(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20240809BHJP
B60C 11/01 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B60C13/00 D
B60C11/01 A
B60C11/01 B
(21)【出願番号】P 2020164742
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳樹
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06533007(US,B1)
【文献】特開2000-280711(JP,A)
【文献】特開2017-213925(JP,A)
【文献】特開2018-002104(JP,A)
【文献】特開2018-039370(JP,A)
【文献】特開2016-055820(JP,A)
【文献】特開2019-112021(JP,A)
【文献】特開2018-114811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00
B60C 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ径方向に延びるサイドウォールと、
タイヤ径方向の外側にトレッド面を有し、前記サイドウォールのタイヤ径方向の外端に連接されるトレッドと、を備え、
前記トレッドは、タイヤ幅方向の外端まで延びる複数の幅溝と、前記複数の幅溝に区画される複数のトレッドブロックと、を備え、
前記複数のトレッドブロックは、第1トレッドブロックと、前記トレッド面の前記タイヤ幅方向の外端が前記第1トレッドブロックの前記トレッド面の前記タイヤ幅方向の外端よりも前記タイヤ幅方向の内側に配置される第2トレッドブロックと、を含み、
前記サイドウォールは、前記タイヤ幅方向へ突出する複数のサイドブロックを備え、
前記複数のサイドブロックは、前記第1トレッドブロックの前記タイヤ幅方向の外側に配置される第1サイドブロックと、前記第2トレッドブロックの前記タイヤ幅方向の外側に配置される第2サイドブロックと、を含み、
前記第1サイドブロックは、前記タイヤ幅方向の外端に配置される第1頂面を備え、
前記第2サイドブロックは、前記タイヤ幅方向の外端に配置される第2頂面を備え、
前記第2頂面の面積は、前記第1頂面の面積よりも、大きい、空気入りタイヤ
であって、
前記第1頂面及び前記第2頂面の少なくとも一方の前記タイヤ径方向の外端縁は、タイヤ周方向に対して交差するように、延びる、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記トレッドは、タイヤ周方向へ延びる複数の主溝を備え、
前記複数の主溝は、前記タイヤ幅方向の最も外側に配置されるショルダー主溝を含み、
前記第1頂面及び前記第2頂面は、前記ショルダー主溝の溝底よりも、前記タイヤ径方向の内側に配置される、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記第2頂面の前記タイヤ径方向の外端縁は、前記第1頂面の前記タイヤ径方向の外端縁よりも、前記タイヤ幅方向の外側に配置される、請求項1
又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記第1頂面及び前記第2頂面の少なくとも一方は、前記タイヤ径方向へ延びるサイド溝を備える、請求項1~
3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記サイド溝は、前記第1頂面及び前記第2頂面の少なくとも一方の前記タイヤ径方向の外端から内端まで延びる、請求項
4に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、空気入りタイヤのトレッドは、タイヤ周方向に並べられる複数のトレッドブロックを備えている。また、空気入りタイヤのサイドウォールは、トレッドブロックのタイヤ幅方向の外側に配置される複数のサイドブロックを備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に係る空気入りタイヤにおいては、各トレッドブロックのトレッド面のタイヤ幅方向の外端は、同じ位置であり、そして、各サイドブロックの形状は、同じ形状である。これにより、バットレス(サイドウォールのタイヤ径方向の外端領域)の剛性がタイヤ周方向で均一にできる一方で、トラクション性能(例えば、サイドブロックの面やエッジ成分が泥、砂、岩に接地するときに、トラクションを発生させる能力)を十分に向上させることができていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、トラクション性能を向上させることができ、しかも、バットレスの剛性差がタイヤ周方向で発生することを抑制することができる空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
空気入りタイヤは、タイヤ径方向に延びるサイドウォールと、タイヤ径方向の外側にトレッド面を有し、前記サイドウォールのタイヤ径方向の外端に連接されるトレッドと、を備え、前記トレッドは、タイヤ幅方向の外端まで延びる複数の幅溝と、前記複数の幅溝に区画される複数のトレッドブロックと、を備え、前記複数のトレッドブロックは、第1トレッドブロックと、前記トレッド面の前記タイヤ幅方向の外端が前記第1トレッドブロックの前記トレッド面の前記タイヤ幅方向の外端よりも前記タイヤ幅方向の内側に配置される第2トレッドブロックと、を含み、前記サイドウォールは、前記タイヤ幅方向へ突出する複数のサイドブロックを備え、前記複数のサイドブロックは、前記第1トレッドブロックの前記タイヤ幅方向の外側に配置される第1サイドブロックと、前記第2トレッドブロックの前記タイヤ幅方向の外側に配置される第2サイドブロックと、を含み、前記第1サイドブロックは、前記タイヤ幅方向の外端に配置される第1頂面を備え、前記第2サイドブロックは、前記タイヤ幅方向の外端に配置される第2頂面を備え、前記第2頂面の面積は、前記第1頂面の面積よりも、大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ子午面における要部断面図
【
図2】同実施形態に係る空気入りタイヤの要部斜視図
【
図3】同実施形態に係る空気入りタイヤの要部平面図(タイヤ径方向視図)
【
図4】同実施形態に係る空気入りタイヤの要部側面図(タイヤ幅方向視図)
【
図6】
図5のVI-VI線拡大断面図(タイヤ子午面における断面図)
【
図7】
図5のVII-VII線拡大断面図(タイヤ子午面における断面図)
【
図8】
図6の断面図の要部と
図7の断面図の要部とを重ね合わせた拡大図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、空気入りタイヤにおける一実施形態について、
図1~
図8を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0009】
図1に示すように、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)1は、一対のビード11と、各ビード11からタイヤ径方向D2の外側へ延びるサイドウォール12と、一対のサイドウォール12の各々のタイヤ径方向D2の外端に連接され、地面と接するトレッド面13aをタイヤ径方向D2の外側に有するトレッド13とを備えている。なお、タイヤ1は、リム(図示していない)に装着される。
【0010】
各図において、第1の方向D1は、タイヤ回転軸と平行であるタイヤ幅方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤ1の直径方向であるタイヤ径方向D2であり、第3の方向D3は、タイヤ回転軸周りの方向であるタイヤ周方向D3である。また、タイヤ赤道面S1とは、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ幅方向D1の中心に位置する面であり、タイヤ子午面S2,S3とは、タイヤ回転軸を含む面であって、タイヤ赤道面S1と直交する面である。
【0011】
なお、タイヤ幅方向D1において、内側とは、タイヤ赤道面S1に近い側のことであり、外側とは、タイヤ赤道面S1から遠い側のことである。また、タイヤ径方向D2において、内側とは、タイヤ回転軸に近い側のことであり、外側とは、タイヤ回転軸から遠い側のことである。また、タイヤ周方向D3のうち、第1側D31は、第1周方向側D31ともいい、第2側D32は、第2周方向側D32ともいう。
【0012】
ビード11は、環状に形成されるビードコア11aと、ビードコア11aのタイヤ径方向D2の外側に配置されるビードフィラー11bとを備えている。例えば、ビードコア11aは、ゴム被覆されたビードワイヤ(例えば、金属線)を積層して形成され、ビードフィラー11bは、硬質ゴムを、タイヤ径方向D2の外側に向けてテーパ状にして形成されている。
【0013】
また、タイヤ1は、一対のビードコア11a,11aの間に架け渡されるカーカス14と、カーカス14の内側に配置され、空気が充填されるタイヤ1の内部空間に面するインナーライナ15とを備えている。カーカス14及びインナーライナ15は、ビード11、サイドウォール12及びトレッド13に亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0014】
ビード11は、リムに接触する外表面を構成すべく、カーカス14のタイヤ幅方向D1の外側に配置されるリムストリップゴム11cを備えている。サイドウォール12は、外表面を構成すべく、カーカス14のタイヤ幅方向D1の外側に配置されるサイドウォールゴム12aを備えている。
【0015】
トレッド13は、トレッド面13aを構成するトレッドゴム13bと、トレッドゴム13bとカーカス14との間に配置されるベルト13cとを備えている。ベルト13cは、複数(
図1においては、4つ)のベルトプライ13dを備えている。例えば、ベルトプライ13dは、平行配列した複数本のベルトコード(例えば、有機繊維や金属)と、ベルトコードを被覆するトッピングゴムとを備えている。
【0016】
カーカス14は、少なくとも1つ(
図1においては、2つ)のカーカスプライ14aで構成されている。カーカスプライ14aは、ビードコア11aを巻き込むようにビードコア11aの周りで折り返されている。また、カーカスプライ14aは、タイヤ周方向D3に対して略直交する方向に配列した複数のプライコード(例えば、有機繊維や金属)と、プライコードを被覆するトッピングゴムとを備えている。
【0017】
インナーライナ15は、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れている。なお、サイドウォール12において、本実施形態のように、インナーライナ15は、カーカス14の内周側に密接しており、インナーライナ15及びカーカス14間には、他の部材は介在していない、という構成でもよい。
【0018】
また、例えば、最も内周側に配置されるカーカスプライ14aとタイヤ内周面(インナーライナ15の内周面)との間の距離において、サイドウォール12の当該距離は、トレッド13の当該距離の90%~180%としてもよい。また、例えば、サイドウォール12の当該距離は、トレッド13の当該距離の120%~160%としてもよい。
【0019】
なお、サイドウォール12は、タイヤ最大幅となる位置(具体的には、カーカス14のタイヤ幅方向D1の外側同士間の距離W1のうち、最大距離となる位置)とタイヤ径方向D2で同じ位置12bを、外表面に備えている。以下、当該位置12bを、タイヤ最大幅位置12bという。
【0020】
また、サイドウォール12は、ビードフィラー11bのタイヤ径方向D2の外端11dと、タイヤ径方向D2で同じ位置12cを、外表面に備えている。以下、当該位置12cを、ビード端位置12cという。
【0021】
図1~
図3に示すように、トレッドゴム13bは、トレッド面13aのタイヤ周方向D3の全域に亘って、タイヤ周方向D3へ連続して延びる複数の主溝16,17を備えている。そして、トレッドゴム13bは、タイヤ幅方向D1の外端まで延びる複数の幅溝18と、複数の幅溝18によって区画される複数のトレッドブロック2,3とを備えている。
【0022】
主溝16,17は、例えば、摩耗するにしたがって露出することで摩耗度合が分かるように、溝を浅くしてある部分、所謂、トレッドウエアインジケータ(図示していない)を備えていてもよい。また、例えば、主溝16,17は、トレッド面13aのタイヤ幅方向D1の寸法の3%以上の溝幅を有していてもよい。また、例えば、主溝16,17は、5mm以上の溝幅を有していてもよい。
【0023】
タイヤ幅方向D1の最も外側に配置される一対の主溝16,16は、ショルダー主溝16,16といい、また、一対のショルダー主溝16,16間に配置される主溝17,17dは、センター主溝17,17という。なお、主溝16,17の数は、特に限定されないが、本実施形態においては、四つとしている。
【0024】
複数のトレッドブロック2,3は、ショルダー主溝16と複数の幅溝18とによって、区画されている。また、複数のトレッドブロック2,3は、タイヤ周方向D3に並ぶように配置されている。そして、複数のトレッドブロック2,3は、トレッド面13aのタイヤ幅方向D1の外端2a,3aの位置がタイヤ幅方向D1において異なる第1トレッドブロック2と第2トレッドブロック3とを備えている。
【0025】
第2トレッドブロック3のトレッド面13aのタイヤ幅方向D1の外端3aは、第1トレッドブロック2のトレッド面13aのタイヤ幅方向D1の外端2aよりも、タイヤ幅方向D1の内側に配置されている。なお、本実施形態のように、第1トレッドブロック2と第2トレッドブロック3とは、タイヤ周方向D3において交互に配置されていてもよい。
【0026】
図2~
図4に示すように、サイドウォールゴム12aは、タイヤ幅方向D1へ突出する複数の第1及び第2サイドブロック4,5を備えている。第1サイドブロック4と第2サイドブロック5とは、本実施形態のように、タイヤ周方向D3において交互に配置されていてもよい。
【0027】
サイドウォールゴム12aは、本実施形態のように、第1及び第2サイドブロック4,5よりもタイヤ径方向D2の内側で、タイヤ幅方向D1へ突出し且つタイヤ周方向D3へ延びる環状突出部6を備えていてもよい。また、サイドウォールゴム12aは、本実施形態のように、環状突出部6よりもタイヤ径方向D2の内側で、タイヤ幅方向D1へ突出する複数の第3及び第4サイドブロック7,8を備えていてもよい。
【0028】
なお、第1トレッドブロック2、第1サイドブロック4及び第3サイドブロック7は、本実施形態のように、共通のタイヤ子午面S2(
図4参照)と交差するように配置されていてもよい。また、第2トレッドブロック3、第2サイドブロック5及び第4サイドブロック8は、本実施形態のように、共通のタイヤ子午面S3(
図4参照)と交差するように配置されていてもよい。
【0029】
環状突出部6は、本実施形態のように、サイドウォールゴム12aのタイヤ周方向D3の全域に亘って、タイヤ周方向D3へ連続して延びていてもよい。また、環状突出部6は、本実施形態のように、各サイドブロック4,5,7,8よりも高く突出していてもよい。なお、当該構成によれば、各サイドブロック4,5,7,8と環状突出部6との間に、段差が形成されている。
【0030】
第3サイドブロック7と第4サイドブロック8とは、本実施形態のように、隙間を有するように、タイヤ周方向D3で離れていてもよい。また、第3サイドブロック7と第4サイドブロック8とは、本実施形態のように、タイヤ周方向D3において交互に配置されていてもよい。
【0031】
第3サイドブロック7のタイヤ径方向D2の外端は、第4サイドブロック8のタイヤ径方向D2の外端よりも、タイヤ径方向D2の外側に位置している。そして、第3サイドブロック7のタイヤ径方向D2の内端は、第4サイドブロック8のタイヤ径方向D2の内端よりも、タイヤ径方向D2の外側に位置する。これにより、第3サイドブロック7の一部は、タイヤ周方向D3視において、第4サイドブロック8の一部と重なっている。
【0032】
各サイドブロック4,5,7,8及び環状突出部6は、面やエッジの成分を備えている。そして、泥、砂、岩に接地する部分に、凹凸形状が形成されることにより、泥、砂、岩に接地する面積が、大きくなったり、また、その凹凸形状による面やエッジが、さまざまな位置の泥、砂、岩に接地し易くなったりする。これにより、泥、砂、岩に接地する部分に、凹凸形状が形成されることで、トラクション性能が向上する。
【0033】
例えば、各サイドブロック4,5,7,8及び環状突出部6が泥、砂をせん断するときに、当該せん断の抵抗によってトラクションが発生する。また、例えば、各サイドブロック4,5,7,8及び環状突出部6が岩と接触するときに、当該接触の摩擦によってトラクションが発生する。
【0034】
そして、各サイドブロック4,5,7,8及び環状突出部6は、ビード端位置12c(
図1参照)よりもタイヤ径方向D2の外側に配置されている。例えば、各サイドブロック4,5,7,8及び環状突出部6は、本実施形態のように、タイヤ最大幅位置12bよりもタイヤ径方向D2の外側に配置されていることが好ましい。
【0035】
これにより、各サイドブロック4,5,7,8及び環状突出部6は、泥濘地や砂地において、車両の重みによりタイヤ1が沈降し、泥や砂に埋没した状態で接地したり、また、岩場において、凹凸の岩に接地したりできる。即ち、各サイドブロック4,5,7,8及び環状突出部6は、泥濘地、砂地、及び岩場といった悪路において、接地する。
【0036】
なお、各サイドブロック4,5,7,8及び環状突出部6は、トレッド面13aよりもタイヤ径方向D2の内側に配置されている。これにより、各サイドブロック4,5,7,8及び環状突出部6は、平坦な道路において、通常走行時に接地しない。
【0037】
ここで、第1サイドブロック4と第2サイドブロック5との構成について、
図5~
図8を参照しながら説明する。
【0038】
図5に示すように、第1サイドブロック4は、タイヤ幅方向D1の外端に配置される第1頂面4a備えている。そして、第1サイドブロック4は、本実施形態のように、タイヤ径方向D2の外端に配置される第1径側面4bと、タイヤ周方向D3の端に配置される第1周側面4cとを備えていてもよい。なお、第1サイドブロック4のタイヤ径方向D2の内端は、本実施形態のように、環状突出部6と連接されていてもよい。
【0039】
そして、第1頂面4aと第1径側面4bとによって形成される稜線、即ち、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の外端縁4eは、タイヤ周方向D3に対して交差するように、延びている。例えば、第1頂面4aの外端縁4eは、本実施形態のように、第1周方向側D31へ行くにつれて、タイヤ径方向D2の外側へ延びていてもよい。
【0040】
第1頂面4aは、タイヤ径方向D2へ延びる第1サイド溝4dを備えている。第1サイド溝4dは、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の外端から内端まで延びている。そして、第1サイド溝4dは、本実施形態のように、タイヤ径方向D2に対して傾斜するように、延びていてもよい。例えば、第1サイド溝4dは、タイヤ径方向D2の外側へ行くにつれて、第1周方向側D31へ延びていてもよい。
【0041】
なお、本実施形態のように、タイヤ径方向D2に対する第1サイド溝4dの傾斜側は、タイヤ径方向D2に対する第1頂面4aの外端縁4eの傾斜側と、同じ側であってもよい。具体的には、本実施形態のように、第1サイド溝4dと第1頂面4aの外端縁4eとは、タイヤ径方向D2の外側へ行くにつれて、第1周方向側D31へ延びていてもよい。
【0042】
第2サイドブロック5は、タイヤ幅方向D1の外端に配置される第2頂面5a備えている。そして、第2サイドブロック5は、本実施形態のように、タイヤ径方向D2の外端に配置される第2径側面5bと、タイヤ周方向D3の端に配置される第2周側面5cとを備えていてもよい。なお、第2サイドブロック5のタイヤ径方向D2の内端は、本実施形態のように、環状突出部6と連接されていてもよい。
【0043】
そして、第2頂面5aと第2径側面5bとによって形成される稜線、即ち、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の外端縁5eは、本実施形態のように、タイヤ周方向D3に沿って、延びていてもよい。なお、第2頂面5aの外端縁5eは、第1頂面4aの外端縁4eのように、タイヤ周方向D3に対して交差するように、延びていてもよい。
【0044】
第2頂面5aは、タイヤ径方向D2へ延びる第2サイド溝5dを備えている。第2サイド溝5dは、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の外端から内端まで延びている。そして、第2サイド溝5dは、本実施形態のように、タイヤ径方向D2に対して傾斜するように、延びていてもよい。例えば、第2サイド溝5dは、タイヤ径方向D2の外側へ行くにつれて、第1周方向側D31へ延びていてもよい。
【0045】
なお、本実施形態のように、タイヤ径方向D2に対する第2サイド溝5dの傾斜側は、タイヤ径方向D2に対する第1サイド溝4dの傾斜側と、同じ側であってもよい。例えば、本実施形態のように、第1サイド溝4dと第2サイド溝5dとは、タイヤ径方向D2の外側へ行くにつれて、第1周方向側D31へ延びていてもよい。
【0046】
そして、第2頂面5aの面積は、第1頂面4aの面積よりも、大きくなっている。なお、例えば、本実施形態のように、サイド溝4d,5dのような凹みが存在する場合には、頂面4a,5aの面積は、サイド溝4d,5dのような凹みも含めた面積をいう。即ち、頂面4a,5aの面積は、サイド溝4d,5dのような凹みが存在しないと仮定したときの面積をいう。
【0047】
図5~
図7に示すように、幅溝18は、本実施形態のように、第1サイドブロック4及び第2サイドブロック5間まで延びていてもよい。そして、幅溝18は、本実施形態のように、サイドウォール12のタイヤ幅方向D1の外側表面まで延びていてもよい。当該構成によれば、幅溝18は、トレッド13及びサイドウォール12に亘って配置され、幅溝18のタイヤ幅方向D1の外端は、サイドウォール12のタイヤ幅方向D1の外側表面で開口されている。
【0048】
図6に示すように、第1サイドブロック4は、第1トレッドブロック2のタイヤ幅方向D1の外側に配置されている。そして、第1サイドブロック4の一部は、本実施形態のように、タイヤ幅方向D1視において、第1トレッドブロック2の一部と重なっていてもよい。具体的には、本実施形態のように、第1サイドブロック4のタイヤ径方向D2の外側部分は、タイヤ幅方向D1視において、第1トレッドブロック2のタイヤ径方向D2の内側部分と重なっていてもよい。
【0049】
当該構成によれば、第1サイドブロック4は、第1トレッドブロック2のタイヤ幅方向D1の外側に連接されている。なお、第1トレッドブロック2のタイヤ径方向D2の内端は、幅溝18の溝底18aの位置である。
【0050】
図6において、二点鎖線は、第1トレッドブロック2と第1サイドブロック4との境界面S4を示している。例えば、当該境界面S4は、タイヤ子午面の断面において、第1トレッドブロック2のタイヤ幅方向D1の外側面2bのうち、タイヤ径方向D2の内端部の延長線で規定される。
【0051】
なお、第1トレッドブロック2の外側面2bは、タイヤ子午面の断面において、少なくとも一つの直線、円弧、曲率半径が異なる複数の円弧、及びそれらの組み合わせで構成されている。そして、例えば、第1トレッドブロック2の外側面2bは、本実施形態のように、タイヤ子午面の断面において、一つの直線で構成されていてもよい。
【0052】
第1頂面4aは、ショルダー主溝16の溝底16aよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されている。そして、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の外端縁4eは、本実施形態のように、幅溝18の溝底18aのうち、タイヤ幅方向D1の外端18bの位置よりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されていてもよい。
【0053】
また、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の外端縁4eは、例えば、本実施形態のように、幅溝18の溝底18aの第1基準位置P1よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されていてもよい。なお、第1基準位置P1とは、タイヤ子午面の断面において、第1トレッドブロック2の外端2aにおける法線L1と交差する位置である。
【0054】
また、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の外端縁4eは、例えば、本実施形態のように、幅溝18の溝底18aの第2基準位置P2よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されていてもよい。なお、第2基準位置P2とは、タイヤ幅方向D1の位置が第1トレッドブロック2の外端2aと同じ位置である。
【0055】
また、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の内端は、例えば、本実施形態のように、幅溝18の溝底18aの外端18bと、タイヤ径方向D2で同じ位置であってもよい。なお、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の内端は、例えば、幅溝18の溝底18aの外端18bよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されていてもよい。
【0056】
図7に示すように、第2サイドブロック5は、第2トレッドブロック3のタイヤ幅方向D1の外側に配置されている。そして、第2サイドブロック5の一部は、本実施形態のように、タイヤ幅方向D1視において、第2トレッドブロック3の一部と重なっていてもよい。具体的には、本実施形態のように、第2サイドブロック5のタイヤ径方向D2の外側部分は、タイヤ幅方向D1視において、第2トレッドブロック3のタイヤ径方向D2の内側部分と重なっていてもよい。
【0057】
当該構成によれば、第2サイドブロック5は、第2トレッドブロック3のタイヤ幅方向D1の外側に連接されている。なお、第2トレッドブロック3のタイヤ径方向D2の内端は、幅溝18の溝底18aの位置である。
【0058】
図7において、二点鎖線は、第2トレッドブロック3と第2サイドブロック5との境界面S5を示している。例えば、当該境界面S5は、タイヤ子午面の断面において、第2トレッドブロック3のタイヤ幅方向D1の外側面3bのうち、タイヤ径方向D2の内端部の延長線で規定される。
【0059】
なお、第2トレッドブロック3の外側面3bは、タイヤ子午面の断面において、少なくとも一つの直線、円弧、曲率半径が異なる複数の円弧、及びそれらの組み合わせで構成されている。そして、例えば、第2トレッドブロック3の外側面3bは、本実施形態のように、タイヤ子午面の断面において、一つの直線で構成されていてもよい。
【0060】
第2頂面5aは、ショルダー主溝16の溝底16aよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されている。そして、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の外端縁5eは、本実施形態のように、幅溝18の溝底18aのうち、タイヤ幅方向D1の外端18bの位置よりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されていてもよい。
【0061】
また、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の外端縁5eは、例えば、本実施形態のように、幅溝18の溝底18aの第3基準位置P3よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されていてもよい。なお、第3基準位置P3とは、タイヤ子午面の断面において、第2トレッドブロック3の外端3aにおける法線L2と交差する位置である。
【0062】
また、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の外端縁5eは、例えば、本実施形態のように、幅溝18の溝底18aの第4基準位置P4よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されていてもよい。なお、第4基準位置P4とは、タイヤ幅方向D1の位置が第2トレッドブロック3の外端3aと同じ位置である。
【0063】
また、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の内端は、例えば、本実施形態のように、幅溝18の溝底18aの外端18bと、タイヤ径方向D2で同じ位置であってもよい。なお、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の内端は、例えば、幅溝18の溝底18aの外端18bよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されていてもよい。
【0064】
そして、
図6及び
図7に示すように、第2サイドブロック5の体積は、本実施形態のように、第1サイドブロック4の体積よりも、大きくなっていてもよい。また、タイヤ子午面の断面において、第2サイドブロック5の面積は、本実施形態のように、第1サイドブロック4の面積よりも、大きくなっていてもよい。
【0065】
なお、例えば、タイヤ子午面の断面において、第2サイドブロック5の最大面積は、本実施形態のように、第1サイドブロック4の最大面積よりも、大きくなっていてもよい。また、例えば、タイヤ子午面の断面において、第2サイドブロック5の平均面積は、本実施形態のように、第1サイドブロック4の平均面積よりも、大きくなっていてもよい。
【0066】
ところで、
図8は、
図6のタイヤ子午面の断面の一部と
図7のタイヤ子午面の断面の一部とを重ね合わせた図、即ち、タイヤ周方向D3視図である。
図8において、一点鎖線は、第1トレッドブロック2及び第1サイドブロック4の外縁(
図6参照)を示し、二点鎖線は、第2トレッドブロック3及び第2サイドブロック5の外縁(
図7参照)を示し、実線は、第1及び第2トレッドブロック2,3の外縁が同じ位置である外縁、及び、第1及び第2サイドブロック4,5の外縁が同じ位置である外縁を示している。
【0067】
そして、
図8に示すように、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の外端縁5eは、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の外端縁4eよりも、タイヤ幅方向D1の外側に配置されている。なお、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の内側部分(
図8の実線部分)は、本実施形態のように、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の内側部分(
図8の実線部分)と、タイヤ幅方向D1で同じ位置であってもよい。
【0068】
また、
図5及び
図8に示すように、第1頂面4aの外端縁4eのタイヤ径方向D2の最外位置は、本実施形態のように、第2頂面5aの外端縁5eのタイヤ径方向D2の最外位置よりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されていてもよい。なお、特に限定されないが、本実施形態においては、第1頂面4aの外端縁4eの当該最外位置は、第1周方向側D31の端部位置であり、第2頂面5aの外端縁5eは、全長に亘って、タイヤ径方向D2で同じ位置である。
【0069】
また、第1頂面4aの外端縁4eのタイヤ径方向D2の最内位置は、本実施形態のように、第2頂面5aの外端縁5eのタイヤ径方向D2の最内位置よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されていてもよい。なお、特に限定されないが、本実施形態においては、第1頂面4aの外端縁4eの当該最内位置は、第2周方向側D32の端部位置であり、第2頂面5aの外端縁5eは、全長に亘って、タイヤ径方向D2で同じ位置である。
【0070】
このように、本実施形態のように、第1頂面4aの外端縁4eの一部(第1周方向側D31の部分)は、第2頂面5aの外端縁5eよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されてもよい。また、本実施形態のように、第1頂面4aの外端縁4eの一部(第2周方向側D32の部分)は、第2頂面5aの外端縁5eよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されていてもよい。
【0071】
なお、特に限定されないが、第1トレッドブロック2の外端2aと第1頂面4aの外端縁4eとのタイヤ径方向D2の距離W2、及び、第2トレッドブロック3の外端3aと第2頂面5aの外端縁5eとのタイヤ径方向D2の距離W3は、2mm~10mmとしてもよい。
【0072】
そして、当該距離W2,W3は、例えば、4mm以上であることが好ましく、また、例えば、5mm以上であることがさらに好ましい。また、当該距離W2,W3は、例えば、8mm以下であることが好ましく、また、例えば、6mm以下であることがさらに好ましい。
【0073】
なお、上述した各寸法値、位置関係及び大小関係等は、タイヤ1を正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態で測定したものである。正規リムは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ1ごとに定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRA及びETRTOであれば「Measuring Rim」となる。
【0074】
また、正規内圧は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATIONPRESSURE」である。
【0075】
本実施形態に係る空気入りタイヤ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の作用について説明する。
【0076】
まず、トラクション性能について説明する。
【0077】
まず、第1トレッドブロック2の外端2aは、第2トレッドブロック3の外端3aよりも、タイヤ幅方向D1の外側に配置されている。これにより、第1トレッドブロック2の外端2aと第2トレッドブロック3の外端3aとのタイヤ幅方向D1の位置の違いによって、第1トレッドブロック2においてトラクションを効果的に発生することができる。
【0078】
しかも、第2頂面5aの外端縁5eは、第1頂面4aの外端縁4eよりも、タイヤ幅方向D1の外側に配置されている。これにより、第1頂面4aの外端縁4eと第2頂面5aの外端縁5eとのタイヤ幅方向D1の位置の違いによって、第2サイドブロック5においてトラクションを効果的に発生することができる。
【0079】
このように、第1トレッドブロック2においてトラクションを効果的に発生することができると共に、第2サイドブロック5においてトラクションを効果的に発生することができる。したがって、例えば、タイヤ周方向D3でトラクションの大きさの差が発生することを抑制することができる。
【0080】
そして、第1サイド溝4dは、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の全長に亘って延びており、第2サイド溝5dは、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の全長に亘って延びている。これにより、第1及び第2サイドブロック4,5の外周縁だけでなく、サイド溝4d,5dによっても、トラクションを発生することができる。
【0081】
また、第1頂面4aの外端縁4eが、タイヤ周方向D3に対して交差するように延びているため、第1頂面4aの外端縁4eは、タイヤ周方向D3の成分だけでなく、タイヤ径方向D2の成分も有している。これにより、第1頂面4aの外端縁4eによって、トラクションを効果的に発生することができる。
【0082】
また、第2頂面5aの外端縁5eがタイヤ周方向D3に沿って延びていることに対して、第1頂面4aの外端縁4eの一部(第1周方向側D31の部分)は、第2頂面5aの外端縁5eよりもタイヤ径方向D2の外側に配置されている。これにより、第1頂面4aの外端縁4eと第2頂面5aの外端縁5eとのタイヤ径方向D2の位置の違いによって、各頂面4a,5aの外端縁4e,5eにおいてトラクションを効果的に発生することができる。
【0083】
また、第2頂面5aの外端縁5eがタイヤ周方向D3に沿って延びていることに対して、第1頂面4aの外端縁4eの一部(第2周方向側D32の部分)は、第2頂面5aの外端縁5eよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されている。これにより、第1頂面4aの外端縁4eと第2頂面5aの外端縁5eとのタイヤ径方向D2の位置の違いによって、各頂面4a,5aの外端縁4e,5eにおいてトラクションを効果的に発生することができる。
【0084】
ところで、第1頂面4a及び第2頂面5aは、ショルダー主溝16の溝底16aよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されている。しかも、各頂面4a,5aの外端縁4e,5eは、幅溝18の溝底18aの各基準位置P1~P4よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されている。
【0085】
これにより、各頂面4a,5aの外端縁4e,5eは、摩耗したときのトレッドブロック2,3の外端2a,3aよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置され続けることになる。したがって、トレッドブロック2,3が摩耗した場合でも、各頂面4a,5aの外端縁4e,5eとトレッドブロック2,3の外端2a,3aとの間に、段差が形成され続けるため、当該段差によって、トラクションを効果的に発生することができる。
【0086】
次に、バットレスのタイヤ周方向D3における剛性差について説明する。
【0087】
まず、第2トレッドブロック3の外端3aが、第1トレッドブロック2の外端2aよりも、タイヤ幅方向D1の内側に配置されている。これにより、第2トレッドブロック3のタイヤ幅方向D1の外端部分の剛性は、第1トレッドブロック2のタイヤ幅方向D1の外端部分の剛性よりも、小さくなり易い。
【0088】
それに対して、第2頂面5aの面積は、第1頂面4aの面積よりも、大きくなっている。しかも、第2サイドブロック5の体積は、第1サイドブロック4の体積よりも、大きくなっている。これにより、第2サイドブロック5の剛性が第1サイドブロック4の剛性よりも大きくなる。したがって、バットレスの剛性差がタイヤ周方向D3で発生することを抑制することができる。
【0089】
また、第1頂面4a及び第2頂面5aは、ショルダー主溝16の溝底16aよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されている。しかも、各頂面4a,5aの外端縁4e,5eは、幅溝18の溝底18aの各基準位置P1~P4よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されている。
【0090】
これにより、各頂面4a,5aの外端縁4e,5eは、摩耗したときのトレッドブロック2,3の外端2a,3aよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置され続けることになる。したがって、トレッドブロック2,3が摩耗した場合でも、第1及び第2サイドブロック4,5がバットレスの剛性に与える影響が過大になることを抑制することができる。その結果、バットレスの剛性差がタイヤ周方向D3で発生することを効果的に抑制することができる。
【0091】
このように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、トラクションを効果的に発生することができるため、トラクション性能を向上させることができる。しかも、バットレスの剛性差がタイヤ周方向D3で発生することを抑制することができるため、例えば、第1及び第2トレッドブロック2,3のタイヤ幅方向D1の外端部分で、偏摩耗が発生することを抑制することができる。
【0092】
以上より、空気入りタイヤ1は、本実施形態のように、タイヤ径方向D2に延びるサイドウォール12と、タイヤ径方向D2の外側にトレッド面13aを有し、前記サイドウォール12のタイヤ径方向D2の外端に連接されるトレッド13と、を備え、前記トレッド13は、タイヤ幅方向D1の外端まで延びる複数の幅溝18と、前記複数の幅溝18に区画される複数のトレッドブロック2,3と、を備え、前記複数のトレッドブロック2,3は、第1トレッドブロック2と、前記トレッド面13aの前記タイヤ幅方向D1の外端3aが前記第1トレッドブロック2の前記トレッド面13aの前記タイヤ幅方向D1の外端2aよりも前記タイヤ幅方向D1の内側に配置される第2トレッドブロック3と、を含み、前記サイドウォール12は、前記タイヤ幅方向D1へ突出する複数のサイドブロック4,5,7,8を備え、前記複数のサイドブロック4,5,7,8は、前記第1トレッドブロック2の前記タイヤ幅方向D1の外側に配置される第1サイドブロック4と、前記第2トレッドブロック3の前記タイヤ幅方向D1の外側に配置される第2サイドブロック5と、を含み、前記第1サイドブロック4は、前記タイヤ幅方向D1の外端に配置される第1頂面4aを備え、前記第2サイドブロック5は、前記タイヤ幅方向D1の外端に配置される第2頂面5aを備え、前記第2頂面5aの面積は、前記第1頂面4aの面積よりも、大きい、という構成が好ましい。
【0093】
斯かる構成によれば、第2トレッドブロック3のトレッド面13aのタイヤ幅方向D1の外端3aは、第1トレッドブロック2のトレッド面13aのタイヤ幅方向D1の外端2aよりも、タイヤ幅方向D1の内側に配置されている。これにより、第1トレッドブロック2の外端2aと第2トレッドブロック3の外端3aとのタイヤ幅方向D1の位置の違いによって、トラクションを効果的に発生することができるため、トラクション性能を向上させることができる。
【0094】
一方で、第2トレッドブロック3のタイヤ幅方向D1の外端部分の剛性が第1トレッドブロック2のタイヤ幅方向D1の外端部分の剛性よりも小さくなり易いことに対して、第2サイドブロック5の第2頂面5aの面積は、第1サイドブロック4の第1頂面4aの面積よりも、大きくなっている。これにより、第2サイドブロック5の剛性が第1サイドブロック4の剛性よりも大きくなるため、バットレスの剛性差がタイヤ周方向D3で発生することを抑制することができる。
【0095】
また、空気入りタイヤ1においては、本実施形態のように、前記トレッド13は、タイヤ周方向D3へ延びる複数の主溝16,17を備え、前記複数の主溝16,17は、前記タイヤ幅方向D1の最も外側に配置されるショルダー主溝16を含み、前記第1頂面4a及び前記第2頂面5aは、前記ショルダー主溝16の溝底16aよりも、前記タイヤ径方向D2の内側に配置される、という構成が好ましい。
【0096】
斯かる構成によれば、第1頂面4a及び第2頂面5aが、ショルダー主溝16の溝底16aよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されているため、第1頂面4a及び第2頂面5aは、摩耗したときのトレッドブロック2,3のタイヤ幅方向D1の外端2a,3aよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置され続ける。
【0097】
また、空気入りタイヤ1においては、本実施形態のように、前記第1頂面4a及び前記第2頂面5aの少なくとも一方(本実施形態においては、第1頂面4a)の前記タイヤ径方向D2の外端縁4eは、タイヤ周方向D3に対して交差するように、延びる、という構成が好ましい。
【0098】
斯かる構成によれば、第1頂面4a及び第2頂面5aの少なくとも一方のタイヤ径方向D2の外端縁4eが、タイヤ周方向D3に対して交差するように延びているため、当該外端縁4eは、タイヤ周方向D3の成分だけでなく、タイヤ径方向D2の成分も有している。これにより、当該外側縁4eによって、トラクションを効果的に発生することができる。
【0099】
また、空気入りタイヤ1においては、本実施形態のように、前記第2頂面5aの前記タイヤ径方向D2の外端縁5eは、前記第1頂面4aの前記タイヤ径方向D2の外端縁4eよりも、前記タイヤ幅方向D1の外側に配置される、という構成が好ましい。
【0100】
斯かる構成によれば、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の外端縁5eが、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の外端縁4eよりも、タイヤ幅方向D1の外側に配置されているため、第2頂面5aの外端縁5eと第1頂面4aの外端縁4eとのタイヤ幅方向D1の位置の違いによって、トラクションを効果的に発生することができる。
【0101】
また、空気入りタイヤ1においては、本実施形態のように、前記第1頂面4a及び前記第2頂面5aの少なくとも一方(本実施形態においては、第1頂面4a及び第2頂面5a)は、前記タイヤ径方向D2へ延びるサイド溝4d,5dを備える、という構成が好ましい。
【0102】
斯かる構成によれば、サイド溝4d,5dがタイヤ径方向D2へ延びているため、頂面4a,5aの外周縁だけでなく、サイド溝4d,5dによっても、トラクションを発生することができる。これにより、第1及び第2サイドブロック4,5によるトラクションを効果的に発生することができる。
【0103】
また、空気入りタイヤ1においては、本実施形態のように、前記サイド溝4d,5dは、前記第1頂面4a及び前記第2頂面5aの少なくとも一方(本実施形態においては、第1頂面4a及び第2頂面5a)の前記タイヤ径方向D2の外端から内端まで延びる、という構成が好ましい。
【0104】
斯かる構成によれば、サイド溝4d,5dが、頂面4a,5aのタイヤ径方向D2の外端から内端まで延びているため、サイド溝4d,5dは、頂面4a,5aのタイヤ径方向D2の全長に亘って、配置されている。これにより、サイド溝4d,5dによって、トラクションをさらに効果的に発生することができる。
【0105】
なお、空気入りタイヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0106】
(1)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第1頂面4a及び第2頂面5aは、ショルダー主溝16の溝底16aよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置される、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0107】
例えば、各頂面4a,5aの一部(少なくともタイヤ径方向D2の外端縁4e,5e)は、ショルダー主溝16の溝底16aよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置される、という構成でもよい。また、例えば、各頂面4a,5aのタイヤ径方向D2の外端縁4e,5eは、ショルダー主溝16の溝底16aと、タイヤ径方向D2で同じ位置である、という構成でもよい。
【0108】
(2)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の外端縁4eは、タイヤ周方向D3に対して交差するように、延びる、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の外端縁4eは、タイヤ周方向D3に沿って、延びている、という構成でもよい。
【0109】
(3)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第2頂面5aのタイヤ径方向D2の外端縁5eは、第1頂面4aのタイヤ径方向D2の外端縁4eよりも、タイヤ幅方向D1の外側に配置される、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。第2頂面5aの外端縁5eは、例えば、第1頂面4aの外端縁4eよりも、タイヤ幅方向D1の内側に配置される、という構成でもよく、また、例えば、第1頂面4aの外端縁4eと、タイヤ幅方向D1で同じ位置である、という構成でもよい。
【0110】
(4)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、各頂面4a,5aは、頂面4a,5aのタイヤ径方向D2の外端から内端までタイヤ径方向D2へ延びるサイド溝4d,5dを備える、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0111】
例えば、第1頂面4a及び第2頂面5aの少なくとも一方は、サイド溝4d,5dを備えていない、という構成でもよい。また、例えば、サイド溝4d,5dは、頂面4a,5aのタイヤ径方向D2の一部に配置される、という構成でもよい。即ち、サイド溝4d,5dは、頂面4a,5aのタイヤ径方向D2の外端及び内端の少なくとも一方から離れている、という構成でもよい。
【0112】
(5)また、空気入りタイヤ1においては、第1及び第2サイドブロック4,5は、一方側のサイドウォール12にのみ備えられている、という構成でもよく、両方のサイドウォール12に備えられている、という構成でもよい。特に限定されないが、例えば、第1及び第2サイドブロック4,5は、一対のサイドウォール12のうち、車両装着時に外側に配置されるサイドウォール12に、少なくとも備えられている、という構成としてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…空気入りタイヤ、2…第1トレッドブロック、2a…外端、2b…外側面、3…第2トレッドブロック、3a…外端、3b…外側面、4…第1サイドブロック、4a…第1頂面、4b…第1径側面、4c…第1周側面、4d…第1サイド溝、4e…外端縁、5…第2サイドブロック、5a…第2頂面、5b…第2径側面、5c…第2周側面、5d…第2サイド溝、5e…外端縁、6…環状突出部、7…第3サイドブロック、8…第4サイドブロック、11…ビード、11a…ビードコア、11b…ビードフィラー、11c…リムストリップゴム、11d…外端、12…サイドウォール、12a…サイドウォールゴム、12b…タイヤ最大幅位置、12c…ビード端位置、13…トレッド、13a…トレッド面、13b…トレッドゴム、13c…ベルト、13d…ベルトプライ、14…カーカス、14a…カーカスプライ、15…インナーライナ、16…ショルダー主溝、16a…溝底、17…センター主溝、18…幅溝、18a…溝底、18b…外端、D1…タイヤ幅方向、D2…タイヤ径方向、D3…タイヤ周方向、D31…第1周方向側、D32…第2周方向側、S1…タイヤ赤道面、S2…タイヤ子午面、S3…タイヤ子午面