(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】発光装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240809BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240809BHJP
F21V 9/38 20180101ALI20240809BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20240809BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240809BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20240809BHJP
【FI】
F21S2/00 641
H01L33/50
F21S2/00 230
F21V9/38
F21Y113:10
F21Y115:10
F21Y103:10
(21)【出願番号】P 2023025199
(22)【出願日】2023-02-21
(62)【分割の表示】P 2021552436の分割
【原出願日】2020-10-15
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2019191200
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】草野 民男
(72)【発明者】
【氏名】横井 清孝
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105716034(CN,A)
【文献】国際公開第2019/064675(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
H01L 33/50
F21Y 113/10
F21Y 115/10
F21Y 103/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
630~680nmの波長領域に第1ピーク波長と、430nm~480nmの波長領域に第2ピーク波長と、380nm~430nmの波長領域に第3ピーク波長とを有する第1光を発光し、
前記第1光は、前記第2ピーク波長における光強度を1とした場合に、前記第1ピーク波長における相対光強度が0.05~0.35であり、
前記第1光は、480nmから前記第1ピーク波長までの波長領域において光強度の第1極小値を有して
おり、
前記第1光は、680nm~710nmの波長領域に第4ピーク波長をさらに有し、
前記第1光において、前記第2ピーク波長における光強度を1とした場合に、前記第4ピーク波長における相対光強度が0.05~0.35である、
発光装置。
【請求項2】
前記第4ピーク波長における半値幅は、第1ピーク波長における半値幅の1/3以下である、
請求項
1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第4ピーク波長の相対光強度は、前記第1ピーク波長の相対光強度に対して0.7以上である請求項
1または請求項
2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~550nmの波長領域における発光スペクトルの第4スペクトル分布の割合は、65~80%である、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
630~680nmの波長領域に第1ピーク波長と、430nm~480nmの波長領域に第2ピーク波長と、380nm~430nmの波長領域に第3ピーク波長とを有する第1光を発光し、
前記第1光は、前記第2ピーク波長における光強度を1とした場合に、前記第1ピーク波長における相対光強度が0.05~0.35であり、
前記第1光は、480nmから前記第1ピーク波長までの波長領域において光強度の第1極小値を有して
おり、
前記第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~550nmの波長領域における発光スペクトルの第4スペクトル分布の割合は、65~80%である、
発光装置。
【請求項6】
前記第1光は、前記第2ピーク波長と前記第3ピーク波長の間において、光強度の第2極小値を有している、
請求項1
から請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第3ピーク波長を有する第2光を発光する発光素子と、
前記第2光を、前記第1ピーク波長を有する光に変換する第1蛍光体と、
前記第2光を、前記第2ピーク波長を有する光に変換する第2蛍光体と、
を備える、
請求項1
から請求項6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、630~680nmの波長領域における第1発光スペクトルの第1スペクトル分布の割合は、3~10%である、
請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~480nmの波長領域における第2発光スペクトルの第2スペクトル分布の割合は、40~50%である、
請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1光において、前記第2ピーク波長における光強度を1とした場合に、前記第1極小値における相対光強度は、0.05~0.1である、
請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第1光において、350~800nmの波長範囲における光強度は、前記第2ピーク波長において最大である、
請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第1光において、430~550nmの波長範囲における発光スペクトルの形状は、前記第2ピーク波長を中心として、非対称である、
請求項1から請求項
11のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の発光装置を少なくとも1つ備える、
照明装置。
【請求項14】
前記発光装置の発光強度を調整する制御部をさらに備える、
請求項13に記載の照明装置。
【請求項15】
630~680nmの波長領域に第1ピーク波長と、430nm~480nmの波長領域に第2ピーク波長と、380nm~430nmの波長領域に第3ピーク波長とを有する第1光を発光し、
前記第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、630~680nmの波長領域における第1発光スペクトルの第1スペクトル分布の割合は、3~10%であり、
前記第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~480nmの波長領域における第2発光スペクトルの第2スペクトル分布の割合は、40~50%であり、
前記第1光は、480nmから前記第1ピーク波長までの波長領域において光強度の第1極小値を有して
おり、
前記第1光は、680nm~710nmの波長領域に第4ピーク波長をさらに有し、
前記第1光において、前記第2ピーク波長における光強度を1とした場合に、前記第4ピーク波長における相対光強度が0.05~0.35である、
発光装置。
【請求項16】
前記第4ピーク波長における半値幅は、第1ピーク波長における半値幅の1/3以下である、
請求項
15に記載の発光装置。
【請求項17】
前記第4ピーク波長の相対光強度は、前記第1ピーク波長の相対光強度に対して0.7以上である請求項
15または請求項
16に記載の発光装置。
【請求項18】
前記第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~550nmの波長領域における発光スペクトルの第4スペクトル分布の割合は、65~80%である、
請求項15から請求項
17のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項19】
630~680nmの波長領域に第1ピーク波長と、430nm~480nmの波長領域に第2ピーク波長と、380nm~430nmの波長領域に第3ピーク波長とを有する第1光を発光し、
前記第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、630~680nmの波長領域における第1発光スペクトルの第1スペクトル分布の割合は、3~10%であり、
前記第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~480nmの波長領域における第2発光スペクトルの第2スペクトル分布の割合は、40~50%であり、
前記第1光は、480nmから前記第1ピーク波長までの波長領域において光強度の第1極小値を有して
おり、
前記第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~550nmの波長領域における発光スペクトルの第4スペクトル分布の割合は、65~80%である、
発光装置。
【請求項20】
前記第1光は、前記第2ピーク波長と前記第3ピーク波長の間において、光強度の第2極小値を有している、
請求項15
から請求項19のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項21】
前記第3ピーク波長を有する第2光を発光する発光素子と、
前記第2光を、前記第1ピーク波長を有する光に変換する第1蛍光体と、
前記第2光を、前記第2ピーク波長を有する光に変換する第2蛍光体と、
を備える、
請求項15
から請求項20のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項22】
前記第1光において、前記第2ピーク波長における光強度を1とした場合に、前記第1極小値における相対光強度は、0.05~0.1である、
請求項15から請求項
21のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項23】
前記第1光において、350~800nmの波長範囲における光強度は、前記第2ピーク波長において最大である、
請求項15から請求項
22のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項24】
前記第1光において、430~550nmの波長範囲における発光スペクトルの形状は、前記第2ピーク波長を中心として、非対称である、
請求項15から請求項
23のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項25】
請求項15から請求項24のいずれか一項に記載の発光装置を少なくとも1つ備える、
照明装置。
【請求項26】
前記発光装置の発光強度を調整する制御部をさらに備える、
請求項25に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及び照明装置に関する。
[背景技術]
【0002】
近年、LED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子(以下、単に発光素子という)を光源とする発光装置および発光装置を基板等に実装した照明装置が用いられている。このような発光装置等は、例えば、太陽光等の自然光の代替として、各種の製造工程で使用される場合がある。上記発光装置等の利用により、例えば屋内または夜間等の太陽光の利用が難しい環境でも、各種の作業ができるようになる。
【0003】
上記の発光装置等を、植物または動物等の栽培または飼育に用いることが試みられるようになってきている。近年、サンゴおよびイソギンチャク等の刺胞動物および魚類等の水生動物を含む水生生物の屋内での飼育に、上記の発光装置が用いられる場合がある。この場合の発光装置として、例えば特許文献1に記載されているような、白色光を発光する発光装置(ライト)等が提案されている。
【0004】
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2001-269104号公報
【発明の概要】
【0005】
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、上記従来技術の発光装置等では、水生生物の色が実際の海中で見える色と異なる場合があった。
発光装置及び照明装置については、水中での太陽光の再現性を高める点で改善の余地がある。
[課題を解決するための手段]
本開示の一実施形態に係る発光装置は、630~680nmの波長領域に第1ピーク波長と、430nm~480nmの波長領域に第2ピーク波長と、380nm~430nmの波長領域に第3ピーク波長と、を有する第1光を発光する。第1光は、第2ピーク波長における光強度を1とした場合に、第1ピーク波長における相対光強度が0.05~0.35である。第1光は、480nmから第1ピーク波長までの波長領域において光強度の第1極小値を有している。第1光は、680nm~710nmの波長領域に第4ピーク波長をさらに有する。第1光において、第2ピーク波長における光強度を1とした場合に、第4ピーク波長における相対光強度が0.05~0.35である。
本開示の一実施形態に係る発光装置は、630~680nmの波長領域に第1ピーク波長と、430nm~480nmの波長領域に第2ピーク波長と、380nm~430nmの波長領域に第3ピーク波長と、を有する第1光を発光する。第1光は、第2ピーク波長における光強度を1とした場合に、第1ピーク波長における相対光強度が0.05~0.35である。第1光は、480nmから第1ピーク波長までの波長領域において光強度の第1極小値を有している。第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~550nmの波長領域における発光スペクトルの第4スペクトル分布の割合は、65~80%である。
本開示の一実施形態に係る発光装置は、630~680nmの波長領域に第1ピーク波長と、430nm~480nmの波長領域に第2ピーク波長と、380nm~430nmの波長領域に第3ピーク波長と、を有する第1光を発光する。第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、630~680nmの波長領域における第1発光スペクトルの第1スペクトル分布の割合は、3~10%である。第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~480nmの波長領域における第2発光スペクトルの第2スペクトル分布の割合は、40~50%である。第1光は、480nmから第1ピーク波長までの波長領域において光強度の第1極小値を有している。第1光は、680nm~710nmの波長領域に第4ピーク波長をさらに有する。第1光において、第2ピーク波長における光強度を1とした場合に、第4ピーク波長における相対光強度が0.05~0.35である。
本開示の一実施形態に係る発光装置は、630~680nmの波長領域に第1ピーク波長と、430nm~480nmの波長領域に第2ピーク波長と、380nm~430nmの波長領域に第3ピーク波長と、を有する第1光を発光する。第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、630~680nmの波長領域における第1発光スペクトルの第1スペクトル分布の割合は、3~10%である。第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~480nmの波長領域における第2発光スペクトルの第2スペクトル分布の割合は、40~50%である。第1光は、480nmから第1ピーク波長までの波長領域において光強度の第1極小値を有している。第1光において、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~550nmの波長領域における発光スペクトルの第4スペクトル分布の割合は、65~80%である。
【0006】
本開示の一実施形態に係る照明装置は、上記の発光装置を少なくとも1つ備える。
[発明の効果]
水中での太陽光の再現性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る発光装置の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示す発光装置を仮想面Aで示す平面で切断したときの断面図である。
【
図4】一実施形態に係る発光装置の発光スペクトルの一例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る発光装置の発光スペクトルの一例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る照明装置の斜視図の一例を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る照明装置の分解斜視図の一例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る照明装置の斜視図の一例を示す図である。
【
図9】一実施形態に係る照明装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係る発光装置及び照明装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0009】
<発光装置の構成>
図1~
図3を参照して、本実施形態に係る発光装置1について詳細に説明する。発光装置1は、後述する照明装置10に少なくとも1つ搭載される。
【0010】
発光装置1は、素子基板2と、発光素子3と、枠体4と、封止部材5と、波長変換部材6と、を備える。
【0011】
素子基板2は、例えば、絶縁性を有する材料で形成されてよい。素子基板2は、例えば、アルミナ若しくはムライトなどのセラミック材料、ガラスセラミック材料、又は、これらの材料のうち複数の材料を混合した複合系材料などで形成されてよい。素子基板2は、熱膨張を調整することが可能な金属酸化物微粒子を分散させた高分子樹脂材料などで形成されてもよい。
【0012】
素子基板2は、素子基板2の主面(図における上面)又は素子基板2の内部に、素子基板2と配線基板12とを電気的に導通する配線導体を備えてよい。配線導体は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、又は銅などの導電材料で形成されてよい。配線導体は、例えば、タングステンの粉末に有機溶剤が添加された金属ペーストを、素子基板2となるセラミックグリーンシートに所定パターンで印刷し、複数のセラミックグリーンシートを積層して、焼成することにより形成されてよい。配線導体は、酸化防止のために、その表面に、例えば、ニッケル又は金などのめっき層が形成されてよい。
【0013】
素子基板2は、発光素子3が発光する光を効率良く外部へと放出させるため、配線導体、及びめっき層と間隔を空けて、金属反射層を備えてもよい。金属反射層は、例えば、アルミニウム、銀、金、銅又はプラチナなどの金属材料で形成されてよい。
【0014】
本実施形態において、発光素子3は、素子基板2の主面上に複数実装される。複数の発光素子3は、素子基板2に設けられる配線導体の表面に被着するめっき層上に、例えば、ろう材又は半田などを介して、電気的に接続される。素子基板2の主面上に実装される発光素子3の個数は、特に限定されるものではない。
【0015】
発光素子3は、例えば、LED(light emitting diode)である。LEDは、P型半導体とN型半導体とが接合されたPN接合中で、電子と正孔とが再結合することによって、外部へと光を発光する。発光素子3は、LEDに限られず、他の発光デバイスであってもよい。例えば、発光素子3は、LD(laser diode)であってもよい。
【0016】
発光素子3は、透光性基体と、透光性基体上に形成される光半導体層とを含んでよい。透光性基体は、例えば、有機金属気相成長法、又は分子線エピタキシャル成長法などの化学気相成長法を用いて、その上に光半導体層を成長させることが可能な材料を含む。透光性基体は、例えば、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、シリコンカーバイド、シリコーン、又は二ホウ化ジルコニウムなどで形成されてよい。透光性基体の厚みは、例えば、50μm以上1000μm以下であってよい。
【0017】
光半導体層は、透光性基体上に形成される第1半導体層と、第1半導体層上に形成される発光層と、発光層上に形成される第2半導体層とを含んでよい。第1半導体層、発光層、及び第2半導体層は、例えば、III族窒化物半導体、ガリウム燐若しくはガリウムヒ素などのIII-V族半導体、又は、窒化ガリウム、窒化アルミニウム若しくは窒化インジウムなどのIII族窒化物半導体などで形成されてよい。
【0018】
第1半導体層の厚みは、例えば、1μm以上5μm以下であってよい。発光層の厚みは、例えば、25nm以上150nm以下であってよい。第2半導体層の厚みは、例えば、50nm以上600nm以下であってよい。
【0019】
図4~
図5は、発光装置1による発光スペクトルの一例を示す図である。
図4~
図5のグラフにおいて、横軸及び縦軸はそれぞれ、発光装置1が発光する光の波長及び相対光強度を表している。相対光強度は、任意のピーク波長における光強度を1とした場合に、その任意のピーク波長における光強度に対する光強度の比として表される。
図4~
図5のグラフによれば、縦軸は、後述する430nm~480nmの波長範囲に位置した第2ピーク波長λ2における光強度を1とした場合の発光装置1が発光する光の相対光強度を表している。
【0020】
発光素子3は、380nm~430nmの波長領域に第3ピーク波長λ3を有する光を発光する。380nm~430nmの波長領域は、可視光領域に含まれる。380nm~430nmの波長領域は、紫色光領域ともいう。
【0021】
枠体4は、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化イットリウムなどのセラミック材料で形成されてよい。枠体4は、多孔質材料で形成されてよい。枠体4は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化イットリウムなどの金属酸化物を含む粉末を混合した樹脂材料で形成されてよい。枠体4は、これらの材料に限られず、種々の材料で形成されてよい。
【0022】
枠体4は、素子基板2の主面に、例えば、樹脂、ろう材又は半田などを介して、接続される。枠体4は、複数の発光素子3と間隔を空けて、複数の発光素子3を取り囲むように素子基板2の主面上に設けられる。枠体4は、内壁面が、素子基板2の主面から遠ざかる程、外方に向かって広がるように傾斜して設けられている。内壁面は、複数の発光素子3が発光する光を反射させる反射面として機能する。内壁面は、例えば、タングステン、モリブデン、又はマンガンなどの金属材料で形成される金属層と、金属層を被覆し、ニッケル又は金などの金属材料で形成されるめっき層とを含んでよい。めっき層は、複数の発光素子3が発光する光を反射する。
【0023】
枠体4の内壁面の形状は、平面視において、円形状であってよい。内壁面の形状が円形状であることによって、枠体4は、複数の発光素子3が発光する光を略一様に、外方に向かって反射させることができる。枠体4の内壁面の傾斜角度は、素子基板2の主面に対して、例えば、55度以上70度以下の角度に設定されていてよい。
【0024】
封止部材5は、素子基板2及び枠体4で囲まれる内側の空間に、枠体4で囲まれる内側の空間の上部の一部を残して充填されている。封止部材5は、複数の発光素子3を封止するとともに、複数の発光素子3が発光する光を透過させる。封止部材5は、例えば、光透過性を有する材料で形成されてよい。封止部材5は、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂若しくはエポキシ樹脂などの光透過性を有する絶縁樹脂材料、又は光透過性を有するガラス材料、などで形成されてよい。封止部材5の屈折率は、例えば、1.4以上1.6以下に設定されていてよい。
【0025】
波長変換部材6は、複数の蛍光体60を備えていてもよい。蛍光体60は、380nm~430nmの波長領域にピーク波長(第3ピーク波長λ3)を有する光を、630nm~680nmの波長領域にピーク波長(第1ピーク波長λ1)を有するとともに、430nm~480nmの波長領域にピーク波長(第2ピーク波長λ2)を有する光に変換する。波長変換部材6は、発光素子3が発光する光を、630~680nmおよび430nm~480nmの波長領域にピーク波長を有する光に変換することが可能な位置に設けられている。なお、430~680nmの波長領域は、可視光領域に含まれる。
図1から
図3に示す例では、波長変換部材6は、素子基板2及び枠体4で囲まれた領域に位置する封止部材5の上に位置している。また、波長変換部材6の上面は、枠体4の上面と、高さの差が無い例を示している。波長変換部材6の配置は、この例に限定されることなく、例えば、波長変換部材6は、枠体4の上面に位置し、素子基板2及び枠体4で囲まれる領域を覆うように位置していてもよい。
【0026】
波長変換部材6は、透光性を有する部材を更に備える。波長変換部材6は、透光性を有する部材に、蛍光体60が含有されることで形成される。透光性を有する部材に含有される蛍光体60の含有量は、適宜設定される。蛍光体60は、透光性を有する部材に略均一に分散される。発光素子3が発光する光は、封止部材5を介して、波長変換部材6の内部へと入射する。
【0027】
透光性を有する部材は、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂若しくはエポキシ樹脂などの透光性を有する絶縁樹脂、又は透光性を有するガラス材料、などで形成されてよい。
【0028】
蛍光体60は、600nm~680nmの波長領域にピーク波長を有する蛍光体を含んでいてもよい。蛍光体としては、例えば、赤色を示す蛍光体である。赤色を示す蛍光体は、例えば、Y2O2S:Eu、Y2O3:Eu、SrCaClAlSiN3:Eu2+、CaAlSiN3:Eu、又はCaAlSi(ON)3:Euなどを用いることができる。赤色を示す蛍光体は、波長変換部材6の内部へと入射した光を、630nm~680nmの波長領域にピーク波長を有する光に変換し、変換した光を放出する。また、波長変換部材6は、上述の赤色を示す蛍光体の他に、例えば、近赤外領域の色を示し、680nm~800nmの波長領域にピーク波長を有する蛍光体を含んでいてもよい。近赤外領域の色を示す蛍光体としては、例えば、3Ga5O12:Crなどが挙げられる。
【0029】
また、蛍光体60は、430nm~480nmの波長領域内にピーク波長を有するスペクトルで特定される光、つまり青色の光に変換する第2蛍光体62を含んでいてもよい。第2蛍光体62は、例えば、BaMgAl10O17:Eu、又は(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu,(Sr,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu等を用いることができる。また、第2蛍光体62は、450nm~550nmの波長領域内にピーク波長を有するスペクトルで特定される光、つまり青緑色の光に変換するものも含まれていてもよい。第2蛍光体62は、例えば、(Sr,Ba,Ca)5(PO4)3Cl:Eu,Sr4Al14O25:Eu等を用いることができる。
【0030】
さらに、波長変換部材6は、500nm~600nmの波長領域内にピーク波長を有するスペクトルで特定される光、つまり緑色の光に変換するものを含んでいてもよく、例えば、SrSi2(O,Cl)2N2:Eu、(Sr,Ba,Mg)2SiO4:Eu2
+、又はZnS:Cu,Al、Zn2SiO4:Mn等を用いてもよい。
【0031】
これらの蛍光体のうちいくつかを組み合わせることで、630nm~680nmに第1ピーク波長λ1を有するとともに、430nm~480nmに第2ピーク波長λ2を有する蛍光体60とすることができる。
【0032】
なお、上述したピーク波長および後述するピーク波長とは、スペクトルが極大値を示すもの、つまりスペクトルの谷から山になり、また谷になるなかの、山となる箇所の波長のことを指す。ただし、スペクトルは、蛍光体を用いて様々な色を出射するとき、微小な山および谷を有する場合がある。このような微小な山および谷は、ピーク波長を特定する際には用いない。すなわち、例えば、谷から谷までの幅が10nm以下における極大値はピークとはみなさないとしてもよい。
【0033】
<発光装置の発光スペクトル>
本開示の発光装置1は、上述したように380nm~430nmの波長領域に第3ピーク波長λ3と、430nm~480nmの波長領域に第2ピーク波長λ2と、630nm~680nmの波長領域に第1ピーク波長λ1とを有する光(第1光)を発光する。このとき、海中での太陽光の再現をする上では、350~800nmの波長範囲において、第2ピーク波長λ2における光強度が最大であるのがよい。また、第1光において、第2ピーク波長λ2における光強度を1とした場合に、第3ピーク波長λ3における相対光強度が0.25~0.45であり、第1ピーク波長λ1における相対光強度が0.05~0.35であるのがよい。海中では水深が深くなるほど630nm~680nmの波長領域の太陽光の光強度は低下する。例えば海中の一定深度以下での太陽光による630nm~680nmの波長領域は相対光強度がほぼ0である。このため、海中での太陽光の再現をする際には、630nm~680nmの波長領域は相対光強度がほぼ0にするのがよい。しかしながら、第1ピーク波長λ1における630nm~680nmの波長領域の相対光強度を0.05以上、つまり赤色の光を加えることで、水生生物を観賞する際に鮮やかに見せることができる。また、第1ピーク波長λ1を含む630nm~680nmの波長領域の相対光強度が0.35以下であれば海中での太陽光のスペクトルの再現性が損なわれることを低減することができる。630~680nmの波長領域の相対光強度は、赤色の蛍光体の種類の選択およびその混合量を変更することで、調整することができる。このとき、630nm~680nmの波長領域の全てにおいて相対光強度が0.05~0.35であってもよい。
【0034】
また、第3ピーク波長λ3は、発光素子3の励起光(第2光)のピーク波長である。該励起光(第2光)の相対光強度が0.25~0.45であれば、漏れ光として直接の紫色の光が外部に放射されたとしても発光させたい光の色への影響が少ない。また、発光させたい色の発光強度を十分保つことができる。
【0035】
また、このとき第1光の発光スペクトルは、480nmから第1ピーク波長λ1までの波長領域において光強度の極小値を有しているのがよい。480nmから第1ピーク波長λ1までの波長領域において光強度の第1極小値V1を有していることによって、第2ピーク波長λ2および第1ピーク波長λ1付近の色を好適に再現することができる。これにより海中での発光スペクトルの再現性を向上させることができる。また、380nm~430nmの波長範囲における相対光強度が0.1以下であることによって、発光した光の色への影響が少なくなるため、目的とする光の再現率が向上する。
【0036】
また、第1光の350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~480nmの波長領域における発光スペクトルの第2スペクトル分布の割合は、40~50%であってもよい。なお、発光スペクトルのスペクトル分布のうち、350~800nmの波長領域における発光スペクトルのスペクトル分布を発光スペクトル分布、630~680nmの波長領域における発光スペクトルのスペクトル分布を第1スペクトル分布、430~480nmの波長領域における発光スペクトルのスペクトル分布を第2スペクトル分布、380~430nmの波長領域における発光スペクトルのスペクトル分布を第3スペクトル分布、430~550nmの波長領域における発光スペクトルのスペクトル分布を第4スペクトル分布とする。なお、ここでいうスペクトル分布とは、スペクトルの面積に相当するものである。言い換えると、ここでいうスペクトル分布とは、特定の波長領域の積分値(面積比)のことである。
【0037】
海中における太陽光のスペクトルは、水深が深くなるほど430~480nmの波長領域の第2スペクトル分布の割合が増加する。例えばサンゴなど海中10~50m付近に生息する水生生物にとって、430~480nmの波長領域の光強度が小さすぎると成長が阻害され、また430~480nmの波長領域の光強度が大きすぎると、海中10m~50mの太陽光のスペクトルの再現性が低下する可能性がある。よって、430~480nmの波長領域における発光スペクトルの第2スペクトル分布の割合が40~50%であれば、海中10m~50mに生息する水生生物の育成促進を向上させることができる。また、海中での太陽光のスペクトルの再現性を向上させ、水生生物観賞用として対象物を鮮やかに見せることができる。また、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、630~680nmの波長領域における発光スペクトルの第1スペクトル分布の割合は、3~10%であってもよい。3%以上であれば赤色の光を少量加えることで水生生物観賞用として、対象物を鮮やかに見せることができる。また、10%以下であれば海中での太陽光のスペクトルの再現性が高い発光スペクトルとすることができる。
【0038】
また、発光装置1から発光した光は、680nm~710nmの波長領域に第4ピーク波長λ4をさらに有していてもよく、第4ピーク波長λ4における相対光強度は0.05~0.35であってもよい。第4ピーク波長λ4は、第1ピーク波長λ1と連続して位置しており、第1ピーク波長λ1の一部からさらに山が出た、極大値を有してものであってもよい。相対光強度が0.05~0.35であれば、赤色の光を少量加えることで水生生物を鮮やかに見せることができ、さらに海中での太陽光のスペクトルの再現性を維持しつつ、水生生物観賞用に適した発光スペクトルとすることができる。このとき、第4ピーク波長λ4における半値幅は、第1ピーク波長λ1の半値幅の1/3以下であってもよい。半値幅を第1ピーク波長λ1の半値幅の1/3以下にすることにより海中の太陽光のスペクトルの再現性が損なわれることを低減することができる。このとき、第4ピーク波長λ4における相対光強度は、第1ピーク波長λ1の相対光強度に対して、0.7以上1以下であってもよい。また、第3ピーク波長λ3の相対光強度よりも小さいのがよい。
【0039】
また、
図4および
図5に示すように、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、380~430nmの波長範囲における発光スペクトルの第3スペクトル分布の割合は、8~10%である。励起光付近の割合がこの数値範囲であることにより、漏れ光として直接の紫色の光が外部に放射されたとしても発光させたい光の色への影響が少ない。また、発光させたい光の色の発光強度を十分保つことができる。
【0040】
また、第2ピーク波長λ2における光強度を1とした場合に、第1極小値V1における相対光強度は、0.05~0.1であってもよい。第1極小値V1の相対光強度がこの数値範囲であることにより、海中での太陽光の青色と赤色とのバランスに近く、かつ、対象を色鮮やかに見せることができる。
【0041】
また、第2ピーク波長λ2と第3ピーク波長λ3との間において、第2極小値V2を有している。第2ピーク波長λ2における光強度を1とした場合に、第2極小値V2における相対光強度は、0.1~0.2であってもよい。第2極小値V2の相対光強度がこの数値範囲であることにより、海中での太陽光の紫色と青色とのバランスに近く、かつ、直接の紫色の光が外部に放射されたとしても発光させたい光の色への影響を少なくすることができる。
【0042】
このとき、第2極小値V2における相対光強度は、第1極小値V1における相対光強度よりも大きくてもよい。このことによって、発光装置1の発する光における励起光、青色光および赤色光のバランスを海中での太陽光に近づけることができる。
【0043】
430~550nmの波長範囲における発光スペクトルの形状は、第2ピーク波長λ2を中心として、非対称であってもよい。発光スペクトルの形状とは、スペクトルの波形のことである。このとき、第2ピーク波長λ2よりも長波長側の方が広がっていてもよい。例えば、第2ピーク波長λ2から短波長側および長波長側のそれぞれ30nm離れた波長における相対光強度は、長波長側の方が大きい。言い換えると、430nm~490nmの波長範囲において、第2ピーク波長λ2を中心として、短波長側のスペクトル分布よりも長波長側のスペクトル分布が大きい。これは、蛍光体60にて励起された光が励起光よりも長波長側に広がっていくためである。このことによって、励起光の成分が多くなりすぎることなく、再現したい光の発光強度を確保することができる。なお、波長変換部材6に分散する蛍光体60の種類および量(体積比率等)を調整することにより、発光スペクトルの長波長側への広がりおよび相対光強度は調整することができる。
【0044】
また、350~800nmの波長領域における発光スペクトルの発光スペクトル分布に対する、430~550nmの波長領域における発光スペクトルの第4スペクトル分布の割合は、65~80%であってもよい。青色および緑色の波長領域の範囲の割合が大きいため、赤色の割合が少ない海中での太陽光に近づけることができる。
【0045】
<照明装置の構成>
図6は、本実施形態に係る発光装置1を備える照明装置10の斜視図であり、
図7は、本実施形態に係る発光装置1を備える照明装置10の分解斜視図である。
図7は、
図6に示す照明装置10の筐体から透光性基板を取り外した状態を示す斜視図である。照明装置10は、発光素子3を有する複数の発光装置1を備えている。そして、照明装置10は、複数の発光装置1から放射された光が合成される。このため、照明装置10は、380~430nmの波長領域に第3ピーク波長λ3を有し、430~480nmの波長領域に第2ピーク波長λ2を有し、630~680nmの波長領域に第1ピーク波長λ1を有している。
【0046】
照明装置10は、長尺の筐体11と、発光装置1と、長尺の配線基板12と、長尺の透光性基板13とを備えている。筐体11は、上方に開口している。発光装置1は、筐体11内に長手方向に沿ってライン状に複数個配列されている。配線基板12は、複数の発光装置1が実装される。透光性基板13は、筐体11によって支持され、筐体11の開口を閉塞する。
【0047】
なお、発光装置1の実施形態では、1つの発光装置1における第1光のスペクトルについて説明したが、複数の発光装置1の合成光、つまり照明装置10から放射される光におけるスペクトルが上述のようになっていてもよい。この場合には、発光素子3は同じく380~430nmに第3ピーク波長λ3を有する光を発光するものであり、蛍光体の種類を適宜変更して、再現することができる。
【0048】
筐体11は、透光性基板13を保持する機能と、発光装置1の発する熱を外部に放散させる機能とを有している。筐体11は、例えば、アルミニウム、銅またはステンレス等の金属、プラスチックまたは樹脂等から構成される。筐体11は、長手方向に延びる底部21a、および底部21aの幅方向の両端部から立設し、長手方向に延びる一対の支持部21bを有し、上方および長手方向の両側で開口している長尺の本体部21と、本体部21における長手方向一方側および他方側の開口をそれぞれ閉塞する2つの蓋部22とから成っている。各支持部21bの筐体11の内側における上部には、長手方向に沿って透光性基板13を保持するための凹所が互いに対向するように形成された保持部が設けられている。筐体11は、長手方向の長さが、例えば、100mm以上2000mm以下に設定されている。
【0049】
配線基板12は、筐体11内の底面に固定される。配線基板12は、例えば、リジッド基板、フレキシブル基板またはリジッドフレキシブル基板等のプリント基板が用いられる。配線基板12の配線パターンと発光装置1における基板2の配線パターンとが、半田または導電性接着剤を介して電気的に接続される。そして、配線基板12からの信号が基板2を介して発光素子3に伝わり、発光素子3が発光する。なお、配線基板12には、外部に設けられた電源から配線を介して電力が供給される。
【0050】
透光性基板13は、発光装置1から発せられる光が透過する材料からなり、例えば、アクリル樹脂またはガラス等の光透過性材料から構成される。透光性基板13は、矩形状の板体であって、長手方向の長さが、例えば、98mm以上1998mm以下に設定されている。透光性基板13は、本体部21における長手方向一方側または他方側の開口から、上述の各支持部21bに形成されている凹所内に挿し込み、長手方向に沿ってスライドさせることにより、複数の発光装置1から離れた位置で、一対の支持部21bによって支持される。そして、本体部21における長手方向一方側および他方側の開口を蓋部22で閉塞することにより、照明装置10は構成される。
【0051】
なお、上記の照明装置10は、複数の発光装置1を直線状に配列した線発光の照明装置であるが、これに限らず複数の発光装置1をマトリクス状や千鳥格子状に配列した面発光の照明装置であってもよい。
【0052】
図9に示すように、照明装置10は、発光装置1の光の強度(調光率)を調節する制御部30を備えていてもよい。制御部30は、魚を鮮やかにはっきりと見せるときには、光の強度を大きくし、夜の海中を再現海中における太陽光のスペクトルは、水深が深くなるほど430~480nmの波長領域する場合には、光の強度を小さくすればよい。また、制御部30は、魚への身体的な影響を考慮して、一度に光の強度が大きく変化しないように、時間とともにゆっくり変化するように調整する制御をしてもよい。制御部30は、発光装置1に流れる電流値を制御することで、発光装置1から発光される光の強度を調整することができる。また、制御部30は、調光率を時間的に変化させたり、調光率をランダムに変化させたりすることで、発光装置1から発光される光が揺らいでいるように調整することができる。なお、制御部30は、配線基板12に一緒に取り付けられていてもよいし、照明装置10に受信部を備えておき、外部から無線通信で配線基板12等の電流を制御する部分に指令を出すものであってもよい。
【0053】
このように照明装置10が、調光を制御することができる制御部30を有することによって、同じ色温度の光であっても強弱(明暗)をつけた光を再現することができる。
【0054】
<照明装置の使用例>
本開示の照明装置10は、上述した実施形態に係る発光装置1を備える。そのため、水中での太陽光の光を再現することができる。例えば、照明装置10を水槽の中に入れることで魚などの水中生物の観賞を水中にいるように体験することができる。また、その際に水中生物の色が鮮やかに見える。また、小さな水槽であれば、水槽の上に取り付けて、上から光を照らすこともできる。また、魚のいる位置に合わせて、取り付ける高さ位置を調整してもよい。
【0055】
なお、照明装置10は、建物内、家屋内などの屋内で使用されるのみならず、屋外で使用されてもよい。
【0056】
本実施形態に係る構成を説明する図は、模式的なものである。図面上の寸法比率などは、現実のものと必ずしも一致しない。
【0057】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本開示の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。本開示に係る構成は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形又は変更が可能である。本開示は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、数値などの種々の変形は可能である。本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
1 発光装置
2 素子基板
3 発光素子
4 枠体
5 封止部材
6 波長変換部材
60 蛍光体
λ1 第1ピーク波長
λ2 第2ピーク波長
λ3 第3ピーク波長
λ4 第4ピーク波長
V1 第1極小値
V2 第2極小値
10 照明装置
11 筐体
12 配線基板
13 透光性基板
21 本体部
21a 底部
21b 支持部
22 蓋部
30 制御部