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特許75360965質量%~30質量%の範囲の含有量の1つ以上のポリオールを含む水性相と、非シリコーン油を含む油性相とを含む2相組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】5質量%~30質量%の範囲の含有量の1つ以上のポリオールを含む水性相と、非シリコーン油を含む油性相とを含む2相組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/03 20060101AFI20240809BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240809BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240809BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20240809BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A61K8/03
A61K8/34
A61Q19/00
A61K8/42
A61K8/44
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022537170
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2020086277
(87)【国際公開番号】W WO2021122639
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】1915219
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】キャロリーヌ・シリシャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ドゥムソー
(72)【発明者】
【氏名】アメリー・フリオ-ダルデール
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-079962(JP,A)
【文献】特開2005-336089(JP,A)
【文献】国際公開第2019/081341(WO,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02971421(FR,A1)
【文献】特開平09-095432(JP,A)
【文献】特表2016-523279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2相組成物であって、
a)前記2相組成物の総質量に対して10質量%~20質量%の範囲の含有量でポリオールが存在する1つ以上の前記ポリオールを含む水性相であって、
前記ポリオールは、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、ペンチレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びこれらの混合物から選択され、
前記水性相は、尿素、ヒドロキシエチル尿素、ヒアルロン酸、グリシン、β-アラニン、タウリン、トリメチルグリシン、及びこれらの混合物から選択される1つ以上の保湿活性剤を含み、
前記水性相は、前記水性相の総質量に対して少なくとも50質量%の含有量で水を含む、
水性相と、
b)1つ以上の非シリコーン油を含む油性相であって、
前記油性相は、Anton PaarのStabinger SVM3001キャピラリー粘度計を使用して25℃で測定した場合に75mPa.s未満の粘度を有する、油性相と、を含み、
前記水性相と前記油性相の間のそれぞれの質量比は、75:25~90:10の範囲であり、
前記2相組成物は局所的適用のためのものである、
2相組成物。
【請求項2】
前記ポリオールは、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水性相は、トリメチルグリシンを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水性相は、前記2相組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%の範囲の量で存在する1つ以上の保湿活性剤を含むことを特徴とする、請求項又はに記載の組成物。
【請求項5】
前記油性相は、非シリコーン油として、1つ以上の揮発性又は不揮発性炭化水素系の油を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記非シリコーン油は、7~26の炭素原子を含む揮発性直鎖アルカン、炭化水素系の植物油、鉱物又は合成由来の直鎖又は分岐炭化水素、室温で液体であり、12~26の炭素原子を含む分岐及び/又は不飽和炭素鎖を有する脂肪アルコール、並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記2相組成物の総質量に対して、5質量%~40質量%の範囲の含有量の1つ以上の非シリコーン油を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記油性相は、Anton PaarのStabinger SVM3001キャピラリー粘度計を使用して25℃で測定した場合に、70mPa.s未満の粘度を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記水性相及び前記油性相を、それぞれの質量比が90:10で含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
人のケラチン材料を手当て及び/又は手入れするための美容的方法であって、請求項1~のいずれか一項に記載の2相組成物を振とうし、次いで前記ケラチン材料の表面にこれを適用することを含む、美容的方法。
【請求項11】
ケラチン材料の美容的手当てのための、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項12】
i)組成物i)及びii)の総質量に対して10質量%~20質量%の範囲の含有量でポリオールが存在する1つ以上の前記ポリオールを含む水性相を含む組成物であって、
前記ポリオールは、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、ペンチレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びこれらの混合物から選択され、
前記水性相は、尿素、ヒドロキシエチル尿素、ヒアルロン酸、グリシン、β-アラニン、タウリン、トリメチルグリシン、及びこれらの混合物から選択される1つ以上の保湿活性剤を含み、
前記水性相は、前記水性相の総質量に対して少なくとも50質量%の含有量で水を含む、
組成物と、
ii)1つ以上の非シリコーン油を含む油性相を含む組成物であって、前記油性相は、Anton PaarのStabinger SVM3001キャピラリー粘度計を使用して25℃で測定した場合に75mPa.s未満の粘度を有する、組成物と、
を含むキットであって、
組成物i)の前記水性相と組成物ii)の前記油性相の間のそれぞれの質量比は、75:25~90:10の範囲である、キット。
【請求項13】
人のケラチン材料を手当て及び/又は手入れするための美容的方法であって、請求項12に記載のキットの組成物i)と組成物ii)を混合及び振とうすることによる2相組成物の調製、次いで前記ケラチン材料の表面にこれを適用することを含む、美容的方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2相組成物の総質量に対して5質量%~30質量%の範囲の含有量の1つ以上のポリオールを含む水性相と、1つ以上の非シリコーン油を含み、以下に記載する粘度測定法による75mPa.s未満の粘度を有する油性相と、を含む2相組成物であって、水性相と油性相の間のそれぞれの質量比は、60:40~95:5の範囲である2相組成物に関する。
【0002】
また、本発明の主題は、人のケラチン材料、好ましくは皮膚を手当て及び/又は手入れするための美容的方法であり、前述の2相組成物を振とうし、次いで前述のケラチン材料の表面にこれを適用することを含む。
【0003】
本発明の別の主題は、ケラチン材料の美容的手当て、特にケラチン材料を保湿するための前述の組成物の使用である。
【背景技術】
【0004】
自然環境に対する保護と交換のバリアである皮膚は、丈夫であり且つ脆いため、そのしなやかさを失い、水分を保持するその能力が低下し、結果、皮膚の乾燥を引き起こす可能性がある。
【0005】
そのしなやかさ、柔らかさ、張性及び/又は外観を維持するために、十分なレベルの皮膚の保湿を確保することが重要である。皮膚の脱水の兆候と戦うために、適用する領域での保湿を促進する皮膚化粧用組成物に適用することが知られている。保湿剤、保湿ポリマー、ワセリン又はポリオールなどの脂肪性物質など、従来から使用されている保湿活性剤は、例えば、皮膚の表層に水分を保持できるようにすることで、皮膚の表面特性を一時的に改質させる。
【0006】
しかしながら、適用後に脂肪分に富んだ感覚又は粘着性の感覚がないなどの良好な感覚的特性を有しながら、良好な美容的特性を示す、新規の、特に保湿性の組成物を提供する必要がある。
【0007】
化粧用組成物は、「2相組成物」、即ち、2つの別個の相、特に親水性水性相及び油性相から構成される組成物の形態であり得る。それらは、静止時に、一方が他方に乳化されるのではなく2つの相が分離するという点で、エマルジョンとは異なる。従って、2つの相は単一の界面によって静止状態で分離しているが、エマルジョンの場合、一方の相は、多数の液滴の形態でもう一方の相に分散しており、従って界面は複数である。
【0008】
2相組成物の使用は、即席のエマルジョンを形成するために事前に振とうすることを必要とする。このエマルジョンは、2つの相を均一に適用できる十分な品質と安定性を備えている必要があるが、静止状態では、2つの相が急速に分離してそれらの初期状態に戻る必要があり、この現象は、「相分離」として知られている。混合後、製品の美観を保証するために、2つの相の間の界面が急速に明確に規定される必要がある。
【0009】
更に、ますます多くの消費者が、天然及び/又は天然由来の化粧品、特にシリコーン化合物を含まない製品を求めているが、同時に、その感覚的品質及び性能品質に関して非常に要求が高いままである。
【0010】
2相組成物は、例えば、(特許文献1)にすでに記載されている。このような組成物は、2つの透明な相への急速な相分離に関して2相組成物の特性を保持しながら、振とう後、透明なエマルジョンを得ることを可能にし得る。しかしながら、これらの組成物は、かなりの濃度のポリオールを示す可能性があり、適用後に粘着性の感覚及び脂肪分に富んだ皮膚の感覚をもたらす。
【0011】
従って、上記の欠点がない2相組成物の形態の化粧用組成物、特に保湿組成物を提供する必要性が依然存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】仏国特許出願公開第2939662号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、良好な保湿効果などの良好な美容的特性、2つの相の間の明確に規定された界面、及び製品の使用を可能にするのに適した相分離時間を有しながら、組成物の適用後の粘着性がないなどの良好な感覚的特性、並びにまた2つの異なる相への急速な復帰を有する2相組成物の形態の化粧用組成物、特に、保湿組成物を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの主題は、
a)2相組成物の総質量に対して5質量%~30質量%の範囲の含有量でポリオールが存在する1つ以上のポリオールを含む水性相と、
b)1つ以上の非シリコーン油を含む油性相であって、油性相は、粘度測定法による75mPa.s未満の粘度を有する油性相と、を含む2相組成物であって、
水性相と油性相の間のそれぞれの質量比は、60:40~95:5の範囲である2相組成物である。
【0015】
本発明はまた、人のケラチン材料、好ましくは皮膚を手当て及び/又は手入れするための美容的方法に関し、この方法は、上記で規定された2相組成物を振とうし、次いで前述のケラチン材料の表面にこれを適用することを含む。
【0016】
本発明はまた、
i)2相組成物の総質量に対して5質量%~30質量%の範囲の含有量でポリオールが存在する1つ以上のポリオールを含む水性相を含む組成物と、
ii)1つ以上の非シリコーン油を含む油性相を含む組成物であって、油性相は、粘度測定法による75mPa.s未満の粘度を有する組成物と、を含むキットであって、水性相と油性相の間のそれぞれの質量比は、60:40~95:5の範囲であるキットに関する。
【0017】
本発明によるキットの組成物i)及びii)は、好ましくは、それぞれ組成物の水性相a)及び油性相b)と同一である。
【0018】
本発明の主題はまた、人のケラチン材料、好ましくは皮膚を手当て及び/又は手入れするための、特にケラチン材料を保湿するための美容的方法であり、この方法は、本発明によるキットの組成物i)と組成物ii)を混合及び振とうし、次いで前述のケラチン材料の表面にこれを適用することによる2相組成物の調製を含む。
【0019】
従って、従来技術に記載された含有量よりも低いポリオール含有量を有する水性相と、また、特定の粘度を有する油性相とを含む2相組成物は、適用後に粘着性の感覚及び脂肪分に富んだ感覚がなく、適用後に良好な肌の保湿感覚を有しながら、特に適用時に鮮度がある、良好な感覚的特性を有することが実証された。
【0020】
加えて、本発明による2相組成物を振とうした後、2相、即ち、水性相及び油性相は、急速に分離し、それらの初期状態に戻り、2つの相の間の界面が、明確に規定され、これにより製品の美観が保証される。
【0021】
最後に、本発明による2相組成物では、相分離時間は、消費者による製品の使用と2つの別個の相への急速な復帰の両方を可能にするのに適している。
【0022】
本発明は、例示する実施例に限定されない。様々な実施例の特徴は、特に、例示していない変形形態の範囲内で組み合わせることができる。
【0023】
「少なくとも1つ」という用語は、1つ又は複数を意味する。
【0024】
2相組成物又は「2相性組成物」という用語は、2つの別個の相、この場合は水性相及び油性相から構成され、適用前にエマルジョンを形成するために事前に振とうする必要がある組成物を指す。
【0025】
本発明によれば、「ケラチン材料」という用語は、身体、顔及び/又は目の周りの領域の皮膚、唇、爪、粘膜、まつげ、眉毛、体毛、頭皮及び/又は毛髪、或いは体の皮膚の任意の他の領域を意味する。より具体的には、本発明によるケラチン材料は、頭皮、毛髪及び/又は皮膚である。
【0026】
好ましくは、本発明によるケラチン材料は、皮膚である。
【0027】
「皮膚」という用語は、身体の全ての皮膚を意味し、好ましくは顔、ネックライン、首、腕及び前腕の皮膚、又は更により好ましくは顔の皮膚、特に額、鼻、頬、顎及び目の周りの領域の皮膚を意味する。
【0028】
本発明による組成物は、全て化粧用組成物である。「化粧用」という用語は、皮膚、粘膜、及び外皮と適合性のある組成物を意味する。
【0029】
好ましくは、本発明による2相組成物は、化粧用組成物であり、より優先的には、皮膚などのケラチン材料の手当てのための化粧用組成物である。
【0030】
水性相
本発明による組成物は、少なくとも1つの水性相を含む。「水性相」という用語は、水と、一般に組成物中の水において溶解した形態の任意の分子とを含む相を意味する。水性相は、好ましくは水溶液である。
【0031】
本発明による水性相は、水を含む。好ましい場合、水は、水性相の総質量に対して、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より優先的には少なくとも65質量%、より良好には少なくとも70質量%の含有量で存在する。
【0032】
本発明による組成物は、2相組成物の総質量に対して30質量%以上の含有量の水を含み得る。
【0033】
好ましい場合、組成物は、2相組成物の総質量に対して、30質量%~90質量%、より良好には40質量%~85質量%、更により良好には50質量%~80質量%の水を含む。
【0034】
水性相の濃度は、2相組成物の総質量に対して、好ましい場合60質量%~95質量%、好ましくは70質量%~95質量%、より優先的には75質量%~90質量%で変動する。
【0035】
ポリオール:
水性相は、1つ以上のポリオールを含む。
【0036】
本発明の目的のために、「ポリオール」という用語は、1つ以上の酸素原子で任意に中断され、異なる炭素原子によって有される少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基(-OH)を有する炭化水素系の鎖から構成される有機化合物を意味し、この化合物は、場合により、環状又は非環状、直鎖又は分岐、及び飽和又は不飽和である。
【0037】
より具体的には、ポリオールは、2~30のヒドロキシル基、より優先的には2~10のヒドロキシル基、更により優先的には2~3のヒドロキシル基を含む。
【0038】
ポリオールは、好ましくは、グリセロール、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、1,3-ブチレングリコール、ペンタン-1,2-ジオール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、グルコースなどの糖及びこれらの混合物から選択される。
【0039】
ポリオールは、グリセロール、プロパン-1,3-ジオール、ペンチレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びこれらの混合物、より良好にはグリセロール、プロパン-1,3-ジオール、及びこれらの混合物からより優先的に選択される。
【0040】
好ましい実施形態によれば、水性相は、グリセロールとプロパン-1,3-ジオールの混合物を含む。
【0041】
好ましくは、水性相は、水性相の総質量に対して、5質量%~30質量%の範囲、より優先的には5質量%~25質量%、より良好には10質量%~20質量%の範囲の含有量の1つ以上のポリオールを含む。
【0042】
本発明による組成物は、2相組成物の総質量に対して、5質量%~30質量%の範囲、より優先的には5質量%~25質量%、より良好には10質量%~20質量%の範囲の含有量の1つ以上のポリオールを含む。
【0043】
また、水性相は、1級アルコール、即ち、エタノール及びイソプロパノールなどの1~6の炭素原子を含むアルコールを含み得る。好ましくは、水性相は、エタノールを含む。
【0044】
1級アルコールは、水性相の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲の量で存在し得る。
【0045】
保湿活性剤:
水性相は、尿素、ヒドロキシエチル尿素、ヒアルロン酸、グリシン、β-アラニン、タウリン、トリメチルグリシン、及びこれらの混合物から選択される1つ以上の保湿活性剤を含み得る。
【0046】
「グリシンベタイン」又は「ベタイン」とも呼ばれるトリメチルグリシンは、4級アミノ酸である。中性pHでは、化合物は、双性イオン化合物の形態で存在し、分子の4級アンモニウム官能基とカルボキシル官能基の間に塩を形成する。強酸の存在下では、それは、酸付加塩、例えばヒドロクロリドを形成する。この化合物は、もともとテンサイから単離された。
【0047】
好ましくは、保湿活性剤は、トリメチルグリシンである。
【0048】
好ましくは、組成物は、保湿活性剤としてトリメチルグリシンを含む。
【0049】
例として、Danisco社が商標名GENENCARE OSMS BA(INCI名:Betaine)で販売しているトリメチルグリシンについて言及することができる。
【0050】
本発明による水性相は、水性相の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~6質量%、より優先的には0.5質量%~5質量%の範囲の量で存在する1つ以上の保湿活性剤を含み得る。
【0051】
本発明による2相組成物は、2相組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~6質量%、より優先的には0.5質量%~5質量%の範囲の量で存在する1つ以上の保湿活性剤を含み得る。
【0052】
油性相
本発明による組成物は、少なくとも1つの油性相を含む。
【0053】
油性相は、一般に、前述の相を水と混和しないようにする1つ以上の疎水性化合物を含む。前述の相は、室温(20~25℃)で液体(構造化剤がない場合)である。
【0054】
油性相の濃度は、2相組成物の総質量に対して、好ましくは5質量%~40質量%、より良好には5質量%~30質量%、更により良好には10質量%~25質量%で変動する。
【0055】
油性相は、実施例3に記載の粘度測定法によって測定される、75mPa.s未満の粘度を有する。
【0056】
油性相は、以下に記載される粘度測定法による、好ましくは70mPa.s未満、より優先的には60mPa.s未満の粘度を有する。
【0057】
75mPa.s未満の粘度の油性相を有することにより、水性相と油性相の間の良好な品質の界面、特に明確に規定された界面を得ることが可能になる。
【0058】
非シリコーン油
油性相は、1つ以上の非シリコーン油を含む。
【0059】
好ましくは、油性相は、非シリコーン油として、1つ以上の揮発性又は不揮発性炭化水素系の油を含む。
【0060】
「油」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg、即ち、10Pa)で液体である脂肪性物質を意味する。油は、揮発性又は非揮発性であり得る。
【0061】
本発明の目的のために、「揮発性油」という用語は、室温及び大気圧で、1時間未満で皮膚又はケラチン繊維と接触すると蒸発することができる油を意味する。本発明の揮発性油は、室温及び大気圧で、特に0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、特に1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、より具体的には1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲のゼロでない蒸気圧を有する、室温で液体である、揮発性化粧用油である。
【0062】
「不揮発性油」という用語は、室温及び大気圧で少なくとも数時間、皮膚又はケラチン繊維に残り、特に蒸気圧が10-3mmHg(0.13Pa)未満の油を意味する。
【0063】
「炭化水素系の油」という用語は、炭素原子及び水素原子を主に含み、場合により、ヒドロキシル、エステル、エーテル及びカルボキシル官能基から選択される1つ以上の官能基を含む油を意味する。
【0064】
本発明で使用することができる揮発性炭化水素系の油の例として、以下について言及することができる:
- 8~16の炭素原子を含む揮発性炭化水素系の油、特に石油由来のC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン及びイソヘキサデカン、例えば、Isopar又はPermethylの商標名で販売されている油、分岐C~C16エステル及びイソヘキシルネオペンタノエート、並びにこれらの混合物。他の揮発性炭化水素系の油、例えば、石油留分、特にShell社によってShell Soltの名前で販売されているものも使用することができる、
- ウンデカン、トリデカンなど、7~26の炭素原子を含む揮発性直鎖アルカン。本発明での使用に適した直鎖アルカンの例として、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)及びn-テトラデカン(C14)、及びこれらの混合物について言及することができる。
【0065】
本発明で使用することができる不揮発性炭化水素系の油の例として、以下について言及することができる:
- 4~24の炭素原子の脂肪酸の液体トリグリセリドなどの炭化水素系の植物油、例えば、ヘプタン又はオクタン酸トリグリセリド、又は小麦胚芽油、オリーブ油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、ココナッツ油、綿実油、アルファルファ油、ポピー油、カボチャ油、マロー油(marrow oil)、ブラックカラント油、イブニングプリムローズ油、ミレット油、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、ククイ油、パッションフラワー油、ムスクローズ油(musk rose oil)、ヒマワリ油、コーン油、大豆油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アプリコットカーネル油、マカダミア油、ヒマシ油、アボカド油、ジョジョバ油、シアバター又はカプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearinerie Dubois社から販売されているもの又はDynamit Nobel社からMiglyol810、812、及び818の名前で販売されているもの、
- ジメチルエーテルなど、10~40の炭素原子を含む合成エーテル、
- 合成エステル、特に脂肪酸の、例えば、R1が1~40の炭素原子を含む直鎖又は分岐の高級脂肪酸残基を表し、R2が1~40の炭素原子を含む、特に分岐した炭化水素系の鎖を表す式R1COOR2の油、ここでR1+R2≧10である、例えば、PurCellin油(セトステアリルオクタノエート)、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、C12~C15アルコールベンゾエート、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジペート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルドデシルステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート又はトリデシルトリメリテート、アルコール又はポリアルコールオクタノエート、デカノエート又はリシノレエート、例えば、プロピレングリコールジオクタノエート、ヒドロキシル化エステル、例えば、イソステアリルラクテート,オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、トリイソセチルシトレート、及び脂肪アルコールヘプタノエート、オクタノエート又はデカノエート、ポリオールエステル、例えば、プロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート又はジエチレングリコールジイソノナノエート、及びペンタエリトリトールエステル、例えば、ペンタエリトリチルテトライソステアレート、本発明の好ましい実施形態によれば、油性相は、ジイソステアリルマレートを含まない、
- 流動パラフィン及びその誘導体、ワセリン、ポリデセン、ポリブテン、Parleamなどの水素化ポリイソブテン、又はスクアランなどの鉱物又は合成由来の直鎖又は分岐炭化水素、
- 室温で液体であり、12~26の炭素原子を含む分岐及び/又は不飽和炭素鎖を有する脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール又はオレイルアルコールなど、
- オレイン酸、リノール酸、又はリノレン酸などの高級脂肪酸、
- カルボネート、
- アセテート、又は
- シトレート。
【0066】
より優先的には、非シリコーン油は、7~26の炭素原子を含む揮発性直鎖アルカン、アプリコットカーネル油又はカプリル/カプリン酸トリグリセリドなどの炭化水素系の植物油、Parleam又はスクアランなどの鉱物又は合成由来の直鎖又は分岐炭化水素、室温で液体であり、12~26の炭素原子を含む分岐及び/又は不飽和炭素鎖を有する脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノールなど、並びにこれらの混合物から選択される。
【0067】
好ましい場合、非シリコーン油は、油性相の総質量に対して少なくとも85質量%、油性相の総質量に対して、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%の含有量で存在する。
【0068】
本発明による2相組成物は、2相組成物の総質量に対して、5質量%~40質量%、より良好には7質量%~30質量%、更により良好には9質量%~25質量%の範囲の含有量の1つ以上の非シリコーン油を含み得る。
【0069】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して2質量%未満のシリコーン油、好ましくは、組成物の総質量に対して1質量%未満のシリコーン油を含み得る。より優先的に、2相組成物は、シリコーン油を含まない。
【0070】
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1つのシリコン原子を含み、特にSi-O基を含む油を意味する。
【0071】
言及され得るシリコーン油の例は、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどのシクロポリジメチルシロキサン(INCI名:cyclomethicone)などの揮発性シリコーン油、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン又はドデカメチルペンタシロキサンなどの直鎖シリコーン、ポリメチルシロキサン(PDMS)、及びフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート及びポリメチルフェニルシロキサンなどのフェニルポリメチルシロキサンなどの不揮発性シリコーン油、脂肪酸、脂肪アルコール又はポリオキシアルキレンで修飾されたポリシロキサン、並びにこれらの混合物を含む。
【0072】
添加物
本発明による組成物、即ち、水性相及び油性相は、加えてまた、更なる化粧用及び皮膚科学的活性剤を含み得る。
【0073】
本発明による組成物、即ち、水性相及び油性相は、乳白剤、防腐剤、日焼け止め剤、充填剤、懸濁剤、封鎖剤、香料、着色剤又はこのタイプの適用のための化粧品で一般的に使用される任意の他の成分など、これらの親水性又は親油性に応じていずれかの相に位置する化粧用補助剤を更に含み得る。
【0074】
好ましくは、本発明による2相組成物は、界面活性剤を含まない。
【0075】
本発明による2相組成物は、水性相及び油性相を、それぞれの質量比が60:40~95:5の範囲、好ましくは75:25~90:10の範囲、好ましくは約90:10で含む。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による2相組成物は、5~7のpH、好ましくは5~6.7のpHを有する。
【0077】
本発明による2相組成物は、液体である。
【0078】
「液体」という用語は、組成物が、それが振とうされるために、及び/又はそれが噴霧されることができるために十分に流動的であることを意味する。
【0079】
本発明による2相組成物は、特に噴霧によって皮膚にそれを適用することを可能にする装置に含まれ得る。この装置は、好ましくはポンプボトルである。
【0080】
好ましくは、本発明による組成物は、「生理学的に許容可能な媒体」を含む。「生理学的に許容可能な媒体」という用語は、組成物の局所的投与に適しており、皮膚、唇、爪、粘膜、まつげ、眉毛、頭皮及び/又は毛髪、又は体の皮膚の任意の他の領域などの、全ての人のケラチン材料と互換性がある媒体を意味する。
【0081】
本発明によれば、生理学的に許容可能な媒体は、優先的には、美容的に許容される媒体、即ち、任意の臭気又は不快な外観がなく、局所的投与経路と完全に適合性のある媒体である。
【0082】
より具体的には、本発明による組成物は、局所的投与、即ち、検討中の皮膚などの、検討中のケラチン材料の表面への適用に適している。
【0083】
これらの組成物は、特に顔及び/又は身体への局所的適用を目的としている。
【0084】
本発明はまた、ケラチン材料の美容的手当てのための、特にケラチン材料、好ましくは皮膚を保湿するための、上記で規定された2相組成物の使用に関する。
【0085】
本発明はまた、人のケラチン材料、好ましくは皮膚を手当て及び/又は手入れするための美容的方法に関し、この方法は、上記で規定された2相組成物を振とうし、次いで前述のケラチン材料の表面にこれを適用することを含む。振とうは、典型的には手作業で行われる。
【0086】
人のケラチン材料を手当て及び/又は手入れするための方法は、好ましくは、ケラチン材料、特に皮膚を保湿するための方法である。
【0087】
本発明はまた、
i)2相組成物の総質量に対して5質量%~30質量%の含有量でポリオールが存在する1つ以上のポリオールを含む水性相を含む組成物と、
ii)1つ以上の非シリコーン油を含む油性相を含む組成物であって、油性相は、粘度測定法による75mPa.s未満の粘度を有する組成物と、を含むキットであって、水性相と油性相の間のそれぞれの質量比は、60:40~95:5の範囲であるキットに関する。
【0088】
本発明によるキットの組成物i)及びii)は、好ましくは、それぞれ、上記の組成物の水性相a)及び油性相b)と同一である。典型的には、各組成物i)及びii)は、液体である。
【0089】
本発明の主題はまた、人のケラチン材料、好ましくは皮膚を手当て及び/又は手入れするための、特にケラチン材料を保湿するための美容的方法であり、この方法は、本発明によるキットの組成物i)と組成物ii)を混合及び振とうし、次いで前述のケラチン材料の表面にこれを適用することによる2相組成物の調製を含む。
【0090】
言うまでもなく、当業者は、本発明による化粧用組成物に本質的に関連する有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けない、又は実質的に悪影響を受けないように、これ又はこれらの任意の更なる化合物を選択するように注意するであろう。
【0091】
以下の実施例は、本発明を例示するのに役立つ。量は、組成物の総質量に対する質量パーセントとして示されている。
【実施例
【0092】
実施例では、温度は、特に明記されていない限り、摂氏で示され、室温(20~25℃)に対応し、圧力は、特に明記されていない限り、海面での大気圧である。更に、特に明記しない限り、パーセントは、組成物の総質量に対する質量基準で表される。
【0093】
実施例1:
以下の組成物は、以下のプロセスに従って調製した:
- 均一な混合物を得るために、相A(即ち、水性相)をスターラー(例えば、VMIのTurbotest Rayneri)を使用して200~350rpmの速度にて室温で混合し、次いで、混合物を5μmのナイロンフィルターを使用してろ過し、
- 次いで、相B(即ち、油性相)を調製し、
- 96gの相Aをビーカーに量り取り、これに24gの相Bを加えて、2相組成物を得る。
【0094】
【表1】
【0095】
界面の品質は、以下に説明する方法に従って、各組成物について評価した。
【0096】
界面の品質の評価:
各組成物A~Eについて、120gの2相配合(96gの水性相及び24gの油性相)を有する2つの140mlのプラスチックボトルを、評価のために調製する。ボトルの1つを振とうし、もう1つを等級の基準として使用する。
【0097】
評価は、5日間に渡って実行される。
- 初日(D1)に、2相組成物を含む試料を前後に10回振とうする、
- 2日目(D2)に、試料を再度振とうする(前後に10回)、
- 3日目(D3)に、試料を再度振とうする(前後に10回)、
- 4日目(D4)に、試料を再度振とうする(前後に10回)、
- 5日目(D5)に、界面の品質を等級付けすることにより、試料が評価される。
【0098】
等級は、1~5までのスケールで付けられる。正(5/5)、中間(3/5)、及び負(1/5)の線引きが作成され、等級付けを支援するために写真で取り込まれる。
【0099】
1/5に等しい等級を有する2相組成物は、水性相と油性相の間に油性相の高さ全体に渡って白い泡の形態である界面を示す。
【0100】
3/5に等しい等級を有する2相組成物は、水性相と油性相の間に微細な層の形態における乳白色の界面を示す。
【0101】
5/5に等しい等級を有する2相組成物は、水性相と油性相の間に振とうされていない基準の試料の界面と同一である界面を示す。
【0102】
界面の品質の等級が3以下の組成物は、審美的な観点から許容できないと見なされる。
【0103】
各組成物A~Eは、界面の品質についての等級を受けた。
【0104】
結果:
【0105】
【表2】
【0106】
比較の組成物Eは、界面品質について3に等しい等級を有し、これは審美的な観点から許容できない。
【0107】
本発明による組成物A~Dは、界面品質について厳密には3より大きい等級を有する。従って、2相組成物の総質量に対して5質量%~30質量%の範囲の濃度で水性相中にグリセロールなどのポリオールが存在することにより、2つの相の間の明確に規定された界面を有する2相組成物を得ることが可能になる。
【0108】
実施例2:
以下の組成物は、実施例1に記載のプロセスに従って調製した。
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
脱混合時間は、以下に記載されるプロセスに従って、各組成物F~Mについて評価した。
【0112】
2相組成物の脱混合時間の測定:
分析対象の2相組成物(水性相96gと油性相24gを有する2相配合120g)の試料を採取し、140mlのプラスチックボトルに入れる。次いで、試料を、スーパーマーケットタイプの照明(supermarket-type lighting)を備えたJUST-NormlichtのBasic Color Viewing Lightのライトボックスにおける黒い背景の前に配置する。
【0113】
ビデオカメラ(Nikon Coolpix P100)を、各試料から約1mにて、組成物を含む試料の前に配置する。
【0114】
カメラが起動し、次いで試料が前後に10回振とうされる。記録は、各2相組成物の水性相と油性相が分離してそれらの初期状態に戻るまで継続する。2相組成物の2つの相がそれらの初期状態に戻らなくとも、5分後に記録を停止する。
【0115】
脱混合時間が3分50以上である2相組成物は、許容できないと見なされるが、その理由は、水性相と油性相の分離時間が十分に急速でなく、従って消費者にとって魅力がないと考えられることである。
【0116】
結果:
【0117】
【表5】
【0118】
本発明による組成物F~H、並びにまた、本発明による組成物J、K及びLは、厳密には3分50未満の脱混合時間を有する。5%~30%のポリオール含有量を含む本発明によるこれらの2相組成物は、急速に分離してそれらの初期状態に戻る水性相及び油性相を有する。
【0119】
厳密には30%を超えるポリオール含有量を含む比較の組成物I及びMは、3分50以上の脱混合時間を有し、これは、審美的な観点から許容できない。
【0120】
実施例3:
以下の組成物は、実施例1に記載のプロセスに従って調製した。
【0121】
【表6】
【0122】
【表7】
【0123】
異なる組成物の油性相の粘度は、以下に記載されるプロセスに従って測定される。
【0124】
油性相の粘度は、Anton PaarのStabinger SVM3001キャピラリー粘度計を使用して測定される。測定は25℃で行われる。
【0125】
注射器を使用して、各油5mlが粘度計に導入される。結果の再現性に応じて、各試料に2つ又は3つの測定が実行される。
【0126】
機械は、各試料間で2回のすすぎ(トルエン、次いでアセトンを用いて)を実行する。最後に、各油について平均動的粘度(mPa.sの単位)が記録される。
【0127】
界面の品質は、実施例1に記載された方法に従って、各組成物について評価された。
【0128】
結果:
【0129】
【表8】
【0130】
本発明による組成物O~Uは、界面品質について厳密には3より大きい等級を有する。従って、粘度が75mPa.s未満の油性相の存在により、2つの相の間に明確に規定された界面を有する2相組成物を得ることができる。
【0131】
比較の組成物Nは、界面品質について3未満の等級を有し、これは審美的な観点から許容できない。
【0132】
実施例4:保湿ケア組成物の例
以下の組成物は、実施例1に記載のプロセスに従って調製した。
【0133】
【表9】
【0134】
本発明による組成物V及びWを混合し、ポンプボトルを使用して皮膚に適用する。
【0135】
本発明による組成物V及びWは、適用中に粘着性の感覚及び脂肪分に富んだ感覚がなく、良好な皮膚の保湿感覚を与える。