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特許7536043シャフトの内部にある流体管に制御圧力及び/又は作動圧力を伝達する回転型伝達装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】シャフトの内部にある流体管に制御圧力及び/又は作動圧力を伝達する回転型伝達装置
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/00 20060101AFI20240809BHJP
   B60K 17/30 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B60C23/00 B
B60K17/30 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021566052
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 US2020032084
(87)【国際公開番号】W WO2020231805
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102019112320.8
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ シュルツェ ゼルティング
(72)【発明者】
【氏名】マルティン シュピンドラー
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-113207(JP,U)
【文献】特開平04-254209(JP,A)
【文献】実開昭62-163404(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0223030(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106985604(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0000758(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102007027147(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/00
B60K 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(50)、特にドライブシャフトの内部の領域の少なくとも一部に収納又は構成される流体管(51)に制御圧力及び/又は作動圧力を伝達する回転型伝達装置(1)であって、該回転型伝達装置(1)は、固定子アセンブリ(2)であって、前記シャフト(50)の回転運動に対して固定となるように配置されるとともに、少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)と、シャフト長手方向(L)において第1の位置と第2の位置との間で前記シャフト(50)に対して変位することができる制御要素(4)と、前記制御要素(4)と前記シャフト(50)の外周面との間に構成され、特に環状の空間として構成される流体空間(5)とを有する、固定子アセンブリ(2)を有し、前記少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)と前記流体空間(5)と前記流体管(51)との間の流れ接続は、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては遮断され、前記少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)と前記流体空間(5)と前記流体管(51)との間の流れ接続は、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては確立され、前記固定子アセンブリ(2)は、前記制御要素(4)に割り当てられ、少なくとも1つのシール(7、8)を特にシールリップの形態で有するシール機構を有し、前記固定子アセンブリ(2)の領域内の前記少なくとも1つのシール(7、8)及び/又は前記シャフト(50)の外周面の輪郭は、前記シャフト(50)に対して、前記少なくとも1つのシール(7、8)が、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては少なくとも実質的に接触せず、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては接触しており、少なくとも実質的に密閉作用を有するように構成される、回転型伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転型伝達装置(1)であって、特に環状の空間の形態である流体空間(5)が、前記制御要素(4)と前記シャフト(50)の前記外周面との間に構成され、流体管(6)が前記制御要素(4)内に構成され、該流体管(6)は、少なくとも前記制御要素(4)の前記第2の位置において、前記少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)を、特に環状の空間として構成される前記流体空間(5)に流れ的に接続する、回転型伝達装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転型伝達装置(1)であって、少なくとも1つの分岐管(55)が前記シャフト(50)内に構成され、該分岐管(55)は、前記シャフト(50)の内部に収納又は構成される前記流体管(51)を、特に環状の空間として構成される前記流体空間(5)に流れ的に接続する、回転型伝達装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記制御要素(4)は、前記シャフト長手方向軸に対して同軸に構成される制御リングとして構成され、該制御要素(4)は、前記固定子アセンブリ(2)のハウジング(12)の案内面と相互作用する案内面を有し、該制御要素(4)が、前記固定子アセンブリ(2)の前記ハウジング(12)に対して前記第1の位置と前記第2の位置との間で変位することができるとともに、前記シャフト(50)に対して前記シャフト長手方向軸の前記長手方向(L)に変位することができるように取り付けられる、回転型伝達装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記シャフト(50)の前記外周面は、前記流体空間(5)の領域において、前記シャフト長手方向軸(L)に対して円錐状に先細りした少なくとも1つの領域(56、57)を有し、前記制御要素(4)がその第1の位置の方向に変位した場合に、前記少なくとも1つのシール(7、8)も、前記円錐状に先細りした領域(56、57)の給送方向に変位する、回転型伝達装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記制御要素(4)は、(前記シャフト長手方向(L)で見た場合の)前端部領域と、対向する後端部領域とを有し、前記前端部領域は、第1のシール(7)、特にシールリップの形態の第1のシール(7)が割り当てられ、前記後端部領域は、第2のシール(8)、特にシールリップの形態の第2のシール(8)が割り当てられ、前記第1のシール(7)及び前記第2のシール(8)は、前記制御要素(4)が前記シャフト(50)に対して長手方向に変位した場合に前記第1のシール(7)及び前記第2のシール(8)も同様に移動するように、前記制御要素(4)に接続され、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては、前記シール(7、8)は、前記シャフト(50)の前記外周面に対して、特に環状の空間として構成される前記流体空間(5)を密閉し、一方、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては、前記シール(7、8)は、前記シャフト(50)の前記外周面に対して接触しない又は少なくとも実質的に接触しない、回転型伝達装置。
【請求項7】
請求項6に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記シャフト(50)の前記外周面は、前記流体空間(5)の領域において、前記シャフト長手方向軸(L)に対して円錐状に先細りするとともに前記第1のシール(7)に割り当てられる第1の領域(56)と、前記シャフト長手方向軸(L)に対して円錐状に先細りするとともに前記第2のシール(8)に割り当てられる第2の領域(57)とを有し、前記第1の円錐状に先細りした領域(56)及び前記第2の円錐状に先細りした領域(57)の給送方向は、いずれの場合にも、前記制御要素(4)がその第1の位置の方向に変位したときに移動する方向に対応する、回転型伝達装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記シャフト(50)の前記外周面は、前記固定子アセンブリ(2)の領域において、前記シャフト長手方向軸(L)に対して径方向に突出する少なくとも1つの領域と、前記シャフト長手方向軸(L)に対して径方向に凹んだ少なくとも1つの領域とを有し、前記少なくとも1つのシール(7、8)及び/又は前記シャフト外周面の前記少なくとも1つの径方向に突出した領域は、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては、前記少なくとも1つのシール(7、8)が、前記少なくとも1つの径方向に突出した領域と接触するように構成され、前記少なくとも1つのシール(7、8)及び/又は前記少なくとも1つの径方向に凹んだ領域は、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては、前記少なくとも1つのシール(7、8)が、前記径方向に凹んだ領域に存在するように構成される、回転型伝達装置。
【請求項9】
請求項6に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記シャフト(50)の前記外周面は、前記流体空間(5)の領域において、又は前記制御要素(4)と前記シャフト(50)の前記外周面との間に構成される流体空間(5)の領域において、前記第1のシール(7)に割り当てられる第1のセクションと、前記第2のシール(8)に割り当てられる第2のセクションとを有し、前記第1のセクション及び前記第2のセクションは、いずれの場合にも、前記シャフト長手方向軸(L)に対して径方向に突出する領域と、前記シャフト長手方向軸(L)に対して径方向に凹んだ領域とを有し、前記第1のシール(7)及び前記第2のシール(8)は、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては、前記シャフト(50)のそれぞれの前記外周面セクションの前記径方向に凹んだ領域に配置され、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては、前記シャフト(50)のそれぞれの前記外周面セクションの前記径方向に突出した領域に配置される、回転型伝達装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)は、制御空間(9)であって、領域の内部の少なくとも一部が前記制御要素(4)によって画定されるとともに、該制御空間(9)に圧力負荷が生じた場合、前記制御要素(4)がその第2の位置に移動することができるように構成される、制御空間(9)に流れ的に接続され、更なる制御空間(10)に流れ的に接続される制御ライン(11)がけられ、前記更なる制御空間(10)は、領域の少なくとも一部が前記制御要素(4)によって画定されるとともに、前記更なる制御空間(10)に圧力負荷が生じた場合、前記制御要素(4)がその第1の位置に移動することができるように構成される、回転型伝達装置。
【請求項11】
請求項10に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)に流れ的に接続される前記制御空間(9)は、前記制御要素(4)内に構成される流体管(6)を介して、前記流体空間(5)に、又は前記制御要素(4)と前記シャフト(50)の前記外周面との間に構成される流体空間(5)に流れ的に接続される、回転型伝達装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の回転型伝達装置(1)と、該回転型伝達装置(1)が取り付けられるとともに、特に車両のドライブシャフトとして構成されるシャフト(50)とを有するシステム。
【請求項13】
車体に対して回転駆動される少なくとも1つのホイールの、該ホイールを駆動する少なくとも1つのドライブシャフト(50)を有する空気圧式装輪車両のタイヤ圧調整システムであって、流体管(51)が、前記ドライブシャフトの内部に収納又は構成され、請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの回転型伝達装置(1)が、前記流体管(51)に/該流体管(51)から必要に応じて加圧流体を給送及び/又は放出するように設けられる、タイヤ圧調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、特に、車両用タイヤが回転式に取り付けられたドライブシャフト内で制御圧力及び/又は作動圧力又は加圧媒体を伝達するシステムに関する。本発明の実施形態によれば、本発明は特に、シャフト、特にドライブシャフトの内部の領域の少なくとも一部に収納又は構成される流体管に制御圧力及び/又は作動圧力又は加圧媒体を伝達する回転型伝達装置に関する。
【0002】
別の態様によれば、本発明は、そのような回転型伝達装置と、回転型伝達装置が取り付けられるとともに、特に車両のドライブシャフトとして具現化されるシャフトとを備えるシステムに関する。
【0003】
また、本発明は、車体に対して回転駆動される少なくとも1つのホイールの、ホイールを駆動する少なくとも1つのドライブシャフトを有する空気圧式装輪車両のタイヤ圧調整システムであって、流体管が、ドライブシャフトの内部に収納又は構成され、少なくとも1つの回転型伝達装置が、流体管に/流体管から必要に応じて加圧流体を給送及び/又は放出するように設けられる、タイヤ圧調整システムに関する。
【背景技術】
【0004】
車両用タイヤには通常、圧縮空気が充填される。車両用タイヤには窒素等の他の加圧媒体が充填されることも考えられる。本開示に関して、車両用タイヤは、例えば、チューブタイヤ又はチューブレスタイヤとすることができる。車両用タイヤは、例えば、旅客車両、バス、及び商用車において使用されるが、例えば航空機においても使用される。
【0005】
従来の車両用タイヤは、通常、外部の接続部を介して加圧媒体、例えば圧縮空気又は窒素充填物が供給される。通常、このために規格化された弁が使用される。車両用タイヤは、通常、最適な動作圧又は膨張圧を有し、これらは、それぞれの使用条件又は動作条件に依存する。旅客車両、バス、又はトラック等の陸上車両の場合、最適な転がり抵抗、側方案内、長手方向案内、発熱、及び/又は摩耗挙動を保証することができる動作圧又は圧力範囲が存在する。
【0006】
タイヤ内に存在する実際の圧力は、例えば、周囲温度又は動作温度と共に或る特定の範囲内で変動することがある。さらに、長期にわたると、多くの場合に、或る特定の量の圧力損失、例えば、いわゆる圧力漸減を完全に避けることが不可能になる。タイヤ内の動作圧又は膨張圧を監視することを可能にする既知の車両システムが存在する。これらは、いわゆる能動システム又は受動システムであり得る。受動システムは、例えば、車軸のタイヤの転がり円周を求め、これらを互いに比較するように具現化することができる。これにより有意な差が示された場合、これは、それぞれのタイヤ間に圧力差が存在するという指標となる。圧縮空気を測定及び/又は監視する能動システムは、通常、圧力を検出するセンサーを備え、センサーは、ホイールユニットに統合される。この種の圧力センサーは、例えば、対応する圧力信号を、(回転している)タイヤから車両の固定コンポーネントに無線又は有線で送信するように具現化することができる。
【0007】
さらに、車両用タイヤの膨張圧を独立して調整することを可能にする一般に既知のシステムが存在する。この種のシステムは、例えば、農業車両、軍事車両、又はそのような特殊車両において見受けられることがある。システムは、基本的に、車両が静止しているとき、すなわち、車両が移動していないときに膨張圧の調整を可能にするように具現化することができる。車両内の独立した圧力調節のための既知のシステムは、集中構造を有する。換言すれば、タイヤを膨張させるために加圧媒体を供給するデバイスが1つしか存在しない。加圧媒体を供給するデバイスを少数、例えばトラクター/トレーラーの組み合わせに設けることも考えられる。とはいえ、圧縮空気のこの種の中央供給デバイスが、複数のホイールユニットを膨張させるために、特に異なる車軸又はシャフト上に設けられる。このために、中央圧縮空気又は加圧媒体供給ユニットを複数のホイールユニットに結合しなければならない。通常、供給ユニットは、それゆえ、車両のフレーム、シャーシ、又は本体に取り付けられる。供給ユニットとしては、例えば、コンプレッサー又は空気コンプレッサーを挙げることができる。供給ユニットの先には、この場合、複数の又は多数の圧縮空気ライン又は加圧媒体ラインを個々のホイールユニットに配線する必要がある。この事例において、通常、加圧媒体ラインのために、いわゆる回転フィードスルーを複数設ける必要がある。これは、ホイールユニットのタイヤが通常、車両の車軸に回転式に取り付けられることから必要となる。
【0008】
制御圧力及び/又は作動圧力及び対応する加圧媒体を、固定の車軸から車軸に対して回転するホイールユニットへ伝達するために使用される、回転型伝達装置とは対照的に、車両の回転しているシャフト、特にドライブシャフトへ制御圧力及び/又は作動圧力を伝達するとともに加圧媒体を伝達する回転型伝達装置は、原則として、このような回転型伝達装置を収容及び統合するために特に少ない空間しか利用可能でないため、特殊な課題が生まれる。これは、操舵運動の対応する移動を補償することができるようにスイベルヘッドを設けたドライブシャフトの場合に特に当てはまる。
【0009】
通常、制御圧力及び/又は作動圧力を伝達するとともに加圧媒体を伝達する回転フィードスルーは、固定子リング及び回転子リングを有し、これらは、例えばシャフトの車軸本体の外部に環状に設置される。現在に至るまで、車軸本体の内部の回転フィードスルーは、高い生産コスト及びかなりのリスクを伴うものである。これは、例えば、全輪駆動及び外部遊星歯車を備える陸上車両の場合に当てはまる。車軸本体の内部の回転フィードスルーが故障すると、空気が車軸ハウジング内に貫通し、ディファレンシャルオイルが伝達通気部から漏れる可能性がある。
【0010】
回転フィードスルーの耐用寿命を延ばし、タイヤ圧調整システムの動作上の信頼性を増大するために、タイヤ圧調整システムは、調整プロセス中に圧縮空気によってのみ回転フィードスルーに負荷を与える特殊な切換弁をホイール内に備えることが増えてきた。しかし、直径が大きくなり、従来のシールを用いる場合、回転フィードスルーの耐用寿命はそれでも非常に慎重に評価しなければならない。なぜなら、直径が増すにつれて、摺動速度だけでなく特に摩擦トルクも急増するからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この状況に鑑みて、本発明の目的は、冒頭において言及したタイプの回転型伝達装置、すなわち、シャフト、特にドライブシャフトの内部の領域の少なくとも一部に収納又は構成される流体管に制御圧力及び/又は作動圧力を伝達する又は加圧媒体を伝達する回転型伝達装置を、高耐久性を特徴とし、非使用時の車両に対する影響を可能な限り少なくするように改善することである。回転型伝達装置は、摩耗の受けにくさ及び卓越した寿命も特徴とするべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、独立請求項1及び3の主題に係る回転型伝達装置によって本発明に従って達成される。本発明の有利な改善形態は、対応する従属請求項において開示される。
【0013】
したがって、第1の態様によれば、本発明は特に、シャフト、特にドライブシャフトの内部の領域の少なくとも一部に収納又は構成される流体管に制御圧力及び/又は作動圧力又は加圧媒体を伝達する回転型伝達装置に関し、回転型伝達装置は、固定子アセンブリであって、シャフトの回転運動に対して固定となるように配置されるとともに、少なくとも1つの流体給送/放出ラインと、シャフト長手方向において第1の位置と第2の位置との間でシャフトに対して変位することができる制御要素とを有する、固定子アセンブリを有する。この事例において、本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つの流体給送/放出ラインと流体管との間の流れ接続は、制御要素の第1の位置においては遮断され、少なくとも1つの流体給送/放出ラインと流体管との間の流れ接続は、制御要素の第2の位置においては確立される。
【0014】
本発明の第1の態様に係る回転型伝達装置の改善形態によれば、固定子アセンブリは、制御要素に割り当てられ、少なくとも1つのシールを特にシールリップの形態で有するシール機構を有することができ、固定子アセンブリの領域内の少なくとも1つのシール及び/又はシャフトの外周面のトポロジー、すなわち、表面構成又は形態は、シャフトに対して、少なくとも1つのシールが、制御要素の第1の位置においては少なくとも実質的に接触せず、制御要素の第2の位置においてはシャフトと接触しており、シャフトに対して少なくとも実質的に密閉作用を有するように構成される。
【0015】
別の(第2の)態様によれば、本発明の土台となる目的は、独立請求項3の主題によって達成される。独立請求項3の主題は、シャフト、特にドライブシャフトの内部の領域の少なくとも一部に収納又は構成される流体管に制御圧力及び/又は作動圧力又は対応する加圧媒体を伝達する回転型伝達装置に関し、回転型伝達装置は、固定子アセンブリであって、シャフトの回転運動に対して固定となるように配置されるとともに、少なくとも1つの流体給送/放出ラインと、シャフト長手方向において第1の位置と第2の位置との間でシャフトに対して変位することができる制御要素とを有する、固定子アセンブリを有し、特に環状の空間として構成される流体空間が、制御要素とシャフトの外周面との間に構成される。本発明の第2の態様に係る回転型伝達装置において、固定子アセンブリは、制御要素に割り当てられ、少なくとも1つのシールを特にシールリップの形態で有するシール機構を有し、固定子アセンブリの領域内の少なくとも1つのシール及び/又はシャフトの外周面のトポロジー(表面構成又は形態)は、シャフトに対して、少なくとも1つのシールが、制御要素の第1の位置においては少なくとも実質的に接触せず、制御要素の第2の位置においてはシャフトに対して接触しており、少なくとも実質的に密閉作用を有するように構成される。
【0016】
第1の態様及び第2の態様に係る本発明に係る回転型伝達装置は、第1に、少ない空間しか占めないことを特徴とし、第2に、耐用寿命が延びることを特徴とする。特に、回転型伝達装置は、回転型伝達装置の非使用時、制御要素、又は制御要素に割り当てられるシール機構の少なくとも1つのシールが、固定子アセンブリに対して回転する又は回転可能なドライブシャフトと接触しないため、いかなる摩耗も受けないことを特徴とする。
【0017】
本発明(第1の態様及び更なる態様)に係る回転型伝達装置において、流体空間が、制御要素とシャフトの外周面との間に構成されることが好ましく、この流体空間は、シャフトに対して同軸に特に具現化又は構成される環状の空間として具現化されることが有利である。
【0018】
コンパクトな設計を特に特徴とする本発明に係る回転型伝達装置の一実施の形態によれば、流体管が制御要素内に構成され、この流体管は、少なくとも制御要素の第2の位置において、少なくとも1つの流体給送/放出ラインを、特に環状の空間として構成される流体空間に流れ的に、好ましくは連続的に接続する。
【0019】
これに関連して、少なくとも1つの分岐管をシャフト内に構成することも可能であり、この分岐管は、シャフトの内部に収納又は構成される流体管を、特に環状の空間として構成される流体空間に流れ的に接続する。
【0020】
これに関連して、固定子アセンブリ全体が少なくとも本質的に回転対称として具現化されると有利であり、固定子アセンブリの制御要素を制御リングとして構成することが主に可能であり、制御リングは、シャフト長手方向軸に対して同軸に構成され、シャフト内部のシャフトの部分領域をスリーブ状に囲む。シャフト長手方向軸に対して同軸に構成される制御リングとして特に構成される制御要素は、固定子アセンブリのハウジングの案内面と相互作用する案内面を有することができ、制御要素が、固定子アセンブリのハウジングに対して第1の位置と第2の位置との間で変位することができるとともに、シャフトに対してシャフト長手方向軸の長手方向に変位することができるように取り付けられる。
【0021】
本発明に係る回転型伝達装置の好ましい実施の形態によれば、固定子アセンブリの領域において、又は固定子アセンブリと固定子アセンブリの制御要素とによって形成される流体空間の領域において、シャフトの外周面は、シャフト長手方向軸に対して円錐状に先細りした領域を有し、制御要素がその第1の位置の方向に変位した場合に、制御要素に割り当てられる少なくとも1つのシールも、円錐状に先細りした領域の給送方向に変位する。
【0022】
本発明に係る回転型伝達装置の実施の形態によれば、制御要素は特に、シャフト長手方向で見た場合の前端部領域と、対向する後端部領域とを有し、前端部領域は、第1のシール、特にシールリップの形態の第1のシールが割り当てられ、後端部領域は、第2のシール、特にシールリップの形態の第2のシールが割り当てられ、第1のシール及び第2のシールは、制御要素がシャフトに対して長手方向に変位した場合に第1のシール及び第2のシールも移動するように、制御要素に接続され、制御要素の第2の位置においては、シールは、シャフトの外周面に対して、特に環状の空間として構成される流体空間を密閉し、一方、制御要素の第1の位置においては、シールは、シャフトの外周面に対して接触しない。
【0023】
本発明に係る回転型伝達装置の上述の実施の形態の改善形態によれば、流体空間の領域において又は固定子アセンブリの領域において、シャフトの外周面は、シャフト長手方向軸に対して円錐状に先細りするとともに第1のシールに割り当てられる第1の領域と、シャフト長手方向軸に対して円錐状に先細りするとともに第2のシールに割り当てられる第2の領域とを有することができ、第1の円錐状に先細りした領域及び第2の円錐状に先細りした領域の給送方向は、いずれの場合にも、制御要素がその第1の位置の方向に変位したときに移動する方向に対応する。
【0024】
しかし、本発明は、流体空間の領域において又は固定子アセンブリの領域において、シャフトの外周面が、シャフト長手方向軸に対して円錐状に先細りする、少なくとも第1の領域を有する実施の形態に限定されるものではない。その代わり、そのようなシャフトの円錐状に先細りした領域の代替として又はこれに加えて、固定子アセンブリの領域において、シャフトの外周面は、シャフト長手方向軸に対して径方向に突出する少なくとも1つの領域と、シャフト長手方向軸に対して径方向に凹んだ少なくとも1つの領域とを有し、少なくとも1つのシール及び/又はシャフト外周面の少なくとも1つの径方向に突出した領域は、制御要素の第2の位置においては、少なくとも1つのシールが、少なくとも1つの径方向に突出した領域と接触するように構成され、少なくとも1つのシール及び/又は少なくとも1つの径方向に凹んだ領域は、制御要素の第1の位置においては、少なくとも1つのシールが、径方向に凹んだ領域に存在し、好ましくは、少なくとも1つのシールとシャフトの外周面との間に空隙が存在するように構成されることも考えられる。
【0025】
例えば、流体空間の領域において、シャフトの外周面は、第1のシールに割り当てられる第1のセクションと、第2のシールに割り当てられる第2のセクションとを有することができ、第1のセクション及び第2のセクションは、いずれの場合にも、シャフト長手方向軸に対して径方向に突出する領域と、シャフト長手方向軸に対して径方向に凹んだ領域とを有し、第1のシール及び第2のシールは、制御要素の第1の位置においては、シャフトのそれぞれの外周面セクションの径方向に凹んだ領域に配置され、制御要素の第2の位置においては、シャフトのそれぞれの外周面セクションの径方向に突出した領域に配置される。
【0026】
本発明に係る回転型伝達装置の実施の形態によれば、固定子アセンブリの少なくとも1つの流体給送/放出ラインは、制御空間であって、領域の少なくとも一部が制御要素によって画定されるとともに、制御空間に(十分な)圧力負荷が生じた場合、制御要素がその第2の位置に移動することができるように構成される、制御空間に流れ的に接続される。
【0027】
これに関連して、少なくとも1つの流体給送/放出ラインに流れ的に接続される制御空間は、制御要素とシャフトの外周面との間に構成される流体空間(環状の空間)に流れ的に接続されることが考えられる。したがって、この実施の形態において、シャフト内に構成又は収納される流体管に搬送される加圧媒体は、制御要素を操作する制御媒体としても同時に使用することができる。
【0028】
上述の実施の形態の可能な改善形態によれば、制御ラインが設けられ、この制御ラインは、別の(第2の)制御空間に流れ的に接続され、少なくとも1つの流体給送/放出ラインとは異なる。当該別の(第2の)制御空間は、領域の少なくとも一部が固定子アセンブリの制御要素によって画定されるとともに、当該別の(第2の)制御空間に圧力負荷が生じた場合、制御要素がその第1の位置に移動する(戻る)ことができるように構成される。ただし、この種の別の(第2の)制御空間の代替として又はこれに加えて、プレストレス要素、特にばねによって制御要素にプレストレスを与えて第1の位置に移すことも考えられる。
【0029】
また、本発明は、本発明に係る上述したタイプの回転型伝達装置を備えるシステムに関し、このシステムは、回転型伝達装置が取り付けられるとともに、車両のドライブシャフトとして特に具現化されるシャフトも有する。
【0030】
また、本発明は、車体に対して回転駆動される少なくとも1つのホイールの、ホイールを駆動する少なくとも1つのドライブシャフトを有する空気圧式装輪車両のタイヤ圧調整システムであって、流体管が、ドライブシャフトの内部に収納又は構成され、本発明に係る上述したタイプの少なくとも1つの回転型伝達装置が、ドライブシャフトの内部に収納又は構成される流体管に/流体管から必要に応じて加圧流体を給送及び/又は放出するように設けられる、タイヤ圧調整システムに関する。
【0031】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る回転型伝達装置の一例示の実施形態を備えるシステムの一例示の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】操舵及び駆動される車両用ホイールのホイールドライブのドライブシャフト(全体)の一例示の実施形態の概略上面図である。
図2a】ドライブシャフトの例示の実施形態の図1の線A-Aに沿った概略断面図であり、ドライブシャフトに割り当てられる回転型伝達装置は、加圧媒体がドライブシャフトに伝達されない第1の動作状態にある。
図2b図2aの線B-Bに沿った概略断面図である。
図3図2bの概略詳細図である。
図4a】ドライブシャフトの一例示の実施形態を通る概略断面図であり、回転型伝達装置は、加圧媒体がドライブシャフトに伝達されない第1の動作状態にある。
図4b図4aに係る回転型伝達装置の領域の概略詳細図である。
図4c図4bの概略詳細図である。
図5a図4aに係るドライブシャフトの概略断面図であり、回転型伝達装置は、加圧媒体をドライブシャフトに伝達することができる第2の動作状態にある。
図5b図5aに係る回転型伝達装置の概略詳細図である。
図5c図5bの概略詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図1並びに図2a及び図2bの描写を参照して、本発明に係る回転型伝達装置1の一実施形態が設けられたドライブシャフト50の一例示の実施形態をまず説明する。この事例において、図2a及び図2bは、それぞれ、ドライブシャフト50内に収納又は構成される流体管51に回転型伝達装置1を介して加圧媒体が伝達されない第1の動作状態にある回転型伝達装置1を示している。そして、ドライブシャフト50の内部に収納又は構成される流体管51に回転型伝達装置1を介して加圧媒体を伝達することができる回転型伝達装置1の第2の動作状態については、図5a、図5b、及び図5cの描写を参照して説明する。
【0034】
図1並びに図2a及び図2bに示すように、ドライブシャフト50は、例えば、操舵及び駆動される車両用ホイール54のホイールドライブのドライブシャフト50である。ドライブシャフト50は、ホイールの方を向いた第1のシャフト53と、自在継手52と、車軸の方を向いた第2のシャフトとを有する。スクラブ半径が可能な限り小さくなるように、ホイールの操舵軸は、このようなドライブシャフト50においてホイール平面に可能な限り近くに位置しなければならないため、回転型伝達装置1に関して或る特定の空間問題が存在する。それゆえ、特に操舵及び駆動される車両用ホイール54のそのようなドライブシャフトにおいては、特に可能な限り摩耗がなくなるように構成される、特にコンパクトに設計された回転型伝達装置1を提供することが必要とされている。
【0035】
図2a及び図2bにおいてドライブシャフト50と共に示す回転型伝達装置1は、特に、自動車のタイヤ圧制御システムの一部とすることができる。
【0036】
図2a及び図2bに概略的に示す回転型伝達装置1は、ドライブシャフト50に取り付けられ、特に、トルク係合式にドライブシャフト50に接続される。図示はしていないが、ドライブシャフト50は、車両の方を向く端部において車軸ハウジングによって囲むことができる。少なくともいくつかの領域において、車軸ハウジングは、回転型伝達装置1の固定子アセンブリ2のハウジング12を構成することができる。
【0037】
ドライブシャフト50の自由セグメント、すなわち、ホイールの方を向いたドライブシャフト50の端部領域は、上述した自在継手52を介してホイールユニット54に接続され、象徴的には、1つ以上のホイールをドライブシャフト50に締結することで、それらのホイールをドライブシャフト50によって駆動することができるようにするために使用される。
【0038】
以下、回転型伝達装置1の設計及び機能について、図4a~図4c及び図5a~図5cを参照して、より詳細に説明する。
【0039】
詳細には、図4a及び図4bは、ドライブシャフト50内に収納又は構成される流体管51に回転型伝達装置1を介して加圧媒体及び制御圧力及び/又は作動圧力が伝達されない第1の動作状態にある、本発明に係る回転型伝達装置1の例示の実施形態を示している。対照的に、特に図5a及び図5bにおいて、本発明に係る回転型伝達装置1の例示の実施形態を、ドライブシャフト50の内部に収納又は構成される流体管51に回転型伝達装置1を介して制御圧力及び/又は作動圧力を伝達すること又は加圧媒体を伝達することが可能な第2の動作状態において示している。
【0040】
図示するように、回転型伝達装置1の例示の実施形態において、回転型伝達装置1は、シャフト50の回転運動に対して固定となるように配置される固定子アセンブリ2を有する。固定子アセンブリ2は、例えば、車軸ハウジング(図示せず)に接続することができるハウジング12(籠構造体)を有する。
【0041】
シャフト50の回転運動に対して固定となるように配置される固定子アセンブリ2は、それを介して必要に応じて固定子アセンブリ2に加圧媒体を給送することができる接続部(流体給送/放出ライン3)を有する。これに関連して、複数の異なる流体給送/放出ライン及びこれらのための対応する接続部を、特に固定子アセンブリ2のハウジング12内に設けることが当然可能である。また、制御圧力及び/又は作動圧力又は加圧媒体を固定子アセンブリ2のハウジング12内に給送する他の実施形態もあり得る。
【0042】
図4b及び図5bに係る詳細図に特に見ることができるように、流体給送/放出ライン3に加えて、固定子アセンブリ2に対する制御ライン11の接続部も設けられる。
【0043】
固定子アセンブリ2は、制御要素4を有し、制御要素4は、図示する本発明に係る回転型伝達装置1の例示の実施形態において、シャフト長手方向軸Lに対して同軸に構成される制御リングとして構成される。この制御要素4(制御リング)は、特に、シャフト長手方向Lに移動することができるように、固定子アセンブリ2のハウジング12の少なくともいくつかの領域内で支持されるように収納される。詳細には、制御要素4は、図4bに示す第1の位置と図5bに示す第2の位置との間でドライブシャフト50に対して(同様に、固定子アセンブリ2のハウジング12に対して)移動することができるように支持される。
【0044】
図示する実施形態には提示されていないが、制御要素4は、流体給送/放出ライン3と、ドライブシャフト50の内部に収納又は構成される流体管51との間の流れ接続が、制御要素の第1の位置(図4b参照)においては遮断され、一方、少なくとも1つの流体給送/放出ライン3と、ドライブシャフト50の内部に収納又は構成される流体管51との間の流れ接続が、制御要素の第2の位置(図5b参照)においては確立されるように構成することができる。
【0045】
図4b及び図5bの描写と図4c及び図5cに係る対応する詳細図とに見ることができるように、固定子アセンブリ2は、制御要素4に割り当てられ、少なくとも1つのシール7、8を特にシールリップの形態で有するシール機構を有し、固定子アセンブリ2の領域内の少なくとも1つのシール7、8及び/又はドライブシャフト50の外周面のトポロジーは、ドライブシャフト50に対して、少なくとも1つのシール7、8が、制御要素の第1の位置(図4b及び図4c参照)においては、ドライブシャフト50の外周面に対して少なくとも実質的に接触せず、制御要素の第2の位置(図5b及び図5c参照)においては、ドライブシャフト50の外周面に対して接触しており、少なくとも実質的に密閉作用を有するように構成される。
【0046】
詳細には、図示する回転型伝達装置1において、制御要素4は、シャフト長手方向Lで見た場合の前端部領域と、対向する後端部領域とを有し、前端部領域は、第1のシール7、特にシールリップの形態の第1のシール7が割り当てられ、後端部領域は、第2のシール8、特にシールリップの形態の第2のシール8が割り当てられる。この事例において、第1のシール7及び第2のシール8は、制御要素4がドライブシャフト50に対して長手方向に変位した場合に第1のシール7及び第2のシール8も同様に移動するように、制御要素4に接続される。制御要素の第2の位置(図5b及び図5c参照)において、シール7、8は、ドライブシャフト50の外周面に対して、特に環状の空間として構成される流体空間5を密閉し、一方、制御要素の第1の位置(図4b及び図4c参照)において、シール7、8は、ドライブシャフト50の外周面に対して接触しない又は少なくとも実質的に接触しない。
【0047】
同様に図4b及び図5bの詳細図に見ることができるように、シャフト長手方向軸Lに対して同軸に構成される制御リングとして特に構成される制御要素4は、固定子アセンブリ2のハウジングの案内面と相互作用する案内面を有し、制御要素が、固定子アセンブリ2のハウジング12に対して第1の位置と第2の位置との間で変位することができるとともに、ドライブシャフト50に対してシャフト長手方向軸Lの長手方向に変位することができるように取り付けられる。
【0048】
同様に図4b及び図5bの詳細図に見ることができるように、制御要素4とドライブシャフト50の外周面との間には、特に環状の流体空間5が形成され、少なくとも1つの流体管6が制御要素4内に構成され、この流体管6は、少なくとも制御要素4の第2の位置(図5b参照)において、少なくとも1つの流体給送/放出ライン3を、特に環状の空間として構成される流体空間5に流れ的に接続する。
【0049】
図4c及び図5cの詳細図に見ることができるように、流体空間5の領域において、ドライブシャフト50の外周面は、シャフト長手方向軸Lに対して円錐状に先細りした少なくとも1つの領域56、57を有し、制御要素4がその第1の位置の方向に変位した場合に、少なくとも1つのシール7、8も、円錐状に先細りした領域56、57の給送方向に変位する。
【0050】
詳細には、図4b及び図5bに係る図面は特に、流体空間5の領域において、ドライブシャフト50の外周面が、シャフト長手方向軸Lに対して円錐状に先細りするとともに第1のシール7に割り当てられる第1の領域56と、シャフト長手方向軸Lに対して円錐状に先細りするとともに第2のシール8に割り当てられる第2の領域57とを有することを示している。この事例において、第1の円錐状に先細りした領域56及び第2の円錐状に先細りした領域57の給送方向は、いずれの場合にも、制御要素4がその第1の位置の方向に変位したときに移動する方向に対応する。
【0051】
ただし、本発明は、ドライブシャフト50の外周面が対応する円錐状に先細りした領域56、57を有する、例として図示した実施形態に限定されない。その代わりに、流体空間5の領域において、ドライブシャフト50の外周面は、第1のシール7に割り当てられる第1のセクションと、第2のシール8に割り当てられる第2のセクションとを有し、第1のセクション及び第2のセクションは、いずれの場合にも、シャフト長手方向軸Lに対して径方向に突出する領域と、シャフト長手方向軸Lに対して径方向に凹んだ領域とを有し、第1のシール7及び第2のシール8は、制御要素4の第1の位置においては、ドライブシャフト50のそれぞれ外周面セクションの径方向に凹んだ領域に配置され、制御要素4の第2の位置においては、ドライブシャフト50のそれぞれ外周面セクションの径方向に突出した領域に配置されることが考えられる。
【0052】
上記に示したように、固定子アセンブリ2の少なくとも1つの流体給送/放出ライン3は、制御空間9であって、領域の少なくとも一部が制御要素4によって画定されるとともに、制御空間9に圧力負荷が生じた場合、制御要素4がその第2の位置に移動することができるように構成される、制御空間9に流れ的に接続される。
【0053】
また、例として図示する本発明に係る回転型伝達装置1の例示の実施形態において、別の(第2の)制御空間10に流れ的に接続される別の制御ライン11が使用され、当該別の(第2の)制御空間10は、領域の少なくとも一部が制御要素4によって画定されるとともに、当該別の(第2の)更なる制御空間10に圧力負荷が生じた場合、制御要素4がその第1の位置に移動することができるように構成される。
【0054】
図示する例示の実施形態において、流体給送/放出ライン3に流れ的に接続される制御空間9(第1の制御空間)は、制御要素4内に構成される流体管51を介して、制御要素4とドライブシャフト50の外周面との間に構成される流体空間5に流れ的に接続される。
【0055】
簡潔に要約すると、図示する本発明に係る回転型伝達装置1の例示の実施形態は、次のような特徴とすることができる。
【0056】
回転型伝達装置1の動作中に、摩耗損失及び摩擦損失を最低限まで低減するために、回転型伝達装置1は、ドライブシャフト50内に構成される流体管51への加圧媒体の伝達期間中にのみ、制御要素4に割り当てられたシール機構の対応するシール要素7、8(シールリップ)が、固定子アセンブリ2に対して回転しているドライブシャフト50に係合又は接触するように構成される。
【0057】
例えば、中空のシャフト又は部分的に中空のシャフトとして構成されるドライブシャフト50は、任意の数の管を有することができる。ドライブシャフト50の回転軸に平行に延在するドライブシャフト50の各管は、ドライブシャフト表面に対して任意の数の分岐管を有し、固定子アセンブリ2の領域に位置する分岐管は全て、同じ制御圧力を「観測」する。ドライブシャフト50の外側輪郭(トポロジー)は、伝達領域において、ドライブシャフト50が回転軸に対してシールセクションを有するように構成される。シールセクションとは、2つのシール7、8、特にシールリップによって、又は回転対称な材料の蓄積物によって画定されるドライブシャフト50の長手方向軸のセクションである。
【0058】
上述した例示の実施形態は、作動管及び制御管を備える2管式の回転フィードスルーに関する。これは、単一の管によって同様に具現化することもできるし、3つ以上の管によって具現化することもできる。
【0059】
本発明の説明により、本発明に係る回転型伝達装置1が主にレトロフィットにも適していることは明白である。
【0060】
本発明は、図示する実施形態に限定されるものではなく、むしろ、本明細書に開示した特徴を全て考慮することで生まれるものである。
なお、本開示には以下の態様も含まれる。
〔態様1〕
シャフト(50)、特にドライブシャフトの内部の領域の少なくとも一部に収納又は構成される流体管(51)に制御圧力及び/又は作動圧力を伝達する回転型伝達装置(1)であって、該回転型伝達装置(1)は、固定子アセンブリ(2)であって、前記シャフト(50)の回転運動に対して固定となるように配置されるとともに、少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)と、シャフト長手方向(L)において第1の位置と第2の位置との間で前記シャフト(50)に対して変位することができる制御要素(4)とを有する、固定子アセンブリ(2)を有し、前記少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)と前記流体管(51)との間の流れ接続は、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては遮断され、前記少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)と前記流体管(51)との間の流れ接続は、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては確立される、回転型伝達装置。
〔態様2〕
態様1に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記固定子アセンブリ(2)は、前記制御要素(4)に割り当てられ、少なくとも1つのシール(7、8)を特にシールリップの形態で有するシール機構を有し、前記固定子アセンブリ(2)の領域内の前記少なくとも1つのシール(7、8)及び/又は前記シャフト(50)の外周面のトポロジーは、前記シャフト(50)に対して、前記少なくとも1つのシール(7、8)が、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては少なくとも実質的に接触せず、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては接触しており、少なくとも実質的に密閉作用を有するように構成される、回転型伝達装置。
〔態様3〕
シャフト(50)、特にドライブシャフトの内部の領域の少なくとも一部に収納又は構成される流体管(51)に制御圧力及び/又は作動圧力を伝達する回転型伝達装置(1)であって、該回転型伝達装置(1)は、固定子アセンブリ(2)であって、前記シャフト(50)の回転運動に対して固定となるように配置されるとともに、少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)と、シャフト長手方向(L)において第1の位置と第2の位置との間で前記シャフト(50)に対して変位することができる制御要素(4)とを有する、固定子アセンブリ(2)を有し、特に環状の空間として構成される流体空間(5)が、前記制御要素(4)と前記シャフト(50)の外周面との間に構成され、前記固定子アセンブリ(2)は、前記制御要素(4)に割り当てられたシール機構であって、少なくとも1つのシール(7、8)を特にシールリップの形態で有するシール機構を有し、前記固定子アセンブリ(2)の領域内の前記少なくとも1つのシール(7、8)及び/又は前記シャフト(50)の前記外周面のトポロジーは、前記シャフト(50)に対して、前記少なくとも1つのシール(7、8)が、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては少なくとも実質的に接触せず、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては接触しており、少なくとも実質的に密閉作用を有するように構成される、回転型伝達装置。
〔態様4〕
態様1~3のいずれか一つに記載の回転型伝達装置(1)であって、特に環状の空間の形態である流体空間(5)が、前記制御要素(4)と前記シャフト(50)の前記外周面との間に構成され、流体管(6)が前記制御要素(4)内に構成され、該流体管(6)は、少なくとも前記制御要素(4)の前記第2の位置において、前記少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)を、特に環状の空間として構成される前記流体空間(5)に流れ的に接続する、回転型伝達装置。
〔態様5〕
態様3又は4に記載の回転型伝達装置(1)であって、少なくとも1つの分岐管(55)が前記シャフト(50)内に構成され、該分岐管(55)は、前記シャフト(50)の内部に収納又は構成される前記流体管(51)を、特に環状の空間として構成される前記流体空間(5)に流れ的に接続する、回転型伝達装置。
〔態様6〕
態様1~5のいずれか一つに記載の回転型伝達装置(1)であって、前記制御要素(4)は、前記シャフト長手方向軸に対して同軸に構成される制御リングとして構成され、該制御要素(4)は、前記固定子アセンブリ(2)のハウジング(12)の案内面と相互作用する案内面を有し、該制御要素(4)が、前記固定子アセンブリ(2)の前記ハウジング(12)に対して前記第1の位置と前記第2の位置との間で変位することができるとともに、前記シャフト(50)に対して前記シャフト長手方向軸の前記長手方向(L)に変位することができるように取り付けられる、回転型伝達装置。
〔態様7〕
態様3~6のいずれか一つに記載の回転型伝達装置(1)であって、前記シャフト(50)の前記外周面は、前記流体空間(5)の領域において、前記シャフト長手方向軸(L)に対して円錐状に先細りした少なくとも1つの領域(56、57)を有し、前記制御要素(4)がその第1の位置の方向に変位した場合に、前記少なくとも1つのシール(7、8)も、前記円錐状に先細りした領域(56、57)の給送方向に変位する、回転型伝達装置。
〔態様8〕
態様1~7のいずれか一つに記載の回転型伝達装置(1)であって、前記制御要素(4)は、(前記シャフト長手方向(L)で見た場合の)前端部領域と、対向する後端部領域とを有し、前記前端部領域は、第1のシール(7)、特にシールリップの形態の第1のシール(7)が割り当てられ、前記後端部領域は、第2のシール(8)、特にシールリップの形態の第2のシール(8)が割り当てられ、前記第1のシール(7)及び前記第2のシール(8)は、前記制御要素(4)が前記シャフト(50)に対して長手方向に変位した場合に前記第1のシール(7)及び前記第2のシール(8)も同様に移動するように、前記制御要素(4)に接続され、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては、前記シール(7、8)は、前記シャフト(50)の前記外周面に対して、特に環状の空間として構成される前記流体空間(5)を密閉し、一方、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては、前記シール(7、8)は、前記シャフト(50)の前記外周面に対して接触しない又は少なくとも実質的に接触しない、回転型伝達装置。
〔態様9〕
態様8に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記シャフト(50)の前記外周面は、前記流体空間(5)の領域において、前記シャフト長手方向軸(L)に対して円錐状に先細りするとともに前記第1のシール(7)に割り当てられる第1の領域(56)と、前記シャフト長手方向軸(L)に対して円錐状に先細りするとともに前記第2のシール(8)に割り当てられる第2の領域(57)とを有し、前記第1の円錐状に先細りした領域(56)及び前記第2の円錐状に先細りした領域(57)の給送方向は、いずれの場合にも、前記制御要素(4)がその第1の位置の方向に変位したときに移動する方向に対応する、回転型伝達装置。
〔態様10〕
態様1~9のいずれか一つに記載の回転型伝達装置(1)であって、前記シャフト(50)の前記外周面は、前記固定子アセンブリ(2)の領域において、前記シャフト長手方向軸(L)に対して径方向に突出する少なくとも1つの領域と、前記シャフト長手方向軸(L)に対して径方向に凹んだ少なくとも1つの領域とを有し、前記少なくとも1つのシール(7、8)及び/又は前記シャフト外周面の前記少なくとも1つの径方向に突出した領域は、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては、前記少なくとも1つのシール(7、8)が、前記少なくとも1つの径方向に突出した領域と接触するように構成され、前記少なくとも1つのシール(7、8)及び/又は前記少なくとも1つの径方向に凹んだ領域は、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては、前記少なくとも1つのシール(7、8)が、前記径方向に凹んだ領域に存在するように構成される、回転型伝達装置。
〔態様11〕
態様8に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記シャフト(50)の前記外周面は、前記流体空間(5)の領域において、又は前記制御要素(4)と前記シャフト(50)の前記外周面との間に構成される流体空間(5)の領域において、前記第1のシール(7)に割り当てられる第1のセクションと、前記第2のシール(8)に割り当てられる第2のセクションとを有し、前記第1のセクション及び前記第2のセクションは、いずれの場合にも、前記シャフト長手方向軸(L)に対して径方向に突出する領域と、前記シャフト長手方向軸(L)に対して径方向に凹んだ領域とを有し、前記第1のシール(7)及び前記第2のシール(8)は、前記制御要素(4)の前記第1の位置においては、前記シャフト(50)のそれぞれの前記外周面セクションの前記径方向に凹んだ領域に配置され、前記制御要素(4)の前記第2の位置においては、前記シャフト(50)のそれぞれの前記外周面セクションの前記径方向に突出した領域に配置される、回転型伝達装置。
〔態様12〕
態様1~11のいずれか一つに記載の回転型伝達装置(1)であって、前記少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)は、制御空間(9)であって、領域の内部の少なくとも一部が前記制御要素(4)によって画定されるとともに、該制御空間(9)に圧力負荷が生じた場合、前記制御要素(4)がその第2の位置に移動することができるように構成される、制御空間(9)に流れ的に接続され、更なる制御空間(10)に流れ的に接続される制御ライン(11)が任意選択で及び/又は好ましくは設けられ、前記更なる制御空間(10)は、領域の少なくとも一部が前記制御要素(4)によって画定されるとともに、前記更なる制御空間(10)に圧力負荷が生じた場合、前記制御要素(4)がその第1の位置に移動することができるように構成される、回転型伝達装置。
〔態様13〕
態様12に記載の回転型伝達装置(1)であって、前記少なくとも1つの流体給送/放出ライン(3)に流れ的に接続される前記制御空間(9)は、前記制御要素(4)内に構成される流体管(6)を介して、前記流体空間(5)に、又は前記制御要素(4)と前記シャフト(50)の前記外周面との間に構成される流体空間(5)に流れ的に接続される、回転型伝達装置。
〔態様14〕
態様1~13のいずれか一つに記載の回転型伝達装置(1)と、該回転型伝達装置(1)が取り付けられるとともに、特に車両のドライブシャフトとして構成されるシャフト(50)とを有するシステム。
〔態様15〕
車体に対して回転駆動される少なくとも1つのホイールの、該ホイールを駆動する少なくとも1つのドライブシャフト(50)を有する空気圧式装輪車両のタイヤ圧調整システムであって、流体管(51)が、前記ドライブシャフトの内部に収納又は構成され、態様1~13のいずれか一つに記載の少なくとも1つの回転型伝達装置(1)が、前記流体管(51)に/該流体管(51)から必要に応じて加圧流体を給送及び/又は放出するように設けられる、タイヤ圧調整システム。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c