(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】半導体レーザ装置及び半導体レーザ素子
(51)【国際特許分類】
H01S 5/40 20060101AFI20240809BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20240809BHJP
【FI】
H01S5/40
H01S5/022
(21)【出願番号】P 2021501740
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 JP2020002231
(87)【国際公開番号】W WO2020174949
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2019033391
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小野 将之
(72)【発明者】
【氏名】左文字 克哉
(72)【発明者】
【氏名】西川 透
(72)【発明者】
【氏名】浅香 浩
(72)【発明者】
【氏名】西辻 充
(72)【発明者】
【氏名】山田 和弥
【審査官】小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-012707(JP,A)
【文献】特開2010-272554(JP,A)
【文献】特開2011-222675(JP,A)
【文献】特開平07-202323(JP,A)
【文献】特開平09-167878(JP,A)
【文献】特開平08-046279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に分離して形成された第1の発光素子領域と第2の発光素子領域とを含む、ジャンクションダウン実装用の半導体レーザ素子を備える半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子は、
前記第1の発光素子領域及び前記第2の発光素子領域の各々が、一導電型半導体層と活性層と他導電型半導体層とがこの順に積層された積層構造体を有し、
前記第1の発光素子領域は、前記一導電型半導体層上に配置された第1の電極膜を有し、
前記第2の発光素子領域は、前記他導電型半導体層上に配置された第2の電極膜を有し、
前記第1の電極膜と前記第2の電極膜とは、電気的に接続されて
おり、
前記第1の発光素子領域は、前記一導電型半導体層上に配置された一導電型半導体層側電極と、前記他導電型半導体層上に配置された他導電型半導体層側電極とを備え、
前記第1の発光素子領域の前記他導電型半導体層は、前記一導電型半導体層側電極と前記他導電型半導体層側電極との間に突出部を有する
半導体レーザ装置。
【請求項2】
基板上に分離して形成された第1の発光素子領域と第2の発光素子領域とを含む、ジャンクションダウン実装用の半導体レーザ素子を備える半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子は、
前記第1の発光素子領域及び前記第2の発光素子領域の各々が、一導電型半導体層と活性層と他導電型半導体層とがこの順に積層された積層構造体を有し、
前記第1の発光素子領域は、前記一導電型半導体層上に配置された第1の電極膜を有し、
前記第2の発光素子領域は、前記他導電型半導体層上に配置された第2の電極膜を有し、
前記第1の電極膜と前記第2の電極膜とは、電気的に接続されて
おり、
前記半導体レーザ装置は、第1の金属膜パターンと第2の金属膜パターンとが形成された搭載面を有するサブマウントをさらに備え、
前記半導体レーザ素子は、前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域とが、それぞれ前記第1の金属膜パターンと前記第2の金属膜パターンとに接合され、
前記第1の金属膜パターンと前記第2の金属膜パターンとを含む複数の金属膜パターンの各々は、密着層、第1のバリア層、第1の接触層、第2のバリア層、及び、第2の接触層が前記搭載面側からこの順で積層された金属積層膜を有し、
前記第1の発光素子領域のレーザ光を出射する端面側から前記第1の発光素子領域を断面視したときに、前記第1の発光素子領域の前記他導電型半導体層と接続する前記複数の金属膜パターンの内の一つは、前記他導電型半導体層の幅よりも大きな幅の前記第2のバリア層及び第2の接触層と、前記第2のバリア層及び前記第2の接触層の幅よりも大きな幅の前記密着層と、前記第1のバリア層及び前記第1の接触層とを有し、
前記第2のバリア層及び第2の接触層の両端部は、それぞれ前記他導電型半導体層の両端部の外側に配置され、
前記密着層、前記第1のバリア層、及び、前記第1の接触層の両端部は、それぞれ前記第2のバリア層及び第2の接触層の両端部と一致する、または外側に位置するように配置される
半導体レーザ装置。
【請求項3】
基板上に分離して形成された第1の発光素子領域と第2の発光素子領域とを含む、ジャンクションダウン実装用の半導体レーザ素子を備える半導体レーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子は、
前記第1の発光素子領域及び前記第2の発光素子領域の各々が、一導電型半導体層と活性層と他導電型半導体層とがこの順に積層された積層構造体を有し、
前記第1の発光素子領域は、前記一導電型半導体層上に配置された第1の電極膜を有し、
前記第2の発光素子領域は、前記他導電型半導体層上に配置された第2の電極膜を有し、
前記第1の電極膜と前記第2の電極膜とは、電気的に接続されて
おり、
前記半導体レーザ装置は、第1の金属膜パターンと第2の金属膜パターンとが形成された搭載面を有するサブマウントをさらに備え、
前記半導体レーザ素子は、前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域とが、それぞれ前記第1の金属膜パターンと前記第2の金属膜パターンとに接合され、
前記半導体レーザ素子におけるレーザ光の出射端面及び前記出射端面と平行な前記サブマウントの端面にわたって、保護膜が形成されている
半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域との間には、前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層と前記第2の発光素子領域の前記一導電型半導体層とが離間された分離領域が配置される
請求項
1~3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記第1の発光素子領域の前記第1の電極膜上に絶縁膜が配置され、
前記絶縁膜は、上面視したときに、前記分離領域上及び前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層上に位置する前記第1の電極膜と重なる位置に配置されている
請求項
4に記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記第1の発光素子領域の前記第1の電極膜上、及び、前記第2の発光素子領域の前記第2の電極膜上が完全に前記絶縁膜で覆われている
請求項
5に記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
前記第1の発光素子領域は、前記一導電型半導体層上に配置された一導電型半導体層側電極と、前記他導電型半導体層上に配置された他導電型半導体層側電極とを備え、
前記第1の発光素子領域の前記他導電型半導体層は、前記一導電型半導体層側電極と前記他導電型半導体層側電極との間に突出部を有する
請求項
2又は3に記載の半導体レーザ装置。
【請求項8】
前記基板から突出した1以上の突出構造体を備え、
前記1以上の突出構造体のうちの1つの突出構造体のみが、前記1つの突出構造体の表面に形成された第3の電極膜を介してサブマウントと電気的に接続し、
前記1つの突出構造体は、前記第2の発光素子領域に隣接して、前記第1の発光素子領域とは反対側に前記基板から突出し、
前記1つの突出構造体の前記基板からの高さは、前記第2の発光素子領域の前記基板からの高さと略同一であり、
前記1つの突出構造体の表面に配置された前記第3の電極膜と、前記第2の発光素子領域の前記一導電型半導体層とは、電気的に接続されている
請求項1から
7のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項9】
前記1以上の突出構造体は、前記1つの突出構造体のみである
請求項
8に記載の半導体レーザ装置。
【請求項10】
第1の金属膜パターンと第2の金属膜パターンとが形成された搭載面を有するサブマウントをさらに備え、
前記半導体レーザ素子は、前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域とが、それぞれ前記第1の金属膜パターンと前記第2の金属膜パターンとに接合される
請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項11】
前記半導体レーザ素子は、前記第2の発光素子領域に含まれるリッジ部を有し、
前記第2の電極膜には、前記リッジ部と前記突出部との間に第1の溝部による空間が設けられ、
前記第1の溝部による空間には、前記半導体レーザ素子と前記サブマウントとを接続する接合材の一部が設けられる
請求項10に記載の半導体レーザ装置。
【請求項12】
第1の金属膜パターンと第2の金属膜パターンとが形成された搭載面を有するサブマウントをさらに備え、
前記半導体レーザ素子は、前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域とが、それぞれ前記第1の金属膜パターンと前記第2の金属膜パターンとに接合され、
前記半導体レーザ素子は、前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域とを含む複数の発光素子領域を有し、
前記第2の発光素子領域に隣接して、前記第1の発光素子領域とは反対側に前記基板から突出した突出構造体が配置され、
前記突出構造体の表面に配置された第3の電極膜と、前記第2の発光素子領域の前記一導電型半導体層とは、電気的に接続され、
前記サブマウントは、前記第1の金属膜パターンと前記第2の金属膜パターンとを含む複数の金属膜パターンを有し、
前記複数の発光素子領域の各々と前記突出構造体とは、前記複数の金属膜パターンの各々に接続され、
前記複数の発光素子領域がn個のとき、前記複数の金属膜パターンはn+1個である
請求項
1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項13】
第1の金属膜パターンと第2の金属膜パターンとが形成された搭載面を有するサブマウントをさらに備え、
前記半導体レーザ素子は、前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域とが、それぞれ前記第1の金属膜パターンと前記第2の金属膜パターンとに接合され、
前記半導体レーザ素子は、前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域とを含む複数の発光素子領域を有し、
前記複数の発光素子領域の並び方向の両端のうちの一方に位置する前記第2の発光素子領域に隣接して、前記第1の発光素子領域とは反対側に前記基板から突出した第1の突出構造体が配置され、
前記両端のうちの他方に位置する発光素子領域に隣接して、第2の突出構造体が配置され、
前記第1の突出構造体の表面に配置された第3の電極膜と、前記第2の発光素子領域の前記一導電型半導体層とは、電気的に接続され、
前記サブマウントは、前記第1の金属膜パターンと前記第2の金属膜パターンとを含む複数の金属膜パターンを有し、
前記複数の発光素子領域の各々と前記第1の突出構造体と前記第2の突出構造体とは、前記複数の金属膜パターンの各々に接続され、
前記複数の発光素子領域がn個のとき、前記複数の金属膜パターンはn+2個である
請求項
1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項14】
前記複数の金属膜パターンの各々は、密着層、第1のバリア層、第1の接触層、第2のバリア層、及び、第2の接触層が前記搭載面側からこの順で積層された金属積層膜を有し、
前記第1の発光素子領域のレーザ光を出射する端面側から前記第1の発光素子領域を断面視したときに、前記第1の発光素子領域の前記他導電型半導体層と接続する前記複数の金属膜パターンの内の一つは、前記他導電型半導体層の幅よりも大きな幅の前記第2のバリア層及び第2の接触層と、前記第2のバリア層及び前記第2の接触層の幅よりも大きな幅の前記密着層と、前記第1のバリア層及び前記第1の接触層とを有し、
前記第2のバリア層及び第2の接触層の両端部は、それぞれ前記他導電型半導体層の両端部の外側に配置され、
前記密着層、前記第1のバリア層、及び、前記第1の接触層の両端部は、それぞれ前記第2のバリア層及び第2の接触層の両端部と一致する、または外側に位置するように配置される
請求項
12又は13に記載の半導体レーザ装置。
【請求項15】
前記搭載面は、前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層上に配置された前記第1の電極膜と対向する位置に、凹部が形成されており、
前記凹部の側面には、前記第1の金属膜パターンおよび前記第2の金属膜パターンが形成されており、
前記第1の金属膜パターンと前記第2の金属膜パターンとは、前記凹部において分離されている
請求項
2、3、10から14のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項16】
前記基板の前記第1の発光素子領域及び前記第2の発光素子領域が形成された面と反対側の面は、研磨面が露出している
請求項1から
15のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項17】
前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域との間には、前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層と前記第2の発光素子領域の前記一導電型半導体層とが離間された分離領域が配置され、
前記分離領域において、前記基板には、
第2の溝部が配置され、
前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層と前記基板との間には、電流ストップ層が配置されている
請求項1から
16のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項18】
前記
第2の溝部を含む分離溝は、前記基板の法線方向から傾斜している側面を有する
請求項
17に記載の半導体レーザ装置。
【請求項19】
前記一導電型半導体層上の平坦部に配置された前記第1の電極膜の膜厚は、前記側面に配置された前記第1の電極膜の膜厚より厚い
請求項
18に記載の半導体レーザ装置。
【請求項20】
前記第1の発光素子領域の発光点は、前記第1の発光素子領域において、前記他導電型半導体層の幅方向の中心よりも前記第1の電極膜に近い側に配置される
請求項1から
19のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項21】
前記第1の電極膜の厚みは、0.5μm以上である
請求項1から
20のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項22】
前記基板の厚さは、80μm以上400μm以下である
請求項1から
21のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項23】
前記半導体レーザ素子におけるレーザ光の出射端面及び前記出射端面と平行な前記サブマウントの端面にわたって、保護膜が形成されている
請求項
2、10から14のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項24】
前記半導体レーザ素子と、前記サブマウントとの間の接合材に、前記保護膜が形成されている
請求項
3又は23に記載の半導体レーザ装置。
【請求項25】
前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層上に配置された前記第1の電極膜と、前記第2の発光素子領域の前記他導電型半導体層上に配置された前記第2の電極膜とは、連続した同一の膜である
請求項1から
24のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項26】
前記基板の厚さは、80μm以上である
請求項1から
25のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項27】
前記一導電型半導体層の膜厚は、20μm以上である
請求項1から
26のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項28】
前記一導電型半導体層の膜厚は、前記基板の厚さより薄い
請求項
27に記載の半導体レーザ装置。
【請求項29】
基板上に一導電型半導体層と活性層と他導電型半導体層とがこの順に積層された積層構造体を有する半導体レーザ素子であって、
前記積層構造体を分離して形成された第1の発光素子領域及び第2の発光素子領域と、
前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層上に配置された第1の電極膜と、前記第2の発光素子領域の前記他導電型半導体層上に配置された第2の電極膜とを有し、
前記第1の電極膜と前記第2の電極膜とは、電気的に接続され、
前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域との間には、前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層と前記第2の発光素子領域の前記一導電型半導体層とを離間する分離領域が配置され、
前記分離領域において、前記基板には、溝部が配置され、
前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層と前記基板との間には、電流ストップ層が配置されて
おり、
前記第1の発光素子領域は、前記一導電型半導体層上に配置された一導電型半導体層側電極と、前記他導電型半導体層上に配置された他導電型半導体層側電極とを備え、
前記第1の発光素子領域の前記他導電型半導体層は、前記一導電型半導体層側電極と前記他導電型半導体層側電極との間に突出部を有する
半導体レーザ素子。
【請求項30】
前記第1の発光素子領域の発光点は、前記第1の発光素子領域において、前記他導電型半導体層の幅方向の中心よりも前記第1の電極膜に近い側に配置される
請求項
29に記載の半導体レーザ素子。
【請求項31】
前記第1の電極膜の厚みは、0.5μm以上である
請求項
29又は30に記載の半導体レーザ素子。
【請求項32】
前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層上に配置された前記第1の電極膜と、前記第2の発光素子領域の前記他導電型半導体層上に配置された前記第2の電極膜とは、連続した同一の膜である
請求項
29から31のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
【請求項33】
前記基板の厚さは、80μm以上である
請求項
29から32のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体レーザ装置及び半導体レーザ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の発光素子領域を有する半導体レーザアレイ素子等の半導体レーザ素子がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、半導体レーザアレイ素子のそれぞれの発光素子領域が電気的に並列接続された構成が開示されている。そのため、特許文献1に開示されている半導体レーザアレイ素子のそれぞれの発光素子領域には、並列に電流が注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成では、複数の発光素子領域が並列接続されているために、駆動電流が大きくなりすぎる課題がある。
【0006】
本開示は、半導体レーザ素子の駆動電流が抑制された半導体レーザ装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る半導体レーザ装置は、基板上に分離して形成された第1の発光素子領域と第2の発光素子領域とを含む、ジャンクションダウン実装用の半導体レーザ素子を備える半導体レーザ装置であって、前記半導体レーザ素子は、前記第1の発光素子領域及び前記第2の発光素子領域の各々が、一導電型半導体層と活性層と他導電型半導体層とがこの順に積層された積層構造体を有し、前記第1の発光素子領域は、前記一導電型半導体層上に配置された第1の電極膜を有し、前記第2の発光素子領域は、前記他導電型半導体層上に配置された第2の電極膜を有し、前記第1の電極膜と前記第2の電極膜とは、電気的に接続されている。
【0008】
また、本開示の一態様に係る半導体レーザ素子は、基板上に一導電型半導体層と活性層と他導電型半導体層とがこの順に積層された積層構造体を有する半導体レーザ素子であって、前記積層構造体を分離して形成された第1の発光素子領域及び第2の発光素子領域と、前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層上に配置された前記第1の電極膜と、前記第2の発光素子領域の前記他導電型半導体層上に配置された第2の電極膜とを有し、前記第1の電極膜と前記第2の電極膜とは、電気的に接続され、前記第1の発光素子領域と前記第2の発光素子領域との間には、前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層と前記第2の発光素子領域の前記一導電型半導体層とを離間する分離領域が配置され、前記分離領域において、前記基板には、溝部が配置され、前記第1の発光素子領域の前記一導電型半導体層と前記基板との間には、電流ストップ層が配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る半導体レーザ装置等によれば、半導体レーザ素子の駆動電流が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1の変形例1に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態2に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2の変形例1に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態3に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態3に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態3の変形例1に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態3の変形例1に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態3の変形例2に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態3の変形例2に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態3の変形例3に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施の形態3の変形例3に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態4に係る半導体レーザ装置における、半導体レーザ素子をサブマウントにジャンクションダウン実装する様子を示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態4に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図17】
図17は、実施の形態4に係る半導体レーザ装置にワイヤを接続した状態を示す断面図である。
【
図18】
図18は、実施の形態5に係る半導体レーザ装置における、半導体レーザ素子をサブマウントにジャンクションダウン実装する様子を示す断面図である。
【
図19】
図19は、実施の形態5に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図20】
図20は、実施の形態6に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図21】
図21は、実施の形態6に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図22】
図22は、実施の形態7に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図23】
図23は、実施の形態7に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図24】
図24は、実施の形態8に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図25A】
図25Aは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25B】
図25Bは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25C】
図25Cは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25D】
図25Dは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25E】
図25Eは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25F】
図25Fは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25G】
図25Gは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25H】
図25Hは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25I】
図25Iは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25J】
図25Jは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25K】
図25Kは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25L】
図25Lは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25M】
図25Mは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25N】
図25Nは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図26】
図26は、本開示に係る半導体レーザ装置が備える各構成要素の組成を例示する表である。
【
図27A】
図27Aは、実施の形態10に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図28】
図28は、実施の形態10に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図29】
図29は、実施の形態11に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【
図30A】
図30Aは、実施の形態10の変形例1に係る半導体レーザ素子を示す断面図である。
【
図31】
図31は、実施の形態10の変形例1に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、実質的に同一の構成に対する重複説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0013】
また、以下の実施の形態において、「80μm」等の数値を用いた表現を用いている。例えば、「80μm」とは、完全に80μmであることを意味するだけでなく、実質的に80μmである、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の数値を用いた表現についても同様である。
【0014】
また、以下の実施の形態において、「略同一」等の「略」を用いた表現を用いている。例えば、「略」とは、完全に同一であることを意味するだけでなく、実質的に同一である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0015】
また、以下の実施の形態において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではない。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。以下の実施の形態では、Z軸正方向を「上方」、及び、Z軸負方向を「下方」として説明する。また、半導体レーザ素子の共振器長方向をY軸方向とし、半導体レーザ素子がレーザ光を出射する方向を、Y軸正方向として説明する。
【0016】
また、以下の実施の形態では、半導体レーザ素子のみを示す図においては、基板に対して、基板に積層される半導体層側を上方として記載し、半導体レーザ素子がジャンクションダウン実装された状態を示す図においては、基板に積層される半導体層に対して、基板側を上方として記載している。
【0017】
また、以下の実施の形態では、「厚み」、及び「高さ」は、Z軸方向の長さを意味する。
【0018】
また、本開示は、以下の実施の形態において、n型とp型とを逆転させた構造を排除するものではない。本開示では、n型及びp型の一方を一導電型と呼称し、他方を他導電型と呼称している。
【0019】
(実施の形態1)
[構成]
まず、
図1及び
図2を参照して、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の構成について説明する。
【0020】
図1は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子100を示す断面図である。
図2は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200を示す断面図である。具体的には、
図2は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子100がサブマウント12にジャンクションダウン実装している半導体レーザ装置200を示す図である。つまり、
図2に示す半導体レーザ素子は、
図1に示す半導体レーザ素子100の上下を反転させた状態となっている。
【0021】
図2に示すように、半導体レーザ装置200は、半導体レーザ素子100と、サブマウント12と、を備える。
【0022】
半導体レーザ装置200は、サブマウント12等の基材にジャンクションダウン実装されている半導体レーザ素子100を備える装置である。
【0023】
半導体レーザ素子100は、基板1上に分離して形成された第1の発光素子領域81と第2の発光素子領域82とを含む、特にジャンクションダウン実装に適した半導体レーザ素子である。半導体レーザ素子100は、第1の発光素子領域81及び第2の発光素子領域82のそれぞれの発光点28から、レーザ光を出射する。本実施の形態では、半導体レーザ素子100は、複数のリッジ部16(言い換えると、リッジストライプ又は導波路)を有する半導体レーザアレイ素子である。本実施の形態では、半導体レーザ素子100は、それぞれが1つのリッジ部16を有する3つの発光素子領域81、82、83を含む。また、本実施の形態では、第2の発光素子領域82、第1の発光素子領域81、及び、第3の発光素子領域83は、この順に並んで配置されている。第2の発光素子領域82は、複数の発光素子領域8の並び方向において、最も外側(つまり、複数の発光素子領域8の端側)に配置されている。
【0024】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子100が備える複数の発光素子領域81、82、83をまとめて発光素子領域8と呼称する場合がある。また、特に区別しない限り、第1の発光素子領域81に位置するn型半導体層2aと、第2の発光素子領域82に位置するn型半導体層2bと、第3の発光素子領域83に位置するn型半導体層2cとをまとめてn型半導体層2と呼称する場合がある。また、特に区別しない限り、第1の発光素子領域81に位置する第1の電極膜10aと、第2の発光素子領域82に位置する第1の電極膜10bと、第3の発光素子領域83に位置する第1の電極膜10cとをまとめて第1の電極膜10と呼称する場合がある。また、特に区別しない限り、第1の発光素子領域81に位置する第2の電極膜11aと、第2の発光素子領域82に位置する第2の電極膜11bと、第3の発光素子領域83に位置する第2の電極膜11cとをまとめて第2の電極膜11と呼称する場合がある。
【0025】
図1に示すように、半導体レーザ素子100は、それぞれ、基板1と、積層構造体500と、絶縁膜(第2の絶縁膜)5と、n側電極(一導電型半導体層側電極)6と、p側電極(他導電型半導体層電極)7と、第1の電極膜10と、第2の電極膜11と、を備える。具体的には、半導体レーザ装置200は、複数の発光素子領域8を有し、複数の発光素子領域8のそれぞれは、基板1と、積層構造体500と、絶縁膜5と、n側電極6と、p側電極7と、第1の電極膜10と、第2の電極膜11と、を備える。
【0026】
なお、複数の発光素子領域8のそれぞれが有する基板1は、共通となっている。本実施の形態では、半導体レーザ素子100は、第1の発光素子領域81と、第2の発光素子領域82と、第3の発光素子領域83との3つの発光素子領域8を含む。なお、半導体レーザ素子100に含まれる発光素子領域8の数は、複数であればよく、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0027】
基板1は、積層構造体500が有するn型半導体層(一導電型半導体層)2と、活性層3と、p型半導体層(他導電型半導体層)4とを形成するための成長基板である。基板1の厚さは、例えば、80μm以上400μm以下である。これにより、基板1が反ることを抑制できる。
【0028】
また、基板1における、n型半導体層2、活性層3、p型半導体層4等の半導体層が形成される積層面とは反対側の面は、研磨面26となっている。言い換えると、基板1において、積層構造体500が形成された積層面と反対側の面は、研磨面26が露出している。
【0029】
研磨面26は、研磨された面であり、表面粗さの低い面である。これにより、研磨面26では、光の散乱が起こりにくくなる。そのため、基板1が可視域に透光性を有する部材であれば、基板1側から半導体レーザ素子100の内部が視認しやすくなる。
【0030】
積層構造体500は、n型半導体層2と、活性層3と、p型半導体層4と、を有する半導体層である。
【0031】
n型半導体層2は、基板1に積層して形成されている半導体層である。
【0032】
活性層3は、n型半導体層2に積層して形成されている、レーザ光を生成する半導体層である。
【0033】
p型半導体層4は、活性層3に積層して形成されている半導体層である。
【0034】
このように、n型半導体層2及びp型半導体層4は、活性層3を上下から挟むように基板1上に層状に配置されている。これにより、活性層3で生成されたレーザ光は、n型半導体層2及びp型半導体層4によって上下方向に閉じ込められている。
【0035】
絶縁膜5は、n型半導体層2、活性層3、及び、p型半導体層4等の半導体層が例えば
図2に示すサブマウント12等の部材と電気的に接続されないように絶縁するための膜である。絶縁膜5は、リッジ部16の側面から、p型半導体層4の平坦部16cにわたって連続的に形成されている。また、絶縁膜5は、p型半導体層4の平坦部16cから活性層3及びn型半導体層2の側壁部16bと、n型半導体層2の上面とにわたって形成されている。
【0036】
n側電極6は、n型半導体層2の上面と接触している電極である。n側電極6は、第1の電極膜10と接触している。
【0037】
p側電極7は、p型半導体層4のリッジ部16の上面と接触している電極である。p側電極7は、リッジ部16の上方において、第2の電極膜11と接触している。
【0038】
第1の電極膜10は、n側電極6と接触して形成されている金属膜である。
【0039】
第1の電極膜10の厚みは、例えば、0.5μm以上である。これにより、半導体レーザ素子100に印加する電圧を低減できる。そのため、第1の電極膜10における発熱を抑制でき、レーザ光の出力特性が向上、又は、レーザ光の出力が安定化する。
【0040】
第2の電極膜11は、p側電極7と接触して形成されている金属膜である。
【0041】
ここで、第1の発光素子領域81に位置する第1の電極膜10aと、第2の発光素子領域82に位置する第2の電極膜11bとは、電気的に接続されている。本実施の形態では、第1の発光素子領域81に位置する第1の電極膜10aと、第2の発光素子領域82に位置する第2の電極膜11bとは、1つの電極膜で連続して形成されている。つまり、第1の発光素子領域81のn型半導体層2a上に配置された第1の電極膜10aと、第2の発光素子領域82のp型半導体層4上に配置された第2の電極膜11bとは、連続した同一の膜である。
【0042】
このように、半導体レーザ素子100においては、隣り合う発光素子領域8における、第1の電極膜10と第2の電極膜11とは、電気的に接続されている。これにより、半導体レーザ素子100に含まれる複数の発光素子領域8は、電気的に直列接続される。
【0043】
また、半導体レーザ素子100は、隣り合う発光素子領域8の間に分離領域15を有する。
【0044】
分離領域15は、隣り合う発光素子領域8のそれぞれが有するn型半導体層2を分離するための領域である。分離領域15は、例えば、第1の発光素子領域81と第2の発光素子領域82との間に配置されており、第1の発光素子領域81のn型半導体層2aと第2の発光素子領域82のn型半導体層2bとを離間する。本実施の形態では、分離領域15は、基板1に設けられた溝である溝部9を有する。これにより、例えば、基板1が絶縁性であれば、隣り合う発光素子領域8におけるn型半導体層2は、第1の電極膜10及び第2の電極膜11を介してのみ電気的に接続される。溝部9には、絶縁膜5と、第1の発光素子領域81の第1の電極膜10a及び第2の発光素子領域82の第2の電極膜11bと一体に形成された電極膜とが順に積層されている。言い換えると、絶縁膜5及び電極膜は、第1の発光素子領域81、分離領域15及び第2の発光素子領域82にまたがって形成されている。
【0045】
また、半導体レーザ素子100は、突出構造体18を備える。
【0046】
突出構造体18は、サブマウント12に対して半導体レーザ素子100の高さを揃えるための突起部である。突出構造体18の基板1の積層面からの高さ(本実施の形態では、Z軸方向の長さ)は、発光素子領域8の基板1の積層面からの高さと同一となっている。突出構造体18は、例えば、複数の発光素子領域8の並び方向(本実施の形態では、X軸方向)において、複数の発光素子領域8よりも側端側(つまり、X軸方向の端部)に位置する。本実施の形態では、突出構造体18は、複数の発光素子領域8のうち、複数の発光素子領域8の並び方向において最も端に位置する第2の発光素子領域82の隣である、半導体レーザ素子100におけるX軸正方向側の端部に位置する。具体的には、突出構造体18は、第2の発光素子領域82に隣接して、第1の発光素子領域81とは反対側に基板1から突出して配置されている。
【0047】
このように、半導体レーザ素子100は、複数(より具体的には、3つ)の発光素子領域8を含み、第2の発光素子領域82は、複数の発光素子領域8の並び方向において、複数の発光素子領域8の最も端に位置する。そして、突出構造体18は、突出構造体18と複数の発光素子領域8との並び方向において、最も端に位置する。
【0048】
突出構造体18の基板1の積層面からの高さは、例えば、発光素子領域8の基板1の積層面からの高さと略同一である。
【0049】
また、突出構造体18は、絶縁膜5とn側電極6とに電気的に接続されている第3の電極膜19を有する。突出構造体18の表面に形成された絶縁膜5は、第2の発光素子領域82のn型半導体層2bの上面から分離領域15にわたって形成された絶縁膜5と連続して形成されており、突出構造体18の第2の発光素子領域82とは反対側の側面も被覆している。また、突出構造体18の表面(本実施の形態では、基板1とは反対側の面)に絶縁膜5を介して配置された第3の電極膜19と、第2の発光素子領域82のn型半導体層2bとは、電気的に接続されている。本実施の形態では、第3の電極膜19と、突出構造体18と隣り合う発光素子領域8に位置する第1の電極膜10とは、1つの電極膜として形成されている。具体的には、第3の電極膜19は、分離領域15上の電極膜と第2の発光素子領域82に位置する第1の電極膜10bと一体で形成されている。
【0050】
なお、本実施の形態では、突出構造体18には、後述する製造方法のために、発光素子領域8と同様に、積層構造体500が形成されている。突出構造体18は、積層構造体500を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0051】
図2に示すように、サブマウント12は、半導体レーザ素子100が実装される搭載面12aを有する基板である。具体的には、サブマウント12には、半導体レーザ素子100がジャンクションダウン実装される。より具体的には、半導体レーザ素子100は、サブマウント12における、金属膜13a、13b、13c、13dが形成されている搭載面(実装面)12aに、接合材14a、14b、14c、14bを介してジャンクションダウン実装される。
【0052】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、金属膜13a、13b、13c、13dをまとめて金属膜13と呼称する場合がある。また、特に区別しない限り、接合材14a、14b、14c、14dをまとめて接合材14と呼称する場合がある。
【0053】
サブマウント12の搭載面12aには、複数の金属膜13が形成されている。半導体レーザ素子100は、サブマウント12の搭載面12aに形成されている複数の金属膜13と第2の電極膜11及び第3の電極膜19とが接合材14を介して接続されるように、サブマウント12の搭載面12aにジャンクションダウン実装されている。
【0054】
サブマウント12の搭載面12aには、金属膜13と、接合材14と、が配置されている。
【0055】
金属膜13は、サブマウント12上に配置されている金配線パターンである。例えば、金属膜13a、13dのボンディング面12bには、外部からの電力の供給を受け付けるための図示しない金属ワイヤが接続される。半導体レーザ素子100には、当該金属ワイヤを介して電力が供給される。
【0056】
また、金属膜13a、13b、13c、13dは、それぞれが互いに接触しておらず、電気的に独立して形成されている。例えば、金属膜13aは、接合材14aを介して第3の発光素子領域83と接続されている。具体的には、金属膜13aは、接合材14aによって第2の電極膜11cと接合されることにより第3の発光素子領域83と電気的に接続され、且つ、第3の発光素子領域83に接着されている。また、金属膜13bは、接合材14bを介して第1の発光素子領域81と接続されている。また、金属膜13cは、接合材14cを介して第2の発光素子領域82と接続されている。また、金属膜13dは、接合材14dと第3の電極膜19とが接合することにより突出構造体18と接続されている。このように、サブマウント12に形成されている複数の金属膜13は、半導体レーザ素子100が備える複数の発光素子領域8の数よりも突出構造体18の数だけ多い。また、複数の発光素子領域8は、例えば、それぞれ互いに異なる金属膜13に接続されている。
【0057】
なお、金属膜13a、13dは、例えば、サブマウント12における半導体レーザ素子100が実装される搭載面12aから、搭載面12aとは反対側の裏面に向けてサブマウント12を貫通するビア電極と接続されて、裏面の電極と接続されてもよい。つまり、金属膜13a、13dは、サブマウント12の表面で配線として引き回されていない電極でもよい。また、ビア電極と接続されるのは、金属膜13a、13dの一方だけでもよく、例えば、金属膜13dのみがビア電極と接続されてもよい。
【0058】
また、複数の金属膜13は、例えば、半導体レーザ素子100が備える複数の発光素子領域8の数よりも1つ多い。本実施の形態では、半導体レーザ素子100が備える複数の発光素子領域8の数は3であり、複数の金属膜13の数は4である。複数の発光素子領域8は、例えば、それぞれ互いに異なる金属膜13に接続されている。複数の発光素子領域8と接続されていない金属膜13は、突出構造体18(具体的には、第3の電極膜19)と接続されている。本実施の形態では、半導体レーザ素子100は、3つの発光素子領域8を有する。サブマウント12の搭載面12aに形成されている金属膜13は、4つである。
【0059】
接合材14は、半導体レーザ素子100とサブマウント12とを接続するための部材である。より具体的には、接合材14は、金属膜13と、n側電極6又はp側電極7とを電気的に接続し、且つ、接着する。
【0060】
接合材14は、例えば、半田である。
【0061】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200は、基板1上に分離して形成された第1の発光素子領域81と第2の発光素子領域82とを含む、ジャンクションダウン実装用の半導体レーザ素子100を備える半導体レーザ装置である。半導体レーザ素子100は、第1の発光素子領域81及び第2の発光素子領域82の各々が、n型半導体層2と活性層3とp型半導体層4とがこの順に積層された積層構造体500を有する。第1の発光素子領域81は、n型半導体層2上に配置された第1の電極膜10を有する。第2の発光素子領域82は、p型半導体層4上に配置された第2の電極膜11を有する。第1の電極膜10aと第2の電極膜11bとは、電気的に接続されている。
【0062】
このような構成によれば、複数の発光素子領域8は、電気的に直列接続される。そのため、半導体レーザ装置200の駆動電流は、複数の発光素子領域8が並列接続されている場合と比較して、抑制される。
【0063】
また、半導体レーザ素子100は、複数の発光点28を有する。これにより、半導体レーザ装置200は、大きな光出力のレーザ光を出力できる。
【0064】
また、半導体レーザ装置200において、半導体レーザ素子100はサブマウント12にジャンクションダウン実装される。これにより、半導体レーザ素子100がジャンクションアップ実装されている場合と比較して、放熱性が向上される。
【0065】
また、本実施の形態では、隣り合う発光素子領域8における、一方のn側電極6と他方のp側電極7とが、1枚の金属膜13によって電気的に接続されている。具体的に例えば、第1の発光素子領域81のn型半導体層2a上に配置された第1の電極膜10aと、分離領域上15の電極膜と、第2の発光素子領域82のp型半導体層4上に配置された第2の電極膜11bとは、連続した同一の膜である。
【0066】
なお、発光素子領域8は、例えば、断面視した場合に、基板1および積層構造体500において、n型半導体層2の最大幅で規定される領域である。分離領域15は、例えば、断面視した場合に、n型半導体層2が分離された領域であって、基板1に形成された溝部9の開口幅で規定される領域である。また、例えば、発光素子領域8の第1の電極膜10および第2の電極膜11は、断面視した場合に、積層構造体500の上面上及び側面上に位置する電極膜である。また、基板1に設けられた溝部9の底面上および側面上に位置する電極膜は、分離領域15の電極膜である。また、断面視した場合に、積層構造体500の上面上及び側面上に位置する第2の絶縁膜5は、発光素子領域8の第2の絶縁膜5である。また、基板1に設けられた溝部9の底面上および側面上に位置する第2の絶縁膜5は、分離領域15の第2の絶縁膜5である。
図1に示す発光素子領域8および分離領域15は、基板1および積層構造体500における領域を示す。以降の図においても発光素子領域と分離領域は、基板および積層構造体の領域を示す。
【0067】
従来、サブマウント12の搭載面12aに形成された隣り合う金属膜13の間隔が小さいため、半導体レーザ素子100の幅方向(本実施の形態では、X軸方向)の実装ずれが発生した場合、隣り合う金属膜13がショートする問題がある。
【0068】
また、昨今、例えば、半導体レーザ装置200が用いられる材料加工分野では、加工スピード向上の観点から、レーザ光に求められる光出力は増大している。ワットクラスの光出力を得ようとする場合、レーザ光の共振器長を長くする必要がある。つまり、半導体レーザ素子100におけるレーザ光の出射方向(本実施の形態では、Y軸方向)を長くすることで共振器長を長くする必要がある。共振器長を長くすると、実装ずれにより、隣り合う金属膜13が接合材14によってさらにショートしやすくなる。
【0069】
また、単一の発光点28のみを有する従来の半導体レーザ装置では、数十から数百ワットクラスの高い光出力を得ることが難しい。
【0070】
そこで、本開示に係る半導体レーザ装置200は、n側電極6と、隣接する発光素子領域8のp側電極7とが、半導体レーザ素子100上で電気的に接続されている。
【0071】
そのため、複数の発光素子領域8に位置する電極膜のうちn側電極6上を覆っている部分を、サブマウント12上の金属膜13と接触させることなく、全ての発光素子領域8に通電させることができる。
【0072】
また、このような構成によれば、n側電極6及びp側電極7の両方をサブマウント12に形成された金属膜13と直接接続する必要がないことから、金属膜13の間隔を広くすることができる。そのため、実装ずれに対して隣り合う金属膜13がショートしにくい構成が実現できる。
【0073】
また、p側電極7とn側電極6との高さの差を補償する接合部材が不要となる。これにより、コストダウンが可能となる。
【0074】
また、例えば、第1の電極膜10aと第2の電極膜11bとを電気的に接続するために、ワイヤボンディングをする必要がなくなる。そのため、半導体レーザ装置200は、第1の電極膜10aと第2の電極膜11bとをワイヤボンディングで電気的に接続する場合より低コストで製造され得る。
【0075】
また、例えば、第1の発光素子領域81と第2の発光素子領域82との間には、第1の発光素子領域81のn型半導体層2aと第2の発光素子領域82のn型半導体層2bとが離間された分離領域15が配置される。
【0076】
このような構成によれば、n型半導体層2を介した隣接する発光素子領域8への電流漏れを防止できる。
【0077】
また、例えば、第2の発光素子領域82に隣接して、第1の発光素子領域81とは反対側に基板1から突出した突出構造体18が配置されている。本実施の形態では、半導体レーザ素子100は、複数(より具体的には、3つ)の発光素子領域8を含み、第2の発光素子領域82は、複数の発光素子領域8の並び方向において、複数の発光素子領域8の最も端に位置する。突出構造体18は、突出構造体18と複数の発光素子領域8との並び方向において、最も端に位置する。突出構造体18の基板1(より具体的には、積層面)からの高さは、例えば、第2の発光素子領域82の基板1からの高さと略同一である。突出構造体18の表面(本実施の形態では、基板1とは反対側の面)に配置された第3の電極膜19と、第2の発光素子領域82のn型半導体層2bとは、電気的に接続されている。
【0078】
このような構成によれば、半導体レーザ素子100をサブマウント12に実装する際に、第2の発光素子領域82のn側電極6とサブマウント12上の金属膜13とを電気的に接続するために、Z軸方向のギャップを補償するAuバンプ等の追加部材が不要となるため、簡単に実装することができる。
【0079】
また、例えば、突出構造体18は、第2の発光素子領域82に隣接して、第1の発光素子領域81とは反対側にのみ配置されている。具体的例えば、突出構造体18は、第2の発光素子領域82に隣接して半導体レーザ素子100に形成されており、第1の発光素子領域81とは、複数の発光素子領域8の並び方向において反対側にのみ配置されている。
【0080】
例えば、突出構造体18は、複数の発光素子領域8の並び方向にであって、複数の発光素子領域8の両端に隣接して配置されていてもよい。しかしながら、突出構造体18の基板1からの高さが第2の発光素子領域82の基板1からの高さと略同一であれば、突出構造体18は、第2の発光素子領域82に隣接して、第1の発光素子領域81とは反対側にのみ配置されていれば、第2の発光素子領域82のn側電極6とサブマウント12上の金属膜13とを電気的に接続することができるため、複数の発光素子領域8の両端に突出構造体18を配置する場合に対して、半導体レーザ素子100のサイズを小さくすることができる。これにより、半導体レーザ素子100の構造を簡素化できる。
【0081】
また、例えば、半導体レーザ装置200は、複数の金属膜13(具体的には、金属膜13b(第1の金属膜)及び金属膜13c(第2の金属膜))が形成された搭載面12aを有するサブマウント12をさらに備える。半導体レーザ素子100は、例えば、第1の発光素子領域81と第2の発光素子領域82とが、それぞれ金属膜13bと金属膜13cとに接合されている。つまり、半導体レーザ素子100は、例えば、サブマウント12の搭載面12aにジャンクションダウン実装されており、第2の電極膜11aは金属膜13bと接合されており、且つ、第2の電極膜11bは金属膜13cと接合されている。
【0082】
このような構成によれば、半導体レーザ素子100がサブマウント12にジャンクションダウン実装されることで、レーザ駆動時(発光時)に半導体レーザ素子100から発せられる熱を効率的にサブマウント12へ放熱することができる。そのため、半導体レーザ装置200の光学特性(レーザ特性)が安定化する。また、半導体レーザ装置200における半導体レーザ素子100の発熱による故障等を抑制できる。つまり、半導体レーザ装置200の信頼性が向上される。
【0083】
また、例えば、半導体レーザ素子100は、第1の発光素子領域81と第2の発光素子領域とを含む複数の発光素子領域8を有する。また、例えば、サブマウント12は、金属膜13bと金属膜13cとを含む複数の金属膜13を有する。複数の発光素子領域8の各々は、例えば、複数の金属膜13の各々に接続されている。また、例えば、複数の発光素子領域がn(nは2以上の自然数)個のとき、複数の金属膜13はn+1個である。
【0084】
半導体レーザ素子100において、サブマウント12と接触する箇所は、発光素子領域8及び突出構造体18である。そのため、サブマウント12に形成される金属膜13を半導体レーザ素子100が備える複数の発光素子領域8の数よりも1つ多くすることで、複数の発光素子領域8と突出構造体18とをそれぞれ互いに異なる金属膜13に接続することができる。
【0085】
また、例えば、基板1の第1の発光素子領域81及び第2の発光素子領域82が形成された面と反対側の面は、研磨面26が露出している。
【0086】
このような構成によれば、例えば、基板1に窒化ガリウムのような透明な基板を採用することで、活性層3における発光状態の目視による観察が容易になる。
【0087】
また、例えば、第1の電極膜10の厚みは、0.5μm以上である。
【0088】
このような構成によれば、半導体レーザ素子100の駆動電圧をさらに抑制できる。そのため、第1の電極膜10の発熱を抑制できる。これにより、半導体レーザ素子100のレーザ特性が向上する。或いは、半導体レーザ素子100のレーザ特性が安定化する。また、金属膜13が発熱することで溶断することを抑制できる。
【0089】
また、例えば、基板1の厚さは、80μm以上400μm以下である。
【0090】
このような構成によれば、半導体レーザ素子100の反りを低減することができるため、各発光素子領域8のサブマウント12との接合材14の厚みを均一にすることができる。これにより、各発光素子領域8において放熱性が均一になることから、各発光素子領域8のレーザ特性を均一化させることができる。
【0091】
また、サブマウント12の搭載面12aに対して各発光点28の高さの差を小さくできるため、例えば、半導体レーザ装置200から出射された複数のレーザ光を、それぞれ図示しないレンズ等の光学部材と結合させやすくなる。
【0092】
[変形例]
続いて、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の変形例について説明する。なお、以下で説明する変形例においては、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200が備える各構成要素との差異点を中心に説明し、同一の構成要素については、説明を簡略化又は省略する場合がある。
【0093】
<変形例1>
図3は、実施の形態1の変形例1に係る半導体レーザ素子101を示す断面図である。実施の形態1の変形例1に係る半導体レーザ装置は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200とは、半導体レーザ素子100の構造のみが異なる。
【0094】
具体的には、
図3に示すように、半導体レーザ素子101は、突出構造体18aを備える点が、半導体レーザ素子100と異なる。より具体的には、半導体レーザ素子101は、上面視でレーザ光を出射する方向に直交する方向の両側に、2つの突出構造体18、18aを備える。本実施の形態では、半導体レーザ素子101は、X軸正方向側の一端に突出構造体18を備え、X軸負方向側に突出構造体18aを備える。突出構造体18aには、突出構造体18と同様に、絶縁膜5、及び第3の電極膜19aが形成されている。突出構造体18aの表面に形成された絶縁膜5は、第3の発光素子領域83のp型半導体層4の上面から分離領域15にわたって形成された絶縁膜5と連続して形成されており、突出構造体18aの第3の発光素子領域83とは反対側の側面も被覆している。突出構造体18aの表面に絶縁膜5を介して形成された第3の電極膜19aは、第3の発光素子領域83の第2の電極膜11cと連続して形成されている。第3の電極膜19aは、サブマウント12(例えば、
図2参照)に形成された図示しない金属膜と接続される。そのため、この場合、サブマウント12には、複数の発光素子領域の数と、突出構造体18、18aの数とをあわせた数(本実施の形態では5つ)だけ金属膜13(例えば、
図2参照)が形成される。言い換えると、複数の発光素子領域がn個の場合、金属膜13はn+2個となる。但し、第3の発光素子領域83に接続される金属膜と、第3の発光素子領域83に隣接する突出構造体18aに接続される金属膜とは、分離しない一つの金属膜であってもよい。第3の発光素子領域83において、p側電極7に接続する第2の電極膜11cは、n側電極6に接続する第1の電極膜10cよりも突出構造体18aに近くなるように配置されている。
【0095】
このような構成によれば、半導体レーザ素子101をサブマウント12にジャンクションダウン実装した際に、2つの突出構造体18、18aによって半導体レーザ素子101の両端部の高さが揃いやすくなるため、傾きにくくなる。これにより、複数の発光点28における高さ方向の位置ずれが生じにくくなる。
【0096】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2に係る半導体レーザ装置について説明する。なお、実施の形態2に係る半導体レーザ装置の説明においては、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200との差異点を中心に説明し、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0097】
[構成]
図4は、実施の形態2に係る半導体レーザ素子102を示す断面図である。
図5は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置202を示す断面図である。
【0098】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子102が備える複数の発光素子領域81a、82a、83aをまとめて発光素子領域8aと呼称する場合がある。
【0099】
図4及び
図5に示すように、半導体レーザ装置202が備える半導体レーザ素子102は、
図1及び
図2に示す半導体レーザ素子100の構成に加えて、さらに、絶縁膜(第1の絶縁膜)5aを備える。具体的には、複数の発光素子領域8aは、それぞれ絶縁膜5aをさらに備える点が、発光素子領域8と異なる。また、分離領域15aには、発光素子領域8aから連続して絶縁膜5aが形成されている点が、分離領域15と異なる。
【0100】
絶縁膜5aは、複数の発光素子領域8aそれぞれの第1の電極膜10上に配置される絶縁性を有する膜である。本実施の形態では、絶縁膜5aは、第1の発光素子領域81aの積層構造体500のn側電極6側の側面に配置された絶縁膜5から、第1の発光素子領域81aの第1の電極膜10aと、分離領域15の電極膜と、第2の発光素子領域82の第2の電極膜11bの一部までを連続して覆う。より具体的には、絶縁膜5aは、第1の発光素子領域81aの第1の電極膜10a上から、第2の発光素子領域82aに位置する第2の電極膜11bの側面部11dまでを連続して覆う。第1の発光素子領域81aにおいて、絶縁膜5aは、第1の電極膜10aを完全に被覆し、且つ、n側電極6とp側電極7との間の活性層3を含む半導体層の側面上の絶縁膜5に接している。絶縁膜5aは、第2の発光素子領域82の第2の電極膜11bの上面、及び、第1の発光素子領域81の第2の電極膜11aの上面は覆わない。
【0101】
また、絶縁膜5aは、第2の発光素子領域82aの積層構造体500のn側電極6側の側面に配置された絶縁膜5から、第2の発光素子領域82aの第1の電極膜10上と、分離領域15上の電極膜と、第3の電極膜19の第2の発光素子領域82a側の側面部とまでを連続して覆う。絶縁膜5aは、突出構造体18の第3の電極膜19の上面は覆わない。
【0102】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態2に係る半導体レーザ装置202では、第1の発光素子領域81aの第1の電極膜10a上に絶縁膜5aが配置されている。また、絶縁膜5aは、上面視したときに、分離領域15a上及び第1の発光素子領域81aのn型半導体層2a上に位置する第1の電極膜10aと重なる位置に配置されている。
【0103】
このような構成によれば、
図5に示すように、半導体レーザ素子102をサブマウント12にジャンクションダウン実装した際に、接合材14がn側電極6に向かって移動した場合においても、接合材14とn側電極6とが接触して電気的に接続されることを抑制できる。
【0104】
[変形例]
続いて、実施の形態2に係る半導体レーザ装置の変形例について説明する。なお、以下で説明する変形例においては、実施の形態2に係る半導体レーザ装置202が備える各構成要素との差異点を中心に説明し、同一の構成要素については、説明を簡略化又は省略する場合がある。
【0105】
<変形例1>
図6は、実施の形態2の変形例1に係る半導体レーザ装置203を示す断面図である。
【0106】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子103が備える複数の発光素子領域81b、82b、83bをまとめて発光素子領域8bと呼称する場合がある。
【0107】
図6に示すように、半導体レーザ素子103は、絶縁膜(第1の絶縁膜)5bを備える。
【0108】
絶縁膜5bは、第1の発光素子領域81bの第1の電極膜10上に配置される絶縁性を有する膜である。
【0109】
変形例1では、絶縁膜5bは、絶縁膜5aと異なり、第3の発光素子領域83bの積層構造体500のn側電極6側の側面に配置された絶縁膜5から、第3の発光素子領域83bの第1の電極膜10cと、分離領域15を介して第2の発光素子領域82bに位置する第2の電極膜11bの全体までを連続して覆う。より具体的には、絶縁膜5bは、第1の発光素子領域81bの第1の電極膜10a、及び、第2の発光素子領域82bに位置する第2の電極膜11bの全体を完全に連続して覆う。
【0110】
また、変形例1では、絶縁膜5bは、サブマウント12と接続して、外部から電力が印加される、複数の発光素子領域8bの並び方向における一方の側端に位置する発光素子領域8b(本実施の形態では、第3の発光素子領域83b)のn側電極6と接触している第1の電極膜10cから、外部から電力が印加される側端に位置する、複数の発光素子領域8bの並び方向における他方の側端に位置する突出構造体18に位置する第3の電極膜19の一部までを連続して覆う。なお、複数の発光素子領域8bの並び方向における一方の側端に位置する第3の発光素子領域83bにおいて、絶縁膜5bは、第1の電極膜10cを完全に被覆し、かつ、n側電極6とp側電極7との間の活性層3を含む半導体層の側面上の絶縁膜5に接している。
【0111】
このような構成によれば、
図6に示すように、半導体レーザ素子103をサブマウント12にジャンクションダウン実装した際に、接合材14eがn側電極6に向かって移動した場合においても、接合材14eとn側電極6とが接触して電気的に接続されることをさらに抑制できる。
【0112】
また、複数の発光素子領域8bのそれぞれが備えるp側電極7のうち、1つのp側電極7のみが金属膜13eと電気的に接続されることになる。そのため、例えば、
図6に示すように、サブマウント12の搭載面12aに形成される金属膜13eのように、複数の発光素子領域8bの下方に位置する金属膜13eは、連続して、つまり、1つの金属膜13eとしてサブマウント12の搭載面12aに形成されてもよい。
【0113】
また、接合材14eは、例えば、
図5に示す接合材14a~14cのように、発光素子領域8bごとにそれぞれ分離している必要はなく、
図6に示すように、1つの接合材14eで複数の発光素子領域8bをサブマウント12に接続してもよい。
【0114】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3に係る半導体レーザ装置について説明する。なお、実施の形態3に係る半導体レーザ装置の説明においては、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200との差異点を中心に説明し、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0115】
[構成]
図7は、実施の形態3に係る半導体レーザ素子104を示す断面図である。
図8は、実施の形態3に係る半導体レーザ装置204を示す断面図である。
【0116】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子104が備える複数の発光素子領域81c、82c、83cをまとめて発光素子領域8cと呼称する場合がある。
【0117】
半導体レーザ素子104は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子100とは、p型半導体層4aの形状が異なる。
【0118】
p型半導体層4aは、上方に突出した突出部17を備える。半導体レーザ素子104がサブマウント12にジャンクションダウン実装された場合には、突出部17は、サブマウント12に向かって突出している。本実施の形態では、p型半導体層4aには、1つの発光素子領域8cにおいて2つの突出部17がp型半導体層4aの両端に形成されている。
【0119】
突出部17は、p型半導体層4aにおいて基板1とは反対方向に突出した突出部分である。突出部17は、半導体レーザ素子104の共振方向(本実施の形態では、Y軸方向)に延在して形成されている。
【0120】
また、突出部17は、Y軸方向に直交する方向で半導体レーザ素子104を断面視した場合に、リッジ部16を挟むように2つ形成されている。言い換えると、2つの突出部17は、上面視において、リッジ部16を挟むように形成されている。
【0121】
絶縁膜(第2の絶縁膜)5cは、p側電極7を覆わずにp型半導体層4aを覆う、絶縁性を有する膜である。絶縁膜5cは、p型半導体層4aの形状に沿って形成されている。
【0122】
第2の電極膜11eは、p側電極7と接触して形成される電極である。第2の電極膜11eは、絶縁膜5cの形状に沿って、つまり、p型半導体層4aの形状に沿って、絶縁膜5c上に形成されている。
【0123】
そのため、第2の電極膜11eには、基板1側へ向けて凹んだ溝部9bが形成されることとなる。つまり、突出部17が設けられることで、リッジ部16と突出部17との間には、溝部9bによる空間が設けられることとなる。
【0124】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態3に係る半導体レーザ素子104において、第1の発光素子領域81cのp型半導体層4aにはリッジ部16が配置され、第1の発光素子領域81cにおいて、リッジ部16の側方には、具体的には、上面視でリッジ部16を挟むように、リッジ部16と離間して突出部17が2つ配置される。
【0125】
突出部17が設けられることで、リッジ部16と突出部17との間には、溝部9bによる空間が設けられることとなる。そのため、半導体レーザ素子104をサブマウント12にジャンクションダウン実装した場合に、接合材14の一部は、リッジ部16と突出部17との間に位置する空間に移動される。これにより、半導体レーザ素子104をサブマウント12にジャンクションダウン実装した場合に、接合材14は、第1の電極膜10に向かって移動しにくくなる。これにより、接合材14は、半導体レーザ素子104をサブマウント12に実装した際に、第1の電極膜10と接触しにくくなる。
【0126】
[変形例]
続いて、実施の形態3に係る半導体レーザ装置の変形例について説明する。なお、以下で説明する変形例においては、実施の形態3に係る半導体レーザ装置204が備える各構成要素との差異点を中心に説明し、同一の構成要素については、説明を簡略化又は省略する場合がある。
【0127】
<変形例1>
図9は、実施の形態3の変形例1に係る半導体レーザ素子105を示す断面図である。
図10は、実施の形態3の変形例1に係る半導体レーザ装置205を示す断面図である。
【0128】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子105が備える複数の発光素子領域81d、82d、83dをまとめて発光素子領域8dと呼称する場合がある。
【0129】
実施の形態3の変形例1に係る半導体レーザ素子105においては、例えば、
図9に示すように、突出部17aは、p型半導体層4aの両端において、絶縁膜(第2の絶縁膜)5dに形成されている。
【0130】
このような構成によれば、実施の形態3に係る半導体レーザ素子104が有する第2の電極膜11eと同様に、半導体レーザ素子105が有する第2の電極膜11eには、基板1側へ向けて凹んだ溝部9bが形成されることとなる。
【0131】
以上のように、第2の電極膜11eに、基板1側へ向けて凹んだ溝部9bが形成されることで、接合材14は、半導体レーザ素子105をサブマウント12に実装した際に、第1の電極膜10と接触しにくくなる。
【0132】
なお、第2の電極膜11eに基板1側へ向けて凹んだ溝部9bが形成されればよく、第2の電極膜11eに直接凹部を形成する、又は、第2の電極膜11eの一部を厚くすることで、第2の電極膜11eに突出部を形成してもよい。
【0133】
<変形例2>
図11は、実施の形態3の変形例2に係る半導体レーザ素子106を示す断面図である。
図12は、実施の形態3の変形例2に係る半導体レーザ装置206を示す断面図である。
【0134】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子106が備える複数の発光素子領域81e、82e、83eをまとめて発光素子領域8eと呼称する場合がある。
【0135】
実施の形態3の変形例2に係る半導体レーザ素子106においては、突出部17は、p型半導体層4bの片側にのみ形成されている。
【0136】
具体的には、第1の発光素子領域81eにおいて、第2の電極膜11fと第1の電極膜10との間に突出部17が配置される。言い換えると、突出部17は、上面視した場合に、発光素子領域8eにおけるn側電極6とp側電極7との間に配置されている。
【0137】
このように、第1の発光素子領域81eは、n型半導体層2上に配置されたn側電極6と、p型半導体層4b上に配置されたp側電極7を備える。ここで、第1の発光素子領域81eにおいて、n側電極6とp側電極7との間に突出部17が配置されている。
【0138】
以上のように、第2の電極膜11eには、基板1側へ向けて凹んだ溝部9bが形成されることで、接合材14は、半導体レーザ素子103をサブマウント12に実装した際に、第1の電極膜10と接触しにくくなる。特に、変形例2のように、第2の電極膜11fと第1の電極膜10との間に突出部17が配置されることで、接合材14は、半導体レーザ素子106をサブマウント12に実装した際に、第1の電極膜10と接触しにくくなる。
【0139】
<変形例3>
図13は、実施の形態3の変形例3に係る半導体レーザ素子107を示す断面図である。
図14は、実施の形態3の変形例3に係る半導体レーザ装置207を示す断面図である。
【0140】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子107が備える複数の発光素子領域81f、82f、83fをまとめて発光素子領域8fと呼称する場合がある。
【0141】
実施の形態3の変形例3に係る半導体レーザ素子107においては、突出部17aは、絶縁膜(第2の絶縁膜)5fの片側にのみ形成されている。具体的には、変形例2と同様に、第1の発光素子領域81fにおいて、第2の電極膜11fと第1の電極膜10との間に突出部17aが配置される。言い換えると、突出部17aは、上面視した場合に、発光素子領域8fにおけるn側電極6とp側電極7との間に配置されている。
【0142】
以上のように、第2の電極膜11fには、基板1側へ向けて凹んだ溝部9bが形成されることで、接合材14は、半導体レーザ素子107をサブマウント12に実装した際に、第1の電極膜10と接触しにくくなる。特に、第2の電極膜11fと第1の電極膜10との間に突出部17aが配置されることで、接合材14は、半導体レーザ素子107をサブマウント12に実装した際に、第1の電極膜10と接触しにくくなる。
【0143】
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4に係る半導体レーザ装置について説明する。なお、実施の形態4に係る半導体レーザ装置の説明においては、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200との差異点を中心に説明し、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0144】
[構成]
図15は、実施の形態4に係る半導体レーザ装置208における、半導体レーザ素子108をサブマウント12にジャンクションダウン実装する様子を示す断面図である。
図16は、実施の形態4に係る半導体レーザ装置208を示す断面図である。
図17は、実施の形態4に係る半導体レーザ装置208にワイヤ400を接続した状態を示す断面図である。
【0145】
実施の形態4に係る半導体レーザ装置208は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200とは、サブマウント12の搭載面12aに形成される金属膜33a、33b、33c、33dの構造が異なる。
【0146】
金属膜(金属膜パターン)33a、33b、33c、33dは、例えば
図2に示す金属膜13と同様に、サブマウント12の搭載面12aに形成される電極パターンである。
【0147】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、金属膜33a、33b、33c、33dをまとめて金属膜33と呼称する場合がある。
【0148】
サブマウント12の搭載面12aには、金属膜33が複数形成されている。金属膜33は、金属膜13とは異なり、複数の金属層を有する。具体的には、金属膜33は、密着層20と、第1のバリア層21と、第1の接触層22と、第2のバリア層23と、第2の接触層24と、を有する。より具体的には、複数の金属膜33の各々は、搭載面12a側から順に膜厚0.1μmのTiからなる密着層20、膜厚0.2μmのPtからなる第1のバリア層21、膜厚0.5μmのAuからなる第1の接触層22、膜厚0.3μmのPtからなる第2のバリア層23、及び、膜厚0.3μmのAuからなる第2の接触層24の順で積層されている。
【0149】
密着層20は、第1のバリア層21をサブマウント12に接続しやすくするための層である。密着層20は、例えば、Tiを含む金属層である。
【0150】
第1のバリア層21は、半導体レーザ素子108をサブマウント12にジャンクションダウン実装する際に、金属の拡散を抑制するための層である。第1のバリア層21は、例えば、Ptを含む金属層である。
【0151】
第1の接触層22は、導電性を有するワイヤ400をボンディング面22bにおいて接続しやすくするための層である。第1の接触層22は、例えば、Auを含む金属層である。
【0152】
第2のバリア層23は、半導体レーザ素子108をサブマウント12にジャンクションダウン実装する際に、接合材14が第1の接触層22と接触するのを抑制するための層である。第2のバリア層23は、例えば、Ptを含む金属層である。
【0153】
第2の接触層24は、接合材14を接続しやすくするための層である。第2の接触層24は、例えば、Auを含む金属層である。
【0154】
ここで、第1の発光素子領域81の端面(言い換えると、半導体レーザ素子108の光出射面)側から見た断面(つまり、
図15に示す断面)において、第1の発光素子領域81のp型半導体層4と接続する複数の金属膜33のうちの1つは、p型半導体層4の幅よりも大きな幅の第2のバリア層23及び第2の接触層24と、第2のバリア層23及び第2の接触層24の幅よりも大きな幅の密着層20、第1のバリア層21及び第1の接触層22と、を有する。なお、ここでいう幅とは、X軸方向の長さであり、両端部とは、X軸正方向及びX軸負方向の端部である。
【0155】
また、発光素子領域8の端面側から見た断面において、第2のバリア層23の及び第2の接触層24の両端部は、p型半導体層4の両端部の外側に配置されている。
【0156】
また、密着層20、第1のバリア層21、及び、第1の接触層22の両端部は、第2のバリア層23及び第2の接触層24の両端部の外側に配置されている。
【0157】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態4に係る半導体レーザ装置208は、複数の金属膜33の各々は、密着層20、第1のバリア層21、第1の接触層22、第2のバリア層23、及び、第2の接触層24が搭載面12a側からこの順で積層された金属積層膜を有する。第1の発光素子領域81の端面(レーザ出射端面)側から第1の発光素子領域81を断面視したときに、第1の発光素子領域81のp型半導体層4と接続する複数の金属膜33の内の一つは、p型半導体層4の幅よりも大きな幅の第2のバリア層23及び第2の接触層24と、第2のバリア層23及び第2の接触層24の幅よりも大きな幅の密着層20と、第1のバリア層21及び第1の接触層22とを有する。第2のバリア層23及び第2の接触層24の両端部は、それぞれp型半導体層4の両端部の外側に配置される。密着層20、第1のバリア層21、及び、第1の接触層22の両端部は、それぞれ第2のバリア層23及び第2の接触層24の両端部と一致する、又は、両端部の外側に位置するように配置される。
【0158】
このような構成によれば、最も外側に位置する接合材14は、第2のバリア層23より外側には広がらないため、サブマウント12、密着層20、第1のバリア層21、及び、第1の接触層22の幅を広くすることなく第1の接触層22のボンディング面22bにワイヤ400をワイヤボンディングすることが可能となる。そのため、サブマウント12のコストダウンが可能となる。
【0159】
(実施の形態5)
続いて、実施の形態5に係る半導体レーザ装置について説明する。なお、実施の形態5に係る半導体レーザ装置の説明においては、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200との差異点を中心に説明し、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0160】
[構成]
図18は、実施の形態5に係る半導体レーザ装置209における、半導体レーザ素子109をサブマウント12cにジャンクションダウン実装する様子を示す断面図である。
図19は、実施の形態5に係る半導体レーザ装置209を示す断面図である。
【0161】
半導体レーザ装置209は、半導体レーザ素子109と、サブマウント12cと、金属膜34a、34b、34c、34dと、接合材14と、を備える。
【0162】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、金属膜34a、34b、34c、34dをまとめて金属膜34と呼称する場合がある。
【0163】
サブマウント12cは、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200が備えるサブマウント12と、凹部25a、25b、25cを有する点が異なる。
【0164】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、凹部25a、25b、25cをまとめて凹部25と呼称する場合がある。
【0165】
凹部25は、サブマウント12cの搭載面12aに形成された窪み部である。凹部25は、第1の発光素子領域81のn型半導体層2上に配置された第1の電極膜10と対向する位置に設けられている。また、凹部25は、分離領域15にも対向して設けられている。具体的には、半導体レーザ素子109は、凹部25の上方に第1の電極膜10及び分離領域15が位置するように、サブマウント12cにジャンクションダウン実装されている。
【0166】
金属膜34は、凹部25に対して半導体レーザ素子109に向けて突出している凸部40の上面に設けられている。また、金属膜34の一部は、凹部25の側面25dを覆う。本実施の形態では、金属膜34の端部は、凹部25の側面25dに沿って凹部25の底部に到達している。
【0167】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態5に係る半導体レーザ装置209において、搭載面12aは、第1の発光素子領域81のn型半導体層2上に配置された第1の電極膜10と対向する位置に、凹部25が形成されている。凹部25の側面25dには、金属膜34が形成されている。
【0168】
このような構成によれば、凹部25を形成している側面25dに金属膜34を形成していることで、半導体レーザ素子109をサブマウント12cにジャンクションダウン実装した際に、凸部40からはみ出した接合材14が凹部25へ進むため、接合材14の半導体レーザ素子109側への移動を抑制できる。そのため、発光素子領域8においてp側とn側との接合材14によるショートを抑制できる。
【0169】
なお、金属膜34は、金属膜34同士が互いに離間して絶縁されていれば、凹部25の底部を覆っていてもよい。
【0170】
(実施の形態6)
続いて、実施の形態6に係る半導体レーザ装置について説明する。なお、実施の形態6に係る半導体レーザ装置の説明においては、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200との差異点を中心に説明し、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0171】
[構成]
図20は、実施の形態6に係る半導体レーザ素子110を示す断面図である。
図21は、実施の形態6に係る半導体レーザ装置210を示す断面図である。
【0172】
実施の形態6に係る半導体レーザ素子110は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子100の構成に、さらに、電流ストップ層27を有する。具体的には、半導体レーザ素子110に含まれる複数の発光素子領域81g、82g、83gは、それぞれ電流ストップ層27を有する。
【0173】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子110が備える複数の発光素子領域81g、82g、83gをまとめて発光素子領域8gと呼称する場合がある。
【0174】
電流ストップ層27は、基板1上に積層されたp型の半導体層である。電流ストップ層27上には、n型半導体層2が積層される。このように、半導体レーザ素子110においては、発光素子領域8gのn型半導体層2と基板1との間には、電流ストップ層27が配置されている。具体的には、基板1は、n型不純物(Si又は酸素)濃度1×1017から2×1018cm-3のn型GaN基板である。また、電流ストップ層27は、厚さが3μm、p型不純物(例えばMg)濃度が1×1017から2×1019cm-3のp-AlGaNから構成される。また、n型半導体層2は、n型不純物(例えばSi)濃度が1×1017から2×1018cm-3のn-AlGaNから構成される。
【0175】
また、複数の発光素子領域8gのうち、隣り合う発光素子領域8gにおける電流ストップ層27は、分離領域15によって分離されている。
【0176】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態6に係る半導体レーザ装置210が備える半導体レーザ素子110において、第1の発光素子領域81gと第2の発光素子領域82gとの間には、第1の発光素子領域81gのn型半導体層2aと第2の発光素子領域82gのn型半導体層2bとが離間された分離領域15が配置されている。分離領域15において、基板1には、溝部9が配置されている。また、第1の発光素子領域81gのn型半導体層2aと基板1との間には、電流ストップ層27が配置されている。
【0177】
より具体的には、実施の形態6に係る半導体レーザ素子110は、基板1上にn型半導体層2と活性層3とp型半導体層4とがこの順に積層された積層構造体500を有する半導体レーザ素子である。半導体レーザ素子110は、積層構造体500を分離して形成された第1の発光素子領域81g及び第2の発光素子領域82gと、第1の発光素子領域81gのn型半導体層2a上に配置された第1の電極膜10aと、第2の発光素子領域82gのp型半導体層4上に配置された第2の電極膜11bとを有する。第1の発光素子領域81gのn型半導体層2a上に配置された第1の電極膜10aと、第2の発光素子領域82gのp型半導体層4上に配置された第2の電極膜11bとは、電気的に接続されている。第1の発光素子領域81gと第2の発光素子領域82gとの間には、第1の発光素子領域81gのn型半導体層2aと第2の発光素子領域82gのn型半導体層2bとを離間する分離領域15が配置されている。分離領域15において、基板1には、溝部9が配置されている。また、第1の発光素子領域81gのn型半導体層2aと基板1との間には、電流ストップ層27が配置されている。
【0178】
このような構成によれば、電流ストップ層27によって、基板1を介した隣接する発光素子領域8gへの電流300の漏れを抑制できる。
【0179】
なお、例えば、電流ストップ層27の代わりに電気的に絶縁性を有するSiO2等の絶縁膜を設けてもよい。p型半導体層は、絶縁膜よりも熱伝導率が高い。そのため、絶縁膜ではなくp型半導体層を用いることで、活性層3で発生した熱の基板1側への放熱性が向上する。これにより、半導体レーザ素子110のレーザ特性を安定化させることができる。或いは、半導体レーザ素子110の熱による故障等を抑制できる。
【0180】
(実施の形態7)
続いて、実施の形態7に係る半導体レーザ装置について説明する。なお、実施の形態7に係る半導体レーザ装置の説明においては、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200との差異点を中心に説明し、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0181】
[構成]
図22は、実施の形態7に係る半導体レーザ素子111を示す断面図である。
図23は、実施の形態7に係る半導体レーザ装置211を示す断面図である。
【0182】
実施の形態7に係る半導体レーザ装置211が備える半導体レーザ素子111は、複数の発光素子領域81h、82h、83hを備える。複数の発光素子領域81h、82h、83hは、それぞれ実施の形態1に係る半導体レーザ素子100が備える発光素子領域8とは、発光点28aの位置が異なる。つまり、実施の形態7に係る半導体レーザ素子111は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子100の構成とは、発光点28aの位置が異なる。
【0183】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子111が備える複数の発光素子領域81h、82h、83hをまとめて発光素子領域8hと呼称する場合がある。
【0184】
複数の発光素子領域8hの発光点28aは、それぞれの発光素子領域8hにおける、p型半導体層4cの幅方向(本実施の形態ではX軸方向)の中心よりも第1の電極膜10に近い側に配置されている。例えば、第1の発光素子領域81hの発光点28aは、第1の発光素子領域81hにおいて、p型半導体層4aの幅方向の中心よりも第1の電極膜10aに近い側に配置されている。
【0185】
具体的には、複数の発光素子領域8hにおける幅が5μmから50μm(例えば30μm)のリッジ部16aの中心は、それぞれの発光素子領域8hにおける、幅が200μmのp型半導体層4cの幅方向の中心よりも50μmだけn側電極6よりに形成されている。
【0186】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態7に係る半導体レーザ装置211が備える半導体レーザ素子111における第1の発光素子領域81hの発光点28aは、第1の発光素子領域81hにおいて、p型半導体層4cの幅方向の中心よりも第1の電極膜10aに近い側に配置される。
【0187】
このような構成によれば、例えば、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200が備える半導体レーザ素子100と比較して、
図22に破線矢印で示すように、n型半導体層2を流れる電流301の経路を短くすることができる。そのため、半導体レーザ素子111の動作電圧は、低減される。これにより、半導体レーザ素子111の発熱量は、低減される。或いは、半導体レーザ素子111におけるレーザ特性は、安定化される。或いは、半導体レーザ素子111の熱による故障等を抑制できる。
【0188】
(実施の形態8)
続いて、実施の形態8に係る半導体レーザ装置について説明する。なお、実施の形態8に係る半導体レーザ装置の説明においては、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200との差異点を中心に説明し、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0189】
[構成]
図24は、実施の形態8に係る半導体レーザ装置212を示す断面図である。
【0190】
半導体レーザ装置212は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200の構成に加えて、さらに、半導体レーザ素子100の端面を保護する保護膜29、29aを備える。
【0191】
保護膜29、29aは、半導体レーザ素子100の端面(出射端面)31、及び端面31aを保護するための膜である。半導体レーザ素子100では、レーザ光を出射する端面31と、端面31とは反対側の面である端面31aとの間で共振が発生することで、レーザ光は出射される。
【0192】
保護膜29は、例えば、低反射率の多層膜である。また、保護膜29aは、例えば、高反射率の多層膜である。
【0193】
半導体レーザ素子100は、サブマウント12の端面32から半導体レーザ素子100の出射側の端面31が10μm程度突出するように、サブマウント12上に、接合材14を介して、配置されている。ここで、半導体レーザ装置212が有する保護膜29、29aは、端面31、31aから、サブマウント12の端面32、32aまで連続して設けられている。より具体的には、保護膜29、29aは、半導体レーザ素子100の端面31、31aと、サブマウント12の端面32、32aと、半導体レーザ素子100及びサブマウント12の間に位置する金属膜13と、半導体レーザ素子100及びサブマウント12の間に位置する接合材14と、に接触して設けられている。このため、接合材14の端面31側の側面は傾斜面となっている。さらに、接合材14の傾斜面となっている部分に形成されている保護膜29の側面もまた、傾斜面となっている。
【0194】
なお、サブマウント12の端面32とは、半導体レーザ素子100の端面31と平行な面であり、且つ、半導体レーザ素子100の端面31と同じ側に位置する面である。また、サブマウント12の端面32aとは、半導体レーザ素子100の端面31aと平行な面であり、且つ、半導体レーザ素子100の端面31aと同じ側に位置する面である。
【0195】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態8に係る半導体レーザ装置212が備える半導体レーザ素子100には、半導体レーザ素子100におけるレーザ光の出射端面(端面31)及び端面31と平行なサブマウント12の端面32にわたって、保護膜29が形成されている。
【0196】
また、例えば、半導体レーザ素子100と、サブマウント12との間の接合材14に、保護膜29が形成されている。
【0197】
比較例に係る半導体レーザ装置においては、保護膜は、端面31、31aを覆い、且つ、サブマウント12の端面32、32aを覆わない。通常、半導体レーザ素子100をサブマウント12にジャンクションダウン実装する前に、保護膜を形成する。そのため、比較例に係る半導体レーザ装置において、保護膜は、端面31、31aを覆い、且つ、サブマウント12の端面32、32aを覆わない構造となる。
【0198】
ここで、半導体レーザ素子100のように、半導体レーザ素子がレーザアレイである場合、半導体レーザ素子100の反りの影響等により、半導体レーザ素子100における搭載面12a側の面への保護膜の回りこみが発生しやすくなる。半導体レーザ素子100における搭載面12a側の面に保護膜が回りこんだ場合、半導体レーザ素子100をジャンクションダウン実装する際に接合材14と半導体レーザ素子100とが接着しにくくなる。そのため、接合材14と半導体レーザ素子100とが接着していない不着部は、放熱性が悪くなる。これにより、半導体レーザ素子100のレーザ特性が悪化する。
【0199】
そこで、半導体レーザ装置212においては、半導体レーザ素子100をサブマウント12にジャンクションダウン実装した後に、保護膜29、29aを形成することで、半導体レーザ素子100における端面31及び端面31と平行なサブマウント12の端面32にわたって、保護膜29を形成する。これにより、半導体レーザ素子100とサブマウント12との接合面積が保護膜29、29aにより減ることを抑制できる。そのため、半導体レーザ素子100のレーザ特性は、安定化する。
【0200】
(実施の形態9)
続いて、実施の形態9に係る半導体レーザ装置について説明する。
【0201】
なお、実施の形態9に係る半導体レーザ装置は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200が、実施の形態2に係る半導体レーザ装置202が備える絶縁膜5aと、実施の形態6に係る半導体レーザ装置210が備える電流ストップ層27と、実施の形態8に係る半導体レーザ装置212が備える保護膜29、29aと、をさらに備える構成となっている。
【0202】
以下では、実施の形態9に係る半導体レーザ装置の製造方法について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、半導体レーザ装置200、202~212と実質的に同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0203】
[製造方法]
図25A~
図25N、及び、
図26を参照しながら、実施の形態9に係る半導体レーザ装置214の製造方法について説明する。
【0204】
図25A~
図25Nは、実施の形態9に係る半導体レーザ装置214の製造方法を説明するための断面図である。
図26は、本開示に係る半導体レーザ装置が備える各構成要素の組成を例示する表である。なお、
図26には、半導体レーザ素子112にGaAs系の材料が採用された場合と、半導体レーザ素子112にGaN系の材料が採用された場合との2つの場合のそれぞれに用いられる材料を例示している。半導体レーザ素子112から赤外レーザ光を出射させる場合にはGaAs系の材料が採用され、半導体レーザ素子112から青色レーザ光を出射させる場合にはGaN系の材料が採用される。
【0205】
まず、
図25Aに示すように、基板1上に、電流ストップ層27と、n型半導体層2と、活性層3と、p型半導体層4と、を形成する。
【0206】
基板1には、n-GaAs、n-GaN、サファイア等の絶縁性基板、窒化物系半導体の絶縁性基板等を用いることができる。
【0207】
n型半導体層2には、n-GaAs、n-AlGaInP、n-AlGaAs、n-GaInP、n-AlGaN、n-GaN等を用いることができる。
【0208】
活性層3は、アンドープの障壁層とアンドープの井戸層とからなる層である。活性層3には、AlGaAs、InGaAs、GaAsP、GaAs、InGaN、GaN等を用いることができる。
【0209】
p型半導体層4には、p-AlGaAs、p-AlGaInP、p-GaInP、p-AlGaN、p-GaN等を用いることができる。
【0210】
電流ストップ層27には、p-AlGaInP、p-AlGaN等を用いることができる。なお、電流ストップ層27には、p型半導体層ではなく、アンドープ半導体層が用いられてもよい。
【0211】
なお、基板1に絶縁性基板を用いる場合は、電流ストップ層27を形成しなくても構わない。
【0212】
基板1の厚さは、例えば、半導体レーザ素子(
図25K参照)の反り抑制の観点から、80μm以上である。
【0213】
次に、
図25Bに示すように、エッチングによって基板1まで達する溝である溝部9を形成して、半導体積層膜(電流ストップ層27、n型半導体層2、活性層3、及び、p型半導体層4)を分離する。こうすることで、
図25Kに示すように、複数の発光素子領域81i、82i、83iに対応する領域を形成する。
【0214】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子112が備える複数の発光素子領域81i、82i、83iをまとめて発光素子領域8iと呼称する場合がある。
【0215】
ここで、1つの発光素子領域8iの幅は、例えば、100μm以上の幅に設定される。また、基板1の幅方向の端部には、溝部9により分離された半導体積層膜(電流ストップ層27、n型半導体層2、活性層3、及び、p型半導体層4)の幅が、他の半導体積層膜の幅よりも狭い領域が形成されている。本実施の形態では、当該狭い領域は、
図26Bに示す最もX軸正方向側に位置する半導体積層膜である。当該狭い領域は、突出構造体18として形成される領域である。
【0216】
また、溝部9の側壁は、傾斜している部分を有しているとよい。これにより、後述する絶縁膜5及び金属膜13を成膜しやすくできる。
【0217】
次に、
図25Cに示すように、p型半導体層4をエッチングすることで、p型半導体層4にリッジ部16を形成する。
【0218】
リッジ部16の幅は、例えば、3μm~300μm程度である。
【0219】
次に、
図25Dに示すように、p型半導体層4からn型半導体層2までを部分的にエッチングすることで、n型半導体層2を部分的に露出させる。言い換えると、上面視で、n型半導体層2がp型半導体層4と重ならないように、切り欠き部9aを形成する。
【0220】
また、各発光素子領域8iに対応する位置において、切り欠き部9aは、幅方向の両端部に2箇所形成される。各発光素子領域8iに対応する位置において、n型半導体層2が露出している幅(つまり、切り欠き部9aの幅)は、例えば、リッジ部16に対して、一方が広く且つ他方が狭い。
【0221】
また、リッジ部16の位置は、発光素子領域8iに対応する位置において、p型半導体層4の幅方向の中心よりもn型半導体層2の露出幅が広い側に配置されているとよい。これにより、上記した実施の形態7に係る半導体レーザ装置211が備える半導体レーザ素子111のように、通電経路が短くなるため、電圧を低減することができる。
【0222】
次に、
図25Eに示すように、後述する
図25Kに示す発光素子領域8i、分離領域15a及び突出構造体18となる領域の全面に絶縁膜5を形成する。
【0223】
絶縁膜5には、SiO2、SiN、TiO2、ZrO2、Al2O3、Nb2O5、Ta2O5等を用いることができる。
【0224】
絶縁膜5の厚みは、例えば、50nm以上である。
【0225】
次に、
図25Fに示すように、リッジ部16上において、絶縁膜5を部分的にエッチングすることで、開口部50を形成し、p型半導体層4を絶縁膜5から露出させる。
【0226】
次に、
図25Gに示すように、
図26Fで開口部50を形成した位置にp側電極7を形成する。p側電極7は、例えば、Ti、Pt、Au、Pd、Ni、及び、Mgから選択される複数の層によって形成される。具体的には、p側電極7は、p型半導体層4側から順に、厚みが40nmのPdと、厚みが40nmのPtとを積層することによって形成される。
【0227】
次に、
図25Hに示すように、n型半導体層2上に形成された絶縁膜5を部分的にエッチングすることで、開口部51を形成し、n型半導体層2を絶縁膜5から露出させる。
【0228】
次に、
図25Iに示すように、
図25Hで開口部51を形成した位置にn側電極6を形成する。n側電極6は、例えば、Ti、Pt、Al、Mo、Au、Ge、及び、Niから選択される複数の層によって形成される。具体的には、n側電極6は、n型半導体層2側から順に、膜厚が10nmのTiと、膜厚が40nmのPtと、膜厚が0.5μmのAuとを積層することによって形成される。
【0229】
次に、
図25Jに示すように、n側電極6上に第1の電極膜10を形成し、且つ、p側電極7上に第2の電極膜11を形成する。また、X軸正方向側の端部に位置する絶縁膜5上に第3の電極膜19を形成することで、突出構造体18を形成する。
【0230】
ここで、複数の発光素子領域8iのうちの1つの発光素子領域8iにおいて、第1の電極膜10と第2の電極膜11とは接しておらず、且つ、第1の電極膜10が隣接する発光素子領域8iのp側電極7と電気的に接続されるように、隣接する発光素子領域8iのp側電極7上までわたって形成されている。具体的に例えば、
図1に示すように、第1の発光素子領域81に位置する第1の電極膜10aと、第2の発光素子領域82に位置する第2の電極膜11aとは、1つの電極膜で連続して形成されている。
【0231】
第1の電極膜10及び第2の電極膜11には、Ti、Pt、Au等を用いることができる。具体的には、絶縁膜5、n側電極6及びp側電極8上に、密着層として膜厚が10nmのTi、膜厚が0.24μmのバリア層としてのPt、及び、膜厚が1.4μmのAuがこの順で形成されている。また、これに換えて、第1の電極膜10は、n側電極6側から順に、膜厚が10nmのTi、膜厚が40nmのPt、第1のAu層として膜厚が0.7μmのAu、膜厚が0.2μmのPt、及び、第2のAu層として膜厚が0.7μmのAuが積層されることで形成されていてもよい。第2の電極膜11は、第1の電極膜10と同じ積層構造である。
【0232】
このような積層構造とすることで、膜厚が0.2μm(又は0.24μm)のPt層は、AuSnからなる接合材14から、第1の電極膜10及び第2の電極膜11の第1のAu層に、Snが拡散することを抑制することができる。その結果、半導体レーザ素子112をサブマウント12に接合した半導体レーザ装置208において、第1の電極膜10及び第2の電極膜11のAu層を十分に残すことができるため、放熱性を向上すなわち信頼性を向上できる。
【0233】
また、第1の電極膜10の厚さ、及び、第2の電極膜11の厚さは、例えば、0.5μm以上である。
【0234】
次に、
図25Kに示すように、絶縁膜5aを、第1の電極膜10の一部を覆うように形成する。これにより、複数の発光素子領域8iを含む半導体レーザ素子112が形成される。
【0235】
絶縁膜5aの厚さは、例えば、50nm以上である。
【0236】
次に、
図25L及び
図25Mに示すように、複数の金属膜13及び複数の金属膜13のそれぞれに接合材14が形成された搭載面12aを有するサブマウント12を用意し、半導体レーザ素子112を、サブマウント12の搭載面12aにジャンクションダウン実装する。
【0237】
サブマウント12には、AlN、SiC、ダイヤモンド等を用いることができる。
【0238】
サブマウント12上に形成された金属膜13は、例えば、Ti、Pt、Au等の積層膜からなる。具体的に例えば、金属膜13は、上記した実施の形態4に係る半導体レーザ装置208が備える金属膜33でもよい。
【0239】
金属膜13上には、半田等の接合材14が形成されている。接合材14は、例えば、AuSnである。
【0240】
次に、
図25Nに示すように、半導体レーザ素子112の共振器長方向(本実施の形態では、Y軸方向)の端面31、31aに、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法を用いて、保護膜29、29aを形成する。
【0241】
保護膜29、29aは、Al2O3、SiO2、Ta2O5、Si3N4、AlN、AlON、及び、SiNから選択される複数の層によって形成することができる。
【0242】
以上までの工程により、半導体レーザ装置214は、製造される。
【0243】
(実施の形態10)
続いて、実施の形態10に係る半導体レーザ装置について説明する。なお、実施の形態10に係る半導体レーザ装置の説明においては、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200との差異点を中心に説明し、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0244】
図27Aは、実施の形態10に係る半導体レーザ素子113を示す断面図である。
図27Bは、
図27Aに示す断面図における分離領域15a近傍の拡大図である。
図28は、実施の形態10に係る半導体レーザ装置215を示す断面図である。
【0245】
実施の形態10に係る半導体レーザ装置215が備える半導体レーザ素子113は、複数の発光素子領域81j、82j、83jを備える。複数の発光素子領域81j、82j、83jは、それぞれ実施の形態1に係る半導体レーザ素子100が備える発光素子領域8とは、p型半導体層4dにリッジ部が形成されていない点と、p型半導体層4dの上部に電流ブロック層30が形成されている点が異なる。
【0246】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子113が備える複数の発光素子領域81j、82j、83jをまとめて発光素子領域8jと呼称する場合がある。
【0247】
電流ブロック層30は、電流注入経路の狭窄を行う層である。電流ブロック層30は、例えば、SiO2等の絶縁膜である。
【0248】
p側電極7aは、p型半導体層4dと接触し、且つ、電流ブロック層30を覆うように形成されている。
【0249】
以上のように、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200が備える半導体レーザ素子100に含まれる複数の発光素子領域8は、リッジ部16を有する、いわゆるリッジ導波路タイプの半導体レーザ素子である。しかしながら、実施の形態10に係る半導体レーザ装置215が備える半導体レーザ素子113に含まれる複数の発光素子領域8jのように、半導体レーザ素子113は、電流ブロック層30が半導体積層膜中に埋め込まれた、いわゆる埋め込み導波路タイプの半導体レーザ素子であってもよい。
【0250】
このような構成によってもまた、半導体レーザ装置200と同様の効果が得られる。
【0251】
また、実施の形態10に係る半導体レーザ装置215が備える半導体レーザ素子113のn型半導体層2の膜厚は、3μm以上50μm以下であってもよい。分離領域15aは、n型半導体層2の膜厚に応じて異なる形状を有する。
図27A及び
図27Bを用いて、分離領域15aの形状について詳細に説明する。
【0252】
なお、分離領域15aにおいて、基板1の溝部9と、溝部9から連続して開口する電流ストップ層27の分離部とn型半導体層2の分離部とを合わせて分離溝600とする。分離溝600に含まれるn型半導体層2の分離部は、溝部9の側面の延長線上に側面を有し、溝部9の延長線から外れる側面に挟まれた部分は分離部に含まれない。
【0253】
分離溝600の深さDは、n型半導体層2に形成された段差部分における基板1の上面と平行な面から基板1の溝部9の底面までの距離である。分離溝600の開口幅Wは、n型半導体層2の分離部の最上部の幅(基板1から最も遠い分離溝600の幅)と一致する。
【0254】
分離領域15aにおいて、分離溝600の底面及び側面には、分離溝600側から絶縁膜(第2の絶縁膜)5と電極膜10と絶縁膜(第1の絶縁膜)5aとが順に積層されている。分離溝600に積層された絶縁膜5と電極膜10と絶縁膜5aとのうち、基板1の溝部9の底面及び側面上に形成された部分は、分離領域15aに含まれ、積層構造体500の上面及び側面上に形成された部分は、発光素子領域8jに含まれる。
【0255】
例えば、n型半導体層2の膜厚が3μmの場合、深さDは、3.2μm以上4.2μm以下であり、開口幅Wは、約10μmである。発光素子領域82jと発光素子領域81jとの間に位置する分離領域15aにおいて、分離溝600に形成された絶縁膜5は、断面視したときに、発光素子領域82j側(隣接する発光素子領域のうち、n側電極6よりもp側電極7aに近い発光素子領域側)の分離溝600の上側角部の角度Xが90°である。角度Xは、分離溝600の側面と、n型半導体層に形成された段差部分の上面とのなす角度である。この場合、絶縁膜5と絶縁膜5aとの間に配置された電極膜10の膜厚は、発光素子領域81j側(隣接する発光素子領域のうち、p側電極7aよりもn側電極6に近い発光素子領域側)のn側電極6上において3μm(
図27Bに示す膜厚A)、分離溝600の側面上において2.25μm(
図27Bに示す膜厚B)、分離溝600の底面において2.37μm(
図27Bに示す膜厚C)となる。分離溝600の側面上における電極膜10の膜厚B、及び、分離溝600の底面上における電極膜10の膜厚Cは、それぞれn側電極6上の電極膜10の膜厚Aの75%、79%である。
【0256】
例えば、n型半導体層2の膜厚が20μmの場合、深さDは、約21μmであり、開口幅Wは、約20μmである。分離溝600の発光素子領域82j側の上側角部の角度Xは、90°である。この場合、絶縁膜5と絶縁膜5aとの間に配置された電極膜10の膜厚は、発光素子領域81j側のn側電極6上において3μm(
図27Bに示す膜厚A)、分離溝600の側面上において2.25μm(
図27Bに示す膜厚B)、分離溝600の底面において2.37μm(
図27Bに示す膜厚C)となる。分離溝60の側面上における電極膜10の膜厚B、及び、分離溝60の底面上における電極膜10の膜厚Cは、それぞれn側電極6上の電極膜10の膜厚Aの75%、79%である。
【0257】
また、n型半導体層2の膜厚にかかわらず、分離溝600に形成される絶縁膜5において、分離溝600における発光素子領域82j側の下側角部と発光素子領域81jの上側角部とを結んだ直線(
図27Bに破線で示す直線)と、分離溝600の底面とのなす角度Yは、70°以下であってもよい。角度Yを70°以下にすると、分離溝600内部における電極膜10の被膜性が向上する。
【0258】
[変形例]
続いて、実施の形態10に係る半導体レーザ装置の変形例について説明する。なお、以下で説明する変形例においては、実施の形態10に係る半導体レーザ装置215が備える各構成要素との差異点を中心に説明し、同一の構成要素については、説明を簡略化又は省略する場合がある。
【0259】
<変形例1>
図30Aは、実施の形態10の変形例1に係る半導体レーザ素子115を示す断面図である。
図30Bは、
図30Aに示す断面図における分離領域15b近傍の拡大図である。
図31は、実施の形態10の変形例1に係る半導体レーザ装置217を示す断面図である。
【0260】
実施の形態10の変形例1に係る半導体レーザ装置217は、実施の形態10に係る半導体レーザ装置215とは、半導体レーザ素子115の構造のみが異なる。
【0261】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子115が備える複数の発光素子領域81m、82m、83mをまとめて発光素子領域8mと呼称する場合がある。
【0262】
変形例1では、分離領域15bの分離溝600aは、分離領域15aの分離溝600と異なり、底部幅よりも開口幅W1が広い。発光素子領域81mと発光素子領域82mとに挟まれた分離領域15bの分離溝600aにおける発光素子領域82m側の側面は、開口部側が発光素子領域82mのp側電極7a側に向かって傾斜しており、発光素子領域81m側の側面は、開口部側が発光素子領域81mのn側電極6側に向かって傾斜している。半導体レーザ装置217がAlGaAsやGaInAsやGaInPなどの閃亜鉛鉱構造からなる場合、傾斜した側面は、(111)面に近い面方位を有する。
【0263】
n型半導体層2の膜厚が厚くなるに伴い、分離溝600aは深くなる。分離溝600aの側面が底面に対して垂直な場合、分離溝600aが深くなるに伴い、分離溝600aの側面部分に形成される電極膜10の膜厚B1は、薄くなる。本変形例のように、分離溝600aの側面を傾斜面とすることで、電極膜10の分離溝600aの底部上の膜厚C1と分離溝600a側面上の膜厚B1との差を小さくすることができる。
【0264】
発光素子領域82mと発光素子領域81mとの間に位置する分離領域15bにおいて、分離溝600aに形成された絶縁膜5は、断面視したときに、発光素子領域82m側(隣接する発光素子領域のうち、n側電極6よりもp側電極7aに近い発光素子領域側)の分離溝600aの上側角部の角度X1が90°より大きい。角度X1は、110°以上であってもよい。また、n型半導体層2の膜厚にかかわらず、分離溝600aに形成される絶縁膜5において、分離溝600aにおける発光素子領域82m側の下側角部と発光素子領域81mの上側角部とを結んだ直線(
図30Bに示す二点鎖線)と、分離溝600aの底面とのなす角度Y1は、70°以下であってもよい。角度X1を110°以上、且つ、角度Y1を70°以下にすると、分離溝600a内部における電極膜10の被膜性が向上する。
【0265】
また、変形例1に係る半導体レーザ装置217が備える半導体レーザ素子115のn型半導体層2の膜厚は、3μm以上50μm以下であってもよい。
【0266】
例えば、n型半導体層2の膜厚が3μmの場合、深さD1は、3.2μm以上4.2μm以下であり、開口幅W1は、約10μmである。発光素子領域82mと発光素子領域81mとの間に位置する分離領域15bにおいて、角度X1は、130°である。この場合、絶縁膜5と絶縁膜5aとの間に配置された電極膜10の膜厚は、発光素子領域81m側(隣接する発光素子領域のうち、p側電極7aよりもn側電極6に近い発光素子領域側)のn側電極6上において3μm(
図30Bに示す膜厚A1)、分離溝600aの側面上において2.34μm(
図30Bに示す膜厚B1)、分離溝600aの底面において2.37μm(
図30Bに示す膜厚C1)となる。分離溝600aの側面上における電極膜10の膜厚B1、及び、分離溝600aの底面上における電極膜10の膜厚C1は、それぞれn側電極6上の電極膜10の膜厚A1の78%、79%である。
【0267】
例えば、n型半導体層2の膜厚が20μmの場合、深さD1は約21μmであり、開口幅W1は約38μmである。分離溝600aの発光素子領域82m側の上側角部の角度X1は、130°である。この場合、絶縁膜5と絶縁膜5aとの間に配置された電極膜10の膜厚は、発光素子領域81m側のn側電極6上において3μm(
図30Bに示す膜厚A1)、分離溝600aの側面上において2.34μm(
図30Bに示す膜厚B1)、分離溝600aの底面において2.37μm(
図30Bに示す膜厚C1)となる。分離溝600aの側面上における電極膜10の膜厚B1、及び、分離溝600aの底面上における電極膜10の膜厚C1は、それぞれn側電極6上の電極膜10の膜厚A1の78%、79%である。
【0268】
尚、例えば、実施の形態10の各発光素子領域8j、及び、変形例1の各発光素子領域8m等において、n側電極6が電流ブロック層30の開口部に対して片側のみに配置されている場合、特にn側半導体層2の膜厚が3μmと薄い場合、半導体レーザ装置215及び半導体レーザ装置217に注入された電流は、各発光素子領域8j及び各発光素子領域8mにおいて、n側電極6側に偏るために、光分布も非対称性を有し、遠視野像(Far Field Pattern、FFP)の半値幅が増大する。
【0269】
ここで、GaAs系の半導体レーザ素子において、n型半導体層2としてGaAs層を用いた場合の特性を表1に示す。p型半導体層及び活性層の幅は90μm、電流注入領域の幅(電流ブロック層30の開口幅)は80μmとして計算を行った。電流密度不均一は、導波路内における電流密度の最大値と最小値との差である。n型半導体層2の膜厚が3μmの場合、電流密度不均一は、121A/cm2となり、FFP半値幅は、5.2°となる。それに対して、n型半導体層2の膜厚が20μmの場合、電流密度不均一は、47A/cm2となり、FFP半値幅は、4.7°となる。
【0270】
【0271】
半導体レーザ素子のn側電極6を、基板1の発光素子領域が形成された面とは反対側の面に配置された上下電極構造とした場合には、導波路内における電流密度は、均一となり、その場合のFFP半値幅は、4.7°である。このことから、実施の形態10と変形例1において、n型半導体層2の膜厚を20μmとすると、導波路内の電流分布の不均一は改善され、その結果、実施の形態10と変形例のFFP半値幅は、電流密度が均一の場合のFFP半値幅と同じとなることがわかる。したがって、n型半導体層2の膜厚は、20μm以上が好ましい。さらに、n型半導体層2の結晶成長工程に要する成膜時間を考慮すると、n型半導体層2の膜厚は、25μm以下が好ましい。さらに、分離溝600aの深さD1を25μm以下とすると、開口幅W1を50μm以下にできる。
【0272】
このように、n型半導体層2の膜厚を厚くすることで、発光素子領域8j及び発光素子領域8mにおける電流の偏りは、抑制され、光分布の対称性は、向上され得る。
【0273】
また、基板1の厚さが、n型半導体層2の厚さよりも薄い場合、基板1に形成される溝部9の底面から基板1の発光素子領域8jと発光素子領域8mの形成された面とは反対側の面までの厚さが薄く、半導体レーザ素子113及び半導体レーザ素子115としての強度が弱くなり、劈開工程又は実装工程において異常が発生しやすくなる。例えば、劈開工程においては、溝部で劈開面が所定の位置からずれやすくなり、また、実装工程においては、溝部で割れが生じやすくなる。したがって、n型半導体層2の膜厚を20μm以上とする場合、基板1の厚さは、n型半導体層2の膜厚よりも厚いことが好ましい。例えば、n型半導体層2の膜厚が20μmの場合は、基板1の膜厚は80μmである。実施の形態10および変形例1に係る半導体レーザ装置215、217が備える半導体レーザ素子113、115のn型半導体層2の膜厚は、20μm以上50μm以下であってもよい。
【0274】
このように、基板1の膜厚をn型半導体層2の膜厚よりも厚くすることで、半導体レーザ素子113及び半導体レーザ素子115の強度が確保でき、製造工程における以上の発生を抑制することができる。
【0275】
(実施の形態11)
続いて、実施の形態11に係る半導体レーザ装置について説明する。なお、実施の形態11に係る半導体レーザ装置の説明においては、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200との差異点を中心に説明し、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0276】
図29は、実施の形態11に係る半導体レーザ装置216を示す断面図である。
【0277】
実施の形態11に係る半導体レーザ装置216が備える半導体レーザ素子114は、複数の発光素子領域81k、82k、83kを備える。複数の発光素子領域81k、82k、83kは、それぞれ実施の形態1に係る半導体レーザ素子100が備える発光素子領域8とは、第1の電極膜10dと第2の電極膜11gとが1枚の電極膜ではなく、それぞれ個別に形成されている点が異なる。具体的には、例えば、第1の発光素子領域81kの第1の電極膜10dと、第2の発光素子領域82kの第2の電極膜11gとは、接合材141、接合部材90、金属膜13c、及び、接合材14cを介して電気的に接続されている。
【0278】
なお、以下の説明においては、特に区別しない限り、半導体レーザ素子114が備える複数の発光素子領域81k、82k、83kをまとめて発光素子領域8kと呼称する場合がある。
【0279】
接合材141及び接合部材90は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200が備える接合材14と同様に、半導体レーザ素子100とサブマウント12とを接続するための部材である。接合部材90は、第1の電極膜10dと金属膜13とを接続するために、柱状となっている。
【0280】
以上のように、半導体レーザ装置216は、p側電極7とn側電極6との高さの相違を補償するような接合部材90をn側電極6側に備える。また、発光素子領域8k間は、サブマウント12上に設けた金属膜13によって電気的に接続されている。また、半導体レーザ素子114は、接合材141及び接合部材90を介してジャンクションダウン実装されている。
【0281】
このような構成によってもまた、実施の形態1に係る半導体レーザ装置200と同様の効果が得られる。
【0282】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態及び変形例に係る半導体レーザ装置及び半導体レーザ素子について、各実施の形態及び各変形例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施の形態及び変形例に施したもの、又は、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0283】
本開示に係る半導体レーザ装置は、半導体レーザ素子を有する半導体レーザ装置に利用でき、例えば、レーザ光を用いて部材を加工するレーザ加工装置の光源に適用できる。
【符号の説明】
【0284】
1 基板
2、2a、2b、2c n型半導体層(一導電型半導体層)
3 活性層
4、4a、4b、4c、4d p型半導体層(他導電型半導体層)
5、5c、5d、5f 絶縁膜(第2の絶縁膜)
5a、5b 絶縁膜(第1の絶縁膜)
6 n側電極(一導電型半導体層側電極)
7、7a p側電極(他導電型半導体層側電極)
8、8a~8m 発光素子領域
9、9b 溝部
9a 切り欠き部
10、10a~10d 第1の電極膜
11、11a、11b、11c、11e、11f、11g 第2の電極膜
11d 側面部
12、12c サブマウント
12a 搭載面(実装面)
12b、22b ボンディング面
13、13a、13b、13c、13d、13e、33、33a、33b、33c、33d、34、34a、34b、34c、34d 金属膜(金属膜パターン)
14、14a、14b、14c、14d、14e、141 接合材
15、15a、15b 分離領域
16、16a リッジ部
16b 側壁部
16c 平坦部
17、17a、17b、17c 突出部
18、18a 突出構造体
19、19a 第3の電極膜
20 密着層
21 第1のバリア層
22 第1の接触層
23 第2のバリア層
24 第2の接触層
25、25a、25b、25c 凹部
25d 側面
26 研磨面
27 電流ストップ層
28、28a 発光点
29、29a、29b、29c、 保護膜
30 電流ブロック層
31 端面(出射端面)
31a、32、32a 端面
40 凸部
50、51 開口部
81、81a~81m 第1の発光素子領域
82、82a~82m 第2の発光素子領域
83、83a~83m 第3の発光素子領域
90 接合部材
100~115 半導体レーザ素子
200、202~217 半導体レーザ装置
300、301 電流
400 ワイヤ
500 積層構造体
600、600a 分離溝
A、A1、B、B1、C、C1 膜厚
D、D1 深さ
W、W1 開口幅
X、X1、Y、Y1 角度