(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】セルロースアセテート含有材料をリサイクルするための方法、ペレット、押出物およびその粒状物、ならびにセルロースアセテート含有材料をリサイクルするためのシステム
(51)【国際特許分類】
C08J 11/04 20060101AFI20240809BHJP
B29B 9/12 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
C08J11/04
B29B9/12 ZAB
(21)【出願番号】P 2022546555
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2021050437
(87)【国際公開番号】W WO2021151650
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102020102079.1
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522247437
【氏名又は名称】セルディア インターナショナル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローター、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シャッフナー、ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】シェーンベルガー、アンドレ
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011010260(DE,A1)
【文献】特開昭60-083800(JP,A)
【文献】国際公開第2010/054514(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/026461(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3174743(JP,U)
【文献】特公昭49-015471(JP,B1)
【文献】特表2014-520945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0043148(US,A1)
【文献】特開平04-263906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 11/00-11/28
B29B 9/00-9/16、17/00-17/04
B09B 3/00-5/00
B30B 11/20、11/28
B01J 2/00、2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルター原料をリサイクルするための方法であって、
前記方法は、
セルロースアセテート及び紙からなる、又は、セルロースアセテート及び紙を含むフィルター原料であって、少なくとも部分的に、使用済みフィルターロッド廃棄物
を含むフィルター原料を供給する工程と、
前記フィルター原料を粉砕する工程と、
前記フィルター原料をペレット化プレス機に供給する工程と、
前記ペレット化プレス機において、供給された前記フィルター原料をペレット化して、前記フィルター原料をペレットに変換する工程と、を含み、
変換された前記ペレットは、最初に供給された前記フィルター原料よりも高い密度を有し、
前記ペレット化を行う際に、前記フィルター原料、前記ペレット、及び/又は中間段階材料を少なくとも一時的に冷却し、
前記フィルター原料、前記ペレット、及び/又は前記中間段階材料が、前記冷却中に、臨界温度未満に保たれ、
前記臨界温度が、前記セルロースアセテートのガラス転移温度に相当し、
前記ペレット化が、プレスローラー及びダイによって行われ、
前記ダイが、熱伝導性材料から作製されており、
前記ペレット又は前記中間段階材料の冷却が、前記ダイによって行われ、
前記冷却が、流体冷却及び/又は固体物体冷却によって行われる、
方法。
【請求項2】
前記フィルター原料における、前記セルロースアセテートのパーセンテージが、少なくとも70重量%であり、前記紙のパーセンテージが、30重量%以下である、
請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルター原料が、不純物を含み、存在し得る水分を差し引いた前記不純物及び前記紙のパーセンテージが、10重量%以下である、
請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルター原料が、
30kg/m
3~
80kg/m
3の密度を有し、
前記ペレットが、
350kg/m
3~
650kg/m
3のかさ密度を有する、
請求項
1~請求項
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ペレットを押出機に供給する工程と、
可塑剤を前記ペレットに供給する工程と、
前記ペレット及び前記可塑剤を混合する工程と、
押出物を押し出す工程と、を更に含む、
請求項
1~請求項
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記押出機が、スクリュー押出機として設計されている、
請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記可塑剤が、トリアセチンであり、10~35重量%のパーセンテージで前記ペレットに添加される、
請求項
5又は請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
水浴中で前記押出物を粒状化及び/又は切断して粒状物を製造する工程を更に含む、
請求項
5~請求項
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
セルロースアセテート及び紙からなるフィルター原料、又は、セルロースアセテート及び紙を含むフィルター原料から製造された粒状物であって、
前記フィルター原料は、使用済みフィルターロッド廃棄物
を含み、
800kg/m
3~
1100kg/m
3の密度を有する、
粒状物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースアセテートを含有する材料をリサイクルするための方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、フィルタートウ材料、特にフィルタートウ原料、シガレットロッド廃棄物および/またはシガレットフィルターをリサイクルするための方法に関する。更に、本発明は、フィルタートウ材料、特にフィルタートウ原料、シガレットロッド廃棄物および/またはシガレットフィルターをリサイクルするためのそのような方法およびシステムから生じるペレット、押出物および粒状物に関する。
【背景技術】
【0003】
シガレット業界において毎年世界中で、約800ktのフィルタートウが、フィルターロッドに加工され、ロッドは更にシガレットに加工される。非常に高度なプロセスであっても、製造廃棄物やスクラップを完全に防ぐことは困難であり得る。フィルターロッドの製造におけるスクラップ率は1~2%であり、世界中で年間約8,000~16,000トン蓄積されていると推定される。
【0004】
このような廃棄物(フィルタートウ材料、特にフィルタートウ原料)ならびにフィルターロッドおよび/またはシガレットの製造で発生するフィルターロッド廃棄物は、通常、破壊することによって(すなわち焼却によって)処分される。フィルタートウ材料は、未加工の状態およびフィルターロッドの状態では、非常に密度が低いため(約50kg/m3)、保管および輸送などの廃棄に至るまでのプロセスで、高い費用が発生する。
【0005】
世界中で毎年約5.5兆本のシガレットの吸い殻が捨てられており、この廃棄物は、堆肥にすることができない、または、堆肥にするのに多大な労力がかかるので、シガレットフィルター廃棄物は、更なる問題であると考えられる。
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明は、特に製造時に発生する廃棄物の状態および/またはシガレットの吸い殻の状態のフィルタートウ材料およびフィルター材料に関する上記問題を解決する方法、そこから生じる製品、ならびにシステムを特定するという課題に基づく。
【0007】
本発明に係るあるソリューションは、セルロースアセテート含有フィルタートウ材料、特にフィルタートウ原料、シガレットロッド廃棄物および/またはシガレットフィルターをリサイクルするための方法を特定することからなる。方法は、リサイクル用のセルロースアセテート含有材料をペレット化プレス機に供給する工程と、ペレット化プレス機において、材料をペレット化して、セルロースアセテート含有材料をペレットに変換する工程と、を含み、変換されたペレットは、最初に供給されたセルロースアセテート含有材料よりも高い密度を有し、ペレット化する際に、セルロースアセテート含有材料、ペレット、および/または中間段階材料を少なくとも一時的に冷却する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
課題は、フィルタートウ材料、特にフィルタートウ原料、シガレットロッド廃棄物および/またはシガレットフィルターをリサイクルするための本発明の方法によって、十分に解決される。
【0009】
方法は特に、保管用の材料を生成し、その密度により、より費用対効果の高い保管が可能になる。ペレットは、保管が容易で、特に取り扱いおよび輸送が容易である。
【0010】
リサイクル用のセルロースアセテート含有材料が、フィルタートウ材料、特にフィルタートウ原料などの、製造中に蓄積する廃棄物のみからなる場合、廃棄物(製造廃棄物)を再利用またはリサイクルすることは、非常に賢明である。製造廃棄物は、製造設備のすぐ近くに蓄積し、通常は最小限しか汚染されないか、完全に汚染されず、物流上または技術上の問題をほとんど発生させない。更に、リサイクル用のセルロースアセテート含有材料の組成および状態は、プロセスモニタリングによって正確に把握される。
【0011】
従って、製造時に蓄積するフィルタートウ原料を破壊(焼却)せずにリサイクルすることができる。より持続可能な製造に向けたプロセスの最適化もこの時点でなされ、全体として、よりよい製品の生態学的バランスをもたらし得る。
【0012】
他方で、本発明の方法は、セルロースアセテートに加えて他の成分(例えば、フィルターロッドの製造中に発生した紙くず、または、シガレットの吸い殻における紙とタバコ)を更に含むセルロースアセテート含有材料のリサイクルにも適する。
【0013】
セルロースアセテート自体は、セルロースの酢酸エステルの総称である。一般的に、セルロースアセテートは、綿および/または木材セルロースの変換によって得られる非晶質の熱可塑性物質である。
【0014】
ペレット化する際に、リサイクル用のセルロースアセテート含有材料(以下において「原料」とも呼ばれる)は、粉砕され、圧縮され、原料と最終ペレットとの間の材料に現れる形態は、本明細書中では、中間段階材料と呼ばれる。
【0015】
本発明のある有利な展開によれば、原料を供給する工程より前に、原料を粉砕する工程を行う。
【0016】
原料の形態によっては、スムーズなペレット化プロセスを確保し、ペレット化プレス機のスループットを向上させるために、ペレット化プレス機に供給する前に粉砕することが有利であり得る。
【0017】
本発明のある有利な展開によれば、原料は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、製造中に発生した紡績工場廃棄物またはフィルタートウベール(filter tow bales)からなる。
【0018】
これにより、特に、蓄積した紡績工場廃棄物またはフィルタートウベールが汚染されずにその後の処理に非常に適するという利点がもたらされる。
【0019】
本発明のある有利な展開によれば、原料、ペレット、および/または中間段階材料は、冷却中に、臨界温度未満に保たれる。
【0020】
本発明のある有利な展開によれば、臨界温度はセルロースアセテートのガラス転移温度に相当する。
【0021】
セルロースアセテートは、温度と薬品に対する耐性が比較的弱い。セルロースアセテートのガラス化温度またはガラス転移温度は、既に125℃~175℃である。従って、冷却して温度をガラス転移温度未満に保つことは、材料がもはや使用できなくなるまで熱劣化することを防ぐためにプロセスにとって重要である。
【0022】
本発明のある有利な展開によれば、ペレット化は、プレスローラーおよびダイによって行われる。
【0023】
ダイは、特に、材料がプレスローラーによってプレスされてストランドに成形されるパンチダイである。ストランドは、方法の次の工程で所望のペレット長に刃で切断される無端ストランドであり得る。
【0024】
ローラーギャップ幅は、ペレット密度またはペレット品質に影響し得るように、好ましくは動作中に、有利に調節し得る。
【0025】
本発明のある有利な展開によれば、ダイは熱伝導性材料から作製され、冷却はダイによって行われる。
【0026】
これには、特にガラス化しやすく特に冷却が必要なペレットおよび中間段階材料のすぐ近くで冷却が行われるという利点がある。
【0027】
本発明の有利なある展開によれば、冷却は、流体冷却(好ましくは水冷)および/または固体物体冷却によって行われる。
【0028】
流体冷却は特に適していると見なされる。なぜなら、実施が非常に容易であり、ダイの良好な冷却をもたらすからである。
【0029】
本発明のある有利な展開によれば、原料は、約30kg/m3~約80kg/m3の密度、好ましくは約45kg/m3~約65kg/m3の密度を有し、ペレットは、約350kg/m3~約650kg/m3のかさ密度、好ましくは約450kg/m3~約550kg/m3のかさ密度を有する。
【0030】
この時点で、既に説明した圧縮によって達成される保管に関する利点が、明らかになる。ペレットは高密度であり、そのかさ密度は原料の密度の約10分の1である。これにより、保管に必要なスペースが10分の1になる。
【0031】
現在および後の文脈において、「約」という用語は、5%以下の逸脱を意味する。
【0032】
本発明に係るあるソリューションは、フィルター原料またはシガレットフィルターをリサイクルするための方法を特定することからなる。この材料は、セルロースアセテートおよび紙からなるか、またはセルロースアセテートおよび紙を含み、方法は、フィルター原料またはシガレットフィルターを粉砕する工程と、粉砕した材料をペレット化プレス機に供給する工程と、ペレット化プレス機において、材料をペレット化して、フィルター原料またはシガレットフィルター材料をペレットに変換する工程と、を含む。変換されたペレットは、最初に供給された原料よりも高い密度を有し、ペレット化の際に、フィルター原料、ペレット、および/または中間段階材料が、少なくとも一時的に冷却される。
【0033】
フィルタートウ原料をリサイクルするための方法に関して既に述べた利点は、ここでも当てはまる。特に、よりかさばらないペレットを保管するので、費用要素が大幅に低くなる。また、ペレットは、特に空気輸送が可能なので、輸送がかなり容易である。一般的に言えば、「空気輸送」という用語は、正圧または負圧を利用するガス(通常は空気)によるバルク材料の輸送として理解される。設計上、輸送はチューブまたはパイプを介して行われる。流体チャネル(底部が通気された角パイプ)を介した輸送も非常に一般的である。本発明に係るペレットは、空気希薄相、栓流、および密相流の輸送に特に適している。
【0034】
しかしながら、前述の方法とは対照的に、フィルター原料およびシガレットフィルター材料は、セルロースアセテートに加えて(とりわけ)紙も含む。
【0035】
フィルター原料をペレット化する前に、シュレッダーでフィルター原料の粉砕を行う。フィルター原料を粉砕するためのシュレッダーをペレット化プレス機に統合することも、当然考えられる。
【0036】
実際のペレット化プロセスは製造プロセスのボトルネックとなるため、粉砕プロセス(シュレッドプロセス)はその後のペレット化プロセスの計測手段として機能し得る。これにより、シュレッダー段階とペレット化段階との間の材料詰まりが効果的に防止される。
【0037】
フィルター原料およびシガレットフィルター材料は非常に低い機械抵抗を示すため、シュレッダーは、計測が容易に行われ得る低出力設定に設計することが可能である。約150kg/時間のスループットは、ペレット化操作/プロセスの現実的なスループットの例である。
【0038】
本発明のある有利な展開によれば、フィルター原料中のセルロースアセテートのパーセンテージは、少なくとも90%であり、フィルター原料/シガレットフィルター材料中の他の異物(例えば、タバコ残渣)および紙のパーセンテージは、10%以下である(いずれの場合も、含水量は差し引いている)。
【0039】
本発明のある有利な展開によれば、フィルター原料および/またはシガレットフィルター材料は、不純物および/または非セルロースアセテート成分を含む。それらおよび紙のパーセンテージは、10%以下である。
【0040】
本発明のある有利な展開によれば、フィルター原料は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、製造中に蓄積するフィルターロッド廃棄物または使用済みフィルターロッド廃棄物からなる。
【0041】
本文脈で言及されるフィルター原料の「パーセンテージ」は、フィルター原料またはシガレットフィルター材料に直接的に由来する重量パーセンテージに基づく。
【0042】
フィルター原料またはシガレットフィルター材料の組成は相違する。相違は、主に、製造中に蓄積するフィルターロッド廃棄物/スクラップと、使用済みフィルターロッド廃棄物と、の間で生じる。
【0043】
フィルターロッド廃棄物またはフィルターロッドスクラップは、セルロースアセテートおよび紙からなり、セルロースアセテートは、少なくとも90%、好ましくは少なくとも94%、特に好ましく97%のパーセンテージで存在する。紙は残りを占め、最大で10%である。
【0044】
製造中に蓄積するスクラップ/廃棄物によって得られる上記の利点は、この原料に再度適用される(実際の製造の近くで蓄積し汚染されないので)。特に、ここでの組成は、正確に把握され、制御可能である。従って、そのような製品は、更なる処理に特に適している。
【0045】
一方、使用済みフィルターロッド廃棄物は、既にシガレットにおいて使用され消費者によって喫煙されたものである。従って、それはシガレットの残骸であり、シガレットの吸い殻(=喫煙済みシガレットフィルター)である。そのような使用済みフィルターロッド廃棄物中の紙含有量は、約30%以下と推定される。
【0046】
しばしば、消費者は、喫煙済みシガレットフィルターを通りに投げ捨て、その結果、魅力のない汚れた街並みがもたらされる。従って、製造中に蓄積するフィルターロッドスクラップに加えて使用済みフィルターロッド廃棄物も含むように上述の方法を拡張して、そのような喫煙済みシガレットフィルターをリサイクルするようにすることが、望ましい。
【0047】
本発明のある有利な展開によれば、フィルター原料もしくはシガレットフィルター材料、ペレット、および/または中間段階材料は、冷却中、臨界温度未満に保たれる。
【0048】
ある有利な展開によれば、臨界温度は、セルロースアセテートのガラス転移温度に相当する。
【0049】
原料をリサイクルするための方法に関連して既に述べた側面は、ここでも見られ、その場合、材料の温度は、セルロースアセテートのガラス転移温度未満である必要がある。
【0050】
方法のある有利な展開によれば、ペレット化は、プレスローラーおよびダイによって行われる。ある有利な展開によれば、ダイは熱伝導性材料から作製されており、ダイによって冷却が行われる。
【0051】
このことには、その場(つまり必要な時点)で冷却を行うことができるという利点がある。
【0052】
本発明のある有利な展開によれば、冷却は、流体冷却(好ましくは水冷)および/または固体物体冷却によって行われる。
【0053】
ダイの場合、前述の冷却は、特に使いやすく、確実に実施できる。このことは、ペレット化中に構成部品が高圧にさらされるため、特に重要である。
【0054】
本発明の方法のある有利な実施によれば、ペレット化は、冷却された環状ダイを用いて行われ、そこには放射状に配置されたベイリングチャネルが形成されており、それらは環状ダイの内面から環状ダイの外面まで延びており、環状ダイは、その中心点を通る水平回転軸を有し、駆動ユニットにより一回転方向に駆動できるように設計されている。環状ダイは、圧縮室を画定する。また、ペレット化用の材料をベイリングチャネル内に圧縮しプレスするために圧縮室内に配置された作動プレスローラーホイールが、有利に設けられる。
【0055】
本発明のある有利な展開によれば、フィルター原料/シガレットフィルター材料は、約30kg/m3~約80kg/m3の密度、好ましくは約45kg/m3~約65kg/m3の密度を有し、ペレットは、約350kg/m3~約650kg/m3のかさ密度、好ましくは約450kg/m3~約550kg/m3のかさ密度を有する。
【0056】
ペレットはバルク材の形態であり、そのまま保管されるため、保管と輸送に関する決定的なペレットパラメーターは、真密度ではなく、かさ密度である。
【0057】
本発明のある有利な展開によれば、方法は、ペレットを押出機に供給する工程と、ペレットに可塑剤を供給する工程と、ペレットと可塑剤とを混合する工程と、押出物を押し出す工程と、を更に含む。
【0058】
ここで、前のプロセスから得られたペレットは、次の製造段階で更に加工される。押出機は、好ましくは、加工される材料が連続的に運ばれる穴あきプレートを含む。
【0059】
可塑剤は、ペレットを押し出すことができるように、ペレットを緩める働きをする。ペレットと可塑剤との混合は、好ましくは押出機内で行われ、それによって熱可塑性物質が形成される。
【0060】
本発明のある有利な展開によれば、押出機は、スクリュー押出機、好ましくは2軸スクリュー押出として設計される。
【0061】
押出機は、上記の押出の意図する目的によく適合する堅牢で単純な構造を有する。
【0062】
ある有利な展開によれば、可塑剤はトリアセチンであり、10~35重量%、好ましくは15~25重量%、特に好ましくは約25重量%のパーセンテージでペレットに添加される。
【0063】
このことは、押出物中の可塑剤のパーセンテージが10~35重量%、好ましくは15~25重量%、特に好ましくは約25重量%であることを意味する。
【0064】
トリアセチンは、グリセロールトリアセテートとしても知られており、グリセロールトリオールと酢酸のエステルである。トリアセチンは、塗料やプラスチック用の代表的な可塑剤である。更に、セルロースアセテートの溶媒でもある。
【0065】
トリアセチンの使用を支持する追加の説明は、セルロースアセテートベースのシガレットフィルターの製造のための接着剤としての使用である。このことは、フィルター原料中に既に少量存在し得ることを意味する。
【0066】
本発明のある有利な展開によれば、方法は、水浴中で押出物を粒状化および/または切断して粒状物を製造する工程を更に含む。
【0067】
粒状物の目的は、有効に加工され得る圧縮された粒子サイズの粒子のバルク状集合体として存在することによって、熱可塑性物質として物質のより良い加工を可能にすることである。特に、粒状物は、射出成形プロセスで熱可塑性物質として更に加工され得る。
【0068】
本発明のソリューションは更に、前述の方法の1つによって製造されたペレットを特定することからなる。
【0069】
バルク材料であるため、ここでは複数の「ペレット」が使用されている。もちろん、単一のペレットも特許請求の範囲の保護範囲に含まれる。ペレットに関して特に興味深いのは、フィルター原料から作製されたペレット、すなわち、セルロースアセテートに加えて紙も含むペレットである。これは特に、完全セルロースアセテートペレットとは異なる(より良い)特性を有することによるものである。それらは更に、本発明に係る押出物の原料として特に適している。
【0070】
実際、本発明の更なるソリューションは、前述の方法の1つによって製造された押出物を特定することからなる。
【0071】
追加で紙を含むことにより、ペレットを高品質の熱可塑性物質に押し出すことが可能になる。セルロースアセテート繊維は、この押出物内に均一に溶解し、紙繊維分(すなわち、包装紙の繊維分)のみと混練される。この押出物は、他の熱可塑性物質と同様に更に加工できる。
【0072】
本発明に係る更なるソリューションは、前述の方法の1つによって製造された粒状物を特定することからなる。
【0073】
上記したように、セルロースアセテート、トリアセチン、および紙からなるこの粒状物は、完全セルロースアセテートの粒状物よりも優れた材料特性を示す。
【0074】
例えば、25重量%のトリアセチン含量を有する本発明の押出物または粒状物から製造された試料は、以下の特性を示す:0.5%の標準偏差で52MPaの引張強度、0.5%の標準偏差で50.6MPaの破壊強度、0.03%の標準偏差で3.9%の降伏ひずみ、0.7%の標準偏差で5.9%の破断ひずみ、0.01の標準偏差で2.5GPaの弾性率、0.7の標準偏差で6.5kJ/m2のシャルピー衝撃強さ。
【0075】
上記の値はすべて、DIN EN ISO 527-1仕様を用いて測定される。
【0076】
全体として、純粋なセルロースアセテート製品よりも、押出物および粒状物の方が、更に優れた値が得られる。
【0077】
ある有利な展開によれば、粒状物は、約800kg/m3~約1100kg/m3、好ましくは約900kg/m3~約1000kg/m3、特に好ましくは約950kg/m3の密度を有する。
【0078】
粒状物のかさ密度は、約500~600kg/m3である。
【0079】
ある本発明のソリューションは更に、セルロースアセテートからなる原料または少なくともセルロースアセテートを含む原料のリサイクルのためのシステムを特定することからなる。このシステムは、ペレット化プレス機において原料をペレット化して原料をペレットに変換する工程を行うように設計されており、変換されたペレットは、最初に供給された原料よりも高い密度を有し、ペレット化の際に、原料、ペレット、および/または中間段階材料が少なくとも一時的に冷却される。
【0080】
あるいは、熱可塑性粒状物を製造するために可塑剤を添加することもできる。
【0081】
ある本発明のソリューションは更に、セルロースアセテートおよび紙からなるフィルター原料またはセルロースアセテートおよび紙を含むフィルター原料のリサイクルのためのシステムを特定することからなる。このシステムは、フィルター原料を粉砕する工程と、フィルター原料をペレット化プレス機に供給する工程と、ペレット化プレス機において、フィルター原料をペレット化して、フィルター原料をペレットに変換する工程と、を実施するように設計されており、変換されたペレットは、最初に供給されたフィルター原料よりも高い密度を有し、ペレット化の際に、フィルター原料、ペレット、および/または中間段階材料が少なくとも一時的に冷却される。
【0082】
ある有利な展開によれば、フィルター原料、ペレットおよび/または中間段階材料は、冷却中、臨界温度未満に保たれ、臨界温度は、セルロースアセテートのガラス転移温度に相当する。
【0083】
上述の方法および製品と同様に、上述のシステムによって同じ利点が得られる。これらに関して言及された詳細および特徴は、もちろんシステムにも適用される。
【0084】
このことは、上述のペレット、押出物、および粒状物製品にも適用される。全体として、方法に関して言及されたすべての詳細および特徴は、記載されている製品やシステムにも適用される。
[1]
セルロースアセテート含有材料(特に、セルロースアセテートからなるフィルタートウ原料、または、少なくともセルロースアセテートを含むフィルタートウ原料)をリサイクルするための方法であって、
前記方法は、
リサイクル用の前記セルロースアセテート含有材料をペレット化プレス機に供給する工程と、
前記ペレット化プレス機において、前記セルロースアセテート含有材料をペレット化して、前記セルロースアセテート含有材料をペレットに変換する工程と、
を含み、
変換された前記ペレットは、最初に供給された前記セルロースアセテート含有材料よりも高い密度を有し、
前記ペレット化を行う際に、前記セルロースアセテート含有材料、前記ペレット、および/または中間段階材料を少なくとも一時的に冷却する、
方法。
[2]
前記セルロースアセテート含有材料を供給する工程より前に、前記セルロースアセテート含有材料を粉砕する工程を行う、
[1]に記載の方法。
[3]
前記セルロースアセテート含有材料が、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、製造中に発生した紡績工場廃棄物またはフィルタートウベールからなる、
[1]または[2]に記載の方法。
[4]
前記セルロースアセテート含有材料、前記ペレット、および/または前記中間段階材料が、前記冷却中に、臨界温度未満に保たれる、
[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記臨界温度が、前記セルロースアセテートのガラス転移温度に相当する、
[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記ペレット化が、プレスローラーおよびダイによって行われる、
[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記ダイが、熱伝導性材料から作製されており、
前記冷却が、前記ダイによって行われる、
[6]に記載の方法。
[8]
前記冷却が、流体冷却(好ましくは水冷)および/または固体物体冷却によって行われる、
[1]~[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記セルロースアセテート含有材料が、約30kg/m
3
~約80kg/m
3
の密度、好ましくは約45kg/m
3
~約65kg/m
3
の密度を有し、
前記ペレットが、約350kg/m
3
~約650kg/m
3
のかさ密度、好ましくは約450kg/m
3
~約550kg/m
3
のかさ密度を有する、
[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10]
セルロースアセテート含有材料(特に、セルロースアセテートおよび紙からなるフィルター原料および/またはシガレットフィルター材料、または、セルロースアセテートおよび紙を含むフィルター原料および/またはシガレットフィルター材料)をリサイクルするための方法であって、
前記方法は、
前記セルロースアセテート含有材料を粉砕する工程と、
前記セルロースアセテート含有材料をペレット化プレス機に供給する工程と、
前記ペレット化プレス機において、供給された前記セルロースアセテート含有材料をペレット化して、前記フィルター原料または前記シガレットフィルター材料をペレットに変換する工程と、
を含み、
変換された前記ペレットは、最初に供給された前記セルロースアセテート含有材料よりも高い密度を有し、
前記ペレット化を行う際に、前記セルロースアセテート含有材料、前記ペレット、および/または中間段階材料を少なくとも一時的に冷却する、
方法。
[11]
前記フィルター原料または前記シガレットフィルター材料における、前記セルロースアセテートのパーセンテージが、少なくとも90%であり、前記紙のパーセンテージが、10%以下である、
[10]に記載の方法。
[12]
前記フィルター原料または前記シガレットフィルター材料が、不純物を含み、存在し得る水分を差し引いた前記不純物および前記紙のパーセンテージが、10%以下である、
[10]または[11]に記載の方法。
[13]
前記フィルター原料が、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、製造中に蓄積するフィルターロッド廃棄物または使用済みフィルターロッド廃棄物からなる、および/または、
前記シガレットフィルター材料が、喫煙済みシガレットフィルターを含む、
[10]~[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記フィルター原料もしくは前記シガレットフィルター材料、前記ペレット、および/または前記中間段階材料が、前記冷却中に、臨界温度未満に保たれる、
[10]~[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]
前記臨界温度が、前記セルロースアセテートのガラス転移温度に相当する、
[10]~[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16]
前記ペレット化が、プレスローラーおよびダイによって行われる、
[10]~[15]のいずれか一項に記載の方法。
[17]
前記ダイが、熱伝導性材料から作製されており、
前記冷却が、前記ダイによって行われる、
[16]に記載の方法。
[18]
前記冷却が、流体冷却(好ましくは水冷)および/または固体物体冷却によって行われる、
[10]~[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19]
前記フィルター原料または前記シガレットフィルター材料が、約30kg/m
3
~約80kg/m
3
の密度、好ましくは約45kg/m
3
~約65kg/m
3
の密度を有し、
前記ペレットが、約350kg/m
3
~約650kg/m
3
のかさ密度、好ましくは約450kg/m
3
~約550kg/m
3
のかさ密度を有する、
[10]~[18]のいずれか一項に記載の方法。
[20]
前記ペレットを押出機に供給する工程と、
可塑剤を前記ペレットに供給する工程と、
前記ペレットおよび前記可塑剤を混合する工程と、
押出物を押し出す工程と、
を更に含む、
[10]~[19]のいずれか一項に記載の方法。
[21]
前記押出機が、スクリュー押出機、好ましくは二軸スクリュー押出機として設計されている、
[20]に記載の方法。
[22]
前記可塑剤が、トリアセチンであり、好ましくは、10~35重量%、好ましくは15~25重量%、特に好ましくは約25重量%のパーセンテージで前記ペレットに添加される、
[20]または[21]に記載の方法。
[23]
水浴中で前記押出物を粒状化および/または切断して粒状物を製造する工程を更に含む、
[20]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24]
[11]~[19]のいずれか一項に記載の方法によって製造されたペレット。
[25]
[20]~[22]のいずれか一項に記載の方法によって製造された押出物。
[26]
[23]に記載の方法によって製造された粒状物。
[27]
約800kg/m
3
~約1100kg/m
3
、好ましくは約900kg/m
3
~約1000kg/m
3
、特に好ましくは約950kg/m
3
の密度を有する、
[26]に記載の粒状物。
[28]
セルロースアセテートからなるフィルタートウ原料、または、少なくともセルロースアセテートを含むフィルタートウ原料をリサイクルするためのシステムであって、
前記システムは、ペレット化プレス機において前記フィルタートウ原料をペレット化して前記フィルタートウ原料をペレットに変換する工程を行うように設計されており、
変換された前記ペレットは、最初に供給された前記フィルタートウ原料よりも高い密度を有し、
前記ペレット化を行う際に、前記フィルタートウ原料、前記ペレット、および/または中間段階材料を少なくとも一時的に冷却する、
システム。
[29]
セルロースアセテートおよび紙からなるフィルター原料、または、セルロースアセテートおよび紙を含むフィルター原料をリサイクルするためのシステムであって、
前記システムは、
前記フィルター原料を粉砕する工程と、
前記フィルター原料をペレット化プレス機に供給する工程と、
前記ペレット化プレス機において、前記フィルター原料をペレット化して、前記フィルター原料をペレットに変換する工程と、
を行うように設計されており、
変換された前記ペレットは、最初に供給された前記フィルター原料よりも高い密度を有し、
前記ペレット化を行う際に、前記フィルター原料、前記ペレット、および/または中間段階材料を少なくとも一時的に冷却する、
システム。
[30]
前記フィルター原料、前記ペレット、および/または前記中間段階材料が、前記冷却中に、臨界温度未満に保たれ、
前記臨界温度が、前記セルロースアセテートのガラス転移温度に相当する、
[28]または[29]に記載のシステム。