(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】酸素測定デバイス及び酸素測定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/20 20060101AFI20240809BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240809BHJP
A61M 1/00 20060101ALN20240809BHJP
【FI】
A61B5/20
A61B5/00 N
A61M1/00 160
(21)【出願番号】P 2023065572
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2022119226の分割
【原出願日】2018-03-05
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2017066646
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】末原 達
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 昭宏
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-523463(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0286559(US,A1)
【文献】特開平09-084768(JP,A)
【文献】特開2014-030745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膀胱内から導尿口を介して流入した尿が流通可能な導尿ルーメンが形成されたシャフトと、前記シャフトの基端に設けられて前記導尿ルーメンに連通する排尿ポートが形成されたハブと、を有する尿道カテーテルと、
前記排尿ポート内を流通する尿に接触可能に前記ハブに設けられて尿中の酸素を検出するための酸素センサ本体と、
前記シャフトに埋設されたセンサと、
を備え
、
前記ハブのうち前記酸素センサ本体よりも基端側には、前記排尿ポートよりも基端側から前記酸素センサ本体への空気の流入を抑制する流入抑制部が設けられている、酸素測定デバイス。
【請求項2】
膀胱内から導尿口を介して流入した尿が流通可能な導尿ルーメンが形成されたシャフトと、前記シャフトの基端に設けられて前記導尿ルーメンに連通する排尿ポートが形成されたハブと、を有する尿道カテーテルと、
前記排尿ポート内を流通する尿に接触可能に前記ハブに設けられて尿中の酸素を検出するための酸素センサ本体と、
前記シャフトに埋設されたセンサと、
を備え、
前記酸素センサ本体は、
前記排尿ポート内の尿に接触可能に設けられた蛍光体と、
前記蛍光体が設けられ、前記蛍光体の励起光及び前記蛍光体からの蛍光を透過可能に構成された基部と、
を有し、
前記ハブは、前記酸素センサ本体に光学的に接続可能な光ファイバを保持するケーブルコネクタが着脱可能に構成される、酸素測定デバイス。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の酸素測定デバイスであって、
前記シャフトに埋設された前記センサは、
センサ本体と、
前記センサ本体に接続された伝送部と、
を有し、
前記センサ本体は、前記シャフトの軸線方向において前記導尿口と同じ位置又は前記導尿口から先端側にずれた位置にある、酸素測定デバイス。
【請求項4】
請求項1
または2に記載の酸素測定デバイスであって、
前記シャフトに埋設された前記センサは、
センサ本体と、
前記センサ本体に接続された伝送部と、
を有し、
前記センサ本体は、前記シャフトの軸線方向において前記導尿口から基端側にずれた位置にある、酸素測定デバイス。
【請求項5】
請求項
3または4に記載の酸素測定デバイスであって、
前記センサ本体は、前記膀胱内の温度を検出する、酸素測定デバイス。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の酸素測定デバイスであって、
前記ハブには、前記排尿ポートを流通する尿の温度を検出するための温度センサ本体が設けられている、酸素測定デバイス。
【請求項7】
請求項
6に記載の酸素測定デバイスであって、
前記酸素センサ本体は、前記温度センサ本体よりも先端側に設けられている、酸素測定デバイス。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の酸素測定デバイスであって、
前記ハブには、前記排尿ポートを流通する尿の流量を検出するための流速センサ本体が設けられている、酸素測定デバイス。
【請求項9】
請求項
7に従属する請求項
8に記載の酸素測定デバイスであって、
前記流速センサ本体は、前記温度センサ本体よりも基端側に設けられている、酸素測定デバイス。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の酸素測定デバイスであって、
前記ハブには、前記排尿ポートに所定の流体を導入可能又は前記排尿ポートを流通している尿を採取可能なポート部が前記酸素センサ本体よりも先端側に設けられている、酸素測定デバイス。
【請求項11】
請求項
2に記載の酸素測定デバイスであって、
前記基部は、前記ケーブルコネクタが前記ハブに装着された状態で前記光ファイバの先端面が押圧されて弾性変形可能な弾性部を含む、酸素測定デバイス。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか1項に記載の酸素測定デバイスであって、
前記シャフトのうち前記導尿ルーメンの外周側には、前記シャフトの構成材料よりも酸素ガス透過率の低い材料で構成されたガス透過抑制部が設けられている、酸素測定デバイス。
【請求項13】
膀胱内から導尿口を介して流入した尿が流通可能な導尿ルーメンが形成されたシャフトと、前記シャフトの基端に設けられて前記導尿ルーメンに連通する排尿ポートが形成されたハブと、を有する尿道カテーテルと、
前記排尿ポート内を流通する尿に接触可能に前記ハブに設けられて尿中の酸素を検出するための酸素センサ本体と、
前記シャフトに埋設されたセンサと、
を備え、
前記ハブには、
前記排尿ポートを流通する尿の温度を検出するための温度センサ本体と、
前記排尿ポートを流通する尿の流量を検出するための流速センサ本体と、
前記排尿ポートよりも基端側から前記酸素センサ本体への空気の流入を抑制する流入抑制部と、
が設けられ、
前記酸素センサ本体、前記温度センサ本体及び前記流速センサ本体は、前記流入抑制部よりも先端側に位置するとともに先端側からこの順番で互いに離間して一列に配置されている、酸素測定デバイス。
【請求項14】
請求項
6に記載の酸素測定デバイスであって、
前記温度センサ本体は、前記温度センサ本体を前記シャフトの軸線方向から挟むように2つ設けられている、酸素測定デバイス。
【請求項15】
シャフト及びハブを有する尿道カテーテルと前記ハブに設けられた酸素センサ本体とを備えた酸素測定デバイスと、
前記ハブに着脱可能なケーブルコネクタが設けられた伝送ケーブルと、
前記伝送ケーブルに連結され、前記酸素センサ本体からの前記伝送ケーブルを介して出力された前記酸素センサ本体の出力信号に基づいて尿中の酸素分圧を算出する制御装置と、
を備え、
前記酸素測定デバイスは、請求項1~
14のいずれか1項に記載の酸素測定デバイスである、酸素測定システム。
【請求項16】
シャフト及びハブを有する尿道カテーテルと前記ハブに設けられた酸素センサ本体とを備えた酸素測定デバイスと、
前記ハブに着脱可能なケーブルコネクタが設けられた伝送ケーブルと、
前記伝送ケーブルに連結され、前記酸素センサ本体からの前記伝送ケーブルを介して出力された前記酸素センサ本体の出力信号に基づいて尿中の酸素分圧を算出する制御装置と、
を備え、
前記酸素測定デバイスは、
膀胱内から導尿口を介して流入した尿が流通可能な導尿ルーメンが形成された前記シャフトと、前記シャフトの基端に設けられて前記導尿ルーメンに連通する排尿ポートが形成された前記ハブと、を有する尿道カテーテルと、
前記排尿ポート内を流通する尿に接触可能に前記ハブに設けられて尿中の酸素を検出するための前記酸素センサ本体と、
前記シャフトに埋設されたセンサと、
を備え、
前記酸素センサ本体は、前記排尿ポート内の尿に接触可能に設けられ、且つ励起光が照射されることによって蛍光を発する材料で構成された蛍光体を有し、
前記酸素センサ本体に光学的に接続された酸素用ケーブルを備え、
前記蛍光体は、前記酸素用ケーブルの先端面よりも大きい面積を有している、酸素測定システム。
【請求項17】
請求項
15または16に記載の酸素測定システムであって、
前記制御装置は、前記制御装置の周辺の大気圧力、前記制御装置の周辺の湿度、前記制御装置の周辺の温度を取得する、酸素測定システム。
【請求項18】
請求項
15~17のいずれか1項に記載の酸素測定システムであって、
前記制御装置は、前記酸素測定デバイスが有するデバイスセンサの固有のキャリブレーション値を取得する、酸素測定システム。
【請求項19】
請求項
18に記載の酸素測定システムであって、
前記制御装置は、前記デバイスセンサからの出力値が正常動作範囲内にあるか否かを判定する、酸素測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎臓から排出された尿中の酸素を検出する酸素測定デバイス及び酸素測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、尿道カテーテルの尿路を通じて酸素センサを膀胱内に挿入して留置する酸素測定デバイスが開示されている。この酸素測定デバイスは、酸素センサの酸素センサ本体を尿道カテーテルの先端部に形成された導尿口から導出させて膀胱の上皮壁に接触させることにより、上皮壁の酸素を検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、尿中の酸素状況が腎臓の組織酸素状況を反映していると仮定し、尿中の酸素を測定することにより腎臓の状態を予測する研究が行われている。上述した特許文献1のような酸素測定デバイスは、膀胱の上皮壁の酸素を検出するものであるため、尿中の酸素を検出しているとは限らない。
【0005】
仮に、前記酸素センサを用いて尿中の酸素を検出しようとした場合、膀胱内において酸素センサの酸素センサ本体が尿道カテーテルの導尿口から露出しているため酸素センサ本体が変位して膀胱壁に当接することがある。そして、酸素センサ本体が膀胱壁に当接するとノイズとして検出されるため、尿中の酸素を精度よく測定することは容易ではない。
【0006】
さらに、膀胱内において尿が排出されずに残留している箇所に酸素センサ本体が位置すると、腎臓から排出された尿中の酸素を確実に測定することができないおそれがある。
【0007】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、腎臓から膀胱内を経由して体外に排出される新しい尿中の酸素を精度よく且つ確実に測定することができる酸素測定デバイス及び酸素測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の第1の態様は、膀胱内から導尿口を介して流入した尿が流通可能な導尿ルーメンが形成されたシャフトと、前記シャフトの基端に設けられて前記導尿ルーメンに連通する排尿ポートが形成されたハブと、を有する尿道カテーテルと、前記排尿ポート内を流通する尿に接触可能に前記ハブに設けられて尿中の酸素を検出するための酸素センサ本体と、前記シャフトに埋設されたセンサと、を備え、前記ハブのうち前記酸素センサ本体よりも基端側には、前記排尿ポートよりも基端側から前記酸素センサ本体への空気の流入を抑制する流入抑制部が設けられている、酸素測定デバイスである。
(2)本発明の第2の態様は、膀胱内から導尿口を介して流入した尿が流通可能な導尿ルーメンが形成されたシャフトと、前記シャフトの基端に設けられて前記導尿ルーメンに連通する排尿ポートが形成されたハブと、を有する尿道カテーテルと、前記排尿ポート内を流通する尿に接触可能に前記ハブに設けられて尿中の酸素を検出するための酸素センサ本体と、前記シャフトに埋設されたセンサと、を備え、前記酸素センサ本体は、前記排尿ポート内の尿に接触可能に設けられた蛍光体と、前記蛍光体が設けられ、前記蛍光体の励起光及び前記蛍光体からの蛍光を透過可能に構成された基部と、を有し、前記ハブは、前記酸素センサ本体に光学的に接続可能な光ファイバを保持するケーブルコネクタが着脱可能に構成される、酸素測定デバイスである。
【0009】
(3)上記項目(1)または(2)に記載の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトに埋設された前記センサは、センサ本体と、前記センサ本体に接続された伝送部と、を有し、前記センサ本体は、前記シャフトの軸線方向において前記導尿口と同じ位置又は前記導尿口から先端側にずれた位置にあってもよい。
【0010】
(4)上記項目(1)または(2)に記載の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトに埋設された前記センサは、センサ本体と、前記センサ本体に接続された伝送部と、を有し、前記センサ本体は、前記シャフトの軸線方向において前記導尿口から基端側にずれた位置にあってもよい。
【0011】
(5)上記項目(3)または(4)に記載の酸素測定デバイスにおいて、前記センサ本体は、前記膀胱内の温度を検出してもよい。
【0012】
(6)上記項目(1)~(5)のいずれかに記載の酸素測定デバイスにおいて、前記ハブには、前記排尿ポートを流通する尿の温度を検出するための温度センサ本体が設けられてもよい。
【0013】
(7)上記項目(6)に記載の酸素測定デバイスにおいて、前記酸素センサ本体は、前記温度センサ本体よりも先端側に設けられてもよい。
【0014】
(8)上記項目(1)~(7)のいずれかに記載の酸素測定デバイスにおいて、前記ハブには、前記排尿ポートを流通する尿の流量を検出するための流速センサ本体が設けられてもよい。
【0015】
(9)上記項目(7)に従属する上記項目(8)に記載の酸素測定デバイスにおいて、前記流速センサ本体は、前記温度センサ本体よりも基端側に設けられてもよい。
【0016】
(10)上記項目(1)~(9)のいずれかに記載の酸素測定デバイスにおいて、前記ハブには、前記排尿ポートに所定の流体を導入可能又は前記排尿ポートを流通している尿を採取可能なポート部が前記酸素センサ本体よりも先端側に設けられてもよい。
【0019】
(11)上記項目(2)に記載の酸素測定デバイスにおいて、前記基部は、前記ケーブルコネクタが前記ハブに装着された状態で前記光ファイバの先端面が押圧されて弾性変形可能な弾性部を含んでもよい。
【0020】
(12)上記項目(1)~(11)のいずれかに記載の酸素測定デバイスにおいて、前記シャフトのうち前記導尿ルーメンの外周側には、前記シャフトの構成材料よりも酸素ガス透過率の低い材料で構成されたガス透過抑制部が設けられてもよい。
【0021】
(13)本発明の第3の態様は、膀胱内から導尿口を介して流入した尿が流通可能な導尿ルーメンが形成されたシャフトと、前記シャフトの基端に設けられて前記導尿ルーメンに連通する排尿ポートが形成されたハブと、を有する尿道カテーテルと、前記排尿ポート内を流通する尿に接触可能に前記ハブに設けられて尿中の酸素を検出するための酸素センサ本体と、前記シャフトに埋設されたセンサと、を備え、前記ハブには、前記排尿ポートを流通する尿の温度を検出するための温度センサ本体と、前記排尿ポートを流通する尿の流量を検出するための流速センサ本体と、前記排尿ポートよりも基端側から前記酸素センサ本体への空気の流入を抑制する流入抑制部と、が設けられ、前記酸素センサ本体、前記温度センサ本体及び前記流速センサ本体は、前記流入抑制部よりも先端側に位置するとともに先端側からこの順番で互いに離間して一列に配置されている酸素測定デバイスである。
【0022】
(14)上記項目(6)に記載の酸素測定デバイスにおいて、前記温度センサ本体は、前記温度センサ本体を前記シャフトの軸線方向から挟むように2つ設けられてもよい。
【0023】
(15)本発明の第4の態様は、シャフト及びハブを有する尿道カテーテルと前記ハブに設けられた酸素センサ本体とを備えた酸素測定デバイスと、前記ハブに着脱可能なケーブルコネクタが設けられた伝送ケーブルと、前記伝送ケーブルに連結され、前記酸素センサ本体からの前記伝送ケーブルを介して出力された前記酸素センサ本体の出力信号に基づいて尿中の酸素分圧を算出する制御装置と、を備え、前記酸素測定デバイスは、上記項目(1)~(14)のいずれかに記載の酸素測定デバイスである、酸素測定システムである。
【0024】
(16)本発明の第5の態様は、シャフト及びハブを有する尿道カテーテルと前記ハブに設けられた酸素センサ本体とを備えた酸素測定デバイスと、前記ハブに着脱可能なケーブルコネクタが設けられた伝送ケーブルと、前記伝送ケーブルに連結され、前記酸素センサ本体からの前記伝送ケーブルを介して出力された前記酸素センサ本体の出力信号に基づいて尿中の酸素分圧を算出する制御装置と、を備え、前記酸素測定デバイスは、膀胱内から導尿口を介して流入した尿が流通可能な導尿ルーメンが形成された前記シャフトと、前記シャフトの基端に設けられて前記導尿ルーメンに連通する排尿ポートが形成された前記ハブと、を有する尿道カテーテルと、前記排尿ポート内を流通する尿に接触可能に前記ハブに設けられて尿中の酸素を検出するための前記酸素センサ本体と、前記シャフトに埋設されたセンサと、を備え、前記酸素センサ本体は、前記排尿ポート内の尿に接触可能に設けられ、且つ励起光が照射されることによって蛍光を発する材料で構成された蛍光体を有し、前記酸素センサ本体に光学的に接続された酸素用ケーブルを備え、前記蛍光体は、前記酸素用ケーブルの先端面よりも大きい面積を有している、酸素測定システムである。
【0025】
(17)上記項目(15)または(16)に記載の酸素測定システムにおいて、前記制御装置は、前記制御装置の周辺の大気圧力、前記制御装置の周辺の湿度、前記制御装置の周辺の温度を取得してもよい。
【0026】
(18)上記項目(15)~(17)のいずれかに記載の酸素測定システムにおいて、前記制御装置は、前記酸素測定デバイスが有するデバイスセンサの固有のキャリブレーション値を取得してもよい。
【0027】
(19)上記項目(18)に記載の酸素測定システムにおいて、前記制御装置は、前記デバイスセンサからの出力値が正常動作範囲内にあるか否かを判定してもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、排尿ポートを流通する尿中の酸素を酸素センサ本体で検出できるため、腎臓から膀胱内を経由して体外に排出される新しい尿中の酸素を精度よく且つ確実に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る酸素測定デバイスを備えた酸素測定システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す酸素測定デバイスの先端部の一部省略縦断面図である。
【
図3】
図1に示す酸素測定デバイスの基端部の一部省略縦断面図である。
【
図4】
図1に示すモニタ本体部を説明するブロック図である。
【
図5】酸素測定システムの使用方法を説明する模式図である。
【
図6】酸素測定システムの使用方法を説明する第1のフローチャートである。
【
図7】酸素測定システムの使用方法を説明する第2のフローチャートである。
【
図8】モニタに表示される酸素測定システムの測定結果を示した第1の図である。
【
図9】
図9Aは、モニタに表示される酸素測定システムの測定結果を示した第2の図であり、
図9Bは、モニタに表示される酸素測定システムの測定結果を示した第3の図である。
【
図10】
図10Aは、連結部本体の変形例を示す断面図であり、
図10Bは、連結部本体の他の変形例を示す断面図であり、
図10Cは、酸素センサ本体の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態に係る酸素測定システム12は、腎臓の状態を予測するために、腎臓から膀胱140内に排出された尿中の酸素分圧(酸素濃度)を測定するためのものである。
【0031】
図1に示すように、酸素測定システム12は、尿道カテーテル18を有する酸素測定デバイス10、蓄尿バッグ14(蓄尿容器)及びモニタリングシステム16を備えている。なお、以下の説明において、
図2における尿道カテーテル18の右側を「基端側」、尿道カテーテル18の左側を「先端側」と呼び、他の各図についても同様とする。
【0032】
尿道カテーテル18は、使用時に生体内に留置され、膀胱140内の尿を体外に配置した蓄尿バッグ14へと排尿するための医療機器である(
図5参照)。
図1及び
図2に示すように、尿道カテーテル18は、可撓性を有する中空状のシャフト22と、シャフト22の最先端に設けられた閉塞部23(先端キャップ)と、シャフト22の先端部に設けられたバルーン24と、シャフト22の基端部に設けられたハブ26とを備えている。
【0033】
シャフト22は、細径で長尺なチューブである。シャフト22は、尿道144(
図5参照)を通じて尿道カテーテル18の先端部を膀胱140内まで円滑に挿通させることを可能にするため、適度な可撓性と適度な剛性を有する。シャフト22の構成材料としては、例えば、シリコーン又はラテックス等のゴム、その他エラストマー、塩化ビニル、ポリウレタン、プラスチックチューブ等が挙げられる。
【0034】
図2に示すように、シャフト22には、膀胱140内の尿をシャフト22内に流入させる2つの導尿口28と、導尿口28に連通してシャフト22の全長に亘って延在した内腔30と、バルーン24の拡張用流体を流通させるための拡張用ルーメン32とが形成されている。
【0035】
各導尿口28は、シャフト22の外周面のうちバルーン24よりも先端側の部位に開口している。2つの導尿口28は、互いに対向する位置に設けられている。導尿口28は、シャフト22の長手方向に延在した長孔である。具体的には、導尿口28は、長方形の各短辺を円弧状に外側に突出させた形状(楕円に近い形状)に形成されている(
図1参照)。導尿口28の形状、大きさ、位置、数は、任意に設定可能である。
【0036】
シャフト22の先端には、内腔30の先端開口部34が形成されている。内腔30の先端開口部34は、閉塞部23によって閉塞されている。閉塞部23は、シャフト22と同様の材料で構成されている。閉塞部23は、接着剤40によってシャフト22に対して固定されている。
【0037】
シャフト22の内腔30のうち閉塞部23よりも基端側は、導尿ルーメン42として機能する。導尿ルーメン42は、シャフト22の軸線Axが導尿ルーメン42内に位置するように設けられている。導尿ルーメン42は、横断面が四角形状に形成されている。ただし、導尿ルーメン42の横断面は、任意の形状を採用し得る。
【0038】
図2に示すように、シャフト22の壁部内には、温度センサ44が埋設されている。温度センサ44は、膀胱140内の温度を検出するための温度センサ本体46(温度プローブ)と、温度センサ本体46に電気的に接続された温度用伝送部48とを有している。温度センサ本体46は、シャフト22の軸線方向において導尿口28と同じ位置にある。温度センサ本体46は、熱電対、測温抵抗体又はサーミスタ等を含んでいる。温度用伝送部48は、電線である。なお、温度センサ本体46は、シャフト22の軸線方向において導尿口28から先端側もしくは基端側にずれた位置にあってもよい。
【0039】
バルーン24は、内圧の変化により拡張及び収縮が可能である。つまり、バルーン24は、バルーン24内に拡張用流体が導入されることにより拡張し、バルーン24内から拡張用流体が導出されることにより収縮する。なお、
図1では、拡張状態のバルーン24が示されている。
【0040】
図1及び
図3に示すように、ハブ26は、シャフト22の基端に設けられた中空状のハブ本体600と、ハブ本体600の基端に設けられた中空状の連結部602とを有する。ハブ本体600は、シャフト22と同様の材料もしくは樹脂材料によって一体的に成形されている。
図3において、ハブ本体600には、導尿ルーメン42に連通する第1排尿ポート604と、拡張用ルーメン32に連通するバルーン拡張用ポート72と、温度用伝送部48の基端部を外部に導出させるための導出ポート部606とが設けられている。バルーン拡張用ポート72は、拡張用ルーメン32を介して拡張用流体をバルーン24内に圧送するための図示しない圧力印加装置が接続可能に構成されている。またバルーン拡張用ポート72は、圧力印加装置が接続されると開通し、分離されると閉塞する図示しないバルブ構造を含んでいる。
【0041】
連結部602は、透明性を有する樹脂材料によって一体的に管状に形成されている。連結部602は、ハブ本体600の基端開口部に嵌入された第1接続部608と、第1接続部608の基端に設けられた連結部本体610と、連結部本体610の基端部に設けられて蓄尿バッグ14の導尿チューブ80の先端開口部に嵌入された第2接続部612とを有する。
【0042】
第1接続部608の外面には、環状凸部614が軸方向に複数設けられることによって、第1接続部608の外面がハブ本体600の基端開口部の内面に液密に接触している。第1接続部608及び連結部本体610には、第1排尿ポート604に連通する第2排尿ポート616が形成されている。以下、第1排尿ポート604と第2排尿ポート616とを併せて排尿ポート618ということがある。導尿ルーメン42及び排尿ポート618のそれぞれの横断面形状は、互いに同一(例えば、矩形状)に形成されている。つまり、導尿ルーメン42及び排尿ポート618のそれぞれの流路断面積は、互いに同一に形成されている。これにより、導尿ルーメン42から排尿ポート618へと流れる尿に乱れが発生することを抑えることができるため、円滑に尿を流通させることができる。
【0043】
第2接続部612は、連結部602から外方に向かって突出した環状突出部620と、環状突出部620から基端方向に延出した延出部622とを有する。すなわち、第2接続部612の内腔624の流路断面積は、第2排尿ポート616の流路断面積よりも大きい。延出部622の外面には、環状凸部626が軸方向に複数設けられることによって、延出部622の外面が導尿チューブ80の先端開口部の内面に液密に接触している。第2接続部612の内腔624には、連結部本体610の基端部が突出している。連結部本体610のうち第2接続部612の内腔624に突出した突出部628(流入抑制部)の基端側開口部の流路断面積は、第2接続部612の内腔624の流路断面積よりも小さい。つまり、突出部628の基端開口部を構成する壁面及びその内腔となる第2排尿ポート616には、表面張力によって尿が接触して維持されるため、第2接続部612の内腔624から空気が第2排尿ポート616内に流入されることが抑制される。
【0044】
連結部本体610には、第2排尿ポート616内に所定の流体を導入させるためのポート部632と、ポート部632の基端側に位置する支持壁部634と、第2排尿ポート616内の尿中の酸素を検出するための酸素センサ本体636と、第2排尿ポート616内の尿の温度を検出するための温度センサ本体638と、第2排尿ポート616内の尿の流量を検出するための流速センサ本体640とが設けられている。
【0045】
ポート部632は、酸素センサ本体636よりも先端側に設けられており、弁体642が配設される孔644を有する弁体支持部646を備える。弁体642は、ゴム等の弾性部材で構成されており、例えば、図示しないシリンジの中空状の針体が液密に穿刺可能に構成されていたり、又は図示しないシリンジの先端部チップが液密に接続可能に構成されている。ポート部632は、第2排尿ポート616内の尿を採取するための採尿ポート部として機能してもよい。
【0046】
支持壁部634のうち基端方向を指向する面と環状突出部620の先端方向を指向する面のそれぞれには、モニタリングシステム16のケーブルコネクタ90を固定するための固定穴650a、650bが形成されている。酸素センサ本体636、温度センサ本体638及び流速センサ本体640は、先端側からこの順番で支持壁部634と突出部628との間に互いに離間して一列に配置されている。
【0047】
酸素センサ本体636は、ポート部632よりも基端側且つ温度センサ本体638及び流速センサ本体640よりも先端側に配置されており、基板652及び弾性部654を有する基部656と、基部656に設けられた蛍光体658とを有する。基板652の表面には、第2排尿ポート616内の尿に接触するように蛍光体658が塗布されている。基板652のうち蛍光体658とは反対側の裏面には、弾性部654が設けられている。基板652及び弾性部654のそれぞれは、透明性を有する材料で構成されている。基板652は、例えば、ガラス又はポリエチレン等で構成されている。弾性部654は、ゴム等のように柔軟性を有する樹脂材料によって構成されている。
【0048】
蛍光体658は、励起光が照射されることによって蛍光を発する材料で構成されている。具体的には、蛍光体658を構成する材料としては、白金ポルフィリン、ルテニウム錯体、ピレン誘導体、等が挙げられる。蛍光体658には、外乱光を遮断するコーティングが施されている。ただし、蛍光体658には、このようなコーティングを施さなくてもよい。蛍光体658は、後述する光ファイバ96の先端面よりも大きい面積を有している。
【0049】
温度センサ本体638は、酸素センサ本体636よりも基端側且つ流速センサ本体640よりも先端側に設けられている。換言すれば、温度センサ本体638は、酸素センサ本体636の近傍に位置している。温度センサ本体638は、金属板として構成されている。金属板は、例えば、銀、銅、金、ステンレス、アルミニウム等の熱伝導率の高い材料で構成するのが好ましい。この場合、温度センサ本体638の温度を、第2排尿ポート616内の尿の温度と略同一にすることができるからである。ただし、温度センサ本体638は、温度センサ本体638の温度を第2排尿ポート616内の尿の温度に近似させることができれば、樹脂材料等の金属以外の材料により薄板状に形成されていてもよい。流速センサ本体640は、温度センサ本体638よりも基端側に設けられており、例えば、カルマン渦式又は熱式の流速センサ664として構成されている。
【0050】
図1に示すように、蓄尿バッグ14は、いわゆる閉鎖式のバッグとして構成されており、バッグ本体78と、尿道カテーテル18内の尿をバッグ本体78内に導くための導尿チューブ80と、バッグ本体78内の尿を排出するための排尿部82とを有している。このような蓄尿バッグ14は、樹脂材料等によって一体的に構成されている。ただし、蓄尿バッグ14は、分離式のバッグでもよい。
【0051】
図1及び
図3に示すように、モニタリングシステム16は、ハブ26に着脱可能なケーブルコネクタ90と、ケーブルコネクタ90に連結された長尺な伝送ケーブル92と、伝送ケーブル92に連結されたモニタ本体部94(制御装置)とを有する。ケーブルコネクタ90は、ハウジング91を備え、ハウジング91内には、酸素センサ本体636に光学的に接続可能な酸素用ケーブルとしての光ファイバ96と、温度センサ本体638に接触又は近接可能な温度検出部97と、温度検出部97に電気的に接続可能な温度用ケーブル98と、流速センサ本体640に電気的に接続可能な流量用ケーブル100とが設けられている。
【0052】
ケーブルコネクタ90は、ハブ26に対してハブ26の軸線と交差する(直交する)方向から装着又は離脱される。ハウジング91には、固定穴650aに挿入可能なピン93aと、固定穴650bに挿入可能なピン93bとが設けられている。各ピン93a、93bは、ハウジング91に設けられた図示しない操作部を操作することによって、ハウジング91の外方に突出して各固定穴650a、650bに挿入可能なロック位置と、ハウジング91の内方に退避して各固定穴650a、650bから抜かれる退避位置とに変位可能に構成されている。ハウジング91には、温度用伝送部48の基端に設けられた端子49が電気的に接続可能な接続端子95が設けられている。接続端子95には、図示しないケーブルが電気的に接続されている。
【0053】
温度用ケーブル98及び流量用ケーブル100は電線である。光ファイバ96、温度用ケーブル98及び流量用ケーブル100は、伝送ケーブル92で1つにまとめられてモニタ本体部94まで延在している。
【0054】
図1に示すように、伝送ケーブル92は、導尿チューブ80に沿うように配設され、複数の係止部材102(結束バンド)によって導尿チューブ80に対して係止されている。これにより、酸素測定デバイス10の使用時に導尿チューブ80及び伝送ケーブル92が邪魔になることを抑えることができる。
【0055】
酸素センサ本体636と光ファイバ96とにより酸素センサ660が構成され、温度センサ本体638、温度検出部97及び温度用ケーブル98で温度センサ662が構成され、流速センサ本体640と流量用ケーブル100とで流速センサ664が構成される。
【0056】
図4に示すように、モニタ本体部94は、発光部104、受光部106、A/D変換器108、開始ボタン110、停止ボタン112、モニタ114及び制御部116を備える。
【0057】
発光部104は、例えば、発光ダイオードであって、光ファイバ96に所定波長の励起光を発光する。受光部106は、例えば、フォトダイオードであって、光ファイバ96から伝送された蛍光が入射される。A/D変換器108は、受光部106の受光信号をデジタル値に変換して制御部116に出力する。
【0058】
開始ボタン110は、尿中の酸素分圧の測定を開始するためのボタンである。停止ボタン112は、尿中の酸素分圧の測定を停止するボタンである。また、モニタ本体部94には、図示しない電源ボタン等も設けられている。
【0059】
モニタ114は、制御部116で算出された尿中の酸素分圧を表示可能に構成されている。モニタ114は、いわゆるフルドット液晶タイプのディスプレイであって、所定の情報をカラーで表示することができる。モニタ114は、タッチパネル機能を備えており、所定の情報を入力する入力部としても機能する。モニタ114による入力形式は、タッチパネル式以外にもマウスカーソール式、タッチペン式、タッチパッド式等のポインティングデバイスが利用可能である。
【0060】
制御部116は、記憶部118と各種機能実現部とを備える。なお、機能実現部は、CPU(中央処理ユニット)が記憶部118に記憶されているプログラムを実行することにより機能が実現されるソフトウエア機能部であるが、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路からなるハードウエア機能部により実現することもできる。記憶部118は、書き込み可能な不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)を備えており、モニタ114を介して入力された情報や制御部116で算出された情報等を記憶することができる。
【0061】
制御部116は、記憶部118、酸素分圧算出部120、尿量算出部122、流速算出部123、流速判定部124、尿量条件設定部126、尿量判定部128及び表示制御部130を有する。また、制御部116は、温度センサ662の出力信号が入力される図示しない温度入力部と、流速センサ664の出力信号が入力される図示しない流速入力部を備える。
【0062】
酸素分圧算出部120は、酸素センサ660の出力信号と温度センサ662の出力信号とに基づいて尿中の酸素分圧を算出する。尿量算出部122は、流速センサ664の出力信号に基づいて尿量を算出する。流速算出部123は、流速センサ664からの出力信号に基づいて尿路74内の尿の流速Vを算出する。流速判定部124は、流速算出部123によって算出された尿の流速Vが所定値以上であるか否かを判定する。
【0063】
尿量条件設定部126は、所定の尿量条件を設定する。具体的に、尿量条件設定部126は、第1尿量判定値及び第2尿量判定値を設定する。第1尿量判定値は、例えば、急性腎障害(AKI)の第1ステージ及び第2ステージの判定に用いられる第1尿量基準値(0.5ml/kg/h)に患者の体重を乗算することによって算出される。第2尿量判定値は、急性腎障害の第3ステージの判定に用いられる第2尿量基準値(0.3ml/kg/h)に患者の体重を乗算することによって算出される。ただし、尿量条件設定部126は、任意の条件を設定することができる。尿量判定部128は、尿量算出部122によって算出された尿量が所定の尿量条件に合致するか否かを判定する。
【0064】
表示制御部130は、流速センサ664の出力信号に基づいて取得された尿の流速Vに応じてモニタ114に表示される酸素分圧の表示形式を変化させる。具体的に、表示制御部130は、流速判定部124にて尿の流速Vが所定値以上であると判定された場合にモニタ114に酸素分圧を第1表示形式で表示させ、流速判定部124にて尿の流速Vが所定値未満であると判定された場合にモニタ114に酸素分圧を第1表示形式とは異なる第2表示形式で表示させる。表示制御部130は、酸素分圧の時間変化を示すグラフをモニタ114に表示させる。表示制御部130は、尿量判定部128にて尿量が尿量条件に合致すると判定された場合にその旨をモニタ114に表示させる。
【0065】
次に、酸素測定デバイス10の使用について説明する。
【0066】
図5及び
図6に示すように、まず準備工程を行う(
図6のステップS1)。準備工程では、尿道カテーテル18の先端部を膀胱140内に留置する。具体的には、潤滑ゼリーを塗布したシャフト22の先端を患者の尿道口142から尿道144へ挿入し、導尿口28及びバルーン24が膀胱140内に配置された状態とする。なお、図示しないスタイレットをシャフト22の導尿ルーメン42に挿入して、シャフト22に十分な剛性を付与することで、尿道カテーテル18を膀胱140内に挿入しやすくしてもよい。
【0067】
その後、バルーン拡張用ポート72(
図3参照)から拡張用ルーメン32(
図2参照)へ図示しない圧力印加装置から拡張用流体を圧送することにより、バルーン24を拡張させる。これにより、尿道カテーテル18の体内からの抜け止めがなされ、シャフト22におけるバルーン24よりも先端側が膀胱140内に留置される。なお、
図5中の参照符号146は恥骨であり、参照符号148は前立腺であり、参照符号150は外尿道括約筋である。
【0068】
尿道カテーテル18の先端部が膀胱140内に留置されると、尿道カテーテル18を介して蓄尿バッグ14へと膀胱140内の尿を排尿させることができる。この際、尿道カテーテル18では、膀胱140内の尿は、導尿口28から導尿ルーメン42に流入する。
【0069】
また、
図6に示すように、ユーザは、患者の体重をモニタ本体部94に入力する(ステップS2)。そうすると、尿量条件設定部126は、入力された患者の体重に基づいて第1尿量判定値及び第2尿量判定値を算出する(ステップS3)。
【0070】
その後、ユーザは、開始ボタン110を操作する(ステップS4)。これにより、尿中の酸素分圧の測定が開始される。開始ボタン110が操作されると、停止ボタン112が操作されるまで尿中の酸素分圧の測定が連続的又は間欠的(例えば、5分毎)に行われる。
【0071】
具体的に、制御部116は、各種データを取得する(ステップS5)。すなわち、制御部116は、温度センサ662の出力信号と流速センサ664の出力信号を取得する。また、制御部116は、発光部104を制御して所定波長の光を発光させる。そうすると、発光部104から発光された励起光は、光ファイバ96に伝送され、その先端面から酸素センサ本体636の蛍光体658に照射される。光が照射された蛍光体658は、基底状態から励起状態に遷移し、蛍光を放射しながら基底状態に戻る。この際、蛍光体658の周囲に酸素分子が存在すると、相互作用により励起エネルギーが酸素分子に奪われ、蛍光発光の強度が減少する。この現象は、消光現象と呼ばれ、蛍光発光の強度は酸素分子濃度に反比例する。蛍光体658の蛍光は、光ファイバ96の先端面から入射され、受光部106に導かれる。受光部106の受光信号は、A/D変換器108によってデジタル信号に変換されて制御部116に入力される。これにより、酸素センサ660の出力信号が取得される。
【0072】
その後、酸素分圧算出部120は、酸素センサ660の出力信号(A/D変換器108の出力信号)と温度センサ662の出力信号とに基づいて尿中の酸素分圧を算出する(ステップS6)。また、流速判定部124は、流速センサ664の出力信号に基づいて取得された尿の流速Vが所定値(基準流速V0)以上であるか否かを判定する(ステップS7)。基準流速V0は、予め記憶部118に記憶されていている。
【0073】
流速判定部124にて流速Vが基準流速V0以上であると判定された場合(ステップS7:YES)、表示制御部130は、算出された酸素分圧が第1表示形式でモニタ114に表示されるように設定する(ステップS8)。一方、流速判定部124にて流速Vが基準流速V0未満であると判定された場合(ステップS7:NO)、表示制御部130は、算出された酸素分圧が第2表示形式でモニタ114に表示されるように設定する(ステップS9)。
【0074】
続いて、尿量判定制御(ステップS10)が行われる。この尿量判定制御(ステップS10)では、まず、尿量算出部122は、尿量及びその積算値を算出する(
図7のステップS20)。すなわち、尿量算出部122は、流速センサ664の出力信号に基づいて尿量を算出する。算出された尿量は、記憶部118に記憶される。そして、尿量算出部122は、記憶部118に記憶されている尿量に今回の測定で算出された尿量を加算することにより尿量の積算値を算出する。尿量の積算値は、記憶部118に記憶される。
【0075】
その後、尿量算出部122は、尿量の積算値に基づいて単位時間当たり(例えば、1時間当たり)の尿量を算出する(ステップS21)。続いて、尿量判定部128は、単位時間当たりの尿量が尿量条件に合致するか否かを判定する(ステップS22)。
【0076】
具体的に、尿量判定部128は、AKIの第1~第3ステージのいずれかに該当するか否かを判定する。すなわち、尿量判定部128は、単位時間当たりの尿量が第1尿量判定値未満である状態が6時間以上継続している場合には第1ステージに合致すると判定する。また、尿量判定部128は、単位時間当たりの尿量が第1尿量判定値未満である状態が12時間以上継続している場合には第2ステージに合致すると判定する。さらに、尿量判定部128は、単位時間当たりの尿量が第2尿量判定値未満である状態が24時間以上継続しているか又は尿量が無い状態が12時間以上継続している場合には第3ステージに合致すると判定する。
【0077】
表示制御部130は、尿量判定部128がAKIの第1~第3ステージのいずれかに合致すると判定した場合(ステップS22:YES)、尿量条件に合致する旨(第1~第3ステージである旨)がモニタ114に表示されるよう設定する(ステップS23)。一方、表示制御部130は、尿量判定部128がAKIの第1~第3ステージのいずれにも合致しないと判定した場合(ステップS22:NO)、
図6のステップS11の処理に進む。
【0078】
その後、ステップS11において、表示制御部130は、各種情報をモニタ114に表示させる。具体的に、
図8に示すように、表示制御部130は、例えば、酸素分圧、膀胱内温度、尿量、尿量の積算値を数値でモニタ114に表示させるとともに酸素分圧の時間変化及び膀胱内温度の時間変化をグラフでモニタ114に表示させる。また、表示制御部130は、尿量判定制御においてAKIの第1~第3ステージのいずれかに該当すると判定されている場合(ステップS22:YES)にはその旨をモニタ114に表示させる。なお、表示制御部130は、尿量判定制御において、AKIの第1~第3ステージのいずれにも該当しないと判定されている場合(ステップS22:NO)にはAKIをモニタ114に表示させない。
【0079】
図8の例では、酸素分圧は、38mmHg、膀胱内温度は37.4℃、単位時間当たりの尿量は25.1mL/h、積算尿量は532mL、AKIは第1ステージと表示されている。また、酸素分圧の時間変化は棒グラフで表示され、膀胱内温度の時間変化は折れ線グラフで表示されている。つまり、横軸は時間、一方の縦軸は酸素分圧(mmHg)、他方の縦軸は温度(℃)となっている。また、棒グラフにおいて、塗り潰されている部分が酸素分圧を第1表示形式で表示した部分であり、塗り潰されていない部分が酸素分圧を第2表示形式で表示した部分である。つまり、棒グラフにおいて、塗り潰されている部分の酸素分圧は尿の流速Vが基準流速V0以上である時の尿中の酸素分圧であり、塗り潰されていない部分の酸素分圧は尿の流速Vが基準流速V0未満である時の尿中の酸素分圧である。
【0080】
酸素分圧の第1表示形式及び第2表示形式は、
図8の例に限定されない。例えば、棒グラフにおいて、第1表示形式を塗り潰されていない状態で表示し、第2表示形式を塗り潰されている状態で表示してもよい。
【0081】
また、
図9Aに示すように、表示制御部130は、酸素分圧の時間変化を折れ線グラフでモニタ114に表示させてもよい。この場合、折れ線グラフにおいて、太線部分が酸素分圧を第1表示形式で表示した部分であり、細線部分が酸素分圧を第2表示形式で表示した部分である。ただし、第1表示形式を細線で表示し、第2表示形式を太線で表示してもよい。
【0082】
さらに、
図9Bに示すように、折れ線グラフにおいて、酸素分圧の値を示す線分よりも下側が塗り潰されている部分を酸素分圧の第1表示形式とし、下側が塗り潰されていない部分を酸素分圧の第2表示形式としてもよい。ただし、第1表示形式を下側が塗り潰されていない状態で表示し、第2表示形式を下側が塗り潰されている状態で表示してもよい。
【0083】
その後、
図6において、制御部116は、停止ボタン112が操作されたか否かを判定する(ステップS12)。停止ボタン112が操作されていない場合(ステップS12:NO)、ステップS5以降の処理を行う。一方、停止ボタン112が操作された場合(ステップS12:YES)、制御部116は、酸素測定の動作を停止する(ステップS13)。すなわち、発光部104の発光を停止させる。この段階で、今回のフローチャートの酸素測定処理が終了する。
【0084】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0085】
酸素測定デバイス10は、尿道カテーテル18と酸素センサ本体636とを備える。尿道カテーテル18は、膀胱140内から導尿口28を介して流入した尿が流通可能な導尿ルーメン42が形成されたシャフト22と、シャフト22の基端に設けられて導尿ルーメン42に連通する排尿ポート618が形成されたハブ26とを有する。酸素センサ本体636は、排尿ポート618内を流通する尿に接触可能にハブ26に設けられて尿中の酸素を検出する。
【0086】
これにより、排尿ポート618を流通する尿中の酸素を酸素センサ本体636で検出できるため、腎臓から膀胱140内を経由して体外に排出される新しい尿中の酸素を精度よく且つ確実に測定することができる。
【0087】
ハブ26には、排尿ポート618を流通する尿の温度を検出するための温度センサ本体638が設けられている。これにより、温度センサ本体638によって検出された尿の温度を用いて酸素センサ本体636で検出された酸素を補正することができる。
【0088】
酸素センサ本体636は、温度センサ本体638よりも先端側に設けられている。この場合、排尿ポート618を流通するより新しい尿中の酸素を検出することができる。
【0089】
ハブ26には、排尿ポート618を流通する尿の流量を検出するための流速センサ本体640が設けられている。これにより、排尿量を容易に知ることができる。また、尿が安定して流れている状態なのか否かを知ることができる。
【0090】
流速センサ本体640は、温度センサ本体638よりも基端側に設けられている。これにより、流速センサ本体640が熱を発生する場合であっても、流速センサ本体640を温度センサ本体638よりも先端側に配置した構成と比較して、流速センサ本体640の熱の影響を温度センサ本体638が受け難くすることができる。
【0091】
酸素センサ本体636は、流速センサ本体640よりも先端側に設けられている。これにより、酸素センサ本体636を通過した尿の流量を流速センサ本体640で検出することができるため、より早く酸素の値を測定できる上、流速センサ本体640の影響を受けることなく測定できる。
【0092】
ハブ26には、排尿ポート618に所定の流体を導入可能なポート部632が酸素センサ本体636よりも先端側に設けられている。これにより、ポート部632から流体を導入して酸素センサ本体636が正常に動作しているか否かを確認することができる。また、ポート部632が、排尿ポート618を流通している尿を採取可能な採尿ポートとして構成されている場合には、測定対象である尿を直接採取することができる。
【0093】
ハブ26は、透明性を有する材料で構成されている。これにより、排尿ポート618内に気泡等が存在しているか否かを視認することができる。
【0094】
ハブ26のうち酸素センサ本体636よりも基端側には、排尿ポート618の基端から酸素センサ本体636への空気の流入を抑制する流入抑制部としての突出部628が設けられている。そのため、酸素センサ本体636の検出精度を向上させることができる。
【0095】
酸素センサ本体636は、排尿ポート618内の尿に接触可能に設けられた蛍光体658と、蛍光体658が設けられ、蛍光体658の励起光及び蛍光体658からの蛍光を透過可能に構成された基部656と、を有している。ハブ26は、酸素センサ本体636に光学的に接続可能な光ファイバ96を保持するケーブルコネクタ90が着脱可能に構成されている。これにより、使い捨てされる酸素測定デバイス10に蛍光体658を励起するための光ファイバ96を設ける必要がないため、酸素測定デバイス10のコストの低減を図ることができる。
【0096】
基部656は、ケーブルコネクタ90がハブ26に装着された状態で光ファイバ96の先端面が押圧されて弾性変形可能な弾性部654を含んでいる。これにより、ケーブルコネクタ90にハブ26が装着された際に、光ファイバ96の先端面が酸素センサ本体636に過度に押し付けられて損傷することを抑えつつ酸素センサ本体636に対して確実に接触させることができる。
【0097】
本発明は、上述した構成に限定されない。
【0098】
ハブ26の連結部602は、
図10Aに示す連結部本体610aを有していてもよい。
図10Aに示すように、連結部本体610aは、第1排尿ポート604の流路断面積と同じ流路断面積を有する第1部位666と、第1部位666の流路断面積よりも小さい流路断面積を有する第2部位668とを備える。第2部位668は、第1部位666に対して内方に突出するように形成されている。第2部位668には、酸素センサ本体636が配置されている。この場合、第2排尿ポート616を流通する尿を蛍光体658に効果的に接触させることができる。また、基端側から空気が流路内に混入した場合に基端側の流路断面積変化部の構造により酸素センサ本体636への空気の流入を抑えること、流路断面積が狭まることで第2部位668での流速が向上することにより、より精度よく測定することができる。
【0099】
また、
図10Bに示すように、第2部位668には、基端側に向かって(
図10Bの右側)内方に傾斜した傾斜部669が設けられ、酸素センサ本体636は傾斜部669に配置されていてもよい。この場合、第2排尿ポート616を流通する尿を蛍光体658に一層効果的に接触させることができる。また
図10Aと同様に、流路断面積の変化により、より精度よく測定することができる。
【0100】
酸素測定デバイス10は、
図10Cに示す酸素センサ本体636aを備えていてもよい。
図10Cに示すように、酸素センサ本体636aの基部656aは、連結部本体610の内面よりも内方に膨出するように構成された基板652aを有している。また、基板652aのうち膨出した部分の外面には蛍光体658が塗布されている。この場合、第2排尿ポート616を流通する尿を蛍光体658により効果的に接触させることができる。
【0101】
酸素測定デバイス10は、
図11Aに示すシャフト22aを備えていてもよい。
図11Aに示すように、シャフト22aは、導尿ルーメン42と、拡張用ルーメン32と、温度センサ44が配設されるセンサルーメン670とが形成されている。シャフト22aのうち導尿ルーメン42の外周側には、シャフト22aの構成材料よりも酸素ガス透過率の低い材料で構成されたガス透過抑制部672(ガスバリア部)が設けられている。具体的に、ガス透過抑制部672は、導尿ルーメン42を構成する内面に導尿ルーメン42の全長に亘って設けられている。
【0102】
ガス透過抑制部672は、酸素ガス透過率が100[cm3/m2・24h・atm]以下の材料が用いられる。具体的に、ガス透過抑制部672の構成材料としては、例えば、エチレンービニルアルコールコポリマー(EVOH)、アクリロニトリルコポリマー、6ナイロン又は66ナイロン等のポリアミド、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、酸化アルミニウム、シリカ(二酸化ケイ素)等が挙げられる。
【0103】
このような構成によれば、導尿口28から導尿ルーメン42を介して排尿ポート618に流れる際に尿中の酸素量(酸素分圧)が変化することを抑えることができる。これにより、尿中の酸素を精度よく検出することができる。
【0104】
導尿ルーメン42を外側から覆うようにシャフト22aの壁部内に埋設されていてもよいし(
図11B参照)、ガス透過抑制部672は、シャフト22aの外周面に設けられていてもよい(
図11C参照)。
【0105】
図12に示すようにシャフト22aには、シャフト22aを構成する材質よりも硬い材質で構成された硬質部材400が設けられていてもよい。硬質部材400は、例えば、金属、プラスチック、繊維等によって構成される。硬質部材400は、シャフト22aの壁部に埋設された埋設硬質部402a、402bと、導尿ルーメン42を構成する壁面に設けられた壁面硬質部404aと、センサルーメン670を構成する壁面に設けられた壁面硬質部404bと、拡張用ルーメン32を構成する壁面に設けられた壁面硬質部404cとを有する。この場合、ガス透過抑制部672は、壁面硬質部404aに設けられている。埋設硬質部402a、402bは、線状に延在している。埋設硬質部402a、402b及び壁面硬質部404a~404cの外表面は、凹凸が形成されていてもよいし、凹凸が形成されていなくてもよい。また、埋設硬質部402a、402b及び壁面硬質部404a~404cは、複数の孔部が形成された帯状部材であってもよい。さらに、埋設硬質部402a、402bは、メッシュ状(網状)に構成してもいし、繊維等を密に組み合わせた編組物であってもよい。このような構成によれば、シャフト22aの伸縮に伴ってガス透過抑制部672が損傷すること、温度センサ44を有する場合はそれが損傷することを抑えることができる。シャフト22aには、埋設硬質部402a、402b及び壁面硬質部404a~404cの少なくとも1つが設けられていてもよい。
【0106】
連結部本体610は、第2接続部612の内腔624内に突出していなくてもよい。この場合であっても、連結部本体610の基端開口部の流路断面積が第2接続部612の内腔624の流路断面積よりも大きいため、第2接続部612の内腔624から第2排尿ポート616への空気の流入を抑制することができる。つまり、連結部本体610のうち酸素センサ本体636よりも基端側の構成が、第2排尿ポート616よりも基端側から酸素センサ本体636への空気の流入を抑制する流入抑制部として機能する。
【0107】
連結部本体610のうち流速センサ本体640よりも基端側には、尿の流通を許可する一方、基端側から先端側への空気の流通を阻止する逆止弁(流入抑制部)が設けられていてもよい。
【0108】
酸素センサ本体636、温度センサ本体638及び流速センサ本体640は、連結部602の周方向に互いにずれて配置されていてもよい。酸素センサ本体636と温度センサ本体638とは、連結部本体610の軸線を挟んで互いに対向するように配置されていてもよい。
【0109】
ポート部632は、酸素センサ本体636よりも基端側に設けてもよい。ポート部632が酸素センサ本体636の先端側に位置する場合、ポート部632を用いて第2排尿ポート616の尿を採尿する際に酸素センサ本体636よりも基端側の尿が酸素センサ本体636に逆流する可能性がある。しかしながら、ポート部632を酸素センサ本体636よりも基端側に設けた場合、酸素センサ本体636への尿の逆流を防止することができる。
【0110】
温度センサ本体638は、酸素センサ本体636を軸線方向から挟むように2つ設けられていてもよい。この場合、酸素センサ本体636を流れる尿の温度をより正確に検出することができる。
【0111】
モニタ本体部94は、時間、モニタ本体部94の周辺の大気圧力、モニタ本体部94の周辺の湿度、モニタ本体部94の周辺の温度を取得可能に構成されていてもよい。なお、時間とは、現在時刻、あるタイミングからの経過時間を含む。モニタ本体部94は、各センサの固有の初期(製造時)のキャリブレーション値を読み取りして反映可能に構成することができる。キャリブレーション値の入力方法は、1次元又は2次元のバーコードをスキャンしてもよいし、入力部から直接的に入力してもよい。また、キャリブレーション値が尿道カテーテル18の信号出力部に保持されており、モニタリングシステム16が尿道カテーテル18に接続されることによって自動的に読み込まれるようにしてもよい。
【0112】
酸素測定システム12では、使用前に動作確認を行ってもよい。この場合、酸素測定デバイス10の各センサからの出力値が正常動作範囲内であることを確認する。具体的に、モニタ本体部94の周辺の温度、湿度及び大気圧力から算出される基準値と酸素測定デバイス10の各センサからの出力値とを比較する。そして、モニタ本体部94の制御部116が酸素測定デバイス10の各センサからの出力値が正常範囲内であるか否かを判定し、その判定結果を報知する。なお、酸素測定デバイス10の各センサからの出力値が正常範囲であることの確認は、基準溶液又は基準気体を用いて各センサの出力値を取得し、その出力値と基準値とを比較してもよい。
【0113】
モニタ本体部94は、酸素測定デバイス10の各センサからの出力値に基づいて各種物理量(酸素分圧、膀胱内温度、尿量等)を報知してもよい。具体的に、モニタ本体部94は、数値、棒グラフ、ダイヤルゲージ、レベルメータ、色等によって物理量を報知することができる。また、モニタ本体部94は、上下矢印、各種グラフ(折れ線グラフ等)、色変化経過表示等によって物理量の推移をモニタ114に表示することができる。
【0114】
膀胱140内の変化が酸素測定デバイス10内の尿の流量の変化として現れるまでには時間差がある。そのため、モニタ本体部94は、膀胱140内の変化が酸素測定デバイス10の各センサの出力値として現れるまでの遅れ時間をモニタ114に表示するようにしてもよい。
【0115】
モニタ本体部94には、ユーザが所定の条件を設定することができる。モニタ本体部94は、設定条件を満たした状態を設定時間分だけ経過したか否かを判定して報知してもよい。すなわち、モニタ本体部94は、例えば、設定した尿量の排尿が得られない場合、設定条件を満たした状態(センサの低出力状態、膀胱内温度が設定温度未満の状態等)が設定時間以上継続している場合等に報知してもよい。
【0116】
モニタ本体部94は、設定した変化が発生したことを判断して報知してもよい。つまり、モニタ本体部94は、例えば、尿の流量の変化率が設定した変化率を越えた場合、尿の測定温度の変化幅が設定した変化幅を超えた場合等に報知してもよい。
【0117】
モニタ本体部94は、内部にプログラムを保持する機能を有し、外部からの更新情報を受けることでプログラムを更新可能に構成されていてもよい。この場合、モニタ本体部94は、更新情報の供給源に対して無線接続又は有線接続(USB接続)することによって更新情報を受けるようにしてもよい。また、モニタ本体部94は、メモリーカードを差し替えることによって更新情報を受けてもよい。
【0118】
モニタ本体部94は、必要な機能を簡単に操作できるように構成されていてもよい。つまり、モニタ本体部94は、物理的なファンクションキーを少なくとも1つ有し、各ファンクションキーに機能を自由に割り当てることができるように構成されていてもよい。モニタ本体部94は、例えば、ダイヤルの操作やモニタ114(画面)をスライド操作することにより、過去データへの時間遡り操作が可能に構成されていてもよい。
【0119】
モニタ本体部94は、選択した範囲のデータを外部のプリンタ等から印刷できるように構成されていてもよい。
【0120】
モニタ本体部94は、モニタ114の表示領域を分割して各表示領域に任意のデータを表示することができるように構成されていてもよい。この場合、例えば、現在データと過去データとを容易に比較することができる。モニタ本体部94は、モニタ114の表示を外部の表示装置に出力して表示できるように構成されていてもよい。
【0121】
モニタ本体部94は、輸液量から排尿量の範囲を推定するとともにその推定範囲と実際の排尿量とを比較し、推定範囲内にあるか否かを判定し、その判定結果を報知するように構成されていてもよい。なお、輸液量は、輸液ポンプから輸液データを自動的に取得してもよいし、輸液量を直接入力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0122】
10…酸素測定デバイス 12…酸素測定システム
16…モニタリングシステム 18…尿道カテーテル
22、22a…シャフト 26…ハブ
28…導尿口 42…導尿ルーメン
90…ケーブルコネクタ 91…ハウジング
96…光ファイバ(酸素用ケーブル) 97…温度検出部
100…流量用ケーブル 140…膀胱
618…排尿ポート 636、636a…酸素センサ本体
638…温度センサ本体 640…流速センサ本体
658…蛍光体