IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツーア・フォルデルング・デア・アンゲヴァンドテン・フォルシュング・アインゲトラーゲナー・フェアアインの特許一覧

特許7536116デポジション溶接プロセスのための溶接溶加要素を供給するための供給装置および方法
<>
  • 特許-デポジション溶接プロセスのための溶接溶加要素を供給するための供給装置および方法 図1
  • 特許-デポジション溶接プロセスのための溶接溶加要素を供給するための供給装置および方法 図2
  • 特許-デポジション溶接プロセスのための溶接溶加要素を供給するための供給装置および方法 図3
  • 特許-デポジション溶接プロセスのための溶接溶加要素を供給するための供給装置および方法 図4
  • 特許-デポジション溶接プロセスのための溶接溶加要素を供給するための供給装置および方法 図5
  • 特許-デポジション溶接プロセスのための溶接溶加要素を供給するための供給装置および方法 図6
  • 特許-デポジション溶接プロセスのための溶接溶加要素を供給するための供給装置および方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】デポジション溶接プロセスのための溶接溶加要素を供給するための供給装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/342 20140101AFI20240809BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20240809BHJP
【FI】
B23K26/342
B23K26/70
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022569180
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 DE2021100428
(87)【国際公開番号】W WO2021228327
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】102020113012.0
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522442168
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツーア・フォルデルング・デア・アンゲヴァンドテン・フォルシュング・アインゲトラーゲナー・フェアアイン
【氏名又は名称原語表記】FRAUNHOFER-GESELLSCHAFT ZUR FORDERUNG DER ANGEWANDTEN FORSCHUNG E.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】グレーフェ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,マルティン
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-153380(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00490339(GB,A)
【文献】西独国特許出願公開第01515166(DE,A)
【文献】特表2021-503557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接溶加要素(310)、特にワイヤ状および/またはロッド状の溶接溶加要素(310)を、デポジション溶接プロセスのために供給するための供給装置(1)であって、
少なくとも1つの溶接溶加要素(310)を受け取るための受け入れユニット(100)と、
溶接溶加要素(310)をデポジション溶接プロセスに供給するように配置および構成されたガイドユニット(200)と、を含み、
受け入れユニット(100)およびガイドユニット(200)は、溶接溶加要素(310)がガイドユニット(200)に対して不連続に提供されるように配置および構成され、さらに、
少なくとも1つの位置決めスリーブ(300、302)を含み、
少なくとも1つの溶接溶加要素(310)は、位置決めスリーブ(300、302)に結合され、位置決めスリーブ(300、302)は、受け入れユニット(100)に受け入れられ、
受け入れユニット(100)およびガイドユニット(200)は、位置決めスリーブ(300、302)がガイドユニット(200)に不連続に提供されるように配置および構成され、そして、
好ましくは、位置決めスリーブ(300、302)は、溶接溶加要素(310)を配置および/または通過させるためのスリーブキャビティ(316)を有する、供給装置(1)。
【請求項2】
受け入れユニット(100)は、それぞれが溶接溶加要素(310)を有する2つ以上の位置決めスリーブ(300、302)を受け取るように配置され、そして、
好ましくは、2つ以上の位置決めスリーブ(300、302)は、受け入れユニット(100)内で周方向に、特に第1の方向に、互いに隣接して配置でき、および/または、
好ましくは、2つ以上の位置決めスリーブ(300、302)は、第1の方向と本質的に直交して整列された第2の方向に、互いに隣り合って周方向に配置できる、請求項に記載の供給装置(1)。
【請求項3】
ガイドユニット(200)は、溶接溶加要素(310)の遠位端が溶融池に供給できるように、位置決めスリーブ(300、302)および/または溶接溶加要素(310)を配置するように構成される位置決め部を含み、そして、
好ましくは、位置決め部は、溶接溶加要素(310)および/または位置決めスリーブ(300、302)の外径に対応する内径を有するガイドチャネル(218)を含む、請求項1または2に記載の供給装置(1)。
【請求項4】
溶接溶加要素(310)および/または位置決めスリーブ(300、302)が、受け入れユニット(100)からガイドユニット(200)に通過する結合領域(208)から、溶接溶加要素(310)がデポジション溶接プロセスに使用できるように配置される作業領域(206)に移動するように配置された移動ユニット(212)を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の供給装置(1)。
【請求項5】
移動ユニット(212)は、ピストン(214)を含み、そして、
ピストン(214)は、溶接溶加要素(310)および/または位置決めスリーブ(300、302)の近位端に結合可能である、請求項1~のいずれか1項に記載の供給装置(1)。
【請求項6】
ガイドユニット(200)は、溶接溶加要素(310)が位置決めスリーブ(300、302)に対して相対的に移動するように配置され、そして、
好ましくは、流体、特にシールドガスは、溶接溶加要素(310)が位置決めスリーブ(300、302)から、特に連続的に、好ましくは押されて、移動するように供給され、および/または、
好ましくは、ガイドユニットおよび/または位置決めスリーブの遠位端から、溶接溶加要素を、特に連続的に、好ましくはプレスして移動するように配置および設計されたプレスユニットを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の供給装置(1)。
【請求項7】
移動ユニット(212)は、溶接溶加要素(310)がガイドユニット(200)および/または位置決めスリーブ(300、302)の遠位端から、特に連続的に、好ましくは押し出されるように移動するように、溶接溶加要素(310)および/または位置決めスリーブ(300、302)の近位端に流体を供給するように配置および構成される流体供給部(224)を含み、そして、
好ましくは、ピストン(214)は、流体チャネル(226)を含み、その第1のピストン端部は、流体供給部(224)に結合され、その第2のピストン端部は、位置決めスリーブ(300、302)に結合され、第2のピストン端は、溶接溶加要素(310)と流体的に接触させることができる、請求項1~のいずれか1項に記載の供給装置(1)。
【請求項8】
位置決めスリーブ(300、302)のための排出装置(222)であって、ガイドユニット(200)および/または供給装置(1)から位置決めスリーブ(300、302)を廃棄するように配置された排出装置(222)、を含み、
好ましくは、ガイドユニット(200)は、排出開口部(230)を含み、および/または、
好ましくは、排出装置は、位置決めスリーブ(300、302)を排出開口部(230)の外に移動させる、特に押し出すように配置および構成されたばね(222)を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の供給装置(1)。
【請求項9】
ガイドユニット(200)は、位置決めスリーブ(300、302)が作業領域(206)から排出装置(222)が作用する排出領域(210)に移動するように配置され、そして、
好ましくは、この移動は、位置決めスリーブ(300、302)に結合されたピストン(214)に影響される、請求項1~のいずれか1項に記載の供給装置(1)。
【請求項10】
移動ユニット(212)を制御するように配置された制御装置(5)を含み、
溶接溶加要素(310)および/または位置決めスリーブ(300、302)は、結合領域(208)から作業領域(206)に移動し、および、
溶接溶加要素(310)は、ガイドユニット(200)の遠位端で、好ましくは位置決めスリーブ(300、302)の遠位端に対して、移動する、
請求項1~のいずれか1項に記載の供給装置(1)。
【請求項11】
デポジション溶接、特にワイヤベースのデポジション溶接のための方法であって、
溶接溶加要素(310)、特にワイヤ状および/またはロッド状の溶接溶加要素(310)を、受け入れユニット(100)からガイドユニット(200)に供給すること、
溶接溶加要素(310)をデポジション溶接のために提供すること、および、
溶接溶加要素(310)を用いて、デポジション溶接すること、を含み、さらに、
溶接溶加要素(310)が位置決めスリーブ(300、302)内に配置され、
位置決めスリーブ(300、302)を受け入れユニット(100)からガイドユニット(200)に供給すること、
位置決めスリーブ(300、302)を結合領域(208)から作業領域(206)に移動させること、
溶接溶加要素(310)を位置決めスリーブ(300、302)に対して移動させること、特に溶接溶加要素(310)を位置決めスリーブ(300、302)の遠位端から外に移動させること、および、
好ましくは、位置決めスリーブ(300、302)を排出領域(210)に移動させ、位置決めスリーブ(300、302)を廃棄すること、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デポジション溶接プロセスのための溶接溶加要素を供給するための供給装置、供給装置用位置決めスリーブ、処理ユニット、およびデポジション溶接(deposition welding)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界では、様々な用途でデポジション溶接プロセスが使用されている。特に、工具やタービン部品の補修には、レーザデポジション溶接が効率的かつ効果的なプロセスである。特に、ワイヤ式レーザデポジション溶接は、熱影響部が少なく、制御性が良いため、このような用途に広く用いられる。また、レーザデポジション溶接、特にワイヤを用いたレーザデポジション溶接は、レーザクラッドとも呼ばれるワークピースのコーティングや、追加の製造プロセスとしても利用できる。ワイヤ式レーザデポジション溶接では、添加材料としてのワイヤは、粉末などの他の添加材料と比較して、特に粉末と比較して、非危険物であり、健康被害がなく、安価で、効率的であるという利点を有する。
【0003】
これまで、プロセスの最適化では、特にワークピースへの熱負荷を軽減するために、焦点径を小さくし、電力を下げることに重点を置いてきた。そのため、ワイヤ式レーザデポジション溶接では、ワイヤを導入する溶融池の大きさを小さくする必要があった。通常、ワイヤはスプールに巻かれ、スプールから出発して、通常は方向を変えながら様々な供給装置上を搬送されて溶融池に入る。
【0004】
従来技術では、プロセスの中断が定期的に発生する。さらに、他のプロセスの妨害が発生し、ワイヤのためのフィーダが研削される。フィーダを研削すると、しばしばクリアランスが生じ、これがさらにプロセスに悪影響を及ぼす。また、ワイヤの直径は、ワイヤをフィーダによってデポジション溶接プロセスに搬送することから、ワイヤの剛性が高すぎてはいけないという、制限を受ける。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点の1つ以上を低減または除去する、デポジション溶接プロセス用の溶接溶加要素を供給するための供給装置、供給装置用の位置決めスリーブ、処理ユニット、およびデポジション溶接方法を提供するものである。特に、本発明の目的は、デポジション溶接プロセス、特にレーザデポジション溶接プロセスの、改良されたプロセス安定性を可能にする解決策を提供することである。少なくとも、本発明の目的は、既存のシステムおよびプロセスに対する代替案を提供する解決策を提供することである。
【0006】
第1の態様では、上述の目的は、溶接溶加要素、特にワイヤ状および/またはロッド状の溶接溶加要素を、デポジション溶接プロセス、特にレーザデポジション溶接プロセスのために供給するための供給装置であって、少なくとも1つの溶接溶加要素、特にワイヤ状および/またはロッド状および/または直線状の溶接溶加要素を受け取るための受け入れユニットと、デポジション溶接プロセス、特にレーザデポジション溶接プロセスに溶接溶加要素を供給するように配置および設計されたガイドユニットと、を含み、受け入れユニットおよびガイドユニットは、溶接溶加要素がガイドユニットに不連続に供給されるように配置および設計された供給装置により解決される。
【0007】
本発明は、小型化された溶融浴により必要とされるワイヤの正確な供給は、通常、ワイヤの湾曲によって妨げられるという認識に基づく。このワイヤの湾曲は、スプールへのワイヤの収納と、スプールから溶融浴への送り経路によって引き起こされる。この経路は処理機で約15メートルにもなり、通常、たわみも含まれる。ワイヤの搬送には、通常、線芯の摩擦を補うために補助モータが使用される。
【0008】
さらに、本発明は、先行技術で知られているプロセスでは、材料の変更および/またはワイヤ径の変更がコスト高であるという認識に基づいている。使用されたワイヤは除去され、異なる材料および/または直径のワイヤが供給路に完全に通されなければならない。さらに、既知のプロセスでは、特にワイヤ径が変更される場合、例えば補助モータまたはワイヤフォーマ内のガイドローラを通常変更しなければならないことを考慮しなければならない。
【0009】
スプールへの収納によるワイヤの湾曲は、従来技術では、ワイヤファネルによって修正することができる。ワイヤを数回のたわみで搬送すると、再びワイヤの湾曲が発生することがある。これを補正するために、追加のワイヤファネルを使用することができるが、各ワイヤファネルは、ワイヤ搬送において大きな抵抗を生じ、搬送の不正確さの原因をさらに作り出すことに留意されたい。
【0010】
本発明者らは、さらに、溶融池からワイヤを取り出す際の急速な引き込み動作によって生じる力が、ワイヤの湾曲の別の原因であることを見出した。これは、特にワイヤファネルを使用する場合に発生する。先行技術では、ワイヤは常にワイヤ供給モータによってワイヤホッパ内を引っ張られる。ワイヤホッパを押し通すことは通常不可能であり、ワイヤのキンクの原因となる。キンクは、特に、ワイヤの後方への移動、すなわち、引き込み動作の際に発生し得る。ワイヤの曲がりは、溶接スポット、特にレーザースポットの周囲でワイヤをふらつかせるので、溶接池へのワイヤの正確な供給が不可能になる。
【0011】
少なくとも1つの溶加金属、特に複数の溶加金属を受入れユニットに格納することによって、ワイヤ形状および/またはロッド形状、特に直線状の溶加金属を使用することも可能である。直線状、特に予め直線化された溶接用溶加材の使用は、必要な精度および/または効率でその供給が可能ではなかったため、従来技術では本質的に不可能であった。先行技術では、例えば手動溶接(TIG)に使用される溶接棒のみが知られており、これは、例えば、約1mの長さの方向性ワイヤ棒として設計することができる。長さだけでなく、直径も変化し得る。溶接棒は、スリーブなどに支持されていない。溶接棒は、シースを有していてもよいが、シースは、相対的な移動を許容するようなものでない。コイルを、ワイヤ状および/またはロッド状の溶接用溶加材を受け取るための受け取り装置と置き換えることにより、溶接用溶加材を正確な形状で溶接池に供給することができる。供給装置による供給は、溶接溶加要素の材質や直径に関係なく行われる。連続送給は、不連続送給に置き換えられる。これにより、ワイヤ径および/またはワイヤ材料の変更は、基本的にセットアップ工程なしで行うことができる。さらに、異なるワイヤ径および/またはワイヤ材料を、コストのかかるセットアップ工程を必要とせずに、任意の方法で次々と適用できるため、デポジション溶接プロセスの効率が向上する。このため、プロセス開発者の設計自由度が大幅に向上する。
【0012】
以下では、供給装置の構成要素のうち、意図する動作において溶融池に面する端部または側面を遠位端と呼び、供給装置の構成要素のうち、意図する動作において溶融池から離れる方向に面する端部または側面を近位端と呼ぶ。
【0013】
溶接溶加要素は、好ましくは直線状である。直線状とは、特に、実質的に曲がっていないことを意味する。使用される溶接溶加要素は、円形、楕円形、三角形、四角形および/または多角形の断面を有することが好ましい場合がある。特に、溶接溶加要素は、溶接溶加材料で作られているか、またはそれからなる。溶接溶加要素は、好ましくは、矯正され、洗浄され、および/または試験される。
【0014】
溶接溶加要素は、鋼製であってもよいし、鋼を含んでもよい。さらに、溶接溶加要素は、ニッケル系合金、チタン系合金および/またはコバルト系合金、アルミニウム、マグネシウムおよび/または銅合金、またはこれらの材料のうちの1つ、2つまたはそれ以上からなる、またはこれらを含んでもよい。溶接溶加要素の長手方向軸に直交して延びる寸法、特に直径は、0.4mmより大きいことが好ましく、特に0.5mmより大きいことが好ましい。さらに、この寸法は、0.5mm以上で5mm以下、特に3.5mm、好ましくは1.2mmである。溶接溶加要素は、粉末を包むシースを有するコアードワイヤとして設計することも可能である。シースおよび/または粉末は、前述した材料のうちの1つまたは複数から構成されてもよいし、それらを含んでも良い。
【0015】
受け入れユニットは、少なくとも1つの溶接溶加要素を受容するように構成される。特に、受け入れユニットは、2つ以上または複数の溶接溶加要素を受け取るように構成されていることが好ましい。特に、受け入れユニットは、溶接溶加要素を保管および/または収納するために設計されている。受け入れユニットは、後述の溶接溶加要素および/または位置決めスリーブを受け取ってガイドユニットに提供するために、チェーンフィード、ベルトフィードおよび/またはレールを介したルーズフィードを有してもよい。特に、溶接溶加要素および/または位置決めスリーブは、ガイドユニットにおいて垂直方向で他の上に1つずつ配置できることが好ましい。
【0016】
ガイドユニットは、溶接溶加要素をデポジション溶接プロセスに供給するように配置され、構成される。これは特に、ガイドユニットが、溶接溶加要素の遠位端がデポジション溶接プロセスの溶融池に供給され得るように、溶接溶加要素を移動させるために使用され得ることを意味する。ガイドユニットは、好ましくは、遠位端から近位端まで延びる。ガイドユニットの遠位端は、特に、意図された動作において溶融池に面する端であり、近位端は、特に、意図された動作において溶融池から遠ざかる方向に面する端である。
【0017】
ガイドユニットは、例えば、溶加金属が近位端に隣接する領域から、または中央領域から遠位端に向かって移動することができるガイドチャネルを有することができる。特に、受け入れユニットは、受け入れユニットからガイドユニットへの溶接溶加剤の不連続供給がガイドユニットの遠位端と近位端の間で行われるように、ガイドユニット上に配置されることが好ましい。
【0018】
供給装置の好ましい実施形態は、受け入れユニットが少なくとも1つの位置決めスリーブを受け取るように構成されており、位置決めスリーブが溶接溶加要素に結合されるように構成されていることを特徴とする。さらに、位置決めスリーブがガイドユニットに不連続に提供され、ガイドユニットが位置決めスリーブによって溶加材をデポジション溶接プロセスに供給するように配置および設計されるように、受け入れユニットおよびガイドユニットが、配置され設計されていることが好ましい。
【0019】
供給装置のさらに好ましい実施形態は、少なくとも1つの位置決めスリーブを含み、少なくとも1つの溶接溶加要素が位置決めスリーブに結合され、位置決めスリーブが受け入れユニットに受け取ることができ、受け入れユニットおよびガイドユニットが、位置決めスリーブがガイドユニットに不連続的に設けられるように配置および構成され、好ましくは位置決めスリーブが溶接溶加要素を配置および/または通過するためのスリーブキャビティを備えていることを特徴としている。スリーブキャビティは、例えば、遠位スリーブ端から近位スリーブ端に向かって延びる通路軸を有してもよい。
【0020】
好ましくは、位置決めスリーブは、環状の断面を有する。特に、位置決めスリーブは管状の形状を有することが好ましく、さらに好ましくは、位置決めスリーブの遠位端に隣接する部分がテーパ状である。遠位端に隣接する部分が円錐形であることが好ましく、特に、その形状は加工使用角度に適合している。円錐形状の部分は、好ましくは、5mm以上で50mm以下、特に10mm以上で15mm以下の円錐の延長で、位置決めスリーブの長手軸の方向に延在する。
【0021】
位置決めスリーブは、例えば、銅、タングステン銅、タングステンカーバイド、鋼、真鍮、セラミック、特にSi、プラスチックおよび/または鉱物材料でもよく、これらの材料のうちの1、2またはそれ以上を含んでも良い。結合部は、好ましくは、位置決めスリーブの近位端に隣接し、遠位端の反対側に配置され、好ましくは、環状溝および/またはカラーを含む。さらに、結合部の端面および/または半径方向の周面に、シール要素および/またはシール手段が配置されていることが好ましい。溝の深さ、特に位置決めスリーブの半径方向における溝の深さは、0.5mm以上で5mm以下、および/または1mm以上であることが好ましい。
【0022】
位置決めスリーブは、好ましくは、位置決めスリーブの長手方向軸に直交する外形寸法、特に外径が、5mmで以上20mm以下、特に8mm以上で12mm以下である。位置決めスリーブの長手方向軸に平行な長さは、例えば、50mmと200mmの間、特に80mmと120mmの間とすることができる。位置決めスリーブは、好ましくは、実質的に剛性である。
【0023】
供給装置のさらに好ましい実施形態は、受け入れユニットが、それぞれが溶接溶加要素を有する2つ以上の位置決めスリーブを受け取るように設定され、好ましくは、2つ以上の位置決めスリーブが、受け入れユニットにおいて周方向に、特に第1の方向に、互いに隣接して配置され得ることを特徴としている。さらに、2つ以上の位置決めスリーブは、第1の方向と実質的に直交するように整列された第2の方向に、周方向に並んで配置可能であることが好ましい場合がある。これにより、受け入れユニットの容量が増加し、溶接溶加要素を有する多数の位置決めスリーブを収容することができる。
【0024】
さらに好ましい実施形態では、受け入れユニットは管状であり、特に、位置決めスリーブを端から端まで配置することができる。2つ以上の位置決めスリーブは、管状の受け入れユニットにおいて、1つの後ろに配置することができ、特に、後部の位置決めスリーブの遠位端が前部の位置決めスリーブの近位端に面するようにできる。受け入れユニット、特に管状受け入れユニットが、受け入れユニットに位置決めスリーブを供給するためのホース要素に結合されることがさらに好ましい。管状受け入れユニットは、完全にまたは部分的に管状であってよい。
【0025】
供給装置の更なる好ましい実施形態では、ガイドユニットが、溶加金属の遠位端が溶融池に供給され得るように、位置決めスリーブおよび/または溶加金属を位置決めするように設計されている位置決め部を有することが提供される。位置決め部は、好ましくは、ガイドユニットの遠位端に隣接している。
【0026】
位置決め部が、溶接溶加要素および/または位置決めスリーブの外径に対応する内径を有するガイドチャネルを有することがさらに好ましい。対応するとは、特に、溶接溶加要素および/または位置決めスリーブが、ガイドチャネルの内部に配置することができ、および/またはガイドチャネルとのクリアランスフィットを形成することができることを意味する。
【0027】
供給装置の更なる好ましい実施形態によれば、後者が、溶接溶加要素および/または位置決めスリーブを、溶接溶加要素および/または位置決めスリーブが受け入れユニットからガイドユニットへ通過する結合領域から、溶接溶加要素がデポジション溶接プロセスに使用できるように配置される作業領域へ移動するように設定された移動ユニットを含むことが提供される。このような移動ユニットによって、供給装置の自動運転が可能となる、すなわち、位置決めスリーブおよび/または溶接溶加要素が自動的に受け入れユニットからガイドユニットに通過し、そこから移動ユニットによって、デポジション溶接プロセスに用いるための作業領域に移動させられる。
【0028】
受け入れユニットは、好ましくは、ガイドユニットに面する側に移送開口を有し、この移送開口は、溶接溶加要素および/または位置決めスリーブがガイドユニットに移送できるように配置および設計されている。
【0029】
供給装置の更なる好ましい実施形態では、移動ユニットがピストンを有し、ピストンが溶接溶加要素および/または位置決めスリーブの近位端に結合され得る。溶接溶加要素および/または位置決めスリーブの近位端は、特に、供給装置の意図された動作の間に溶融浴から離れる方向に面する端である。
【0030】
プランジャは、好ましくは、溶接溶加要素および/または位置決めスリーブに面するその遠位端において、プランジャを溶接溶加要素および/または位置決めスリーブに結合するように配置および構成された結合要素を有する。例えば、結合要素は、位置決めスリーブの溝と係合するクランプとして設計することができる。さらに、結合要素は、位置決めスリーブに磁気的に結合されることもでき、結合要素と位置決めスリーブが磁気接続を確立するように設計される。さらに、他の材料、力および/または正結合機能も可能である。例えば、ピストンは、電気的、油圧的、または空気圧的に操作することができる。好ましくは、ピストンは、溶接溶加要素および/または位置決めスリーブをガイドチャネルの位置決め部へ押し込む。ガイドチャネルは、好ましくは、溶接溶加要素および/または位置決めスリーブの位置決めを容易にするために、テーパを有する。
【0031】
供給装置の更なる好ましい実施形態によれば、ガイドユニットが、溶接溶加要素を位置決めスリーブに対して相対的に移動するように配置されている。さらに、流体、特にシールドガスが、溶接溶加要素が位置決めスリーブから、特に連続的に、好ましくは押されて移動されるように供給されることが好ましい。ガイドユニット、特にガイドユニットは、溶接溶加要素に作用し、シールドガスによって引き起こされる圧力を制限するように設定された圧力解放弁を有することが好ましい。さらに、ガイドユニットは、特にシールドガスの負圧によって引き起こされる、溶接溶加要素の近位端に引き込み力を作用させるように設定されていることが好ましい。
【0032】
供給装置の更なる好ましい実施形態では、移動ユニットが、溶接溶加要素がガイドユニットおよび/または位置決めスリーブの遠位端から、特に連続的に、好ましくは押されて移動するように、溶接溶加要素の近位端に流体を供給するように配置および構成されている流体供給を有する。
【0033】
その圧力により、流体は溶接溶加要素に力を引き起こし、その結果、ガイドユニットおよび/または位置決めスリーブから押し出される。さらに、ピストンが流体チャネルを構成し、その第1ピストン端が流体供給部に結合され、その第2ピストン端が位置決めスリーブに結合され、第2ピストン端が、先に述べた溶接溶加要素に力を及ぼすために溶接溶加要素と流体的に接続できることが好ましい。
【0034】
流体供給は、特に、シールドガス供給であってもよい。好ましくは、流体は、シールドガスである。供給装置は、ガイドユニットからのおよび/または位置決めスリーブからの溶接溶加要素の供給を制御するための供給ユニットを更に含んでもよい。送りユニットは、例えば、溶接溶加要素に制動力を加えるブレーキとして設計されてもよい。
【0035】
供給装置の更なる好ましい実施形態では、供給装置は、溶接溶加要素をガイドユニットおよび/または位置決めスリーブの遠位端から、特に連続的に、好ましくは押し出すように動かすように配置および構成された押し出しユニットを含む。押し出しユニットは、例えば、シリンダおよび/またはパンチとして設計することができる。好ましくは、押し出しユニットは、押し出しユニットまたはその一部を駆動するための駆動ユニットに結合される。駆動装置ユニットは、例えば、電気的、空気圧的および/または機械的に設計することができる。特に、押し出しユニットは、位置決めスリーブの格納および/または廃棄が可能であるように、格納可能であるように設計される。
【0036】
供給装置のさらに好ましい実施形態では、後者が位置決めスリーブ用の排出装置を含んでおり、この装置は、ガイドユニットおよび/または供給装置から位置決めスリーブを廃棄するように設定されている。好ましくは、ガイドユニットは、この目的のための排出開口部を有し、送り装置は、さらに、位置決めスリーブを作業領域から排出開口部に向かって移動させ、位置決めスリーブを排出開口部から移動させるように配置されることができる。
【0037】
さらに、排出装置は、位置決めスリーブを排出開口部から移動させる、特に押し出すように配置され構成されたばねを含むことが好ましい。排出装置のばねによって、位置決めスリーブは、手動で努力することなく供給装置から廃棄されることができる。
【0038】
供給装置のさらに好ましい実施形態では、ガイドユニットは、位置決めスリーブを作業領域から排出装置が作用する排出領域へ、移動させるように配置され、好ましくはこの移動は、位置決めスリーブに結合されたピストンに影響を与える。
【0039】
ガイドユニットは、好ましくは、管状であり、作業領域は、ガイドユニットの遠位端に隣接して配置され、結合領域は、それに隣接して配置され、排出領域は、ガイドユニットの近位端に隣接して提供される。さらに、排出領域は、作業領域と結合領域との間にも設けられてもよい。
【0040】
供給装置のさらに好ましい実施形態は、溶接溶加要素および/または位置決めスリーブが、結合領域から作業領域へ移動され、溶接溶加要素が、ガイドユニットの遠位端で、好ましくは位置決めスリーブの遠位端に対して、移動するように、移動ユニットを制御するように配置された制御装置を含むことを特徴とする。
【0041】
溶接溶加要素は、予め定義された移動パターンに基づいて移動されることが好ましい。さらに、溶接溶加要素は、閉ループ制御、特に閉ループ制御に基づいて移動されることが好ましい。制御装置は、記録されたプロセスデータに基づいて溶接溶加要素の送り速度を決定するように設定されることが好ましい。溶接溶加要素の送り速度は、特に、溶接溶加要素がガイドユニットおよび/または位置決めスリーブの遠位端で出てくる速度である。
【0042】
ガイドユニットのさらに好ましい実施形態では、ガイドユニットは、シールドガスをデポジション溶接プロセスに供給するように設定された、さらなるシールドガス供給装置に結合されたシールドガスノズルを有する。特に、シールドガスノズルは、ガイドユニットの遠位端に隣接する領域に配置されることが好ましい。
【0043】
さらなる態様によれば、前述の課題は、供給装置、特に、デポジション溶接プロセス、好ましくはレーザデポジション溶接プロセスのために、溶接溶加要素を供給するための、前述の実施形態の1つによる供給装置のための、溶接溶加要素を受け入れるように設計された位置決めスリーブによって解決される。遠位端から近位端まで延びるスリーブキャビティを含み、溶接溶加要素を配置するために、遠位端は、溶接溶加要素を移動させることができるように設計されており、特にワイヤ状および/またはロッド状の溶接溶加要素を受け入れるように設計されている。
【0044】
位置決めスリーブの遠位端に隣接して、後者は好ましくは円錐形状の形状を有する。特に、位置決めスリーブの外径は、遠位端に隣接する部分において、遠位端に向かって先細りまたは減少していることが好ましい。キャビティは、遠位端から近位端に向かって実質的に一定の直径を有することがさらに好ましい。さらに、スリーブキャビティの直径は、遠位端に向かって先細りになっていることが好ましい。
【0045】
位置決めスリーブの好ましい実施形態において、位置決めスリーブは、位置決めスリーブに結合するための近位端に隣接する結合部を備え、結合部は、溝および/またはカラーを有するか、または溝および/またはカラーである。
【0046】
さらに好ましくは、位置決めスリーブの結合部は、結合要素との磁気結合を可能にするために、磁性材料からなるか、または磁性材料で作られてもよい。
【0047】
位置決めスリーブの更に好ましい実施形態は、溶接溶加要素、特にワイヤ状および/またはロッド状の溶接溶加要素がスリーブキャビティ内に配置され、スリーブキャビティの半径方向において、位置決めスリーブの内周面と溶接溶加要素の外周面との間にクリアランス嵌めがあるように、スリーブキャビティおよび溶接溶加要素が配置されていることを特徴としている。
【0048】
さらなる態様によれば、前述の課題は、処理ユニット、特にハンドリングユニット、ミリングマシン、および/またはデポジション溶接用、好ましくはレーザデポジション溶接用の、前述の実施形態の1つによる供給装置を含む処理ユニットによって解決される。ハンドリングユニットは、例えば、ロボット、特に多関節アームロボット、ガントリおよび/またはポータルとすることができる。さらに、加工ユニットとして他の工作機械も可能であり、好ましくは研削盤および/または旋盤である。
【0049】
さらなる態様によれば、前述の課題は、以下のステップを含む、デポジション溶接、特にワイヤベースのレーザデポジション溶接のための方法、好ましくはワイヤベースのレーザデポジション溶接のための方法によって解決される。即ち、溶接溶加要素、特にワイヤ状および/またはロッド状の溶接溶加要素を、受け入れユニットからガイドユニットに供給するステップ、溶接溶加要素をデポジション溶接に提供するステップ、および溶接溶加要素を用いてデポジション溶接を行うステップである。デポジション溶接は、特にレーザデポジション溶接、好ましくはワイヤを用いたレーザデポジション溶接であり、使用されるエネルギ源はレーザである。
【0050】
本発明の方法の好ましい実施形態は、デポジション溶接が真空中で行われることを特徴とする。特に、生成された溶融池は真空中にある。デポジション溶接が電子ビーム溶接であることがさらに好ましく、提供することが溶接溶加要素への機械的作用によって行われることがさらに好ましい。
【0051】
本方法の好ましい更なる実施形態では、溶接溶加要素が位置決めスリーブ内に配置され、本方法は以下のステップを含んでいる。即ち、位置決めスリーブを受け入れユニットからガイドユニットに供給するステップと、位置決めスリーブを結合領域から作業領域に移動させるステップと、溶接溶加要素を位置決めスリーブに対して移動させ、特に溶接溶加要素を位置決めスリーブの遠位端から移動させ、好ましくは位置決めスリーブを排出領域へ移動させて位置決めスリーブを処分するステップと、を含む。
【0052】
本方法およびその可能な実施形態は、それぞれ、前述した供給装置および/または位置決めスリーブおよびその実施形態に使用するのに特に適した特徴または方法ステップを有する。
【0053】
更なる態様およびその可能な更なる実施形態の更なる利点、実施形態の変形および実施形態の詳細については、供給装置の対応する特徴および更なる実施形態に関する先に与えられた説明も参照される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
好ましい実施形態は、以下の添付の図を参照しながら例として説明される。
【0055】
図1】供給装置の例示的な実施形態の模式的な2次元図である。
図2】ワークピースを処理するために動作中の図1に示される供給装置の模式的な2次元図である。
図3】ワークピースを加工するために動作している位置決めスリーブの模式的な2次元詳細図である。
図4図1に示された供給装置の別の模式的な2次元図である。
図5】供給装置を有する機械加工ユニットの模式図である。
図6】例示的なプロセスの模式図である。
図7図6に示す工程の一実施形態を示す模式図である。
【0056】
図において、同一または実質的に機能的に同一または類似の要素には、同一の参照符号を付す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1に示す供給装置1は、溶接溶加要素310を有する複数の位置決めスリーブ302を受け取るための受け入れユニット100と、位置決めスリーブ300、302の1つに配置された溶接溶加要素310をデポジション溶接プロセスに送るために配置および適合されたガイドユニット200と、を含む。
【0058】
受け入れユニット100は、ハウジング102を含み、複数の位置決めスリーブ302を受け取るために、ハウジング102内に保持装置104が設けられる。さらに、受け入れユニット100は、位置決めスリーブ302に垂直方向に向けられた下向きの圧力を加えるばね106を含む。受け入れユニット100のハウジング102は、その垂直方向下部の部分に開口部を含む。この開口部を通じて、位置決めスリーブ300、302は、ガイドユニット200に通過することができる。位置決めスリーブ300、302が受け入れユニット100からガイドユニット200に通過する領域は、結合領域208と呼ばれる。位置決めスリーブ300、302は、ガイドユニット200の位置決めスリーブ送り方向304に設けられている。
【0059】
ガイドユニット200は、第1の端部202から第2の端部204まで延びる管状の形状を有する。ガイドユニット200の第1の端部202は遠位端とも呼ばれ、第2の端部204は近位端とも呼ばれる。ガイドユニット200は、管状であり、したがって、特に、第1の端部202から第2の端部204まで延在するキャビティを有する。位置決めスリーブ300は、このキャビティ内を移動することができる。結合領域208において、位置決めスリーブ300は、受け入れユニット100からガイドユニット200に移送される。結合領域208において、位置決めスリーブ300は、クランプ216として設計された結合要素によって、ピストン214に接続される。ピストン214は移動ユニット212を形成し、この移動ユニットは、溶接溶加要素310および/または位置決めスリーブ300が受け入れユニット100からガイドユニット200に通過する結合領域208から、溶接溶加要素がデポジション溶接プロセスに使用できるように配置される作業領域206に、位置決めスリーブ300と共に溶接溶加要素310を移動するよう配置されている。
【0060】
ガイドユニット200の作業領域206は、ガイドチャネル218を含む。ガイドチャネル218は、ガイドユニット200のより広いキャビティよりも小さい直径を有することを特徴とする。ガイドチャネル218のこの小さい直径は、遠位端である第1の端部202に隣接する部分に位置決めスリーブ300を位置決めする。
【0061】
図2において、位置決めスリーブ300が作業領域206に位置決めされることが示されている。この目的のために、ピストン214は、ガイドユニット200の中央部分に向かって移動する。ピストン214が位置決めスリーブ300に結合された結果、位置決めスリーブ300はガイドチャネル218の中に押し込まれる。位置決めスリーブ300の遠位部は、現在、ガイドユニット200の外側にある。さらに、流体供給部224は、位置決めスリーブ300内に配置された溶接溶加要素310を、位置決めスリーブ300の遠位端から外に移動させる。この外側への移動により、溶接溶加要素310は、コンポーネント400の溶融池402に送達することができた。コンポーネント400の溶融池402は、特にレーザであるエネルギ源500によって影響を受けた。
【0062】
溶接溶加要素310は、クリアランスフィットによって位置決めスリーブ300内に配置される。プランジャ214は、プランジャ214をクランプ216に向かって通過するシールドガスチャネルを有し、クランプ216の領域では、シールドガスが位置決めスリーブ300に向かって導かれ、そこで溶接溶加要素310に対する圧力が生じる。シールドガスによるこの圧力のために、溶接溶加要素310は、位置決めスリーブ300から押し出される。したがって、溶融池402への溶接溶加要素310の連続的な供給が可能になる。シールドガスがピストン214のシールドガス流路を通って溶接溶加要素310に到達するために、供給装置1は流体供給部224を含む。さらに、供給装置1は、例えば、ピストン214の近位端に結合されたホースによって設計された流体チャネル226を含む。
【0063】
さらに、供給装置1は、溶接溶加要素310および/または位置決めスリーブ300が結合領域208から作業領域206に移動し、溶接溶加要素310がガイドユニット200の遠位端で、好ましくは位置決めスリーブ300の遠位端と相対的に移動するように移動ユニット212を制御するよう配置された制御装置5を含む。
【0064】
特に、図3の詳細な図には、位置決めスリーブ300の断面図が示されている。位置決めスリーブ300は、意図された動作において溶融池402に面する遠位スリーブ端312から、意図された動作において溶融池402から離れる方向に面する近位スリーブ端314まで延びる。スリーブキャビティ316は、遠位スリーブ端312から近位スリーブ端314の方へ延びている。
【0065】
スリーブキャビティ316内には、溶加金属310が配置される。さらに、溶接溶加要素310は、スリーブキャビティ316内にクリアランスフィットを有して配置されていることが分かる。このクリアランスフィットは、溶融池402に供給するために溶接溶加要素310を低い圧力でスリーブキャビティ316の外に移動させることを可能にするために特に好ましい。近位スリーブ端314に隣接する部分において、位置決めスリーブ300は、溝318によって設計されたカラー320を含む。
【0066】
溝318は、クランプ216によって係合可能である。クランプ216は、位置決めスリーブ300を作業領域206内の所定の位置に保持する。
【0067】
図4において、位置決めスリーブ300の廃棄が示されている。ピストン214によって、位置決めスリーブ300は、作業領域206から結合領域208を通って排出領域210に移動する。排出領域210に配置された排出装置は、ばね222を含む。ばね222は、排出領域210内の位置決めスリーブ300を、排出開口部230を介して供給装置1の外、またはガイドユニット200の外に押し出す。この目的のために、ガイドユニット200は、ピストン214が第2の端部204において少なくとも部分的に出現できるように設計されている。
【0068】
図5は、加工ユニット2、特にフライス盤および/またはレーザデポジション溶接のための加工ユニット2を概略的に示している。加工ユニット2は、特に先に説明したような供給装置1を含む。
【0069】
図6は、模式的なプロセスを示す。ステップ600において、溶接溶加要素310、特にワイヤ状および/またはロッド状および/または直線状の溶接溶加要素310が、受け入れユニット100からガイドユニット200に供給される。ステップ602において、溶接溶加要素310は、コンポーネント400上にデポジション溶接のために提供される。ステップ604において、溶加金属310は、肉盛溶接に供される。
【0070】
図7は、別の模式的なプロセスを示す。ステップ700において、溶接溶加要素310を有する位置決めスリーブ300が、受け入れユニット100からガイドユニット200に移送される。ステップ702において、位置決めスリーブ300は、結合領域208から作業領域206に移動する。ステップ704において、溶接溶加要素310は、位置決めスリーブ300に対して、特に位置決めスリーブ300の遠位端に対して相対的に移動する。ステップ706において、位置決めスリーブは、位置決めスリーブ300を廃棄するために排出領域210へ移動する。
【0071】
前述した供給装置1は、溶融池402を有するコンポーネント400上のデポジション溶接プロセスに、直線状の溶接溶加要素310を効率的に供給するという利点を有する。したがって、供給装置1は、溶接溶加要素310が予めスプールに巻かれているために湾曲を有するという従来技術における欠点を克服する。さらに、供給装置1は、直線状の溶接溶加要素310が、手動で、労働集約的な方法で、デポジション溶接プロセスに供給されなければならないという、先行技術に存在する欠点を克服している。このように、供給装置1、特に供給装置1を備えた加工ユニット2は、効率的なデポジション溶接プロセスを可能にし、さらに、プロセスの安定性が向上するために、製造されるコンポーネント400の品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 供給装置
2 加工ユニット
5 制御装置
100 受け入れユニット
102 ハウジング
104 保持装置
106 ばね
200 ガイドユニット
202 第1の端部
204 第2の端部
206 作業領域
208 結合領域
210 排出領域
212 移動ユニット
214 ピストン
216 クランプ
218 ガイドチャネル
222 ばね
224 流体供給部
226 流体チャネル
228 遠位端
230 排出ポート
300 位置決めスリーブ
302 位置決めスリーブ
304 位置決めスリーブ送り方向
310 溶接溶加要素
312 遠位スリーブ端
314 近位スリーブ端
316 スリーブキャビティ
318 溝
320 カラー
400 コンポーネント
402 溶融池
500 エネルギ源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7