(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】開閉体装置及び開閉体装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/68 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
E06B9/68 A
(21)【出願番号】P 2021080008
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大助
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-150097(JP,A)
【文献】特開2005-120597(JP,A)
【文献】特開2008-088761(JP,A)
【文献】特開2014-055450(JP,A)
【文献】特開2017-110409(JP,A)
【文献】特開2020-169519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00,9/02,9/06-9/18,
9/40-9/50,9/56-9/92
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、
商用電源に基づく電力を前記制御手段へ供給する電源供給装置と、
前記開閉手段の動作を手動で非常停止させるための非常停止スイッチと、
前記開閉手段が予め定めた上限位置を通過して上昇したとき、または予め定めた下限位置を通過して下降したときに、前記開閉手段の動作を自動で緊急停止させるための緊急停止スイッチと、
前記開閉手段の下降速度が所定値を超えたときに、前記開閉手段の下降を自動で停止させる急降下停止装置とを備えた開閉体装置であって、
前記電源供給装置から前記制御手段へ供給される電力を遮断する電源遮断手段と、
前記非常停止スイッチが操作され、あるいは、前記緊急停止スイッチ又は前記急降下停止装置が動作したとき、前記制御手段に対して、前記開閉手段の動作の停止を指示した後、前記電源遮断手段に対して、前記電源供給装置から前記制御手段へ供給される電力の遮断を指示する指示手段とを備えたことを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体装置において、前記指示手段は、前記非常停止スイッチ、前記緊急停止スイッチ、及び前記急降下停止装置をそれぞれ別々に介して、複数の確認信号を通電し、いずれかの確認信号が変化したとき、前記制御手段に対して、前記開閉手段の動作の停止を指示する停止信号を出力し、その後、前記開閉手段の動作の停止が開始されてから前記開閉手段が実際に停止するまでに要する時間よりも長い時間が経過した時、前記電源遮断手段に対して、前記電源供給装置から前記制御手段へ供給される電力の遮断を指示する遮断信号を出力する論理回路を有することを特徴とする開閉体装置。
【請求項3】
請求項1、又は2に記載の開閉体装置において、前記指示手段は、前記電源遮断手段に対して、電力の遮断の解除を手動で指示するための起動スイッチを有し、
前記電源遮断手段は、前記起動スイッチが操作されたとき、電力の遮断を解除することを特徴とする開閉体装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の開閉体装置において、前記指示手段は、前記非常停止スイッチと、前記制御手段に対して、前記開閉手段の開閉停の各動作を手動で指示するための操作スイッチとを一緒に並べて有し、
前記制御手段は、前記操作スイッチの操作に応じて、前記開閉手段の開閉停の各動作を制御することを特徴とする開閉体装置。
【請求項5】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、
商用電源に基づく電力を前記制御手段へ供給する電源供給装置と、
前記開閉手段の動作を手動で非常停止させるための非常停止スイッチと、
前記開閉手段が予め定めた上限位置を通過して上昇したとき、または予め定めた下限位置を通過して下降したときに、前記開閉手段の動作を自動で緊急停止させるための緊急停止スイッチと、
前記開閉手段の下降速度が所定値を超えたときに、前記開閉手段の下降を自動で停止させる急降下停止装置とを備えた開閉体装置の制御方法であって、
前記電源供給装置から前記制御手段へ供給される電力を遮断する電源遮断手段を設け、
前記非常停止スイッチが操作され、あるいは、前記緊急停止スイッチ又は前記急降下停止装置が動作したとき、前記制御手段により、前記開閉手段の動作を停止させた後、前記電源遮断手段により、前記電源供給装置から前記制御手段へ供給される電力を遮断することを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の開閉体装置の制御方法において、前記非常停止スイッチ、前記緊急停止スイッチ、及び前記急降下停止装置をそれぞれ別々に介して、複数の確認信号を通電し、いずれかの確認信号が変化したとき、前記制御手段に対して、前記開閉手段の動作の停止を指示する停止信号を出力し、その後、前記開閉手段の動作の停止が開始されてから前記開閉手段が実際に停止するまでに要する時間よりも長い時間が経過した時、前記電源遮断手段に対して、前記電源供給装置から前記制御手段へ供給される電力の遮断を指示する遮断信号を出力することを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項7】
請求項5、又は6に記載の開閉体装置の制御方法において、前記電源遮断手段に対して、電力の遮断の解除を手動で指示するための起動スイッチを設け、前記起動スイッチを操作して、前記電源遮断手段による電力の遮断を手動で解除することを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項8】
請求項5、6、又は7に記載の開閉体装置の制御方法において、前記非常停止スイッチと、前記制御手段に対して、前記開閉手段の開閉停の各動作を手動で指示するための操作スイッチとを一緒に並べて設け、
前記操作スイッチの操作に応じて、前記制御手段により、前記開閉手段の開閉停の各動作を制御することを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の開口部などをシャッターなどの開閉体を用いて仕切るように構成された開閉体装置及び開閉体装置の制御方法に係り、特に、手動の非常停止スイッチが操作され、あるいは、緊急停止スイッチ又は急降下停止装置が動作したときに、開閉体の誤動作を防止するのに好適な開閉体装置及び開閉体装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンなどのような開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部に設置され、その開閉体を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。この開閉体装置は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどの開閉体を、開口部の上部から繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖するように構成されている。このような開閉体装置は、開閉体の開閉動作を電動で行なう場合が多い。電動の開閉体装置としては、電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などがある。
【0003】
一般に、電動の開閉体装置は、建物などの構造物の開閉用空間部を昇降開閉するための開閉体を、構造物の天井裏またはシャッターケースに配置された開閉機(モータ等)によって昇降駆動するようになっている。そして、このような電動の開閉体装置には、安全上の配慮から、手動の非常停止スイッチの他に、開閉体が予め定めた上限位置を通過して上昇したとき、または予め定めた下限位置を通過して下降したときに、開閉体の動作を自動で緊急停止させるための緊急停止スイッチと、開閉体の下降速度が所定値を超えたときに、開閉体の下降を自動で停止させる急降下停止装置とが設けられている。
特許文献1には、緊急停止スイッチ(エマーゼンシスイッチ)を備えた開閉体制御システムが開示されている。また、特許文献2には、急降下停止装置を備えたシャッター装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-185355号公報
【文献】特開2013-104197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、手動の非常停止スイッチが操作され、あるいは、緊急停止スイッチ又は急降下停止装置が動作状態になっても、電動の開閉体装置の電源自体は有効に機能しているため、開閉体の動作を制御する制御装置内でリレーの接点の溶着やCPUの暴走などが発生すると、開閉体が誤動作して、開閉体の動作が停止されない可能性があった。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、非常停止スイッチが操作され、あるいは、緊急停止スイッチ又は急降下停止装置が動作したときに、開閉体の誤動作を防止して、安全性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開閉体装置の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉機を駆動して、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源に基づく電力を制御手段へ供給する電源供給装置と、開閉手段の動作を手動で非常停止させるための非常停止スイッチと、開閉手段が予め定めた上限位置を通過して上昇したとき、または予め定めた下限位置を通過して下降したときに、開閉手段の動作を自動で緊急停止させるための緊急停止スイッチと、開閉手段の下降速度が所定値を超えたときに、開閉手段の下降を自動で停止させる急降下停止装置とを備えた開閉体装置であって、電源供給装置から制御手段へ供給される電力を遮断する電源遮断手段と、非常停止スイッチが操作され、あるいは、緊急停止スイッチ又は急降下停止装置が動作したとき、制御手段に対して、開閉手段の動作の停止を指示した後、電源遮断手段に対して、電源供給装置から制御手段へ供給される電力の遮断を指示する指示手段とを備えたことにある。
【0008】
電源供給装置から制御手段へ供給される電力を遮断する電源遮断手段と、指示手段とを設け、非常停止スイッチが操作され、あるいは、緊急停止スイッチ又は急降下停止装置が動作したとき、指示手段により、制御手段に対して、開閉手段の動作の停止を指示した後、電源遮断手段に対して、電源供給装置から制御手段へ供給される電力の遮断を指示するので、開閉手段の動作の停止を指示した後に電源が遮断されて、開閉体の誤動作が防止される。
【0009】
開閉手段は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部を電動で開閉移動するシャッターカーテンなどの開閉部材で構成される。開閉手段が、シャッターカーテンの場合には、建物などの開口部の周縁部の一つである上部に収納され、まぐさなどを通過してシャッターカーテンが下降し、開口部を電動で開閉動作する。これ以外にも、開閉手段が開口部の下部に収納されて、上昇方式にて電動で開閉移動したりすることもある。また、開閉手段には、閉鎖によって開口部を全閉できるものも全閉できないものも含む。
【0010】
本発明の開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、指示手段が、非常停止スイッチ、緊急停止スイッチ、及び急降下停止装置をそれぞれ別々に介して、複数の確認信号を通電し、いずれかの確認信号が変化したとき、制御手段に対して、開閉手段の動作の停止を指示する停止信号を出力し、その後、開閉手段の動作の停止が開始されてから開閉手段が実際に停止するまでに要する時間よりも長い時間が経過した時、電源遮断手段に対して、電源供給装置から制御手段へ供給される電力の遮断を指示する遮断信号を出力する論理回路を有することにある。
【0011】
指示手段に設けた論理回路により、非常停止スイッチ、緊急停止スイッチ、及び急降下停止装置をそれぞれ別々に介して、複数の確認信号を通電し、いずれかの確認信号が変化したとき、制御手段に対して、開閉手段の動作の停止を指示する停止信号を出力し、その後、開閉手段の動作の停止が開始されてから開閉手段が実際に停止するまでに要する時間よりも長い時間が経過した時、電源遮断手段に対して、電源供給装置から制御手段へ供給される電力の遮断を指示する遮断信号を出力するので、開閉手段の動作の停止が行われた後、電源供給装置から供給される電力の遮断が行われる。
【0012】
本発明の開閉体装置の第3の特徴は、前記第1、又は第2の特徴に記載の開閉体装置において、指示手段が、電源遮断手段に対して、電力の遮断の解除を手動で指示するための起動スイッチを有し、電源遮断手段が、起動スイッチが操作されたとき、電力の遮断を解除することにある。
手動の起動スイッチが操作されない限り、電源遮断手段による電力の遮断は解除されず、開閉体の誤動作防止の効果が持続されるので、安全性が向上する。
【0013】
本発明の開閉体装置の第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の開閉体装置において、指示手段が、非常停止スイッチと、制御手段に対して、開閉手段の開閉停の各動作を手動で指示するための操作スイッチとを一緒に並べて有し、制御手段が、操作スイッチの操作に応じて、開閉手段の開閉停の各動作を制御することにある。
非常停止スイッチと、制御手段に対して、開閉手段の開閉停の各動作を手動で指示するための操作スイッチとを、指示手段に一緒に並べて設けることにより、操作性が向上する。
【0014】
本発明の開閉体装置の制御方法の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉機を駆動して、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源に基づく電力を制御手段へ供給する電源供給装置と、開閉手段の動作を手動で非常停止させるための非常停止スイッチと、開閉手段が予め定めた上限位置を通過して上昇したとき、または予め定めた下限位置を通過して下降したときに、開閉手段の動作を自動で緊急停止させるための緊急停止スイッチと、開閉手段の下降速度が所定値を超えたときに、開閉手段の下降を自動で停止させる急降下停止装置とを備えた開閉体装置の制御方法であって、電源供給装置から制御手段へ供給される電力を遮断する電源遮断手段を設け、非常停止スイッチが操作され、あるいは、緊急停止スイッチ又は急降下停止装置が動作したとき、制御手段により、開閉手段の動作を停止させた後、電源遮断手段により、電源供給装置から制御手段へ供給される電力を遮断することにある。
これは、前記第1の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0015】
本発明の開閉体装置の制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、非常停止スイッチ、緊急停止スイッチ、及び急降下停止装置をそれぞれ別々に介して、複数の確認信号を通電し、いずれかの確認信号が変化したとき、制御手段に対して、開閉手段の動作の停止を指示する停止信号を出力し、その後、開閉手段の動作の停止が開始されてから開閉手段が実際に停止するまでに要する時間よりも長い時間が経過した時、電源遮断手段に対して、電源供給装置から制御手段へ供給される電力の遮断を指示する遮断信号を出力することにある。
これは、前記第2の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0016】
本発明の開閉体装置の制御方法の第3の特徴は、前記第1、又は第2の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、電源遮断手段に対して、電力の遮断の解除を手動で指示するための起動スイッチを設け、起動スイッチを操作して、電源遮断手段による電力の遮断を手動で解除することにある。
これは、前記第3の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0017】
本発明の開閉体装置の制御方法の第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、非常停止スイッチと、制御手段に対して、開閉手段の開閉停の各動作を手動で指示するための操作スイッチとを一緒に並べて設け、操作スイッチの操作に応じて、制御手段により、開閉手段の開閉停の各動作を制御することにある。
これは、前記第4の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、非常停止スイッチが操作され、あるいは、緊急停止スイッチ又は急降下停止装置が動作したときに、開閉体の誤動作を防止して、安全性を向上させることのできる開閉体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施の形態による開閉体装置であるシャッター装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施の形態によるシャッター装置の制御装置及び停止・遮断指示ユニットの回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に従って、本発明に係る開閉体装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、開閉手段として、上下に開閉動作されるシャッターカーテンを備えたシャッター装置を例に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による開閉体装置であるシャッター装置の概略構成を示す図である。
図1において、開閉体装置10は、出入口の開口部を上下に開閉するシャッター装置である。
【0021】
開閉体装置10は、建物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース11、シャッターカーテン12、ガイドレール13,14、巻取シャフト15、チェーン16、モータ17、位置検出装置172、制御装置18、障害物感知装置185、電源供給装置20、電源遮断装置40、停止・遮断指示ユニット50、緊急停止スイッチ60、及び急降下停止装置70などを含んで構成される。
【0022】
この開閉体装置10は、通常時には、後述する停止・遮断指示ユニット50の操作スイッチ19の操作に応じて、開閉機であるモータ17を駆動して開閉制御するようになっている。さらに、この開閉体装置10では、シャッターカーテン12が巻取シャフト15に巻き取られている開放状態を機械的な保持機構(図示せず)によって保持しており、この開放状態で外部から火災の発生などを示す非常信号BSなどが制御装置18に入力された場合には、その保持機構による開放状態の保持が解除されて、シャッターカーテン12は、その自重で自然降下して開口部を自動閉鎖する機能も備えている。
【0023】
ガイドレール13,14は、シャッターカーテン12の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材又はこれと同等の部材で構成されている。シャッターカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。
【0024】
巻取シャフト15は、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン16は、モータ17の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト15の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ17の回転駆動力は、チェーン16を介して巻取シャフト15側に伝達され、モータ17が回転すると、チェーン16を介して巻取シャフト15が回転し、シャッターカーテン12の開閉動作が制御されるようになっている。
【0025】
モータ17には、その回転位置、すなわちシャッターカーテン12の開閉位置と開閉状態を検出するための位置検出装置172(
図2参照)が設けられている。この位置検出装置172は、パルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成される。モータ17の回転に応じたパルス信号が制御装置18に出力されるので、モータ17の回転位置やシャッターカーテン12の閉鎖側先端部の開口部における位置などは、このパルスの発生状況に基づいて制御装置18が演算にて求めることになる。
【0026】
制御装置18は、マイクロコンピューター構成になっており、商用電源の電源ラインACから電源供給装置20を介して電力が供給されている。制御装置18は、後述する停止・遮断指示ユニット50の操作スイッチ19上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号や、障害物感知装置185からの感知信号、及びモータ17に設けられた位置検出装置172からの信号などに基づいて、モータ17の回転を制御したり、非常信号BSに基づいて保持機構を解除したりする。
【0027】
非常信号BSは、火災発生などの非常時に外部の制御室などから供給される電圧24[V]の信号であり、制御装置18内の図示しない危害防止用連動中継器に入力される。なお、外部からの非常信号BSの入力と併せて、又は代わりに、シャッターケース11の内側であって、まぐさ部の開口部近傍、すなわちシャッターカーテン12が昇降する部分に温度感知器などを設けてもよい。この温度感知器としては、常時接点がオン状態にあり、接点が所定温度(摂氏100~300度の範囲の任意温度)に達した時点で接点を開きオフ状態となるB接点の自動復帰型の高温度用バイメタル式サーモスタットなどで構成され、接点が開いた場合には火災などが発生したことを示す信号を非常信号BSに相当する信号として出力するようにしてもよい。
【0028】
障害物感知装置185は、送信機がシャッターカーテン12の下端部(座板)に設けられたもので、障害物感知時には、内蔵された座板スイッチの移動に対応した感知信号を制御装置18に送信し、また、その後の障害物の除去により座板スイッチの復帰移動時には、復帰信号を送信する構成となっている。障害物感知装置185の送信機から制御装置18への信号の送信は、図のような有線方式に限らず、電池を電源として作動する無線方式のものでもよい。また、シャッターカーテン12の下端部に障害物の接触で移動する座板スイッチを設け、障害物接触時の座板の移動力でガイドレール13,14の高さ方向に沿って設けられたテープスイッチを押圧する構成や、テープスイッチから制御装置18に対し感知信号を有線出力する構成としてもよい。この他、開口部に光電管やLED等の投受光センサを設け、画像認識等により障害物を非接触で感知する構成としてもよい。
【0029】
電源供給装置20は、商用電源の電源ラインACから交流電力を入力し、モータ17が交流モータである場合は交流電力を、モータ17が直流モータである場合は交流電力を直流に変換した直流電力を、制御装置18へ供給する。
なお、本実施の形態では、電源供給装置20がシャッターケース11内に設置されているが、電源供給装置20をシャッターケース11の外側に設置してもよい。
【0030】
電源遮断装置40は、後述するように、停止・遮断指示ユニット50から電源遮断信号を入力すると、電源供給装置20から制御装置18へ供給される電力を遮断する。
なお、本実施の形態では、電源遮断装置40が、電源供給装置20と制御装置18との間に設けられているが、電源遮断装置40を、電源供給装置20の前段または内部に設けてもよい。
【0031】
停止・遮断指示ユニット50は、操作スイッチ19、非常停止スイッチ50a、起動スイッチ50b、及び異常ランプ50cを含んで構成されている。
操作スイッチ19は、開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、上昇(開)ボタン19A、停止(停)ボタン19B、下降(閉)ボタン19Cをそれぞれ有し、これら各ボタンの操作状態に応じた制御信号を制御装置18に出力する。なお、
図1では示していないが、制御装置18は、無線型リモコン装置によっても操作可能としてもよい。
【0032】
非常停止スイッチ50aは、非常時に操作者が手で押して、シャッターカーテン12の動作の非常停止を指示するための手動ボタンである。非常停止スイッチ50aが操作されると、異常ランプ50cが点灯して、非常停止スイッチ50aの始動が操作者に通知される。なお、異常ランプ50cは、後述する緊急停止スイッチ60又は急降下停止装置70の動作時にも点灯する。
起動スイッチ50bは、非常停止スイッチ50aによる非常停止を解除し、シャッターカーテン12の動作を再開させるための手動ボタンである。なお、シャッターカーテン12の運転操作の開始時に、起動スイッチ50bを必ず操作する構成としてもよい。
【0033】
本実施の形態では、非常停止スイッチ50aと、制御装置18に対して、シャッターカーテン12の開閉停の各動作を手動で指示するための操作スイッチ19とを、停止・遮断指示ユニット50に一緒に並べて設けることにより、操作性が向上する。
しかしながら、操作スイッチ19を、停止・遮断指示ユニット50とは別個に設けてもよい。
【0034】
緊急停止スイッチ60は、シャッターカーテン12が予め定めた上限位置を通過して上昇したとき、または予め定めた下限位置を通過して下降したときに、シャッターカーテン12の動作を緊急停止させるための自動スイッチである。この緊急停止スイッチ60としては、接触式の機械的な検出装置が用いられている。緊急停止スイッチ60は、シャッターカーテン12が予め定めた上限位置を通過して上昇したこと、または予め定めた下限位置を通過して下降したことを検出して動作する。
なお、緊急停止スイッチ60として、光学式の非接触の検出装置を用いてもよい。
【0035】
急降下停止装置70は、シャッターカーテン12の下降速度が所定値を超えたときに、シャッターカーテン12の下降を自動的に停止させる装置である。急降下停止装置70には、シャッターカーテン12の下降速度が所定値を超えたことを検出して動作するマイクロスイッチと、このマイクロスイッチが動作したときに、巻取シャフト15の回転軸に制動を掛けて、巻取シャフト15を動かなくするブレーキ機構とが設けられている。
【0036】
図2は、
図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。制御装置18は、電源供給装置20から電源遮断装置40を介して供給された電力により、停止・遮断指示ユニット50、障害物感知装置185、及び位置検出装置172からの各信号、並びに非常信号BSに基づいて、モータ17を制御する。
また、停止・遮断指示ユニット50には、緊急停止スイッチ60及び急降下停止装置70から、後述する動作確認信号が入力される。
なお、
図2では、制御装置18以外への商用電源の接続関係については、その図示を省略してある。
【0037】
図3は、本発明の一実施の形態によるシャッター装置の制御装置及び停止・遮断指示ユニットの回路構成を示す図である。
本実施の形態の制御装置18は、モータ駆動回路18a、及びCPU18bなどを含んで構成されている。
モータ駆動回路18aは、IPM(Intelligent Power Module:高機能電力用半導体素子)ドライバ等からなり、CPU18bの制御により、電源供給装置20から制御装置18へ供給された交流電力又は直流電力を、モータ17へ出力して、モータ17を駆動する。
CPU18bは、モータ駆動回路18aによるモータ17の駆動を制御する。
【0038】
停止・遮断指示ユニット50は、上述した操作スイッチ19、非常停止スイッチ50a、起動スイッチ50b、及び異常ランプ50cの他に、論理回路として、PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブルロジックコントローラ)51を含んで構成されている。
PLC51には、非常停止スイッチ50a、起動スイッチ50b、緊急停止スイッチ60、及び急降下停止装置70からの各信号が入力される。
なお、制御装置18のCPU18bと、停止・遮断指示ユニット50のPLC51とは、同一の(1つで両方の機能を兼ねる)場合もある。
【0039】
図4は、PLCの動作を説明する図である。
非常停止スイッチ50aは、常閉接点のスイッチであり、非常停止スイッチ50aには、PLC51から動作確認信号が通電されている。非常停止スイッチ50aは、操作されると、PLC51からの動作確認信号を遮断する。
同様に、緊急停止スイッチ60は、常閉接点のスイッチであり、緊急停止スイッチ60には、PLC51から動作確認信号が通電されている。緊急停止スイッチ60は、シャッターカーテン12が予め定めた上限位置を通過して上昇したこと、または予め定めた下限位置を通過して下降したことを検出して動作し、PLC51からの動作確認信号を遮断する。
また、急降下停止装置70には、常閉接点のマイクロスイッチ70aが設けられており、マイクロスイッチ70aには、PLC51から動作確認信号が通電されている。マイクロスイッチ70aは、シャッターカーテン12の下降速度が所定値を超えたことを検出して動作し、PLC51からの動作確認信号を遮断する。
【0040】
非常停止スイッチ50a、緊急停止スイッチ60、及び急降下停止装置70のマイクロスイッチ70aをそれぞれ別々に介して通電された複数の動作確認信号の内、いずれかの動作確認信号が遮断されたとき、PLC51は、制御装置18のCPU18bに対し、シャッターカーテン12の動作の停止を指示するシャッター停止信号を出力する。また、このときPLC51は、異常ランプ50cへ点灯を指示する点灯信号を出力する。
制御装置18のCPU18bは、PLC51からシャッター停止信号を入力すると、操作スイッチ19の操作状態に関わらず、シャッターカーテン12の動作を停止させる。また、異常ランプ50cは、PLC51からの点灯信号を入力して点灯する。
【0041】
その後、予め定めた所定時間が経過すると、PLC51は、電源遮断装置40に対し、電源供給装置20から制御装置18へ供給される電力の遮断を指示する電源遮断信号を出力する。電源遮断装置40は、電磁開閉器(マグネットスイッチ)などで構成されており、PLC51から電源遮断信号を入力すると、電源供給装置20から制御装置18へ供給される電力を遮断する。
このとき、予め定めた所定時間は、シャッターカーテン12の動作の停止が開始されてから、シャッターカーテン12が実際に停止するまでに要する時間よりも長い時間とする。これにより、シャッターカーテン12の動作の停止が行われた後、電源供給装置20から供給される電力の遮断が行われる。
【0042】
起動スイッチ50bは、常開接点のスイッチであり、起動スイッチ50bが操作されると、PLC51から起動スイッチ50bを介して、作動信号が通電される。起動スイッチ50bを介して作動信号が通電されると、PLC51は、電源供給装置20から供給される電力の遮断の解除を指示する解除信号を、電源遮断装置40へ出力する。電源遮断装置40は、PLC51から解除信号を入力すると、電源供給装置20から制御装置18へ供給される電力の遮断を解除する。
手動の起動スイッチ50bが操作されない限り、電源遮断装置40による電力の遮断は解除されず、シャッターカーテン12の誤動作防止の効果が持続されるので、安全性が向上する。
【0043】
なお、以上説明した実施の形態では、非常停止スイッチ50aが操作され、あるいは、緊急停止スイッチ60又は急降下停止装置70が動作した後、電源遮断装置40に対して、電源供給装置20から制御装置18へ供給される電力の遮断を指示する論理回路(PLC51)が、停止・遮断指示ユニット50内に非常停止スイッチ50aと一緒に設けられているが、同様の機能を有する装置を、非常停止スイッチ50aが設けられた設備とは別の設備に設けてもよい。
【0044】
本発明の開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、移動間仕切装置、引き戸装置、開き戸装置、折れ戸装置、門扉装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10…開閉体装置
11…シャッターケース
12…シャッターカーテン
13,14…ガイドレール
15…巻取シャフト
16…チェーン
17…モータ
172…位置検出装置
18…制御装置
18a…モータ駆動回路
18b…CPU
185…障害物感知装置
19…操作スイッチ
19A…上昇(開)ボタン
19B…停止(停)ボタン
19C…下降(閉)ボタン
20…電源供給装置
40…電源遮断装置
50…停止・遮断指示ユニット
50a…非常停止スイッチ
50b…起動スイッチ
50c…異常ランプ
51…PLC(プログラマブルロジックコントローラ)
60…緊急停止スイッチ
70…急降下停止装置
70a…マイクロスイッチ