(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F25B 13/00 20060101AFI20240809BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240809BHJP
F25B 29/00 20060101ALI20240809BHJP
F25B 41/30 20210101ALI20240809BHJP
【FI】
F25B13/00 103
F25B1/00 389A
F25B29/00 391Z
F25B41/30
(21)【出願番号】P 2020211539
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-046806(JP,A)
【文献】特開2015-004460(JP,A)
【文献】特開昭59-225262(JP,A)
【文献】特開2009-109064(JP,A)
【文献】特開2017-161214(JP,A)
【文献】特許第6257645(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第111271887(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 5/04
F25B 13/00
F25B 29/00
F25B 41/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の室内熱交換器と、
第2の室内熱交換器と、
室外熱交換器と、
前記室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記第1の室内熱交換器と前記第2の室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第2の室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第3の配管と、
前記第2の配管と前記第3の配管との間に設けられ、前記冷媒が流れる第4の配管と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する圧縮機と、
前記第2の配管に設けられ、前記第1の室内熱交換器に接続された流出口と、前記第2の室内熱交換器に接続された第1の流入口と、前記第4の配管に接続された第2の流入口と、が設けられ、前記第1の流入口に供給された前記冷媒を前記第2の流入口に供給された前記冷媒と混合するとともに昇圧して前記流出口から前記第1の室内熱交換器に供給可能な、エジェクタと、
前記第3の配管に設けられた第1の膨張弁と、
前記室外熱交換器と前記第1の膨張弁との間で前記第3の配管に設けられ、前記室外熱交換器に接続される第1の開口と、前記第1の膨張弁に接続されるとともに液状の前記冷媒が通る第2の開口と、前記第4の配管を通じて前記第2の流入口に接続されるとともに気体を含む前記冷媒が通る第3の開口と、が設けられた気液分離器と、
一方の端部が前記第2の室内熱交換器と前記第1の流入口との間で前記第2の配管に接続され、他方の端部が前記第1の室内熱交換器と前記流出口との間で前記第2の配管に接続された、第5の配管と、
前記第5の配管に設けられた第2の膨張弁と、
を具備する空気調和機。
【請求項2】
第1の室内熱交換器と、
第2の室内熱交換器と、
室外熱交換器と、
前記室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記第1の室内熱交換器と前記第2の室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第2の室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第3の配管と、
前記第2の配管と前記第3の配管との間に設けられ、前記冷媒が流れる第4の配管と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する圧縮機と、
前記第2の配管に設けられ、前記第1の室内熱交換器に接続された流出口と、前記第2の室内熱交換器に接続された第1の流入口と、前記第4の配管に接続された第2の流入口と、が設けられ、前記第1の流入口に供給された前記冷媒を前記第2の流入口に供給された前記冷媒と混合するとともに昇圧して前記流出口から前記第1の室内熱交換器に供給可能な、エジェクタと、
前記第3の配管に設けられた第1の膨張弁と、
前記室外熱交換器と前記第1の膨張弁との間で前記第3の配管に設けられ、前記室外熱交換器に接続される第1の開口と、前記第1の膨張弁に接続されるとともに液状の前記冷媒が通る第2の開口と、前記第4の配管を通じて前記第2の流入口に接続されるとともに気体を含む前記冷媒が通る第3の開口と、が設けられた気液分離器と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能な、四方弁と、
前記第2の流入口を開閉可能な電磁弁と、
前記四方弁と、前記第1の膨張弁と、前記電磁弁と、を制御する制御装置と、
前記第1の室内熱交換器と前記流出口との間で前記第2の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する第1の温度センサと、
前記第2の室内熱交換器と前記第1の流入口との間で前記第2の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する第2の温度センサと、
を
具備し、
前記制御装置は、前記圧縮機の前記吐出口から前記室外熱交換器へ前記冷媒が流れるように前記四方弁を制御し、前記第1の流入口における前記冷媒の圧力が前記流出口における前記冷媒の圧力よりも低くなるように、前記第1の膨張弁と前記電磁弁とのうち少なくとも一方を制御する、冷房運転を実行可能であり、
前記制御装置は、前記冷房運転において、前記第1の温度センサが検出した温度と前記第2の温度センサが検出した温度との差に基づいて、前記第1の流入口における前記冷媒の圧力が前記流出口における前記冷媒の圧力よりも低くなるように、前記第1の膨張弁と前記電磁弁とのうち少なくとも一方を制御する、
空気調和機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記圧縮機の前記吐出口から前記室外熱交換器へ前記冷媒が流れるように前記四方弁を制御するとともに、前記第1の膨張弁を全開にする、再熱除湿運転を実行可能である、
請求項2の空気調和機。
【請求項4】
前記室外熱交換器と前記気液分離器との間で前記第3の配管に設けられた第3の膨張弁、
をさらに具備する請求項1乃至
請求項3のいずれか一つの空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和機は、冷凍サイクルにおける冷媒の凝縮及び蒸発により、室内の温度を調節する。例えば冷房運転時において、冷媒は、室外熱交換器で凝縮し、室内熱交換器で蒸発する。一方、暖房運転において、冷媒は、室外熱交換器で蒸発し、室内熱交換器で凝縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気調和機において、圧縮機は、冷媒を所望の圧力まで昇圧させ、冷凍サイクルにおける冷媒の循環を生じさせる。冷媒を所望の圧力まで昇圧させるために必要な圧縮機の仕事量が大きいと、空気調和機の消費電力が大きくなる虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、省エネルギー化可能な空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和機は、第1の室内熱交換器と、第2の室内熱交換器と、室外熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、第3の配管と、第4の配管と、圧縮機と、エジェクタと、第1の膨張弁と、気液分離器と、第5の配管と、第2の膨張弁とを備える。前記第1の配管は、前記室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。前記第2の配管は、前記第1の室内熱交換器と前記第2の室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。前記第3の配管は、前記第2の室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。前記第4の配管は、前記第2の配管と前記第3の配管との間に設けられ、前記冷媒が流れる。前記圧縮機は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する。前記エジェクタは、前記第2の配管に設けられ、前記第1の室内熱交換器に接続された流出口と、前記第2の室内熱交換器に接続された第1の流入口と、前記第4の配管に接続された第2の流入口と、が設けられ、前記第1の流入口に供給された前記冷媒を前記第2の流入口に供給された前記冷媒と混合するとともに昇圧して前記流出口から前記第1の室内熱交換器に供給可能である。前記第1の膨張弁は、前記第3の配管に設けられる。前記気液分離器は、前記室外熱交換器と前記第1の膨張弁との間で前記第3の配管に設けられ、前記室外熱交換器に接続される第1の開口と、前記第1の膨張弁に接続されるとともに液状の前記冷媒が通る第2の開口と、前記第4の配管を通じて前記第2の流入口に接続されるとともに気体を含む前記冷媒が通る第3の開口と、が設けられる。前記第5の配管は、一方の端部が前記第2の室内熱交換器と前記第1の流入口との間で前記第2の配管に接続され、他方の端部が前記第1の室内熱交換器と前記流出口との間で前記第2の配管に接続される。前記第2の膨張弁は、前記第5の配管に設けられる。
【0009】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和機は、第1の室内熱交換器と、第2の室内熱交換器と、室外熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、第3の配管と、第4の配管と、圧縮機と、エジェクタと、第1の膨張弁と、気液分離器と、四方弁と、電磁弁と、制御装置と、第1の温度センサと、第2の温度センサとを備える。前記第1の配管は、前記室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。前記第2の配管は、前記第1の室内熱交換器と前記第2の室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。前記第3の配管は、前記第2の室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。前記第4の配管は、前記第2の配管と前記第3の配管との間に設けられ、前記冷媒が流れる。前記圧縮機は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する。前記エジェクタは、前記第2の配管に設けられ、前記第1の室内熱交換器に接続された流出口と、前記第2の室内熱交換器に接続された第1の流入口と、前記第4の配管に接続された第2の流入口と、が設けられ、前記第1の流入口に供給された前記冷媒を前記第2の流入口に供給された前記冷媒と混合するとともに昇圧して前記流出口から前記第1の室内熱交換器に供給可能である。前記第1の膨張弁は、前記第3の配管に設けられる。前記気液分離器は、前記室外熱交換器と前記第1の膨張弁との間で前記第3の配管に設けられ、前記室外熱交換器に接続される第1の開口と、前記第1の膨張弁に接続されるとともに液状の前記冷媒が通る第2の開口と、前記第4の配管を通じて前記第2の流入口に接続されるとともに気体を含む前記冷媒が通る第3の開口と、が設けられる。前記四方弁は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能である。前記電磁弁は、前記第2の流入口を開閉可能である。前記制御装置は、前記四方弁と、前記第1の膨張弁と、前記電磁弁と、を制御する。前記第1の温度センサは、前記第1の室内熱交換器と前記流出口との間で前記第2の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する。前記第2の温度センサは、前記第2の室内熱交換器と前記第1の流入口との間で前記第2の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する。前記制御装置は、前記圧縮機の前記吐出口から前記室外熱交換器へ前記冷媒が流れるように前記四方弁を制御し、前記第1の流入口における前記冷媒の圧力が前記流出口における前記冷媒の圧力よりも低くなるように、前記第1の膨張弁と前記電磁弁とのうち少なくとも一方を制御する、冷房運転を実行可能である。前記制御装置は、前記冷房運転において、前記第1の温度センサが検出した温度と前記第2の温度センサが検出した温度との差に基づいて、前記第1の流入口における前記冷媒の圧力が前記流出口における前記冷媒の圧力よりも低くなるように、前記第1の膨張弁と前記電磁弁とのうち少なくとも一方を制御する。
【0010】
上記空気調和機において、前記制御装置は、前記圧縮機の前記吐出口から前記室外熱交換器へ前記冷媒が流れるように前記四方弁を制御するとともに、前記第1の膨張弁を全開にする、再熱除湿運転を実行可能である。
【0011】
上記空気調和機は、前記室外熱交換器と前記気液分離器との間で前記第3の配管に設けられた第3の膨張弁をさらに備える。
【0012】
以上の空気調和機によれば、例えば、当該空気調和機が省エネルギー化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一つの実施形態に係る冷房運転時及び再熱除湿運転時の空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
【
図2】
図2は、上記実施形態の暖房運転時の空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
【
図3】
図3は、上記実施形態のエジェクタを模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、上記実施形態の室内機を概略的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、上記実施形態の空気調和機の構成を機能的に示すブロック図である。
【
図6】
図6は、上記実施形態の空気調和機の冷房運転制御の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、上記実施形態の空気調和機のモリエル線図の一例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、上記実施形態の空気調和機の再熱除湿運転制御の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、上記実施形態の空気調和機の暖房運転制御の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、上記実施形態の制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、一つの実施形態について、
図1乃至
図10を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0015】
図1は、一つの実施形態に係る冷房運転時及び再熱除湿運転時の空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。空気調和機10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和機10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和機であっても良い。
【0016】
図1に示すように、空気調和機10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0017】
空気調和機10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0018】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、四方弁25と、室外膨張弁26とを有する。室外膨張弁26は、第3の膨張弁の一例である。
【0019】
室内機12は、第1の室内熱交換器31と、第2の室内熱交換器32と、室内送風ファン33と、エジェクタ34と、第1の室内膨張弁35と、第2の室内膨張弁36と、気液分離器37とを有する。第1の室内膨張弁35は、第1の膨張弁の一例である。第2の室内膨張弁36は、第2の膨張弁の一例である。
【0020】
冷媒配管13は、例えば、銅又はアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒配管13は、第1の配管41と、第2の配管42と、第3の配管43と、第4の配管44と、第5の配管45とを有する。
【0021】
第1の配管41は、室外熱交換器21と第1の室内熱交換器31とを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、及び四方弁25は、第1の配管41に設けられる。第2の配管42は、第1の室内熱交換器31と第2の室内熱交換器32とを接続する。エジェクタ34は、第2の配管42に設けられる。
【0022】
第3の配管43は、第2の室内熱交換器32と室外熱交換器21とを接続する。室外膨張弁26と、第1の室内膨張弁35と、気液分離器37とは、第3の配管43に設けられる。第4の配管44の一方の端部44aは、エジェクタ34に接続される。第4の配管44の他方の端部44bは、気液分離器37に接続される。すなわち、第4の配管44は、第2の配管42と第3の配管43との間に設けられる。
【0023】
第5の配管45の一方の端部45aは、第2の室内熱交換器32とエジェクタ34の間で第2の配管42に接続される。第5の配管45の他方の端部45bは、第1の室内熱交換器とエジェクタ34との間で第2の配管42に接続される。第2の室内膨張弁36は、第5の配管45に設けられる。
【0024】
冷房運転及び再熱除湿運転において、冷媒は、第2の配管42を通って第2の室内熱交換器32から第1の室内熱交換器31へ流れ、第1の配管41を通って第1の室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れ、第3の配管43を通って室外熱交換器21から第2の室内熱交換器32へ流れる。さらに、冷媒は、第4の配管を通って気液分離器37からエジェクタ34へ流れる。
図1の矢印は、冷房運転及び再熱除湿運転における冷媒の流れを示す。
【0025】
図2は、本実施形態の暖房運転時の空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。
図2に示すように、暖房運転において、冷媒は、第1の配管41を通って室外熱交換器21から第1の室内熱交換器31へ流れ、第2の配管42及び第5の配管45を通って第1の室内熱交換器31から第2の室内熱交換器32へ流れ、第3の配管43を通って第2の室内熱交換器32から室外熱交換器21へ流れる。
図2の矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示す。
【0026】
室外機11の室外熱交換器21は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として冷媒の吸熱を行い、又は凝縮器として冷媒の放熱を行う。室外送風ファン22は、室外熱交換器21を通る気流を生成し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。
【0027】
圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。
【0028】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続される。アキュムレータ24は、気体状の冷媒と液体状の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過した気体状の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。アキュムレータ24は、圧縮機23と一体に構成されることで、圧縮機23の吸入口となることができる。
【0029】
四方弁25は、室外熱交換器21と、第1の室内熱交換器31と、圧縮機23の吐出口23bと、アキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とに接続される。四方弁25は、暖房運転時と、冷房運転時及び再熱除湿運転時とで、室外熱交換器21、第1の室内熱交換器31、圧縮機23の吐出口23b、及びアキュムレータ24のそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0030】
図1に示すように、冷房運転及び再熱除湿運転において、四方弁25は、室外熱交換器21と圧縮機23の吐出口23bとを接続する。さらに、冷房運転及び再熱除湿運転において、四方弁25は、第1の室内熱交換器31とアキュムレータ24とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室外熱交換器21へ流れ、第1の室内熱交換器31で蒸発した冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0031】
図2に示すように、暖房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21とアキュムレータ24とを接続する。さらに、暖房運転時において、四方弁25は、第1の室内熱交換器31と圧縮機23の吐出口23bとを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が第1の室内熱交換器31へ流れ、室外熱交換器21で蒸発した冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0032】
室外膨張弁26、第1の室内膨張弁35、及び第2の室内膨張弁36は、例えば、電磁膨張弁である。なお、室外膨張弁26、第1の室内膨張弁35、及び第2の室内膨張弁36は、他の膨張弁であっても良い。室外膨張弁26、第1の室内膨張弁35、及び第2の室内膨張弁36は、開度を制御されることで、通過する冷媒の量を調節する。
【0033】
室内機12の第1の室内熱交換器31及び第2の室内熱交換器32は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として吸熱し、又は凝縮器として放熱する。室内送風ファン33は、第1の室内熱交換器31及び第2の室内熱交換器32を通る気流を生成し、第1の室内熱交換器31及び第2の室内熱交換器32と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室内送風ファン33は、第1の室内熱交換器31及び第2の室内熱交換器32と熱交換する気流を生成する。
【0034】
図3は、本実施形態のエジェクタ34を模式的に示す断面図である。なお、エジェクタ34の構造は、
図3の例に限られない。
図3に示すように、エジェクタ34に、第1の流入口51と、第2の流入口52と、流出口53と、ノズル部54と、吸引部55と、混合部56と、ディフューザ部57とが設けられる。
【0035】
図1に示すように、第1の流入口51は、第2の配管42を通じて第2の室内熱交換器32に接続される。第2の流入口52は、第4の配管44の端部44aに接続される。第2の流入口52は、第4の配管44を通じて気液分離器37に接続される。流出口53は、第2の配管42を通じて第1の室内熱交換器31に接続される。
【0036】
エジェクタ34は、第1の流入口51に供給された冷媒を、第2の流入口52に供給された冷媒と混合するとともに昇圧して流出口53から放出することができる。このため、エジェクタ34は、冷媒を流出口53から第2の配管42を通じて第1の室内熱交換器31に供給することができる。
【0037】
図3に示すように、ノズル部54は、第2の流入口52と混合部56との間に設けられる。ノズル部54は、混合部56に向かって先細る部分を有した流路である。ノズル部54は、第2の流入口52に流入した冷媒を減圧膨張させて、混合部56に噴出する。ノズル部54の出口近傍における圧力が低いため、ノズル部54に接続された第2の流入口52は、気液分離器37から冷媒を吸引できる。
【0038】
吸引部55は、第1の流入口51と混合部56との間に設けられる。吸引部55は、ノズル部54の周りに設けられ、混合部56に向かって先細る部分を有した略円筒状の流路である。吸引部55は、第1の流入口51に流入した冷媒を減圧膨張させて、混合部56に噴出する。吸引部55の出口近傍における圧力が低いため、吸引部55に接続された第1の流入口51は、第2の室内熱交換器32から冷媒を吸引できる。
【0039】
混合部56は、ノズル部54及び吸引部55と、ディフューザ部57との間に設けられる。エジェクタ34は、混合部56において、吸引部55から噴出した冷媒を、ノズル部54から噴出した冷媒と混合する。
【0040】
ディフューザ部57は、混合部56と流出口53との間に設けられる。ディフューザ部57は、流出口53に向かって拡大する部分を有した流路である。混合部56で混合された冷媒は、ディフューザ部57で減速して昇圧し、流出口53から放出される。
【0041】
エジェクタ34は、電磁弁58を有する。電磁弁58は、電磁弁の一例である。電磁弁58は、第2の流入口52を開閉することができる。なお、
図3において、電磁弁58はノズル部54の外部に位置するが、電磁弁58はノズル部54の内部又は他の部分に設けられても良い。電磁弁58は、開度を制御されることで、第2の流入口52に供給される冷媒の量を調節する。
【0042】
図1に示すように、気液分離器37は、室外熱交換器21と第1の室内膨張弁35との間で第3の配管43に設けられる。このため、室外膨張弁26は、室外熱交換器21と気液分離器37との間で第3の配管43に設けられる。
【0043】
気液分離器37は、例えば表面張力式気液分離器である。なお、気液分離器37は、他の気液分離器であっても良い。気液分離器37に、第1の開口37aと、第2の開口37bと、第3の開口37cとが設けられる。
【0044】
第1の開口37aは、第3の配管43を通じて室外熱交換器21に接続される。第1の開口37aは、冷房運転及び再熱除湿運転における冷媒の入口であり、例えば液状の冷媒が流入する。一方、暖房運転において、第1の開口37aは冷媒の出口であり、例えば液状の冷媒が流出する。なお、第1の開口37aを通る冷媒は、気体を含んでも良い。
【0045】
第2の開口37bは、第3の配管43を通じて第1の室内膨張弁35に接続される。第2の開口37bは、冷房運転及び再熱除湿運転における液状の冷媒の出口である。気液分離器37において気体状の冷媒から分離された液状の冷媒が、第2の開口37bを通って流出する。一方、暖房運転において、第2の開口37bは冷媒の入口であり、例えば液状の冷媒が流入する。なお、第2の開口37bに流入する冷媒は、気体を含んでも良い。
【0046】
第3の開口37cに、第4の配管44の端部44bが接続される。第3の開口37cは、第4の配管44を通じて第2の流入口52に接続される。第3の開口37cは、冷房運転及び再熱除湿運転における気体状又は気液二相流の冷媒の出口である。すなわち、気液分離器37において液状の冷媒から分離された気体を含む冷媒が、第3の開口37cを通って流出する。
【0047】
本実施形態の室内機12は、第1の温度センサ61と、第2の温度センサ62と、をさらにさらに有する。また、本実施形態の室外機11は、第3の温度センサ63と、第4の温度センサ64とをさらに有する。
【0048】
第1の温度センサ61は、第1の室内熱交換器31と、エジェクタ34の流出口53との間で、第2の配管42に設けられる。本実施形態では、第1の温度センサ61は、第1の室内熱交換器31と第5の配管45の端部45bとの間に位置する。第1の温度センサ61は、第1の室内熱交換器31と流出口53との間で、第2の配管42を流れる冷媒の温度を検出する。
【0049】
第2の温度センサ62は、第2の室内熱交換器32と、エジェクタ34の第1の流入口51との間で、第2の配管42に設けられる。本実施形態では、第2の温度センサ62は、第2の室内熱交換器32と第5の配管45の端部45aとの間に位置する。第2の温度センサ62は、第2の室内熱交換器32と第1の流入口51との間で、第2の配管42を流れる冷媒の温度を検出する。
【0050】
第3の温度センサ63は、室外熱交換器21と室外膨張弁26との間で、第3の配管43に設けられる。第3の温度センサ63は、室外熱交換器21と室外膨張弁26との間で、第3の配管43を流れる冷媒の温度を検出する。
【0051】
第4の温度センサ64は、室外膨張弁26と気液分離器37の間で、第3の配管43に設けられる。第3の温度センサ63は、室外膨張弁26と気液分離器37の間で、第3の配管43を流れる冷媒の温度を検出する。
【0052】
制御装置14は、例えば、室外制御装置14aと、室内制御装置14bとを有する。室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、互いに電気配線により電気的に接続される。室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち少なくとも一方は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。例えば、制御装置14は、室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち一方のみを有しても良い。
【0053】
室外制御装置14aは、室外機11の室外送風ファン22、圧縮機23、四方弁25、及び室外膨張弁26を制御する。室内制御装置14bは、室内機12の室内送風ファン33、第1の室内膨張弁35、第2の室内膨張弁36、及びエジェクタ34の電磁弁58を制御する。
【0054】
制御装置14が室外機11及び室内機12を制御することで、空気調和機10は、冷房運転、暖房運転、再熱除湿運転、及び他の運転を行う。室内制御装置14bは、例えば、リモートコントローラから信号を入力されても良いし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されても良い。
【0055】
図4は、本実施形態の室内機12を概略的に示す断面図である。
図4に示すように、室内機12は、筐体71と、二つの風向板73とをさらに有する。風向板73は、ルーバとも称され得る。なお、室内機12は、この例に限られない。
【0056】
筐体71は、略直方体状に形成される。なお、筐体71は、他の形状に形成されても良い。筐体71は、例えば、建造物の壁に架けられる。筐体71に、通風路75、吸込み口76、及び吹出し口77が設けられる。
【0057】
通風路75は、筐体71の内部に設けられる。室内機12は、通風路75に気流を通すことができる。吸込み口76は、通風路75の一方の端に設けられ、通風路75を室内機12の外部に連通する。吹出し口77は、通風路75の他方の端に設けられ、通風路75を室内機12の外部に連通する。
【0058】
第1の室内熱交換器31、第2の室内熱交換器32、及び室内送風ファン33は、通風路75に設けられる。室内送風ファン33は、回転することで、通風路75において吸込み口76から吹出し口77へ風を送る。これにより、室内機12は、吸込み口76から室内の空気を通風路75へ吸い込み、吹出し口77から通風路75の空気を吹き出す。
【0059】
第1の室内熱交換器31及び第2の室内熱交換器32はそれぞれ、例えば冷媒配管と複数のフィンとを有する。本実施形態において、第1の室内熱交換器31及び第2の室内熱交換器32は、室内送風ファン33の上流に並列に配置される。第1の室内熱交換器31は、第2の室内熱交換器32よりも大きい。なお、第1の室内熱交換器31及び第2の室内熱交換器32は、この例に限られない。
【0060】
室内送風ファン33が気流を生じさせると、吸込み口76から吸い込まれた空気が第1の室内熱交換器31又は第2の室内熱交換器32のフィンを通過する。これにより、第1の室内熱交換器31と熱交換した気流AF1と、第2の室内熱交換器32と熱交換した気流AF2とが、通風路75を流れる。
【0061】
二つの風向板73は、吹出し口77、又は吹出し口77の近傍に設けられる。風向板73は、室内送風ファン33の下流に位置する。二つの風向板73はそれぞれ、吹出し口77を塞ぐ閉じ位置と、吹出し口77を開放する開き位置との間で回動可能である。
【0062】
共に開き位置に配置された二つの風向板73は、吹出し口77を二つの流路77a,77bに区画する。室内機12は、第1の室内熱交換器31と熱交換した気流AF1を流路77aから吹き出し、第2の室内熱交換器32と熱交換した気流AF2を流路77bから吹き出すことができる。なお、室内機12は、吹出し口77から、気流AF1と気流AF2とが混合された気流を吹出しても良い。
【0063】
図5は、本実施形態の空気調和機10の構成を機能的に示すブロック図である。
図5に示すように、本実施形態の空気調和機10は、室外ファン駆動回路81と、室内ファン駆動回路82と、インバータ回路83と、四方弁駆動回路84と、第1の弁駆動回路85と、第2の弁駆動回路86と、第3の弁駆動回路87と、エジェクタ駆動回路88をさらに有する。
【0064】
室外ファン駆動回路81は、室外送風ファン22の駆動回路である。室内ファン駆動回路82は、室内送風ファン33の駆動回路である。インバータ回路83は、圧縮機23をインバータ制御し、圧縮機23の運転周波数を変更する。インバータ回路83は、例えば、PAM(Pulse Amplitude Modulation)方式のインバータ回路である。なお、インバータ回路83は、この例に限られない。
【0065】
四方弁駆動回路84は、四方弁25の駆動回路である。第1の弁駆動回路85は、第1の室内膨張弁35の駆動回路である。第2の弁駆動回路86は、第2の室内膨張弁36の駆動回路である。第3の弁駆動回路87は、室外膨張弁26の駆動回路である。エジェクタ駆動回路88は、エジェクタ34の電磁弁58の駆動回路である。
【0066】
制御装置14は、第1乃至第4の温度センサ61~64と、室外ファン駆動回路81と、室内ファン駆動回路82と、インバータ回路83と、四方弁駆動回路84と、第1の弁駆動回路85と、第2の弁駆動回路86と、第3の弁駆動回路87と、エジェクタ駆動回路88とに接続される。制御装置14は、温度取得部91と、運転切替部92と、室外ファン制御部93と、室内ファン制御部94と、圧縮機制御部95と、弁制御部96とを備える。
【0067】
温度取得部91は、第1乃至第4の温度センサ61~64を用いて、冷媒の温度を取得する。例えば、温度取得部91は、第1乃至第4の温度センサ61~64の出力信号から、冷媒の温度を算出する。
【0068】
運転切替部92は、空気調和機10における冷房運転と、暖房運転と、再熱除湿運転とを切り替える。なお、運転切替部92は、空気調和機10の運転を他の運転方式に切り替えても良い。
【0069】
室外ファン制御部93は、室外送風ファン22を制御する。例えば、室外ファン制御部93は、室外ファン駆動回路81を制御することで、室外送風ファン22のモータの回転数を制御する。
【0070】
室内ファン制御部94は、室内送風ファン33を制御する。例えば、室内ファン制御部94は、室内ファン駆動回路82を制御することで、室内送風ファン33のモータの回転数を制御する。
【0071】
圧縮機制御部95は、圧縮機23を制御する。例えば、圧縮機制御部95は、インバータ回路83を制御することで、インバータ制御により圧縮機23の運転周波数を制御する。
【0072】
弁制御部96は、四方弁25、室外膨張弁26、第1の室内膨張弁35、第2の室内膨張弁36、及び電磁弁58を制御する。弁制御部96は、四方弁駆動回路84を制御することで、四方弁25のアクチュエータを駆動し、四方弁25に冷媒が流れる方向を変更させる。弁制御部96は、第1の弁駆動回路85、第2の弁駆動回路86、第3の弁駆動回路87、及びエジェクタ駆動回路88を制御することで、室外膨張弁26、第1の室内膨張弁35、第2の室内膨張弁36、及び電磁弁58の開度を変更させる。
【0073】
以下に、本実施形態の空気調和機10の冷房運転、再熱除湿運転、及び暖房運転について説明する。なお、上述のように、空気調和機10は、冷房運転、再熱除湿運転、及び暖房運転に限らず、除霜運転のような他の運転を行うことができる。また、空気調和機10の冷房運転、再熱除湿運転、及び暖房運転は、以下に説明される例に限られない。
【0074】
図6は、本実施形態の空気調和機10の冷房運転制御の一例を示すフローチャートである。なお、例えば、空気調和機10の起動と冷房運転の開始が同時である場合、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン33は停止している。この場合、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、及び圧縮機制御部95は、冷房運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン33を起動する。
【0075】
図6に示すように、冷房運転が開始されると、弁制御部96が四方弁駆動回路84を制御し、四方弁25に冷媒が流れる方向を、冷房運転の方向に切り替えさせる(S101)。これにより、
図1に示すように、室外熱交換器21と圧縮機23の吐出口23bとが接続されるとともに、第1の室内熱交換器31とアキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とが接続される。すなわち、制御装置14は、圧縮機23の吐出口23bから室外熱交換器21へ冷媒が流れるように四方弁25を制御する冷房運転を実行する。
【0076】
次に、
図6に示すように、弁制御部96が第2の室内膨張弁36を制御し、第2の室内膨張弁36を閉じる(S102)。これにより、第2の室内膨張弁36は、第5の配管45における冷媒の流れを遮断する。
【0077】
次に、運転切替部92は、冷房運転を終了するか否かを判定する(S103)。例えば、リモートコントローラから空気調和機10が停止信号又は他の運転への切替信号を入力された場合、運転切替部92は、冷房運転が終了するものと判定し(S103:Yes)、冷房運転を終了する。
【0078】
一方、冷房運転が終了しない場合(S103:No)、弁制御部96は、温度C1が約44℃であるか否かを判定する(S104)。例えば、温度取得部91が、第3の温度センサ63から、室外熱交換器21と室外膨張弁26との間の冷媒の温度C1を取得する。
【0079】
弁制御部96は、温度C1が約44℃であるか否かを判定する。例えば、弁制御部96は、所定の時間に亘って温度C1が44±0.5℃の範囲内にあるか否かを判定する。なお、S104における判定はこの例に限られない。
【0080】
温度C1が約44℃でない場合(S104:No)、弁制御部96は、第3の弁駆動回路87を制御し、室外膨張弁26の開度を調整する(S105)。弁制御部96は、温度C1が約44℃となるように、室外膨張弁26の開度を調整する。
【0081】
S104において温度C1が約44℃である場合(S104:Yes)、弁制御部96は、温度C2が約30℃であるか否かを判定する(S106)。例えば、温度取得部91が、第4の温度センサ64から、室外膨張弁26と気液分離器37の間の冷媒の温度C2を取得する。
【0082】
弁制御部96は、温度C2が約30℃であるか否かを判定する。例えば、弁制御部96は、所定の時間に亘って温度C2が30±0.5℃の範囲内にあるか否かを判定する。なお、S106における判定はこの例に限られない。
【0083】
温度C2が約30℃でない場合(S106:No)、弁制御部96は、S105に移行し、第3の弁駆動回路87を制御して室外膨張弁26の開度を調整する。弁制御部96は、温度C2が約30℃となるように、室外膨張弁26の開度を調整する。S104~S106により、温度C1と温度C2との間の温度差が約14℃に設定される。
【0084】
本実施形態の制御装置14は、温度差(C1-C2)を約14℃に設定することで、室外膨張弁26により冷媒を減圧する。例えば、冷媒の圧力は、室外膨張弁26において、約3Mpから約2MPaに減少する。制御装置14は、室外膨張弁26に冷媒を減圧させることで、例えば、高圧の冷媒がエジェクタ34を暴れさせることを抑制し、エジェクタ34の動作を安定させる。
【0085】
S106において温度C2が約30℃である場合(S106:Yes)、又はS105で室外膨張弁26の開度が調整されると、弁制御部96は、温度E1と温度E2との差が約4℃であるか否かを判定する(S107)。
【0086】
例えば、温度取得部91が、第1の温度センサ61から第1の室内熱交換器31と流出口53との間の冷媒の温度E1を取得する。言い換えると、温度取得部91は、第1の温度センサ61から、エジェクタ34の流出口53から出た冷媒の温度E1を取得する。
【0087】
さらに、温度取得部91は、第2の温度センサ62から第2の室内熱交換器32と第1の流入口51との間の冷媒の温度E2を取得する。言い換えると、温度取得部91は、第2の温度センサ62から、エジェクタ34の第1の流入口51に入る冷媒の温度E2を取得する。
【0088】
弁制御部96は、温度差(E1-E2)が約4℃であるか否かを判定する。例えば、弁制御部96は、所定の時間に亘って温度差(E1-E2)が4±0.5℃の範囲内にあるか否かを判定する。なお、S107における判定はこの例に限られない。
【0089】
温度差(E1-E2)が約4℃に設定されることで、第1の流入口51における冷媒の圧力が、流出口53における冷媒の圧力よりも低くなる。エジェクタ34は、第1の流入口51における冷媒の圧力が、流出口53における冷媒の圧力よりも低い場合に、第1の室内熱交換器31の冷凍能力を向上させることができる。
【0090】
本実施形態の制御装置14は、温度差(E1-E2)を約4℃に設定することで、第1の流入口51における冷媒の圧力を低く設定する。第1の流入口51における冷媒の圧力の減少量は、当該減少による流出口53における冷媒の圧力の増加量よりも小さい。従って、制御装置14は、第1の流入口51における冷媒の圧力を有意に減少させ、空気調和機10の冷凍能力を向上させることができる。
【0091】
また、制御装置14は、温度差(E1-E2)を約4℃に設定することで、第1の流入口51における冷媒の速度を向上させる。これにより、第1の流入口51を通り混合部56に供給される冷媒と、第2の流入口52を通り混合部56に供給される冷媒と、の速度差が低減される。従って、混合部56における冷媒の渦が発生することが抑制され、エジェクタ34における圧力損失が低減される。
【0092】
温度差(E1-E2)が約4℃でない場合(S107:No)、弁制御部96は、第1の弁駆動回路85及びエジェクタ駆動回路88を制御し、第1の室内膨張弁35及び電磁弁58の開度を調整する(S108)。弁制御部96は、温度差(E1-E2)が約4℃となるように、第1の室内膨張弁35及び電磁弁58の開度を調整する。
【0093】
以上のように、弁制御部96は、冷房運転において、第1の温度センサ61が検出した温度E1と第2の温度センサ62が検出した温度E2との差に基づいて、第1の室内膨張弁35と電磁弁58とを制御する。弁制御部96は、第1の流入口51における冷媒の圧力が流出口53における冷媒の圧力よりも低くなるように、第1の室内膨張弁35と電磁弁58とを制御する。なお、弁制御部96は、第1の室内膨張弁35と電磁弁58とのうち一方のみを制御しても良い。
【0094】
S107において温度差(E1-E2)が約4℃である場合(S107:Yes)、又はS108で第1の室内膨張弁35及び電磁弁58の開度が調整されると、S103に戻り、運転切替部92が冷房運転を終了するか否かを再度判定する。冷房運転が終了するまで、S103~S108が繰り返される。
【0095】
図7は、本実施形態の空気調和機10のモリエル線図の一例を示すグラフである。冷房運転において、冷媒は、圧縮機23で圧縮され(
図7のaからb)、圧縮機23の吐出口23bから吐出される。吐出口23bから吐出された高温高圧の気体状の冷媒は、四方弁25を通り、室外熱交換器21で放熱する(
図7のbからc)。室外熱交換器21で凝縮した高温高圧の液状の冷媒は、室外膨張弁26で減圧される(
図7のcからd)。
【0096】
室外膨張弁26で減圧された冷媒は、気液分離器37において、例えば液体と気液二相流とに分離される(
図7のdからe、及びdからh)。液状の冷媒は、気液分離器37の第2の開口37bから出て、第1の室内膨張弁35で減圧される(
図7のeからf)。
【0097】
第1の室内膨張弁35で減圧された低温低圧の液状の冷媒は、第2の室内熱交換器32で吸熱する(
図7のfからg)。第2の室内熱交換器32で蒸発した気体状又は気液二相流の冷媒は、エジェクタ34の第1の流入口51から吸引部55に吸引される。
【0098】
一方、気液分離器37の第3の開口37cを通り、気液二相流の冷媒がエジェクタ34の第2の流入口52からノズル部54に供給される。第2の流入口52は、気液分離器37から冷媒を吸引する。しかし、気液分離器37は、液体と気液二相流とを分離することで、液状の冷媒までもが第2の流入口52に吸引されることを抑制できる。
【0099】
エジェクタ34において、第2の流入口52に供給された比較的高圧の気液二相流の冷媒は、ノズル部54で減圧され(
図7のhからi)、第1の流入口51から吸引された低圧の気体状の冷媒と混合部56において混合される(
図7のgからj、及びiからj)。混合された冷媒は、ディフューザ部57で昇圧される(
図7のjからk)。エジェクタ34は、昇圧され、気液二相流となった冷媒を、流出口53から第1の室内熱交換器31へ供給する。
【0100】
エジェクタ34で昇圧された冷媒は、第1の室内熱交換器31で吸熱する(
図7のkからa)。第1の室内熱交換器31で蒸発した気体状の冷媒は、四方弁25を通り、圧縮機23の吸入口23aに戻る。
【0101】
以上の本実施形態の冷房運転では、エジェクタ34が冷媒を昇圧させる。すなわち、本実施形態の空気調和機10では、圧縮機23のみならず、エジェクタ34が冷媒を昇圧させる。このため、空気調和機10は、圧縮機23が冷媒を所望の圧力まで昇圧させるための仕事量及び消費電力を低減することができる。
【0102】
さらに、本実施形態の冷房運転では、エジェクタ34の流出口53から出た冷媒が、膨張弁や気液分離器を介さず、直接的に第1の室内熱交換器31に供給される。これにより、本実施形態の空気調和機10は、膨張弁や気液分離器による圧力損失が生じることを抑制でき、十分な冷媒を圧縮機23の吸入口23aに戻すことができる。さらに、空気調和機10は、エジェクタ34で昇圧した冷媒を第1の室内熱交換器31に供給することで、第1の室内熱交換器31の冷凍能力を向上させることができる。
【0103】
冷房運転において、第2の室内熱交換器32の蒸発温度は、第1の室内熱交換器31の蒸発温度よりも低くなる。このため、第2の室内熱交換器32と熱交換した気流AF2の温度が第1の室内熱交換器31と熱交換した気流AF1の温度よりも低くなる。
【0104】
図4に示すように、室内機12は、第1の室内熱交換器31と熱交換した気流AF1を流路77aから吹き出し、第2の室内熱交換器32と熱交換した気流AF2を流路77bから吹き出すことができる。すなわち、室内機12は、互いに温度が異なる二つの気流AF1,AF2を、二つの流路77a,77bから個別に吹き出すことができる。
【0105】
図8は、本実施形態の空気調和機10の再熱除湿運転制御の一例を示すフローチャートである。例えば、空気調和機10の起動と再熱除湿運転の開始が同時である場合、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、及び圧縮機制御部95は、再熱除湿運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン33を起動する。
【0106】
図8に示すように、再熱除湿運転が開始されると、弁制御部96が四方弁駆動回路84を制御し、四方弁25に冷媒が流れる方向を再熱除湿運転の方向に切り替えさせる(S201)。これにより、室外熱交換器21と圧縮機23の吐出口23bとが接続されるとともに、第1の室内熱交換器31とアキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とが接続される。
【0107】
次に、弁制御部96が第2の室内膨張弁36を制御し、第2の室内膨張弁36を閉じる(S202)。これにより、第2の室内膨張弁36は、第5の配管45における冷媒の流れを遮断する。
【0108】
次に、弁制御部96が室外膨張弁26及び第1の室内膨張弁35を制御し、室外膨張弁26及び第1の室内膨張弁35を全開にする(S203)。言い換えると、弁制御部96は、室外膨張弁26及び第1の室内膨張弁35の開度を最大に設定する。
【0109】
以上のように、制御装置14は、圧縮機23の吐出口23bから室外熱交換器21へ冷媒が流れるように四方弁25を制御するとともに、室外膨張弁26及び第1の室内膨張弁35を全開にする再熱除湿運転を実行する。なお、再熱除湿運転において、制御装置14は、室外膨張弁26及び第1の室内膨張弁35の開度を一時的に低減させても良い。
【0110】
次に、運転切替部92は、再熱除湿運転を終了するか否かを判定する(S204)。例えば、リモートコントローラから空気調和機10が停止信号又は他の運転への切替信号を入力された場合、運転切替部92は、再熱除湿運転が終了するものと判定し(S204:Yes)、冷房運転を終了する。運転切替部92は、当該入力が無い場合(S204:No)、待機して再熱除湿運転を継続する。
【0111】
再熱除湿運転において、制御装置14は、冷房運転におけるS104~S108の制御、又は類似の制御を実行しても良い。また、再熱除湿運転において、制御装置14は、他の種々の制御を行うことができる。
【0112】
図1に示すように、再熱除湿運転において、圧縮機23の吐出口23bから吐出された高温高圧の気体状の冷媒は、四方弁25を通り、室外熱交換器21で放熱する。上述のように、再熱除湿運転において、室外膨張弁26は全開に設定される。このため、室外熱交換器21で凝縮した高温高圧の液状の冷媒は、減圧されることなく室外膨張弁26を通過し、気液分離器37へ流れる。
【0113】
冷媒は、気液分離器37において、例えば液体と気液二相流とに分離される。高温の液状の冷媒は、気液分離器37の第2の開口37bから出て、第1の室内膨張弁35へ流れる。上述のように、再熱除湿運転において、第1の室内膨張弁35は全開に設定される。このため、高温の液状の冷媒は、減圧されることなく第1の室内膨張弁35を通過し、第2の室内熱交換器32へ流れる。
【0114】
高温の液状の冷媒は、第2の室内熱交換器32で熱交換を行う。冷媒は、例えば第2の室内熱交換器32で気液二相流となり、エジェクタ34の第1の流入口51から吸引部55に吸引される。一方、気液分離器37の第3の開口37cを通り、気液二相流の冷媒がエジェクタ34の第2の流入口52からノズル部54に供給される。
【0115】
エジェクタ34において、第1の流入口51から吸引された冷媒は、第2の流入口52に供給された冷媒と混合部56で混合され、ディフューザ部57で昇圧される。一方、エジェクタ34のノズル部54及び吸引部55により、冷媒は膨張させられる。当該膨張作用により、エジェクタ34は、第1の室内熱交換器31で十分に蒸発可能に減圧された低温の冷媒を、流出口53から第1の室内熱交換器31へ供給することができる。これにより、第1の室内熱交換器31は、膨張弁が無くとも、エジェクタ34から供給された冷媒を蒸発させることができる。
【0116】
エジェクタ34で膨張した気液二相流の冷媒は、第1の室内熱交換器31で吸熱する。第1の室内熱交換器31で蒸発した気体状の冷媒は、四方弁25を通り、圧縮機23の吸入口23aに戻る。
【0117】
以上の再熱除湿運転では、第1の室内熱交換器31において低温の冷媒が熱交換を行う。例えば、第1の室内熱交換器31における冷媒の温度は、露点温度以下に設定される。これにより、第1の室内熱交換器31において結露が生じ、空気調和機10は、室内の湿度を低下させる。
【0118】
一方、第2の室内熱交換器32において、高温の冷媒が熱交換を行う。これにより、第2の室内熱交換器32を通過する気流AF2は温められる。空気調和機10は、例えば、第2の室内熱交換器32で温められた気流AF2を第1の室内熱交換器31を通過した気流AF1と混合し、吹出し口77から吹き出す。これにより、空気調和機10は、室内を除湿しながら、室内の温度低下を抑制できる。
【0119】
図9は、本実施形態の空気調和機10の暖房運転制御の一例を示すフローチャートである。なお、例えば、空気調和機10の起動と暖房運転の開始が同時である場合、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、及び圧縮機制御部95は、暖房運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン33を起動する。
【0120】
図9に示すように、暖房運転が開始されると、弁制御部96が四方弁駆動回路84を制御し、四方弁25に冷媒が流れる方向を暖房運転の方向に切り替えさせる(S301)。これにより、第1の室内熱交換器31と圧縮機23の吐出口23bとが接続されるとともに、室外熱交換器21とアキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とが接続される。すなわち、制御装置14は、圧縮機23の吐出口23bから第1の室内熱交換器31へ冷媒が流れるように四方弁25を制御する冷房運転を実行する。
【0121】
次に、弁制御部96が第2の室内膨張弁36を制御し、第2の室内膨張弁36を開く(S302)。例えば、弁制御部96は、第2の室内膨張弁36を全開にする。なお、弁制御部96は、第2の室内膨張弁36を所定の開度まで開放しても良い。これにより、第2の室内膨張弁36は、第5の配管45における冷媒の流れを許容する。
【0122】
第5の配管45の一方の端部45aは、第2の室内熱交換器32とエジェクタ34の第1の流入口51との間で、第2の配管42に接続される。第5の配管45の他方の端部45bは、第1の室内熱交換器31とエジェクタ34の流出口53との間で、第2の配管42に接続される。このため、暖房運転において、冷媒は、エジェクタ34を迂回して第5の配管45を通り、第1の室内熱交換器31から第2の室内熱交換器32へ流れることができる。
【0123】
次に、弁制御部96が電磁弁58を制御し、電磁弁58を閉じる(S303)。これにより、電磁弁58は、第2の流入口52を閉じ、第4の配管44における冷媒の流れを遮断する。また、エジェクタ34は、第1の流入口51をさらに閉じても良い。
【0124】
次に、運転切替部92は、暖房運転を終了するか否かを判定する(S304)。例えば、リモートコントローラから空気調和機10が停止信号又は他の運転への切替信号を入力された場合、運転切替部92は、暖房運転が終了するものと判定し(S304:Yes)、暖房運転を終了する。
【0125】
暖房運転が終了しない場合(S304:No)、弁制御部96は、流路77aから吹き出す気流AF1と、流路77bから吹き出す気流AF2と、の温度が相違するように設定されたか否かを判定する(S305)。
【0126】
例えば、同一空間に居る人々の間で、温度の感じ方が互いに異なることがある。このため、制御装置14は、流路77aの先に居る人物の体温と、流路77bの先に居る人物の体温とを、例えば赤外線センサにより検出する。弁制御部96は、これらの人物の体温の差が閾値を超えた場合、気流AF1と気流AF2との温度が異なるように設定する(S305:Yes)。なお、S305の判定はこの例に限られない。例えば、弁制御部96は、リモートコントローラからの入力に基づき、気流AF1,AF2の間で温度が相違するように設定されたか否かを判定しても良い。
【0127】
気流AF1と気流AF2との温度が異なるように設定された場合、弁制御部96は、第2の弁駆動回路86を制御し、第2の室内膨張弁36の開度を調整する(S306)。例えば、弁制御部96は、気流AF1と気流AF2との温度差を大きくする場合、第2の室内膨張弁36の開度を低減させる。
【0128】
第2の室内膨張弁36の開度が低減されることで、第2の室内膨張弁36は、冷媒を膨張させ、冷媒の温度を低下させる。このため、第1の室内熱交換器31と第2の室内熱交換器32とが異なる凝縮温度を持ち、第2の室内熱交換器32と熱交換した気流AF2の温度が第1の室内熱交換器31と熱交換した気流AF1の温度よりも低くなる。
【0129】
図4に示すように、室内機12は、第1の室内熱交換器31と熱交換した気流AF1を流路77aから吹き出し、第2の室内熱交換器32と熱交換した気流AF2を流路77bから吹き出すことができる。これにより、例えば、室内機12は、寒いと感じている人物へ比較的高温の気流AF1を届け、暑いと感じている人物へ比較的低温の気流AF2を届けることができる。
【0130】
図9に示すように、S305で気流AF1と気流AF2との温度が異なるように設定されていない場合(S305:No)、又はS306で弁制御部96が第2の室内膨張弁36を調整すると、S304に戻り、運転切替部92が暖房運転を終了するか否かを再度判定する。暖房運転が終了するまで、S304~S306が繰り返される。
【0131】
図2に示すように、暖房運転において、圧縮機23の吐出口23bから吐出された高温高圧の気体状の冷媒は、四方弁25を通り、第1の室内熱交換器31で放熱する。第1の室内熱交換器31で熱交換した冷媒は、第5の配管45及び第2の室内膨張弁36を通り、第2の室内熱交換器32へ流れる。なお、上述のように、冷媒は、第2の室内膨張弁36で減圧されても良い。
【0132】
第1の室内熱交換器31で熱交換した冷媒は、第2の室内熱交換器32でさらに放熱する。第2の室内熱交換器32で凝集した液状の冷媒は、第1の室内膨張弁35で減圧される。
【0133】
第1の室内膨張弁35で減圧された液状の冷媒は、気液分離器37を通過する。冷媒は、気液分離器37の第1の開口37aから出て、室外膨張弁26で減圧される。室外膨張弁26で減圧された低温低圧の液状の冷媒は、室外熱交換器21で吸熱する。室外熱交換器21で蒸発した気体状の冷媒は、四方弁25を通り、圧縮機23の吸入口23aに戻る。
【0134】
弁制御部96は、第1の室内膨張弁35及び室外膨張弁26の開度を調整することで、室外熱交換器21における蒸発温度を調整することができる。また、弁制御部96は、第1の室内膨張弁35と室外膨張弁26との間における冷媒の圧力を、比較的高く設定する。これにより、室外機11と室内機12との間に高低差があったとしても、冷媒が第1の室内膨張弁35から室外膨張弁26へ流れることができる。
【0135】
図10は、本実施形態の制御装置14のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御装置14は、例えば、
図10に示すようなハードウェア構成のコンピュータ100により実現される。
【0136】
コンピュータ100は、例えば、CPU101と、ROM102と、RAM103と、記憶装置104と、インターフェース(I/F)106とを有する。CPU101、ROM102、RAM103、記憶装置104、及びI/F106は、バスにより接続されている。
【0137】
CPU101は、記憶装置104に記憶されたプログラムをRAM103に展開して実行し、各部を制御して入出力を行ったり、データの加工を行ったりすることができる。ROM102には、オペレーティングシステムの起動用プログラムを記憶装置104からRAM103に読み出すスタートプログラムが記憶されている。
【0138】
記憶装置104は、例えば、フラッシュメモリである。記憶装置104は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、及びデータを記憶している。これらのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録メディアに記録して配布される。また、プログラムは、サーバからダウンロードすることにより配布されても良い。
【0139】
I/F106は、例えば、第1乃至第4の温度センサ61~64、室外ファン駆動回路81、室内ファン駆動回路82、インバータ回路83、四方弁駆動回路84、第1の弁駆動回路85、第2の弁駆動回路86、第3の弁駆動回路87、及びエジェクタ駆動回路88に接続するためのインターフェース装置である。
【0140】
本実施形態のコンピュータ100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供され得る。
【0141】
また、本実施形態のコンピュータ100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のコンピュータ100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。また、本実施形態のプログラムを、ROM102等に予め組み込んで提供するように構成しても良い。
【0142】
このようなコンピュータ100を制御装置14として機能させるためのプログラムは、温度取得モジュールと、運転切替モジュールと、室外ファン制御モジュールと、室内ファン制御モジュールと、圧縮機制御モジュールと、弁制御モジュールと、を含むモジュール構成となっている。コンピュータ100は、実際のハードウェアとしてはプロセッサ(CPU101)が記憶媒体(記憶装置104等)からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置(RAM103)上にロードされる。これにより、プロセッサ(CPU101)は、
図5の温度取得部91、運転切替部92、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、圧縮機制御部95、及び弁制御部96として機能する。なお、コンピュータ100は、温度取得部91、運転切替部92、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、圧縮機制御部95、及び弁制御部96の構成の一部又は全部がハードウェアにより実現されていても良い。
【0143】
以上説明された実施形態に係る空気調和機10において、エジェクタ34は、第2の室内熱交換器32から第1の流入口51に供給された冷媒を、気液分離器37から第2の流入口52に供給された気体を含む冷媒と混合するとともに昇圧して、流出口53から第1の室内熱交換器31に供給可能である。エジェクタ34が第2の室内熱交換器32から供給された冷媒を昇圧するため、空気調和機10は、冷媒を所望の圧力まで昇圧させるための圧縮機23の仕事量を小さくすることができ、省エネルギー化することができる。一方、エジェクタ34は、第2の流入口52から供給された冷媒を膨張減圧させるため、第2の流入口52から冷媒を吸引する。この空気調和機10において、気液分離器37は、第2の開口37bから第1の室内膨張弁35を通じて液状の冷媒を第2の室内熱交換器32に送るとともに、第3の開口37cから気体を含む冷媒をエジェクタ34の第2の流入口52に送ることができる。このため、空気調和機10は、エジェクタ34が第2の流入口52から過剰に液状の冷媒を吸引することを抑制でき、第2の室内熱交換器32に所望量の液状の冷媒を供給することができる。従って、空気調和機10は、エジェクタ34を利用した省エネルギー化を実現できる。これに加えて、空気調和機10は、例えば第1の室内膨張弁35を全開にすることで、第2の室内熱交換器32に高温の冷媒を供給することができる。この場合、第2の室内熱交換器32は室内の空気を温める。一方、第2の室内熱交換器32を通過した冷媒は、エジェクタ34における膨張作用により露点温度以下に冷却され、第1の室内熱交換器31で室内を除湿する。すなわち、空気調和機10は、第1の室内熱交換器31で除湿するとともに、第2の室内熱交換器32で空気を温める、再熱除湿運転をすることができる。
【0144】
第5の配管45の一方の端部45aは、第2の室内熱交換器32と第1の流入口51との間で第2の配管42に接続される。第5の配管45の他方の端部45bは、第1の室内熱交換器31と流出口53との間で第2の配管42に接続される。第5の配管45に、第2の室内膨張弁36が設けられる。これにより、空気調和機10は、例えば暖房運転の際に、第5の配管45を通じて第1の室内熱交換器31から第2の室内熱交換器32へ冷媒を流すことができる。さらに、第2の室内膨張弁36は、第1の室内熱交換器31を流れる冷媒の温度と第2の室内熱交換器32を流れる冷媒の温度とを互いに異ならせることができる。従って、空気調和機10は、第1の室内熱交換器31と熱交換した第1の温度の気流AF1と、第2の室内熱交換器32と熱交換した第2の温度の気流AF2と、の二種類の温度の気流を室内に供給することができる。
【0145】
電磁弁58は、第2の流入口52を開閉可能である。制御装置14は、圧縮機23の吐出口23bから室外熱交換器21へ冷媒が流れるように四方弁25を制御する冷房運転を実行可能である。制御装置14は、冷房運転において、第1の流入口51における冷媒の圧力が流出口53における冷媒の圧力よりも低くなるように、第1の室内膨張弁35と電磁弁58とのうち少なくとも一方を制御する。これにより、第1の流入口51からエジェクタ34に吸引される冷媒が減圧加速される。すなわち、第1の流入口51に供給される冷媒の速度と、第2の流入口52に供給される冷媒の速度と、の差が小さくなり、エジェクタ34における圧力損失が低減され、空気調和機10の冷凍能力が増大する。従って、空気調和機10は、所望の冷凍能力を得るための圧縮機23の仕事量を小さくすることができ、省エネルギー化することができる。
【0146】
第1の温度センサ61は、第1の室内熱交換器31と流出口53との間で第2の配管42を流れる冷媒の温度E1を検出する。第2の温度センサ62は、第2の室内熱交換器32と第1の流入口51との間で第2の配管42を流れる冷媒の温度E2を検出する。制御装置14は、冷房運転において、第1の温度センサ61が検出した温度E1と第2の温度センサ62が検出した温度E2との差(E1-E2)に基づいて、第1の流入口51における冷媒の圧力が流出口53における冷媒の圧力よりも低くなるように、第1の室内膨張弁35と電磁弁58とのうち少なくとも一方を制御する。これにより、空気調和機10は、圧力計を用いることなく、第1の流入口51からエジェクタ34に吸引される冷媒を減圧加速することができる。
【0147】
制御装置14は、圧縮機23の吐出口23bから室外熱交換器21へ冷媒が流れるように四方弁25を制御するとともに、第1の室内膨張弁35を全開にする、再熱除湿運転を実行可能である。再熱除湿運転において、高温の冷媒が、第1の室内膨張弁35を通過し、第2の室内熱交換器32に供給される。この場合、第2の室内熱交換器32は室内の空気を温める。一方、第2の室内熱交換器32を通過した冷媒は、エジェクタ34における膨張作用により露点温度以下に冷却され、第1の室内熱交換器31で室内を除湿する。このように、空気調和機10は、第1の室内膨張弁35を全開にするだけで再熱除湿運転を実行でき、構造及び制御を簡素化することができるとともに、再熱除湿運転における消費電力を低減できる。
【0148】
室外膨張弁26は、室外熱交換器21と気液分離器37との間で第3の配管43に設けられる。室外膨張弁26は、例えば冷房運転及び再熱除湿運転において、室外熱交換器21から出た冷媒を減圧する。これにより、空気調和機10は、過剰に高圧な冷媒がエジェクタ34を暴れさせることを抑制できる。さらに、室外膨張弁26は、例えば暖房運転において、第2の室内熱交換器32から出た冷媒を減圧し、室外熱交換器21に供給する。これにより、空気調和機10は、第2の室内熱交換器32と室外膨張弁26との間で冷媒を高圧に設定することができる。従って、空気調和機10は、例えば第2の室内熱交換器32の位置と室外熱交換器21の位置との間に高低差があったとしても、冷媒を室外熱交換器21に送ることができる。
【0149】
以上の実施形態において、空気調和機10は、四方弁25により冷媒が流れる方向を変更し、冷房運転、再熱除湿運転、及び暖房運転を行うことができる。しかし、空気調和機10は、四方弁25を持たず、冷房運転及び再熱除湿運転のみを行うことが可能であっても良い。この場合、空気調和機10は、第2の室内膨張弁36及び第5の配管45を省略しても良い。
【0150】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0151】
10…空気調和機、14…制御装置、21…室外熱交換器、23…圧縮機、23a…吸入口、23b…吐出口、25…四方弁、26…室外膨張弁、31…第1の室内熱交換器、32…第2の室内熱交換器、34…エジェクタ、35…第1の室内膨張弁、36…第2の室内膨張弁、37…気液分離器、37a…第1の開口、37b…第2の開口、37c…第3の開口、41…第1の配管、42…第2の配管、43…第3の配管、44…第4の配管、45…第5の配管、45a,45b…端部、51…第1の流入口、52…第2の流入口、53…流出口、58…電磁弁、61…第1の温度センサ、62…第2の温度センサ。