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特許7536010シール装置、シール装置及びシャフトアースを有する構造体、電気機械、および駆動装置
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  • 特許-シール装置、シール装置及びシャフトアースを有する構造体、電気機械、および駆動装置 図1
  • 特許-シール装置、シール装置及びシャフトアースを有する構造体、電気機械、および駆動装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】シール装置、シール装置及びシャフトアースを有する構造体、電気機械、および駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/16 20060101AFI20240809BHJP
   H02K 5/10 20060101ALI20240809BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20240809BHJP
   F16J 15/3288 20160101ALI20240809BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20240809BHJP
   F16C 41/00 20060101ALI20240809BHJP
   F16C 33/78 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
F16J15/16 B
H02K5/10 A
H02K5/173 A
F16J15/3288
F16J15/16 E
F16J15/447
F16C41/00
F16C33/78 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021527235
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019077679
(87)【国際公開番号】W WO2020104109
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】102018219781.4
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ヴャチェスラフ ブルシュキフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ゲーアハルト ホーリング
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】実公昭46-009636(JP,Y1)
【文献】特開2014-147293(JP,A)
【文献】特開2013-174326(JP,A)
【文献】特開2006-320129(JP,A)
【文献】実公昭39-036044(JP,Y1)
【文献】特開昭58-106266(JP,A)
【文献】特開平09-100796(JP,A)
【文献】特開2014-054021(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090080(WO,A1)
【文献】米国特許第04992023(US,A)
【文献】西独国特許出願公開第3426705(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/16
H02K 5/10
H02K 5/173
F16J 15/3288
F16J 15/447
F16C 41/00
F16C 33/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なシャフト(1)のためのシール装置(3)であって、シャフトシール(4)を備え、前記シャフトシール(4)を通る漏れを前記シャフト(1)から非接触で除去するキャッチ装置(5)を備え、
前記キャッチ装置(5)は、径方向内側の領域に屈曲部を有し、該屈曲部は、前記シャフト(1)に配置されたショルダ(5A)に向けられて前記ショルダ(5A)を径方向外側から囲んでいることを特徴とする、シール装置(3)。
【請求項2】
請求項1に記載のシール装置(3)であって、前記キャッチ装置(5)は、前記ショルダ(5A)を径方向に囲むキャッチ構造(5B)を有する、シール装置(3)。
【請求項3】
請求項2に記載のシール装置(3)であって、前記ショルダ(5A)は、シャフトショルダ(5A)によって構成されている、または、前記シャフト(1)上に固定されて前記シャフト(1)を径方向に囲む構成部分によって構成されている、シール装置(3)。
【請求項4】
請求項2または3に記載のシール装置(3)であって、前記キャッチ構造(5B)は、前記シャフト(1)を回転可能に支承するハウジング(2)によって構成されている、または、このようなハウジング(2)に固定されるように構成されている、シール装置(3)。
【請求項5】
請求項2~4の何れか一項に記載のシール装置(3)であって、前記キャッチ構造(5B)は、シートメタルまたはプラスチックから構成されている、シール装置(3)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のシール装置(3)と、シャフトアース(6)とを備える、シール装置(3)及びシャフトアースを有する構造体。
【請求項7】
請求項6に記載のシール装置(3)及びシャフトアースを有する構造体であって、前記シャフトシール(4)、前記シャフトアース(6)、および前記キャッチ装置(5)は、軸方向に前後に配置されている、シール装置(3)及びシャフトアースを有する構造体。
【請求項8】
請求項7に記載のシール装置(3)及びシャフトアースを有する構造体であって、前記シャフトアース(6)は、軸方向に前記シャフトシール(4)と前記キャッチ装置(5)との間に配置されている、シール装置(3)及びシャフトアースを有する構造体。
【請求項9】
請求項7に記載のシール装置(3)及びシャフトアースを有する構造体であって、前記キャッチ装置(5)は、軸方向に前記シャフトシール(4)と前記シャフトアース(6)との間に配置されている、シール装置(3)及びシャフトアースを有する構造体。
【請求項10】
請求項6に記載のシール装置(3)及びシャフトアースを有する構造体であって、前記シャフトアース(6)は、キャッチ装置(5)の上に、または前記キャッチ装置(5)のキャッチ構造(5B)の上に配置されている、シール装置(3)及びシャフトアースを有する構造体。
【請求項11】
回転可能に駆動可能なロータシャフト(1)と、前記ロータシャフト(1)をシールするシール装置(3)と、を備える電気機械であって、前記シール装置(3)は、請求項1~5の何れか一項にしたがって構成されていることを特徴とする、電気機械。
【請求項12】
自動車を電気的に駆動する駆動装置であって、前記駆動装置に駆動力を供給する電気機械を備え、前記電気機械は請求項11にしたがって構成されていることを特徴とする、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方では回転可能なシャフトのためのシール装置に関し、またシール装置を備える電気機械、ならびに電気機械を備える自動車を電気的に駆動する駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャフトのためのシール装置、例えばラジアルシャフトシール又はラビリンスシールは、それ自体既に知られている。これによって、例えば潤滑剤のような気体または液体の流体がシャフトの領域において外部に出ることが防止される。
【0003】
ドイツ特許出願公開第10 2016 207 672 A1号から、シャフトのためのシールシステムが知られている。このシールシステムでは、実際のシャフトシールに加えて、シャフト接地リングも設けられている。このシールシステムの一実施形態は、2つのシャフトシールを備える。2つのシャフトシール間に、シャフト接地リングが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】ドイツ特許出願公開第10 2016 207 672 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、従来技術を発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、主請求項の特徴によって解決される。好適な実施形態は、従属請求項において理解することができる。
【0007】
したがって、冒頭に説明したように、回転可能なシャフトのためのシール装置が提案される。シール装置は、シャフトシールを備える。さらに、回転可能に駆動可能なロータシャフトと、ロータシャフトをシールし、それによって電気機械の内部空間をシールするこのようなシール装置と、を備える電気機械が提案される。さらに、自動車を電気的に駆動する駆動装置が提案される。駆動装置は、この駆動装置に駆動力を供給するこのような電気械を備える。このような電気機械は、電気エネルギーを機械的な回転運動に変換し、またはその逆に変換する。このような電気機械は、必要に応じて、発電機またはモータとして作動可能である。電気機械は、特に、同期機械または非同期機械である。
【0008】
提案されるシール装置は、回転可能なシャフトをシールするように機能する。このために、シール装置はシャフトシールを備える。さらに、シール装置は、シャフトシールを通る漏れをシャフトから非接触で除去するキャッチ装置を備える。すなわち、シャフトシールに加えて、キャッチ装置が設けられている。これは、非接触で作動する。したがって、シャフトから漏れをぬぐい取るために、シャフトに当接し、それによって摩擦作用を行う追加のシールリップ、ブラシ、または他の部品が必要とされない。このようなキャッチ装置は、ほとんど摩耗せず、摩擦損失もなしで作動する。これによって、シール装置から離れた環境は、可及的に漏れがない状態に保たれる。
【0009】
これに関連して、シャフトシールを通る漏れとは、特に、シャフトシールが原則としては保持することを意図しているが、様々な理由で意図せずにシャフトシールを越えてしまう流体の体積流を意味すると理解される。このような漏れは、例えば、シャフトシールとシャフトとの間に十分な大きさの間隙が生じ、流体がそこをシャフトに沿って貫流可能であるときに生じる。このような流体は、特に液状である可能性がある。このような流体は、特に、潤滑剤である可能性がある。しかしながら、シール装置の意図された用途に応じて、例えば冷却剤のような、異なる流体でもある可能性がある。
【0010】
シャフトシールとは、特に、流体をシャフトの領域に保持することを意図した構成要素を意味すると理解される。このようなシャフトシールは、例えば、ラジアルシャフトシールリング又はラビリンスシールとして、既知である。
【0011】
キャッチ装置は、特に、漏れに作用する遠心力を発生させることによって作動する。これは、シャフトが回転するときに生じる。キャッチ装置のためにシャフトの直径を局所的に拡大させる(拡径部)と、漏れは、シャフトの回転によって径方向外側に移動される。これは、漏れが、その際に生じる遠心力によってシャフトから分離され、残るキャッチ装置によってキャッチされ、排出されるように構成される。これに対して代替的または追加的に、キャッチ装置において負圧を発生させることによって、漏れをシャフトから非接触で吸い取ることも可能である。
【0012】
キャッチ装置自体が、キャッチされて排出された漏れを収集するリザーバを構成することができる。または、キャッチ装置は、このような漏れのためのリザーバに(直接)つながることができる。または、キャッチ装置が、少なくとも、そのようなリザーバに漏れを転送するラインにつながることができる。
【0013】
好適には、キャッチ装置は、シャフトに配置されたショルダと、このショルダを径方向に囲むキャッチ構造と、から構成されている。このようなショルダは、一方ではシャフトの拡径部を構成し、他方では漏れのためのティアオフエッジを構成する。したがって、シャフトの回転速度が比較的低い場合でさえ、シャフトから漏れが分離されて飛ばされる。この場合、ショルダは、シャフトから漏れを分離するために設けられている。一方キャッチ構造は、ショルダによって分離された漏れを実際にキャッチし、排出するために設けられている。ティアオフエッジは、漏れがそれから特に良好に分離されるように、適切な形状を備えることができる。特に、ティアオフエッジは、鋭利なエッジであってよく、または細長い隆起状(すなわち、隆起部を有する)であってもよい。
【0014】
シャフトに配置されたショルダは、シャフトショルダによって構成することができる、または、シャフト上に固定されてシャフトを径方向に囲む構成部分によって構成することができる。このようなシャフトショルダは、シャフト自体によって、すなわち、例えば金属を切削する旋盤加工の過程において、シャフト自体を対応して成形することによって構成される。シャフトを径方向に囲むこのような構成部分は、例えば、シャフト上に押圧されるか、さもなければシャフトに固定された、別個のリングであってもよい。つまり、この構成部分は、ティアオフエッジを備えるシャフト上の拡径部を構成する。したがって、漏れをシャフトから分離するために設けられるキャッチ装置の部分を、単純かつ費用対効果に優れて構成することができる。
【0015】
好適には、ショルダを径方向に囲むキャッチ構造は、シャフトを回転可能に支承するハウジングによって構成されている。したがって、このようなハウジングは、少なくとも1つのベアリングを備える。このベアリングを用いて、シャフトが回転可能に支承されている。キャッチ構造は、例えば、ハウジングの鋳造中に構成される、ハウジング内の特別な鋳造構造とすることができる。しかしながら、キャッチ構造を他の方法でハウジングに組み込むこともできる。これに対して代替的に、キャッチ構造を、例えば、ねじ留め、溶接、プレス、または接着されるように、ハウジングに固定されるように構成することもできる。この場合、実際のハウジングおよびキャッチ構造は、異なる部分から構成される。好適には、キャッチ構造は、シートメタルまたはプラスチックから構成されている。これにより、キャッチ構造を、特に単純かつ費用対効果に優れて製造できる。
【0016】
好適には、キャッチ構造は、径方向内側の領域において屈曲部を備える。そのため、キャッチ構造の径方向内側の端部は、ポット形状に構成され、シャフトショルダに向けられる。このようにして、上方に飛ばされた漏れが、キャッチ構造に沿ってシャフトの方向に戻ってシャフト上に滴下することを防止する。滴下に代わって、漏れのこの部分は、シャフトの周りで、キャッチ構造のポット形状に沿って導かれる。
【0017】
好適には、シール装置はシャフトアースを備える。このようなシャフトアースとは、特に、シャフトと基準電位との間に回転可能な電気的な接続を確立する構成要素を意味すると理解される。このような基準電位は、例えば、接地電位または電気的グランドである。このようなシャフトアースは、電気的な整流には使用されない。好適には、シャフトアースは、シャフトを上述のハウジングと電気的に接続する。シャフトアースは、特に、シャフトとの摺動接触を確立する少なくとも1つの固体ブラシまたは柔軟なブラシを備える。シャフトアースは、特にシャフト接地リングとして構成されている。
【0018】
好適には、シャフトシール、シャフトアース、およびキャッチ装置は、軸方向に前後して配置されている。この場合、軸方向とは、シャフトの回転軸線に沿った方向を意味すると理解される。この場合、シャフトアースは、軸方向にシャフトシールとキャッチ装置との間に配置することができる。これによって、キャッチ装置は、発生する可能性のあるシャフトアースの機械的な摩耗物もキャッチすることができる。このような摩耗物は、通常、シャフトアースの1つ以上のブラシから生じる。これに対して代替的に、キャッチ装置を、軸方向にシャフトシールとシャフトアースとの間に配置することができる。したがって、シャフトアースが、シャフトシールとキャッチ装置の反対側にあるため、漏れに接触しない、またはほとんど接触しない。
【0019】
シャフトアースは、キャッチ構造の上に配置することができる。この場合、シャフトアースは、つまりキャッチ構造によって支持される。したがって、シャフトは、キャッチ構造の領域において基準電位と電気的に接続される。したがって、キャッチ構造自体を、シャフトと基準電位との間の電気的な接続の一部とすることができる。したがって、キャッチ構造およびシャフトアースが、一緒に組み立て可能なユニットを構成することができる。
【0020】
シャフトショルダのティアオフエッジは、軸方向にシャフトシールとシャフトアースとの間に配置することができる。したがって、シャフトシールの漏れがシャフトアースに到達することが防止される。これは、シャフトアースがキャッチ構造上に配置されている場合にも適用することができる。
【0021】
提案される電気機械は、回転可能に駆動可能なロータシャフトを備える。ロータシャフトは、特に、電気機械のロータと接続されており、ロータとロータシャフトの一体設計をも含む。ロータは、およびそれと共にロータシャフトも、特に、ハウジングに固定された電気機械のステータを用いて回転可能である。電気機械は、ロータシャフトをシールするシール装置を備える。電気機械のシール装置は、提案されるシール装置によって構成されている。したがって、電気機械の内部(内部空間)への発生する可能性のある漏れを、容易にロータシャフトによって排出し、キャッチすることができる。
【0022】
好適には、電気機械は、ロータシャフトと接続されたロータが回転可能に配置されている内部空間を備える。この場合、ロータシャフトは、シール装置において内部空間から外へと向く。シール装置は、電気機械の内部空間を、すなわちロータシャフトにおいて外部に対してシールする。この場合、キャッチ装置、および存在する場合にはシール装置のシャフトアースは、特に、電気機械の内部空間内でシャフトシールに隣接して配置されている。したがって、流体が外部から電気機械の内部空間に到達し、そこで制御されずに広がることが防止される。したがって、同時に、シャフトは基準電位と電気的に接続されている。
【0023】
提案される駆動装置は、自動車を電気的に駆動するように機能する。したがって、駆動装置は、自動車に駆動力を供給する電気機械を備える。駆動装置を、特に、駆動モジュールとして構成し、例えば、自動車の駆動軸上に配置されるように構成することができる。駆動装置の電気機械は、提案される電気機械によって構成され、したがって提案されるシール装置を備える。
【0024】
以下において、本発明は、本発明の更なる好適な実施形態および特徴が理解できる図面を参照して、より詳細に説明される。この場合、図は概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】シール装置の領域における電気機械の長手方向断面の部分図である。
図2】シール装置の領域における電気機械の長手方向断面の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面において、同一、または少なくとも機能的に同一の構成部分または要素には、同一の参照符号が付されている。
【0027】
図1は、電気機械の軸方向の端部の領域における電気機械の長手方向断面の一部を示す。この領域において、回転軸線Lを中心に回転可能な電気機械のロータシャフト1は、電気機械のハウジング2を貫通する。シール装置3は、シャフト1の領域において電気機械の内部空間をシールするために設けられている。シール装置3は、この場合例示的にラジアルシャフトシールリングであるシャフトシール4と、それから軸方向に離間されたキャッチ装置5と、この場合例示的にシャフト接地リングであるシャフトアース6と、を備える。電気機械の内部空間は、図1においてシャフトシール4の左側に存在する。
【0028】
シャフトシール4は、流体、特に潤滑剤が、電気機械の内部空間に入るのを防止することを目的とする。実際には、これが電気機械で発生するすべての作動条件下で機能するわけではない。したがって、漏れがシャフトシール4を通り、シャフト1に沿って電気機械の内部空間に流れ込むことが起こり得る。これはキャッチ装置5によって防止される。したがって、キャッチ装置5は、漏れキャッチ装置と称することもできる。キャッチ装置5は、図示の実施形態において、シャフト1のシャフトショルダ5Aと、ハウジング2に取り付けられたキャッチ構造5Bと、から構成される。キャッチ構造5Bは、ショルダ5Aを径方向に囲んでいるが、それに当接してはいない。したがって、キャッチ構造5Bは、非接触で作動する。図示のキャッチ構造5Bは、例えば、シートメタルまたはプラスチックから構成される。ショルダ5Aは、シャフトシール4を通過する漏れのためのティアオフエッジを構成する。
【0029】
シャフト1が回転軸線Lを中心に回転し、シャフトシール4で漏れが生じると、これがショルダ5Aに到達する。そこでは、漏れが、ショルダ5Aに沿って径方向外側に、ショルダ5Aのティアオフエッジにまで導かれる。ティアオフエッジは、この位置で漏れに作用する遠心力と連動して、ショルダ5Aから漏れを分離させ、飛ばす。飛ばされた漏れは、キャッチ構造5Bによってキャッチされ、シャフトシール4の下に位置するリザーバ7に導かれる。リザーバ7は、図示の実施例ではハウジング2によって構成されている。これに対して代替的に、キャッチ構造5B自体によってリザーバ7を構成することができる。
【0030】
径方向内側の領域(すなわち、シャフト1に隣接する領域)において、キャッチ構造5Bは湾曲部を備える。そのため、キャッチ構造5Bの径方向内側の端部は、ポット形状であり、ショルダ5Aに対してシャフト1と平行に延びる。したがって、上方に飛ばされ、そこでキャッチ構造5Bによってキャッチされた漏れは、シャフト1上に戻って滴下することなく、キャッチ構造5Bおよびポット形状に沿ってリザーバ7まで下方に流れる。図1において見ることができるように、キャッチ構造5Bは、プレート形状にも構成することができる。
【0031】
シャフトアース6は、シャフト1を、基準電位としてハウジング2と恒久的に電気的に接続するように機能する。このようにして、シャフト1をハウジング2内で支承するベアリング8は、電位差によってベアリング8に生じ得る破損から保護される。
【0032】
シャフトアース6は、シャフト1の回転軸線Lに対して軸方向にキャッチ装置5とシャフトシール4との間に配置されている。これらの要素4、5、6は、相互に直に隣接している。しかしながら、これとは異なり、キャッチ装置5を、軸方向にシャフトアース6とシャフトシール4との間に配置することもできる。
【0033】
ベアリング8は、軸方向にシャフトシール4に隣接して、電気機械の内部空間の外側に存在し、シャフト1を回転可能にハウジング2に支承する。この場合、ベアリング8は、例示的に深溝ボールベアリングとして構成されている。ベアリング8は、シャフト1の第1直径d1に配置されている。シャフトシール4およびシャフトアース6は、シャフト1の別の第2直径d2に配置されている。ショルダ5Aは、シャフト1の別の第3直径d3を構成する。ここで、d1<d2<d3が適用される。
【0034】
図2は、図1と比較してわずかに変更されたシール装置3の実施形態を示す。主な相違点は、図2による実施形態では、シャフトアース6が設けられていないことである。他のすべての点において、図1による実施例の説明は、図2による実施例にも適用される。電気機械の内部空間は、この場合、シャフトシール4の右側に存在する。
【0035】
図1による、シャフト1をシールするシール装置3は、電気機械の第1側に配置されている。図2によるシール装置3は、電気機械の、シャフト1の第1側と反対側の第2側に配置され、そこでこのシャフト1をシールする。シャフト1と接続された電気機械のロータは、特に軸方向に隣接して、図1および図2の両方のキャッチ構造5Bの間に配置されている。
【符号の説明】
【0036】
1 ロータシャフト、シャフト
2 ハウジング
3 シール装置
4 シャフトシール
5 キャッチ装置
5A シャフトショルダ
5B キャッチ構造
6 シャフトアース
7 リザーバ
8 ベアリング
d1 シャフト直径
d2 シャフト直径
d3 シャフト直径
L 回転軸線
図1
図2