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特許7536020オフショア設備用の重力式基礎を製造するための方法および重力式基礎
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】オフショア設備用の重力式基礎を製造するための方法および重力式基礎
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/52 20060101AFI20240809BHJP
   F03D 13/20 20160101ALI20240809BHJP
【FI】
E02D27/52 Z
F03D13/20
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021542495
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 NL2020050030
(87)【国際公開番号】W WO2020153839
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】2022433
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】516250535
【氏名又は名称】コーニンクレッカ・バム・グループ・エン・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニュット・チャン・グエン
(72)【発明者】
【氏名】ヨゼーヒュス・フレデリクス・マリア・ファン・ライエン
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-203305(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0119381(US,A1)
【文献】特開2009-057713(JP,A)
【文献】特開平09-177085(JP,A)
【文献】特開平10-030332(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02930273(EP,A1)
【文献】特表2011-518968(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3176329(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/52
F03D 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフショア設備用の重力式の基礎を製造するための方法であって、
前記基礎は、コンクリートからなるケーソンおよび中空のシャフトを備え、前記ケーソンは、底部スラブ、ルーフ、および前記底部スラブと前記ルーフとの間に延在する側壁部を有することにより、前記底部スラブ、前記ルーフ、および前記側壁部によって画成された中空構造体を画定し、前記ルーフは、前記シャフト用の通路を有し、前記シャフトは、前記シャフトの下方部分が前記通路を通って前記ケーソン内へと延在し、
前記底部スラブは、コンクリートからなるシャフト支持部を備え、
前記シャフト支持部は、内方側部、外方側部、及び前記内方側部と前記外方側部との間の管状壁を有する中空の管状部材であり、前記シャフト支持部は、上方部分及び下方部分を有するテンションバーを有し、前記テンションバーの前記下方部分は、前記シャフト支持部の前記管状壁内に埋設され、前記テンションバーの前記上方部分は、前記シャフト支持部の前記管状壁の上方側部から垂直方向に突出しており
前記シャフトは、前記シャフトの下方部分にフランジを有し、前記フランジは、ボルト通路を有し、前記ボルト通路を通って延在する前記テンションバーによって前記シャフト支持部上に支持され且つ取り付けられており、
前記方法は、
コンクリートからなる底部スラブを用意するステップと、
前記シャフト支持部の前記内方側部を画定するように構成された全長型枠であって、前記シャフト支持部の垂直方向長さに対応する垂直方向長さを有する全長型枠を用意し、前記底部スラブ上に前記全長型枠を配置するステップと、
前記側壁部及び前記シャフト支持部の前記外方側部を画定するように構成されたスリップ型枠であって、前記全長型枠の前記垂直方向長さよりも短い垂直方向高さを有するスリップ型枠を用意し、前記底部スラブ上に前記スリップ型枠を配置するステップと、
前記テンションバーを用意し、前記全長型枠に対して前記テンションバーを定位置にて取り付けるステップと、
前記スリップ型枠を引き上げながら、前記スリップ型枠と前記全長型枠との間に画成された空間内にコンクリートを打設することによって前記側壁部および前記シャフト支持部のコンクリート打設を行うステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ケーソンは、前記側壁部から前記シャフト支持部まで延在する少なくとも3つの仕切り壁部をさらに備え、各仕切り壁部が、前記底部スラブ、前記側壁部、および前記シャフト支持部と一体の部分であり、前記スリップ型枠は、前記仕切り壁部を画定するようにさらに構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ケーソンは、前記シャフト支持部の周囲部に沿って均等に分布する複数の前記仕切り壁部を備え、前記複数は、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上の数値である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記仕切り壁部は、前記側壁部および前記シャフト支持部のコンクリート打設を行う前記ステップと同時にコンクリート打設される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記ボルト通路のパターンに対応するパターンで前記テンションバーを受け位置決めするように配置された垂直方向の型板通路を型板に形成するステップと、
前記型板通路に前記テンションバーを挿通するステップと
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記シャフト支持部の前記管状壁を補強するように構成されたシャフト支持部鉄筋を用意するステップと、
前記シャフト支持部鉄筋に対して前記テンションバーの前記下方部分を取り付けるステップと、
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記シャフト支持部鉄筋に対して前記型板を固定するステップをさらに含む、請求項5を引用する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記底部スラブは、前記側壁部、前記シャフト支持部、および任意の仕切り壁部の位置にて前記底部スラブから部分的に突出するスラブ鉄筋を備え、
前記方法が、前記スラブ鉄筋に対して前記シャフト支持部鉄筋を取り付けるステップをさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記側壁部を補強するように構成された側壁部鉄筋を用意するステップと、
前記スラブ鉄筋に対して前記側壁部鉄筋を取り付けるステップと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記仕切り壁部を補強するように構成された仕切り壁部鉄筋を用意するステップと、
前記側壁部鉄筋および/または前記シャフト支持部鉄筋に対して前記仕切り壁部鉄筋を取り付けるステップと、
前記スラブ鉄筋に対して前記仕切り壁部鉄筋を取り付けるステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スリップ型枠は、前記側壁部、前記シャフト支持部、および任意の仕切り壁部のコンクリート打設の最中に連続的にまたは段階的に引き上げられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記スリップ型枠の前記垂直方向長さは、前記側壁部の高さよりも短い、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記シャフトを用意するステップと、
前記ボルト通路に前記テンションバーを挿通するステップと、
前記テンションバーを用いて前記シャフト支持部に対して前記シャフトを装着し、前記テンションバーをテンショニングするステップと
をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ルーフを用意するステップと、
前記側壁部および前記シャフトに対して前記ルーフを装着するステップと
をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記基礎は自己浮力を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を含む、オフショア風力エネルギー設備を製造するための方法であって、
上方端部にタービンを担持する垂直方向のタワーを備える風力タービンを用意するステップと、
シャフトの前記上方端部に対して前記タワーの下方端部を取り付けるステップと
をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフショア設備用の重力式基礎に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、オフショア設備用の重力式モノシャフト基礎に関連して展開されたものである。しかし、本発明による重力式基礎は、マルチシャフト基礎にも適用され得る点に留意されたい。
【0003】
本願のコンテキストにおいて、モノシャフト基礎は、本願でシャフトと呼ぶ単一のカラムを有する基礎であり、海底上/中においてオフショア設備を支持するためのものである。そのため、これらのカラムは海底中に杭打ちされ得るものであり、これらの基礎は「モノパイル」としても知られ、カラムはパイルと呼ばれる。しかし、本発明は、自体の質量により安定性を獲得するいわゆる重力式基礎に関する。一般的に、重力式基礎は、ケーソンを基礎とする基礎である。ケーソンは、しばしば陸上で作製されるが、沖合、沿岸、より一般的には船上、またはその他においても可能であり、自己浮力を有し、より深水部へと牽引され、海底上に沈められ、この(造成された)海底上に設置される。
【背景技術】
【0004】
いわゆる「モノパイル」の場合には、パイルドライバが海底中にパイルを打ち込むために使用され、ラムがパイルの上方端部に対して作用する。結果的に、風力タービンなどの上方構造体は、パイルの上方端部上へ直接的に取り付けることができない。トランジションピースが使用される。実際には、このトランジションピースは、パイルの上方端部の直径よりも若干大きな直径を有する管である。トランジションピースの頂部上のフランジにより、ナットおよびボルトを使用して上方構造体を固定することが可能となる。トランジションピースは、グラウトによりパイルに対してしばしば取り付けられる。風力タービンの場合には、タワーは、波および風による動的荷重により揺動および振動し、その結果としてグラウトが崩れてしまう場合がある。パイルは、一般的にコンクリートまたは鋼からなる。鋼は、コンクリートと比較して小径でも高い強度を実現するという利点を有する。
【0005】
パイル基礎の1つの代替が、重力式基礎である。重力式基礎もまた、風力タービンと共に使用される。
【0006】
EP1,777,348およびEP2,559,814によるより深海向けの重力式基礎は、コンクリートケーソンおよびコンクリートシャフトを備え得る。水平面において見た場合に、このケーソンは、ほぼ円形の断面を有する。ケーソンまたはケーソン全体の頂部側は、ほぼ円錐台の形状を有する。シャフトは、この円錐台の頂部から上方に、一般的には海面から数メートル上方まで延在する。とりわけEP1,777,348およびEP2,559,814に示されるように、シャフトは、その下方部分が円錐台の頂部にて終端することにより、ケーソン内部には延在しない。ケーソンおよびシャフトは、共にコンクリートから作製される。これらの基礎のサイズを考慮して、ケーソンおよびシャフトは、段階的プロセスまたは連続プロセスで注型されるが、最終的に一体のコンクリート構造体を形成する。シャフトの頂部上には、風力タービンなどの上方構造体を取り付けるためのフランジまたは他の連結部が設けられる。それにより、トランジションピースを不要とすることが可能となる。
【0007】
本出願人によるEP2,930,273を参照すると、中空鋼シャフトの形態のシャフトを提供することも可能である。より深海向けのこれらの重力式基礎では、中空鋼シャフトは、ケーソンのルーフ中の開口を通って突出し、ケーソンの底部に位置する下方部分で支持されるが、さらなる支持がルーフにより得られる。鋼シャフトの下方部分は、底部スラブ上に形成され中空シャフトの下方部分中へ突出するプラグによって支持される。
【0008】
一般的に、重力式基礎は、陸上で作製されるが、沖合、沿岸、より一般的には船上、またはその他においても可能であり、自己浮力を有する中空構造を有する。それにより、重力式基礎は、浮遊状態で目的地へ移送されることが可能となる。目的地にて、ケーソン内に水が入れられることによりケーソンは底部へ沈められ、底部への到着後に、水は砂などのバラスト材と置換されて基礎が安定化される。
【0009】
完全コンクリートモノシャフト基礎の場合には、コンクリートシャフトは、現行において開発中の風力発電基地用の基礎として適用される場合に、典型的には12~15メートルの範囲内またはそれ以上の直径を有する。大径を有するこれらのシャフトにより、結果として水が、シャフトに対して高い流体力学的荷重で作用する。EP2,930,273によれば、シャフトに対して作用するこの水の高い動的荷重は、シャフトに鋼を使用することにより限定され、これによりコンクリートシャフトの直径の約半分にまで径を大幅に縮小することと、異なる重量配分とが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】EP1,777,348
【文献】EP2,559,814
【文献】EP2,930,273
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、本出願人によるEP2,930,273によるものなどの重力式支持体を製造するための方法を提供することであり、この方法は、ケーソン内にシャフトの下方部分を支持する代替的なまたは改良された様式をもたらす。本発明のさらなる目的は、代替的なまたは改良されたケーソンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、上記の目的の1つまたは複数が、請求項1に記載の方法を実施することにより達成され、第2の態様によれば、請求項20に記載の重力式基礎を提供することにより達成される。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、オフショア設備用の重力式基礎を製造するための方法が提供される。ここにおいて、
- この基礎は、コンクリートからなるケーソンおよび中空シャフトを備え、ケーソンは、底部スラブ、ルーフ、および底部スラブとルーフとの間に延在する側壁部とを有することにより、底部スラブ、ルーフ、および側壁部により画成された中空構造体を画定し、ルーフは、シャフト用の通路を有し、シャフトは、シャフトの下方部分が通路を通ってケーソン内へと延在する。一実施形態によれば、中空シャフトは、鋼などの金属から作製され得るが、別の実施形態によれば強化繊維などの別の材料から作製されてもよい。さらに他の実施形態によれば、中空シャフトは、同様のもしくは異なる材料からなる複数の材料および/または複数の構成要素を含む複合構造体から作製されてもよい。
- 底部スラブは、コンクリートからなるシャフト支持部を備え、シャフト支持部は、シャフト支持部の上方側部から垂直方向に突出する埋設されたテンションバーを有する。一実施形態によれば、シャフト支持部は、底部スラブと一体の部分であってもよい。コンクリート底部スラブと一体部分であるコンクリートシャフト支持部は、例えばスラブ鉄筋に対して支持部鉄筋を装着し、最初にコンクリートスラブを打設し、その後例えばスラブの硬化後などにコンクリートシャフト支持体を打設することによって、コンクリート構造体の作製で知られる様式で実現されてもよい。
- シャフトは、シャフトの下方部分にフランジを有し、フランジは、ボルト通路を有し、ボルト通路を通って延在するテンションバーによってシャフト支持部上に支持され且つ取り付けられる。一実施形態によれば、フランジは、シャフトの外方端部にまたはその付近に設けられてもよいが、別の実施形態によれば、シャフトは、フランジを越えて任意には底部スラブまで下方に延在してもよい。フランジを越えて延在するシャフトの場合には、フランジを越えて延在するシャフトの部分は、シャフト支持部を囲んでもよく、またはシャフト支持部により囲まれてもよい。
【0014】
さらに、この方法は、以下のステップを含む。
- コンクリート底部スラブを用意するステップ。
- シャフト支持部の少なくとも一部を画定するように構成された全長型枠であって、シャフト支持部の垂直方向長さに対応する垂直方向長さを有する全長型枠を用意し、底部スラブ上に全長型枠を配置するステップ。
- 側壁部を画定するように構成されたスリップ型枠であって、全長型枠の垂直方向長さよりも短い垂直方向高さを有するスリップ型枠を用意し、底部スラブ上にスリップ型枠を配置するステップ。
- テンションバーを用意し、全長型枠に対してテンションバーを定位置にて取り付けるステップ。テンションバーは、全長型枠に対して直接的にまたは間接的に取り付けられ得る。テンションバーは、例えばシャフト支持部鉄筋に対して取り付けられてもよく、このシャフト支持部鉄筋は、さらに全長型枠に対して取り付けられる。
- スリップ型枠を引き上げながら、側壁部およびシャフト支持部のコンクリート打設を行うステップ。
【0015】
本発明による基礎は、単一のシャフトを支持するコンクリートケーソンからなり、このシャフトは、鋼シャフトであってもよい。ケーソンは、底部スラブと、ルーフ壁部と、ルーフ壁部と底部スラブとの間に延在する側壁部とを有する。底部スラブ、ルーフ、および側壁部は、中空構造体を画定してケーソンに浮力を与える。中空は、ケーソン内部における仕切り壁部または他の構造体の存在を排除するものではない。また、中空は、使用時の基礎においては一般的であるように、基礎を水底まで沈めその上に留めるように安定化させるためにこの構造体が水、砂、または他の充填材料で充填されていることを排除しない。ケーソンは、自己浮力を有し得る。
【0016】
水平面内において見た場合に、本発明によるケーソンは、円形形状/周囲を有し得る。本発明によるルーフは、平坦形状を有し得るが、一般的には裁頭円錐形状を有し得る。
【0017】
ルーフは、シャフト用の通路を備え、底部スラブは、シャフト側方支持をもたらすコンクリートシャフト支持部を備える。シャフト支持部は中空であってもよい。シャフト支持部は、シャフト支持部の上方側部から垂直方向に突出する埋設されたテンションバーを有する。これらのテンションバーは、シャフトの下方部分上のフランジ中のボルト通路に嵌入するようにシャフト支持部内に配置され、それによりシャフトはシャフト支持部上に取り付けられ得る。
【0018】
ルーフ中に、より厳密にはルーフ中の通路の境界部の位置において、シャフト用の上方支持部がケーソンの上方側部位置に設けられる。この上方支持部は、本出願人によるEP2,930,273に記載されるように構成されてもよいが、異なるように構成されてもよい。
【0019】
水および風は、それらの方向に応じてシャフトに対して本質的に水平方向荷重力を印加するため、結果としてシャフトは荷重モーメントを被る。上方支持部、および本願では下方支持部とも呼ばれるシャフト支持部は、シャフトに対する支持力を印加しモーメントを支持することによって、これらの荷重力および荷重モーメントに対して共に対抗し、それにより水および風により印加された荷重に耐える。
【0020】
既に前述で示したように、本発明の一実施形態によれば、ケーソンの断面は円形形状を有してもよく、ケーソンの上方部分は裁頭円錐形状を有してもよい。
【0021】
本出願人による前出のEP2,930,273において明らかなように、重力式基礎および重力式基礎により担持された構造物に対して作用する風および水による荷重は、非常に高く、結果として非常に高い力がシャフトからケーソンへ伝達される。シャフトおよびケーソンが共にコンクリートから作製される場合に、これは、シャフトおよびケーソンを単体のコンクリート部分として製造することによって実現されてもよい。シャフトが中空であり、コンクリートから作製されない場合には、これらの高い力を伝達できるシャフト支持部が必要となる。EP2,930,273では、これは、底部スラブから中空シャフト内へ突出するプラグにより解消されていた。しかし、これは、ケーソンに対してシャフトを垂直方向に固定しない。本発明によれば、ケーソンに対してシャフトを垂直方向に固定することは、フランジを有するシャフトを用意することにより実現され、このフランジは、フランジ中に形成されたボルト通路と呼ばれる通路を通ってシャフト支持部から突出するテンションバーによってシャフト支持部上に取り付けられる。シャフトからケーソンに高い力を伝達することが可能になるようにするために、これらのテンションバーは、シャフト支持部内に中実アンカリングすることが必要となる。これにより、結果としてシャフト支持部には相当の垂直方向高さが必要となる。ケーソンを経済的に作製するために、ケーソンの高さを考慮して、ケーソンはいわゆるスリップ成形の様式で壁部のコンクリート打設を行うことによって立設される。フランジによりテンションバーに対してシャフトを装着することが可能になるようにするために、テンションバーは、ボルト通路へのこれらのテンションバーの挿通が可能になるように非常に正確な位置決めを必要とする。さらに、シャフト支持部に対するテンションバーの非常に正確な位置決めは、高い荷重を被る場合における長期耐用寿命を保証するために必要となる。しかし、スリップ成形は、テンションバーを変位させる傾向を有するため、テンションバーの非常に正確な位置決めにつながるものではない。スリップ成形を利用する場合にテンションバーの非常に正確な位置決めを実現するために、本発明は、シャフト支持部に対して全長型枠を使用し、この全長型枠に対して定位置にテンションバーを取り付ける。シャフト支持部に対してシャフトを固定することに加えて、テンションバーがさらにシャフト支持部を圧迫下におくことにより、シャフト支持部のコンクリートに対してプレストレスを与えることができる。
【0022】
シャフト支持部が中空であり内方側部および外方側部を有し得る本発明の第1の態様のさらなる一実施形態によれば、全長型枠は、シャフト支持部の内方側部を画定し、スリップ型枠は、シャフト支持部の外方側部を画定するようにさらに構成される。この実施形態では、テンションバーは、全長型枠に対して直接的にまたは間接的に装着されることにより定位置に容易に保持され、一方でシャフト支持部は、スリップ成形により側壁部と共に形成される。
【0023】
本発明の第1の態様のさらなる一実施形態によれば、ケーソンは、側壁部からシャフト支持部まで延在する少なくとも2つの仕切り壁部をさらに備えてもよく、スリップ型枠は、仕切り壁部を画定するようにさらに構成される。この実施形態では、各仕切り壁部が、底部スラブ、側壁部、およびシャフト支持部と一体の部分であってもよい。ケーソンは、シャフト支持部の周囲部に沿って均等に分布する複数の前記仕切り壁部を備え、この複数は、例えば3、4、5、6、7、8、またはそれ以上の数値である。この実施形態では、仕切り壁部は、例えばスリップ成形により側壁部およびシャフト支持部のコンクリート打設と同時になど、側壁部およびシャフト支持部のコンクリート打設を行うステップと同時にコンクリート打設されてもよい。これらの仕切り壁部は、シャフト支持部からケーソンのスラブおよび側壁部への力の伝達を支援する。
【0024】
第1の態様のさらなる一実施形態によれば、本発明による方法は、
- ボルト通路のパターンに対応するパターンでテンションバーを受け位置決めするように配置された垂直方向の型板通路を1つまたは複数の型板に形成するステップと、
- 型板通路にテンションバーを挿通するステップと
をさらに含む。
【0025】
かかる型板の使用により、テンションバーの位置の精度がさらに上昇し得る。かかる型板が(形成されることとなる)シャフト支持部の頂部上に配置される場合には、この型板は、一般的にはシャフト支持部の作製後に除去されてもよく(さらなる重力式基礎の製造においてこの型板を使用することができるように)、またはこの場合には、かかる型板は、重力式基礎内に残されてもよい。しかし、代替的にはまたは追加的には、かかる型板は、例えばシャフト支持部の高さの25%、および/または50%、および/または75%の位置など、他の位置に配置されてもよい。この後者の場合には、型板は、形成されることとなるシャフト支持部内部に残されるロスト型板となる。
【0026】
本発明の第1の態様のさらなる一実施形態によれば、鉄筋が、スラブおよび/またはシャフト支持部および/または側壁部および/または仕切り壁部を補強するために使用され得る。底部スラブは、例えば側壁部および/またはシャフト支持部および/または任意の仕切り壁部の位置にてスラブから部分的に突出するスラブ鉄筋を備えてもよい。スラブ鉄筋の突出部分は、側壁部、シャフト支持部、および/または仕切り壁部のそれぞれの鉄筋に対して装着され得る。
【0027】
第1の態様のさらなる一実施形態によれば、本発明による方法は、
- シャフト支持部を補強するように構成されたシャフト支持部鉄筋を用意するステップと、
- シャフト支持部鉄筋に対してテンションバーを取り付けるステップと、
- スラブ鉄筋に対してシャフト支持部鉄筋を取り付ける任意ステップと
をさらに含む。
【0028】
第1の態様のさらなる一実施形態によれば、本発明による方法は、シャフト支持部鉄筋に対して型板を固定するステップをさらに含む。
【0029】
第1の態様のさらなる一実施形態によれば、本発明による方法は、
- 側壁部を補強するように構成された側壁部鉄筋を用意するステップと、
- スラブ鉄筋に対して側壁部鉄筋を取り付ける任意ステップと
をさらに含む。
【0030】
第1の態様のさらなる一実施形態によれば、本発明による方法は、
- 仕切り壁部を補強するように構成された仕切り壁部鉄筋を用意するステップと、
- 側壁部鉄筋および/またはシャフト支持部鉄筋に対して仕切り壁部鉄筋を取り付けるステップと、
- スラブ鉄筋に対してシャフト支持部鉄筋を取り付ける任意ステップと
をさらに含む。
【0031】
本発明の第1の態様のさらなる一実施形態によれば、スリップ型枠は、側壁部、シャフト支持部、および任意の仕切り壁部のコンクリート打設の最中に連続的にまたは段階的に引き上げられる。
【0032】
第1の態様のさらなる一実施形態によれば、本発明による方法は、
- シャフトを用意するステップと、
- ボルト通路にテンションバーを挿通するステップと、
- テンションバーを用いてシャフト支持部に対してシャフトを装着し、テンションバーをテンショニングするステップと
をさらに含む。コンクリートの分野において、このテンショニングは、ポストテンショニングと一般的に呼ばれる。
【0033】
第1の態様のさらなる一実施形態によれば、本発明による方法は、
- ルーフを用意するステップと、
- 側壁部およびシャフトに対してルーフを装着するステップと
をさらに含む。
【0034】
第1の態様のさらなる一実施形態によれば、本発明による方法は、
- 上方端部にタービンを担持する垂直方向タワーを備える風力タービンを用意するステップと、
- シャフトの上方端部に対してタワーの下方端部を取り付けるステップと
をさらに含む。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、オフショア設備用の重力式の基礎が提供される。この基礎は、コンクリートからなるケーソンおよび中空のシャフトを備え、ケーソンは、底部スラブ、ルーフ、および底部スラブとルーフとの間に延在する側壁部を有することにより、底部スラブ、側壁部からシャフト支持部まで延在する任意の仕切り壁部、ルーフ、および側壁部によって画成された中空構造体を画定し、ルーフは、シャフト用の通路を有し、シャフトは、シャフトの下方部分が通路を通ってケーソン内へと延在する。底部スラブは、コンクリートからなるシャフト支持部を備え、シャフト支持部は、シャフト支持部の上方側部から垂直方向に突出する埋設されたテンションバーを有する、[および好ましくは、シャフト支持部は底部スラブと一体の部分である]。シャフトは、シャフトの下方部分にフランジを有し、フランジは、ボルト通路を有し、ボルト通路を通って延在するテンションバーによってシャフト支持部上に支持され且つ取り付けられる。
【0036】
本発明の第2の態様によるさらなる一実施形態によれば、シャフト支持部は、シャフト支持部鉄筋を備え、テンションバーは、シャフト支持部鉄筋に対して取り付けられる。
【0037】
本発明の第2の態様によるさらなる一実施形態によれば、
- 底部スラブは、シャフト支持部鉄筋に対して任意に取り付けられたスラブ鉄筋を備え、および/または
- 側壁部は、スラブ鉄筋に対して任意に取り付けられた側壁部鉄筋を備え、および/または
- 仕切り壁部は、仕切り壁部鉄筋を備え、仕切り壁部鉄筋は、
- スラブ鉄筋、および/または
- 側壁部鉄筋、および/または
- シャフト支持部鉄筋
に対して任意に取り付けられる。
【0038】
本発明の第1の態様および/または第2の態様によるさらなる一実施形態によれば、スリップ型枠の垂直方向長さは、側壁部の高さよりも短い。
【0039】
本発明の第1の態様および/または第2の態様によるさらなる一実施形態によれば、基礎は自己浮力を有する。
【0040】
本発明の第1の態様および/または第2の態様によるさらなる一実施形態によれば、シャフトは鋼シャフトであってもよい。
【0041】
第1の態様により製造された重力式基礎または第2の態様による重力式基礎の寸法に関する示唆を与えるために、本発明の第1の態様および/または第2の態様のさらなる一実施形態によれば、
- 水/海の底におけるケーソンの設置面積は、直径20m超であってもよく、例えば30~60mの範囲内などであり、30~40mなどである。
- シャフトの垂直方向高さは、40m超であってもよく、例えば30~60m水深に対して50~80mまたはそれ以上である。
- ケーソンの垂直方向高さは、15m超であってもよく、例えば20mまたはそれ以上であり、15~30mの範囲内などである。
- シャフト支持部は、7~12mの垂直方向高さを有してもよく、例えば約8.5mである。
- シャフト支持部の垂直方向高さは、側壁部の垂直方向高さの80%~120%の範囲内であってもよい。
- シャフト支持部は、5~9mの範囲内の直径を有してもよく、例えば約7.5mである。
【0042】
第3の態様によれば、この方法は、本発明の第1の態様による方法により提供される重力式基礎または風力エネルギー設備に関する。
【0043】
本発明の第4の態様によれば、本発明は、i)本発明の第2の態様による、または本発明の第1の態様による方法により提供される重力式基礎と、ii)上方端部にタービンを担持する垂直方向タワーを備える風力タービンであって、タービンの下方端部が、基礎のシャフト上に支持される、風力タービンとを備えるオフショア設備に関する。
【0044】
本発明に関して、現時点において予期されるように、重力式基礎は、陸上で作製されるが、沖合、沿岸、より一般的には船上、またはその他においても可能である点に留意されたい。さらに、本発明による重力式基礎は、自己浮力を有するような中空構造を有し、それにより浮遊状態で目的地へ移送されることが可能である。目的地にて、ケーソン内に水が入れられることによりケーソンは底部へ沈められ、底部への到着後に、水は砂などのバラスト材と置換されて基礎が安定化される。浮遊状態での輸送中における基礎の安定性および浮遊挙動を改善および/または制御するために、任意には、輸送前または輸送中にケーソン内に水を入れることが可能である。輸送前または輸送中にケーソン内に入れられる水の量は、ケーソンを沈めるためにケーソン内に入れられる量よりも少なくてもよい。
【0045】
本願全体を通じて、「スリップ成形」という用語は、スリップ型枠により鉄筋コンクリートまたは非鉄筋コンクリートから物体を形成することを意味する。あるいは換言すれば、「スリップ成形」は、コンクリートが連続的または段階的に移動する型枠内に打設される製造方法である。
【0046】
本願全体を通じて、補強鋼としても知られる「鉄筋」という用語は、コンクリートを強化するおよび/またはコンクリートを張力下に維持するために鉄筋コンクリート構造体において使用される棒鋼および/または鋼線メッシュを含む。
【0047】
以下、図面を参照として本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明によるおよび本発明による方法により提供される重力式基礎の概略断面図である。
図2図1の詳細図である、本発明によるおよび本発明による方法により提供される重力式基礎の第1の実施形態の概略断面詳細図である。
図3図1の詳細図である、本発明によるおよび本発明による方法により提供される重力式基礎の第2の実施形態の概略断面詳細図である。
図4図1の詳細図である、本発明によるおよび本発明による方法により提供される重力式基礎の第3の実施形態の概略断面詳細図である。
図5】本発明による重力式基礎のシャフトに対して作用する力を例としておよび概略的に示す図である。
図6】本発明によるおよび本発明による方法により提供される風力エネルギー設備の概略断面部分斜視図である。
図7】本発明による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、本発明による重力式基礎1の断面図を示す。図示する基礎1は、ケーソン3およびシャフト4からなる。この基礎1は、陸上で作製されたものであるが、沖合、沿岸、より一般的には船上、またはその他においても可能である。ユニットとして一体に組み立てられたケーソン3およびシャフト4は、沖合の目的地まで洋上を運ばれ得る。ケーソン3およびシャフト4のアセンブリは、中空構造であることにより自己浮力を有し、タグボートまたは他の船舶による沖合の目的地への牽引が可能である。目的地に到着すると、ケーソン3に水が入れられ、それによりケーソン3およびシャフト4は海底へ沈められる。シャフト4の上方端部11は、海面の上方に突出したままとなり得る。その後、ケーソン3内部の水および一般的にはさらにシャフト4内部の水が、砂などのバラスト材と置換される。明瞭化のため、ケーソン3およびシャフト4の内部の砂は図示しない。
【0050】
図6を参照すると、海底36上の定位置に基礎1を設置した後に、オフショア設備2がシャフト4の上方端部11上に設置されている。図示する実施形態では、オフショア設備は風力発電基地の風力タービンである。この風力タービンは、タービン32を担持するいわゆるタワー31を有する。
【0051】
図1から分かるように、ケーソンは、底部スラブ5、ルーフ6、および底部スラブ5とルーフ6との間に延在する側壁部7により画定される。ルーフ6は、水平方向に延在する平坦壁部などの任意の形状を有し得るが、シャフト4に向かって上方向へテーパ状をなすことが好ましい。図示する実施形態では、ルーフ6は、裁頭円錐形状を有する。ケーソンは、図1において破線で概略的に示される仕切り壁部8を有してもよく、一般的には有することになる。
【0052】
このケーソンは、全体がコンクリートから作製され得る。ケーソンの底部スラブ5が30~40mの直径を有し得、ケーソン3の垂直方向高さが約20mであり得ることを考慮すると、一般的にかようなコンクリートケーソンは段階的にまたは連続的に作製されることになることが明らかである。最初に底部スラブ5が作製される。その後、側壁部7および仕切り壁部が、現場にて底部スラブ5上に対してコンクリートからスリップ成形方法により注型することによって作製される。次のステップとして、ルーフ6が、現場にてコンクリートから注型され得るか、または予め製造されたルーフ要素から組み立てられ得る。これらの予め製造されたルーフ要素は、側壁部7上に配置され、隣接し合うルーフ要素間の連結部に位置する間隙内にコンクリートを注型することにより接合される。同様の方法で、ルーフ6またはルーフ要素が、ルーフ6と側壁部7との間の連結部にてコンクリートを注型することによって側壁部7に対して装着される。スラブ5、側壁部7、仕切り壁部8、およびルーフ6は、コンクリート注型物を強化するための鉄筋を備えてもよい。側壁部鉄筋、仕切り壁部鉄筋、およびシャフト支持部鉄筋にスラブ鉄筋を接合することにより、一体パーツとして形成されるコンクリート要素が実現される。同様の方法で、ルーフ6は、ルーフ鉄筋に側壁部鉄筋を接合することによって側壁部7との一体パーツをなしてもよい。
【0053】
上方支持部14は、コンクリートルーフ6と鋼シャフト4との間の移行部に構成される。コンクリートルーフ6は、シャフト4用の通路を備える。組立中に、シャフト4は、ケーソン3作製後の基礎に対して追加されるため、ルーフ中の通路は、シャフト4(の下方部分9)の直径よりも大きくてもよい。この段階で、通路は、ルーフ6のコンクリートにより形成された境界部によって画定される。後の段階において、ルーフ6とシャフト4との間に残るこの空間もまた、コンクリートで充填または埋められてもよい。一例として、シャフトに対してルーフを装着し得る方法を示す本出願人による前出のEP2,930,273を参照とする。シャフトに対してルーフを装着する他の方法もまた利用され得る。
【0054】
下方支持部またはシャフト支持部12は、底部スラブ上に構成され、図1では中空構造体として図示されるが、必ずしも中空である必要はない。シャフト4の下方部分9は、シャフト支持部12により支持される。その場合に、シャフト4およびシャフト支持部12は、一体的に締め付けることが可能である。
【0055】
例として、図2図3、および図4は、シャフト4をその下方部分によりシャフト支持部12に対して取り付ける第1の様式、第2の様式、および第3の様式の詳細をそれぞれ示す。図2図3、および図4においてそれぞれ詳細に図示される図1のパーツは、図1では参照符号II、III、IVで示されている。
【0056】
図2を参照すると、シャフト4の下方部分9は、シャフト4の下方外方端部にフランジ15を備える。鋼シャフト4の場合には、このフランジは、シャフト4に対して溶接された鋼フランジであってもよい。フランジ15は、シャフト4の外方周囲部に沿って分布する複数のボルト通路18を有する。シャフト支持部12は、対応する複数のテンションバー17を備える。これらのテンションバー17は、シャフト支持部のコンクリート中に埋設され、シャフト支持部12から垂直方向に突出する上方端部部分16を有する。これらの垂直方向突出端部部分16は、ボルト通路18を通って延在する。垂直方向突出端部部分16は、取付け特徴部を備え、この取付け特徴部は、シャフト支持部の作製後にシャフト支持部12に対するシャフト4のしっかりした固定のためにテンションバーをポストテンショニングすることが可能になるように構成される。一般的には、垂直方向突出部分16ごとに、各取付け特徴部が、雄ねじ山を有するロッド(垂直方向突出部分の形態の)などの第1の取付け要素と、第1の取付け要素と協働するように構成された対合する雌ねじ山を有するナットなどの第2の取付け要素19(図2では1つのみを示す)とを備え得る。例として、テンションバー17の垂直方向突出部分16が、雄ねじ山を備え得、対合する雌ねじ山を有するナットが、この突出部分16に対して螺着され得る。しかし、他の取付け特徴部も考えられ得る。
【0057】
図3の第2の実施形態は、フランジ15がシャフトの下方外方端部10からある距離をおいて構成される点において、図2の第1の実施形態とは異なる。図2の第1の実施形態と同様に、垂直方向突出端部部分16は、シャフト支持部の作製後にシャフト支持部12に対するシャフト4のしっかりした固定のためにテンションバーをポストテンショニングすることが可能になるように構成された取付け特徴部を備える。一般的には、垂直方向突出部分16ごとに、各取付け特徴部が、雄ねじ山を有するロッド(垂直方向突出部分の形態の)などの第1の取付け要素と、第1の取付け要素と協働するように構成された対合する雌ねじ山を有するナットなどの第2の取付け要素19(図3では図示せず)とを備え得る。例として、テンションバー17の垂直方向突出部分16が、雄ねじ山を備え得、対合する雌ねじ山を有するナットが、この突出部分16に対して螺着され得る。しかし、この第2の実施形態に関してもまた、他の取付け特徴部が考えられ得る。他の構造上の詳細に関しては、図3による第2の実施形態は、図2による第1の実施形態と本質的に同一であってもよい。
【0058】
図3の第2の実施形態でもまた、シャフト4の下方部分9はフランジ15を備える。しかし、図3の実施形態の場合では、フランジ15は、上記で既に述べたようにシャフトの下方外方端部10からある距離をおいて構成される。鋼シャフト4の場合には、フランジは、シャフト4に対して溶接された鋼フランジであってもよい。したがって、シャフト4の下方部分9は、フランジ15を貫通して延在する、すなわち換言すれば、上方から下方向に見た場合にシャフト4の下方部分9は、フランジ15を越えて延在する。図3に示す実施形態では、シャフト4の下方外方端部10は、スラブ5(図3では図示せず)からある距離をおいて位置する。下方外方端部10は、例えばフランジ15からスラブ5までの垂直方向距離の約半分の位置に位置してもよい。別の実施形態によれば、シャフト4の下方部分9は、スラブ5まで下方に延在してもよく、この場合には下方外方端部10は、スラブ5に対して接触し得る。
【0059】
図3の第2の実施形態では、シャフト4の下方部分9の外径は、シャフト支持部の内径とほぼ同一であってもよく、それにより機械的閉鎖保持が実現される。シャフトの下方部分の外径がシャフト支持部の内径よりも小さい場合には、機械的閉鎖保持は、シャフトとシャフト支持部との間の内部空間を例えばコンクリートまたはグラウトで充填することによっても実現され得る。
【0060】
図4の第3の実施形態は、フランジ15が、シャフト4の下方部分9の外方周囲部に沿って分布する第1の複数のボルト通路18aと、シャフト4の下方部分9の内方周囲部に沿って分布する第2の複数のボルト通路18bとを有する点において、図2の第1の実施形態とは異なる。さらにこれに対応して、2つの複数のテンションバー17が、シャフト4のコンクリート中に埋設され、各テンションバー17は、シャフト支持部12から垂直方向に突出する上方端部部分16を有する。図2の実施形態と同様に、これらの垂直方向突出端部部分16は、シャフト支持部12の形成後にこのシャフト支持部12に対するシャフト4のしっかりした固定のためにテンションバーをポストテンショニングすることが可能になるように構成された取付け特徴部をそれぞれ備える。一般的には、垂直方向突出部分16ごとに、各取付け特徴部が、雄ねじ山を有するロッド(垂直方向突出部分の形態の)などの第1の取付け要素と、第1の取付け要素と協働するように構成された対合する雌ねじ山を有するナットなどの第2の取付け要素19(図4では図示せず)とを備え得る。例として、テンションバー17の垂直方向突出部分16が、雄ねじ山を備え得、対合する雌ねじ山を有するナットが、この突出部分16に対して螺着され得る。しかし、この第3の実施形態に関してもまた、他の取付け特徴部が考えられ得る。さらなる構造上の詳細に関しては、図4による第3の実施形態は、図2による第1の実施形態(または該当する場合には図3による第2の実施形態)と本質的に同一であってもよい。
【0061】
図1を参照すると、図2図3、および図4のテンションバー17などのこれらのテンションバー17は、スラブ5まで下方へ延在してもよくまたはスラブ5中へとさらに延在してもよい。さらに、図2図3、および図4のテンションバー17などのこれらのテンションバー17の下方端部にはアンカー要素が設けられてもよい。かかるアンカー要素は、各テンションバー17に対して横方向に延在し各テンションバーに対して固定的に装着されたプレートであってもよい。これらのアンカー要素は、シャフト4の取付け時にテンションバー17がポストテンショニングされた場合に、すなわちコンクリートの固化後にテンショニングされた場合に、テンションバー17を定位置に保持するという目的を果たす。テンションバー17のポストテンショニングを容易にするために、図2図3、および図4のテンションバー17などの各テンションバーは、コンクリートに直接接触するのを防止するチューブ内に配置されてもよい。
【0062】
図5は、本発明による基礎およびタワー31に対しておよびそれらの中で作用する荷重の一例を概略的に、高水準において、かつ完全ではない様式で示す。
【0063】
風力タービンに対して作用する風は、矢印Fwで表され、海面35の約100m上方の高さH1にて作用するものと想定する。風による力は高い数値に達する場合があり、Fwは例えば2MN(MN=メガニュートン)の力を有し得る。シャフト4に対して作用する水は、矢印Fhで表され、海面35の約10m下方の高さH2にて作用するものと想定する。水による力(例えば波、潮、流れ等に起因するものなど)はやはり高い数値に達する場合があり、Fhは例えば3MN(MN=メガニュートン)の力を有し得る。海底36は、この例では50mの深さ(H2+H3+H4)であり、ケーソンの高さH4すなわち上方支持部の高さは、20mであり、そのためFhは、上方支持部14の20m上方の高さH3にて作用するものと想定される。下方支持部12および上方支持部14の高さにおけるシャフト4の直径は、この例では約7m(7メートル)である。
【0064】
これらの風荷重Fwおよび水荷重Fhにより、シャフトがケーソンにより支持される位置においてシャフト4とケーソン3との間に反力および反力モーメントが結果として生じる。これらの位置は、上方支持部14および下方支持部12である。
【0065】
下方支持部におけるシャフト4とスラブ5との間のプラグシャフト支持部12を介した連結部は、いわゆる「固定柱梁連結部」とみなすことが可能である。風および水の荷重により、シャフト支持部は、下方支持部の高さにおいてシャフトに対して少なくとも水平方向反力Rlower、垂直方向反力Vlower、および水平方向軸を有する反力モーメント(図示せず)を印加することになる。他の反力および反力モーメントもまた存在し得る。
【0066】
上方支持部14におけるシャフト4とルーフ6との間の連結部もまた、いわゆる「固定柱梁連結部」とみなすことが可能である。風および水の荷重により、ルーフ/上方支持部は、上方支持部の高さにおいてシャフトに対して少なくとも水平方向反力Rupper、垂直方向反力Vupper、および水平方向軸34を有する反力モーメントMupperを印加することになる。他の反力および反力モーメントもまた存在し得る。
【0067】
上述から明らかになるように、これらの作用力は、フランジとシャフト支持部との間の連結部に対して非常に高い要件を求める。テンションバーは、コンクリート内に正確に位置決めされポストテンショニングされなければならない。シャフト支持部の垂直方向高さは、より高いほどより良好となる。さらに、シャフト支持部は、仕切り壁部により水平方向において支持されてもよく、この場合もまた、シャフト支持部の垂直方向高さがより高いことが要求される。
【0068】
図7は、本発明による方法を非常に概略的に説明する。最初に、コンクリート底部スラブ5が用意される。この底部スラブは、本方法の他のステップが実施される場所から遠く離れた場所で製造されてもよい。例えば輸送コストなどを削減するために、底部スラブ5は、本発明による方法のさらなるステップが実施されるステーションに隣接するステーションで製造されてもよい。
【0069】
次の調製ステップでは、以下のものが用意および実施される。
- シャフト支持部の内方側部を画定するように構成されスラブ5上に配置された全長型枠40。
- 側壁部、仕切り壁部、およびシャフト支持部の外方側部を画定するように構成されスラブ5上に配置されたスリップ型枠41、42。
- テンションバー17が、定位置に配置され、テンションバー17の位置が全長型枠40に対して固定されるように全長型枠40に対して正確に取り付けられる。
- 任意には、(回収可能な)型板43が、全長型枠40の頂部上に配置され、型板43の位置が全長型枠40に対して固定されるように全長型枠40に対して固定的に取り付けられる。
- 任意には、1つまたは複数のロスト型板46が、全長型枠の高さに沿って配置され、ロスト型板46の位置が全長型枠40に対して固定されるように全長型枠40に対して固定的に取り付けられ得る。
- 任意には、シャフト支持部鉄筋44および/または側壁部鉄筋45および/または仕切り壁部鉄筋が、スラブ鉄筋の突出部分に対して配置および装着される。
【0070】
これらの調製ステップの完了後に、側壁部、シャフト支持部、および仕切り壁部のコンクリート打設を開始することが可能となる。コンクリートは、スリップ型枠41、42と全長型枠40との間に画成された空間内に打設される。段階的スリップ成形の場合には、スリップ型枠41、42は矢印Lで示されるように徐々に引き上げられ、それにより側壁部、シャフト支持部、および仕切り壁部の各セクションが前セクションの上に積み重ねられるように製造される。連続的スリップ成形の場合には、スリップ型枠41、42は、スリップ型枠41、42と全長型枠40との間に画成された空間内へのコンクリート打設と同時に連続的に引き上げられる。
【符号の説明】
【0071】
1 重力式基礎
2 オフショア設備
3 ケーソン
4 シャフト
5 底部スラブ
6 ルーフ
7 側壁部
8 仕切り壁部
9 下方部分
10 下方外方端部
11 上方端部
12 下方支持部、シャフト支持部、プラグシャフト支持部
14 上方支持部
15 フランジ
16 上方端部部分、垂直方向突出端部部分、垂直方向突出部分
17 テンションバー
18 ボルト通路
18a ボルト通路
18b ボルト通路
19 第2の取付け要素
31 タワー
32 タービン
34 水平方向軸
35 海面
36 海底
40 全長型枠
41、42 スリップ型枠
43 型板
44 シャフト支持部鉄筋
45 側壁部鉄筋
46 ロスト型板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7