(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】アスコルビン酸塩の形態のビタミンCを含む、ビタミンおよびミネラルのソフトゲルカプセル調製物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/375 20060101AFI20240809BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240809BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/202 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/07 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/51 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/525 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/593 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/14 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/015 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20240809BHJP
A61K 31/714 20060101ALI20240809BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20240809BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240809BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240809BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240809BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240809BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20240809BHJP
A23L 33/12 20160101ALI20240809BHJP
A23L 33/155 20160101ALI20240809BHJP
A23L 33/16 20160101ALI20240809BHJP
【FI】
A61K31/375
A61P3/02
A61K9/48
A61K31/202
A61K31/07
A61K31/455
A61K31/51
A61K31/525
A61K31/197
A61K31/519
A61K31/4188
A61K31/593
A61K31/355
A61K31/14
A61K31/122
A61K31/015
A61K31/4415
A61K31/714
A61K33/24
A61K47/02
A61K47/06
A61K47/42
A61K47/10
A23L33/15
A23L33/12
A23L33/155
A23L33/16
(21)【出願番号】P 2021569169
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2020064288
(87)【国際公開番号】W WO2020234458
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-05-22
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506161290
【氏名又は名称】バイエル・コンシューマー・ケア・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Consumer Care AG
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル・スメタ・ペレス
(72)【発明者】
【氏名】マリア・デル・ピラル・サンス・サイス
(72)【発明者】
【氏名】マリア・アンヘラ・カバージョ・ゴンサレス
(72)【発明者】
【氏名】マリア・エレナ・イグレシアス・ピネイロ
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン・テナ・セラーノ
(72)【発明者】
【氏名】ルシア・モンテス・オヴィアーノ
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・プリオール・カバニージャス
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-521534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0100123(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0272792(US,A1)
【文献】米国特許第9629846(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
47/00-47/69
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトゲルゼラチンカプセルの形態の医薬組成物または食品組成物の壊れやすさを低減する方法であって、前記ソフトゲルゼラチンカプセルが、(a)1種または複数種のビタミンであって、前記1種または複数種のビタミンの少なくとも1種が、アスコルビン酸の形態のビタミンCである、ビタミ
ンを含み、前記方法が、アスコルビン酸の形態のビタミンCの含有量を、
アスコルビン酸カルシウムまたはアスコルビン酸マグネシウムの形態のビタミンCに完全に置き換えるステップを含む、方法。
【請求項2】
前記ソフトゲルゼラチンカプセルが、(b)1種または複数種のミネラルを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ソフトゲルゼラチンカプセルが、(c)医薬品または食品として適切な担体を更に含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記医薬品または食品として適切な担体が、DHAおよび/またはEPAである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法において特定される前記医薬組成物または食品組成物が、アスコルビン酸の形態のビタミンCと、
ビタミン
A、ビタミンB
1、ビタミンB
2、ビタミンB
3、ビタミンB
5、ビタミンB
6、ビタミンB
9、ビタミンB1
2、ビタミン
H、ビタミン
D、ビタミン
E、コリ
ンおよびビタミンKまたはそれらの任意の組み合わせからなるリストのうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1種のさらなるビタミンとを含
む、食品組成物または医薬組成物である、請求項1
から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
該医薬組成物または食品組成物が、鉄、ヨウ化物、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、亜セレン酸塩および銅またはそれらの任意の組み合わせからなるリストのうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1種のミネラルをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ビタミンAが、パルミチン酸レチノールまたはβ-カロテンである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記ビタミンB1が、チアミンまたは一硝酸チアミンである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項9】
前記ビタミンB5が、パントテン酸またはパントテン酸カルシウムである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項10】
前記ビタミンB6が、ピリドキシンまたは塩酸ピリドキシンである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項11】
前記ビタミンB9が、葉酸またはメタホリンである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項12】
前記ビタミンDが、ビタミンD3である、請求項5または6に記載の方法。
【請求項13】
前記ビタミンEが、DL-α-トコフェリルアセテートまたは天然もしくは合成ビタミンEの形態である、請求項5または6に記載の方法。
【請求項14】
前記コリンが、重酒石酸コリンである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項15】
前記鉄が、カルボニル鉄、フマル酸第一鉄または硫酸第一鉄である、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記ヨウ化物が、ヨウ化カリウムまたはヨウ素酸カリウムである、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
前記亜鉛が、酸化亜鉛または硫酸亜鉛である、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記亜セレン酸塩が、亜セレン酸ナトリウムである、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記銅が、硫酸銅または酸化銅である、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品または食品の単位用量ソフトゲルカプセルに関し、このカプセルは、ビタミンであって、アスコルビン酸がアスコルビン酸塩、好ましくはアスコルビン酸カルシウムに置き換えられたビタミンと、場合によりミネラル化合物と、医薬品または食品として適切な担体、例えばドコサヘキサエン酸オメガ3(DHA)および/またはエイコサペンタエン酸オメガ3(EPA)から本質的になる。
【背景技術】
【0002】
ソフトゲルカプセルの使用は、処方薬、消費者の健康、ビタミンおよびミネラルサプリメントを含む広範囲の用途にわたって増加している。
【0003】
ソフトゲル製品を製造するための方法は、5つの段階、すなわちシェル塊の調製、充填材料の製造、カプセル化工程、乾燥および仕上げの段階で行われる(例えば、Hutchison KG,Ferdinando J.“Soft capsules”Aulton ME,Taylor KMG.Aulton’s pharmaceutics:the design and manufacture of medicine.Elsevier Health Sciences 2013年、597~610頁参照)。
【0004】
従来、外側シェル(「シェル」)は、ゼラチン、1種または複数種の可塑剤および水から調製される。任意の材料、例えば乳白剤、着色剤、香味料、甘味料および防腐剤をシェル処方物に含めることができる。この材料は、カプセルの最外層を形成して内部充填材料を保持するシェルへと成形される。内部充填材料は、典型的には、シェル自体を満たすために使用される1種もしくは複数種の医薬品有効成分または1種もしくは複数種の栄養素と、1種もしくは複数種の賦形剤とを含む(「充填材」)。
【0005】
ソフトゲルカプセルの性能に関する一般的な課題の1つは、特にソフトゲルゼラチンマルチビタミン/マルチミネラルカプセルにおいてカプセルが脆くなる傾向にあることである。カプセル製造業者は、カプセルのこのような不十分な性能を、製造工程や保管条件にしばしば関連付ける。しかしながら、シェルまたは充填配合物の組成もまた、この現象に関与し得る。
【0006】
脆性を防止する鍵は、カプセルシェル内の最適な展性の維持にしばしば関連しているが、他の要素、例えば充填圧力ならびに包装、保管および/または輸送過程における衝撃も関与している。
【0007】
シェル材料の弾性および展性は、ゼラチンの種類(すなわち、起源、変性方法の種類、分子量、ブルーム強度)、可塑剤の種類および量、ならびに顔料の含有量、例えば二酸化チタンの含有量にしばしば関連しており、高濃度の二酸化チタンが、カプセルが脆くなる可能性がより高いこととしばしば関連することが知られている。
【0008】
さらに、シェル材料の弾性および展性は、カプセルシェルの含水量にも関係する。この意味で、そして常に、シェル処方物の水分はシェル材料から周囲環境に移動する。カプセル化機で新たに形成されたソフトゲルは、35~40%(重量基準;w/w)の含水量を示す。乾燥工程中に、空気がシェルに浸透し、水分をソフトゲル表面に向けて外側に移動させ、第1の乾燥工程または動的乾燥工程では初期含水量を20~25%(w/w)に減少させ、第2の乾燥工程または静的乾燥工程では10~15%(w/w)に減少させる(例えば、Gullapalli RP.Soft gelatin capsules(softgels).J Pharm Sci.2010年;99(10):4107-48頁参照)。カプセルは、過剰に水分を失うと(過乾燥すると)、脆くなる傾向がある。この現象は保管中にも起こる。水分の移動を最小限に抑えるために、ゼラチンの寿命、ゼラチンリボンの厚みおよびカプセル化工程中に使用される潤滑剤などの要素を最適化することができ、乾燥ならびに保管条件(温度、湿度および空気流条件)をさらに制御することができる。実際に、寒い冬の間、暖房システムは空気を相対湿度15~20%まで乾燥させる。このような乾燥空気にまともに曝されたカプセルは、数分の間に水分を失い、脆くなる。これらの条件では、携帯型の工業用加湿器を使用して、相対湿度を45~50%の最適範囲に維持することができる。開封されたカプセルの箱に再密封可能な袋の口紐を使用することによって、作業者がカプセル化室にいる間にカプセルを保護することが容易になる。したがって、製造および保管条件がソフトゲルカプセルの脆性に影響を及ぼすことは明らかである。
【0009】
さらに、シェル処方物の遊離水分は、充填材に移動し得る。吸湿性化合物は、吸収または吸着によってその周囲から水分を引き付け、充填材中に存在すると、シェル材料の弾性を低下させるか、または内圧を増加させることによって、カプセルの脆化を促し得る。したがって、配合物のパラメータも、カプセルが脆化する傾向を含めて、カプセル全体の性能において重要な役割を果たすことを認識することが重要である。
【0010】
結論として、数多くの配合物のパラメータが、原料およびカプセル自体の機械的特性に影響を及ぼし得る。カプセル製造の分野における広範な経験が、カプセル性能に影響を及ぼすコアの基本特性を特定するために必要である。したがって、製造業者にとっては、ソフトゼラチンカプセル性能を改善するために、これらのパラメータをも認知し、厳密に検査することが重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Hutchison KG,Ferdinando J.“Soft capsules”Aulton ME,Taylor KMG.Aulton’s pharmaceutics:the design and manufacture of medicine.Elsevier Health Sciences 2013年、597~610頁
【文献】Gullapalli RP.Soft gelatin capsules(softgels).J Pharm Sci.2010年;99(10):4107-48頁
【発明の概要】
【0012】
本発明は、ソフトゲルカプセルの脆性にかなりの影響を及ぼし、この課題を解決するさらなる配合物のパラメータを特定するという技術的課題に直面している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】これらの図は、ソフトゼラチンカプセルの脆性を評価するために実施例で使用された内部試験を示す。この方法は、各カプセルを金属製の試験プラットフォーム上に、継ぎ目がプレートに対して常に平行になるように配置することからなる(
図1A)。メタクリレート管を、カプセルが管の中央に位置するように配置する(
図1B)。重りをプラットフォーム上に載せてプラットフォームの上部に配置し(
図1C)、次いで、重りがカプセル上に落ちるようにプラットフォームを開き(
図1D)、重りが落ちた後、カプセルの完全性を検査する(
図1Eおよび
図1F)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明、および該説明に含まれる例を参照することによって、より容易に理解され得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、処方薬および市販薬に適しており、医師、薬局またはドラッグストアでのみ入手可能な組成物を意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「食品組成物」という用語は、定期的な食物摂取を追加の栄養素で補って生活の質を高めるためのものであり、ドラッグストアだけではなく、処方箋なしで食料品店またはスーパーマーケットで自由に入手可能な組成物を意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、医薬組成物または食品組成物は、ソフトゲルゼラチンカプセルの形態で製剤化される。
【0018】
本発明は、ソフトゲルゼラチンマルチビタミン/マルチミネラルカプセルにおける壊れやすさという一般的な問題の潜在的な根本原因を特定し、この課題に対する解決策を特定するという課題に直面している。
【0019】
興味深いことに、実施例1に示すように、標準的なマルチビタミン/マルチミネラル配合物、およびビタミンCを含まないか、またはアスコルビン酸の形態もしくはアスコルビン酸カルシウムなどのアスコルビン酸塩の形態のビタミンCを含む、標準的な配合物に由来する様々なバッチを用いて行われた壊れやすさの試験では、配合物からビタミンCを除去することによって、またはアスコルビン酸をアスコルビン酸カルシウムなどのアスコルビン酸塩の形態のビタミンC源に置き換えることによって、これらの標準品の壊れやすさを回避できることが示された。この実施例で試験され、示された他の代替物はいずれも、試験されたこのような組成物の壊れやすさに実質的かつ持続的な影響を及ぼさなかった。さらに、シェル処方物(ゼラチンの種類、可塑剤の種類および可塑剤の量)、カプセル化工程のパラメータ(ゼラチンリボンの厚みおよび潤滑剤の種類)ならびに乾燥条件(空気流、温度および湿度)に関して行われた変更はいずれも、これらの製品の脆性の問題を解決しない。さらに、本明細書の実施例2において実施され詳述される実験は、ソフトゲルカプセルの充填配合物からアスコルビン酸の形態のビタミンCを除去することにより、マルチビタミン由来製品に関連する壊れやすさの課題が回避されると結論づけた。この実施例で試験され、示された他の代替物はいずれも、試験されたこのような組成物の壊れやすさに実質的かつ持続的な影響を及ぼさなかった。
【0020】
したがって、本明細書で提供される結果は、アスコルビン酸が充填材の他の成分と相互作用し、シェルを脆弱化し、壊れやすいカプセルを生じさせることを示している。アスコルビン酸塩の形態のビタミンCの使用により、これらの相互作用は最小限に抑えられ、エンベロープの損傷およびその結果生じる壊れやすさは回避される。
【0021】
したがって、本発明の第1の態様は、1種または複数種のビタミン(a)と、場合によりミネラル(b)と、医薬品または食品として適切な担体、例えば栄養素DHAおよび/またはEPA(c)とを含むか、またはそれらからなり、ソフトゼラチン、例えばウシゼラチン、ブタゼラチン、寒天およびコハク化ゼラチンシェル内にカプセル化された組成物、好ましくは食品組成物または医薬組成物を提供し、1種または複数種のビタミンはビタミンCを含み、前記ビタミンCは、少なくとも部分的に、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩の形態である。
【0022】
特に、本発明の第1の態様は、1種または複数種のビタミン(a)と、場合によりミネラル(b)と、医薬品または食品として適切な担体、例えば栄養素DHAおよび/またはEPA(c)とを含むか、またはそれらからなり、ソフトゼラチン中にカプセル化された組成物、好ましくは食品組成物または医薬組成物を提供し、最終的な食品組成物または医薬組成物中でビタミンCを与えるために用いられる原料は、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩の形態であり、アスコルビン酸の形態ではない。この意味で、本発明では、最終的な食品組成物または医薬組成物中にビタミンCを導入するために用いられる供給源、すなわち原料は、少なくとも部分的に、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩でなければならないことに留意されたい。好ましくは、最終的な食品組成物または医薬組成物中に存在するビタミンCの供給源は、少なくとも10%(w/w)のアスコルビン酸塩、例えば、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩でなければならず、その重量パーセントは、最終的な食品組成物または医薬組成物中に存在するビタミンCを導入するために用いられる原料中に存在するアスコルビン酸塩とアスコルビン酸との合計の総量に対するアスコルビン酸塩の量を決定することによって計算される。より好ましくは、最終的な食品組成物または医薬組成物中に存在するビタミンCの供給源、すなわち原料は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%(w/w)のアスコルビン酸塩、例えば、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩でなければならず、その重量パーセントは、最終的な食品組成物または医薬組成物中に存在するビタミンCを導入するために用いられる原料中に存在するアスコルビン酸塩とアスコルビン酸との合計の総量に対するアスコルビン酸塩の量を決定することによって計算される。さらにより好ましくは、最終的な食品組成物または医薬組成物中にビタミンCを導入するために用いられる供給源、すなわち原料は、実質的に純粋な、80%を超える、さらにより好ましくは90%、95%、96%、97%、98%または99%を超える純度のアスコルビン酸塩、例えば、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩である。
【0023】
アスコルビン酸カルシウムは、分子式CaC12H14O12を有する化合物である。アスコルビン酸カルシウムは、アスコルビン酸のカルシウム塩であり、アスコルビン酸塩鉱物の1つである。アスコルビン酸カルシウムは、約10質量%がカルシウムである。食品添加物としては、アスコルビン酸カルシウムはE番号E302を有する。アスコルビン酸カルシウムは、EU、米国、オーストラリアおよびニュージーランドにおいて食品添加物としての使用が認可されている。
【0024】
したがって、本発明の第1の態様の組成物は、ビタミンCを含み、最終的な食品組成物もしくは医薬組成物中に存在するビタミンCを生成するために使用される原料、または最終的な食品組成物もしくは医薬組成物中に存在するビタミンCが、実質的にアスコルビン酸塩(先に定義したとおり)の形態で存在する限り、他のビタミン、ミネラルまたは他の種類の栄養素をさらに含み得る。このような食品組成物または医薬組成物は、例えばビタミンA(すなわち、パルミチン酸レチノールもしくはβ-カロテン)、ビタミンB1(すなわち、チアミンもしくは一硝酸チアミン)、ビタミンB2(すなわち、リボフラビン)、ビタミンB3(すなわち、ニコチンアミド)、ビタミンB5(すなわち、パントテン酸もしくはパントテン酸カルシウム)、ビタミンB6(すなわち、ピリドキシンもしくは塩酸ピリドキシン)、ビタミンB9(すなわち、葉酸もしくはメタホリン)、ビタミンB12(すなわち、シアノコバラミン)、ビタミンH(すなわち、ビオチン)、ビタミンD(すなわち、ビタミンD3)、ビタミンE(すなわち、DL-α-トコフェリルアセテート、DL-α-トコフェロールもしくは天然のD-α-トコフェロール)、ビタミンK、コリン(すなわち、重酒石酸コリン)、鉄(すなわち、カルボニル鉄、フマル酸第一鉄もしくは硫酸第一鉄)、ヨウ素(すなわち、ヨウ化カリウムもしくはヨウ素酸カリウム)、マグネシウム(すなわち、酸化マグネシウム)、亜鉛(すなわち、酸化亜鉛もしくは硫酸亜鉛)、セレン(すなわち、セレン酸ナトリウム)、銅(すなわち、酸化第二銅もしくは硫酸銅)、マンガン(すなわち、硫酸マンガン)、カルシウム(すなわち、リン酸カルシウムもしくは炭酸カルシウム)、クロム(すなわち、塩化クロムもしくはピコリン酸クロム)、モリブデン(すなわち、モリブデン酸ナトリウムもしくはモリブデン酸アンモニウム)、フッ化物(すなわち、フッ化カルシウム)、塩化物、カリウム、ナトリウム、DHA(すなわち、DHA魚油エチルエステル、DHA魚油トリグリセリドもしくはDHA藻類)および/もしくはEPA(すなわち、EPA魚油エチルエステル、EPA魚油トリグリセリドもしくはEPA藻類)のうちの少なくとも1種、またはそれらの何らかの混合物からさらになり得るか、またはそれらを含み得る。このようなビタミン、ミネラルおよび他
の栄養素は、当業者に知られている供給元から市販されている。
【0025】
好ましくは、本発明による食品組成物または医薬組成物は、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えば(上記のような)アスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩の形態のビタミンCと、ビタミンA(例えば、β-カロテン)、ビタミンB1(例えば、チアミン塩)、ビタミンB2(例えば、リボフラビン)、ビタミンB3(例えば、ニコチンアミド)、ビタミンB5(例えば、パントテン酸塩)、ビタミンB6(例えば、ピリドキシン塩)、ビタミンB12(例えば、シアノコバラミン)、ビタミンD(例えば、コレカルシフェロール)、ビタミンE(例えば、α-トコフェリルアセテート)、ビタミンB9(例えば、葉酸もしくはメタホリン酸)およびビタミンH(例えば、ビオチン)またはそれらの任意の組み合わせを含むか、またはそれらからなる群から選択される少なくとも1種のさらなるビタミンとからなるか、またはそれらを含む。
【0026】
また好ましくは、本発明による医薬組成物または食品組成物は、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩の形態のビタミンCから選択される1種または複数種のビタミン(a)と、ビタミンA(例えば、パルミチン酸レチノールおよびβ-カロテン)、ビタミンB1(例えば、チアミン塩)、ビタミンB2(例えば、リボフラビン)、ビタミンB3(例えば、ニコチンアミド)、ビタミンB5(例えば、パントテン酸塩)、ビタミンB6(例えば、ピリドキシン塩)、ビタミンB12(例えば、シアノコバラミン)、ビタミンD(例えば、コレカルシフェロール)、ビタミンE(例えば、DL-α-トコフェリルアセテート、DL-α-トコフェロールもしくは天然のD-α-トコフェロール)、ビタミンB9(例えば、葉酸)ならびにビタミンH(例えば、ビオチン)またはそれらの任意の組み合わせからなるか、またはそれらを含む群から選択される少なくとも1種のさらなるビタミンとからなるか、またはそれらを含む。
【0027】
本発明の第1の態様のさらに好ましい実施形態では、医薬組成物または食品組成物は、鉄(フマル酸第一鉄など)、ヨウ化物(好ましくはヨウ素酸カリウムとして)、マグネシウム(好ましくは酸化マグネシウムとして)、亜鉛(好ましくは酸化亜鉛として)、亜セレン酸塩(例えば、亜セレン酸ナトリウム)および銅(好ましくは硫酸銅として)またはそれらの任意の組み合わせからなるか、またはそれらを含むリストのうちの少なくとも1つから選択される1種または複数種のミネラルまたは栄養素を含む。
【0028】
本発明の第1の態様のなおさらなる好ましい実施形態では、医薬組成物または食品組成物は、鉄(カルボニル鉄として)、ヨウ化物(好ましくはヨウ化カリウムとして)、カルシウム(好ましくは炭酸カルシウムとして)、マグネシウム(好ましくは酸化マグネシウムとして)、亜鉛(好ましくは酸化亜鉛として)および銅(好ましくは酸化銅として)またはそれらの任意の組み合わせからなるか、またはそれらを含むリストから選択されるミネラルを含む。
【0029】
より好ましくは、本発明による食品組成物または医薬組成物は、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩の形態のビタミンCと、ビタミンA(例えば、β-カロテン)、ビタミンB1(例えば、チアミン塩)、ビタミンB2(例えば、リボフラビン)、ビタミンB3(例えば、ニコチンアミド)、ビタミンB5(例えば、パントテン酸塩)、ビタミンB6(例えば、ピリドキシン塩)、ビタミンB12(例えば、シアノコバラミン)、ビタミンD(例えば、コレカルシフェロール)、ビタミンE(例えば、α-トコフェリルアセテート)、ビタミンB9(例えば、葉酸もしくはメタホリン酸)およびビタミンH(例えば、ビオチン)を含むか、またはそれらからなる群から選択される少なくとも1種のさらなるビタミンとを含み、該医薬組成物または食品組成物は、鉄(フマル酸第一鉄として)、ヨウ化物(好ましくはヨウ素酸カリウムとして)、マグネシウム(好ましくは酸化マグネシウムとして)、亜鉛(好ましくは酸化亜鉛として)、亜セレン酸塩(例えば、亜セレン酸ナトリウム)および銅(好ましくは硫酸銅として)またはそれらの任意の組み合わせからなるか、またはそれらを含むリストから選択されるミネラルをさらに含む。
【0030】
また好ましくは、本発明の第1の態様の別の好ましい実施形態では、医薬組成物または食品組成物は、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩の形態のビタミンCから選択されるビタミン(a)と、ビタミンA(例えば、パルミチン酸レチノールおよびβ-カロテン)、ビタミンB1(例えば、チアミン塩)、ビタミンB2(例えば、リボフラビン)、ビタミンB3(例えば、ニコチンアミド)、ビタミンB5(例えば、パントテン酸塩)、ビタミンB6(例えば、ピリドキシン塩)、ビタミンB12(例えば、シアノコバラミン)、ビタミンD(例えば、コレカルシフェロール)、ビタミンE(例えば、DL-α-トコフェリルアセテート、DL-α-トコフェロールもしくは天然のD-α-トコフェロール)、ビタミンB9(例えば、葉酸)ならびにビタミンH(例えば、ビオチン)からなるか、またはそれらを含む群から選択される少なくとも1種のさらなるビタミンとからなるか、またはそれらを含み、該医薬組成物または食品組成物は、鉄(カルボニル鉄として)、ヨウ化物(好ましくはヨウ化カリウムとして)、カルシウム(好ましくは炭酸カルシウムとして)、マグネシウム(好ましくは酸化マグネシウムとして)、亜鉛(好ましくは酸化亜鉛として)ならびに銅(好ましくは硫酸銅および/もしくは酸化銅として)またはそれらの任意の組み合わせからなるか、またはそれらを含むリストから選択されるミネラルをさらに含む。
【0031】
したがって、1種または複数種のビタミンがビタミンCを含み、食品組成物もしくは医薬組成物中に存在するビタミンCを生成するために使用される原料、または最終的な食品組成物もしくは医薬組成物中に存在するビタミンCが、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩の形態である限り、ミネラルおよび/またはビタミンが不足しているあらゆる人、例えば妊婦、授乳中の女性または妊娠を試みている出産可能な女性などであるがこれらに限定されない人が摂取するのに好ましくは安全な多種多様なビタミンおよびミネラルを、本発明の剤形で様々な量で使用し得る。
【0032】
多種多様な油脂を、本発明による食品組成物または医薬組成物の栄養素の担体として使用することができることに留意されたい。これらの油脂としては、例えば、オリーブ油、キャノーラ油、パーム油、ヤシ油、ヒマワリ油、落花生油、植物油、レシチン、魚油、綿実油、大豆油、ラード、モノグリセリド、ジグリセリド、バター、マーガリン、ならびに他の動物性、植物性および海産脂肪、ならびに乳脂肪、ワックス、例えば蜜蝋(これらは、当業者に知られている供給元から市販されている)ならびにそれらの混合物が挙げられる。植物油は、本発明のバー型食品に使用するための好ましい脂肪である。好ましくは、DHA(ドコサヘキサエン酸オメガ)またはEPAを使用することができる。さらに、これらの化合物は栄養素として作用する。DHAは、小児の脳および眼の発達に必要な長鎖脂肪酸であり、本発明の剤形の成分として、約10~約300mgの範囲の量で含まれ得、約100~200mgが好ましく、約150mgが、妊婦、授乳中の女性および妊娠を試みている出産可能な女性に最も好ましい。
【0033】
一方、ゼラチンは、本発明のソフトゼラチンシェルの必須成分である。ソフトカプセルの製造に使用される出発ゼラチン材料は、コラーゲン性材料、例えば動物の皮膚、白色結合組織または骨の部分加水分解によって得られる。コラーゲンからゼラチンを得るために使用される熱変性工程に応じて、ゼラチン材料は、以下に分類することができる:ウシ骨、ウシ皮およびブタ皮膚の酸処理から得られ、pH7~pH9の等電点を示すA型ゼラチン;ならびにウシ骨およびウシ皮のアルカリ処理から得られ、pH4.7~pH5.2の等電点を示すB型ゼラチン。A型ゼラチンとB型ゼラチンとのブレンドを使用して、カプセル製造に必要な粘度およびブルーム強度特性を有するゼラチンを得ることができる。カプセル製造に適したゼラチンは、Sigma Chemical Company(ミズーリ州セントルイス)から市販されている。ゼラチンおよびゼラチン系カプセルの概要については、(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Mack Publishing Company、イーストン、ペンシルベニア(1980年)、1245頁および1576~1582頁;ならびに1990年6月19日に発行されたBorkanらによる米国特許第4,935,243号を参照されたい。これらの2つの参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0034】
本発明のカプセルのソフトゼラチンシェルは、調製当初は、約20%~約60%(w/w)のゼラチン、より好ましくは約25%~約50%(w/w)のゼラチン、最も好ましくは約40%~約50%(w/w)のゼラチンを含む。ゼラチンは、A型およびB型であり得、または約60~約300の範囲のブルーム値を有するそれらの混合物であり得る。
【0035】
可塑剤は、本発明のソフトゼラチンシェルのもう1つの成分である。ソフトゼラチンシェルを製造するために、1種または複数種の可塑剤が組み込まれる。このようにして得られたソフトゼラチンは、カプセル化剤として使用するために必要な柔軟性特性を有する。本発明の有用な可塑剤としては、グリセリン、ソルビタン、ソルビトールまたは同様の低分子量ポリオール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0036】
本発明のシェルは、調製当初は、一般に、約10%~約35%(w/w)の可塑剤、好ましくは約15%~約30%(w/w)の可塑剤、最も好ましくは約20%~約30%(w/w)の可塑剤を含む。本発明において有用な好ましい可塑剤は、グリセリンである。
【0037】
本発明のソフトゼラチンシェルは、水も含む。理論によって限定されるものではないが、水は、体内で遭遇する胃腸液と接触すると、ソフトゼラチンシェルの迅速な溶解または破裂を助けると考えられる。
【0038】
本発明のシェルは、調製当初は、一般に、約15%~約50%(w/w)の水、より好ましくは約25%~約40%(w/w)の水、最も好ましくは約30%~約40%(w/w)の水を含む。
【0039】
ソフトゼラチンシェルに組み込むことができる他の任意の成分としては、着色剤、例えばカラーコーティング、香味料、防腐剤、酸化防止剤、香料および他の審美的に心地よい成分が挙げられる。
【0040】
本発明の組成物は、合理的な期間にわたって組成物を実質的に含んでおくことができるあらゆる従来のソフトゼラチンシェル内にカプセル化することができる。本発明のソフトゼラチンシェルは、適切な容器中で適切な量のゼラチン、水、可塑剤およびあらゆる任意の成分を組み合わせ、均一な溶液が得られるまで約65℃に加熱しながらかき混ぜるか、および/または撹拌することによって調製することができる。次いで、このソフトゼラチンシェル調製物を用いて、所望の量の充填組成物を標準的なカプセル化の方法論を用いてカプセル化して、一体成形の密閉されたソフトゼラチンカプセルを製造することができる。ゼラチンカプセルは、容易に嚥下することができるように所望の形状およびサイズに形成される。本発明のソフトゼラチンカプセルは、容易に嚥下するのに適したサイズであり、典型的には約100mg~約2000mgの活性組成物を含む。ソフトゼラチンカプセルおよびカプセル化方法は、P.K.Wilkinsonら、「Softgels:Manufacturing Considerations」、Drugs and the Pharmaceutical Sciences、41(Specialized Drug Delivery Systems)、P.Tyle編(Marcel Dekker,Inc.、ニューヨーク、1990年)409~449頁;F.S.Hornら、「Capsules,Soft」、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology、第2巻、J.SwarbrickおよびJ.C.Boylan編(Marcel Dekker,Inc.、ニューヨーク、1990年)269~284頁;M.S.Patelら、「Advances in Softgel Formulation Technology」、Manufacturing Chemist、第60巻、no.7、26~28頁(1989年7月);M.S.Patelら、「Softgel Technology」、Manufacturing Chemist、第60巻、no.8、47~49頁(1989年8月);R.F.Jimerson、「Softgel(Soft Gelatin Capsule)Update」、Drug Development and Industrial Pharmacy(Interphex ’86 Conference)、第12巻、no.8および9、1133~1144頁(1986年);ならびにW.R.Ebert、「Soft Elastic Gelatin Capsules:A Unique Dosage Form」、Pharmaceutical Technology、第1巻、no.5、44~50頁(1977年)に記載されており、これらの参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。得られたソフトゼラチンカプセルは、水および胃腸液に可溶である。カプセルを嚥下すると、ゼラチンシェルは消化管内で急速に溶解または破裂し、それによって医薬活性物質を液体コアから生理系内に導入する。
【0041】
好ましくは、カプセルは、嚥下を容易にするために長円形または楕円形の形状を有する。有効成分の組み合わせを300~700mg含むカプセルの場合、長円形カプセルは、約10~28mm、好ましくは20~26mm、特に約25mmの長さであり得、約5~11mm、好ましくは6~10mm、特に8~9mmの直径を有し得る。
【0042】
本発明による組成物は、好ましくは、鉄(すなわち、カルボニル鉄、フマル酸第一鉄もしくは硫酸第一鉄)、ヨウ化物(すなわち、ヨウ化カリウムもしくはヨウ素酸カリウム)、マグネシウム(すなわち、酸化マグネシウム)、カルシウム(すなわち、炭酸カルシウム)、亜鉛(すなわち、酸化亜鉛もしくは硫酸亜鉛)、銅(すなわち、硫酸銅もしくは酸化銅)、DHAおよびEPAからなるか、またはそれらを含む群から選択される少なくとも2、3、4、5または少なくとも6種の栄養素を含み得る。さらに、本発明による組成物は、好ましくは、ビタミンA(すなわち、パルミチン酸レチノールもしくはβ-カロテン)、ビタミンB1(すなわち、チアミンもしくは一硝酸チアミン)、ビタミンB2(すなわち、リボフラビン)、ビタミンB3(すなわち、ニコチンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸もしくはパントテン酸カルシウムとして)、ビタミンB6(すなわち、ピリドキシンもしくは塩酸ピリドキシン)、ビタミンB9(すなわち、葉酸もしくはメタホリン)、ビタミンB12(すなわち、シアノコバラミン)、ビタミンH(すなわち、ビオチン)、ビタミンD(すなわち、ビタミンD3)、ビタミンE(すなわち、DL-α-トコフェリルアセテート、DL-α-トコフェロールもしくはD-α-トコフェロール)、コリン(すなわち、重酒石酸コリン)およびビタミンKからなるか、またはそれらを含む群から選択される少なくとも2、3、4、5または少なくとも6種のビタミンを含み得る。
【0043】
より具体的には、本発明による食品組成物または医薬組成物は、充填組成物についてはカプセル1個あたりのmg数、シェル組成物についてはシェルの全成分に対する重量パーセントで、以下の処方物R21および/またはR22の成分を+/-200%、150%または100%、好ましくは+/-50%、より好ましくは+/-40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%または1%含む。
【0044】
【0045】
別の特定の実施形態では、本発明による食品組成物または医薬組成物は、(充填組成物についてはカプセル1個あたりのmg数、シェル組成物についてはシェルの全成分に対する重量パーセントで)、以下の処方物G3、G5、G7またはG8のそれぞれの成分を+/-200%、150%または100%、好ましくは+/-50%、より好ましくは+/-40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%または1%含む。
【0046】
【0047】
本発明の剤形はいずれも、少なくとも部分的にアスコルビン酸塩の形態で製剤化されなければならないビタミンCを除いて、当業者に知られている何らかの薬学的に許容される形態の上記のビタミンおよび/またはミネラル(それらの塩を含む)を使用して製剤化され得る。例えば、有用な薬学的に許容されるマグネシウム化合物としては、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムが挙げられる。薬学的に許容される鉄化合物としては、周知の鉄II(第一鉄)または鉄III(第二鉄)サプリメント、例えば硫酸第一鉄、塩化第二鉄、グルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄、酒石酸第一鉄、鉄-糖-カルボキシレート錯体、フマル酸第一鉄、コハク酸第一鉄、グルタミン酸第一鉄、クエン酸第一鉄、ピロリン酸第一鉄、コリンイソクエン酸第一鉄、炭酸第一鉄などのいずれかが挙げられる。
【0048】
本発明のソフトゲルカプセルに使用されるビタミンおよび/またはミネラルは、ミネラルおよび/またはビタミンが不足しているあらゆる人、例えば、妊婦、授乳中の女性または妊娠を試みている出産可能な女性などであるがこれらに限定されない人による摂取が好ましくは推奨されるものである。これらのビタミンおよびミネラルは、ミネラルおよび/またはビタミンが不足している1人または複数の人、例えば、妊婦、授乳中の女性もしくは妊娠を試みている出産可能な女性、またはその発達中の胎児もしくは乳児などであるがこれらに限定されない人の栄養を高めるのに有効な量で使用される。
【0049】
各剤形は、上記ビタミン、ミネラルまたは他の栄養素のうちの1種以上を、ミネラルおよび/またはビタミンが不足しているあらゆる人、例えば、妊婦、授乳中の女性または妊娠を試みている出産可能な女性などであるがこれらに限定されない人が摂取するのに安全な任意の量(すなわち、バー型食品を摂取している女性、またはその発育中の胎児もしくは授乳中の乳児に害を及ぼさない量)で含み得る。
【0050】
すでに述べたように、処方物R21、R22、G3、G5、G7またはG8に基づくロットからなるマルチビタミン混合物であって、アスコルビン酸の形態のビタミンCの代わりにアスコルビン酸カルシウムを充填材中に有する、マルチビタミン混合物(a)から本質的になり、壊れやすいとは見なされなかった本発明による剤形が好ましい。このようなマルチビタミン混合物は、これらの食品組成物または医薬組成物のいずれかについて示されるのとほぼ同じ定性的および定量的組成物を含むことができることに留意されたい。
【0051】
本発明の第2の態様は、ミネラルおよび/またはビタミンが不足しているあらゆる人、例えば妊婦、授乳中の女性または妊娠を試みている出産可能な女性などであるがこれらに限定されない人の食事のニーズを補う方法であって、ミネラルおよび/またはビタミンが不足している人に、例えば、本発明の第1の態様による医薬組成物または食品組成物を、限定されないが、食事補給量で投与するステップを含む方法に言及する。好ましくは、医薬組成物または食品組成物の1つの単位剤形が、1日あたりのミネラルおよび/またはビタミンが不足しているこのような人に投与される。
【0052】
本発明の第3の態様は、ソフトゲルゼラチンカプセルの形態の医薬組成物または食品組成物の壊れやすさを低減する方法であって、ソフトゲルゼラチンカプセルが、(a)1種または複数種のビタミンであって、これらの1種または複数種のビタミンの少なくとも1種が、アスコルビン酸の形態のビタミンCである、ビタミンと、場合により(b)1種または複数種のミネラルと、(c)医薬品または食品として適切な担体、例えばDHAおよび/またはEPAとからなるか、それらを含み、この方法が、アスコルビン酸の形態のビタミンCの含有量を、アスコルビン酸塩の形態のビタミンC、例えば、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩の形態のビタミンCに部分的または完全に置き換えるステップを含む、方法に言及する。
【0053】
あるいは、本発明の第3の態様はさらに、ソフトゲルゼラチンカプセルの形態の医薬組成物または食品組成物の壊れやすさを低減する方法であって、ソフトゲルゼラチンカプセルが、(a)1種または複数種のビタミンであって、これらの1種または複数種のビタミンの少なくとも1種が、アスコルビン酸の形態のビタミンCである、ビタミンと、場合により(b)1種または複数種のミネラルと、(c)医薬品または食品として適切な担体、例えばDHAおよび/またはEPAとからなるか、それらを含み、この方法が、アスコルビン酸の形態のビタミンCの含有量を、部分的または完全に低減して、該含有量をアスコルビン酸塩、例えば、アスコルビン酸カルシウム、または何らかの他の二価カチオン塩、例えばアスコルビン酸マグネシウムなどであるがこれらに限定されないアスコルビン酸塩に置き換えるステップを含む、方法に関する。
【0054】
本発明の第1の態様で示される1種もしくは複数種のビタミン、1種もしくは複数種のミネラルおよび/または他の栄養素のいずれもが、本発明の第3の態様で特定される医薬組成物または食品組成物中にも存在し得ることに留意されたい。好ましい実施形態では、本発明の第3の態様で特定される医薬組成物または食品組成物は、アスコルビン酸の形態のビタミンCと、ビタミンA(例えば、β-カロテン)、ビタミンB1(例えば、チアミン塩)、ビタミンB2(例えば、リボフラビン)、ビタミンB3(例えば、ニコチンアミド)、ビタミンB5(例えば、パントテン酸塩)、ビタミンB6(例えば、ピリドキシン塩)、ビタミンB12(例えば、シアノコバラミン)、ビタミンD(例えば、コレカルシフェロール)、ビタミンE(例えば、α-トコフェリルアセテート)、ビタミンB9(例えば、葉酸もしくはメタホリン酸)およびビタミンH(例えば、ビオチン)を含むか、またはそれらからなる群から選択される少なくとも1種のさらなるビタミンとを含む食品組成物または医薬組成物である。また好ましくは、本発明の第3の態様で特定される医薬組成物または食品組成物は、アスコルビン酸の形態のビタミンCと、ビタミンA(例えば、パルミチン酸レチノールおよびβ-カロテン)、ビタミンB1(例えば、チアミン塩)、ビタミンB2(例えば、リボフラビン)、ビタミンB3(例えば、ニコチンアミド)、ビタミンB5(例えば、パントテン酸塩)、ビタミンB6(例えば、ピリドキシン塩)、ビタミンB12(例えば、シアノコバラミン)、ビタミンD(例えば、コレカルシフェロール)、ビタミンE(例えば、DL-α-トコフェリルアセテート、DL-α-トコフェロールもしくはD-α-トコフェロール)、ビタミンB9(例えば、葉酸)ならびにビタミンH(例えば、ビオチン)を含むか、またはそれらからなる群から選択される少なくとも1種のさらなるビタミンとを含む食品組成物または医薬組成物である。また好ましくは、本発明の第3の態様で特定される医薬組成物または食品組成物は、アスコルビン酸の形態のビタミンCと、ビタミンA(例えば、β-カロテン)、ビタミンB1(例えば、チアミン塩)、ビタミンB2(例えば、リボフラビン)、ビタミンB3(例えば、ニコチンアミド)、ビタミンB5(例えば、パントテン酸塩)、ビタミンB6(例えば、ピリドキシン
塩)、ビタミンB12(例えば、シアノコバラミン)、ビタミンD(例えば、コレカルシフェロール)、ビタミンE(α-トコフェリルアセテート)、ビタミンB9(例えば、葉酸もしくはメタホリン酸)およびビタミンH(例えば、ビオチン)を含むか、またはそれらからなる群から選択される少なくとも1種のさらなるビタミンとを含む食品組成物または医薬組成物であって、該医薬組成物または食品組成物は、鉄(フマル酸第一鉄として)、ヨウ化物(好ましくはヨウ素酸カリウムとして)、マグネシウム(好ましくは酸化マグネシウムとして)、亜鉛(好ましくは酸化亜鉛として)、亜セレン酸塩(例えば、亜セレン酸ナトリウム)および銅(好ましくは硫酸銅として)またはそれらの任意の組み合わせからなるか、またはそれらを含むリストから選択されるミネラルをさらに含む。また好ましくは、本発明の第3の態様で特定される医薬組成物または食品組成物は、アスコルビン酸の形態のビタミンCと、ビタミンA(例えば、パルミチン酸レチノールおよびβ-カロテン)、ビタミンB1(例えば、チアミン塩)、ビタミンB2(例えば、リボフラビン)、ビタミンB3(例えば、ニコチンアミド)、ビタミンB5(例えば、パントテン酸塩)、ビタミンB6(例えば、ピリドキシン塩)、ビタミンB12(例えば、シアノコバラミン)、ビタミンD(例えば、コレカルシフェロール)、ビタミンE(例えば、DL-α-トコフェリルアセテート、DL-α-トコフェロールもしくはD-α-トコフェロール)、ビタミンB9(例えば、葉酸)ならびにビタミンH(例えば、ビオチン)を含むか、またはそれらからなる群から選択される少なくとも1種のさらなるビタミンとを含む食品組成物または医薬組成物であって、該医薬組成物または食品組成物は、鉄(カルボニル鉄として)、ヨウ化物(好ましくはヨウ化カリウムとして)、カルシウム(好ましくは炭酸カルシウムとして)、マグネシウム(好ましくは酸化マグネシウムとして)、亜鉛(好ましくは酸化亜鉛として)ならびに銅(好ましくは硫酸銅および/もしくは酸化銅として)またはそれらの任意の組み合わせからなるか、またはそれらを含むリストから選択されるミネラルをさらに含む。
【0055】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様による医薬組成物または食品組成物の調製または合成方法に言及し、この方法は、ミネラルおよび/またはビタミンが不足しているあらゆる人、例えば妊婦、授乳中の女性または妊娠を試みている出産可能な女性などであるがこれらに限定されない人の食事のニーズを補うのに適している。好ましくは、前記調製は、1日1回投与することができる単一の医薬単位剤形または食品単位剤形の調製を目的とする。
【0056】
本明細書に記載のあらゆる特徴は、本発明のあらゆる方法、医学的使用、キットおよびキットの使用の実施形態のいずれかと任意に組み合わせることができることが最終的に企図される。また、本明細書で考察されるあらゆる実施形態は、これらのいずれかに関して実施することができる。本明細書に記載の特定の実施形態は、例示として示されており、本発明の限定として示されているのではないことが理解されよう。
【0057】
すべての刊行物および特許出願は、それぞれの個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
「1つ(a)」または「1つ(an)」という用語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」および「1つまたは1つを超える」の意味とも合致する。「別の(another)」という用語の使用もまた、1つまたは複数を指し得る。特許請求の範囲における「または(or)」という用語の使用は、代替物のみを指すことが明示されていない限り、または代替物が相互に排他的でない限り、「および/または(and/or)」を意味するために使用される。
【0059】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「含む(comprising)」(ならびにcomprisingのあらゆる形態、例えば「含む(comprise)」および「含む(comprises)」)、「有する(having)」(ならびにhavingのあらゆる形態、例えば「有する(have)」および「有する(has)」)、「含む(including)」(ならびにincludingのあらゆる形態、例えば「含む(includes)」および「含む(include)」)または「含む(containing)」(ならびにcontainingのあらゆる形態、例えば「含む(contains)」および「含む(contain)」)といった用語は、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法のステップを排除しない。「含む(comprises)」という用語はまた、「からなる(consists of)」および「から本質的になる(consists essentially of)」という用語を包含し、明示的に開示する。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、ある請求項の範囲を、明記された材料またはステップと、特許請求される発明の基本的かつ新規な1つまたは複数の特徴に実質的に影響を及ぼさないものとに限定する。本明細書で使用される場合、「からなる(consisting of)」という語句は、特許請求の範囲に明記されていないあらゆる要素、ステップまたは成分を、例えば、その要素または限定に通常関連する不純物を除いて排除する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「またはそれらの組み合わせ」という用語は、その用語に先行して列挙された項目のすべての並べ替えおよび組み合わせを指す。例えば、「A、B、Cまたはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BCまたはABCのうちの少なくとも1つを含むことを意図し、特定の状況において順序が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BACまたはCABも含むことを意図する。この例を続けると、1つまたは複数の項目または用語の繰り返しを含む組み合わせ、例えばBB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどが明示的に含まれる。当業者であれば、文脈からそうでないことが明らかでない限り、典型的には、あらゆる組み合わせにおいて項目または用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0061】
本明細書で使用される場合、近似を意味する用語、例えば、限定されないが、「約(about)」、「約(around)」、「約(approximately)」は、該用語で修飾された場合、必ずしも絶対的または完全ではないと理解される条件であるが、当業者にとって、その条件が存在すると指定する保証に十分に近いと考えられる条件を指す。説明が変化し得る程度は、どの程度大きな変更を設けることができるかによって決まり、依然として当業者に対して、修飾された特徴が、修飾されていない特徴がもつ必要な特性および可能性を依然として有するものであると認識させる。一般に、前述の考察を前提として、近似を意味する用語、例えば「約」で修飾された本明細書中の数値は、記載された値から±1、2、3、4、5、6、7、8、9または10%変化し得る。したがって、「約」という用語は、その値の表示値±5%、好ましくはその値の表示値±2%を意味し得、最も好ましくは、「約」という用語は正確に表示値(±0%)を意味する。
【0062】
実施例
実施例1 マルチビタミン/マルチミネラル標準品(STD1およびSTD2)に由来する新たな処方物の経時的な物理的特性の評価
この実施例の目的は、マルチビタミン/マルチミネラル標準品STD1およびSTD2の脆性について考えられる根本原因を見出すことであった。これらの2つの製品のそれぞれの定性的および定量的組成を以下の表4で特定する。
【0063】
この意味で、本発明者らが、このような製品を以下に記載する標準的な調製方法(STD)に従って調製したことに留意されたい。
-充填配合物の調製:
充填材料は、油と黄蜜蝋とを60~65℃で混合することによって得られる。黄蜜蝋がすべて溶解したときに、温度を45℃に低下させる。その後、ミネラルを添加し、混合する。第2のステップにおいて、温度を30℃に低下させ、ビタミン化合物を添加する。次いで、調製物を混合し、均質化し、脱気し、ふるいにかける。混合物を、カプセル化前に窒素と共に密閉タンクに保管する。
-シェル配合物の調製:
ゼラチン塊は、精製水、可塑剤、ゼラチンおよび着色剤の酸化鉄を真空中で混合し溶融することによって得られる。
-カプセル化工程:
充填材料およびゼラチン塊は、カプセル化機を使用してソフトゼラチンカプセルに加工される。中鎖トリグリセリドとレシチンとの混合物を、リボン潤滑のため、また、カプセルの付着防止剤として使用する。
-乾燥工程:
ソフトゼラチンカプセルが得られ、次いで乾燥される。乾燥は、最初は回転乾燥機を用いて行う。最終的な乾燥は、トレイ上で静的乾燥機内で行う。
【0064】
本発明者らはまた、様々な調製の方法論を用いてこのような製品を調製した。様々な調製方法を用いる理由は、カプセル化工程のパラメータを調整し、乾燥および保管条件を制御することによって、ソフトゲルカプセルの脆性の低減を達成することができることが知られているからである。この意味で、以下の表3に反映されるように、以下のパラメータを標準的な調製方法に関連して試験した。
-カプセル化工程
・ゼラチンの寿命:12時間および72時間
・ゼラチンリボンの厚み:0.92、0.95および1.00mm
・内部潤滑剤:中鎖トリグリセリドとレシチンまたはVaseline(登録商標)との混合物
-乾燥工程
・動的乾燥機の空気流「オン」でのファン数:2枚または4枚
・静的乾燥条件:22℃/20% HRまたは27℃/10% HR
【0065】
様々な方法によって製造されたソフトゼラチンカプセルの脆性を評価するために、内部試験を開発した。この方法は、各カプセルを金属製の試験プラットフォーム上に、継ぎ目がプレートに対して常に平行になるように配置することからなり(
図1A)、カプセルの位置は、結果に明確な影響を及ぼすため、試験にとって重要であると見なされた。内径30mm、外径40mmおよび高さ100mmのメタクリレート管を選択し、カプセルが管の中央に位置するように配置した(
図1B)。100gの重りをプラットフォーム上に載せてプラットフォームの上部に配置し(
図1C)、次いで、重りがカプセル上に落ちるようにプラットフォームを開き(
図1D)、重りが落ちた後、カプセルの完全性を検査した(
図1Eおよび
図1F)。
【0066】
試験は代表的な試料(25個のカプセル)で行い、結果は破損したカプセルのパーセンテージで表した。破損したカプセルのパーセンテージが12%を超える場合、製品は壊れやすいと考えられた。
【0067】
【0068】
上記の結果から、標準品が、それらの調製方法とは無関係にカプセルの脆性をもたらした(破損したカプセル≧12%)ことは明らかである。
【0069】
したがって、試験した様々な方法論が製品の脆性に及ぼす影響を評価することとは別に、本発明者らは、シェル配合物および充填配合物の変更を含めて、マルチビタミン/マルチミネラル標準処方物に由来する様々な定性的および定量的組成物(以下の表4および表5の配合物R1~R22の組成を参照)を調製することによって、このような壊れやすさのさらなる原因を評価した。
【0070】
これに関して、文献に記載されているように、ゼラチンの種類(すなわち、起源、変性方法の種類、分子量、ブルーム強度)は、ソフトゲルカプセルの脆性に影響を及ぼし得る。さらに、使用される可塑剤の種類および量によっては、壊れやすさの現象を低減することができた。
【0071】
一方、本発明者らは、充填組成物中に見られる様々な栄養素または賦形剤を置き換える効果を評価した。特に、本発明者らは、充填組成物中の酸化マグネシウム、リン酸三カルシウム、(様々な濃度の)グリセリン、レシチンおよびコロイダルシリカの有無を決定した。本発明者らは、アスコルビン酸をアスコルビン酸カルシウムに置き換え、硫酸亜鉛を酸化亜鉛に置き換え、硫酸第一鉄をフマル酸第一鉄に置き換える効果、また、DHA魚油エチルエステルをDHA魚油トリグリセリドに変えてDHA油の種類の効果をさらに評価した。さらに、様々な蜜蝋量を検査した。
【0072】
カプセル1個あたりの栄養素の量およびサイズ(13長円形)に関する仕様に従うために、各充填配合物の物理的パラメータに基づいてカプセル1個あたりの充填重量を調整した。
【0073】
様々な完成品をポリエチレン袋に詰め、倉庫条件(15~25℃の温度)で保管した。
【0074】
脆性の1つまたは複数の原因を見出すために、様々なバッチ(処方物STDおよび処方物R1~R22)の壊れやすさを様々な時間(時間0、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月および12ヵ月)でさらに試験した。結果を、破損したカプセルのパーセンテージとして表し、以下の表6にまとめる。
【0075】
各バッチの経時的な壊れやすさの変数を評価するために、ムードの中央値検定を使用した(95.0%信頼区間)。得られた値は、処方物R20、R21およびR22(p値>0.05)を除いて、様々な製品の壊れやすさが経時的に有意に増加する(p値≦0.05)ことを示している。
【0076】
充填処方物中にビタミンCがいずれの形態でも含まれていなかったR20バッチに関しては、試験した様々なサンプリング時間で得られた破損したカプセルは0%であった。したがって、処方物R20は、製造日から12ヵ月後でも壊れやすくはない。
【0077】
充填処方物がアスコルビン酸カルシウムの形態のビタミンCを含んでいた処方物R21およびR22の壊れやすさの結果に関して、経時的に有意差は観察されなかった。どちらの製品も、製造日から12ヵ月後に壊れやすさの問題を示さなかった。
【0078】
したがって、アスコルビン酸としてのビタミンCは、設計されたマルチビタミン/マルチミネラル製品(STD1およびSTD2)の壊れやすさの根本原因に関与している。アスコルビン酸カルシウムとしてのビタミンCの使用は、設計されたマルチビタミン/マルチミネラル製品に、その壊れやすさを引き起こすことなくビタミンCを含めることを可能にする。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
実施例2 新たなバッチG1およびG2の経時的な物理的特性の評価
2つの異なる処方物G1およびG2を、1つのソフトゲルにおいて完全なマルチビタミン/マルチミネラル出生前サプリメントが得られるように設計した(表7参照)。経時的に、これらの処方物の両方について壊れやすさの問題が観察された(表8参照)。
【0083】
これらの組成物の壊れやすさの根本原因を決定するために、以下の変更を行って表7に含まれる6つの新たな配合物(G3~G8)を製造した。
-充填処方物に変更を加えた:
・アスコルビン酸からアスコルビン酸カルシウムに;
・硫酸銅から酸化第二銅に;そして
・DL-α-トコフェリルアセテート(合成ビタミンE)からD-アルファトコフェロール(天然ビタミンE)に。
-シェル処方物の変更も行った:
・ゼラチンAからゼラチンBに。
【0084】
これに関して、文献に記載されているように、ゼラチンの種類(すなわち、起源、変性方法の種類、分子量、ブルーム強度)は、カプセルの脆性に影響を及ぼし得る。したがって、様々な種類のゼラチンを試験した。
【0085】
カプセル1個あたりの各栄養素のラベル表示および製品の標準サイズ(22長円形)に関する仕様に従うために、カプセル1個あたりの充填重量を調整した。
【0086】
上記バッチのそれぞれの完成品を22℃および相対湿度20%で乾燥させた。カプセルの柔軟性が7.0Nに達したときに乾燥工程を停止した。様々なバッチのそれぞれのカプセルをポリエチレン袋に詰め、倉庫条件(温度15~25℃)で保管した。
【0087】
脆性の1つまたは複数の原因を見出すために、様々なバッチ(処方物G1~G8)の壊れやすさを様々な時間(時間0、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月および6ヵ月)でさらに試験した。結果を、破損したカプセルのパーセンテージとして表し、以下の表8にまとめる。
【0088】
各バッチの経時的な壊れやすさの変数を評価するために、ムードの中央値検定を使用した(95.0%信頼区間)。得られた値は、安定性について破損したカプセルの値が12%未満のままであった処方物G3、G5、G7およびG8(p値>0.05)を除いて、様々な製品の壊れやすさが経時的に有意に増加する(p値≦0.05)ことを示している。これらの配合物に共通する要素は、アスコルビン酸カルシウムなどのビタミンCの使用である。
【0089】
したがって、設計されたマルチビタミン/マルチミネラル製品の壊れやすさは、ビタミンCの種類に関係している。アスコルビン酸カルシウムを含む処方物は、6ヵ月の時点で壊れやすいとは見なされなかった。しかしながら、アスコルビン酸を含む処方物は壊れやすいと見なされ、経時的に壊れやすさが増加した。
【0090】
【0091】