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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】バスバーアッセンブリ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/58 20060101AFI20240809BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20240809BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20240809BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20240809BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20240809BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20240809BHJP
   H01R 43/18 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H01R4/58 Z
B05D7/14 P
B05D3/12 D
B05D5/12 D
B05D3/12 C
B05D3/06 Z
H01R43/00 Z
H01R43/18
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020190926
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022080002
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】小谷 哲之
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特許第6487769(JP,B2)
【文献】特開2017-041579(JP,A)
【文献】特開2011-119377(JP,A)
【文献】特開2004-327632(JP,A)
【文献】国際公開第2020/044656(WO,A1)
【文献】特開平03-264140(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0145415(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/58
B05D 7/14
B05D 3/12
B05D 5/12
B05D 3/06
H01R 43/00
H01R 43/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、
前記間隙内に充填された間隙充填部及び前記間隙充填部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の上面を覆う上面側積層部を含み、前記上面側積層部には前記複数のバスバーの各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口が設けられているバスバー側絶縁層と、
板厚方向に貫通する中央孔が設けられた環状の枠体本体及び前記枠体本体の外周面を覆う枠体側絶縁層を有し、平面視において前記一又は複数の上面側開口が前記中央孔内に位置する状態で前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部を介して固着されている枠体とを備え、
前記枠体本体は、板厚方向一方側及び他方側をそれぞれ向く上面及び下面と、前記中央孔に面する内側面と、前記中央孔とは反対側に位置する外側面とを有し、
前記内側面のうち少なくとも前記上面側開口に対向する開口対向部分においては、板厚方向他方側の下端部が、板厚方向に関する他の部位よりも前記バスバー連結体の平面視中央位置から平面方向に関し最も離間されていることを特徴とするバスバーアッセンブリ。
【請求項2】
前記内側面のうち少なくとも前記開口対向部分は、板厚方向一方側から他方側へ行くに従って前記バスバー連結体の平面視中央位置からの平面方向距離が大きくなる傾斜面とされていることを特徴とする請求項1に記載のバスバーアッセンブリ。
【請求項3】
前記内側面の全体が前記傾斜面とされて、前記中央孔は前記枠体本体の板厚方向一方側から他方側へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とされていることを特徴とする請求項2に記載のバスバーアッセンブリ。
【請求項4】
前記内側面のうち少なくとも前記開口対向部分は、前記枠体本体の上面から板厚方向他方側へ延びる上側板厚方向延在面と、前記上側板厚方向延在部の板厚方向他端部から、前記バスバー連結体の平面視中央位置とは反対側へ板面方向に沿って延びる板面方向延在面と、前記板厚方向延在面における前記平面視中央位置とは反対側の端部から板厚方向他方側へ延びる下側板厚方向延在面とを有していることを特徴とする請求項1に記載のバスバーアッセンブリ。
【請求項5】
前記内側面の全体が前記上側板厚方向延在面、前記板面方向延在面及び前記下側板厚方向延在面を有しており、前記中央孔は、前記枠体本体の上面から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の板厚内で終焉する小径孔と、前記小径孔の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の下面に到達する大径孔とを有する段付き孔とされていることを特徴とする請求項4に記載のバスバーアッセンブリ。
【請求項6】
前記内側面のうち少なくとも前記開口対向部分は、前記枠体本体の上面から板厚方向他方側へ板厚方向に沿って延びる上側板厚方向延在面と、前記上側板厚方向延在部の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ行くに従って前記バスバー連結体の平面視中央位置との間の平面方向距離が大きくなる傾斜面とを有していることを特徴とする請求項1に記載のバスバーアッセンブリ。
【請求項7】
前記内側面の全体が前記上側板厚方向延在面及び前記傾斜面を有しており、前記中央孔は、前記枠体本体の上面から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の板厚内で終焉する小径孔と、前記小径孔の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とを有する複合孔とされていることを特徴とする請求項6に記載のバスバーアッセンブリ。
【請求項8】
導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填された間隙充填部及び前記間隙充填部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の上面を覆う上面側積層部を含み、前記上面側積層部には前記複数のバスバーの各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口が設けられているバスバー側絶縁層と、板厚方向一方側の上面及び板厚方向他方側の下面を貫通する中央孔が設けられた環状の枠体本体及び前記枠体本体の外周面を覆う枠体側絶縁層を有し、平面視において前記一又は複数の上面側開口が前記中央孔内に位置する状態で前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部を介して固着されている枠体とを備えたバスバーアッセンブリの製造方法であって、
前記バスバー連結体に対応した平面視外形状を有するバスバー形成領域を含む導電性金属製のバスバー用平板を用意する工程と、
前記バスバー形成領域に、板厚方向に貫通し且つ前記間隙と同一幅を有する一又は複数のスリットを形成して、当該バスバー形成領域を前記複数のバスバーに対応した複数のバスバー形成部位に区画するスリット形成工程と、
少なくとも前記スリット内及び前記バスバー形成領域の上面に前記バスバー側絶縁層を形成するバスバー側絶縁性樹脂塗料を塗布するバスバー側塗布工程と、
前記バスバー用平板を用意する工程から前記バスバー側塗布工程の前又は後、若しくは、これらと並行して行う枠体形成処理であって、前記枠体本体に対応した平面視外形状を有する枠体形成領域を含む枠体用平板を用意する工程、前記枠体形成領域に前記中央孔を形成して前記枠体本体に対応した環状体を形成する中央孔形成工程、及び、前記環状体の外周面に前記枠体側絶縁層を形成する枠体側絶縁性樹脂塗料を塗布する枠体側塗布工程を含む枠体形成処理と、
前記バスバー側絶縁性樹脂塗料及び前記枠体側絶縁性樹脂塗料の少なくとも一方が半硬化状態において前記枠体形成領域の下面を前記バスバー形成領域の上面に圧着させて、半硬化状態の絶縁性樹脂塗料を完全硬化させることにより、前記バスバー用平板及び前記枠体用平板を固着させる平板固着工程と、
前記バスバー側絶縁層における上面側積層部のうち前記上面側開口を形成すべき上面側開口形成領域にレーザー光を照射して前記一又は複数の上面側開口を設けるレーザー光照射工程とを備え、
前記中央孔は、前記枠体本体の板厚方向一方側から他方側へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とされ、
前記中央孔形成径工程は、逆テーパ孔に対応した先細テーパ状のパンチを用意し、前記枠体形成領域の下面の側から上面の側へ向かって前記パンチを押圧させるように構成されていることを特徴とするバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項9】
導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填された間隙充填部及び前記間隙充填部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の上面を覆う上面側積層部を含み、前記上面側積層部には前記複数のバスバーの各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口が設けられているバスバー側絶縁層と、板厚方向一方側の上面及び板厚方向他方側の下面を貫通する中央孔が設けられた環状の枠体本体及び前記枠体本体の外周面を覆う枠体側絶縁層を有し、平面視において前記一又は複数の上面側開口が前記中央孔内に位置する状態で前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部を介して固着されている枠体とを備えたバスバーアッセンブリの製造方法であって、
前記バスバー連結体に対応した平面視外形状を有するバスバー形成領域を含む導電性金属製のバスバー用平板を用意する工程と、
前記バスバー形成領域に、板厚方向に貫通し且つ前記間隙と同一幅を有する一又は複数のスリットを形成して、当該バスバー形成領域を前記複数のバスバーに対応した複数のバスバー形成部位に区画するスリット形成工程と、
少なくとも前記スリット内及び前記バスバー形成領域の上面に前記バスバー側絶縁層を形成するバスバー側絶縁性樹脂塗料を塗布するバスバー側塗布工程と、
前記バスバー用平板を用意する工程から前記バスバー側塗布工程の前又は後、若しくは、これらと並行して行う枠体形成処理であって、前記枠体本体に対応した平面視外形状を有する枠体形成領域を含む枠体用平板を用意する工程、前記枠体形成領域に前記中央孔を形成して前記枠体本体に対応した環状体を形成する中央孔形成工程、及び、前記環状体の外周面に前記枠体側絶縁層を形成する枠体側絶縁性樹脂塗料を塗布する枠体側塗布工程を含む枠体形成処理と、
前記バスバー側絶縁性樹脂塗料及び前記枠体側絶縁性樹脂塗料の少なくとも一方が半硬化状態において前記枠体形成領域の下面を前記バスバー形成領域の上面に圧着させて、半硬化状態の絶縁性樹脂塗料を完全硬化させることにより、前記バスバー用平板及び前記枠体用平板を固着させる平板固着工程と、
前記バスバー側絶縁層における上面側積層部のうち前記上面側開口を形成すべき上面側開口形成領域にレーザー光を照射して前記一又は複数の上面側開口を設けるレーザー光照射工程とを備え、
前記中央孔は、前記枠体本体の板厚方向一方側の上面から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の板厚内で終焉する小径孔と、前記小径孔の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の下面に到達する大径孔とを有する段付き孔とされ、
前記中央孔形成工程は、前記大径孔に対応した外径の大径部と、前記大径部から先端側へ延びる小径部であって、前記小径孔に対応した外径の小径部とを有する2段形状のパンチを用意し、前記枠体形成領域の下面の側から上面の側へ向かって前記2段形状のパンチを押圧させるように構成されていることを特徴とするバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項10】
導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填された間隙充填部及び前記間隙充填部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の上面を覆う上面側積層部を含み、前記上面側積層部には前記複数のバスバーの各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口が設けられているバスバー側絶縁層と、板厚方向一方側の上面及び板厚方向他方側の下面を貫通する中央孔が設けられた環状の枠体本体及び前記枠体本体の外周面を覆う枠体側絶縁層を有し、平面視において前記一又は複数の上面側開口が前記中央孔内に位置する状態で前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部を介して固着されている枠体とを備えたバスバーアッセンブリの製造方法であって、
前記バスバー連結体に対応した平面視外形状を有するバスバー形成領域を含む導電性金属製のバスバー用平板を用意する工程と、
前記バスバー形成領域に、板厚方向に貫通し且つ前記間隙と同一幅を有する一又は複数のスリットを形成して、当該バスバー形成領域を前記複数のバスバーに対応した複数のバスバー形成部位に区画するスリット形成工程と、
少なくとも前記スリット内及び前記バスバー形成領域の上面に前記バスバー側絶縁層を形成するバスバー側絶縁性樹脂塗料を塗布するバスバー側塗布工程と、
前記バスバー用平板を用意する工程から前記バスバー側塗布工程の前又は後、若しくは、これらと並行して行う枠体形成処理であって、前記枠体本体に対応した平面視外形状を有する枠体形成領域を含む枠体用平板を用意する工程、前記枠体形成領域に前記中央孔を形成して前記枠体本体に対応した環状体を形成する中央孔形成工程、及び、前記環状体の外周面に前記枠体側絶縁層を形成する枠体側絶縁性樹脂塗料を塗布する枠体側塗布工程を含む枠体形成処理と、
前記バスバー側絶縁性樹脂塗料及び前記枠体側絶縁性樹脂塗料の少なくとも一方が半硬化状態において前記枠体形成領域の下面を前記バスバー形成領域の上面に圧着させて、半硬化状態の絶縁性樹脂塗料を完全硬化させることにより、前記バスバー用平板及び前記枠体用平板を固着させる平板固着工程と、
前記バスバー側絶縁層における上面側積層部のうち前記上面側開口を形成すべき上面側開口形成領域にレーザー光を照射して前記一又は複数の上面側開口を設けるレーザー光照射工程とを備え、
前記中央孔は、前記枠体本体の板厚方向一方側の上面から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の板厚内で終焉する小径孔と、前記小径孔の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とを有する複合孔とされ、
前記中央孔形成工程は、前記逆テーパ孔に対応した先細テーパ部と、前記先細テーパ部から先端側へ延びる小径部であって、前記小径孔に対応した外径の小径部とを有する2段形状のパンチを用意し、前記枠体形成領域の下面の側から上面の側へ向かって前記2段形状のパンチを押圧させるように構成されていることを特徴とするバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項11】
前記バスバー側塗布工程は、前記バスバー形成領域の下面にも前記バスバー側絶縁性樹脂塗料を塗布するように構成され、
前記レーザー光照射工程は、前記バスバー側絶縁性樹脂塗料によって形成される下面側積層部のうち下面側開口形成領域にレーザー光を照射して、前記複数のバスバー形成部位の各々の下面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の下面側開口を設けるように構成されていることを特徴とする請求項8から10の何れかに記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項12】
前記バスバー用平板は、前記スリットの長手方向に沿った第1方向に直列配置された複数の前記バスバー形成領域と、隣接する前記バスバー形成領域を連結する連結領域とを一体的に有しており、
一のバスバー形成領域に形成されたスリットは、長手方向一端側が当該一のバスバー形成領域の第1方向一方側に連接された連結領域内へ延び且つ長手方向他端側が当該一のバスバー形成領域の第1方向他方側に連接された連結領域内へ延びており、
前記枠体用平板は、前記複数のバスバー形成領域と同一ピッチで前記第1方向に直列配置された複数の前記枠体形成領域と、前記第1方向に隣接する前記枠体形成領域を連結する連結領域とを一体的に有していることを特徴とする請求項8から11の何れかに記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項13】
前記平板固着工程後に、前記一又は複数の上面側開口によって露出された前記複数のバスバーの上面のうちの所定バスバーの上面に半導体素子を装着させる半導体素子装着工程を備えていることを特徴とする請求項8から12の何れかに記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項14】
前記半導体素子装着工程後に、前記バスバー形成領域及び前記枠体形成領域を前記バスバー用平板及び前記枠体用平板から切断する切断工程を備えていることを特徴とする請求項13に記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバスバーが電気的には絶縁状態で且つ機械的には連結されてなるバスバーアッセンブリ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに対して電気的には絶縁状態で且つ機械的には連結されている複数のバスバーを備えたバスバーアッセンブリが提案され、種々の分野において利用されている。
【0003】
例えば、一の平板状バスバーと他の平板状バスバーとが互いに対して平行状態で上下に積層されてなる積層型のバスバーアッセンブリが提案されている(下記特許文献1及び2参照)。
【0004】
前記積層型バスバーアッセンブリは、一の平板状バスバーの対向平面と他の平板状バスバーの対向平面とが絶縁層を挟んで全面的に対向配置されている為、絶縁性に関する信頼性を十分には確保し難いという問題がある。
特に、上下方向に関し小型化を図る為に前記一の平板状バスバーと前記他の平板状バスバーとの間の絶縁層の厚みを薄くすると、両バスバー間にリーク電流が流れる恐れがある。
【0005】
前記積層型バスバーアッセンブリの問題点を解決する為に、本願出願人は、導電性金属平板の第1及び第2バスバーが同一平面内で並列配置されている平面型バスバーアッセンブリに関する出願を行い、特許を受けている(下記特許文献3及び4参照)。
【0006】
図22(a)に、前記平板型バスバーアッセンブリ500の平面図を、図22(b)に、図22(a)におけるXXII(b)-XXII(b)線に沿った断面図を、それぞれ示す。
また、図23に、前記平板型バスバーアッセンブリ500にLED等の半導体素子110が装着されてなる半導体モジュール600の縦断面図を示す。
【0007】
図22(a)及び(b)並びに図23に示すように、前記平面側バスバーアッセンブリ500は、導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙519が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバー510と、前記間隙519内に充填された間隙充填部529及び前記間隙充填部529によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の上面を覆うように前記間隙充填部529から一体的に延びる上面側積層部521を含むバスバー側絶縁層520と、上下に貫通する中央孔537が設けられた環状の枠体本体531及び前記枠体本体531の外周面を覆う枠体側絶縁層540を有する枠体530とを備えている。
【0008】
図示の形態においては、前記バスバーアッセンブリ500は、前記複数のバスバー510として第1~第3バスバー510(1)~(3)を有しており、前記第1及び第2バスバー510(1)、(2)は第1間隙519(1)を介して並設され、前記第2及び第3バスバー510(2)、(3)は第2間隙519(2)を介して並設されている。
そして、前記バスバー側絶縁層520は、前記間隙充填部529として、前記第1及び第2間隙519(1)、(2)にそれぞれ充填された第1及び第2間隙充填部529(1)、(2)を有している。
【0009】
前記平面型バスバーアッセンブリ500においては、前記第1~第3バスバー510(1)~(3)の一部がが陽極として作用し、残りが陰極として作用する。
【0010】
前記上面側積層部521には、前記第1~第3バスバー510(1)~(3)の各々の上面の少なくとも一部を露出させる第1~第3上面側開口522(1)~(3)が設けられている。
【0011】
前記第1バスバー510(1)の上面のうち前記第1上面側開口522(1)を介して露出する部分が前記第1バスバー510(1)の上面側接続部512を形成し、前記第2バスバー510(2)の上面のうち前記第2上面側開口522(2)を介して露出する部分が前記第2バスバー510(2)の上面側接続部512を形成し、且つ、前記第3バスバー510(3)の上面のうち前記第3上面側開口522(3)を介して露出する部分が前記第3バスバー510(3)の上面側接続部512を形成している。
【0012】
図23に示す前記半導体モジュール600においては、前記第1及び第2バスバー510(1)、(2)が陽極及び陰極の一方(例えば、陽極)として用いられ、前記第3バスバー510(3)が陽極及び陰極の他方(例えば、陰極)として用いられており、前記第1及び第2バスバー510(1)、(2)の上面側接続部512に、それぞれ、LED等の第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)が装着されている。
【0013】
詳しくは、前記第1及び第2半導体素子110の各々は、素子本体115と、前記素子本体115の厚み方向一方側及び他方側にそれぞれ配設された上側電極層111及び下側電極層112とを有するものとされる。
【0014】
前記第1半導体素子110(1)の下側電極層112が対応する前記第1バスバー510(1)の上面側接続部512に固着され、前記第2半導体素子110(2)の下側電極層112が対応する前記第2バスバー110(2)の上面側接続部112に固着される。
【0015】
そして、前記第1半導体素子110(1)の上側電極層111は第1ワイヤ120(1)等の電気接続部材を介して前記第3バスバー510(3)の上面側接続部512に電気的に接続され、前記第2半導体素子110(2)の上側電極層111は第2ワイヤ120(2)等の電気接続部材を介して前記第3バスバー510(3)の上面側接続部512に電気的に接続される。
【0016】
なお、図示の形態においては、前記バスバー側絶縁層520は、さらに、前記バスバー連結体の板厚方向他方側の下面を覆う下面側積層部523及び前記バスバー連結体の側面を覆う側面側積層部525を有しており、前記下面側積層部523には、前記第1~第3バスバー510(1)~510(3)の各々の下面の少なくとも一部を露出させる第1~第3下面側開口524(1)~(3)が設けられている。
【0017】
前記第1バスバー510(1)の下面のうち前記第1下面側開口524(1)を介して露出する部分が前記第1バスバー510(1)の外部接続端子として作用する下面側接続部513を形成し、前記第2バスバー510(2)の下面のうち前記第2下面側開口524(2)を介して露出する部分が前記第2バスバー510(2)の外部接続端子として作用する下面側接続部513を形成し、且つ、 前記第3バスバー510(3)の下面のうち前記第3下面側開口524(3)を介して露出する部分が前記第3バスバー510(2)の外部接続端子として作用する下面側接続部513を形成する。
【0018】
図23に示すように、前記枠体530は、前記第1及び第2半導体素子110(1)、(2)並びに前記第1及び第2ワイヤ120(1)、(2)を保護する封止樹脂体130の流出及び脱離を防止する為の部材であり、平面視において前記第1~第3上面側開口522(1)~(3)が前記中央孔537内に位置する状態で前記バスバー連結体の上面に固着されている。
【0019】
即ち、前記封止樹脂体130は、前記第1及び第2半導体素子110(1)、(2)並びに前記第1及び第2ワイヤ120(1)、(2)を囲繞するように前記バスバー連結体の上面に絶縁性樹脂を流し込み、当該絶縁性樹脂を硬化させることによって形成されるが、前記枠体530は、前記絶縁性樹脂が硬化前に流れ出ることを防止すると共に、硬化後に前記封止樹脂体130が前記バスバーアッセンブリ500から脱離することを防止する。
【0020】
前記特許文献4には、前記枠体付き平面型バスバーアッセンブリ500を効率よく製造し得る製造方法(以下、従来の製造方法という)が記載されている。
以下、従来の製造方法について説明する。
【0021】
従来の製造方法は、前記枠体530を形成する枠体形成処理を有している。
図24(a)に、従来の製造方法において用いられる枠体用平板700の平面図を示す。
前記枠体形成処理は、前記枠体本体531に対応した平面視外形状及び厚みを有する枠体形成領域710を含む導電性金属製の前記枠体用平板700を用意する工程と、前記枠体形成領域710に前記中央孔537を形成して前記枠体本体531に対応した環状体720を形成する中央孔形成工程とを有している。
なお、図24(a)は、前記中央孔形成工程後の状態を示している。
【0022】
図24(a)に示すように、前記枠体用平板700は、当該枠体用平板700が位置するX-Y平面の第1方向(図24においてはY方向)に沿った枠体列705を有している。
【0023】
前記枠体列705は、X-Y平面の第1方向に沿って直列配置された複数(図示の形態においては5個)の前記枠体形成領域710と、前記複数の枠体形成領域710を一体的に連結する複数(図示の形態においては6個)の枠体側連結片730とを有している。
【0024】
図24(b)に、図24(a)におけるXXIV(b)-XXIV(b)線に沿った断面図を示す。
図24(b)に示すように、従来の製造方法においては、前記中央孔形成工程によって形成される前記中央孔537は、前記枠体形成領域710の板厚方向の全体に亘って同一開口径(同一開口幅)とされている。
【0025】
前記枠体形成処理は、さらに、前記環状体720の外周面に前記枠体側絶縁層540を形成する枠体側絶縁性樹脂塗料740を塗布する枠体側塗布工程を有している。
図25に、前記枠体側塗布工程後の前記枠体用平板700の平面図を示す。
【0026】
従来の製造方法は、前記枠体形成処理の前又は後、若しくは、前記枠体形成処理と並行して行うバスバー形成処理を有している。
【0027】
図26に、従来の製造方法において用いられるバスバー用平板650の平面図を示す。
前記バスバー形成処理は、導電性金属製の前記バスバー用平板650を用意する工程を有している。
なお、図26は、下記スリット形成工程後の状態を示している。
【0028】
図26に示すように、前記バスバー用平板650は、当該バスバー用平板650が位置するX-Y平面の第1方向(下記図26においてはY方向)に沿ったバスバー列655を有している。
【0029】
前記バスバー列655は、前記バスバー連結体に対応した平面視外形状を有し且つ前記バスバー510(前記第1~第3バスバー510(1)~(3))と同一厚みを有し、前記枠体列705と同一方向(X-Y平面のY方向)に沿って、前記枠体形成領域710と同一ピッチで直列配置された複数(図示の形態においては5個)のバスバー形成領域660と、前記複数のバスバー形成領域660を一体的に連結する複数(図示の形態においては6個)のバスバー側連結片680とを有している。
【0030】
前記バスバー形成処理は、スリット形成工程を有している。
前記スリット形成工程は、前記バスバー形成領域660に、板厚方向に貫通し且つ前記第1及び第2間隙519(1)、(2)と同一幅を有する第1及び第2スリット669(1)、669(2)を形成して、当該バスバー形成領域660を前記第1~第3バスバー510(1)~(3)に対応した複数の第1~第3バスバー形成部位670(1)~(3)に区画するように構成されている。
【0031】
図26に示すように、前記スリット形成工程において一のバスバー形成領域660に形成された前記第1及び第2スリット669(1)、(2)は、長手方向一端側が当該一のバスバー形成領域660の前記第1方向(図示の形態においてはY方向)の一方側(例えば、図26において下方側)に連接されたバスバー側連結片680内へ延び且つ長手方向他端側が当該一のバスバー形成領域660の第1方向の他方側(例えば、図26において上方側)に連接されたバスバー側連結片680内へ延びている。
【0032】
前記バスバー形成処理は、さらに、前記第1及び第2スリット669内及び前記バスバー形成領域660の外周面に前記バスバー側絶縁層520を形成するバスバー側絶縁性樹脂塗料690を塗布するバスバー側塗布工程を有している。
図27に、前記バスバー側塗布工程後の前記バスバー用平板650の平面図を示す。
【0033】
従来の製造方法は、さらに、前記枠体形成領域710を前記バスバー形成領域660に重合させた状態で前記バスバー用平板650及び前記枠体用平板700を固着させる平板固着工程を有している。
図28に、前記平板固着工程後の前記バスバー用平板650及び前記枠体用平板700の平面図を示す。
【0034】
従来の製造方法は、さらに、前記平板固着工程後に実行されるレーザー光照射工程を有している。
図29に、レーザー光照射工程後の前記枠体用平板700及び前記バスバー用平板650の平面図を示す。
【0035】
図29に示すように、前記レーザー光照射工程は、前記バスバー形成領域660の上面に塗布されて前記上面側積層部521(図22(a)、(b)及び図23参照)を形成する前記バスバー側絶縁性樹脂塗料690のうち前記第1~第3上面側開口522(1)~(3)を形成すべき領域(下記図30(a)及び(b)における第1~第3上面側開口形成領域522a(1)~(3))にレーザー光290を照射して、前記第1~第3上面側開口522(1)~(3)を形成するように構成されている。
【0036】
しかしながら、従来のバスバーアッセンブリ500においては、前記上面側開口522内に、除去すべき前記バスバー側絶縁性樹脂塗料690の一部が残渣695として残ってしまう恐れがあった。
【0037】
なお、前記レーザー光照射工程は、前記バスバー形成領域660の下面に塗布されて前記下面側積層部523(図22(a)、(b)及び図23参照)を形成する前記バスバー側絶縁性樹脂塗料690のうち前記第1~第3下面側開口524(1)~(3)を形成すべき領域(下記図30(a)及び(b)における第1~第3下面側開口形成領域524a(1)~(3))にレーザー光290を照射して、前記第1~第3下面側開口524(1)~(3)を形成する処理も有している。
【0038】
図30(a)に、図28におけるXXX(a)-XXX(a)線に沿った、前記平板固着工程後の前記枠体形成領域710及び前記バスバー形成領域660の縦断面図を示す。
【0039】
前記平板固着工程は、前記枠体側絶縁性樹脂塗料740については完全硬化されているが前記バスバー側絶縁性樹脂塗料690については半硬化とされている状態において、前記枠体形成領域710を前記バスバー形成領域660に圧着させ、半硬化状態のバスバー側絶縁性樹脂塗料690を完全硬化させることにより、前記枠体用平板700及び前記バスバー用平板650を固着させるように構成されている。
【0040】
その為、図30(a)に示すように、前記枠体形成領域710を前記バスバー形成領域660の上面に圧着させた際に、半硬化状態の前記バスバー側絶縁性樹脂塗料690のうち前記枠体形成領域710の直下に位置する部分の一部が前記枠体形成領域710の内側面の側(即ち、前記中央孔537の方向)へはみ出て、結果的に、前記枠体形成領域710の内側面の下端領域において、前記バスバー側絶縁層520の膜厚が局所的に厚くなる事態が生じ得る(以下、この膜厚が厚くなった部分を、大膜厚部527という)。
【0041】
図30(b)に、前記レーザー光照射工程におけるレーザー光290を模式的に表示した状態の前記枠体形成領域710及び前記バスバー形成領域660の縦断面図を示す。
さらに、図30(c)に、図29におけるXXX(c)-XXX(c)線に沿った、レーザー光照射工程後の前記枠体形成領域710及び前記バスバー形成領域660の縦断面図を示す。
【0042】
ここで、前記大膜厚部527が、近接対向する上面側開口形成領域(前記第1及び第3上面側開口形成領域522a(1)、(3))に及んでいると、図22(a)、図22(b)、図23及び図30(c)に示すように、本来、前記レーザー光照射工程において除去すべき前記第1及び第3上面側開口522a(1)、(3)内の前記バスバー側絶縁性樹脂塗料690の一部が残渣695として取り残されるという不都合が生じ得る。
【0043】
特に、前記バスバーアッセンブリ500は平面方向に関しても小型化が望まれており、平面方向の小型化を可及的に図る為には前記枠体本体531の内側面と対向する前記上面側開口522との間の平面方向距離を狭めることが望ましい。
しかしながら、前記枠体本体531の内側面と対向する前記上面側開口522との間の平面方向距離を狭めると、前記不都合が生じ易い。
【0044】
図30(d)に、前記上面側開口522によって露出された前記上面側接続部512に前記第1及び第2半導体素子110(1)、(2)を装着させた状態の前記枠体形成領域710及び前記バスバー形成領域660の縦断面図を示す。
また、図31に、図30(d)におけるXXXI部拡大図を示す。
【0045】
図30(d)及び図31に示すように、前記残渣695が存在すると、前記上面側接続部512に装着される半導体素子110(1)の接触不良を招く恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【文献】特許第4432913号公報
【文献】特許第6487769号公報
【文献】特許第6637002号公報
【文献】特許第6637003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
本発明は、同一平面内に並列配置された複数のバスバーと、隣接する前記バスバーの間の間隙内に充填された間隙充填部及び前記複数のバスバーが前記間隙充填部によって連結されてなるバスバー連結体の上面を覆う上面側積層部を含み、前記上面側積層部には前記複数のバスバーの各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口が設けられているバスバー側絶縁層と、板厚方向に貫通する中央孔が設けられた環状の枠体本体及び前記枠体本体の外周面を覆う枠体側絶縁層を有し、平面視において前記上面側開口が前記中央孔内に位置するように前記バスバー連結体の上面の周縁に固着されている枠体とを備えたバスバーアッセンブリであって、前記上面側開口内に除去すべきバスバー側絶縁層の残渣が生じることを有効に防止乃至は低減できるバスバーアッセンブリ、並びに、その製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0048】
前記目的を達成するために、本発明は、導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填された間隙充填部及び前記間隙充填部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の上面を覆う上面側積層部を含み、前記上面側積層部には前記複数のバスバーの各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口が設けられているバスバー側絶縁層と、板厚方向に貫通する中央孔が設けられた環状の枠体本体及び前記枠体本体の外周面を覆う枠体側絶縁層を有し、平面視において前記一又は複数の上面側開口が前記中央孔内に位置する状態で前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部を介して固着されている枠体とを備え、前記枠体本体は、板厚方向一方側及び他方側をそれぞれ向く上面及び下面と、前記中央孔に面する内側面と、前記中央孔とは反対側に位置する外側面とを有し、前記内側面のうち少なくとも前記上面側開口に対向する開口対向部分においては、板厚方向他方側の下端部が、板厚方向に関する他の部位よりも前記バスバー連結体の平面視中央位置から平面方向に関し最も離間されているバスバーアッセンブリを提供する。
【0049】
本発明に係るバスバーアッセンブリの第1態様においては、前記内側面のうち少なくとも前記開口対向部分は、板厚方向一方側から他方側へ行くに従って前記バスバー連結体の平面視中央位置からの平面方向距離が大きくなる傾斜面とされる。
【0050】
前記第1態様において、好ましくは、前記内側面の全体が前記傾斜面とされ、前記中央孔は前記枠体本体の板厚方向一方側から他方側へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とされる。
【0051】
本発明に係るバスバーアッセンブリの第2態様においては、前記内側面のうち少なくとも前記開口対向部分は、前記枠体本体の上面から板厚方向他方側へ延びる上側板厚方向延在面と、前記上側板厚方向延在部の板厚方向他端部から、前記バスバー連結体の平面視中央位置とは反対側へ板面方向に沿って延びる板面方向延在面と、前記板厚方向延在面における前記平面視中央位置とは反対側の端部から板厚方向他方側へ延びる下側板厚方向延在面とを有するものとされる。
【0052】
前記第2態様において、好ましくは、前記内側面の全体が前記上側板厚方向延在面、前記板面方向延在面及び前記下側板厚方向延在面を有するものとされ、前記中央孔は、前記枠体本体の上面から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の板厚内で終焉する小径孔と、前記小径孔の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の下面に到達する大径孔とを有する段付き孔とされる。
【0053】
本発明に係るバスバーアッセンブリの第3態様においては、前記内側面のうち少なくとも前記開口対向部分は、前記枠体本体の上面から板厚方向他方側へ板厚方向に沿って延びる上側板厚方向延在面と、前記上側板厚方向延在部の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ行くに従って前記バスバー連結体の平面視中央位置との間の平面方向距離が大きくなる傾斜面とを有するものとされる。
【0054】
前記第3態様において、好ましくは、前記内側面の全体が前記上側板厚方向延在面及び前記傾斜面を有するものとされ、前記中央孔は、前記枠体本体の上面から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の板厚内で終焉する小径孔と、前記小径孔の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とを有する複合孔とされる。
【0055】
また、本発明は、導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填された間隙充填部及び前記間隙充填部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の上面を覆う上面側積層部を含み、前記上面側積層部には前記複数のバスバーの各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口が設けられているバスバー側絶縁層と、板厚方向一方側の上面及び板厚方向他方側の下面を貫通する中央孔が設けられた環状の枠体本体及び前記枠体本体の外周面を覆う枠体側絶縁層を有し、平面視において前記一又は複数の上面側開口が前記中央孔内に位置する状態で前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部を介して固着されている枠体とを備えたバスバーアッセンブリの製造方法であって、前記バスバー連結体に対応した平面視外形状を有するバスバー形成領域を含む導電性金属製のバスバー用平板を用意する工程と、前記バスバー形成領域に、板厚方向に貫通し且つ前記間隙と同一幅を有する一又は複数のスリットを形成して、当該バスバー形成領域を前記複数のバスバーに対応した複数のバスバー形成部位に区画するスリット形成工程と、少なくとも前記スリット内及び前記バスバー形成領域の上面に前記バスバー側絶縁層を形成するバスバー側絶縁性樹脂塗料を塗布するバスバー側塗布工程と、前記バスバー用平板を用意する工程から前記バスバー側塗布工程の前又は後、若しくは、これらと並行して行う枠体形成処理であって、前記枠体本体に対応した平面視外形状を有する枠体形成領域を含む枠体用平板を用意する工程、前記枠体形成領域に前記中央孔を形成して前記枠体本体に対応した環状体を形成する中央孔形成工程、及び、前記環状体の外周面に前記枠体側絶縁層を形成する枠体側絶縁性樹脂塗料を塗布する枠体側塗布工程を含む枠体形成処理と、前記バスバー側絶縁性樹脂塗料及び前記枠体側絶縁性樹脂塗料の少なくとも一方が半硬化状態において前記枠体形成領域の下面を前記バスバー形成領域の上面に圧着させて、半硬化状態の絶縁性樹脂塗料を完全硬化させることにより、前記バスバー用平板及び前記枠体用平板を固着させる平板固着工程と、前記バスバー側絶縁層における上面側積層部のうち前記上面側開口を形成すべき上面側開口形成領域にレーザー光を照射して前記一又は複数の上面側開口を設けるレーザー光照射工程とを備え、前記中央孔は、前記枠体本体の板厚方向一方側から他方側へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とされ、前記中央孔形成径工程は、逆テーパ孔に対応した先細テーパ状のパンチを用意し、前記枠体形成領域の下面の側から上面の側へ向かって前記パンチを押圧させるように構成されているバスバーアッセンブリの製造方法を提供する。
【0056】
また、本発明は、導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填された間隙充填部及び前記間隙充填部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の上面を覆う上面側積層部を含み、前記上面側積層部には前記複数のバスバーの各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口が設けられているバスバー側絶縁層と、板厚方向一方側の上面及び板厚方向他方側の下面を貫通する中央孔が設けられた環状の枠体本体及び前記枠体本体の外周面を覆う枠体側絶縁層を有し、平面視において前記一又は複数の上面側開口が前記中央孔内に位置する状態で前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部を介して固着されている枠体とを備えたバスバーアッセンブリの製造方法であって、前記バスバー連結体に対応した平面視外形状を有するバスバー形成領域を含む導電性金属製のバスバー用平板を用意する工程と、前記バスバー形成領域に、板厚方向に貫通し且つ前記間隙と同一幅を有する一又は複数のスリットを形成して、当該バスバー形成領域を前記複数のバスバーに対応した複数のバスバー形成部位に区画するスリット形成工程と、少なくとも前記スリット内及び前記バスバー形成領域の上面に前記バスバー側絶縁層を形成するバスバー側絶縁性樹脂塗料を塗布するバスバー側塗布工程と、前記バスバー用平板を用意する工程から前記バスバー側塗布工程の前又は後、若しくは、これらと並行して行う枠体形成処理であって、前記枠体本体に対応した平面視外形状を有する枠体形成領域を含む枠体用平板を用意する工程、前記枠体形成領域に前記中央孔を形成して前記枠体本体に対応した環状体を形成する中央孔形成工程、及び、前記環状体の外周面に前記枠体側絶縁層を形成する枠体側絶縁性樹脂塗料を塗布する枠体側塗布工程を含む枠体形成処理と、前記バスバー側絶縁性樹脂塗料及び前記枠体側絶縁性樹脂塗料の少なくとも一方が半硬化状態において前記枠体形成領域の下面を前記バスバー形成領域の上面に圧着させて、半硬化状態の絶縁性樹脂塗料を完全硬化させることにより、前記バスバー用平板及び前記枠体用平板を固着させる平板固着工程と、前記バスバー側絶縁層における上面側積層部のうち前記上面側開口を形成すべき上面側開口形成領域にレーザー光を照射して前記一又は複数の上面側開口を設けるレーザー光照射工程とを備え、前記中央孔は、前記枠体本体の板厚方向一方側の上面から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の板厚内で終焉する小径孔と、前記小径孔の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の下面に到達する大径孔とを有する段付き孔とされ、前記中央孔形成工程は、前記大径孔に対応した外径の大径部と、前記大径部から先端側へ延びる小径部であって、前記小径孔に対応した外径の小径部とを有する2段形状のパンチを用意し、前記枠体形成領域の下面の側から上面の側へ向かって前記2段形状のパンチを押圧させるように構成されているバスバーアッセンブリの製造方法を提供する。
【0057】
また、本発明は、導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填された間隙充填部及び前記間隙充填部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の上面を覆う上面側積層部を含み、前記上面側積層部には前記複数のバスバーの各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口が設けられているバスバー側絶縁層と、板厚方向一方側の上面及び板厚方向他方側の下面を貫通する中央孔が設けられた環状の枠体本体及び前記枠体本体の外周面を覆う枠体側絶縁層を有し、平面視において前記一又は複数の上面側開口が前記中央孔内に位置する状態で前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部を介して固着されている枠体とを備えたバスバーアッセンブリの製造方法であって、前記バスバー連結体に対応した平面視外形状を有するバスバー形成領域を含む導電性金属製のバスバー用平板を用意する工程と、前記バスバー形成領域に、板厚方向に貫通し且つ前記間隙と同一幅を有する一又は複数のスリットを形成して、当該バスバー形成領域を前記複数のバスバーに対応した複数のバスバー形成部位に区画するスリット形成工程と、少なくとも前記スリット内及び前記バスバー形成領域の上面に前記バスバー側絶縁層を形成するバスバー側絶縁性樹脂塗料を塗布するバスバー側塗布工程と、前記バスバー用平板を用意する工程から前記バスバー側塗布工程の前又は後、若しくは、これらと並行して行う枠体形成処理であって、前記枠体本体に対応した平面視外形状を有する枠体形成領域を含む枠体用平板を用意する工程、前記枠体形成領域に前記中央孔を形成して前記枠体本体に対応した環状体を形成する中央孔形成工程、及び、前記環状体の外周面に前記枠体側絶縁層を形成する枠体側絶縁性樹脂塗料を塗布する枠体側塗布工程を含む枠体形成処理と、前記バスバー側絶縁性樹脂塗料及び前記枠体側絶縁性樹脂塗料の少なくとも一方が半硬化状態において前記枠体形成領域の下面を前記バスバー形成領域の上面に圧着させて、半硬化状態の絶縁性樹脂塗料を完全硬化させることにより、前記バスバー用平板及び前記枠体用平板を固着させる平板固着工程と、前記バスバー側絶縁層における上面側積層部のうち前記上面側開口を形成すべき上面側開口形成領域にレーザー光を照射して前記一又は複数の上面側開口を設けるレーザー光照射工程とを備え、前記中央孔は、前記枠体本体の板厚方向一方側の上面から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体の板厚内で終焉する小径孔と、前記小径孔の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とを有する複合孔とされ、前記中央孔形成工程は、前記逆テーパ孔に対応した先細テーパ部と、前記先細テーパ部から先端側へ延びる小径部であって、前記小径孔に対応した外径の小径部とを有する2段形状のパンチを用意し、前記枠体形成領域の下面の側から上面の側へ向かって前記2段形状のパンチを押圧させるように構成されているバスバーアッセンブリの製造方法。
【0058】
好ましくは、前記バスバー側塗布工程は、前記バスバー形成領域の下面にも前記バスバー側絶縁性樹脂塗料を塗布するように構成され、前記レーザー光照射工程は、前記バスバー側絶縁性樹脂塗料によって形成される下面側積層部のうち下面側開口形成領域にレーザー光を照射して、前記複数のバスバー形成部位の各々の下面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の下面側開口を設けるように構成される。
【0059】
好ましくは、前記バスバー用平板は、前記スリットの長手方向に沿った第1方向に直列配置された複数の前記バスバー形成領域と、隣接する前記バスバー形成領域を連結する連結領域とを一体的に有するものとされる。
【0060】
この場合、一のバスバー形成領域に形成されたスリットは、長手方向一端側が当該一のバスバー形成領域の第1方向一方側に連接された連結領域内へ延び且つ長手方向他端側が当該一のバスバー形成領域の第1方向他方側に連接された連結領域内へ延びるものとされる。
【0061】
前記枠体用平板は、前記複数のバスバー形成領域と同一ピッチで前記第1方向に直列配置された複数の前記枠体形成領域と、前記第1方向に隣接する前記枠体形成領域を連結する連結領域とを一体的に有するものとされる。
【0062】
本発明に係るバスバーアッセンブリの製造方法は、さらに、前記平板固着工程後に、前記一又は複数の上面側開口によって露出された前記複数のバスバーの上面のうちの所定バスバーの上面に半導体素子を装着させる半導体素子装着工程を備え得る。
【0063】
本発明に係るバスバーの製造方法は、さらに、前記半導体素子装着工程後に、前記バスバー形成領域及び前記枠体形成領域を前記バスバー用平板及び前記枠体用平板から切断する切断工程を備え得る。
【発明の効果】
【0064】
本発明に係るバスバーアッセンブリは、同一平面内に並列配置された複数のバスバーと、隣接する前記バスバーの間の間隙内に充填された間隙充填部及び前記複数のバスバーが前記間隙充填部によって連結されてなるバスバー連結体の上面を覆う上面側積層部を含み、前記上面側積層部には前記複数のバスバーの各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口が設けられているバスバー側絶縁層と、板厚方向に貫通する中央孔が設けられた環状の枠体本体及び前記枠体本体の外周面を覆う枠体側絶縁層を有し、平面視において前記上面側開口が前記中央孔内に位置するように前記バスバー連結体の上面の周縁に固着されている枠体とを備え、前記枠体本体は、前記中央孔を向く内側面のうち少なくとも前記上面側開口に対向する開口対向部分においては、板厚方向他方側の下端部が、板厚方向に関する他の部位よりも前記バスバー連結体の平面視中央位置から平面方向に関し最も離間されるように構成されているので、前記枠体本体の内側面の下端部に生じ得る絶縁層の大膜厚部が前記上面側開口内に及ぶことを有効に防止乃至は低減でき、これにより、前記上面側開口内に絶縁層の残渣が生じることを有効に防止乃至は低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1図1(a)~(c)は、それぞれ、本発明の一実施の形態に係るバスバーアッセンブリの平面図、図1(a)におけるI(b)-I(b)線に沿った断面図及び図1(a)におけるI(c)-I(c)線に沿った断面図である。
図2図2は、前記バスバーアッセンブリにLED等の半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの縦断面図である。
図3図3は、図1(b)におけるIII部拡大図である。
図4図4(a)~(c)は、それぞれ、前記実施の形態の第1変形例に係るバスバーアッセンブリの平面図、図4(a)におけるIV(b)-IV(b)線及び図4(a)におけるIV(c)-IV(c)線に沿った断面図である。
図5図5は、前記実施の形態に係るバスバーアッセンブリを製造する第1製造方法において用いられるバスバー用平板の平面図である。
図6図6は、前記第1製造方法におけるスリット形成工程後の前記バスバー用平板の平面図である。
図7図7(a)及び(b)は、それぞれ、前記第1製造方法におけるバスバー側塗布工程後の前記バスバー用平板の平面図及び図7(a)におけるVII(b)-VII(b)線に沿った断面図である。
図8図8は。前記第1製造方法において用いられる枠体用平板の平面図である。
図9図9(a)及び(b)は、それぞれ、前記第1製造方法における中央孔形成工程後の前記枠体用平板の平面図及び図9(a)におけるIX(b)-IX(b)線に沿った断面図である。
図10図10(a)~(c)は、前記中央孔形成工程の模式工程図である。
図11図11は、前記第1製造方法における枠体側塗布工程後の前記枠体用平板の平面図である。
図12図12(a)は、前記第1製造方法における平板固着工程後の前記枠体用平板及び前記バスバー用平板の平面図であり、図12(b)は、図12(a)におけるXII(b)-XII(b)線に沿った断面図である。
図13図13は、前記第1製造方法におけるレーザー光照射工程後の前記枠体用平板及び前記バスバー用平板の平面図である。
図14図14(a)及び(b)は、それぞれ、図13におけるXIV(a)部拡大図及び図14(a)におけるXIV(b)-XIV(b)線に沿った断面図である。
図15図15(a)は、前記平板固着工程後で且つ前記レーザー光照射工程前の前記枠体用平板及び前記バスバー用平板の縦断面図であり、図12(b)に対応した縦断面図である。図15(b)は、前記レーザー光照射工程におけるレーザー光を模式的に表示した状態の前記枠体用平板及び前記バスバー用平板の縦断面図である。図15(c)は、前記レーザー光照射工程後の前記枠体用平板及び前記バスバー用平板の縦断面図である。図15(d)は、第1及び第2半導体素子が装着された状態の前記枠体用平板及び前記バスバー用平板の縦断面図である。
図16図16は、前記実施の形態の第2変形例に係るバスバーアッセンブリの縦断面図である。
図17図17(a)及び(b)は、それぞれ、前記第2変形例に係るバスバーアッセンブリを製造する第2製造方法において用いられる枠体用平板の平面図及び図17(a)におけるXVII(b)-XVII(b)線に沿った断面図である。
図18図18(a)~(c)は、前記第2製造方法における中央孔形成工程の模式工程図である。
図19図19は、前記実施の形態の第3変形例に係るバスバーアッセンブリの縦断面図である。
図20図20(a)及び(b)は、それぞれ、前記第3変形例に係るバスバーアッセンブリを製造する第3製造方法において用いられる枠体用平板の平面図及び図20(a)におけるXX(b)-XX(b)線に沿った断面図である。
図21図21(a)~(c)は、前記第3製造方法における中央孔形成工程の模式工程図である。
図22図22(a)及び(b)は、それぞれ、従来のバスバーアッセンブリの平面図及び図22(a)におけるXXII(b)-XXII(b)線に沿った断面図である。
図23図23は、従来のバスバーアッセンブリにLED等の半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの縦断面図である。
図24図24(a)は、従来のバスバーアッセンブリを製造する従来の製造方法において用いられる枠体用平板であって、従来の製造方法における中央孔形成工程後の前記枠体用平板の平面図である。図24(b)は、図24(a)におけるXXIV(b)-XXIV(b)線に沿った断面図である。
図25図25は、従来の製造方法における枠体側塗布工程後の前記枠体用平板の平面図である。
図26図26は、従来の製造方法において用いられるバスバー用平板の平面図であり、従来の製造方法におけるスリット形成工程後の状態を示している。
図27図27は、従来の製造方法におけるバスバー側塗布工程後の前記バスバー用平板の平面図である。
図28図28は、従来の製造方法における平板固着工程後の前記バスバー用平板及び前記枠体用平板の平面図である。
図29図29は、従来の製造方法におけるレーザー光照射工程後の前記枠体用平板及び前記バスバー用平板の平面図である。
図30図30(a)は、図28におけるXXX(a)-XXX(a)線に沿った、前記平板固着工程後の前記枠体用平板の枠体形成領域及び前記バスバー用平板のバスバー形成領域の縦断面図である。図30(b)は、前記レーザー光照射工程におけるレーザー光を模式的に表示した状態の前記枠体形成領域及び前記バスバー形成領域の縦断面図である。図30(c)は、図29におけるXXX(c)-XXX(c)線に沿った、レーザー光照射工程後の前記枠体形成領域及び前記バスバー形成領域の縦断面図である。図30(d)は、第1及び第2半導体素子が装着された状態の前記枠体形成領域及び前記バスバー形成領域の縦断面図である。
図31図31は、図30(d)におけるXXXI部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明に係るバスバーアッセンブリの一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1(a)に、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1の平面図を示す。
また、図1(b)及び(c)に、それぞれ、図1(a)におけるI(b)-I(b)線及びI(c)-I(c)線に沿った断面図を示す。
さらに、図2に、前記バスバーアッセンブリ1にLED等の半導体素子110が装着されてなる半導体モジュール101の縦断面図を示す。
【0067】
図1(a)~(c)及び図2に示すように、前記バスバーアッセンブリ1は、導電性平板状部材によって形成され、対向する側面15の間に間隙19が存する状態で同一平面内に並列配置された複数のバスバー10と、前記間隙19内に充填された間隙充填部29及び前記複数のバスバー10が前記間隙充填部29によって連結されてなるバスバー連結体の上面に配置された上面側積層部21を含むバスバー側絶縁層20と、板厚方向に貫通する中央孔37が設けられた環状の枠体本体31及び前記枠体本体31の外周面を覆う枠体側絶縁層40を有し、前記上面側積層部21を介して前記バスバー連結体の上面に固着された枠体30とを備えている。
【0068】
前記バスバー10は、Cu等の導電性金属によって形成される。
本実施の形態に係る前記バスバーアッセンブリ1は、前記複数のバスバー10として、第1~第3バスバー10(1)~10(3)の3つのバスバーを有しており、前記間隙19として、第1及び第2間隙19(1)、19(2)を有している。
【0069】
即ち、前記バスバーアッセンブリ1は、前記第1バスバー10(1)と、第1間隙19(1)を介して前記第1バスバー10(1)に隣接配置された第2バスバー10(2)と、第2間隙19(2)を介して前記第2バスバー10(2)に隣接配置された第3バスバー10(3)とを有している。
【0070】
前記バスバー10(1)~10(3)の各々は、厚み方向一方側及び他方側をそれぞれ向く上面11及び下面12と、前記上面11及び下面13を連結する側面15とを有しており、隣接するバスバー10の側面15が前記間隙19を介して対向されている。
【0071】
前記バスバー側絶縁層20は、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ等の耐熱性及び絶縁性を有する絶縁性樹脂塗膜によって形成され、好ましくは、好適には、インシュリード(登録商標)を用いて形成される。
【0072】
前記上面側積層部21には、前記第1~第3バスバー10(1)、10(2)の各々の上面の少なくとも一部を露出させる一又は複数の上面側開口22が設けられている。
本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記上面側積層部21には、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の上面の一部をそれぞれ露出させる第1~第3上面側開口22(1)~22(3)が設けられている。
【0073】
これに代えて、前記上面側積層部21に、前記複数のバスバー10(前記第1~第3バスバー10(1)~(3))の上面11の一部を一体的に露出させる単一の上面側開口を設けることも可能である。
【0074】
前記第1~第3バスバー10(1)~(3)の上面11のうち、前記上面側開口(本実施の形態においては前記第1~第3上面側開口22(1)~(3))を介して露出する部分が、上面側接続部12を形成している。
【0075】
図2に示すように、前記上面側接続部12は、前記バスバーアッセンブリ1に装着されるLED等の半導体素子110が装着又は電気的に接続される素子用接続部として作用する。
【0076】
前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の一部が陽極及び陰極の一方である第1電極(例えば陽極)として作用し、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の残りが陽極及び陰極の他方である第2電極(例えば陰極)として作用する。
【0077】
図2に示す前記半導体モジュール101においては、前記第1及び第2バスバー10(1)、10(2)が第1電極として作用し、前記第3バスバー10(3)が第2電極として作用する。
【0078】
即ち、前記半導体モジュール101においては、第1電極として作用する前記第1及び第2バスバー10(1)、10(2)に、それぞれ、第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)が装着されている。
【0079】
詳しくは、前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)の各々は、厚み方向一方側の上面及び厚み方向他方側の下面にそれぞれ上側電極層111及び下側電極層112を有し、前記上側電極層111及び下側電極層112の間に素子本体115を有している。
【0080】
前記半導体モジュール101においては、前記第1半導体素子110(1)の下側電極層112が前記第1バスバー10(1)の前記上面側接続部12に電気的に接続状態で固着され、前記第2半導体素子110(2)の下側電極層112が前記第2バスバー10(2)の前記上面側接続部12に電気的に接続状態で固着されている。
【0081】
そして、前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)の上側電極層111が、それぞれ、第1及び第2ワイヤ120(1)、120(2)を介して第2電極として作用する前記第3バスバー10(3)の上面側接続部12に電気的に接続されている。
【0082】
好ましくは、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の上面にはメッキ層(図示せず)が設けられる。
【0083】
この場合、前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)の下側電極層112は、それぞれ、前記第1及び第2バスバー10(1)、10(2)の上面接続部12のメッキ層にダイボンディングされ、且つ、前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)の上側電極層111は、それぞれ、前記第3バスバー10(3)の上面接続部12のメッキ層(図示せず)に前記第1及び第2ワイヤ120(1)、120(2)によってワイヤボンディングされる。
【0084】
前記第1~第3バスバー10(1)、10(2)の各々の下面13は少なくとも一部が露出されて、下面側接続部14を形成している。
【0085】
本実施の形態においては、図1(b)に示すように、前記バスバー側絶縁層20は、前記バスバー連結体の下面を覆う下面側積層部23を有しており、前記下面側積層部23には、前記第1~第3バスバー10(1)~(3)の下面13の一部をそれぞれ露出させる第1~第3下面側開口24(1)~(3)が設けられている。
【0086】
これに代えて、前記下面側積層部23に、前記複数のバスバー10(前記第1~第3バスバー10(1)~(3))の下面13の一部を一体的に露出させる単一の下面側開口を設けることも可能である。
【0087】
前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の下面13のうち、前記下面側開口(本実施の形態においては前記第1~第3下面側開口24(1)~(3))を介して露出する部分が、前記下面側接続部14を形成している。
前記下面側接続部14は、対応するバスバー10(1)~10(3)を外部に電気的に接続する為の外部用接続端子として作用する。
【0088】
なお、本実施の形態においては、前記バスバー側絶縁層20は、前記間隙充填部29、前記上面側積層部21及び前記下面側積層部23に加えて、さらに、前記バスバー連結体の側面を覆う側面側積層部25を一体的に有している。
【0089】
前記枠体30は、前記バスバーアッセンブリ1に搭載される前記半導体素子110(本実施の形態においては前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2))及び前記ワイヤ120(本実施の形態においては前記第1及び第2ワイヤ120(1)、120(2))を保護する封止樹脂体130を保持する為の部材である。
【0090】
図1及び図2に示すように、前記枠体30は、平面視において前記上面側開口22(本実施の形態においては前記第1~第3上面側開口22(1)~22(3))が前記中央孔37内に位置する状態で前記バスバー連結体の上面に前記上面側積層部21を介して固着されている。
【0091】
前記枠体本体31は、種々の材質によって形成され得る。
例えば、前記枠体本体31は導電性金属部材(好ましくは前記バスバー10と同一部材)によって形成される。
【0092】
前記枠体側絶縁層40は、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ等の耐熱性及び絶縁性を有する絶縁性樹脂塗膜によって形成され、好ましくは、好適には、インシュリード(登録商標)を用いて形成される。
【0093】
前記封止樹脂層130は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ等の透明絶縁性樹脂材料によって形成される。
【0094】
詳しくは、前記封止樹脂層130を形成する絶縁性樹脂材料が、前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)並びに前記第1及び第2ワイヤ120(1)、120(2)を囲繞するように、前記枠体30によって画される収容空間内に流し込まれる。
前記枠体30は、前記絶縁性樹脂材料が硬化前に流れ出ること、及び、硬化後の前記封止樹脂層130が前記バスバーアッセンブリ1から脱離することを防止する。
【0095】
図3に、図1(b)におけるIII部拡大図を示す。
図1図3に示すように、前記枠体本体31は、板厚方向一方側及び他方側をそれぞれ向く上面32及び下面33と、前記中央孔37に面する内側面34と、前記中央孔37とは反対側に位置する外側面35とを有している。
【0096】
そして、前記内側面34のうち少なくとも前記上面側開口22に対向する開口対向部分34aにおいては、板厚方向他方側の下端部が、板厚方向に関する他の部位よりも前記バスバー連結体の平面視中央位置S(図1(a)参照)から平面方向に関し最も離間されている。
【0097】
本実施の形態においては、図3に示すように、前記内側面34のうち少なくとも前記開口対向部分34aは、板厚方向一方側から他方側へ行くに従って前記バスバー連結体の平面視中央位置S(図1(a)参照)からの平面方向距離が大きくなる傾斜面とされている。
【0098】
斯かる構成の前記バスバーアッセンブリ1によれば、前記上面側開口22を形成する為に、前記上面側積層部21のうちの所定領域の絶縁層をレーザー光によって取り除く際に、取り除くべき絶縁層の一部が残渣として取り残される事態を有効に防止乃至は低減することができる。
斯かる効果については、下記製造方法の説明内において詳述する。
【0099】
なお、本実施の形態においては、図1(a)~(c)に示すように、前記枠体本体31の内側面34は、全周に亘って前記傾斜面とされており、前記中央孔37は、前記枠体本体31の板厚方向一方側の上面32から他方側の下面33へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とされているが、前記内側面34のうち少なくとも前記開口対向部分34aが前記傾斜面とされている限り、種々の変更が可能である。
【0100】
図4(a)に、本実施の形態の第1変形例に係るバスバーアッセンブリ2Aの平面図を示す。
また、図4(b)及び(c)に、それぞれ、図4(a)におけるIV(b)-IV(b)線及びIV(c)-IV(c)線に沿った断面図を示す。
なお、図中、本実施の形態におけると同一部材は同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0101】
前記第1変形例に係るバスバーアッセンブリ2Aは、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1に比して、前記枠体30に代えて枠体60Aを有している。
【0102】
前記枠体60Aは、枠体本体31A及び前記枠体側絶縁層40を有している。
【0103】
前記枠体本体31Aにおいては、前記内側面34のうち前記中央孔37と対向する前記開口対向部分34aだけが板厚方向一方側から他方側へ行くに従って前記バスバー連結体の平面視中央位置S(図4(a)参照)からの離間距離が大きくなる前記傾斜面(図4(b)参照)とされ、前記開口対向部分34a以外の他の部分34bは板厚方向に沿った垂直面(図4(c)参照)とされている。
【0104】
以下、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1の製造方法(以下、第1製造方法という)について説明する。
【0105】
図5に、前記第1製造方法において用いられるバスバー用平板200の平面図を示す。
前記第1製造方法は、導電性金属製の前記バスバー用平板200を用意する工程を有している。
【0106】
前記バスバー用平板200は、前記バスバー側絶縁層20によって複数のバスバー10(前記第1~第3バスバー10(1)~10(3))が連結されてなる前記バスバー連結体に対応した平面形状を有し、且つ、前記バスバー10と同一厚みを有するバスバーアッセンブリ形成領域210を備えている。
【0107】
即ち、前記バスバーアッセンブリ形成領域210は、前記バスバー用平板200が位置する平面内の第1方向(図5中のY方向)の長さが前記バスバーアッセンブリ1の前記間隙19に平行な方向の長さと同一とされ、且つ、前記平面内において第1平面方向とは直交する第2方向(図5中のX方向長さ)が前記バスバーアッセンブリ1の前記間隙19の長手方向とは直交する方向の長さと同一とされている。
【0108】
図5に示すように、本実施の形態においては、前記バスバー用平板200は、当該平板200が位置する平面内の第1方向(Y方向)に沿って直列配列された複数(図示の構成においては5個)の前記バスバーアッセンブリ形成領域210と、第1方向に隣接するバスバーアッセンブリ形成領域210の間を連結する連結領域230とを含むバスバー列205を有しており、前記複数のバスバーアッセンブリ形成領域210に対して加工処理を同時に行えるようになっている。
【0109】
本実施においては、前記バスバー用平板200は、前記バスバー列205の長手方向(Y方向)一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の把持片207を有しており、前記一対の把持片207には位置合わせ孔208が設けられている。
【0110】
なお、複数の前記バスバー列205を前記平面内の第2方向(X方向)に並列配置させ、X方向に並列配置された複数のバスバー列205を前記一対の把持片207、207によって一体的に保持することも可能である。
かかる変形構成によれば、より多くのバスバーアッセンブリ1を同時に製造することができる。
【0111】
前記第1製造方法は、さらに、スリット形成工程を有している。
図6に、前記スリット形成工程後の前記バスバー用平板200の平面図を示す。
【0112】
前記スリット形成工程は、前記バスバーアッセンブリ形成領域210に厚み方向に貫通し且つ前記間隙19(前記第1及び第2間隙19(1)、19(2))と同一幅を有する一又は複数のスリット219(第1及び第2スリット219(1)、219(2))を形成して、前記バスバーアッセンブリ形成領域210を前記複数のバスバー10(前記第1~第3バスバー10(1)~10(3))に対応した複数のバスバー形成部位220(第1~第3バスバー形成部位220(1)~220(3))に区画するように構成されている。
【0113】
前記バスバーアッセンブリ1においては、前記第1及び第2バスバー10(1)、10(2)の間に位置する前記第1間隙19(1)と前記第2及び第3バスバー10(2)、10(3)の間に位置する第2間隙19(2)とが設けられており、従って、前記スリット形成工程は、前記第1及び第2間隙19(1)、19(2)と同一幅の第1及び第2スリット219(1)、219(2))を形成するように構成されている。
【0114】
図6に示すように、本実施の形態においては、一のバスバーアッセンブリ形成領域210Aに形成された第1及び第2スリット219(1)、219(2)は、長手方向(Y方向)一方側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域210Aの長手方向(Y方向)一方側に連結された一の連結領域230A内へ延び、且つ、長手方向(Y方向)他方側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域230の長手方向(Y方向)他方側に連結された他の連結領域230B内へ延びている。
【0115】
そして、前記スリット形成工程後の状態において、前記一のバスバーアッセンブリ形成領域210Aに形成された第1及び第2スリット219(1)、219(2)を介して隣接する第1~第3バスバー形成部位220(1)~220(3)は、前記一の連結領域230A及び前記他の連結領域230Bを介して、互いに対して繋がった状態に維持されるように構成されている。
斯かる構成を備えることにより、前記第1及び第2スリット219(1)、219(2)(前記第1及び第2間隙19(1)、19(2))を精度良く形成することができる。
【0116】
前記第1製造方法は、前記スリット形成工程後に行うバスバー側塗布工程を有している。
図7(a)及び(b)に、それぞれ、前記バスバー側塗布工程後の前記バスバー用平板200の平面図及び図7(a)におけるVII(b)-VII(b)線に沿った断面図を示す。
【0117】
前記バスバー側塗布工程は、少なくとも前記第1及び第2スリット219(1)、219(2)内及び前記バスバーアッセンブリ形成領域210の上面211の全域に、前記バスバー側絶縁層20を形成するバスバー側絶縁性樹脂塗料240を塗布するように構成されている。
【0118】
前記バスバー側絶縁性樹脂塗料の塗布は、例えば、電着塗装、静電粉体塗装又はスプレー塗装によって行うことができる。
【0119】
前述の通り、前記バスバーアッセンブリにおいては、前記バスバー側絶縁層20は、前記間隙19内に充填された間隙充填部29及び前記バスバー連結体の上面に設けられた上面側積層部21に加えて、前記バスバー連結体の下面及び側面にそれぞれ設けられた下面側積層部21及び側面側積層部25を有している。
【0120】
従って、前記バスバー側塗布工程は、図7(a)及び(b)に示すように、前記バスバーアッセンブリ形成領域210の上面に加えて、下面213及び側面215にも前記バスバー側絶縁性樹脂塗料240を塗布するように構成されている。
【0121】
前記第1製造方法は、さらに、前記バスバー用平板200を用意する工程から前記バスバー側塗布工程の前又は後、若しくは、これらと並行して行う枠体形成処理を有している。
【0122】
図8に、前記第1製造方法において用いられる枠体用平板300の平面図を示す。
前記枠体形成処理は、前記枠体用平板300を用意する工程を有している。
【0123】
前記枠体用平板300は、前記枠体本体31に対応した平面視外形状及び板厚を有する枠体形成領域310を含んでいる。
【0124】
前記枠体用平板300は、剛性を有する種々の材料によって形成される。
前記枠体用平板300は、例えば、導電性金属平板によって形成され、製造効率の観点からは、好ましくは、前記バスバー用平板200と同一材料によって形成される。
【0125】
前記枠体用平板300は、前記バスバー用平板200に重合させた際に、前記枠体形成領域310が前記バスバーアッセンブリ形成領域210に位置合わせされるように構成されている。
【0126】
詳しくは、前述の通り、前記バスバー用平板200は、Y方向に沿って直列配列された複数の前記バスバーアッセンブリ形成領域210と、Y方向に隣接するバスバーアッセンブリ形成領域210の間を連結する連結領域230とを含むバスバー列205を有している。
【0127】
従って、前記枠体用平板300は、図8に示すように、前記複数のバスバーアッセンブリ形成領域210と同一ピッチでY方向に直列配置された複数の前記枠体形成領域310と、Y方向に隣接する枠体形成領域310の間を連結する連結領域330とを含む枠体列305を有している。
【0128】
なお、前述の通り、前記バスバー用平板200は、前記バスバー列205の長手方向(Y方向)一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の把持片207を有しており、前記一対の把持片207には位置合わせ孔208が設けられている。
【0129】
これに応じて、図8に示すように、前記枠体用平板300にも、前記枠体列305の長手方向(Y方向)一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の把持片307が設けられ、前記一対の把持片307には前記位置合わせ孔208に対応した位置合わせ孔308が設けられている。
【0130】
前記枠体形成処理は、さらに、前記枠体形成領域310に前記中央孔37を形成して前記枠体本体31に対応した環状体320を形成する中央孔形成工程を有している。
図9(a)に、前記中央孔形成工程後の前記枠体用平板300の平面図を示す。
また、図9(b)に、図9(a)におけるIX(b)-IX(b)線に沿った断面図を示す。
【0131】
前述の通り、本実施の形態においては、前記中央孔37は、前記枠体本体310の板厚方向一方側の上面311から他方側の下面313へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とされている(図9(b)参照)。
【0132】
図10(a)~(c)に、前記中央孔形成工程の模式工程図を示す。
図10(a)~(c)に示すように、記中央孔形成工程は、逆テーパ孔に対応した先細テーパ状のパンチ380を用意し、前記枠体本体310の下面313の側から上面311の側へ向かって前記パンチ380を押圧させるように構成されている。
なお、図10(a)~(c)中の符号398a、398bは、前記パンチ380の通路を設けつつ、前記枠体形成領域310を固定する固定部材である。
【0133】
前記枠体形成処理は、さらに、前記環状体320の外周面に前記枠体側絶縁層40を形成する枠体側絶縁性樹脂塗料340を塗布する枠体側塗布工程を有している。
図11に、前記枠体側塗布工程後の前記枠体用平板300の平面図を示す。
【0134】
前記枠体側絶縁性樹脂塗料340の塗布は、例えば、電着塗装、静電粉体塗装又はスプレー塗装によって行うことができる。
【0135】
前記第1製造方法は、さらに、平板固着工程を有している。
図12(a)に、前記平板固着工程後の前記枠体用平板300及び前記バスバー用平板200の平面図を示す。
また、図12(b)に、図12(a)におけるXII(b)-XII(b)線に沿った断面図を示す。
【0136】
図12(a)及び(b)に示すように、前記平板固着工程は、前記バスバー側絶縁性樹脂塗料240及び前記枠体側絶縁性樹脂塗料340の少なくとも一方が半硬化状態において前記枠体形成領域310の下面を前記バスバー形成領域210の上面に圧着させて、半硬化状態の絶縁性樹脂塗料を完全硬化させることにより、前記バスバー用平板200及び前記枠体用平板300を固着させるように構成されている。
【0137】
前記第1製造方法は、さらに、前記平板固着工程後に行われるレーザー光照射工程を有している。
図13に、前記レーザー光照射工程後の前記枠体用平板300及び前記バスバー用平板200の平面図を示す。
また、図14(a)に、図13におけるXIV(a)部拡大図を、図14(b)に、図14(a)におけるXIV(b)-XIV(b)線に沿った断面図を示す。
【0138】
図13及び図14に示すように、前記レーザー光照射工程は、前記バスバー側絶縁層20における上面側積層部21のうち前記第1~第3上面側開口22(1)~22(3)を形成すべき領域(下記図15(a)及び(b)における第1~第3上面側開口形成領域22a(1)~22a(3))にレーザー光を照射して前記第1~第3上面側開口22(1)~22(3)を設けるように構成されている。
【0139】
前述の通り、本実施の形態においては、前記バスバー側絶縁層20は前記下面側積層部23を備えており、前記下面側積層部23には前記第1~第3下面側開口部24(1)~24(3)が設けられている。
【0140】
従って、前記レーザー光照射工程は、前記下面側積層部23のうち前記第1~第3下面側開口24(1)~24(3)を形成すべき領域(下記図15(a)及び(b)における第1~第3下面側開口形成領域24a(1)~24a(3))にレーザー光を照射して、前記第1~第3下面側開口24(1)~24(3)を設けるように構成されている。
【0141】
ここで、本実施の形態に係る前記バスバーアッセンブリの効果について、図15(a)~(d)を用いて説明する。
図15(a)は、前記平板固着工程後で且つ前記レーザー光照射工程前の前記枠体用平板300及び前記バスバー用平板200の縦断面図であり、図12(b)に対応した縦断面図である。
図15(b)は、前記レーザー光照射工程におけるレーザー光290を模式的に表示した状態の前記枠体用平板300及び前記バスバー用平板200の縦断面図である。
図15(c)は、前記レーザー光照射工程によって前記第1~第3上面側開口22(1)~22(3)及び前記第1~第3下面側開口24(1)~25(3)が形成された状態の前記枠体用平板300及び前記バスバー用平板200の縦断面図である。
図15(d)は、前記第1及び第2上面側開口22(1)、22(2)によって露出された領域に前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)を装着させた状態の前記枠体用平板300及び前記バスバー用平板200の縦断面図である。
【0142】
前述の通り、前記平板固着工程において前記枠体形成領域310(前記環状体320)の下面313を前記バスバー形成領域210の上面211に圧着させる処理は、前記枠体側絶縁性樹脂塗料340及び前記バスバー側絶縁性樹脂塗料240の少なくとも一方が半硬化状態(本実施の形態においては、前記枠体側絶縁性樹脂塗料340は完全硬化状態とされ且つ前記バスバー側絶縁性樹脂塗料240は半硬化状態とされている状態)で行われている。
【0143】
その為、図15(a)に示すように、前記バスバー側絶縁性樹脂塗料240のうち前記枠体形成領域310(前記環状体320)の直下に位置する部分の一部が前記環状体320の内側面の側(即ち、前記中央孔37の方向)へはみ出ることになり、前記環状体320の内側面の下端領域において、前記バスバー側絶縁層20の膜厚が局所的に厚くなる事態が生じ得る(以下、この膜厚が厚くなった部分を、大膜厚部27という)。
【0144】
その一方で、図14(a)及び(b)並びに図15(a)に示すように、本実施の形態に係る前記バスバーアッセンブリ1においては、前述の通り、前記環状体320によって形成される前記枠体本体31の内側面34のうちの少なくとも前記開口対向部分34aにおいては、下端部が、前記内側面34における板厚方向に関する他の部位よりも前記バスバー連結体の平面視中央位置Sから平面方向に関し最も離間されている。
【0145】
斯かる構成によれば、図15(b)及び(c)に示すように、前記大膜厚部27が前記第1~第3上面側開口形成領域22a(1)~22a(3)に到達することを有効に防止乃至は低減でき、前記レーザー光照射工程によって前記第1~第3上面側開口22(1)~22(3)を形成する際に前記第1~第3上面側開口形成領域22a(1)~22a(3)に前記バスバー側絶縁層20の一部が残渣として残ることを有効に防止乃至は低減できる。
【0146】
従って、図15(d)に示すように、前記平板固着工程後に実行される半導体素子装着工程において、前記上面側開口(本実施の形態においては前記第1及び第2上面側開口22(1)、22(2))によって露出される前記上面側接続部12に、前記半導体素子110(1)、110(2)を正しい姿勢で確実に装着させることができる。
【0147】
前記第1製造方法は、さらに、前記半導体素子装着工程後に、固着状態の前記バスバー形成領域210及び前記枠体形成領域310を前記バスバー用平板200及び前記枠体用平板300から切断する切断工程を有している。
前記切断工程は、前記バスバー形成領域210及び前記連結領域230の境界、並びに、前記枠体形成領域310及び前記連結領域330の境界を、ダイシングブレードで切断するように構成される。
【0148】
なお、本実施の形態においては、前記枠体本体31(前記環状体320)の中央孔37は、前記枠体本体31の板厚方向一方側から他方側へ行くに従って拡径される逆テーパ孔とされているが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
【0149】
図16に、本実施の形態の第2変形例に係るバスバーアッセンブリ2Bの縦断面図を示す。
なお、図中、本実施の形態におけると同一部材は同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0150】
前記第2変形例に係るバスバーアッセンブリ2Bは、前記枠体本体31が枠体本体71に変更されている点においてのみ、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1と異なっている。
【0151】
図16に示すように、前記枠体本体71は、内側面74のうち少なくとも開口対向部分が、前記枠体本体71の上面72から板厚方向他方側へ延びる上側板厚方向延在面77と、前記上側板厚方向延在部77の板厚方向他端部から、前記バスバー連結体の平面視中央位置とは反対側へ板面方向に沿って延びる板面方向延在面78と、前記板厚方向延在面78における前記平面視中央位置とは反対側の端部から板厚方向他方側へ延びる下側板厚方向延在面79とを有するように、構成されている。
【0152】
斯かる構成の前記第2変形例に係るバスバーアッセンブリ2Bおいても本実施の形態におけると同様の効果を得ることができる。
【0153】
なお、前記第2変形例に係るバスバーアッセンブリ2Bにおいては、前記枠体本体71の内側面は、全周に亘って、前記上側板厚方向延在面77、前記板面方向延在面78及び前記下側板厚方向延在面79を有しており、前記枠体本体71に形成された中央孔37は、前記枠体本体71の上面72から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体71の板厚内で終焉する小径孔37aと、前記小径孔37aの板厚方向他端部から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体71の下面73に到達する大径孔37bとを有する段付き孔とされている。
【0154】
前記第2変形例に係るバスバーアッセンブリ2Bは第2製造方法によって効率的に製造され得る。
【0155】
図17(a)に、前記第2変形例に係るバスバーアッセンブリ2Bにおける枠体71を製造する際に用いられる枠体用平板350の平面図を示す。
また、図17(b)に、図17(a)におけるXVII(b)-XVII(b)線に沿った断面図を示す。
なお、図中、本実施の形態におけると同一部材は同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0156】
前記第2製造方法は、前記中央孔形成工程が変更される点においてのみ、前記第1製造方法と異なる。
【0157】
図18(a)~(c)に、前記第2製造方法における中央孔形成工程の工程図を示す。
なお、図中、本実施の形態におけると同一部材は同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0158】
図18(a)~(c)に示すように、前記第2製造方法における中央孔形成工程は、前記大径孔37bに対応した外径の大径部386と、前記大径部386から先端側へ延びる小径部387であって、前記小径孔37aに対応した外径の小径部387とを有する2段形状のパンチ385を用意し、前記枠体形成領域320の下面313の側から上面311の側へ向かって前記2段形状のパンチ385を押圧させるように構成されている。
【0159】
図19に、本実施の形態の第3変形例に係るバスバーアッセンブリ2Cの縦断面図を示す。
なお、図中、本実施の形態におけると同一部材は同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0160】
前記第3変形例に係るバスバーアッセンブリ2Cは、前記枠体本体31が枠体本体81に変更されている点においてのみ、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1と異なっている。
【0161】
図19に示すように、前記枠体本体81は、内側面84のうち少なくとも開口対向部分が、前記枠体本体81の上面82から板厚方向他方側へ板厚方向に沿って延びる上側板厚方向延在面87と、前記上側板厚方向延在部87の板厚方向他端部から板厚方向他方側へ行くに従って前記バスバー連結体の平面視中央位置との間の平面方向距離が大きくなる傾斜面88とを有するように、構成されている。
【0162】
斯かる構成の前記第3変形例に係るバスバーアッセンブリ2Cおいても本実施の形態におけると同様の効果を得ることができる。
【0163】
なお、前記第3変形例に係るバスバーアッセンブリ2Cにおいては、前記枠体本体81の内側面の全体が前記上側板厚方向延在面87及び前記傾斜面88を有しており、前記枠体本体81に形成された中央孔37は、前記枠体本体81の上面82から板厚方向他方側へ延びて前記枠体本体81の板厚内で終焉する小径孔37cと、前記小径孔37cの板厚方向他端部から板厚方向他方側へ行くに従って拡径されて、下面83に到達する逆テーパ孔37dとを有する複合孔とされている。
【0164】
前記第3変形例に係るバスバーアッセンブリ2Cは第3製造方法によって効率的に製造され得る。
【0165】
図20(a)に、前記第3変形例に係るバスバーアッセンブリにおける枠体81を製造する際に用いられる枠体用平板360の平面図を示す。
また、図20(b)に、図20(a)におけるXX(b)-XX(b)線に沿った断面図を示す。
なお、図中、本実施の形態におけると同一部材は同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0166】
前記第2製造方法は、前記中央孔形成工程が変更される点においてのみ、前記第1製造方法と異なる。
【0167】
図21(a)~(c)に、前記第3製造方法における中央孔形成工程の工程図を示す。
なお、図中、本実施の形態におけると同一部材は同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0168】
図21(a)~(c)に示すように、前記第3製造方法における中央孔形成工程は、前記逆テーパ孔37dに対応した先細テーパ部391と、前記先細テーパ部391から先端側へ延びる小径部392であって、前記小径孔37cに対応した外径の小径部392とを有する2段形状のパンチ390を用意し、前記枠体形成領域310の下面313の側から上面311の側へ向かって前記2段形状のパンチ390を押圧させるように構成されている。
【符号の説明】
【0169】
1、2A~2C バスバーアッセンブリ
10(1)~10(3) 第1~第3バスバー
19(1)、19(2) 第1間隙及び第2間隙
20 バスバー側絶縁層
21 上面側積層部
22(1)~22(3) 第1~第3上面側開口
22a(1)~22a(3) 第1~第3上面側開口形成領域
24(1)~24(3) 第1~第3下面側開口
24a(1)~24a(3) 第1~第3下面側開口形成領域
29 間隙充填部
30 枠体
31 枠体本体
32 枠体本体の上面
33 枠体本体の下面
34 枠体本体の内側面
34a 開口対向部分
35 枠体本体の外側面
37 中央孔
37a 小径孔
37b 大径孔
37c 小径孔
37d 逆テーパ孔
40 枠体側絶縁層
71 枠体本体
72 枠体本体の上面
73 枠体本体の下面
74 枠体本体の内側面
77 上側板厚方向延在面
78 板面方向延在面
79 下側板厚方向延在面
81 枠体本体
82 枠体本体の上面
83 枠体本体の下面
84 枠体本体の内側面
87 上側板厚方向延在面
88 傾斜面
200 バスバー用平板
210 バスバー形成領域
219(1)、219(2) 第1スリット、第2スリット
220(1)~220(3) 第1~第3バスバー形成部位
230 連結領域
240 バスバー側絶縁性樹脂塗料
300 枠体用平板
310 枠体形成領域
320 環状体
330 連結領域
340 枠体側絶縁性樹脂塗料
380、385、390 パンチ
386 大径部
387 小径部
391 先細テーパ部
392 小径部
S バスバー連結体の平面視中央位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26
図27
図28
図29
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図31