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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20240809BHJP
   F21S 8/06 20060101ALI20240809BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240809BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20240809BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20240809BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20240809BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240809BHJP
【FI】
F21S8/04 100
F21S8/06 100
F21V8/00 300
F21V3/02
F21V3/00 320
F21V15/01 370
F21Y115:10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021100278
(22)【出願日】2021-06-16
(65)【公開番号】P2022191821
(43)【公開日】2022-12-28
【審査請求日】2023-04-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年5月6日の「Synca2」カタログ(表紙、第S14~S15頁、第18頁、第47頁~第48頁、裏表紙内面(奥付)、裏表紙)
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】北井 悠一
(72)【発明者】
【氏名】池永 遼
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106813171(CN,A)
【文献】特開2011-100569(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2213706(KR,B1)
【文献】特開2010-277893(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0051402(US,A1)
【文献】特開2014-075321(JP,A)
【文献】特開2014-167850(JP,A)
【文献】特開2012-150993(JP,A)
【文献】特開2010-238407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/00
F21V 8/00
F21V 3/00
F21V 15/01
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に吊り下げ可能な照明器具であって、
記照明器具は、略板状であり、
枠状部と、前記枠状部の枠内から露出するよう配される板状の導光部と、前記枠状部の上側に取り付けられ透光部を備える蓋部とを備える本体部と、
前記枠状部に、前記導光部の側面に向けて光を発するよう配される第1光源部と、
前記天井側に前記透光部を通して発光する第2光源部とを備え、
前記第2光源部は、平面視で前記第1光源部よりも内側に配されており、光軸が、前記透光部が構成する出光面を貫き前記出光面の法線に対し前記照明器具の平面視外方側に傾けて配されている
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記法線と、前記光軸との成す角度は、10度以上30度以下である
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記導光部は、グレアカットパネルの上側に、導光板を備える
請求項1記載の照明器具。
【請求項4】
前記導光板の厚みは、4mm以上である
ことを特徴とする請求項3記載の照明器具。
【請求項5】
前記導光部は、前記グレアカットパネルと前記導光板との間に拡散シートを備える
請求項3又は4記載の照明器具。
【請求項6】
前記導光部は、前記導光板の上に反射シートを備える
請求項3から5のいずれか1項記載の照明器具。
【請求項7】
前記第2光源部は、光源ボックスに収容され、前記光源ボックスは、前記反射シートを上から抑えつける
請求項6記載の照明器具。
【請求項8】
前記枠状部は、角部が、直角に曲がった角柱状の補強部材で補強されている
請求項1記載の照明器具。
【請求項9】
前記枠状部は、前記角部は、端部が斜めにカットされた2つの棒状の枠要素部の端部同士を突き合わせて形成されており、
2つの前記枠要素部は、前記補強部材で位置合わせされたあと、溶接される
請求項8記載の照明器具。
【請求項10】
前記透光部は、補強部により区切られている
請求項1記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下方及び上方に向けて出光する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、導光板を備えた照明器具が開発されている。例えば、特許文献1では、光源部と、光源部からの光を導光して下向きの第1面側と上向きの第2面側に向けて出光する導光部とを備えた照明器具において、器具本体を天井などの取付面に取り付ける取付部が、第2面側へ出光された光を反射して、間接照明光を出光面の直上だけでなく、その周辺部にまで拡散させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-50002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、上方に出光される光に関しては、光が導光部で導光され、さらに光反射部により反射させるため、下方に出光される光よりも弱くなってしまい、光の広がりが不十分になり得る。また、上方及び下方にそれぞれ出光する光は、光色が同じであるため、この照明器具を用いた光空間の演出に限りがある。
【0005】
本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも、光の強さを適切に制御し、柔軟に光空間の演出が可能な照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る照明器具は、天井に吊り下げられて使用される照明器具であって、枠状部と、前記枠状部の枠内から露出するよう配される板状の導光部と、前記枠状部の上側に取り付けられ透光部を備える蓋部とを備える本体部と、前記枠状部に、前記導光部の側面に向けて光を発するよう配される第1光源部と、前記天井側に前記透光部を通して発光する第2光源部とを備え、前記第2光源部は、光軸が、前記透光部が構成する出光面の法線に対し傾けて配されている。
【発明の効果】
【0007】
上述の構成により、本発明に係る照明器具は、導光部を用いることにより薄くでき、第1光源部と第2光源部を備えることで別個に光源の制御を可能とし、上下配光可能であり、上方向の光の広がりを確保して、柔軟に光空間の演出を可能とする照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)本発明の一実施形態に係る照明器具の下方斜視図、(b)照明器具の使用態様の一例として、吊り下げて使用する態様を示す図、(c)照明器具の使用態様の他の一例として、照明器具を連結し、吊り下げて使用する使用態様を示す図である。
図2】(a)照明器具の平面図、(b)照明器具を正面からみた状態を示す模式図、(c)照明器具の底面図である。
図3】(a)照明器具を上部筐体と下部筐体に分離した状態で、正面からみたときの断面を模式的に示す図、(b)照明器具を上部筐体と下部筐体を組み合わせた状態で、正面からみたときの断面を模式的に示す図、(c)図3(b)中のP部分の機能を説明するため拡大した模式図である。
図4】照明器具内の電気的な接続を説明するための模式図である。
図5】(a)照明器具の枠状部の角の部分について説明するための模式図、(b)照明器具の枠状部の角部分について説明するための断面模式図、(c)照明器具の枠状部を、複数の枠要素部に分離した状態を模式的に示す図、(d)枠状部に組み込まれる補強部材の外観について模式的に示す図である。
図6】(a)連結部材の外観を示す上方斜視図、(b)連結部材を裏返した状態を示す模式図、(c)連結部材の使用態様を説明するための模式図である。
図7】光源の色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.第1の実施形態>
<1.1.概要>
以下、本発明の一実施形態に係る照明器具1について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る照明器具1の下方斜視図であり、図1(b)は、照明器具1の使用態様の一例として、取付対象の一例である天井から吊り下げて使用する態様を示す図であり、図1(c)は、照明器具1の使用態様の他の一例として、照明器具1を連結し、吊り下げて使用する使用態様を示す図である。
【0011】
図2(a)は、照明器具1の平面図であり、図2(b)は、照明器具1を正面からみた状態を示す模式図であり、図2(c)は、照明器具1の底面図である。
【0012】
なお、以下の説明では、天井側からみて床面側の方向を「下」、床面側からみて天井側の方向を「上」として説明する。
【0013】
照明器具1は、下方及び上方を照明する機能を有する照明器具である。照明器具1は、図1(a)に示すような、一例として、長手方向の長さが1200mm、短手方向の長さが300mm、高さが20mm程度の略板状の照明器具である。照明器具1は、使用態様の一例として、図1(b)に示すように、天井に固定される吊具6a及び吊具6bを用いて天井から吊り下げて使用される。また、照明器具1は、図1(c)に示すように、連結部材610を用いて連結され、天井に固定される吊具6a、吊具6b及び吊具6cを用いて天井に吊り下げて使用することも可能である。照明器具1同士を連結する例として、説明の都合上、一方を照明器具1、他方を照明器具1aとして説明するが、照明器具1aは、照明器具1と同構成の照明器具である。
【0014】
複数の照明器具1を連結することで、長手方向に広範囲な照明をすることが可能になる。
【0015】
吊具6a、吊具6b及び吊具6cは、それぞれ、二股に分かれるワイヤ部分7a、ワイヤ部分7b及びワイヤ部分7cを備える。図1(c)では、ワイヤ部分7cの二股に分かれた部分に、それぞれワイヤ部分7ca、ワイヤ部分7cbの符号を付している。
【0016】
ワイヤ部分7a、ワイヤ部分7b及びワイヤ部分7cの先端部分には、鉤状の引っ掛け部が取り付けられている。これらの鉤状の引っ掛け部が、照明器具1、照明器具1aそれぞれの四隅に設けられている被掛吊部に引っ掛けられることで、照明器具1及び照明器具1aが天井に吊り下げられる。
【0017】
なお、照明器具1が2個連結する例について説明したが、2個の場合と同様にして3個以上連結して天井に吊り下げてもよい。また、吊具6a~吊具6cは、照明器具1及び照明器具1aを引っ掛けて吊り下げることとしたが、これに限らず、取付対象に取り付けられれば足り、取付対象にネジを用いて固定するなどしてもよい。
【0018】
以下、照明器具1の構成について説明する。
【0019】
<1.2.構成>
図3(a)は、照明器具を正面からみたときの断面を模式的に示す図であり、図3(b)は、図3(a)中のP部分の機能を説明するため拡大した模式図である。
【0020】
図4は、照明器具1内の電気的な接続を説明するための模式図である。
【0021】
照明器具1は、図3(a)に示すように、有底無蓋の偏平な箱型形状の下部筐体4と、下部筐体4の上側を塞ぐ蓋部としての上部筐体2とを備える。
【0022】
<下部筐体4>
下部筐体4は、図3(c)に示すように、枠状部40、導光部41、及び第1光源部48を備える。
【0023】
枠状部40は、開口部401を有する角環状の底板部402の4つの外周辺それぞれから側板部403が立設して成る、図3(c)に示すような断面L字状の枠状の部材である。枠状部40は、図2(c)に示すように、4つの棒状の枠要素部40a、枠要素部40b、枠要素部40c、枠要素部40dが組み合わされて成る。枠要素部40a~40dそれぞれの底板部の長手方向の端部は、斜め45度にカットされた形状であり、それぞれの端部が突き合わされることで、枠状部40は枠状になっている。
【0024】
導光部41は、図3(c)に示すように、下から、グレアカットパネル42、拡散シート43、導光板44及び反射シート45が積ねられて成る。
【0025】
グレアカットパネル42は、防眩パネルとして機能し、一例としてアクリルで形成され、図3(c)に示すように、下面が断面波状を有している。これにより、グレアカットパネル42を通して出光した場合に、光の広がりは確保しつつ、下からの視線方向の眩しさを抑えることができ、作業に必要な明るさを確保しながらも落ち着いた雰囲気を作ることができる。
【0026】
拡散シート43は、入ってくる光を拡散させる機能を有する。拡散シート43による光の拡散度を適切に調整することで、導光部41から出射する光の色むらを低減することができる。拡散シート43の厚みは、薄くて拡散性の高いほど望ましい。薄いほど、照明器具1自体を薄くできるためである。一方、拡散シート43の拡散の度合いに関して、低く過ぎると照明器具1の中央部分まで光が届かず、光源411に近い両サイドのみ明るくなってしまい、高すぎると取出し効率が低下してしまい、両サイドから中央部分まで均一に発光する拡散性が必要である。検討の結果、拡散シート43の厚みは、1.2mmとしている。なお、グレアカットパネル42は、防眩機能を果たすために表面形状に凹凸があり、ある程度の厚みが必要であるため、薄くできる部材は拡散シート43となる。
【0027】
導光板44は、一例としてアクリルで形成され、光源部48から導入される光を導光して面状に出光する板状の部材である。
【0028】
反射シート45は、光を反射するシートであり、導光板44が導光する光を上方に漏れないよう下方に向けて反射する。
【0029】
第1光源部48は、図4に示すように、LED(Light Emitting Diode)基板410a、LED基板410b、LED基板410c及びLED基板410dを備える。
【0030】
LED基板410aは、複数の光源411を備えるLED基板である。
【0031】
光源411としては、単色の光源だけを用いてもよいが、調光調色が可能なように2色または3色の光源を用いてもよい。2色の光源として、例えば昼光色LED(色温度6500K)と電球色LED(色温度2700K)を用いると、両光源の混色としてその間の色温度を再現できる。3色の光源として、例えば青白色LED、黄白色LED、赤色LED(詳細は後述)を用いると、その3色の混色としての各色が再現でき、特に黒体軌跡に沿った色や、黒体軌跡から一定の色差を有する微妙な色を出すことが可能になる。このような色を、一日のスケジュールに沿って変化させ、昼は人間の活動を促進する高色温度の照明とし、夜は人をリラックスさせる低色温度の照明とし、人間の有する一日のリズムに合わせることにより、人の健康促進に寄与する。また、青空の色や夕日の色を天井や壁に映すことができ、室内にいながら外にいるかのような光の環境を楽しむことができる。
【0032】
LED基板410aは、光源411の一例として、青白色LED411B、黄白色LED411Y、赤色LED411Rを備える。
【0033】
LED基板410b、LED基板410c及びLED基板410dは、LED基板410aと同様の構成を備える。
【0034】
LED基板410a及びLED基板410bは、直線上に並べて、図3(c)に示すように、枠要素部40bにおける側板部403の内面側に、導光板44の側面に対向するように取り付けられる。同様に、LED基板410c及びLED基板410dは、直線上に並べて、枠要素部40dにおける側板部403の内面側に、導光板44に対向するように取り付けられる。
【0035】
光源411から出射される光は、一例として、図3(c)に光路L1として示すように、導光板44の中を通り、反射シート45により反射された後、拡散シート43により拡散されて、グレアカットパネル42の下表面より出光する。
【0036】
導光板44の厚みは、薄い方が軽くなるという点で望ましいが、光源411から出射された光が導光板44をできるだけ多く通ることで、明るさをできるだけ確保できるように、定められる。また、光源411と導光板44の側面との距離なども鑑みて定められるのが望ましい。ここで、導光板44の厚みは4mmとしている。光源411と導光板44の側面との距離は1.5mmとしているが、0.1mm~3.0mmであればよい。
【0037】
なお、導光板44の厚みは、薄い方が軽くなるという点で望ましいことから、厚みが3mmのものも試作したが、光源411から出射された光が導光板44を通らない場合が多くなり、明るさが不足したため4mmとした。導光板44の厚みは、LEDのサイズによって定めることになる。LEDのサイズが、2.8mm×3.5mm、厚み2.8mmの場合であれば、導光板44の厚みは、3.5mm~4.5mmが望ましい。また、LEDのサイズが、3.0mm×1.4mmであり、横長になるよう配置して使用するような場合であれば、導光板の厚みは、もっと薄くして2.0mm~3.0mmが望ましい。
【0038】
<上部筐体2>
上部筐体2は、上蓋部21、発光部23a、発光部23b、電源部25、被掛吊部27、送り配線28,電源ケーブル29及び抑え部材31を備える。
【0039】
上蓋部21は、上面板211、電源カバー213、樹脂パネル215a、樹脂パネル215b、樹脂パネル215c及び樹脂パネル215dを備える。
【0040】
上面板211は、複数の開口が設けられた平板状の部材である。
【0041】
樹脂パネル215a、樹脂パネル215b、樹脂パネル215c及び樹脂パネル215dは、透光性を有する樹脂製の薄い乳白色のパネルであり透光部として機能し、図2(a)に示すように、上面板211の中央の開口の左右に位置する4つの開口をそれぞれ塞ぐよう配される。これらの4つの開口は、それぞれ発光部23a及び発光部23bが出射する光を通すための開口である。上面板211の樹脂パネル215a及び樹脂パネル215bが配されている開口の間に、補強部30aが配されている。仮に樹脂パネル215a及び樹脂パネル215bが配される開口が繋げてしまうと、開口が長手方向に長くなり過ぎ強度が不足するため、開口部を区切って複数の小さい開口部に分けることで、これを補強するためである。補強部30bについても、補強部30aと同様である。
【0042】
電源カバー213は、略断面コの字状の部材であり、図2(a)及び図2(b)に示すように、上面板211の中央の開口を塞ぐよう配され、電源部25をカバーする機能を有する。
【0043】
発光部23aは、図3(a)~図3(c)に示すように、上面板211における樹脂パネル215aが嵌め込まれた開口部分の下面側に取り付けられ、上方に向けて発光する発光部である。
【0044】
発光部23aは、図3(c)に示すように、光源ボックス231、光源台232、及び第2光源部233を備える。
【0045】
光源ボックス231は、無蓋の箱型部材であり、光源台232及び第2光源部233を格納する。光源ボックス231は、導光部41を上から抑えつけて、導光部41の位置をより強固に固定する機能も有する。
【0046】
光源台232は、第2光源部233が載置される台座部232aと、台座部232aを支持する支持部232bとを備える。
【0047】
台座部232aは、第2光源部233が発する光の出光面としての樹脂パネル215aの表面に関し、その表面の法線と、第2光源部233の光軸との成す角度が、10度以上30度以下になるよう、光の出射面に対し、照明器具1の平面視外方側に傾斜している。
【0048】
第2光源部233は、LED基板233a及びLED基板233bを備える。LED基板233a及びLED基板233bは、図4に示すように、それぞれ複数の光源234を備えるLED基板である。
【0049】
光源234は、単色の光源だけを用いてもよいが、調光調色が可能なように2色または3色の光源を用いてもよい。ここでは、光源234は、光源411と同様の光源とする。
【0050】
ここで、上述のように、光源234の光軸が、光の出光面の法線に対し、10度以上30度以下の角度で、照明器具1の平面視外方側に傾いているので、一例として図3(c)に出射範囲L11として示すように、照明器具1の直上の領域も照らすとともに、照明器具1の外方側をより強く、広範囲で照らすことができる。
【0051】
発光部23bは、発光部23aと同様の構成を有し、電源部25を挟んで対称に配置されている。
【0052】
電源部25は、発光部23a及び発光部23bの光源234に対し、電力を供給する電源部である。電源部25には、送り配線28及び電源ケーブル29が接続されている。電源部25は、2個以上の電源装置で構成する。それぞれの電源装置が、第1光源部48と、第2光源部233とのそれぞれを別個に動作制御する。なお、電源部25は、第1光源部48と、第2光源部233とを別個に動作制御できれば足り、1個の電源装置で構成することとしてもよい。
【0053】
また、電源部25は、無線制御用の小型デバイスであるワイヤレスモジュールを装着可能である。ワイヤレスモジュールは、無線を用いて調光、調色などの制御信号を受け取り、電源部25に対して出力し、電源部25は、制御信号に応じて、第1光源部48と、第2光源部233とのそれぞれに対し、調光、調色などの制御を行う。ワイヤレスモジュールは、1個であってもよいし、実行する制御の内容に応じて、複数個のワイヤレスモジュールを用いることとしてもよい。
【0054】
電源ケーブル29は、照明器具1の電源部25に対し外部から電力を供給するためのケーブルである。
【0055】
送り配線28は、電源部25に供給される電力を他の照明器具に供給するため、電源ケーブル29から分岐する配線である。
【0056】
被掛吊部27は、吊具6a~6cのワイヤ部分7a~7cにおける、二股に分かれたワイヤ部分の端部に設けられた引っ掛け部が、引っかけられるよう構成され、図2(a)に示すように、照明器具1の四隅に配されている。
【0057】
抑え部材31は、図3(a)に示すように、金属素材の板状部材であり、断面L字状に折り曲げられて構成されている。抑え部材31は、導光部41を上から抑えつけて、抑え部材31と枠状部40の底板部402とで挟んで、導光部41の位置を固定する機能を有する。
【0058】
<1.3.下部筐体4の枠状部40の詳細及び組み立て>
枠状部40の角部の1つは、一例として図5(c)に示すように、枠要素部40aの傾斜した端部405aと、枠要素部40bの傾斜した端部405bとが、端部405aの角部406aと、端部405bの角部406bとが接触するように、位置合わせした上で、溶接固定されている。枠状部40の他の角部についても同様である。
【0059】
なお、以下では、底板部402のうち、枠要素部40aに設けられた部分を底板部402aといい、側板部403のうち、枠要素部40aに設けられている部分を側板部403aという。また底板部402a及び側板部403aの場合と同様に、底板部402のうち、枠要素部40b、枠要素部40c及び枠要素部40dに設けられた部分を、それぞれ底板部402b、底板部402c及び底板部402dといい、側板部403のうち、枠要素部40b、枠要素部40c及び枠要素部40dに設けられている部分を側板部403b、側板部403c及び側板部403dという。
【0060】
上述の溶接固定に関して、枠状部40の4つの角部には、それぞれ、図5(d)に示す直角に曲がった角柱状の補強部材433が配されている。補強部材433には、上面にネジ穴436が4つ、側面にネジ穴435が2つ設けられている。
【0061】
また、枠要素部40aの側板部403aの内側には、底板部402aに立設し、側板部403aとの間隔が、補強部材433の幅と略同一になるよう内壁部441aが設けられている。また、内壁部441aと同様に、枠要素部40bにおける側板部403bの内側、枠要素部40cにおける側板部403cの内側、枠要素部40dにおける側板部403dの内側には、それぞれ、内壁部441b、内壁部441c及び内壁部441bが設けられている。
【0062】
そして、枠要素部40aと枠要素部40bとを溶接するのに先立ち、図5(a)及び図5(b)に示すように、補強部材433が、枠要素部40aにおける側板部403aと、その内側に配されている内壁部441aとの間、枠要素部40bにおける側板部403bと、その内側に配されている内壁部441bとの間に挟まるように配される。次いで、枠要素部40aと枠要素部40bとにネジ434a及びネジ434bを用いてネジ止めされることにより、枠要素部40aと枠要素部40bとが仮止めされる。
【0063】
この仮止めの状態で、作業者により、枠要素部40aの傾斜した端部405aと、枠要素部40bの傾斜した端部405bとが、角部406aと角部406bとが接触するように位置合わせの微調整がされる。そして、作業者は、枠要素部40aと、枠要素部40bとを溶接し、固定する。これにより、枠要素部40aと、枠要素部40bとを位置ずれさせることなく固定することができる。
【0064】
枠要素部40bと枠要素部40cとの溶接、枠要素部40cと枠要素部40dとの溶接、枠要素部40dと枠要素部40aとの溶接についても、枠要素部40aと枠要素部40bとの溶接の場合と同様である。
【0065】
ネジ穴436は、図5(b)に示すように、上蓋部21を補強部材433に、ネジ452を用いて固定するため、すなわち、上部筐体2と下部筐体4とを固定するために、用いられる。
【0066】
<1.4.複数の照明器具1の連結>
図6(a)は、複数の照明器具1同士を連結するための連結部材610の外観を示す上方斜視図であり、図6(b)は、連結部材610の下側からみた構成を説明するための図であり、図6(c)は、連結部材610の使用態様を説明するための模式図である。
【0067】
以下、照明器具1同士を連結する例として、説明の都合上、一方を照明器具1、他方を照明器具1と同構成の照明器具1aとして説明する。
【0068】
連結部材610は、図6(a)に示すように、配線カバー部611、本体部612、吊具支持部613及び吊具支持部614を備える。
【0069】
配線カバー部611は、金属などの板状部材を折り曲げ、切断などの加工をした断面コの字型の部材であり、連結部材610を用いて照明器具1と照明器具1aとを連結した場合に、照明器具1と照明器具1aを電気的に接続する配線が配線カバー部611の内側を通ることにより、外部から見えないようカバーし、保護する機能を有する。
【0070】
本体部612は、金属などの板状部材を折り曲げ、切断などの加工をすることにより構成されている。本体部612は、短手方向中央に長手方向に沿い溝状部621を備えている。図6(c)に示すように、照明器具1と照明器具1aとが連結部材610を用いて連結された場合に、溝状部621が照明器具1の側壁と、照明器具1aの側壁の間に位置し、間隔を一定に保つ機能を有する。連結した状態では、溝状部621の下面が、照明器具1及び照明器具1aの下面よりも上に位置し、下側から見えにくくなっており、意匠性を損なわない。また、本体部612の長手方向の両端部に、それぞれ吊具支持部613及び吊具支持部614が配される。
【0071】
吊具支持部613及び吊具支持部614は、吊具6a~6cのワイヤ部分7a~7cにおける、二股に分かれたワイヤ部分(一例としてワイヤ部分7ca、ワイヤ部分7cb)の端部に設けられた引っ掛け部が、引っかけられるよう構成されており、引っかけられた場合に、引っ掛け部の先端部分が溝状部621内に収まる。
【0072】
<3.変形例>
以上、本発明に係る照明器具の実施形態を説明したが、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例示した照明器具を以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの照明器具に限られないことは勿論である。
【0073】
(1)3色のLEDの例として挙げた青白色LED、黄白色LED、赤色LEDとしては、図7に示すCIE1931色度座標図に示した色を好適に用いることができる。なお点線は黒体軌跡である。赤色LEDは、図12の色度座標において、(0.660.23)、(0.4230.355)、(0.5,0.5)と色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.600.38)である。黄白色LEDであるYwは、(0.5,0.5)、(0.423、0.355)、(0.342,0.312)、(0.3520.44)、(0.370.63)及び色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.440.47)である。青白色LEDであるBwは、(0.3360.24)、(0.3520.44)、(0.150.2)、(0.20.1)で囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.230.26)である。
【0074】
(2)3色のLEDとして、原色である青、緑、赤の3色のLEDを用いてもよい。なお、原色とは色度座標上で色度境界線に近い色のことを指す。この場合、再現できる色の範囲が青白色、黄白色、赤色の組み合わせより広くなる。ただし、消費電力に対する全光束の効率(lm/W)は、青白色、黄白色、赤色の組み合わせの方が高い。
【0075】
(3)上述の実施形態では、光源にLEDを用いていたが、これに限らず、他の光源であってもよい。例えば、有機EL又は有機LED(Organic Electroluminescence又はOrganic Light Emitting Diode)、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)などであってもよい。
【0076】
(4)上述の実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
【0077】
<4.発明の抽出>
以下、更に本発明の一実施形態としての照明器具の構成及びその変形例と効果について説明する。
【0078】
(1)本発明の一実施形態に係る照明器具は、天井に吊り下げられて使用される照明器具であって、枠状部と、前記枠状部の枠内から露出するよう配される板状の導光部と、前記枠状部の上側に取り付けられ透光部を備える蓋部とを備える本体部と、前記枠状部に、前記導光部の側面に向けて光を発するよう配される第1光源部と、前記天井側に前記透光部を通して発光する第2光源部とを備え、前記第2光源部は、光軸が、前記透光部が構成する出光面の法線に対し傾けて配されている。
【0079】
この構成によれば、導光部を用いることにより薄くでき、第1光源部と第2光源部を備えることで別個に光源の制御を可能とし、上下配光可能であり、上方向の光の広がりを確保して、柔軟に光空間の演出を可能とする照明器具を提供することができる。
【0080】
(2)また、前記法線と、前記光軸との成す角度は、10度以上30度以下であることとしてもよい。
【0081】
この構成によれば、上方向の明るさ、及び光の広がりを確保することができる。
【0082】
(3)また、前記動向部は、グレアカットパネルの上側に、導光板を備えることとしてもよい。
【0083】
この構成によれば、光の広がりは確保しつつ、下からの視線方向の眩しさを抑えることができ、作業に必要な明るさを確保しながらも落ち着いた雰囲気を作ることができる。
【0084】
(4)また、前記導光板の厚みは、4mm以上であることとしてもよい。
【0085】
この構成によれば、第1光源部から出射された光を導光部に多く通すことで、明るさを確保することができる。
【0086】
(5)前記導光部は、前記グレアカットパネルと前記導光板との間に拡散シートを備えることとしてもよい。
【0087】
この構成によれば、光の拡散度を適切に調整して導光部から出射する光の色むらを低減することができる。
【0088】
(6)前記導光部は、前記導光板の上に反射シートを備えることとしてもよい。
【0089】
この構成によれば、導光部が導光する光を上方に漏れないようにし、下方に向けて反射させて下方向けの光をより確保することができる。
【0090】
(7)前記第2光源部は、光源ボックスに収容され、前記光源ボックスは、前記反射シートを上から抑えつけることとしてもよい。
【0091】
この構成によれば、導光部の位置をより強固に固定することができる。
【0092】
(8)前記枠状部は、角部が、直角に曲がった角柱状の補強部材で補強されていることとしてもよい。
【0093】
(9)前記枠状部は、その角部分は、端部が斜めにカットされた2つの棒状の枠要素部の端部同士を突き合わせて形成されており、2つの前記枠要素部は、前記補強部材で位置合わせされたあと、溶接されることとしてもよい。
【0094】
この構成によれば、枠要素部の位置がずれることが無いよう枠状部を形成することができる。
【0095】
(10)前記透光部は、補強部により複数の領域に区切られていることとしてもよい。
【0096】
この構成によれば、照明器具の長手方向の強度を補強することができる。
【符号の説明】
【0097】
1、1a 照明器具
2 上部筐体
4 下部筐体
6a、6b、6c 吊具
7a、7b、7c、7ca、7cb ワイヤ部分
21 上蓋部
23a、23b 発光部
25 電源部
27 被掛吊部
28 送り配線
29 電源ケーブル
30a、30b 補強部
31 抑え部材
40 枠状部
40a、40b、40c、40d 枠要素部
41 導光部
42 グレアカットパネル
43 拡散シート
44 導光板
45 反射シート
48 第1光源部
48 光源部
211 上面板
213 電源カバー
215a、215b、215c、215d 樹脂パネル
231 光源ボックス
232 光源台
232a 台座部
232b 支持部
233 第2光源部
233a、233b、410a、410b、410c、410d LED基板
234 光源
401 開口部
402、402a、402b、402c、402d 底板部
403、403a、403b、403c、403d 側板部
405a、405b 端部
406a、406b 角部
411 光源
433 補強部材
434a、434b、452 ネジ
435、436 ネジ穴
441a、441b、441c 内壁部
610 連結部材
611 配線カバー部
612 本体部
613、614 吊具支持部
621 溝状部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7