(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】増殖分化因子15併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/19 20060101AFI20240809BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240809BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240809BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A61K38/19 ZNA
A61P3/04
A61P43/00 121
A61K39/395 N
(21)【出願番号】P 2021552609
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 US2020021314
(87)【国際公開番号】W WO2020185533
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-02
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シオン,ユイメイ
(72)【発明者】
【氏名】ベニアント・エリソン,ミュリエル・マリー
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】Sci. Transl. Med.,2018年,Vol. 10, eaat3392
【文献】Cell Metabolism,2019年,Vol. 29, No. 3,pp. 707-718
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GDF15分子を含む、対象における
肥満の治療に使用するための医薬組成物であって、前記使用は、
抗GIPR抗体を含むGIPRアンタゴニスト及び前記GDF15分子を対象に投与することを含み、前記使用は、前記GDF15分子単独又は前記GIPRアンタゴニスト単独の投与と比較して相乗効果を有する、医薬組成物。
【請求項2】
抗GIPR抗体を含むGIPRアンタゴニストを含む、対象における
肥満の治療に使用するための医薬組成物であって、前記使用は、GDF15分子及び前記GIPRアンタゴニストを対象に投与することを含み、前記使用は、前記GDF15分子単独又は前記GIPRアンタゴニスト単独の投与と比較して相乗効果を有する、医薬組成物。
【請求項3】
抗GIPR抗体を含むGIPRアンタゴニスト及びGDF15分子を含む、対象における
肥満の治療に使用するための医薬組成物であって、前記医薬組成物の投与は、前記GDF15分子単独又は前記GIPRアンタゴニスト単独の投与と比較して相乗効果を有する、医薬組成物。
【請求項4】
前記GDF15分子及び前記GIPRアンタゴニストは、同時に投与される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記GDF15分子及び前記GIPRアンタゴニストは、連続的に投与される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記GIPRアンタゴニストは、抗体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記
抗GIPR抗体は、CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含み、前記CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号65~67及び77~79、配列番号68~70及び80~82、配列番号71~73及び83~85、又は配列番号74~76及び86~88のアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記
抗GIPR抗体は、それぞれ配列番号89及び90、91及び92、93及び94、又は95及び96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記
抗GIPR抗体は、それぞれ配列番号97及び98、99及び100、101及び102、103及び104、又は105及び106のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記相乗効果は、体重を低減させることにある、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記GDF15分子は、Fc領域に連結されたGDF
15領域を含む融合タンパク質である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記GDF15領域は、リンカーを介して前記Fc領域に連結している、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記GDF15領域は、
配列番号13~18から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記GDF15領域は、配列番号16、配列番号17又は配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記GDF15領域は、
配列番号14、配列番号15又は配列番号18のアミノ酸を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記GDF15領域は、配列番号16又は配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記リンカーは、(G4S)nリンカー又は(G4Q)nリンカーであり、式中、nは0より大きい、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項18】
nは、1又は2である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記Fc領域は、
K392D、K409D、E356K及びD399Kから選択される電荷対の変異を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記Fc領域は、短縮ヒンジ領域を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記Fc領域は、
配列番号26~37から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記Fc領域は、配列番号26~31から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によりその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月8日出願の米国仮特許出願第62/815,866号明細書の利益を主張する。
【0002】
配列表
本願は、電子フォーマットの配列表と共に出願されている。配列表は、2020年3月2日に作成された、サイズが166kbであるA-2298-WO-PCT_SeqList.txtという名称のファイルとして提供される。電子フォーマットの配列表における情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、GDF15融合タンパク質等のGDF15分子、その組成物、並びに併用療法におけるその使用等のそうしたタンパク質を作製及び使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
マクロファージ阻害性サイトカイン1(MIC1)とも称される増殖分化因子15(GDF15)(Bootcov MR,1997,Proc Natl Acad Sci 94:11514-9)、胎盤骨形成因子(PLAB)(Hromas R 1997,Biochim Biophys Acta.1354:40-4)、胎盤トランスフォーミング成長因子β(PTGFB)(Lawton LN 1997,Gene.203:17-26)、前立腺由来因子(PDF)(Paralkar VM 1998,J Biol Chem.273:13760-7)及び非ステロイド性抗炎症薬活性化遺伝子(NAG-1)(Baek SJ 2001,J Biol Chem.276:33384-92)は、約25kDaのホモ二量体として血漿中を循環する分泌タンパク質である。GDF15は、GDNFファミリー受容体α様(GFRAL)に高親和性で結合する。GDF15誘導性細胞シグナル伝達は、GFRALと共受容体RETとの相互作用を必要とすると考えられている。
【0005】
GDF15は、複数の生物活性と関連している。GDF15の増加は、体重低減と相関関係にあることが示されており、GDF15の投与は、食物摂取量及び体重を低減させることが示されている。
【0006】
グルコース依存性インスリン分泌促進性ポリペプチド(GIP、以前は胃機能抑制性ポリペプチドと呼ばれた)及びグルカゴン様ポリペプチド1(GLP-1)は、公知のインスリン分泌促進因子(「インクレチン」)である。GIPは、一本鎖の42個のアミノ酸から成るペプチドであり、ヒトGIPは、153個のアミノ酸から成る前駆体であるproGIPのプロセッシングに由来する。GIP分泌は、食物摂取により誘導され、脂肪細胞における脂肪貯蔵の促進並びに膵島β細胞の機能及びグルコース依存性のインスリン分泌の促進を含む、多数の生理学的作用を及ぼす。インタクトなGIPは、DPPIVによって不活性形態へ迅速に分解される。GIPに対する受容体であるGIP受容体(GIPR)は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)のセクレチン-グルカゴンファミリーのメンバーである。ヒトGIPRは、466個のアミノ酸を有する。
【0007】
グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)は、プログルカゴン遺伝子に由来する31個のアミノ酸から成るペプチドである。GLP-1は、小腸L細胞によって分泌され、食物摂取に応答して放出され、膵臓β細胞からのインスリン分泌を誘導する。インクレチン作用に加えて、GLP-1は更に、グルカゴンの分泌を低減させ、胃内容排出を遅延させ、カロリー摂取量を低減させる。GLP-1は、クラスBのGタンパク質共役型受容体に属するGLP-1受容体(GLP-1R)の活性化によってその作用を発揮する。GLP-1の機能は、DPP-IV酵素による迅速な分解によって制限される。エキセナチド、リラグルチド、デュラグルチド等の持続性のGLP-1Rアゴニストが開発されており、2型糖尿病を有する患者の血糖コントロールを改善するために、臨床的に使用されている。更に、GLP-1Rアゴニストは、患者における体重低減並びに血圧及び血漿コレステロール値の低減も促進することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Bootcov MR,1997,Proc Natl Acad Sci 94:11514-9
【文献】Hromas R 1997,Biochim Biophys Acta.1354:40-4
【文献】Lawton LN 1997,Gene.203:17-26
【文献】Paralkar VM 1998,J Biol Chem.273:13760-7
【文献】Baek SJ 2001,J Biol Chem.276:33384-92
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、GDF15分子をGLP-1Rアゴニスト(例えば、GLP-1類似体)及び/又はGIPRアンタゴニスト(例えば、GIPR抗体)等の1種以上の他の治療薬と一緒に含む併用療法が必要とされている。本開示は、この必要を満たし、関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書では、GDF15分子及び別の治療薬を投与することを含む状態を治療する方法を含む、GDF15分子を含む併用療法が提供される。一実施形態では、他の治療薬は、GIPR抗原結合タンパク質等のGIPRアンタゴニストである。一実施形態では、GIPR抗原結合タンパク質は、抗体である。別の実施形態では、他の治療薬は、デュラグルチド等のGLP-1Rアゴニストである。
【0011】
更に本明細書では、GDF15分子及びGIPRアンタゴニストを投与する工程を含む、対象における代謝状態を治療する方法であって、ここでGDF15分子及びGIPRアンタゴニストを投与する工程が、GDF15分子単独又はGIPRアンタゴニスト単独の投与と比較して相乗効果を有する方法が提供される。
【0012】
本開示は更に、GDF15分子及びデュラグルチドを投与する工程を含む、対象における代謝状態を治療する方法であって、ここでGDF15分子及びデュラグルチドを投与する工程が、GDF15分子単独又はデュラグルチド単独の投与と比較して相乗効果を有する方法を提供する。
【0013】
一実施形態では、併用療法は、GDF15分子を本明細書及び表6に記載の対応するFc分子と一緒に投与する工程を含む。
【0014】
一実施形態では、GDF15分子及び他の治療薬は、同時に投与される。別の実施形態では、GDF15分子及び他の治療薬は、連続的に投与される。
【0015】
更に本明細書では、GDF15分子及びGIPRアンタゴニストを含む医薬組成物等のGDF15分子及び他の治療薬を含む医薬組成物であって、ここでその組成物の投与が、GDF15分子単独又はGIPRアンタゴニスト単独の投与と比較して相乗効果を有する医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態では、GIPRアンタゴニストは、抗体である。幾つかの実施形態では、相乗効果は、体重を低減させることにある。本組成物のGIPRアンタゴニストは、CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含み得るが、ここでCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号65~67及び77~79;配列番号68~70及び80~82;配列番号71~73及び83~85;又は配列番号74~76及び86~88のアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、本組成物のGIPRアンタゴニストは、それぞれ配列番号89及び90;91及び92;93及び94;又は95及び96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む。幾つかの実施形態では、本組成物のGIPRアンタゴニストは、それぞれ配列番号97及び98;99及び100;101及び102;103及び104又は105及び106のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含む。幾つかの実施形態では、本組成物のGDF15分子は、Fc領域に連結されたGDF15領域を含む融合タンパク質である。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、リンカーを介してFc領域に連結されている。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、配列番号6のアミノ酸配列及び少なくとも1つの変異を含む。幾つかの実施形態では、変異の少なくとも1つは、5位のアスパラギン酸塩の変異である。幾つかの実施形態では、5位のアスパラギン酸塩は、グルタミン酸塩に変異する。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、3位のアスパラギンの変異を更に含む。幾つかの実施形態では、3位のアスパラギンは、グルタミンに変異する。幾つかの実施形態では、FC領域に連結されたGDF分子のリンカーは、(G4S)n又は(G4Q)nリンカー(式中、nは、0より大きい(例えば、nは1又は2である))である。Fc領域は、電荷対変異若しくは短縮ヒンジ領域、又はその両方を含み得る。幾つかの実施形態では、Fc領域は、表3から選択される。更に他の実施形態では、本組成物は、例えば、本明細書及び表6に記載したように、GDF15分子に対応するFc分子を更に含む。
【0016】
更に本明細書では、GDF15分子及びデュラグルチドを含む医薬組成物であって、ここでその組成物の投与が、GDF15分子単独又はデュラグルチド単独の投与と比較して相乗効果を有する医薬組成物が提供される。GDF15分子及びデュラグルチドを含む医薬組成物であって、ここで本組成物の投与が、GDF15分子単独又はデュラグルチド単独の投与と比較して相乗効果を有する医薬組成物。幾つかの実施形態では、相乗効果は、体重を低減させることにある。幾つかの実施形態では、本組成物のGDF15分子は、Fc領域に連結されたGDF15領域を含む融合タンパク質である。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、リンカーを介してFc領域に連結されている。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、配列番号6のアミノ酸配列及び少なくとも1つの変異を含む。幾つかの実施形態では、変異の少なくとも1つは、5位のアスパラギン酸塩の変異である。幾つかの実施形態では、5位のアスパラギン酸塩は、グルタミン酸塩に変異する。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、3位のアスパラギンの変異を更に含む。幾つかの実施形態では、3位のアスパラギンは、グルタミンに変異する。幾つかの実施形態では、FC領域に連結されたGDF分子のリンカーは、(G4S)n又は(G4Q)nリンカー(式中、nは、0より大きい(例えば、nは1又は2である))である。Fc領域は、電荷対変異若しくは短縮ヒンジ領域、又はその両方を含み得る。幾つかの実施形態では、Fc領域は、表3から選択される。更に他の実施形態では、本組成物は、例えば、本明細書及び表6に記載したように、GDF15分子に対応するFc分子を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】ビヒクルが週1回(A群);デュラグルチドが週2回(B群);GIPR抗体2.63.1が週1回及びビヒクルが週1回であって、後者はデュラグルチドの投与日と交互に(C群);FcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15(配列番号39)(そのヘテロ二量体化パートナーであるFcΔ10(+,K)(配列番号32)と一緒に週1回)及び週1回ビヒクルであって、後者はデュラグルチドの投与日と交互に(D群);FcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15)(ヘテロ二量体化パートナーであるFcΔ10(+,K))と一緒に週1回及びデュラグルチドが週2回(E群);FcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15(そのヘテロ二量体化パートナーであるFcΔ10(+,K)と一緒に)週1回及びGIPR抗体2.63.1が週1回(F群)投与されたマウスにおける体重(g)変化を示す図である。
【
図1B】A~F群におけるマウスの体重変化率(%)を示す図である。
【
図2A】治療開始2週間後のA~F群におけるマウスの体重変化率(%)を示す図である。
【
図2B】治療開始5週間後のA~F群におけるマウスの体重変化率(%)を示す図である。
【
図3A】治療の2週間後のA~F群におけるマウスの経口糖耐能試験(OGTT)からの血糖値を示す図である。
【
図3B】治療2週間後のA~F群におけるマウスのOGTTからの糖耐能AUC試験結果を示す図である。
【
図4A】治療5週間後のA~F群におけるマウスの腹腔内糖耐能試験(IPGTT)からの血糖値を示す図である。
【
図4B】治療開始5週間後のA~F群におけるマウスのIPGTTからの糖耐能AUC試験結果を示す図である。
【
図5A】A~F群におけるマウスの治療2週間後及び5週間後に測定した空腹時血糖値を示す図である。
【
図5B】A~F群におけるマウスの治療2週間後及び5週間後に測定した血清インスリン値を示す図である。
【
図5C】A~F群におけるマウスの治療2週間後及び5週間後に測定した血清トリグリセリド値を示す図である。
【
図5D】A~F群におけるマウスの治療2週間後及び5週間後に測定した血清総コレステロール値を示す図である。
【
図6】A~F群におけるマウスの治療1週間中の連続3日間に測定した1日食物摂取量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では、GDF15分子及び別の治療薬若しくは分子を含む併用療法が提供される。一実施形態では、他の作用物質若しくは分子は、体重、食物摂取量を低減させる、及び/又は肥満症及び/又は関連状態を治療する分子である。更に本明細書において提供されるのは、分子を作製する方法及び分子を使用する方法である。
【0019】
幾つかの実施形態では、GDF15分子は、GDF15-Fc融合タンパク質である。融合タンパク質は、Fc領域に連結されたGDF15領域を含み得る。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、リンカーを介してFcに連結されている。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、野生型GDF15を含む。ヒトGDF15及びマウスGDF15はどちらも、シグナルペプチド及びプロドメインを有する。全長ヒトGDF15のヌクレオチド配列は、下記である:
【化1】
【0020】
全長ヒトGDF15(308個のアミノ酸)のアミノ酸配列は、下記である:
【化2】
【0021】
そのシグナル配列を含まないヒトGDF15のヌクレオチド配列は、下記である:
【化3】
【0022】
その29アミノ酸シグナル配列(279個のアミノ酸)を含まないヒトGDF15のアミノ酸配列は、下記である:
【化4】
【0023】
そのシグナルペプチド若しくはプロドメインを含まないヒトGDF15のヌクレオチド配列は、下記である:
【化5】
【0024】
そのシグナルペプチド若しくはプロドメイン(112個のアミノ酸のGDF15の活性ドメイン)を含まないヒトGDF15のアミノ酸配列は、下記である:
【化6】
【0025】
全長マウスGDF15のヌクレオチド配列は、下記である:
【化7】
【0026】
全長マウスGDF15(303個のアミノ酸)のアミノ酸配列は、下記である:
【化8】
【0027】
そのシグナル配列を含まないマウスGDF15のヌクレオチド配列は、下記である:
【化9】
【0028】
その32アミノ酸のシグナル配列(271個のアミノ酸)を含まないマウスGDF15のアミノ酸配列は、下記である:
【化10】
【0029】
そのシグナル配列若しくはプロドメインを含まないマウスGDF15のヌクレオチド配列は、下記である:
【化11】
【0030】
そのシグナルペプチド若しくはプロドメイン(115個のアミノ酸の活性ドメイン)を含まないマウスGDF15のアミノ酸配列は、下記である:
【化12】
【0031】
幾つかの実施形態では、GDF15分子は、例えば、そのシグナルペプチド若しくはプロドメインを含まないGDF15であるGDF15の活性ドメインを含むGDF15領域を含む。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、配列番号6又は12のアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、GDF15の活性ドメインにおける少なくとも1つの変異等の1つ以上の変異を有するGDF15配列を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数の変異は、GDF15の活性を低減又は消失させない。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、ヒトGDF15の活性ドメイン内に変異を含む。一実施形態では、変異は、最初の3個のアミノ酸が除去されているヒトGDF15の活性ドメインである「GDF15(Δ3)」(即ち、配列番号13)等の活性ドメインの最初の3個のアミノ酸の欠失である。
【0032】
幾つかの実施形態では、GDF15領域は、ヒトGDF15の活性ドメイン(配列番号6)の3位のアスパラギン(N3)の変異を含む。N3変異は、配列番号6の3位のアスパラギン残基の変異、又はGDF15アミノ酸配列における配列番号6の3位のアスパラギンに相当するアスパラギン残基の変異を指すことができる。幾つかの実施形態では、3位のアスパラギンは、グルタミン(N3Q)又はアスパラギン酸塩(N3D)に変異する。従って、幾つかの実施形態では、GDF15分子は、配列番号14のアミノ酸配列を有するGDF15(N3Q)のGDF15領域を含む。他の実施形態では、GDF15分子は、配列番号15のアミノ酸配列を有するGDF15(N3D)のGDF15領域を含む。幾つかの実施形態では、GDF15領域は、ヒトGDF15の活性ドメイン(配列番号6)の5位のアスパラギン酸塩(D5)の変異を含む。D5変異は、配列番号6の5位のアスパラギン酸塩残基の変異、又はGDF15アミノ酸配列における配列番号6の5位のアスパラギン酸塩に相当するアスパラギン酸塩残基の変異を指すことができる。一実施形態では、5位のアスパラギン酸塩は、グルタミン酸塩(D5E)に変異する。従って、幾つかの実施形態では、GDF15分子は、配列番号16のアミノ酸配列を有するGDF15のGDF15領域(D5E)を含む。
【0033】
更に他の実施形態では、GDF15領域は、Δ3変異及びD5変異の組み合わせ、例えば、GDF15(Δ3/D5E)(配列番号17)又はN3変異及びD5変異の組み合わせ、例えば、GDF15(N3D/D5E)若しくはGDF15(N3Q/D5E)等の変異の組み合わせを含む。GDF15領域は、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0034】
表1は、GDF15分子に使用できるGDF15領域の例を提供する。
【0035】
【0036】
幾つかの実施形態では、GDF15分子は、Fcに直接融合している。他の実施形態では、Fcは、リンカーを介してGDF15分子に融合している。幾つかの実施形態では、リンカーは、G4S(配列番号19)リンカーである。他の実施形態では、リンカーは、G4Q(配列番号24)リンカーである。リンカーは、(G4S)nリンカー又は(G4Q)nリンカー(式中、nは、0より大きい)であり得る。幾つかの実施形態では、nは、1又は2である。幾つかの実施形態では、融合タンパク質は、G4A(配列番号107)リンカーであるリンカー、例えば(G4A)nリンカー(式中、nは、0より大きい)を有する。幾つかの実施形態では、nは、1又は2である。幾つかの実施形態では、nは、2より大きく、3、4、5、6、7又は8等である。幾つかの実施形態では、リンカーは、表2に示すように、配列番号19、20、21、22、23、24、25又は107のアミノ酸配列を含む。
【0037】
【0038】
幾つかの実施形態では、GDF15分子は、Fc領域を含む。Fc領域は、抗体の重鎖のFcドメインを含み得る、又は抗体の重鎖のFcドメインに由来し得る。幾つかの実施形態では、Fc領域は、電荷対変異、グリコシル化部位における変異又は非天然型アミノ酸の包含等の変異を有するFcドメインを含み得る。Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のヒトIgG定常ドメインに由来し得る。幾つかの実施形態では、Fc領域は、IgA重鎖、IgD重鎖、IgE重鎖及びIgM重鎖の定常ドメインを含む。
【0039】
幾つかの実施形態では、Fc領域は、電荷対の変異を有するFcドメインを含む。電荷を持つFc領域を生じさせる変異を導入することにより、GDF15分子は、反対電荷を有する対応するFc分子と二量体化することができる。例えば、アスパラギン酸塩からリジンへの変異(E356K、356は、EUナンバリングによる位置であり、表3~5に示した位置に相当する)及びグルタミン酸塩からリジンへの変異(D399K、399は、EUナンバリングによる位置であり、表3~5に示した位置に相当する)は、任意選択的にリンカーを介してGDF15領域に連結されたFc領域に導入することができ、GDF15分子に対する正電荷を持つFc領域を生じさせる。リジンからアスパラギン酸塩への変異(K392D、K409D;392及び409は、EUナンバリングによる位置であり、表3~5に示した位置に相当する)は、別の分子のFcドメインに導入することがで、負電荷を持つFc分子を生じさせる。負電荷を持つFc分子におけるアスパラギン酸塩残基は、静電気力によりGDF15分子の正電荷を持つFc領域のリジン残基と結合し、GDF15分子のFc領域とFc分子との間のFcヘテロ二量体の形成を促進する一方、GDF15分子のFc領域間又はFc分子間のFcホモ二量体の形成を低減又は防止することができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数のリジンからアスパラギン酸塩への変異(K392D、K409D)は、任意選択的にリンカーを介してGDF15領域に連結されたFc領域に導入され、アスパラギン酸塩からリジンへの変異(E356K)及びグルタミン酸塩からリジンへの変異(D399K)は別の分子のFcドメインに導入される。GDF15分子のFc領域内のアスパラギン酸塩残基は、静電気力によりFc分子のリジン残基と結合し、GDF15分子のFc領域とFc分子との間のFcヘテロ二量体の形成を促進し、GDF15分子のFc領域間又はFc分子間のFcホモ二量体の形成を低減又は防止することができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、GDF15分子は、変異ヒンジ領域を有するFcドメインを含むFc領域を含む。幾つかの実施形態では、Fcドメインは、ヒンジ内に欠失を含む。幾つかの実施形態では、ヒンジから10個のアミノ酸が欠失している(例えば、FcΔ10)。他の実施形態では、ヒンジから16個のアミノ酸が欠失している(例えば、FcΔ16)。幾つかの実施形態では、Fcドメインは、FCドメインが正電荷を持つ、又は負電荷を持つように、ヒンジ欠失(例えば、FcΔ10又はFcΔ16)及び電荷対の変異を含む。例えば、Fcドメインは、FcΔ10(-)等のヒンジにおける10個のアミノ酸欠失並びにリジンからアスパラギン酸塩への変異(K392D、K409D)を含み得る。別の実施形態では、Fcドメインは、FcΔ10(+)等のヒンジにおける10個のアミノ酸欠失並びにアスパラギン酸塩からリジンへの変異(E356K)及びグルタミン酸塩からリジンへの変異(D399K)を含み得る。別の実施形態では、Fcドメインは、FcΔ16(-)等のヒンジにおける16個のアミノ酸欠失及びリジンからアスパラギン酸塩への変異(K392D、K409D)を含み得る。別の実施形態では、Fcドメインは、FcΔ16(+)等のヒンジにおける16個のアミノ酸欠失並びにアスパラギン酸塩からリジンへの変異(E356K)及びグルタミン酸塩からリジンへの変異(D399K)を含み得る。
【0042】
幾つかの実施形態では、ヒンジ欠失及び電荷対の変異を含むFc分子は、そうしたGDF15分子とヘテロ二量体化する。例えば、Fc分子は、ヒンジ欠失並びヒンジ欠失及びにGDF15分子のFc領域の電荷対の変異を相補する電荷対の変異を有し得る。例えば、Fc分子は、任意選択的にC末端リジン(例えば、FcΔ10(-、K))を含み得る、FcΔ10(-)等のヒンジにおける10個のアミノ酸欠失並びにリジンからアスパラギン酸塩への変異(K392D、K409D)を有するFcドメインを含み得る。このFc分子は、FcΔ10(+)を含むGDF15分子とヘテロ二量体化することができる。別の実施形態では、Fc分子は、任意選択的にC末端リジン(例えば、FcΔ10(+、K))を含み得る、FcΔ10(+)等のヒンジにおける10個のアミノ酸欠失並びにアスパラギン酸塩からリジンへの変異(E356K)及びグルタミン酸塩からリジンへの変異(D399K)を含み得る。このFc分子は、FcΔ10(-)を含むGDF15分子とヘテロ二量体化することができる。別の実施形態では、Fc分子は、任意選択的にC末端リジン(例えば、FcΔ16(-、K))を含み得る、FcΔ16(-)等のヒンジにおける16個のアミノ酸欠失並びにリジンからアスパラギン酸塩への変異(K392D、K409D)を含み得る。FcΔ16(+)を含むGDF15分子とヘテロ二量体化できるFc分子。別の実施形態では、Fc分子は、任意選択的にC末端リジン(例えば、FcΔ16(-、K))を含み得る、FcΔ16(+)等のヒンジにおける16個のアミノ酸欠失並びにアスパラギン酸塩からリジンへの変異(E356K)及びグルタミン酸塩からリジンへの変異(D399K)を含み得る。Fc分子は、FcΔ16(-)を含むGDF15分子とヘテロ二量体化することができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、Fc領域又はFc分子は、L234A変異及び/又はL235A変異を有するFcドメインを含むが、ここで234及び235は、EUナンバリングを用いた位置であり、表3~5に示した位置に相当する。Fcドメインは、L234A変異、L235A変異、電荷対の変異、ヒンジ欠失又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。幾つかの実施形態では、Fcドメインは、L234A変異及びL235A変異の両方を含む。幾つかの実施形態では、Fcドメインは、ヒンジ欠失、L234A変異、L235A変異及び電荷対の変異、例えばFcΔ10(+、L234A/L235A)、FcΔ10(-、L234A/L235A)、FcΔ16(+、L234A/L235A)又はFcΔ16(-、L234A/L235A)を含む。幾つかの実施形態では、Fcドメインは、任意選択的なC末端リジン、例えば、FcΔ10(+、K、L234A/L235A)、FcΔ10(-、K、L234A/L235A)、FcΔ16(+、K、L234A/L235A)又はFcΔ16(-、K、L234A/L235A)を含む。
【0044】
幾つかの実施形態では、Fc領域又はFc分子は、「システインクランプ」を有するFcドメインを含む。システインクランプ変異は、変異により特定の位置でシステインをFcドメインに導入することを含むので、やはり変異により特定の位置で導入されたシステインを有する別のFcドメインとインキュベートすると、2つのFcドメイン間で(例えば、「システインクランプ」変異を有するFcΔ16(+)ドメインと「システインクランプ」変異を有するFcΔ16(-)ドメインとの間で)ジスルフィド結合(システインクランプ)が形成され得る。システインは、FcドメインのCH3ドメインに導入することができる。幾つかの実施形態では、Fcドメインは、1つ以上のそうしたシステインクランプ変異を含み得る。一実施形態では、システインクランプは、セリンからシステインへの変異(S354C、ここで354は、EUナンバリングによる位置であり、表3~5に示した位置に相当する)を第1のFcドメインに、チロシンからシステインへの変異(Y349C、ここで349は、EUナンバリングによる位置であり、表3~5に示した位置に相当する)を第2のFcドメインに導入することにより生じる。一実施形態では、GDF15分子は、システインクランプ、負電荷対の変異及び16アミノ酸ヒンジ欠失を有するFcドメイン(例えば、GDF15-FcΔ16(-、CC))を含むFc領域並びにシステインクランプ、正電荷対の変異及び16個のアミノ酸ヒンジ欠失、更に任意選択のC末端リジンを含むFcドメイン(例えば、FcΔ16(+、K、CC))を含むFc分子を含む。システインクランプは、GDF-Fc分子のFc分子とのヘテロ二量体化を増強することができる。
【0045】
GDF15分子に使用され得るFc領域の例は、表3に示した。
【0046】
【0047】
【0048】
Fc分子の例を表4に示したが、表中のC末端リジンは任意選択である。
【0049】
【0050】
【0051】
Fc分子は、相補的Fcドメインを含む分子と二量体化するために使用することができる。例えば、FcΔ10(+、K)のFc分子は、FcΔ10(-)等の10個のアミノ酸ヒンジ欠失及び負電荷対の変異を含むFc領域を含む分子(例えば、FcΔ10(-)のFc領域を含むGDF15分子)と二量体化することができる。FcΔ10(-、K)のFc分子は、FcΔ10(+)等の10個のアミノ酸ヒンジ欠失及び負電荷対の変異を含むFc領域を含む分子(例えば、FcΔ10(+)のFc領域を含むGDF15分子)と二量体化することができる。
【0052】
FcΔ10(+、K、CC)のFc分子は、FcΔ10(-、CC)等の10個のアミノ酸ヒンジ欠失及び負電荷対の変異を含むFc領域を含む分子(例えば、FcΔ10(-、CC)をのFc領域含むGDF15分子)と二量体化することができる。FcΔ16(+、K、CC)のFc分子は、FcΔ16(-、CC)等の10個のアミノ酸ヒンジ欠失及び負電荷対の変異を含むFc領域を含む分子(例えば、FcΔ16(-、CC)のFc領域を含むGDF15分子)と二量体化することができる。FcΔ16(+、K)のFc分子は、FcΔ16(-)等の10個のアミノ酸ヒンジ欠失及び負電荷対の変異を含むFc領域を含む分子(例えば、FcΔ16(+)のFc領域を含むGDF15分子)と二量体化することができる。FcΔ10(+、K、L234A/L235A)のFc分子は、FcΔ10(-、L234A/L235A)等の10個のアミノ酸ヒンジ欠失及び負電荷対の変異を含むFc領域を含む分子(例えば、FcΔ10(-、L234A/L235A)のFc領域を含むGDF15分子)と二量体化することができる。
【0053】
GDF15-Fc融合タンパク質であるGDF15分子の例は、表5に示した。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
幾つかの実施形態では、融合タンパク質は、GDF15領域が2つのFc領域に連結されているscFc-GDF15である。幾つかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号38と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号38のアミノ酸配列を含む。パーセント配列同一性を計算する際は、配列間で最大のマッチを与える方法で比較されている配列が整列させられる。パーセント同一性を決定するのに使用できるコンピュータープログラムは、GAPを含むGCGプログラムパッケージである(Devereux et al.,(1984),Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.)。パーセント配列同一性が決定されなければならない2つのポリペプチド又はポリヌクレオチドは、コンピューターアルゴリズムGAPを使用して整列させることができる。配列は、そのそれぞれのアミノ酸又はヌクレオチドの最適なマッチングが得られるように整列される(アルゴリズムにより決定される「マッチドスパン(matched span)」)。アルゴリズムと共に、ギャップ開始ペナルティ(平均ダイアゴナル(diagonal)の3倍として計算され、「平均ダイアゴナル」は、使用している比較マトリックスのダイアゴナルの平均であり;「ダイアゴナル」は、特定の比較マトリックスによりそれぞれの完全なアミノ酸マッチに割り当てられたスコア又は数字である)及びギャップ伸長ペナルティ(通常、ギャップ開始ペナルティの1/10倍である)の他、PAM250又はBLOSUM62等の比較マトリックスが使用される。所定の実施形態では、標準比較マトリックス(PAM 250比較マトリックスについては、Dayhoff et al.,(1978),Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352を参照されたい;BLOSUM 62比較マトリックスについては、Henikoff et al.,(1992),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.9:10915-10919を参照されたい)もアルゴリズムによって使用される。GAPプログラムを用いたパーセント同一性の決定に使用できるパラメーターは、以下である:
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443-453;
比較マトリックス:Henikoff et al.,1992、上記からのBLOSUM 62;
ギャップペナルティ:12(しかしエンドギャップについてはペナルティなし)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の閾値:0
2つのアミノ酸配列を整列させるための所定のアライメントスキームでは、2つの配列の短い領域のみのマッチングが生じることがあり、この整列された小さな領域は、2つの全長配列間で顕著な関係がない場合でも、非常に高い配列同一性を有することがある。従って、選択したアライメント法(例えば、GAPプログラム)は、望ましい場合、標的ポリペプチドの少なくとも連続する50アミノ酸にわたるアライメントが生じるように調整することができる。
【0066】
幾つかの実施形態では、GDF15分子は、FcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15、FcΔ10(+)-(G4)-GDF15、FcΔ10(-)-GDF15(Δ3)、FcΔ10(-)-GDF15(N3D)、FcΔ10(-,CC)-GDF15(Δ3)、FcΔ10(-,CC)-GDF15(N3D)、FcΔ16(-,CC)-GDF15(Δ3/D5E)、FcΔ16(-,CC)-GDF15(N3Q/D5E)、FcΔ16(-)-GDF15(N3Q/D5E)、FcΔ16(-)-(G4Q)4-GDF15、FcΔ16(-)-(G4Q)4-GDF15(N3Q)、FcΔ16(-)-(G4Q)4-GDF15(N3Q/D5E)、FcΔ16(-)-(G4S)2-GDF15(N3Q)、FcΔ16(-)-(G4S)2-GDF15(N3Q/D5E)、FcΔ16(-)-G4S-GDF15(N3Q)、FcΔ16(-)-G4S-GDF15(N3Q/D5E)、FcΔ16(-)-GDF15(N3Q)、FcΔ10(-,L234A/L235A)-(G4Q)4-GDF15(N3Q)又はFcΔ10(-,L234A/L235A)-(G4Q)4-GDF15(N3Q/D5E)である。
【0067】
幾つかの実施形態では、GDF15分子は、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57のアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、GDF15分子は、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、GDF15分子は、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、GDF15分子は、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態では、GDF15分子は、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0068】
幾つかの実施形態では、GDF15分子は、そのFc領域及び/又はGDF15領域と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するFcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15、FcΔ10(+)-(G4)-GDF15、FcΔ10(-)-GDF15(Δ3)、FcΔ10(-)-GDF15(N3D)、FcΔ10(-,CC)-GDF15(Δ3)、FcΔ10(-,CC)-GDF15(N3D)、FcΔ16(-,CC)-GDF15(Δ3/D5E)、FcΔ16(-,CC)-GDF15(N3Q/D5E)、FcΔ16(-)-GDF15(N3Q/D5E)、FcΔ16(-)-(G4Q)4-GDF15、FcΔ16(-)-(G4Q)4-GDF15(N3Q)、FcΔ16(-)-(G4Q)4-GDF15(N3Q/D5E)、FcΔ16(-)-(G4S)2-GDF15(N3Q)、FcΔ16(-)-(G4S)2-GDF15(N3Q/D5E)、FcΔ16(-)-G4S-GDF15(N3Q)、FcΔ16(-)-G4S-GDF15(N3Q/D5E)、FcΔ16(-)-GDF15(N3Q)、FcΔ10(-,L234A/L235A)-(G4Q)4-GDF15(N3Q)又はFcΔ10(-,L234A/L235A)-(G4Q)4-GDF15(N3Q/D5E)分子である。例えば、そのFc領域及び/又はGDF15領域と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するFcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15分子は、ヒンジ領域の10個のアミノ酸欠失及び負電荷対の変異を有し、且つ配列番号26と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するFc領域、及び/又は配列番号6と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するGDF15領域を有するGDF15分子を含む。別の例では、そのFc領域及び/又はGDF15領域と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するFcΔ16(-)-(G4Q)4-GDF15(N3Q/D5E)分子は、ヒンジ領域の16個のアミノ酸欠失及び負電荷対の変異を有し、且つ配列番号30と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するFc領域、及び/又は配列番号18と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するGDF15領域を有するGDF15分子を含む。更に別の例では、そのFc領域及び/又はGDF15領域と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するFcΔ10(-、L234A/L235A)-(G4Q)4-GDF15(N3Q/D5E)分子は、ヒンジ領域の10個のアミノ酸欠失、負電荷対の変異並びに234位及び235位のロイシンからアラニンへの変異を有し、且つ配列番号31と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するFc領域、及び/又は配列番号18と少なくとも85%、90%、95%又は99%の配列同一性を有するGDF15領域を有するGDF15分子を含む。
【0069】
更に本明細書において提供されるのは、本明細書で提供されるGDF15分子を含む二量体及び四量体である。一実施形態では、二量体は、配列番号39~57の何れか1つのアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体を含む。幾つかの実施形態では、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、例えば表6に示したように、配列番号32、33、34、35、36又は37(C末端リジンは任意選択である)のアミノ酸配列を含むFc分子と二量体化する。例えば、幾つかの実施形態では、二量体は、FcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15:FcΔ10(+、K)である。別の実施形態では、二量体は、FcΔ10(-、L234A/L235A)-(G4Q)4-GDF15(N3Q):FcΔ10(+、K、L234A/L235A)である。尚別の実施形態では、二量体は、FcΔ10(-、L234A/L235A)-(G4Q)4-GDF15(N3Q):FcΔ10(+、K、L234A/L235A)である。
【0070】
【0071】
一実施形態では、配列番号39のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号32(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号40のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号33(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号41のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号32(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号42のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号32(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号43のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号34(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号44のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号34(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号44のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号34(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号45のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号35(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号46のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号35(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号47のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号36(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号48のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号36(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号49のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号36(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号50のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号36(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号51のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号36(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号52のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号36(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号53のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号36(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号54のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号36(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号55のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号36(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号56のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号37(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。別の実施形態では、配列番号57のアミノ酸配列を含むGDF15-Fc融合体は、配列番号37(C末端リジンは任意選択)を含むFc分子と二量体化する。
【0072】
幾つかの実施形態では、二量体は、四量体を形成する。例えば、表6の二量体は、四量体を形成することができる。幾つかの実施形態では、四量体は、同じ二量体から形成される。幾つかの実施形態では、FcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15:FcΔ10(+,K);FcΔ10(+)-(G4)-GDF15:FcΔ10(-,K);FcΔ10(-)-GDF15(Δ3):FcΔ10(+,K);FcΔ10(-)-GDF15(N3D)の二量体:FcΔ10(+,K);FcΔ10(-,CC)-GDF15(Δ3):FcΔ10(+,K,CC);FcΔ10(-,CC)-GDF15(N3D):FcΔ10(+,K,CC);FcΔ16(-,CC)-GDF15(Δ3/D5E):FcΔ16(+,K,CC);FcΔ16(-,CC)-GDF15(N3Q/D5E):FcΔ16(+,K,CC);FcΔ16(-)-GDF15(N3Q/D5E):FcΔ16(+,K);FcΔ16(-)-(G4Q)4-GDF15:FcΔ16(+,K);FcΔ16(-)-(G4Q)4-GDF15(N3Q):FcΔ16(+,K);FcΔ16(-)-(G4Q)4-GDF15(N3Q/D5E):FcΔ16(+,K);FcΔ16(-)-(G4S)2-GDF15(N3Q):FcΔ16(+,K);FcΔ16(-)-(G4S)2-GDF15(N3Q/D5E):FcΔ16(+,K);FcΔ16(-)-G4S-GDF15(N3Q):FcΔ16(+,K);FcΔ16(-)-G4S-GDF15(N3Q/D5E):FcΔ16(+,K);FcΔ16(-)-GDF15(N3Q):FcΔ16(+,K);FcΔ10(-,L234A/L235A)-(G4Q)4-GDF15(N3Q):FcΔ10(+,K,L234A/L235A);又はFcΔ10(-,L234A/L235A)-(G4Q)4-GDF15(N3Q/D5E):FcΔ10(+,K,L234A/L235A)は、2つのGDF15領域の二量体化を通してのように、四量体を形成する。
【0073】
本明細書において更に提供されるのは、本明細書に開示されたGDF15分子及びFc分子を産生するための核酸及びベクターを含む宿主細胞である。種々の実施形態では、ベクター又は核酸は、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、他の実施形態ではベクター又は核酸は、染色体外にある。
【0074】
そのような核酸、ベクター又はそれらの何れか若しくは両方の組み合わせを含む酵母細胞、細菌細胞(例えば、E.コリ(E.coli))及び哺乳類細胞(例えば、不死化哺乳類細胞)等の組み換え細胞が提供される。種々の実施形態では、GDF15分子及び/又はFc分子の発現をコードする配列を含む、プラスミド、コスミド、ファージミド又は線形発現エレメント等の組み込まれていない核酸を含む細胞。幾つかの実施形態では、細胞は、GDF15分子を産生するための核酸を含み、別の細胞は、GDF15分子との二量体化のためのFc分子を産生するための核酸(例えば、第1の細胞内にGDF15分子をコードするためのベクター及び第2の細胞内にFc分子をコードするための第2のベクター)を含む。他の実施形態では、宿主細胞は、GDF15分子及びFc分子を産生するための核酸(例えば、両方の分子をコードするベクター)を含む。別の実施形態では、宿主細胞は、GDF15分子を産生するための核酸及びFc分子を産生するための別の核酸(例えば、単一宿主細胞内に2つの別のベクター、GDF15分子をコードするベクター及びFc分子をコードするベクター)を含む。
【0075】
GDF15分子及び/又はFc分子をコードする核酸配列を含むベクターは、当該技術分野において公知の方法等によって、形質転換又はトランスフェクションにより宿主細胞に導入することができる。
【0076】
GDF15分子をコードする核酸は、ウイルスベクターを介して宿主細胞又は宿主動物に配置及び/又は送達することができる。ウイルスベクターは、任意の数のウイルスポリヌクレオチドを、単独で、或いは所望の宿主細胞における本発明の核酸の送達、複製及び/又は発現を促進する1つ以上のウイルスタンパク質と組み合わせて含み得る。ウイルスベクターは、ウイルスゲノムの全部若しくは一部を含むポリヌクレオチド、ウイルスタンパク質/核酸コンジュゲート、ウイルス様粒子(VLP)、又はウイルス核酸とGDF15領域を含むポリペプチドをコードする核酸とを含むインタクトなウイルス粒子であり得る。ウイルス粒子のウイルスベクターは、野生型ウイルス粒子又は改変ウイルス粒子を含み得る。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターアンプリコン等、複製及び/又は発現のための別のベクター又は野生型ウイルスが存在する必要があるベクターであり得る(例えば、ウイルスベクターは、ヘルパー依存性ウイルスであり得る)。この点において好適なウイルスベクター粒子としては、例えば、アデノウイルス(adenoviral)ベクター粒子(アデノウイルス科(adenoviridae)又はアデノウイルス科(adenoviridae)のウイルスに由来する、任意のウイルスを含む)、アデノ随伴ウイルス(adeno-associated viral)ベクター粒子(AAVベクター粒子)又は他のパルボウイルス(parvovirus)及びパルボウイルス(parvoviral)ベクター粒子、パピローマウイルス(papillomaviral)ベクター粒子、フラビウイルス(flaviviral)ベクター、アルファウイル(alphaviral)スベクター、ヘルペスウイルス(herpes viral)ベクター、ポックスウイルス(pox virus)ベクター、レンチウイルス(lentiviral)ベクターを含むレトロウイルス(retroviral)ベクターが挙げられる。
【0077】
GDF15分子は、標準的なタンパク質精製法を用いて単離することができる。GDF15領域を含むポリペプチドは、GDF15領域を含むポリペプチドを発現するように設計されている細胞、例えば負のGDF15を自然には発現しない細胞から単離することができる。当該技術分野において公知のタンパク質精製法を採用して、GDF15分子の他、関連材料及び試薬を単離することができる。GDF15分子を精製する方法も又、本明細書の実施例において提供される。GDF15分子を単離するために有用であり得る追加の精製方法は、Bootcov MR,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:11514-9,Fairlie WD,2000,Gene 254:67-76等の参考文献において見出すことができる。
【0078】
GDF15分子(及び任意選択的に、本明細書に開示された二量体又は四量体等のFc分子)を含む医薬組成物も提供される。そうしたポリペプチド医薬組成物は、投与モードとの適合性で選択された薬学的又は生理学的に許容される製剤用作用物質又は担体と混合した治療有効量のGDF15分子を含み得る。薬学的又は生理学的に許容される製剤用作用物質は、ヒト又は非ヒト対象の体内へのGDF15分子の送達を達成又は促進するのに好適な1種以上の製剤用作用物質であってもよい。GDF15分子の有効期間若しくは有効性を大きくする湿潤剤若しくは乳化剤、防腐剤又は緩衝液等の薬学的に許容される物質は更に、製剤担体として働いてもよく、或いは製剤担体の構成要素を形成し得る。許容可能な薬学的に許容される担体は、好ましくは使用される投与量及び濃度でレシピエントに無毒である。医薬組成物は、例えば、組成物のpH、モル浸透圧濃度、粘度、清澄度、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解若しくは放出速度、吸着又は浸透性を変更、維持又は保護するため製剤用作用物質を含むことができる。
【0079】
治療的に使用しようとするGDF15分子を含む医薬組成物の有効量は、例えば、治療の状況及び目的によって異なる。従って、当業者は、治療に適切な投与量レベルが、送達される分子、GDF15分子が使用されている適応、投与経路並びに対象のサイズ(体重、体表面積又は臓器の大きさ)及び状態(年齢及び一般的な健康状態)によってある程度異なることを理解するであろう。投薬頻度は、使用される製剤におけるGDF15分子の薬物動態パラメーターによって異なる。
【0080】
医薬組成物の投与経路は、経口であっても;静脈内経路、腹腔内経路、脳内(実質内)経路、脳室内経路、筋肉内経路、眼内経路、動脈内経路、門脈内経路又は病巣内経路による注射によっても;徐放系(同様に注射することができる)によっても;或いは埋め込み装置によってでもよい。所望の場合、組成物は、ボーラス注射により投与することも、或いは注入若しくは埋め込み装置により連続的に投与することもできる。組成物は又、所望の分子が吸収又は封入された膜、スポンジ又は他の適切な材料の埋め込みにより局所投与することもできる。埋め込み装置を使用する場合、装置は、任意の好適な組織又は臓器に埋め込むことができ、所望の分子の送達は、拡散、徐放性ボーラス(timed-release bolus)又は連続投与によるものであってもよい。
【0081】
GDF15分子は、代謝状態又は障害を治療、診断又は軽減するのに使用することができる。一実施形態では、代謝障害は、糖尿病、例えば、2型糖尿病である。別の実施形態では、代謝状態又は障害は、肥満である。他の実施形態では、代謝状態又は障害は、脂質代謝異常、高血糖値、高インスリン値又は糖尿病性ニューロパチーである。例えば、GDF15分子を用いて処置又は軽減できる代謝状態又は障害は、ヒト対象が、125mg/dL以上、例えば130mg/dL、135mg/dL、140mg/dL、145mg/dL、150mg/dL、155mg/dL、160mg/dL、165mg/dL、170mg/dL、175mg/dL、180mg/dL、185mg/dL、190mg/dL、195mg/dL、200mg/dL又は200mg/dL超の空腹時血糖値を有する状態を含む。血糖値は、摂食若しくは絶食状態で、又は無作為に測定することができる。代謝状態又は障害は、対象が代謝状態を発生するリスクが高い状態を更に含み得る。ヒト対象については、そうした状態は、100mg/dLの空腹時血糖値を含む。GDF15分子を含む医薬組成物を用いて治療することができる状態は、American Diabetes Association Standards of Medical Care in Diabetes Care-2011,American Diabetes Association,Diabetes Care Vol.34,No.Supplement 1,S11-S61,2010においても見出すことができる。
【0082】
投与は、例えば静脈内(IV)注射、腹腔内(IP)注射、皮下注射、筋肉内注射により行っても、或いは錠剤若しくは液状の形態で経口的に行うことができる。GDF15分子の治療有効量は、投与スケジュール、投与される作用物質の単位用量、GDF15分子が他の治療薬と組み合わせて投与されるかどうか、免疫状態及びレシピエントの健康状態によって異なる。治療有効量は、処置されている疾患又は障害の症状の緩和又は軽減を含む、研究者、医師又は他の臨床医が求めている、組織系、動物又はヒトにおける生物学的反応又は薬効反応を惹起するGDF15分子の量、即ち、観察可能な値の1つ又は複数の所望の生物学的反応又は、薬効反応、例えば、血糖値、インスリン値、トリグリセリド値又はコレステロール値の低下;体重の低減;耐糖能、エネルギー消費量又はインスリン感受性の改善;或いは食物摂取量の低減を助けるGDF15分子の量である。GDF15分子の治療有効量は更に、所望の成果によって異なってもよい。
【0083】
本明細書において更に提供されるのは、対象において血糖、インスリン、コレステロール、脂質等の1種以上の代謝関連化合物のベースライン値を測定する工程、GDF15分子を含む医薬組成物を対象に投与する工程、及び所望の期間後、対象において1種以上の代謝関連化合物(例えば、血糖、インスリン、コレステロール、脂質)の値を測定する工程を含む方法である。次いで2つの値を比較して、対象における代謝関連化合物の相対的変化を判定することができる。その比較の結果に応じて、別の用量の医薬組成物を投与して、1種以上の代謝関連化合物の所望の値を達成することができる。
【0084】
GDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)は、血糖値、インスリン値、トリグリセリド値又はコレステロール値を低下させる作用物質;体重を低減させる作用物質;食物摂取量を低減させる作用物質;耐糖能、エネルギー消費量又はインスリン感受性を改善させる作用物質;或いはこれら(例えば、抗糖尿病薬、高脂血症薬、抗肥満薬、降圧薬又はペルオキシソーム増殖剤活性化受容体のアゴニスト)の任意の組み合わせ等の別の治療薬と組み合わせて投与することができる。例えば、作用物質は、インスリン、インスリン誘導体及び類似体;インスリン分泌促進剤、グリブリド、アマリル;インスリン分泌促進性スルホニルウレア受容体リガンド;チアゾリジンジオン、ピオグリタゾン、バラグリタゾン、ネトグリタゾン、トログリタゾン、エングリタゾン、シグリタゾン、アダグリタゾン、ダルグリタゾン、コレステリルエステルトランスファータンパク質(CETP)阻害剤、GSK3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ3)阻害剤;RXRリガンド;ナトリウム依存性グルコース共輸送体阻害剤;グリコーゲンホスホリラーゼA阻害剤;ビグアニド;α-グルコシダーゼ阻害剤、GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)、GLP-1類似体、GLP-1類似体;DPPIV(ジペプチジルペプチダーゼIV)阻害剤、3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル補酵素A(HMG-CoA)レダクターゼ阻害剤;スクアレンシンターゼ阻害剤;FXR(ファルネソイドX受容体)、LXR(肝X受容体)リガンド;コレスチラミン;フィブレート;ニコチン酸、アスピリン;オルリスタット若しくはリモナバン;ループ利尿薬、フロセミド、トルセミド;アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;Na-K-ATPase膜ポンプ阻害剤;ニュートラルエンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;ACE/NEP阻害剤;アンジオテンシンIIアンタゴニスト;レニン阻害剤;βアドレナリン受容体遮断薬;変力薬、ドブタミン、ミルリノン;カルシウムチャネル遮断薬;アルドステロン受容体アンタゴニスト;アルドステロンシンターゼ阻害剤;フェノフィブレート、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、テサグリタザール、BMS-298585及びL-796449から選択され得る。
【0085】
本明細書に開示したGDF15分子と一緒に投与される作用物質は、GLP-1Rアゴニスト又はGLPアンタゴニストであってよい。GLP-1Rアゴニストは、GLP-1R活性を備える化合物であってよい。GLP-1Rアゴニストは、エキセンディン、エキセンディン類似体又はエキセンディンアゴニストであってよい。エキセンディンは、アメリカドクトカゲの唾液分泌物に見られる天然型(又は天然型の合成バージョン)エキセンディンペプチドを含む。エキセンディンは、エキセンディン-3:HSDGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS-NH2(配列番号58);又はエキセンディン-4:HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS-NH2(配列番号59)であり得る。本明細書に記載のエキセンディン、エキセンディン類似体及びエキセンディンアゴニストは、酸の形態、薬学的に許容される塩の形態又はその分子の任意の他の生理学的に活性な形態で、任意選択的にアミド化され得る。エキセナチドとしても公知である合成のエキセンディン-4は、BYETTA(登録商標)(Amylin Pharmaceuticals,Inc.及びEli Lilly and Company)として市販されている。本明細書に開示したGDF15分子と組み合わせて使用できるエキセンディン類似体及びエキセンディンアゴニストの他の例は、それらの開示全体が参照により組み込まれる国際公開第98/05351号パンフレット;同第99/07404号パンフレット;同第99/25727号パンフレット;同第99/25728号パンフレット;同第99/40788号パンフレット;同第00/41546号パンフレット;同第00/41548号パンフレット;同第00/73331号パンフレット;同第01/51078号パンフレット;同第03/099314号パンフレット;米国特許第6,956,026号明細書;同第6,506,724号明細書;同第6,703,359号明細書;同第6,858,576号明細書;同第6,872,700号明細書;同第6,902,744号明細書;同第7,157,555号明細書;同第7,223,725号明細書;同7,220,721号明細書;米国特許出願公開第2003/0036504号明細書並びに同第2006/0094652号明細書及び同第2018/0311372号明細書を参照されたい。
【0086】
一実施形態では、GLP-1Rアゴニストは、GLP-1又はその類似体、例えばGLP-1(7-37):HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG(配列番号60)又はGLP-1(7-37)類似体である。GLP-1(7-37)類似体は、例えば、その開示が本明細書に参照により組み込まれるHargrove et al.,Regulatory Peptides,141:113-119(2007)によって記載された受容体結合アッセイ又はインビボの血糖値アッセイ等の当該技術分野において公知の手段によって評価した場合に、GLP-1(7-37)の生物学的活性と類似の生物学的活性を誘発するペプチドであり得る。一実施形態では、GLP-1(7-37)類似体は、GLP-1(7-37)のアミノ酸配列と比較すると、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ又は8つのアミノ酸の置換、挿入、欠失又はそれらの2つ以上の組み合わせを備えるアミノ酸配列を有するペプチドを指す。一実施形態では、GLP-1(7-37)類似体は、GLP-1(7-36)-NH2である。GLP-1(7-37)類似体には、アミド化形態、酸の形態、薬学的に許容される塩の形態及びその分子の任意の他の生理学的活性な形態が含まれる。幾つかの実施形態では、GLP-1R受容体アゴニストを記載するために単純な命名法が使用されており、例えば、[Aib8]GLP-1(7-37)は、GLP-1(7-37)の類似体(式中、第8位にある天然型AlaはAibで置換されている)を指定する。本明細書に開示したGDF15分子と組み合わせて使用することができる他のGLP-1(7-37)又はGLP-1(7-37)類似体としては、リラグルチド(VICTOZA(登録商標)、Novo Nordisk);アルビグルチド(SYNCRIA(登録商標)、GlaxoSmithKline);タスポグルチド(Hoffman La-Roche);デュラグルチド(LY2189265としても公知である;Eli Lilly and Company);又はLY2428757(Eli Lilly and Company)が挙げられる。一実施形態では、GLP-1Rアゴニストは、デュラグルチドであり、任意選択的にそのC末端でリジンを有するアミノ酸配列:
【化13】
を含む。それらの内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,268,343号明細書;同第7,452,966号明細書;及び米国特許出願公開第2018/0311372明細書に記載されたGLP-1類似体の1つ以上は、更に本明細書に開示したGDF15分子と組み合わせて使用することもできる。
【0087】
一実施形態では、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57のアミノ酸配列を含むGDF15分子は、配列番号58、59、60のアミノ酸配列又はその中のアミド化類似体を含む分子と一緒に投与される。一実施形態では、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57のアミノ酸配列を含むGDF15分子は、デュラグルチド、例えば配列番号61のアミノ酸配列を含む分子と一緒に投与される。
【0088】
別の実施形態では、それぞれ配列番号39及び32(C末端リジンは任意選択);配列番号40及び33(C末端リジンは任意選択)、それぞれ配列番号41及び32(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号42及び32(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号43及び34(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号44及び34(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号45及び35(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号46及び35(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号47及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号48及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号49及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号50及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号51及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号52及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号53及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号54及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号55及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号56及び37(C末端リジンは任意選択);又はそれぞれ配列番号57及び37(C末端リジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、配列番号58、59、60のアミノ酸配列又はそのアミド化類似体を含む分子と一緒に投与される。
【0089】
別の実施形態では、それぞれ配列番号39及び32(C末端リジンは任意選択);配列番号40及び33(C末端リジンは任意選択)、それぞれ配列番号41及び32(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号42及び32(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号43及び34(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号44及び34(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号45及び35(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号46及び35(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号47及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号48及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号49及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号50及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号51及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号52及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号53及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号54及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号55及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号56及び37(C末端リジンは任意選択);又はそれぞれ配列番号57及び37(C末端リジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、デュラグルチド、例えば配列番号61のアミノ酸配列を含む分子と一緒に投与される。
【0090】
別の実施形態では、それぞれ配列番号50及び36(C末端リジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、配列番号58、59、60のアミノ酸配列又はその中のアミド化類似体を含む分子と一緒に投与される。別の実施形態では、それぞれ配列番号50及び36(C末端リジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、デュラグルチド、例えば配列番号61のアミノ酸配列を含む分子と一緒に投与される。
【0091】
別の実施形態では、それぞれ配列番号57及び37(C末端リジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、配列番号58、59、60のアミノ酸配列又はその中のアミド化類似体を含む分子と一緒に投与される。別の実施形態では、それぞれ配列番号57及び37(C末端リジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、デュラグルチド、例えば配列番号61のアミノ酸配列を含む分子と一緒に投与される。
【0092】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示したGDF15分子は、GIPRに対するアンタゴニスト、例えばヒトGIPRに特異的に結合する抗原結合タンパク質と一緒に投与される。一実施形態では、抗原結合タンパク質は:
【化14】
のアミノ酸配列を含むか、又はそれらから成るヒトGIPRに特異的に結合する。
【0093】
ヒトGIPRポリペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質は、GIPリガンドによるGIPRの活性化を阻害することができる、及び/又はGIPRへのGIPリガンド結合を阻害することができる。抗原結合タンパク質は、GIPRへのGIPの結合を阻止又は低減する能力を有し得るが、そのレベルは、例えば、放射性標識若しくは蛍光標識されたリガンドによる結合試験等の方法、又は本明細書に記載の方法(例えば、cAMPアッセイ若しくは他の機能アッセイ)によって測定することができる。その低減は、比較可能な条件下で配列番号62、63又は64の治療前レベルと比較して少なくとも10%、25%、50%、100%以上となり得る。特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、25pM未満、50pM未満、100pM未満、500pM未満、1nM未満、5nM未満、10nM未満、25nM未満又は50nM未満のKD(平衡結合親和性)を有する。
【0094】
抗原結合タンパク質は、ヒト抗原結合タンパク質、例えばヒト抗体であり得る。別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、抗体、例えばモノクローナル抗体である。幾つかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、それらのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0275370号明細書又は同第2018/0311372号明細書に開示されているGIPR抗体である。
【0095】
一実施形態では、抗体等のGIPR抗原結合タンパク質は:それぞれRASQSVSSNLA(配列番号65)、GAATRAT(配列番号66)及びQQYNNWPLT(配列番号67);それぞれSGSSSNIGSQTVN(配列番号68)、TNNQRPS(配列番号69)及びATFDESLSGPV(配列番号70);それぞれRASQDIRDYLG(配列番号71)、GASSLQS(配列番号72)及びLQHNNYPFT(配列番号73);又はそれぞれRASQGLIIWL(配列番号74)、AASSLQS(配列番号75)及びQQTNSFPPT(配列番号76)のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む。一実施形態では、GIPR抗原結合タンパク質は:それぞれNYGMH(配列番号77)、AIWFDASDKYYADAVKG(配列番号78)及びDQAIFGVVPDY(配列番号79);それぞれGYYMH(配列番号80)、WINPNSGGTNYAQKFQG(配列番号81)及びGGDYVFGTYRPHYYYGMDV(配列番号82);それぞれYFGMH(配列番号83)、VIWYDASNKYYADAVKG(配列番号84)及びDGTIFGVLLGDY(配列番号85);又はそれぞれSYYWS(配列番号86)、RIYTSGSTNYNPSLKS(配列番号87)及びDVAVAGFDY(配列番号88)のアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む。
【0096】
一実施形態では、抗体等のGIPR抗原結合タンパク質は:それぞれ配列番号65~67及び77~79;配列番号68~70及び80~82;配列番号71~73及び83~85;又は配列番号74~76及び86~88のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む。
【0097】
一実施形態では、抗体等のGIPR抗原結合タンパク質は:
【化15】
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む。
【0098】
一部の実施形態では、抗体等のGIPR抗原タンパク質は:
【化16】
【化17】
のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含む。
【0099】
一実施形態では、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57のアミノ酸配列を含むGDF15分子はそれぞれ配列番号65~67及び77~79;配列番号68~70及び80~82;配列番号71~73及び83~85;又は配列番号74~76及び86~88のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む、抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。
【0100】
別の実施形態では、それぞれ配列番号39及び32(C末端リジンは任意選択);配列番号40及び33(C末端リジンは任意選択)、それぞれ配列番号41及び32(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号42及び32(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号43及び34(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号44及び34(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号45及び35(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号46及び35(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号47及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号48及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号49及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号50及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号51及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号52及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号53及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号54及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号55及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号56及び37(C末端リジンは任意選択);又はそれぞれ配列番号57及び37(C末端リジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子はそれぞれ配列番号65~67及び77~79;配列番号68~70及び80~82;配列番号71~73及び83~85;又は配列番号74~76及び86~88のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む、抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。
【0101】
別の実施形態では、それぞれ配列番号50及び36(C末端でリジンは任意選択)を含むGDF15分子及び対応するFc分子は:それぞれ配列番号65~67及び77~79;配列番号68~70及び80~82;配列番号71~73及び83~85;又は配列番号74~76及び86~88のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む、抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。一実施形態では、それぞれ配列番号50及び36(C末端でリジンは任意選択)を含むGDF15分子及び対応するFc分子は配列番号65~67及び77~79のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む抗体と一緒に投与される。
【0102】
別の実施形態では、それぞれ配列番号57及び37(C末端でリジンは任意選択)を含むGDF15分子及び対応するFc分子は:それぞれ配列番号65~67及び77~79;配列番号68~70及び80~82;配列番号71~73及び83~85;又は配列番号74~76及び86~88のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む、抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。別の実施形態では、それぞれ配列番号57及び37(C末端リジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は:配列番号65~67及び77~79のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む、抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。
【0103】
一実施形態では、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57のアミノ酸配列を含むGDF15分子は、それぞれ配列番号89及び90、配列番号91及び92、配列番号93及び94又は配列番号95及び96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。
【0104】
別の実施形態では、それぞれ配列番号39及び32(C末端リジンは任意選択);配列番号40及び33(C末端リジンは任意選択)、それぞれ配列番号41及び32(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号42及び32(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号43及び34(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号44及び34(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号45及び35(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号46及び35(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号47及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号48及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号49及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号50及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号51及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号52及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号53及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号54及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号55及び36(C末端リジンは任意選択);それぞれ配列番号56及び37(C末端リジンは任意選択);又はそれぞれ配列番号57及び37(C末端リジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、それぞれ配列番号89及び90、配列番号91及び92、配列番号93及び94又は配列番号95及び96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。
【0105】
別の実施形態では、それぞれ配列番号50及び36(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、それぞれ配列番号89及び90、配列番号91及び92、配列番号93及び94又は配列番号95及び96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。一実施形態では、配列番号50及び36(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、配列番号89及び90のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗体と一緒に投与される。
【0106】
別の実施形態では、それぞれ配列番号57及び37(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、それぞれ配列番号89及び90、配列番号91及び92、配列番号93及び94又は配列番号95及び96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。一実施形態では、配列番号57及び37(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、配列番号89及び90のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗体と一緒に投与される。
【0107】
一実施形態では、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56又は57のアミノ酸配列を含むGDF15分子は、それぞれ配列番号97及び98、配列番号99及び100、配列番号101及び102、配列番号103及び104又は配列番号105及び106のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含む抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。
【0108】
別の実施形態では、それぞれ配列番号39及び32(C末端のリジンは任意選択);配列番号40及び33(C末端のリジンは任意選択)、配列番号41及び32(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号42及び32(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号43及び34(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号44及び34(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号45及び35(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号46及び35(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号47及び36(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号48及び36(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号49及び36(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号50及び36(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号51及び36(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号52及び36(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号53及び36(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号54及び36(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号55及び36(C末端のリジンは任意選択)、それぞれ配列番号56及び37(C末端のリジンは任意選択)又はそれぞれ配列番号57及び37(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、それぞれ配列番号97及び98、配列番号99及び100、配列番号101及び102、配列番号103及び104又は配列番号105及び106のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含む抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。
【0109】
別の実施形態では、それぞれ配列番号50及び36(C末端のリジンは任意選択)を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、それぞれ配列番号97及び98、配列番号99及び100、配列番号101及び102、配列番号103及び104又は配列番号105及び106のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含む抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。一実施形態では、それぞれ配列番号50及び36(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、配列番号97及び98のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含む抗体と一緒に投与される。
【0110】
別の実施形態では、それぞれ配列番号57及び37(C末端のリジンは任意選択)を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、それぞれ配列番号97及び98、配列番号99及び100、配列番号101及び102、配列番号103及び104又は配列番号105及び106のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含む抗体等のGIPR抗原結合タンパク質と一緒に投与される。一実施形態では、それぞれ配列番号57及び37(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、配列番号97及び98のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含む抗体と一緒に投与される。
【0111】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示したGDF15分子は、例えば本明細書にその全体として参照により組み込まれる米国特許出願公開第2018/0311372号明細書に開示された、GLP-1Rアゴニストにコンジュゲート化されたGIPR抗体と一緒に投与される。
【0112】
本明細書に開示したGDF15分子と組み合わせて使用できる作用物質の他の例としては、ロシグリチゾン、ピオグリチゾン、レパグリニド、ナテグリチニド、メトホルミン、エキセナチド、スチアグリプチン、プラムリンチド、グリピジド、グリメプリリデアカルボース、オーリスタット、ロルカセリン、フェンテルミネトピラメート、ナルトレクソンブプロピオン、セトメラノチド、セマグルチド、エフペグレナチド(efpeglenatide)、リキシセナチド、カナグリフロジン、LIK-066、SAR-425899、Tt-401、FGFR4Rx、HDV-ビオチン及びミグリトールが挙げられる。
【0113】
別の治療薬と一緒に投与されるGDF15分子は、治療有効量のGDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)と治療有効量の他の治療薬との同時投与を含むことができる。別の治療薬と一緒に投与されるGDF15分子は、治療有効量のGDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)及び治療有効量の他の治療薬の連続投与、例えば、治療有効量のGDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)、続いて治療有効量の他の治療薬の投与、又は治療有効量の他の治療薬の投与、続いて治療有効量のGDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)の投与を含むことができる。治療有効量のGDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)の投与は、治療有効量の他の治療薬の投与から少なくとも1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後又は7日後であってよい。別の実施形態では、治療有効量の治療有効量の他の治療薬の投与は、治療有効量のGDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)の投与から少なくとも1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後又は7日後の少なくとも1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後又は7日後であってもよい。
【0114】
別の治療薬と同時に投与されるGDF15分子は、GDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)及び他の治療薬の両方を含む組成物の投与を含んでもよく、例えば、治療有効量のGDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)は、投与前に治療有効量の他の作用物質と一緒にされてよい。別の実施形態では、GDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)及び別の治療薬の同時投与は、GDF15分子を含む第1の組成物及び他の治療薬を含む第2の組成物の同時投与を含むことができる。
【0115】
幾つかの実施形態では、GDF15分子の別の治療薬との投与は、相乗効果を有する。一実施形態では、効果は、GDF15分子(及び任意選択的に、その対応するFc分子)単独又は他の作用物質より大きい。別の実施形態では、効果は、両方の作用物質(GDF15分子、及び任意選択的にその対応するFc分子+他の作用物質)の相加効果より大きい。一実施形態では、併用療法(即ち、任意選択的に、その対応するFc分子を含むGDF15分子と別の治療薬との投与)は、GDF15単剤療法(GDF15分子及び任意選択的にその対応するFc分子)より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超又は30倍超の効果を有する。別の実施形態では、併用療法(即ち、任意選択的に、その対応するFc分子を含むGDF15分子と別の治療薬との投与)は、他の作用物質の単剤療法より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超又は30倍超の効果を有する。効果は、体重の低減量(例えば、総重量又は重量変化率の低減);血糖値、インスリン値、トリグリセリド値又はコレステロール値の低減;耐糖能、エネルギー消費量又はインスリン感受性の改善;或いは食物摂取量の低減であってよい。相乗効果は、投与から約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、約10日後、約11日後、約12日後、約13日後、約14日後、約21日後、約28日後、約35日後、約42日後、約49日後、約56日後、約63日後又は約70日後であってよい。
【0116】
一実施形態では、GLP-1Rアゴニスト若しくはGIPRアンタゴニストと一緒に投与されるそれぞれ配列番号39及び32(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号40及び33(C末端のリジンは任意選択),それぞれ配列番号41及び32(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号42及び32(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号43及び34(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号44及び34(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号45及び35(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号46及び35(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号47及び36(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号48及び36(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号49及び36(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号50及び36(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号51及び36(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号52及び36(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号53及び36(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号54及び36(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号55及び36(C末端のリジンは任意選択);それぞれ配列番号56及び37(C末端のリジンは任意選択);又はそれぞれ配列番号57及び37(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、作用物質の投与から約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、約10日後、約11日後、約12日後、約13日後、約14日後、約21日後、約28日後、約35日後、約42日後、約49日後、約56日後、約63日後若しくは約70日後に、GDF15単剤療法より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超若しくは30倍超の効果;GLP-1Rアゴニスト若しくはGIPRアンタゴニスト単剤療法(即ち、GLP-1Rアゴニスト単独若しくはGIPRアンタゴニスト単独)より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超若しくは30倍超の効果;又はその両方を有する。
【0117】
別の実施形態では、GLP-1Rアゴニスト(例えば、デュラグルチド)と一緒に投与される、それぞれ配列番号50及び36(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、GDF15分子及び対応するFc分子及び/又はデュラグルチドの投与から約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、約10日後、約11日後、約12日後、約13日後、約14日後、約21日後、約28日後、約35日後、約42日後、約49日後、約56日後、約63若しくは約70日後に、GDF15単剤療法より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超若しくは30倍超の効果;GLP-1Rアゴニスト(例えば、デュラグルチド)単剤療法より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超若しくは30倍超の効果;又はその両方を有する。
【0118】
別の実施形態では、GLP-1Rアゴニスト(例えば、デュラグルチド)と一緒に投与される、それぞれ配列番号57及び37(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、GDF15分子及び対応するFc分子及び/又はデュラグルチドの投与から約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、約10日後、約11日後、約12日後、約13日後、約14日後、約21日後、約28日後、約35日後、約42日後、約49日後、約56日後、約63若しくは約70日後に、GDF15単剤療法より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29若しくは30倍超の効果;GLP-1Rアゴニスト(例えば、デュラグルチド)単剤療法より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超若しくは30倍超の効果;又はその両方を有する。
【0119】
別の実施形態では、GIPR抗原結合タンパク質(例えば、それぞれ配列番号65~67及び77~79;配列番号68~70及び80~82;配列番号71~73及び83~85;若しくは配列番号74~76及び86~88のアミノ酸配列を含む;又はそれぞれ配列番号89及び90、配列番号91及び92、配列番号93及び94若しくは配列番号95及び96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗体;又はそれぞれ配列番号97及び98、配列番号99及び100、配列番号101及び102、配列番号103及び104若しくは配列番号105及び106を含むアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含むCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列を含む抗体)と一緒に投与される、それぞれ配列番号50及び36(C末端のリジンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、GDF15分子及び対応するFc分子及び/又はGIPR抗原結合タンパク質の投与から約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、約10日後、約11日後、約12日後、約13日後、約14日後、約21日後、約28日後、約35日後、約42日後、約49日後、約56日後、約63若しくは約70日後に、GDF15単剤療法より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超若しくは30倍超の効果;GIPR抗原結合タンパク質単剤療法より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超若しくは30倍超の効果;又はその両方を有する。
【0120】
別の実施形態では、GIPR抗原結合タンパク質(例えば、それぞれ配列番号65~67及び77~79;配列番号68~70及び80~82;配列番号71~73及び83~85;若しくは配列番号74~76及び86~88のアミノ酸配列を含む;又はそれぞれ配列番号89及び90、配列番号91及び92、配列番号93及び94若しくは配列番号95及び96のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗体;又はそれぞれ配列番号97及び98、配列番号99及び100、配列番号101及び102、配列番号103及び104若しくは配列番号105及び106のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖を含むCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列を含む抗体)と一緒に投与される、それぞれ配列番号57及び37(C末端のリシンは任意選択)のアミノ酸配列を含むGDF15分子及び対応するFc分子は、GDF15分子及び対応するFc分子及び/又はGIPR抗原結合タンパク質の投与から約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、約10日後、約11日後、約12日後、約13日後、約14日後、約21日後、約28日後、約35日後、約42日後、約49日後、約56日後、約63若しくは約70日後に、GDF15単剤療法より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超若しくは30倍超の効果;GIPR抗原結合タンパク質単剤療法より1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2.0倍超、2.5倍超、3.0倍超、3.5倍超、4.0倍超、4.5倍超、5.0倍超、5.5倍超、6.0倍超、6.5倍超、7.0倍超、7.5倍超、8.0倍超、8.5倍超、9.0倍超、9.5倍超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、16倍超、17倍超、18倍超、19倍超、20倍超、21倍超、22倍超、23倍超、24倍超、25倍超、26倍超、27倍超、28倍超、29倍超若しくは30倍超の効果;又はその両方を有する。
【0121】
一実施形態では、GDF15分子対GLP-1Rアゴニスト若しくはGIPRアンタゴニストのモル比は、約1:1~1:100、約1:1~1:75、約1:1~1:50、約1:1~1:25、約1:1~1:10又は約1:1~1:5である。一実施形態では、GDF15分子対GLP-1Rアゴニスト若しくはGIPRアンタゴニストのモル比は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:10、約1:20、約1:30、約1:40又は約1:50である。一実施形態では、GDF15分子対GLP-1Rアゴニスト(例えば、デュラグルチド)のモル比は、約1:1~1:100、1:1~1:75、1:1~1:50、1:1~1:25、1:1~1:10若しくは1:1~1:5;又は約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:10、約1:20、約1:30、約1:40若しくは約1:50である。別の実施形態では、GDF15分子対GIPRアンタゴニスト(例えば、GIPR抗体)のモル比は、約1:1~1:100、1:1~1:75、1:1~1:50、1:1~1:25、1:1~1:10若しくは1:1~1:5;又は約1:1~1:110、1:1~1:100、1:1~1:75、1:1~1:50、1:1~1:25、1:1~1:10若しくは1:1~1:5、又は約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:10、約1:20、約1:30、約1:33、約1:40若しくは約1:50である。
【0122】
一実施形態では、GDF15分子及びGLP-1Rアゴニスト若しくはGIPRアンタゴニストは、治療効果を有する(例えば、状態及び/又は疾患を治療する;体重減少を低減させる;血糖値、血中インスリン値、血中トリグリセリド値若しくは血中コレステロール値を低減させる;糖耐能、エネルギー消費量若しくはインスリン感受性を改善する;又は食物摂取量を低減させる)ために必要とされる各化合物単独の用量の少なくとも約1.1~1.4、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9又は10分の1の用量で存在する。
【0123】
詳細な説明及び以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明は、それに限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の説明に基づき、当業者によって様々な変更形態及び修正形態がなされ得、そうした変更形態及び修正形態も本発明に含まれる。
【実施例】
【0124】
実施した実験及び得られた結果を含む以下の例は、説明のみを目的として提供するものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0125】
実施例1:GDF15分子の生成
FcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15(配列番号39)を無血清の浮遊培養に適応させたCHO-K1細胞株内で安定発現させた。それをピューロマイシン耐性を含有する安定性発現ベクターにクローニングする一方、FcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15とヘテロ二量体を形成するためのFc鎖FcΔ10(+、K)(配列番号32)は、ハイグロマイシンを含む発現ベクター(Selexis,Inc.)にクローニングした。これらのプラスミドは、リポフェクタミンLTXを用いて1:1の割合でトランスフェクトし、トランスフェクションの2日後に10μg/mLのピューロマイシン及び600μg/mLのハイグロマイシンを含む独自の増殖培地で細胞を選択した。選択中に培地を週2回交換した。細胞の生存率が約90%に達したとき、それらをバッチ培養生産工程用にスケールアップした。細胞は、生産培地に2×106/mLで播種した。細胞により生成された馴化培地(CM)を7日目に回収し、清澄化した。エンドポイントの生存率は、典型的には90%超であった。
【0126】
FcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15(配列番号39)(及び対をなした任意のFc)を清澄化した。馴化培地は、2段階クロマトグラフィー手順を用いて精製した。約5LのCMは、ダルベッコのリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)で事前に平衡化されていたGE MabSelect SuReカラムへ直接的に適用した。結合したタンパク質に以下の3つの洗浄工程を実施した:最初に、3カラム体積(CV)のPBS;次に、1CVの20mMのトリス、pH7.4の100mMの塩化ナトリウム;最後に、3CVの500mMのL-アルギニン、pH7.5。これらの洗浄工程により、非結合又は軽く結合した培地成分及び宿主細胞の不純物が除去される。次いでカラムを、5CVの20mMのトリス、pH7.4の100mMの塩化ナトリウムで再平衡化し、UV吸光度をベースラインに戻した。所望のタンパク質は、pH3.6の100mMの酢酸により溶出し、大量に収集した。タンパク質プールを1Mのトリス-HCl、pH9.2で5.0~5.5のpH範囲に直ちに滴定した。次にpH調整したタンパク質プールは、pH6.0の20mMの2-エタンスルホン酸(MES)で事前に平衡化してあったGE SP セファロースHPカラムに充填した。次いで結合したタンパク質を5CVの平衡化緩衝液で洗浄し、最後にpH6.0の20mMのMES中、0~400mMの塩化ナトリウムの20CV、0~50%のリニアグラジエントで溶出した。溶出中に画分を収集し、分析用サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex200)により解析して均一な産物のためプールするのに適切な画分を決定した。SP HPクロマトグラフィーによって、遊離Fc、切除された種及びFc-GDF15多量体等の産物関連不純物が除去される。次いで透析によりSP HPプールの緩衝液を10mMの酢酸ナトリウム、5%プロリン、pH5.2にした。それを、Sartorius Vivaspin(登録商標)20 10キロダルトン分子量カットオフ遠心装置を用いておよそ15mg/mlに濃縮した。最後に、最終ロットを濾過滅菌し、精製Fc-GDF15分子を含む得られた溶液を5℃で保存した。最終産物について、質量スペクトル解析、硫酸ドデシルナトリウムポリアクリルアミド電気泳動法及びサイズ排除高速液体クロマトグラフィーを用いて同一性及び純度を評価した。
【0127】
実施例2:GDF15、デュラグルチド及び/又はGIPR抗体の投与
投与の開始時に19~20週齢(13~14週間に渡り高脂肪食を摂取した)雄性C57Bl/6DIOマウスを次の治療群に配置した:A群-動物に週1回ビヒクルが投与されたビヒクル群;B群-動物に週2回0.1mg/kg(2nmol/kg)のデュラグルチドが投与されたデュラグルチド群;C群-動物に週1回5mg/kg(33nmol/kg)の抗体2.63.1(それぞれ配列番号105及び106の軽鎖及び重鎖配列を有する)及び週1回ビヒクル(後者はデュラグルチドの投与日と交互に)が投与されたGIPR抗体群;D群-動物に(そのヘテロ二量体化パートナーであるFcΔ10(+,K)(配列番号32)と一緒に)週1回0.125mg/kg(1nmol/kg)のFcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15(配列番号39)及び週1回ビヒクル(後者はデュラグルチドの投与日と交互に)が投与されたGDF15群;E群-動物に(そのヘテロ二量体化パートナーであるFcΔ10(+,K)と一緒に)週1回0.125mg/kg(1nmol/kg)のFcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15)及び週2回0.1mg/kg(2nmol/kg)のデュラグルチドが投与されたGDF15+デュラグルチド群;F群-動物に(そのヘテロ二量体化パートナーであるFcΔ10(+,K)と一緒に)週1回0.125mg/kg(1nmol/kg)のFcΔ10(-)-(G4S)4-GDF15及び週1回5mg/kg(33nmol/kg)の抗体2.63.1が投与されたGDF15+GIPR抗体群。動物には、皮下注射を通して5週間にわたって投与した。
【0128】
体重は、週2回測定した。
図1は、体重の変化を示している(
図1Aはグラム単位、
図1Bは、体重の変化率)。体重変化の有意性は、表7に示した。
【0129】
【0130】
図2は、治療開始2週間後(
図2A)及び5週間後(
図2B)の体重変化率(%)を示している。このデータは、GDF15とデュラグルチド又はGIPR抗体何れかとの併用療法が相乗作用的であることを示している。治療の2週間後、D群(GDF15)のマウスは体重の-9.33%の変化を有したが、B群(デュラグルチド)若しくはC群(GIPR抗体)のマウスは、体重におけるそれぞれ-4.40%及び-0.91%の変化を有した。しかしながら、E群(GDF15+デュラグルチド)のマウスは、-13.73%の相加効果より大きい、体重における-18.28%の変化を有した。この減少は、デュラグルチド治療単独と比較して3倍超であり、GDF15治療単独に見られるほぼ2倍の減少であった。F群(GDF15+GIPR抗体)のマウスは、-14.56%の相加効果より大きい、体重における-13.65%の変化を有した。この減少は、GIPR抗体治療単独と比較して13倍超であり、GDF15治療単独に見られるほぼ1.5倍の減少であった。
【0131】
治療の5週間後、D群(GDF15)のマウスは体重の-14.62%の変化を有したが、B群(デュラグルチド)若しくはC群(GIPR抗体)のマウスは、体重におけるそれぞれ-1.96%及び2.24%の変化を有した。しかしながら、E群(GDF15+デュラグルチド)のマウスは、-15.58%の相加効果より大きい、体重における-33.56%の変化を有した。この減少は、デュラグルチド治療単独と比較して15倍超であり、GDF15治療単独に見られる2倍超の減少であった。F群(GDF15+GIPR抗体)のマウスは、-12.38%の相加効果より大きい、体重における-22.62%の変化を有した。この減少は、GIPR抗体治療単独と比較して20倍超であり、GDF15治療単独に見られる1.5倍超の減少であった。
【0132】
経口糖耐能試験(OGTT)を初回治療の2週間後に実施し、
図3は、経口糖耐能試験中の治療開始2週間後の血糖値(
図3A)及び血糖AUC(
図3B)を示しており、治療群とビヒクル群肝のAUCの差は、
図3Bにおける各バーの上部に表示した。併用療法は、GDF15単剤療法よりも大きな効果を有していなかった(-39.0%のAUCを有するD群と比較して、E群及びF群は、それぞれ-40.0%のAUC及び-33.1%のAUCを有していた)。
【0133】
同様に、併用療法は、腹腔内糖耐能試験(IPGTT)においてGDF15単剤療法より大きな効果を有していなかった。IPGTTは、初回治療の5週間後に実施し、
図4は、経口糖耐能試験中の治療開始5週間後の血糖値(
図4A)及び血糖AUC(
図4B)を示しており、治療群とビヒクル群間のAUCの差は、
図4Bにおける各バーの上部に表示した。併用療法群であるE群及びF群は、-38.0%のAUCを有するGDF15単剤療法群であるD群と比較して、それぞれ-42.4%のAUC及び-40.4%のAUCを有していた。
【0134】
空腹時血糖値、血中インスリン値、血中トリグリセリド値及び血清総コレステロール値は、初回治療の2週間後及び5週間後に測定した(それぞれ、
図5A~5D)。併用療法(E群及びF群)は、空腹時血糖値若しくは血中トリグリセリド値を低減させることについてGDF15単剤療法(D群)に比較して大きな効果を有していなかったが(それぞれ
図5A及び5C)、2週間後、併用療法は、血清インスリン値を低減させることにより大きな効果を有し、5週間後に、GDF15+デュラグルチドの併用は血清インスリン値を低減させることにGDF15単剤療法に比較して大きな効果を有していた(
図5B)。GDF15+デュラグルチドの併用も又、総コレステロール値を低減させることにGDF15単剤療法よりも大きな効果を有していた(
図5D)。
【0135】
食物摂取量は、週1回連続する3日間に測定し、結果は
図6に示した。データの有意性は、表8に示した。
【0136】
【0137】
本発明を様々な実施形態の観点から記載してきたが、当業者であれば変形及び修正を想到するであろうことは理解されよう。従って、添付の特許請求の範囲は、特許請求される本発明の範囲内にあるそのような均等な変形の全てを包含することが意図されている。更に、本明細書で使用した項目の見出しは、構成を目的としているに過ぎず、記載される主題を限定するものと解釈すべきではない。
【0138】
本出願に引用した全ての参考文献は、あらゆる目的のために参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【配列表】