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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】浄水装置および浄水装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/12 20060101AFI20240809BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20240809BHJP
【FI】
B01D61/12
C02F1/44 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021565835
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2020066533
(87)【国際公開番号】W WO2020254268
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】1950742-5
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(73)【特許権者】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】センデリアス, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】オルディール, カール-ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン, アンジェリカ
(72)【発明者】
【氏名】ランドバーグ, ポンタス
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/115769(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/054691(WO,A1)
【文献】特開2017-221875(JP,A)
【文献】特開2013-188684(JP,A)
【文献】特開2008-307487(JP,A)
【文献】特開2004-041887(JP,A)
【文献】特開2011-020010(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0318767(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水装置(1)を制御する方法であって、前記浄水装置(1)は、
RO膜(26a)を含む逆浸透(RO)デバイス(26)と、
入口水を受け取り、前記ROデバイス(26)の入口に供給水を通す供給ポンプ(23)であって、それにより前記ROデバイス(26)が透過水および排水を生成している、前記供給ポンプ(23)と、を備え、前記方法は、
供給流量に対する透過流量の所定の回収率を達成するために、制御弁又は再循環ポンプを含む再循環機構(33)によって、前記排水の一部を前記供給水に再循環させること(S1)と、
RO膜(26a)温度を示す温度を測定すること(S2)と、
前記透過水の前記透過流量Qを示す流量を測定すること(S3)と、
供給水導電率を示す導電率を測定すること(S4)と、
前記透過流量を、RO膜温度、透過流量、透過導電率及び前記供給水導電率の間の所定の関係を表す関数に基づいて決定されるエネルギー効率のよい透過流量に等しくするように、前記RO膜温度を示す前記測定された温度および所望の透過導電率に基づいて、前記供給ポンプ(23)の前記流量を制御すること(S5)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記エネルギー効率のよい透過流量は、前記所望の透過導電率を達成するのに必要な前記透過流量として決定された前記所望の透過導電率を達成するのに必要な最少透過流量に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記供給ポンプ(23)の前記流量を制御すること(S5)は、
前記RO膜(26a)の前記温度が上昇すると前記透過水の前記流量を増加させるように前記供給ポンプ(23)の前記流量を制御することと、
前記RO膜(26a)の前記温度が低下すると前記透過水の前記流量を減少させるように前記供給ポンプ(23)の前記流量を制御することと、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
前記透過水の導電率を測定することと(S6)、
排水弁(32)を制御して排水管(46)に前記排水の一部を通し、前記透過水の前記導電率を、前記所望の透過導電率に等しくすることと(S7)
を含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記排水弁(32)を前記制御すること(S7)は、フィードバックコントローラを使用することを含み、前記フィードバックコントローラへの入力は、前記透過水の前記導電率であり、その制御変数は、前記排水弁(32)の開度である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
再循環ポイント(48)の下流で透過流量を測定すること(S8)と、
前記再循環ポイント(48)の下流で所定の透過流量を得るために、前記供給ポンプ(23)の上流のポイントで前記再循環ポイント(48)から前記入口水への透過水の再循環を制御すること(S9)と、
を含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記供給ポンプ(23)を制御すること(S5)は、フィードバックコントローラによって前記供給ポンプ(23)を制御することを含み、前記フィードバックコントローラへの入力は前記透過流量であり、その制御変数は、前記供給ポンプの流量である、請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記排水の一部を前記再循環させること(S1)は、
前記供給水の供給流量Qの推定値を提供することと、
Y=Q/Qとして回収率を計算することと、
を含む、請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
浄水装置(1)であって、
RO膜(26a)を含む逆浸透(RO)デバイス(26)と、
入口水を受け取り、前記ROデバイス(26)の入口に供給水を通すように構成された供給ポンプ(23)であって、それにより前記ROデバイス(26)が透過水及び排水を生成するように構成されている、前記供給ポンプ(23)と、
前記排水の一部を前記供給水に再循環させるように構成された、制御弁又は再循環ポンプを含む再循環機構(33)と、
前記RO膜(26a)の温度を示す温度を測定するように構成された温度センサデバイスと、
前記透過水の透過流量を示す流量を測定するように構成された第1の流量センサデバイス(27)と、
前記供給水の導電率を示す導電率を測定するように構成された導電性セル(21、24)と、
供給流量に対する透過流量の所定の回収率を達成するために、制御弁又は再循環ポンプを含む前記再循環機構(33)によって排水の一部の再循環を制御し、
前記透過流量を、RO膜温度、透過流量、透過導電率および供給水の導電率の間の所定の関係を表す関数に基づいて決定されるエネルギー効率のよい透過流量に等しくするように、前記RO膜(26a)の温度を示す前記測定された温度および所望の透過導電率に基づいて、前記供給ポンプ(23)の前記流量を制御する、
ように構成された制御装置(50)と、
を備える浄水装置(1)。
【請求項10】
前記エネルギー効率のよい透過流量は、前記所望の透過導電率を達成するのに必要な前記透過流量として決定された前記所望の透過導電率を達成するのに必要な最少透過流量に等しい、請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記制御装置(50)は、
前記RO膜(26a)の前記温度が上昇すると前記透過水の前記流量が増加し、
前記RO膜(26a)の前記温度が低下すると前記透過水の前記流量が減少する
ように前記供給ポンプ(23)を制御するように構成されている、
請求項9又は10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記透過水の導電率を測定するように構成された導電性セル(28)と、前記排水の一部を排水管(46)に通すように構成された排水弁(32)とを備え、前記制御装置(50)は、
前記排水弁(32)を制御して前記排水管(46)に前記排水の一部を通し、前記透過水の前記導電率を、前記所望の透過導電率に等しくす
ように構成されている、請求項9乃至11の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記制御装置(50)は、フィードバックコントローラを使用して前記排水弁(32)を制御するように構成されており、前記フィードバックコントローラへの入力は、前記透過水の前記測定された導電率であり、その制御変数は、前記排水弁(32)の開度である、請求項12に記載の装置(1)。
【請求項14】
透過水ライン(42)内の再循環ポイント(48)と入口水ライン(40)との間に配置された透過再循環ライン(47)と、
前記透過再循環ライン内の前記再循環された透過水の流量を制御するように構成された制御デバイス(34)と、
前記再循環ポイント(48)の下流で透過流量を測定するように構成された第2の流量センサデバイス(35)と、をさらに備え、前記制御装置(50)は、
前記再循環ポイント(48)の下流で所定の透過流量を得るために、前記制御デバイス(34)によって、前記透過再循環ライン(47)内の透過水の再循環を制御する、
ように構成されている、請求項9乃至13の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記制御装置は、フィードバックコントローラによって前記供給ポンプ(23)を制御するように構成されており、前記フィードバックコントローラへの入力は、前記透過流量であり、その制御変数は、前記供給ポンプの流量である、請求項9乃至14の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記再循環機構(33)は、再循環ポンプである、請求項9乃至15の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記制御装置(50)は、前記供給水の供給流量Qの推定値を提供し、Y=Q/Qとして回収率を計算するように構成されている、請求項9乃至16の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項18】
請求項9乃至17の何れか1項に記載の装置(1)に、請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浄水化の分野に関し、特に、逆浸透による浄水化に関する。詳細には、本開示は、浄水装置および浄水装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透(RO)は、浄水化のための技術であり、塩水脱塩プラントから医療装置までの範囲の用途に使用される。
【0003】
ROを使用するシステムでは、供給水は、典型的にはポンプによって加圧され、浸透圧に打ち勝つようにRO膜を通して強制される。RO膜は、水に膜を通過させて、精製された生成物の流れ(プロダクトストリーム)を作り出す半透膜である。生成水は、例えば、オンラインで調製された透析溶液中の成分として医療装置によって使用される。
【0004】
医療用途では、精製水の品質が特定の要件を連続的に満たすことが重要である。精製水の品質を決定する一般的な方法は、生成水の導電率を測定することである。導電率は、水が電気の流れを通す能力を示す尺度(指標)である。この能力は、水中のイオン濃度に直接関係する。これらの導電性イオンは、溶解した塩およびアルカリ、塩化物、硫化物および炭酸塩化合物のような無機材料に由来する。イオンの数が多ければ多いほど、導電率は高くなる。したがって、導電率測定は水質の尺度(尺度)となる。
【0005】
経年劣化や多用により、スケーリングやファウリングによる膜の目詰まり、膜の酸化による劣化が発生する。また、水の温度によって膜の透過率が変化することが知られている。例えば、国際公開第2017/2170081号明細書には、水温と膜の透過率との間に関連があることが開示されている。原水の温度や膜の状態に関わらず、透過水の流量が常に一定になるように透過水量を制御する。しかし、温度が高くなると、膜の透過率が上がり、より多くの不純物が膜を通過するようになる。そのため、精製工程を制御して安定した出力、つまり安定した透過率を得ることが課題となっている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、従来技術の欠点の少なくともいくつかを軽減することである。さらなる目的は、水温にかかわらず、ROデバイスからの透過水の一貫した品質を提供することである。別の目的は、ROデバイスからの透過水の一貫した品質を効率的に提供することである。
【0007】
これらの目的および他の目的は、独立請求項による方法および装置、ならびに従属請求項による実施形態によって、少なくとも部分的に達成される。
【0008】
第1の態様によれば、本開示は、浄水装置を制御する方法に関する。前記浄水装置は、RO膜を含む逆浸透(RO)デバイスと、入口水を受け取り、ROデバイスの入口に供給水を通す供給ポンプであって、それにより前記ROデバイスが透過水および排水を生成している、供給ポンプとを備える。前記方法は、供給流量に対する透過流量の所定の回収率を達成するために、再循環機構によって、前記排水の一部を前記供給水に再循環させることと、前記RO膜温度を示す温度を推定又は測定することと、前記透過水の透過流量を示す流量を推定又は測定することとを含む。前記方法は、前記透過流量を、RO膜温度、透過流量及び透過導電率の間の所定の関係に基づいて決定されるエネルギー効率のよい透過流量に等しいか、またはその所定のマージン内にするために、前記RO膜温度を示す前記推定されたまたは測定された温度および所望の透過導電率に基づいて、前記供給ポンプの流量を制御することをさらに含む。
【0009】
前記方法は、水温にかかわらず、一貫した生成水質を提供する。前記方法は、供給ポンプが使用する電力が膜の温度に適応され、必要以上の電力で駆動されないので、エネルギー消費を抑える。前記方法は、所望の、すなわち所定のまたは目標とする導電率を有する生成水を生成する作業ポイントに装置を維持する。したがって、前記方法は、効率的な方法で水を生成するように前記浄水装置を制御する。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記エネルギー効率のよい透過流量は、前記所望の透過導電率を達成するのに必要な最少透過流量に等しい。次に、前記供給ポンプの流量を制御することは、所望の透過導電率を達成するのに必要な最少透過流量であるエネルギー効率のよい透過流量を達成するように前記供給ポンプの流量を制御することを含む。したがって、前記方法は、エネルギー消費を最小限に抑えながら、所望の導電率を有する透過水を生成する作業ポイントに前記装置を維持する。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記供給ポンプの流量を制御することは、前記前記RO膜の温度が上昇すると前記透過水の流量を増加させるように前記供給ポンプの流量を制御することと、前記RO膜の温度が低下すると前記透過水の流量を減少させるように前記供給ポンプの流量を制御することとを含む。これにより、透過水の品質を温度によらず維持することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記排水の一部を排水管(ドレイン)に通すことを含む。前記排水は、前記膜によって止められた不純物を含み、前記排水のいくらかは、再循環水中の不純物の濃度を低減するために、排水管に通すことができる。これにより、スケーリングも低減される。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記透過水の導電率を測定することと、前記排水弁を制御して前記排水管に前記排水の一部を通し、前記透過水の前記導電率を、前記所望の透過導電率と等しくするか、またはその所定のマージン内にすることとを含む。不純物の濃度、したがって再循環水の導電率を低下させることによって、前記方法は、より少ない電力を使用して所望の作動ポイントに留まるように装置をサポートする。前記供給ポンプがより少ない電力を使用している場合、しばしば、水およびRO膜表面を加熱する可能性のある、より少ない発熱も生じる。熱が炭酸カルシウム沈殿を増加させ、RO膜表面上にスケールを構成するので、スケーリングを減少させるために、RO膜温度を下げることが望ましい。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記方法は、再循環ポイントの下流で透過流量を測定することと、前記再循環ポイントの下流で所定の透過流量を得るために、前記供給ポンプの上流のポイントで前記再循環ポイントから前記入口水への透過水の再循環を制御することとを含む。それによって、需要者の要求を満たすために所定の透過流量を達成されてもよく、場合によっては過剰量の生成された透過水を再使用することができる。したがって、前記透過流量を増加させて、より高い透過圧力を得、それによってより低い透過導電率を得ることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記供給水の導電率を測定することを含む。次に、前記供給ポンプの流量の前記制御は、前記透過流量を、前記エネルギー効率のよい透過流量と等しくするか、または前記エネルギー効率のよい透過流量の所定のマージン内にするように、前記供給水の前記測定された導電率にも基づいて、前記供給ポンプの流量を制御することを含み、前記エネルギー効率のよい透過流量は、RO膜温度、透過流量、透過導電率、および前記供給水導電率の間の所定の関係に基づいて決定される。これにより、前記制御は、前記供給ポンプへの流入水の変化する導電率に適合させることができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記供給ポンプを制御することは、フィードバックコントローラによって前記供給ポンプを制御することを含み、前記フィードバックコントローラへの入力は、前記透過流量であり、その制御変数は、前記供給ポンプ流量である。これにより、自己調整制御が達成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記排水弁を制御することは、フィードバックコントローラを使用することを含み、前記フィードバックコントローラへの入力は、前記透過水の導電率であり、その制御変数は前記排水弁の開口である。これにより、自己調整制御が達成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記再循環させることは、回収率をY=Q/Qとして計算することを含む。従って、前記回収率は絶えず又は連続的に決定することができ、前記回収率は絶えず又は連続的に制御することができる。
【0018】
第2の態様によれば、本開示は、浄水装置に関する。前記浄水装置は、RO膜を含む逆浸透(RO)デバイスと、入口水を受け取り、前記ROデバイスの入口に供給水を通すように構成された供給ポンプであって、それにより前記ROデバイスが透過水及び排水を生成するように構成されている、前記供給ポンプとを備える。前記装置は、前記排水の一部を前記供給水に再循環させるように構成された再循環機構と、前記RO膜の温度を示す温度を測定するように構成された温度センサデバイスと、前記透過水の前記透過流量を示す流量を測定するように構成された流量センサデバイスとをさらに備える。前記装置はまた、前記再循環機構によって排水の一部の再循環を制御して、供給流量に対する透過流量の所定の回収率を達成するように構成された制御装置を含む。前記制御装置は、前記透過流量を、RO膜温度、透過流量および透過導電率の間の所定の関係に基づいて決定される、エネルギー効率のよい透過流量に等しくするか、またはその所定のマージン内にするように、前記RO膜の温度を示す前記測定された温度および所望の透過導電率に基づいて、前記供給ポンプの流量を制御するように、さらに構成される。
【0019】
前記装置は、水温に関係なく、一貫した生成水の品質を提供する。前記装置は、供給ポンプが使用する電力が膜の温度に適合され、必要以上の電力で駆動されないので、エネルギー消費を抑えることができる。前記装置は、所望の導電率を有する生成水を生成する作動ポイントに維持される。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、前記装置は、透過水ライン内の再循環ポイントと入口水ラインとの間に配置された透過再循環ラインと、前記透過再循環ライン内の前記再循環された透過水の流量を制御するように構成された制御デバイスと、前記再循環ポイントの下流で透過流量を測定するように構成された第2の流量センサデバイスとを備える。前記制御装置は、前記制御デバイスによって、前記透過再循環ライン内の透過水の再循環を制御して、前記再循環ポイントの下流で所定の透過流量を得るように構成される。それによって、需要者の要求を満たすために所定の透過流量を達成することができ、場合によっては過剰量の生成された透過水を再使用することができる。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、前記再循環機構は、再循環ポンプである。これにより、所望の、すなわち所定の正味駆動圧力(NDP)を前記膜上に容易に維持することができ、供給ポンプのみを有する場合と比較してエネルギー消費を低減することができる。
【0022】
第3の態様によれば、本開示は、第1の態様による装置に、第2の態様による方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0023】
第4の態様によれば、本開示は、第3の態様のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、いくつかの実施形態による概念的な浄水システムを示す。
図2図2は、第1の実施形態に係る浄水装置を示す。
図3図3は、第2の実施形態に係る浄水装置を示す。
図4図4は、第2の態様による浄水装置を制御するための方法のフローチャートを示す。
図5図5は、約30μS/cmの透過物の導電率を、温度、供給物の導電率、および透過物のフローの関数として生成することが可能であったかを示す例示的な三次元グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、浄水装置および当該装置を制御するための方法を説明する。浄水装置は、逆浸透(RO)に依拠し、本開示の目的は、装置が所望の、所定の品質を有する透過水を一貫して生成するように装置を制御することである。
【0026】
RO膜の透過性は、供給水の温度の変化に伴って変化する(膜の温度も変化する)。温水は冷水より粘度が低く、また冷水よりも拡散速度も高い。膜の細孔は、より高い温度で膨張し、供給物から生成物側への膜を通るより高い流れを引き起こす。結果として、より高い温度は、膜上のより高い透過物流および増加した塩の膜の通過を引き起こす。水と塩の両方の通過が温度の影響を等しく受けるとしたら、温度を変化させても除去率は変わらない。しかし、温度が高いと水よりも塩分が膜を通過しやすくなり、それに比例して溶けた塩分を含む水の流量も大きくなる。塩分除去率を向上させるためには、より多くの透過水が膜を通過して塩分を希釈する必要があり、これは供給側の圧力を高めて流量を増加させることで達成される。
【0027】
これらの知見に基づき、本発明者らは、透過液導電率が、RO膜温度、供給物導電率および透過液流量の関数として変化することに気付いた。正味駆動圧力(膜の供給側から透過側までの圧力差から浸透圧を差し引いたもの)は、透過液流量に直接影響を与える。したがって、正味の駆動圧力は透過液流量に比例する。また、正味駆動圧力は、供給ポンプの回転数/分(RPM)に比例するため、供給ポンプによって透過液流量を直接制御することも可能である。したがって、膜の温度と供給物導電率ごとに、所望の透過液導電率を、オプションとして最小限のエネルギー消費量で、達成する供給ポンプ流量を決定することができる。
【0028】
上記の理解は、浄水装置の効率的な制御のための基礎を提供する。以下では、概念的な浄水システムおよび浄水装置のいくつかの実施形態を説明する。
【0029】
図1は、例示的な実施形態による浄水システムの複数のモジュールを概念的に示している。複数のモジュールは、第1のモジュール10と、第2のモジュール20と、第3のモジュール60を含む。第1のモジュール10は、例えば蛇口からの水を前処理する前精製ステップを含む。例えば、第1のモジュール10は、塩素を除去するための1つ又は複数の炭素床(カーボンベッド)を含んでいる。第1のモジュール10は、精製された入口水(inlet water)を生成し、それは第2のモジュール20に渡される。第2のモジュール20は、逆浸透膜を使用して水を浄化する。流入した精製入口水は、供給ポンプを使用して加圧され、RO膜を通して押し出されて透過水を生成する。透過水は第3のモジュール60に渡され、ここで透過水は脱イオン装置、例えば電気脱イオン(EDI)、容量脱イオン(CDI)、電気透析反転(EDR)、またはイオン交換樹脂床を使用してさらに処理される。脱イオン装置で精製された水は、生成水(製品水、プロダクトウォーター)と呼ばれる。生成水は消費ポイントに送られ、回収されるか、別の用途に使用される。
【0030】
図2は、本開示の第1の実施形態に係る浄水装置1を示す。浄水装置1(以下、「装置1」という)は、図1に示す浄水システムのモジュール20を含んでもよい。あるいは、装置1は、水道から直接水を受け取る。いくつかの実施形態では、装置1は、モジュール10及び/又はモジュール60も含む。
【0031】
装置1は、RO膜26aを含むROデバイス26と、供給ポンプ23とを備える。装置1は、入口ライン40の一端の接続点20aにおいて、事前処理された、またはソースから直接的に入口水を受け取る。入口ライン40は、供給ポンプ23の入口に接続された他端にある。供給ライン41は供給ポンプ23とROデバイス26との間に配置され、一端が供給ポンプ23の出口に、他端がROデバイス26の入口に接続される。供給ポンプ23は、接続点20aから入口ライン40を介して入口水を受け取り、供給ライン41を介して供給水をROデバイス26の入口にポンプで送るように構成される。供給ポンプ23は、例えば磁石駆動回転ベーンポンプである。ROデバイス26は、透過水を生成し、受け取った加圧供給水から水を排除するように構成される。透過(液)ライン42は、ROデバイス26と接続点20bとの間に接続される。透過(液)ライン42は、一端がROデバイス26の透過液出口に接続され、他端が接続点20bを規定(画定)する。透過水は、透過水ライン42を通過して接続点20bに至る。排除ライン43は、ROデバイス26を再循環ライン44及び廃棄ライン45に接続する。排除ライン43は、一端がROデバイス26の排除出口に接続され、他端が再循環ライン44および廃棄ライン45に接続される。再循環ライン44は、排除ライン43と供給ライン41との間に接続されている。従って、再循環ライン44は、一端が排除ライン43に接続され、他端が供給ライン41に接続されている。廃棄ライン45は、排除ライン43と排水管(ドレイン)46に接続された出口との間に接続される。このように、廃棄ライン45は、一端が排除ライン43に接続され、他端が出口に接続されている。出口は、ホースまたは同様のものを用いて排水管46に接続されてもよい。
【0032】
再循環機構33は、排水の一部を供給水に再循環させるように配置される。再循環機構33は、再循環ライン44に配置されている。再循環機構33は、例えば再循環ポンプである。一実施形態では、再循環ポンプは、磁石駆動回転ベーンポンプである。(供給ポンプに加えて)再循環ポンプを有することによって、膜26aを横切る正味の駆動圧力NDPおよび排除流量は、独立して制御され得る。供給ポンプ23は膜26aにわたって圧力を維持し、再循環ポンプ33は回収比(回収率)を維持するために、再循環ライン44内に必要な流量を生成する。そして、従来のシステムのように、回収率を維持するために供給ポンプ23を制御する必要はなく、代わりに、供給ポンプ23を、一定の透過液流量を生成することが知られている一定の回転数に制御することができる。すると、温度上昇時に予見される膜26a上の圧力損失が低減される。圧力降下が減少すると、膜26aがより均等に加圧され、膜を横切る透過流束(フラックス)がより均一になる。これにより、膜26aのスケーリングが不均一になることを防止することができる。また、このような2台ポンプシステムを使用する場合、ポンプを作動させるために必要なエネルギーは、供給ポンプ23(再循環ポンプなし)のみを有する場合に比べて低下させることができる。これは、再循環ポンプが再循環流量を制御するので、供給ポンプ23が高い正味駆動圧力をより容易に達成するからである。さらに、1つのポンプのみを使用する場合は、1つのポンプをより高い回転数で駆動する必要があるため、より多くの騒音を発生するので、1つのポンプではなく2つのポンプを使用することにより、騒音レベルを低減することができる。
【0033】
あるいは、再循環機構33は、制御弁、例えば流量制御弁または圧力制御弁である。流量制御弁は、例えば、絞りなどの流量制限弁であって、所定の流量のみを通過させるものである。圧力制御弁は、水の入力圧力を、その出力において所望の所定の圧力にまで低下させる。そして、供給ポンプを使用して供給流量を生成し、制御弁と共に膜26aにかかる圧力を生成する。
【0034】
1台のポンプシステム(供給ポンプはあるが再循環ポンプはない)では、供給ポンプ23が流量と圧力の両方を生成し、従ってこれらのパラメータは互いに結合しており、独立して変更することはできない。正味の駆動圧力は、膜26aおよび制御弁内の抵抗によって生成される。その結果、供給ポンプ23は膜26aを通して水を押し出すのに必要な圧力を作るために、大量の水を供給しなければならない。制御弁を再循環ポンプに置き換えることにより、供給ポンプ23は、大水流でなくても再循環ライン44を加圧することができる。その結果、供給ポンプ23は、はるかに低い回転数で作動することができる。再循環ポンプは、再循環流量を生成するが、再循環ライン44が供給ポンプ23によって加圧されるので、圧力を発生させる必要がない。
【0035】
排水弁32が、排水菅46に排水の一部を通すように構成されている。排水弁32は、廃液ライン45に配置される。いくつかの実施形態では、排水弁32は手動で構成可能である。排水弁32は、いくつかの実施形態では電動弁であり、したがって、それを自動的に制御し、構成することができる。
【0036】
装置1は、例えば装置1の機能を監視するために、複数のセンサデバイスを備える。ここで、装置1は、透過水の導電率C3を測定するように構成(配置)された導電性セル28を含む。導電性セル28は、透過(液)ライン42に配置されている。導電率測定は、典型的には温度に基づいて較正されるべきであり、いくつかの実施形態では、装置1が透過水の温度T3を測定するように構成された透過温度センサデバイスを備える。温度センサデバイス29は、透過ライン42に配置される。いくつかの実施形態では、温度センサデバイス29は、ROデバイス26の透過出口付近、例えばその近傍の透過水の温度を測定するように構成(配置)される。いくつかの実施形態では、装置1は、透過ライン42内の透過水の流量を測定するように構成(配置)された第1の流量センサデバイス27を備える。したがって、装置1は、透過水の透過流量を示す流量を測定するように構成(配置)された第1の流量センサデバイス27を備える。
【0037】
いくつかの実施態様において、装置1は、入口ライン40内の入口水の導電率C1を測定するように構成された入口導電性セル21と、任意選択で、入口ライン内の入口水の温度T1を測定するように構成(配置)された入口温度センサ装置22とを備える。いくつかの実施形態では、装置1は、供給ライン41内の供給水の導電率C2を測定するように構成(配置)された供給導電性セル24と、任意選択で、供給ライン41内の供給水の温度T2を測定するように構成(配置)された供給温度センサデバイス25とを備える。いくつかの実施形態では、装置1は、排除ライン30内の排水の導電率C4を測定するように構成(配置)された排除導電性セル30と、任意選択で、排除ライン43内の排水の温度T4を測定するように構成(配置)された排除温度センサデバイス31とを備える。装置1は、RO膜26aの温度を示す温度を測定するように構成(配置)された温度センサデバイスをさらに備える。この温度センサデバイスは、入口温度センサデバイス21、供給温度センサデバイス25、排除温度センサデバイス31、又は本明細書に記載される任意の他の温度センサデバイスのような、本明細書に記載される任意の温度センサデバイスであってもよい。
【0038】
装置1はまた、制御装置50を含む。制御装置50は、典型的にはプロセッサ及びメモリのような制御回路を有する。プロセッサは例えば、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)を含む。メモリは例えば、1つまたは複数のメモリユニット含む。いくつかの実施形態では、メモリは、浄水装置1を制御するための方法を装置1に実行させるための命令を含むコンピュータプログラムを格納する。したがって、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に記憶される。コンピュータ可読媒体はまた、フラッシュメモリ、クラウドベースのメモリ、または別のコンピュータ上のメモリなどの外部メモリに記憶することもできる。制御装置50はまた、センサデバイス、ポンプ、再循環機構、弁、ユーザインターフェースなどの装置1の構成要素と通信することができるように、有線または無線であってもよい通信インターフェースを備える。センサデバイスなどの構成要素は、所望の特性を検知または測定するように構成されたセンサを含むと理解されるべきである。
【0039】
制御装置50は例えば、導電性セル、温度センサデバイス、流量センサデバイス、ポンプ、再循環機構、弁等の記載された構成要素から、測定されたセンサデバイス値又はデータ等の情報を受信ように構成される。また、制御装置50は、供給ポンプ、再循環機構、廃棄弁等の記載された構成要素に制御信号又は制御データを送信するように構成される。
【0040】
図3は、第2の実施形態に係る浄水装置を示す。図2の浄水装置を参照して既に説明した構成要素に加えて、図3の浄水装置1は、透過水ライン42の再循環ポイント48と入口水ライン40との間に配置された透過再循環ライン47を含む。従って、透過再循環ライン47は、透過水ライン42と入口水ライン40とを接続する。再循環ポイント48は、第1の流量センサデバイス27の下流に位置し、第2の流量センサデバイス35および透過圧力センサデバイス36の上流に位置する。透過再循環ライン47は、供給ポンプ23の上流の入口水ライン40に接続し、存在する場合には入口導電性セル21及び入口温度センサデバイス22の下流に接続する。制御デバイス34は、透過水再循環ライン47内の再循環透過水の流量を制御するように構成されている。いくつかの実施形態では、制御デバイス34は、弁、例えば、電動弁である。第2の流量センサデバイス35は、再循環ポイント48の下流の透過流量を測定するように構成(配置)される。いくつかの実施形態では、装置1は、再循環ポイント48の下流の透過ライン42内の圧力を測定するように構成(配置)された透過圧力センサデバイス36を備える。
【0041】
前述したものに加えて、装置1の第2の実施形態における制御装置50は、導電性セル、温度センサデバイス、流量センサデバイス、圧力センサデバイス、弁等の追加構成要素から、測定されたセンサデバイス値を受信するように構成される。制御装置50はまた、透過再循環弁34などの追加的に記載された構成要素に制御信号または制御データを送信するように構成される。
【0042】
以下では、浄水装置、例えば、図2または図3に関連して説明した実施形態のいずれか1つによる浄水装置1を制御するための方法を説明する。この方法の目的は、効率的な方法で水を生成するように浄水装置を制御することである。本方法は、通常、コンピュータプログラムとして装置1の制御装置のメモリにロードされ、装置1の制御装置のプロセッサによって実行されると、装置1はコンピュータプログラムの命令を実行する。いくつかの実施形態では、本方法は、廃水およびエネルギー消費を最小限に抑えながら、RO膜26aの性能(パフォーマンス)を最大限にするために、RO膜26aにわたる流量および正味駆動圧力(NDP、供給側から膜の透過側への圧力差から浸透圧を差し引いたもの)の制御を可能にする。
【0043】
方法が開始される前に、装置1は、ポイント20aで水源に接続される。水源は、例えば、給水栓または前処理モジュール10である(図1)。浄水が開始される前に、装置が取り扱うように設計された上限導電率閾値を超えない導電率を水が有することを確認するために、水が試験されてもよい。水はオンにされ、ポイント20aで水が入口ライン40に流入している。水は、供給ポンプ23によってROデバイス26に向かって圧送され、そこで供給水は透過水と排水とに分割される。方法は、再循環機構33によって、排水の一部を供給水に再循環させること(S1)を含む。再循環は、供給流量に対する透過流量の所定の回収率を継続的に達成するために行われる。回収率は、供給水のうち、どの程度が透過水になるか、したがって、供給水のどれだけがRO膜26aを横切って透過流(ストリーム)に透過するかとして決定される。RO膜26aの最大回収率は一般に、ROデバイスの製造業者によって設定される設計パラメータである。回収率が設計値を超えると、排液が塩分で飽和し、膜表面にスケールが形成し始める。このような状況を回避するために、回収率は例えば、製造業者によって、最大回収比0.15~0.25に等しい最大回収率、例えば15~25%に設定される。周知のように、回収率は、回収比に100%を乗じたものから計算される。回収率は、通常、連続的に監視され、制御される。所定の回収率は、例えば、最大回収率に設定される。あるいは、所定の回収率は、区間内で変動することが許容され、最大回収率は、区間の上限を規定する。膜26aの回収率Yは、Y=Q/Qとして計算されてもよく、ここでQは透過(液)流量であり、Qは供給流量である。いくつかの実施形態では、再循環S1は、透過水の透過流量Qを測定することを含む。透過流量は、例えば第1の流量センサデバイス27で測定される。再循環S1はまた、供給水の供給流量Qの推定値を提供することを含んでもよい。供給流量QはQ=Q+Qdrainから推定されてもよい。ここで、Qdrainは排水管(ドレイン)に通される排水の流量であり、ドレイン水とも呼ばれる。Qdrainは、当業者に知られているように、排水弁が開いている時間および/または程度(度合い)から推定することができる。そして、再循環S1は、回収率YをY=Q/Qとして計算し、所定の回収率が得られるように再循環を制御することを含む。再循環させることS1は、例えば、フィードバックコントローラを使用することを含み、計算された回収率と所望の、例えば最大の回収率との間の誤差が最小化される。供給流量は、再循環ライン44の接続ポイントの下流の供給ライン41内の供給水の流量(レート、速度)である。それぞれのポンプからの流量は、同じポンプの流量から推定されてもよく、したがって、流量は、ポンプ変位が既知であるので、ポンプの流量(レート、速度)(例えば、RPM)に比例することが分かっている。したがって、ポンプからの流量は、ポンプからの流量と、同じポンプのRPM(回転数)との間のマッピングから決定されてもよい。したがって、供給ポンプ23からの流量は、供給ポンプ23の流量(レート、速度)から推定されてもよい。再循環流量は、再循環機構33、例えば再循環ポンプの流量(レート、速度)から推定することができる。供給流量、従ってROデバイスへの流量は、推定された再循環流量と供給ポンプからの推定流量との合計から推定されてもよい。あるいは、供給流量は、再循環ライン44の接続ポイントの下流の供給流量を測定するように構成(配置)された供給流量センサデバイス(図示せず)で測定される。
【0044】
入口水の温度は、年間を通じて変化してもよい。例えば、夏季には入口水の温度は上昇し、冬季には入口水の温度は低下することがある。入口水の温度は、膜26aの温度に影響を及ぼす。膜26aの温度は、装置1の環境の温度によっても影響され得る。気温が変化すると、装置1全体が温度変化する場合がある。これにより、膜26aの温度も影響を受ける可能性がある。上述したように、膜の性能は温度によって変化する。従って、装置1を制御する際には、膜26aの温度を考慮する必要がある。したがって、この方法は、RO膜26aの温度、したがってRO膜26aの温度を示す温度を推定または測定することS2をさらに含む。この推定または監視は、RO膜26aの温度を示す温度を監視することS2を含むことができる。入口水、供給水、排水および透過水のうちのいずれかの温度、それらの組合せの温度、またはそれらのいくつかの平均値が、膜26aの温度の推定値であってもよい。あるいは、上述の温度のいずれかまたはいくつかに対する膜の温度依存性のモデルを使用してもよい。別の代替例では、温度センサデバイス(図示せず)が、膜26aの温度、またはROデバイス26内の水の温度を直接測定するように構成(配置)される。
【0045】
膜の孔径は温度上昇に伴って大きくなり、その結果、透過(液)流量が増加し、膜26a上の圧力が減少する。孔径が大きくなると、より多くの汚染物質も膜26aを通過する。そして、膜26aの塩分除去が低下する。塩分除去比はR=1-C/Cとして決定され、ここで、Cは透過(液)導電率であり、Cは供給導電率(したがって、再循環ライン44の再循環ポイントの下流の供給ライン41内の供給水の導電率)である。塩分除去率を求めるには、100を乗じる。試験により、供給側圧力(従って、再循環ライン44内の圧力)を増加させることにより、塩分除去率が増加することが結論付けられている。これは、より多くの透過水が膜を通過し、塩分を希釈するためである。より多くの透過水が膜26aを通過すると、透過流量は増加する。試験によると、供給水の導電率の増加はシステムの性能を低下させるが、温度の増加ほどではなく、高い導電率の悪影響は、温度が高いほど顕著であった。供給側圧力の増加は、塩分除去に対して、低温よりも高温でより大きな正の効果をもたらす。温度上昇により正味駆動圧力(NDP)が低下し、供給圧力の低下により塩分除去率が低下することが試験で示されたため、供給側圧力または透過液流量のどちらかに固定した設定値(セットポイント)を使用してもうまくいかないと結論付けることができる。その代わりに、所与の温度に対して設定値を決定し、供給側圧力または透過(液)流量を設定値として使用することができる。作動ポイントとして供給側圧力の代わりに透過流量を使用することによって、膜の汚れ、スケーリング、および膜の個体差などの要因を制御しながら補償することができる。したがって、透過(液)流量は、供給ポンプ制御のための設定値となるように選択された。
【0046】
入口水の導電率がほぼ一定であると仮定すると、エネルギー効率のよい透過(液)流量は、膜の各各々およびすべての温度について決定することができる。エネルギー効率のよい透過(液)流量は、所望の透過液導電率が達成されるように決定される。この方法は、透過水の透過流量Qを示す流量を推定又は測定することS3をさらに含む。透過流量は、ROデバイス26のすぐ下流の透過水の流量を反映する。この推定又は測定することS3は、透過流量Qを監視することS3を含むことができる。以下に記載されるいくつかの実施形態では、本方法はまた、供給水の導電率を測定することS4を含む。本方法は、透過(液)流量を、RO膜温度、透過(液)流量及び透過(液)導電率の間の所定の関係に基づいて決定されるエネルギー効率のよい透過(液)流量に等しくするか、またはその所定のマージン内にするように、RO膜温度を示す推定または測定された温度および所望の透過(液)導電率に基づいて、供給ポンプ23の流量(レート、速度)を制御することS5をさらに含む。したがって、推定または測定された透過(液)流量は次に、所定のエネルギー効率のよい透過(液)流量と比較され、それらが等しくない場合、または所定のマージン内ではない場合、供給ポンプの流量を変更する。いくつかの実施形態では、制御することS5は、フィードバックコントローラによって供給ポンプ23を制御することを含み、フィードバックコントローラへの入力は推定透過(液)流量であり、制御変数は供給ポンプの流量(レート、速度)である。フィードバックコントローラは例えば、P-コントローラ、PI-コントローラまたはPID-コントローラであり、ここで、Pは比例を表し、Iは積分を表し、Dは微分を表す。コントローラは、制御ループアルゴリズムとして実施(実装)される。典型的には、供給ポンプ速度は、推定透過(液)流量と所望の所定エネルギー効率のよい透過(液)流量との間の誤差を最小化するように調整される。
【0047】
透過(液)流量は、例えば、透過流量を測定するための第1の流量センサデバイス27(図2及び図3)を用いて測定される。あるいは、透過(液)流量は、供給流量および排除流量を測定し、供給流量から排除流量を差し引くことによって推定される。
【0048】
いくつかの実施形態では、RO膜温度、透過(液)流量、および透過(液)導電率の間の所定の関係は、膜温度、透過(液)流量、および透過(液)導電率が対になっているか、または関連している所定のスキーム(方式)またはテーブル(表)に含まれる。したがって、方式またはテーブルは、特定の温度で特定の透過(液)導電率を与えるために、透過(液)流量が有するべき値を与える。したがって、推定された膜温度を、特定の所望の透過(液)導電率についてのテーブル中の膜温度値と一致させることによって、特定の所望の透過(液)導電率に対する各推定された膜温度について、エネルギー効率のよい透過(液)流量を決定することができる。そして、特定の所望の透過(液)導電率についての一致する膜温度値が、エネルギー効率のよい透過(液)流量を与える。
【0049】
いくつかの実施形態では、エネルギー効率のよい透過(液)流量は、所望の透過(液)導電率を達成するのに必要な最少透過(液)流量に等しい。そして、供給ポンプ23の流量(レート、速度)を制御することS5は、所望の透過(液)導電率を達成するのに必要な最少透過(液)流量であるエネルギー効率のよい透過液流量を達成するように供給ポンプ23の流量(レート、速度)を制御することを含む。供給ポンプ23の回転数が高いほど、より多くのエネルギーが消費される。換言すれば、各膜温度に対して、ROデバイス26のための最適な作動ポイントが存在し、そこでは、所望の導電率を有する透過水を生成し、供給ポンプ23による消費エネルギーができるだけ少なくなる。供給ポンプ23による消費電力(したがって、ワットで測定される)は、透過(液)流量と相関がある。従って、各膜温度に対する最適な作動ポイントは、所望の透過(液)導電率を生む最低透過(液)流量として決定される。これらの結果は、透過(液)流量が異なる温度でどのようなものであるべきかを決定する関数に変換され得る。
【0050】
図5は、膜温度t(℃)、供給導電率C(μS/cm)及び透過液流量Q(ml/min)の関数として、透過液の所望の導電率を生成することができる平面Pを示す例示的三次元グラフである。グラフのデータは、再循環機構として再循環ポンプを用いた実験により得られたものである。所望の透過液の導電率は、ここでは約30μS/cmとしているが、他の設定値も可能である。グラフの点kは、膜温度、供給導電率、透過(液)流量を変化させ、ほぼ所望の透過(液)導電率を達成できる点を示している。これらの点は、平面Pを得るための二次補間の基礎として使用され、実験的に得られたものである。したがって、平面Pは、特定のRO膜について、所望の透過(液)品質、ここでは30μS/cmの透過(液)導電率を作成するために、所与の膜温度および供給導電率でどの程度の透過(液)流量が必要かを推定した値である。いくつかの実施形態では、前述のスケジュールまたはテーブル(表)は、平面Pの離散点を含む。また、平面Pは関数f(t,C)=Qとして表現することもできる。エネルギー消費と水効率は、両方を同時に最小化することが不可能なような方法で統合される。例えば、供給圧力が増加すると、膜26aによる塩分の排除率がより高くなり、したがって、排水弁46を通って排除される代わりに、より多くの水を再循環させることができる。これは、水を節約することがより多くのエネルギーを要することを意味する。一方、エネルギー消費を最小限に抑えようとすると、塩分除去率が低下し、その後、より多くの水を排除しなければならない。その結果、水効率を上げるとエネルギー消費量が増え、逆もまた然りである。しかしながら、前述の平面上の曲線を選択することによって、所望の透過(液)導電率を達成するために必要以上の水を浪費することなく、エネルギー消費を最小化するアルゴリズムを見出すことが可能である。従って、図中のハッチングされた線で示されるように、関数f(t)=Qで表される曲線を選択することができる。この関数は、装置が高い導電率を有する入口流体で動作することを可能にし、温度が低下すると、装置は、透過流を減少させることによって、エネルギーを節約する。いくつかの実施形態では、曲線は、RO膜温度、透過(液)流量、および透過(液)導電率の間の所定の関係を表す。曲線は離散点によって表されてもよく、いくつかの実施形態では、離散点が、膜温度、透過(液)流量、および透過(液)導電率として、所定のスキームまたはテーブル(表)に含まれる。したがって、スキームまたはテーブルは、特定の温度で特定の透過(液)導電率を与えるために、透過(液)流量が有するべき値を与える。推定された温度を、スキームまたはテーブル中の膜温度値または範囲と一致させることによって、特定の所望の透過(液)導電率で、所望の透過(液)導電率を得るために、それと関連する必要な透過液流量を得ることができる。例えば、実際の透過液流量を測定し、それを必要な透過液流量と比較することによって、必要な透過液流量を達成するように供給ポンプを制御することができる。それらが等しくない場合(任意選択で、所望の透過液導電率の所定のマージン、例えば±5%以内、または所望の透過液導電率の区間、例えば、所望の透過液導電率の±5%以内にない場合)、それらが等しくなるまで(任意選択で、供給ポンプ流量が所定のマージンまたは区間以内になるまで)供給ポンプ流量が変更される。
【0051】
図5の図から、装置1が40℃で動作しているとき、30μS/cmの透過液導電率を生成する最大限許容導電率は、1292μS/cmに制限されることが知られている。例示的な一実施形態では、装置1が40℃において最大許容導電率で機能することを可能にする関数が選択されるが、膜温度が低下すると、装置1は透過流を減少させることによってエネルギーを節約することになる。例えば、膜温度が40℃であれば、この関数は、エネルギー効率の良い透過液流量を1440ml/minに設定する。温度を30℃に下げた場合、この関数は、エネルギー効率のよい透過液流量を767ml/minに設定し、それによってエネルギーを節約する。さらに20℃に下げた場合は、エネルギー効率の良い透過液流量を506ml/minに設定する。例示的な一実施形態では、この関数は、Qp=2.2254・t-85.209・t+1320.6であり、ここで、tは膜温度である。実験に使用したポンプ(供給ポンプと再循環ポンプ)は、Fluid-o-Tech製の磁石駆動回転ベーンポンプTSSS401であった。それらは最大静圧20barで作られ、速度限界は1725rpm、公称流量は400l/hである。排水弁は比例弁であり、より具体的には、電動式アングルシート制御弁であった。ポジショナを内蔵し、弁(バルブ)を通過する流量を制御する。RO膜は、DOW FILMTECH製の熱消毒(殺菌)可能なRO膜エレメントであり、より詳細には、製品仕様HSRO-4118および部品番号164869を有するポリアミド薄膜複合型膜であった。ただし、実験で使用したこれらの装置は、類似の装置と交換することができる。
【0052】
一般に、RO膜の温度が上昇すると、供給ポンプ23の流量は、透過流を増加させ、それによって透過水を希釈するために、増加すべきであり、その結果、より暖かくなったときにRO膜を通過するイオン等の量の増加によって透過液導電率が損なわれないようにするしたがって、いくつかの実施形態では、供給ポンプ23の流量を制御することS5は、RO膜26aの温度が上昇すると、透過水の流量を増加させるように供給ポンプ23の流量を制御することを含む。RO膜の温度が低下すると、冷たくなるほどRO膜を通過するイオンの量が少なくなるので、透過流を減少させるために供給ポンプ23の流量を減少させるべきであり、所定の透過導電率を得るために必要である以上に強く供給ポンプ23を動作させるべきではない。したがって、いくつかの実施形態では、供給ポンプ23の流量を制御することS5は、RO膜26aの温度が低下したときに透過水の流量を減少させるように供給ポンプ23の流量を制御することを含む。RO膜26aの温度の増減は、典型的には、RO膜26aの現在の推定温度または測定温度を、RO膜26aの以前の推定温度または測定温度と比較することによって判定される。差がある場合、従って、RO膜26aの温度の増減がある場合、供給ポンプ23の流量はそれに応じて制御される。
【0053】
排水管(ドレイン)への排出
RO膜で除去された塩分等は、拝水中に濃縮される。いくつかの実施形態では、当該方法は、濃縮された粒子の一部を除去するために、排水管46に排水の一部を通すことを含む。排水の残りは、先に説明したように、供給水へ再循環される。それによって、供給水の濃度、したがって導電率を、所定の閾値未満に維持することができ、任意選択で、かなり一定に保つことができる。
【0054】
前述したように、RO膜にとって最適と考えられる作動ポイントに装置を維持することが望ましい。この作動ポイントは、例えば、ある一定の供給導電率を想定して設定される。再循環水がRO膜から排除された塩分等を蓄積し、それによって供給水中の塩分の量も増加するので、供給水の導電率も増加する。その場合、RO膜を、選択された作動ポイントに保つことは不可能であり、それによって透過液導電率が増加する。しかしながら、排水の一部を、再循環させる代わりに排水管に通すことによって、再循環される水の濃度は減少する。その結果、供給水導電率が低下し、装置1をその作動ポイントに保つことができる。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、透過水の導電率を測定することS6を含む。これにより、透過(液)導電率を評価することができる。例えば、導電性セル28は、透過(液)導電率を測定するために使用される。方法は、排水弁32を制御して排水管46に排水の一部を送り(通し)、透過水の導電率を所望の透過水導電率に等しくするか、または所定のマージン内にすることS7をさらに含む。例えば、方法は、透過(液)導電率が所望の透過(液)導電率となるように、排水弁32を開いて排水管に排水を通すように制御することを含む。透過(液)導電率は、例えば透過液導電性セル28で測定される。いくつかの実施形態では、排水弁32を制御することは、フィードバックコントローラを使用することを含み、フィードバックコントローラへの入力は透過水の導電率であり、制御変数は、排水弁32の開口、例えば、排水弁の開度である。排水弁32は、典型的には全開または全閉の2つの状態を有する。いくつかの実施形態では、排水弁32は複数の開状態に構成可能であり、これらの状態では、体積流量は、最大容積流量が許容される全開状態まで、徐々に増加される。フィードバックコントローラは、例えば、P-コントローラ、PI-コントローラまたはPID-コントローラである。コントローラは、制御ループアルゴリズムとして実施(実装)される。典型的には、排水弁32の開度は、透過水の導電率と所望の透過導電率との間の誤差を最小にするように調整される。あるいは、所望の透過導電率が達成されるように、装置にマッチするように決定された、所定の一定間隔で、排水弁32が開くように設定される。
【0055】
正味駆動圧力は、再循環ライン44内の供給圧力、透過液側圧力、および膜26aを横切る異なる塩分濃度によって引き起こされる浸透圧にも依存する。エネルギーを節約するためには、再循環ライン44内に低い透過液側圧力及び低い導電率を有することが有益である。水を節約するために、排水弁32の制御は、再循環ライン44内に高導電率の水を蓄積し、これはNDPを増加させる。しかしながら、この欠点は、高い水効率を維持することが必要であることであり、NDPのわずかな減少は、水効率の増加に値し得る。再循環ポンプ流量を増加させることにより供給側圧力を増加させることが可能であるが、これはより多くのエネルギーを必要とする。水効率を低下させたり、エネルギー消費を増加させたりせずに装置1のNDPを改善する一つの方法は、透過hjtyg(液)側圧力を低下させることである。これは、圧力損失の低い透過(液)側(ROユニットの下流)の成分を選択し、短い透過(液)ライン42を使用することによって、行うことができる。
【0056】
装置を制御している間、透過液の流量は変化し、それによって、生成される透過液の量も変化する。場合によっては、ある流量で透過水を生成することが望ましい。そうするために、透過水のいくらかは、供給ポンプ23の上流のポイントに再循環される。これにより、過剰量の透過水を、例えば排水管に通す代わりに、再使用することができる。この目的のために、図3の第2の実施形態に示す透過(液)再循環ライン47を使用することができる。透過(液)流量を制御するために、透過(液)流量が測定又は推定される。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、再循環ポイント48の下流の透過(液)流量を測定することS8を含む。透過(液)流量は、例えば透過流体ライン42で測定される。方法は、再循環ポイント48の下流の所定の透過(液)流量を得るために、供給ポンプ23の上流のポイントで再循環ポイント48から入口水への透過水の再循環を制御することS9をさらに含む。この制御は例えば、透過(液)再循環弁34(図3)を用いて行われる。いくつかの実施形態では、後処理モジュール60(図1)が装置1の後に続き、後処理モジュール60が生成水を生成する。そして、方法は、生成水の流量を測定することと、後処理モジュール60の下流で所定の生成物流量を得るために透過水の再循環を制御することとを含むことができる。過剰に生成された透過水を再循環させることによって、入口水は、精製(浄化)された透過水で希釈されるにつれて、より純度が高くなる。それによって、供給ポンプは、水を所望の導電率に浄化するために、膜を通してあまり多くの水を押し出す必要がないので、より少ないエネルギーを使用することができる。代替的に、または組み合わせて、排水弁32は、より少ない量の排水を排水管に通すように構成(制御または設定)されてもよい。そうすると、より多くの排水が供給ライン41に再循環され、水が節約される。
【0057】
入口水の導電率は、年間を通じて変動する可能性がある。入口水の導電率が変化すると、典型的には、供給水の導電率も変化する。供給水の導電率にも依存する所定の関係を有することにより、異なる供給水の導電率又は異なる入口水の導電率に対する最適な作業ポイントを得ることができる。再循環水の導電率をモデル化することによって、入口水の導電率を用いて、当該モデルを用いることにより供給導電率を決定してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、供給水の導電率を測定することS4を含む。そして、供給ポンプ流量を制御することS5は、透過(液)流量を、RO膜温度、透過(液)流量、透過水導電率、および供給水導電率の間の所定の関係に基づいて決定されあるエネルギー効率のよい透過(液)流量に等しくするか、またはその所定のマージン内にするように、測定された供給水の導電率にも基づいて、供給ポンプ流量を制御することS5を含む。例えば、図5の図に戻ると、曲線関数f(t,C)=Qを選択することができ、Cは、供給導電率および/または入口導電率に一致(マッチ)するように選択される場合に選択される。入口導電率は、入口導電性セル21で測定されてもよい。例えば、Cが供給導電率または入口導電率と等しくなるような曲線が選択される。いくつかの実施形態では、供給導電率または入口導電率は、例えば毎月のような一定の間隔で測定され、それに応じて、最適作動ポイントが、同じ時間隔で更新される。他の実施形態では、供給導電率または入口導電率は、装置1が動作しているときに継続的または連続的に測定され、最適作動ポイントは、同じ間隔、すなわち、継続的または連続的に更新される。
【0058】
また、本開示は、前述したような制御装置50に関するものである。制御装置50は、再循環機構33によって排水の一部を再循環制御して、供給流量に対する透過(液)流量の所定の回収率を達成するように構成される。制御装置50は、RO膜26aの温度を示す測定温度および所望の透過液導電率に基づいて、供給ポンプ23の流量を制御して、透過(液)流量を、RO膜温度、透過(液)流量および透過液導電率の間の所定の関係に基づいて決定されるエネルギー効率のよい透過液流量に等しくするか、またはその所定のマージン内にするように、さらに構成される。
【0059】
いくつかの実施形態では、エネルギー効率のよい透過(液)流量は、所望の透過(液)導電率を達成するのに必要な最少透過(液)流量と等しい。このような場合、制御装置50は、エネルギー効率のよい透過液流量が、所望の透過(液)導電率を達成するのに必要な最少透過(液)流量であることを達成するように、供給ポンプ23の流量を制御するように構成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、制御装置50は、RO膜26aの温度が上昇すると透過水の流量を増加させ、RO膜26aの温度が低下すると透過水の流量を減少させるように供給ポンプ23を制御するように構成される。
【0061】
いくつかの実施形態では、制御装置50は、排水弁32を制御して排水管46に排水の一部を通し、透過水の導電率を、所望の透過(液)導電率に等しくするか、またはその所定のマージン内にするように構成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、制御装置50は、フィードバックコントローラを使用して排水弁32を制御するように構成され、フィードバックコントローラへの入力は、測定された透過水の導電率であり、制御変数は、排水弁32の開度である。
【0063】
図3に示す装置1の第2の実施形態では、装置1はまた、透過水ライン42内の再循環ポイント48と入口水ライン40との間に配置された透過(液)再循環ライン47を備える。装置1は、透過(液)再循環ライン内の再循環透過水の流量を制御するように構成された制御装置34と、再循環ポイント48の下流の透過(液)流量を測定するように構成された第2の流量センサデバイス35とをさらに備える。この実施形態では、制御装置50は、制御デバイス34によって透過(液)再循環ライン47内の透過水の再循環を制御して、再循環ポイント48の下流で所定の透過(液)流量を得るように構成されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、制御装置50は、測定された供給水の導電率にも基づいて供給ポンプ23の流量(レート、速度)を制御し、透過(液)流量を、RO膜温度、透過(液)流量、透過(液)導電率、および供給水導電率の間の所定の関係に基づいて決定されるエネルギー効率のよい透過(液)流量と等しくするか、またはその所定のマージン内にするように構成される。
【0065】
いくつかの実施形態では、制御装置50は、フィードバックコントローラによって供給ポンプ12を制御するように構成され、フィードバックコントローラへの入力は透過(液)流量であり、制御変数は供給ポンプ流量(レート、速度)である。
【0066】
いくつかの実施形態では、制御装置50は、供給水の供給流量Qの推定値を提供し、回収率をY=Q/Qとして計算するように構成される。透過水の透過(液)流量Qは例えば、第1の流量センサデバイス27から得られる。
【0067】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は開示された実施形態に限定されるべきではなく、反対に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の変形および同等の構成を包含することが意図されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5