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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】車両用ヘッドランプ
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240809BHJP
   H04N 23/61 20230101ALI20240809BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240809BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240809BHJP
【FI】
H04N23/60 100
H04N23/61
B60R11/02 Z
G03B15/00 V
G03B15/00 T
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194101
(22)【出願日】2022-12-05
(65)【公開番号】P2023088864
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】21214785.4
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】オレクサンドル クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ブラントステッター
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-075163(JP,A)
【文献】特開平08-016999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
G03B 15/00
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ヘッドランプシステムの前方の障害物を検出するための、光分布を照射するための及び主方向において車両用ヘッドランプの前方にある障害物を検出するための2つの車両用ヘッドランプを含む車両用ヘッドランプシステムであって、
該車両用ヘッドランプは、
- 前記主方向(X)へ指向されたフロント開口部(110)と、ハウジング(100)の前記フロント開口部(110)を閉鎖するカバーレンズ(200)を有するハウジング(100)、
- 前記車両用ヘッドランプ(10)の前方の障害物を検出するために、前記主方向(X)においてカメラ(300)の前方の環境の画像(310)を撮像するためのカメラ(300)を含む障害物検出装置、但し前記カメラ(300)は前記ハウジング(100)の内部に配設されている、及び、
- 前記カメラ(300)の空間的配向を自動的に較正するためのカメラ較正システム、但し前記カメラ較正システムは前記カメラ(300)を予め定められたターゲット位置(P1)に維持するよう構成されている、
を含み、
前記カメラ較正システムは、
- 前記ハウジング(100)の内部における前記カメラ(300)の空間的配向を調節するための調節装置、
- 前記ハウジング(100)に対して非可動的であり、かつ、基準マーク(400)が画像中において前記カメラ(300)によって視認可能であるよう、画像を生成する前記カメラ(300)の視野内における前記ハウジング(100)に配置される基準マーク(400)、但し各画像(310)は一定の予め定められた基準マーク位置セクション(310a)を有し、前記カメラ(300)は、前記基準マーク(400)が画像(310)の前記予め定められた基準マーク位置セクション(310a)の内部に配置されている場合、前記ターゲット位置(P1)にあること、及び、
- 前記カメラ(300)及び前記調節装置へ接続された制御装置、但し前記制御装置は前記カメラ(300)によって撮像された画像(310)を受け取るよう構成されており、前記制御装置は、前記基準マーク(400)が画像(300)の前記予め定められた基準マーク位置セクション(310a)の外部の非ターゲット位置(P2)にある場合、前記カメラ(300)の前記ターゲット位置(P1)からのずれを除去するよう、前記調節装置を制御すること
を含むこと
前記車両用ヘッドランプシステムは、前記車両用ヘッドランプ(複数)(10)の前記カメラ(複数)(300)、前記制御装置(複数)及び前記調節装置(複数)に接続された更なる制御装置を含むこと、
前記更なる制御装置は、両方の車両用ヘッドランプ(10)の撮像画像(310)を受け取るよう構成されていること、
前記更なる制御装置は、該更なる制御装置に記憶されたプログラムを用いて、前記カメラ(複数)(300)によって同時に撮像された画像(複数)(310)が前記プログラムによってオーバーラップされたとき、前記画像(複数)(310)が当該画像(複数)(310)内の地平線及び/又は道路脇を基準として実質的にオーバーラップするように、前記カメラ(複数)(300)を前記調節装置(複数)を介して互いに対し位置合わせするよう構成されていること、
各車両用ヘッドランプ(10)の前記カメラ較正システムは、前記更なる制御装置が前記カメラ(複数)(300)が非ターゲット位置(P2)に位置するよう前記カメラ(複数)(300)を位置合わせする場合、前記カメラ(複数)(300)を前記ターゲット位置(P1)へもたらすこと、
前記車両用ヘッドランプ(複数)(10)は、該車両用ヘッドランプ(複数)(10、11、12)の前記カメラ(複数)が、前記車両用ヘッドランプシステムに対する前記車両用ヘッドランプシステムの前方の障害物の距離測定のために、相互間に距離を有するよう、互いに対し離隔されていること、
距離測定のために、前記画像(複数)(311、312)は各画像(311、312)のオーバーラップエリア(320)においてのみオーバーラップし、そのため、各画像(311、312)はオーバーラップエリア(320)と非オーバーラップエリア(321、322)を含むこと、
各画像(311、312)の基準マーク位置セクション(311a、312a)は前記非オーバーラップエリア(321、322)内に位置付けられること
を特徴とする、車両用ヘッドランプシステム
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記基準マーク(400)は前記カバーレンズ(200)上に配されているか又は前記カバーレンズ(200)の一部であること
を特徴とする、車両用ヘッドランプシステム
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記車両用ヘッドランプ(10)は、前記基準マーク(400)のシャープな画像を生成するために、前記基準マーク(400)と前記カメラ(300)の間に配置されたレンズ(410)又はレンズシステムを含むこと
を特徴とする、車両用ヘッドランプシステム
【請求項4】
請求項3に記載の車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記レンズ(410)又は前記レンズシステムは前記カバーレンズ(200)の部分であるか又は前記カバーレンズ(200)の一体的な部分であること
を特徴とする、車両用ヘッドランプシステム
【請求項5】
請求項1に記載の車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記基準マーク(400)は前記カバーレンズ(200)の2成分成形プロセスを介して黒色材料として前記カバーレンズ(200)上に形成されていること
を特徴とする、車両用ヘッドランプシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記基準マーク(400)は、車両において前記車両用ヘッドランプ(10)が正確に搭載された状態で見て、水平線をx方向に揃えかつ垂直線をy方向に揃えることができるようにするために、前記水平線と前記垂直線を含む十字として形成されていること
を特徴とする、車両用ヘッドランプシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記基準マーク(400)は前記ハウジング(200)の付加的なベゼルに配されていること
を特徴とする、車両用ヘッドランプシステム。
【請求項8】
請求項1に記載の少なくとも1つの車両用ヘッドランプシステムを含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年12月15日に出願された欧州特許出願第21214785.4号についてのパリ条約上の優先権の利益を主張するものであり、当該出願の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【0002】
本発明は、光分布を照射するための及び主方向において車両用ヘッドランプの前方にある障害物を検出するための車両用ヘッドランプに関する。
【0003】
本発明は、更に、車両用ヘッドランプシステムの前方にある障害物を検出するための、本発明に応じた2つの車両用ヘッドランプを含む車両用ヘッドランプシステムに関する。
【0004】
本発明は、更に、本発明に応じた少なくとも1つの車両用ヘッドランプ及び/又は本発明に応じた少なくとも1つの車両用ヘッドランプシステムを含む車両に関する。
【背景技術】
【0005】
従来技術において、車両用ヘッドランプ内のカメラの較正は振動、部品の公差又はアルゴリズムのためにドリフト(変動)してずれ(drift away)得る。較正は、通常、アルゴリズムによって及び/又はシステムの前方の既知のパターンを参照して実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】DE 10 2006 056180 A1
【文献】EP 0 691 599 B1
【文献】DE 10 2019 108056 A1
【文献】DE 10 2015 116920 A1
【文献】US 2017/129389 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、その実行中には固定的な基準点(複数)が提供されないため、較正はドリフトしてずれる傾向がある。ソフトウェアアルゴリズムの使用はパフォーマンスロスの低減(抑制)に役立つが、ドリフトは補償されるべき許容範囲内でなければならない。
【0008】
本発明の目的は改善された車両用ヘッドランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の視点により、車両用ヘッドランプシステムの前方の障害物を検出するための、光分布を照射するための及び主方向において車両用ヘッドランプの前方にある障害物を検出するための2つの車両用ヘッドランプを含む車両用ヘッドランプシステムが提供される。該車両用ヘッドランプは、
- 前記主方向へ指向されたフロント開口部と、ハウジングの前記フロント開口部を閉鎖するカバーレンズを有するハウジング、
- 前記車両用ヘッドランプの前方の障害物を検出するために、前記主方向においてカメラの前方の環境の画像を撮像するためのカメラを含む障害物検出装置、但し前記カメラは前記ハウジングの内部に配設されている、及び、
- 前記カメラの空間的配向を自動的に較正するためのカメラ較正システム、但し前記カメラ較正システムは前記カメラを予め定められたターゲット位置に維持するよう構成されている、
を含み、
前記カメラ較正システムは、
- 前記ハウジングの内部における前記カメラの空間的配向を調節するための調節装置、
- 前記ハウジングに対して非可動的であり、かつ、基準マークが画像中において前記カメラによって視認可能であるよう、画像を生成する前記カメラの視野内における前記ハウジングに配置される基準マーク、但し各画像は一定の予め定められた基準マーク位置セクションを有し、前記カメラは、前記基準マークが画像の前記予め定められた基準マーク位置セクションの内部に配置されている場合、前記ターゲット位置にあること、及び、
- 前記カメラ及び前記調節装置へ接続された制御装置、但し前記制御装置は前記カメラによって撮像された画像を受け取るよう構成されており、前記制御装置は、前記基準マークが画像の前記予め定められた基準マーク位置セクションの外部の非ターゲット位置にある場合、前記カメラの前記ターゲット位置からのずれを除去するよう、前記調節装置を制御すること
を含むこと
記車両用ヘッドランプシステムは、前記車両用ヘッドランプ(複数)の前記カメラ(複数)、前記制御装置(複数)及び前記調節装置(複数)に接続された更なる制御装置を含むこと、
前記更なる制御装置は、両方の車両用ヘッドランプの撮像画像を受け取るよう構成されていること、
前記更なる制御装置は、該更なる制御装置に記憶されたプログラムを用いて、前記カメラ(複数)によって同時に撮像された画像(複数)が前記プログラムによってオーバーラップされたとき、前記画像(複数)が当該画像(複数)内の地平線(horizon)及び/又は道路脇ないし道端ないし道路沿い(roadside)を基準として実質的にオーバーラップするように、前記カメラ(複数)を前記調節装置(複数)を介して互いに対し位置合わせするよう構成されていること、
各車両用ヘッドランプの前記カメラ較正システムは、前記更なる制御装置が前記カメラ(複数)が非ターゲット位置に位置するよう前記カメラ(複数)を位置合わせする場合、前記カメラ(複数)を前記ターゲット位置へもたらすこと
前記車両用ヘッドランプ(複数)は、該車両用ヘッドランプ(複数)の前記カメラ(複数)が、前記車両用ヘッドランプシステムに対する前記車両用ヘッドランプシステムの前方の障害物の距離測定のために、相互間に(所定の)距離を有するよう、互いに対し離隔されていること、
距離測定のために、前記画像(複数)は各画像のオーバーラップエリアにおいてのみオーバーラップし、そのため、各画像はオーバーラップエリアと非オーバーラップエリアを含むこと、
各画像の基準マーク位置セクションは前記非オーバーラップエリア内に位置付けられること
を特徴とする(形態)。
更に、本発明の第の視点により、本発明の少なくとも1つの車両用ヘッドランプシステムを含む、車両が提供される(形態)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記基準マークは前記カバーレンズ上に配されていること、好ましくは前記カバーレンズの一部であることが好ましい。
(形態3)形態1又は2の車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記車両用ヘッドランプは、前記基準マークのシャープな画像を生成するために、前記基準マークと前記カメラの間に配置されたレンズ又はレンズシステムを含むことが好ましい。
(形態4)形態3の車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記レンズ又は前記レンズシステムは前記カバーレンズの部分であること、好ましくは前記カバーレンズの一体的な部分であることが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記基準マークは前記カバーレンズの2成分成形プロセスを介して黒色材料として前記カバーレンズ上に形成されていることが好ましい。
(形態6)形態1~5の何れかの車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記基準マークは、車両において前記車両用ヘッドランプが正確に搭載された状態で見て、水平線をx方向に揃えかつ垂直線をy方向に揃えることができるようにするために、前記水平線と前記垂直線を含む十字として形成されていることが好ましい。
(形態7)形態1~6の何れかの車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記基準マークは前記ハウジングの付加的なベゼルに配されていることが好ましい。
(形態8)上記本発明の第2の視点参照
【0011】
上記の目的を達成するために、車両用ヘッドランプは、
- 主方向へ指向されたフロント開口部と、ハウジングのフロント開口部を閉鎖するカバーレンズを有するハウジング、
- 車両用ヘッドランプの前方の障害物を検出するために、主方向においてカメラの前方の環境の画像を撮像するためのカメラを含む障害物検出装置、但しカメラはハウジングの内部に配設されている、及び、
- カメラの空間的配向を自動的に較正するためのカメラ較正システム、但しカメラ較正システムはカメラを予め定められたターゲット位置に維持するよう構成されている、
を含み、
カメラ較正システムは、
- ハウジングの内部におけるカメラの空間的配向を調節するための調節装置、
- ハウジングに対して非可動的であり、かつ、基準マークが画像中においてカメラによって視認可能であるよう、画像を生成するカメラの視野内におけるハウジングに配置される基準マーク、但し各画像は一定の予め定められた基準マーク位置セクションを有し、カメラは、基準マークが画像の予め定められた基準マーク位置セクションの内部に配置されている場合、ターゲット位置にあること、及び、
- カメラ及び調節装置へ接続された制御装置、但し制御装置はカメラによって撮像された画像を受け取る(画像信号を受信する)よう構成されており、制御装置は、基準マークが画像の予め定められた基準マーク位置セクションの外部の外部の非ターゲット位置にある場合、カメラのターゲット位置からのずれを除去するよう、調節装置を制御すること
を含む。
【0012】
有利には、基準マークはカバーレンズ上に配されており、好ましくはカバーレンズの一部である(一部を構成する)。
【0013】
有利には、車両用ヘッドランプは、基準マークのシャープな画像を生成するために、基準マークとカメラの間に配置されたレンズ又はレンズシステムを含む。
【0014】
有利には、レンズ又はレンズシステムはカバーレンズの部分であり、好ましくはカバーレンズの一体的な一部分である。
【0015】
有利には、基準マークはカバーレンズの2成分成形プロセスを介して黒色材料としてカバーレンズ上に形成される。
【0016】
有利には、基準マークは、車両において車両用ヘッドランプが正確に搭載された状態で見て、水平線をx方向に揃えかつ垂直線をy方向に揃えることができるようにするために、水平線と垂直線を含む十字として形成される。
【0017】
有利には、基準マークはハウジングの付加的なベゼルに配される。
【0018】
上記の目的は、車両用ヘッドランプシステムの前方の障害物を検出するための、本発明の2つの車両用ヘッドランプを含む車両用ヘッドランプシステムによっても達成される。
車両用ヘッドランプシステムは、(2つの)車両用ヘッドランプのカメラ(複数)、制御装置(複数)及び調節装置(複数)に接続された更なる制御装置を含み、
更なる制御装置は、両方の車両用ヘッドランプの撮像画像を受け取る(画像信号を受信する)よう構成されており、
更なる制御装置は、当該更なる制御装置に記憶されたプログラムを用いて、カメラ(複数)によって同時に撮像された画像(複数)が当該プログラムによってオーバーラップされたとき、画像(複数)が当該画像(複数)内の地平線(horizon)及び/又は道路脇ないし道端ないし道路沿い(roadside)を基準として実質的にオーバーラップするように、カメラ(複数)を調節装置(複数)を介して互いに対し位置合わせするよう構成されており、
各車両用ヘッドランプのカメラ較正システムは、更なる制御装置がカメラ(複数)が非ターゲット位置に位置するようカメラ(複数)を位置合わせする場合、カメラ(複数)をターゲット位置へもたらす。
【0019】
上記の目的は、本発明の少なくとも1つの車両用ヘッドランプ及び/又は本発明の少なくとも1つの車両用ヘッドランプシステムを含む車両によっても達成可能である。
【0020】
以下に、本発明を更に説明するために、図面に示されているような、例示的かつ非限定的実施形態が議論(説明)される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】フロント開口部を有するハウジングとハウジングの開口部を閉鎖するカバーレンズを含む例示的な車両用ヘッドランプの一例の模式的断面図。車両用ヘッドランプはカメラとカメラ較正システムを含み、カメラ較正システムはカバーレンズに配された基準マークを含み、カメラ較正システムはカメラをターゲット位置へ自動的に調節するよう構成されており、基準マークはターゲット位置において撮像画像の基準マーク位置セクション内にある。
図2】基準マークの前方にレンズが配置されているという相違を有する図1の車両用ヘッドランプの一例の模式的断面図。このレンズはカバーレンズの部分である。
図3】基準マークとこれに対応するレンズを有するカバーレンズの一例の一部分の詳細側面図。
図4】カメラの撮像画像。基準マークは基準マーク位置セクション内にあり、従って、カメラはターゲット位置にある。
図5】カメラの他の撮像画像。基準マークは完全には基準マーク位置セクション内にはなく、従って、カメラは非ターゲット位置にある。
図6図1又は図2の実施形態に応じた車両用ヘッドランプを有する車両用ヘッドランプシステムを含む車両の一例の模式的概観図。
【実施例
【0022】
図1は光分布を照射するための及び主方向Xにおいて車両用ヘッドランプ10の前方にある障害物を検出するための車両用ヘッドランプ10の一例を示す。車両用ヘッドランプ10は、主方向Xへ指向されたフロント開口部110を有するハウジング100と、ハウジング100の開口部110を閉鎖するカバーレンズ200を含む。
【0023】
更に、車両用ヘッドランプ10は、車両用ヘッドランプ10の前方にある障害物を検出するために主方向Xにおいて(に見て)カメラ300の前方における環境の画像310を撮像するためのカメラ300を含む障害物検出装置を含む。カメラ300はハウジング100の内部に配置(配設)されている。
【0024】
車両用ヘッドランプ10は、更に、カメラ300の空間的配向を自動的に較正するためのカメラ較正システムを含む。カメラ較正システムはカメラ300を予め定められたターゲット位置P1に維持するよう構成されている。
【0025】
カメラ較正システムは、ハウジング100の内部におけるカメラ300の空間的配向を調節するための調節装置と、ハウジング100に対して非可動的(定置的)であり、かつ、カメラ300によって撮像される画像310において基準マーク400が視認可能であるようカメラ300の画像を生成する視野内におけるハウジング100に配置される基準マーク400とを含む。各画像310は予め定められた一定の基準マーク位置セクション310aを有し、カメラ300は、例えば図4において見出すことができるように、基準マーク400が画像310の予め定められた基準マーク位置セクション310aの内部にある場合、ターゲット位置P1にある。
【0026】
図1及び図2の実施形態では、基準マーク400はカバーレンズ200上に配されており、好ましくは、カバーレンズ200の部分である。
【0027】
更に、カメラ較正システムはカメラ300及び調節装置に接続される制御装置を含む。制御装置はカメラ300によって撮像された画像310を受け取る(受信する)よう構成されている。制御装置は、基準マーク400が画像300の予め定められた基準マーク位置セクション310aの外部の非ターゲット位置P2にある場合、カメラ300のターゲット位置P1からのずれを除去するために、調節装置を制御する。なお、非ターゲット位置P2は例えば図5において見出すことができる。
【0028】
図1の実施形態とほぼ同じ図2の実施形態では、車両用ヘッドランプ10は、基準マーク400のシャープな画像を生成するために基準マーク400とカメラ300の間に配置されたレンズ410を含む。レンズ410はカバーレンズ200の部分であり、好ましくは、カバーレンズ200の一体的な部分である。
【0029】
両実施形態では、基準マーク400は、カバーレンズ200の2成分成形プロセスを介して黒色材料としてカバーレンズ200上に形成(実現)されているが、基準マーク400は―車両において車両用ヘッドランプ10が正確に搭載された状態で見て(x方向は水平線に対応しかつy方向は水平線に対し直角をなす垂直線に対応する)―水平線をx方向に揃えかつ垂直線をy方向に揃えることができるようにするために、水平線と垂直線を含む十字(cross)として形成されている。
【0030】
図6は、本発明に応じた2つの車両用ヘッドランプ10を含む車両用ヘッドランプシステムの一例であって、当該車両用ヘッドランプシステムの前方にある障害物を検出するためのものを示す。図6において、第1の車両用ヘッドランプ11は図示の車両20の左側車両用ヘッドランプであり、第2の車両用ヘッドランプ12は図示の車両20の右側車両用ヘッドランプである。
【0031】
第1の車両用ヘッドランプ11のカメラは画像311を撮像し、第2の車両用ヘッドランプ12のカメラは画像312を撮像する。車両用ヘッドランプシステムは、車両用ヘッドランプ11、12のカメラ(複数)300、制御装置(複数)及び調節装置(複数)に接続される更なる制御装置を含む。
【0032】
更なる制御措置は、両方の車両用ヘッドランプ11、12の撮像された画像(撮像画像)311、312を受け取る(撮像画像の信号を受信する)よう構成されているが、これらの車両用ヘッドランプ11、12は互いに対し離隔されており、そのため、これらの車両用ヘッドランプ11、12のカメラは、車両用ヘッドランプシステムに対する車両用ヘッドランプシステムの前方の障害物の距離測定、即ち三角測量のために、相互間に(所定の)距離を有する。更なる制御装置は、該更なる制御装置に記憶されたプログラムを用いて、カメラ(複数)300によって同時に撮像された画像311、312が該プログラムによってオーバーラップされたとき、画像311、312が画像311、312内の地平線(horizon)及び/又は道端(roadside)を基準として実質的にオーバーラップするように、カメラ(複数)300を調節装置(複数)を介して互いに対し位置合わせする(整列させる)よう構成されており、各車両用ヘッドランプ11、12のカメラ較正システムは、更なる制御装置がカメラ(複数)300が非ターゲット位置P2に位置するようカメラ(複数)300を位置合わせする(整列させる)場合、カメラ(複数)300をターゲット位置P1へもたらす。
【0033】
参考のために、第2の車両用ヘッドランプ12の画像312が太い点線(破線)で図6に示されている。
【0034】
距離測定のために、即ち三角測量によって、オーバーラップが行われる場合、撮像画像311、312は各画像311、312のオーバーラップエリア320においてのみオーバーラップし、そのため、各画像311、312はオーバーラップエリア320と非オーバーラップエリア321、322を含むことになるが、各画像311、312の基準マーク位置セクション311a、312aは非オーバーラップエリア321、322内に位置付けられ、そのため、一方のカメラに対応する基準マークは他方のカメラの画像中に撮像されることはできない。
【0035】
上記の実施形態の全部又は一部は以下の付記として記載可能であるが、それらに限定されない。
[付記1]光分布を照射するための及び主方向において車両用ヘッドランプの前方にある障害物を検出するための車両用ヘッドランプ。
該車両用ヘッドランプは、
- 前記主方向へ指向された(向けられた)フロント開口部と、ハウジングの前記フロント開口部を閉鎖するカバーレンズを有するハウジング、
- 前記車両用ヘッドランプの前方の障害物を検出するために、前記主方向においてカメラの前方の環境の画像を撮像するためのカメラを含む障害物検出装置、但し前記カメラは前記ハウジングの内部に配設されている、及び、
- 前記カメラの空間的配向を自動的に較正するためのカメラ較正システム、但し前記カメラ較正システムは前記カメラを予め定められたターゲット位置に維持するよう構成されている、
を含む。
前記カメラ較正システムは、
- 前記ハウジングの内部における前記カメラの空間的配向を調節するための調節装置、
- 前記ハウジングに対して非可動的であり、かつ、基準マークが画像中において前記カメラによって視認可能であるよう、画像を生成する前記カメラの視野内における前記ハウジングに配置される基準マーク、但し各画像は一定の予め定められた基準マーク位置セクションを有し、前記カメラは、前記基準マークが画像の前記予め定められた基準マーク位置セクションの内部に配置されている場合、前記ターゲット位置にあること、及び、
- 前記カメラ及び前記調節装置へ接続された制御装置、但し前記制御装置は前記カメラによって撮像された画像を受け取るよう構成されている。
前記制御装置は、前記基準マークが画像の前記予め定められた基準マーク位置セクションの外部の非ターゲット位置にある場合、前記カメラの前記ターゲット位置からのずれを除去するよう、前記調節装置を制御すること
を含む。
[付記2]上記の車両用ヘッドランプ、とりわけ付記1の車両用ヘッドランプにおいて、
前記基準マークは前記カバーレンズ上に配されており、好ましくは前記カバーレンズの一部である。
[付記3]上記の車両用ヘッドランプ、とりわけ付記1又は2の車両用ヘッドランプにおいて、
前記車両用ヘッドランプは、前記基準マークのシャープな画像を生成するために、前記基準マークと前記カメラの間に配置されたレンズ又はレンズシステムを含む。
[付記4]上記の車両用ヘッドランプ、とりわけ付記3の車両用ヘッドランプにおいて、
前記レンズ又は前記レンズシステムは前記カバーレンズの部分であり、好ましくは前記カバーレンズの一体的な部分である。
[付記5]上記の車両用ヘッドランプ、とりわけ付記1~4の何れかの車両用ヘッドランプにおいて、
前記基準マークは前記カバーレンズの2成分成形プロセスを介して黒色材料として前記カバーレンズ上に形成されている。
[付記6]上記の車両用ヘッドランプ、とりわけ付記1~5の何れかの車両用ヘッドランプにおいて、
前記基準マークは、車両において前記車両用ヘッドランプが正確に搭載された状態で見て、水平線をx方向に揃えかつ垂直線をy方向に揃えることができるようにするために、前記水平線と前記垂直線を含む十字として形成されている。
[付記7]上記の車両用ヘッドランプ、とりわけ付記1~6の何れかの車両用ヘッドランプにおいて、
前記基準マークは前記ハウジングの付加的なベゼルに配されている。
[付記8]
車両用ヘッドランプシステムの前方の障害物を検出するための、2つの上記車両用ヘッドランプ、とりわけ付記1~7の2つの車両用ヘッドランプを含む車両用ヘッドランプシステム。
前記車両用ヘッドランプシステムは、前記車両用ヘッドランプ(複数)の前記カメラ(複数)、前記制御装置(複数)及び前記調節装置(複数)に接続された更なる制御装置を含む。
前記更なる制御装置は、両方の車両用ヘッドランプの撮像画像を受け取るよう構成されている。
前記更なる制御装置は、該更なる制御装置に記憶されたプログラムを用いて、前記カメラ(複数)によって同時に撮像された画像(複数)が前記プログラムによってオーバーラップされたとき、前記画像(複数)が当該画像(複数)内の地平線(horizon)及び/又は道路脇ないし道端ないし道路沿い(roadside)を基準として実質的にオーバーラップするように、前記カメラ(複数)を前記調節装置(複数)を介して互いに対し位置合わせするよう構成されている。
各車両用ヘッドランプの前記カメラ較正システムは、前記更なる制御装置が前記カメラ(複数)が非ターゲット位置に位置するよう前記カメラ(複数)を位置合わせする場合、前記カメラ(複数)を前記ターゲット位置へもたらす。
[付記9]上記の車両用ヘッドランプシステム、とりわけ付記8の車両用ヘッドランプシステムにおいて、
前記車両用ヘッドランプ(複数)は、該車両用ヘッドランプ(複数)の前記カメラ(複数)が、前記車両用ヘッドランプシステムに対する前記車両用ヘッドランプシステムの前方の障害物の距離測定のために、相互間に(所定の)距離を有するよう、互いに対し離隔されている。
距離測定のために、前記画像(複数)は各画像のオーバーラップエリアにおいてのみオーバーラップし、そのため、各画像はオーバーラップエリアと非オーバーラップエリアを含む。
各画像の基準マーク位置セクションは前記非オーバーラップエリア内に位置付けられる。
[付記10]
少なくとも1つの上記の車両用ヘッドランプ、とりわけ少なくとも1つの付記1~7の何れかの車両用ヘッドランプ、及び/又は少なくとも1つの上記の車両用ヘッドランプシステム、とりわけ少なくとも1つの付記8又は9の車両用ヘッドランプシステムを含む、車両。
【0036】
本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(「非選択」を含む。)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、本発明の技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【0037】
更に、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を実施形態及び図示の実施例に限定することは意図していない。
【0038】
更に、上記の各文献の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【符号の説明】
【0039】
10 車両用ヘッドランプ
11 車両用ヘッドランプ(右側)
12 車両用ヘッドランプ(左側)
100 ハウジング
110 フロント開口部
200 カバーレンズ
300 カメラ
310、311、312 画像
310a、311a、312a 基準マーク位置セクション
320 画像オーバーラップエリア
321、322 画像非オーバーラップエリア
400 基準マーク
410 レンズ
P1 ターゲット位置
P2 非ターゲット位置
X 主方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6