31がガス通流路L内に突出形成される弁座部32に着座する形態で、ガス通流路Lの開閉部位LKを閉止して、ガス通流路Lを閉止する。
【0029】
ガス通流路Lとしての整流流路には、その流路軸心に略直交する方向に開口LRが形成されると共に、整流流路の内部と連通する状態で連通空間SKが併設されている。当該連通空間SKは、整流流路の流れが阻害されないように、整流流路から外れた位置で且つガスメータ100の内部に形成されている。当該連通空間SKの内部には、遮断弁30の二次側の圧力を計測する圧力センサS1が配設されており、当該圧力センサS1は整流流路を通流するガスGのゲージ圧力を測定し、測定されたゲージ圧力は制御部C1へ送られる。
【0030】
当該制御部C1は、SIセンサSIにて検知された地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に遮断弁30を遮断する感震遮断部として働くと共に、当該感震遮断部による感震遮断の後に、圧力センサS1にて検出される圧力が二次側圧力の圧力降下を検知可能な圧力降下検知下限閾値(当該実施形態では、0.4kPa)以上で、且つ一次側から二次側へのガスの流入量が二次側の通常の漏洩判定処理としての通常漏洩判定処理での二次側へのガスの流入量の半分以下となるよう遮断弁30を開放する瞬時開放処理を実行する瞬時開放部として機能し、且つ当該瞬時開放部による瞬時開放処理の実行後に、圧力センサS1により検知される二次側の圧力降下程度により二次側での漏洩の有無を判定する漏洩判定処理を実行する漏洩判定部として機能する。
即ち、制御装置Cでは、SIセンサSIにて検知された地震強度が所定の第1判定閾値を超える場合に遮断弁30を遮断する感震遮断ステップを実行可能な感震遮断復帰プログラムを実行可能に構成され、当該感震遮断復帰プログラムは、感震遮断ステップの実行後に、圧力センサS1にて検出される圧力が二次側圧力の圧力降下を検知可能な圧力降下検知下限閾値以上で、且つ一次側から二次側へのガスの流入量が二次側の通常の漏洩判定ステップとしての通常漏洩判定ステップでの二次側へのガスの流入量の半分以下となるよう遮断弁を開放する瞬時開放ステップと、当該瞬時開放ステップの実行後に、圧力センサにより検知される二次側の圧力降下程度により二次側での漏洩の有無を判定する漏洩判定ステップを実行するものである。
【0031】
更に、当該実施形態に係るガスメータ100及び感震遮断復帰方法では、遮断弁30の二次側のガス機器(図示せず)の使用状態に応じて、以下の如く処理を選択的に実行することで、漏洩判定に伴って二次側配管からガスが漏洩するリスクを低減している。
具体的には、制御部C1は、地震動の発生の有無に関わらず一定の時間間隔(例えば、30秒~120秒程度の時間間隔)で二次側でのガスの使用状況がガス使用状態かガス非使用状態かを確認するガス使用状況確認処理を実行するものであり、感震遮断処理の実行前(例えば、感震遮断より0秒以上1秒未満の時間前の直前)にガス使用状況確認処理によりガス使用状態であることを確認した場合、感震遮断処理の実行後に瞬時開放処理と漏洩判定処理とを記載の順に実行し、感震遮断処理の実行前にガス使用状況確認処理によりガス非使用状態であることを確認した場合、感震遮断処理の実行後に瞬時開放処理を実行することなく漏洩判定処理を実行する。
ガス使用状況確認処理では、制御装置Cが、例えば、超音波流量計SJ1、SJ2にて計測される流量を経時的に記憶しておき、感震遮断後に当該感震遮断前の流量が所定流量以上である場合にガス使用状態とし、所定流量未満である場合にガス非使用状態とする形態で実行される。
【0032】
当該ガス使用状況確認処理を実行することにより、感震遮断処理の実行前にガス非使用状態であった場合で、二次側のガス圧が確保されている前提である状況のときには、瞬時開放処理を実行しないことで、仮に二次側配管が破損している場合でも、二次側から外部へガスが流出する流出量を低減できる。
【0033】
制御部C1は、自身が制御するガスメータ100(M1)の二次側での漏洩判定結果を、通信部C2によりネットワーク回線Nを介して、監視センターCSに送信可能に構成されている。監視センターCSでは、通信部CS1にて複数のガスメータ100(M1~M5・・・)の夫々からの漏洩判定結果を受信し、記憶部CS3に記憶する。これにより、監視センターCSは、複数の地点での漏洩判定結果を用いて漏洩率が高い地域としての漏洩エリアを特定する漏洩エリア判定部CS2としての機能を発揮できる。
【0034】
以下、当該実施形態に係る感震遮断復帰方法において、特徴的な瞬時開放部による瞬時開放処理について、
図3~6の試験結果を示すグラフ図に基づいて説明を加える。
図3、4では、ガスメータ100として6号膜式を用いた場合(
図3)と、6号超音波式を用いた場合(
図4)とにおいて、遮断弁30の駆動パターンとして、5秒間全開(弁開量:8mm)としたものを駆動パターン(No.1)、2秒間全開(弁開量:8mm)としたものを駆動パターン(No.2)、瞬時全開(弁開量:8mm)としたものを駆動パターン(No.3)、瞬時半開(弁開量:3mm)としたものを駆動パターン(No.4)、瞬時小開(弁開量:2mm)としたものを駆動パターン(No.5)とした例を示している。
尚、
図3、4に示す例では、供給圧を2.5kPaとし、二次側を開放して試験を行った。
【0035】
瞬時開放処理は、地震動が発生し感震遮断の後に実行する処理であり、当該瞬時開放処理を実行する時点では二次側配管に地震動による破損が生じている場合があるため、当該瞬時開放処理により二次側へ流入するガスの流量は、なるべく抑制しながらも、二次側での圧力降下を測定して漏洩判定が実行できる程度とすることが好ましい。このため、当該実施形態では、二次側への流入量は、2.0L以下となるよう遮断弁30の開放状態が制御される。
図3、4に示す例では、駆動パターン(No.4)の一部及び駆動パターン(No.5)にて二次側への流入量が2.0L(
図3、4でα)以下の条件を満たしている。
【0036】
因みに、通常の漏洩判定処理では、遮断弁30は駆動パターン(No.1)にて駆動しており、この場合、
図3、4の試験結果から、通常漏洩判定処理での二次側へのガスの流入量は、二次側へは20L程度である。
【0037】
次に、圧力降下検知下限閾値に関する試験結果を、
図5、6に基づいて説明する。
尚、
図5はガスメータ100として6号膜式を用いた場合であり、
図6は6号超音波式を用いた場合であり、(a)はメータ内圧(二次側圧力)を示し、(b)は二次側圧力から供給圧力を減算したものを示している。ここで、供給圧を2.5kPaとし、二次側配管容量を0L、10L、20Lとしている。
図5、6に示す試験結果は、5回の平均値をプロットしている。
一般的にガスメータ100に用いられる圧力センサS1の検知精度の関係で、圧力降下を検知する場合、0.4kPa以上の圧力があることが好ましい。尚、当該実施形態においては、安全上の観点から、瞬時開放処理において、圧力降下検知下限閾値は、通常漏洩判定処理において前記二次側に張られる通常漏洩判定圧力(例えば、供給圧力)よりも低い圧力としている。
そこで、当該実施形態に係る感震遮断復帰方法では、瞬時開放処理において、前記圧力降下検知下限閾値は0.4kPa以上の圧力となるよう、遮断弁30の開放状態を制御する。
図5、6に示す試験結果から、膜式と超音波式の何れにおいても、0~20Lのすべての配管容量で、駆動パターン(No.1)~(No.5)のすべてにおいて、メータ内圧(二次側圧力)が、0.4kPa(
図5(a)、
図6(a)でβ)以上を確保できていることがわかる。
尚、供給圧力は多く見積もって1.7kPa~2.5kPa程度の範囲で変動する場合があるが、
図5(b)、
図6(b)に示すように、駆動パターン(No.5)であっても、二次側圧力は〔供給圧力-0.6〕kPa〕程度の圧力を確保できていることがわかる。
ここで、瞬時遮断処理の上限圧力は、技術的な意味から供給圧力となる。
【0038】
以上の結果から、当該実施形態の瞬時開放処理では、遮断弁30を2.0mm以上3.0mm未満の弁開度で且つ2秒未満の開放時間とすることで、二次側へ流入するガスの流量は、なるべく抑制しながらも、二次側での圧力降下を測定して漏洩判定が実行できる程度としている。
【0039】
〔制御フロー〕
ガスメータ100では、制御部C1が、SIセンサSIにて所定のSI値が検出されたときに、当該SI値が遮断判定閾値(例えば、30カイン以上60カイン以下程度の値:第1判定閾値の一例)以上となるか否かの判定を経時的に実行する(#01でNo)。
制御部C1は、SIセンサSIにて検出されたSI値が遮断判定閾値以上である場合(#01でYes)、感震遮断処理を実行する(#02)。
【0040】
制御部C1は、感震遮断処理の後、SIセンサSIにて検出されたSI値が大規模地震判定閾値(例えば、60カイン以上程度の値:第2判定閾値の一例)以上である場合(#03でYes)、以下に示す#04のガス使用状況確認処理、#06の瞬時開放処理をスキップし、漏洩判定処理を実行する(#07)。換言すると、この場合、制御部C1は、瞬時開放禁止処理を実行する。
一方、制御部C1は、SI値が大規模地震判定閾値未満である場合(#03でNo)、ガス使用状況確認処理を実行する。具体的には、制御部C1は、感震遮断処理の前に、超音波流量計SJ1、SJ2にて計測されたガス流量がガス使用判定閾値以上である場合(ガス使用状態である場合:#04でYes)、瞬時開放処理を実行し、ガス流量がガス使用判定閾値未満である場合(ガス非使用状態である場合:#04でNo)、瞬時開放処理をスキップする。
【0041】
尚、当該実施形態に係る制御フローでは、二次側への不要な吹き込みを極力避けるため、二次側圧力が圧力降下検知下限閾値未満である場合にのみ、#06の瞬時開放処理を実行する。
即ち、#04の判定でYesの後、二次側圧力が圧力降下検知下限閾値以上である場合(#05でYes)、#06の瞬時開放処理をスキップし、二次側圧力が圧力降下検知下限閾値未満である場合(#05でNo)、#06の瞬時開放処理を実行する。
【0042】
制御部C1は、その後、漏洩判定処理を実行し(#07)、漏洩の可能性がある場合(#08でYes)、即ち、二次側で所定以上の圧力降下が検出された場合(#08でYes)、警報ランプRを点灯する等の警報処理を実行すると共に、監視センターCSへ通知する(#10)。一方、漏洩の可能性がない場合(#08でNo)、遮断弁30を開放する復帰処理を実行する(#09)。
【0043】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、ガスメータ100は、超音波式のものを示した。本発明は、ガスメータ100が、膜式メータであっても同様の作用及び効果を発揮する。
【0044】
(2)上記実施形態における感震部としては、SIセンサの他、外部からの衝撃により内部に設けられる金属玉の速度を検知する衝撃検知センサ等を好適に用いることができる。
【0045】
(3)上記実施形態では、圧力降下検知下限閾値は、0.4kPa以上としたが、圧力降下による二次側配管の破損をより適切に判定する観点からは、1.0kPa程度とすることが好ましい。
【0046】
(4)上記実施形態では、ガス使用状況確認処理及び瞬時開放禁止処理を実行する例を示したが、当該処理は実行しなくても本発明は機能する。
【0047】
(5)上記制御フローでは、#05の判定を含むものを例示したが、当該#05の処理を実行しないものも権利範囲に含むものである。
【0048】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の感震遮断復帰方法、感震遮断復帰プログラム、それらを実行可能な制御装置及びガスメータは、感震遮断後の復帰処理において、遮断弁の二次側において遮断前にガス機器の使用があった場合であっても、二次側の漏洩の有無を適切に判定することができる感震遮断復帰方法、感震遮断復帰プログラム、それらを実行可能な制御装置及びガスメータとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
30 :遮断弁
100 :ガスメータ
C :制御装置
C1 :制御部
G :ガス
L :ガス通流路
S1 :圧力センサ
SI :SIセンサ