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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】検出装置、作業機および検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20240809BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G01B11/25 H
H05K13/08 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020151728
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022045951
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 みきね
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/128823(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/145687(WO,A1)
【文献】特開2008-311516(JP,A)
【文献】特開2012-151332(JP,A)
【文献】特開平2-102405(JP,A)
【文献】特開2013-74204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/25
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々に独立している複数のテープフィーダの表面に現れたモアレ縞を、作業機に配設された撮像装置で撮像して取得した撮像データに基づいて、前記複数のテープフィーダにおいてトップカバーテープの切断若しくは撓みが発生しているのか否かを検出する検出装置。
【請求項2】
前記複数のテープフィーダの少なくとも1つに第1の作業が実行された後に、前記複数のテープフィーダの少なくとも1つに第2の作業が実行される場合に、
前記複数のテープフィーダの表面に現れたモアレ縞を、前記第1の作業が実行された後であって前記第2の作業が実行される前の時間に前記撮像装置で撮像して取得した撮像データに基づいて、前記複数のテープフィーダにおいてトップカバーテープの切断若しくは撓みが発生しているのか否かを検出する請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記複数のテープフィーダの表面に現れたモアレ縞を、前記第1の作業が実行された後であって前記第2の作業が実行される前の時間に前記撮像装置で撮像して取得した撮像データと、前記第1の作業が実行される前の時間に前記撮像装置で撮像して取得した撮像データとに基づいて、前記複数のテープフィーダにおいてトップカバーテープの切断若しくは撓みが発生しているのか否かを検出する請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記複数のテープフィーダにおいてトップカバーテープの切断若しくは撓みが発生している場合に、トップカバーテープの切断若しくは撓みが発生しているテープフィーダを前記複数のテープフィーダのなかから特定する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記複数のテープフィーダと、
前記撮像装置と、
前記複数のテープフィーダから部品を保持する保持装置と、
を備える作業機において、
請求項4に記載の検出装置がトップカバーテープの切断若しくは撓みが発生しているテープフィーダを特定した場合に、特定したテープフィーダ以外のテープフィーダから前記保持装置により部品を保持する作業機。
【請求項6】
作業者が工具を用いることなく着脱可能な状態で作業機に載置された複数のテープフィーダの表面にパターン光を照射する照射工程と、
前記照射工程よって現れた前記複数のテープフィーダの表面のモアレ縞を前記作業機が備える撮像装置で撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像して取得した撮像データに基づいて、前記複数のテープフィーダにおいてトップカバーテープの切断若しくは撓みが発生しているのか否かを検出する検出工程と、
を含む検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に配設された撮像装置で撮像して取得した撮像データに基づいて、複数の物体に関する情報を検出する検出装置、および検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、作業機に配設された撮像装置で撮像して取得した撮像データに基づいて、回路基板に関する情報を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-530522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、撮像データに基づいて、複数の物体に関する情報を適切に検出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、個々に独立している複数のテープフィーダの表面に現れたモアレ縞を、作業機に配設された撮像装置で撮像して取得した撮像データに基づいて、前記複数のテープフィーダにおいてトップカバーテープの切断若しくは撓みが発生しているのか否かを検出する検出装置を開示する。また、上記課題を解決するために、本明細書は、前記複数のテープフィーダと、前記撮像装置と、前記複数のテープフィーダから部品を保持する保持装置と、を備える作業機において、上記検出装置がトップカバーテープの切断若しくは撓みが発生しているテープフィーダを特定した場合に、特定したテープフィーダ以外のテープフィーダから前記保持装置により部品を保持する作業機を開示する。
【0006】
また、上記課題を解決するために、本明細書は、作業者が工具を用いることなく着脱可能な状態で作業機に載置された複数のテープフィーダの表面にパターン光を照射する照射工程と、前記照射工程よって現れた前記複数のテープフィーダの表面のモアレ縞を前記作業機が備える撮像装置で撮像する撮像工程と、前記撮像工程で撮像して取得した撮像データに基づいて、前記複数のテープフィーダにおいてトップカバーテープの切断若しくは撓みが発生しているのか否かを検出する検出工程と、を含む検出方法を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、複数の物体の表面に現れたモアレ縞を撮像装置で撮像して取得した撮像データに基づいて、複数の物体に関する情報が検出される。これにより、撮像データに基づいて、複数の物体に関する情報を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子部品装着装置を示す斜視図である。
図2】テープ化部品を示す平面図である。
図3】テープフィーダを示す概略図である。
図4】制御装置を示すブロック図である。
図5】部品の廃棄作業を示す作動図である。
図6】ノズルトレイを示す平面図である。
図7】パターン光が照射されたテープフィーダを示す斜視図である。
図8】パターン光が照射されたノズルトレイを示す平面図である。
図9】パターン光が照射されたテープフィーダを示す斜視図である。
図10】パターン光が照射されたノズルトレイを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0010】
図1に、電子部品装着装置10を示す。電子部品装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に隣接された2台の電子部品装着機(以下、装着機と略す場合がある)14とを有している。なお、装着機14の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0011】
各装着機14は、主に、装着機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置(以下、移動装置と略す場合がある)24、装着ヘッド26、供給装置28、ノズルステーション30、廃棄ボックス32、マークカメラ(図4参照)34、パーツカメラ36、全体カメラ38、照射装置40、制御装置(図4参照)42を備えている。装着機本体20は、フレーム46と、そのフレーム46に上架されたビーム48とによって構成されている。
【0012】
搬送装置22は、2つのコンベア装置50,52を備えている。それら2つのコンベア装置50,52は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム46に配設されている。2つのコンベア装置50,52の各々は、電磁モータ(図4参照)54によって各コンベア装置50,52に支持される回路基板56をX軸方向に搬送する。また、回路基板56は、所定の位置において、基板保持装置(図4参照)58によって保持される。つまり、回路基板56は、基板保持装置58により所定の位置で保持されており、工具を用いることなくワンタッチで所定の位置において着脱可能に位置決めされている。
【0013】
移動装置24は、XYロボット型の移動装置である。移動装置24は、スライダ60をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(図4参照)62と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ(図4参照)64とを備えている。スライダ60には、装着ヘッド26が工具を用いることなくワンタッチで着脱可能に位置決めして装着されている。これにより、装着ヘッド26は、2つの電磁モータ62,64の作動によって、フレーム46上の任意の位置に移動させられる。
【0014】
装着ヘッド26は、回路基板56に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド26の下端面には、吸着ノズル66が工具を用いることなくワンタッチで着脱可能に装着されている。吸着ノズル66は、負圧エア、正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(図4参照)67に通じている。吸着ノズル66は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、装着ヘッド26は、吸着ノズル66を昇降させるノズル昇降装置(図4参照)68を有している。そのノズル昇降装置68によって、装着ヘッド26は、保持する電子部品の上下方向の位置を変更する。
【0015】
供給装置28は、フィーダ型の供給装置であり、複数のテープフィーダ70を有している。複数のテープフィーダ70の各々は、フレーム46に固定的に設けられたフィーダ保持台72のスロットに、工具を用いることなくワンタッチで着脱可能に位置決めして装着されている。
【0016】
テープフィーダ70は、電子部品を収容したテープであるテープ化部品を巻回させた状態で収容しており、そのテープ化部品を供給位置に向かって送り出すことで、供給位置において電子部品を供給する。詳しくは、テープ化部品80は、図2に示すように、キャリアテープ82と、電子部品84と、トップカバーテープ86とから構成されている。キャリアテープ82には、多数の収容凹部88および送り穴90が一定のピッチで形成されており、収容凹部88に電子部品84が収容されている。そして、電子部品84が収容された収容凹部88が、トップカバーテープ86によって覆われている。
【0017】
また、テープフィーダ70は、図3に示すように、テープリール(図示省略)と、フィーダ本体100と、送出装置102と、剥離装置104とから構成されている。テープリールには、テープ化部品80が巻回されている。そして、そのテープリールからテープ化部品80が引き出され、フィーダ本体100の上端面に延在されている。フィーダ本体100の内部には、スプロケット106を有する送出装置102が内蔵されている。そのスプロケット106は、フィーダ本体100の上端面に延在されているテープ化部品80の送り穴90に係合している。そして、そのスプロケット106が送出装置102によって回転させられることで、テープ化部品80が、フィーダ本体100の上端面において、供給位置108に向かって送り出される。
【0018】
また、フィーダ本体100の上端面に延在されているテープ化部品80では、送り穴90に係合するスプロケット106の上流側において、キャリアテープ82からトップカバーテープ86が剥がされ、その剥がされたトップカバーテープ86が剥離装置104によって引っ張られる。これにより、フィーダ本体100の上端面の供給位置108に近い箇所において、テープ化部品80の収容凹部88が順次、開放され、その開放された収容凹部88に収容された電子部品84が供給位置108において吸着ノズル66によって保持される。
【0019】
ノズルステーション30は、図1に示すように、供給装置28の隣に配設されている。そして、ノズルステーション30は、ノズルトレイ110を有している。ノズルトレイ110には、複数の吸着ノズル66が収容されている。このノズルステーション30では、装着ヘッド26に取り付けられている吸着ノズル66と、ノズルトレイ110に収容されている吸着ノズル66との交換等が、必要に応じて行われる。また、ノズルトレイ110は、ノズルステーション30に作業者が工具を用いることなくワンタッチで着脱可能に位置決めして装着されている。このため、作業者は、ノズルトレイ110に収容された吸着ノズル66の回収や、ノズルトレイ110への吸着ノズル66の補給等を装着機14の外部において行うことが可能である。
【0020】
廃棄ボックス32は、ノズルステーション30と搬送装置22との間に配設されている。廃棄ボックス32は、上端が開口する箱形状とされており、破損した電子部品等の不良品が内部に廃棄される。なお、廃棄ボックス32は、ボルト等でフレーム46に締結されておらず、フレーム46に形成された凸部などにより位置決めされた状態で載置されている。このため、廃棄ボックス32は、作業者が工具を用いることなくワンタッチで着脱可能に位置決めしてフレーム46に配設されている。
【0021】
マークカメラ34は、鉛直軸線上において下方を向いた状態でスライダ60に取り付けられており、装着ヘッド26とともに、X方向,Y方向に移動する。これにより、マークカメラ34は、フレーム46上の任意の位置を撮像する。また、パーツカメラ36は、フレーム46上の搬送装置22と供給装置28との間に、鉛直軸線上において上方を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ36は、装着ヘッド26の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
【0022】
全体カメラ38は、所謂、天吊カメラであり、装着機本体20のビーム48に下方を向いた状態で配設されている。全体カメラ38は、広視野角のカメラであり、装着機14の内部の全体を撮像することが可能である。具体的には、フレーム46に配設された搬送装置22,供給装置28等の装置,各装置に付随する回路基板,電子部品等の全ての物体、つまり、フレーム上の複数の物体を撮像することが可能である。例えば、フィーダ保持台72に装着されている供給装置28の複数のテープフィーダ70,搬送装置22において基板保持装置58により保持されている回路基板56,ノズルトレイ110に収容されている吸着ノズル66,廃棄ボックス32に廃棄された不良品などを全体カメラ38により
撮像することが可能である。なお、マークカメラ34、パーツカメラ36、全体カメラ38は、2次元カメラであり、2次元画像を撮像する。
【0023】
照射装置40は、全体カメラ38の隣、つまり、装着機本体20のビーム48に下方を向いた状態で配設されている。照射装置40は、格子状のパターン光を照射するものであり、装着機14の内部の全体、具体的には、フレーム46に配設された搬送装置22,供給装置28等の装置,各装置に付随する回路基板,電子部品等の複数の物体に、格子状のパターン光を照射する。この際、パターン光を照射したフレーム上の複数の物体の表面にモアレ縞が現れる。なお、モアレ縞は、干渉縞であり、規則正しく繰り返される模様が複数重ね合わせられた場合に、模様の周期のズレにより発生する縞模様である。また、規則正しい模様がカメラにより撮像された場合に、画像の画素解像度と模様の周波数とのズレによって発生する縞模様である。そして、照射装置40により複数の物体にパターン光が照射されたタイミングで、全体カメラ38によってパターン光が照射された複数の物体の撮像が行われる。これにより、フレーム上の複数の物体の表面に現れたモアレ縞が、照射装置40により撮像される。そして、このような手法により撮像されたモアレ縞の画像データを画像処理装置が取得し、取得した画像データに基づいて、コントローラ内の演算装置が位相シフト法,サンプリングモアレ法等により解析することで、撮像された物体の高さを示す情報(以下、「高さ情報」と記載する)が、X軸方向及びY軸方向での全ての座標において演算される。つまり、装着機14では、全体カメラ38の画像データに基づいて、フレーム上のXY平面での全ての座標において、複数の物体の高さ情報が得られる。なお、位相シフト法,サンプリングモアレ法等は、公知の技術であるため、説明は省略する。
【0024】
制御装置42は、図4に示すように、コントローラ120と複数の駆動回路122とを有している。複数の駆動回路122は、上記電磁モータ54,62,64、基板保持装置58、正負圧供給装置67、ノズル昇降装置68、送出装置102、剥離装置104、照射装置40に接続されている。コントローラ120は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路122に接続されている。これにより、搬送装置22、移動装置24等の作動が、コントローラ120によって制御される。また、コントローラ120は、画像処理装置126にも接続されている。画像処理装置126は、マークカメラ34,パーツカメラ36,全体カメラ38により撮像された撮像データを処理するための装置である。これにより、コントローラ120は、撮像データから各種情報を取得する。
【0025】
装着機14では、上述した構成によって、搬送装置22において保持された回路基板に対して、装着ヘッド26によって装着作業を行うことが可能である。具体的には、制御装置42のコントローラ120の指令により、回路基板56が、所定の作業位置まで搬送され、その位置において、基板保持装置58によって保持される。また、回路基板56が基板保持装置58により保持されると、マークカメラ34が、コントローラ120の指令により、回路基板56の上方に移動し、回路基板56を撮像する。これにより、回路基板56の保持位置等に関する情報がコントローラ120により演算される。
【0026】
また、テープフィーダ70は、コントローラ120の指令により、テープ化部品80を送り出し、電子部品84を供給位置108において供給する。そして、装着ヘッド26が、供給位置108の上方に移動し、吸着ノズル66によって電子部品84を吸着保持する。続いて、装着ヘッド26が、パーツカメラ36の上方に移動し、吸着ノズル66によって保持された電子部品84が、パーツカメラ36によって撮像される。これにより、部品の保持姿勢や保持位置等に関する情報がコントローラ120により演算される。また、コントローラ120は、パーツカメラ36の撮像データに基づいて吸着ノズル66に保持された電子部品84の良否を確認する。
【0027】
具体的には、撮像データに基づいて吸着ノズル66に保持された電子部品84の外型に関する情報(以下、「演算部品情報」と記載する)を演算する。一方、コントローラ120には、正常な電子部品84の外型に関する情報(以下、「正常部品情報」と記載する)が記憶されている。そして、コントローラ120は、演算部品情報と正常部品情報とを比較し、演算部品情報と正常部品情報とが一致しない場合に、吸着ノズル66に保持されている電子部品84は正常でないと判断する。つまり、コントローラ120は、吸着ノズル66に保持されている電子部品84は不良品であると判断する。そして、不良品であると判断された電子部品84は廃棄ボックス32に廃棄される。
【0028】
この際、不良品であると判断された電子部品84は、廃棄ボックス32の上方で吸着ノズル66から離脱されずに、廃棄ボックス32の下面に近い内部において離脱される。詳しくは、吸着ノズル66に保持されている電子部品84が不良品であると判断されると、装着ヘッド26が廃棄ボックス32の上方に移動する。これにより、図5に示すように、吸着ノズル66に保持されている電子部品84が廃棄ボックス32の上方に移動する。次に、ノズル昇降装置68の作動により、吸着ノズル66が下降し、吸着ノズル66に保持された電子部品84が廃棄ボックス32の内部に移動する。そして、吸着ノズル66は、正負圧供給装置67の作動により保持している電子部品84を離脱することで、不良品であると判断された電子部品84が廃棄ボックス32に廃棄される。このように、吸着ノズル66が保持している電子部品84を廃棄ボックス32の内部において離脱することで、電子部品84が廃棄ボックス32の内部に落下した際に発生する音を小さくすることができる。
【0029】
また、コントローラ120は、演算部品情報と正常部品情報とを比較し、演算部品情報と正常部品情報とが一致する場合に、吸着ノズル66に保持されている電子部品84は正常であると判断する。そして、吸着ノズル66に保持されている電子部品84が正常であると判断されると、装着ヘッド26が、回路基板56の上方に移動し、回路基板56の保持位置,電子部品84の保持姿勢等に基づいて、電子部品84を回路基板56の装着予定位置に装着する。このように、装着機14では、テープフィーダ70により供給された電子部品84が吸着ノズル66により保持され、吸着ノズル66に保持され正常と判断された電子部品84が回路基板56に装着される。
【0030】
また、テープフィーダ70により供給される部品のサイズに応じて、装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル66が交換される。つまり、例えば、装着ヘッド26にノズル径の小さい吸着ノズル66が装着されており、テープフィーダ70によりサイズの大きい部品が供給される場合に、ノズル径の小さい吸着ノズル66の代わりに、ノズル径の大きい吸着ノズル66が装着ヘッド26に装着される。具体的には、図6に示すように、ノズルトレイ110には、複数の載置穴130が形成されており、それら複数の載置穴130のうちの1以上の載置穴130に、ノズル径の大きい吸着ノズル66が収容されている。なお、ノズルトレイ110の複数の載置穴130のうちの1以上の載置穴130には、吸着ノズル66が収容されておらず、その載置穴130は空の状態とされている。そして、装着ヘッド26が、空の状態の載置穴130の上方に移動し、吸着ノズル66が下降することで、吸着ノズル66に装着されている吸着ノズル66が、その載置穴130に挿入されるとともに、装着ヘッド26がそのノズルを離脱する。これにより、装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル66が装着ヘッド26から取り外されて、載置穴130に収容される。次に、装着ヘッド26が、ノズル径の大きい吸着ノズル66が収容されている載置穴130の上方に移動し、その吸着ノズル66に向かって下降することで、載置穴130に収容されている吸着ノズル66が、吸着ノズル66に装着される。これにより、テープフィーダ70により供給される部品のサイズに応じて、装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル66が自動で交換される。
【0031】
このように、装着機14では、テープフィーダ70により供給された部品の吸着ノズル66による保持作業、吸着ノズル66に保持された部品の回路基板56への装着作業、不良品と判断された部品の廃棄ボックス32への廃棄作業、ノズルトレイ110での吸着ノズル66の交換作業などが実行される。ただし、それら複数の作業において、装着ヘッド26が移動する際に、装着ヘッド26や装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル66等が、予定外の位置に存在するものに干渉する虞がある。
【0032】
具体的には、テープフィーダ70において、部品が供給される際には、上述したように、テープ化部品80においてキャリアテープ82からトップカバーテープ86が剥がされており、その剥がされたトップカバーテープ86が剥離装置104によって引っ張られる。この際、剥離装置104によって引っ張られているトップカバーテープ86が切れる場合がある。このような場合には、切れたトップカバーテープ86の端部が、予定外の位置において浮遊する。このため、トップカバーテープ86が切れたテープフィーダ70から、装着ヘッド26が電子部品を保持するべく、そのテープフィーダ70に向って移動すると、装着ヘッド26若しくは、装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル66が、切れたキャリアテープ82と干渉する虞がある。
【0033】
また、吸着ノズル66により保持された電子部品の回路基板56への装着作業時において、電子部品84が回路基板56の装着予定位置に装着される前に、吸着ノズル66により保持された電子部品が吸着ノズル66から脱落する場合がある。そして、吸着ノズル66から脱落した電子部品は、回路基板56の上面において、その電子部品の装着予定位置と異なる位置、つまり、予定外の位置に落下する。このように、電子部品が装着予定位置と異なる予定外の位置に落下していると、その電子部品の装着作業の後に実行される装着作業時において、装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル66、若しくは、吸着ノズル66に保持されている電子部品が、回路基板56の上に落下している電子部品と干渉する虞がある。
【0034】
また、廃棄ボックス32に多くの電子部品が廃棄されており、廃棄ボックス32の内部において廃棄された多くの電子部品が予定外の高さまで積みあがっている場合がある。このような場合に、吸着ノズル66に保持された電子部品を廃棄ボックス32に廃棄するべく、吸着ノズル66が廃棄ボックス32の内部に向って下降した際に、その吸着ノズル66、若しくは、吸着ノズル66に保持されている電子部品が、廃棄ボックス32の内部で積み上がっている電子部品と干渉する虞がある。
【0035】
また、ノズルトレイ110での吸着ノズル66の交換作業時において、装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル66がノズルトレイ110の載置穴130に収容される際に、吸着ノズル66が載置穴130に収容されずに、ノズルトレイ110の上に脱落する場合がある。つまり、例えば、図6に示すように、装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル66の載置穴130aへの収容作業時に、吸着ノズル66が載置穴130aに収容されずに、ノズルトレイ110の上に脱落する場合がある。このような場合に、ノズルトレイ110の上に脱落した吸着ノズル66は、収容予定の載置穴130aと異なる位置、つまり、予定外の位置に落下する。このように、吸着ノズル66が収容予定位置と異なる予定外の位置に落下していると、その吸着ノズル66の交換作業の後に実行される吸着ノズル66の交換作業時において、装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル66が、ノズルトレイ110の上に落下している吸着ノズル66と干渉する虞がある。
【0036】
このように、上述した作業において、装着ヘッド26が移動する際に、装着ヘッド26や装着ヘッド26に装着されている吸着ノズル66等が、予定外の位置に存在して装着ヘッドと干渉すると、適切に作業を実行することができない。例えば、テープフィーダ70
の上方に物体の有無を検出するための検出センサを配設しておき、切れたり巻き取り不良で緩みが出たりしたトップカバーテープ86を検出センサによって検出することで、切れたり撓んだりしたトップカバーテープと作業ヘッドとの干渉を回避することが考えられる。しかしながら、複数のテープフィーダ70の各々に検出センサを配設していては、配設コストが高くなるため、通常は、複数のテープフィーダ70に対して、1つの検出センサが配設される。このように、複数のテープフィーダ70に対して、1つの検出センサが配設されると、ある1台のテープフィーダ70のトップカバーテープ86の切断が検出された場合、複数のテープフィーダのうちからその1台のテープフィーダ70を特定することができないため、装着機14の作動を停止させて作業者が当該フィーダを特定して確認する必要がある。また、検出センサは、物体の有無を検出することはできるが、形状まで検出することはできない。このため、例えば、装着ヘッド26がテープフィーダ70から部品を保持するべく、テープフィーダ70の上方を通過すると、検出センサにより装着ヘッド26が検出される。そこで、装着ヘッド26がテープフィーダ70の上方を移動する時においては、検出センサによるトップカバーテープの検出を除外する必要があり、検出センサを用いたトップカバーテープ86の検出には複雑な処理や検出するときの条件を設定する必要がある。このように、検出センサを用いたトップカバーテープ86の検出には、種々の問題がある。また、回路基板上での落下物を検出するための検出センサ,廃棄ボックス32に廃棄された部品を検出するための検出センサ,ノズルトレイ110での落下物を検出するための検出センサ等を用いた場合においても、テープフィーダ70に配設される検出センサと同様に、種々の問題がある。
【0037】
このようなことを鑑みて、装着機14では、各作業時において各作業が実行される毎に、全体カメラ38による撮像が行われ、その撮像により得られる撮像データに基づいて、テープフィーダ70,回路基板56,廃棄ボックス32,ノズルトレイ110等における高さ情報が検出される。
【0038】
つまり、複数の物体に対して作業が実行される前に、照射装置40で複数の物体にパターン光を照射して、モアレ縞が現れた複数の物体を撮像して、複数の物体の初期高さ情報を得る。ここで、初期高さ情報は、複数の物体が正常な高さにあるという情報であり、部品に現れたモアレ縞のパターンに基づく情報である。具体的には、装着機14に回路基板が搬入され、作業位置において回路基板が保持されると、上記作業、つまり、テープフィーダ70からの部品の保持作業,回路基板への部品の装着作業,廃棄ボックス32への部品の廃棄作業,ノズルトレイ110での吸着ノズルの交換作業等が実行される前に、全体カメラ38による撮像が行われる。この際、装着機内では照射装置40によりパターン光が照射されており、テープフィーダ70,回路基板,廃棄ボックス32等の複数の物体にモアレ縞が現れている。このため、複数の物体に現れているモアレ縞が撮像される。そして、モアレ縞の撮像データに基づいて、フレーム上のXY平面での全ての座標において、複数の物体の高さ情報が演算される。なお、高さ情報は、上述したように、コントローラ120内の演算装置が位相シフト法,サンプリングモアレ法等により解析することで、撮像された物体の高さを示す情報、つまり、高さ情報をX軸方向及びY軸方向での全ての座標において演算する。
【0039】
これにより、上記作業が実行される前の複数のテープフィーダ70の高さ情報、回路基板の上面の高さ情報、廃棄ボックスの内部の高さ情報、ノズルトレイ110の上面の高さ情報が、それら複数の物体に現れたモアレ縞に基づいて演算される。つまり、トップカバーテープ86が切れていない状態での複数のテープフィーダ70の高さ情報、落下物の無い状態での回路基板の上面の高さ情報、部品が廃棄されていない状態での廃棄ボックスの内部の高さ情報、落下物の無い状態でのノズルトレイ110の上面の高さ情報が演算される。なお、上記作業が実行される前のテープフィーダ70,回路基板などの物体の高さ情報が、複数の物体が正常な高さにあるという情報であり、初期高さ情報である。
【0040】
詳しくは、部品の保持作業が実行される前の複数のテープフィーダ70に照射装置40によりパターン光が照射されると、図7に示すように、テープフィーダ70にモアレ縞150が現れる。なお、図7では、トップカバーテープ86の周囲に現れるモアレ縞150のみが記されている。そして、そのモアレ縞150が撮像され、撮像により得られたモアレ縞150の撮像データがコントローラ120において解析されることで、トップカバーテープ86の周囲のテープフィーダ70の高さ情報が演算される。つまり、装着作業が実行される前にトップカバーテープ86は切れていないため、トップカバーテープ86が切れたり緩みが出ていない状態での複数のテープフィーダ70の初期高さ情報が演算される。なお、切れたり緩みが出ていない状態のテープフィーダ70に現れるモアレ縞150は概して直線状とされている。
【0041】
また、吸着ノズル66の交換作業が実行される前のノズルトレイ110に照射装置40によりパターン光が照射されると、図8に示すように、ノズルトレイ110及び、ノズルトレイ110に収容されている吸着ノズル66にモアレ縞160が現れる。そして、そのモアレ縞160が撮像され、撮像により得られたモアレ縞160の撮像データがコントローラ120において解析されることで、ノズルトレイ110のテープフィーダ70の高さ情報が演算される。つまり、吸着ノズル66の交換作業が実行される前にノズルトレイ110に落下物はないため、落下物の無い状態でのノズルトレイ110の初期高さ情報が演算される。なお、ノズルトレイ110の上面に現れるモアレ縞160は概して直線状とされており、載置穴130には、モアレ縞160は現れない。また、ノズルトレイ110に収容されている吸着ノズル66の上端はノズルトレイ110の上面より上方に突出しているため、湾曲した三角形状のモアレ縞160が吸着ノズル66の上端に現れる。
【0042】
また、部品の装着作業が実行される前の回路基板に照射装置40によりパターン光が照射されると、回路基板の上面にモアレ縞が現れる。そして、そのモアレ縞が撮像され、撮像により得られたモアレ縞の撮像データがコントローラ120において解析されることで、回路基板の上面の高さ情報が演算される。つまり、部品の装着作業が実行される前に回路基板に落下物はないため、落下物の無い状態での回路基板の上面の初期高さ情報が演算される。なお、ノズルトレイ110の上面に現れるモアレ縞は、図示しないが、概して直線状のモアレ縞である。
【0043】
また、部品の廃棄作業が実行される前の廃棄ボックス32の内部に照射装置40によりパターン光が照射されると、廃棄ボックス32の内部の底面にモアレ縞が現れる。そして、そのモアレ縞が撮像され、撮像により得られたモアレ縞の撮像データがコントローラ120において解析されることで、廃棄ボックス32の内部の底面の高さ情報が演算される。つまり、部品の廃棄作業が実行される前に廃棄ボックス32の内部に部品廃棄されていないため、部品が廃棄されていない状態での廃棄ボックスの内部の初期高さ情報が演算される。なお、廃棄ボックス32の内部の底面に現れるモアレ縞は、図示しないが、概して直線状のモアレ縞である。
【0044】
そして、上述したように、照射装置40によりテープフィーダ70,ノズルトレイ110等の複数の物体にパターン光が照射され、複数の物体に現れたモアレ縞の撮像データに基づいて、それら複数の物体の初期高さ情報が演算されると、複数の物体に対する各種作業が実行される。具体的には、テープフィーダ70により部品が供給され、テープフィーダ70から装着ヘッド26の吸着ノズル66により部品が保持される。そして、吸着ノズル66に保持された部品が回路基板に装着される。この際、テープフィーダ70による部品の供給時において、トップカバーテープ86が切れる可能性はある。このため、テープフィーダ70から吸着ノズル66により部品が保持された後に、再度、テープフィーダ70から吸着ノズル66により部品が保持される前に、照射装置40によるパターン光の照
射が行われ、全体カメラ38による撮像が行われる。つまり、1回目のテープフィーダ70からの部品の保持作業が実行された後に、2回目のテープフィーダ70からの部品の保持作業が実行される前に、照射装置40によるパターン光の照射が行われ、全体カメラ38による撮像が行われる。具体的には、1回目のテープフィーダ70からの部品の保持作業が実行された後に、その部品が回路基板56に装着されている間に、照射装置40によってパターン光が照射されて、パターン光の照射によって現れたモアレ縞が全体カメラ38によって撮像される。なお、テープフィーダ70の上方には、当然、装着ヘッド26は位置していないため、装着ヘッド26に遮られることなく、複数のテープフィーダ70に現れたモアレ縞が撮像される。そして、複数のテープフィーダ70に現れたモアレ縞の撮像データに基づいて、複数のテープフィーダ70の高さ情報が演算される。
【0045】
このように、1回目のテープフィーダ70からの部品の保持作業が実行された後に、2回目のテープフィーダ70からの部品の保持作業が実行される前に、複数のテープフィーダ70の高さ情報が演算される。なお、1回目の作業が実行され、2回目の作業が実行される前の複数のテープフィーダの高さ情報を、1回目高さ情報と記載する。そして、複数のテープフィーダ70の1回目高さ情報と、複数のテープフィーダ70の初期高さ情報とが比較され、複数のテープフィーダ70の1回目高さ情報と初期高さ情報とが同じであれば、複数のテープフィーダ70の各々においてトップカバーテープ86の切断や撓みは生じていないと判断される。つまり、初期高さ情報が演算される際のモアレ縞の撮像データが、図7に示す形状であり、1回目高さ情報が演算される際のモアレ縞の撮像データも、図7に示す形状である場合に、複数のテープフィーダ70の1回目高さ情報と初期高さ情報とが同じであると判断される。このような場合に、複数のテープフィーダ70の各々において異常は発生しておらず、複数のテープフィーダ70の各々は正常な状態であると判断される。このため、複数のテープフィーダ70の1回目高さ情報と初期高さ情報とが同じであると判断された場合に、テープフィーダ70から供給される部品の2回目の保持作業が実行される。
【0046】
一方、1回目のテープフィーダ70からの部品の保持作業が実行された際に、トップカバーテープ86が切れたり緩んだりする場合がある。このような場合に、複数のテープフィーダ70に照射装置40によりパターン光が照射されると、図9に示すように、テープフィーダ70にモアレ縞170が現れる。詳しくは、テープフィーダ70aにおいてトップカバーテープ86aに緩みが生じており、そのトップカバーテープ86aに現れたモアレ縞170aは上方に向った湾曲している。一方、緩みが生じていないトップカバーテープ86aに現れたモアレ縞170は概して直線状である。このため、緩みが生じているトップカバーテープ86aに現れたモアレ縞170aに基づいて演算される高さ情報は、緩みが生じていないトップカバーテープ86に現れたモアレ縞170に基づいて演算される高さ情報と比較して、トップカバーテープ86の高さが高いことを示す情報となる。このため、複数のテープフィーダ70の1回目高さ情報と初期高さ情報とが比較された場合、つまり、図7に示すモアレ縞150に基づく初期高さ情報と、図9に示すモアレ縞170に基づく1回目高さ情報とが比較された場合に、複数のテープフィーダ70の1回目高さ情報と初期高さ情報とが異なると判断される。この際、複数のテープフィーダ70の何れかにおいて、トップカバーテープ86の切断や撓みが生じていると判断される。つまり、複数のテープフィーダ70のうちの何れかのテープフィーダにおいて異常が発生しており、複数のテープフィーダ70のうちの何れかのテープフィーダが異常な状態であると判断される。そして、高さ情報は、上述したように、フレーム上のXY平面での全ての座標において演算されているため、複数のテープフィーダ70の1回目高さ情報と初期高さ情報とが異なると判断された場合に、異なると判断された高さ情報の座標を特定することができる。つまり、複数のテープフィーダ70のうちの異常が発生しているテープフィーダ70aを特定することができる。このため、異常が発生しているテープフィーダが特定されると、その異常が発生しているテープフィーダ70と異なるテープフィーダ70、つまり
、正常なテープフィーダ70から部品を保持するための指令が、出力される。この指令により、装着ヘッド26が、正常なテープフィーダ70の上方に移動し、正常なテープフィーダ70から部品を保持する。なお、装着ヘッド26は、異常が発生しているテープフィーダ70の上方を回避する経路で移動する。このように、装着ヘッド26が、複数のテープフィーダ70のうちのトップカバーテープ86の切断や撓みが生じていないテープフィーダ70から部品を保持することで、切れたり撓んだりしたトップカバーテープ86との干渉を防止することができる。また、複数のテープフィーダ70のうちの異常が発生しているテープフィーダ70を特定することで、装着機14の作動を停止することなく、続行することが可能となる。
【0047】
また、装着ヘッドのテープフィーダ70から供給される部品の2回目の保持作業が実行された後であって、装着ヘッドのテープフィーダ70から供給される部品の3回目の保持作業が実行される前においても、照射装置40によってパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によって複数のテープフィーダの撮像が行われ、その撮像データに基づいて、複数のテープフィーダ70の2回目高さ情報が演算される。そして、1回目高さ情報と同様に、複数のテープフィーダ70の2回目高さ情報と、複数のテープフィーダ70の初期高さ情報とが比較され、異常が発生しているテープフィーダ70が特定された場合には、装着ヘッドは、異常が発生しているテープフィーダ70以外のテープフィーダ70から部品を保持する。このように、部品の保持作業が実行される毎、つまり、装着ヘッドが、テープフィーダ70から供給される部品のN回目の保持作業が実行されたのちであって、テープフィーダ70から供給される部品の(N+1)回目の保持作業が実行される前において、全体カメラ38によって複数のテープフィーダの撮像が行われ、その撮像データに基づいて、複数のテープフィーダ70のN回目高さ情報が演算される。そして、複数のテープフィーダ70のN回目高さ情報と、複数のテープフィーダ70の初期高さ情報とが比較されることで、テープフィーダ70に異常が発生しているか否か、つまり、装着ヘッドがテープフィーダ70から供給される部品をN回目に保持するときのテープフィーダ70の状態が正常であるか否かを検出する。これにより、装着ヘッドが、テープフィーダ70から適切に部品を保持することができる。
【0048】
また、吸着ノズル66により部品が保持され、その部品の回路基板への装着作業が実行される毎にも、照射装置40によってパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によって回路基板の撮像が行われる。具体的には、回路基板が装着機14に搬入され、作業位置において保持された後に、最初、つまり、1回目にテープフィーダ70により供給された部品が回路基板に装着される際には、回路基板上に落下物がある可能性は殆どない。しかしながら、装着ヘッドが保持したその1回目の部品を回路基板に装着する時には、装着ヘッドが保持したその部品を回路基板の上に落下させる可能性がある。
【0049】
そこで、回路基板へ1回目の部品の装着作業が実行された後であって、2回目の部品の装着作業が実行される前に、照射装置40によってパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によって回路基板上の撮像が行われる。具体的には、回路基板へ1回目の部品の装着作業が実行された後に、装着ヘッドが、回路基板に部品の2回目の装着作業を安定的に実行できるように、装着ヘッド26がテープフィーダ70から供給される部品を保持するための作業を行っている間に、照射装置40によって1回目の部品の装着作業が実行された回路基板にパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によって1回目の部品の装着作業が実行された回路基板の撮像が行われる。これにより、部品が回路基板56に装着されている間に、照射装置40によってパターン光が回路基板に照射されて、パターン光の照射によって回路基板に現れたモアレ縞が全体カメラ38によって撮像される。なお、回路基板の上方には、当然、装着ヘッド26は位置していないために、全体カメラの視野が装着ヘッド26に遮られることなく、回路基板の上面が良好に撮像される。そして、回路基板に現れたモアレ縞の撮像データに基づいて、回路基板の上面の高さ情報が演算される。
これにより、装着ヘッドが、回路基板へ部品の1回目の装着作業が実行されたのちであって、回路基板へ部品の2回目の装着作業が実行される前の回路基板の上面の高さ情報、つまりは、1回目高さ情報が演算される。
【0050】
そして、取得した回路基板の上面の1回目高さ情報と、回路基板の上面の初期高さ情報とが比較される。この際、回路基板の上面の1回目高さ情報には、回路基板に1回目に装着された部品の高さ情報も含まれている。つまり、回路基板の上面の1回目高さ情報が演算される際の撮像データにおいて、回路基板に1回目に装着された部品に現れたモアレ縞は、湾曲した状態で現れており、その1回目に装着された部品の高さ情報が、回路基板の上面の1回目高さ情報に含まれている。なお、部品に現れる湾曲した状態のモアレ縞は、図9に示すモアレ縞170a、つまり、緩みが生じているトップカバーテープ86に現れたモアレ縞170aと略同じ形状である。このため、回路基板の上面の1回目高さ情報と初期高さ情報とは異なり、回路基板の上面における位置をXY座標で示した場合において、1回目高さ情報と初期高さ情報とを比較して異なったXY座標の位置に、1回目に装着された部品は装着されている。つまり、回路基板の上面の1回目高さ情報と初期高さ情報との相違に基づいて、回路基板上における部品の位置が演算される。また、コントローラ120には、回路基板に装着される全ての部品の装着予定位置が記憶されている。このため、高さ情報に基づいて演算された回路基板上における部品の位置(以下、「演算部品位置」と記載する)と、コントローラに記憶された回路基板上における1回目の部品の装着予定位置とが比較される。この結果、回路基板上における1回目の部品の演算部品位置と装着予定位置とが同じであれば、回路基板へ1回目の部品の装着作業が装着予定位置に装着されたことと判断され、また回路基板上に当該部品の落下は無いものと判断される。このように演算部品位置と装着予定位置とが同じであると判断された場合には、回路基板へ2回目の部品の装着作業が実行される。
【0051】
一方で、演算部品位置と装着予定位置とが異なると判断された場合には、回路基板の1回目の部品の装着作業において、当該部品は装着予定位置に装着されてはおらず、装着予定位置とは異なる位置、つまりは、予定外の位置に落下しているものと判断される。つまり、回路基板の上面の1回目高さ情報が演算される際の撮像データにおいて、装着予定位置とは異なる位置に湾曲した状態のモアレ縞が現れた場合に、部品が予定外の位置に落下しているものと判断される。なお、装着予定位置とは異なる位置に現れる湾曲した状態のモアレ縞も、図9に示すモアレ縞170a、つまり、緩みが生じているトップカバーテープ86に現れたモアレ縞170aと略同じ形状である。そして、その落下しているものと判断された部品の位置、つまり、演算部品位置と、回路基板における2回目の部品の装着予定位置とが比較される。この際、演算部品位置と装着予定位置とが重なっていないと判断された場合には、回路基板へ2回目の部品の装着作業時に、回路基板に落下している部品と干渉することなく、2回目の部品の装着予定位置に部品を装着することができる。このため、演算部品位置と、2回目の装着作業時の部品の装着予定位置とが重なっていない場合には、回路基板へ2回目の部品の装着作業が実行される。一方、演算部品位置と、2回目の部品の装着予定位置とを比較して重なっている場合には、回路基板へ2回目の部品の装着予定位置に部品が落下している為に装着することができない。このため、回路基板へ2回目の部品を装着する作業はスキップされ、3回目の部品の装着作業が実行される。なお、回路基板へ部品の装着作業がスキップされた場合には、それらの情報が制御装置42に記憶される。
【0052】
また、回路基板へ2回目の部品の装着作業が実行された場合、若しくは、2回目の部品の装着作業がスキップされた場合には、その2回目の装着作業が実行された後、若しくは、2回目の装着作業がスキップされた後であって、3回目の装着作業が実行される前においても、照射装置40によってパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によって回路基板の上面の撮像が行われる。そして、その撮像データに基づいて、回路基板の上面の2回目高さ情報が演算され、1回目高さ情報と同様に、回路基板の上面の2回目高さ情報と初期高さ情報とに基づいて、演算部品位置が演算される。この際、演算部品位置と装着予定位置の高さ情報とを確認して、落下物の有無が検出され、落下物が無いと判断された場合には、2回目の部品の装着作業が実行された回路基板に、3回目の部品の装着作業が実行される。また、落下物があると判断された場合であっても、装着予定位置に落下物が無いと判断された場合には、3回目の部品の装着作業が実行され、装着予定位置に落下物があれば、3回目の部品の装着作業がスキップされる。このように、部品の装着作業が実行される毎、つまり、N回目の回路基板への部品の装着作業が実行されたのちであって、(N+1)回目の回路基板への部品の装着作業される前において、照射装置40によってパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によってN回目の部品が装着された回路基板の撮像が行われ、その撮像データに基づいて、回路基板の上面のN回目高さ情報が演算される。そして、N回目高さ情報と初期高さ情報とに基づいて、演算部品位置が演算され、その演算 部品位置と装着予定位置とが比較されることで、回路基板上への部品の落下の有無,落下物の位置などが検出される。これにより、回路基板への部品の装着作業を担保するとともに、部品の装着作業ができない場合であっても、その回の部品の装着作業がスキップされ、次の回の部品の装着作業が実行されることで、回路基板上への落下物によって装着機14の装着作業を停止させることはない。
【0053】
また、吸着ノズル66に保持された部品を廃棄ボックス32へ廃棄する毎においても、照射装置40によってパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によって廃棄ボックスの中の撮像が行われる。具体的には、回路基板が装着機14に搬入される前に、廃棄ボックス32の中の不良品が除去されている、つまりは、回路基板が装着機14に搬入され、作業位置において保持された後に、装着ヘッドが保持した部品を廃棄ボックス32に廃棄する際には、廃棄ボックス32の中は空である。しかしながら、廃棄ボックスに1回目の部品が廃棄されたのちであって、2回目の部品が廃棄される場合において、廃棄する部品を保持した吸着ノズル66が廃棄ボックス32に内部に進入する際に、廃棄ボックス32に廃棄された1回目の不良品に、吸着ノズルや吸着ノズル66に保持されている2回目の部品等が干渉する虞がある。
【0054】
そこで、廃棄ボックスに1回目の部品の廃棄作業が実行された後であって、2回目の部品の廃棄作業が実行される前に、照射装置40によってパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によって廃棄ボックスの中の撮像が行われる。具体的には、廃棄ボックスに1回目の部品の廃棄作業が実行された後であって、装着ヘッド26がテープフィーダ70から部品を保持している間に、照射装置40によって廃棄ボックスの中にパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によって廃棄ボックスの中の撮像が行われる。これにより、装着ヘッド26がテープフィーダ70から部品を保持している間に、照射装置40によってパターン光が廃棄ボックスの中に照射されて、パターン光の照射によって廃棄ボックスの中に現れたモアレ縞が全体カメラ38によって撮像される。なお、廃棄ボックス32の上方には、装着ヘッド26は位置してはいないため、全体カメラの視野は装着ヘッド26に遮られてはおらず、廃棄ボックス32の内部が良好に撮像される。そして、廃棄ボックスの中に現れたモアレ縞の撮像データに基づいて、1回目の部品の廃棄作業が実行された後の廃棄ボックス32の内部の高さ情報が演算される。これにより、1回目の部品の廃棄作業が実行された後であって、2回目の部品の廃棄作業が実行される前における廃棄ボックスの内部の高さ情報、つまり、1回目高さ情報が演算される。
【0055】
そして、廃棄ボックスの内部の1回目高さ情報と、廃棄ボックスの内部が空である初期高さ情報とが比較される。この際、廃棄ボックスの内部の1回目高さ情報には、廃棄ボックスに廃棄されている不良品の高さ情報も含まれている。なお、廃棄ボックスに廃棄されている不良品に現れるモアレ縞は湾曲しており、図9に示すモアレ縞170a、つまり、緩みが生じているトップカバーテープ86に現れたモアレ縞170aと略同じ形状である
。このため、廃棄ボックスの内部の1回目高さ情報と初期高さ情報とは異なっており、廃棄ボックスの内部の1回目高さ情報と初期高さ情報とを比較して、廃棄ボックスの内部のXY平面での座標において高さ情報が異なった座標の位置に不良品が位置している。つまり、廃棄ボックスの内部の1回目高さ情報と初期高さ情報との相違に基づいて、廃棄ボックスの内部における不良品の位置が演算される。そして、演算された廃棄ボックスの内部における不良品の位置とは異なる位置、つまり、廃棄ボックスの内部における不良品が廃棄されていない位置へ次の部品の廃棄指令は出力される。この指令によって、装着ヘッド26は、不良品が廃棄されていない位置の上方に移動するとともに、部品を保持している吸着ノズル66を下降させる。そして、廃棄ボックスの内部において吸着ノズル66から部品を離脱させる。これにより、吸着ノズル66に保持されている部品が廃棄ボックスの内部に廃棄される際に、吸着ノズル66に保持されている部品と、廃棄ボックスの内部にすでに廃棄されている不良品との干渉を防止することができる。
【0056】
また、廃棄ボックスの内部に2回目の部品の廃棄作業が実行されたのちであって、3回目の部品の廃棄作業が実行される前においても、照射装置40によってパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によって廃棄ボックスの内部の撮像が行われる。この際、廃棄ボックスの中に現れたモアレ縞の撮像データに基づいて、廃棄ボックスの内部の2回目高さ情報が演算される。そして、1回目高さ情報と同様に、廃棄ボックスの内部の2回目高さ情報と初期高さ情報とに基づいて、廃棄ボックスの内部における不良品の位置が演算される。そして、3回目の部品の廃棄作業の指令として、装着ヘッドに、廃棄ボックスの内部での不良品が廃棄されていない位置への部品の廃棄指令が、出力される。このように、部品の廃棄作業が実行される毎、つまり、N回目の部品の廃棄作業が実行され、(N+1)回目の部品の廃棄作業が実行される前において、全体カメラ38によって廃棄ボックスの内部の撮像が行われ、その撮像データに基づいて、廃棄ボックスの内部のN回目高さ情報が演算される。そして、廃棄ボックスの内部のN回目高さ情報と初期高さ情報、あるいはN回目高さ情報と(N-1回目)高さ情報とを比較することで、廃棄ボックスの内部での不良品が廃棄されていない位置に(N+1)回目の部品を廃棄することができる。このようにして、廃棄ボックスの適切な位置に部品を廃棄することができる。
【0057】
また、ノズルトレイ110での吸着ノズル66の交換作業が実行される毎においても、照射装置40によってパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によってノズルトレイの撮像が行われる。具体的には、回路基板が装着機14に搬入される前に、ノズルトレイ110に落下物がないことを確認する。つまりは、回路基板が装着機14に搬入され、作業位置において保持された後であって、装着ヘッドが保持したノズルを、ノズルトレイ110保持された別の吸着ノズル66に交換する1回目の交換作業が実行される際には、ノズルトレイ110に落下物は存在してはいないことを確認するために、ノズルトレイの初期高さ情報を取得する。しかしながら、その1回目の吸着ノズル66の交換作業時に、装着ヘッドが保持し交換するその吸着ノズル66がノズルトレイの載置穴130に収容されずに、ノズルトレイ110の上に落下する可能性がある。
【0058】
そこで、1回目のノズルトレイ110での吸着ノズルの交換作業が実行された後であって、2回目のノズルトレイ110での吸着ノズルの交換作業が実行される前に、照射装置40によってノズルトレイにパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によってノズルトレイの撮像が行われる。具体的には、装着ヘッドが保持した吸着ノズルをノズルトレイ110が備えた吸着ノズルと1回目交換作業を実行した後であって、装着ヘッド26がテープフィーダ70から部品を保持している間に、照射装置40によってノズルトレイにパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によってノズルトレイの撮像が行われる。これにより、装着ヘッド26がテープフィーダ70から部品を保持している間に、照射装置40によってパターン光がノズルトレイに照射されて、パターン光の照射によってノズルトレイに現れたモアレ縞が全体カメラ38によって撮像される。なおノズルトレイ110の上方には、装着ヘッド26は位置してはいないため、全体カメラの視野は装着ヘッド26に遮られてはおらず、ノズルトレイ110の上面が撮像される。そして、その撮像データに基づいて、ノズルトレイ110の上面の高さ情報が演算される。この情報により、1回目の吸着ノズルの交換作業が実行されたのちであって、2回目の吸着ノズルの交換作業が実行される前におけるノズルトレイの上面の高さ情報、つまり、1回目高さ情報が演算される。
【0059】
そしてコントローラは、演算されたノズルトレイの上面の1回目高さ情報と、ノズルトレイの上面の初期高さ情報とを比較する。この際、ノズルトレイの上面の1回目高さ情報には、1回目のノズル交換作業時にノズルトレイ110に戻された吸着ノズルの高さ情報も含まれている。このため、ノズルトレイの上面の1回目高さ情報と初期高さ情報とは異なっており、1回目高さ情報と初期高さ情報とが異なるノズルトレイにおけるXY平面の座標に戻された吸着ノズルが位置していることとなる。なお、1回目のノズル交換作業時にノズルトレイ110に戻された吸着ノズルに現れるモアレ縞は、図8に示すモアレ縞160a、つまり、ノズルトレイに初めから収容されている吸着ノズルの上端に現れているモアレ縞160aと略同じ形状である。そして、ノズルトレイの上面の1回目高さ情報と初期高さ情報との相違に基づいて、ノズルトレイに戻された吸着ノズルの位置が演算される。また、コントローラ120には、ノズルトレイ110に戻される吸着ノズルが載置される載置穴130の収容予定位置が記憶されている。このため、高さ情報に基づいて演算されたノズルトレイに戻された吸着ノズルの位置(以下、「演算ノズル位置」と記載する)と、コントローラに記憶された収容予定位置とが比較される。そして、演算ノズル位置と収容予定位置とが同じであれば、装着ヘッドが行う1回目のノズル交換作業時に、装着ヘッドが備えていた吸着ノズルはノズルトレイの収容予定の載置穴130に適切に収容されたものと認識され、ノズルトレイの上面には落下物が無いものと判断される。このため、演算ノズル位置と収容予定位置とが同じである場合には、新たなノズルの交換作業の障害となる落下物はノズルトレイの上面にはないものと判断され、装着ヘッドによって2回目のノズル交換作業が実行される。
【0060】
一方、演算ノズル位置と収容予定位置とが異なる場合には、1回目のノズル交換作業時に、吸着ノズルが収容予定の載置穴130に収容されてはおらず、ノズルトレイ110の上面に落下していると判断される。具体的には、ノズルトレイの上面に吸着ノズルが落下している場合に、ノズルトレイに照射装置40によりパターン光が照射されると、図10に示すモアレ縞180がノズルトレイに現れる。詳しくは、ノズルトレイ110の載置穴130aと載置穴130bとの間に吸着ノズル66aが落下している場合に、載置穴130aと載置穴130bとの間に現れるモアレ縞180aは湾曲しており、湾曲する中央部においてモアレ縞の太さが太くなっている。一方、初期高さ情報が演算される際には、図8に示すように、載置穴130aと載置穴130bとの間に現れるモアレ縞160は直線状である。このため、載置穴130aと載置穴130bとの間に落下した吸着ノズルに現れたモアレ縞180aに基づいて演算される高さ情報は、吸着ノズルが落下していない載置穴130aと載置穴130bとの間に現れたモアレ縞160に基づいて演算される高さ情報と異なる。このため、ノズルトレイの1回目高さ情報と初期高さ情報とが比較された場合、つまり、図8に示すモアレ縞160に基づく初期高さ情報と、図10に示すモアレ縞180に基づく1回目高さ情報とが比較された場合に、ノズルトレイの1回目高さ情報と初期高さ情報とが異なると判断される。この際、演算ノズル位置と収容予定位置との差異に基づいて、ノズルトレイ110の上面に落下している吸着ノズルの位置が演算される。また、コントローラ120には、ノズルトレイ110に形成されている載置穴130の位置情報も記憶されている。これらの情報によって、ノズルトレイ110の上面に落下している吸着ノズルと重なっている載置穴130を特定することができる。
【0061】
具体的には、例えば、図8に示す載置穴130aと載置穴130bとの間のモアレ縞1
60と、図10に示す載置穴130aと載置穴130bとの間のモアレ縞180aとは異なっているため、載置穴130aと載置穴130bとの間の高さ情報が異なると判断され、載置穴130aと載置穴130bとの間に吸着ノズルが落下していると判断される。このため、載置穴130aと載置穴130bと、吸着ノズル66aとが重なっている可能性が高いものと特定される。そこで、特定された載置穴130a,bとは異なる空の状態の載置穴、例えば、載置穴130cへの吸着ノズルの収容指令が装着ヘッドに出力される。これにより、装着ヘッド26は、吸着ノズルの収容が可能なノズルトレイの載置穴130cの上方に移動し、吸着ノズル66を下降させることで、その吸着ノズルが載置穴130cに収容される。このように、ノズルトレイ110の上面に吸着ノズルが落下している場合であっても、落下している吸着ノズルと、交換する吸着ノズル66との干渉を回避して、装着ヘッド26に装着されている吸着ノズルを載置穴130cに収容することができる。このようにして、2回目のノズル交換作業を適切に実行することができる。
【0062】
また、2回目のノズル交換作業が実行されたのちであって、3回目のノズル交換作業が実行される前においても、照射装置40によってパターン光の照射が行われ、全体カメラ38によってノズルトレイの上面の撮像が行われる。この際、ノズルトレイに現れたモアレ縞の撮像データに基づいて、ノズルトレイの上面の2回目高さ情報が演算される。そして、1回目高さ情報と同様に、ノズルトレイの上面の2回目高さ情報と初期高さ情報とに基づいて、ノズルトレイ110の上面における落下物の有無が検出される。そして、落下物が検出された場合には、3回目のノズル交換作業での吸着ノズルの載置穴への収容作業の指令として、落下物と重なっていない空の状態の載置穴への吸着ノズルの収容指令が装着ヘッドに出力される。このように、ノズル交換作業が実行される毎、つまり、N回目のノズル交換作業が実行されたのちであって、(N+1)回目のノズル交換作業が実行される前において、全体カメラ38によってノズルトレイの撮像が行われ、その撮像データに基づいて、ノズルトレイの上面のN回目高さ情報が演算される。そしてコントローラが、演算したノズルトレイの上面のN回目高さ情報と初期高さ情報とを比較することで、ノズルトレイの上面における落下物の有無を検出することができ、落下物がある場合には、その落下物の位置をも特定することができる。このようにして、ノズルトレイの上面の落下物と干渉しないように、装着ヘッドが吸着ノズルを載置穴130に収容することが可能となり、ノズル交換作業を適切に実行することができる。
【0063】
なお、装着機14は、作業機の一例である。全体カメラ38は、撮像装置の一例である。制御装置42は、検出装置の一例である。また、複数のテープフィーダ70は、その個々が、フィーダ保持台72に作業者が工具を用いることなくワンタッチで着脱可能に位置決めして装着されている。このため、複数のテープフィーダ70は、個々に独立しており、互いに相対的な位置を変更することが可能な物体であることから、複数のテープフィーダ70は、個々に独立している複数の物体の一例といえる。また、回路基板56と、回路基板56への落下物、つまり、回路基板56の上に落下した電子部品84とは、個々に独立しており、互いに相対的な位置を変更することが可能な物体であることから、回路基板56と、回路基板56への落下物とは、個々に独立している複数の物体の一例といえる。また、廃棄ボックス32と、廃棄ボックス32に廃棄された不良品、つまり、廃棄ボックス32に投入された電子部品84とは、個々に独立しており、互いに相対的な位置を変更することが可能な物体であることから、廃棄ボックス32と、廃棄ボックス32に廃棄された不良品とは、個々に独立している複数の物体の一例といえる。また、ノズルトレイ110と、ノズルトレイ110への落下物、つまり、ノズルトレイ110の上に落下した吸着ノズル66とは、個々に独立しており、互いに相対的な位置を変更することが可能な物体であることから、ノズルトレイ110と、ノズルトレイ110への落下物とは、個々に独立している複数の物体の一例といえる。
【0064】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々
の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記実施例では、照射装置40により格子状のパターン光が照射されているが、周期性のある形状、例えば、周期性のある縞状のパターン光が照射されてもよい。このように、周期性のある形状のパターン光が照射されることで、複数の物体の表面にモアレ縞が現れて、そのモアレ縞が撮像されることで、撮像データに基づいて複数の物体の高さ情報を演算することができる。
【0065】
また、上記実施例では、複数の物体として、複数のテープフィーダ70,回路基板と落下物,廃棄ボックスと廃棄された部品,ノズルトレイとその上面の落下物が採用されているが、種々の複数の物体を採用することが可能である。例えば、トレイとトレイの上に位置している部品であったり、ステージとステージの上に位置している部品などを、複数の物体として採用することが可能である。
【0066】
また、上記実施例では、複数のテープフィーダ70等の初期高さ情報とN回目高さ情報とに基づいて、トップカバーテープ86の切断等が検出されているが、複数のテープフィーダ70等のN回目高さ情報と(N+1)回目高さ情報とに基づいて、トップカバーテープ86の切断等が検出されてもよい。
【0067】
また、上記実施例では、トップカバーテープ86の切断やたるみが検出された場合,あるいは回路基板などへの落下物が検出された場合等に、装着機14の作動を停止させることなく、作動が継続して実行されているが、装着機14を停止させてもよい。このような場合には、トップカバーテープ86が切れたりたるみが出たテープフィーダ70の位置,落下物の位置などが、表示装置により作業者に報知され、装着機の作動は停止する。
【0068】
また、上記実施例では、全体カメラ38は、固定的に配設された広視野角のカメラであり、装着機14の内部の全体を撮像することが可能なものとされているが、撮像方向を変更することが可能なカメラを採用して、その視野の狭いカメラにより、装着機14の内部の全体を撮像してもよい。また、1台のカメラでなく、複数台のカメラにより、装着機14の内部の全体を撮像してもよい。また、その複数台のカメラの各々が固定的に配設されたものであり、その各々のカメラが異なる複数の物体を撮像対象にしても良い。カメラは2次元カメラであっても良いし、パノラマカメラ、3次元カメラなど、さまざまな種類のカメラを採用しても良い。
【0069】
撮像装置と同様に、1台の照射装置に代わって、複数台の照射装置が装着機14の内部の全体のモアレ縞を形成するものを採用しても良い。また数台の照射装置の各々が、異なる複数の物体のそれぞれを照射対象にしても良い。
【符号の説明】
【0070】
14:装着機(作業機) 32:廃棄ボックス(物体) 38:全体カメラ(撮像装置) 42:制御装置(検出装置) 56:回路基板(物体) 66:吸着ノズル(物体) 70:テープフィーダ(物体) 84:電子部品(物体) 110:ノズルトレイ(物体)
図1
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図10