(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】アルカリ性消毒組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 25/30 20060101AFI20240809BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20240809BHJP
A01N 31/02 20060101ALI20240809BHJP
A01N 59/00 20060101ALI20240809BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20240809BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240809BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20240809BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20240809BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A01N25/30
A01N25/02
A01N31/02
A01N59/00 C
C11D17/04
C11D3/20
C11D1/72
C11D3/48
A01P3/00
(21)【出願番号】P 2021549287
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 US2020019145
(87)【国際公開番号】W WO2020172488
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-01-23
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506190555
【氏名又は名称】ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガーナー,ドウェイン キース
(72)【発明者】
【氏名】マクノートン,マリサ エル
(72)【発明者】
【氏名】ビンガム,ジェームス エドモンド
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0213750(US,A1)
【文献】米国特許第06376448(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0057987(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧可能組成物であって、
前記組成物の総重量に基づいて15~35重量%の1つ以上のC1~C6アルコールと、
前記組成物の総重量に基づいて
0.1~0.8重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤と、
1つ以上のアルコールエトキシレートを含む、0.01~10重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤と、を含み、
前記組成物が、12を超えるpHを有し、
前記組成物が、脂肪酸またはその塩を含む界面活性剤を欠いている、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、12を超えて14未満のpHを有する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、12.1~13.9のpHを有する、請求項
2に記載の組成物。
【請求項4】
前記1つ以上の非イオン性界面活性剤が、1つ以上のC8~C14直鎖アルコールエトキシレートからなる、請求項
1に記載の組成物。
【請求項5】
前記1つ以上のC1~C6アルコールと、前記1つ以上のアルカリpH調整剤と、前記1つ以上の非イオン性界面活性剤と、水とからなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
組成物であって、
前記組成物の総重量に基づいて15~35重量%の、エタノールを含む1つ以上のC1~C6アルコールと、
前記組成物の総重量に基づいて0.05~5重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤と、
前記組成物の総重量に基づいて0.05~5重量%の1つ以上のアルコールエトキシレートと、を含み、
前記組成物が、12を超えるpHを有し、
前記組成物が、脂肪酸またはその塩を含む界面活性剤を欠いている、組成物。
【請求項7】
前記組成物が、12を超えて14未満のpHを有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記1つ以上のアルコールエトキシレートが、1つ以上のC8~C14直鎖アルコールエトキシレートからなる、請求項6に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連技術の相互参照
本発明は、2019年2月21日に出願され、「ALKALINE DISINFECTING COMPOSITIONS」と題された、米国仮特許出願第62/808,484号の利益および優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、アルカリ性消毒組成物に関する。より具体的には、本開示は、1つ以上のアルコールと、1つ以上のアルカリpH調整剤と、1つ以上の非イオン性界面活性剤とを含有するアルカリ性消毒組成物に関する。アルカリ性消毒組成物は、12を超えるpHを有する。アルカリ性消毒組成物は、C.difficile胞子に対する有効性を含む、広範なスペクトル有効性を達成する。
【背景技術】
【0003】
組成物を消毒することは、掃除のためだけでなく、家庭または職場の表面を消毒するためにも、公衆にますます一般的になりつつある。医療および食品サービス用途の両方では、さらなるすすぎまたは洗浄を必要とせずに、表面を消毒することが特に望ましい。こうした消毒は、ワイプ、消毒スプレー、またはバルク消毒剤の形態の組成物を介して達成される場合がある。形態にかかわらず、表面の急速な消毒のためには、多様な表面用の組成物が望ましい。したがって、主題の消毒組成物は、低い毒性評価を有する一方で、細菌、ウイルス、および真菌に対して急速な有効性を提供しなければならない。さらに、消毒組成物は、使用後の最小限の視覚的残留および最小限の臭気の発生など、ユーザーが表面洗浄剤に望む特定の美観を示さなければならない。これらの消毒組成物は同様に、ワイプなどの他のクリーニング後続製品を使用しても、これらの望ましい特性(すなわち、最小限の視覚的残留および最小限の臭気の発生)を維持しなければならない。
【0004】
医療に特有の環境では、重篤な感染症が特に懸念される。こうした感染は、一般に、医療関連感染(HAI)と呼ばれることがある。ほとんどのタイプのHAIは減少しているが、細菌クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)によって引き起こされる1つの感染症は、歴史的に高いレベルのままである。C.difficileは、ヒトの腸の胞子形成型グラム陽性嫌気性バチルスであり、成人集団の2~5%に存在すると考えられている。病原性C.difficile株は複数の毒素を生成し、そのうち最も特徴が明らかにされているのはエンテロトキシン(C.difficile毒素A)および細胞毒素(C.difficile毒素B)であり、そのどちらも感染者での下痢および炎症を生じさせうる。シプロフロキサシンおよびレボフロキサシンなどのフルオロキノロン系抗生物質に対して耐性を有する、C.difficileの毒性の高い新しい株の出現も報告されている。C.difficile感染は下痢および他の腸の問題を引き起こし、毎年米国において14,000人の死につながっている。
【0005】
様々な表面でC.difficileの胞子を殺傷するための種々の戦略が提案されているが、成功は限定的である。漂白剤系組成物は、硬質表面用に用いられており、C.difficileの環境負荷を低減させることが示されているが、腐食性であり、表面を劣化させる可能である。過酸化水素と過酢酸との組み合わせ、過酸化水素と銀カチオンドライミストシステムとの組み合わせ、および他の「改良型」過酸化水素製剤を含む、過酸化水素系組成物も提案されてきた。ところが、過酸は一般的に、安定性が低く、腐食性があり、および刺激臭を有する。過酸化水素もまた分解しやすく、濃縮溶液は腐食性が高い可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、C.difficile胞子に対して良好な有効性を有する、より安定で、腐食性の低い組成物に対するニーズが残る。さらに、こうした組成物は、任意の環境において表面を迅速に消毒するために望ましい美的特性および使いやすさ、すなわち、最小限の視覚的残留、複数表面での使用、および低い臭いの発生、を維持することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的な発明概念は、アルカリ性消毒組成物を対象とする。アルカリ性消毒組成物は、12を超えるpHを有し、1つ以上のアルコールと、1つ以上のアルカリpH調整剤と、1つ以上の非イオン性界面活性剤とを含有する。本開示の実施形態では、組成物は脂肪酸界面活性剤および脂肪酸由来界面活性剤を欠いており、すなわち、組成物は脂肪酸界面活性剤および脂肪酸由来界面活性剤を除外する。本開示の実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、アルコールエトキシレート、アルコールプロポキシレート、またはそれらの組み合わせを含む。本開示のその他の実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグルコシドを含む。
【0008】
本発明の概念の利点は、以下の詳細な開示を考慮すると、特に添付図面と併せて考慮された場合に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対する様々なpHレベルにおける5つの例示的なアルカリ性消毒組成物の有効性のグラフ表示である。
【
図2】
図2は、2つの例示的なアルカリ性消毒組成物対1つの比較組成物の貯蔵安定性を比較して示す画像である。
【
図3】
図3は、2つの例示的なアルカリ性消毒組成物対1つの比較組成物の視覚的残留物を比較して示す画像である。
【
図4】
図4は、2つの例示的なアルカリ性消毒組成物、1つの比較組成物、および1つの未処理対照の知覚臭気強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、アルカリ性消毒組成物が開示されている。本開示は、アルカリ性消毒組成物の特定の実施形態を詳細に説明するが、本開示は例示的なものとみなされるべきであり、開示された実施形態に限定されることを意図しない。
【0011】
本明細書に記載される用語は、実施形態の説明のためのみであり、全体として本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の単数の特徴または制限へのすべての参照は、別途指定のない限り、またはそうでないことが参照がなされる文脈によって明らかに暗示されていない限り、対応する複数の特徴または制限を含むものとし、また逆も可である。別途指定のない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「少なくとも1つの」は互換的に使用される。さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される際に、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、そうでないことを文脈が明らかに示さない限り、その複数形を含む。
【0012】
「含む(includes)」または「含む(including)」という用語が説明または特許請求の範囲で使用される範囲において、この用語が特許請求の範囲で転換語として用いられる時は、「備える(comprising)」という用語が解釈されるのと同様の様態で包括的であることが意図される。さらに、「または」という用語が用いられる範囲において(例えば、AまたはB)、これは「AまたはBまたはその両方」を意味することが意図されている。出願人が「AまたはBのみであり、両方ではない」ことを示すことを意図する場合は、「AまたはBのみであり、両方ではない」という用語が使用されることになる。従って、本明細書の「または」という用語の使用は包括的であり、排他的使用ではない。さらに、「AおよびBのうちの1つ以上」という語句が用いられる場合、それは、「Aのみ、Bのみ、またはAおよびBの両方」を意味することが意図される。同様に、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という語句が用いられる場合、それは、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、またはA、B、およびCの任意の組み合わせ」(例えば、AおよびB、BおよびC、AおよびC、A、B、およびC)を意味することが意図される。
【0013】
本開示のアルカリ性消毒組成物は、本明細書に記載される本開示の本質的要素、ならびに本明細書に記載されるまたは別の方法で消毒の用途に有用な任意の追加的または随意の要素を含む、それらから成る、または本質的にそれらから成ることができる。
【0014】
別段の指定がない限り、本明細書で使用される全ての割合、部、および比は、総製剤の重量基準である。
【0015】
本明細書に開示される割合、部、および比を含むがこれらに限定されないすべての範囲およびパラメータは、その中に仮定および包摂されるありとあらゆるサブ範囲、ならびに両終点の間のすべての数を包含することが理解される。例えば、「1~10」の述べられた範囲は、1以上の最小値で始まり10以下の最大値で終わるありとあらゆるサブ範囲を含み(例えば、1~6.1、または2.3~9.4)、各整数(1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10)が範囲内に含まれると見なされるべきである。
【0016】
本明細書で使用される方法またはプロセス工程の任意の組み合わせは、別途指定のない限り、または参照された組み合わせが行われている文脈によってそうではないことが明らかに暗示されていない限り、任意の順序で実施されてもよい。
【0017】
一般的な発明概念は、アルカリ性消毒組成物に関する。より具体的には、本発明の概念は、1つ以上のアルコールと、1つ以上のアルカリpH調整剤と、1つ以上の非イオン性界面活性剤とを含有するアルカリ性消毒組成物に関する。アルカリ性消毒組成物は、12を超えるpHを有し、C.difficile胞子に対する有効性を含む広範なスペクトル有効性を達成する。
【0018】
本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、1つ以上のアルコールを含む。本明細書で使用される「アルコール」という用語は、少なくとも1つのヒドロキシル基に結合された少なくとも1つの炭素を含む任意の化合物、すなわち、直鎖または分岐化合物を含む構造R1R2R3C_OHを有する任意の分子を構成する。1つ以上のアルコールと、1つ以上のアルカリpH調整剤との間での平衡反応を介して産生されるアルコキシドの濃度は、非イオン性界面活性剤の存在下で、アルカリ性消毒組成物の有効性に寄与しうることが見出されているため、「R」基、すなわち、R1基、R2基およびR3基の同一性は特に限定されない。本明細書で使用される場合、「アルコキシド」という用語は、任意の脱プロトン化アルコール、すなわち、構造R1R2R3C_O(-)を有し、以下に記載される平衡反応で存在する任意の分子を表す。
【化1】
【0019】
本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、1つ以上の一価アルコールを含んでもよい。本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、代替的にまたは追加的に、1つ以上のジオールを含んでもよい。本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、代替的に、または追加的に、1つ以上の多価アルコールを含んでもよい。これには、非限定的な例として、ブチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、およびその他の同様なポリオールおよびグリコールを含むC2~C6ポリオールおよびグリコールなどのC2~C8ヒドロトロープ、およびそれらの組み合わせならびに誘導体が含まれる。本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、炭素鎖に沿って様々な官能基置換を有する任意の一価アルコールまたは多価アルコールを含んでもよい。これには、アミン、四級アンモニウム、アミド、カルボン酸、アリール、置換アリール、環状アルキル、チオール、チオエーテル、アルカン、アルケン、アルキン、エーテル、ハロゲン化アルキル、アルデヒド、ケトン、無水物、エステル、ニトリル、ニトロアルカン、亜硝酸塩、硝酸塩、アミン酸化物、イソシアン酸塩、リン酸塩、ホスフィン、ホスフィン酸化物、亜リン酸塩、ボラン、ホウ酸塩、シラン、シロキシド、スルホン酸塩、硫酸塩およびその組み合わせならびに誘導体が含まれるが、これに限定されない。
【0020】
本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、1つ以上のC1~C10アルコール、すなわち、1~10個の炭素原子を含むアルコールを含んでもよい。本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、1つ以上のC1~C8アルコールを含んでもよい。本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、1つ以上のC1~C6アルコールを含んでもよい。こうしたC1~C6アルコールは、低級アルカノールと呼ばれる場合があり、長鎖アルコール(すなわち、脂肪アルコール)とは異なる。低級アルカノールの例には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびそれらの異性体ならびにそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上のC1~C6アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、もしくはブタノール、またはそれらの異性体もしくは混合物を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のC1~C6アルコールは、イソプロパノールを含むか、またはイソプロパノールからなる。いくつかの実施形態では、1つ以上のC1~C6アルコールは、エタノールを含むか、またはエタノールからなる。いくつかの実施形態では、組成物はアルコールの混合物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、エタノールとイソプロパノールとの混合物を含むか、またはエタノールとイソプロパノールとの混合物からなる。いくつかの実施形態では、組成物は、イソプロパノールとn-プロパノールとの混合物を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、1つ以上のアルコールはエタノールから成る。本明細書で使用される場合、「エトキシド」という用語は、以下に記載されるような平衡反応中に存在する脱プロトン化エタノールを記述する。
【化2】
【0022】
本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大95重量パーセント(wt.%)の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大75重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大60重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大40重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大30重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて少なくとも0.1重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて少なくとも5重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて少なくとも10重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて少なくとも20重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1~95重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて5~95重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて5~75重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて5~60重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて70~90重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて15~45重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて15~35重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて15~30重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて18~30重量%の1つ以上のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて20~30重量%の1つ以上のアルコールを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1~95重量%の1つ以上のC1~C6アルコールを含む表面噴霧組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて15~35重量%の1つ以上のC1~C6アルコールを含む表面噴霧組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて15~30重量%の1つ以上のC1~C6アルコールを含む表面噴霧組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて20~30重量%の1つ以上のC1~C6アルコールを含む表面噴霧組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1~95重量%のエタノールを含む表面噴霧組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて15~35重量%のエタノールを含む表面噴霧組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて15~30重量%のエタノールを含む表面噴霧組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて20~30重量%のエタノールを含む表面噴霧組成物として製剤化される。
【0024】
いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、ワイプ内に、またはワイプ上に送達され、組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1~95重量%の1つ以上のC1~C6アルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、ワイプ内に、またはワイプ上に送達され、組成物は、組成物の総重量に基づいて15~35重量%の1つ以上のC1~C6アルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、ワイプ内に、またはワイプ上に送達され、組成物は、組成物の総重量に基づいて15~30重量%の1つ以上のC1~C6アルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、ワイプ内に、またはワイプ上に送達され、組成物は、組成物の総重量に基づいて20~30重量%の1つ以上のC1~C6アルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、ワイプ内に、またはワイプ上に送達され、組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1~95重量%のエタノールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、ワイプ内に、またはワイプ上に送達され、組成物は、組成物の総重量に基づいて15~35重量%のエタノールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、ワイプ内に、またはワイプ上に送達され、組成物は、組成物の総重量に基づいて15~30重量%のエタノールを含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、ワイプ内に、またはワイプ上に送達され、組成物は、組成物の総重量に基づいて20~30重量%のエタノールを含む。
【0025】
本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、1つ以上のアルカリpH調整剤を含む。一般に、本明細書で使用される「アルカリpH調整剤」という用語は、水と相互作用してOH(-)イオンを生成する任意の化合物を指す。適切なアルカリpH調整剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化テトラアリールアンモニウム、水酸化コリン、およびそれらの組み合わせなどの水酸化物;酸化カルシウムおよび酸化ナトリウムなどの金属酸化物;リン酸二カリウム、リン酸二ナトリウム、炭酸マグネシウム、三リン酸五カリウム、三リン酸五ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、およびリン酸三ナトリウムなどの弱酸の共役塩基;ならびにトリアルキル/アリールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ケイ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、ナトリウムアリールオキシド、およびこれに類するナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウムまたはマグネシウムカチオンを有する化合物が含まれるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上のアルカリpH調整剤は、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムのうちの1つ以上を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、1つ以上のアルカリpH調整剤は、水酸化ナトリウムを含むか、または水酸化ナトリウムからなる。
【0026】
本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大10重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大5重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大1重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.05~5重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.05~1重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1~0.8重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤を含む。
【0027】
本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、1つ以上の界面活性剤を含む。本開示によれば、1つ以上の界面活性剤は、1つ以上の非イオン性界面活性剤を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、陰イオン性界面活性剤を欠いており、すなわち、組成物は陰イオン性界面活性剤を除外する。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、1つ以上のアルコールエトキシレート、アルコールプロポキシレート、およびそれらの組み合わせを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、1つ以上のアルキルポリグルコシドを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリ(アルキレン-オキシド)ブロック共重合体、オリゴマーアルキルポリ(エチレンオキシド)、オリゴマーアキルポリ(プロピレンオキシド)、アルキル-フェノールポリ(エチレンオキシド)、アミン酸化物、ソルビタンエステル、アルキルアミドエトキシレート、アルキルアミンエトキシレート、ベタイン、レシチン、アミノ酢酸塩、長鎖アルコール、長鎖ジオール、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0029】
本開示によれば、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、1つ以上のアルコールエトキシレート、アルコールプロポキシレート、およびそれらの組み合わせを含んでもよく、またはそれらからなってもよい。本開示によれば、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、8を超えて13未満のHLB値を含む、13未満の親水性親油性バランス(HLB)値によって特徴付けられる場合がある。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、分岐アルコールエトキシレートまたは直鎖アルコールエトキシレートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、C8~C14直鎖アルコールエトキシレートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、C10~C12直鎖アルコールエトキシレートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、C11直鎖アルコールエトキシレート界面活性剤を含んでもよく、またはそれらからなってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコールポリエチレングリコールを含んでもよく、またはそれらからなってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、PEG-7ラウリルエーテルを含んでもよく、またはそれからなってもよく、これは時にLaureth-7と称される。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、PEG-9トリデシルエーテルを含んでもよく、またはそれからなってもよく、これは時にTrideceth-9と称される。
【0030】
本開示によれば、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、1つ以上のアルキルポリグルコシドを含んでもよく、またはそれらからなってもよい。アルキルポリグルコシド(「APG」)のクラスは、ブドウ糖、およびアルキル基が8~18個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、グリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、および末端ヒドロキシル基を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、ならびにこれらの組み合わせから誘導される。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、C8~12アルキルポリグルコシド界面活性剤およびC8~10アルキルポリグルコシド界面活性剤を含む、C8~14アルキルポリグルコシド界面活性剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、C8~10アルキルポリグルコシド界面活性剤であるオクチルデシルグルコシド界面活性剤を含んでもよく、またはそれらからなってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、カプリリルグルコシドおよびデシルグルコシド界面活性剤を含んでもよく、またはそれらからなってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、天然由来のC8~10アルキルポリグルコシド界面活性剤を含んでもよく、またはそれらからなってもよい。
【0031】
本開示によれば、組成物は脂肪酸由来界面活性剤を欠いており、すなわち、組成物は脂肪酸由来界面活性剤を除外する。本明細書で使用される場合、「脂肪酸界面活性剤」および「脂肪酸由来界面活性剤」という用語は、包括的であり、脂肪酸界面活性剤またはその誘導体を意味するために互換的に使用される。脂肪酸由来界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤であってもよい。具体的には、本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、ラウリン酸、およびラウリン酸の塩または誘導体を欠いてもよい。ラウリン酸はまた、ドデカン酸としても一般的に知られている。一部の事例では、ラウリン酸由来界面活性剤の陰イオン性カルボキシレート官能基は、プロトン化時にそれと分かる不快な臭気を産生する場合があることが見出されている。例えば、一部の事例では、後続のクリーニング製品(すなわち、ワイプ)を使用すると、ラウリン酸由来界面活性剤を含む組成物は、それと分かる不快な臭気を産生することが見出されている。同様に、一部の事例では、ラウリン酸由来界面活性剤の陰イオン性カルボキシレート官能基は、こうした界面活性剤を含む組成物の使用後に表面上に残る視覚的残留物をもたす場合があることが見出されている。後に残されたこうした残留物、または膜は、望ましくないことがユーザーによって見出されている。さらに、こうしたラウリン酸由来界面活性剤は、同じ条件で使用した場合に、本明細書で開示されるアルカリ性消毒組成物よりも、クリーニング表面での効果が低く、消毒の効果が弱く、汚れの可溶化の効果が弱く、湿潤面での効果が低いことが見出されている。さらに、ラウリン酸由来界面活性剤で作製された組成物は、保存時に黄変などの望ましくない特性を呈する。
【0032】
本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大10重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大5重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて最大1重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.01~5重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.05~5重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.03~3重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.05~2重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.05~1重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1~0.8重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1~0.6重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、組成物の総重量に基づいて0.3~0.6重量%の1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。本明細書で使用される場合、重量割合は、組成物の固体パーセントに基づく。
【0033】
本開示によれば、アルカリ性消毒組成物組成物は適量(q.s.)の水を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、少なくとも40重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、少なくとも50重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、少なくとも60重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、少なくとも70重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、少なくとも75重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、40~90重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、50~80重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、60~75重量%の水を含む。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、65~75重量%の水を含む。特に他の成分および/またはその使用される量に応じて、特定の場合にはより多いまたは少ない水が必要とされる場合がある。
【0034】
本開示によれば、得られるpH値は電位差測定によるpHであり、実際のプロトン活性は、完全水性系とは異なる場合がある。本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、12以上のpHを有してもよい。本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、12を超えるpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、12を超えて14未満のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、12.1~13.9のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、12.5~13.9のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、12.7~13.9のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、13を超えて14未満のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、13.1~13.9のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、13.5~13.9のpHを有してもよい。
【0035】
本発明のアルカリ性消毒組成物は、幅広い随意の添加剤をさらに含むことができるが、ただし、表面を消毒する組成物の能力に有害な影響を与える、または表面の目に見える残留物増加させないという条件である。The CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Eleventh Edition 2005、および2004 CTFA International Buyer≡s Guideは、スキンケア産業で一般的に使用される多種多様な非限定的な美容および薬学的な成分を記載しており、それらの成分は、本発明の組成物中での使用に適している。成分の機能的クラスの非限定的な例は、この参考文献の537ページに記載されている。これらの機能的クラスの例としては、研磨剤、固化防止剤、抗酸化剤、鎮痒薬、結合剤、生物学的添加剤、膨化剤、キレート剤、化学添加剤、着色剤、変性剤、乳化剤、塗膜形成剤、香料成分、湿潤剤、乳白剤、可塑剤、保存剤(抗菌剤と呼ばれることもある)、噴霧剤、還元剤、皮膚コンディショニング剤(皮膚軟化剤、ミセル形成剤、および閉塞剤)、溶剤、起泡力増進剤、ヒドロトロープ、可溶化剤、懸濁剤(非界面活性剤)、紫外線吸収剤、レオロジー改質剤(塩およびポリマーを含む)、粘着防止剤、および増粘剤(水性および非水性)が挙げられる。一部の例示的湿潤剤には、ジオール、C6~10アルカンジオール、カプリル酸グリセリル/カプリン酸グリセリル、およびグリセリンが含まれてもよい。本明細書で有用でありうる他の機能的クラスの材料の例としては、捕捉剤、角質溶解薬、局所有効成分などが挙げられる。組成物はまた、例えば、無機硫酸塩、無機ケイ酸塩、無機ホウ酸塩、または無機リン酸塩などの腐食阻害剤も含んでもよい。
【0036】
本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、例えば、タンパク質変性剤、カオトロピック剤、およびアミン含有エンハンサー、αアミノ酸、アルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩を含む、多数の随意の「一次」エンハンサーをさらに含んでもよい。例示的なアミン含有エンハンサーには、尿素、チオ尿素、ジメチル尿素、グアニジン-HCl、チオシアン酸グアニジン、重炭酸アミノグアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニジン、L-NG-ニトロアルギニン、およびアミノグアニジン-HCLが含まれる。例示的なαアミノ酸には、硫黄含有アミノ酸およびニトロ含有アミノ酸が含まれる。例示的な硫黄含有アミノ酸には、L-システインおよびメチオニンが含まれる。例示的なニトロ含有アミノ酸には、L-NG-ニトロアルギニンが含まれる。αアミノ酸の例には、αアミノ酸キレート剤が含まれる。例示的なαアミノ酸キレート剤には、メチルグリシン二酢酸(Na3MGDA)の三ナトリウム塩が含まれる。Na3MGDAは、BASFから商標名Trilon Mで市販されている。さらなる例示的なエンハンサーには、コリン塩、カテコール、およびジオール(例えば、1,2-ジオール、1,3-ジオール、および1,4-ジオールが含まれる)、アンモニア、シアヌル酸、ヒダントイン、キレート剤、グリセロール、ならびにグリコール酸が含まれる。
【0037】
本開示の実施形態は、表面スプレーとして製剤化されたアルカリ性消毒組成物を含む。本開示の他の実施形態は、ワイプ(すなわち、表面上を拭くティッシュまたは布)内またはその上に送達されるアルカリ性消毒組成物を含む。一般に、アルカリ性消毒組成物の物理的形態は特に限定されず、1つ以上の実施形態では、組成物は、液体濃縮物および希釈可能液体を含む、注入、ポンプ汲み出し、噴霧、またはそれ以外の方法で分配される液体として形成されてもよい。本開示の他の実施形態は、ゲルとして製剤化されたアルカリ性消毒組成物を含む。本開示の他の実施形態は、エアロゾルとして製剤化されたアルカリ性消毒組成物を含む。本開示の他の実施形態は、エアロゾル泡および非エアロゾル泡の両方を含む、泡として製剤化されたアルカリ性消毒組成物を含む。本発明のアルカリ性消毒組成物は、硬質表面、軟質表面、非生物(無生物)表面、生体組織、皮膚、土壌、多孔性表面、および非多孔性表面を含む、多種多様な表面または基材上に用いられてもよい。本開示では、「表面」という用語は皮膚を含むことが理解される。本開示の実施形態は、無生物の物体、すなわち、機器、医療機器、家具、手すり、布などの表面を消毒する、またはその他の方法で消毒するために用いられてもよい。
【0038】
アルカリ性消毒組成物は、C.difficile胞子に対する有効性を含む、広範なスペクトル有効性を達成する。別途指定されない限り、C.difficile胞子に関する「有効性」という用語は、C.difficile胞子を死滅させる、または不活化する、またはその両方を含む。この点において、別途指定されない限り、C.difficile胞子に対する殺胞子または抗胞子の有効性、またはその両方が観察される場合がある。
【0039】
別途指定されない限り、本明細書で使用される「対数減少」という用語は、log10減少を指す。本開示によれば、アルカリ性消毒組成物は、C.difficile胞子に対して、10分未満で少なくとも3の対数減少を提供する。この胞子の減少を達成するために、標的表面に塗布されるアルカリ性消毒組成物の量は特に限定されない。少なくとも、十分な量のアルカリ性消毒組成物を、所望の接触時間のあいだ表面が濡れた状態が保たれるように、実質的に表面を湿らせるように塗布すべきであり、ここでアルカリ性消毒組成物のいくらかの蒸発があることに注意すべきである。
【0040】
1つ以上の実施形態では、アルカリ性消毒組成物は、グラム陰性およびグラム陽性の細菌、真菌、酵母、カビ、非エンベロープおよびエンベロープウイルスを死滅させることにも有効である。1つ以上の実施形態では、アルカリ性消毒組成物黄色ブドウ球菌は、(Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌(S.aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、霊菌(Serratia marcescens)などの細菌、カンジダアルビカンス(Candida albicans)などの酵母、クロカビ(Aspergillus niger)などのカビ、毛瘡菌(Trichophyton mentagrophytes)などの真菌、インフルエンザA型ウイルスなどのエンベロープウイルス、呼吸系発疹ウイルス、ライノウイルス、ネコカリシウイルスなどのノンエンベロープウイルスに対して迅速な抗微生物効果を有する。
【0041】
本開示の一実施形態では、噴霧可能組成物が開示されている。噴霧可能組成物は、組成物の総重量に基づいて20~40重量%の1つ以上のC1~C6アルコールと、組成物の総重量に基づいて0.1~0.8重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤と、0.1~0.8重量%のアルコールエトキシレート、アルコールプロポキシレート、およびアルキルポリグルコシドのうちの1つ以上を含む1つ以上の非イオン性界面活性剤と、組成物の総重量に基づいて60~80重量%の水とを含み、組成物は、12を超えて14未満のpHを有し、また組成物は、脂肪酸由来界面活性剤を欠いている。噴霧可能組成物は、1つ以上のC1~C6アルコール、1つ以上のアルカリpH調整剤、1つ以上の非イオン性界面活性剤、および水からなってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、1つ以上のアルコールエトキシレートからなってもよい。その他の実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、1つ以上のアルコールエトキシレートからなってもよい。
【0042】
本開示の一実施形態では、噴霧可能組成物が開示されている。噴霧可能組成物は、組成物の総重量に基づいて15~35重量%の1つ以上のC1~C6アルコールと、組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%の1つ以上のアルカリpH調整剤と、0.01~10重量%のアルコールエトキシレート、アルコールプロポキシレート、およびアルキルポリグルコシドのうちの1つ以上を含む1つ以上の非イオン性界面活性剤とを含み、組成物は、12を超えるpHを有し、また組成物は、脂肪酸由来界面活性剤を欠いている。組成物は、12を超え14未満のpH、または12.1~13.9のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、1つ以上のC8~C14直鎖アルコールエトキシレートからなってもよい。その他の実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、1つ以上のC8~14アルキルポリグルコシド界面活性剤からなってもよい。
【0043】
本開示の一実施形態では、組成物の総重量に基づいて5~95重量%の1つ以上のC1~C6アルコールと、1つ以上のアルカリpH調整剤と、アルコールエトキシレート、アルコールプロポキシレート、およびアルキルポリグルコシドのうちの1つ以上を含む1つ以上の非イオン性界面活性剤とを含む組成物が開示されており、組成物は12を超えるpHを有する。いくつかの実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、分岐アルコールエトキシレートまたは直鎖アルコールエトキシレートからなる群から選択されてもよく、また1つ以上のC8~C14直鎖アルコールエトキシレートからなってもよい。その他の実施形態では、1つ以上の非イオン性界面活性剤は、1つ以上のアルキルポリグルコシドからなってもよく、また1つ以上のC8~14アルキルポリグルコシド界面活性剤からなってもよい。1つ以上のC1~C6アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ならびにそれらの異性体および混合物からなってもよい。1つ以上のC1~C6アルコールは、組成物の総重量に基づいて15~35重量%をなしてもよい。1つ以上の非イオン性界面活性剤は、組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%をなしてもよい。1つ以上のアルカリpH調整剤は、組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%をなしてもよい。組成物は、組成物の総重量に基づいて5~90重量%の水をさらに含んでもよい。
【0044】
本開示の一実施形態では、表面の消毒のための方法が開示されている。方法は、組成物の総重量に基づいて5~95重量%の1つ以上のアルコールと、1つ以上のアルカリpH調整剤と、1つ以上の非イオン性界面活性剤とを含む組成物を表面と接触させることを含み、組成物は、12を超えるpHを有し、組成物は脂肪酸由来界面活性剤を欠いている。組成物は、12を超え14未満のpH、または12.1~13.9のpHを有してもよい。1つ以上のアルコールは、組成物の総重量に基づいて15~35重量%をなしてもよい。1つ以上の非イオン性界面活性剤は、組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%をなしてもよい。1つ以上のアルカリpH調整剤は、組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%をなしてもよい。
【0045】
本開示の一実施形態では、組成物の総重量に基づいて5~95重量%の1つ以上のアルコールと、1つ以上のアルカリpH調整剤と、1つ以上の非イオン性界面活性剤とを含む組成物が開示されており、組成物は、12を超えるpHを有し、また組成物は脂肪酸由来界面活性剤を欠いている。組成物は、12を超え14未満のpH、または12.1~13.9のpHを有してもよい。1つ以上のアルコールは、組成物の総重量に基づいて15~35重量%をなしてもよい。1つ以上の非イオン性界面活性剤は、組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%をなしてもよい。1つ以上のアルカリpH調整剤は、組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%をなしてもよい。
【0046】
一般的な発明の概念は、一般的にまた様々な特定の例示的実施形態に関して上記で説明されてきた。一般的な発明の概念は、例示的実施形態であると考えられるものに示されているが、当業者にとっては、本開示を読むと幅広く様々な代替案が明らかになるであろう。一般的な発明の概念は、特定の請求項に提示される場合を除き、それ以外の方法で限定されない。
【実施例】
【0047】
以下の実施例は、例示の目的のために含まれており、本明細書に記載の一般的な発明の概念の範囲を制限しない。
【0048】
実施例1
様々なpHレベルで例示的なAPG界面活性剤系組成物の有効性を評価するために、同一の組成物(すなわち、エタノール、APG界面活性剤、pH調整剤、および水)を有する5つの製剤を調製した。各製剤の組成物は、所与のpHを達成するために使用された水酸化カリウムpH調整剤の量以外は同一であった。硬質、非多孔質、無生物の環境表面に対するアルカリ性消毒組成物の有効性を、表面噴霧のAOAC 961.02試験方法に従って研究した。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus(S.aureus))ATCC 6538の試験培養物を使用して、各組成物の有効性を、スプレー1~4については10分、スプレー5については1分の接触時間で、試験した。表1に記載した結果は、増殖を示した担体の割合、例えば、陽性担体のパーセント値として表現される。
【0049】
表1で数値的に、また
図1にグラフで示すように、pH12での活性に有意な増加があり、これはこのpHおよびそれを超えるpHでより効果的な消毒製剤を示している。
【表1】
【0050】
実施例2
表2に示すように、界面活性剤のタイプ以外は同一の組成物を有する3つの無香料の表面スプレーを調製した。各スプレーは、同量のエタノールおよび界面活性剤を使用して調製した。各スプレーのpHは、水酸化カリウムを使用して13.1に調整した。
【表2】
【0051】
3つの表面スプレーの貯蔵安定性を、54℃で5週間の間、同一の状況下で3つの製剤を経時変化させることによって観察した。
図2に示すように、脂肪酸界面活性剤を含有するスプレーBは、スプレーAおよびCと比較して、5週間の経時変化後に有意な黄変を呈した。
【0052】
実施例3
表3に示すように、界面活性剤のタイプ以外は同一の組成物を有する3つの無香料の表面スプレーを調製した。各スプレーは、同量のエタノールおよび界面活性剤を使用して調製した。各スプレーのpHは、水酸化カリウムを使用して13.0に調整した。
【表3】
【0053】
3つの表面スプレーの視覚的残留物を、同じ量の各表面スプレーを光沢のある黒色のタイル上に噴霧し、試料を乾燥させることによって観察した。
図3に示すように、脂肪酸界面活性剤を含有するスプレーDは、スプレーEおよびFと比較して、有意により大きい視覚的残留物を呈した。
【0054】
実施例4
次いで、実施例3の同じ3つの無香料の表面スプレーを、クリーニング後の表面上のそれらの臭気を評価するために試験した。4×4インチの黒いセラミックタイルを4つが提供され、そして各々を脱イオン水および実験室用洗剤で洗浄し、空気乾燥させた。乾燥後、1つのタイルは未処理のままにし、3つの処理タイルは各々、実施例3の表面スプレーD、E、またはFのうちの1つを噴霧し、乾燥させた。乾燥後、3つの噴霧されたタイルの各々を酸性表面クリーニングワイプで拭き、乾燥させた。4時間後、3つの噴霧したタイルと1つの未処理のタイルは、無作為化された順序でタイルを提示して、15人のパネルによって評価した。ユーザーは、1(無臭)から10までのスケールで各タイルに臭気強度を割り当てた。
【0055】
図4に示すように、スプレーEおよびFでクリーニングしたタイルならびに未処理のタイル(その各々が、1と2の間の知覚臭気強度を示した)と比較して、脂肪酸界面活性剤を含有するスプレーDでクリーニングしたタイルは5~6の知覚臭気強度を示した。
【0056】
実施例5
実施例3のスプレーDおよびスプレーFと同一の組成物で2つの無香料の表面スプレーを調製することによって、結核に対する様々な表面スプレーの有効性を観察した。表4に記載されるように、スプレーは、界面活性剤のタイプ以外は互いに同一であった。各スプレーのpHは、水酸化カリウムを使用して13.0に調整した。
【表4】
【0057】
硬質、非多孔質、無生物の環境表面に対するアルカリ性消毒組成物の有効性を、結核菌殺菌活性について修正したAOAC 961.02試験方法に従って研究した。ウシ結核菌(Mycobacterium bovis (M.bovis))ATCC 35743の試験培養物を使用して、各組成物の有効性を試験した。培養物をそれぞれのガラススライドに塗布し、乾燥させ、望ましい接触時間の間、それぞれ噴霧Dおよび噴霧Eを噴霧した。接触時間に達した後、ガラススライドを中和剤および成長培地を含有する管内に定置した。管を、摂氏36度で90日間インキュベートした。90日後、管をM.bovisの増殖について調べた。試験方法に従い、何らかの増殖が観察される場合、それぞれのスプレーは、その特定の接触時間でM.bovisの死滅に失敗したものと判断される。
【0058】
表5に示すように、接触時間3分で、M.bovisの増殖がスプレーDで処理したスライド上で観察されたが、M.bovisの増殖はスプレーFで処理されたスライド上では観察されなかった。したがって、スプレーFが合格したのに対し、スプレーDは成功基準を3分で満たすことができなかった。このデータは、ラウリン酸などの脂肪酸由来界面活性剤と比較して、アルコールエトキシレート界面活性剤の優れた有効性を示す。
【表5】
【0059】
実施例6
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus(S.aureus))に対する様々なアルカリ性消毒組成物の有効性が、表面スプレーおよびワイプの両方の形態で観察された。各製剤について、水酸化カリウムを使用して、所与のpHに調整した。
【0060】
表面スプレーを研究するために、表6に示すように、界面活性剤のタイプ以外は同一の組成物を有する、3つの無香料の表面噴霧を調製した。各スプレーは、同量のエタノールおよび界面活性剤を使用して調製した。
【表6】
【0061】
さらに、表7に示すように、アルカリ性消毒組成物を含む、2つのワイプ試料を調製した。
【表7】
【0062】
硬質、非多孔性、無生物の環境表面に対するアルカリ性消毒組成物の有効性を、表面スプレーについてはAOAC 961.02の試験方法に従い、またワイプについては、濡れペーパーナプキン用に修正されたAOAC 961.02の方法に従って研究した。S.aureusの試験培養物ATCC 6538を使用して、すべての試料について1分間の接触時間を用いて各組成物の有効性を試験した。表8に記載した結果は、増殖を示した担体の割合、例えば陽性の担体のパーセント値として表現される。
【0063】
表8に示すように、脂肪酸噴霧およびワイプのサンプルは、APGまたはアルコールエトキシレートサンプルのいずれよりも大きい割合の担体が陽性を示し、これは、APGおよびアルコールエトキシレートのサンプルが、S.aureusの死滅においてより効果が高いことを示す。このデータは、ラウリン酸などの脂肪酸由来界面活性剤に対する、これらの非イオン性界面活性剤の優れた活性を実証する。
【表8】
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