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特許7536108強く着色されたマンガンフェライト着色顔料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】強く着色されたマンガンフェライト着色顔料
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/00 20060101AFI20240809BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240809BHJP
【FI】
C09C3/00
C09D7/61
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022558523
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2021056356
(87)【国際公開番号】W WO2021190957
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】20166327.5
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カルステン・ローゼンハーン
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ヘンペルマン
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-030085(JP,B1)
【文献】米国特許第03615810(US,A)
【文献】特開昭52-081099(JP,A)
【文献】特開昭55-104923(JP,A)
【文献】特開昭50-087123(JP,A)
【文献】特開昭49-124127(JP,A)
【文献】特開昭53-052539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C1/00-3/12
C09D1/00-201/10
C01G25/00-99/00
C04B35/00-35/047;35/053-35/106;35/109-35/40;35/45-35/457;35/547-35/553
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
A61K8/00-9/72;47/00-47/69
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
65.0重量%~90.0重量%のFeとして計算されるFeの含有量、8.0重量%~35.0重量%のMnOの含有量、及び1.7重量%~1.8重量%のPOの含有量を有する、実質的にFe、Mn、P、及びO元素からなるマンガンフェライト黒色顔料であって、前記顔料の色強度は、前記顔料と同一のFe/Mn重量比、並びに0.5重量%未満のPO含有量を有する、実質的にFe、Mn、及びO元素からなるマンガンフェライト着色顔料に対して40%~115%強い、マンガンフェライト黒色顔料を製造するためのプロセスにおいて、
・Fe懸濁液は、酸化マンガン(IV)、塩化ナトリウム、及びトリポリリン酸ナトリウムと共に混合され、及び
・混合物は、その後、800℃の温度で焼成され、焼成雰囲気は、7体積%~25体積%の酸素含有量を有する
ことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記顔料の色強度は、前記顔料と同一のFe/Mn重量比、並びに0.5重量%未満のPO含有量を有する、実質的にFe、Mn、及びO元素からなるマンガンフェライト着色顔料に対して90%~115%強いことを特徴とする、請求項に記載のマンガンフェライト黒色顔料を製造するためのプロセス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロセスによって製造されるマンガンフェライト黒色顔料の使用であって、無機又は有機分散体、ペイント、ラッカー、コーティング、建築材料、プラスチック及び製紙産業の製品、食品中並びに医薬産業の製品中の着色のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強く着色されたマンガンフェライト着色顔料、その製造及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般組成Mn1+xFe2-x[x=-0.8~+0.8]のマンガンフェライトは、最大で1000℃を超える耐熱性を有し、熱硬化を受ける材料に組み入れるのに特に適している。Feをベースとする酸化鉄黒色顔料は、そのような応用分野で使用することができず、なぜなら、この酸化物は、約200℃より高い温度で酸化されて、褐色又は赤色のFeとなることが知られているからである。
【0003】
いくつかの高温安定性の黒色顔料は、すでに特許文献から公知である。例えば、(特許文献1)は、主成分としてCu酸化物、Mn酸化物及びFe酸化物を含む製品を記載しており、(特許文献2)は、主成分としてCo、Cr及びFeを含む黒色顔料を記載している。しかしながら、これらの顔料は、銅及びコバルトを含み、これは、顧客にとって望ましくない。さらに、銅及びコバルトは、重金属であり、環境に悪影響を与える可能性がある。
【0004】
さらに、酸化鉄の他に、約7%~20%の酸化マンガンを含む耐熱性酸化鉄黒色顔料を製造するためのプロセスが(特許文献3)から公知である。しかしながら、この顔料は、2つの大きい欠点を有し、すなわち、それは、望ましくない赤色系の色相を有し、且つ色強度が相対的に低い。いわゆる赤色の色合いは、多くの場合、顔料が濃縮された状態及びブレンドされた場合の両方で不利に顕著である。中性のグレーではなく、赤色系のグレーは、白色の体質顔料(例えば、二酸化チタン又は硫酸バリウム)を用いることにより得られる。色強度を低くするには、特定の色調のグレーを達成するために比較的大量の顔料を使用することが必要となる。このように、比較的大量の顔料を使用すると、顔料着色された材料の重要な性質、例えば強度に悪影響を与える可能性がある。
【0005】
したがって、(特許文献4)は、比較的微細に分散させた出発ペーストから製造したマンガンフェライトが、その時点での従来技術に対して改良された色強度を示すことを開示している。それらの顔料は、顔料の色強度を従来技術の約3倍に上げることが可能であり、今日まで事物の基準のままとなっている。(特許文献4)は、鉱化剤により、所望の顔料を生成させるのに必要とされる焼成温度を下げることができることも記載している。
【0006】
(特許文献5)は、ペレット化された混合物を用いて焼成を実施することも可能であることを記載している。
【0007】
上述の従来技術に記載された顔料のすべてにおける欠点は、マンガンフェライトをベースとするそれらの顔料の色強度が、Feをベースとする着色顔料と比較してあまりにも低いことである。
【0008】
(特許文献6)及び(特許文献7)に記載されている、改良されたマンガンフェライト着色顔料を製造するためのその後の発展形態は、可溶性の塩からの湿式相中において且つ水酸化ナトリウム溶液を用いて沈殿させることによる製造を伴う。それらの顔料は、水酸化ナトリウム溶液を大量に使用するため、環境保護的に好ましくなく、また極めて高コストでのみ製造できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開第2,811,463A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第3,201,270A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第1 191 063A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第1 767 868A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第3 304 635A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第3 841 313A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第4 003 255A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、好ましくは、高温安定性を示し、且つ水酸化ナトリウム溶液を使用せずに環境に優しい方式で製造することが可能である、改良された強く着色されたマンガンフェライト着色顔料を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、5.0重量%~40.0重量%のMnOの含有量及び1.5重量%~3.0重量%のリン酸塩の含有量を有するマンガンフェライト黒色顔料であって、-12.0超、特に-10.0超の、DIN 53235パート1及び2に従った色濃度値B1/9についてのブレンド比を有するマンガンフェライト黒色顔料によって達成された。
【0012】
マンガンフェライト黒色顔料は、8.0重量%~35.0重量%のMnOの含有量を有することが好ましい。
【0013】
マンガンフェライト黒色顔料は、好ましくは、1.5重量%~2.0重量%、より好ましくは1.7重量%~1.8重量%のリン酸塩の含有量を有する。
【0014】
マンガンフェライト黒色顔料は、-10.0~-6.0の、DIN 53235パート1及び2に従った色濃度値B1/9についてのブレンド比を有することが極めて特に好ましい。
【0015】
マンガンフェライト黒色顔料の色強度は、0.5%未満のリン酸塩含有量を有するマンガンフェライト着色顔料に対して好ましくは40%~120%強い、より好ましくは90%~115%強い。
【0016】
色濃度値B1/9についてのブレンド比及び色強度の測定方法は、実施例で説明される。
【0017】
本発明は、マンガンフェライト黒色顔料を製造するためのプロセスにおいて、
・鉄及びマンガンの酸化物系又は酸化物形成性の出発物質は、アルカリ金属塩並びに有機及び/又は無機リン酸塩の添加と共に相互に混合され、及び
・混合物は、その後、600℃超、好ましくは700℃超の温度で焼成され、焼成雰囲気は、7%~25%の酸素含有量を有する
ことを特徴とするプロセスも包含する。
【0018】
MnOの含有量は、好ましくは、5重量%~40重量%、より好ましくは8.0重量%~35.0重量%であり;Feとして計算されるFeの含有量は、50.0重量%~95.0重量%、より好ましくは65.0重量%~90.0重量%であり;及びリン酸塩の含有量は、1.5重量%~3.0重量%、より好ましくは1.5重量%~2.0重量%であり、MnO、Fe及びリン酸塩の総合計は、100重量%を超えてはならない。
【0019】
使用されるリン酸塩の供給源のいずれも、一般的なアルカリ金属又はアルカリ土類金属のリン酸塩、ジ、トリ、テトラ、オリゴ又はポリリン酸塩、他の公知のすべての有機又は無機リン酸塩であり得る。さらに、リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸及びそれらの二リン類似体並びにそれらの塩を使用し得る。リン酸塩が一級、二級又は三級リン酸塩であっても違いはない。それらのリン酸塩の水溶解度、ガラス化状態又は縮合状態(例えば、メタリン酸塩)も、粒子状物質の混合が十分である場合、プロセスに対する何らの相違も与えない。
【0020】
本発明は、マンガンフェライト黒色顔料の使用であって、無機又は有機分散体、ペイント、ラッカー、コーティング、建築材料、プラスチック及び製紙産業の製品、食品中並びに錠剤などの医薬産業の製品中の着色のための使用も包含する。この場合、法律的に許容される重金属の含有量に適合するように注意しなければならない。
【0021】
本発明の主題は、個々の請求項の主題だけでなく、個々の請求項を相互に組み合わせることによっても与えられる。同様のことは、本明細書に開示されるすべてのパラメーター及びそれらの任意の所望の組合せに当てはまる。
【0022】
以下の実施例で本発明をさらに詳細に説明するが、それらは、本発明を限定することを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
I.使用した測定方法の説明
A.鉄含有量及びマンガン含有量の測定
鉄含有量及びマンガン含有量は、酸分解法及び電位差滴定により測定した。電気化学分析法(電位差滴定も含む)についての手引きは、例えば、以下の文献に見出すことができる:“Taschenatlas der Analytik”,(G.Schwedt,Thieme-Verlag,1996,ISBN 3-527-30870-9,p.50ff。測定法は、0.2重量%の測定精度を有する。
【0024】
B.L64thix中での色値の測定、増白
マラーを使用し、非乾燥性試験用バインダー中で顔料を調製した。試験用バインダー(ペースト)は、2つの成分からなる。
【0025】
成分1
SACOLYD(登録商標)L640(Krems Chemie AG、Austria、アマニ油及び無水フタル酸をベースとするアルキド樹脂バインダー)(旧称ALKYDAL(登録商標)L64(Bayer AG、DE))。これは、標準DIN EN ISO 787-24(1995年10月)、ISO 787-25:1993及びDIN 55983(1983年12月)において、着色顔料のための試験バインダーの要求事項として規定されているものに対応する。
【0026】
成分2
ペーストのチキソトロピー化のために添加されるレオロジー添加剤としてのLUVOTHIX(登録商標)HT(Lehmann&Voss&Co.、DE、粉末状の変性水素化ヒマシ油)。これは、成分1を基準にして5.0重量%の濃度で使用した。
【0027】
75~95℃で成分2を成分1中に溶解させた。冷却した圧縮原料を3本ロールミルに1回通した。これでL64ペーストが完成した。DIN EN ISO 8780-5(1995年4月)の記載に従い、プレートタイプのペイント分散機(マラー)を使用した。用いたのは、有効プレート直径24cmのENGELSMANN JEL25/53マラーであった。下側プレートの速度は、約75min-1であった。ローディングブラケット上に2.5kgの荷重を吊り下げることにより、プレート間の力を約0.5kNに設定した。
【0028】
使用した増白剤は、市販の二酸化チタン顔料であるTRONOX(登録商標)R-KB-2(Kerr-McGee Corp.、US)(旧称BAYERTITAN(登録商標)R-KB-2(Bayer AG、DE))であった。R-KB-2の組成は、ISO 591-1977におけるタイプR2に対応する。0.4gの試験対象顔料、2.0gのTRONOX(登録商標)R-KB-2及び3.0gのペーストを、DIN EN ISO 8780-5(1995年4月)セクション8.1に記載のプロセスにより、それぞれ25回転の5段で分散させた。
【0029】
次いで、顔料/ペースト混合物を、DIN 55983(1983、12月)に記載のペーストプレートに対応する機能を有するペーストプレート内で拡げた。ペーストプレートに付属のドクターブレードを、顔料/ペースト混合物を用いて充填されたプレートの凹凸の上で引き、それにより滑らかな表面とする。このドクターブレードは、約3~7cm/sの速度で一定方向に移動させる。数分以内に滑らかな表面が測定される。
【0030】
C.色彩計
グロストラップを使用せずに、d/8測定ジオメトリーを有する分光光度計(「色彩計」)を使用した。この測定ジオメトリーは、ISO 7724/2-1984(E)セクション4.1.1、DIN 5033パート7(1983年7月)セクション3.2.4及びDIN 53236(1983年1月)セクション7.1.1に記載されているものである。
【0031】
DATAFLASH(登録商標)2000測定装置(Datacolor International Corp.、US)を使用した。この色彩計は、ISO 7724/2-1984(E)セクション8.3の記載に従い、白色セラミック作業標準に対する較正を行った。理想的艶消し白体に対する作業標準の反射データを色彩計内に取り込むと、それにより白色作業標準を用いた較正後、すべての色彩測定値が理想的艶消し白体に関連付けられる。色彩計のメーカーから提供された黒色中空体を使用して黒点較正を実施した。
【0032】
D.測色
測色の結果は、反射スペクトルである。反射スペクトルから任意の所望の測色パラメーターを計算することができる。この場合に使用される色彩パラメーターは、DIN 6174(CIELAB値)に従って計算される。
【0033】
グロストラップが存在する場合、電源を切る。色彩計及び試験片の温度は、約25℃±5℃であった。
【0034】
E.色強度
色値は、上述のDIN 6174による測定(CIELAB値)に従って記述する。測定した着色顔料の、比較顔料(与えられる場合には比較例の顔料)に対する相対的な色強度も増白状態での測定から得られる。比較顔料の色強度を100%とする。
【0035】
これらの相対的な数字から、絶対的な特性値を記述するために、いわゆる「ブレンド比」を計算した。ブレンド比は、DIN標準53235パート1及びパート2(1974年から)に従い、色濃度値B1/9について測定した。実例を挙げれば、ブレンド比は、DIN標準53235パート1及び2(1974以降)に従い、所定の色濃度を達成するために使用される、着色付与物質対混合成分(与えられる場合にはTiO)の比率を表す。ブレンド比が高いことは、より少ない顔料を用いても同等の色濃度を得ることができることを意味する。したがって、そのような顔料は、実用時により強い着色を与える。DIN 53235パート1及び2に従った色濃度値B1/9についてのブレンド比が-10よりも高いことは、比較顔料よりも少なくとも45%高い色強度に対応する。
【0036】
F.他の装置
使用した撹拌ユニットは、Ultraturraxスターラーであった。
【0037】
適切な焼成機器は、一般的な炉(例えば、マッフル炉、回転火炎炉、回転炉など)であるが、ただし、焼成スペースにおける酸素含有量は、5%~25%でなければならない。
【0038】
適切な摩砕ユニットは、例えば、振動ディスクミル、分級ミル又はジェットミルなど、いずれも無機顔料のための一般的な微粉砕ユニットである。
【0039】
II.実施例1
独国特許出願公開第1 767 868A1号明細書の実施例1での要件に対応する出発物質の酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)及び塩化ナトリウムの性質
321.5gのFe懸濁液(Feとして計算して31.1重量%のFe含有量を有する)を、14gの酸化マンガン(IV)(マンガン含有量:67.3重量%、MnOとして計算)、2.3gの塩化ナトリウム及び2.8gのトリポリリン酸ナトリウムと、適切な撹拌ユニットを使用して密に混合し、吸引漏斗上で吸引を用いて濾過し、濾過ケーキを240℃で乾燥させ、乳鉢内で均質化させ、次いで800℃で15分間かけて焼成し、もう一度乳鉢内で均質化させ、800℃でさらに25分間かけて焼成する。そのようにして得られた顔料を次いで適切な装置内で摩砕する。
【0040】
形成された顔料は、比較顔料に対して146%の色強度を有する。色濃度値B1/9についてのブレンド比は、-9.7である。
【0041】
対照的に、リン酸塩を用いたドーピングをすることなく焼成した比較例1における顔料は、比較顔料に対して75%の色強度のみを有し、これは、-17.2のブレンド比に対応する。
【0042】
III.実施例2
独国特許出願公開第1 767 868A1号明細書の実施例1での要件に対応する出発物質の酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)及び塩化ナトリウムの性質
321.5gのFe懸濁液(Feとして計算して31.1重量%のFe含有量を有する)を、22gの酸化マンガン(IV)(マンガン含有量:67.3重量%、MnOとして計算)、2.3gの塩化ナトリウム及び3.0gのトリポリリン酸ナトリウムと、適切な撹拌ユニットを使用して密に混合し、吸引漏斗上で吸引を用いて濾過し、濾過ケーキを240℃で乾燥させ、乳鉢内で均質化させ、次いで800℃で15分間かけて焼成し、もう一度乳鉢内で均質化させ、800℃でさらに25分間かけて焼成する。そのようにして得られた顔料を次いで適切な装置内で摩砕した。
【0043】
形成された顔料は、比較顔料に対して168%の色強度を有する。色濃度値B1/9についてのブレンド比は、-8.0である。
【0044】
対照的に、リン酸塩を用いたドーピングをすることなく焼成した比較例2における顔料は、比較顔料に対して79%の色強度のみを有し、これは、-16.5のブレンド比に対応する。
【0045】
IV.実施例3
独国特許出願公開第1 767 868A1号明細書の実施例1での要件に対応する出発物質の酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)及び塩化ナトリウムの性質
321.5gのFe懸濁液(Feとして計算して31.1重量%のFe含有量を有する)を、31gの酸化マンガン(IV)(マンガン含有量:67.3重量%、MnOとして計算)、2.3gの塩化ナトリウム及び3.1gのトリポリリン酸ナトリウムと、適切な撹拌ユニットを使用して密に混合し、吸引漏斗上で吸引を用いて濾過し、濾過ケーキを240℃で乾燥させ、乳鉢内で均質化させ、次いで800℃で15分間かけて焼成し、もう一度乳鉢内で均質化させ、800℃でさらに25分間かけて焼成する。そのようにして得られた顔料を次いで適切な装置内で摩砕した。
【0046】
形成された顔料は、比較顔料に対して177%の色強度を有する。色濃度値B1/9についてのブレンド比は、-7.3である。
【0047】
対照的に、リン酸塩を用いたドーピングをすることなく焼成した比較例3における顔料は、比較顔料に対して86%の色強度のみを有し、これは、-15.6のブレンド比に対応する。
【0048】
V.実施例4
独国特許出願公開第1 767 868A1号明細書の実施例1での要件に対応する出発物質の酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)及び塩化ナトリウムの性質
321.5gのFe懸濁液(Feとして計算して31.1重量%のFe含有量を有する)を、41.5gの酸化マンガン(IV)(マンガン含有量:67.3重量%、MnOとして計算)、2.3gの塩化ナトリウム及び3.3gのトリポリリン酸ナトリウムと、適切な撹拌ユニットを使用して密に混合し、吸引漏斗上で吸引を用いて濾過し、濾過ケーキを240℃で乾燥させ、乳鉢内で均質化させ、次いで800℃で15分間かけて焼成し、もう一度乳鉢内で均質化させ、800℃でさらに25分間かけて焼成する。そのようにして得られた顔料を次いで適切な装置内で摩砕した。
【0049】
形成された顔料は、比較顔料に対して184%の色強度を有する。色濃度値B1/9についてのブレンド比は、-6.7である。
【0050】
対照的に、リン酸塩を用いたドーピングをすることなく焼成した比較例4における顔料は、比較顔料に対して88%の色強度のみを有し、これは、-15.3のブレンド比に対応する。
【0051】
VI.実施例5
独国特許出願公開第1 767 868A1号明細書の実施例1での要件に対応する出発物質の酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)及び塩化ナトリウムの性質
161gのFe懸濁液(Feとして計算して31.1重量%のFe含有量を有する)を、38.0gの酸化マンガン(IV)(マンガン含有量:67.3重量%、MnOとして計算)、1.5gの塩化ナトリウム及び2.0gのトリポリリン酸ナトリウムと、適切な撹拌ユニットを使用して密に混合し、吸引漏斗上で吸引を用いて濾過し、濾過ケーキを240℃で乾燥させ、乳鉢内で均質化させ、次いで800℃で15分間かけて焼成し、もう一度乳鉢内で均質化させ、800℃でさらに25分間かけて焼成する。そのようにして得られた顔料を次いで適切な装置内で摩砕した。
【0052】
形成された顔料は、比較顔料に対して167%の色強度を有する。色濃度値B1/9についてのブレンド比は、-7.7である。
【0053】
VII.比較顔料
独国特許出願公開第1 767 868A1号明細書の実施例1での要件に対応する出発物質の酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)及び塩化ナトリウムの性質
161gのFe懸濁液(Feとして計算して31.1重量%のFe含有量を有する)を、38gの酸化マンガン(IV)(マンガン含有量:67.3重量%、MnOとして計算)、1.5gの塩化ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムなしで適切な撹拌ユニットを使用して密に混合し、吸引漏斗上で吸引を用いて濾過し、濾過ケーキを240℃で乾燥させ、乳鉢内で均質化させ、次いで800℃で15分間かけて焼成し、もう一度乳鉢内で均質化させ、800℃でさらに25分間かけて焼成する。そのようにして得られた顔料を次いで適切な装置内で摩砕した。
【0054】
形成された顔料を上述の実施例に対する比較顔料として使用する。色強度を100%と設定した。色濃度値B1/9についてのブレンド比は、-14.0である。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】