(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】ヒータアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240809BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20240809BHJP
H05B 3/16 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A24F40/46
H05B3/20 312
H05B3/16
H05B3/20 317
(21)【出願番号】P 2022513224
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2020074151
(87)【国際公開番号】W WO2021043693
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/104804
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】リーベル,トニー
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,イーンシュウ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/171331(WO,A2)
【文献】特開昭60-099634(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1600787(KR,B1)
【文献】特開2016-110757(JP,A)
【文献】特開2004-186072(JP,A)
【文献】国際公開第2005/068282(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108013512(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02-3/86
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータアセンブリを製造する方法であって、
可撓性誘電体下地膜の表面上に支持された加熱要素を提供することと、
熱収縮膜と前記
可撓性誘電体下地膜との間に前記加熱要素を少なくとも部分的に封入するように、前記
可撓性誘電体下地膜の前記表面上に前記熱収縮膜の層を取り付けることと
を含
み、
前記加熱要素は、前記加熱要素の平面内の加熱領域にわたる迂回経路を辿るヒータトラックと、電源への接続のための2つの接触脚であって、前記加熱要素の前記平面内において前記ヒータトラックから離れて延在する2つの接触脚とを含む面状加熱要素であり、前記方法は、
前記接触脚を露出させたままにして、前記可撓性誘電体下地膜と前記熱収縮膜の層との間に前記ヒータトラックを封入するように前記熱収縮膜の層を取り付けること
を含む、方法。
【請求項2】
前記
可撓性誘電体下地膜の前記表面領域を越えて1つ又は複数の方向に延在する熱収縮膜の層を取り付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱収縮膜の層は、前記加熱要素を支持する前記
可撓性誘電体下地膜の前記表面上に提供された接着剤を使用して取り付けられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記取り付けられた熱収縮膜の層は、前記延在する接触脚の方向と反対の方向に所定の距離だけ前記加熱要素を越えて延在する位置合わせ領域を含む、請求項
1~3に記載の方法。
【請求項5】
前記位置合わせ領域が前記ヒータトラックを越えて延在する距離が所定の距離に短縮されるように、前記取り付けられた熱収縮膜の前記位置合わせ領域の周縁部を切断するステップを更に含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記取り付けられた熱収縮膜の層は、前記延在する接触脚の前記方向にほぼ直交する方向に前記
可撓性誘電体下地膜を越えて延在する取り付け領域を含む、請求項
4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱要素に隣接する前記可撓性誘電体下地膜の前記表面に温度センサを取り付けることと、
前記加熱要素及び前記温度センサの上に前記
熱収縮膜を取り付けることと
を更に含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱収縮膜の層は、前記温度センサに隣接する前記
可撓性誘電体下地膜の縁領域を露出させたままにするように取り付けられ、前記縁領域は、接着剤を含み、及び前記
縁領域は、前記温度センサに隣接する熱収縮膜の縁部を密封するために前記熱収縮膜の上に折り重ねられる、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記可撓性誘電体下地膜は、前記加熱要素に隣接する領域に貫通孔を含み、前記方法は、
前記温度センサが前記貫通孔上に位置するように前記温度センサを取り付けること
を更に含む、請求項
7又は
8に記載の方法。
【請求項10】
前記
可撓性誘電体下地膜及び前記熱収縮膜は、対応する配置の貫通孔を両方とも含み、前記方法は、
前記
可撓性誘電体下地膜の前記
貫通孔の相対位置に対応する相対位置を有する配置のピンを含む位置決め治具上に前記加熱要素及び誘電体下地膜を位置決めすることであって、それにより、前記ピンは、前記
可撓性誘電体下地膜の前記
貫通孔を通して延在する、位置決めすることと、
前記位置決め治具の前記ピンが前記熱収縮膜の前記
貫通孔に入るように、前記加熱要素及び下地膜上に前記熱収縮膜を位置決めし、それにより前記熱収縮膜を前記
可撓性誘電体下地膜と位置合わせすることと
を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記
可撓性誘電体下地膜、
前記加熱要素及び
前記熱収縮膜の層は、薄膜ヒータアセンブリを形成し、前記方法は、
前記
可撓性誘電体下地膜が管状加熱チャンバの外表面に接触した状態で前記加熱チャンバの前記外表面の周囲に前記薄膜ヒータアセンブリを巻き付けることと、
前記薄膜ヒータアセンブリを加熱して前記
熱収縮膜を収縮させ、前記管状加熱チャンバに対して前記薄膜ヒータアセンブリを固定することと
を更に含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項
4に記載のステップを含み、
前記加熱チャンバの周囲に前記薄膜ヒータアセンブリを巻き付けるとき、前記熱収縮
膜の前記位置合わせ領域を使用して、前記薄膜ヒータアセンブリを前記加熱チャンバに位置合わせすることを更に含む、
請求項4又は5を引用する請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記熱収縮
膜は、加熱されたときに優先的収縮方向に優先的に収縮する材料を含み、前記
熱収縮膜は、前記優先的収縮方向が巻き付け方向と一致するように配置される、請求項
11又は
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータアセンブリ、より詳細にはエアロゾル発生装置のためのヒータアセンブリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜ヒータは、加熱される表面又は対象物に適合できる可撓性の薄型ヒータを一般的に必要とする幅広い用途に使用される。そのような用途の1つは、電子タバコ及びタバコ蒸気生成製品を含む、リスクの低いニコチン送達製品などのエアロゾル発生装置の分野内におけるものである。そのような装置は、加熱チャンバ内のエアロゾル発生物質を加熱して蒸気を生成する。消耗品を加熱する1つの手段は、加熱チャンバの表面に適合する薄膜ヒータを含むヒータアセンブリを使用して、チャンバ内のエアロゾル発生物質の効率的な加熱を確実にすることである。
【0003】
薄膜ヒータは、概して、電源への接続のための加熱要素への接点を備えた、可撓性誘電体薄膜の密封エンベロープ内に封入された抵抗加熱要素を含み、接点は、通常、加熱要素の露出部上にはんだ付けされる。
【0004】
このような薄膜ヒータは、概して、誘電体薄膜支持体上に金属層を堆積させ、薄膜に支持された金属層を加熱要素の所要の形状にエッチングし、エッチングされた加熱要素に誘電体薄膜の第2の層を貼り付け、誘電体薄膜エンベロープで加熱要素を密封するために熱プレスすることによって製造される。次いで、開口部によって露出された加熱要素の部分にはんだ付けされる接点のための開口部を作成するために、誘電体薄膜がダイカットされる。
【0005】
次に、絶縁性薄膜エンベロープ内に密封された面状加熱要素で形成されたこれらの従来の薄膜ヒータは、加熱される表面に取り付けなければならない。エアロゾル発生装置に関連して、この取り付けは、チャンバ内に配置されたエアロゾル発生消耗品に熱を伝達するために、加熱チャンバの外表面に薄膜ヒータを取り付けてヒータアセンブリを形成することを含む。この取り付けは、概して、使用中に加熱チャンバに対して薄膜ヒータを保持するために、接着剤又は他の締結手段を用いて薄膜ヒータを取り付けることによって達成される。他の技法では、ヒータアセンブリの周囲に巻き付いて加熱チャンバに対して薄膜ヒータを保持するように、追加の薄膜を使用する。次いで、薄膜ヒータを、装置内に組み付けるときに電源に接続しなければならない。
【0006】
このような従来の薄膜ヒータ及びヒータアセンブリには、多くの欠点がある。既存の薄膜ヒータは、加熱要素を取り囲む相当量の絶縁材料を含み、これにより熱質量の増加がもたらされ、加熱チャンバへの熱伝達の効率が低下する。この問題は、追加の接着剤及び/又は追加の巻き付け層の適用を含む、加熱チャンバに薄膜ヒータを取り付ける従来の方法によって悪化する。概して手作業で実行しなければならない取り付け方法は、ヒータを確実に取り付けて、加熱チャンバに対してヒータを正しい位置合わせで確実に位置決めすることが困難である、面倒な手順である。正しい位置合わせでの位置決めは、加熱される加熱チャンバの部分と位置合わせされるように、加熱要素に沿った特定の位置に加熱要素を正確に配置する必要があることを前提として、特に重要な問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの問題への対処において進歩を遂げて、改良されたヒータアセンブリ及びヒータアセンブリを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、ヒータアセンブリを製造する方法であって、可撓性誘電体下地膜の表面上に支持された加熱要素を提供することと、熱収縮膜と誘電体下地膜との間に加熱要素を少なくとも部分的に封入するように、誘電体下地膜の表面上に熱収縮膜の層を取り付けることとを含む方法が提供される。
【0009】
このように、熱収縮膜の層が、加熱要素を可撓性下地膜で密封する機能と、また加熱チャンバに加熱要素を取り付ける手段との両方を提供するため、薄膜層の数が低減される。そのため、ヒータアセンブリの熱質量が低減され、熱伝達効率が高められる。更に、確実な取り付けは、加熱要素の密封と取り付けとが同時に実行され得る簡易な方法で熱収縮膜によってもたらされる。熱収縮は、効果的な熱伝達を確実にするために、薄膜ヒータと加熱チャンバとの間に信頼性の高い密着をもたらす。方法は、膜を収縮させて所望の位置にヒータを取り付けるために、加熱前に加熱チャンバ上の所望の位置にヒータを正確に配置することを更に可能にする。そのため、方法は、所要の位置にヒータを確実に固定しない、接着剤の使用などの他の取り付け方法を上回る改善をなす。
【0010】
下地膜を定義するために使用される「誘電体」という用語は、「電気絶縁性」を意味するものとして広く解釈されるように意図されている。
【0011】
加熱要素は、好ましくは、可撓性加熱要素、好ましくは可撓性のほぼ面状の加熱要素である。
【0012】
組み付けられた誘電体下地膜、加熱要素及び熱収縮膜層は、薄膜ヒータアセンブリ又はサブアセンブリと呼ばれることがある。
【0013】
好ましくは、方法は、誘電体下地膜の表面領域を越えて1つ又は複数の方向に延在する熱収縮膜の層を取り付けることを含む。これにより、熱収縮の延在部分を使用して加熱要素及び支持用下地膜を表面に取り付けることが可能となる。更に、延在部分の1つを使用することによって加熱チャンバに対する加熱要素の位置合わせを可能し得、これらの部分は、所定の距離だけ加熱要素を越えて延在する。
【0014】
好ましくは、熱収縮膜の層は、加熱要素に対して直接取り付けられる。このように、加熱要素は、追加の密封層が必要ないように可撓性誘電体下地膜と熱収縮層との間に直接密封される。換言すれば、熱収縮は、密封層と取り付け手段との両方を提供する。
【0015】
好ましくは、熱収縮膜の層は、加熱要素を支持する可撓性誘電体層の表面上に提供された接着剤を使用して取り付けられる。接着剤は、例えば、シリコン接着剤であり得る。接着剤は、下地膜に加熱要素を確実に固定する簡単な手段を提供する。可撓性誘電体下地膜は、接着層を含み得、例えば、可撓性誘電体下地膜は、Si接着層を備えたポリイミド膜であり得る。加熱要素は、次に、接着剤を使用して表面に加熱要素を接着するために、可撓性誘電体下地、接着層及び位置決めされた加熱要素を加熱することによって取り付けられ得る。その後の加熱は、熱収縮膜を収縮させて加熱チャンバに薄膜ヒータを取り付けるために使用される加熱ステップであり得る。
【0016】
下地膜は、Si接着層を備えたポリイミド膜などのポリイミドを含み得る。下地膜は、代替的又は追加的に、PTFEなどのフルオロポリマーを含み得る。下地膜がフルオロポリマーを含む場合、下地膜は、例えば、プラズマエッチング及び/又は化学的エッチングなどの表面処理によって形成された、少なくとも部分的に脱フッ素化された表面層を含み得る。これにより、フルオロポリマーによって提供される極めて低摩擦の表面を考慮すると、別の方法では接着しない処理された表面に接着剤を塗布することが可能となる。下地膜は、追加的又は代替的に、PEEKを含み得る。
【0017】
好ましくは、可撓性誘電体下地膜は、80μm未満、好ましくは50μm未満、好ましくは20μmを超える厚さを有する。
【0018】
熱収縮膜は、ポリイミド、PTFEなどのフルオロポリマー及びPEEKの1つ又は複数を含み得る。熱収縮膜は、好ましくは、1つの方向に優先的に収縮するように配置された優先的熱収縮膜である。例えば、熱収縮膜は、Dunstoneによって製造されたpolyimide 208xテープであり得る。熱収縮膜は、最初に平面状の層、すなわち加熱チャンバの周囲に巻き付けられるように配置された加熱テープ片の形態であり得るか、又は加熱チャンバの周囲に通され(すなわち加熱チャンバ上に被装され)、加熱されて加熱チャンバの表面に対して熱収縮膜を収縮させるように配置された管の形態であり得る。
【0019】
好ましくは、加熱要素は、加熱要素の平面内の加熱領域にわたる迂回経路を辿るヒータトラックと、電源への接続のための2つの接触脚であって、加熱要素の平面内においてヒータトラックから離れて延在する接触脚とを含む面状加熱要素である。好ましくは、ヒータトラックは、加熱領域にわたって実質的に均一な加熱を与えるように構成される。ヒータトラック経路は、加熱領域上の蛇行経路又は曲がりくねった経路であり得、及びヒータトラックは、実質的に均一な幅及び厚さを有し得る。好ましくは、方法は、接触脚を露出させたままにして、下地膜と熱収縮膜層との間にヒータトラックを封入するように熱収縮膜の層を取り付けることを含む。このように、ヒータトラックは、接触脚を電源に接続できるように接触脚が露出されている間、誘電体下地膜と熱収縮膜との間で電気的に絶縁される。
【0020】
接触脚は、薄膜ヒータが装置内で用いられるときに電源への直接接続を可能にするのに十分に長いものであり得る。例えば、接触脚の長さは、加熱領域を画定する寸法の一方又は両方と実質的に等しいか又はそれよりも長いことがある。迂回経路は、加熱領域内に空白領域を残すように構成され得る。
【0021】
好ましくは、取り付けられた熱収縮膜の層は、延在する接触脚の方向と反対の方向に所定の距離だけ加熱要素を越えて延在する位置合わせ領域を含む。特に、熱収縮膜は、加熱要素の頂縁を越えて延在する。特に上方向、すなわち取り付けられたときに加熱チャンバの頂部開放端に向かう対応する方向におけるものである。選択した距離だけ加熱要素及び/又は下地膜を越えて延在する位置合わせ領域を提供することにより、位置合わせ領域は、所要の位置にヒータの加熱領域を位置決めするために使用することができる。例えば、方法は、位置合わせ領域の頂部周縁を加熱チャンバの端部と位置合わせすることと、熱収縮膜を使用してチャンバに薄膜ヒータを取り付けることとを更に含み得る。このように、加熱領域は、加熱要素を慎重に測定又は調整して正確に位置合わせする必要なしに、チャンバの端部からの加熱チャンバの長さに沿った既知の場所に位置決めされる。好ましくは、所定の距離は、接触脚とは反対側の加熱領域の側から位置合わせ領域の外周縁まで測定される。
【0022】
好ましくは、方法は、位置合わせ領域がヒータトラックを越えて延在する距離が所定の距離に短縮されるように、取り付けられた熱収縮膜の位置合わせ領域の周縁部を切断することを更に含む。このように、加熱領域の縁部と、熱収縮の位置合わせ領域の縁部との間の精密な距離は、加熱チャンバの縁部に対して加熱領域を正確に位置合わせできるように提供され得る。方法は、所要の寸法よりも大きい寸法を有する1つの熱収縮膜を位置決めして取り付け、続いて加熱領域と位置合わせ領域の外周縁との間に所定の距離を提供するために、取り付け後に熱収縮膜を切断することを含み得る。精密打ち抜き加工は、位置合わせ領域の余剰な周縁部分を除去するために用いられ得る。
【0023】
好ましくは、取り付けられた熱収縮膜の層は、可撓性下地膜を越えて延在する取り付け領域を含む。好ましくは、取り付け領域は、延在する接触脚の方向にほぼ直交する方向に下地膜を越えて延在する。特に、熱収縮膜は、ヒータ接触脚の延在方向に直交する一方又は両方の方向に加熱要素と可撓性誘電体下地膜とを越えて延在するような幅を有し得る。この方向は、巻き付け方向と呼ばれることがあり、薄膜ヒータがヒータチャンバに取り付けられたときにヒータチャンバの長軸にほぼ直交する方向である。熱収縮の取り付け部分は、好ましくは、加熱チャンバに加熱要素を固定するために取り付けられたときに加熱チャンバの周囲に延在するように配置される。
【0024】
好ましくは、熱収縮の取り付け領域は、取り付け領域が加熱チャンバの外表面の周囲に周方向に巻き付くことができるように十分に延在し得る。例えば、取り付け領域は、少なくとも加熱領域の幅(すなわち接触脚の延在方向に直交する寸法)に対応する距離だけ延在し得る。
【0025】
取り付け領域は、加熱チャンバの周囲に被装される熱収縮の管状部分の形態であり得る。例えば、加熱要素及び支持用下地膜は、管状に巻かれ、管状熱収縮内に装入され得る。次いで、管状熱収縮及び内部の管状薄膜ヒータは、加熱チャンバ上に被装され、加熱チャンバに薄膜ヒータを固定するために加熱され得る。
【0026】
好ましくは、方法は、加熱要素に隣接する可撓性誘電体下地膜の表面に温度センサを取り付けることと、加熱要素及び温度センサの上に熱収縮層を取り付けることとを更に含む。このように、温度センサは、加熱要素に供給される電力を制御してヒータを精密に制御するために、加熱温度を正確に測定して使用できるように、下地膜と熱収縮との間の加熱要素と共に密封され得る。加熱要素のヒータトラックは、加熱領域内又は加熱領域の近傍に空白領域を残すような形状とされ得、温度センサは、空白領域内に配置され得る。温度センサは、センサヘッドと、センサヘッドからの検知信号を搬送するためのセンサ接続部(例えば、配線)とを含み得る。センサヘッドは、接続部が露出されるように熱収縮と下地膜との間から外に延在する状態で下地膜と熱収縮との間に位置決めされ得る。温度センサは、相互支持及び/又はPCBへの接続の容易さを可能にするために、接続線がヒータ要素の延在した接触脚に隣接して位置するように配置され得る。下地膜は、貫通孔を含み得、温度センサヘッドは、下地膜の裏側(裏側は、加熱要素を保持する側とは反対側である)に露出されるように貫通孔上に位置する。
【0027】
好ましくは、熱収縮膜の層は、温度センサに隣接する可撓性誘電体下地層の縁領域を露出させたままにするように取り付けられ、この領域は、接着剤を含み、及びこの領域は、温度センサに隣接する熱収縮膜の縁部を密封するために熱収縮膜の上に折り重ねられる。特に、熱収縮膜は、誘電体下地膜の縁部まで延在しないように位置決めされ得る。すなわち、縁領域が接着剤を有し得る、露出されたままである下地膜の外周側部分は、取り付け部分の延在方向と反対の方向に存在し得る。この領域は、温度センサを覆って熱収縮膜の縁部を密封するように折り重ねられ得る。
【0028】
好ましくは、誘電体下地膜及び熱収縮膜は、対応する配置の貫通孔を両方とも含み、方法は、下地膜の孔の相対位置に対応する相対位置を有する対応する配置のピンを含む位置決め治具上に加熱要素及び誘電体下地膜を位置決めすることであって、それにより、ピンは、下地膜の孔を通して延在する、位置決めすることと、位置決め治具のピンが熱収縮膜の孔に入るように、加熱要素及び下地膜上に熱収縮膜を位置決めし、それにより熱収縮膜を誘電体下地膜と位置合わせすることとを含む。このように、熱収縮膜は、下地膜と加熱要素とに対して精密に位置合わせすることができる。下地膜及び熱収縮の対応する孔並びに位置決め治具の対応するピンは、構成要素を互いに対して高精度で位置合わせすることができる基準を提供する。
【0029】
組み付けられた誘電体下地膜、加熱要素及び収縮巻き付け層は、薄膜ヒータアセンブリと呼ばれることがあり、好ましくは、方法は、好ましくは、誘電体下地膜が管状加熱チャンバの外表面に接触した状態で加熱チャンバの外表面の周囲に薄膜ヒータアセンブリを巻き付けることと、薄膜ヒータアセンブリを加熱して熱収縮層を収縮させ、管状加熱チャンバに対して薄膜ヒータアセンブリを固定することとを更に含む。このように、熱収縮膜は、加熱中に収縮して、ヒータチャンバの外表面に対して薄膜ヒータアセンブリを緊密に固定する。好ましくは、熱収縮材料は、延在部分が加熱チャンバの周囲に巻き付けられたときにヒータトラックを2回覆うように、巻き付け方向に誘電体下地膜を越えて十分に延在する。好ましくは、熱収縮膜の優先的熱収縮方向は、巻き付け方向と一致する。優先的熱収縮方向が巻き付け方向と位置合わせされた状態で加熱チャンバに優先的熱収縮テープの層を固定するように薄膜ヒータの周囲に優先的熱収縮テープの層を巻き付けることにより、加熱時、熱収縮層が収縮してヒータチャンバに対して薄膜ヒータを緊密に保持する。好ましくは、薄膜ヒータアセンブリは、位置合わせ領域の上縁が加熱チャンバの頂部と位置合わせされるように加熱チャンバの周囲に巻き付けられる。
【0030】
好ましくは、加熱チャンバは、外表面に1つ又は複数の窪みを含み、薄膜ヒータアセンブリは、可撓性誘電体下地膜に取り付けられた温度センサが窪み内に位置決めされるように加熱チャンバに対して位置決めされる。
【0031】
好ましくは、方法は、取り付けられた薄膜ヒータアセンブリの周囲に更なる誘電体膜を巻き付けることを更に含む。いくつかの例では、更なる誘電体膜は、下地膜よりも低い熱伝導を有し得る。
【0032】
本発明の更なる態様では、上記で定義した方法又は添付の特許請求の範囲のいずれかに記載の方法に従って製造されたエアロゾル発生装置が提供される。特に、可撓性誘電体下地膜の表面上に支持された加熱要素と、熱収縮膜と誘電体下地膜との間に加熱要素を少なくとも部分的に封入するように、誘電体下地膜の表面に取り付けられた熱収縮膜の層とを含む薄膜ヒータアセンブリと、管状加熱チャンバとを含むエアロゾル発生装置であって、薄膜ヒータアセンブリは、熱収縮膜と共に加熱チャンバの外表面に対して固定される、エアロゾル発生装置が提供される。
【0033】
ここで、本発明の実施形態について、添付図面を参照して単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】可撓性誘電体下地膜の表面上に支持された加熱要素を含む薄膜ヒータを図示する。
【
図1B】本発明の方法に従って製造されたヒータアセンブリを図示する。
【
図2A】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図2B】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図2C】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図2D】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図2E】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図2F】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図2G】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図2H】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図3A】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法で使用される薄膜ヒータ及び熱収縮膜の層をそれぞれ図示する。
【
図3B】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法で使用される薄膜ヒータ及び熱収縮膜の層をそれぞれ図示する。
【
図4A】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図4B】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図4C】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【
図4D】本発明によるヒータアセンブリを製造する方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明によるヒータアセンブリ100を製造する方法を概略的に図示する。方法は、可撓性誘電体下地膜30の表面上に支持された加熱要素20を提供することと、熱収縮膜50と誘電体下地膜30との間に加熱要素20を少なくとも部分的に封入するように、誘電体下地膜30の表面上に熱収縮膜50層を取り付けることとを含む。次に、薄膜ヒータアセンブリ100は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバの外表面など、加熱される表面に直接取り付けられ得る。方法は、より少数の部品のみを必要とするヒータを組み立てる、はるかにより効率的であり、より精度が高く、且つ一貫した方法を提供する。ヒータアセンブリ100は、従来の手法よりも少数の薄膜層のみを必要とするため、加熱機構の熱質量が低減され、加熱される表面へのより高効率の熱伝達が可能となる。更に、ヒータ組立方法は、層を接着して加熱チャンバ60に薄膜ヒータアセンブリ100を固定するために1つの加熱ステップのみを必要とする。
【0036】
図1Aに示すように、第1のステップは、可撓性誘電体下地膜30の表面上に支持された加熱要素20を提供することを含む。これは、多くの異なる方法で達成され得る。特に、加熱要素20は、約50μmの薄い金属板、例えば18SR又はSUS304などのステンレス鋼板からエッチングされ得るが、他の材料及びヒータ厚さも用途に応じて選択され得る。金属板の特定の金属及び厚さは、結果として得られる加熱要素20が、支持のための可撓性薄膜30と共に変形して、加熱される表面の形状に適合できるように可撓性を有するように選択される。金属板は、最初に、膜に支持されている間にエッチングされてヒータトラック21パターンを形成する前に、可撓性誘電体下地膜30の表面上に堆積され得る。代替的に、加熱要素20は、可撓性誘電体下地膜とは別個に、金属板からエッチングされ得る。例えば、自立性金属箔は、接続された1つ又は複数の加熱要素20であって、その後、取り外されて、誘電体下地膜30の表面上に位置決めされる加熱要素20を提供するために、両側から化学的にエッチングされ得る。
【0037】
加熱要素は、加熱要素20の平面内の加熱領域22にわたる迂回経路を辿るヒータトラック21を含む面状加熱要素20である。加熱要素は、電源への接続を可能にする2つの接触脚23を有し、接触脚23は、加熱要素20の平面内においてヒータトラック21から離れて延在する。ヒータトラックは、好ましくは、加熱領域22にわたって実質的に均一な加熱を与えるような形状とされる。特に、ヒータトラックは、鋭利な角部を含まずに均一な厚さ及び幅を有するような形状とされ、ヒータトラック22の隣接部間の隙間は、加熱領域22内の特定の箇所での過剰な加熱を最小限に抑えるために実質的に一定である。
図1aの例におけるヒータトラック21は、ヒータ領域22にわたる蛇行経路を辿り、2つの平行なトラック経路21a及び21bに分割され、各々が両方の接触脚23に接続される。ヒータ層23は、PCB及び電源へのヒータの接続を可能にするために、各接触脚23上の接続点24ではんだ付けされ得る。
【0038】
可撓性誘電体下地膜30は、好適な特性を有しなければならず、加熱要素20を支持して電気的に絶縁するための可撓性基板を提供する。適切な材料としては、ポリイミド、PEEK及びPTFEなどのフルオロポリマーが挙げられる。この場合、加熱要素は、37μmのシリコン接着層を備えた25μmのポリイミド膜を含む片面ポリイミド/Si接着膜に支持された50μmのステンレス鋼18SRの層からエッチングされたヒータトラックパターン21を含む。加熱要素20は、下地膜に加熱要素を取り付けることを可能にするために接着剤に支持される。
図1Aの薄膜ヒータ10は、事前に用意され、且つ加熱要素20を支持する接着表面に取り付けられて接着層の使用準備が整うまで接着層を保護する剥離層と共に保管され得る。剥離層は、例えば、ポリエステル又は同様の材料によって提供され得る。次いで、
図1Bに示す次の組立ステップに進むために、剥離層を剥がして、加熱要素を支持する粘着性接着層の覆いを取ることができる。
【0039】
ヒータアセンブリ100を製造する方法における次の重要なステップは、熱収縮膜50と下地膜30との間に加熱要素20を少なくとも部分的に封入するように、熱収縮膜50層を誘電体下地膜30の表面に直接貼り付けることである。熱収縮膜50は、下地膜30と熱収縮50との間に加熱領域20を封入するように、ヒータ要素20の表面上に接着剤で直接取り付けることができる。特に、ヒータトラック21は、接触脚23が電源への接続を可能にするために露出されたままである間、可撓性下地膜30及び熱収縮50によって形成された密封エンベロープ内で絶縁される。
【0040】
熱収縮50は、直交する2方向51、52に所定の距離だけ加熱要素20を越えて延在するように、下地膜30及び加熱要素20よりも大きい。加熱要素20に対する熱収縮50のこの位置合わせは、その後の加熱チャンバ60に対する加熱領域20の位置合わせを可能にする。そのため、この段階での熱収縮51、52のこれらの延在部分の大きさを慎重に制御することにより、精密な位置合わせを提供する簡単な方式での加熱チャンバ60へのヒータアセンブリ100の取り付けが可能となる。熱収縮と薄膜ヒータ10との相対的な位置合わせは、多くの異なる方法で達成することができる。熱収縮50は、正しい大きさに事前に切断され、次いで正しい所定の距離51、52の延在部分を提供するために可撓性誘電体下地膜30の縁部に位置合わせされ得る。代替的に、以下に説明するように、この精密な位置合わせを達成するために、特定の位置合わせ装置が使用され得る。
【0041】
熱収縮50は、熱収縮50の位置合わせ領域52を提供するために、接触脚23と反対の方向に加熱領域20を越えて延在する。この位置合わせ領域52は、ヒータトラック21の頂縁からの位置合わせ領域の所定の長さ52に対応する加熱チャンバの長さに沿った位置に加熱領域20が位置決めされるように、加熱チャンバ60の頂縁と位置合わせすることができる。このように、ヒータ要素20を加熱チャンバ60に沿った正しい位置に提供することができる。熱収縮50は、取り付け領域51を提供するために、接触脚23の延在方向に直交する方向にヒータトラック21及び下地膜30を越えて延在する取り付け領域51も有する。取り付け領域51の延在方向は、熱収縮50のこの部分が管状加熱チャンバ60の周囲に巻き付けられ、その後、熱収縮して、所要の緊密な接続を提供することを可能にするため、「巻き付け方向」と呼ばれることがある。同様に、位置合わせ領域52が加熱要素20から延在する方向におけるヒータ脚23と反対の方向は、頂部開放端に向かう、加熱チャンバ60の長軸と一致する上方向又は位置合わせ方向と呼ばれることがある。これらの延在距離51、52は、誘電体下地膜30の表面に熱収縮50を取り付ける前又は後に熱収縮50を正しい寸法に切断することによって構成され得る。
【0042】
図2A~
図2Hは、(熱収縮50が取り付けられた誘電体下地膜30に支持された加熱要素20で形成された)薄膜ヒータアセンブリ100を加熱チャンバ60の外表面に取り付ける方法を図示する。
図2Aは、位置合わせ部分52が上方に延在し、且つ巻き付け部分51が巻き付け方向51において加熱要素20から離れて延在する状態の、加熱要素20に対する熱収縮50の位置決めを図示する。熱収縮膜50は、この段階で、下地膜30の表面上に提供された接着剤によって取り付けられ得るか、又はこの取り付けは、下地膜30に熱収縮50を接着する後続の加熱ステップで達成され得る。
【0043】
次に、
図2Bに示すように、温度センサ70は、可撓性下地膜30と熱収縮50との間においてヒータアセンブリ100に取り付けられる。この場合、温度センサ70は、局所温度を検出するように構成されたセンサヘッド71と、センサヘッド71からPCBに検知信号を搬送するように構成された温度センサ接続部72とを備えたサーミスタである。ヒータトラック22は、好ましくは、
図1A及び
図2Aに最も明確に示すように、加熱領域22内に空白領域22vを残すような形状とされる。センサヘッド71は、ヒータトラック21に近接するように下地膜30と熱収縮50との間のこの空白領域22v内に位置決めされる。熱収縮50と下地膜30との間の加熱要素20に近接するようにセンサヘッド71を位置決めすることにより、温度センサ70は、加熱領域22の正確な温度測定値を提供するように加熱要素に近接して密封される。センサ接続部72は、好ましくは、PCBへのヒータ脚23及びセンサ接続部72の接続を補助する加熱要素20の接触脚23と同じ方向に延在する。
【0044】
図2A及び
図2Bに示すように、熱収縮50は、好ましくは、下地膜30の自由縁領域32を露出させたままにするように位置決めされる。
図2Cに図示するように、この自由縁領域32は、下地膜30及び熱収縮50の縁部を密封するために熱収縮膜50上に折り重ねられる。特に、自由縁領域32は、表面上に接着剤を含むため、熱収縮50上に折り重なって、この縁領域を密封するために使用することができる。自由縁領域32は、温度センサヘッド71上に折り重なって折り目内に温度センサヘッド71を固定するためにも使用することができる。
【0045】
図2の方法では、次のステップは、2片の接着テープ35a、35bを取り付けて、アセンブリを加熱して熱収縮を収縮させる前に加熱チャンバ60に薄膜ヒータアセンブリ100を正しい位置で取り付けることである。粘着テープ35a、35bは、ポリイミド接着テープ片、例えば12.7マイクロメートルのポリイミド及び12.7マイクロメートルのシリコン接着剤を有する0.5インチのポリイミドテープによって提供され得る。粘着取り付けテープ35a、35bは、巻き付け方向にある先端における熱収縮の各縁部に沿って位置決めされる。次いで、
図2Eに示すように、薄膜ヒータ10は、熱収縮50の頂縁53を加熱チャンバ60の頂縁62と位置合わせすることによって加熱チャンバ60に取り付けられ得る。位置合わせ領域の距離52が慎重に選択されていることを前提として、この位置合わせステップにより、加熱領域22を加熱チャンバ60に沿った正しい位置に配置することが可能となる。特定の消耗品は、特定の位置にエアロゾル発生物質の充填物を含むため、消耗品から蒸気を効率的に放出するようにヒータチャンバの正しい部分を加熱することが重要である。
【0046】
薄膜ヒータアセンブリ100は、最初に、接着テープ35aを使用して加熱チャンバに取り付けられる。加熱チャンバ60は、ユーザによって吸入される蒸気を発生させるために加熱される消耗品を受け入れるように配置された管状加熱チャンバである。加熱チャンバ60は、好ましくは、チャンバ60内に受け入れられた消耗品の位置決めと、消耗品への熱伝達とを補助する内部突出部を提供する1つ又は複数の窪み61を外表面に有する。加熱チャンバ60の外周は、好ましくは、加熱要素がチャンバ60の周囲に1つの完全な外周ループを提供するように、加熱要素20の幅(接触脚の延在方向に直交する方向における長さ)と厳密に一致する。他の例では、ヒータ要素は、加熱チャンバの外周の周囲に2回以上巻き付くような大きさとされ得、すなわち、加熱要素は、加熱チャンバの外周の周囲の加熱温度に変化を生じさせないように加熱チャンバの周囲に整数の外周ループを提供するような寸法とされ得る。薄膜ヒータアセンブリ100は、温度センサヘッド71が加熱チャンバ60の内部温度のより正確な測定値を提供するように加熱チャンバ60の外表面の窪み61内に位置するように位置決めされて取り付けられる。
【0047】
第1の粘着テープ部分35aで取り付けられた時点で、薄膜ヒータアセンブリ100は、次に、
図2Fに示す(ヒータ要素20と、下地膜30と、熱収縮膜50と、サーミスタ70と、ヒータチャンバ60とを含む)取り付けられたヒータアセンブリ110を提供するために、第2の片の取り付けテープ35bによって取り付けられる前に、熱収縮50の延在した取り付け部分51が加熱要素20を再び覆うようにチャンバ60の周囲に周方向に巻き付いた状態で、加熱チャンバ60の周囲に巻回される。取り付け領域51の長さが加熱領域22の長さ(及び加熱チャンバ60の外周)とほぼ同じであるため、取り付け部分51は、周囲に巻き付いて加熱領域22を1回覆い、その結果、ヒータ要素は、
図2Fの取り付けられたヒータアセンブリ110における2層の熱収縮膜によって絶縁される。取り付け領域は、加熱要素20の2つ以上の追加の覆いを提供するような大きさとされ得る。例えば、取り付け領域51は、加熱チャンバ60の外周の整数倍に対応する距離だけ加熱要素を越えて延在し得る。
【0048】
図2Fで分かるように、温度センサ接続部72及びヒータ脚23は、PCBへの接続を容易にするために、この迅速なステップ後に位置合わせされるように位置決めされる。次いで、取り付けられたヒータアセンブリ110は、
図2Gに示すように、加熱チャンバ60に対して熱収縮50を緊密に収縮させるために加熱される。例えば、膜を収縮させるために、アセンブリ110を約210℃のオーブン内で10分間加熱することができるが、時間及び温度を他の種類の熱収縮に適合させることもできる。このプロセスにより、小型のオーブン内で多数のユニットを同時に熱処理することが可能となる。これは、加熱チャンバに薄膜ヒータを封着することと、熱収縮に下地膜を接着することとの両方を同時に行うことができる唯一の加熱ステップである。
【0049】
最後に、必須ではないが、
図2Hに示すように、加熱アセンブリを完成させるために、誘電体膜36の最終層が加熱要素の外側の周囲に追加され得る。この誘電体最終層は、例えば、25マイクロメートルのポリイミド及び37マイクロメートルのシリコン接着剤を有する1インチのポリイミドテープなどの接着性ポリイミドの更なる層であり得る。この誘電体膜36の外層は、更なる絶縁層を提供し、更に加熱チャンバ60への薄膜ヒータの取り付けを固定する。下地膜30、熱収縮50及び絶縁最終層36の厚さ及び/又は材料は、例えば、加熱要素の外側に(すなわちこの例では熱収縮50及び絶縁層36のために)提供されたより熱伝導率の低い層と、下地膜として提供されたより熱伝導率の高い層とにより、加熱チャンバへの熱伝達を向上させるように選択され得る。誘電体膜36の外側絶縁層が貼り付けられた時点で、アセンブリ110は、再び加熱され得る。この第2の加熱ステップは、他の層のみならず、誘電体膜36の外層の更なるガス放出も可能にする。例えば、第2の加熱段階では、加熱温度は、装置の動作温度により近い、熱収縮段階よりも高い温度に引き上げられ得る。これにより、より低温での熱収縮ステップ中に起こらなかったであろう、例えばSi接着剤の更なるガス放出が可能となる。装置の最初の使用時に加熱する前に、熱収縮をより動作温度に近い温度にさらすことも有益である。
【0050】
図3及び
図4は、加熱要素20及び下地膜30に対する熱収縮膜50の正確な位置合わせを補助する多くの追加の特徴を含む、本発明によるヒータアセンブリを製造する更に最適化された方法を図示する。この方法では、
図3A及び
図3Bに示すように、一連の位置合わせ孔34、54は、下地膜30と熱収縮50との両方に提供され、下地膜30と熱収縮50との相対的な位置合わせに使用することができる。
【0051】
図3Aは、可撓性誘電体下地膜30の表面上に加熱要素20を提供する第1のステップが実行された薄膜ヒータ10を概略的に図示する。この薄膜ヒータ10は、加熱要素20の周囲に提供されるように下地膜に位置決めされる多くの位置合わせ孔34a、34b、34c、34dが下地膜30に提供される点で前述の実施形態と異なる。特に、この例では、下地膜30は、加熱要素20が下地膜30に取り付けられたときに加熱要素20の上方に位置決めされるように、下地膜30の頂縁に沿って提供された2つの位置合わせ孔34a、34bを含む。2つの更なる位置合わせ孔34c、34dは、加熱要素20の加熱領域22よりも下に提供される。後述する、サーミスタ用孔37bは、いくつかの例では、追加の位置合わせ孔を提供し得る。同様に、熱収縮膜50は、相対位置において下地膜30の位置合わせ孔34に対応する、対応する数の位置合わせ孔54を有する。位置合わせ孔34、54は、下地膜30の孔が熱収縮50の位置合わせ孔54と位置合わせされたとき、熱収縮50が、正しい長さ51、52だけ加熱領域22を越えて延在して、取り付けられたときに加熱チャンバ60に対する加熱要素20の精密な位置合わせを可能にするように、熱収縮50が薄膜ヒータ10に対して精密に正しい位置に位置決めされるように配置される。
【0052】
可撓性誘電体下地膜30は、以下でより詳細に説明するように、下地膜30を通してサーミスタ70の感温ヘッド71を露出させるように、サーミスタセンサヘッド71が位置決めされる2つの更なる孔37a、37bを有する。前述の例と同様に、下地膜30は、任意の適切な可撓性電気絶縁材料、例えばPTFEなどのフルオロポリマー、又はPEEK、又はポリイミドであり得る。この場合、下地膜30は、40μmのシリコン接着層を備えた25μmのポリイミド膜によって提供され、加熱要素20は、接着層に支持される。孔34、54は、下地膜の位置合わせ孔34を熱収縮50の位置合わせ孔54と同じ場所に配置するために、位置合わせ治具の位置合わせピンと共に使用され得るように任意の適切な大きさ、この場合には1mmであり得る。
【0053】
図4は、加熱チャンバ60への取り付けの準備が整った薄膜ヒータアセンブリ100を用意する方法を図示する。上記で説明したように、加熱要素20は、最初に、下地膜30の位置合わせ孔34の間に位置決めされるように可撓性誘電体下地膜30の接着表面上に提供される。加熱要素20は、加熱要素の接触脚23がPCBに取り付けられたときの溶着強度を高めるために、2つの1mmの孔25が加熱脚23上のはんだ24に提供されるが、概して、上記で説明した通りである。
【0054】
プロセスにおける第1のステップは、
図4Bに示すように、最初にサーミスタ70を取り付けることである。
図4A及び
図4Bから明らかなように、可撓性誘電体下地膜30は、サーミスタ70が位置決めされる空白領域22v内にタブ38がそれ自体の上に折り重なることを可能にする、下地膜への2つの切り込みによって形成されたタブ38の形態の折り曲げ可能な部分38を追加的に含む。この例では、タブ38は、自由縁領域32に沿った中間位置にあるが、サーミスタ20が位置決めされたときにサーミスタ20上に折り重なることができる自由縁領域の底部を提供する1つの切り込みによって同様に形成され得る。この例では、タブ38は、加熱トラック21の形状によって残された空白領域22v内における可撓性誘電体下地膜30に提供されたサーミスタ用孔37aと位置合わせされるサーミスタ用孔37bを含む。サーミスタ用孔37bは、不可欠なものではなく、タブ38は、サーミスタ用孔37aを通してのみサーミスタを視認可能なままにして、タブ38がサーミスタ上に折り重なるような、孔を含まない途切れのない表面部分である場合もある。サーミスタ用孔37bは、いくつかの例では、位置決め治具80との位置合わせのためにも使用され得る。サーミスタセンサヘッド71は、センサヘッドが下地膜30を通して薄膜ヒータの反対側に露出されるように、下地膜30の空白領域22v内のサーミスタ用孔37a上に位置決めされる。薄膜ヒータは下地膜が直接接触した状態で加熱チャンバ60に取り付けられるため、サーミスタ用孔37aは、サーミスタセンサヘッド71が加熱チャンバ60に直接接触することを可能にする。
【0055】
次いで、下地膜タブ38は、サーミスタ用孔37b(存在する場合)がサーミスタ用孔37aと位置合わせされて、下地膜30の取り付け表面上に提供されたシリコン接着剤によって取り付けられるように、サーミスタ70上に折り重ねられる。このように、サーミスタは、適所に接着される下地膜の折り曲げタブ38と下地膜30との間にセンサヘッド71が取り付けられ、サーミスタ接続部72が、ヒータ接触脚23の方向とほぼ一致する方向に延在する状態で下地膜に取り付けられる。このプロセスは、熱収縮50が薄膜ヒータ10と位置合わせされて取り付けられる前に、最初にサーミスタ70を所定位置に取り付けるのに役立つ。
【0056】
次いで、熱収縮50は、位置決め治具80を使用して薄膜ヒータ10に対して位置合わせされる。位置決め治具80は、下地膜30及び熱収縮50上の位置合わせ孔34、54の位置に位置合わせピン81が相対的なずれを有して対応する、4つの直立した位置合わせピン81を備えた支持表面82を含む。(下地膜30上に加熱要素20を含む)薄膜ヒータ10は、最初に、位置合わせピン81が下地膜の位置合わせ孔34を通して延在するように位置合わせ治具80の表面上に位置決めされる。次いで、熱収縮50は、ピン81が熱収縮50の位置合わせ孔54を更に通して延在するように薄膜ヒータ10の上に位置決めされる。このプロセスは、熱収縮50が加熱要素20及び下地膜30に対して精密に位置合わせされることを確実にする。特に、このプロセスでは、位置合わせ孔34及び54が位置合わせされたとき、熱収縮50が、接触脚と反対の方向に加熱要素20を越えて延在して、位置合わせ部分52の特定の所定の長さと巻き付け部分51の特定の所定の延在長さとを提供するように、熱収縮が位置決めされる。
【0057】
熱収縮50が、
図4C及び
図4Dに示すように正しく位置決めされた時点で、熱収縮50の位置決めによって自由な状態にされた下地膜30の外周縁領域32は、
図4Dに示すように熱収縮の上に折り重ねられて、下地膜30及び熱収縮50層のこの縁部を密封する。これにより、熱収縮50が下地膜30に固定され、追加的にサーミスタ接続部72が所定位置に固定される。次いで、
図4Dに示す組み立てられた薄膜ヒータサブアセンブリ100は、
図2E~
図2Hを参照して上記で説明したように加熱チャンバ60に取り付けることができる。特に、熱収縮50の頂縁53を加熱チャンバ60の頂縁62と位置合わせすることにより、加熱トラック22によって提供される加熱領域は、チャンバ60内に受け入れられた消耗品に効率的な加熱を与えるように加熱チャンバ60の所要の箇所に位置決めされる。チャンバ上への薄膜ヒータサブアセンブリ100の巻き付けは、
図2Eに示すように手作業で行うことができるか、又は同様に、この巻き付けは、薄膜ヒータに対して加熱チャンバ60を回転させて薄膜ヒータを適所に固定する装置によって自動化プロセスで実行することができる。上記で説明したように、薄膜ヒータアセンブリ100は、熱収縮50を収縮させて、加熱チャンバ60の外表面に対してヒータを緊密に固定するように加熱によって加熱チャンバ60に封着される。
【0058】
上記で説明したように、加熱領域22を加熱チャンバ上に確実に位置決めできるように、熱収縮層の頂縁53と加熱トラック21との間の精密な距離を確保することが重要である。可撓性下地膜が薄く軟質であることにより、可撓性下地膜は、ヒータアセンブリ100の組立プロセス中に引張変形を受ける可能性があり、この引張変形により、この位置合わせ領域52の規定の距離が変わる可能性がある。この所定の距離52が確実且つ再現可能に提供されることを確実にするために、方法は、この距離を確保する多くの追加のステップを更に含むことができる。まず、熱収縮50は、上下方向の位置合わせ方向(下地膜に取り付けられたときの接触脚23の延在方向と反対の方向)に僅かに長いものとされる。例えば、熱収縮膜30の長さを1mmだけ長くすることができる。次に、ヒータトラック21の頂部と熱収縮膜の頂部との間の距離は、ヒータトラック21を正しい位置に提供するために所要の大きさよりも1mm大きい。熱収縮が、
図4Dに示すように取り付けられた時点で、次に熱収縮を適切な大きさに切断して、この余剰部を除去するために、例えば精密打ち抜き加工によって熱収縮層50が打ち抜かれる。このように、初期組立ステップ中に熱収縮を変形又は移動させた場合、この後続の切断ステップは、ヒータ領域22の正確な位置決めを達成するのに十分な約0.3mmの精度を提供できる、ヒータトラック21と熱収縮50の頂縁53との間の距離の正確さを確保する。
【0059】
上記で説明したように、サーミスタは、センサヘッドがサーミスタ用孔37a内にある状態で配置され、下地膜30のタブ38における孔37bは、センサヘッド71上に折り重ねられる。これにより、サーミスタを加熱要素20に対して常に正確に配置することが確実に行われ、これは、サーミスタ70のセンサヘッド71が加熱チャンバ60の外表面に直接接触するため、絶縁材料が介在せず、それにより、サーミスタ70によって提供される温度測定値の精度が高まることも意味する。
【0060】
熱収縮膜50を収縮させて加熱要素を固定するために熱処理された時点で、PCB及び電源にサーミスタ接続部72及び加熱された接触脚23を取り付けることにより、
図2G及び
図2Hに示すヒータサブアセンブリ110をエアロゾル発生装置などの加熱装置で用いることができる。本発明による組立方法は、既知の方法と比較して組立ステップの数を低減し、はるかにより効率的且つコスト効率の高い組立方法を提供する。重要なことに、熱収縮50は、加熱チャンバ60に薄膜ヒータ10を取り付ける手段と絶縁層との両方を提供するため、絶縁薄膜層の数が低減される。そのため、ヒータアセンブリ110の熱特性が改善され、熱伝達効率が高められる。熱収縮50の延在部分を使用して加熱チャンバ60に対して薄膜ヒータアセンブリ100を位置合わせする方法は、ヒータアセンブリを組み立てて加熱チャンバ60上の所要の位置に加熱を与える、はるかにより精度が高く且つ一貫した方法も提供する。