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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】タンポンを形成するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/20 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
A61F13/20 260Z
A61F13/20 260B
A61F13/20 260D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020552293
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 IB2019052261
(87)【国際公開番号】W WO2019186325
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】00426/18
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】524067233
【氏名又は名称】ルーグリ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】RUGGLI AG
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シューラー, サムエル
(72)【発明者】
【氏名】アウアー, マルコ
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-220767(JP,A)
【文献】実開平3-54635(JP,U)
【文献】特開昭58-100010(JP,A)
【文献】特表2002-512543(JP,A)
【文献】特開2004-338810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15、13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.帯形状材料からタンポンを形成するための複数の加工ドラム(2,4,5.1,5.2)を備える、タンポンを形成するための装置(1)において、
b.プリフォームを第1の加工ドラム(2,4,5.1,5.2)から第2の加工ドラム(4,5.1,5.2)に連続的に移送するための少なくとも1つの移送ステーション(7)により特徴付けられ、前記少なくとも1つの移送ステーション(7)が、少なくとも1つの移送ホイール(7)であって、前記移送ホイールの非断続的な動作によってプリフォームを第1の加工ドラム(2,4,5.1,5.2)から第2の加工ドラム(4,5.1,5.2)に連続的に移送するための少なくとも1つの移送ホイール(7)である、装置(1)。
【請求項2】
前記移送ステーション(7)が、回転軸線R2を中心に回転できるように装着される移送ホイール(7)であり、前記回転軸線R2が前記加工ドラム(2,4,5.1,5.2)の回転軸線R1と平行である、請求項に記載の装置。
【請求項3】
複数の前記加工ドラム(2,4,5.1,5.2)が、第1のプリフォームを形成するために前記帯形状材料を巻回するための第1の加工ドラム(2)を備える、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
複数の前記加工ドラム(2,4,5.1,5.2)が、第2のプリフォームを形成するために第1のプリフォームをプレスするための第2の加工ドラム(4)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
複数の前記加工ドラム(2,4,5.1,5.2)が、第2のプリフォームにタンポンヘッドを形成するための及び/又は平滑化するための少なくとも1つの第3の加工ドラム(5.1,5.2)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
移送ホイール(7)が複数の受け入れグリッパ(12)を備え、前記受け入れグリッパが、前記加工ドラム(2,4,5.1,5.2)のうちの少なくとも1つの加工ドラムの回転半径(20,23)で移送領域(18,19)に関与するように設計されている、請求項のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記加工ドラム(2,4,5.1,5.2)に対する前記移送ホイール(7)の回転中に移送領域(18,19)が画定されるように前記受け入れグリッパ(12)を径方向移動で案内する少なくとも1つのガイドカーブ(10.1,10.2)を前記移送ホイール(7)が有し、前記移送領域では、受け入れグリッパ(12)の受け入れネスト(11)が加工ドラムの加工工具(39)と少なくとも一時的に同軸となる、請求項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記移送ホイール(7)が放射状に配置される受け入れグリッパ(12)を有し、前記受け入れグリッパ(12)が、
a.タンポン又はプリフォームを受けるための受け入れネスト(11)と、
b.前記受け入れネスト(11)が配置されるガイドロッド(13)と、
c.前記ガイドロッド(13)がその長手方向軸線に沿って移動可能であるべく装着されるようにするとともに、回転可能なハブ(16)に装着される、特にラジアルベアリングによって装着されるガイドブシュ(14)と
を備える、請求項のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記移送ホイールが2つのガイドディスク(45.1,45.2)を備え、前記ガイドディスクの各々にガイドカーブ(10.1、10.2)が形成され、これらのガイドカーブによって、受け入れグリッパの有効半径が少なくとも一時的に加工工具の回転半径(21,23)をたどるとともに前記加工ドラム(2,4,5.1,5.2)の前記回転半径(21,23)に対する接線で移送が行なわれるように、前記移送ホイールの回転軸線R2を中心とする径方向移動で前記受け入れグリッパ(12)が案内される、請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記加工ドラム(2,4,5.1,5.2)が、関連する前記加工ドラム(2,4,5.1,5.2)と同じ軸線を中心に回転できるように配置される排出ドラム(32,34,35.1,35.2)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記排出ドラム(32,34,35.1,35.2)が複数の排出プッシュロッド(37)を備え、これらの排出プッシュロッドが、関連する前記加工ドラムの加工工具と同軸に配置されるように前記排出ドラム(32,34,35.1,35.2)上のある半径のところに配置されている、請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
特に請求項1~のいずれか一項に記載の装置を使用して、帯形状材料からタンポンを形成するための方法であって、
a.帯形状材料を用意するステップと、
.回する複数の加工ドラム、特に連続的に回転する加工ドラムを介して帯形状材料を段階的に形成するステップであって、
第1の加工ドラムから第2の加工ドラムへのプリフォームの移送が移送ホイールによって連続的に行なわれるステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記帯形状材料の段階的な形成が、巻回ステップ、プレスステップ、並びに、形成及び/又は平滑化ステップを含み、これらのステップのそれぞれが、特定の連続的に回転する加工ドラム上で行なわれる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加工ドラムが、それぞれの段階的形成ステップにおいて、ワークピースを搬送方向に移動させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1の加工ドラムから第2の加工ドラムへの移送中に、前記移送ホイールが、
a.前記第1の加工ドラムの移送領域に受け入れグリッパによって関与し、それにより、前記受け入れグリッパの受け入れネストが、少なくとも一時的に工具と同軸配置状態で配置されるようにするステップと、
b.特に前記工具又は前記受け入れネストの長手方向に排出プッシュロッドを移動させることにより、前記工具から前記受け入れネストへ又は前記受け入れネストから前記工具へワークピースを排出するステップと、を実行する、請求項1214のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップb)において、前記排出プッシュロッドが、対応する加工ドラムと平行に回転する排出ドラム上に配置され、それにより、前記排出プッシュロッドがそれぞれ対応する工具に割り当てられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記移送ホイールの受け入れグリッパが、前記移送ホイールの回転中に、ガイドカーブ上にわたって案内され、それにより、前記加工ドラム、特に加工ドラムの工具と、受け入れネストとの間移送領域において同じ速度が存在する、請求項1216のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
タンポン又はプリフォームを製造するための請求項1に記載の装置の第1の加工ドラム(2,4,5.1,5.2)から第2の加工ドラム(4,5.1,5.2)へのプリフォームの連続的な移送のための、放射状に周方向に配置される受け入れグリッパ(12)を有する移送ステーション(7)、特に移送ホイール(7)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いずれも特許請求の範囲の特徴部分の前文に係る、帯形状材料からタンポンを形成するための装置、及び、帯形状材料からタンポンを形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に生理中に女性の衛生のために使用されるタンポンは、主に、最初に特徴的な長尺形状の状態に巻かれた後に圧縮されて形成される、通常はビスコース綿布のストリップである吸収性材料からなる。帯形状の出発材料を完成したタンポンに加工するこれらの工程は、循環生産ラインで段階的に行なわれる。最初のステップでは、まず最初に材料のストリップが巻回され、この場合、回収糸がストリップの周囲に配置されて巻回前に結ばれる。その後、コイルが加圧下で圧縮される。プレス工具の適切な形態の結果として、特定の構造、例えば共通の長手方向スロットを完成したタンポンに形成することができる。殆どの製造方法では、特に滑らかで丸いタンポンヘッドを得るために、タンポンヘッドを更に形成する及び/又は平滑化するヘッド形成ステップが更に実行される。これらの各加工ステップは、専用のワークステーションで行なわれ、あるワークステーションから次のワークステーションへの周期的な移送を必要とする。
【0003】
この移送のサイクルの結果として、達成可能な想定し得る最大速度に関してタンポンの生産ラインに制限が課せられる。操作ユニットの一定の加速及び減速は、激しい摩耗と高いエネルギー消費とをもたらす。
【0004】
綿布又は綿布/不織布帯は、最終製品の品質の任意の低下を避けるために適切な注意を払って運ばれなければならないため、タンポンの製造では、加工された材料の感受性にも特に注意を払う必要がある。更に悪化させる要因は、材料の高い吸湿性であり、この場合、最適な材料含水率のみが加工の確実な進行を確保するため、空気湿度を狭い範囲に保つ必要がある。
【0005】
したがって、製造される製品の品質の欠点を受け入れることなく高い加工速度で達成できる、タンポンを形成するための装置及び方法が必要である。
【0006】
ここで、タンポンの製造では、1分あたりに加工されたワークピースの数で速度が測定される。現在の技術では、これらのピース数が最大で毎分100~140物品であるが、実際にはそれを下回ることがよくある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、前述の問題のうちの少なくとも1つを克服するタンポンを製造するための装置を提供することである。特に、タンポンを製造するための装置は、毎分140物品を超えるピース数に達することができるように製造されることが意図されている。これに対応して、既知の技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服して特に毎分140物品を超えるピース数を加工できる方法も提供されることが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の特徴部分に記載されるようなタンポンを形成するための装置によって達成される。
【0009】
したがって、本発明の1つの態様は、帯形状材料からタンポンを形成するための装置に関する。この装置は、複数の加工ドラムと、プリフォームを第1の加工ドラムから第2の加工ドラムに連続的に移送するための少なくとも1つの移送ステーション、特に移送ホイールとを備える。このようにして、タンポン又はプリフォームを製造するための連続的に動作可能な装置が提供される。
【0010】
本発明の場合、開始点は、前の加工ステップに既に晒されてしまっていてもよい帯形状材料である。したがって、タンポンの製造のために、特に、織り及び/又は不織り材料の積層シートからなる帯形状材料が使用される。通常、不織り/綿布材料が使用される。本発明の場合、これらの帯形状材料の特定の組成は二次的に重要である。
【0011】
本発明の意味の範囲内で、タンポンは、主に身体の開口部又は創傷に導入されるのに役立つ実質的に長尺な物体を形成するためにプレスされる任意のタイプの綿棒であると理解され得る。
【0012】
形成は、本発明の意味の範囲内で、帯形状材料から正にそのようなタンポン、特に、実質的に頭部で狭くなるとともに長尺な本体を有するヘッド形状を有するタンポンを形成するために必要なステップを含む。そのようなタンポンは、一般に、生理中の衛生用品として女性により使用される。しかしながら、他の目的のために提供されるタンポンは、本発明に係る装置を使用して同等にうまく製造され得る。したがって、手術で使用するための肛門タンポン又は止血タンポンを僅かな適合を伴うことなく又は伴って本発明に係る装置により製造することも可能である。そのようなタンポンは、例えば、狭くなるヘッドを伴うことなく設計され得る。
【0013】
本発明に係る装置の下流側には、更なる加工ステップ、例えば、タンポンをフィルム又はアプリケータに包装するステップが存在してもよい。1つの特定の実施形態において、タンポンのフィルム又はアプリケータへの包装は、本発明に係る構成要素によって、例えば加工ドラムによって実行され得る。更なる特定の実施形態では、包装のために包装ドラムが設けられる。
【0014】
例えば、カナダ特許第2085923号は、本発明の装置に適した帯形状材料を調製することができる方法を示す。
【0015】
本発明の意味の範囲内で、加工ドラムは、中心軸線を中心に回転できるように装着されてタンポン形成における特定の形成ステップのために放射状に配置される加工工具を有するドラムであると理解され得る。加工ドラムを直接に駆動させることができ、特に、各加工ドラムを個別に直接に駆動せることができる。
【0016】
本発明の意味の範囲内で、移送ステーションは、加工ドラム間に位置させることができるとともにワークピースの連続移送のために放射状に周方向に配置される受け入れグリッパを有するステーションであると理解され得る。この目的のために、周方向に配置される受け入れグリッパを有する、特にベルトの外周の輪郭に沿って複数の受け入れグリッパを備える、例えばエンドレスベルト又はチェーン、特にチェーンベルトを設けることができる。そのような移送ステーションを使用すると、ワークピースを一定の連続した態様で移送することができる。
【0017】
1つの特定の実施形態において、移送ステーションは、移送ホイールの回転軸線を中心とする回転時に実質的に円形の半径を描く放射状に周方向に配置される受け入れグリッパを有する移送ホイールである。
【0018】
1つの特定の実施形態において、本発明に係る装置は、少なくとも1つの第1及び少なくとも1つの第2の加工ドラムを備える。第1の加工ドラムは、供給される帯形状材料をコイルに巻回するように設計され得る。前記コイルを圧縮するために第2の加工ドラムを設けることができる。
【0019】
本発明の意味の範囲内で、プリフォームという用語は、少なくとも1つの加工ステップを受けてしまったタンポンの前駆製品のために使用される。したがって、本発明の意味の範囲内で、巻回された帯形状材料を第1のプリフォームであると見なすことができる。このコイル又はプリフォームがプレスされる場合、結果として得られる製品が既にタンポンとなることができ、或いは、それが更なるステップにより加工されれば、それが第2のプリフォームになることができ、第2のプリフォームは、タンポン或いは更には場合により第3のプリフォームを形成するために更に加工され得る。したがって、例えば、圧縮後に、プリフォームに対して実行される更なる品質向上加工ステップをもたらすことができる。
【0020】
1つの特定の実施形態において、本発明は、第2のプリフォームのヘッド形成及び/又は平滑化を実行する第3の加工ドラムを備える。
【0021】
更なる特定の実施形態において、本発明に係る装置は、タンポンヘッド又はタンポン表面を滑らかにするように設計される第4の加工ドラムを備える。
【0022】
1つの特定の実施形態において、加工ドラムは、各加工ステップがプリフォームにより特定の順序で通過されるように生産ライン上に連続的に配置される。特に好ましくは、隣り合う加工ドラムのそれぞれの対間に、それぞれの移送ステーションが配置され、該移送ステーションは、加工ドラム間でプリフォームを移送することに関与する。
【0023】
移送ステーションは、第1の加工ドラムから第2の加工ドラムへのプリフォームの移送が連続的であるように本発明に係る装置内に配置される。好ましくは、移送ステーションは移送ホイールである。
【0024】
タンポンを製造して形成するための以前の方法及び装置は、加工ホイール間の少なくとも1つの移送が断続的に動作する移送ユニットを介して行なわれるため、全体的に不連続に進行する。本発明に係る装置を用いると、連続的で終わりのない方法で毎分大量のピース数のタンポンを製造することができる。
【0025】
移送は移送ホイールを介して行なわれるため、さもなければストップアンドゴー方式で動作する構成要素に生じる摩耗が少なければ、メンテナンス要件も軽減される。機械動作が全体的にスムーズになり、摩耗が減少される。
【0026】
本発明に係る装置の更なる利点は、連続的に進行するプロセスが拡張可能であるという点である。したがって、例えば、加工ドラム上の工具の数を増やすことが可能であり、その結果、製造プラントにおけるスペースの使用を最適化することが可能である。加工ドラムごとの工具数が多い製造プラントはより大型化するようになり得るが、スペース要件の増大は、幾つかの生産ラインが平行にセットアップされる場合よりも少なくなる。拡張可能性により、顧客要件に合わせて調整されて加工ドラムごとに所望数の加工工具を有する生産ラインを開発できる。同時に、ワークピースに関する加工持続時間を個々の加工工具に関して一定に保つことができる。2つの隣り合う加工ドラム間の数及び/又は加工速度の違いは、連続的に動作する移送ステーション又は移送ホイールによって補償され得る。
【0027】
特定の用途に関し、ピース数を想定し得る最大の排出数よりも少なくすることが適切な場合がある。これは、例えば、装置の制御プロセス又は較正プロセスにおいて有用となり得るが、対応する後加工機械を受け入れるためにも有用となり得る。これも、連続的に作動する移送ホイールの無段階の拡張可能性によって可能にされ得る。したがって、本発明に係る装置の結果として、想定し得る高い加工速度及びピース数にもかかわらず、個々の加工ステップに関してより多くの時間が残存し得る。したがって、例えば、ワークピースは、加工ドラム上での滞留時間の全体にわたって工具内に留まることが可能であり、同時に搬送方向に移送される。加工ドラムごとに複数の工具を使用することで、ピース数をより多くすることができ、同時に、ワークピースごとの加工時間を短縮しないで済む。したがって、例えば、プレス用に構成される加工ドラムは、複数の加工工具、すなわち、プレス、好ましくは6つのプレスを有することができ、各プレスは、移送ホイールからワークピースを受けてから更なる移送ホイールに移送するまでの期間にわたってワークピースを加工できる。その間、径方向で次のローラが次のワークピースを受け取る。
【0028】
1つの特定の実施形態において、加工ドラムは、少なくとも2つの放射状に配置される加工工具を備える。好ましくは、加工工具は、動作中に生じる遠心力が加工ドラムの外半径で釣り合わされるように配置され、すなわち、加工工具は、中心回転軸線の周りで互いに対称に配置される。
【0029】
1つの特定の実施形態において、加工ドラムは、6~24個の間の加工工具を備える。
【0030】
本発明の更なる利点がここに開示される。それにもかかわらず、無段階で作動できるとともに連続して作動する移送ホイールの結果として、異なる数の加工工具を伴う2つの加工ドラム間でワークピースの連続供給を可能にすることができる。
【0031】
1つの特定の実施形態では、本発明に係る装置の各移送ホイールが別々に制御可能である。
【0032】
1つの特定の実施形態において、加工ドラムは、それらがドラム軸線の周りで回転する間にそれらがワークピース又はプリフォームを加工してワークピース又はプリフォームを装置の搬送方向に運ぶように構成される。言い換えると、加工ドラムによる加工を好ましくは連続的となるように構成することもできる。
【0033】
1つの特定の実施形態では、移送ホイールが複数の受け入れグリッパを備える。これらの受け入れグリッパは、加工ドラムのうちの少なくとも1つの回転半径で移送領域に関与するように設計される。動作中、加工ドラムはそれらのドラム軸線を中心に回転し、それにより、加工工具が加工ドラム上に配置される外側半径が形成される。好ましくは、本装置において、加工ドラム及び移送ホイールは、移送領域が生じるように互いに対して配置される。この移送領域から、移送ホイールは、加工ドラムによって完全に加工された対応するプリフォーム又はワークピースを拾い上げてそれを次の加工ドラムに移送することができる。
【0034】
1つの特定の実施形態では、移送ホイールが少なくとも1つのガイドカーブを備える。このガイドカーブは、第1の加工ドラムに対する移送ホイールの回転中に受け入れグリッパの受け入れネストが加工ドラムの加工工具と実質的に同軸である移送領域が画定されるように受け入れグリッパを径方向移動で案内することができる。
【0035】
本発明の意味の範囲内で、受け入れネスト及び加工工具は、それらがそれらの長手方向軸線に関して同軸に配置されるときに互いに同軸である。この長手方向軸線は、加工工具内又は受け入れネスト内のワークピースの長手方向軸線にも対応し得る。
【0036】
本発明の1つの特定の実施形態では、移送ホイールが放射状に配置される受け入れグリッパを有する。これらの受け入れグリッパは、タンポン又はプリフォームを受けるための受け入れネストを備える。また、受け入れグリッパは、受け入れネストが配置されるガイドロッドも備える。更に、本発明に係る受け入れグリッパはガイドブシュを備え、該ガイドブシュによりガイドロッドがその長手方向軸線に沿って移動できるように装着される。このガイドブシュを回転可能なハブに締結できる。
【0037】
1つの特定の実施形態において、ガイドブシュは、回転軸線を中心に回動できるように回転可能なハブに装着される。例えば、ガイドブシュは、ラジアルベアリングによってハブに対して回動可能な態様で装着され得る。好ましくは、この回転軸線は、移送ホイールの回転軸線に平行であり、すなわち、ガイドロッドの長手方向軸線に対して直角に具現化される。この配置の1つの利点は、受け入れグリッパに関して、その接線速度をそれらのガイドカーブに沿って修正できるという点である。
【0038】
ガイドブシュのベアリングに沿うガイドロッドの長手方向移動に加えて、受け入れグリッパ全体が回転軸線を中心に回動可能である。これは、更なる自由度を可能にするとともに、受け入れネストの回転速度を移送領域内の加工ドラムの工具の回転速度に適合させることができるようにする。受け入れネストは、移送領域内において一定でない速度でガイドカーブに沿って移動できる。
【0039】
1つの特定の実施形態において、ガイドロッドは、第1のガイドカーブに対する動作可能な接続のための第1の係合手段も備える。動作時、ハブの回転中、移送ホイールは、個々の受け入れグリッパのためのガイド要素として作用する、第1の強固に配置されるガイドカーブと平行に回転される。受け入れグリッパは、ペグ又はカムの形態を成す係合手段によってガイドカーブに動作可能に接続され得る。したがって、受け入れグリッパは、移送ホイールの回転軸線を中心に回転移動するだけでなく、この移動中に、ガイドカーブによって規定される曲線に沿って移動する。結果として、加工ドラムへの移送領域において、加工ドラムに係合して加工ドラムの工具と同軸位置に移行することができ、この場合、特定の時間にわたって、実質的に同一の回転速度が存在し、それにより、ワークピースを工具から受け入れグリッパの受け入れネストへ移送することができる。
【0040】
1つの特定の実施形態において、受け入れグリッパは、第2のガイドカーブへの動作可能な接続のための第2の係合手段を備える。ハブの回転中、移送ホイールは、ガイドブシュのためのガイド要素として作用する、第2の強固に配置されるガイドカーブと平行に回転される。
【0041】
受け入れグリッパは、受け入れネストが少なくとも2つの自由度を有するように構成されることが好ましい。第1の自由度は、ガイドロッドをその長手方向軸線でガイドブシュに装着することによって達成される。更なる自由度は、ガイドブシュがハブに回転可能に装着されることによって達成される。
【0042】
1つの特定の実施形態において、第1のガイドカーブ及び第2のガイドカーブは、互いに平行に配置され、特に2つの平行なガイドディスクのスロットとして配置される。スロットは、異なる曲線経路をたどることができる。ガイドカーブを伴う2つの平行なガイドディスク間で、受け入れグリッパがハブに回転可能に装着される態様で配置される。受け入れグリッパは、第1のガイドカーブに動作可能に接続するための第1のカムと、第2のガイドカーブに動作可能に接続するための第2のカムとを有する。この実施形態では、カムが受け入れグリッパ上に互いに対向して配置されるが、好ましくは同心的に配置されない。
【0043】
この配置の結果として、受け入れグリッパは、少なくともしばらくの間にわたって移送領域内で受け入れグリッパが加工ドラムの放射状に配置される工具と同じ回転速度を有するように曲線に沿うその径方向移動が案内される。
【0044】
1つの特定の実施形態では、移送ホイールがドラムとして構成され、この場合、受け入れグリッパは、2つの硬質なガイドディスク間に回転可能に配置されるハブ上に配置される。
【0045】
1つの特定の実施形態において、加工ドラムは、加工ドラムと平行に配置されるとともに関連する加工ドラムと同じ軸線を中心に回転できるように配置される排出ドラムを備える。
【0046】
1つの特定の実施形態において、排出ドラムは、それらが関連する加工ドラムの加工工具と平行に配置されるように排出ドラムの半径で配置される複数の排出プッシュロッドを備える。
【0047】
更に好ましい実施形態において、排出プッシュロッドは、それらが工具と実質的に同軸に延びるように排出ドラム上に配置される。この実施形態では、加工ドラムから移送ホイールへの移送中又はその逆への移送中に、排出ドラムの排出プッシュロッド、関連する加工ドラムの工具、及び、移送ホイールの受け入れネストの同軸配置が移送領域内で生じる。
【0048】
更なる特定の実施形態では、排出ドラムが三次元ガイド要素を備え、三次元ガイド要素に沿って排出プッシュロッドが案内される。ガイド要素は、移送ホイールの受け入れネストと同軸に配置されるときに排出プッシュロッドが排出ドラムと加工ドラムとの間の中間空間内で作用するように配置され得る。このようにして、例えば、移送ホイールから対応する加工工具へのワークピース又はプリフォームの移送を確保することができる。
【0049】
1つの特定の実施形態において、ガイドカーブは、移送ホイールの回転軸線を中心とする受け入れグリッパの移動中にガイドロッドがガイドブシュに沿って長手方向に移動されるように受け入れグリッパのペグ又はピンが係合できるスロットの形態を成す。
【0050】
ガイドカーブに代わる手段として、受け入れグリッパを作動可能な態様で具現化することもできる。この場合、電気式、空気圧式、又は、油圧式のアクチュエータは、移送ホイールに対するガイドロッドの径方向での移動を可能にする。移送グリッパの回動動作を可能にするために対応する更なるアクチュエータを設けることができる。
【0051】
更なる別の実施形態では、受け入れグリッパを弾性的な態様で装着することもできる。この変形の1つの特定の実施形態において、加工ドラムは、少なくともその半径の移送領域で受け入れグリッパとの動作可能な接続に入るための手段を備える。したがって、加工ドラム上に例えばフックを設けることが可能であり、フックは、受け入れグリッパの対応するアイとの動作可能な接続に入る。この接触は、例えば排出プッシュロッドにより、ワークピース移送の持続時間にわたって維持され得る。フック及びアイに対する代替物又は補足物は、電気的にオンとオフとを切り換えることができる磁性キャリア又は空気を引き込むことによって動作されるキャリアである。本発明の意味の範囲内では、受け入れネストに径方向で復元力を及ぼすことができるようにばねが配置されるという点において受け入れグリッパを弾性的な態様で装着することができる。
【0052】
1つの特定の実施形態において、排出ドラムは、排出プッシュロッドの位置に、加工ドラムの工具の方向で空気流を維持する吸引装置を更に備える。これは、加工領域でタンポンの引き出し糸を制御するのに役立ち、それにより、タンポン糸のもつれが防止される。この目的のために、受け入れネストには受け入れスロットを設けることもでき、これにより、受け入れネストが受け入れ領域に係合する際に排出ドラムの対応する吸引要素によって移送領域に水平に突出する引き出し糸と接触しないようにすることができる。移送中に引き出し糸が絡まるのを防止するために、具体的にはそれぞれの受け入れネストごとに対応する態様で、対応する吸引要素を移送ホイール上に設けることもできる。
【0053】
1つの特定の実施形態では、第1の加工ドラムが巻回ドラムである。好ましくは、巻回ドラムは6~24個、特に好ましくは12個の工具を有する。
【0054】
1つの特定の実施形態において、この場合、第2の加工ドラムは、複数のタンポンプレス、好ましくは2~12個のタンポンプレス、特に好ましくは6個のタンポンプレスを有する加工ドラムである。複数のプレスジョーを介して径方向でコイルに圧力を及ぼすことにより前記コイルを圧縮してタンポンを形成するように設計されるタンポンプレスが従来技術で知られている。
【0055】
1つの特定の実施形態において、帯形状材料、プリフォーム、又は、タンポンと物理的に接触している全ての構成要素は、帯電防止コーティングを有する又は実質的に帯電防止材料からなる。
【0056】
1つの特定の実施形態において、装置は、移送ステーション、特に移送ホイール及び加工ドラムのための駆動装置を備える。
【0057】
本発明の更なる態様は、帯形状材料からタンポンを形成するための方法に関する。第1のステップでは、帯形状の材料が用意される。この場合、冒頭で概説したように、帯形状材料は、既に前加工されてしまっていてもよく、一般的な場合には、不織りの吸収性綿布から形成される積層体である。帯形状材料は、複数の回転加工ドラムを介して段階的に形成される。好ましくは、これらは連続的に回転する加工ドラムである。このプロセスにおいて、第1の加工ドラムから第2の加工ドラムへの移送は、移送ステーションによって、特に移送ホイールによって連続的に行なわれる。
【0058】
本発明に係る方法の結果として、タンポンを形成するための装置のピース数出力は、個々のワークピースの加工時間から分離される。想定し得る多いピース数にもかかわらず、個々のワークピースの加工時間中に損失を受け入れる必要がない。これにより、高出力と同時に非常に高品質の生産が可能になる。
【0059】
本発明に係る方法の1つの特定の実施形態において、帯形状材料の段階的形成は、巻回ステップ、プレスステップ、並びに、ヘッド成形及び/又は平滑化ステップを含む。この場合、各ステップは、連続的に回転する特定の加工ドラムで行なわれる。
【0060】
1つの特定の実施形態において、加工ドラムは、各段階的形成ステップにおいてワークピース又はプリフォームを搬送方向で前方に移動させる。
【0061】
1つの特定の実施形態では、第1の加工ドラムから第2の加工ドラムへの移送中に、移送ステーション又は移送ホイールが、第1の加工ドラムの移送領域受け入れグリッパによって関与するステップを実行し、それにより、受け入れグリッパの受け入れネストが少なくともしばらくの間にわたって工具と同軸配置状態で配置される。排出ドラムが、特に排出プッシュロッドを工具又は受け入れネストの長手方向に移動させることにより、ワークピースを工具から受け入れネストへ又は受け入れネストから工具へ排出するステップを実行する。
【0062】
本発明の意味の範囲内で、工具、受け入れネスト、及び、排出プッシュロッドの同軸配置は、常に、対応する要素の長手方向の範囲に関して意味する。これは、本発明に係る方法を使用して製造されるタンポン又は本発明に係る装置を用いて形成されるタンポンの長手方向範囲にも対応する。
【0063】
1つの特定の実施形態では、第2のステップにおいて、排出プッシュロッドが、対応する加工ドラムと平行に回転する排出ドラム上に配置され、それにより、排出プッシュロッドがそれぞれ対応する工具に割り当てられる。
【0064】
本発明に係る方法の更なる特定の実施形態において、移送ホイールの受け入れグリッパは、移送ホイールの回転中に、加工ドラムと受け入れネストとの間の移送領域内で同じ速度が存在するように、ガイドカーブ上にわたって案内される。好ましくは、この同じ速度は、加工ドラムの工具に対するものである。
【0065】
当業者にとって、相互に排他的でない本発明の全ての実施形態を任意の所望の組み合わせで構成できることは言うまでもない。
【0066】
ここで、以下の本文では、特定の典型的な実施形態及び概略図に関連して本発明を更に詳しく説明するが、これらの特定の実施形態に限定されない。
【0067】
簡単にするために、本図では、同一の構成要素に同じ参照記号が与えられる。
【0068】
図においては、いずれの場合にも概略的である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】全体で4つの加工ドラムを伴う本発明に係る装置の一実施形態を示す。
図2a】移送ホイールを示す。
図2b】引き込み状態にある受け入れグリッパを示す。
図2c】伸長状態にある受け入れグリッパを示す。
図2d図2cからの受け入れグリッパを側面図で示す。
図3a】2つの加工ドラムとこれらの加工ドラム間に配置される移送ホイールとを伴う本発明に係る装置の基本的な形態を示す。
図3b】移送領域を概略的に示す。
図4】加工ドラムの回転軸線を通る断面における移送ホイールの係合を概略的に示す。
図5】本発明に係る移送ホイールの半径の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、合計で4つの加工ドラム2,4,5.1,5.2を伴う本発明に係る装置1を概略的に示す。この例は4つのドラム2,4,5.1,5.2を伴って示されるが、装置は2つのドラム2,4でも既に機能している。加工ドラム2,4,5.1,5.2は、連続して配置され、それぞれがタンポンの形成において加工ステップを実行する。
【0071】
第1の加工ドラム2は、巻回ステーションとしての機能を果たす。帯形状材料は、第1の加工ドラム2に導入され、その後、コイル及び第1のプリフォームを形成するべく第1の加工ドラム2によって巻回される。帯形状材料を巻回するために、第1の加工ドラム2は、帯形状材料を受け取ってそれをそれらのそれぞれの回転軸線周りでの回転動作によってコイルに巻き取る一組のフォークを備えることができる。帯形状材料は、冒頭で概説したように、不織りの吸収性のある綿布から形成される積層体であり得る。この場合、吸収性綿布は任意のセルロース繊維材料に由来することができるが、ビスコースから形成されることが好ましい。或いは、綿布又は麻の繊維も考えられる。不織布は、好ましくは熱可塑性コポリマーを含む。
【0072】
装置1は搬送方向を有する。この例に関して、搬送方向は図1の左から右である。動作中、ワークピースはこの搬送方向に移動する。
【0073】
図示されない上流側の加工ステーションは、対応する積層体を製造して、既に正しいサイズにカットされた帯形状材料を第1の加工ドラム2に導入できる。
【0074】
第1の加工ドラム2の後に第1の移送ホイール7が続く。この移送ホイールは、第1の加工ドラム2からコイルを受け取って、それを第2の加工ドラム4に移送する。この例において、第1の加工ドラム2は、水平回転軸線を中心に時計回りに回転するように設けられる。工具、特に巻線フォークは放射状に配置される。移送ホイール7は、それが同様に水平に延びる回転軸線を中心に反時計回り方向に回転するように構成される。
【0075】
後続の第2の加工ドラム4は、コイル及びプリフォームを圧縮して第2のプリフォームを形成するためのドラムである。
【0076】
第2の加工ドラムは複数のプレス工具を備える。プレス工具は、放射状に配置されるプレスジョーであり得る。しかしながら、全体として、プレス工具の数は、第1の加工ドラムの巻回工具の数よりも少ない。移送ホイールは、2つの加工ドラム2,4,5.1,5.2間の異なる速度を補償できる。これは、例えば、以下に詳細に示されるように、移送ホイールが対応するガイドを備えるという点で確保され得る。
【0077】
第2の加工ドラム4の後には、第3及び第4の加工ドラム5.1,5.2が続く。本発明に係る装置1は、2つのヘッド形成/平滑化ドラム5.1,5.2を有する。これらのドラムもそれぞれ、対応する加工ドラム5.1に供給する先行する加工ドラム4に対して移送ホイール7により接続される。同様に、ヘッド形成ドラム5.1から平滑化ドラム5.2への移送は、移送ホイール7を介して行なわれる。
【0078】
移送ホイール7は、それらの中心回転軸線の周りで連続的に回転できるように構成される。この例では、回転軸線が水平に向けられて図1の破線十字により示される。この典型的な実施形態では、動作中、移送ホイールが反時計回りに回転し、一方、加工ドラム2,4,5.1,5.2は時計回りに回転する。勿論、逆の構造も可能である。
【0079】
配置全体を機械フレーム(図示せず)に装着することができる。或いは、作業台又は作業室における装着も考えられる。上流側及び下流側の加工を伴う完全に自動化された生産ラインへの組み込みも考えられる。
【0080】
図2aは、本発明に係る移送ホイール7を詳細図で概略的に示す。移送ホイール7は、一例として、2つの加工ドラム間で示される。移送ホイール7は、水平に向けられる中心回転軸線R2の周りで回転できるように装着される。この場合、ハブ16が中心回転軸線R2の周りで回転する。ハブ16には、ガイドブシュに装着される径方向に移動可能なガイドロッド13を有する受け入れグリッパ12が接続される。ガイドロッド15は、ワークピース、この場合にはプリフォーム又はコイルを受けるようになっている受け入れネスト11で終端する。
【0081】
図から明らかなように、加工ドラムは、移送ホイール7が2つの加工ドラム2,4間で作用できるように、それらの回転軸線に沿って互いに対してオフセットした態様で配置される。
【0082】
移送ホイールの半径で加工ドラムの異なる速度を補償するために、ハブ16に対して強固に配置される第1のガイドカーブ10.1が図2aにおいて明らかである。
【0083】
受け入れグリッパ12は、それらが第1のガイドカーブ10.1に動作可能に接続されるように構成されるとともに、移送ホイール7の回転中に、ガイドロッド13が移送ホイールの回転軸線周りの径方向回転に加えて(ヘッド端部としての受け入れネストに関して)側方回動動作とガイドカーブによって規定されるクレイニアル移動とを行なうことができるように曲線プロファイルをたどる。受け入れグリッパ12は、ガイド部材のように、この第1のガイドカーブ10.1によって案内される。
【0084】
本発明に係る例における受け入れグリッパ12の動作の態様を更に説明するために、そのような受け入れグリッパ12の1つも図2b、図2c、及び、図2dにそれ自体で概略的に示される。
【0085】
受け入れグリッパ12はガイド付きガイドロッド13を備え、ガイド付きガイドロッド13は、リニアベアリングを有するガイドブシュ14によってそれらの長手方向軸線に沿って移動できるように装着される。
【0086】
図2aに係るガイドカーブのガイドスロットに係合するために、第1のカム15がガイドロッド13に形成される。図2b及び図2cにおける例図では、この第1のカム15が観察者から離れる方向を向く紙面内で延在する。
【0087】
この例では、受け入れグリッパ12がハブ16の回転軸線R3を中心に回転可能に装着される。これは、ラジアルベアリングによってもたらされ得る。この例では、ラジアルベアリングがハブによって形成されて回転軸線R3でペグによりガイドブシュに動作可能に接続される。
【0088】
ヘッド側では、ガイドロッド13が受け入れネスト11で終端し、受け入れネスト11は、ワークピースを受ける役目を果たすルーメンを描く。側方の切り欠きが、位置決め中に、回収糸に触れないようにするのに役立ち、回収糸は移送中に移送領域内へ水平に突出する。
【0089】
図2cは、ガイドブシュ14のリニアベアリングによって可能にされるような、受け入れグリッパ12の長手方向軸線に沿う装着されたガイドロッド13の移動を示す。
【0090】
ガイドブシュ14は、観察者の方を向く紙面上に第2のカム9を有する。この第2のカム9は、第2のガイドカーブ(これは図2aには示されていない)に動作可能に接続され得る。この第2ガイドカーブは、ガイドブシュ14をカーブに沿って案内するためのガイド部材としての機能を果たす。結果として、受け入れネスト11は、移送ホイール7の回転中に2自由度で移動できる、すなわち、長手方向における長手方向移動と回転軸線R3周りの回転とを行なうことができる。2つのカム9,15が互いに対してオフセットして配置されるため、2つのガイドカーブによる案内は、それらの曲線上での受け入れグリッパの径方向移動をサポートする。
【0091】
図2dは、この場合も先と同様に、90度にわたって回転された図2cからの受け入れグリッパ12を側面図で示す。この場合、ガイドロッド13は、(移送ホイールの回転軸線R2に関して、図2dには示されない)径方向に僅かに移動されてしまっている。ガイドブシュはカム9を有する。ガイドロッドはカム15を有する。受け入れネスト11では、平面図において、側方切り欠きが識別できる。
【0092】
図3aは、移送ホイール7を2つの加工ドラムと共により良く示すための配置を示す。第1の加工ドラムは、加工工具により第1の半径20を描き、一方、第2の加工ドラム4は、その工具により第2の半径23を描く。この場合、これらの半径は、工具内のワークピースの対応する位置に関連する。第2の加工ドラム4は、加工ドラム4の回転軸線を中心に放射状に配置される複数のタンポンプレス25,30を有する加工ドラム4である。
【0093】
加工ドラム2,4の回転軸線は、中心十字によって概略的に示される。これらの軸線に沿って、回転シャフトを回転ベアリングにより回転駆動装置(これは図示せず)に接続でき、この場合、個々の加工ドラムの直接的な駆動又は個々の駆動装置がベルトシステムを介して両方のドラムを駆動できる。
【0094】
プレス工具25,30は、放射状に配置される複数のプレス工具、特にプレスジョーを備え、プレスジョーは、それらの中心に配置されるプリフォームを圧縮する。この例では、不均衡を回避するために、回転軸線を中心に回転対称に配置される6つのプレス工具25,30が形成される。
【0095】
この例において、プレス工具25,30は、それらがワークピースを次の加工ドラム又は除去ユニットに移送するまでワークピースを受けるときから圧縮ステップを実行するように較正される。結果として、ワークピース、すなわち、プリフォームが搬送方向に移動されている間のある期間にわたって圧縮ステップを実行することができる。同時に、他のプレス工具が後続の最初のプリフォームを受けるのに備える。
【0096】
個々のプリフォームのための圧縮中に加工時間の損失を伴うことなく加工が継続的に進むことができ、それにより、良好な加工品質を実現できる。
【0097】
同様に、移送ホイール7は、水平な回転軸線を中心に回転できるように装着されるとともに、2つの加工ドラム間に配置される。移送ホイール7は全部で12個の受け入れグリッパ12を有し、これらの受け入れグリッパ12は、放射状に配置されるとともに、同様にそれらの受け入れネスト11と共に有効半径21を規定する。動作中、移送ホイール7の有効半径21と第1の加工ドラムの有効半径20との間に移送領域18が形成される。この移送領域18内の加工ドラムの半径20に対する接線で、第1の加工ドラムから移送ホイール7へのワークピースの移送が行なわれる。
【0098】
第2の加工ドラム4におけるより少ない数の工具に対応する態様で、移送ホイール7と第2の加工ドラム4との間の移送領域19が異なって設計される。
【0099】
対応する湾曲ガイド(図3には示されない)によって、受け入れグリッパは、移送ホイールのその径方向の移動中に対応する移送領域18,19を最適にカバーすることができる。
【0100】
したがって、例えばガイドカーブを用いて、移送を行なうことができる特定の時間窓の間にわたって受け入れグリッパ12と加工工具との間の同一の回転速度を確保することができる。
【0101】
この概念は、図3bに一例としてもう一度概略的に示される。左側には、加工ドラムの回転軸線R1を中心とする第1の回転半径が示される。この半径は、移送ホイールの回転軸線R2を中心とする第2の回転半径と重なり合う。結果として、加工ドラムの工具がそれらの回転半径をたどり続ける移送領域18が生じるが、移送ホイールの回転半径は、回転曲線44から逸脱する曲線43をたどる。
【0102】
これは、前述したように、受け入れグリッパの自由度とガイドカーブに沿う案内とによって可能にされる。したがって、受け入れグリッパの第1の曲線半径41.1は、加工ドラムの回転半径に動的に適合され、また、ワークピースは、加工ドラムの回転半径に対する接線において第2の曲線半径41.2で移送される。
【0103】
図4は、関連する排出ドラム32,34,35.1,35.2を有する任意の所望の加工ドラム2,4,5.1,5.2の例を使用して移送をより詳細に示し、関連する排出ドラム32,34,35.1,35.2は、同じ回転軸線R1を中心に回転できるように装着される。
【0104】
加工ドラム2,4,5.1,5.2が断面で示され、この場合、2つの工具39がいずれの場合にも径方向で対向する囲繞半径で概略的に示される。これらの工具39は、ワークピース又はプリフォームを受ける役目を果たす。また、工具39は、特定の加工ステップにも関与できる。したがって、加工ステーションの工具は、例えば、巻回工具として、プレス工具として、又は、ヘッド形成/平滑化工具として構成され得る。
【0105】
排出ドラム32,34,35.1,35.2に関して、加工ドラム2,4,5.1,5.2は、加工ドラムと排出ドラムとの間に、特に排出プッシュロッド37と工具39との間に同軸に配置される移送領域に移送ホイールの受け入れグリッパが関与できる隙間を画定する。加工ドラム2,4,5.1,5.2は、一例として、関連する排出ドラム32,34,35.1,35.2と共に図4に示される。実際には、本発明に係る装置の特定の形態において、加工ドラム2,4,5.1,5.2は、例えば、工具の数、回転速度、幾何学的形態に関して加工ドラム2,4,5.1,5.2の構造的及び機能的な特性に適合される恒久的に関連付けられる排出ドラム32,34,35.1,35.2を有することができる。したがって、例えば、プリフォームを圧縮するために設けられるとともに全部で6つの工具、すなわち、プレス工具を有する第2の加工ドラム4が、6つの排出プッシュロッド37とこれらの排出プッシュロッドを案内するための対応するガイド要素とを有する対応して設計される排出ドラム34を有することができる。
【0106】
移送中、受け入れネスト11は、受け入れネスト11によって画定される受け入れチャンバが排出プッシュロッド37と同軸であるようにこの中間空間内に配置される。この排出プッシュロッド37は、それが移送領域内で受け入れネスト11の同軸配置と同期して移送領域内に突出するように排出ドラム32,34,35.1,35.2上で三次元的に案内されることができ、それにより、排出プッシュロッドは、受け入れネストから工具39へ矢印方向でワークピースを移送する。
【0107】
移送時に移送ホイールと加工ドラム又は排出ドラムとの間の速度を等しくするために、移送ホイールにはカム9,15が設けられ、これらのカムはそれぞれガイドカーブ10.1,10.2の対応するスロット内で作用し、それにより、移動可能に装着されたガイドロッド13は曲線の移動プロファイルをたどる。この場合、ガイドロッド13は、ハブ16を介して回転軸線R2を中心に回転できるように装着される。この例では、ガイドカーブ10.1,10.2は、互いに対向して平行に配置される2つのガイドディスク45.1,45.2上のスロットとして形成される。ガイドディスク45.1,45.2はハブ16に対して固定されている。したがって、ガイドカーブ10.1,10.2は、受け入れグリッパの曲線移動を制御するガイド要素を形成する。受け入れグリッパは、更に、それらが紙面に対して垂直な回動動作を実行できるようにハブ16上に回転可能な態様で装着される。
【0108】
図5は、装着された受け入れグリッパを伴う移送ホイールの構造を詳細図で概略的に示す。2つのガイドディスク45.1,45.2は、それらが互いに向かい合う前面を有するように、平行に配置される。それぞれの前面で、ガイドカーブ10.1,10.2がスロットとして構成される。受け入れグリッパの係合手段9,15は、いずれの場合にもガイドカーブ10.1,10.2のスロット係合し、この場合、受け入れグリッパは、ガイドディスク45.1,45.2間の中間空間への視界を妨げないようにするべくこの例図では受け入れネストを受けることなく示される。
【0109】
ガイドブシュ14は、ガイド要素と同様に移送ホイールの回転軸線R2を中心とする回転動作中にガイドブシュ14上で案内されるように、係合手段としての第2のカム9を介して遠隔の第2のガイドカーブ10.2に動作可能に接続される。ガイドブシュ14は、更に、ハブ16とラジアルベアリングを介して回動可能な態様で装着される。ハブ16は、この場合、ガイドブシュ14に動作可能に接続するために径方向に配置されるベアリングを有する移送ホイールとして構成される。
【0110】
ガイドブシュ14を介してガイドロッド13が直線的な態様で装着される。ガイドロッド13はカム15を有し、カム15は、スロットとして構成される第1のガイドカーブ10.1内へ同様の態様で延びて、第1のガイドカーブとの案内動作接続に入る。
【0111】
ガイドカーブ10.1,10.2のスロットとの摩擦を最小限に抑えるためにロータをカム9,15に取り付けることができる。
【0112】
本発明は、既知のシステムと比較して多くの利点を有する、連続的で拡張可能なタンポン形成を可能にする装置を提供する。一般的な説明からの更なる特徴で補足され得る更なる有利な実施形態は、これらの特定の典型的な実施形態から当業者に明らかになる。
図1
図2a
図2b-2c】
図2d
図3a
図3b
図4
図5